JP6335583B2 - プロピレン系樹脂組成物、及びそれから成形された配管部材及びタンクから選ばれた製品 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物、及びそれから成形された配管部材及びタンクから選ばれた製品 Download PDF

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Description

本発明は、パイプ、プレート、継手、フランジ、バルブ、ノズル等に好適に使用されるプロピレン系樹脂組成物、及びそれから成形された成形品、特に配管部材及びタンクから選ばれた製品に関するものであり、さらに詳しくは、酸化性の薬液、特にフッ酸を含む薬液への耐薬品性、強度、耐衝撃性、耐熱性に優れるプロピレン系樹脂組成物及びそれから成形された成形品、特に配管部材及びタンクから選ばれた製品に関するものである。
ステンレス製造工程では、圧延、焼鈍、コーティング、メッキ等の工程に入る前に、それまでの工程でついた錆やスケールを取り除く必要があり、鋼帯を酸溶液の入ったタンクに通して酸洗を行う。酸溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸(フッ酸は水溶液となり、フッ化水素酸と称される。)などを含む薬液が用いられ、これらの酸洗薬液は、高温になることもある。
従来の酸洗タンク(酸による洗浄を行うタンク)は、酸洗タンクの外形を形作る鋼製タンクと、鋼製タンクの内面を覆う耐熱性及び耐酸性を備えたゴムライニング材と、ゴムライニング材の内面に敷き詰められた耐熱性及び耐酸性を備えたレンガとで構成されている。ゴムライニング材は、酸性薬液による鋼製タンクの腐食を防止する。レンガは、酸性薬液からゴムライニング材及び鋼製タンクに伝わる熱を遮断して、熱によりゴムライニング材及び鋼製タンクが変形したり破損したりすることを防いでいる。このゴムライニング鋼製タンクは充分にメンテナンスを行えば長期間の使用も可能であるが、使用していくうちにレンガの気泡に酸液が染み込むことによりゴムライニング材が劣化され、その劣化部分から染み出た酸液が鋼製タンク本体を腐食させる。更に、発生した酸ヒューム(酸性薬液から発生した塩化水素、硫化水素など)はタンクの外面も腐食させる。また、ゴムライニング鋼製タンクの製作にはかなりの費用と時間がかかる上に、修理にも多大な時間と費用を要し、修理時のラインの停止やコスト面などに問題があった。
一方、ポリプロピレン(PP)は安価であり、機械加工、切断、溶接が可能でタンクなどの製作が容易であること、また、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などの酸洗薬液に化学的耐性があることなどから、近年、従来のゴムライニング鋼製タンクからポリプロピレン製タンクへと変わりつつある。(例えば、特許文献1参照)。
このポリプロピレン製タンクに使用されるポリプロピレンには、エチレン−プロピレンランダム共重合体(PP−R)、プロピレン単独重合体(PP−H)、耐炎性グレードなどのタイプがあり、これまでは、柔軟性に優れ脆性が少なく耐衝撃性に優れるランダムタイプ(PP−R)が耐酸性に優れるとされてきた(例えば、参考文献1参照)。
しかしながら、ポリプロピレンは種々の酸に対して優れた特性を有するものの硝酸などの酸化性薬液に対しては、表面のラメラ結晶間を結ぶタイ分子の切断によって分子量の低下が引き起こされる。これが、表面クレイズを形成させクラックへと変化するが、従来のホモポリマータイプのポリプロピレン(PP−H)やランダムポリマータイプのポリプロピレン(PP−R)では、強い塑性拘束による応力集中が材料の脆性化をもたらし、表面クレイズによる成形品の破損が起こりやすかった。
また、近年コスト削減が進む中で、ステンレス製造時の酸洗効率向上を目的に酸洗薬液の高濃度化および高温度化が進んできており、ポリプロピレンを酸化劣化させる硝酸を含む酸洗薬液での使用においては、従来のポリプロピレンでは耐薬品性に問題が生じてきている。そのため、このような特異的な使用条件下でのポリプロピレン樹脂の耐久性の改善が求められており、これについては、タンクだけでなくその周辺の配管部材についても同様である。
特開2011−236458
Iron & Steel Technology December 2009 Vol.6,No.12 "Old Pickling Lines Get New Life With Plastic Tanks"
本発明は、このような従来のプロピレン系樹脂組成物が有する欠点を克服し、耐薬品性、強度、耐衝撃性、耐熱性に優れたプロピレン系樹脂組成物、及びそれから成形された成形品、例えばパイプ、プレート、継手、フランジ、バルブ、ノズル等、特に配管部材及びタンクから選ばれた製品を提供することを目的としてなされたものであり、特に、酸洗用の酸化性薬液、特にフッ酸、硝酸などの酸化性薬液を含む薬液に対して高い効果を発揮するものである。
本発明者らは、上記の好ましい性質を有するプロピレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意研究を重ねる中で、ポリプロピレンに特定の条件を満たす熱可塑性エラストマーを適量分散させることで、そのエラストマー分散相で形成されるボイドがひずみの拘束の開放により応力集中を緩和させ成形品の破損を抑制させるということを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)JIS K 7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜2.00g/10分である、重量平均分子量(Mw)が250,000〜1,500,000のプロピレン重合体80〜99質量部と、(B)MFRが5.00g/10分以下の値を有し(0.00g/10分は含まない。)、Mwが10,000〜1,000,000で、JIS K 7112に準拠して測定した密度が0.85〜0.95g/cmであり、JIS K 6253に準拠して測定したデュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80であるオレフィン系エラストマーまたはスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー1〜20質量部を必須成分とすることを第一の特徴とし、さらに顔料を含み、その顔料の主成分である酸化チタンの含有量が0ppm〜2000ppmであることを第二の特徴とし、加えて、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用する製品の成型に用いる、耐薬品性、耐衝撃性に優れる前記のプロピレン系樹脂組成物を第三の特徴とし、また、前記プロピレン系樹脂組成物から成形された耐薬品性、耐衝撃性製品であって、配管部材及びタンクから選ばれた製品であることを第四の特徴とする。
本発明のプロピレン系樹脂組成物、及びそれを成形してなる製品、特に、配管部材及びタンクは、耐薬品性に優れ、従来よりも高濃度、高温度の酸洗薬液でも耐えうる優れた特性を有する。
本発明は、いろいろな形態で有利に実施することができ、本発明の好ましい形態は以下のようなものであるが、これらの形態に限定されるもではない。
本発明のプロピレン系樹脂組成物における(A)のプロピレン重合体については、成形品、特に配管部材及びタンクから選ばれた製品としての形状を保ち、良好な耐熱性を満たすためにはアイソタクチックポリプロピレンが良く、その中でも高温時の剛性と耐薬品性とをバランスよく満たすためにはエチレン−プロピレン共重合体(PP−B)又はプロピレン単独重合体(PP−H)が良く、特に、エチレン−プロピレンブロック共重合体が良い。
また、(A)のプロピレン重合体のメルトフローレート(以下、MFRと表記する)は0.01〜2.00g/10分であることが望ましく、0.20〜1.00g/10分であることがより望ましい。プロピレン系樹脂組成物の良好な生産性を得るために0.01g/10分以上が良く、押出成形におけるドローダウンを抑えて良好な高温クリープ特性と耐薬ストレスクラック性を得るためには2.00g/10分以下が良い。混練によってMFRは混練前の材料のMFRより大きくなるため、混練後のプロピレン系樹脂組成物のMFRを0.01〜2.00g/10分の範囲内に収めると共に、特に成形性が良好なことから0.20〜1.00g/10分がより望ましい。なお、MFRはJIS K7210に準拠し、試験温度230℃、試験荷重2.16kgの条件で測定したものである。
(A)のプロピレン重合体のMFRが0.01〜2.00g/10分であるためには、重量平均分子量(以下、Mwと表記する)が250,000〜1,500,000のアイソタクチックポリプロピレンである必要があり、より望ましくはMFRが0.20〜1.00g/10分であるためにMwが320,000〜780,000である必要がある。
良好な高温クリープ特性と耐薬ストレスクラック性を得るためには250,000以上が良く、320,000以上であると更に良い。プロピレン系樹脂組成物の良好な生産性を得るために1,500,000以下が良く、更に安定的に良好な生産性を得るためには780,000以下が良い。混練によってMwは混練前の材料のMwより小さくなるため、混練後のプロピレン系樹脂組成物のMwを250,000〜1,500,000の範囲内に収めると共に、特に成形性及び耐薬ストレスクラック性が良好なことから320,000〜780,000がより望ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいい、以下の方法によって測定した。
装 置 : ウォーターズ社製GPC(ALC/GPC 150C)
検 出 器 : MIRAN 1A(フォックスボロ社製IR検出器)
(測定波長 3.42μm)
カ ラ ム : 昭和電工社製 AD806M/S(3本)
移動相溶媒 : オルトジクロロベンゼン
測 定 温 度 : 140℃
流 速 : 1.0ml/分
注 入 量 : 0.2ml
試料の調製 : 試料はODCB(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg
/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
分子量の算出: 標準ポリスチレン法
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10-4、α=0.7
PP : K=1.03×10-4、α=0.78
本発明のプロピレン樹脂における(B)の熱可塑性エラストマーは、耐薬ストレスクラック性向上を目的として配合されるが、熱可塑性エラストマーのMFRは5.00g/10分以下の値を有する必要があり、5.00g/10分以下であれば、酸化性薬液による分子鎖切断による劣化が起こりにくくなるとともに、混練後のMFRの上昇が抑制されることで、良好な成形性、高温クリープ特性、耐薬ストレスクラック性が得られる。MFRの値は、良好な成形性を得るためには、0.00g/10分より大きい必要があるので、0.00g/10分は含まない。MFRが5.00g/10分以下の値を有するためには、Mwが10,000以上であって、1,000,000以下のオレフィン系またはスチレン系から選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性エラストマーである必要がある。良好な高温クリープ特性と耐薬ストレスクラック性を得るためにはMwが10,000以上である必要がある。良好な成形性を得るためにはMwが1,000,000以下である必要がある。
さらに、(B)の熱可塑性エラストマーの密度は0.85〜0.95g/cmである必要がある。良好な高温クリープ特性を得るために0.85g/cm以上であることが必要であり、脆性化を抑制するためには0.95g/cm以下であることが必要である。ポリプロピレン成形品が薬液によって酸化劣化すると、伸び特性が低下し脆性化することによって成形品が破損しやすくなる。そこで、ひずみの拘束の開放により応力集中を緩和させることで脆性化を抑制するために、使用する熱可塑性エラストマーは、密度が0.95g/cm以下であることが必要である。なお、密度はJIS K 7112に準拠して測定した。
さらに、(B)の熱可塑性エラストマーのデュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)は10〜80である必要があり、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が80以下であれば、応力集中を緩和させるために必要なボイドが充分に形成され脆性化しにくくなり、耐薬ストレスクラック性が良い。
これら熱可塑性エラストマーの配合量は1〜20質量部である。ポリプロピレン樹脂の耐薬ストレスクラック性を向上させるには1質量部以上が良く、高温時の剛性を維持し、良好な長期高温クリープ特性を得るためには20質量部以下が良い。特に、耐薬ストレスクラック性と長期クリープ特性とのバランスが良好なことから1〜18質量部がより望ましい。ただし、プロピレン重合体にプロピレン単独重合体を用いる場合においては、エラストマーの配合量は20質量部以上でも同様の効果を発揮することが出来る。
このようなオレフィン系またはスチレン系から選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、オレフィン系エラストマーとしてはエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレンジエン共重合体(EPDM)、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体等が挙げられ、スチレン系エラストマーとしてはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS、SEEPS)等とこれらのエラストマーに水素添加した重合体等が挙げられる。MFRが5.00g/10分以下であり(0.00g/10分は含まない。)、密度が0.85〜0.95g/cmであり、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80であれば公知のものを制限なく用いることができ、かかるエラストマー類は、単独で用いても良く、2種類以上併用することも可能である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は必要に応じて顔料を配合しても良いが、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用する場合、顔料の主成分である酸化チタンの含有量が0ppm〜2000ppmであることが望ましい。プロピレン系樹脂組成物であることを色で識別するために、また、熱による黄変を目立ちにくくするために工業的には顔料を配合すべきであるが、酸化チタンはフッ酸を吸収する性質があり、プロピレン系樹脂組成物中に多量の酸化チタンが存在すると、ポリプロピレン樹脂へ多量の薬液が浸透し外面への染み出しや樹脂の劣化を促すこととなるため、0ppm〜2000ppm以下が良く、0ppm〜1800ppmがより望ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤を配合しても良い。酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が、配管部材及びタンクへの使用として好適なものとして挙げられる。フェノール系酸化防止剤は高温領域で効果を発揮し、例えば押出成形や射出成形時の成形温度による酸化を抑制するので好適である。リン系酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤のラジカル化を抑制する助剤として作用するので好適である。イオウ系酸化防止剤は長期耐熱性において効果を発揮し、例えば95℃程度の高温流体が長期間流れる配管での使用において酸化劣化を抑制するので好適である。このフェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤とリン系酸化防止剤は、単独で使用しても良いが組み合わせることで相乗効果が発揮され、酸化防止効果と長期耐熱効果を向上させるとともに、溶出防止のために抑えた配合量でも十分な効果を得ることができる。
また、フェノール系酸化防止剤は、(A)プロピレン重合体および(B)熱可塑性エラストマーを含むプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜1.00質量部配合することが望ましく、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が好適なものとして挙げられる。リン系酸化防止剤は、(A)プロピレン重合体および(B)熱可塑性エラストマーを含むプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して0.05〜1.00質量部配合することが望ましく、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等が好適なものとして挙げられる。イオウ系酸化防止剤は、(A)プロピレン重合体および(B)熱可塑性エラストマーを含むプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して0.05〜1.00質量部配合することが望ましく、3,3’−チオジプロピオン酸ジステアリル等が好適なものとして挙げられる。
また、その他必要に応じて、紫外線吸収剤や光安定剤(ヒンダードアミン系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系等)、滑剤(流動パラフィン等の炭化水素系、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール系、ステアリン酸アミド等のアミド系、ステアリン酸カルシウム等の金属せっけん系等)、抗菌剤(ゼオライト等の無機系、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール等の有機系等)等を本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。それらの配合量は添加剤の種類によって変化するため、組成物の物性を低下させずに添加剤の効果が発揮される量を配合することが好ましい。
上記のごとく配合した後、溶融混練する。溶融混練する方法には特に制限はなく、単軸押出機や二軸押出機、ニーダーなどを用いることで各成分が均一に分散したプロピレン系樹脂組成物を得ることができるが、混練後のプロピレン系樹脂組成物のMFRは0.01〜2.00g/10分が望ましく、0.20〜1.00g/10分がより望ましい。プロピレン系樹脂組成物の良好な生産性を得るために0.01g/10分以上が良く、押出成形におけるドローダウンを抑えて良好な高温クリープ特性と耐薬ストレスクラック性を得るために2.00g/10分以下が良く、特に成形性が安定して良好なことから0.20〜1.00g/10分がより望ましい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記のような配合に基づくものであり、耐薬品性、耐衝撃性に優れるものであり、特に、硝酸などの酸化性薬液に対して高い効果を発揮するものである。
本発明のプロピレン系樹脂組成物からなる成形品、特に配管部材とは、パイプ、多層パイプ、ダクト、継手、フランジ、バルブ、ノズル等である。また、タンクは本発明のプロピレン系樹脂組成物から成形されたプレート、溶接棒、シート等からなる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔試験方法〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物から成形された試験体について、その性能を以下に示す試験方法により評価した。
(1)メルトフローレート測定試験(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に準拠して、混練後の樹脂のMFRを試験温度230℃、試験荷重2.16kgで測定した。
(2)引張試験
JIS K 7162に準拠して、射出成形により成形した3mm厚プレートからダンベル形小型試験片1BA形を樹脂流れ方向(MD)および樹脂流れ垂直方向(TD)で切削加工により作製し、JIS K 7161に準拠して、23±1℃の雰囲気中で50mm/分の試験速度で引張試験を行い、引張降伏強度(単位:MPa)及び引張弾性率(単位:MPa)を測定した。
また、引張試験で試験片が破断するまでのストロークを引張伸び(単位:mm)として測定した。
(3)ノッチ付きアイゾット衝撃試験(単位:kJ/m
JIS K 7110に準拠して、射出成形により成形した3mm厚プレートからタイプAノッチ付き1号アイゾット衝撃試験片をMDおよびTDで切削加工により作製し、23±1℃の雰囲気中で各々アイゾット衝撃強度を測定した。
(4)耐硝酸性試験
JIS K 7162に準拠して、射出成形により成形した3mm厚プレートからダンベル形の小型試験片1BA形をMDおよびTDで切削加工により作製し、JIS K 7114に準拠して、15%に調製した硝酸水溶液と共に直径10mmのPFA製容器に入れ密封した。これを70℃のオーブン内に放置して1週間、2週間、4週間でそれぞれ取り出し、試験片の外観観察、重量変化率測定および引張試験にて評価を行った。プロピレン系樹脂組成物は初期劣化で伸びが低下し、さらに劣化が進行すると特にTDの引張強度が低下することから、本評価の劣化判断については、TDにおいて、引張強度保持率が90%以上である場合に劣化なしと判断した。
(5)耐フッ酸性試験
JIS K 7162に準拠して、射出成形により製作したダンベル形小型試験片1BA形を、JIS K 7114に準拠して、50%に調製したフッ酸水溶液と共に直径10mmのPFA製容器に入れ密封した。これを60℃のオーブン内に放置して、4週間で取出し、試験片の観察及び重量変化率測定を行った。本評価の耐フッ酸性合格基準については、4週間浸漬後の重量変化率が +2.0%以下である場合において、薬液の浸透が低く合格と判断した。
(6)密度測定(単位:g/cm
JIS K 7112に準拠して測定した。
(7)硬度
JIS K 6253のデュロメータ硬さ試験に準拠し、タイプAデュロメータを用いて測定した。この時、タイプAでは硬すぎて測定できないものは、100以上 とした。
配合したプロピレン系樹脂組成物から試験片を作製し、機械的物性の評価を行った。ここで本評価の合格条件とは、配管部材及びタンクとして好適に使用するために、特に、高温域でタンクやバルブとして使用した際の構造物としての形状を維持するためにはTDの引張弾性率が800MPa以上であり、配管部材及びタンクとしての良好な耐衝撃性を得るためにはTDのアイゾット衝撃強度が20kJ/m以上であり、配管部材及びタンクとして好適に使用するためにTD/MDの引張強度比が65%以上であり、さらに、高温流体で長期間使用するためには混練後のMFRが2.00g/10分以下であり、特に、酸洗ライン等の薬液で使用する際の配管部材及びタンクとして好適に使用するために高濃度、高温度の薬液と接する環境で使用するためには、4週間の耐硝酸性試験後のTDの引張強度保持率が90%以上であることを満たすものとする。
また、特にフッ酸を含む薬液と接する環境で使用する場合においては、配管部材及びタンクとして使用した際に外面への薬液の染み出しや樹脂の劣化を抑制するためには、4週間浸漬後の重量変化率が +2.0%以下であることを満たすものとする。
〔実施例1〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)95質量部、旭化成ケミカルズ社製のスチレン系熱可塑性エラストマー(銘柄:タフテック N504、MFR0.1g/10分以下、密度0.91g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)35)5質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.37g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、射出成形機を用いてシリンダー温度210℃にて厚さ3.0mm、長さ150mm、幅150mmのプレートを成形した後、ダンベル形小型試験片1BA形およびタイプAノッチ付き1号アイゾット衝撃試験片を樹脂流れ方向(MD)および樹脂流れ垂直方向(TD)で切削加工により作製し、引張試験、ノッチ付きアイゾット衝撃試験、耐硝酸性試験を実施した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、旭化成ケミカルズ社製のスチレン系熱可塑性エラストマー(銘柄:タフテック N504、MFR0.1g/10分以下、密度0.91g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)35)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.26g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、実施例1と同様の試験片を作製し、各種評価試験を実施した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、クラレ社製のスチレン系熱可塑性エラストマー(銘柄:セプトン 2005、MFR0.1g/10分以下、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)30)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.24g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)78)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.40g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、旭化成ケミカルズ社製のスチレン系熱可塑性エラストマー(銘柄:タフテック H1062、MFR4.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)67)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.47g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0006335583
〔比較例1〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、旭化成ケミカルズ社製のスチレン系熱可塑性エラストマー(銘柄:タフテック H1043、MFR2.0g/10分、密度0.97g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)100以上)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.38g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO M142E、MFR10g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)75)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.44g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)85質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO E2740、MFR2.8g/10分、密度0.90g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)100以上)15質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.45g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)70質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)75)30質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、混練後のMFRが0.11g/10分となるプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
プロピレン単独重合体(MFR0.5g/10分)100質量部から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
エチレン−プロピレンランダム共重合体(MFR0.8g/10分)100質量部から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
〔比較例7〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)100質量部から実施例1と同様の試験片を成形し、各種評価試験を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0006335583
〔実施例6〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)90質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)78)10質量部を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、プロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、実施例1と同様の試験片を作製し、50%に調製したフッ酸水溶液と共に直径10mmのPFA製容器に入れ密封した。これを60℃のオーブン内に放置して、4週間で取出し、試験片の重量変化率を測定した。結果を表3に示す。
〔実施例7〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)90質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)78)10質量部、更に酸化チタン700ppmを含む顔料を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、プロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、実施例1と同様の試験片を成形し、実施例7と同様にして試験片の重量変化率を測定した。結果を表3に示す。
〔実施例8〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)90質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)78)10質量部、更に酸化チタン1200ppmを含む顔料を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、プロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、実施例1と同様の試験片を成形し、実施例7と同様にして試験片の重量変化率を測定した。結果を表3に示す。
〔比較例8〕
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR0.5g/10分)90質量部、プライムポリマー社製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(銘柄:プライムTPO R110E、MFR1.5g/10分、密度0.89g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)78)10質量部、更に酸化チタン3000ppmを含む顔料を配合し、二軸押出機にて混練してペレット化し、プロピレン系樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物から、実施例1と同様の試験片を成形し、実施例7と同様にして試験片の重量変化率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006335583
表1より、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5においては、MFRが0.01〜2.00g/10分のプロピレン重合体80〜99質量部と、MFRが5.00g/10分以下で密度が0.85〜0.95g/cmで、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80のオレフィン系またはスチレン系から選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性エラストマーを1〜20質量部とで構成されており、請求項1の範囲内である。このことから、高温域でタンクやバルブとして使用する際の構造物としての形状を維持するために必要なTDの引張弾性率800MPa以上が確保できており、また、耐硝酸性試験での4週間浸漬後でTDにおいて引張強度保持率が90%以上であることから、劣化が少なく耐薬ストレスクラック性が良好である。さらに、混練後のMFRが2.00g/10分以下であることからも、成形性、高温クリープ特性、耐薬ストレスクラック性が良好である。
表2より、比較例1においては、配合しているスチレン系熱可塑性エラストマーの密度が0.97g/cmで、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が 100以上であり、熱可塑性エラストマーの密度および硬度が請求項1の密度が0.85〜0.95g/cm、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80の範囲より大きすぎることから、耐硝酸性試験での4週間浸漬後でTDの引張強度保持率が90%以下であり耐薬ストレスクラック性に劣る。
表2より、比較例2においては、配合しているオレフィン系熱可塑性エラストマーのMFRが10g/10分であり、熱可塑性エラストマーのMFRが請求項1の5.0g/10分以下の範囲より大きすぎることから、耐硝酸性試験での4週間浸漬後でTDの引張強度保持率が90%以下であり耐薬ストレスクラック性に劣る。
表2より、比較例3においては、配合しているオレフィン系熱可塑性エラストマーのデュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が100以上であり、熱可塑性エラストマーの硬度が請求項1のデュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80の範囲より大きすぎることから、耐硝酸性試験での4週間浸漬後でTDの引張強度保持率が90%以下であり耐薬ストレスクラック性に劣る。
表2より、比較例4においては、配合しているオレフィン系熱可塑性エラストマーの配合量が30質量部であり、熱可塑性エラストマーの配合量が請求項1の1〜20質量部の範囲より多すぎるために、高温域でタンクやバルブとして使用した際の構造物としての形状を維持するために必要な引張弾性率800MPa以上が確保できていないために、高温時の剛性が保てないため良くない。また、TD/MDの引張強度比も低く、樹脂流れ方向(MD)と樹脂流れ垂直方向(TD)との強度差が大きいため構造物としての性能が良くなく、更に、歪みが発生しやすいのでクラックが生じやすいため良くない。
表2より、比較例5においては、プロピレン単独重合体のみで構成されており、熱可塑性エラストマーの量が請求項1の1〜20質量部の範囲から外れていることから、耐薬ストレスクラック性に劣る。
表2より、比較例6においては、エチレン−プロピレンランダム共重合体のみで構成されており、熱可塑性エラストマーの量が請求項1の1〜20質量部の範囲から外れていることから、耐薬ストレスクラック性に劣り、更に、TDの引張弾性率が800MPa以下であり高温時の剛性が保てないため良くない。
表2のより、比較例7においては、エチレン−プロピレンブロック共重合体のみで構成されており、熱可塑性エラストマーの量が請求項1の1〜20質量部の範囲から外れていることから、耐薬ストレスクラック性に劣る。
表3の実施例6、実施例7、実施例8においては、配合している酸化チタン量は2000ppm以下である。4週間浸漬後の重量変化率が +2.0%以下であり、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用する場合において配管部材及びタンクとして使用した際に、外面への薬液の染み出しや樹脂の劣化を抑制でき、好適である。
比較例8においては、配合している顔料中の酸化チタン量は3000ppmである。4週間浸漬後の重量変化率が +2.0%以上でありフッ酸が樹脂中に多く浸透しているため、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用した場合において配管部材及びタンクとして使用した際に外面への薬液の染み出しや樹脂の劣化が起こりやすくなるため良くない。
以上のことから、(A)プロピレン重合体はMFRが0.01〜2.0g/10分すなわちMwが250,000〜1,500,000であるからこそ高温時の良好な剛性と耐薬品性とをバランスよく満たすことができ、(B)熱可塑性エラストマーはMFRが5.00g/10分以下の値を有し、Mwが10,000〜1,000,000で、JIS K 7112に準拠して測定した密度が0.85〜0.95g/cmであり、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80であり、またその配合量が1〜20質量部であるからこそ良好な引張伸びおよび引張弾性率、耐薬品性を有することができる。
また、特に、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用する場合、酸化チタンの含有量は0ppm〜2000ppmであるからこそ良好な耐薬品性を有することができる。
以上より、本発明の(A)プロピレン重合体と(B)熱可塑性エラストマーとを必須成分としたプロピレン系樹脂組成物は、耐薬品性、強度、耐衝撃性、耐熱性に優れることから、酸洗薬液ラインでの配管部材及びタンクとして適している。
また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は高温時の耐薬品性に優れていることから、ゴムライニング鋼製タンクを本発明のポリプロピレン製タンクへと変更した場合、従来のポリプロピレン製タンクよりも酸洗薬液を高濃度化、高温度化することができ酸洗効率が向上するので、酸洗薬液ラインでの配管部材及びタンクから選ばれた製品として好適である。

Claims (3)

  1. (A)JIS K 7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜2.00g/10分である、重量平均分子量(Mw)が250,000〜1,500,000のプロピレン重合体80〜99質量部と、(B)MFRが5.00g/10分以下の値を有し(0.00g/10分は含まない。)、Mwが10,000〜1,000,000で、JIS K 7112に準拠して測定した密度が0.85〜0.95g/cmであり、JIS K 6253に準拠して測定したデュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が10〜80であるオレフィン系エラストマーまたはスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー1〜20質量部を必須成分とするプロピレン系樹脂組成物であって、フッ酸を含む薬液と接する環境で使用する製品の成型に用いる、耐薬品性、耐衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物。
  2. さらに顔料を含み、その顔料の主成分である酸化チタンの含有量が0ppm〜2000ppmであることを特徴とする、耐薬品性、耐衝撃性に優れる請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物から成形された耐薬品性、耐衝撃性製品であって、配管部材及びタンクから選ばれた製品。
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