本発明は代替経路を生成する方法及びシステムに関し、また、代替経路を生成するように構成されたナビゲーション装置及びサーバに拡張される。本発明を説明する実施形態はポータブル・ナビゲーション装置(いわゆるPND)、特に全地球測位システム(GPS)信号の受信及び処理機能を含んだPNDに関する。他の実施形態は、より一般的に、任意の処理装置であって、経路計画機能や好ましくはナビゲーション機能を提供するためのナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された処理装置に関する。本発明の更なる側面は一般的に経路生成に関する。
GPS(全地球測位システム)信号を受信及び処理する機能を含むポータブル・ナビゲーション装置(PND)はよく知られており、車内又は他の車両ナビゲーションシステムに広く用いられている。
大まかに言えば、現代的なPNDはプロセッサと、メモリ(少なくとも揮発性と不揮発性のいずれか、或いは一般的に両方)と、当該メモリ内に保存されたマップデータとを有する。このプロセッサとメモリは共同してソフトウェア・オペレーティング・システムの構築され得る実行環境を提供し、さらに1つ以上の追加的なソフトウェアプログラムが提供されて制御されるPNDの機能を使用可能にするとともに他の様々な複数の機能を提供する汎用的なものである。
典型的に、これらの装置は、ユーザが装置と対話し装置を操作することができる1つ以上の入力インターフェースと、ユーザに関連し得る情報を用いる1つ以上の出力インターフェースを有する。出力インターフェースの実例は、表示装置と音声出力のためのスピーカを含み、入力インターフェースの実例は、オン/オフ操作や装置の他の機能を制御する1つ以上の物理的なボタン(ボタンは装置そのものに必須であるのではなく、装置が車両に搭載されている場合はハンドルにあり得る)、及びユーザの発話を検出するマイクを含む。特に好適な装置では、出力インターフェースの表示装置は(タッチセンサ式かあるいはその他を用いた)タッチスクリーンによって構成され得、ユーザが接触による装置の操作を可能にした入力インターフェースを追加的に提供する。
この種の装置は、しばしば電源を、オプションとしてデータ信号を、送信し又は装置から受信する1つ以上の物理的なコネクタインターフェースと、オプションとして移動体通信や例えばWi−Fi、Wi−Max GSM等の他の信号やデータネットワーク経由の通信を可能にする1つ以上の無線送信/受信器を含む。
この種のPND装置は、位置データを含む衛星送信信号を受信して装置の現在位置を判定する処理を順次実行するGPSアンテナを含む。
この種のPND装置はまた、現在の角度と直線加速を判定するために処理可能な信号、あるいは、GPS信号に基づく位置情報、速度及び装置の相対変位、即ち装置の設置された位置と合わせた信号を生成する電子ジャイロスコープ及び加速度計を含む。典型的にこのような機能は最も一般的に車両搭載用ナビゲーションシステムとして提供され、好適にはPND装置にも提供される。
このようなPNDの有益な点はまず、第1の位置(典型的には出発又は現在位置)と第2の位置(典型的には目的地)の経路を判定する機能であることは明白である。これらの位置は装置のユーザにより入力可能であり、任意の様々な方法、例えば郵便番号、道路や住所、予め格納された周知(well known)な目的地(有名な場所、公共の場所(スポーツグラウンド、プール、他の遊技場等)等)及び、お気に入り又は最近訪れた場所で入力される。
典型的には、PNDは、出発地と目的地との間の最良又は最適な経路を地図データから演算するソフトウェアによって実現される。最良又は最適な経路は予め定められた基準に基づいて判定され、最速又は最短の経路であることは必ずしも必要ではない。運転手を案内するための経路の選択は洗練されたものであり得、この経路の選択は過去、既存かつ予想された又は少なくともいずれかの交通情報と道路情報を考慮し得る。
加えて、この装置は継続的に道路及び交通状況を監視して、状況の変化によって生じた、残りの行路に対する経路変更を提供し又は選択し得る。様々な技術(例えば携帯電話データの交換、固定カメラ、GPSフリート追跡)に基づくリアルタイムの交通監視システムは、交通の遅延を特定し、通知システムに情報を配信するために用いられる。
この種のPNDは、典型的には車両のダッシュボード又は風よけに設置されるが、車載ラジオ用のダッシュボードコンピュータの一部や車両自体の制御システムの一部としても形成され得る。ナビゲーション装置は、PDA(Portable Digital Assistant)メディアプレイヤ、携帯電話等の携帯型のシステムの一部にもなり得、この場合、経路計算と計算された経路に沿ったナビゲーションとの両方を実行するソフトウェアを導入することによって、携帯型システムの通常の機能が拡張される。
経路計画とナビゲーション機能は、適切なソフトウェアを実行するデスクトップ型又は携帯型のコンピュータリソースによって提供され得る。例えば、オンラインの経路計画及びナビゲーションの設備はroutes.tomtom.comにおいて提供され、この設備はユーザに出発地点と目的地の入力を可能にして、ユーザのPCが接続するサーバにおいて(ユーザの指定する観点で)経路を計算し、地図を生成するとともに、選択された出発地点から選択された目的地へユーザを案内するための包括的なナビゲーション指示群を生成する。この設備はまた、計算された経路の擬似的な3次元状のレンダリングと経路に沿ったユーザの移動をシミュレーションして計算された経路のプレビューとを提供することによって、計算された経路のプレビュー機能をユーザに提供する。
PNDに関しては、経路が計算されると、ユーザはナビゲーション装置と対話して所望の経路を選択し、オプションとして提案された経路のリストから選択する。オプションとして、ユーザは経路選択プロセスに介在し、又は経路選択プロセスを誘導しうる。これは例えば、特定の行路における所定の経路、道路、位置又は基準について回避すべきあるいは必須のものをユーザが特定することによりなされ得る。PNDにおける経路計算は1つの基本的な機能を形成するとともに、経路に沿ったナビゲーションはもう1つの基本的な機能を形成する。
計算された経路に沿ったナビゲーションの間に、PNDは一般に、視覚及び音声の少なくともいずれかの指示を提供して、経路の最後、即ち所望の目的地までの選択された経路に沿ってユーザを案内する。また、PNDは一般に、ナビゲーションの間に画面に地図情報を表示して、地図情報が装置の現在位置を示すように画面上の情報を定期的に更新し、これによりユーザの現在位置あるいは装置が車載ナビゲーションである場合はユーザの車両の現在位置を示す。
画面に表示されるアイコンは典型的には現在の装置の位置を表すとともに、現在の道路の地図情報の中心に置かれて、現在の装置の位置の周囲の道路と他の地図上の特徴が表示される。さらに、ナビゲーション情報は、オプションとして地図情報の上下又は一方の側面のステータスバー内に表示され得、ナビゲーション情報の例には、現在の道路からユーザが取るべき次の変更までの距離や、更なるアイコンによって表される変更の性質であって例えば左折や右折といった変更の種類を示すものが含まれる。また、ナビゲーション機能は経路に沿ってユーザを案内する音声指示の内容、期間及びタイミングを判定する。理解されるように、「100mで左折してください」のように単純な指示には重要な処理と分析が必要となる。上述したように、装置とのユーザインタラクションは、タッチスクリーンによって、又は、追加的又は代替的にリモートコントロールに取り付けられたステアリング、音声又は他の適切な方法によってなされ得る。
さらに装置によって提供される重要な機能は、イベントの発生時に自動的な経路の再計算を行うことであり、そのイベントは、ナビゲーションの間に以前に計算した経路からユーザが(偶然又は意図的に)外れるか、リアルタイムの交通状況が代替経路の方がより好都合であることを示し且つ装置がこの状況を自動的に認識するように適切に有効化されているか、又はユーザが何らかの理由によって経路の再計算を装置に積極的に実行させる場合に発生する。
経路計算の機能及びナビゲーション機能はすべてのPNDの効用のうちの基本的なものであるが、純粋な情報表示用の装置や、現在の装置位置に関連する地図情報を表示させ、装置によって計算された経路もナビゲーションも表示させないフリードライビングの装置として使用することもできる。このような操作モードは、ユーザはすでに所望の移動についての経路を把握しておりナビゲーションの補助を必要としない場合にしばしば適用される。
上述した種類の装置、例えばトムトム・インターナショナルB.V.によって製造及び供給されるGO Live 1005モデルは、ある位置から他の位置へユーザをナビゲートする信頼性の高い機能を提供する。
経路に沿ったナビゲート又は経路の計画の際には、装置又は経路生成機能を持つ他のシステムによって起点から目的地の間の代替経路がユーザに表示される。この機能は、単に時間や距離、燃費の観点から最適化された1つの経路を提供するよりも、ユーザが他の理由で好む可能性のあるいくつかの経路を決定する機会を提供する。これらの経路は典型的には、例えば時間といった与えられた基準によって最適化されたものではないが、ユーザにとって他の理由により好適なものになり得る。他の理由には、例えば特定の交差点やユーザの好まない道路地帯の回避や、より良い景色などがある。代替経路のオプションをユーザに提示するシステムは、国際出願WO2012/034581A1号公報として公開された、出願人の「代替ナビゲーション指示を提供するナビゲーション装置」(Navigation Device with Alternative Navigation Instructions)との名称の出願に記載され、その全内容は参照により援用される。
他のシステムでは、現在の状況に基づいて起点及び目的地間の最速の経路が計算される。ナビゲーションが開始されると交通状況は変化し、当該経路はもはや最速の経路でなくなる。このような状況では、実際の交通状況を考慮した新たな最速の経路が生成されて、ユーザに提案される。これは、現在の状況下におけるより速い経路に対するバックグラウンドでの確認が、例えばPNDによるナビゲーション処理として継続的に実行される結果であるか、経路の先の交通イベントを示すメッセージを例えばライブフィードを介して受信することに応じたものであり得る。これらの方法は実際の交通状況に反応し、既存の経路がもはや最速でなくなった場合に、より速い新たな経路を単に提供するものである。
ユーザが望み得る、気の利いた代替経路の生成及び選択は、ある課題を提起する。理解されるように、例えば最速の経路のようなある基準とは異なる方法で、多数の経路が理論的に提供され得る。これまで、例えば最速の経路のような基準とは異なる経路のみを提供する、又はより高品質な代替経路を提供する様々な技術が提供されてきた。しかし、有用な代替経路を生成する改善された方法及びシステムの必要性が存在すると出願人は考える。
発明の第1の側面に基づいて、電子地図に含まれる地域内の経路を生成する方法が提供される。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を表す複数の区域を含み、少なくとも複数であって好適には各区域は、この区域上の混雑の可能性を表す混雑確率データと関連付けられており、この方法は、地域内の第1の経路起点と経路目的地の間の第1の経路を生成するステップと、地域内の区域に関連付けられた混雑確率データを用いて、代替経路起点と代替経路目的地の間の少なくとも1つの代替経路を生成するステップとを有し、この代替経路起点は第1の経路起点又は第1の経路上の位置であって、代替経路目的地は第1の経路目的地又は第1の経路上の位置である。
従って、この発明に基づけば、代替経路(又は複数の代替経路)が電子地図の区域に関連付けられた混雑確率データを参照して生成される。これは交通の影響を受ける区域の可能性、即ち区域の混雑確率を参照して混雑に強い(jam resistant)経路を提供することで有用な代替経路の生成を可能にする。これは、単に現在の交通状況を考慮することに対して、経路が計画された時とナビゲーションが開始された時との間、又は経路に沿った実際のナビゲーションの最中に交通状況が急激に変化し得る事実を反映するものである。混雑確率(jam probability)に対する考慮は、交通の問題の影響を受け難いであろう区域を特定する方法を提供して、選択された経路が現時点において最速の経路でなくても、選択された経路が交通状況の変化の中で少なくとも予見可能かつ合理的な移動時間であるという、強い信頼感をユーザに抱かせ得る。これは、経路に沿ったナビゲーションにおいて新たな最速の代替経路、即ち元の経路が交通の影響を受けた場合に代替経路が現在の交通状況下で最速の経路を提供する、既知のコンセプトとは異なる。このような技術は、未来の交通によって影響を受ける代替経路の可能性を考慮に入れていない。
ここで、混雑確率(jam probability)又は複数の混雑確率(jam probabilities)は、その内容が他の事項を要求しない限り、これらの事項を表すデータを参照するものと理解されるべきである。この分野で知られているように、このデータは、任意の方法で確率又は複数の確率を表し得、かつ、直接又は間接的にこれらを表し得る。
本発明は、ここに記載される任意の側面又は実施形態に基づく方法を実行するシステムに拡張される。
発明の第2の側面に基づいて、電子地図に含まれる区域内の経路を生成するシステムが提供される。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を表す複数の区域を含み、少なくとも複数であって好適には各区域は、この区域上の混雑の可能性を表す混雑確率データと関連付けられており、このシステムは、地域内の第1の経路起点と第1の経路目的地の間の第1の経路を生成する手段と、地域内の区域に関連付けられた混雑確率データを用いて、代替経路起点と代替経路目的地の間の少なくとも1つの代替経路を生成する手段とを有し、この代替経路起点は第1の経路起点又は第1の経路上の位置であって、代替経路目的地は第1の経路目的地又は第1の経路上の位置である。
当分野の当業者が理解するように、本発明の更なる側面は、ここに記載される本発明の任意の1つ以上又は全ての好適かつオプションの特徴を、本発明の任意の他の側面に関する限り適宜含むことができる。明示的に示されていない限り、ここに記載される発明のシステムは、任意の側面又は実施形態における本発明の方法に関して記載された任意のステップを実行する手段を有し、またその逆も同様である。
本発明はコンピュータに実装された発明であり、本発明の任意の側面又は実施形態に関して記載された任意のステップは1つ以上のプロセッサのセットによる制御下で実行され得る。このシステムに関して記載された任意のステップを実行する手段は、1つ以上のプロセッサのセットであり得る。
本発明の方法は、好ましくはナビゲーション操作に関する内容において実行される。従って、この方法は、好ましくはナビゲーション機能を有する装置又はシステムの1つ以上のプロセッサのセットによって実行される。しかしながら、この方法はまた、必要なナビゲーション機能を持たずに、経路生成機能を有する適切なシステムによって実行され得ることが理解される。例えば、この方法は、コンピュータシステムによって実行され得、このコンピュータシステムは、ナビゲーション機能を持たない例えばデスクトップやラップトップシステムである。ユーザには、複数の代替的な生成された経路が提供され得る。これらの生成された経路は、その後印刷されるか、その後に経路選択を補助するための他の方法に用いられ、又は、ナビゲーション装置にダウンロードする等、将来的な使用のために格納され得る。
好ましい実施形態では、任意の側面又は実施形態における本発明の方法は、ナビゲーション装置を用いて実行され、かつ、本発明は任意の側面又は実施形態における本発明の方法に係るステップを実行するように構成されるように拡張される。このナビゲーション装置はPNDあるいは車載等の統合された装置であり得る。
発明の任意の側面又は実施形態に基づいて、ナビゲーション装置は、電子地図をユーザに表示するディスプレイと、1つ以上のプロセッサのセットであって、デジタル地図データにアクセスし、電子地図を、ディスプレイを介してユーザに表示させるように構成されたプロセッサのセットと、ユーザによって操作可能ユーザインターフェースであってユーザが装置と対話可能にするユーザインターフェースと、を有する。
本発明の更なる側面に基づいて、電子地図に含まれる区域内の経路を生成するように構成されたナビゲーション装置が提供される。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を表す複数の区域を含み、地域内の第1の経路起点と経路目的地の間の第1の経路を生成し、地域内の区域に関連付けられた混雑確率データを用いて、代替経路起点と代替経路目的地の間の少なくとも1つの代替経路を生成する、ことによって、この区域上の混雑の可能性を表す混雑確率データと関連付けられており、この代替経路起点は第1の経路起点又は第1の経路上の位置であって、代替経路目的地は第1の経路目的地又は第1の経路上の位置である。
他の実施形態において、任意の側面又は実施形態における本発明の方法は、サーバによって実行され、本発明は本発明の任意の側面又は実施形態の方法のステップを実行するように構成されたサーバに拡張される。
本発明の更なる側面に基づいて、電子地図に含まれる区域内の経路を生成するように構成されたサーバが提供される。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を表す複数の区域を含み、少なくとも複数であって好適には各区域は、地域内の第1の経路起点と経路目的地の間の第1の経路を生成し、地域内の区域に関連付けられた混雑確率データを用いて、代替経路起点と代替経路目的地の間の少なくとも1つの代替経路を生成する、ことによって、この区域上の混雑の可能性を表す混雑確率データと関連付けられており、この代替経路起点は第1の経路起点又は第1の経路上の位置であって、代替経路目的地は第1の経路目的地又は第1の経路上の位置である。
従って、本発明のシステム又は1つ以上のプロセッサのセットは少なくともサーバ又はナビゲーション装置の一部であり得る。
この分野の当業者は理解するように、これらの本発明の更なる側面は、ここに記載される本発明の任意の1つ以上又は全ての好適又はオプションの特徴を、本発明の任意の他の側面に関する限り含むことができ、又は好適には含む。
勿論、本発明の側面又は実施形態における本発明に係る方法のステップは、一部をサーバによって、そして一部をナビゲーション装置によって実行され得る。例えば、経路生成は例えばナビゲーション装置の要求においてサーバによって実行されてユーザに出力するためにナビゲーション装置に提供される。この方法のステップは、排他的にサーバ上で実行され、又はある部分がサーバにより実行されて残りがナビゲーション装置上で実行されるあらゆる組み合わせで実行され、又は排他的にナビゲーション装置で実行され得る。サーバにおける1つ以上のステップの実行は効率的であり、ナビゲーション装置にかかる計算負荷を削減し得る。反対に、1つ以上のステップがナビゲーション装置で実行される場合、ネットワーク通信に必要となる任意の帯域を削減し得る。
1つ以上の区域に関して、関連付けられる(associated therewith)との語は、データストレージ上の位置についての特定の制限を何ら要求するものではないことに留意すべきである。この語は、1つの区域を特定可能な機能を単に要求するだけである。従って、関連は例えばリモートサーバに置かれる可能性のあるファイルへの参照によって得られ得る。
ここでは、区域(segment)はこの分野の通常の意味として用いられる。区域は、2つのノードを接続する通行可能なリンク、又はこれらの任意の部分であり得る。本発明の実施形態が道路区域と関連して記載しているとしても、本発明は他の、パス、川、運河、自転車道路、引き船道、線路等のような通行可能な区域に適用可能であることを理解すべきである。参照を容易にするため、これらは共通的に道路区域として参照されるが、道路区域(load segment)に対する参照は、通行可能な区域(navigable segment)又は任意の特定の種類又は複数の種類の区域に置き換えられ得る。
理解されるように、混雑確率データは電子地図の地域内の各区域に関連付けられる必要はないが、好ましい場合には、混雑確率データは少なくともいくつかの区域、即ち複数の区域と関連付けられて参照される。代替経路の生成を価値あるものにするため、混雑確率データは少なくともいくつか、好ましくは全ての区域であって、いわゆる経路回廊(routing corridor)の一部となる起点と目的地の間の経路を生成する場合に考慮される全ての区域と関連付けられるべきである。
本発明の実施形態では、1つの代替経路又は複数の代替経路が生成され得る。代替経路(又は複数の代替経路)は1つ以上の代替経路のセットとして参照され得る。代替経路又は複数の代替経路の生成に関するここでの説明のいずれもが、生成された任意の1つ又は複数もしくは各区域について適用可能である。
好ましい実施形態では、方法はさらに少なくとも1つの生成された代替経路を表す情報をユーザに提供するステップを含む。これは経路又は経路を示す情報をユーザに出力することを含み得る。この情報はいかなる方法で経路を示すものであってよく、例えば音声又は視覚的な情報であり得、好ましくは経路を視覚的に表すものであり得る。好ましい実施形態では、方法は経路又は複数の経路をユーザに表示するステップを含むが、他の形態も含み得る。例えば、この方法は代替的あるいは追加的に少なくとも1つの経路を表す情報を印刷し得る。好ましくは、経路を表す情報はナビゲーション装置を介してユーザに出力されるが、他の実施形態では経路を表す情報は任意の適切な処理装置によって出力される。例えば、この情報は経路生成機能を有するがナビゲーション機能を必要としないコンピュータ装置によって表示され得る。これは、サーバによって経路が生成されることと関連し得る。好ましい実施形態では、少なくとも1つの代替経路がPND又は車載等の統合ナビゲーション装置などのナビゲーション装置によって生成されるか否かに関わらず、経路又は複数の経路を表す情報はそのような装置によってユーザに出力される。例えば、経路の生成はリモートサーバで実行され、経路を表す情報はナビゲーション装置に提供されてユーザに出力される。好ましい実施形態では、経路又は複数の経路がどこで生成されようとも、経路を表示するステップは電子地図上に1つの経路又は各経路を重畳するステップを含み得る。予め定められた経路に沿ってナビゲーションをする間には、代替経路又は複数の代替経路を表す情報は、ユーザの現在位置が代替経路の起点を表す情報に到達する前にユーザに提供される。これにより、ユーザはその経路に従うか否かを決定するための時間を得ることができる。ユーザの現在位置は、例えばPNDや例えばユーザの車両内に設置されている、ユーザに関連付けられた統合装置などのナビゲーション装置の現在位置に対応し得る。
好ましくは、方法は第1の生成された経路を表す情報をユーザに提供するステップをさらに含む。このステップは、少なくとも1つの代替経路への参照で表される任意の方法で実行され得る。実施形態におけるこの方法は、第1の生成された経路と好ましくは少なくとも1つの代替経路を例えばユーザに表示する出力ステップを有し、好ましくは第1の生成された経路と少なくとも1つの代替経路とは、例えばユーザに同時に表示されるように出力され、例えばこれらの経路は電子地図上にともに表示される。
実施形態における方法は、少なくとも1つの代替経路に関する追加情報をユーザに提供する。この情報は、1つの経路又は各経路の予測移動時間及び移動情報の少なくともいずれかを含み得る。実施形態では、この情報はナビゲーション装置に例えば表示されることによって提供される。好ましい実施形態では、対応する情報は、第1の生成された経路に関連して提供される。これにより経路の比較が容易になり得る。これらの実施形態では、ユーザには情報が提供されて、代替経路の選択や現に代替経路(又は複数の代替経路)を無視して第1の経路を継続することに関する決定を可能にする。
代替的あるいは追加的に、この方法は少なくとも1つの生成された代替経路、及びオプションとして第1の生成された経路を格納するステップを含む。
実施形態では、方法は経路又は代替経路を選択する指示をユーザから受信するステップをさらに含む。この選択は、ユーザが通行することを望んだ選択された経路を表し得る。例えば、ユーザは適切なユーザインターフェースを介して経路又は代替経路を選択し得、このユーザインターフェースは例えばナビゲーション装置のユーザインターフェースであるか、経路生成機能を提供するコンピュータ装置に関連付けられたユーザインターフェースである。1つの代替経路のみが提供された場合、ユーザはその第1の経路より代替経路を使用することを選択し得る。もちろん、代替経路(又は複数の代替経路)が提供された場合にユーザはなお第1の生成された経路を使用することを決定することもできる。しかし、本発明は、代替手段を考慮して、第1の生成された経路を使用することを積極的に決定したという、選択した経路が確かであると感じる機会をユーザに提供する。
方法は、与えられた代替経路に沿ってユーザを案内するナビゲーション指示のセットを提供するステップをさらに含み得る。この複数の指示は、視覚的、音声を用いた、又は触覚に関する指示、もしくはこの分野で知られるこれらの組み合わせであり得、これは、ここでいうあらゆるナビゲーション指示に適用する。経路は、好ましくはユーザの選択した経路である。ナビゲーション指示は、ナビゲーション装置を介して、又はその他のユーザへの出力であって、例えば指示を表示あるいは印刷する等の経路生成機能を提供するコンピュータ装置を介してユーザに提供される。この指示はユーザが代替経路を選択したことに応じて提供され得る。
代替経路をユーザに提示する例示的な方法は、上述した国際出願WO2012/034581A1号公報に記載されている。
好ましくは、代替経路(又は複数の代替経路)は、自動的に、即ちユーザの介入なしに生成される。
1つ以上の代替経路を生成するステップは、任意の段階で実行され得、経路に沿ったナビゲーションの開始前又は最中に実行され得る。例えば、代替経路(複数の代替経路)は、経路計画の操作開始時に、ナビゲーション装置又は経路計画システムによって第1の経路と共に生成され得る。これらの実施形態では、第1の経路起点及び第1の経路目的地は、代替経路起点及び代替経路目的地に対応する。そして、ユーザは第1の経路に応じたナビゲーションが開始されるとその経路に従うか否かを決定し得る。上述したように、本発明はナビゲーション機能を有するシステムによる実行に限定されるものではなく、代替経路(又は複数の代替経路)は、ユーザによる評価のための経路生成システムによって生成されて、その経路はナビゲーション操作においてその後に使用され、又はナビゲーションに使用されること無くユーザによって評価され得る。ユーザは例えば、後の使用のためにその経路(又は複数の経路)を印刷又は保存し得る。
しかしながら、本発明は途中で(on the fly)実行される点で有利である。これらの実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は、代替経路(又は複数の代替経路)の途中(en route alternative route(s))として参照され得る。代替経路(又は複数の代替経路)は混雑確率を考慮した方法に基づいて生成されるため、最初の経路等において与えられる交通状況に関して適切な代替経路を特定する点で特に有用である。本発明は、交通の影響に対して強いことが期待される代替経路を生成する機能を提供する。従って、移動が開始されたとき、例えば最初の経路が交通による悪影響を受ける場合に、本発明は最も有利である。従って、好ましい実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は途中及び第1の経路のナビゲーション中の少なくともいずれかに生成される。第1の経路はナビゲートされている予め決まった経路である。本方法は、第1の経路に沿ってユーザを案内するためのナビゲーション指示のセットを提供するステップをさらに含み得る。
複数の実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は、第1の経路の移動中に生成され得、例えば交通事故、悪天候等のような、ナビゲートされている第1の経路の障害が発見された場合や、1つ以上の代替経路の生成を要求するユーザ入力に応じて、代替経路が生成され得る。ユーザは、経路に沿った移動が開始された後に他の適切な代替経路があるかを確認したくなる様々な理由に対して自ら決定することができる。好ましくは、代替経路(又は複数の代替経路)は、ライブ交通データ(live traffic data)を参照して生成されない。言い換えれば、経路は第1の経路上の交通に反応して生成されない。代替経路(又は複数の代替経路)の生成は、自動的又はユーザ入力に応じて発生する。いくつかの実施形態では、後により詳細を説明するように、経路(又は複数の経路)は第1の経路の案内中に自動的に生成され、この経路の生成はナビゲートされている第1の経路に沿ったディシジョンポイント又は複数のディシジョンポイントに関して行われる。これらの実施形態では、経路(又は複数の経路)は第1の経路に沿ったナビゲーションの間のバックグラウンドタスクとして自動的に生成され、これは従来型のシステムにおいて予め定められた経路に沿ったナビゲーションの間に新たな最速(fastest)経路を生成する方法と類似の方法で行われる。
第1の経路と、1つ又は各代替経路とは、それぞれ与えられた起点及び目的地間の各経路である。第1の経路起点と代替経路起点とは互いに同一であっても異なっていてもよい。同様に、第1の経路目的地と代替経路目的地は互いに同一であっても異なっていてもよい。第1の経路起点及び目的地と代替経路起点及び目的地とは、所望のものとして、又は自動的に、あるいはこれらの組み合わせにより選択され得る。
ここで、代替経路(又は複数の代替経路)が第1の経路に沿ったナビゲーションより先に生成される場合、その代替経路(と第1の経路)の起点及び目的値は、従来型の方法では典型的には経路計画の開始時にユーザによって特定される。これらの実施形態において、第1の経路と代替経路が第1の経路に沿ったナビゲーションの前に生成される場合、第1の経路起点及び目的地と代替経路起点及び目的地とは典型的には同一である。理解されるように、第1の経路は予め定められた他の経路に沿って移動する間に、第1及び代替経路目的地と起点が同一のまま、代替的に生成される。例えば、第1の経路は、従っている予め定められた経路上に位置する第1の経路起点に関連して生成される。そして、第1の経路は、例えば予め定められた経路の延長として当該予め定められた経路の継続を提供し得、もしくは、修正された残りの部分又は従うべき新たな経路となった予め定められた経路の一部分を提供し得る。このような状況では、第1の経路起点は自動的に選択され得る。この第1の経路起点及び代替経路起点は、予め定められた経路に沿った現在位置又は現在位置の前方に位置づけられる。
予め定められた経路に沿ったナビゲーションの間に代替経路(又は複数の代替経路)を生成し得る、好ましい実施形態では、少なくとも代替経路起点は自動的に選択され得る。代替経路目的地は、ユーザによって特定されることも特定されないこともあり得る。
他の変形例では、第1の経路と代替経路(又は複数の代替経路)は、予め定められた経路に沿ったナビゲーションの間に生成され得、このとき第1の経路及び代替経路(又は複数の代替経路)の起点は予め定められた経路上に位置する。これらの変形例では、第1の経路は予め定められた経路の継続であり得、又は、予め定められた経路の残りの部分の修正等であり得る。
好ましくは、第1の経路はナビゲートされている予め定められた経路である。ナビゲートされている経路とは、この分野で通常理解され得るように、ユーザが例えばナビゲーション装置によって案内されている経路であり、好ましくは、提供されているナビゲーション指示(又は複数のナビゲーション指示)と関連するものである。これらは、経路の表示形態、典型的には、例えば運転操作を表す1つ以上の指示のセットの組み合わせ、及び経路に従うためにユーザがとるべき他の行動であり得、可聴及び視覚的の少なくともいずれかに提供され得る。代替経路が生成された時又は少なくともユーザに提供された時は、予め定められた経路は移動している経路を参照する。この実施形態では、代替経路起点は、好ましくは第1の経路、即ちナビゲートされている経路、に沿った位置である。従って、代替経路起点と第1の経路起点は異なる。この第1の経路起点は、もともと、移動を始めるための経路計画プロセスにおいて、例えばユーザによって特定された起点である。代替経路起点は、好ましくは第1の経路、即ちナビゲートされている予め定められた経路に沿った、(ユーザ又はナビゲーション装置の)現在位置又は現在位置から先にある位置である。好ましい実施形態では、代替経路起点は、第1の経路に沿ったディシジョンポイントである。ディシジョンポイントは、経路選択のなされる位置である。好ましくは、本方法は、ユーザの現在位置が第1の経路に沿ったディシジョンポイントから所定の距離内であることの判定に応じて、代替経路(又は複数の代替経路)を生成するステップを含む。
実施形態では、ユーザの位置が代替経路(又は複数の代替経路)の起点に到達する前、例えば起点として用いられるディシジョンポイントに到達する前に、代替経路(又は複数の代替経路)の情報がユーザに提供される。ディシジョンポイントの前に代替経路(又は複数の代替経路)を判定することにより、ユーザは、方向転換や小さな道路に沿って道路ネットワークをカットすることなく、従うべき1つの経路を容易に選択し得る。ディシジョンポイントは、1つ以上の離れていく区域を有するノードにより定義され得る。これらの実施形態では、第1の経路に沿ってユーザがナビゲートされるので、本方法を用いて、与えられた位置即ち経路に沿った代替経路起点、から1つ以上の代替経路を生成する。
代替経路目的地は、第1の経路即ち従っている予め定められた経路の目的地、又は、代替経路起点と第1の経路目的地の間の、第1の経路に沿った位置であり得る。例えば、ユーザは後に、第1の経路目的地と代替経路の生成に用いられた目的地とが異なるような第1の経路に再び合流し得る。これらの実施形態では、もともとの第1の経路の計画の際、例えばユーザによって移動が開始される前に、第1の経路目的地が特定され得る。このような実施形態では、代替経路目的地は自動的に選択される。
混雑確率に基づいて、ユーザの従っている経路に沿ったディシジョンポイントに関連する代替経路を生成することにより、本発明は、ある地域、特に代替経路に対する交通情報又はタイミングの提供される地域の全体的な交通状況に関する選択肢をユーザに伝える効果的な方法を提供する。これらの実施形態は、現実的な代替経路の選択肢についての関連情報をユーザに提供するものであって、単純に現在の経路の詳細や現在の状況においてより速いであろう経路を提供するものではなく、例えば近隣道路の交通の詳細を提供するなど、ユーザに情報の過剰な負荷をかけることなく関連情報を提供する。
第1の経路に沿ったナビゲーションの間に本発明が実施される実施形態においては、1つ以上の代替経路が生成される前に、第1の経路が生成され得る。
理解されるように、これらの好ましい実施形態では、予め定められた第1の経路に沿った移動の間に、1つ以上からなる代替経路のセットが繰り返し生成される。従って、本方法の複数のステップは、第1の経路に沿った移動の間に1又は複数回繰り返され得る。例えば、本方法は、従っている第1の経路に沿った複数の連続するディシジョンポイントにおいて実行され得る。予め定められた経路に沿って移動する間にユーザが代替経路を選択した場合、当該選択された代替経路は、次の代替経路の生成のための第1の経路になり得る。
少なくとも1つの生成された代替経路は、第1の経路又は第1の経路の一部に対する代替(alternative)のための選択肢である。好ましい実施形態では、代替経路が生成され、好ましくはユーザに提供される前に、第1の経路が生成され、好ましくはユーザに提供される。上述したように、好ましい実施形態では、第1の経路はナビゲートされている予め定められた経路である。しかし、他の実施形態では、第1の経路及び代替経路は共に生成され、好ましくは出力され得る。
後に説明されるように、ここで説明されるあらゆる方法における代替経路の生成方法に加えて、本発明は新たな最適経路を生成する方法をさらに含み得る。この最適経路は例えば、現われている交通事象において、従っている現在の経路及び、代替経路の起点と代替経路の目的地との間の代替経路のうちで最速の経路である。換言すれば、予想された最速の経路又は最適経路に従っている場合であっても、最適経路又は最速の経路は代替経路のために使用していた起点と目的地に関して生成され得る。これにより、既存の経路が引き続き最速あるいは最適な経路であることを確認する方法を提供する。これらの実施形態では、最適経路が代替経路起点及び代替経路目的地の間で判定される場合、この最適経路は、同じ当該代替経路起点及び代替経路目的地の間における第1の経路(first route)になり得る。この第1の経路は、すでに従っている予め定められた経路の残りの部分に対応し得、また、もとの経路がもはや最適経路でない場合には新たな経路になり得る。
実施形態では、初めに生成される経路は、少なくとも1つの定められた基準に関して最適化された経路であり、この経路に対する少なくとも1つの代替経路は、当該少なくとも1つの定められた基準に関して最適化されていない経路である。好ましい実施形態では、この基準は時間である。即ち、初めに生成される経路は第1の経路起点と第1の経路目的地との間の最速の経路であり、少なくとも1つの代替経路は、代替経路起点と代替経路目的地との間の最速の経路ではない。第1の経路の関連性のある部分は、代替経路起点と代替経路目的地との間の最速又は最適経路でもあり得る。理解されるように、ここで最適化(optimised)されている経路というのは、他の制約が課された状態において、与えられた規準に関して、関連する起点と目的地との間で可能な限り最適化された経路である。例えば、高速道路を回避すべきであるとの仕様のような他の制約に対して、経路は時間に関して最適化される。この最適化は典型的には、現在時刻(又は、経路に沿った移動に影響を与え得る、例えば交通状況に関連した情報を受信して処理するために必要な、わずかな遅延を現在時刻に加えた近い値)であり得る与えられた時刻、移動するための経路における時刻、又は経路が生成された時刻が参照され得る。少なくとも1つの代替経路は、少なくとも最初に生成された経路に関連する規準の観点では最適化されない。従って、理解されるように、代替経路(又は少なくとも複数の経路)は、少なくとも1つの基準の観点では最初に生成された経路と比べて最適以下である。これは、起点及び目的地の少なくともいずれかが異なるような、複数の経路の一定の範囲の部分が参照される。代替経路の生成は、様々な理由でユーザが最適以下(sub-optimal)の経路に興味を示し得るという事実を認めるものである。例えば、ユーザの慣れている地域内をユーザが移動する場合、ユーザは各個人の嗜好に応じた、より良い又は興味のある経路を知っていると考え、このような経路を選択する機会、あるいは少なくとも最適な(optimal)経路のままにするかを積極的に決定する機会があることを望む。一方、好ましい実施形態では、これは特に混雑確率を考慮に入れた代替経路に関しては特に、第1の基準は時間であり、代替的又は追加的に用いられる他の基準は、距離、燃料効率、又は従来的な経路の生成に参照される他の任意の属性である。これらの属性は、複数の区域に割り当てられ、経路を判定する際にコスト関数において最小化され、最小コストの経路(least cost route)を提供する。従って、一般的には、第1の経路は、少なくとも1つの与えられた規準の観点において、好適には最小コストの経路である。少なくとも1つの代替経路は、反対に、与えられた少なくとも1つの基準において最小コストの経路ではない。
従来的なナビゲーションシステムは、ナビゲートされている、与えられた経路上で問題に遭遇した場合、代替経路を提案するように構成されている場合がある。しかし、このような経路は、現在の状況下において時間の観点で最適化された代替経路、即ち、新たな最速経路である。このことは、本発明の実施形態とは次の点で異なる。即ち、本実施形態の代替経路(又は複数の代替経路)は、現在の状況下において最適でない、即ち最速の経路ではないが、混雑確率を考慮に入れることにより、交通量が理論上のあるレベルまで増加したとしても、より信頼性の高い移動時間を提供する経路である。
混雑確率データは、代替経路の生成において様々な方法で用いられ得、単独あるいは、より好ましくは区域の他の属性、例えば以下で説明する混雑時の移動時間、非混雑時の移動時間等とともに用いられ得る。本実施形態では、代替経路(または複数の代替経路)は少なくとも区域に関連付けられた混雑確率データを用いて生成される。混雑確率は、区域で発生している交通渋滞の可能性を示す。混雑確率を考慮に入れることにより、生成された代替経路(又は複数の代替経路)は、例えば交通量が理論上の交通レベルになる場合の混雑の可能性を最小にする。これは、むしろ(例えば1日のある時刻における)理論上の混雑の可能性に基づいているものであり、実際に現在又は最近の状況における実際の混雑の発生に基づくものではない。提供される代替経路は、たとえ現在の状況、例えば交通量のない状況であっても、与えられた交通のレベルにおいて比較的速い経路であり、換言すれば、異なる交通状況においてより高いレベルの信頼性又は冗長性を有する。従って、既存の経路上に交通が見つかった場合(即ち実際の状況に応じて)に新たな最速の経路を判定し、経路を生成したときを発端として起こり得る交通の影響を考慮しない従来型の技術とは異なる。
実施形態では、方法は、区域に関連付けられた、少なくとも混雑確率データ(及び後に説明する任意の属性、例えば混雑時の速度及び非混雑時の速度を表すデータ)に基づいて経路を探索するステップと、代替的なナビゲーション可能な経路又は複数の経路を生成するステップとを有する。混雑確率に関する知識によって、単純に現在の交通状況を考慮するよりも将来の混雑の可能性を低減する方法で複数の経路を生成することができる。いくつかの実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は混雑確率を最小化する方法で生成され得る。従って、混雑確率データは、コスト関数の一形態として用いられ、より高い混雑確率は、結果として、対象となる区域に付属するコストをより高くする。このような方法における混雑確率の使用は、典型的には最速(fastest)の経路を返すものではないが、交通の影響を受け難い方法、例えば、移動時間がより予想可能になり得、かつ、任意の混雑に関連する遅延によって影響を受ける可能性が低くなる方法である。そのような経路は、冗長な(robust)又は信頼できる(reliable)経路とみなされ得る。複数の代替経路が提供された場合、混雑の影響の受容性に関しては異なっていてもいなくてもよい。例えば、システムは、混雑の可能性に対して定められた閾値を下回る、全て代替経路を表示するように構成され得、また、ユーザが特定し得る所定の数の代替経路を表示するように構成され得る。しかし、混雑確率データは、より複雑な方法にのみ、又は他のデータ、例えば交通量に関するデータと共に用いられる。
本発明に従って、少なくとも1つの代替経路は、電子地図に含まれる地域内の区域に関連付けられた混雑確率を表すデータを考慮して生成される。これらは、代替経路(又は複数の代替経路)を含む候補区域であり、起点と目的地との間のいわゆる経路回廊(routing corridor)に配置され得る。任意の適切な技術が使用され、代替経路(又は複数の代替経路)と第1の経路の生成には任意の既知の経路技術が使用され得る。例えば、代替経路を生成し得る様々な技術は、但し混雑確率を参照するものではないが、パレート分析、プラトー又はペナルティー関数を用いるタイプの方法のような技術が知られている。これらの技術又はこれらの技術の組み合わせに基づく方法が使用されうる。これらの技術は特に、代替経路として考慮される区域の選択に関連し、より気の利いた(sensible)経路の特定を可能にする。実施形態では、第1の経路は、電子地図に含まれる地域内の区域に関連付けられた混雑確率を考慮することなく生成される。
好ましい実施形態では、第1の経路は、第1の区域のセットを参照して生成され、かつ、少なくとも1つの代替経路は第1の区域のセットの一部を参照して生成される。実施形態では、第1の区域のセットは、全道路ネットワーク又は、少なくとも関連する経路回廊であって起点と目的地との間の経路が存在し得る経路回廊を形成する区域である。さらに、少なくとも1つの代替経路は、これらの道路区域のサブセット、即ち全てではない、を参照して生成される。実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は、さらに限定された代替用区域ネットワーク(alternatives segment network)を参照して生成される。これにより、生成され得る可能性のある代替経路の数を制限し、より関連性の高い代替経路の提供を可能にする。少なくともいくつか、好ましくはそれぞれの、代替経路を生成する際に考慮される区域のセットは、それらに関連付けられた混雑確率データを有する。代替用ネットワークは、従っている予め定められた経路又は第1の経路に沿ったディシジョンポイントと関連付けられた区域のネットワークであり得る。重なり合い、入り交じっている複雑なネットワークである複数の代替経路を探索するよりも、ディシジョンポイントを考慮し、ディシジョンポイントの出発区域によって特定される、あり得る経路のオプションを考慮する方がより効率的である。これにより、考慮される区域、特にディシジョンポイントの間の広い領域内において考慮される区域の数が低減され得る。従って、経路は適切な区域を用いて構成され得る。
実施形態では、少なくとも代替経路は、従っている予め定められた経路である第1の経路を参照して、例えば経路に沿ったディシジョンポイントを参照して、生成される。実施形態では、代替経路は、第1の経路、例えばこの経路に沿ったディシジョンポイント、を参照して選択された区域の一部を参照して生成される。ある好ましい実施形態では、方法は、第1の経路起点と第1の経路目的地との間の第1の経路を生成するステップと、その後に第1の経路を参照して代替経路起点と代替経路目的地との間の1つ又は各代替経路を生成するステップと、を有する。この方法は、第1の経路を参照して代替経路起点と代替経路目的地との間の1つ又は各代替経路を生成するときに、考慮に入れる区域のセットを選択する方法を含み得る。代替経路は、第1の経路に沿った1つ又は複数のディシジョンポイントを参照することにより、又は第1の経路に沿った複数の区域を参照することによって生成され得る。複数の代替経路が生成された場合、追加の代替経路(又は複数の代替経路)は第1の経路を参照して、又は他の代替経路を参照して生成され得る。これにより、反復型の処理を提供することができる。
混雑確率が遅延の影響を受け難い経路の選択に有用である一方で、異なる区域に対しては、勿論、区域に関連付けられた混雑は遅延のレベルを変化させる。混雑は、ある区域では移動時間に対して実際にほとんど影響を与えないが、他の区域には大きな影響を与え得る。従って、各区域において少なくとも混雑時の移動時間を表すデータを追加的に考慮することは有益である。好ましくは、各区域は、追加的にその区域に関連付けられた混雑時の移動時間データを有し、当該混雑時の移動時間データは混雑時と判断されたときに当該区域を通過するために要した時間を表す。そして、代替経路(又は複数の代替経路)の生成ステップは追加的に当該混雑時の移動時間データを用いる。
それぞれの区域は、さらに区域に関連付けられた非混雑時の移動時間データを有し、非混雑時の移動時間データは混雑していないと判断されたときに当該区域を通過するために要した時間を表す。そして、代替経路(又は複数の代替経路)の生成ステップは追加的に当該非混雑時の移動時間データを用いる。好ましい実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)の生成において、混雑時の移動時間データと非混雑時の移動時間データの両方が混雑確率データとともに用いられる。
混雑時の移動時間データと非混雑時の移動時間データは、直接又は間接的に混雑時又は非混雑時における経路を渡る移動時間を表し得る。例えば、混雑時の移動時間データと非混雑時の移動時間データは、混雑時の移動速度と非混雑時の移動速度を単位として、区域の長さと共に用いて移動時間を導き得る。
好ましくは、混雑時の移動時間データ又は非混雑時の移動時間データは、区域における混雑時速度の平均又は非混雑時の速度の平均に基づくものである。この混雑時速度又は非混雑時速度は、望ましくは混雑状況を表す適切な速度の閾値を参照して判定され得る。更なる混雑時又は非混雑時の移動時間の導出については後に説明する。
好ましくは、混雑確率と、提供された場合には混雑時の移動時間データ及び非混雑時の移動速度データの少なくともいずれかとは、時間に依存する。好ましい実施形態では、混雑確率と、提供された場合には混雑時の移動時間データ又は非混雑時の移動速度データとは、混雑時又は混雑していない時の定められた期間内における、混雑の確率又は区域に沿った移動時間を表す。ある好ましい実施形態では、各区域は、複数の混雑確率と複数の混雑時の移動時間及び/又は複数の非混雑時の移動時間とを表すデータに関連付けられており、複数の混雑確率のそれぞれ及び、提供される場合は複数の混雑時の移動時間及び/又は複数の非混雑時の移動時間のそれぞれは、関連する期間が異なる。好ましい実施形態では、代替経路の生成に用いられる区域の混雑確率、混雑時の移動時間及び/又は非混雑時の移動時間は適切な時間(例えばその経路を移動する時点の時間)に関連する。これは現在時刻又は将来の時間であり得、これは代替経路が生成される時点の場所に依存する。望ましくは例えば、区域に対する混雑確率と、対応する混雑時又は非混雑時の移動時間とは年内の各時期、曜日ごと、及び日ごとの少なくともいずれかに応じて算出される。ある実施形態では、複数の混雑確率は1分と2時間の間、5分と1時間の間、10分と30分の間、15分間隔の時間間隔で提供される。従って、生成される代替経路(又は複数の代替経路)は、適切な時刻に対する代替経路(又は複数の代替経路)である。
ここで区域データ(segment data)というのは、区域に関連づけられた混雑確率データ及び任意の他のデータ(即ち混雑時の移動データ又は非混雑時の移動データ)である。
好ましい実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)を生成するステップは、経路を探索する(そして代替経路を生成する)ために、混雑確率及び、好ましくは混雑時の移動データ及び非混雑時の移動データの少なくともいずれかを用いるステップを含む。経路の探索は、理論上の交通状況のセットのもとで経路の予測信頼性(交通の信頼性(traffic reliability))に基づいて行われる。勿論、このステップは、1つ以上の理論上の交通状況のセットに対して実行される。従って、代替経路(又は複数の代替経路)を生成するステップは、1つ以上の理論上の交通状況のセットのもとで経路の予測信頼性に基づいて行われる。1つ又は複数の交通状況のセットは予め定められており、交通レベルあるいはその地域内の異なる区域に割り当てられるレベルに基づいて定められる。このようなレベルは定量的な尺度であり得る。単純な状況では、代替経路の生成に用いられる理論上の交通状況のセットは、交通の無い状態(non-traffic state)よりむしろ単純に交通状態(traffic state)であり得る。異なる交通状況のセットは、異なる代替経路のために用いられる。理論上(theoretical)の交通状況との語は、実際の又はリアルタイムの交通状況ではない状況を示すものであり、むしろ代替経路を求める目的のために用いられる状況のセットである。このような状況のセットは、例えば予測状況のセット、関連する時間における過去の状況に基づいた状況のセットなどである。
理解されるように、経路や区域の信頼性の判定に用いられる、ここでの理論上の交通状況は、望ましくは非0である交通状況、即ち交通の存在を表す。
経路の予測信頼性は、好ましくは、理論上の交通状況のセットにおける、経路を移動するための予測移動時間に基づくものである。代替経路(又は複数の代替経路)は、当該予測信頼性を参照して選択され、例えば、代替経路は、与えられた理論上の交通状況のセットにおける、代替経路起点と代替経路目的地との間の比較的早い経路として発見される。この代替経路(又は複数の代替経路)は、最も信頼性の高い経路又は最速の経路、与えられた閾値より信頼性の高い又は速い経路等を含み得る。理論上の交通状況の複数のセットが考慮される場合、経路は、異なった状況のそれぞれのセットにおいて合理的な信頼性(例えば移動時間)のある経路を表すものとして、選択され得る。ある実施形態では、第1の代替経路は、第1の所定の理論上の交通状況のセットにおける、最も信頼性の高い経路(例えば最速経路)として生成され得る。さらに、代替経路は、第1の所定の理論上の交通状況のセットにおける2番目に信頼性の高い経路(例えば最速経路)、又は与えられた閾値に対して比較的高い信頼性(例えば移動時間)を有する経路、他の実施形態では、異なる第2の所定の理論上の交通状況のセットにおける、最も信頼性の高い経路(例えば最速経路)等として生成され得る。他の変形例も可能である。例えば、生成されてユーザに提供される代替経路の選択は、更なる予め定められたファクタやユーザの嗜好によって追加的に影響を受け得る。
1つ以上の理論上の交通状況のセットにおける、経路の予測信頼性に基づいた経路を探索するステップ、及び、本発明における一般的な代替経路を生成するステップの少なくともいずれかは、好ましくは、以下のステップを含む。当該ステップは、所定の理論上の交通状況における、区域の信頼性を表す少なくとも1つの測定値を、地域内の複数の区域のそれぞれから取得するステップと、この測定値は少なくとも混雑確率データ(及び、好ましくは混雑時の移動時間データ及び非混雑時の移動時間データの少なくともいずれか)を用いて得られるものであり、さらに区域の信頼性に対する測定値を用いて経路を探索するステップと、を有する。好ましくは、当該区域の信頼性に対する測定値は、区域の混雑確率、混雑時の移動時間データ及び非混雑時の移動時間データの関数である。区域の信頼性に対する測定値は、好ましくは、理論上の交通状況における、通過している区域の予測移動時間に基づくものである。当該信頼性に対する測定値は、区域の予測信頼性を表す。
いくつかの実施形態において、区域の信頼性に対する測定値tρは以下のように与えられる。
このような信頼性の測定値の使用は新規なものであり、その自体有益である。従って、本発明の更なる側面から電子地図に含まれる地域内の経路を生成する方法が提供される。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を示す複数の区域を含み、少なくともいくつか、好ましくはそれぞれの区域には、その区域の混雑の可能性を表す混雑確率データと、混雑していると判断されたときに当該区域を通過する時間を表す混雑時の移動時間と、混雑していないと判断されたときに当該区域を通過するための移動時間を表す非混雑時の移動時間データとが関連付けられており、当該方法は、複数の区域のそれぞれに対して、経路に関連付けられている混雑確率データ、混雑時の移動時間データ及び非混雑時の移動時間データを使用するステップであって、理論上の交通状況において区域の予測信頼性を表す測定値を取得するために行われるステップと、地域内の起点と目的地との間の経路を生成するときに予測信頼性の測定値を使用するステップと、を有する。
当該信頼性の測定値は、好ましくは、ある交通状況において区域を通過する時間に基づくものである。
本発明の更なる側面に関して、本発明は電子地図に含まれる地域内の経路を生成するシステムを提供する。この地図は、電子地図に含まれる地域内の通行可能な区域を示す複数の区域を含み、少なくともいくつか、好ましくはそれぞれの区域には、その区域の混雑の可能性を表す混雑確率データと、混雑していると判断されたときに当該区域を通過する時間を表す混雑時の移動時間と、混雑していないと判断されたときに当該区域を通過するための移動時間を表す非混雑時の移動時間データとが関連付けられており、当該システムは、複数の区域のそれぞれに対して、経路に関連付けられている混雑確率データ、混雑時の移動時間データ及び非混雑時の移動時間データを使用する手段であって、理論上の交通状況において区域の予測信頼性を表す測定値を取得するための手段と、地域内の起点と目的地との間の経路を生成するときに予測信頼性の測定値を使用する手段と、を有する。
これらの好ましい実施形態における方法は、本発明の他の側面や代替経路として生成された経路に限定されない他の事項に関して説明される、任意又は全ての特徴を包含し得る。これらの実施形態では、好ましくは、交通状況は、例えばナビゲーション装置を介してユーザが特定し得る。この側面は特に、ナビゲーションの開始前に経路を生成する場合に適用可能である。信頼性の測定値は、ユーザの特定した交通状況に基づいており、ユーザが特定した程度に交通に対して耐性のある経路を得られ得る。
本発明の任意の側面又は実施形態に関して、好ましい実施形態では、信頼性の測定値は、地域内の他の区域と関連した混雑確率、即ち区域の混雑確率の平均値を考慮し得る。これらの好ましい実施形態では、この混雑確率の平均値は、信頼性の測定値が判定される所定の期間又は全ての期間に関するものである。従って、好ましい実施形態では、この信頼性の測定値は、地域内の他の区域と関連した混雑確率としての追加的な機能である。
後に理解されるように、複数の信頼性の測定値は、異なる所定の理論上の交通状況に基づいてそれぞれの区域に対して得られ得る。このような状況では、所定の交通状況のセットにおける信頼性に基づく代替経路の判定に用いられる信頼性の測定値は、区域ごとに異なるか、同一であり得る。例えば、所定の交通状況のセットにおいて信頼性のある経路を生成する場合、その所定の交通状況のセットは、同一又は異なる理論上の交通状況に関して判定された、異なる経路に対する信頼性の計測値を用いて表わされる。従って、代替経路の判定に用いられた全ての交通状況のセットは、個別の区域における状況の違いを反映し得る。後に説明するように、最初又は他の既存の経路から外れた代替経路を運転するためにこのようなシナリオを使用し得る。これは、例えば、経路上の区域に対する高いレベルの交通量に基づく交通の信頼性の測定値と、経路から外れた区域に対する低レベルの交通量に基づく測定値とを使用することによってなされる。
本方法は、ここでは任意の方法で得られる、1つ以上の信頼性の測定値のセットをそれぞれの区域に関連付けるステップをさらに有し、当該方法は、それぞれの区域に関連付けられた1つ以上の信頼性の測定値のセットを格納するステップを含み得る。従って、信頼性の測定値は、混雑確率や他の属性と同様の方法で、もしくは要求されたとき又は途中で(on the fly)、区域に関連付けられた予め定められた測定値であり得る。
区域の信頼性に対する測定値は、経路の生成において任意の適切な方法で使用され得る。好ましい実施形態では、区域の信頼性を表わす測定値(又は複数の測定値)は、代替経路(又は複数の代替経路)(又は本発明の更なる側面においては、経路)を判定するためのコスト関数において用いられる。このコスト関数は、単に信頼性の測定値に基づくものであってもよいが、他にはこの分野において既知であるように、信頼性の測定値が様々なパラメータのバランスによって作り上げられる複雑なコスト関数の一部を形成するものであってもよい。
区域の信頼性は、所定の交通状況を参照することによって評価され得る。この交通状況は予め与えられたものである。当該状況はむしろ理論上の状況であって、実際の又はリアルタイムの状況ではなく、これは過去のデータ又は単純に交通の重要性に対する相対的な指標に基づくものであり得る。当該状況は、単純に交通の有無の状態であってもよいが、好ましくは交通レベル、即ち交通の重要性のレベルであり得る。交通状況、即ちレベルは、交通状況パラメータによって特定され得、このパラメータは交通状況、即ちレベルをあらゆる方法で表わし、正規化され得る。交通状況は、交通の重要性を定量的に表わし得る。例えば、交通レベルが例えば0から1等の適切なスケールで表現される。いくつかの実施形態では、交通状況はユーザによって特定される。従って、ユーザは望ましい交通状況(例えばレベル)を表わす交通状況パラメータを選択して、代替経路を判定させ得る。この例の方法によれば、比較的高い交通のレベルを表わすパラメータを選択すれば、システムは結果的に、深刻な交通状況のもとで遅延に対する耐性の比較的小さい代替経路を生成する。これらの実施形態は、本発明の更なる側面、即ち代替経路の生成を明確に指示されていない場合において特に効果的である。他の変形例では、特に代替経路を用いる実施形態において、交通状況パラメータは自動的に設定され得る。他の実施形態では、代替経路(又は複数の代替経路)は、連続的に増加する交通状況パラメータによって繰り返し生成され得る。
交通状況は、経路、代替経路又はその他を生成するときに、区域に対して所望のように設定してもよい。代替経路を要しない経路を生成する場合、信頼性の測定値は、ユーザの嗜好に従った経路生成に用いる、ユーザ設定による交通状況に基づいて判定され得る。例えば、ユーザは深刻な交通状況を指定して交通に対する耐性のある経路を得ることができる。
代替経路を用いる側面及び実施形態では、交通状況は異なる区域に異なるレベルで設定されて、生成された代替経路を第1の経路から遠ざけ(push)、又は所望のように経路を調整する。交通レベルは、代替経路を発見するための繰り返し処理における異なるイテレーションにおいて、増加し得る。例えば、交通レベルは0にセットされて、第1の経路、つまり交通状況を考慮することなく最速経路であることが意図された経路が得られ得る。この経路は、開始時点での経路として用いられ得、この時点では経路の一部を形成する区域に高い交通レベルを割り当てる。経路上にない他の区域にはより低い交通レベルが割り当てられる。このようにして、所定の交通レベルにおいて信頼性が高くない場合には、新たな代替経路が第1の経路とは異なる経路を含むように生成される。この処理は、増加した交通レベルのパラメータを用いて反復的に繰り返され、最も信頼性の高い経路が生成される。
上述した好ましい実施形態、即ち、混雑確率と好ましくは混雑時及び非混雑時の移動時間の少なくともいずれか、とを用いて所定の交通条件における区域の信頼性に基づく代替経路(又は複数の代替経路)を生成する実施形態では、所定の期間ごとの当該信頼性は、各期間の混雑確率、混雑時及び非混雑時の移動時間の少なくともいずれかに基づいている。従って、得られる信頼性の測定値と生成される信頼性の高い経路は、好ましくは適切な時間(即ち、現在時刻又は想定される移動の時間等の他の所望の時間)に対して、適切な時間を含む期間に関連するデータに基づいて生成される。実施形態では、それぞれの区域は信頼性の測定値のセットと関連付けられており、この測定値のそれぞれは異なる所定の期間に対応している。区域の混雑確率の平均値が用いられる場合、区域の混雑確率の平均値もまた、所定の期間に対応する。
混雑確率データと混雑時及び非混雑時の移動時間データの必要に応じた少なくともいずれかとは、過去のデータに基づく。この文脈における過去(historic)は、ライブ(live)ではないデータを表わすものとして考慮されるべきであり、現在時刻又は直前(おおまかに直前の5、10、15又は30分以内)における区域の状態を直接的に反映していないデータをいう。過去の混雑確率と過去の混雑時の移動時間とは、例えば過去の日、曜日、年ごとに発生したイベントに関連付けられている。このようなデータは現在の道路状況を監視した結果でなくてもよいが、区域に対する混雑確率の計算に関するものであり得る。過去のデータを使用すれば、ライブデータそのものよりも、利用可能な関連するデータの量が増加し、計算の対象となる区域の混雑確率をより正確にすることができる。このことは特に、利用可能なライブデータがわずか又はまったく無い場合に有効である。
混雑確率に関する更なる詳細について、特に混雑時の速度と非混雑時の移動時間を生成する方法について説明する。
理解されるように、本発明は混雑確率データを生成するステップと、当該データを、区域及び混雑時又は非混雑時の移動時間データと関連付けるステップとをさらに有する。この方法は、以下に説明される任意の方法で実行され得る。他の変形例も可能であるが、ナビゲーション装置によって経路生成が実行される実施形態では、混雑確率及び他の混雑時又は非混雑時の移動時間データを生成するステップはサーバ上で実行され得る。
区域に対する混雑確率及び混雑時又は非混雑時の移動時間の判定については、出願人によって2012年2月2日に出願された、「区域データの生成」と題する国際出願PCT/EP2012/051801号に記載されており、全体の内容は参照により取り込まれる。この書類及び以降の説明では、区域に対する複数の混雑時及び非混雑時の速度(speeds)に言及するが、理解されるように、対応する混雑時又は非混雑時の移動時間は、区域の長さを考慮することによって速度から直ちに得られる。
区域に対する非混雑時の移動時間及び混雑時の移動時間の少なくともいずれかは、区域を渡る平均移動速度あるいはこれに基づくものである。この区域を渡る平均移動速度は、過去のデータに基づき得る。例えば、過去の平均速度は直接的に記録され得、また、記録された過去の区域を渡る移動時間から計算され得る。このシステムは、区域に固有の混雑確率に基づく経路案内において適時の介入を可能にし得る。混雑している区域を渡る、予測平均速度の減少は、経路を生成するときに組み入れられる。本実施形態では、本方法は過去のデータを考慮に入れた混雑確率に基づくため、問題となる区域におけるライブデータがほとんど無いかまったく無い場合であっても効果的に混雑を予測することができる。ライブデータと過去のデータの組み合わせを用いてもよく、この種のデータのみを用いてもよい。ライブデータは、比較的現在のものであってその区域に起こっていることを示すデータとして考えられ得る。このライブデータは、典型的には直前の30分以内のその区域の状況に関連し得る。いくつかの実施形態では、このライブデータは、直前の15分、10分又は5分以内のその区域の状況に関連し得る。
過去の区域を渡る移動時間を収集又は生成して、混雑時又は非混雑時の移動時間を判定する方法には様々な方法が存在しうる。例えば衛星の軌跡が区域に入ってから出るまでの間の時間間隔、2つのナンバープレートの認識又はBluetooth信号のイベントの時間間隔、出発時刻と到着時刻の記録、交通のフローデータによるシミュレーションでさえあり得る。好ましくは複数の過去の移動時間は位置データに基づいており、この位置データは区域に沿った時間に従う位置機能を有する装置の移動に関連している。この位置データを使用して、装置が通過したパスの位置的な軌跡(trace)を提供し得る。この装置は位置判定機能を有する任意の装置であり得る。この装置は、典型的にはGPS又はGSM装置である。このような装置はナビゲーション装置、位置機能を有する移動体通信装置、位置センサ等を含み得る。この装置は車両と関連付けられ得る。これらの実施形態では、装置の位置は車両の位置と対応する。勿論、位置データは異なる装置の組み合わせから得られてもよく、例えば車両に組み込まれた装置のような単一のタイプの装置から得られてもよい。
理解されるように、複数の装置から得られた位置データはプローブデータ(probe data)として参照され得る。車両や歩行者に関連付けられた装置からそれぞれ得られたデータも車両又は歩行者のプローブデータとして参照され得る。従って、ここでのプローブデータに対する言及は位置データ(positional data)の語と置き換え可能であることが理解されるべきであり、ここでは位置データは簡単にプローブデータとして言及され得る。
この方法では、複数のタイムスタンプの付加された位置データは、好ましくは携帯型ナビゲーション装置(PNDs)のような、位置機能を有する複数の装置で取得/アップロードされる。このようなデータを分析する技術(例えば分析して平均速度データを得ることが知られている)は、例えば国際出願WO2009/053411A1に記載されている。従って、実施形態では、複数のタイムスタンプの付加された位置データは、位置機能を有する複数の装置(例えばナビゲーション装置)から好適に取得、例えば取得/アップロードされ得る。このデータは、好ましくは、それぞれの軌跡が予め定められた期間に渡って装置から受信したデータを表わす、複数の軌跡に分けられ得る。その後それぞれの通行可能な区域に対して、それぞれの予め定められた期間内の記録されている速度の平均が求められる。
ここでは平均速度(average speed)という語が用いられている。しかし、実際には完全に正確な平均速度を知ることはできないことが理解される。例えばある場合には、計算された平均速度は、時間及び位置を測定する機器と同程度に正確であるにすぎない。従って、平均速度の語が用いられているときはいつでも、そのものが関連誤差を有する測定値に基づいて計算されるものとして、平均速度が解釈されなければならないことが理解される。
いくつかの実施形態では、混雑時の移動時間は混雑時の平均速度に基づくものであり、この混雑時の平均速度は、区域が混雑していると判定された場合に区域を移動する平均速度の、全てもしくは実質的に全て又は選択したもの、の平均である。他の実施形態では、混雑時の平均速度は、区域が混雑していると判定された場合に区域を移動する過去の平均速度の、全てもしくは実質的に全て又は選択したもの、剰余又は百分率を用い得る。
実施形態では、それぞれの区域は当該区域に関連付けられた混雑時の閾値速度を有し、この混雑時の閾値速度は、混雑していると判定される区域の速度を下回る区域の平均移動速度を示す。即ち、混雑時の閾値速度を下回る区域の平均移動速度が混雑していると分類され、一方で混雑時の閾値速度を上回る区域の平均移動速度が混雑していないと判定され得るように、選択される。
いくつかの実施形態では、混雑時の閾値速度は区域を自由に流れる速度(free-flow speed)に対する所定のパーセンテージに応じて定められる。代替的な実施形態では、混雑時の閾値速度は、例えば道路の種別ごとの予め定められた値、又は単純に混雑時の交通を考慮した特定の速度によって定められ得る。
区域を自由に流れる速度は、好ましくは交通が無い又は実質的に交通がない期間に区域を渡る平均移動速度である。この期間は、例えば1以上の夜間の時間帯であって、速度に対する他のユーザの影響を少ない時間帯である。このような自由に流れる速度は、さらに制限速度、道路のレイアウト及び交通管理インフラの影響を受け得る。従って、掲載された制限速度、法定速度又は道路の種別ごとに設けられた速度と比較して、より正確な、真の自由に流れる速度の反映となり得る。しかし、他の実施形態では、この自由に流れる速度を異なる方法で計算又は選択し得る(例えば単に区域の制限速度を用いる)。
いくつかの実施形態では、この自由に流れる速度に対するパーセンテージは、30%と70%の間であり、より好ましくは40%と60%の間、最も好ましくは実質的に50%である。
いくつかの実施形態では、予め定められた上限は混雑時の閾値速度として使用され得、このようにすることで、より速い速度を用いて混雑時の閾値速度を定めていた方法に替割りうる。例えば、混雑時の閾値速度を定めていた方法では、結果的に、特定の区域に対して混雑と判定されるためには高すぎる速度が混雑時の閾値速度として定められる特定の場合があり得る。このような場合、混雑時の閾値速度は上限のデフォルト値となり得る。
特定の区域に対する混雑確率は、その区域の過去の移動データと混雑状況に基づいて生成されるものであり、ここで混雑状況はこの区域が混雑しているか否かを示す。
いくつかの実施形態では、区域の混雑確率は区域に対する過去の移動データを収集する複数のステップを有する方法により生成され、この方法は、混雑状況を満たす場合に混雑時として、それ以外は混雑時でないとして分類されるように混雑状況を定めるステップと、過去の移動データと定められた混雑状況とに従ってセグメントの混雑確率を生成するステップと、電子地図の区域に混雑確率を関連付けるステップとを有する。
理解されるように、混雑確率は時間、曜日及び時期に応じて変動し得る。従って時間に応じた複数の混雑確率の予測は、セグメントに対する単一の混雑確率と比較してより正確な混雑状況の予測を提供し得る。以降で混雑確率の時間との関係を考慮した実施形態を説明するが、これらの任意の実施形態は、時間に応じた区域の混雑時又は非混雑時の移動時間の提供や混雑確率の参照に等しく適用可能であり、内容が要求する場合を除き、混雑時又は非混雑時の移動時間の置き換えにも適宜適用できる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の代替的な混雑確率が提供されて区域の関連する期間とともに用いられ、時間に応じた変動以外の1つ以外の要因に基づいて、ある時間における最も適した混雑確率を選択し得る。使用する代替的な混雑確率の選択は、特定の状況、例えば異なる気象状況やサッカーの試合のような特定のイベントが行われる状況、に対して適切なものとなり得る。このような状況は、時間に応じた変動以外の要因として考慮され得、このような状況は典型的でないものとして考慮され得る。理解されるように、このような代替的な混雑確率の提供は、正確な混雑確率の生成に十分な過去のデータが利用可能であるかに依存し得る。
いくつかの実施形態では、時間に応じた混雑確率の代替的なセットが提供されると、時間及び他の要因に基づいて、最も適切な混雑確率の選択が可能になる。例えば、晴れの場合はある時間に応じた混雑確率のセットが用いられ、雨天時には別の時間に応じた混雑確率のセットが用いられる。
いくつかの実施形態では、区域の混雑確率は、混雑時の閾値速度を上回る平均移動速度の数と混雑時の閾値速度を下回る平均移動速度の数との割合に従って計算される。この方法の例では、区域に渡る過去の移動時間を与えるGPSプローブの収集結果を分析され得る。この場合、混雑時の閾値速度を上回る区域を渡る平均速度を有するプローブと混雑時の閾値速度を下回る区域を渡る平均速度を有するプローブとが比較され得る。一例では、混雑及び非混雑時のプローブの割合は70:30であって、混雑確率が30であり得る。
いくつかの実施形態では、区域の混雑確率は、区域が混雑又は非混雑である期間、例えば過去の平均移動速度が混雑状況を満たすことを示す期間、に従って計算され得る。
区域が連結されるいくつかの実施形態では、混雑した区域の平均パーセンテージを使用して、1つ、いくつか又は全ての連結された区域の混雑確率が計算され得る。時間に応じた複数の混雑確率が区域に関連付けられる実施形態では、過去の移動データは時刻の記録に従ってグループ化され得る。例えば、過去の移動データは予め定められた期間内に受信したものがグループ化される。この予め定められた期間は、例えば5分、10分、15分、20分、30分又は1時間であり得る。この方法では、生成された混雑確率は時間と関連するため、対応する時間の混雑を予測する際の正確な混雑確率になり得る。例えば、12月から2月までの間の月曜日の浅い8時30分から8時45分の間に関連する、区域の混雑確率は、区域の過去の区域データとなり得る。従って、この混雑確率を対応する時期の対応する月の月曜日の朝に用いる場合、時間に応じない混雑確率を用いる場合より正確に混雑の予測をなし得る。
いくつかの実施形態では、混雑確率は1年の時期に応じて計算され、又は少なくとも1年の時期に影響を受ける。このようにすれば、支配的な天候や道路表面の状況など季節的な影響に応じて混雑確率を変更し得るため、混雑確率の精度を向上させ得る。
いくつかの実施形態では、混雑確率は曜日に応じて計算され、又は少なくとも曜日に影響を受ける。このようにすれば、週末のショッピング、週末のための金曜日の移動、運送業のスケジュール又は月曜日の長距離通勤などの曜日の要因に応じて混雑確率を変更し得るため、混雑確率の精度を向上させ得る。
いくつかの実施形態では、混雑確率は日中の時間帯に応じて計算され、又は少なくとも日中の時間帯に影響を受ける。このようにすれば、ラッシュ時間、開店及び閉店時間(例えばバー、レストラン、劇場、コンサート会場、映画館、クラブ等)、開始及び終了時間(例えば催し、ショー、スポーツイベント等)、到着及び出発時間(例えば鉄道、船舶、飛行機など)及び一般的な活動(例えば食事や睡眠)などの日中の時間帯の要因に応じて混雑確率を変更し得るため、混雑確率の精度を向上させ得る。いくつかの実施形態では、例えば夜のための単一の混雑確率を用い得る。夜は、設定された時間、例えば実質的に午後11時から午前6時までの間、の予め定められた期間であり得る。
いくつかの実施形態では、混雑確率は実質的に50分の時間間隔で計算される。しかし、この時間間隔は次のものであり得、例えば5分、10分、15分、20分、30分、1時間又は夜のようなより長い期間であり得る。時間的に隣接する、計算された混雑確率はさらに連結されてもよい。連結は混雑確率が近似する場合(例えば潜在的に夜の時間)に特に有用である。
いくつかの実施形態では、混雑確率は特定のイベント又は状況の発生に応じて計算され、又は少なくとも特定のイベント又は状況の発生に影響を受ける。このイベント又は状況は、例えば特定の種類の天候、サッカーの試合や展示会のようなイベント、及び国民の休日等を含み得る。
実施形態のいくつかには、混雑確率が上述した1つ以上の要因により計算され、又は少なくとも上述した1つ以上の要因に影響される。
上述したように、混雑状況が存在すると予測される場合、区域を渡る想定される平均移動速度は、関連する区域の混雑時の速度であるか、これに基づく速度(及び適切な時間における速度)であり得る。例えば区域の混雑時の速度は、天候のような1つ以上の動的なパラメータに応じて変更され得る。しかし、混雑時の速度は混雑時の状況における平均速度である必要はない。混雑時の速度は、混雑時の状況における関連する区域の速度の分布から導き出される任意の速度であり得る。任意の速度は例えばあるパーセンテージの移動時間、最大の移動時間等である。
同様かつ上述したように、混雑状況が予測されない場合、区域を渡る想定される平均移動速度(従って予測移動時間)は、関連する区域の平均速度(及び例えば適切な時間における速度)であるか、これに基づく速度であり得る。例えば、非混雑時の速度は、区域を渡る全て、実質的に全て又は選択した、過去の平均移動速度であり得る。しかし、他の実施形態では、全て、実質的に全て又は選択した、過去の平均移動速度の剰余やパーセンテージであり得る。代替的に速度は他の方法により選択され得る。
簡単のため、ここでは混雑確率、非混雑時の速度又は混雑時の速度と呼ぶが、厳密に述べていない場合はこれらの呼び方がこれらの属性を表わすデータであることが理解される。従って、例えば混雑確率や他のそのような属性などの、任意の呼び方は、これらを表わすデータ、例えば混雑確率データ等、を呼ぶものと置き換えられ得る。データは関連する特性を表わす任意の方法であり、その特性であり、又はこれらに基づくものであり得る。
本発明に従う任意の方法は、少なくとも一部は例えばコンピュータプログラムなどのソフトウェアにより実施され得る。従って、本発明はコンピュータプログラムであって、コンピュータで読み取り可能な命令を実行し、又はナビゲーション装置及びサーバの少なくともいずれかに実行させるコンピュータプログラムに拡張することができ、この方法は、本発明の任意の側面又は実施形態に従う方法である。
本発明は同様に、コンピュータソフトウェア媒体であって、ソフトウェアを含み、このソフトウェアを使用すると、このシステム又は装置の有するデータ処理手段に、データ処理手段と合わせて本発明の方法の各ステップを実行させる、コンピュータソフトウェア媒体に拡張することができる。このようなコンピュータソフトウェア媒体は、ROMチップ、CDROM、又はディスク等の物理的な蓄積メディアであり得、又はケーブルを介した電気信号、光信号、又は衛星等の無線信号などの信号であり得る。本発明は、命令を有する機械読み取り可能な媒体を提供し、命令は機械によって読み込まれた場合に、当該機械に、本発明の側面や実施形態の任意の方法に従って動作させる。
その実装に関わらず、本発明に従って使用されるナビゲーション装置は、プロセッサと、メモリと、当該メモリに格納された電子地図とを有する。当該プロセッサと当該メモリは共同して、ソフトウェアのオペレーティングシステムが動作する実行環境を提供し得る。1つ以上の追加的なソフトウェアプログラムが提供されると、制御される装置の機能を有効化し得、他の様々な機能を提供しえる。本発明のナビゲーション装置は、好ましくはGPS(Global Positioning System)の信号受信機と処理機能を含み得る。この装置は、情報をユーザに受け渡す1つ以上の出力インターフェースを有し得る。この出力インターフェースは、視覚的な表示装置に加えて音声出力のためのスピーカを含み得る。この装置は、オン/オフ操作や他の機能を制御するための1つ以上の物理的なボタン入力インターフェースを含み得る。
他の実施形態では、ナビゲーション装置は、特定のナビゲーション装置の一部を形成しない処理装置の少なくとも部分的なアプリケーションを用いて実施され得る。例えば、本発明はナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された適切なコンピュータシステムを用いて実施され得る。このシステムは移動体端末又はポータブルコンピュータシステム、例えば携帯電話機又はラップトップその他卓上システムであり得る。
明確に述べていない場合、本発明の任意の側面は、明確に除外されていない範囲において、説明された本発明の他の側面又は他の実施形態に関する任意又は全ての特徴を含み得る。特に、方法及び装置で実行し得る様々な動作の実施形態が説明されているが、方法及び装置で実行される任意の1以上又は全ての動作はあらゆる組み合わせで適宜好適に行われる。
これらの実施形態の利点は以下で提示され、更なる詳細とそれぞれの実施形態の特徴は、付随する独立請求項と以降の詳細な説明に規定される。
ここで、添付の図面を参照して、例示としてのみで、本発明の実施形態が記述される。
ナビゲーション装置によって利用できるGPSシステムの例を概略的に示す図である。
ナビゲーション装置とサーバとの間における通信のための通信システムの概略図である。
図2のナビゲーション装置又は他の適切なナビゲーション装置の電子構成要素の概略図である。
ナビゲーション装置の取り付け及び/又はドッキングの配置を示す概略図である。
図3のナビゲーション装置に使われる構成スタックの概略図である。
3つの異なる期間(朝、昼及び夜)における、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムである。
とり得る混雑時の速度を示す、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムである。
とり得る混雑時の速度を示す、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムである。
とり得る混雑時の速度を示す、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムである。
とり得る混雑時の速度を示す、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムである。
特定の期間にある区域を通過する異なるプローブ車両の分布を示すヒストグラムである。
代替経路を生成する本発明に係る実施形態を示すフローチャートである。
本発明の実施形態は、ポータブル・ナビゲーション装置(PND)に関連付けられた形で説明される。しかし、本発明はPNDに限定されるものではなく、経路計画及びナビゲーション機能を提供するようにナビゲーションソフトウェアを携帯形式で実行するように構成された任意の処理装置に普遍的に適用できることは明らかである。したがって、本発明によるナビゲーション装置は任意の(限定されることなく)経路計画及びナビゲーション装置も含むべきであり、PND、自動車のような乗り物、又は経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行する携帯用PC,移動電話、又はパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)などのような移動体コンピューティング資源など、任意の実施形態でもよい。
さらに、本発明の実施得形態は道路区域に関連付けて説明されている。しかし、本発明は道、川、運河、サイクリングロード、運河、鉄道線路などの区域のような、ナビゲーションの対象となり得る区域に適用できることは明らかである。これらの区域は、参照の簡略化のため道路区域として一般的に参照される。
ある地点からもう1つの地点までをナビゲートするためでなく、単純にある場所の視覚的情報がほしい場合などでも本発明が用いられることは下記の説明によって明らかになる。そのような場合は、ユーザによって選択された「目的地」は、対応する出発点ではなくてもよく、したがってそのような場合は「目的地」の位置又は「目的地」の視覚的情報を参照することは、経路の生成や「目的地」への移動が必要であることを意味することではない。また、目的地が存在することは、対応する出発点の指定が必要であることを意味することではない。
上記のことを念頭において、図1のGPS及び類似するものは様々な目的に用いられる。一般的に、GPSは衛星ラジオに基づいたナビゲーションシステムであり、連続的な位置、速度、時間、及び場合によっては制限されない数のユーザの道案内情報を決定することが可能である。以前はNAVSTARという名前で知られていたGPSは、非常に正確な軌道で地球周りを回っている複数の人工衛星を含む。これらの正確な軌道に基づいて、GPS人工衛星は自らの位置をGPSデータとして任意の数の受信ユニットにでも中継することができる。しかし、GLONASS,European Galileo positioning system, Compass positioning system,又はIRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)などのGPSシステムが使われ得ることは理解されるべきである。
GPSシステムは、GPSデータを受信するように装備された装置がGPS人工衛星の信号を探してラジオ周波数をスキャンし始めると実施される。GPS人工衛星からラジオ信号を受信すると、装置は複数の周知方法の1つの方法で該人工衛星の正確な位置を決定する。装置はほとんどの場合、3つ以上の異なる人工衛星の信号を得るまでラジオ信号のスキャンを続ける(他の三角測量方法を用いると、位置は2つの信号でも決定することができるが、一般的には行われない)。幾何学的な三角測量を実行する際には、受信機は3つの既知の位置を用いて、人工衛星に対する自らの2次元位置を決定する。これは周知の方法で可能である。更に、4つ目の人工衛星の信号を得ると、同じ幾何学的な計算を用いて周知の方法で受信機の3次元の位置を計算することが可能となる。位置及び速度データは制限されていない数のユーザによってリアルタイムで継続的に更新できる。
図1に示されているように、GPSシステム100は地球の周りを回る複数の人工衛星102を備える。GPS受信機106はスペクトラム拡散GPS衛星データ信号108をデータとして複数の人工衛星102から受信する。スペクトラム拡散データ信号108は各人工衛星102から継続的に発信され、発信された夫々のスペクトラム拡散データ信号108はデータストリームと該データストリームが由来する特定の人工衛星102が識別できる情報とを含む。一般的にGPS受信機106は、2次元の位置を計算するために少なくとも3つの人工衛星102から来るスペクトラム拡散データ信号108を必要とする。4つ目のスペクトラム拡散データ信号を受信すると、GPS106は周知方法を用いて3次元の位置を計算することが可能になる。
図2に示された,GPS受信機106を備える又は組み合わせられるナビゲーション装置200(即ち、PND)は、必要に応じて、「移動体」(mobile)通信のネットワークハードウェア又は電気通信ネットワークのネットワークハードウェアとのデータセッションを確立することができ、このデータセッションは、例えば既知のBluetooth技術を介したデジタル接続のように、携帯電話、PDA及び移動体通信技術を備える任意の装置の少なくともいずれかを介してデジタル接続を確立するためのものである。その後、携帯装置は、ネットワーク・サービス・プロバイダを介してサーバ150とのネットワーク通信(例えばインターネットを通して)を確立することができる。したがって、「移動体」(mobile)ネットワーク接続はナビゲーション装置200(この装置は単独で及び/又は車両の中で移動するため「移動体」であり得、多くの場合移動体である)とサーバ150との間で成立でき、「リアルタイム」又は少なくとも「最新」である情報のゲートウェイを提供する。
携帯装置と他の装置、例えばサーバ150、と間の(サービスプロバイダを介した)接続の確立は、例えばインターネットを用いて、既知の方法で行うことができる。この点において、任意の数の適切なデータ通信プロトコル(例えばTCP/IP層プロトコル)を用いることができる。更に、携帯装置はCDMA2000,IEEE802.11,a/b/c/g/nなどの任意の数の通信規格を用いることができる。
従って、例えばナビゲーション装置200内のデータコネクション、携帯電話又は移動体技術を介して得られる、インターネット接続が用いられる。
図示されないが、ナビゲーション装置200は勿論それ自体の内部に移動体通信技術を含み得る(例えばアンテナ又はオプションとしてナビゲーション装置200の内部アンテナを含む)。ナビゲーション装置200内のこの移動体通信技術は内部部品を含み、及び/又は、例えば必要なアンテナ及び移動体通信技術の少なくともいずれかを完備する挿入可能なカード(例えばSubscriber Identify Module(SIMカード))を含み得る。このようにして、ナビゲーション装置200内の移動体通信技術は例えばインターネットを介し、任意の携帯装置のネットワーク通信と同様の方法で、ナビゲーション装置200とサーバ150の間のネットワーク通信を同様に確立することができる。
電話の設定のため、Bluetoothの利用可能なナビゲーション装置を用いて、携帯電話のモデルや製造業者等の周波数帯の変更や例えばナビゲーション装置200に格納されたモデルや製造業者特有の設定において正しく動作させ得る。これらの情報のために格納されたデータは更新することができる。
図2において、ナビゲーション装置200は、任意の多数の変形例で実施可能な一般的な通信チャンネル152を介してサーバ150と通信している装置として描かれている。通信チャンネル152はナビゲーション装置200とサーバ150を接続する普及した媒体又はパスを一般的に表わしている。サーバ150及びナビゲーション装置200は、両者間で通信チャンネル152が確立すると通信することができる(携帯装置を介してデータ接続が可能な接続、インターネットを介してパーソナルコンピュータを経由した直接的な接続とは異なる)。
通信チャンネル152は特定の通信技術に限定されるものではない。更に、通信チャンネル152は単一の通信技術に限定されるものではない。つまり、チャンネル152は様々な技術を用いる複数の通信リンクを含み得る。例えば、通信チャンネル152は電気的、光学的、及び/又は電磁気的な通信などのための、経路を提供するように構成され得る。このように、通信チャンネル152は、これに限らないが、1つ又は以下の組み合わせ、電子回路、ワイヤ及び銅線、光ファイバケーブル、コンバータ、高周波、大気、空間等を含み得る。更に、通信チャンネル152はルータ、リピータ、バッファ、送信機、受信機などの中間装置を含み得る。
1つの例示的な構成では、通信チャンネル152は電話及びコンピュータネットワークを含み得る。さらに、通信チャンネル152は無線通信に適合可能であり、この無線通信は、赤外線通信、マイクロ波周波数通信のような無線周波数通信、又は衛星通信等であり得る。さらに、通信チャンネル152は衛星通信に適合できる。
通信チャンネル152を介して発信される通信信号には、ある通信技術に必要又は好ましい信号を含むが、これらに限定されない。例えば、信号は時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、汎用パケット無線システム(GPRS)などの移動体通信技術を用いるように構成され得る。デジタル及びアナログの両方の信号が通信チャンネル152を介して送信され得る。これらの信号は通信技術に応じて調節、暗号化、及び/又は圧縮された信号であり得る。
サーバ150は、図示されていない要素に加えて、メモリ156に接続され、さらに有線又は無線接続158によって大量データ格納装置160に動作可能なように接続された、プロセッサ154を備える。大量データ格納装置160にはナビゲーションデータ及びマップ情報が格納されており、サーバ150とは別個の装置であり得、又はサーバ150の中に含まれ得る。プロセッサ154はさらに送信機162及び受信機164に動作可能なように接続されており、情報を通信チャンネル152を介してナビゲーション装置200との送受信を行う。送受信された信号はデータ、通信、及び/又は他の伝播された信号であり得る。送信機162及び受信機164は、ナビゲーションシステム200の通信構成に使用された通信要件及び通信技術に応じて選択又は設計され得る。更に、送信機162及び受信機164の機能は、1つの送受信機に合体され得る。
上記のように、ナビゲーション装置200は、通信チャンネル152を介してサーバとの通信が可能であり、通信チャンネル152を介して送信機166及び受信機168を用いて信号及び/又はデータを送受信する。これらの装置はサーバ150以外の装置との通信にも用いられ得る。更に、送信機166及び受信機168は、ナビゲーションシステム200の通信構成に使用された通信要件及び通信技術に応じて選択又は設計され、送信機166及び受信機168の機能は図2に関連付けて上記に説明されているように1つの送受信機に合体され得る。もちろん、ナビゲーション装置200は他のハードウェア及び/又は機能的部品を備えており、これらは後で詳細に説明される。
サーバメモリ156に格納されたソフトウェアはプロセッサ154に命令を提供し、サーバ150がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ150によって提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からのリクエストを処理することと、ナビゲーションデータを大量データ格納装置160からナビゲーション装置200に送信することとを含む。サーバ150によって提供できるもう1つのサービスは、希望されるアプリケーションのために様々なアルゴリズムを用いてナビゲーションデータを処理することと、これらの計算の結果をナビゲーション装置200に送信することとを含む。
サーバ150は、ナビゲーション装置200が無線チャンネルを介してアクセスできる遠隔のデータ・ソースである。サーバ150は、ローカルエリア・ネットワーク(LAN),広域ネットワーク(WAN),仮想プライベート・ネットワーク(VPN)などに含まれるネットワークサーバを含み得る。
サーバ150はデスクトップ又はラップトップコンピュータのようなパーソナルコンピュータを含み得、さらに通信チャンネル152はナビゲーション装置152とパーソナルコンピュータとの間の接続されたケーブルであり得る。代替として、パーソナルコンピュータはナビゲーション装置200とサーバ150との間に接続され、サーバ150とナビゲーション装置200との間のインターネット接続を提供し得る。
ナビゲーション装置200には情報ダウンロードを介してサーバ150から情報が提供され得、該情報は時々又はユーザがナビゲーション装置200をサーバに接続させた際に自動的に更新され得、及び/又は、例えば無線移動体接続装置及びTCP/IP接続を介して、サーバ150とナビゲーション装置200との間でより継続的で頻繁に接続が成立される場合はよりダイナミックに更新され得る。多くの計算を処理するためには、サーバ150にあるプロセッサ154を用いてその大半を処理することができるが、ナビゲーション装置200のプロセッサ(図2には不図示)も大量の処理や計算を行うことができ、多くの場合はサーバ150への接続と関係なくそのような作業が可能である。
図3を参照すると、ナビゲーション装置200のブロック図はナビゲーション装置200の全ての構成要素が含まれているのではなく、いくつかの例示的な部品を示していることが明らかである。ナビゲーション装置200はハウジングの中に配置されている(不図示)。ナビゲーション装置200は、例えば上記のプロセッサ202を備える処理回路を含み、プロセッサ200は入力装置204及び表示画面206のような表示装置に連結されている。入力装置204の数はいくつでもよく、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル及び/又は他の周知の情報入力装置を含み得る。同様に、表示画面206は任意の表示画面であり得、例えば液晶表示(LCD)などを含み得る。
ある構成では、入力装置204と表示画面206が、タッチパネルのような入力兼表示装置として一体化されており、一体化された入力兼表示装置は情報の入力(直接入力、メニュー選択など)及び情報の表示の両方を可能にするタッチパッド又はタッチ画面入力250を含み、これによってユーザは常時画面206の一部をタッチすることだけで、表示された複数の選択肢の1つを選択したり、複数のバーチュアル或いは“ソフト”ボタンを押すことが可能となる。これに関しては、プロセッサ202は、タッチスクリーンとともに作動するグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を支持する。
ナビゲーション装置200において、プロセッサ202は接続210を介して入力装置204に動作可能なように接続され、入力装置204からの入力情報を受信することができ、さらには少なくとも1つの表示画面206及び出力装置208に夫々の出力接続212を介して情報を出力するように接続されている。ナビゲーション装置200は、例えば音声出力装置(例えばスピーカ)などの出力装置208を備え得る。出力装置208は、ナビゲーション装置200のユーザに音声情報を生成できるように、入力装置204も同様にマイク及び音声入力指示を受け取るソフトウェアを含むことができる。更に、ナビゲーション装置200は追加的な入力装置204及び/又は出力装置を備え得、例えば音声入力/出力装置を備え得る。
プロセッサ202は接続216を介してメモリ214に動作可能なように接続されており、接続220を介して入力/出力(I/O)ポート218と情報を送受信できるように構成されており、I/Oポート218はナビゲーション装置200の外部装置であるI/O装置222に接続可能である。外部I/O装置222は、イヤピースのような外部聴取装置を含み得るが、これに限定されない。I/O装置222への接続は有線又は無線を介する任意の外部装置への接続であり得、例えばハンズフリー操作及び/又は音声作動を可能にするカーステレオユニットへの接続、イヤピースやヘッドフォンへの接続、及び/又は携帯電話への接続などがあり、携帯電話への接続はナビゲーション装置200とインターネット又は他の任意のネットワークとの接続を成立させるために用いられ、及び/又はインターネット又は他のネットワークを介してサーバへの接続を成立させるために用いられ得る。
ナビゲーション装置200のメモリ214は不揮発性メモリ(例えばプログラムコードを格納するため)の一部、及び揮発性メモリ(例えばプログラムコードが実行されるとデータを格納するため)の一部を備える。ナビゲーション装置は更にポート228を備え、ポート228は接続230を介してプロセッサ202と通信し、取り外し可能なメモリカード(一般的にカードと呼ばれる)が装置200に入れられるようにする。説明される実施形態では、ポートにはSD(Secure Digital)カードが加えられるように構成されている。他の実施形態では、ポートは異なる形式のメモリ(例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード、MEMORY STICK(登録商標)、xDメモリカード、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブ、MMC(マルチメディア)カード、スマートメディアカード、マイクロドライブ等)が接続できるようにし得る。
当業者であれば、図3に示された電子部品は1つ以上の電源(不図示)によって従来のように電力が供給されることは明らかである。そのような電源は内部電池及び/又は低電圧直流(DC)電源の入力又は他の任意の適切な構成をも含み得る。当業者には明らかであるように、図3に示された部品の異なる配置も考えられる。例えば、図3に示された部品は、有線及び/又は無線の通信及びそのようなものによってお互いに通信し得る。したがって、ここに説明されるナビゲーション装置200は携帯又はハンドヘルドのナビゲーション装置200であり得る。
さらに、図3の携帯又はハンドヘルド・ナビゲーション装置200は、周知の様式で自転車、オートバイ、車、又はボートのような乗り物につなげる、又は「ドッキング」させることができる。そのようなナビゲーション装置200は、携帯又はハンドヘルド使用のためドッキング位置から取り外すことができる。異なる実施形態では、ユーザのナビゲーションを可能にするために、装置200はハンドヘルド装置として構成され得る。
図4を参照すると、ナビゲーション装置200は、一体化された入力兼表示装置206及び図2に示されたほかの部品(アンテナ/受信機224、プロセッサ202、電源(不図示)、メモリシステム214などを含むが、これらに限定されない)を含む1つのユニットであり得る。
ナビゲーション装置200は、アーム252に固定され得、アーム252は乗り物のダッシュボード/窓などに吸着カップ254を用いて固定され得る。このアーム252は、ナビゲーション装置200がドッキングされ得るドッキング・ステーションの一例である。ナビゲーション装置200は、例えばアーム252にカチッとはまるような結合でドッキング又は結合され得る。すると、ナビゲーション装置200はアーム252に対して回転可能になり得る。ナビゲーション装置200とドッキング・ステーションとの結合を分離させるためには、例えば、ナビゲーション装置200のボタンを押すことで外れるようにし得る。ナビゲーション装置200とドッキング・ステーションとの結合及び分離に適している構成は、当業者には周知である。
図5を参照すると、プロセッサ202及びメモリ214はお互いに協力して、ナビゲーション装置200の機能的ハードウェア部品280と、装置によって実行されるソフトウェアとの間のインターフェースとして機能するBIOS(Basic Input/Output System)を支持する。次に、プロセッサ202はメモリ214からオペレーティング・システム284をロードし、(既述した経路計画機能及びナビゲーション機能のいくつか又は全てを実行する)アプリケーションソフト286が実行できるような環境を整える。アプリケーションソフト286は、マップの表示、経路計画、ナビゲーション機能及び他の関連する機能などのナビゲーション装置の中心的な機能をサポートするGUIを含む、操作環境を提供する。この点において、アプリケーションソフト286の一部はビュー生成モジュール288を備える。
説明されている実施形態では、ナビゲーション装置のプロセッサ202は、アンテナによって受信されたGPSデータを受信するように、そして時々そのGPSデータをその受信時のタイムスタンプと共にメモリ214に格納し、ナビゲーション装置の位置記録を蓄積するように、プログラムされている。そのように格納されたデータ記録はGPSの測定位置と考えられ得る。即ち、ナビゲーション装置の位置の測定位置であり、緯度、経度、タイムスタンプ、及び精度レポートを備える。
ある実施形態では、データは実質的には定期的に格納され、例えば5秒ごとに格納され得る。当業者には他の間隔を用いることが可能であることが明らかであり、データの分解能とメモリの容量のバランスがあることが明らかである(即ち、データをより多くとることでデータ分解能は上がるが、そのデータを保存するためにより大きいメモリ容量が必要となる)。しかし、異なる実施形態では、データの分解能は実質的に1秒ごと、10秒ごと、15秒ごと20秒ごと、30秒ごと、45秒ごと、1分ごと、2,5分ごと(又は、これらの間の任意の間隔)であり得る。したがって、装置のメモリには、様々な時点における装置200の位置に関する記録が蓄積されている。ある実施形態では、間隔が長くなると、得られるデータの質が低下することがあり得、低下の程度はナビゲーション装置200の移動速度にもよるが、間隔の時間として15秒が、適切な上限となり得る。ナビゲーション装置200は一般的に自らの位置に関する記録を蓄積するように構成されているが、ある実施形態では移動の開始時又は終了時においてデータの記録を所定の期間行わない。そのような構成を用いることで、ユーザの家屋及びユーザが頻繁に訪れる場所などを保護することが可能となり、ナビゲーション装置200のユーザのプライバシーを守ることができる。例えば、ナビゲーション装置200は移動開始から約5分又は約1マイル(1.6km)に関するデータを保存しないように構成され得る。
異なる実施形態では、GPSは定期的に格納される訳ではなく、所定のイベントが発生するとメモリに格納されるように構成され得る。例えば、プロセッサ202は、道路の分岐点、道路区域の変更、又はそのようなイベントが発生するとGPSデータを保存するようにプログラムされ得る。
さらに、プロセッサ202は、時々装置200の位置に関する記録(即ち、GPSデータ及びタイムスタンプ)、サーバ150にアップロードするように構成されている。ナビゲーション装置200が永続的又は少なくとも一般的に現存するチャンネル152を有する。このチャンネル152はサーバ150に接続して例えば24時間に1度であり得る、定期的にデータをアップロードする。当業者が理解するように、他の間隔も採用され得、実質的に以下のような、15分、30分、1時間毎、2時間毎、5時間毎、12時間毎、2日毎又はこれらの間の任意の時間の間隔であり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ202は、位置の記録を実質的にリアルタイムでアップロードするように構成され得る。もっとも、このことは送信の間隔を比較的短くして、データが時々送信されることを意味し、したがって疑似リアルタイムと考えることがより正しい。そのような疑似リアルタイム実施形態では、ナビゲーション装置はメモリ214内、又はポート228に挿入されたカード内にGPS測定位置をバッファできるように構成され得、又、所定の数の測定位置が保存されるとこれらを送信するように構成され得る。この所定の数は20、36、100、200程度、又はそれらの間の任意の数でもあり得る。当業者には、この所定の数はメモリ214又はポート228のカードの容量にある程度支配されることが明らかである。
通信チャンネル152が一般的に存在しない他の実施形態では、プロセッサ202は通信チャンネル152が生成された際に記録をサーバにアップロードするように構成され得る。例えばナビゲーション装置200がユーザのコンピュータに接続している場合があり得る。再び、このような実施形態では、ナビゲーション装置はGPSの測定位置をメモリ214又はポート228に挿入されたカードにバッファリングするように構成され得る。メモリ214又はポート228に挿入されたカードがGPSの測定位置で満杯になった場合、ナビゲーション装置はファースト・イン・ファースト・アウト(FIFO)バッファとして考えられ得るように最も古いGPSの測定位置を削除し得る。
説明される実施形態では、位置の記録は1つ以上の軌跡を含み、夫々の軌跡は24時間の期間内のナビゲーション装置200の移動を表す。それぞれの24時間の期間は暦日と一致するように構成されているが、必ずしもこのようにする必要はない。
一般的に、ナビゲーション装置200のユーザは、装置の位置に関する記憶がサーバ150にアップロードされることに対して承認する。承認が得られなかった場合は、記録はサーバにアップロードされない。ナビゲーション装置及び/又は装置が接続されたコンピュータは、位置記録の使用に関してユーザに承認を要請するように構成され得る。
サーバ150は装置の位置記録を受信し、処理のため大量データ格納装置160に保存するように構成されている。したがって、データをアップロードしたナビゲーション装置200の複数の位置記録が、時間とともに大量データ格納装置160に蓄積される。
上記のように、大量データ格納装置はマップデータも保存し得る。そのようなマップデータは、道路区域、注目すべき場所の位置など、マップに載っている一般的な情報を提供する。
図6を参照すると、方法の背景として、区域の時間に応じた混雑確率、混雑時の移動速度及び非混雑時の移動速度を得る方法が図示される。以降の説明は混雑時の速度及び非混雑時の速度を用いることによってなされるが、このデータは区域の長さを用いて混雑時又は非混雑時の移動時間に単に変換し得ることが理解される。
図6は、300において特定の期間、朝302、昼304及び夜306の3つの期間における、区域を渡る平均移動速度のヒストグラムを一般的に示している。この区域を渡る平均移動速度、即ち区域を渡る過去の移動時間のような生データから計算されたもの、は過去の移動データの例である。ヒストグラム300は、記録されたデータはライブデータではないという意味で過去のデータを表わすものと考え得る。従ってこのデータは事実上現在時刻において行われた生データの収集の直接的な結果ではなく、例えば最近の15分の道路区域上の実際の事象を記録したものである。しかし、このデータを用いて、現時点でこの区域に何が起こるかを、交通レベル及び交通の振る舞いに起こるパターンの観点で予測し得る。
ヒストグラム300の完成に要するデータ(過去の区域を渡る平均移動速度)は上述した種類の軌跡を用いて計算され、サーバ150に記録される。ナビゲーション装置200の位置が軌跡によって既知である場合、ナビゲーション装置が区域に入った時間と出た時間の経過時間が記録され得る。理解されるように、区域を渡る平均移動時間は区域の距離が既知であれば計算することができる。
ヒストグラム300は、朝302と昼304の期間には比較的ゆっくりした動きの交通のほとんどなく、一方、夜306の期間には実質的により多くの比較的ゆっくりした動きの交通があったことを示唆している。さらにヒストグラム300は、3つの全ての期間302、304及び306において実質的な量の比較的速い動きの交通があったことを示唆している。
ヒストグラム300には、混雑時の閾値速度308が時速60kmに選択されていることを示されている。混雑時の閾値速度は交通状況の例示である。混雑時の閾値速度は、混雑していたと判定される区域を渡る移動を下回る平均移動速度である。この実施形態では、混雑時の閾値速度は単に、特定の区域で混雑していたと判定されるべき平均速度は何かという主観な視点に基づいて選択されたものである。しかし他の実施形態では、この混雑時の閾値速度は代替的な基準(例えば早朝の期間に区域を渡る平均移動速度、他の車両の影響を無視しうる場合即ち自由に流れる速度、のパーセンテージ)に従って選択され得る。即ち、混雑時の閾値速度は、その区域を自由に流れる速度の選択されたパーセンテージであり得、この自由に流れる速度は、選択された交通量の少ない期間の区域を渡る平均移動速度である。理解されるように、混雑時の閾値速度が定められると、この速度を下回る、全ての区域を渡る平均の移動速度が混雑していると判定される。
また、ヒストグラム300には、時速10kmの混雑時の速度310が示されている。混雑時の速度は時間とは独立である、即ち同一の混雑時の速度310が3つの全ての期間302、304及び306に適用される。この実施形態では、混雑時の速度310は混雑時の閾値速度308を下回る状態に選択されている。従って混雑時の速度は、混雑している場合の、もっともらしい区域を渡る平均移動速度を示す。他の実施形態では混雑時の速度310は別に定められ得、この点については後述する。
ヒストグラム300を参照して、時間に応じた混雑確率の計算方法について説明する。ヒストグラム300は各期間302、304及び306において混雑時の閾値速度308を上回る又は下回る全てのヒット(hits)の数を示している。これらの合計の判定からそれぞれの期間における混雑時の移動に対する非混雑時の移動の割合が得られる。これは次にそれぞれの期間に対する混雑確率の計算を可能にする。この系で計算された混雑確率は生成される区域データの例である。この例のように、特定の期間における混雑時のヒットと非混雑時のヒットの割合が30:70である場合、混雑確率は30%となり得る。このような計算は関数として表現され得る。この混雑確率は区域データとして関連する区域に関連付けられ、特定の期間(例えば朝)の移動に対する混雑確率として与えられ得る。使用される混雑時の速度は、混雑確率と共に用いられて、混雑の可能性を提供するだけでなく更に混雑時の事象におけるもっともらしい平均速度を提供する。この例では、混雑確率は全体として過去のデータに基づいている。後述するように、混雑確率はライブデータに基づいて調整され得る。
図7Aから図7Dを参照して、混雑時の速度を定めるための代替的な基準を説明する。図7Aはヒストグラム312を、図7Bはヒストグラム314を、図7Cはヒストグラム316を、そして図7Dはヒストグラム318を示している。これらのヒストグラム312、314、316及び318はそれぞれ、単一の期間における区域に渡る過去の平均移動速度を示している。図6に示したヒストグラム300に示したように、全ての過去のデータを使用している。ヒストグラム312及びヒストグラム314の両方では、明確な低速度状態320が存在する。混雑時の閾値速度が低速度状態320を上回るように設定されたものとすると、この低速度状態320は混雑時の速度として選択されるのに特に適切である。比較のためにヒストグラム312及び314には5パーセントを示す322が示されている。
ヒストグラム316及びヒストグラム318の両方では、いずれも低速度状態が無いか明確に現われていない。この場合は特に、例えば5パーセントのような特定のパーセンテージが混雑時の速度として用いられ得る。
他の実施形態では、混雑時の速度を選択するための更なるオプションがある。混雑時の速度は例えば混雑時の閾値速度を下回る平均移動速度の平均であり得る。
本発明に係るいくつかの好ましい実施形態について、図8及び図9を参照して単なる例示の方法として説明する。
本発明は電子地図の区域に関連付けられた混雑時の移動時間、非混雑時の移動時間及び混雑確率を使用して、改善された代替経路を、特に交通状況の変化の下での経路の予測信頼性に基づいて生成する。
代替経路の生成に関する詳細を説明する前に、本発明に係る実施形態の基礎をなすいくつかの原理、及び経路の生成に用いられる要因について図8を参照して説明する。
図8は、上述した図7Aから図7Dのヒストグラムと類似しており、特定の期間に、ある区域を通過した異なるプローブ車両の速度分布を表わしている。この場合図8は、2年間に渡る期間の中の特定の1の曜日の特定の1時間における、ある道路区域で得られた異なるプローブ車両の速度の出現頻度を図示している。従って、得られた値はこの期間に対する平均値となり得る。他の期間に対応する以下に説明される区域の値、例えば混雑確率、混雑時の移動速度、非混雑時の移動速度等については、他の期間、例えば他の時間又は曜日と関連するデータに基づいて対応するヒストグラムが導き出され得る。
上記の「例えば」との語は、例えば混雑時のプローブ数や自由に流れる速度等のパラメータを表わす限り、そのパラメータが特定された方法で厳密に計算される必要はなく、単なる例示であることを表わしている。
図8では、時速約43km以上を非混雑時の速度と判定することができ、より低い速度である混雑時の速度は時速約5kmであって、ラッシュ時の混雑状況において典型的な速度であり得る。これらの2つの速度は平均速度である。この混雑時の移動速度及び非混雑時の移動速度は、混雑時の速度及び非混雑時の速度を用いて得られる。
例えば自由に流れる速度の50%に設定された所定の閾値をした回るスピードを有するプローブは、混雑時のプローブとして判定され得る。全プローブ数に対する混雑時のプローブ数は、特定の曜日の特定の時間における、対象の区域の混雑の確率又は渋滞の可能性(congestion likeliness)を与える。
本発明に従って有用な代替経路を得るためには、区域に対する混雑時及び非混雑時の移動時間と混雑確率に関する値を用いて、関連する曜日及び時間における、ある理論上の交通状況の下での区域の信頼性の測定値(reliability measure)を判定する。この場合、信頼性の測定値は、関連する時間において区域を通過する時間に関するものとなる。従って、測定値の低い値は高い信頼性を表わす。理解されるように、類似の計算は他の期間に対して適用し得、他の期間に関連するデータから得られる適切な値を用いて計算され得る。区域のこの信頼性の測定値は、道路区域の信頼性コスト(reliable cost)としても参照され得る。
信頼性の測定値は以下の式に従って計算される。
この式では、p^jは地域内の区域の混雑確率の平均であり、pjは対象となる区域の混雑確率である。この混雑確率の平均は、例えば同じ曜日の同じ時間である対応した時間における、地域内のそれぞれの区域に対して得られた混雑確率を用いて判定され得る。この平均はある区域から予め定められた距離内にある区域を考慮に入れ得る。この距離は評価されている経路の起点と目的地とに応じたバウンディングボックスによって定められ得る。しかし、他の複数のオプションも利用可能である。平均は、限定されたセットの値のうちの1つの値としてとり得るものであって、このセットの値は、計算されている値よりもむしろ、任意の区域に対する混雑確率の平均を表わすために用いられるセットの値である。好ましい変形例では、混雑確率の平均は、代替経路の生成において考慮されている区域の代替用ネットワーク(alternatives network)内の全ての区域に対して同一の値をとり得る。混雑確率の平均は、式1において、区域が平均より高い混雑確率を有する場合、区域のコストが交通レベルのパラメータの増加に対してより急激に反応することを確実にする効果を有する。また、地域が平均より低い混雑確率を有する場合はその反対である。
この式は追加的に更なるパラメータρ、即ち交通状況パラメータ(traffic condition parameter)として参照され得るパラメータであって交通のある理論上のレベルを示すパラメータを用い得る。このパラメータは信頼性パラメータとしても理解することができ、ある交通下における経路又は区域の好適な信頼性を設定するために用いられる。このパラメータは0と1の間の値が設定されて、値が高い場合は交通が高レベルであることを表わす。これらの状況下で信頼性の測定値が低い道路は、深刻な交通状況下でさえ交通の影響に対して比較的耐性があるものと理解され得る。
上述した式1では、ρ=0のときtρは非混雑時の移動時間tnであり、ρ=1のときtρはまさに混雑時の移動時間tjである。区域の混雑確率pjが混雑確率の平均p^jと一致する場合、tρはtnからtjにρずつ増加する線形関数である。区域の混雑確率が平均より低い(高い)場合、tρは劣線形的(sub-linearly)(超線形的(super-linearly))にρずつtjまで増加する。式1は必要に応じて更なるパラメータを用いて最適化することができ、及び/又は、必要に応じてs、tn、tj及びpjの定義を最適化することができる。特にtnはリアルタイムの交通情報に応じた移動時間として定義可能であり、tjは混雑状態における最長移動時間及びtnと置き換えることができる。
交通のパラメータ、例えば信頼性の測定値/信頼性のコストを最小化するもの、を用いることによる、ある交通状況又は特定された複数の交通状況における信頼性を最大化する区域に基づく経路を発見することによって、交通が深刻であると想定される場合であっても比較的短い移動時間を提供する経路を発見し得る。この信頼性の測定値は、従来型の方法におけるコスト関数において単独又は経路の判定においてバランスされる他の複数の要因とともに用いられる。信頼性の測定値についての式は、地域内の他の区域に対する任意のある区域における、移動時間と交通の深刻さとの間の関係を表わす方法を提供する。信頼性の測定値についての式は、個々の区域に対する混雑確率と全ての道路経路に基づいて判定された混雑確率の平均、及び、区域に対する混雑確率と非混雑確率、の両方の関数である。このようにして、交通パラメータを用いた、ある理論上の交通レベルのセットにおける区域に対する信頼性、即ちその移動時間、を判定することができる。理解されるように、この式は、ある区域上の混雑の相対的な確率を考慮するだけではなく、混雑時の移動時間によって生じ得る遅延の程度を考慮するものである。
上述した例は、このような式が実施され得る一例を示したに過ぎない。勿論、区域の特徴を一般的に示すこれらの、自由な流れ速度、非混雑時及び混雑時の移動時間、及び混雑確率についての他の定義が用いられてもよい。これらは、例えば、図8に示したヒストグラムから得られた、又は、ライブの交通情報を少なくとも部分的に用いて得られた、異なる閾値に基づき得る。
いくつかの実施形態では、信頼性の測定値を用いて、より深刻な交通状況においても特に冗長あるいは信頼性の高い経路を生成し得る。そのような経路の判定の実行において、交通状況のパラメータρは、例えばナビゲーション装置の表示上に現われたスライダを用いて、ユーザによって設定され、区域に対する信頼性の測定値が交通状況に応じたものとなる。このようにして、この特定の交通状況における、区域に対して得られた信頼性の測定値の結果を用いて経路が生成されて、特定のレベルの交通を想定した移動に最適化された経路を得てもよい。例えば、ρが高い値、即ち1に近い値に設定された場合、得られる経路は、交通が特に悪いことを想定した移動時間に最適化されたものになる。この状況では、混雑確率がより高く、混雑時の速度がより低い経路は除かれる。本発明のいくつかの側面では、これを用いて、更なるユーザが特定したパラメータ、即ち混雑に対する耐性、に基づく経路であって、代替経路を必要としない経路を提供し得る。例えば、これを用いて、次に従うべき経路を生成する。
しかし、好ましい実施形態では、信頼性の測定値は代替経路の生成に用いられる。
背景として、ユーザがPNDを様々な理由で使用し得る。いくつかの状況では、ユーザはよく知っている地域であって、PNDの経路に沿った案内に頼らない地域を運転していることもあるが、より速い代替経路が提案されれば、PNDを使用して交通レベルをモニタする。このようなより速い代替経路は、例えば交通サーバから、様々なチャンネルを介して装置で得られた現在の交通レベルに基づくものである。典型的なPNDは、運転手が元の経路で案内されている間に、バックグラウンドでより高速な経路を継続的に探索し得る。
交通に何らかの制限がある場合、単により高速な代替経路を提供する。多くの運転手は、道路ネットワークに対する自身の局所的な知識と利用可能な任意のリアルタイムな交通情報に基づいて、交通状況において自ら経路を決定する機会を喜んで受け入れる。しかし、地域の地図上にある全ての交通情報をユーザに提供するのは現実的ではない。従来技術は、現在の経路上の交通の表示とユーザが満足しないかもしれない単に見つかった代替経路とを提供する。ここでユーザは自身が知っている他の経路がより交通の影響を受けていないものかどうかを調べることを望んでいるかもしれない。
本発明の実施形態では、PNDは、ある予め設定された経路に沿って進む間に、継続的に代替経路を確認する。特に、予め定められた重要なディシジョンポイントに近づいたときには、代替経路のオプションが生成され、ユーザがディシジョンポイントに到達する前にユーザに対して表示される。それぞれの代替経路に対する移動時間及び交通情報も表示され、代替経路の1つを適用するか元の経路で継続するかを、ユーザは情報を得た上で決定することができる。
道路ネットワークの区域に関連付けられた混雑確率を考慮することによって、好ましい実施形態では信頼性の測定値を考慮することによって、本発明は交通に対する耐性に基づいた有用な代替経路を特定し、ある予め定められた経路に沿ったナビゲーションの間に、存在しうる膨大な数の可能性のある代替経路のなかから経路を選択する方法を提供する。本発明は、特に、単なる現在の交通状況ではなく混雑確率を考慮することによって、たとえその経路に沿った移動を開始した後に仮に交通状況が悪化したとしても、目的地までの時間に関して信頼性が高いであろう経路をユーザに選択させることができる。これに対して、現在の交通状況において最速となるように判定された経路は、交通状況がより悪くなる場合には最速の経路のままではないこともあり得る。
代替経路の生成を含む本発明に係る好ましい実施形態について、処理の基本的なステップを示すフローチャートである図9を参照して説明する。
ステップ1において、複数の異なる期間のそれぞれにおいて、混雑確率、混雑時の移動時間及び非混雑時の移動時間を示すデータを電子地図のそれぞれの区域に関連付ける。例えば、このようなデータのセットは、それぞれの曜日のそれぞれの時間長において、それぞれの区域に関連付けられる。データは上述した任意の方法で取得され得る。データは電子地図内のそれぞれの区域を表わすデータと関連付けられて格納される。データはPNDメモリ上の保持される電子地図データの一部として格納され得る。他の変形例ではこのような情報は代替的にPNDがアクセス可能なサーバに格納され、又は場所の組み合わせで格納され、又は他の任意の適切な変形がなされ得る。
ステップ2において、ユーザは、PNDによって案内される、第1の経路の起点と目的地との間の第1の予め定められた経路を設定する。この経路は従来型の方法で計算された、移動する現在の状況下において起点と目的地との間の最速の経路である。
予め定められた経路にユーザが従うと、PNDは経路上の先にある重要なディシジョンポイントを判定する−ステップ3
PNDは、ディシジョンポイントを、第1の予め定められた経路の元の目的地までの1つ以上の代替経路の計算における起点として用いる−ステップ4。代替経路は上述した式1を用いた信頼性の測定値を用いて判定される。
PNDは、元の起点と目的地との間の、地域内の区域の信頼性の測定値、即ち信頼性コストを、式1を用いて計算する−ステップ5。この計算では交通状況パラメータρは、所定の交通の重要性を示すようにこの計算のための適切なレベルに自動的に設定される。上述したように、信頼性の測定値は、個々の区域の混雑確率、混雑時及び非混雑時の移動時間を考慮し、追加的に地域内の区域の混雑確率の平均を考慮し、ある交通状況下における区域を通過する移動時間に関するものとなる。勿論、他の変形例において、信頼性コストはある交通パラメータレベルに基づく区域の属性として区域に関連付けられて格納され得る。しかし、経路生成方法の一部として信頼性の測定値を取得することによって、本発明は交通レベルパラメータの選択におけるより大きな柔軟性、望ましくは、それぞれの生成ステップごとに、又は異なる区域に対して変更する等の柔軟性を提供する。
地域内の区域に対する信頼性の測定値が決定されると、信頼性の測定値はコスト関数の一部として用いられて代替経路が判定される−ステップ6。PNDは信頼性の測定値に基づく代替経路を判定する。信頼性の測定値を最小化するために、交通パラメータによって特定される、ある交通状況に対する最大の信頼性を有する経路が発見される。この経路は、ある交通状況下において、交通状況パラメータによって設定されたレベルの交通による影響が移動時間の観点で最も少ないと判定された経路に対応する。
この代替経路はPNDの表示装置上でユーザに提示される−ステップ7.交通情報及び経路の移動時間がさらに表示される。
例えばある閾値を上回る信頼性を有する経路、他の任意の基準に応じた経路、異なるレベルの交通パラメータに基づく経路等、の更なる代替経路が判定され得る。
このように、ユーザは、現存する交通の事象において信頼性の高いと判定することができる代替経路を提示される。設定された交通状況パラメータのレベルに応じて、交通レベルが高い場合であっても経路は信頼性のあるものとなり得る。
ユーザはその後、この代替経路を選択する選択肢が与えられ、この代替経路を、新たな、従っている予め定められた経路とするか、既存の経路を継続するかを選択する。
この方法は同様に、その後のディシジョンポイントごとに繰り返されて、交通に対してより耐性のある代替経路をユーザに提示し得る。ユーザは現在の経路の先に渋滞が現われる場合に代替経路の一つに従うことを選択し得る。ある状況下で現在の経路が最速であっても、より高い交通のレベルにおいて必ずしも信頼性が高いものではないので、ユーザは信頼性の高い代替経路に切り替えることを好み得る。
代替経路の取得においては、最初に最速の経路を判定することに対して、より限定された代替用ネットワークの区域のみを考慮し得る。これにより生成される代替経路は、合理的な数のより有益な経路に制限され得る。この代替用ネットワークは、従っている予め定められた経路又は最速の経路に沿った区域及びディシジョンポイントの少なくともいずれかを考慮して判定され得る。経路の決定は従来型のアルゴリズム、例えばダイクストラ法(Dikstra algorithms)に基づいて実行され得る。
代替経路のための目的地は、従っている予め定められた経路の目的地(即ち第1の経路目的地)である必要はないが、もとの第1の経路目的地より代替経路起点に近い位置であり得る。これはもとの経路とこの点で再び合流し得ることを想定している。
勿論、実行中である代替経路の途中で決定されるよりも、経路に沿った移動を開始する前の、最初の経路計画の段階の一部として、最速の経路に対して好みの経路の1つをユーザが選択できるようにして、代替経路を生成し得る。代替経路の決定のための起点と目的地は、典型的には第1の経路起点と第1の経路目的地に対応する。
他の実施形態では、式1及び信頼性の測定値は、交通の信頼性を考慮に入れた経路を単純に判定しうる。例えば、ユーザは、交通状況のパラメータを、高レベルのようなレベルに設定して、交通が特に悪いことを想定した移動時間に最適化された経路を結果として得ることができる。このような状況では、この経路は代替経路である必要はなく、従来の方法のようにユーザの出発前に経路が生成されるように計画される経路であってもよい。ユーザは、例えば、PNDのグラフィカルインターフェース上のスライダを用いて交通パラメータを設定し得る。
実施され得る代替経路についての他のより詳細な方法について以降において説明する。
交通の信頼性の測定値を用いて信頼性の高い代替経路を生成する方法は、特に、自動的に設定される交通パラメータのレベルに関して変更され得る。1つの選択肢では、式1は最初にρ=0で実行され得る。この場合は現在の最速の経路Rが得られる。これにより、従っている最速の経路の残りを効率的に再生成するが、現在の交通状況の観点でなお最速の経路であることの確認を提供する。ここで、経路Rが発見された区域においてのみρを増加させ、この区域の交通の信頼性の測定値を考慮した新たなコスト関数に従って新たな選択肢としての代替経路を決定する。代替ネットワーク(alternative network)などの一部であるこれらの区域上でのみ信頼性のパラメータを増加させることは、アルゴリズムに、含まれている区域上で交通が悪化した場合に関連することになる新たな区域の発見を可能にする。このような状況では、以前に計算された経路上で交通事故がある場合に用いることのできる新たな代替経路を発見することになり得る。
勿論、更なるより複雑な変形例を、ρの増加(即ち、直前に計算された経路R上でρが増加した量)、以前のイテレーション(iterations)において代替ネットワークに追加された区域、及び、入る又は出る区域及び/又は現在の代替ネットワークに対して用いてもよい。
理解されるように、ここで説明された混雑確率に基づいて判定された代替経路を提案するステップに加えて、本発明はこのステップに適合する従来の方法で、新たな最速の代替経路をさらに探索するステップを除外するものではない。このステップは、交通パラメータのレベルを適切に設定することにより、上述した代替経路を計算するプロセスの一部として実行され得る。
本明細書に記載されて全ての特徴(添付された請求項、要約及び図を含む)及び、そのように処理することが記載された任意の方法の全てのステップ、の少なくともいずれかは、意図的に除外された特徴及びステップの少なくともいずれかの、少なくともいくつかの組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせ得る。
本明細書に記載されて全ての特徴(添付された請求項、要約及び図を含む)は、そのように明確に述べられている場合を除いて、同一、同等又は類似の目的を提供する代替的な特徴に置き換えられ得る。従って、そのように明確に述べられていない場合、それぞれの記載された特徴は同等又は類似の一連の機能の単なる一例に過ぎない。
本発明は、任意の前述した実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書に記載された任意の新規な1つの又は任意の新規な組み合わせの発明(添付された請求項、要約及び図を含む)に拡張され、もしくは、任意の方法のステップの任意の新規な1つの又は任意の新規な組み合わせ、又はそのように記載された処理まで拡張され得る。請求項は、上述した実施形態のみではなく、請求項の範囲内に入る任意の実施形態を含むものと解釈されるべきである。