以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。感光体ドラム413は、露光装置411による露光により、露光された部分に潜像が形成される。
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
帯電装置414は、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射することによって、感光体ドラム413を露光して静電潜像を形成する。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
以下、図3〜14を参照して、本実施の形態の特徴部分について説明する。図3Aに示すように、画像形成装置1の画像形成装置本体110の前面には、画像形成装置本体110に対して開状態と閉状態との間を回転可能な固定回転軸部112を介して画像形成装置本体110に連結された開閉部材120が配置されている。
開閉部材120は、一端部が固定回転軸部112に連結される分割部材122(本発明の「第1分割部材」に対応)と、分割部材122の他端部に設けられた中間回転軸部114を中心に、開閉部材120が閉状態から開状態に回転される場合の回転方向(図3では、時計回り方向)と同一方向に回転可能な分割部材124と、分割部材124の両端部のうち分割部材122側と逆側の端部に設けられた中間回転軸部116を中心に、開閉部材120が閉状態から開状態に回転される場合の回転方向と同一方向に回転可能な分割部材126(本発明の「第2分割部材」に対応)とを有する。分割部材126には、給紙トレイユニット51b(図1を参照)に組み込まれる給紙カセット115の上部(差し込み口)に差し込み可能な差し込み部材130が内蔵されている。
開状態とは、ユーザーによって、開閉部材120が画像形成装置本体110から離間する方向(図3B中の矢印方向)に回転された状態であり、具体的には、開閉部材120の分割部材122が90度回転された状態である。この開状態では、画像形成装置本体110内を露出し、分割部材122が水平となる(図3Cを参照)。また、閉状態とは、ユーザーによって、開閉部材120が開状態から、画像形成装置本体110の前面に当接する方向(図3B中の矢印方向と逆方向)に回転された状態である。この閉状態では、開閉部材120が画像形成装置本体110に当接しており、画像形成装置本体110内を露出しない(図3Aを参照)。
図3Aは、開閉部材120が閉状態である様子を示している。図3Bは、ユーザーによって、分割部材122が画像形成装置本体110から離間する方向に所定角度(例えば45度)回転されるとともに、分割部材124,126がそれぞれ中間回転軸部114,116を中心に、時計回り方向に回転された状態を示している。図3Cは、ユーザーによって、分割部材122が開状態となるまで回転されるとともに、分割部材124,126が時計回り方向に回転された後、差し込み部材130が給紙カセット115の上部に差し込まれた状態を示している。図3Cの状態では、分割部材122は、閉状態から、時計回り方向に90度回転された状態にある。分割部材124は、分割部材122の水平面に対して、中間回転軸部114を中心として時計回り方向に90度回転された状態にある。分割部材126は、分割部材124の鉛直面に対して中間回転軸部116を中心として時計回り方向に90度回転された状態、すなわち、分割部材122と平行な状態にある。差し込み部材130が給紙カセット115の上部に差し込まれることによって、分割部材126の両端部のうち分割部材124側と逆側の端部は画像形成装置本体110に固定される。これにより、分割部材122が開状態となるまで回転され、分割部材124,126が時計回り方向にさらに回転された状態(開閉部材120の横断面がコ字形状に変形した状態)を保持することができる。さらに言えば、開閉部材120が開状態となるまで回転される、すなわち分割部材122が画像形成装置本体110から離間する方向に90度回転されることによって、ユーザーは、水平となった分割部材122の上面をメンテナンス作業(トナーカートリッジの交換、装置内部の清掃またはジャム処理等)の作業台として利用することができる。なお、給紙カセット115の上部および差し込み部材130は、本発明の「複数の分割部材の連結方向において固定回転軸部から最も遠い第2分割部材を画像形成装置本体に固定する第1固定部」に対応する。
図3を参照して説明したように、開閉部材120が開状態に回転される場合に、分割部材124,126が開閉部材120の回転方向と同一方向に回転することにより、開閉部材120の占有空間が小さくなるとともに、分割部材124,126は、画像形成装置本体110に向けてユーザーが手を差し延べる経路の途中に位置しないこととなる。つまり、開閉部材120を開いたときに、開閉部材120が占有する空間を小さくするとともに、開閉部材120がユーザーのメンテナンス作業の邪魔になることを確実に防止することができる。
本実施の形態では、固定回転軸部112および中間回転軸部114,116には、分割部材122,124,126の回転角度を規制する回転角度規制構造が設けられている。一例として、分割部材124の回転角度を規制する回転角度規制構造について説明する。図4Aに示すように、分割部材122の分割部材124側の端部に設けられた中間回転軸部114は、分割部材124の回転速度を低減するロータリーダンパー(図示せず)を備えている。また、分割部材124の分割部材122側の端部には、中間回転軸部114を中心として分割部材124を図中矢印方向(時計回り方向)に回転させたときに、分割部材122の平面部122Aに突き当たることで分割部材124の回転角度を規制する角度規制面124Aが形成されている。図4Bは、分割部材124の角度規制面124Aが分割部材122の平面部122Aに突き当たって面接触することで、分割部材124の回転角度が所定角度(例えば90度)に規制される様子を示している。分割部材122,124,126の回転角度を規制する回転角度規制構造を設けることによって、分割部材126の両端部のうち分割部材124側と逆側の端部は、ユーザーの介助なしに、給紙カセット115の上部(差し込み口)に対して自然に対向することとなる(図3Cを参照)。そのため、ユーザーは、差し込み部材130を差し込み口に差し込む作業をスムーズに行うことができる。なお、分割部材122,124,126の回転角度を規制する別の手段として、固定回転軸部112および中間回転軸部114,116にねじりコイルばねを組み入れても良い。ねじりコイルばねとは、ばね線材をコイル状に巻くとともにその両端を伸ばしてなり、ねじり方向に弾性を発揮するばねをいう。
図5は、分割部材122,124,126が回転した場合に形成される分割部材122,124,126の内周面側に、画像形成装置本体110に対して着脱可能な交換部材200(具体的には、トナーカートリッジ)を固定可能な構成を示している。図5に示す構成例では、分割部材126の上面側(開閉部材120が閉状態である場合の外周面側)にレール210が形成されている。交換部材200の下端部には、レール210に係合するガイド212が交換部材200の長手方向に沿って形成されている。
図5Aは、分割部材126の上面側に形成されたレール210に交換部材200のガイド212を係合させる前の様子を示す図である。図5Bは、分割部材126の上面側に形成されたレール210に交換部材200のガイド212を係合させて、公知の固定手段(例えば、スナップフィット、ボス等)により固定した後の様子を示す図である。図5に示す実施の態様によれば、交換部材200を開閉部材120に対して仮置きすることができるため、特に車椅子を使用しているユーザーが交換部材200の交換作業を行う場合、交換部材200を膝の上に仮置きする必要がなくなり、さらに言えば交換部材200のトナーによってユーザーの体が汚れることを防止することができる。なお、交換部材200のガイド212に係合するレール210は、分割部材126でなく、分割部材124の左面側(開閉部材120が閉状態である場合の外周面側)や分割部材122の下面側(開閉部材120が閉状態である場合の外周面側)に形成されていても良い。レール210およびガイド212は、本発明の「第2固定部」に対応する。
図6は、分割部材122,124,126の内周面側に、交換部材200が固定されることに連動して、差し込み部材130による分割部材126の固定が解除されることを防止する構成を示している。図6に示すように、差し込み部材130により分割部材126が画像形成装置本体110に固定される場合、差し込み部材130の近傍には固定部材220が配置されている。
固定部材220は、上面に突起部224を有し、回転軸部222を中心に回転可能に構成されている。突起部224が差し込み部材130の下面に形成された凹部130Aに嵌まり込むことによって、差し込み部材130による分割部材126の固定が解除されることを防止することができる。分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されていない場合、図6Aに示すように、固定部材220は、例えば制御部100の制御を受けて、時計回り方向(図中の矢印方向)に回転する。つまり、固定部材220は、固定部材220の突起部224が差し込み部材130の凹部130Aに嵌まり込まない位置まで回転する。この場合、ユーザーは、差し込み部材130を給紙カセット115の上部から抜き出して、分割部材126の固定を解除することができる。一方、分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されている場合、図6Bに示すように、固定部材220は、例えば制御部100の制御を受けて、反時計回り方向(図中の矢印方向)に回転する。つまり、固定部材220は、固定部材220の突起部224が差し込み部材130の凹部130Aに嵌まり込む位置まで回転する。分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されているか否かを検知する方法としては、例えば分割部材126の上面に重量センサーを設けて交換部材200の重量を検知する方法や、光センサーを用いて分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が存在するか否か、すなわち固定されているか否かを検知する方法等が挙げられる。図6に示した構成により、分割部材122,124,126の内周面側に固定された交換部材200の自重によって、差し込み部材130による分割部材126の固定が解除されること、ひいては分割部材122,124,126の内周面側から交換部材200が脱落することを確実に防止することができる。なお、差し込み部材130の下面に形成された凹部130Aおよび固定部材220は、本発明の「固定解除防止部」に対応する。
図7は、分割部材122,124,126の内周面側に、交換部材200が固定されることに連動して、差し込み部材130による分割部材126の固定が解除されることを防止する構成の変形例を示している。この変形例では、分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されている場合、交換部材200の自重によって差し込み部材130が下方に移動し、固定部材220の突起部224が差し込み部材130の下面に形成された凹部130Aに嵌まり込む。これにより、差し込み部材130による分割部材126の固定が解除されることを防止することができる。図7Aは、分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されていない場合、差し込み部材130が下方に移動しない、つまり固定部材220の突起部224が差し込み部材130の凹部130Aに嵌まり込む位置まで移動しない様子を示している。図7Bは、分割部材122,124,126の内周面側に交換部材200が固定されている場合、固定部材220の突起部224が差し込み部材130の凹部130Aに嵌まり込む位置まで、差し込み部材130が下方に移動する様子を示している。
図8は、開閉部材120を構成する分割部材126に、交換部材200(例えば、トナーカートリッジ)を画像形成装置本体110内および画像形成装置本体110外に案内するレール230(本発明の「案内部」に対応)が形成されている例を示している。図8に示すように、分割部材122の内周面側(開閉部材120が開状態である場合に上方を向く側)にレール230が形成されるとともに、レール230に連続するように画像形成装置本体110内にもレール232が形成されている。交換部材200の下端部には、レール230,232に係合するガイド202が交換部材200の長手方向に沿って形成されている。図9Aは、ユーザーが、分割部材122の内周面側に形成されたレール230に交換部材200のガイド202を係合させる前の様子を示す斜視図である。図9Bは、ユーザーが、分割部材122の内周面側に形成されたレール230に交換部材200のガイド202を係合させた後、画像形成装置本体110内(図中の矢印方向)に向けて交換部材200を押し進める様子を示す斜視図である。
図8に示すように、車椅子を使用しているユーザー240の腰の高さに分割部材122の内周面側に形成されたレール230が位置するため、ユーザー240は車椅子に座った状態のまま、画像形成装置本体110内に取り付けられている交換対象の交換部材200を取り出し、その後、新しい交換部材200を画像形成装置本体110内に取り付ける交換作業を容易に行うことができる。
図10は、交換部材200を画像形成装置本体110内に固定する固定部材260と、開閉部材120の開閉状態を検知する開閉状態検知部250とを設けた構成を示している。図10Aに示すように、固定部材260は、図7に示した固定部材220と同様に、上面に突起部を有し、当該突起部が交換部材200の下面に形成された凹部に嵌まり込むことによって、交換部材200を画像形成装置本体110内に固定する。
開閉状態検知部250は、開閉部材120が閉状態である場合、分割部材124によって押し込まれるため、その押し込まれた状態を検知することによって開閉部材120が閉状態であることを検知する。一方、開閉状態検知部250は、開閉部材120が閉状態でない場合、分割部材124によって押し込まれないため、その押し込まれていない状態を検知することによって開閉部材120が閉状態でないことを検知する。
操作部22は、固定部材260による交換部材200の固定を解除する指示を受け付ける。操作部22により交換部材200の固定を解除する指示が受け付けられ、かつ、開閉部材120が閉状態でない場合、固定部材260は、例えば制御部100の制御を受けて、固定部材260の突起部が交換部材200の凹部に嵌まり込まない位置まで時計回り方向(図中の矢印方向)に回転し、交換部材200の固定を解除する。図10に示した実施の態様によれば、交換部材200の固定を解除する指示を受け付けるので、ユーザーが開閉部材120を開けて、交換部材200(トナーカートリッジ)の交換以外のメンテナンス作業(装置内部の清掃またはジャム処理等)を行う際、交換部材200が不必要に取り出されることを防止することができる。なお、固定部材260は、本発明の「第3固定部」に対応する。
尚、複数の交換部材200が画像形成装置本体110内に収容されている場合、複数の交換部材200のうち固定を解除する交換部材200のみ指示を受け付け、当該交換部材200のみの固定を解除してもよい。
また、ここでは、固定部材260を使用して交換部材200を固定しているが、固定やロックができる機構であれば、その他の構成を用いても構わない。
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、画像形成装置本体110と、画像形成装置本体110に対して開状態と閉状態との間を回転可能な固定回転軸部112を介して画像形成装置本体110に連結された開閉部材120とを備える。開閉部材120は、固定回転軸部112に連結される分割部材122を含む3つの分割部材122,124,126であって、閉状態から開状態に回転される場合に同一方向に回転し、中間回転軸部114,116を介して連結された3つの分割部材122,124,126からなる。
このように構成した本実施の形態によれば、開閉部材120が閉状態から開状態に回転される場合に、その同一方向に3つの分割部材122,124,126が回転することにより、開閉部材120の占有空間が小さくなるとともに、3つの分割部材122,124,126は、画像形成装置本体110に向けてユーザーが手を差し延べる経路の途中に位置しないこととなる。つまり、開閉部材120を開いたときに、開閉部材120が占有する空間を小さくするとともに、開閉部材120がユーザーのメンテナンス作業の邪魔になることを抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、3つの分割部材122,124,126の連結方向において固定回転軸部112から最も遠い分割部材126を画像形成装置本体110に固定する例について説明したが、必ずしも分割部材126を画像形成装置本体110に固定しなくても良い。
また、上記実施の形態では、差し込み部材130を給紙カセット115の上部に差し込むことによって、分割部材124を画像形成装置本体110に固定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図11は、画像形成装置本体110に対する分割部材126の固定に、画像形成装置1に予め設けられた運搬用取手292を利用する構成を示している。
図11に示すように、分割部材126の両端部のうち分割部材124側と逆側の端部には、当該端部に設けられた中間回転軸部118を中心に回転可能なフック280が取り付けられている。また、画像形成装置本体110の側面に形成された凹部290には、画像形成装置1を運搬するための運搬用取手292が収納可能に設けられている。図11は、ユーザーによって、凹部290から運搬用取手292が取り出され、その取り出された運搬用取手292にフック280がかけられた状態を示している。画像形成装置本体110の前面には給紙カセットや前扉が存在し、当該前面においては開閉部材120を画像形成装置本体110に固定するためのスペースが限られるため、画像形成装置本体110の側面に設けられている運搬用取手292を用いて開閉部材120を画像形成装置本体110に固定する構成は好適である。なお、フック280および運搬用取手292は、本発明の「第1固定部」に対応する。
図12は、給紙カセット115の前面に設けられたマグネット300(磁石)を用いて、分割部材126の両端部のうち分割部材124側と逆側の端部を画像形成装置本体110に固定する例を示している。分割部材126の両端部のうち分割部材124側と逆側の端部には、マグネット300と引き合う磁性部材128が設けられている。なお、磁性部材128およびマグネット300は、本発明の「第1固定部」に対応する。
また、上記実施の形態では、開閉部材120は、中間回転軸部114,116を介して連結された3つの分割部材122,124,126からなる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、開閉部材は、2つまたは4つ以上の分割部材からなっても良い。図13は、開閉部材140が2つの分割部材142,144からなる例を示している。
開閉部材140は、一端部が固定回転軸部152に連結される分割部材142(本発明の「第1分割部材」に対応)と、分割部材142の他端部に設けられた中間回転軸部154を中心に、開閉部材140が閉状態から開状態に回転される場合の回転方向(図13では、時計回り方向)と同一方向に回転可能な分割部材144(本発明の「第2分割部材」に対応)とを有する。分割部材144には、給紙トレイユニット51b(図1を参照)に組み込まれる給紙カセット115の上部(差し込み口)に差し込み可能な差し込み部材130が内蔵されている。
図13Aは、開閉部材140が閉状態である様子を示している。図13Bは、ユーザーによって、分割部材142が画像形成装置本体110から離間する方向に所定角度(例えば45度)回転された状態を示している。図13Cは、ユーザーによって、開閉部材140が開状態となるまで回転されるとともに、分割部材144が時計回り方向に135度回転された後、差し込み部材130が給紙カセット115の上部に差し込まれた状態を示している。開状態とは、ユーザーによって、開閉部材140を構成する分割部材142が画像形成装置本体110から離間する方向(図13B中の矢印方向)に90度回転された状態であり、画像形成装置本体110内を露出し、分割部材142が水平となる状態である。
また、上記実施の形態では、画像形成装置本体110の前面に、1つの開閉部材120を配置する例について説明したが、複数の開閉部材を配置しても良い。図14は、画像形成装置本体110の前面に、2つの開閉部材140,160を配置した例を示す図である。開閉部材140の構成については、図13を参照して説明しているので、詳しい説明を省略する。開閉部材160は、一端部が固定回転軸部162に連結される1つの部材からなる。開閉部材160は、画像形成装置本体110に対して開状態と閉状態との間を回転可能に構成されている。開閉部材160における開状態とは、ユーザーによって、開閉部材160が画像形成装置本体110から離間する方向(図14B中の矢印方向)に90度回転された位置にある状態であり、画像形成装置本体110内を露出する状態である(図14B,14Cを参照)。また、開閉部材160における閉状態とは、ユーザーによって、開閉部材160が開状態から、画像形成装置本体110の前面に当接する方向(図15B中の矢印方向と逆方向)に回転された状態である。開閉部材160が開閉部材140と共に閉状態をとることにより、開閉部材140、160が画像形成装置本体110に当接し、画像形成装置本体110内を露出しない(図14Aを参照)。
図14Aは、開閉部材140,160が閉状態である様子を示している。図14Bは、ユーザーによって、開閉部材140が画像形成装置本体110から離間する方向に所定角度(例えば45度)回転されるとともに、開閉部材160が開状態まで回転された状態を示している。図14Cは、ユーザーによって、分割部材142が開状態となるまで回転されるとともに、分割部材144が時計回り方向に135度回転された後、差し込み部材130が給紙カセット115の上部に差し込まれた状態を示している。
また、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。