JP6337307B2 - スフィンゴ脂質及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、麹菌の培養由来物から得られたスフィンゴ脂質に関する。
スフィンゴ脂質とは、スフィンゴイド塩基(長鎖塩基)を構造骨格としてもつ複合脂質の総称である。動物細胞のスフィンゴ脂質の骨格はスフィンゴシンであるが、植物や真菌では主にフィトスフィンゴシンである(非特許文献1)。
スフィンゴ脂質には、スフィンゴイド塩基のアミノ基にアシル基がアミド結合したセラミドや、セラミドに糖、リン、硫黄、アミノ酸など様々な極性基が付加した複合スフィンゴ脂質などがある。なかでも糖が結合したスフィンゴ糖脂質は、真核生物やバクテリアの一部などに普遍的に存在しており、糖鎖部分の構造は様々であることが知られている。グルコースが結合したグルコシルセラミドやガラクトースが結合したガラクトシルセラミドは、セレブロシドとも呼ばれ植物、真菌、動物に共通してみられる代表的なスフィンゴ糖脂質である(非特許文献2)。
スフィンゴ脂質の一種であるセラミドは、皮膚の角質層における主要な成分として存在し、保湿機能を果たすことが知られている。セラミドは加齢とともに減少するため、その不足分を補填することを目的として、化粧品や健康食品において広く利用されている。
上記のようにセラミドは需要が多い成分であるが、自然界では希少であり、その供給源は限られている。従来、セラミドを得るための方法として、牛脳由来のスフィンゴ脂質から採取する方法が主として用いられてきたが、BSE(牛海綿状脳症)発症の原因であるプリオンが脳幹部位に蓄積していることが明らかとなったため、この方法により得られたセラミドを化粧品や食品分野にて利用するのは難しい。
そのため、セラミドの新たな供給源が必要となっており、麹菌を用いて植物を発酵させ、スフィンゴ脂質を得る方法等(例えば特許文献1〜5)が開発されている。
そして、上記の研究により得られたスフィンゴ脂質には、構造の異なるセラミドが存在していることが明らかとなっており、後述する構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドが少なくとも含まれていることが特許文献1〜3に記載されている。以下、構造式(I)で表されるセラミドを不飽和型と称し、構造式(II)で表されるセラミドを飽和型と称する。
しかしながら、上記の方法により得られるスフィンゴ脂質中の組成としては、構造式(II)で表されるセラミドがほとんどを占めており、構造式(I)で表されるセラミドについてはわずかに構造式(II)で表されるセラミドの10分の1程度が含まれるに過ぎなかった(特許文献1〜3)。
一般に不飽和脂肪酸は様々な生理活性を有することが知られており、脂肪酸部分が不飽和化した構造式(I)で表されるセラミドについても同様の効果が期待されることから、構造式(I)で表されるセラミドを多く含むスフィンゴ脂質を含有する物質が求められていた。
一方、特許文献4及び特許文献5には、遊離セラミド含有量の多い発酵粕由来スフィンゴ脂質について記載され、グルコシルセラミドと遊離セラミドとの割合等が記載されている。
しかし、当該文献においては、グルコシルセラミドを構造毎に定量的に測定した記載はなく、例えば、後述する構造式(I)及び(II)で表されるセラミド、特に構造式(I)で表されるセラミドがどの程度、発酵粕に含まれているかは示されていない。
また、特許文献6では、焼酎粕からスフィンゴ脂質を抽出する工程を含むスフィンゴ脂質の製造方法が記載されているが、得られたスフィンゴ脂質の構造特定についての議論はなされていない。
特開2010−022279号公報 特開2010−041972号公報 特開2010−154788号公報 特開2012−126910号公報 特許5013348号公報 特開2012−228246号公報
Chem.Phys.Lipids,5,6−43(1970) CMLS,Cell.Mol.Life Sci.,60,919−941(2003)
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、より多量の不飽和型のセラミドを含むスフィンゴ脂質を提供することを目的とする。
本発明者は、麹菌の培養由来物からスフィンゴ脂質を抽出することが有効であり、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、麹菌の培養由来物から得られたスフィンゴ脂質であって、少なくとも下記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドを含み、下記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対して、下記構造式(I)で表されるセラミドが3重量部以上含まれていることを特徴とするスフィンゴ脂質である。
また本発明は、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)からなる麹菌を、ポテトデキストロース培地を用いて液体培養で培養し、次いで該培養物から水分を除去した後、水分除去物からスフィンゴ脂質を得るスフィンゴ脂質の製造方法である。
また、得られるスフィンゴ脂質は、上記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドを含み、上記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対して、上記構造式(I)で表されるセラミドが3重量部以上含まれているスフィンゴ脂質の製造方法が好ましい。
本発明により、不飽和型のセラミドを多く含むスフィンゴ脂質を得ることができ、化粧品や食品分野において広く利用することができる。
A.kawachii培養物から得られたスフィンゴ脂質について、TLC展開を行った結果を示す図である。 A.kawachii培養物から得られたスフィンゴ脂質について、ESI−MS/MSを行った結果を示す図である。 図2より得られたESI−MS/MSを行った結果から推定されるスフィンゴ脂質の構造を示す図である。 A.kawachiiを用いた大麦麹から得られたスフィンゴ脂質について、ESI−MS/MSを行った結果を示す図である。 図4より得られたESI−MS/MSを行った結果から推定されるスフィンゴ脂質の構造を示す図である。
スフィンゴ脂質とは、スフィンゴイド塩基(長鎖塩基)を構造骨格としてもつ複合脂質の総称であり、動物細胞のスフィンゴ脂質の骨格はスフィンゴシンである。セラミドとは、スフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合したものである。
また、セラミドにグルコースが結合したものはグルコシルセラミドと呼ばれる。グルコシルセラミドの例として、下記構造式(I)及び(II)で表されるセラミドが挙げられる。
上記構造式(I)及び(II)において、脂肪酸の二重結合の有無により両者は区別される。ここで、前記構造式(I)で表されるセラミドは脂肪酸の炭素鎖の一部に二重結合を有しており、不飽和型と称される。一方、前記構造式(II)で表されるセラミドは脂肪酸部分に二重結合を有しておらず、飽和型と称される。前記構造式(I)で表される不飽和型のセラミドは、様々な生理活性をもたらすと期待されている。
本発明においては、前記構造式(I)及び(II)の割合は、前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対して、前記構造式(I)で表されるセラミドが3重量部以上含まれ、好ましくは16重量部以上含まれる。不飽和型である構造式(I)で表されるセラミドの割合がこのように多いスフィンゴ脂質は、本発明の方法によりはじめて得られたものである。
すなわち本発明によれば、麹菌を培養し、次いで該培養物から水分を除去した後、該水分除去物からスフィンゴ脂質を得るスフィンゴ脂質の製造方法であって、得られるスフィンゴ脂質は、前記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドを含み、前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対して、前記構造式(I)で表されるセラミドが3重量部以上含まれているスフィンゴ脂質の製造方法が提供される。
麹菌の培養由来物は様々あるが、例として麹菌の培養物自体や麹、焼酎粕が挙げられる。前記構造式(I)で表されるセラミドを多く含む例としては、麹菌の培養物自体が好ましい。
本発明において、麹菌の培養物としては、得られる培養物から水を除き、その後、水分除去品からスフィンゴ脂質を採取する方法を用いることができる。「培養物」とは、培養された麹菌の菌体、培養上清液、菌体破砕物のいずれをも意味するものとする。
麹菌の培養は、固体培養及び液体培養のいずれを採用することもできる。
固体培養の場合は、培地として蒸米や蒸麦などを用い、培養温度は20〜50℃で1日〜5日培養する。本発明においては、培養温度は30℃〜50℃が好ましく、30℃〜45℃がさらに好ましく、40℃が最も好ましい。培養温度が40℃のときの培養期間は、好ましくは1〜20日である。
液体培養の場合は、培地としてmodified Czapek−Dox medium(3%soluble starch or glucose,0.1%NaNO,0.05%KCl,0.1%KHPO,0.05%MgSO/7HO,0.001%FeSO,pH6.0)などを用い、培養温度は20〜50℃で1日〜5日培養する。本発明においては、培養温度は20℃〜50℃が好ましく、35℃〜45℃がさらに好ましく、40℃が最も好ましい。培養温度が40℃のときの培養期間は、好ましくは1〜20日である。
続いて、培養物からスフィンゴ脂質を抽出し、採取する。その際、特に液体培養の場合は培養物を遠心又は濾過することにより適宜濃縮する。これにより、培養物から実質的に水分が除去された水分除去物(乾燥品)を得ることができる。
抽出後のスフィンゴ脂質の分析は、薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと表記する)、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと表記する)及び質量分析(LC/MS、GC/MS、CE−MS MS、HPLC光散乱検出法)などを適宜組み合わせて行なうことができる。
上記したような麹菌の培養により得られたスフィンゴ脂質に含まれるセラミドの量は特に限定されないが、例えば、得られたスフィンゴ脂質中に前記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドが合計で前記水分除去物に対して0.1〜0.4%含まれるものであっても良い。
麹は原料となる穀物(米、麦、豆など)に水分を与え、蒸したものに麹菌の増殖に適した条件下で培養することにより得られる。得られた麹に水及び酵母を混ぜ、一定期間寝かせて一次仕込みを行い、これに、原料の穀類(大麦、小麦、米、芋等)と水を混ぜ、さらに寝かせて二次仕込みを行う。これにより、二次もろみが製造され、蒸留を行うことにより、原酒が製造される。このとき、もろみを圧搾した後に残るものが焼酎粕となる。
本発明においては、焼酎の製造工程中の蒸留工程で発生した焼酎粕を使用することができる。
焼酎粕には、多くの水分が含まれており、粕が水中に浮遊状態となっているか、あるいは含有率:30〜95%の状態で含水状態となっている。そこで本発明においては、このように多量の水分を含む焼酎粕から実質的に水分を除去する。「水分を除去する」とは、焼酎粕が水に浮遊しない状態であれば多少の水分が含まれていてもよい状態、焼酎粕がペースト状になった状態、あるいは水分が失われて固形又は粉末状の乾燥品となった状態のいずかの状態、すなわち、焼酎粕に含まれる水分含有率が20%以下にすることを意味する。水分を除去する方法は、特に限定されるものではなく、遠心分離、濾過などが挙げられるが、操作が簡易である点で遠心分離が好ましい。遠心分離の条件は、10〜10,000rpm、好ましくは3,000rpmで1〜50分、好ましくは5分である。
このようにして焼酎粕から実質的に水分を除去し、沈殿物を得る。
上記焼酎粕は、そのまま、又は沈殿物にして加熱、スプレードライ又は凍結乾燥若しくは減圧乾燥することにより乾燥してもよい(以下、乾燥品と称する)。焼酎粕からのスフィンゴ脂質の抽出は、上記水分が除去された焼酎粕を抽出溶媒に溶解して以下の通り行なう。
抽出溶媒は、脂質の抽出に使用するものであれば特に限定されるものではなく、例えばクロロホルム/メタノール抽出液、エタノールなどが挙げられる。
得られた抽出物の分析方法としては、前述した麹菌の培養物と同様に行うことができる。上記したような焼酎粕により得られたスフィンゴ脂質に含まれるセラミドの量は特に限定されないが、例えば、得られたスフィンゴ脂質中に前記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドが合計で前記乾燥品に対して0.1〜0.4%含まれるものであっても良い。
本発明の方法に用いることができる麹菌は、スフィンゴ脂質を生産できるものであれば特に限定されるものではなく、アスペルギルス属に属する微生物が挙げられる。
例えば、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ナカザワイ(Aspergillus nakazawai)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・ルーチェンシス(Aspergillus luchensis)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが挙げられる。
また、本発明において使用できる微生物は、アスペルギルス属に属する微生物に限定されるものではなく、他の属、例えばRhizopus属に属する微生物、Monuscus属に属する微生物及びPenicillium属に属する微生物なども使用することができる。これらの属に属する微生物を以下に例示する。
リゾプス(Rhizopus)属に属する微生物:リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・ニヴェウス(Rhizopusniveus)、リゾプス・ミクロスポラス(Rhizopus microspores)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)など
モナスカス(Monuscus)属に属する微生物:モナスカス・アンカ(Monuscus anka)、モナスカス・パープレウス(Monuscus purpureus)、モナスカス・ルーバー(Monuscusruber)、モナスカス・ピロサス(Monuscus pilosus)、モナスカス・オーランチアクス(Monuscus aurantiacus)、モナスカス・カオリアン(Monuscus kaoliang)など
ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物:ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、ペニシリウム・グラウカム(Penicillium glaucum)、ペニシリウム・カゼイコラム(Penicillium caseicolum)など
本発明においては、これらの麹菌を1種単独で、又は複数種を組み合わせて使用することができるが、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)が好ましい。なお、以下、A.kawachiiとあるのは、Aspergillus kawachiiを表すものとする。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。なお、実施例2及び実施例3は本発明に含まれない参考例としての例である。
(実施例1)
本実施例は、麹菌(A.kawachii)培養物についての例である。
<培養>
24g/Lのポテトデキストロース培地(Beckton Dickinson社製)200mLに麹菌(A.kawachii)を接種し、30℃で4日培養した。培養液を遠心分離し(回転速度:2000rpm、時間:5分)、滅菌蒸留水で洗浄した。得られたペレットを凍結乾燥させた。
<スフィンゴ脂質の抽出>
凍結乾燥した試料0.3gをクロロホルム/メタノール溶液を用いて脂質を抽出し、水酸化カリウム/メタノール溶液と混合し、加熱処理した。クロロホルムと蒸留水を混合し、遠心分離した。その後、有機層を取り出し、これを抽出脂質とした。
抽出されたスフィンゴ脂質を、シリカゲルTLCで展開し、オルシノール硫酸溶液で検出した。結果を図1に示す。標準品として、スフィンゴ糖脂質の一種である精製牛脳セレブロシドを用いた。
<スフィンゴ脂質の精製>
抽出したスフィンゴ脂質を乾燥させ、ヘキサンに溶解させた。次に、試料をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、酢酸エチル/メタノール混液にて溶出した。
次に、グルコシルセラミドを含む溶出液を乾燥させ、クロロホルム/メタノール混液に溶解させ、試料をHPLCを用いて精製した。
<エレクトロスプレーイオン化質量分析>
次に得られた画分について、エレクトロスプレーイオン化質量分析(以下、ESI−MS/MSと表記する)を行った。試料をクロロホルム/メタノール混液に溶解させ、メタノールを加え、試料を質量分析装置に注入した。
A.kawachii培養物から得られたスフィンゴ脂質について、ESI−MS/MSを行った結果を図2に示す。図2のAは、ESI−MSのスペクトルであり、Bはm/zが776.6の前記構造式(I)で表されるセラミドのフラグメントイオンのESI−MS/MSスペクトルを示し、Cはm/zが778.7の前記構造式(II)で表されるセラミドのフラグメントイオンのESI−MS/MSスペクトルを示す。図2のスペクトルを解析することにより、構造を特定することができる。その結果を図3に示す。図3から、A.kawachii培養物には、前記構造式(I)及び(II)で表されるセラミドが存在していることがわかる。
また、得られたESI−MS/MSスペクトルを解析したところ、前記構造式(I)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークを100%としたとき42.2%であるのに対し、前記構造式(II)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークに対し100%であった。これらのスペクトル強度の比を求めると、前記構造式(I)で表されるセラミドの強度は、前記構造式(II)で表されるセラミドの強度の1/3程度であった。
ESI−MS/MSスペクトルにおいて、2種類のセラミドのピーク強度比は含有量比とみなすことができる。従って、上記のスペクトルの比から、前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対し、前記構造式(I)で表されるセラミドが3.3重量部含まれているといえる。
また、前記構造式(I)及び(II)で表されるセラミドの合計の収率は凍結乾燥された試料に対して0.31%であった。
(実施例2)
実施例1において、A.kawachii培養物に変えて、A.kawachiiを用いて培養した大麦麹を用いて、実施例1と同様の抽出及び測定を行った。
表皮から約30%削った大麦を蒸し、蒸した大麦16gにA.kawachiiの粉末状の糸状菌(樋口松之助商店社製)5mgを接種し、37℃で48時間培養し、得られた大麦麹は凍結乾燥させた。以降の手順は、実施例1と同様である。
大麦麹から得られたスフィンゴ脂質について、ESI−MS/MSを行った結果を図4に示す。図4のAは、ESI−MSのスペクトルであり、B、C、D、Eはm/zがそれぞれ736.6、764.6、776.6、792.7のESI−MS/MSスペクトルを示す。図4のスペクトルを解析し、特定した構造を図5に示す。図4のDのスペクトル及び図5のDの構造が前記構造式(I)で表されるセラミドである。
また、図4及び図5には図示していないが、前記構造式(II)で表されるセラミドも検出された。
得られたESI−MS/MSスペクトルを解析したところ、前記構造式(I)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークを100%としたとき27.4%であるのに対し、前記構造式(II)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークに対し16%であった。これらスペクトルの比から、前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対し、前記構造式(I)で表されるセラミドが17重量部含まれているといえる。
また、前記構造式(I)及び(II)で表されるセラミドの合計の収率は凍結乾燥された試料に対して0.13%であった。
(実施例3)
試料は大麦焼酎粕を用い、焼酎粕を加熱乾燥することにより水分を除去した。この試料をクロロホルム/メタノール混液で抽出し、水酸化カリウムメタノール溶液と混ぜ、加熱処理し、さらにクロロホルムと蒸留水を混ぜて遠心分離し、有機層を取り、これを抽出脂質とした。
抽出されたスフィンゴ脂質を、シリカゲルTLCで展開し、オルシノール硫酸で検出した。標準品として、スフィンゴ糖脂質の一種である精製牛脳セレブロシドを用いた。得られた画分をHPLCで精製した。
実施例1と同様にESI−MS/MSスペクトルを解析したところ、前記構造式(I)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークを100%としたとき23.8%であるのに対し、前記構造式(II)で表されるセラミドのスペクトル強度はベースピークに対し13.5%であった。これらスペクトルの比から、前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対し、前記構造式(I)で表されるセラミドが17.6重量部であることがわかる。
また、前記構造式(I)及び(II)で表されるセラミドの合計の収率は試料に対して
0.27%であった。

Claims (2)

  1. アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)からなる麹菌を、ポテトデキストロース培地を用いて液体培養で培養し、次いで該培養物から水分を除去した後、水分除去物からスフィンゴ脂質を得るスフィンゴ脂質の製造方法であって、
    得られるスフィンゴ脂質は、下記構造式(I)及び構造式(II)で表されるセラミドを含むスフィンゴ脂質の製造方法。
  2. 前記構造式(II)で表されるセラミド10重量部に対して、前記構造式(I)で表されるセラミドが3重量部以上含まれている請求項1に記載のスフィンゴ脂質の製造方法。
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