本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、絶縁体として、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを一種以上含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。または、絶縁体として、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体の上面を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜することができるため、生産性を高めることができる。絶縁体としては、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
また、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、導電体として、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルまたはタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における深さ方向全体が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の平均値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の中央値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最大値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最小値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の収束値が濃度Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が濃度Bである場合などを含む。
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における平均値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における中央値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最大値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最小値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における収束値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合などを含む。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。従って、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
なお、図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう図面で示していても、実際の回路や領域では、同じ回路や同じ領域内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路や領域では、一つの回路ブロックで行う処理を複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一態様に係る半導体装置の回路構成の一例である。
以下では、図1に示す半導体装置は、メモリセルとしての機能を有する。以下では、当該半導体装置を、半導体装置(メモリセル)と記載する場合や、単にメモリセルと記載する場合がある。
メモリセル500は、トランジスタ490、トランジスタ491、トランジスタ492、容量素子493、容量素子494と、を有する。
トランジスタ492は、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、を有する。第1ゲート電極と第2ゲート電極は、チャネル形成領域を挟んで上下に配置されている。また、第1ゲート電極と第2ゲート電極は、一部重なっても良いが、ずらして配置される。本明細書では、このようなトランジスタ492を、図1に示した記号で表すこととする。トランジスタ492において、チャネル形成領域は、第1ゲート電極と重なるが第2ゲート電極とは重ならない第1領域と、第2ゲート電極と重なるが第1ゲート電極とは重ならない第2領域と、と有することが好ましい。
または、トランジスタ492において、チャネル形成領域は、第1ゲート電極と重なる第3領域と、第2ゲート電極と重なる第4領域を有し、第3領域と第4領域とは重ならないことが好ましい。
第3領域と第4領域とが重ならない場合、第3領域と第4領域の間隔は、小さいことが好ましい。第3領域と第4領域が並ぶ方向に対して、第3領域の幅、間隔、第4領域の幅を定義した場合、当該間隔は、第3領域の幅以下である、および/または、第4領域の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、第3領域の幅の1/2以下である、および/または、第4領域の幅の1/2以下である。
または、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、は上面から見て、間隔を開けて位置してもよい。第1ゲート電極と第2ゲート電極とが並ぶ方向に対して、第1ゲート電極の幅、間隔、第2ゲート電極の幅を定義した場合、当該間隔は、第1ゲート電極の幅以下であり、および/または、第2ゲート電極の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、第1ゲート電極の幅の1/2以下である、および/または、第2ゲート電極の幅の1/2以下である。
または、上面から見て、第1ゲート電極の端部と、第2ゲート電極の端部と、は重ならず、第1ゲート電極の端部と第2ゲート電極の端部との間隔は、第1ゲート電極の幅以下であり、および/または、第2ゲート電極の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、第1ゲート電極の幅の1/2以下である、および/または、第2ゲート電極の幅の1/2以下である。
または、第3領域と第4領域とは、一部重なってもよい。一部重なった領域(第5領域とも呼ぶ)は、小さいことが好ましい。当該領域は、好ましくは、第1領域の1/2以下の面積を有し、かつ、第2領域の1/2以下の面積を有し、さらに好ましくは、第1領域の1/4以下の面積を有し、かつ、第2領域の1/4以下の面積を有する。
または、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、は互いに重なる領域を有し、重なる領域の面積は、好ましくは、第1ゲート電極の面積の50%以下であり、かつ、第2ゲート電極の面積の50%以下であり、さらに好ましくは、第1ゲート電極の面積の25%以下であり、かつ、第2ゲート電極の面積の25%以下である。
または、上面から見て、第1ゲート電極の端部と、第2ゲート電極の端部と、は揃っていても良い。
上述した構成のトランジスタ492は、第1ゲート電極の電位および第2ゲート電極の電位に従って、導通もしくは非導通となる。第1ゲート電極の電位がVth1より大きくなると、第1ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。または、第1ゲート電極の電位がVth1より大きくなると、チャネル形成領域が有する第3領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。または、第1ゲート電極の電位がVth1より大きくなると、チャネル形成領域が有する第1領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。一方、第2ゲート電極の電位がVth2より大きくなると、第2ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。または、第2ゲート電極の電位がVth2より大きくなると、チャネル形成領域が有する第4領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。または、第2ゲート電極の電位がVth2より大きくなると、チャネル形成領域が有する第2領域にはチャネルが形成される、または、キャリアが誘起される。このように、トランジスタ492には、Vth1とVth2の2つのしきい値電圧が存在する。Vth1は第1ゲート電極に関わるしきい値電圧、Vth2は第2ゲート電極に関わるしきい値電圧である。第1ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域(または第1領域、または第3領域)と、第2ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域(または第2領域、または第4領域)と、はソース電極とドレイン電極の間に直列に並んで位置するため、トランジスタ492は、第1ゲート電極とソース電極またはドレイン電極との電位差がVth1より大きく、かつ、第2ゲート電極とソース電極またはドレイン電極との電位差がVth2より大きい場合のみ、導通状態となる。
トランジスタ492は、Vth1のしきい値電圧をもつトランジスタと、Vth2のしきい値電圧をもつトランジスタの2つのトランジスタが直列に接続された回路と等価な機能を有するとも言える。
メモリセル500は、書き込みワード線WW1、WW2と、読み出しワード線RW1、RW2と、ビット線BLと、ソース線SLと、に接続される。
トランジスタ491のソース電極とドレイン電極の一方と、容量素子494の電極の一方と、トランジスタ492の第1ゲート電極と、が互いに電気的に接続される。この接続された部位をフローティングノードFN1とも呼ぶ。トランジスタ490のソース電極とドレイン電極の一方と、容量素子493の電極の一方と、トランジスタ492の第2ゲート電極と、は接続される。この接続された部位をフローティングノードFN2とも呼ぶ。
トランジスタ491のゲート電極は書き込みワード線WW1に接続される。トランジスタ491のソース電極とドレイン電極の他方はビット線BLに接続される。容量素子494の電極の他方は読み出しワード線RW1に接続される。トランジスタ490のゲート電極は書き込みワード線WW2に接続される。トランジスタ490のソース電極とドレイン電極の他方はビット線BLに接続される。容量素子493の電極の他方は読み出しワード線RW2に接続される。トランジスタ492のソース電極とドレイン電極の一方はソース線SLに接続される。トランジスタ492のソース電極とドレイン電極の他方はビット線BLに接続される。
メモリセル500は、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2に与えられた電位を保持することで、情報を記憶する回路である。或いは、メモリセル500は、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2に蓄積された電荷を保持することで、情報を記憶する回路である。フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2に様々な電位(或いは電荷、或いは状態)を保持することで、4値(2ビット)以上の情報を記憶することができる。
具体的には、4値(2ビット)の情報、16値(4ビット)の情報、64値(6ビット)の情報、256値(8ビット)、或いは1024値(10ビット)の情報を記憶する(或いは保持する)ことができる。例えば、フローティングノードFN1に2状態、フローティングノードFN2に2状態、をそれぞれ保持することで、4値(=2×2)の情報を記憶することができる。例えば、フローティングノードFN1に4状態、フローティングノードFN2に4状態、をそれぞれ保持することで、16値(=4×4)の情報を記憶することができる。例えば、フローティングノードFN1に8状態、フローティングノードFN2に8状態、をそれぞれ保持することで、64値(=8×8)の情報を記憶することができる。例えば、フローティングノードFN1に16状態、フローティングノードFN2に16状態、をそれぞれ保持することで、256値(=16×16)の情報を記憶することができる。例えば、フローティングノードFN1に32状態、フローティングノードFN2に32状態、をそれぞれ保持することで、1024値(=32×32)の情報を記憶することができる。このように、メモリセル500は、2つのフローティングノードの状態数の積で与えられる値の情報を記憶することができるため、記憶密度を向上することができる。
なお、記憶できる状態数は、これらの値に限られず、4値乃至1024値の状態を記憶する(或いは保持する)ことが可能である。フローティングノードFN1にk1個の状態、フローティングノードFN2にk2個の状態、をそれぞれ保持することで、k1×k2値の情報を記憶することができる。さらに、その一部の状態をパリティチェックやエラー訂正に用いることもでき、その場合は、情報としては、k1×k2値より少ない値となる。
トランジスタ491は、フローティングノードFN1への電位の供給を制御するトランジスタである。或いは、トランジスタ491は、フローティングノードFN1に電荷の充放電を行うトランジスタである。トランジスタ491は、書き込みを行う機能を有するトランジスタである。トランジスタ490は、フローティングノードFN2への電位の供給を制御するトランジスタである。或いは、トランジスタ490は、フローティングノードFN2に電荷の充放電を行うトランジスタである。トランジスタ490は、書き込みを行う機能を有するトランジスタである。容量素子494は、フローティングノードFN1の電位を、容量結合によって変動させる機能を有する。容量素子493は、フローティングノードFN2の電位を、容量結合によって変動させる機能を有する。トランジスタ492は、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2の電位に従って、導通もしくは非導通となる。或いは、トランジスタ492のソース電極もしくはドレイン電極は、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2の電位に従って、所定の電位となる場合がある。例えば、ソース電極もしくはドレイン電極の電位は、フローティングノードFN1の電位としきい値電圧Vth1だけ異なる電位となる場合や、フローティングノードFN2の電位としきい値電圧Vth2だけ異なる電位となる場合がある。そのような状態を検知することで、メモリセル500が保持する情報を読み出すことができる。トランジスタ492は、読み出しを行う機能を有するトランジスタである。
書き込みワード線WW1は、トランジスタ491の導通状態を制御する信号が与えられる。書き込みワード線WW2は、トランジスタ490の導通状態を制御する信号線が与えられる。書き込みワード線RW1は、容量素子494による容量結合を介して、フローティングノードFN1の電位を制御する信号線が与えられる。書き込みワード線RW2は、容量素子493による容量結合を介して、フローティングノードFN2の電位を制御する信号線が与えられる。ソース線SLとビット線BLは、それぞれ、トランジスタ492のソース電極とドレイン電極の一方及び他方の電位を制御する信号が与えられる。または、ビット線BLは、メモリセル500からの出力信号が与えられる。その場合、ビット線BLは、メモリセル500から読み出されたデータが与えられる。または、ビット線BLは、トランジスタ491の導通状態となった際のフローティングノードFN1に与える電位が与えられる。または、ビット線BLは、トランジスタ490の導通状態となった際のフローティングノードFN2に与える電位が与えられる。その場合、ビット線BLは、メモリセル500に書き込むデータが与えられる。
半導体装置は、メモリセル500がアレイ状(もしくはマトリクス状)に配置されたメモリセルアレイを有していても良い。
トランジスタ490はnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。トランジスタ491はnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。トランジスタ492はnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。
トランジスタ490およびトランジスタ491は、オフ状態のときのドレイン電流(リーク電流とも呼ぶ)の小さいトランジスタを用いることができる。例えば、オフ状態のときのドレイン電流は、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下である。一例として、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタ(以下、酸化物半導体を用いたトランジスタとも呼ぶ)を用いることができる。
トランジスタ490にリーク電流の小さいトランジスタを用いることで、フローティングノードFN2に蓄積された電荷を、長期間に渡って保持することができる。トランジスタ491にリーク電流の小さいトランジスタを用いることで、フローティングノードFN1に蓄積された電荷を、長期間に渡って保持することができる。つまり、メモリセル500は、電力の供給なしに長期間データを保持することができる記憶回路としての機能を有する。或いは、不揮発性の記憶回路としての機能を有する。
トランジスタ490乃至トランジスタ492は、耐圧の高いトランジスタを用いることができる。つまり、ゲート耐圧やドレイン耐圧の高いトランジスタを用いることができる。例えば、5nm以上、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上の厚いゲート絶縁体を用いることができる。また、エネルギーギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下の半導体をチャネル形成領域に用いることができる。一例として、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いることができる。
トランジスタ490乃至トランジスタ492に耐圧の高いトランジスタを用いることで、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2に、より高い電位を保持することができる。メモリセル500は、フローティングノードに低い電位から高い電位まで、広い範囲の電位を保持することで、より多くの異なる状態を記憶することができ、より多くの情報を記憶することができる。従って、より高い記憶密度を実現することができる。例えば、フローティングノードFN1およびフローティングノードFN2にそれぞれ16状態を記憶することで、メモリセル500は256値の情報を記憶することができる。
トランジスタ492は、第1ゲート電極と第2ゲート電極は、チャネル形成領域を挟んで上下に、かつ、ずらして配置される。第1ゲート電極と第2ゲート電極がチャネル形成領域を挟んで上下に配置することで、同じ層で構成した場合より小さい領域に配置でき、メモリセルを縮小することができる。また、第1ゲート電極と第2ゲート電極は、互いにずれて配置されることで、トランジスタ492の導通状態を独立に制御することができる。その結果、メモリセル500は、2つのフローティングノードの状態数の積で与えられる値の情報を記憶することができ、記憶密度を向上することができる。
さらに、トランジスタ490乃至トランジスタ492を積層し、トランジスタ490を、トランジスタ492のチャネル形成領域から見て、第2ゲート電極と同じ側に配置し、かつ、トランジスタ491を、トランジスタ492のチャネル形成領域から見て、第1ゲート電極と同じ側に配置してもよい。そうすることで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ490とトランジスタ491とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ490とトランジスタ492とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ491とトランジスタ492とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。
トランジスタAとトランジスタBとが互いに重なっているとは、少なくとも、トランジスタAが有するゲート電極、ドレイン電極(もしくはドレイン領域)、あるいはソース電極(もしくはソース領域)の一部が、トランジスタBが有するゲート電極、ドレイン電極(もしくはドレイン領域)、あるいはソース電極(もしくはソース領域)の一部と、重なることを言う。或いは、トランジスタAが有するゲート電極、ドレイン電極(もしくはドレイン領域)、及びソース電極(もしくはソース領域)を含む領域と、トランジスタBが有するゲート電極、ドレイン電極(もしくはドレイン領域)、及びソース電極(もしくはソース領域)を含む領域とが、少なくとも一部重なっていることを言う。或いは、トランジスタAの構成要素を含む領域と、トランジスタBの構成要素を含む領域とが、少なくとも一部重なっていることを言う。
以下、トランジスタ490乃至トランジスタ492を積層したメモリセルについて説明する。
図2及び図3を参照して、図1に示した回路構成を有するメモリセル500の構成を説明する。
なお、図2及び図3では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示し、また同じ層に形成される導電体等には、同じハッチングパターンを付している。
図2は、メモリセル500の構成の一例を示す上面図であり、図2(A)には、メモリセル500のうち、ビット線BLを含む領域の上面図を示し、図2(B)には、メモリセル500のうち、トランジスタ491と容量素子494とを含む領域の上面図を示し、図2(C)には、メモリセル500のうち、トランジスタ492を含む領域の上面図を示し、図2(D)には、メモリセル500のうち、トランジスタ490と容量素子493とを含む領域の上面図を示す。領域501は、メモリセル500が占める領域を示す。
図3は、メモリセル500の構成の一例を示す断面図である。図3の左側には、図2(A)乃至図3(D)の一点鎖線A1−A2で切断した断面図を示し、同図中央には、図2(A)乃至図2(D)の一点鎖線B1−B2で切断した断面を示し、同図右側には、図2(A)乃至図2(D)の一点鎖線C1−C2で切断した断面を示す。
図2及び図3に示すメモリセル500は、トランジスタ490、トランジスタ491、トランジスタ492、容量素子493、及び容量素子494を有し、図1に示した回路構成のメモリセルを構成する。ここでは、トランジスタ490乃至トランジスタ492は、一例として、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いるものとして説明する。
まず、図3に示すメモリセル500の断面図を用いて、デバイス構造について説明する。
図3に示すメモリセル500は、基板400と、基板400上のトランジスタ490および容量素子493と、トランジスタ490および容量素子493上の絶縁体444と、絶縁体444上のトランジスタ492と、トランジスタ492上の絶縁体446と、絶縁体446上のトランジスタ491および容量素子494と、を有する。なお、絶縁体444、446は、酸素および水素をブロックする機能を有する絶縁体であることが好ましい。
基板400は、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの化合物半導体を用いた半導体基板であってもよい。半導体基板は、非晶質半導体または結晶質半導体を用いればよく、結晶質半導体としては、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体などがある。また、ガラス基板であってもよい。また、半導体基板やガラス基板上に半導体素子が形成された素子基板であってもよい。
トランジスタ490は、半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体406aの側面、ならびに半導体406bの上面および側面と接する、導電体416aおよび導電体416bと、半導体406aの側面、半導体406bの上面および側面、導電体416aの上面および側面、ならびに導電体416bの上面および側面と接する半導体406cと、半導体406c上の絶縁体411と、絶縁体411上の導電体426と、を有する。
導電体416aおよび導電体416bは、トランジスタ490のソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。また、絶縁体411は、トランジスタ490のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体426は、トランジスタ490のゲート電極としての機能を有する。
図3に示すように、導電体416aおよび導電体416bの側面は、半導体406bの側面と接する。また、導電体426は、半導体406bのチャネル幅方向を電気的に取り囲んだ構造となっており、半導体406bを上面だけでなく側面も取り囲んだ構造となっている。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。導電体404は、半導体406bの下方まで伸びている構造となっていることが好ましい。
トランジスタの構造をs−channel構造とすることで、半導体406bの側面に対してゲート電界によるチャネル形成領域の制御がしやすくなる。導電体426が半導体406bの下方まで伸びている構造では、さらに制御性が優れる。その結果、トランジスタ490のサブスレッショルドスイング値(S値ともいう。)を小さくすることができ、トランジスタ490のオフ状態の電流を小さくすることができる。
容量素子493は、導電体416aと、導電体416a上の半導体409cと、半導体409c上の絶縁体414と、絶縁体414上の導電体429と、を有する。
導電体416aは、容量素子493の電極の一方としての機能を有する。また、絶縁体414は、容量素子493の誘電体としての機能を有する。また、導電体429は、容量素子493の電極の他方としての機能を有する。
トランジスタ492は、絶縁体444上の導電体423と、導電体423上の絶縁体434と、絶縁体434上の半導体408a、408b、および408cと、当該半導体に上の絶縁体413と、絶縁体413上の導電体428と、当該半導体に接続された導電体418aおよび導電体418bと、を有する。
または、トランジスタ492は、導電体423と、導電体423上の絶縁体434と、絶縁体434上の半導体408aと、半導体408a上の半導体408bと、半導体408aの側面、ならびに半導体408bの上面および側面と接する、導電体418aおよび導電体418bと、半導体408aの側面、半導体408bの上面および側面、導電体418aの上面および側面、ならびに導電体418bの上面および側面と接する半導体408cと、半導体408c上の絶縁体413と、絶縁体413上の導電体428と、を有する。
導電体418aおよび導電体418bの側面は、半導体408bの側面と接する。また、導電体428は、半導体408bのチャネル幅方向を電気的に取り囲んだ構造となっており、半導体408bを上面だけでなく側面も取り囲んだ構造となっている。つまり、s−channel構造となっている。
導電体418aおよび導電体418bは、トランジスタ492のソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。また、絶縁体413は、トランジスタ492のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体428は、トランジスタ492のゲート電極(第1ゲート電極と呼ぶ)としての機能を有する。また、絶縁体434は、トランジスタ492のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体423は、トランジスタ492のゲート電極(第2ゲート電極と呼ぶ)としての機能を有する。
トランジスタ492において、半導体408bは、導電体423と重なり導電体428と重ならない第1領域と、導電体428と重なり導電体423と重ならない第2領域と、を有する。
図2、および図3に示すトランジスタ492において、導電体423と、導電体428とは、上面からみて、一部重なっている、または、概ね揃っている。本発明において、導電体423と導電体428の位置関係は、これに限定されない。上面から見て導電体423と導電体428が重なっていると、導電体423と導電体428の間の容量結合が生じる場合があり、メモリセル500の動作に影響を及ぼす場合がある。したがって、当該重なりは、小さいことが好ましい。また、上面から見て導電体423と導電体428が重ならずに間隔を開けて離れていると、導電体423と導電体428との間に位置する半導体408bは、トランジスタ492が導通状態であっても、高抵抗となる場合があり、メモリセル500の動作に影響を及ぼす場合がある。したがって、当該間隔は、小さいことが好ましい。したがって、導電体423の端部と導電体428の端部は揃っていることが好ましい。
トランジスタ492において、半導体408bは、導電体423と重なる第3領域と、導電体428と重なる第4領域と、を有し、第3領域と第4領域とは重ならなくても良い。
第3領域と第4領域とが重ならない場合、第3領域と第4領域の間隔は、小さいことが好ましい。第3領域と第4領域が並ぶ方向に対して、第3領域の幅、間隔、第4領域の幅を定義した場合、間隔は、第3領域の幅以下である、および/または、第4領域の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、第3領域の幅の1/2以下である、および/または、第4領域の幅の1/2以下である。
または、導電体423と、導電体428と、は上面から見て、間隔を開けて位置してもよい。導電体423と導電体428とが並ぶ方向に対して、導電体423の幅、間隔、導電体428の幅を定義した場合、当該間隔は、導電体423の幅以下であり、および/または、導電体428の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、導電体423の幅の1/2以下である、および/または、導電体428の幅の1/2以下である。
または、上面から見て、導電体423の端部と、導電体428の端部と、は重ならず、導電体423の端部と導電体428の端部との間隔は、導電体423の幅以下であり、および/または、導電体428の幅以下であることが好ましい。さらに好ましくは、当該間隔は、導電体423の幅の1/2以下である、および/または、導電体428の幅の1/2以下である。
または、第3領域と第4領域とは、一部重なってもよい。一部重なった領域は、小さいことが好ましい。当該領域は、好ましくは、第1領域の1/2以下の面積を有し、かつ、第2領域の1/2以下の面積を有し、さらに好ましくは、第1領域の1/4以下の面積を有し、かつ、第2領域の1/4以下の面積を有する。
または、導電体423と、導電体428と、は互いに重なる領域を有し、重なる領域の面積は、好ましくは、導電体423の面積の50%以下であり、かつ、導電体428の面積50%以下であり、さらに好ましくは、導電体423の面積の25%以下であり、かつ、導電体428の面積の25%以下である。
または、上面から見て、導電体423の端部と、導電体428の端部と、は揃っていても良い。
このような構造とすることで、トランジスタ492は、ゲート電極を同じ層で構成したトランジスタより面積を小さくできる。その結果、メモリセルを縮小することができる場合がある。また、このような構造とすることで、トランジスタ492の導通状態を、2つのゲート電極によって独立に制御することができる。その結果、メモリセル500は、2つのフローティングノードの状態数の積で与えられる値の情報を記憶することができ、記憶密度を向上することができる。
トランジスタ491は、半導体407aと、半導体407a上の半導体407bと、半導体407aの側面、ならびに半導体407bの上面および側面と接する、導電体417aおよび導電体417bと、半導体407aの側面、半導体407bの上面および側面、導電体417aの上面および側面、ならびに導電体417bの上面および側面と接する半導体407cと、半導体407c上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体427と、を有する。
導電体417aおよび導電体417bは、トランジスタ491のソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。また、絶縁体412は、トランジスタ491のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体427は、トランジスタ491のゲート電極としての機能を有する。
導電体417aおよび導電体417bの側面は、半導体407bの側面と接する。また、導電体427は、半導体407bのチャネル幅方向を電気的に取り囲んだ構造となっており、半導体407bを上面だけでなく側面も取り囲んだ構造となっている。つまり、s−channel構造となっている。
容量素子494は、導電体417aと、導電体417a上の半導体410cと、半導体410c上の絶縁体415と、絶縁体415上の導電体430と、を有する。
導電体417aは、容量素子493の電極の一方としての機能を有する。また、絶縁体415は、容量素子494の誘電体としての機能を有する。また、導電体430は、容量素子494の電極の他方としての機能を有する。
このように、トランジスタ490として、半導体406a、406b、406cを用いたトランジスタを適用することにより以下に述べるような優れた特性を得ることができる。具体的には、優れたサブスレッショルド特性や極めて小さいオフ電流が得られる。また、微細なトランジスタとすることで面積を縮小したメモリセルが得られる。なお、以下の説明は、トランジスタ490だけでなく、トランジスタ491および/またはトランジスタ492に対しても適用される。また、半導体407aだけでなく、半導体408aおよび/または半導体409aに対しても適用される。また、半導体407bだけでなく、半導体408bおよび/または半導体409bに対しても適用される。また、半導体407cだけでなく、半導体408cおよび/または半導体409cに対しても適用される。
トランジスタ490が電子を多数キャリアとする蓄積型である場合、半導体406bのソース電極およびドレイン電極と接する領域からチャネル形成領域へ延びる電界が短距離で遮蔽されるため、短チャネルでもゲート電界によるキャリアの制御を行いやすい。
また、絶縁表面上にトランジスタを形成することで、半導体基板をそのままチャネル形成領域として用いる場合と異なり、ゲート電極とボディもしくは半導体基板との間で寄生容量が形成されないため、ゲート電界によるキャリアの制御が容易になる。
トランジスタの構造をs−channel構造とすることで、半導体406bの側面に対してゲート電界によるチャネル形成領域の制御がしやすくなる。導電体426が半導体406bの下方まで伸びている構造では、さらに制御性が優れる。その結果、トランジスタ490のサブスレッショルドスイング値(S値ともいう。)を小さくすることができ、トランジスタ490のオフ状態の電流を小さくすることができる。
トランジスタの構造をs−channel構造とすることで、微細なトランジスタにおいても良好な電気特性が得られる。トランジスタの微細化により、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、トランジスタ490は、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタ490は、チャネル幅が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有する。
トランジスタの構造をs−channel構造とすることで、半導体406bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。従って、半導体406bが厚いほどチャネル形成領域は大きくなる。例えば、20nm以上、好ましくは40nm以上、さらに好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。このような構造とすることで、s−channel構造では、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
上述したトランジスタは、短チャネル効果に対する耐性が高いために、シリコン等を用いた従来のトランジスタよりもゲート絶縁体を厚くすることが可能となる。例えばチャネル長及びチャネル幅が50nm以下の微細なトランジスタにおいても、5nm以上、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上の厚いゲート絶縁体を用いてもよい。ゲート絶縁体を厚くすることにより、ゲート絶縁体を介したリーク電流を低減できる場合がある。その結果、メモリセルにおける保持特性が向上する。また、ゲート絶縁体を厚くすることにより、ゲート絶縁体の耐圧を高めることができ、より高いゲート電圧でトランジスタを駆動することができる。よって、フローティングノードにより高い電圧を保持することが可能となり、より多くの状態を保持することが可能となり、記憶密度を高めることができる。
また、導電体416a(および/または、導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406bなどの半導体層の、表面、側面、上面、および/または、下面の少なくとも一部(または全部)と、接触している。当該接触している半導体406bでは、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがあり、nチャネル型導電領域を有する。なお、酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をVOHと表記する場合がある。その結果、nチャネル型導電領域を電流が流れることで、良好なオン電流を得ることができる。
また、酸化物半導体として、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。特に、後述する、CAAC比率を高めることが好ましい。CAAC比率は、一定の範囲におけるCAAC−OSの回折パターンが観測される領域の割合である。CAAC比率を高めることにより、例えば、欠陥をより少なくすることができる。また、例えばキャリアの散乱を小さくすることができる。また、不純物の少ないCAAC−OSを実現することができ、例えば極めて低いオフ電流特性を実現することができる。例えば、良質なCAAC−OSであれば、CAAC比率は、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上100%以下である。
また、半導体406b中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体のキャリア密度が、1×1017/cm3未満であること、好ましくは1×1015/cm3未満であること、さらに好ましくは1×1013/cm3未満であることを指す。酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。
実質的に真性な酸化物半導体を用いたトランジスタは、キャリア密度が低いため、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体のキャリアトラップが少ないため、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を非常に低くすることが可能となる。
例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
なお、上述の3層構造は一例である。例えば、半導体406aまたは半導体406cのない2層構造としても構わない。または、半導体406aの上もしくは下、または半導体406c上もしくは下に、半導体406a、半導体406および半導体406cとして例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体406aの上、半導体406aの下、半導体406cの上、半導体406cの下のいずれか二箇所以上に、半導体406a、半導体406および半導体406cとして例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
さらに、図3に示すメモリセル500の断面図を用いて、デバイス間の積層構造について説明する。
図3に示すメモリセル500は、基板400と、基板400上の絶縁体442と、絶縁体442上の絶縁体432と、絶縁体432上のトランジスタ490および容量素子493と、トランジスタ490および容量素子493上の絶縁体452と、絶縁体452上の絶縁体462と、絶縁体462上の絶縁体444と、絶縁体444上の絶縁体434と、絶縁体434上のトランジスタ492と、トランジスタ492上の絶縁体454と、絶縁体454上の絶縁体464と、絶縁体464上の絶縁体446と、絶縁体446上の絶縁体436と、絶縁体436上のトランジスタ491および容量素子494と、トランジスタ491および容量素子494上の絶縁体456と、絶縁体456上の絶縁体466と、絶縁体466上の導電体480と、を有する。絶縁体には適宜開口部が設けられ、当該開口部に導電体(ビアとも呼ぶ)設けられている。複数の導電体は、当該導電体を介して、適宜接続されている。導電体480上には、さらに1つもしくは複数層の絶縁体および導電体が設けられていても良い。
導電体480は、ビット線BLとして機能する領域を有する。導電体430は、容量素子494の電極としての機能と、読み出しワード線RW1としての機能とを有する。導電体427は、トランジスタ491のゲート電極としての機能と、書き込みワード線WW1としての機能を有する。導電体429は、容量素子493の電極としての機能と、読み出しワード線RW2としての機能を有する。導電体426は、トランジスタ490のゲート電極としての機能と、書き込みワード線WW2としての機能を有する。なお、導電体418aは、ソース線SL(図示せず)に接続される。
トランジスタ491のソース電極またはドレイン電極の一方と容量素子494の一方の電極とは同じ導電体(導電体417a)が用いられている。そして、トランジスタ492の第1ゲート電極(導電体428)と電気的に接続されている。トランジスタ490のソース電極またはドレイン電極の一方と容量素子493の一方の電極とは同じ導電体(導電体416a)が用いられている。そして、トランジスタ492の第2ゲート電極(導電体423)と電気的に接続されている。
ビット線(導電体480)と、トランジスタ491のソース電極またはドレイン電極の他方(導電体417b)と、トランジスタ492のソース電極またはドレイン電極の他方(導電体418b)と、トランジスタ490のソース電極またはドレイン電極の他方(導電体416b)と、は電気的に接続されている。
トランジスタ492は、トランジスタ490上に積層され、トランジスタ491は、トランジスタ492上に積層される。
トランジスタ491のチャネル形成領域と、トランジスタ490のチャネル形成領域と、は重なる。
つまり、トランジスタ490乃至トランジスタ492を積層し、トランジスタ490を、トランジスタ492のチャネル形成領域から見て、第2ゲート電極(導電体423)と同じ側に配置し、かつ、トランジスタ491を、トランジスタ492のチャネル形成領域から見て、第1ゲート電極(導電体428)と同じ側に配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ490とトランジスタ491とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ490のチャネル形成領域とトランジスタ491のチャネル形成領域とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ490とトランジスタ492とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。また、トランジスタ491とトランジスタ492とを互いに重ねて配置することで、メモリセル500を縮小することができる。
絶縁体432は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
例えば、過剰酸素を含む絶縁体は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁体である。例えば、過剰酸素を含む酸化シリコンは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコンである。従って、絶縁体432は膜中を酸素が移動可能な絶縁体である。即ち、絶縁体432は酸素透過性を有する絶縁体とすればよい。例えば、絶縁体432は、当該絶縁体上の半導体よりも酸素透過性の高い絶縁体とすればよい。
過剰酸素を含む絶縁体は、当該絶縁体上の半導体中の酸素欠損を低減させる機能を有する場合がある。半導体中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することがある。従って、半導体中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
絶縁体442は、基板400とトランジスタ490の間に設けられる。絶縁体442としては、例えば、アルミニウムを含む酸化物、例えば酸化アルミニウムを用いる。絶縁体442は、酸素および水素をブロックする絶縁体であるが、密度が3.2g/cm3未満の酸化アルミニウムは、特に水素をブロックする機能が高いため好ましい。または、結晶性の低い酸化アルミニウムは、特に水素をブロックする機能が高いため好ましい。
例えば、基板400が、Siトランジスタを有する素子基板である場合、水素を外部から供給することでシリコンのダングリングボンドを低減させることができるため、トランジスタの電気特性が向上する場合がある。水素の供給は、例えば、水素を含む絶縁体をSiトランジスタの近傍に配置し、加熱処理を行うことで、該水素を拡散させて、Siトランジスタに供給しても構わない。
水素を含む絶縁体は、例えば、TDS分析にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以上または1×1020atoms/cm3以上の水素(水素原子数換算)を放出することもある。
ところで、水素を含む絶縁体から拡散した水素は、絶縁体442が水素をブロックする機能を有するため、トランジスタ490まで到達する水素は僅かとなる。水素は、酸化物半導体中でキャリアトラップやキャリア発生源となりトランジスタ490の電気特性を劣化させることがある。そのため、絶縁体442によって水素をブロックすることは半導体装置の性能および信頼性を高めるために重要な意味を持つ。
一方、例えば、トランジスタ490に外部から酸素を供給することで、酸化物半導体の酸素欠損を低減させることができるため、トランジスタの電気特性が向上する場合がある。酸素の供給は、例えば、酸素を含む雰囲気下における加熱処理によって行えばよい。または、例えば、過剰酸素(酸素)を含む絶縁体をトランジスタ490の近傍に配置し、加熱処理を行うことで、該酸素を拡散させて、トランジスタ490に供給しても構わない。ここでは、絶縁体432に過剰酸素を含む絶縁体を用いる。
拡散した酸素は、各層を介してSiトランジスタまで到達する場合があるが、絶縁体442が酸素をブロックする機能を有するため、Siトランジスタまで到達する酸素は僅かとなる。シリコン中に酸素が混入することでシリコンの結晶性を低下させることや、キャリアの移動を阻害させる要因となることがある。そのため、絶縁体442によって酸素をブロックすることは半導体装置の性能および信頼性を高めるために重要な意味を持つ。
トランジスタ490上に絶縁体452を有すると好ましい。絶縁体452は、酸素および水素をブロックする機能を有する。絶縁体452は、例えば、絶縁体442についての記載を参照する。または、絶縁体452は、例えば、半導体406aおよび/または半導体406cよりも、酸素および水素をブロックする機能が高い。
半導体装置が絶縁体452を有することで、酸素がトランジスタ490から外方拡散することを抑制できる。従って、絶縁体432などに含まれる過剰酸素(酸素)の量に対して、トランジスタ490へ効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体452は、絶縁体452よりも上に設けられた層や半導体装置の外部から混入する水素を含む不純物をブロックするため、不純物の混入によってトランジスタ490の電気特性が劣化することを抑制できる。
なお、便宜上、絶縁体442および/または絶縁体452をトランジスタ490と区別して説明したが、トランジスタ490の一部であっても構わない。
絶縁体434、436は、過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。例えば、絶縁体432についての記載を参照することができる。
また、絶縁体444、446は、酸素および水素をブロックする絶縁体であると好ましい。例えば、絶縁体442についての記載を参照することができる。
また、絶縁体454、456は、酸素および水素をブロックする絶縁体であると好ましい。例えば、絶縁体452についての記載を参照することができる。
なお、本実施の形態において、トランジスタ490、491または492は、一例として、チャネル形成領域などにおいて、酸化物半導体を用いることができるが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。例えば、トランジスタ490は、チャネル形成領域やその近傍、ソース領域、ドレイン領域などにおいて、場合によっては、または、状況に応じて、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、などを有する材料で形成してもよい。
例えば、本明細書等において、様々な基板を用いて、トランジスタ490、491または492などのトランジスタを形成することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、又は塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。または、基板とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転置し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
次いで、図1に示すメモリセル500の動作を、図4乃至図8を用いて説明する。
以下では、トランジスタ490、トランジスタ491、及びトランジスタ492はnチャネル型トランジスタである場合について説明する。トランジスタ490はpチャネル型トランジスタであっても構わない。また、トランジスタ491はpチャネル型トランジスタであっても構わない。また、トランジスタ492はpチャネル型トランジスタであっても構わない。
図4および図5は、メモリセル500の動作において用いられる各種電圧を説明する図である。ここでは、FN1にk1種類の状態(k1は2以上の整数)、FN2にk2種類の状態(k2は2以上の整数)を記憶させる場合を想定し、説明する。図4は、フローティングノードFN1に着目した図であり、図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ、フローティングノードFN1、書き込みワード線WW1、読み出しワード線RW1の電位を示す。同様に、図5は、フローティングノードFN2に着目した図であり、図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ、フローティングノードFN2、書き込みワード線WW2、読み出しワード線RW2の電位を示す。
ここで、トランジスタ492の機能を改めて確認しておく。トランジスタ492において、第1ゲート電極と第2ゲート電極は、チャネル形成領域を挟んで上下に、かつ、ずらして配置される。第1ゲート電極の電位は、フローティングノードFN1の電位であり、第2ゲート電極の電位は、フローティングノードFN2の電位である。よって、トランジスタ492は、フローティングノードFN1の電位およびフローティングノードFN2の電位に従って、導通もしくは非導通となる。トランジスタ492には、第1ゲート電極に関わるしきい値電圧Vth1と、第2ゲート電極に関わるしきい値電圧Vth2が存在する。第1ゲート電極、もしくはフローティングノードFN1の電位がVth1より大きくなると、第1ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域にはチャネルが形成される(または、キャリアが誘起される)。第2ゲート電極、もしくはフローティングノードFN2の電位がVth2より大きくなると、第2ゲート電極によって制御されるチャネル形成領域にはチャネルが形成される(または、キャリアが誘起される)。トランジスタ492は、第1ゲート電極の電位がVth1より大きく、第2ゲート電極の電位がVth2より大きい場合のみ、導通状態となる。
トランジスタ492は、Vth1のしきい値電圧をもつトランジスタ(トランジスタ492_1と呼ぶ)と、Vth2のしきい値電圧をもつトランジスタ(トランジスタ492_2と呼ぶ)の2つのトランジスタが直列に接続された回路と等価な機能を有するということができる。トランジスタ492_1は、第1ゲート電極の電位がVth1より大きいと導通し、第1ゲート電極の電位がVth1より小さいと非導通となる。トランジスタ492_2は、第2ゲート電極の電位がVth2より大きいと導通し、第2ゲート電極の電位がVth2より小さいと非導通となる。トランジスタ492は、トランジスタ492_1とトランジスタ492_2が導通したときのみ、導通状態となる。
図4において、状態Write1は、トランジスタ491が導通状態であり、ビット線BLの電位がフローティングノードFN1に与えられている状態を示す。電位V1(i)(iは1以上、k1以下の整数)は、FN1に与えるk1種類の電位である。ここでは、V1(i)<V1(i+1)((iは1以上、(k1−1)以下の整数)とする。図4(A)では、V1(1)以上、V1(k1)以下の電位の領域をハッチングパターンで示している。WW1にVG1_Hを与え、k1種類の状態に依らず、トランジスタ491を導通状態にする。VG1_Hは、V1(k1)よりも、Vth(491)以上大きいことが好ましい。つまり、VG1_H>V1(k1)+Vth(491)である。ここで、Vth(491)は、トランジスタ491のしきい値電圧である。これにより、最大電位であるV1(k1)をFN1に与える時にも、トランジスタ491を導通状態に保つことができる。電位VC1_0は、書き込み時にRW1に与える電位である。
図4において、状態Standby1は、フローティングノードFN1の電位を保持している状態である。RW1には、VC1_0を与える。WW1にVG1_0を与え、k1種類の状態に依らず、トランジスタ491を非導通状態にする。VG1_0は、FN1にV1(1)を書き込んだ状態においても、トランジスタ491を非導通状態とする電位、或いは、トランジスタ491のドレイン電流が十分に低くなる電位である。なお、書き込み直後のFN1の電位は、トランジスタ491のゲートドレイン間容量(或はゲートソース間容量)によって、書き込み中のFN1の電位から多少変動してもよい。
図4において、状態Off1は、k1種類の状態に依らず、トランジスタ492_1が非導通となる状態である。書き込み時や読み出し時の非選択のメモリセルにおいて用いる場合がある。RW1にVC1_Lを与え、k1種類の状態に依らず、トランジスタ492_1を非導通状態にする。VC1_Lは、FN1の電位がV1L(k1)であっても、トランジスタ492_1が非導通状態となる電位である。つまり、V1L(k1)<Vth1である。ここで、V1(k1)を書き込んだ状態において、RW1にVC1_Lを与えた時のFN1の電位をV1L(k1)とする。V1L(k1)は、V1L(k1)=V1(k1)+Cs1/CFN1×(VC1_L−VC1_0)と表される。ここで、CFN1はFN1が有する容量値の合計、Cs1は容量素子494の容量値である。よって、VC1_Lは、VC1_L<VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(k1))を満たす電位である。なお、V1(k1)の代わりに、状態Stanby1におけるFN1の電位を用いてもよい。
図4において、状態Read1(1)は、V1(k1)を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通し、V1(k1−1)を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が非導通となる状態である。言い換えると、V1(k1)を書き込んだ状態以外の、(k1−1)種類の電位を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が非導通となる状態である。RW1に電位VC1(1)を与えることで、そのような状態となる。上述した計算と同様に、VC1(1)は、VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(k1))<VC1(1)<VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(k1−1))を満たす電位であると求まる。
図4において、状態Read1(k1−1)は、V1(2)を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通し、V1(1)を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が非導通となる状態である。言い換えると、V1(1)を書き込んだ状態以外の、(k1−1)種類の電位を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通となる状態である。RW1に電位VC1(k1−1)を与えることで、そのような状態となる。上述した計算と同様に、VC1(1)は、VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(2))<VC1(k1−1)<VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(1))を満たす電位であると求まる。
図4において、状態On1は、k1種類の状態に依らず、トランジスタ492_1が導通する状態である。書き込み時や読み出し時の選択されたメモリセルにおいて用いる場合がある。RW1にVC1_Hを与え、k1種類の状態に依らず、トランジスタ492_1を導通状態にする。VC1_Hは、FN1の電位がV1H(1)であっても、トランジスタ492_1が導通状態となる電位である。つまり、V1H(1)>Vth1である。ここで、V1(1)を書き込んだ状態において、RW1にVC1_Hを与えた時のFN1の電位をV1H(1)とする。V1H(1)は、V1H(1)=V1(1)+Cs1/CFN1×(VC1_H−VC1_0)と表される。よって、VC1_Hは、VC1_H>VC1_0+CFN1/Cs1×(Vth1−V1(1))を満たす電位である。なお、V1(1)の代わりに、状態Stanby1におけるFN1の電位を用いてもよい。
なお、上述した説明において、フローティングノードFN2、書き込みワード線WW2、読み出しワード線RW2の電位を指定しなかったが、これらの電位に特に制限はない。フローティングノードFN2、書き込みワード線WW2、及び読み出しワード線RW2の電位が、フローティングノードFN1に与える影響は小さいためである。
図4において説明したのと同様に、図5を用いて、Write2、Standby2、Off2、Read2(1)、Read2(k2−1)、On2の状態が定義される。また、電位V2(i)(iは1以上、k2以下の整数)、VG2_H、VC2_0、VG2_0、VC2_L、VC2(1)、VC2(k2−1)、VC2_Hが定義される。なお、V2(i)<V2(i+1)(iは1以上、(k2−1)以下の整数)とする。また、トランジスタ492のしきい値電圧をVth(492)、FN2が有する容量値の合計をCFN2、容量素子493の容量値をCs2とする。
図6は、メモリセルの動作を説明するために、メモリセルアレイの一部を抜粋した図である。図6には、メモリセルアレイの(n−1)番目のビット線BL[n−1]またはn番目のビット線BL[n]に接続され、かつ、(m−1)番目のワード線WL[m−1]またはm番目のワード線WL[m]に接続される、4個のメモリセルを示す。なお、ソース線SLはすべてのメモリセルで共通としても良い。
図7は、図6に示したメモリセルアレイへの書き込み動作の一例を説明するタイミングチャートである。FN1、FN2には、それぞれ4種類の電位V1、V2、V3、V4(V1<V2<V3<V4とする)を書き込む場合を示す。メモリセルは16値の多値を実現している。
図7に示すタイミングチャート図は、(m−1)番目のワード線WL[m−1]に接続されるメモリセルへデータの書き込みを行う期間p11乃至p18におけるタイミングチャートと、m番目のワード線WL[m]に接続されるメモリセルへデータの書き込みを行う期間p21乃至p28におけるタイミングチャートと、からなる。ソース線SLには一定の電位VS0が与えられる。
図7に示す期間p11では、書き込みワード線WW1[m−1]にVG1_Hを与え、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_0を与えることで、選択されたメモリセルのFN1に書き込みを行う状態とする(状態Write1)。書き込みワード線WW2[m−1]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。このとき選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。書き込みワード線WW1[m]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m]にVC1_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m]にVC2_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。このとき非選択メモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。電位VB0は待機時のビット線電位としても良い。
図7に示す期間p12では、ビット線BL[n−1]に電位V4を与え、BL[n]に電位V1を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、ビット線BL[n−1]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V4が与えられ、ビット線BL[n]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V1が与えられる。
図7に示す期間p13では、書き込みワード線WW1[m−1]にVG1_Lを与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、書き込みワード線WW1[m−1]に接続される選択されたメモリセルのトランジスタ491は非導通状態となり、フローティングノードFN1に蓄積された電荷は保持される。つまり、書き込み状態が終了する。書き込み終了時に、読み出しワード線RW1[m−1]、ビット線BL[n−1]、BL[n]の電位を保持することで、確実に書き込みを行うことができる。書き込みワード線WW1[m−1]の電位変動と同時に、これらの電位が変動すると、書き込んだ状態に影響を及ぼす可能性がある。
図7に示す期間p14では、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与える。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、全てのメモリセルにおいて、トランジスタ492_1は状態Off1に、492_2は状態Off2となり、非選択状態となる。
図7に示す期間p15では、書き込みワード線WW1[m−1]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m−1]にVG2_Hを与え、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_0を与えることで、選択されたメモリセルのFN2に書き込みを行う状態とする(状態Write2)。このとき選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。書き込みワード線WW1[m]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m]にVC1_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m]にVC2_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。このとき非選択メモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。
図7に示す期間p16では、ビット線BL[n−1]に電位V3を与え、BL[n]に電位V2を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、ビット線BL[n−1]に接続される選択されたメモリセルのFN2には、V3が与えられ、ビット線BL[n]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V2が与えられる。
図7に示す期間p17では、書き込みワード線WW2[m−1]にVG2_Lを与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、書き込みワード線WW2[m−1]に接続される選択されたメモリセルのトランジスタ490は非導通状態となり、フローティングノードFN2に蓄積された電荷は保持される。つまり、書き込み状態が終了する。書き込み終了時に、読み出しワード線RW2[m−1]、ビット線BL[n−1]、BL[n]の電位を保持することで、確実に書き込みを行うことができる。書き込みワード線WW2[m−1]の電位変動と同時に、これらの電位が変動すると、書き込んだ状態に影響を及ぼす可能性がある。
図7に示す期間p18では、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与える。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、全てのメモリセルにおいて、トランジスタ492_1は状態Off1に、492_2は状態Off2となり、非選択状態となる。
図7に示す期間p21では、書き込みワード線WW1[m]にVG1_Hを与え、読み出しワード線RW1[m]にVC1_0を与えることで、選択されたメモリセルのFN1に書き込みを行う状態とする(状態Write1)。書き込みワード線WW2[m]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m]にVC2_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。このとき選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。書き込みワード線WW1[m−1]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m−1]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492を非導通状態とする(状態Off2)。このとき非選択メモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。
図7に示す期間p22では、ビット線BL[n−1]に電位V2を与え、BL[n]に電位V3を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、ビット線BL[n−1]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V2が与えられ、ビット線BL[n]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V3が与えられる。
図7に示す期間p23では、書き込みワード線WW1[m]にVG1_Lを与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、書き込みワード線WW1[m]に接続される選択されたメモリセルのトランジスタ491は非導通状態となり、フローティングノードFN1に蓄積された電荷は保持される。つまり、書き込み状態が終了する。書き込み終了時に、読み出しワード線RW1[m]、ビット線BL[n−1]、BL[n]の電位を保持することで、確実に書き込みを行うことができる。書き込みワード線WW1[m]の電位変動と同時に、これらの電位が変動すると、書き込んだ状態に影響を及ぼす可能性がある。
図7に示す期間p24では、読み出しワード線RW1[m]にVC1_Lを与える。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、全てのメモリセルにおいて、トランジスタ492_1は状態Off1に、492_2は状態Off2となり、非選択状態となる。
図7に示す期間p25では、書き込みワード線WW1[m]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m]にVC1_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m]にVG2_Hを与え、読み出しワード線RW2[m]にVC2_0を与えることで、選択されたメモリセルのFN2に書き込みを行う状態とする(状態Write2)。このとき選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。書き込みワード線WW1[m−1]にVG1_Lを与え、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。書き込みワード線WW2[m−1]にVG2_Lを与え、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与えることで、非選択メモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。このとき非選択メモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。
図7に示す期間p26では、ビット線BL[n−1]に電位V1を与え、BL[n]に電位V4を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、ビット線BL[n−1]に接続される選択されたメモリセルのFN2には、V1が与えられ、ビット線BL[n]に接続される選択されたメモリセルのFN1には、V4が与えられる。
図7に示す期間p27では、書き込みワード線WW2[m]にVG2_Lを与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、書き込みワード線WW2[m]に接続される選択されたメモリセルのトランジスタ490は非導通状態となり、フローティングノードFN2に蓄積された電荷は保持される。つまり、書き込み状態が終了する。書き込み終了時に、読み出しワード線RW2[m]、ビット線BL[n−1]、BL[n]の電位を保持することで、確実に書き込みを行うことができる。書き込みワード線WW2[m]の電位変動と同時に、これらの電位が変動すると、書き込んだ状態に影響を及ぼす可能性がある。
図7に示す期間p28では、読み出しワード線RW2[m]にVC2_Lを与える。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に電位VB0を与える。なお、他の配線は、前の期間の電位を保持する。その結果、全てのメモリセルにおいて、トランジスタ492_1は状態Off1に、492_2は状態Off2となり、非選択状態となる。
以上、期間p11乃至p18、およびp21乃至p28で説明したデータの書き込みにより、図6に示すメモリセルアレイに所定の状態が書き込まれる。なお、書き込み動作期間では、選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態であり、非選択メモリセルのトランジスタ492も非導通状態である。したがって、ソース線SLに与えられた電位と、ビット線BLに与えられた電位が異なっていても、導通状態のトランジスタ492によって電流が流れるということはない。
図8は、図6に示したメモリセルアレイへの読み出し動作の一例を説明するタイミングチャートである。FN1、FN2から、それぞれ4種類の電位を読み出す場合を示す。メモリセルは16値の多値を実現している。
図8に示すタイミングチャート図は、(m−1)番目のワード線WL[m−1]に接続されるメモリセルのFN1に保持されたデータを読み出す期間p31乃至p39と、FN2に保持されたデータを読み出す期間p41乃至p49におけるタイミングチャートと、からなる。ソース線SLには一定の電位VS0が与えられる。また、m番目のワード線WL[m]に接続されるメモリセルからの読み出しは行わないので、読み出し期間を通して、WW1[m]にはVG1_Lが、WW2[m]にはVG2_Lが与えられる。また、RW1[m]にはVC1_Lが、RW2[m]にはVC2_Lが与えられる。また、読み出しでは、トランジスタ490および491を常に非導通状態とするため、読み出し期間を通して、WW1[m−1]にはVG1_Lが、WW2[m−1]にはVG2_Lが与えられる。従って、以下では、RW1[m−1]、RW2[m−1]、BL[n−1]、BL[n]に与えられる電位について、主に説明する。
図8に示す期間p31では、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Hを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2を導通状態とする(状態On2)。この時点では、選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態である。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に、電位Vprechargeを与える。期間p31は、プリチャージ期間である。電位Vprechargeは、プリチャージ電位である。期間p31の終了時に、ビット線BL[n−1]及びBL[n]はフローティング状態となる。
図8に示す期間p32では、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1(1)を与えることで、選択されたメモリセルのFN1にV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_1が非導通となる状態とする(状態Read1(1))。なお、読み出しワード線RW2[m−1]には、VC2_Hが与えられているため、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2は導通状態のままである。従って、選択されたメモリセルのトランジスタ492を導通状態は、FN1が保持する状態によって決まる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V4が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。その結果、フローティング状態となっているビット線BL[n−1]は、導通状態のトランジスタ492を介してソース線SLと電気的に接続される。そして、ビット線BL[n−1]に蓄積された電荷が充電もしくは放電され、ビット線BL[n−1]の電位はVprechargeからVS0に変化する。一方、ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V1が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、フローティング状態となっているビット線BL[n]の電位は保持される。
図8に示す期間p33では、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1を非導通状態とする(状態Off1)。従って、選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。その結果、ビット線BL[n−1]とビット線BL[n]では、直前の期間の電位が保持される。期間p32もしくは期間p33において、ビット線BL[n−1]とビット線BL[n]の電位を読み出し回路で検知することで、読み出しを行うことができる。
図8に示す期間p34乃至p36は、期間p31乃至期間p33と同様な動作を行う。ただし、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1(1)の代わりにVC1(2)を与える。読み出しワード線RW1[m−1]にVC1(2)を与えると、選択されたメモリセルのFN1にV3もしくはV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_1が非導通となる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V4が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V1が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、期間p35において、ビット線BL[n−1]の電位はVprechargeからVS0に変化する。ビット線BL[n]の電位は保持される。
図8に示す期間p37乃至p39は、期間p31乃至期間p33と同様な動作を行う。ただし、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1(1)の代わりにVC1(3)を与える。読み出しワード線RW1[m−1]にVC1(3)を与えると、選択されたメモリセルのFN1にV2、V3もしくはV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_1が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_1が非導通となる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V4が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN1には、電位V1が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、期間p38において、ビット線BL[n−1]の電位はVprechargeからVS0に変化する。ビット線BL[n]の電位は保持される。
図8に示す期間p41では、読み出しワード線RW1[m−1]にVC1_Hを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1を導通状態とする(状態On1)。読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。この時点では、選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態である。ビット線BL[n−1]及びBL[n]に、電位Vprechargeを与える。期間p31は、プリチャージ期間である。電位Vprechargeは、プリチャージ電位である。期間p41の終了時に、ビット線BL[n−1]及びBL[n]はフローティング状態となる。
図8に示す期間p42では、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2(1)を与えることで、選択されたメモリセルのFN2にV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_2が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_2が非導通となる状態とする(状態Read2(1))。なお、読み出しワード線RW1[m−1]には、VC1_Hが与えられているため、選択されたメモリセルのトランジスタ492_1は導通状態のままである。従って、選択されたメモリセルのトランジスタ492を導通状態は、FN2が保持する状態によって決まる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V3が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、フローティング状態となっているビット線BL[n−1]の電位は保持される。一方、ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V2が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、フローティング状態となっているビット線BL[n]の電位は保持される。
図8に示す期間p43では、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2_Lを与えることで、選択されたメモリセルのトランジスタ492_2を非導通状態とする(状態Off2)。従って、選択されたメモリセルのトランジスタ492は非導通状態となる。その結果、ビット線BL[n−1]とビット線BL[n]では、直前の期間の電位が保持される。期間p42もしくは期間p43において、ビット線BL[n−1]とビット線BL[n]の電位を読み出し回路で検知することで、読み出しを行うことができる。
図8に示す期間p44乃至p46は、期間p41乃至期間p43と同様な動作を行う。ただし、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2(1)の代わりにVC2(2)を与える。読み出しワード線RW2[m−1]にVC2(2)を与えると、選択されたメモリセルのFN2にV3もしくはV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_2が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_2が非導通となる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V3が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V2が書き込まれているので、トランジスタ492は非導通状態となる。その結果、期間p45において、ビット線BL[n−1]の電位はVprechargeからVS0に変化する。ビット線BL[n]の電位は保持される。
図8に示す期間p47乃至p49は、期間p41乃至期間p43と同様な動作を行う。ただし、読み出しワード線RW2[m−1]にVC2(1)の代わりにVC2(3)を与える。読み出しワード線RW2[m−1]にVC2(3)を与えると、選択されたメモリセルのFN2にV2、V3もしくはV4を書き込んだ状態において、トランジスタ492_2が導通し、それ以外の状態において、トランジスタ492_2が非導通となる。ビット線BL[n−1]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V3が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。ビット線BL[n]に接続される選択メモリセルのFN2には、電位V2が書き込まれているので、トランジスタ492は導通状態となる。その結果、期間p48において、ビット線BL[n−1]の電位はVprechargeからVS0に変化する。ビット線BL[n]の電位はVprechargeからVS0に変化する。
以上、期間p31乃至p39、およびp41乃至p49で説明したデータの読み出しにより、図6に示すメモリセルアレイに格納されたデータが読み出される。読み出し回路において、ビット線電位がVrefより高い場合を”1”、低い場合を”0”とすると、図8に示したタイミングチャートの結果、ビット線BL[n−1]に接続される読み出し回路は、”0” 、”0” 、”0” 、”1” 、”0” 、”0”を読み出す。前半の3つの値は、選択されたメモリセルのFN1にV4が書き込まれていることを表し、後半の3つの値は、選択されたメモリセルのFN2にV3が書き込まれていることを表す。ビット線BL[n]に接続される読み出し回路は、”1” 、”1” 、”1” 、”1” 、”1” 、”0”を読み出す。前半の3つの値は、選択されたメモリセルのFN1にV1が書き込まれていることを表し、後半の3つの値は、選択されたメモリセルのFN2にV2が書き込まれていることを表す。
このように、図6に示したメモリセルアレイにおいて、FN1、FN2に、それぞれ4種類の電位V1、V2、V3、V4(V1<V2<V3<V4とする)を書き込み、読み出すことが可能である。FN1とFN2に書き込む状態は独立であるから、メモリセルは16値の多値を実現している。なお、FN1、FN2に、それぞれ4種類の電位を書き込む例を示したが、本発明はこれに限らず、さまざまな多値を実現することができる。
上述した半導体装置(メモリセル)によって、面積を縮小したメモリセルを実現できる。その結果、記憶密度を向上した半導体装置や、記憶容量を向上した半導体装置を提供することができる。
(実施の形態2)
本発明の一態様に係る半導体装置の構成の一例について、図9を用いながら説明する。
図9に半導体装置の構成の一例を示す。図9に示す半導体装置600は、記憶装置として機能することが可能な半導体装置の一例である。半導体装置600は、メモリセルアレイ610、ローデコーダ621、ワード線ドライバ回路622、ビット線ドライバ回路630、出力回路640、コントロールロジック回路660、電源回路670を有する。
メモリセルアレイ610は、上述したメモリセルを有する。ビット線ドライバ回路630は、カラムデコーダ631、プリチャージ回路632、読み出し回路633、および書き込み回路634を有する。プリチャージ回路632は、ビット線をプリチャージする機能を有する。読み出し回路633は、ビット線の電位を検知し、メモリセルからデータを読み出す機能を有する。読み出された信号は、出力回路640を介して、デジタルのデータ信号RDATAとして半導体装置600の外部に出力される。
また、半導体装置600には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、高電源電圧(VDD)等が供給される。
また、半導体装置600には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATA等が外部から入力される。ADDRは、ローデコーダ621およびカラムデコーダ631に入力され、WDATAは書き込み回路634に入力される。
コントロールロジック回路660は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、ローデコーダ621、カラムデコーダ631、電源回路670の制御信号等を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路660が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
読み出し回路633は、センスアンプを有し、電位Vrefとビット線電位とを比較してもよい。また、データ変換を行う論理回路を有し、読み出したデータを、出力するフォーマットに変換しても良い。書き込み回路634は、データ変換を行う論理回路を有し、入力されたデータWDATAを、書き込みを行うフォーマットに変換しても良い。
電源回路670は、VDD、VSSあるいは他の高電源電圧を入力して、読み出し動作、書き込み動作に必要な電位を生成し、出力する。
例えば、上述した16値のメモリセルへの書き込みおよび読み出しを行う場合、V1、V2、V3、V4、VG1_H、VG1_L、VG2_H、VG2_L、VC1_H、VC1_L、VC2_H、VC2_L、VC1(1)、VC1(2)、VC1(3)、VC2(1)、VC2(2)、VC2(3)等を生成しても良い。
なお、上述の各回路あるいは各信号は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
半導体装置600は、上述したメモリセルを有することで、面積を縮小したメモリセルを有する半導体装置、記憶密度を向上した半導体装置、記憶容量を向上した半導体装置、或いは小型の半導体装置を提供することができる。
なお、メモリセルアレイ610以外の回路は、nチャネル型Siトランジスタとpチャネル型Siトランジスタを有していても良い。酸化物半導体を用いたトランジスタを用いない領域は、メモリセルアレイ610の下側に積層して配置することができる。その結果、より小さい記憶装置を作製できる。
また、メモリセルアレイ610以外の回路は、酸化物半導体を用いたトランジスタとpチャネル型Siトランジスタを有していても良い。上述した酸化物半導体を用いたトランジスタは低いオフ電流と高いオン電流を有するため、pチャネル型Siトランジスタと組み合わせてCMOS回路を構成しても、低いリーク電流と高速動作を両立することができる。特に、全てのnチャネル型トランジスタを酸化物半導体を用いたトランジスタとすることで、nチャネル型Siトランジスタを作製する必要がなく、工程が簡略化され、歩留まりの向上とプロセスコストの低減が可能となる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
トランジスタ490、491、或いは492は、様々な構造をとりうる。本実施の形態では、理解を容易にするため、トランジスタ490と、その近傍の領域についてのみ抜き出し、図10乃至図11に示す。
図10(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図10(A)の一点鎖線E1−E2および一点鎖線E3−E4で切断した断面図の一例を図10(B)に示す。なお、図10(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
図3などではソース電極およびドレイン電極として機能する導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面および側面、絶縁体432の上面などと接する例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面のみと接する構造であっても構わない。
図10に示すトランジスタは、導電体416aおよび導電体416bは、半導体406bの側面と接しない。従って、ゲート電極としての機能を有する導電体404から半導体406bの側面に向けて印加される電界が、導電体416aおよび導電体416bによって遮蔽されにくい構造である。また、導電体416aおよび導電体416bは、絶縁体432の上面と接しない。そのため、絶縁体432から放出される過剰酸素(酸素)が416aおよび導電体416bを酸化させるために消費されない。従って、絶縁体432から放出される過剰酸素(酸素)を、半導体406bの酸素欠損を低減するために効率的に利用することのできる構造である。即ち、図10に示す構造のトランジスタは、高いオン電流、高い電界効果移動度、低いサブスレッショルドスイング値、高い信頼性などを有する優れた電気特性のトランジスタである。
図11(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図11(A)の一点鎖線G1−G2および一点鎖線G3−G4で切断した断面図の一例を図11(B)に示す。なお、図11(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
図11(A)および図11(B)に示すトランジスタ490は、絶縁体442上の導電体421と、絶縁体442上および導電体421上の凸部を有する絶縁体432と、絶縁体432の凸部上の半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体406b上の半導体406cと、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cと接し、間隔を開けて配置された導電体416aおよび導電体416bと、半導体406c上、導電体416a上および導電体416b上の絶縁体411と、絶縁体411上の導電体426と、導電体416a上、導電体416b上、絶縁体411上および導電体426上の絶縁体452と、絶縁体452上の絶縁体462と、を有する。
なお、絶縁体411は、G3−G4断面において、少なくとも半導体406bの側面と接する。また、導電体426は、G3−G4断面において、少なくとも絶縁体411を介して半導体406bの上面および側面と面する。また、導電体421は、絶縁体432を介して半導体406bの下面と面する。また、絶縁体432が凸部を有さなくても構わない。また、半導体406cを有さなくても構わない。また、絶縁体452を有さなくても構わない。また、絶縁体462を有さなくても構わない。
図11に示すトランジスタ490は、図3に示したトランジスタ490と一部の構造が異なるのみである。具体的には、図3に示したトランジスタ490の半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの構造と、図11に示すトランジスタ490の半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの構造が異なる。また、導電体421の有無が異なる。従って、図11に示すトランジスタは、図4に示したトランジスタについての説明を適宜参照することができる。
(実施の形態4)
以下では、半導体406a、半導体406b、半導体406c、半導体407a、半導体407b、半導体407c、半導体408a、半導体408b、半導体408c、などに適用可能な酸化物半導体の構造について説明する。なお、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体は、非単結晶酸化物半導体と単結晶酸化物半導体とに大別される。非単結晶酸化物半導体とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などをいう。
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。
CAAC−OSを透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OSを、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OSを形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OSの被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OSを、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列は必ずしも規則的に配列しているとは限らない。
図12(a)は、CAAC−OSの断面TEM像である。また、図12(b)は、図12(a)をさらに拡大した断面TEM像であり、理解を容易にするために原子配列を強調表示している。
図12(c)は、図12(a)のA−O−A’間において、丸で囲んだ領域(直径約4nm)の局所的なフーリエ変換像である。図12(c)より、各領域においてc軸配向性が確認できる。また、A−O間とO−A’間とでは、c軸の向きが異なるため、異なるグレインであることが示唆される。また、A−O間では、c軸の角度が14.3°、16.6°、26.4°のように少しずつ連続的に変化していることがわかる。同様に、O−A’間では、c軸の角度が−18.3°、−17.6°、−15.9°と少しずつ連続的に変化していることがわかる。
なお、CAAC−OSに対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OSの上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(図13(A)参照。)。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OSの結晶部は配向性を有していることがわかる。
なお、CAAC−OSに含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OSに含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OSに含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm2以上、5μm2以上または1000μm2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OSに対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSのout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OSでは、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OSを成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OSの被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OSの形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OSの被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OSの結晶部が、CAAC−OSの上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC−OSは、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSのout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OSは、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体内部に含まれると、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
微結晶酸化物半導体は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc−OSは、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、層全体で配向性が見られない。従って、nc−OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OSに対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある(図13(B)参照。)。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
従って、nc−OSは、CAAC−OSと比べて、キャリア密度が高くなる場合がある。キャリア密度が高い酸化物半導体は、電子移動度が高くなる場合がある。従って、nc−OSを用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する場合がある。また、nc−OSは、CAAC−OSと比べて、欠陥準位密度が高いため、キャリアトラップが多くなる場合がある。従って、nc−OSを用いたトランジスタは、CAAC−OSを用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる。ただし、nc−OSは、比較的不純物が多く含まれていても形成することができるため、CAAC−OSよりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合がある。そのため、nc−OSを用いたトランジスタを有する半導体装置は、生産性高く作製することができる場合がある。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
以上のように、CAAC−OSは、多結晶及び微結晶と比較して結晶粒界に起因するキャリアの散乱が小さいためにキャリア移動度の低下が起こりにくい利点がある。また、CAAC−OSは、欠陥準位密度が低い酸化物半導体でありキャリアトラップが少ないため、CAAC−OSを用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高い優れたトランジスタとなる。
酸化物半導体が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
図13(C)に、電子銃室10と、電子銃室10の下の光学系12と、光学系12の下の試料室14と、試料室14の下の光学系16と、光学系16の下の観察室20と、観察室20に設置されたカメラ18と、観察室20の下のフィルム室22と、を有する透過電子回折測定装置を示す。カメラ18は、観察室20内部に向けて設置される。なお、フィルム室22を有さなくても構わない。
また、図13(D)に、図13(C)に示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。透過電子回折測定装置内部では、電子銃室10に設置された電子銃から放出された電子が、光学系12を介して試料室14に配置された物質28に照射される。物質28を通過した電子は、光学系16を介して観察室20内部に設置された蛍光板32に入射する。蛍光板32では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターンを測定することができる。
カメラ18は、蛍光板32を向いて設置されており、蛍光板32に現れたパターンを撮影することが可能である。カメラ18のレンズの中央、および蛍光板32の中央を通る直線と、蛍光板32の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上75°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ18で撮影される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかっていれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメラ18をフィルム室22に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ18をフィルム室22に、電子24の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板32の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
試料室14には、試料である物質28を固定するためのホルダが設置されている。ホルダは、物質28を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質28をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる精度を有すればよい。これらの範囲は、物質28の構造によって最適な範囲を設定すればよい。
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する方法について説明する。
例えば、図13(D)に示すように物質におけるナノビームである電子24の照射位置を変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することができる。このとき、物質28がCAAC−OSであれば、図13(A)に示したような回折パターンが観測される。または、物質28がnc−OSであれば、図13(B)に示したような輝点を伴ったリング状の回折パターンが観測される。
図13(A)に示す、CAAC−OSに代表的にみられる回折パターン、すなわちc軸配向を示す回折パターンを、CAAC構造の回折パターンと呼ぶ。図13(A)に示すように、CAAC−OSの回折パターンでは、例えば六角形の頂点に位置するスポットが確認される。CAAC−OSでは、照射位置をスキャンすることにより、この六角形の向きが一様ではなく、少しずつ回転している様子がみられる。また、回転の角度はある幅を有する。
または、CAAC−OSの回折パターンでは、照射位置をスキャンすることにより、c軸を中心として少しずつ回転する様子が見られる。これは、例えばa軸とb軸が形成する面が回転しているともいえる。
ところで、物質28がCAAC−OSであったとしても、部分的にnc−OSなどと同様の回折パターンが観測される場合がある。従って、CAAC−OSの良否は、一定の範囲におけるCAAC−OSの回折パターンが観測される領域の割合(CAAC比率、またはCAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OSであれば、CAAC比率は、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上100%以下である。なお、一定の範囲におけるCAAC−OSと異なる回折パターンが観測される領域の割合を非CAAC比率、または非CAAC化率と表記する。
以下に、CAAC−OSのCAAC比率の評価方法について説明する。無作為に測定点を選び、透過電子回折パターンを取得し、全測定点の数に対し、CAAC構造の回折パターンが観測される測定点の数の割合を算出する。ここで、測定点数は、50点以上が好ましく、100点以上がより好ましい。
無作為に測定点を選ぶ方法として、例えば直線状に照射位置をスキャンし、ある等間隔の時間毎に回折パターンを取得すればよい。照射位置をスキャンすることによりCAAC構造を有する領域と、その他の領域の境界などが確認できるため、好ましい。
一例として、成膜直後(as−sputterdと表記。)のCAAC−OSを有する試料、および酸素を含む雰囲気における450℃加熱処理後のCAAC−OSを有する試料を作製し、各試料の上面に対し、スキャンしながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変換することで、CAAC比率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmのナノビームを用いた。なお、同様の測定は6試料に対して行った。そしてCAAC比率の算出には、6試料における平均値を用いた。
各試料におけるCAAC比率を図14(A)に示す。成膜直後のCAAC−OSのCAAC比率は75.7%(非CAAC比率は24.3%)であった。また、450℃加熱処理後のCAAC−OSのCAAC比率は85.3%(非CAAC比率は14.7%)であった。成膜直後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC比率が高いことがわかる。即ち、高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC比率が低くなる(CAAC比率が高くなる)ことがわかる。また、500℃未満の加熱処理においても高いCAAC比率を有するCAAC−OSが得られることがわかる。
ここで、CAAC−OSと異なる回折パターンのほとんどはnc−OSと同様の回折パターンであった。また、測定領域において非晶質酸化物半導体は、確認することができなかった。従って、加熱処理によって、nc−OSと同様の構造を有する領域が、隣接する領域の構造の影響を受けて再配列し、CAAC化していることが示唆される。
図14(B)および図14(C)は、成膜直後および450℃加熱処理後のCAAC−OSの平面TEM像である。図14(B)と図14(C)とを比較することにより、450℃加熱処理後のCAAC−OSは、膜質がより均質であることがわかる。即ち、高い温度における加熱処理によって、CAAC−OSの膜質が向上することがわかる。
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体の構造解析が可能となる場合がある。
ここでナノビーム電子回折を行った場合に、CAAC−OSが部分的にCAAC構造以外の構造を有する領域、例えばnc構造の回折パターンが観測される領域や、スピネル型の結晶構造の回折パターンが観測される領域を有する場合を考える。このような場合には、CAAC構造の回折パターンが観測される領域と、CAAC構造以外の構造の回折パターンが観測される領域との境界では、例えばキャリアの散乱が増大し、キャリア移動度が低下することがある。また、境界部は不純物の移動経路になりやすく、また不純物を捕獲しやすいと考えられるため、CAAC−OSの不純物濃度が高まる懸念がある。
特に、CAAC構造以外の構造を有する領域がスピネル型の結晶構造を有する領域であった場合には、CAAC構造を有する領域との間に明確な境界が観測されることがあるため、その境界部ではキャリアの散乱などにより電子移動度が低下する場合がある。また、CAAC−OS上に導電膜を形成する場合に、導電膜の有する元素、例えば金属元素等がスピネルと他の領域の境界に拡散してしまうことがある。また、スピネル型の結晶構造を有する膜では膜中の不純物濃度、例えば水素濃度が上昇することがあり、例えば粒界部分に水素等の不純物が捕獲されている可能性などが考えられる。よって、CAAC−OSには、特にスピネル型の結晶構造が含まれない、または少ないことがより好ましい。
酸化物半導体が、インジウ酸化物半導体ム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。ここで、元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。酸化物半導体が有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数の比、x:y:zの好ましい範囲について説明する。
インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物では、InMO3(ZnO)m(mは自然数)で表されるホモロガス相(ホモロガスシリーズ)が存在することが知られている。ここで、例として元素MがGaである場合を考える。
例えば、スピネル型の結晶構造を有する化合物として、ZnGa2O4などのZnM2O4で表される化合物が知られている。また、ZnGa2O4の近傍の組成、つまりx,y及びzが(x,y,z)=(0,1,2)に近い値を有する場合には、スピネル型の結晶構造が形成、あるいは混在しやすい。
また、キャリア移動度を高めるためにはInの含有率を高めることが好ましい。インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、インジウムの含有率が多い酸化物はインジウムの含有率が少ない酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、キャリア移動度を高めることができる。
例えば、インジウムの原子数比を高めることにより、キャリア移動度を高めることができるため好ましい。例えば、酸化物半導体の有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数の比をx:y:zで表した場合、xはyの1.75倍以上であると好ましい。
また、酸化物半導体のCAAC比率をより高めるためには、亜鉛の原子数比を高めることが好ましい。例えば、In−Ga−Zn酸化物の原子数比を、固溶域をとり得る範囲とすることにより、CAAC比率をより高めることができる場合がある。インジウムとガリウムの原子数の和に対して亜鉛の原子数の比を高めると、固溶域をとり得る範囲は広くなる傾向がある。よって、インジウムとガリウムの原子数の和に対して亜鉛の原子数比を高めることにより、酸化物半導体のCAAC比率をより高めることができる場合がある。例えば、酸化物半導体の有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数の比をx:y:zで表した場合、zはx+yの0.5倍以上であると好ましい。一方で、インジウムの原子数比を高め、キャリア移動度を高めるために、zはx+yの2倍以下であると好ましい。
その結果、ナノビーム電子回折においてスピネル型の結晶構造が観測される割合をなくすことができる、または極めて低くすることができる。よって、優れたCAAC−OSを得ることができる。また、CAAC構造とスピネル型の結晶構造の境界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、酸化物半導体をトランジスタに用いた場合に、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
その結果、CAAC比率の高い酸化物半導体を実現することができる。すなわち、良質なCAAC−OSを実現することができる。また、スピネル型の結晶構造が観測される領域のない、または極めて少ないCAAC−OSを実現することができる。例えば、良質なCAAC−OSであれば、CAAC比率は、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上100%以下である。
また、酸化物半導体をスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される場合がある。特に、亜鉛は、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。具体的には、ターゲットに含まれる亜鉛の原子数比の40atomic%以上90atomic%程度以下となる場合がある。
従って、ターゲットの原子数比は、スパッタリング法により得られる酸化物半導体よりも亜鉛の原子数比が多くなることが好ましい。
なお、酸化物半導体は、複数の膜を積層してもよい。また複数の膜のそれぞれのCAAC比率が異なってもよい。また、積層された複数の膜のうち、少なくとも一層の膜は例えばCAAC比率が90%高いことが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上100%以下であることがさらに好ましい。
以上が、半導体406a、半導体406b、半導体406c、半導体407a、半導体407b、半導体407c、半導体408a、半導体408b、半導体408cなどに適用可能な酸化物半導体の構造である。
次に、半導体406a、半導体406b、半導体406c、半導体407a、半導体407b、半導体407c、半導体408a、半導体408b、半導体408cなどに適用可能な半導体の、その他の要素について説明する。
以下では、代表的に、半導体406a、半導体406b、半導体406cについて説明を行うが、半導体406aに適用される半導体は、半導体407a、408aにも同様に適用することができる。また、半導体406bに適用される半導体は、半導体407b、408bにも同様に適用することができる。また、半導体406cに適用される半導体は、半導体407c、408cにも同様に適用することができる。また、トランジスタ490の特性は、トランジスタ491、492においても同様に得られる。
半導体406bに適用可能な酸化物半導体は、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
酸化物半導体では、エネルギーギャップが大きく、電子が励起されにくいことや、ホールの有効質量が大きいことなどから、酸化物半導体を用いたトランジスタは、従来のシリコン等を用いたトランジスタと比較して、アバランシェ崩壊等が生じにくい場合がある。よって、例えばアバランシェ崩壊に起因するホットキャリア劣化等を抑制できる場合がある。よって、ドレイン耐圧を高めることができ、より高いドレイン電圧でトランジスタを駆動することができる。よって、フローティングノードにより高い電圧、つまり、より多くの状態を保持することができ、記憶密度を高めることができる場合がある。
半導体406a、半導体406bおよび半導体406cは、少なくともインジウムを含むと好ましい。なお、半導体406aがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、半導体406bがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。また、半導体406cがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。なお、半導体406cは、半導体406aと同種の酸化物を用いても構わない。
半導体406bは、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、半導体406bとして、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、半導体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[In/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
このとき、ゲート電極に電界を印加すると、半導体406a、半導体406b、半導体406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。よって、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。ここで、半導体406bと半導体406cは構成する元素が共通しているため、界面散乱がほとんど生じない。
ここで、半導体406aと半導体406bとの間には、半導体406aと半導体406bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと半導体406cとの間には、半導体406bと半導体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。なお、図15(A)は、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cが、この順番に積層した断面図である。図15(B)は、図15(A)の一点鎖線P1−P2に対応する伝導帯下端のエネルギー(Ec)であり、半導体406aより半導体406cの電子親和力が大きい場合を示す。また、図15(C)は、半導体406aより半導体406cの電子親和力が小さい場合を示す。
このとき、電子は、半導体406a中および半導体406c中ではなく、半導体406b中を主として移動する。上述したように、半導体406aおよび半導体406bの界面における界面準位密度、半導体406bと半導体406cとの界面における界面準位密度を低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタ490のオン電流を高くすることができる。
例えば、半導体406aおよび半導体406cは、半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体406aおよび半導体406cが構成されるため、半導体406aと半導体406bとの界面、および半導体406bと半導体406cとの界面において、界面準位が形成されにくい。
半導体406a、半導体406b及び半導体406cは、スピネル型の結晶構造が含まれない、または少ないことが好ましい。また、半導体406a、半導体406b及び半導体406cは、CAAC−OSであることが好ましい。
例えば、c軸配向した複数の結晶部を有するCAAC−OSを半導体406aとして用いることにより、その上に積層される半導体406bは、半導体406aとの界面近傍においても、良好なc軸配向を有する領域を形成することができる。
また、CAAC−OSのCAAC比率を高めることにより、例えば、欠陥をより少なくすることができる。また、例えばスピネル型の構造を有する領域を少なくすることができる。また、例えばキャリアの散乱を小さくすることができる。また、例えば不純物に対するブロック能の高い膜とすることができる。よって、半導体406a及び半導体406cのCAAC比率を高めることにより、チャネルが形成される半導体406bと良好な界面を形成し、キャリア散乱を小さく抑えることができる。例えば、半導体406aおよび/または半導体406cのCAAC比率を、10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%、より好ましくは70%以上とすればよい。また、半導体406bへの不純物の混入を抑制することができ、半導体406bの不純物濃度を低減することができる。
また、半導体406bは、酸素欠損が低減された半導体であることが好ましい。
例えば、半導体406bが酸素欠損(VOとも表記。)を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をVOHと表記する場合がある。VOHは電子を散乱するため、トランジスタ490のオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。従って、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ490のオン電流を高くすることができる場合がある。
半導体406bの酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁体432に含まれる過剰酸素を、半導体406aを介して半導体406bまで移動させる方法などがある。この場合、半導体406aは、酸素透過性を有する層(酸素を通過または透過させる層)であることが好ましい。
酸素は、加熱処理などによって絶縁体432から放出され、半導体406a中に取り込まれる。なお、酸素は、半導体406a中の原子間に遊離して存在する場合や、酸素などと結合して存在する場合がある。半導体406aは、密度が低いほど、即ち原子間に間隙が多いほど酸素透過性が高くなる。例えば、また、半導体406aが層状の結晶構造を有し、層を横切るような酸素の移動は起こりにくい場合、半導体406aは適度に結晶性の低い層であると好ましい。
絶縁体432から放出された過剰酸素(酸素)を半導体406bまで到達させるためには、半導体406aは過剰酸素(酸素)を透過する程度の結晶性を有するとよい。例えば、半導体406aがCAAC−OSである場合、層全体がCAAC化してしまうと、過剰酸素(酸素)を透過することができないため、一部に隙間を有する構造とすると好ましい。例えば、半導体406aのCAAC比率を、100%未満、好ましくは98%未満、さらに好ましくは95%未満、より好ましくは90%未満とすればよい。
また、トランジスタ490のオン電流を高くするためには、半導体406cの厚さは小さいほど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下の領域を有する半導体406cとすればよい。一方、半導体406cは、チャネルの形成される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体406cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体406cとすればよい。また、半導体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、半導体406aは厚く、半導体406cは薄いことが好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。半導体406aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体406aとの界面からチャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。
例えば、半導体406bと半導体406aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、半導体406bと半導体406cとの間に、SIMSにおいて、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体406bの窒素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの窒素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
以上が、半導体406a、半導体406b、半導体406cなどに適用可能な酸化物半導体の構造およびその他の要素である。以上のような酸化物半導体を半導体406a、半導体406b、半導体406cなどに適用することで、トランジスタ490は、良好な電気特性が得られる。例えば、優れたサブスレッショルド特性や極めて小さいオフ電流が得られる。また、高いオン電流や良好なスイッチングスピードが得られる。また、高い耐圧が得られる。
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る半導体装置を適用した半導体装置の構成の一例について、図16を用いながら説明する。
図16に示す半導体装置300は、CPUコア301、パワーマネージメントユニット321および周辺回路322を有する。パワーマネージメントユニット321は、パワーコントローラ302、およびパワースイッチ303を有する。周辺回路322は、キャッシュメモリを有するキャッシュ304、バスインターフェース(BUS I/F)305、及びデバッグインターフェース(Debug I/F)306を有する。CPUコア301は、データバス323、制御装置307、PC(プログラムカウンタ)308、パイプラインレジスタ309、パイプラインレジスタ310、ALU(Arithmetic logic unit)311、及びレジスタファイル312を有する。CPUコア301と、キャッシュ304等の周辺回路322とのデータのやり取りは、データバス323を介して行われる。
本発明の一態様に係る半導体装置は、キャッシュ304に適用することができる。その結果、キャッシュの小型化、高密度化、または大容量化が可能となり、小型化した半導体装置、記憶容量のより大きな半導体装置、より高速で動作する半導体装置、或いはより低消費電力の半導体装置を提供できる。
制御装置307は、PC308、パイプラインレジスタ309、パイプラインレジスタ310、ALU311、レジスタファイル312、キャッシュ304、バスインターフェース305、デバッグインターフェース306、及びパワーコントローラ302の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU311は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ304は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC308は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図16では図示していないが、キャッシュ304には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ309は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル312は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、またはALU311の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ310は、ALU311の演算処理に利用するデータ、またはALU311の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース305は、半導体装置300と半導体装置300の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース306は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置300に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ303は、半導体装置300が有する、パワーコントローラ302以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ303によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ302はパワースイッチ303の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置300は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア301が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ302のレジスタに設定する。次いで、CPUコア301からパワーコントローラ302へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置300内に含まれる各種レジスタとキャッシュ304が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置300が有するパワーコントローラ302以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ303により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ302に入力されることで、半導体装置300が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ302にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ304が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置307における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
本発明の一態様に係る半導体装置をキャッシュ304に適用することで、キャッシュ304は、電源電圧の供給が停止されても、長期間データを保持することができる。したがって、パワーゲーティングを行う際に、キャッシュ304のデータを保持し続けることができ、退避する必要がない。その結果、電力と時間を削減することができる。つまり、キャッシュ304に本発明の一態様に係る半導体装置を適用せず、揮発性のSRAMを用いる場合には、パワーゲーティングの際に、キャッシュのデータを破棄するか半導体装置300の外部に退避する必要がある。データを破棄する場合には、復帰時に半導体装置300の外部からデータを取ってくるエネルギーと時間(つまり、キャッシュのウォームアップに必要なエネルギーと時間)を要するが、本発明の一態様に係る半導体装置を適用することで、これを削減することができる。データを退避する場合には、データの退避および復帰に必要な電力と時間を要するが、本発明の一態様に係る半導体装置を適用することで、これを削減することができる。
なお、本発明の一態様に係る半導体装置は、CPUだけでなく、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(Programmable Logic Device)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Microcontroller Unit)、RF−ID(Radio Frequency Identification)、カスタムLSIなどにも適用可能である。
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る半導体装置を適用した半導体装置の構成の一例について、図17を用いながら説明する。
図17に示す半導体装置800は、RFIDタグの構成の一例である。本実施の形態におけるRFIDタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このような特徴から、RFIDタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。
図17に示す半導体装置800は、アンテナ804、整流回路805、定電圧回路806、復調回路807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している。
本発明の一態様に係る半導体装置は、記憶回路810に適用することができる。その結果、記憶回路810の小型化、高密度化、または大容量化が可能となり、小型化した半導体装置、あるいは記憶容量のより大きな半導体装置を提供できる。
アンテナ804は、通信器801に接続されたアンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側または出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないように制御するための回路である。
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路809のリセット信号を生成するための回路である。
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに応じて変調を行うための回路である。
論理回路809は復調信号を解読し、処理を行うための回路である。記憶回路810は、入力された情報を保持する回路であり、ローデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。
なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式などがある。本実施の形態に示す半導体装置800は、いずれの方式に用いることも可能である。
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
なお、記憶回路810以外の回路において、nチャネル型トランジスタには、先の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。当該トランジスタが低いオフ電流と高いオン電流を有するため低いリーク電流と高速動作を両立することができる。また、復調回路807に含まれる整流作用を示す素子に、先の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタを用いてもよい。当該トランジスタが低いオフ電流を有するため、整流作用を示す素子の逆方向電流を小さく抑えることが可能となる。その結果、優れた整流効率を実現できる。また、これらの酸化物半導体を用いたトランジスタは同じプロセスで作製することができるため、プロセスコストを抑えたまま半導体装置800を高性能化できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例、及び該電子部品を具備する電子機器に適用する例について、図18、図19を用いて説明する。
図18(a)では上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例について説明する。なお電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。この電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。そこで、本実施の形態では、その一例について説明することにする。
図3に示すようなトランジスタで構成される半導体装置は、組み立て工程(後工程)を経て、プリント基板に脱着可能な部品が複数合わさることで完成する。
後工程については、図18(a)に示す各工程を経ることで完成させることができる。具体的には、前工程で得られる素子基板が完成(ステップS1)した後、基板の裏面を研削する(ステップS2)。この段階で基板を薄膜化することで、前工程での基板の反り等を低減し、部品としての小型化を図る。
基板の裏面を研削して、基板を複数のチップに分離するダイシング工程を行う。そして、分離したチップを個々にピックアップしてリードフレーム上に搭載し接合する、ダイボンディング工程を行う(ステップS3)。このダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接着は、樹脂による接着や、テープによる接着等、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、ダイボンディング工程は、インターポーザ上に搭載し接合してもよい。
次いでリードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する、ワイヤーボンディングを行う(ステップS4)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂等で封止される、モールド工程が施される(ステップS5)。モールド工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、機械的な外力から、内蔵される回路部やワイヤーを保護することができ、また水分や埃による特性の劣化を低減することができる。
次いでリードフレームのリードをめっき処理する。そしてリードを切断及び成形加工する(ステップS6)。このめっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。
次いでパッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す(ステップS7)。そして最終的な検査工程(ステップS8)を経て電子部品が完成する(ステップS9)。
以上説明した電子部品は、先の実施の形態で説明した半導体装置を含む構成とすることができる。そのため、小型化、高密度化、または大容量化された記憶装置を有する電子部品を実現することができる。該電子部品は、小型化あるいは記憶容量の大容量化が図られた電子部品である。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図18(b)に示す。図18(b)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図18(b)に示す電子部品700は、リード701及び半導体装置703を示している。図18(b)に示す電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板704)が完成する。完成した実装基板704は、電子機器等の内部に設けられる。
上述の電子部品は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Discなどの記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に適用することができる。その他に、上述の電子部品を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤーなど)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図19に示す。
図19(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908などを有する。なお、図19(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図19(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部913、第2表示部914、接続部915、操作キー916などを有する。第1表示部913は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられている。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、フォトセンサーとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図19(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キーボード923、ポインティングデバイス924などを有する。
図19(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉933などを有する。
図19(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946などを有する。操作キー944およびレンズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されており、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能である。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体942との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図19(F)は普通自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト954などを有する。
これらの電子機器に、本発明の一態様に係る半導体装置(メモリセル)を含む、小型化、高密度化、または大容量化された記憶装置を有する電子部品を適用することで、小型の電子機器、または、高性能の電子機器を提供できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とを含むものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも含むものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Aから出力された信号がBへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
なお、明細書の中の図面や文章において規定されていない内容について、その内容を除くことを規定した発明の一態様を構成することが出来る。または、ある値について、上限値と下限値などで示される数値範囲が記載されている場合、その範囲を任意に狭めることで、または、その範囲の中の一点を除くことで、その範囲を一部除いた発明の一態様を規定することができる。これらにより、例えば、従来技術が本発明の一態様の技術的範囲内に入らないことを規定することができる。
具体例としては、ある回路において、第1乃至第5のトランジスタを用いている回路図が記載されているとする。その場合、その回路が、第6のトランジスタを有していないことを発明として規定することが可能である。または、その回路が、容量素子を有していないことを規定することが可能である。さらに、その回路が、ある特定の接続構造をとっているような第6のトランジスタを有していない、と規定して発明を構成することができる。または、その回路が、ある特定の接続構造をとっている容量素子を有していない、と規定して発明を構成することができる。例えば、ゲートが第3のトランジスタのゲートと接続されている第6のトランジスタを有していない、と発明を規定することが可能である。または、例えば、第1の電極が第3のトランジスタのゲートと接続されている容量素子を有していない、と発明を規定することが可能である。
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、3V以上10V以下であることが好適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、−2V以上1V以下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、ある電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。なお、例えば、その電圧が、5V以上8V以下であると発明を規定することも可能である。なお、例えば、その電圧が、概略9Vであると発明を規定することも可能である。なお、例えば、その電圧が、3V以上10V以下であるが、9Vである場合を除くと発明を規定することも可能である。なお、ある値について、「このような範囲であることが好ましい」、「これらを満たすことが好適である」となどと記載されていたとしても、ある値は、それらの記載に限定されない。つまり、「好ましい」、「好適である」などと記載されていたとしても、必ずしも、それらの記載には、限定されない。
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、10Vであることが好適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、−2V以上1V以下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、ある電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。
別の具体例としては、ある物質の性質について、例えば、「ある膜は、絶縁膜である」と記載されているとする。その場合、例えば、その絶縁膜が、有機絶縁膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その絶縁膜が、無機絶縁膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その膜が、導電膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その膜が、半導体膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。
別の具体例としては、ある積層構造について、例えば、「A膜とB膜との間に、ある膜が設けられている」と記載されているとする。その場合、例えば、その膜が、4層以上の積層膜である場合を除く、と発明を規定することが可能である。または、例えば、A膜とその膜との間に、導電膜が設けられている場合を除く、と発明を規定することが可能である。
なお、本明細書等において記載されている発明の一態様は、さまざまな人が実施することが出来る。しかしながら、その実施は、複数の人にまたがって実施される場合がある。例えば、送受信システムの場合において、A社が送信機を製造および販売し、B社が受信機を製造および販売する場合がある。別の例としては、トランジスタおよび発光素子を有する発光装置の場合において、トランジスタが形成された半導体装置は、A社が製造および販売する。そして、B社がその半導体装置を購入して、その半導体装置に発光素子を成膜して、発光装置として完成させる、という場合がある。
このような場合、A社またはB社のいずれに対しても、特許侵害を主張できるような発明の一態様を、構成することが出来る。つまり、A社のみが実施するような発明の一態様を構成することが可能であり、別の発明の一態様として、B社のみが実施するような発明の一態様を構成することが可能である。また、A社またはB社に対して、特許侵害を主張できるような発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断する事が出来る。例えば、送受信システムの場合において、送信機のみの場合の記載や、受信機のみの場合の記載が本明細書等になかったとしても、送信機のみで発明の一態様を構成することができ、受信機のみで別の発明の一態様を構成することができ、それらの発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが出来る。別の例としては、トランジスタおよび発光素子を有する発光装置の場合において、トランジスタが形成された半導体装置のみの場合の記載や、発光素子を有する発光装置のみの場合の記載が本明細書等になかったとしても、トランジスタが形成された半導体装置のみで発明の一態様を構成することができ、発光素子を有する発光装置のみで発明の一態様を構成することができ、それらの発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが出来る。
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定された内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数のケース考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であると言える。そして、機能が特定された発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって、ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取り出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。そして、その発明の一態様は明確であると言える。そのため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、配線、受動素子(容量素子、抵抗素子など)、導電層、絶縁層、半導体層、有機材料、無機材料、部品、装置、動作方法、製造方法などが単数もしくは複数記載された図面または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。例えば、N個(Nは整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有して構成される回路図から、M個(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。別の例としては、N個(Nは整数)の層を有して構成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、N個(Nは整数)の要素を有して構成されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N)の要素を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、「Aは、B、C、D、E、または、Fを有する」と記載されている文章から、一部の要素を任意に抜き出して、「Aは、BとEとを有する」、「Aは、EとFとを有する」、「Aは、CとEとFとを有する」、または、「Aは、BとCとDとEとを有する」などの発明の一態様を構成することは可能である。
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念を導き出すことは、当業者であれば容易に理解される。したがって、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。そして、その発明の一態様は、明確であると言える。
なお、本明細書等においては、少なくとも図に記載した内容(図の中の一部でもよい)は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。したがって、ある内容について、図に記載されていれば、文章を用いて述べていなくても、その内容は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。同様に、図の一部を取り出した図についても、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。そして、その発明の一態様は明確であると言える。