以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100内には画像形成部Pが配設されている。この画像形成部Pは、帯電、露光、現像及び転写の各工程により所定の画像を形成する。
画像形成部Pには、可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム2が配設されており、感光体ドラム2上に形成されたトナー像が、シート(記録媒体)6上に転写され、さらに、定着装置7においてシート6上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム2を図1において時計回り方向に回転(正回転)させながら、感光体ドラム2に対する画像形成プロセスが実行される。
次に、画像形成部Pについて詳細に説明する。回転可能に配設された感光体ドラム2の周囲及び上方には、感光体ドラム2を帯電させる帯電装置3と、感光体ドラム2に画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム2上にトナー像を形成する現像装置5と、感光体ドラム2上に残留した現像剤(トナー)を回収するクリーニング装置9と、感光体ドラム2上の残留電荷を除去する除電装置10と、が設けられている。
先ず、帯電装置3によって感光体ドラム2の表面を均一に帯電させ、次いで露光装置4によって光照射し、感光体ドラム2上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置5は、感光体ドラム2と対向して配置された現像ローラー5aを有し、現像装置5には、磁性キャリアとトナーとを含む磁性二成分現像剤(以下、単に現像剤とも言う)が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって現像装置5内に充填された現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ11から現像装置5にトナーが補給される。このトナーは、所定の現像バイアスが印加された現像ローラー5aにより感光体ドラム2表面に供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
トナー像が転写されるシート6は、シート6を収納する複数の給紙カセット12a、12b、12cと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)12dに収容されている。シート6は、給紙ローラー13、レジストローラー対14を介して、トナー像が形成された感光体ドラム2に向けて搬送される。
このとき画像書き出し信号がONとなり、シート6の所定位置にトナー像が転写されるように感光体ドラム2上に画像形成を行う。そして、感光体ドラム2の下部において、所定の転写バイアスが印加された転写ローラー17で電界付与することにより、感光体ドラム2上のトナー像がシート6上に転写される。
トナー像が転写されたシート6は、定着装置7へと搬送される。また、トナー像が転写された後の感光体ドラム2は、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム2の表面に残留したトナーがクリーニング装置9により回収される。また、感光体ドラム2の表面の残留電荷が除電装置10によって除去される。定着装置7に搬送されたシート6は、定着ローラー対7aにより加熱及び加圧されてトナー像がシート6の表面に定着され、所定の画像が形成される。画像が形成されたシート6は、その後排出ローラー対18によって排出トレイ19に排出される。
図2は、図1における感光体ドラム2周辺の概略拡大断面図である。なお、図2において、直線矢印方向は、シート6の搬送方向を示す。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。感光体ドラム2は、例えばアルミニウム素管等から成る円筒状の金属基体の表面に、感光層として正帯電性のアモルファスシリコン(a−Si)層が形成されたアモルファスシリコンドラムを用いることができる。本実施形態では、直径30mmのアルミニウム素管の外周面に膜厚20μmのアモルファスシリコン層が形成された感光体ドラム2を用いている。また、感光体ドラム2は、図示しない駆動ギアを介してメインモーター45と連結されることにより、正方向(図2の時計回り方向)および逆方向(図2の反時計回り方向)に回転するようになっており、画像形成時には正方向に回転(正回転)する。
感光体ドラム2の上方には帯電装置3が配置されている。帯電装置3は、感光体ドラム2に当接して従動回転し、感光体ドラム2の表面を帯電する帯電ローラー30と、帯電ローラー30に当接して回転駆動され、帯電ローラー30の外周面を清掃するクリーニングブラシ31とを有する。
帯電ローラー30は、金属製の芯金30aの外周面に半導電性の弾性材料で形成された弾性層(ゴム層)30bを有している。本実施形態では、直径6mmの芯金30aの外周面に、体積抵抗値3×107Ω、ゴム硬度(JIS硬度)40のエピクロルヒドリンゴム層と、エピクロルヒドリンゴム層の表面に積層されたポリアミド樹脂から成る厚さ5μmの塗膜とで構成される、表面硬度(JIS硬度)41の弾性層30bが形成された導電性ゴムローラーを用いている。帯電ローラー30は、帯電装置3の筐体に回転可能に支持されている。また、帯電ローラー30は、感光体ドラム2に所定のニップ圧で圧接されており、感光体ドラム2に従動して回転するようになっている。
また、画像形成時、帯電ローラー30にはトナーと同極性(正極性)の帯電バイアスが印加される。具体的には、帯電ローラー3の芯金3aは、バイアス制御回路41(図3参照)を介して帯電バイアス電源42と電気的に接続され、帯電バイアス電源42から帯電ローラー30に対して交流電圧を重畳した直流電圧から成る帯電バイアスが印加される。この帯電バイアスの印加によって帯電ローラー30の弾性層30bの抵抗に応じて流れる電流により、感光体ドラム2表面を帯電することができる。ここでは、帯電バイアスを、直流電圧Vdc=650V、該直流電圧に重畳する交流電圧のVpp=1.2kV、周波数Vf=1.5kHzに設定している。これにより、感光体ドラム2の表面は正極性(300V)に帯電される。
クリーニングブラシ31は、回転軸の外周面に導電性のナイロン等の樹脂で形成されたブラシ部が突出しており、ブラシ部を帯電ローラー30の外周面に接触させた状態で回転することにより帯電ローラー30に付着しているトナーや紙粉等を除去するものである。クリーニングブラシ31の回転軸の一端には感光体ドラム2の回転軸に設けられた出力ギア(図示せず)と連結される入力ギア(図示せず)が固定されており、感光体ドラム2の回転駆動力によって、帯電ローラー30に対し所定の線速差をもって帯電ローラー30との対向面において同一方向に回転(ウィズ回転)する。なお、クリーニングブラシ31に代えて、ゴムや樹脂製のスポンジ状のローラーから成るクリーニングローラーを用いてもよい。
現像装置5は、感光体ドラム2に対向して配置される現像ローラー5aと、現像ローラー5aに隣接して配置される磁気ローラー5bと、トナーコンテナ11(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)を磁性キャリアと混合して攪拌、搬送し、帯電させる攪拌搬送部材5cがそれぞれ回転可能に配設されている。現像ローラー5a及び磁気ローラー5bは、それぞれの回転軸周りに関して図2の反時計回り方向に回転する。
現像ローラー5aには、直流電圧及び交流電圧が重畳して印加され、磁気ローラー5bには、直流電圧が印加される。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源43からバイアス制御回路41を経由して現像ローラー5a及び磁気ローラー5bに印加される。本実施形態では、現像バイアスとして現像ローラー5aには150Vの直流電圧と、ピークツーピーク値が1.5〜2.0kV、周波数4.5kHz、デューティー比43%の矩形波の交流電圧とが印加される。また、磁気ローラー5bには200〜400Vの直流電圧が印加される。
現像装置5の動作について説明すると、攪拌搬送部材5cによって、現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、現像装置5内を循環する。これにより、現像装置5内のトナーが帯電される。帯電された現像剤は磁気ローラー5bに搬送され、磁気ローラー5b上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ローラー5b上の磁気ブラシは穂切りブレード5dによって層厚規制された後、磁気ローラー5bと現像ローラー5aとの対向部分に搬送され、磁気ローラー5bに印加される直流電圧と現像ローラー5aに印加される直流電圧との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー5a上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー5a上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー5bと現像ローラー5aとの回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー5a上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
また、現像剤中のトナーは、トナー母粒子に1種以上の外添剤を添加したものである。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含有し、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、重合法等の公知の方法で製造される。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機酸化物、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等が挙げられる。外添剤の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
また、転写ローラー17の芯金17aは、バイアス制御回路41を介して転写バイアス電源44と電気的に接続され、画像形成時、転写バイアス電源44から転写ローラー17に対してトナーとは逆極性である負極性の転写バイアスが印加される。また、後述するブリード汚染防止モード、及びドラムリフレッシュモードでは、転写ローラー17に対して、転写バイアスとは逆極性である正極性のバイアス(転写逆バイアス)が印加される。
クリーニング装置9には、感光体ドラム2表面の残留トナーや外添剤を除去するためのクリーニングブレード22と、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム2表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー23と、クリーニングブレード22及び摺擦ローラー23によって感光体ドラム2表面から除去されたトナーをクリーニング装置9の外部に排出する回収スクリュー24と、が設けられている。
クリーニングブレード22は、感光体ドラム2の表面に当接する先端部が感光体ドラム2の正回転方向(図2の時計回り方向)に対し上流側に向くように(カウンターとなるように)配置されている。クリーニングブレード22としては、例えばJIS硬度が78°、厚さ1.2mmのポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体ドラム2の接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード22の材質及び硬度、寸法、感光体ドラム2への食い込み量及び圧接力等は、感光体ドラム2の仕様に応じて適宜設定される。
摺擦ローラー23は、感光体ドラムの正回転方向に対しクリーニングブレード22の上流側において、感光体ドラム2に所定の圧力で圧接されており、図示しない駆動手段により感光体ドラム2との当接面において同一方向に回転(ウィズ回転)する。摺擦ローラー23の線速は感光体ドラム2の線速よりも速く(ここでは1.2倍)設定されている。摺擦ローラー23としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
また、クリーニング装置9には、摺擦ローラー23表面のトナーを所定の層厚とするためのスクレーパー25や、スクレーパー25によって層規制された余剰のトナーを保持する保持部26、保持部26に保持されたトナーを摺擦ローラー23に再供給するウレタンフォーム製の発泡ローラー27、クリーニング装置9内の廃トナーが外部に漏出するのを防止するためのウレタンシール(図示せず)等も設けられている。
図3は、本発明の画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
画像入力部40は、画像形成装置100にパーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置3内の帯電ローラー30に、現像バイアス電源43は現像装置5内の現像ローラー5a及び磁気ローラー5bに、転写バイアス電源44は転写ローラー17に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
メインモーター45はギア列を介して感光体ドラム2、現像装置5、転写ローラー17、定着装置7、及び装置各部の搬送ローラー等に連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて装置各部を駆動させる。
機内温湿度センサー47は、画像形成装置100内部の温度及び湿度を常に検知している。検知結果は後述するI/F96を介して制御部90に送信される。
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52が設けられており、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。
また、RAM93(或いはROM92)には、後述するドラムリフレッシュモードの実行の要否を決定するための温湿度の閾値、感光体ドラム2の逆回転及び正回転のタイミングや線速を制御するためのプログラムや、後述するようにトナーを現像ローラー5aから感光体ドラム2表面に供給するための現像バイアス値や、現像バイアスの印加及び印加停止タイミング、帯電ローラー30に印加する帯電バイアス、帯電逆バイアスやそれらの印加及び印加停止タイミング、転写ローラー17に印加する転写バイアス、転写逆バイアスやそれらの印加及び印加停止タイミング等も記憶される。
さらに、RAM93(或いはROM92)には、帯電ローラー30への外添剤の付着量に基づいてドラムリフレッシュモードにおけるトナー吐出量を決定するための、帯電ローラー30への外添剤の付着量と相関性の高い累積印字率とトナー吐出量とを関連付けたトナー吐出量決定テーブル等も記憶される。
一時記憶部94は、画像入力部40より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部P、露光装置4、定着装置7、転写ローラー17、機内温湿度センサー47、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
本発明の画像形成装置100では、画像形成装置100が所定時間印字動作を行わなかった場合、装置各部への電力供給を制限する省電力モード(スリープモード)から復帰する際に、機内温湿度センサー47により検知された温度及び湿度に応じて、感光体ドラム2表面の水分や汚染物質を除去するドラムリフレッシュモードを実行することとしている。以下、本発明の特徴部分であるドラムリフレッシュモードについて詳細に説明する。
機内温湿度センサー47により検知された温度及び湿度が所定値以上である場合、図4(a)に示すように、帯電ローラー30に帯電バイアスを印加せずに感光体ドラム2を正回転させる。略同時に、現像ローラー5aに画像形成時と同様の現像バイアスを印加する。これにより、トナーTが感光体ドラム2に吐出される。吐出されたトナーTは感光体ドラム2表面の水分や汚染物質を吸収する。このとき、感光体ドラム2の外周面全域の水分や汚染物質を吸収するために、感光体ドラム2の周方向におけるトナーTの吐出長を、感光体ドラム2の外周長分(1周分)以上とすることが好ましい。
さらに感光体ドラム2が正回転を続けると、感光体ドラム2表面に吐出されたトナーTは、感光体ドラム2と転写ローラー17とのニップを通過する。このとき、転写ローラー17には画像形成時に印加される転写バイアスと逆極性(トナーと同極性)である転写逆バイアスが印加されているため、トナーTは、図4(b)に示すように、転写ローラー17に付着することなくニップを通過してクリーニング装置9に到達し、クリーニング装置9の摺擦ローラー23に付着する。摺擦ローラー23に付着したトナーTはスクレーパー25によって層規制されるため、摺擦ローラー23には常に一定量のトナーTを保持させことができる。また、スクレーパー25によって層規制された後の余剰のトナーTは保持部26に保持される。
トナーTの吐出が終了した後、感光体ドラム2を所定回転数だけ回転させるエージング動作(空回し)を行うことにより、摺擦ローラー23はトナーTを感光体ドラム2に擦り付けながら感光体ドラム2表面を研磨する。保持部26に保持されたトナーTは発泡ローラー27によって汲み上げられ、摺擦ローラー23に再供給される。これにより、現像ローラー5aからのトナーTの吐出が終了した後も摺擦ローラー23にトナーTを継続して供給することができる。摺擦ローラー23により感光体ドラム2に擦り付けられたトナーTはクリーニングブレード22によって回収される。
また、この一連の動作においては、感光体ドラム2の線速を、画像形成時における線速(ここでは138mm/sec)に対して1.5倍(ここでは208mm/sec)とする。これにより、単位時間当たりのトナー付着面積が広くなるため、感光体ドラム2表面の水分除去に要する時間、即ちドラムリフレッシュモードの実行時間を短縮することができる。また、このときの感光体ドラム2の線速はより速い(例えば、画像形成時における線速の1.5倍よりも速い)ことが望ましい。
前述したように、帯電ローラー30の弾性層30bには、導電剤や成形時に添加されるプロセスオイル等のブリード物が含まれている。これらのブリード物は、高温高湿環境下で画像形成装置100を停止させたとき、弾性層30bの表面にブリードし、感光体ドラム2の表面に移行することで画像流れ等の不具合が発生する原因となるおそれがある。
一方、印字動作を繰り返すことにより、感光体ドラム2の表面にはトナーに含まれる外添剤が徐々に付着する。感光体ドラム2の表面に付着した外添剤は、感光体ドラム2に接触しながら従動回転する帯電ローラー30に移行する。その結果、帯電ローラー30の表面に外添剤が徐々に付着する。
帯電ローラー30の表面に付着した外添剤は、帯電ローラー30の弾性層30bからのプロセスオイル等のブリードを抑制する作用がある。即ち、帯電ローラー30の表面への外添剤付着量が少ないときは、感光体ドラム2に付着する水分と帯電ローラー30からのブリード物の影響で画像流れが発生し易くなる。そのため、ドラムリフレッシュモードの実行時には感光体ドラム2に付着する水分と帯電ローラー30からのブリード物の両方を除去するために比較的多くのトナーを吐出する必要がある。
特に、本実施形態のように、摺擦ローラー23表面のトナーをスクレーパー25によって層規制し、保持部26に保持された余剰のトナーを発泡ローラー27により摺擦ローラー23に再供給するシステムを用いたクリーニング装置9では、感光体ドラム2に付着した水分及び帯電ローラー30からのブリード物を吸収したトナーが摺擦ローラー23に再供給されてしまう。その結果、摺擦ローラー23表面のトナーが水分やブリード物を含まないトナーに入れ替わらず、画像流れを抑制する効果が著しく低下してしまう。
これに対し、帯電ローラー30の表面への外添剤付着量が多いときは、帯電ローラー30からのブリード物の影響が少なくなるため、画像流れが発生し難くなる。そのため、ドラムリフレッシュモードの実行時には感光体ドラム2に付着する水分を除去するだけの比較的少量のトナーを吐出すれば足りる。
そこで、本実施形態の画像形成装置100では、省電力モードから復帰する際に、機内温湿度センサー47により画像形成装置100内部の温湿度を検知し、検知された温度及び湿度が所定値以上である場合にドラムリフレッシュモードを実行するとともに、帯電ローラー30への外添剤の付着量に基づいてドラムリフレッシュモードの実行時におけるトナー吐出量を決定することとしている。
なお、帯電ローラー30への外添剤の付着量を直接測定することは困難であるため、後述するように外添剤の付着量と相関する累積印字率を用いて帯電ローラー30への外添剤の付着量を推定し、外添剤の付着量の推定値に基づいてトナー吐出量を決定するようにしている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100における、省電力モードからの復帰時の制御について説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置100の制御手順の一例を示すフローチャートであり、図6は、図5の制御手順のタイミングチャートである。必要に応じて図1〜図4及び図6を参照しながら、図5のステップに沿って本制御例について説明する。
画像形成(印字)終了後、帯電ローラー30に対する帯電バイアスの印加、現像装置5の作動、転写ローラー17に対するバイアスの印加、感光体ドラム2の回転は停止している(OFF)。そして、制御部90は、印字停止状態が所定時間継続したか否かに基づいて、画像形成装置100を省電力モードに移行するか否かを判断する(ステップS1)。前回の印字動作から所定時間が経過し、省電力モードに移行する場合は(ステップS1でYES)、画像形成装置100は省電力モードに移行する。
次に、制御部90は、パーソナルコンピューター等から印字命令が入力されたか否かを判断する(ステップS2)。印字命令が入力された場合(ステップS2でYES)、制御部90は、機内温湿度センサー47により検知された機内温度Tが所定温度T1以上であるか、及び機内湿度Hが所定湿度H1以上であるか否かを判断する(ステップS3)。そして、T≧T1かつH≧H1である場合は(ステップS3でYES)、制御部90は、省電力モードからの復帰時にドラムリフレッシュモードを実行する。
先ず、制御部90は帯電ローラー30の使用開始時(未使用状態)からの累積印字率を算出する。具体的には、制御部90は一時記憶部94内のデジタル信号に基づいて各画像形成ユニットPa〜Pdにおける印字画像毎の印字率(全画素数に対するドットの割合)bnを算出し、さらに印字率bnを累積した累積印字率Σbnを算出する(ステップS4)。そして、算出された累積印字率Σbnと、RAM93に記憶されたトナー吐出量決定テーブルとを用いて帯電ローラー30への外添剤の付着量に基づいてトナー吐出量を決定する(ステップS5)。
次に、制御部90はバイアス制御回路41及びメインモーター45に制御信号を送信して帯電ローラー30に帯電バイアスを印加せずに感光体ドラム2を正回転させ、転写ローラー17に転写逆バイアスを印加する。次に、図4(a)に示したように、現像ローラー5aに現像バイアスを印加して、感光体ドラム2表面にトナーを吐出する(ステップS6)。所定量のトナーを吐出した時点で現像ローラー5aへの現像バイアスの印加を停止し、トナー吐出を終了する。
そして、図4(b)に示したように、トナーの吐出を終了した後も引き続き感光体ドラム2を正回転させるエージング動作を行うとともに、摺擦ローラー23を感光体ドラム2に対し線速差を持たせて回転させることにより感光体ドラム2表面を研磨する(ステップS7)。摺擦ローラー23に付着したトナーはスクレーパー25で層規制され、保持部26に保持される。保持部26に保持されたトナーは、発泡ローラー27により摺擦ローラー23に再供給される。その後、感光体ドラム2及び摺擦ローラー23を所定時間継続して回転させ、感光体ドラム2表面の水分や汚染物質を吸収したトナーをクリーニングブレード22により回収する。
制御部90は、トナー吐出量がステップS5で決定された吐出量に到達したか否かを判断する(ステップS8)。決定された吐出量に到達していない場合は(ステップS8でNO)ステップS6に戻り、感光体ドラム2へのトナー吐出及び摺擦ローラー23による感光体ドラム2表面の研磨を繰り返す(ステップS6、S7)。決定された吐出量に到達している場合は(ステップS8でYES)ドラムリフレッシュモードを終了する。
その後、印字動作を開始し(ステップS9)、印字動作が終了したか否かを判断する(ステップS10)。印字動作が終了した場合はステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す(ステップS1〜S10)。一方、T<T1またはH<H1である場合は(ステップS3でNO)、ドラムリフレッシュモードを実行せずにそのまま省電力モードから復帰させて印字動作を開始する(ステップS9)。
上記の制御によれば、省電力モードからの復帰時に高温高湿環境である場合は、感光体ドラム2にトナーを吐出して感光体ドラム2表面の水分や汚染物質を吸収するドラムリフレッシュモードが実行される。その結果、省電力モード中に感光体ドラム2表面に付着した水分や、帯電ローラー30からのブリード物に起因する画像流れの発生を抑制することができる。従って、長期間に亘って画像流れの発生を効果的に抑制することができ、安定した画像品質を得ることが可能となる。
一方、省電力モードからの復帰時に高温高湿環境でない場合は、ドラムリフレッシュモードを実行せずに印字動作が開始されるため、不要なドラムリフレッシュモードが実行されず、無駄なトナーの消費が抑制されるとともにユーザーの待ち時間を短縮することができる。
また、ドラムリフレッシュモードを実行する場合は、帯電ローラー30への外添剤の付着量と相関性の高い累積印字率に基づいてトナー吐出量が決定されるため、常に最適量のトナーを吐出することができる。例えば、累積印字率が低い(帯電ローラー30への外添剤の付着量が少ない)場合は帯電ローラー30からのブリード物も多くなるため、感光体ドラム2の表面に付着した水分とブリード物の両方を除去できる比較的多量のトナーを吐出することで画像流れを効果的に抑制することができる。
特に、本実施形態のように摺擦ローラー23表面で層規制された余剰のトナーを摺擦ローラー23へ再供給するシステムを備えたクリーニング装置9に適用した場合、帯電ローラー30からのブリード物が多いときは多くのトナーが吐出されるため、摺擦ローラー23表面のトナーの入れ替わりが促進される。その結果、水分とブリード物を吸収したトナーが摺擦ローラー23に繰り返し供給されることで画像流れの抑制効果が低下する不具合を効果的に解消することができる。
一方、累積印字率が高い(帯電ローラー30への外添剤の付着量が多い)場合は帯電ローラー30からのブリード物も少なくなるため、感光体ドラム2の表面に付着した水分のみを除去できる比較的少量のトナーを吐出することで不要なトナーの吐出を抑制することができる。
その他、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、感光体ドラム2や帯電ローラー30の材質や外径、線速等は、特に限定されるものではなく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、上記各実施形態では、本発明を正帯電トナーに適用したが、その他、負帯電トナーに適用することもでき、トナーの極性に応じて帯電バイアス、現像バイアス、及び転写バイアスを正極性または負極性のバイアスに設定すればよい。
また、上記実施形態では、現像剤が担持される磁気ローラー5b(トナー供給部材)と、磁気ローラーからトナーのみが供給される現像ローラー5a(トナー担持体)とを設け、現像ローラー5aから感光体ドラム2にトナーのみを飛翔させる現像装置5を備えた画像形成装置について説明したが、磁性一成分現像剤を用いる一成分現像式の現像装置を備えた画像形成装置や、二成分現像剤が担持される磁気ローラー5b(トナー供給部材)のみを備え、現像時、二成分現像剤の磁気ブラシが感光体ドラム2に当接するような二成分現像式の現像装置を備えた画像形成装置の場合であっても、現像条件等を適宜設定することにより、上述したドラムリフレッシュモードを実行することができる。
また、本発明は、図1に示したようなモノクロプリンターに限らず、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザープリンター等、接触式の帯電装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
(累積印字率と帯電ローラー30への外添剤の付着量との相関)
本発明の効果を確認するために、累積印字率と帯電ローラー30への外添剤の付着量との関係について調査した。図1に示したような本発明の画像形成装置100を用い、未使用状態の帯電ローラー30を用いて高温高湿環境下(32.5℃、80%)で印字率2%、5%、10%、20%のテスト画像を30K(30,000)枚連続印字し、所定枚数毎に帯電ローラー30への外添剤の付着量を確認した。
外添剤の付着量は、反射濃度計(RD912、マクベス社製)を用いて所定枚数毎に帯電ローラー30表面のL値を測定した。結果を図7及び図8に示す。なお、L値とはL*a*b*表色系において明度を表す数値であり、L値が高くなると帯電ローラー30が外添剤の付着により白くなっていることを示している。
図7は、印字枚数と帯電ローラー30表面のL値の変化量(初期のL値からの増加量)との関係を示すグラフであり、図8は、累積印字率(印字率(%)×印字枚数(k枚))と帯電ローラー30表面のL値の変化量との関係を示すグラフである。図7から明らかなように、印字率が2%(◇のデータ系列)、5%(□のデータ系列)、10%(△のデータ系列)、20%(×のデータ系列)のそれぞれにおいて、印字枚数が増加するにつれてL値の変化量も増加している。また、図8から明らかなように、印字率が2%(◇のデータ系列)、5%(□のデータ系列)、10%(△のデータ系列)、20%(×のデータ系列)のいずれであっても累積印字率と帯電ローラー30表面のL値の変化量(白化)とは相関性があり、累積印字率を算出することで帯電ローラー30への外添剤の付着量を推測できることがわかる。
(ドラムリフレッシュモードに必要なトナー吐出量の算出)
実施例1で求めた帯電ローラー30表面のL値の変化量と、画像流れの解消に必要なトナー吐出量との関係について調査した。試験方法としては、実施例1で使用した本発明の画像形成装置100を高温高湿環境下(32.5℃、80%)で2日間放置した後、ドラムリフレッシュモードを1回実行する毎に600dpi、1×1ドットの25%ハーフ画像を印字して画像流れの発生を確認した。
ドラムリフレッシュモードは、感光体ドラム2の線速を208mm/secとし、ドラムリフレッシュモード1サイクル中の総回転時間を感光体ドラム2が600周回転する時間とした。そして、帯電ローラー30に印加する帯電バイアスを0V(OFF)とし、感光体ドラム2の表面電位を0Vとした状態で、現像ローラー5aに通常印字時と同じ現像バイアスを印加して感光体ドラム2にドラム1周分のトナーを吐出した。ここでは直径30mmの感光体ドラム2を用いたので、ドラム周方向の吐出長が約94mmのトナーを吐出した。トナーの吐出後、上記総回転数(ここでは600周)分のエージング動作(空回し)を行った。上述したトナーの吐出からエージング動作の終了までをドラムリフレッシュモード1サイクルの動作とした。
なお、ドラムリフレッシュモードの実行中は、吐出したトナーが転写ローラー17に付着しないように転写ローラー17には500Vの一定電圧(転写逆バイアス)を印加した。また、ドラムリフレッシュモードの実行後は、転写ローラー17が1周する時間だけ転写正バイアスと転写逆バイアスを繰り返し印加して、転写ローラー17のクリーニングを行った。
帯電ローラー30表面のL値の変化量が0(初期状態)、5、10、15の場合に、上述したドラムリフレッシュモードを実行し、それぞれ画像流れが発生しなくなるまでドラムリフレッシュモードを繰り返したときのトナーの総吐出量(トナー総吐出長)を比較した。なお、画像流れの評価は、透過濃度測定装置(Model310T、X−rite社製)を用いて画像の濃度ムラを測定し、ドットの再現性がなくなった場合(画像濃度ムラΔTD値が0.1超の場合)に画像流れ有りとした。結果を図9に示す。
図9から明らかなように、L値の変化量が0(初期状態)の帯電ローラー30を用いる場合は画像流れの解消に必要なトナー総吐出長が564mm(ドラムリフレッシュモード6サイクル分)であるのに対し、L値の変化量が5、10、15と大きくなるにつれて画像流れの解消に必要なトナー総吐出長が376mm、188mm、94mm(ドラムリフレッシュモード4サイクル分、2サイクル分、1サイクル分)と段階的に少なくなっている。
以上の結果より、省電力モードからの復帰時に温湿度条件に応じてドラムリフレッシュモードを実行するとともに、帯電ローラーへの外添剤付着量に基づいてトナー吐出量を決定する本発明の画像形成装置100では、画像流れの発生を防止するために必要最小限のトナーを吐出することができ、画像流れによる画像品質の低下防止とトナーの浪費防止とを両立できることが確認された。
なお、上記の実施例ではテスト画像として均一なハーフ画像を用いているが、実際の印字画像では感光体ドラムの軸方向に印字率のムラが存在する。そのため、実際には感光体ドラム2の表面(画像形成領域)を軸方向に分割した複数の領域について部分累積印字率を算出し、算出された部分累積印字率の最小値を用いてドラムリフレッシュモードの実行時におけるトナー吐出量を決定することが好ましい。この場合、感光体ドラム2の軸方向における各領域の寸法が5mm以下となるように分割しておくことで、適切なトナー吐出量を精度良く決定することができる。