JP6336969B2 - Liイオン電池用の二環式芳香族アニオンの塩 - Google Patents

Liイオン電池用の二環式芳香族アニオンの塩 Download PDF

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Description

本発明は、二環式イミダゾール化合物及びそれらの塩、それらの製造方法、並びに、特に電池用の電解質成分としてのそれらの使用に関する。
リチウムイオン又はナトリウムイオン電池は、少なくとも1つの負極、1つの正極、1つのセパレータ及び1つの電解質を備える。電解質は、粘度と絶縁定数との間に良好な妥協を有するように、概して有機カーボネートの混合物である溶媒に溶解されたリチウム又はナトリウム塩から構成される。
最も広く使用されている塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含み、これは必要とされる多数の性質の多くを有するが、フッ化水素ガスの形態で分解するという不利点を呈する。これは、特に特定の車両へのリチウムイオン電池の近い将来の使用という文脈において、安全性の問題を提示する。
電解質塩を有するための必須条件は、カチオンとアニオンとの間の良好な化学的解離であり、これは、求引効果によって非局在化又は低減するアニオン上の負電荷を暗示する。
このように、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)及びLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)等、求引効果に基づく塩が開発されている。
今回は電荷の非局在化に基づき、国際公開第2010/023413号において教示されているようなLiTDI(リチウム4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾリド)等の他の塩も開発された。しかしながら、後者は、上記で挙げたものよりも低いイオン伝導率を呈する。
出願企業は、第二の芳香族環の存在が、負電荷の非局在化を増大させ、故にこのイオン伝導率を増大させるのを可能にすることを発見した。
次のものにおいて、
− DAMNはジアミノマレオニトリルを示し、式(I):


によって表される。
− 化合物(II)は、以下の拡張された一般式によって表される。該化合物は、芳香族環が6個の原子を含む場合には(IIa)、5個の原子を有する芳香族環については(IIb)と示される。

− 二環式イミダゾール化合物(III)は、以下の拡張された一般式によって表される。該化合物は、芳香族サイクルが6個の原子を含む場合には(IIIa)、5個の原子を含む芳香族環については(IIIb)と示される。

− 二環式イミダゾール化合物(IV)の塩は、以下の拡張された一般式によって表される。該塩は、芳香族環が6個の原子を含む場合には(IVa)、5個の原子を含む芳香族環については(IVb)と示される。

− 化合物(V)は、以下の拡張された一般式によって表される。該化合物は、芳香族環が6個の原子を含む場合には(Va)、5個の原子を含む芳香族環については(Vb)と示される。
上記の一般式において、Aは一価のカチオンを表し、Xは、独立に、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子又は窒素原子を表し、且つYは、塩素原子、OCORf基[ここで、Rfは、化合物IIa及びIIb中のものと同じ芳香族環を表す]又はOR’基[ここで、R’は、1個又は複数のフッ素原子によって置換されていてもよい1から5個の炭素原子のアルキル基を表す]を表す。
Xが炭素又はリン又は窒素原子を表す場合、置換基は、独立に、−0.7から1.0の間のハメットパラメータ(ハメットパラメータは、一連の置換基群について、対応する安息香酸の解離定数を測定することによって決定された集計定数(tabulated constant)である)によって定義される電子求引又は電子供与基であってよい。好ましくは、置換基は、シアノ(CN)基、R基、OR型のエーテル基、N(R型のアミノ基、CO型のエステル基、SO型のスルホニル基又はPO型のホスホニル基[ここで、Rは、式CX’を有し、nは0から6の間であり、mは0から13の間であり、X’はハロゲン(F、Cl、Br及びI)であり、且つpは1から13の間である]から選択される。
Yが、塩素原子、OCORf基又はOR’基を表す場合、化合物(II)は、それぞれ、塩化アシル、対称無水物又はエステルである。
本発明は、第一に、二環式イミダゾール化合物(III)及びそれらの塩(IV)に関する。
本発明は、第二に、二環式イミダゾール化合物(III)及びそれらの塩(IV)の製造のための方法に関する。
本発明は、第三に、式(IV)の化合物の使用に関する。
ここで、本発明について、さらに詳細に、次の記述における暗黙の限定なしに記述する。
本発明による二環式イミダゾール化合物(IV)の塩は、上記の一般式[式中、Aは、一価のカチオンA、例えばアルカリ金属を表す]によって表される。
好ましいアルカリ金属は、リチウム及びナトリウムから選択される。
一般式中のXが、炭素、リン又は窒素原子を表す場合、塩(IV)は置換され得る。好ましい置換基は、電子求引又は電子供与基、特に−0.7から1の間のハメットパラメータを有するものである。
特に好ましい電子求引及び電子供与基は、シアノ(CN)基、R基、OR型のエーテル基、N(R型のアミノ基、CO型のエステル基、SO型のスルホニル基又はPO型のホスホニル基[ここで、Rは、式CX’を有し、nは0から6の間であり、mは0から13の間であり、X’はハロゲン(F、Cl、Br及びI)であり、且つpは1から13の間である]から選択され得る。
二環式イミダゾール化合物の塩(二環式イミダゾリド)及び二環式イミダゾール化合物の調製
二環式イミダゾリド(IV)は、イミダゾール化合物(III)から、後者を塩基AZ[Aは上記と同じ意味を有し、且つZは、水素化物、水酸化物又は炭酸アニオンを表す]と反応させることによって調製され得る。好ましくは、AZは、水素化リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせから選択される。
III+AZ→IV+AH (1)
化合物(III)は、DAMN及び一般式(II)の芳香族環状酸誘導体から調製され得る。
二環式イミダゾール化合物(III)の調製のための方法は、(i)式(I)のDAMNを、式(II)の芳香族環状酸誘導体と、0から80℃の間、好ましくは10から50℃まで、より好ましくは20から30℃までの温度Tで、任意選択的に溶媒の存在下で反応させて、式(V)の化合物を得る段階、続いて(ii)式(V)の化合物を、T>Tである温度Tでの熱処理に供する段階を含む。
DAMN+II→III+HO+YH (2)
DAMN+II→V+YH (2−1)
V→III+HO (2−2)
好ましくは、Tは、Tよりも、少なくとも10℃だけ、又は少なくとも20℃だけ、又は少なくとも30℃だけ、又は少なくとも40℃だけ、又は少なくとも50℃だけ、又は少なくとも60℃だけ、又は少なくとも70℃だけ高い。
好ましくは、段階(ii)は、好ましくは1分から2時間の遷移期間の後に任意選択的に加熱することによって、単に反応混合物の温度を修正することにより、中間精製なしに、第一段階の直後に行われる。
段階(i)は、好ましくは、溶媒の存在下で行われる。反応物質(一又は複数)を溶解することを可能にする任意の化合物が溶媒として使用され得る。指標として、ジオキサン、トルエン、アセトニトリル又はジメチルホルムアミドを挙げることができる。
段階(i)が溶媒の存在下で行われる場合、反応媒質中におけるDAMNの濃度は、好ましくは0.001から2mol/lまで、より好ましくは0.1mol/lから1mol/lまでである。化合物(I)対化合物(II)のモル比は、好ましくは0.25から1.5まで、より好ましくは0.5から1.25までである。
具体的な実施態様によれば、温度Tは、使用されている溶媒の沸点に対応する。
段階(i)の持続時間は、好ましくは1から12時間まで、より詳細には1から5時間まで、例えばおよそ2時間である。
好ましくは、段階(ii)は、酸触媒の存在下で、任意選択的に、反応媒質への、トリフルオロ酢酸、酢酸又は安息香酸等のカルボン酸の添加により、行われる。
酸触媒は、反応媒質中においてインサイチュで、特に、式(II)の化合物が無水物である場合に取得され得る。
化合物(V)対触媒のモル比は、好ましくは0.5から20まで、より好ましくは1から10までである。
本発明の一実施態様によれば、反応温度Tは第一段階の全体にわたって一定であってよく、且つ/又は反応温度Tは第二段階の全体にわたって一定であってよい。
本発明の別の実施態様によれば、温度は、段階(i)の全体にわたって、及び任意選択的に段階(ii)の全体にわたって増大しており、但し、TはTよりも大きい。換言すれば、最低温度Tは、最高温度Tよりも大きい。
段階(ii)の終わりに、式(III)の二環式イミダゾール化合物を好ましくは単離及び精製する。
故に、反応媒質は濃縮することができ、その後濾過によって回収される水からイミダゾール(III)が結晶化し得る。取得された固体を、塩基AZ、好ましくはリチウム又はナトリウム塩基の水溶液に、10−5mol/lから飽和濃度の範囲の濃度で溶解してよい。式(IV)の化合物塩が形成されたら、溶液に、活性炭による数回の処理を受けさせてよい。その後、溶液を濃縮させて、式(IV)の塩を得ることができる。
電解質の調製
式(IV)の化合物は、それらを適切な溶媒に溶解することにより、電解質の調製において使用することができる。
溶媒は、カーボネート、グリム、ニトリル及びスルホンから選択される少なくとも1つの化合物から構成され得る。
カーボネートとしては、特に、エチレンカーボネート、グリセロールカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はプロピレンカーボネートを挙げることができる。
グリムとしては、特に、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールtert−ブチルメチルエーテルを挙げることができる。
ニトリルとしては、特に、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メトキシプロピオニトリル、イソブチロニトリル、及び上記化合物に由来するフッ素化化合物を挙げることができる。
スルホンとしては、特に、ジメチルスルホン、スルホラン、エチルメチルスルホン、プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、tert−ブチルエチルスルホン、tert−ブチルメチルスルホン及びtert−ブチルプロピルスルホンを挙げることができる。
溶媒は、好ましくは、上述のカーボネート及び/又はグリム及び/又はスルホンから選択される、有利には2から5つまでの化合物の混合物から構成される。
溶媒を構成する化合物のそれぞれの重量での割合は、好ましくは、最小量の構成要素に対して好ましくは1から10の間、より好ましくは1から8の間である。
電解質中における式(IV)の化合物の濃度は、好ましくは0.1mol/lから5mol/lまで、より好ましくは0.2mol/lから2.5mol/lまでである。好ましくは、電解質は、イミダゾリド塩(IV)、LiPF、LiBF、CFCOOLi、CFSOLi、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTDI(リチウム4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾリド)及びLiPDI(リチウム4,5-ジシアノ-2-(ペンタフルオロエチル)イミダゾリド)から選択される少なくとも二つのリチウム塩の混合物から構成される。混合物中に存在する各リチウム塩の量は、広い範囲内で変動し得、概して、混合物中に存在する塩の総重量に対して0.1から99.9重量%の間、好ましくは1から99重量%の間を表す。
下記の実施例は、本発明を限定することなく例証するものである。
25mlのアセトニトリル中の1.82gのニコチノイルクロリドの溶液を、20mlのアセトニトリル中の1.32gのDAMNの溶液に滴下添加する。すると、上述のサーモンピンクが出現する。その後、4Aモレキュラーシーブモレキュラーシーブ及び数滴の硫酸を添加する。次いで、混合物を36時間加熱還流する。反応媒質を濾過し(モレキュラーシーブの除去)、その後濃縮させる。次いで、イミダゾールを水中で再結晶させ、その後、濾過によって回収する。取得された固体を飽和リチウム炭素水溶液に溶解する。塩が形成されたら、溶液を活性炭(5g)による5回の処理に供する。その後、溶液を濃縮させて、イミダゾリドのリチウム塩を得る。

Claims (25)

  1. 以下の拡張された一般式(IVa)によって表される二環式イミダゾール化合物の塩:
    IVa
    [式中、Aは一価のカチオンを表し、且つXは、独立に、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子又は窒素原子を表し、少なくとも1のXは窒素原子を表す]。
  2. 前記一価のカチオンAが、アルカリ金属であることを特徴とする、請求項1に記載の塩。
  3. 前記アルカリ金属が、リチウム又はナトリウムから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の塩。
  4. Xが、炭素、リン又は窒素原子を表すことを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の塩。
  5. 前記炭素又は前記窒素又は前記リンが、0.7から1の間のハメットパラメータを有する電子求引又は電子供与基によって置換されていることを特徴とする、請求項4に記載の塩。
  6. 前記電子求引又は電子供与基が、シアノ(CN)基、R基、OR型のエーテル基、N(R型のアミノ基、CO型のエステル基、SO型のスルホニル基又はPO型のホスホニル基[ここで、Rは、式CX’を有し、nは0から6の間であり、mは0から13の間であり、X’はハロゲン(F、Cl、Br及びI)であり、且つpは1から13の間である]から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の塩。
  7. 前記電子求引又は電子供与基が、水素、フッ素、シアノ(CN)基、トリフルオロメチル(CF)基、トリフルオロメトキシ(OCF)基又はメトキシ(OCH)基から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の塩。
  8. 以下の式によって表される請求項1に記載の塩:
  9. 以下の拡張された一般式(IVa)によって表される二環式イミダゾール化合物の塩:
    (IVa)
    [式中、Aは一価のカチオンを表し、且つXは、独立に、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子又は窒素原子を表し、少なくとも1のXは窒素原子を表す]
    の調製のための方法であって、
    イミダゾール化合物(IIIa
    [式中、Xは上記と同じ意味を有する]
    を、塩基AZ[Aは上記と同じ意味を有し、且つZは、水素化物、水酸化物又は炭酸アニオンを表す]と反応させることを特徴とする、方法。
  10. 前記塩基AZが、水素化リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記イミダゾール化合物(IIIa)が、ジアミノマレオニトリルを式(IIa
    [式中、Xは上記と同じ意味を有し、且つYは、塩素原子、OCORf基[ここで、Rfは、式(IIa)中のXを含む芳香族環と同じ芳香族環を表す]又はOR’基[ここで、R’は、1個又は複数のフッ素原子によって置換されていてもよい1から5個の炭素原子のアルキル基を表す]を表す]
    の芳香族環状酸誘導体と反応させることによって取得されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
  12. (i)ジアミノマレオニトリルを、式(IIa)の芳香族環状酸誘導体と、0から80℃の間の温度Tで、任意選択的に溶媒の存在下で反応させて、式(Va
    [式中、Xは上記と同じ意味を有する]
    の化合物を得る段階、続いて(ii)式(Va)の化合物を、T>Tである温度Tでの熱処理に供する段階を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記温度Tが10から50℃までの温度であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記温度Tが20から30℃までの温度であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  15. 前記温度Tが、Tよりも、少なくとも10℃だけ、又は少なくとも20℃だけ、又は少なくとも30℃だけ、又は少なくとも40℃だけ、又は少なくとも50℃だけ、又は少なくとも60℃だけ、又は少なくとも70℃だけ高いことを特徴とする、請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
  16. 段階(ii)が、中間精製なしに、前記第一段階の直後に行われることを特徴とする、請求項12から15の何れか一項に記載の方法。
  17. 段階(i)が、溶媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項12から16の何れか一項に記載の方法。
  18. 前記溶媒が、ジオキサン、トルエン、アセトニトリル又はジメチルホルムアミドから選択されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 段階(ii)が、酸触媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項12から18の何れか一項に記載の方法。
  20. 前記酸触媒が、トリフルオロ酢酸、酢酸又は安息香酸から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 前記温度Tが、前記溶媒の沸点に対応することを特徴とする、請求項17から20の何れか一項に記載の方法。
  22. 電池用の電解質成分としての、請求項1から7の何れか一項に記載の塩の使用。
  23. 請求項1から7の何れか一項に記載の塩に加えて、LiPF、LiBF、CFCOOLi、CFSOLi、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTDI(リチウム4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾリド)及びLiPDI(リチウム4,5-ジシアノ-2-(ペンタフルオロエチル)イミダゾリド)から選択される少なくとも1つの塩を含む、電解質組成物。
  24. 前記塩が、溶媒に溶解されていることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
  25. 前記溶媒が、カーボネート、ニトリル又はグリムから選択されることを特徴とする、請求項24に記載の使用。
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