JP6329060B2 - 建設機械の稼働状態記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、建設機械の作業内容を判定し記録する稼働状態記録装置に関する。
建設機械の分野では、作業装置や走行装置、旋回装置等の各装置の動作を指示する操作信号を基に、作業時間、走行時間、旋回時間等の稼働状態データを取得するものがある(特許文献1等参照)。
特許第3836726号公報
しかし、建設機械の動作には、単一のアクチュエータのみによるものの他、複数のアクチュエータを同時に動かす複合動作が含まれる。油圧ショベルを例に挙げると、フロント作業装置を上げ動作させつつ旋回体を駆動してトラックの荷台等へ土砂を積み込む作業(積込作業)が一例である。駆動する装置が同じだから作業内容が同じであるとも限らない。例えば走行装置を駆動する場合には、現場内で目的の作業場所に移動する場合の他、継続的な掘削作業の過程で掘削位置を徐々にずらしていく場合等も含まれる。
従って、各装置の操作時間を単純に積算した場合、それら積算値は合計すると建設機械の稼働時間を上回ってしまう。そのため、装置別の各操作時間の積算値を見たところで建設機械が主にどのような作業に用いられたのかを判別することは難しい。
本発明の目的は、建設機械の作業内容の把握を容易化することができる稼働状態記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、前記作業判定装置は、前記無操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を無作業、前記走行単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を走行作業、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間の積算により前記無作業、前記走行作業、前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算するたことを特徴とする。
また、本発明は、原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、前記無操作時間、前記走行単独操作時間、作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間としてこの無作業時間を前記無操作時間の積算により演算すると共に、前記走行単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を走行作業、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間を減じた時間の積算により前記走行作業、前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする。
また、本発明は、原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間、前記走行単独操作時間を走行作業時間としてこれら無作業時間及び走行作業時間をそれぞれ前記無操作時間、前記走行単独操作時間の積算により演算すると共に、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減じた時間の積算により前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする。
また、本発明は、原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、前記操作信号判定装置で判定した各操作時間の燃料消費量を演算する燃料消費量演算装置と、前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間、前記作業単独操作時間及び前記燃料消費量を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間と燃料消費量を記憶する記憶装置とを備え、前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間、前記走行単独操作時間を走行作業時間としてこれら無作業時間及び走行作業時間をそれぞれ前記無操作時間、前記走行単独操作時間の積算により演算すると共に、前記作業旋回操作時間の比率及び燃料消費率が各設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率及び燃料消費率が各設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減じた時間の積算により前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする。
本発明によれば、建設機械の妥当性のある作業内容の判定をすることができ、作業内容を容易に把握することができる。
本発明に係る稼働状態記録装置を適用する建設機械の側面図である。 図1の建設機械の運転室内を模式的に表した平面図である。 図1の建設機械の油圧システムを模式的に表した油圧回路図である。 操作装置からの操作信号を検出する操作信号検出システムの模式的な回路図である。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による作業時間の演算手順を表したフローチャートである。 本発明の第1実施形態において車載マイコンからサーバに送信される稼働状態データの例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置により演算された各操作時間比率の値の例を表す図である。 本発明に係る稼働状態記録装置を適用する建設機械の稼働現場の区画の一例を表した図である。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたセッション単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置により作成された電源入り時間単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る稼働状態記録装置による作業時間の演算手順を表したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたセッション単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第3実施形態に係る稼働状態記録装置による作業時間の演算手順を表したフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたセッション単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートである。 図23のステップS256の作業時間の演算手順を表したフローチャートである。 本発明の第4実施形態において車載マイコンからサーバに送信される稼働状態データの例を表す図である。 本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたセッション単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。 図27のステップS309の保持圧等演算手順の詳細を表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートである。 建設機械の掘削及び積込の作業に関する説明図である。 本発明の第5実施形態において車載マイコンからサーバに送信される稼働状態データの例を表す図である。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたセッション単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置により作成された電源入り時間単位のレポートの例を表す図である。 本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置により作成された電源入り時間単位のレポートの他の例を表す図である。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置の機能ブロック図である。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置で格納される加速度データの格納態様を表す概念図である。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置によるキャリブレーション処理の実行手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による0.1s定期処理(第1定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による1s定期処理(第2定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による10s定期処理(第3定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態において車載マイコンからサーバに送信される稼働状態データの例を表す図である。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置によるレポート作成処理手順を表すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたレポートの例を表す図である。 本発明の第7実施形態に係る稼働状態記録装置による10s定期処理(第3定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。 本発明の第7実施形態に係る稼働状態記録装置により作成されたレポートの例を表す図である。 本発明の第8実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。 本発明の第8実施形態に係る稼働状態記録装置による0.1s定期処理(第1定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
1.建設機械
図1は本発明に係る稼働状態記録装置を適用する建設機械の側面図である。
図1では建設機械として油圧ショベルを例示している。同図に示した油圧ショベル1は、走行体10、走行体10上に旋回可能に設けた旋回体20、及び旋回体20に俯仰動可能に設けた作業装置(フロント作業機)30を備えている。
走行体10は、左右一対の走行装置(クローラ)11及び走行装置フレーム12、左右の走行装置11をそれぞれ駆動する走行用油圧モータ13、走行用油圧モータ13の減速機等を備えている。走行装置11及び走行装置フレーム12についてはそれぞれ左側のもののみ同図に示す。
旋回体20は、旋回フレーム21、運転室22、動力室23、カウンタウェイト24を有している。旋回フレーム21は、走行装置フレーム12上に旋回輪を介して搭載されていて、旋回用油圧モータ(不図示)を駆動することで鉛直軸20aを中心にして旋回し、これによって旋回体20が旋回する。運転室22は旋回体20の前部、カウンタウェイト24は旋回体20の後端部、動力室23は旋回体20とカウンタウェイト24の間に位置するように、それぞれ旋回フレーム21に搭載されている。なお、運転室22内の運転席(不図示)に着座したオペレータが向く方向(図1中の左方向)を前方とし、以下の説明においては前後方向といった場合には図1中の左右方向、左右方向といった場合には紙面直交方向、上下方向といった場合には上下方向をさす。
作業装置30は、ブーム31、アーム32、バケット33を備えた多関節構造の掘削作業機である。ブーム31は旋回フレーム21に上下方向(上方向31a及び下方向31b)に俯仰動可能にピン等で連結されている。アーム32はブーム31の先端部に前後方向(クラウド方向32a及びダンプ方向32b)に回動可能にピン等で連結されている。バケット33はアーム32の先端部に前後方向(クラウド方向33a及びダンプ方向33b)に回動可能にピン等で連結されている。そして、ブーム31、アーム32及びバケット33は、ブームシリンダ34、アームシリンダ35及びバケットシリンダ36でそれぞれ駆動される。ブームシリンダ34、アームシリンダ35及びバケットシリンダ36は油圧シリンダである。
作業装置30の基本動作を簡単に説明する。例えばブームシリンダ34を後述する油圧システムによって伸ばすとブーム31が上方向31aに回動し、作業装置30全体が上方向へ回動する。このことから一般的にブーム31の動作方向は上下で表され、上方向31aへの動作はブーム上げ動作、下方向31bへの動作はブーム下げ動作と称される。アーム32及びバケット33は、それぞれアームシリンダ35及びバケットシリンダ36を伸ばすとクラウド方向32a,33aに回動し、運転室22の前方にある土砂(一般的には運転室22よりも低位置の地山の土砂)を掻き込む方向に動作する。反対にアームシリンダ35及びバケットシリンダ36を縮めるとアーム32及びバケット33はダンプ方向32b,33bに回動する。掘削作業時にはこれらの動作をブーム上げ動作及びブーム下げ動作と組み合わせて指示することが多く、例えば、バケット33に土砂を掻き込んだ後、ブーム31を上げてアーム32及びバケット33をダンプさせてダンプトラックのベッセル等(不図示)に放土する。
次に、作業装置30を用いた油圧ショベル1の典型的な一作業例として、油圧ショベル1の下方の地山を掘削して土砂をトラックのベッセル等に積み込む作業について簡単に説明する。
・手順1
油圧ショベル1を地山の掘削位置まで移動させ、作業装置30を下してバケット33の先端を位置Vの辺りにセットする。この動作を「掘削位置決め動作」と記載する。
・手順2
ブーム31を適宜上下に動作させつつアーム32及びバケット33をクラウド方向32a,33aに回動させてバケット33内に土砂を掻き込む。この動作を「掘削動作」と記載する。このとき、十分に掘削できなければ再度ブーム31、アーム32及びバケット33を動かして掘削位置を若干ずらして掘削動作をする。この動作は掘削位置決め動作と掘削動作の組み合わせである。
・手順3
バケット33に十分な土砂が入ったらブーム上げ動作と旋回動作、必要であればアームダンプ動作を同時に実行する。例えば油圧ショベル1の右側(紙面に直交する方向の奥側)に配置したダンプトラック(不図示)のベッセルに土砂を積み込む場合を例に挙げると、ベッセルの上方まで作業装置30を上げながら右旋回することになる。これは一般にフロント上げ旋回動作といって油圧ショベルではよく見られる複合動作であり、本願明細書では便宜的に「積込動作」と記載する。
・手順4
ベッセルの上方で、必要に応じてアーム32をダンプ方向32bに回動させつつバケット33をダンプ方向33bに回動させ、バケット33内の土砂をベッセルに放土する。この動作を「放土動作」と記載する。
以上の手順1−4を繰り返すことによって、掘削した土砂がトラックのベッセル等に積み込まれる。
2.操作装置
図2は運転室22内の運転席周りを上から見た模式図である。
図2に示したように、運転室22内には運転席25があり、運転者は運転席25に座って操作装置を操作することによって油圧ショベル1を運転する。操作装置には、左右の操作装置26L,26R及び27L,27Rが含まれる。左右の操作装置26L,26Rは、作業装置30の動作及び旋回体20の旋回動作を指示するレバー装置である。左右の操作装置27L,27Rは、それぞれ左右の走行装置11の動作を指示するレバー装置である。同図に例示した操作装置の配置は多くの油圧ショベルで採用されている。
走行操作用の操作装置27L,27Rは運転席25の前方に位置していて、上部のノブ27aを手で前後に操作することも下部のペダル27bを足で踏んで前後に操作することもできる。この例では操作装置27L,27Rを共に前に倒せば左右の走行装置11の各走行用油圧モータ13が正転し、操作装置27L,27Rの操作量に応じた速度で油圧ショベル1が前進する。このとき、右の操作装置27Rに対して左の操作装置27Lの操作量が小さくすれば左右の走行用油圧モータ13の回転速度差によって油圧ショベル1は前進しながら進行方向を左方向に変化させる。操作装置27L,27Rを共に後(手前)に倒せば左右の走行用油圧モータ13が逆転し、操作装置27L,27Rの操作量に応じた速度で油圧ショベル1が後進する。左右の操作装置27L,27Rを異なる方向に操作すれば、左右の走行用油圧モータ13が互いに逆方向に回転し、ピボットターン等の動作出力がなされる。
操作装置26L,26Rは運転席25のそれぞれ左右に位置している。右の操作装置26Rはブーム31とバケット33の動作を指示するためのレバー装置であり、左の操作装置26Lはアーム32と旋回体20の動作を指示するためのレバー装置である。つまり、操作装置26L,26Rは、1本で2つの自由度を制御する複合レバーである。
右の操作装置26Rを前に操作するとブームシリンダ34が縮んで操作量に応じた速度でブーム31が下方向31bへ回動し、後(手前)に操作するとブームシリンダ34が伸びて操作量に応じた速度でブーム31が上方向31aへ回動する。また、操作装置26Rを右に操作するとバケットシリンダ36が縮んで操作量に応じた速度でバケット33がダンプ方向33bに回動し、左に操作するとバケットシリンダ36が伸びて操作量に応じた速度でバケット33がクラウド方向33aに回動する。ブーム31とバケット33の同時操作も可能であり、例えば操作装置26Rを右後に操作すればブーム上げ動作とバケットダンプ動作が同時に実行される。
同様に、左の操作装置26Lを左に操作するとアームシリンダ35が縮んで操作量に応じた速度でアーム32がダンプ方向32bに回動し、右に操作するとアームシリンダ35が伸びて操作量に応じた速度でアーム32がクラウド方向32aに回動する。操作装置26Lを前に操作すると旋回モータが正転して操作量に応じた速度で旋回体20が右に旋回し、後(手前)に操作すると旋回モータが逆転して操作量に応じた速度で旋回体20が左に旋回する。勿論、アーム32と旋回体20の複合動作を指示することもできる。
3.油圧システム
図3は油圧アクチュエータを駆動する油圧システムを模式的に表した油圧回路図である。同図ではブームシリンダ34に関する部分を抜き出して例示してあるが、他の油圧アクチュエータに関する部分も同様の構成である。
図3に示したように、操作装置26Rにはパイロット弁26Ra,26Rbが備わっている。パイロット弁26Ra,26Rbは比例減圧弁であり、レバー操作によってプッシャ26Pcが押下されると、パイロットポンプ(油圧ポンプ)P2を発生源として押下量(レバー操作量)に対応する大きさの操作信号(パイロット圧)Pa,Pbを出力する機能を持つ。
パイロット弁26Ra,26Rbの出力は、ブーム31に対する圧油の流量及び方向を制御する方向流量制御弁28のそれぞれ入力ポート28a,28bに入力される。また、方向流量制御弁28にはPポート、Tポート、Aポート、Bポートが備わっている。Pポート、Tポート、Aポート、Bポートは、それぞれ油圧ポンプP1、タンクT、ブームシリンダ34のボトム側油室、ロッド側油室に接続されている。油圧ポンプP1,P2は原動機Eで駆動される。本実施形態において原動機Eはエンジン(内燃機関)とする。また、ブームシリンダ34には、ブームシリンダ34の保持圧(本例ではブームシリンダ34のボトム側油室内の圧力)を検出する圧力検出器29が設けてある。
例えば、操作装置26Rでブーム上げ動作を指示すると、操作量に応じた操作信号Paがパイロット弁26Raから出力される。このとき、反対側の操作信号Pbはタンク圧のままであるため、方向流量制御弁28の入力ポート28aの油圧の上昇に対応して油圧ポンプP1からの作動油がPポート及びAポートを介してブームシリンダ34のボトム側油室に供給され、その結果ブームシリンダ34が伸びてブーム31が上方向へ回動する。伸長動作に伴ってブームシリンダ34のロッド側油室から排出される作動油は、方向流量制御弁28のBポート及びTポートを経由してタンクTに戻る。
上記の油圧ポンプP1、パイロットポンプP2、原動機E、タンクT、方向流量制御弁28等は、旋回体20の動力室23に収容されている。他の油圧アクチュエータの油圧システムは特に説明しないが、ブームシリンダ34の油圧システムと同様である(但し、圧力検出器29については省略し得る)。
4.操作信号検出システム
油圧ショベル1を動作させたか否かは、操作装置26L,26R,27L,27Rからの操作信号を検出することで判定することができる。
図4は操作装置26L,26R,27L,27Rからの操作信号を検出する操作信号検出システムの模式的な回路図である。同図では、操作装置26L,26R,27L,27Rから出力された操作信号を、作業装置30の動作を指示する作業操作信号Sf、走行装置11の動作を指示する走行操作信号St、旋回体20の動作を指示する旋回操作信号Ssの3種に代表させて検出する場合を例示している。
例示した操作信号検出システムには、先に説明したパイロット弁26Ra,26Rbに、パイロット弁26Rc,26Rd,26La−26Ld,27Ra,27Rb,27La,27Lbを加えた12個のパイロット弁が備わっている。パイロット弁26Rc,26Rdは、パイロット弁26Ra,26Rbと同様に右の操作装置26Rに備えられていて、操作装置26Rの操作によってバケットダンプ、バケットクラウドを指示する操作信号をそれぞれ出力するものである。パイロット弁26La,26Lb,26Lc,26Ldは、左の操作装置26Lに備えられていて、操作装置26Lの操作によってアームダンプ、アームクラウド、旋回右、旋回左を指示する操作信号をそれぞれ出力するものである。パイロット弁27Ra,27Rbは、右走行用の操作装置27Rに備えられていて、操作装置27Rの操作によって右走行装置11の前進、後進を指示する操作信号をそれぞれ出力するものである。パイロット弁27La,27Lbは、左走行用の操作装置27Lに備えられていて、操作装置27Lの操作によって左走行装置11の前進、後進を指示する操作信号をそれぞれ出力するものである。
ブーム動作に関するパイロット弁26Ra,26Rbから対応する方向流量調整弁28に接続するパイロットライン(図3参照)は、それぞれ分岐してシャトル弁41に接続している。同じように、バケット動作に関するパイロット弁26Rc,26Rdから対応する方向流量調整弁(不図示)に接続するパイロットラインは、それぞれ分岐してシャトル弁42に接続している。アーム動作に関するパイロット弁26La,26Lbのパイロットラインはそれぞれ分岐してシャトル弁43に接続している。更に、シャトル弁41,42の出力線はシャトル弁44に、シャトル弁43,44の出力線はシャトル弁45に、シャトル弁45の出力線は作業操作信号検出器40fに接続している。この回路では、作業装置30の動作を指示する少なくとも1種の操作信号が操作装置26L,26Rから出力された場合、最大の信号が選択されて作業操作信号検出器40fに入力される。要するに、操作装置26L,26Rから出力された操作信号がブーム31、アーム32、バケット33のいずれのどちら向きの動作を指示した信号であったかに関係なく、一律に作業操作信号Sfとして作業操作信号検出器40fで検出される。
同じ要領で、旋回動作に関するパイロット弁26Lc,26Ldのパイロットラインはそれぞれ分岐してシャトル弁46に接続している。シャトル弁46の出力線は旋回操作信号検出器40sに接続している。この回路では、旋回動作を指示する操作信号が操作装置26Lから出力された場合、左右どちら向きの旋回動作を指示した信号であったかに関係なく、一律に旋回操作信号Ssとして旋回操作信号検出器40sで検出される。
同様に、右走行動作に関するパイロット弁27Ra,27Rbのパイロットラインはそれぞれ分岐してシャトル弁47に接続している。左走行動作に関するパイロット弁27La,27Lbのパイロットラインはそれぞれ分岐してシャトル弁48に接続している。そして、シャトル弁47,48の出力線はシャトル弁49に、シャトル弁49の出力線は走行操作信号検出器40tに接続している。この回路では、走行動作を指示する操作信号が操作装置27L,27Rから出力された場合、左右どちらの走行装置11のどちら向きの動作を指示した信号であったかに関係なく、一律に走行操作信号Stとして走行操作信号検出器40tで検出される。
操作信号検出器40f,40s,40tは圧力スイッチである。圧力スイッチは油圧を入力としてON/OFFの電圧信号を発生させるもので、この例の場合にはパイロット圧力の大きさが、前述した方向流量制御弁を作動させて油圧アクチュエータ(ブームシリンダ34等)が作動し始める値(又はそれよりも若干低く設定した値)に達した場合に設定電圧(例えば5V程度)のON信号を出力し、当該値に至らない場合に設定電圧(例えば0Vに近い値)のOFF信号を出力するように設定されている。
従って、作業装置30の何らかの動作が指示された場合には作業操作信号SfはONとなり、作業装置30の動作が何ら指示されない場合には作業操作信号SfがOFFとなる。同様に、旋回操作信号Ssは、旋回動作が指示されればONとなり、指示されなければOFFとなる。走行操作信号Stも、走行動作が指示されればONとなり、指示されなければOFFとなる。なお、本実施の形態では、操作信号検出器40f,40s,40tとして圧力スイッチを用いたが、パイロット圧に応じた電圧値を出力する圧力センサであってもよい。
5.稼働状態記録装置
稼働状態記録装置は、建設機械(ここでは油圧ショベル1)の稼働状態データを独自方式で取得し、取得した情報を基に作業内容を判定し、判定結果及び燃料消費量を含む稼働状態を記録して、運転者、管理者、サービスマン、その他建設機械の利用、管理、提供、製造、修理等に関連する者(以下「運転者等」という)に稼働状態のデータ(以下、適宜「レポート」という)を適宜の形式で提供するものである。
図5は本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置の機能ブロック図である。同図に示した稼働状態記録装置は、車載マイコン50、サーバ60及び出力装置66を備えており、これら車載マイコン50、サーバ60及び出力装置66で機能が分担されている。
(1)車載マイコン50
車載マイコン50は、入力インタフェイス51、RTC52、電源装置53、記憶装置54、GPS55、通信装置56、演算処理装置57、及び出力インタフェイス58を備えている。次に各装置の機能について簡単に説明する。
・入力インタフェイス51
入力インタフェイス51は、電源信号Sp、作業操作信号Sf、旋回操作信号Ss、走行操作信号St、原動機稼働信号Se、燃料消費量信号Δq、圧力検出信号PBを含む油圧ショベル1の稼働信号を入力しデジタル信号化するものである。この入力インタフェイス51を介することで、電源信号Sp、燃料消費量信号Δq及び圧力検出信号PBを除く各信号はONであれば「1」、そうでなければ「0」の値に変換される。信号Sf,Ss,Stは、それぞれ作業操作信号検出器40f、旋回操作信号検出器40s、走行操作信号検出器40tからの入力信号である。車載マイコン50に電源信号Spを出力する電源供給切換器40pにはキースイッチを用いることができる。キースイッチは閉状態のときに車載マイコン50に電源を供給するスイッチであり、開状態になると車載マイコン50への電源供給が遮断されて電源信号SpがOFFになる。原動機稼働信号Se及び燃料消費量信号Δqを出力する原動機稼働検出器40eには、例えば電子ガバナのコントローラを用いることができる。原動機稼働検出器40eはCAN等の通信回路を介して入力インタフェイス51に接続している。原動機稼働検出器40eは、エンジン回転数[rpm]を原動機稼働信号Seに変換し、例えばエンジン回転数Neが停止状態0rpmから仮に最大2100rpmまで変化するとした場合、エンジン回転数Neが設定した閾値Ne0(例えば500rpm)以上であればエンジン稼働状態を表す原動機稼働信号Se(=1)、閾値Ne0未満であればエンジン停止状態を表す原動機稼働信号Se(=0)を、入力インタフェイス51に出力する。また、原動機稼働検出器40eから入力される燃料消費量信号Δqは、例えば単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率[L/s]である。
・RTC52
RTC(リアルタイムクロック)52は車載マイコン50の時計であり、RTC52が刻む時刻(日付を含む)を基に車載マイコン50のデータ処理に使用する時刻、例えば“電源が入った時刻は2012年6月22日5:00:40”という記録が残る。電源が供給されない間もRTC52の時計機能は継続する。
・電源装置53
電源装置53には、電源供給切換器40pによって電源供給が遮断された場合に、演算処理装置57によるプログラム処理により所定の条件が満たされてから車載マイコン50の各構成要素への電源供給を停止し、次に電源供給切換器40pによって電源供給がされるまで待機する機能がある。この機能によって、例えば作業の終了又は中断の際に電源供給切換器40pで電源が切られても演算処理装置57や通信装置56等への電源供給が確保され、各処理部の所定の処理が遂行される。
・記憶装置54
記憶装置54には、演算処理装置57が実行するプログラム、車載マイコン50に入力された各データ、演算処理装置57の演算データ、各データの時刻等を格納する記憶領域が含まれている。
・GPS55
GPS55はGPS衛星Lからの油圧ショベル1の現在の位置データを受信し取得するものである。位置情報を活用する必要がない場合には、GPS55は省略することもできる。
・通信装置56
通信装置56は、離れた場所(例えば事務所)にあるサーバ60等との間でデータを授受するための装置であり、記憶装置54に一時記憶されたデータは通信装置56を介してサーバ60に送信される。通信装置56には、携帯電話や衛星通信機器、無線装置等を用いることができる。
・出力インタフェイス58
出力インタフェイス58は、通信装置56の他、外部の端末X(パーソナルコンピュータや携帯端末等)との間でデータを授受するためのもので、記憶装置54に格納されたデータや入力インタフェイス51への入力データ、GPS55で受信した位置情報の現在のデータ等を有線通信又は無線通信(赤外線通信等)により端末Xに出力する機能を持つ。通信装置56が使えない地域では、この出力インタフェイス58を介して車載マイコン50を端末Xに接続することで、車載マイコン50からデータをダウンロードすることができる。この端末Xを有線通信、無線通信、又はインターネットによってサーバ60と接続することで、端末Xを介して車載マイコン50とサーバ60との間でデータを授受することができる。
・演算処理装置57
演算処理装置57は、電源供給の開始をトリガとして記憶装置54内のプログラムに従って稼働状態データ(作業内容やその時間及び燃料消費に関するデータを含む)を取得又は演算し、サーバ60に送信する手順(後の図6−図8参照)を実行し処理を終了するものである。一連の手順を実行するために、演算処理装置57には、電源入り時間演算装置57a、原動機稼働時間演算装置57b、操作信号判定装置57c、無操作時間演算装置57d、走行単独操作時間演算装置57e、作業旋回操作時間演算装置57l、作業単独操作時間演算装置57f、操作時間演算装置57g、燃料消費量演算装置57j、保持圧演算装置57mの各処理部が含まれている。
電源入り時間演算装置57aは、電源が入ってから切れるまでの時間、すなわち電源信号SpがONになってからOFFになるまでの時間(以下「電源入り時間T0」という)を演算する機能を果たす。
原動機稼働時間演算装置57bは、原動機Eの稼働時間(以下「原動機稼働時間T1」という)を演算する機能を果たす。
操作信号判定装置57cは、操作装置26L,26R,27L,27Rから入力された操作信号、厳密には作業操作信号検出器40f、旋回操作信号検出器40s、及び走行操作信号検出器40tからの信号を基に操作種別を判定する機能を果たす。具体的には、操作装置26L,26R,27L,27Rが操作されたか否か、操作された場合には、走行装置11の動作のみを指示する操作であったか、作業装置30のみの動作を指示する操作であったか、作業装置30の動作と共に旋回体20の旋回動作のみを指示する操作(例えばフロント上げ旋回動作を指示する操作)であったか、それ以外の動作を指示する操作であったかを判定する。
無操作時間演算装置57dは、操作装置26L,26R,27L,27Rから操作信号Sf,Ss,Stのいずれも入力されなかった時間(以下「無操作時間Ti」という)を演算する機能を果たす。
走行単独操作時間演算装置57eは、走行装置11に対する操作信号Stのみが入力された時間(以下「走行単独操作時間Tt’」という)を演算する機能を果たす。
作業旋回操作時間演算装置57lは、作業装置30に対する操作信号Sfと共に旋回体20に対する操作信号Ssのみが入力された時間(以下「作業旋回操作時間Tfs」という)を演算する機能を果たす。フロント上げ旋回動作を指示した時間は、作業旋回操作時間演算装置57lでカウントされる作業旋回操作時間Tfsに含まれる。
作業単独操作時間演算装置57fは、作業装置30に対する操作信号のみが入力された時間(以下「作業単独操作時間Tf’」という)を演算する機能を果たす。
操作時間演算装置57gは、原動機稼働時間T1から無操作時間Tiを差し引いて、操作装置26L,26R,27L,27Rのいずれか1つでも操作された時間(以下「操作時間T2」という)を演算する機能を果たす。
燃料消費量演算装置57jは、セッション(後述)毎の燃料消費量Q1を演算する機能を果たす。セッション毎の燃料消費量Q1は、操作判定装置57cの判定に従って、無操作時の燃料消費量(以下「無操作時燃料消費量Qi」という)、走行単独操作時の燃料消費量(以下「走行単独操作時燃料消費量Qt’」という)、作業旋回操作時の燃料消費量(以下「作業旋回操作時燃料消費量Qfs」という)、作業単独操作時の燃料消費量(以下「作業単独操作時燃料消費量Qf’」という)等として扱われ得る(第4実施形態参照)。
保持圧演算装置57mは、圧力検出器29からの圧力検出信号PBを基にブームシリンダ34の保持圧(特定期間の平均値を含む)を演算する機能を果たす。
(2)サーバ60
サーバ60は、油圧ショベル1から離れた場所に設置されていて、入出力インタフェイス61、記憶装置62、及び演算処理装置63を備えている。各装置の機能について簡単に説明する。
・入出力インタフェイス61
入出力インタフェイス61は、通信装置65や出力装置66との間で有線通信、無線通信、又はインターネット等によってデータを授受するための装置である。通信装置65は、通信装置56と同等の装置であり、通信装置56との間で無線通信によってデータを授受するものである。出力装置66は、運転者等に作業内容のレポートを出力する装置であり、表示装置、プリンタ、スピーカ等を含み、表示出力、印刷出力、音声出力等の出力態様については特に限定されない。出力装置66により出力されるレポートには、作業内容別の時間及び燃料消費量が含まれる。
・記憶装置62
記憶装置62には、演算処理装置63が実行するプログラム、サーバ60に入力された各データ、演算処理装置63の演算データ等を格納する記憶領域が含まれている。
・演算処理装置63
演算処理装置63は、車載マイコン50で取得された情報を記憶装置62内のプログラムに従って処理する機能を果たす(後述する図9及び図10参照)。一連の手順を実行するために、演算処理装置63には、作業時間演算装置63b、作業判定装置63c及びレポート作成装置63eが含まれている。
作業時間演算装置63bは、操作時間T2と走行単独操作時間Tt’を基に単独又は旋回体20と共に作業装置30を動作させた時間(以下「作業時間To」という)を演算する機能を果たす。
作業判定装置63cは、本実施形態においては、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’を基に油圧ショベル1の作業内容を判定したり、各種作業時間等を集計したりする機能を果たす。
レポート作成装置63eは、作業内容のレポート(作業内容別の時間及び燃料消費量を含む稼働状態データ)を出力装置66に出力したり、稼働状態データに位置情報を付加して出力装置66に出力して作業履歴を地図に重ねて表示させたりする機能を果たす。
なお、車載マイコン50側の機能を、電源入り時間T0、原動機稼働時間T1、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’、燃料消費量、保持圧等の基礎的なデータを取得しサーバ60に送信する機能に制限する場合には、例えば操作時間演算装置57gを省略し、これに相当する操作時間演算装置63a(点線参照)をサーバ60の演算処理装置63に設けてサーバ60側で操作時間T2の演算を実行するようにしても良い。反対に、作業時間演算装置63b、作業判定装置63c及びレポート作成装置63eをサーバ60に設け、サーバ60側で作業時間Toの演算、作業判定及びレポート作成等を実行する構成を例に挙げて説明したが、作業時間演算装置63b、作業判定装置63c及びレポート作成装置63eの少なくとも1つを省略し、省略したものに相当する作業時間演算装置57h、作業判定装置57i及びレポート作成装置57k(いずれも点線参照)の少なくとも1つを車載マイコン50側に設け、対応する機能を車載マイコン50側で実行する構成とすることもできる。
6.作業判定処理
次に稼働状態記録装置による油圧ショベル1の作業判定処理について説明する。作業判定処理は、稼働状態データ取得の手順、稼働状態データの送信手順、及びデータ処理手順に大別される。以下、稼働状態データ取得手順、稼働状態データ送信手順、データ処理手順の順に説明する。
(1)稼働状態データ取得手順
図6は本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。同図の手順は車載マイコン50の演算処理装置57により実行される手順である。また、この手順は、電源供給切換器40pにより電源信号SpがOFFにされるまでの間、ステップS102−ステップS115の手順を設定周期(この例では1秒周期)でサンプリングして無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’を集計する手順である。本願明細書では、稼働状態データの取得及びその送信の1セットの期間を便宜的に「セッション」と呼ぶ。本実施形態は、最初と最後のセッションを除き、一定の時間間隔でセッションが更新される例である。
・スタート
電源供給切換器40pが閉状態になって入力インタフェイス51に入力される電源信号SpがONになると、車載マイコン50は、記憶装置54のプログラムに従って演算処理装置57により図6の手順を開始する。
・ステップS101
同図の手順を開始すると、演算処理装置57は、まずセッションステータスSを“Start”に設定し、RTC52及びGPS55から現在の時刻及び位置情報を取得して作業開始時の時刻と場所のデータとして記憶装置54に記録する。
また、演算処理装置57は、セッションカウンタC、各時間T0,T1,Ti,Tt’,Tfs,Tf’、燃料消費量Q1及び燃料消費量の積算値ΣQ1を全てリセットして0(ゼロ)にする。セッションカウンタCはタイマの一種である。
そして、電源が入った時刻に応じてセッションカウンタCの初期値を設定する。本実施形態では、時刻を時・分・秒で管理し、分の値が0となる条件でセッションを分ける場合を例示する。例えば、現在時刻(時、分、秒)が(H,M,S)だとする。H,M,Sは整数で、それぞれ0≦H≦23,0≦M≦59,0≦S≦59の範囲の値である。本実施形態では、これらH,M,Sを用いてセッションカウンタCの初期値を次の条件で設定する。
0≦M<10の場合、C=M×60+S;
10≦M<20の場合、C=(M−10)×60+S;
20≦M<30の場合、C=(M−20)×60+S;
30≦M<40の場合、C=(M−30)×60+S;
40≦M<50の場合、C=(M−40)×60+S;
50≦Mの場合は、C=(M−50)×60+S
例えば、現在の時刻が8時5分20秒であれば、0≦M<10であるため、C=M×60+S=5×60+20=320となる。
・ステップS102
続くステップS102において、演算処理装置57は、作業操作信号Sf,旋回操作信号Ss,走行操作信号St、原動機稼働信号Se、燃料消費量信号Δqを入力する。また、電源入り時間演算装置57aにより電源入り時間T0に1秒(操作信号のサンプリング周期)を加算し、電源が入ってからの経過時間をカウントアップする(T0=T0+1)。更に、演算処理装置57は、セッションカウンタCをカウントアップする(C=C+1)。
・ステップS103,S104
ステップS103に手順を移すと、演算処理装置57は、原動機稼働信号Seが1(稼働中)か0(停止中)かを判定し、原動機Eが停止していると判定した場合には操作信号の判定手順をバイパスしてステップS113に手順を移す。原動機Eが停止している場合、油圧ポンプP1,P2も動いておらず操作装置26L,26R,27L,27Rから操作信号が入力され得ないからである。反対に、原動機Eが稼働していると判定した場合、演算処理装置57はステップS104に手順を移し、原動機運転時間演算装置57bによって原動機稼働時間T1を1秒カウントアップし(T1=T1+1)、燃料消費量Q1を積算する(Q1=Q1+Δq)。
・ステップS105,S106
続くステップS105では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rからの操作信号Sf,Ss,Stを基に、操作判定装置57cで無操作状態であるか否かを判定する。すなわち、操作信号Sf,Ss,Stがいずれも入力されなかったか否かを判定し、いずれの入力もなかった場合(Sf=Ss=St=0の場合)にはステップS106に手順を移す。ステップS106に手順を移すと、演算処理装置57は、無操作時間演算装置57dによって無操作時間Tiを1秒カウントアップして(Ti=Ti+1)手順をステップS113に移す。反対に、操作信号Sf,Ss,Stのいずれかでも入力があった場合(Sf,Ss,Stの少なくとも1つが1であった場合)には、演算処理装置57はステップS105からステップS107に手順を移す。
・ステップS107,S108
ステップS107では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rから入力された操作信号が走行操作信号Stのみか否かを操作判定装置57cによって判定する。入力された操作信号が走行操作信号Stのみであった場合(St=1,Sf=Ss=0の場合)にはステップS108に手順を移す。ステップS108に手順を移すと、演算処理装置57は、走行単独操作時間演算装置57eによって走行単独操作時間Tt’を1秒カウントアップして(Tt’=Tt’+1)手順をステップS113に移す。操作信号が走行操作信号Stのみ(St=1,Sf=Ss=0の場合)以外の場合には、演算処理装置57はステップS107からステップS109に手順を移す。
・ステップS109,S110
ステップS109では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rから入力された操作信号が作業操作信号Sf及び旋回操作信号Ssのみか否かを操作判定装置57cによって判定する。入力された操作信号が作業操作信号Sf及び旋回操作信号Ssのみであった場合(St=0,Sf=Ss=1の場合)にはステップS110に手順を移す。ステップS110に手順を移すと、演算処理装置57は、作業旋回操作時間演算装置57lによって作業旋回操作時間Tfsを1秒カウントアップして(Tfs=Tfs+1)手順をステップS113に移す。操作信号が作業操作信号Sf及び旋回操作信号Ssのみ(St=0,Sf=Ss=1)以外の場合には、演算処理装置57はステップS109からステップS111に手順を移す。
・ステップS111,S112
ステップS111では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rから入力された操作信号が作業操作信号Sfのみか否かを操作判定装置57cによって判定する。入力された操作信号が作業操作信号Sfのみであった場合(Sf=1,St=Ss=0の場合)にはステップS112に手順を移し、作業単独操作時間演算装置57fによって作業単独操作時間Tf’を1秒カウントアップして(Tf’=Tf’+1)手順をステップS113に移す。それ以外の場合には、演算処理装置57はステップS111からステップS113に手順を移す。
・ステップS113,S114
ステップS113では、演算処理装置57は、セッションカウンタCがまだ設定値C0に達していないか否かを判定する。Cの値が設定値C0未満である場合には(C<C0)、演算処理装置57は、ステップS113から直接ステップS115に手順を移し、Cの値が設定値C0である場合(C=C0)には、ステップS113からステップS114のセッションデータ送信手順(詳細は後述)を実行した上でステップS115に手順を移す。C0の値は適宜変更可能であるが、ここではC=600とする。この場合、C=C0の条件下では、時刻の分・秒の値が0(0分00秒、10分00秒、20分00秒、30分00秒、40分00秒、50分00秒のいずれか)となる。従って、本実施形態では電源が入っている間、毎時0分丁度、10分丁度、20分丁度、30分丁度、40分丁度、50分丁度と定時かつ10分間隔でセッション単位の稼働状態データがサーバ60に送信される。図6の手順は電源が入っている間毎秒処理されるので、例えば電源が入った時のセッションカウンタCの初期値が320の場合、278秒でC=600となる。なお、例えばRTC52の精度によりセッションの区切りが正確な時刻とずれる場合はあるが、その程度の誤差は作業判定やレポートの結果に影響しないので許容される。
・ステップS115
ステップS115では、演算処理装置57は、電源が切られたか否か、すなわち電源信号SpがOFFになったか否かを判定する。電源が入っていれば、演算処理装置57はステップS115からステップS102に手順を戻し、電源が入っている限りステップS102−S115の毎秒処理を繰り返し実行する。電源が切れていれば、演算処理装置57は図6の稼働状態データ取得手順を終了し、ステップS115から図8のステップS116に手順を移して稼働状態データ送信手順に移行する。
(2)稼働状態データ送信手順(最後を除くセッション)
図7は本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートである。図7のステップS114a−S114dの手順は、ステップS113(図6参照)でC=C0となる度に車載マイコン50の演算処理装置57により実行され、セッション毎に稼働状態データがサーバ60に送信される。
・ステップS114a
図7の手順は現在のセッションの終了処理であると同時に次のセッションの開始処理でもある。電源が入ってからi番目のセッション(i)の作業が終了して図7の手順に移行したとして、演算処理装置57は、まずステップS114aで次のセッション(i+1)の開始時の時刻及び位置のデータとして現在の時刻及び位置情報をRTC52及びGPS55から取得して記憶装置54に記録する。
・ステップS114b
ステップS114bでは、演算処理装置57は次のデータ処理を実行する。まず、演算処理装置57は、操作時間演算装置57gにより、セッション(i)の間に操作装置26L,26R,27L,27Rの少なくとも1つが操作されていた時間(操作時間T2)を演算する。ここでは、操作時間T2は、原動機稼働時間T1と無操作時間Tiの差分として求められる(T2=T1−Ti)。本実施形態の場合、原動機稼働時間T1、無操作時間Tiはいずれも積算値ではなくセッション終了時に後のステップS114dでリセットされる値であるため、これらを基に演算される操作時間T2は現在のセッション(i)における値である。
・ステップS114c
ステップS114cでは、演算処理装置57はセッション(i)の稼働状態データ(セッションステータスSを含む)を通信装置56からサーバ60に送信する。ここで送信される稼働状態データは、例えば、(a)開始時刻、(b)開始時の油圧ショベル1の位置、(c)電源入り時間T0、(d)原動機稼働時間T1、(e)無操作時間Ti、(f)操作時間T2、(g)走行単独操作時間Tt’、(h)作業旋回操作時間Tfs、(i)作業単独操作時間Tf’、(j)燃料消費量Q1である。これらは全てセッション(i)に関する情報である。
・ステップS114d
ステップS114dでは、演算処理装置57は、セッション(i)の終了処理の手順として各集計時間、及び燃料消費量をリセットし(C=T0=T1=Ti=Tt’=Tfs=Tf’=Q1=0)、セッション番号iをカウントアップして(i=i+1)、図6のステップS115に手順を移行する。これにより次のセッション(i+1)が図6の手順に従って実行される。
(3)稼働状態データ送信手順(最後のセッション)
図8は本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートである。同図の手順は車載マイコン50の演算処理装置57により記憶装置54のプログラムに従って1サイクルだけ実行される処理であり、電源信号SpがOFFになった場合に、セッションカウンタCの値に関わらずステップS115(図6参照)から移行して実行される。この手順により電源入り時間T0を通した総括的な稼働状態データがサーバ60に送信される。
・ステップS116
演算処理装置57は、まずステップS116で、セッションステータスSを“End”に設定し、現在の(最後の)セッション(f)の終了時、すなわち作業終了時の時刻及び位置のデータとして現在の時刻及び位置情報をRTC52及びGPS55から取得して記憶装置54に記録する。
・ステップS117−S119
続くステップS117,S118の手順は図7のステップS114b,S114cの手順と同様である。これら手順を実行することによって、最後のセッション(f)の稼働状態データがサーバ60に送信される。その後、演算処理装置57は、ステップS119で電源装置53により車載マイコン50の電源を切断して図8の手順を終了する。
(4)データ処理手順
図9は本発明の第1実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートである。同図の手順は、サーバ60において記憶装置62のプログラムに従って演算処理装置63によって実行される処理である。セッション毎に送られてくる稼働状態データを受信して、例えば出力装置66の表示部に表示したり時々刻々とレポートとしてプリント処理したりする。
・ステップS151
演算処理装置63は、まずステップS151で車載マイコン50からの稼働状態データの受信があったか否かを判定する。受信がなければ、演算処理装置63は待機してステップS151の手順を繰り返す。図7のステップS114c又は図8のステップS118で車載マイコン50から送信されるセッション毎の稼働状態データを受け取ると、演算処理装置63は、ステップS151からステップS152に手順を移す。
ここで、本ステップで車載マイコン50からサーバ60に送信されてくる稼働状態データの例を図11に示す。図11の例では、8:05:00に電源が入って9:35:00に電源が切れるまでのセッション毎のデータを示している。セッションデータは各行に表されており、この例でサーバ60が受信するデータには、時刻、セッションステータスS、電源入り時間T0、原動機稼働時間T1、操作時間T2、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が含まれている。図11では「その他時間」及び油圧ショベル1の「位置情報」を参考として表示してある。位置情報はGPS55で取得された経度緯度情報でも良いが、図13に示したように地図データ上で作業現場をメッシュ状に複数の領域に仕切っておき、緯度経度のデータの値に対応する領域の番号(例えば領域100b)を位置情報とすることもできる。
・ステップS152
ステップS152では、演算処理装置63は、送信されてきた1セッション分の稼働状態データを記憶装置62に記録する。記録する稼働状態データは、前述した項目(a)−(j)である。
・ステップS153
続くステップS153では、演算処理装置63は、稼働状態データと共に送信されてきたセッションステータスSが“Start”であるか否か(セッション(1)か否か)を判定し、S=StartであればステップS154に手順を移し、S≠StartであればステップS155に手順を移す。
・ステップS154
ステップS154に手順を移すと、演算処理装置63は、作業開始時刻及び開始位置のレポートデータをレポート作成装置63eにより出力装置66に出力する。このとき、演算処理装置63は、レポートデータを出力装置66に出力すると共に、又は出力装置66に出力するのに代えて、レポートデータを記憶装置62に保存することもできる。ここで出力するレポートデータは、セッション(1)の開始時刻と開始位置である。また、演算処理装置63は、作業別時間をリセットして0にして(TI=TT=TL=TD=TE=0)図9の手順を終了する。作業別時間とは、無作業時間TI、走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TEのことであり、操作時間Ti,Tt’,Tfs,Tf’を基に作業判定装置63cで演算されるものである(詳細は図10)。従って、例えば走行操作をした時間の合計が単純に走行作業時間にはならない。
・ステップS155
一方、ステップS155に手順を移すと、演算処理装置63は、各時間データを基に、作業判定装置63cにより、無操作時間比率Ri、走行単独操作時間比率Rt’、作業旋回操作時間比率Rfs及び作業単独操作時間比率Rfを算出する。
各時間比率の計算式は以下の通りである。
Ri=Ti/T1(無操作時間/原動機稼働時間)
Rt’=Tt’/T2(走行単独操作時間/操作時間)
Rfs=Tfs/To(作業旋回操作時間/作業時間)
Rf’=Tf’/To(作業単独操作時間/作業時間)
作業時間Toは、演算処理装置63において、作業時間演算装置63aによって操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引くことによって演算した値である(To=T2−Tt’)。
ここで、本ステップで演算した各操作時間比率の値の例を図12に示す。同図からも分かる通り、各操作時間比率は分母が異なるので、各セッションにおいて操作時間比率を合計しても100%にはならない。
・ステップS156
続くステップS156では、演算処理装置63は、演算した各時間比率を用いて、作業判定装置63cにより、無作業時間TI、走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TEを算出する。本ステップの手順の詳細については図10を用いて後述する。このステップで演算される作業時間はセッション毎(本実施形態では10分毎)のデータであり、記憶装置62に保存される。
・ステップS157
続くステップS157では、演算処理装置63は、各作業時間と燃料消費量を積算し記憶装置62に保存する。演算内容は以下の通りである。
合計電源入り時間ΣT0=ΣT0+T0
合計原動機稼働時間ΣT1=ΣT1+T1
合計無作業時間ΣTI=ΣTI+TI
合計走行作業時間ΣTT=ΣTT+TT
合計積込作業時間ΣTL=ΣTL+TL
合計掘削作業時間ΣTD=ΣTD+TD
合計その他作業時間ΣTE=ΣTE+TE
合計燃料消費量ΣQ1=ΣQ1+Q1
このステップが実行される度に、上記項目について電源が入ってからの積算値が演算される。
・ステップS158
続くステップS158では、演算処理装置63は、セッションステータスSが“End”であるか否かを判定し、作業終了後であってS=EndであればステップS159に手順を移し、作業継続中であってS≠Endであれば図9の手順を終了する。
・ステップS159
ステップS159に手順を移すと、演算処理装置63は、ステップS157で演算した電源入り時間T0分の稼働状態データから、レポート作成装置63eでレポートを作成し出力装置66に出力し、集計してきた稼働状態データの各項目をリセットして0にした上で図9の手順を終える。このとき、演算処理装置63は、レポートデータを出力装置66に出力すると共に、又は出力装置66に出力するのに代えて、レポートデータを記憶装置62に保存することもできる。レポートに出力する稼働状態データの例は次の通りであり、例えば作業開始時の日付に続けて稼働状態データをレポートに表示する。但し、表示する稼働状態データの種類は適宜変更可能であり、セッション毎のデータを記憶装置62から読み出してレポート出力することも勿論可能である。
作業開始時刻
作業終了時刻
合計電源入り時間ΣT0
合計原動機稼働時間ΣT1
合計操作時間ΣT2(=ΣT1−ΣTi)
合計無作業時間ΣTI
合計走行作業時間ΣTT
合計掘削作業時間ΣTD
合計積込作業時間ΣTL
合計燃料消費量ΣQ1
演算処理装置63は、図9では、ステップS154,S158又はS159の後、処理が終了する(End)ようになっているが、処理が終了(End)した後には、再び最初のSTARTに戻り、稼働データの受信を待つ(ステップS151)ようになっている。すなわち、以上のステップS151−S159を繰り返し実行することにより、セッション毎の稼働状態データが読み取れる形式のレポートや電源入り時間T0を通した総括的な作業レポートを出力する。
(5)作業時間演算処理手順
図10は図9のステップS156の作業時間の演算手順を表したフローチャートである。ステップS156は、ステップS155で演算した各時間比率を基に、各セッションの作業内容を無作業、走行作業、積込作業、掘削作業又はその他作業のいずれかに分類し、各セッションの原動機稼働時間T1をいずれかの作業時間として割り当てる処理である。例えば、あるセッション(この例では10分)において無操作時間Tiが設定時間(例えば4分)を超えていたとすると、他に積込作業や掘削作業をしていたとしても、そのセッションは主に無作業に当てられたとして、セッション分の時間を無作業時間に積算する(走行作業等の他種の作業時間はゼロとする)。通常の作業であれば無操作時間は原動機稼働時間10分当たり1分以下となるのが通常であり、それを超えて著しく長い状況は作業に入るための準備や計器類の確認作業等とみなせるという考えである。
・ステップS156a
ステップS156の手順を開始すると、演算処理装置63は、ステップS156aでまず、作業別時間及び作業別燃料消費量、具体的には無作業時間TI、走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TE、並びに無作業時燃料消費量QI、走行作業時燃料消費量QT、積込作業時燃料消費量QL、掘削作業時燃料消費量QD及びその他作業時燃料消費量QEをリセットして0にする(TI=TT=TL=TD=TE=QI=QT=QL=QD=QE=0)。
・ステップS156b,S156c
続くステップS156bで、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、無操作時間比率Riの評価、具体的にはセッション(i)の無操作時間比率Riが設定値R1(例えば30%=0.3)より大きいか否かの判定(Ri=Ti/T1>R1?)を実行する。作業判定装置63cは、Ri>R1ならステップS156cに、Ri≦R1ならステップS156dに手順を移す。ステップS156cに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)の原動機稼働時間T1を無作業時間TI(TI=T1)、セッション(i)の燃料消費量Q1を無作業時燃料消費量QI(QI=Q1)として図10の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。走行作業等の他種の作業時間、他種の作業時の燃料消費量は0とみなす。
・ステップS156d,S156e
ステップS156dに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、走行単独操作時間比率Rt’の評価、具体的にはセッション(i)の走行単独操作時間比率Rt’が設定値R2(例えば40%=0.4)より大きいか否かの判定(Rt’=Tt’/T2>R2?)を実行する。作業判定装置63cは、Rt’>R2ならステップS156eに、Rt’≦R2ならステップS156fに手順を移す。ステップS156eに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)の原動機稼働時間T1を走行作業時間TT(TT=T1)、セッション(i)の燃料消費量Q1を走行作業時燃料消費量QT(QT=Q1)として図10の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。積込作業等の他種の作業時間、他種の作業時の燃料消費量は0とみなす。
・ステップS156f,S156g
ステップS156fに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、作業旋回操作時間比率Rfsの評価、具体的にはセッション(i)の作業旋回操作時間比率Rfsが設定値R3(例えば70%=0.7)より大きいか否かの判定(Rfs=Tfs/To>R3?)を実行する。作業判定装置63cは、Rfs>R3ならステップS156gに、Rfs≦R3ならステップS156hに手順を移す。ステップS156gに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、走行作業が主たる作業ではなく掘削した土砂を積み込むための操作が主な操作であることからセッション(i)の原動機稼働時間T1を積込作業時間TL(TL=T1)、セッション(i)の燃料消費量Q1を積込作業時燃料消費量QL(QL=Q1)として図10の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。掘削作業等の他種の作業時間、他種の作業時の燃料消費量は0とみなす。
・ステップS156h−S156j
ステップS156hに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、作業単独操作時間比率Rf’の評価、具体的にはセッション(i)の作業旋回操作時間比率Rf’が設定値R4(例えば30%=0.3)より大きいか否かの判定(Rf’=Tf’/To>R4?)を実行する。作業判定装置63cは、Rf’>R4ならステップS156iに、Rf’≦R4ならステップS156jに手順を移す。ステップS156iに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、走行作業や積込作業が主たる作業ではなく作業単独操作が主な操作であることからセッション(i)の原動機稼働時間T1を掘削作業時間TD(TD=T1)、セッション(i)の燃料消費量Q1を掘削作業時燃料消費量QD(QD=Q1)として図10の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。
他方、ステップS156jに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)の作業が無作業、走行作業、積込作業、掘削作業のいずれにも該当しないとして、セッション(i)の原動機稼働時間T1をその他作業時間TE(TE=T1)、セッション(i)の燃料消費量Q1をその他作業時燃料消費量QE(QE=Q1)として図10の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。
7.レポート
図14はレポートの例を表す図である。同図に示したレポートには、ステップS155で演算した各操作時間比率を基に図10で説明したように演算した各作業時間が記録されている。前述したように、同一セッション中に様々な操作をしていても主たる操作で作業内容が分類されるため、例えば掘削作業と判定されたセッションでは、原動機稼働時間T1が掘削作業に割り振られ、他種の作業時間はカウントされない。その結果、作業開始(8:05)から終了(9:35)までの1時間半で、例えば集計された無操作時間Tiは合計15.7分(図11)であったのに対して、レポートに出力された無作業時間TIは合計16.5分と異なっている。同じように、走行単独操作時間Tf’は合計15.6分(図11)であったのに対して、レポートに出力された走行作業時間TTは20.0分と異なっている。
上述したように、通常の掘削積込作業を繰り返す場合には無操作や走行操作がなされることは殆どないが、実際の現場作業(例えば市街地の土木作業)では1日8時間の稼働時間のうち2−3時間が無作業状態であったり、作業場所を移動するために30分以上走行したりすることも珍しくない。従って、操作時間比率でセッション毎に作業を判定し、例えば無操作時間比率Riが設定値R1を超えるセッションは実際には様々な操作が行われたとしても無作業と評価することにより、どの時間帯が無作業状態であったのかが一見して把握できるメリットがある。走行作業、積込作業、掘削作業、その他作業についても同様である。
また、作業開始から終了までの時間(電源入り時間T0)が長時間に及ぶ場合、セッション単位で行数が増えるレポートでは把握に時間を要する場合もある。そこで、図14のようなレポートは管理者等が詳細を把握するのに用いるようにして、作業開始から終了までの電源入り時間T0単位を1行に表示した極簡潔なレポートが望まれる場合もある。作業開始から終了までの数時間の作業内容を1行にまとめたレポートの例を図15に示す。
図15に示した例では、6月20日の8:05−9:35、13:00−20:00、22:00−翌日5:00の作業レポートが記録されている。レポートは電源入り時間T0単位にまとめられていて、レポート項目としては、作業開始日、作業開始時刻、作業終了時刻、合計電源入り時間ΣT0、合計原動機稼働時間ΣT1、合計無作業時間ΣTI、合計走行作業時間ΣTT、合計積込作業時間ΣTL、合計掘削作業時間ΣTD、合計その他作業時間ΣTE、合計燃料消費量ΣQ1、及び原動機稼働時間当たりの燃料消費率が記録されている。
1行目のレポートは図14に例示したレポートの合計欄のデータに一致している。合計その他作業時間ΣTEの値は、合計無作業時間ΣTI、合計走行作業時間ΣTT、合計積込作業時間ΣTL及び合計掘削作業時間ΣTDを合計原動機稼働時間ΣT1から差し引いた値に一致している(ΣTE=ΣT1‐ΣTI‐ΣTT‐ΣTL‐ΣTD)。原動機稼働時間中の燃料消費率は、合計燃料消費量ΣQ1を合計原動機稼働時間ΣT1で割った値に一致している(ΣQ1/ΣT1)。
図15のレポートにより、電源入り時間T0単位で各作業の実施割合や燃料消費を一見して把握することができる。従って、建設機械のサイズの妥当性、過去の実績との比較で別途把握できる作業土量と作業時間及び燃料消費量との関係性を分析することにより、土木作業の高効率化に利用することができる。
8.効果
前述したように、油圧ショベルの典型的な作業では、「掘削位置決め動作」→「掘削動作」→「ダンプへの積込動作又は放土動作」が繰り返され、走行装置11を駆動して掘削位置や掘削場所を変える。こうした作業中の掘削場所の変更は頻繁に発生するが、多くの場合はバケット33の幅程度の移動である。こうした掘削場所をずらす際の走行動作は短距離で時間も短く、離れた場所に移動するような走行動作とは作業としての性質が異なる。また、走行用の操作装置27L,27Rにはペダル27b(図2参照)が備わっていて、通常は足による操作が主体となる。そのため、掘削や積込の作業中に無意識に足に力が入ってペダル27bを踏み込んでしまう場合がある。但し、踏込量が小さいために方向流量制御弁の作動には至らないため、又は方向流量制御弁が作動しても走行用油圧モータ13の駆動には至らないため、ペダル7bを踏み込んでいることに運転者が気付かないことが多い。以上のような場合に検出された走行操作信号Stを基に走行操作時間が加算されてしまうと、意図しない走行操作や実効を伴わない走行操作の時間が集計されてしまい、作業判定の妥当性を欠いてしまう。そこで、本実施形態では“走行単独操作”の概念を導入し、運転者が意図的に走行動作を指示した時間として集計することとした。
また、前述したように油圧ショベル1の典型的な作業では、油圧ショベル1の位置を固定した状態で作業装置30と旋回体20を同時に動かして目標の地山にバケット33を移動させ、作業装置30のみを動かしてバケット33に土砂を掻き入れた後、作業装置30と旋回体20を同時に動かして土砂をダンプに積み込んだり地面に放土したりする。しかし、同じ一連の動作でも、例えば地山が固い又は発破が不十分なためにバケット33に土砂が十分入るまでに掘削動作を繰り返し行わなければならない場合には、作業時間Toに占める作業単独操作時間Tf’の割合が大きくなり、作業旋回操作時間Tfsの割合が小さくなる。反対に、例えばブルドーザで集積されたルーズな土砂や軟らかい地山の場合、少ない掘削動作でバケット33に十分な土砂が入るので作業単独操作時間Tf’の割合は相対的に下がり、作業旋回動作時間Tfsの割合が上がる。そこで、本実施形態では作業単独操作時間Tf’と作業旋回操作時間Tfsを集計することにより、積込作業と掘削作業を精度良く判別することができる。
以上のように、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’を基にして作業内容を自動判別することにより、各作業内容の操作時間の合計が操作時間T2に一致し、現実の作業内容と照らして妥当性の高い判定をすることができる。そして、図14や図15に例示したようなレポートにまとめることで一見して容易かつ直接的に油圧ショベル1の作業内容を把握することができる。また、各操作装置の操作時間を単に集計したレポートに比べて、レポートの項目がシンプルで見易くなることもメリットである。また、図4に示したように、12種の操作信号を走行操作信号St、旋回操作信号Ss、作業操作信号Sfの3種にまとめる構成を採用したことにより、車載マイコン50の処理負担を軽減することができ、センサやケーブル等の部品点数を抑制することができる。
また、本実施形態では、ステップS156b,S156d,S156f,S156h,S156jのいずれの判定も満たさないセッションについて、その他作業時間TEとして集計している。例えば、運転者が非熟練者である場合、油圧ショベル1の周囲に障害物がある場合、バケット33にワイヤをかけて重量物を吊り下げるクレーン作業を行う場合には、作業装置30の動作と旋回体20の旋回動作とを一方ずつすることが多い。この場合には作業旋回操作時間が減少し個別操作が増えるものの、積込作業や掘削作業以外の作業では作業単独操作時間が短くなることもある。その他作業の分類は、このような作業を区別するのに有効である。
また、燃料消費量Q1の記録を参照することにより、次のようなことも判断できる。燃料消費量は作業内容や搭載されている油圧機器の効率や制御方法に応じて決まる。例えば、油圧機器の非動作時のロスや原動機Eの引きずりトルクが大きければ無操作時の燃料消費量が大きくなり、走行制御に伴う油圧モータやコントロールバルブのロスが大きければ走行作業時の燃料消費量が大きくなる。また、掘削時にもバケット33、アーム32、ブーム31の複合動作を円滑化する機構において複雑なロスが発生して燃料消費量が増えるし、積込動作時には作業装置30と旋回体20の同時動作のために燃料消費量が増す。このように作業内容に応じて燃料消費量Q1の大きさが変化するので、例えば積込作業時に油圧機器の消費馬力(つまり燃料消費量)を下げると動作は緩慢になるが、燃料消費量は抑えられるのでダンプトラックが少なくて積込作業に待ち状態が発生しているような現場では生産量に影響が生じず燃料消費量を下げることができる。
また、センサ類等は従来から備わっているものを使用することができ、車載マイコン50やサーバ60のプログラミングのみで実現できるので、システムが低廉に構成できることもメリットである。
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、各セッションの原動機稼働時間T1を無作業、走行作業、積込作業、掘削作業、その他作業のいずれかに割り振って作業別の時間を演算する場合を例に挙げて説明した(図9のステップS156、詳細は図10)。本実施形態が第1実施形態と相違する点はステップS156の処理内容であり、具体的には無操作時間Tiについては無操作時間比率Riに関わらず無作業時間TIとして扱い、各セッションにおける原動機稼働時間T1のうち何らかの操作があった時間(操作時間T2=T1−Ti)を走行単独操作時間比率Rt’、作業旋回操作時間比率Rfs及び作業単独操作時間比率Rf’に応じて走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEのいずれかに割り振る点である。
図16は第2実施形態における作業時間の演算手順を表したフローチャートであり、図10に対応する図である。本実施形態の処理内容が第1実施形態と相違する点は図10の手順が図16の手順に置換される点であり、それ以外の手順は第1実施形態と同様である。図16に示した手順も演算処理装置63により実行される手順である。以下、図16の手順について説明する。
・ステップS156a’
ステップS156a’は図10のステップS156aと同様の手順であり、この手順の実行後、演算処理装置63はステップS156c’に手順を移す。但し、作業別の燃料消費量のリセットは省略される。
・ステップS156c’
続くステップS156c’で、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、無操作時間比率Riに関係なく無操作時間Tiを無作業時間TIと扱って無作業時間TIを演算し(TI=Ti)ステップS156d’に手順を移す。
・ステップS156d’−S156j’
ステップS156d’−S156j’は図10のステップS156d−S156jにそれぞれ対応する手順であり、相違するのはステップS156e’,S156g’,S156i’,S156j’でそれぞれ操作時間T2を走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TDとし(TT=T2,TL=T2,TD=T2)、燃料消費量の計算を割愛している点である。ステップS156d’,S156f’,S156h’で各操作時間比率とそれぞれ比較される設定値R2’,R3’,R4’は条件に応じて設定することができるが、第1実施形態の設定値R2,R3,R4とそれぞれ同じ値を用いることもできる。ステップS156e’,S156g’,S156i’又はS156j’の実行後、演算処理装置63は図16の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。
図17は第2実施形態のレポートの例を表す図であり、第1実施形態の図14のレポートに対応する。
第1実施形態との違いは無操作時間Tiの取り扱いである。第1実施形態では無作業時間TIが図11に示した無操作時間Tiの合計値と異なっていたが、本実施形態では無作業時間TIが図11に示した無操作時間Tiの合計値に一致している。(T1=Ti)となる場合を除き、走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEのいずれか1つのみが各セッションにおいて操作時間T2で集計されるので、その集計された作業時間に無作業時間TIを加算したものが原動機稼働時間T1に一致している。なお、電源入り時間T0における合計燃料消費量ΣQ1を作業時間Toで割った燃料消費率[L/h]をレポートに追加してある。これは作業密度の判定に利用できる。
通常の掘削積込を繰り返す作業では無操作時間Tiを区別する必要はないが、例えば、溝掘りをして土砂を機体の横に放土する作業では作業員による集計や補助作業のために7分間連続運転、3分間無操作状態というような形態がある。このような特定の場面に第1実施形態を適用すると無作業時間が実際の作業に反して長くなり得る。
それに対し、本実施形態では無操作時間Tiを無作業時間TIとして扱い、原動機稼働時間T1から無操作時間Tiを差し引いた操作時間T2を走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEに割り振るので、上記のような場面に適用しても妥当性を確保することができる。
その他、本実施形態によれば第1実施形態との共通点に関して第1実施形態と同様の効果が得られる。
〔第3実施形態〕
第2実施形態と同様、本実施形態が第1実施形態と相違する点はステップS156の処理内容であり、具体的には無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’については無操作時間比率Ri、走行単独操作時間比率Rt’に関わらずそれぞれ無作業時間TI、走行作業時間TTとして扱い、各セッションにおける操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間(T2−Tt’)を作業旋回操作時間比率Rfs及び作業単独操作時間比率Rf’に応じて積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEのいずれかに割り振る点である。
図18は第3実施形態における作業時間の演算手順を表したフローチャートであり、図10及び図16に対応する図である。本実施形態の処理内容が第1又は第2実施形態と相違する点は図10又は図16の手順が図18の手順に置換される点であり、それ以外の手順は第1及び第2実施形態と同様である。図18に示した手順も演算処理装置63により実行される手順である。以下、図18の手順について説明する。
・ステップS156a”,S156c”
ステップS156a”,S156c”は図16のステップS156a’,S156c’と同様の手順であり、ステップS156a”,S156c”の実行後、演算処理装置63はステップS156e”に手順を移す。
・ステップS156e”
ステップS156e”では、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、走行単独操作時間比率Rt’に関係なく走行単独操作時間Tt’を走行作業時間TTと扱って走行作業時間TTを演算し(TT=Tt’)ステップS156f”に手順を移す。
・ステップS156f”−S156j”
ステップS156f”−S156j”は図10のステップS156f−S156jにそれぞれ対応する手順であり、相違するのはステップS156g”,S156i”,S156j”でそれぞれ操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間を積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEとし(TL=T2−Tt’,TD=T2−Tt’,TE=T2−Tt’)、燃料消費量の計算を割愛している点である。ステップS156f”,S156h”で各操作時間比率とそれぞれ比較される設定値R3”,R4”は条件に応じて設定することができるが、第1又は第2実施形態の設定値R3又はR3’,R4又はR4’とそれぞれ同じ値を用いることもできる。ステップS156g”,S156i”又はS156j”の実行後、演算処理装置63は図18の手順を終了し、ステップS157(図9)に手順を移す。
図19は第3実施形態のレポートの例を表す図であり、先の実施形態の図14及び図17のレポートに対応する。図19に示したように、本実施形態のレポートでは、無作業時間TI及び走行作業時間TTは、図11に示した無操作時間Tiと走行単独操作時間Tt’に一致している。また、(T1=Ti+Tt’)となる場合を除き、積込作業時間TL、掘削作業時間TD、その他作業時間TEのいずれか1つのみが各セッションにおいて(T2−Tt’)で集計されるので、その集計された作業時間に(TI+TT)を加算したものが原動機稼働時間T1に一致している。
一般的な作業時間の把握という点では第1実施形態で十分である。但し、管理者等にとって主な作業が掘削作業か積込作業かは油圧ショベル1の作業装置30等の機械構造体に対する負荷の程度(過負荷なのか許容負荷なのか)の判断に役立つので有用である。同様に、走行作業に関して機械構造体にかかる負荷の程度を判断するために走行作業についても把握しておきたいところ、第1及び第2実施形態のレポートでは走行作業は、積込作業、掘削作業及びその他作業との間で択一的に判定されるので、実際には一定割合以上の走行動作が行われていてもレポートに表れない。
そこで、本実施形態では、走行単独操作時間Tt’は運転者が意図的に走行動作を指示した時間として走行作業時間TTとして集計することとした。これにより、例えば走行用油圧モータ13、走行体10の溶接部位、旋回体20と走行体10とを接続する旋回輪等のメンテナンス時期を計画するのに役立つ。
また、そもそも油圧ショベル1は掘削積込をする土木機械である以上、どの程度の土石量を何時間かけて掘削積込作業したかが重要である。走行作業は作業場所を変えるための移動に過ぎず、油圧ショベル1の作業の本質ではない。例えばコンベヤやブルドーザで運搬されてくる土砂をダンプのベッセル等に積み込むような作業では走行操作を伴わない場合もある。つまり、無作業時間TIや走行作業時間TTは土木機械の作業の本質からすれば少ない程良い。本実施形態のように走行作業時間TTを積極的に集計することで、走行作業時間TTが必要以上に集計されるような場合に、走行動作が極力不要となるようにダンプの進入経路や掘削場所等の作業現場のレイアウトを再考するのにも有用である。
その他、本実施形態によれば第1実施形態との共通点に関して第1実施形態と同様の効果が得られる。
〔第4実施形態〕
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、各操作時間と各操作時間における燃料消費量とを基にして作業時間を判定する点である。具体的には、まず、作業旋回操作時間比率Rfsが設定値R3より大きく、且つ作業旋回操作時の燃料消費率ΔQfs(=Qfs/Tfs)が設定値ΔQAより大きいセッションの作業を積込作業と判定する。この条件を満足せず、作業単独操作時間比率Rf’が設定値R4より大きく、且つ作業単独操作時の燃料消費率ΔQf’(=Qf’/Tf’)が所定の閾値ΔQBより大きいセッションの作業を掘削作業と判定する。そして、いずれの条件も満足しないセッションの作業をその他作業と判定する。本実施形態でいうその他作業には、地面の均し作業、法面の整備作業、ワイヤを介してバケット33で対象物を吊って移動させるクレーン作業等が含まれる。以下、車載マイコン50及びサーバ60の処理について説明する。
1.稼働状態データ取得手順
図20は本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図6に対応する図である。図6の手順と同様、図20の手順も電源が入ってから切れるまで車載マイコン50の演算処理装置57によって設定周期(例えば1秒周期)で実行される。図20の手順が繰り返し実行されることによって車載マイコン50側でセッション単位の各操作時間、各操作時燃料消費量等の稼働状態データが集計される。
図20のスタート及びステップS201−S215の各手順は、図6のスタート及びステップS101−S115の各手順に対応している。図20及び図6の手順の相違点は次の(A1)−(G1)であり、その他の点において図20の手順は図6の手順と同様である。
(A1)ステップS201におけるリセット項目に無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点。
(B1)ステップS206における演算項目に燃料消費量演算装置57jで演算する無操作時燃料消費量Qiが追加されている点(Qi=Qi+Δq)。
(C1)ステップS208における演算項目に燃料消費量演算装置57jで演算する走行単独操作時燃料消費量Qt’が追加されている点(Qt’=Qt’+Δq)。
(D1)ステップS210における演算項目に燃料消費量演算装置57jで演算する作業旋回操作時燃料消費量Qfsが追加されている点(Qfs=Qfs+Δq)。
(E1)ステップS212における演算項目に燃料消費量演算装置57jで演算する作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点(Qf’=Qf’+Δq)。
(F1)ステップS214のセッションデータ送信手順が図21の手順に置き換わっている点。
(G1)電源が切れていた場合にステップS215から移行する手順が図22の手順に置き換わっている点。
2.稼働状態データ送信手順(最後を除くセッション)
図21は本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図7に対応する図である。図21の手順がセッション終了毎に実行されることによってセッション単位の稼働状態データが車載マイコン50からサーバ60に送信される。
図21のステップS214a−S214dの各手順は、図7のステップS114a−S114dの各手順に対応している。図21及び図7の手順の相違点は次の(A2)及び(B2)であり、その他の点において図21の手順は図7の手順と同様である。
(A2)ステップS214cにおける送信項目に無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点。
(B2)ステップS214dにおけるリセット項目に無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点。
3.稼働状態データ送信手順(最後のセッション)
図22は本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図8に対応する図である。電源が切れた時に図22の手順が実行されることによって最後のセッション(f)の稼働状態データが車載マイコン50からサーバ60に送信される。
図22のステップS216−S219の各手順は、図8のステップS116−S119の各手順に対応している。図22及び図8の手順の相違点は、ステップS218における送信項目に無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点であり、その他の点において図22の手順は図8の手順と同様である。
4.データ処理手順
図23は本発明の第4実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図9に対応する図である。図9の手順と同様、図23の手順もサーバ60の演算処理装置63で作業判定装置63cによって実行される。サーバ60において図23の手順に従って車載マイコン50から送信されてくるセッション毎の稼働状態データを基にセッション毎の作業内容が判定され、レポートが作成される。
図23のステップS251−S259の各手順は、図9のステップS151−S159の各手順に対応している。図23及び図9の手順の相違点は次の(A3)−(C3)であり、その他の点において図23の手順は図9の手順と同様である。
(A3)ステップS252における保存項目に無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている点。
(B3)ステップS256の作業時間の演算手順が図24の手順に置き換わっている点。
(C3)ステップS257における積算項目に合計積込作業時燃料消費量ΣQL、合計掘削作業時燃料消費量ΣQD、合計その他作業時燃料消費量ΣQEが追加されている点。
5.作業時間演算処理手順
図24は図23のステップS256の作業時間の演算手順を表したフローチャートである。ステップS256は、ステップS255で演算した各時間比率と操作別の燃料消費率とを基に、各セッションの作業内容を無作業、走行作業、積込作業、掘削作業又はその他作業のいずれかに分類し、各セッションの原動機稼働時間T1をいずれかの作業時間として割り当てる処理である。
・ステップS256a
ステップS256の手順を開始すると、演算処理装置63は、ステップS256sでまず作業別時間及び作業別燃料消費量、具体的には無作業時間TI、走行作業時間TT、積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TE、並びに無作業時燃料消費量QI、走行作業時燃料消費量QT、積込作業時燃料消費量QL、掘削作業時燃料消費量QD及びその他作業時燃料消費量QEをリセットして0にする(TI=TT=TL=TD=TE=QI=QT=QL=QD=QE=0)。
・ステップS256b
続くステップS256bでは、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、無単独操作時間Tiを無作業時間TI、無操作時燃料消費量Qiを無作業時燃料消費量QIと扱って無作業時間TI及び無作業時燃料消費量QIを演算する(TI=Ti、QI=Qi)。
・ステップS256c
続くステップS256cでは、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、走行単独操作時間Tt’を走行作業時間TT、走行単独操作時燃料消費量Qt’を走行作業時燃料消費量QTと扱って走行作業時間TT及び走行作業時燃料消費量QTを演算する(TT=Tt’、QT=Qt’)。
・ステップS256d
続くステップS256dでは、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、無操作時間Ti及び走行単独操作時間Tt’を除く原動機稼働時間T1(セッション時間)中の燃料消費量Q3を演算する。本例の場合、燃料消費量Q3は、無作業時燃料消費量QI及び走行作業時燃料消費量QTを燃料消費量Q1から差し引いた値として求められる(Q3=Q1−QI−QT)。
・ステップS256e
続くステップS256eでは、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、各燃料消費量及び時間から各種燃料消費率(原動機稼働時燃料消費率ΔQ1,無作業時燃料消費率ΔQI,走行作業時燃料消費率ΔQT,作業旋回操作時燃料消費率ΔQfs,作業単独操作時燃料消費率ΔQf’)を演算する。各種燃料消費率の定義と演算式、特徴は次の通りである。
(a)原動機稼働時燃料消費率ΔQ1
原動機稼働時燃料消費率ΔQ1は、原動機稼働時間T1当たりの燃料消費率であり、燃料消費量Q1を原動機稼働時間T1で除して求められる(ΔQ1=Q1/T1)。この値は作業量と燃料消費の比較、すなわち出来高とコストの整合性を検討するのに有用な指標である。
(b)無作業時燃料消費率ΔQI
無作業時燃料消費率ΔQIは、無作業時間TI当たりの燃料消費率であり、無作業時燃料消費量QIを無作業時間TIで除して求められる(ΔQI=QI/TI)。この値は、無操作時であっても原動機Eが高回転・高出力状態であったり、作動油の劣化や油圧機器の調整の不具合がある場合に大きくなるので、継続してデータをとったり多くの機体のデータと比較したりすることで、当該値の異常を知ることができる。
(c)走行作業時燃料消費率ΔQT
走行作業時燃料消費率ΔQTは、走行作業時間TT当たりの燃料消費率であり、走行作業時燃料消費量QTを走行作業時間TTで除して求められる(ΔQT=QT/TT)。油圧ショベル1は数100m移動して作業場所を変える場合があるが、連携するブルドーザやダンプトラック等の他の機械の作業状況によって次の作業を開始するまでに時間の余裕があることがある。その場合には原動機出力を下げてゆっくり移動すれば燃料消費量が下げられる。走行作業時燃料消費率ΔQTを演算しておくことで、作業計画によって走行速度をコントロールして燃料消費を抑えることができる。
(d)作業旋回操作時燃料消費率ΔQfs
作業旋回操作時燃料消費率ΔQfsは、作業旋回操作時間Tfs当たりの燃料消費率であり、作業旋回操作時燃料消費量Qfsを作業旋回操作時間Tfsで除して求められる(ΔQfs=Qfs/Tfs)。ΔQfsの値の大きさは軽作業か重作業かを示しており、適正な閾値を設定することにより軽作業か重作業かを判定することができる。軽作業とは、比較的比重が軽い土石を対象とする作業、土石をバケットに満載せずに少し掬わない作業、高速で動作させると土砂を溢す、周囲に迷惑をかける等の理由で原動機出力を下げてする作業であり、機体への負荷が小さい、燃料消費量が小さい等の傾向がある。重作業はその逆の作業である。
(e)作業単独操作時燃料消費率ΔQf’
作業単独操作時燃料消費率ΔQf’は、作業単独操作時間Tf’当たりの燃料消費率であり、作業単独操作時燃料消費量Qf’を作業単独操作時間Tf’で除して求められる(ΔQf’=Qf’/Tf’)。作業装置30で繰り返して固い地山を掘削するような作業では作業単独操作時間Tf’が長くなり燃料消費率も上昇するが、肥料や穀物等の比重の小さな対象物を繰り返し掬い込むような作業では作業単独操作時間Tf’は長くなるものの燃料消費量率は上昇しない。従って、作業単独操作時燃料消費率ΔQf’によって作業単独操作による掘削作業が重作業であるのか否かが判定できる。
・ステップS256f,S256g
ステップS256fに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)における作業旋回操作時間比率Rfsが設定値R3より大きく(Rfs=Tfs/To>R3)、かつ作業旋回操作時燃料消費量ΔQfsが設定値ΔQAより大きいか否かを判定する(Rfs=Tfs/To>R3,ΔQfs>ΔQA)。設定値ΔQA(例えば1.2L/min)は、例えば機種、原動機、燃料、軽作業か重作業か等によって経験則から管理者が設定するようにしても良いし、メーカで予め設定した値でも良い。作業判定装置63cは、この条件が満たされる場合にはステップS256gに、満たされない場合にはステップS256hに手順を移す。ステップS256gに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間を積込作業時間TL、燃料消費量Q3を積込作業時燃料消費量QLとし(TL=T2−Tt’,QL=Q3)、図24の手順を終了してステップS257(図23)に手順を移す。
・ステップS256h−S256j
ステップS256hに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)における作業単独操作時間比率Rf’が設定値R4より大きく(Rf’=Tf’/To>R4)、かつ作業単独操作時燃料消費量ΔQf’が設定値ΔQBより大きいか否かを判定する(Rf’=Tf’/To>R4,ΔQf’>ΔQB)。設定値ΔQB(例えば1.0L/min)も、ΔQAと同様、経験則から管理者が設定するようにしても良いしデフォルト値としても良い。作業判定装置63cは、この条件が満たされる場合にはステップS256iに、満たされない場合にはステップS256jに手順を移す。ステップS256iに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間を掘削作業時間TD、燃料消費量Q3を掘削作業時燃料消費量QDとし(TD=T2−Tt’,QD=Q3)、図24の手順を終了してステップS257(図23)に手順を移す。他方、ステップS256jに手順を移すと、演算処理装置63は、作業判定装置63cにより、セッション(i)の作業が無作業、走行作業、積込作業、掘削作業のいずれにも該当しないとして、操作時間T2から走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間をその他作業時間TE、燃料消費量Q3をその他作業時燃料消費量QEとし(TE=T2−Tt’,QE=Q3)、図24の手順を終了してステップS257(図23)に手順を移す。
6.レポート
図25は車載マイコン50からサーバ60に送信される稼働状態データの例を示す図であり、第1実施形態の図11に対応する図である。図25の例では、図11の例に対して、無操作時燃料消費量Qi、走行単独操作時燃料消費量Qt’、作業旋回操作時燃料消費量Qfs、作業単独操作時燃料消費量Qf’が追加されている。なお、図25の例ではその他操作時燃料消費量(Q1−Qi−Qt’−Qfs−Qf’)も参考として掲載してある。サーバ60で演算される操作時間比率のデータは先に図12に示したものと同様である。
図26が本実施形態のレポートの例を表す図である。同図に示すようにレポートの項目は第3実施形態のレポート(図19)と共通しており、無作業時間TIと走行作業時間TTの数値は一致しているが、同一データを基に作成されたレポートであっても、作業判定のアルゴリズムの違いに伴って、積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TEの数値に変化が見られる。
7.効果
本実施形態によれば、例えば操作時間のみを考慮すれば積込作業又は掘削作業と判定される作業でも、その操作時間中の燃料消費量を併せて考慮することで、例えば原動機負荷が低い軽負荷作業をその他作業として区別し、油圧ショベル1の本来作業である積込作業又は掘削作業の時間をより精度良く集計することができる。
その他、本実施形態によれば、既述した実施形態との共通点に関してその実施形態と同様の効果が得られる。
8.その他
第1−第3実施形態と同様、本実施形態でも作業旋回操作時間Tfsを集計する場合を例示したが、本実施形態においては作業旋回操作時間Tfsを必ずしも主計する必要はない。例えば無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’はそれぞれ無作業時間TI、走行作業時間TTとみなし、それ以外の時間について作業単独操作時間Tf’の割合がある設定値を超えていれば掘削作業、設定値以下であれば積込作業といったように作業を判定することも考えられる。この場合にも、掘削作業、積込作業とそれぞれ判定した時間について燃料消費率を加味することで、操作時間を基準にすれば掘削作業又は積込作業に分類されても燃料消費率が規定値に満たない場合はその他作業として区別することができる。
〔第5実施形態〕
本実施形態は、旋回操作時の圧力検出信号PBを基にその旋回動作が載荷旋回動作か空荷旋回動作かを判定し、この判定を基に作業内容を判定する実施形態である。同時に、載荷旋回動作後に空荷旋回動作が行われたとの判定により放土が行われたと判定し、例えば放土回数や載荷旋回時の保持圧(平均値、積算値等を含む)、放土作業のサイクルタイムを演算する。
ここで、「載荷旋回動作」とは載荷状態で行う旋回動作をいう。「載荷状態」とはバケット33に所定重量以上の対象物が掬い込まれた状態をいい、本実施形態では掬い込んだ対象物によって圧力検出信号PBがその設定値PB0(例えば5MPa)を超えた状態をいう。「空荷旋回動作」とは空荷状態で行う旋回動作をいう。「空荷状態」とはバケット33に所定重量以上の対象物が掬い込まれていない状態をいい、本実施形態では圧力検出信号PBがその設定値PB0以下の状態をいう。
1.載荷旋回動作
演算処理装置57,63による処理手順の説明の前に油圧ショベル1の掘削及び積込の作業について図32を参照して経時的に改めて説明する。
図32の例では、8時20分の時点では無作業状態であり、走行作業の後、作業装置30を駆動して掘削作業をしている。同図で掘削作業は1マス表示になっているが、1マス当たりのバケット33のダンプ操作は1回ではなく、ブームシリンダ34、アームシリンダ35、バケットシリンダ36の何回かの伸縮動作を適宜組み合わせて作業装置30を駆動することでバケット33に土石が掬い込まれる。この作業は、通常は作業単独操作により実行され、走行操作や旋回操作と同時になされることは殆どない。バケット33に土石を掬い込んだら、積込のためにバケット33を持ち上げて放土位置(ダンプトラックの荷台やホッパ、或いは地面の所定位置等)まで旋回する。この際、旋回動作は持ち上げ動作とは独立して行われる場合も同時に行われる場合もあるが、いずれにせよ掘削した土石を積み込む際には載荷状態(PB>PB0)で旋回動作(つまり載荷旋回動作)が実行される。放土位置に土石を放土する際にはバケット33をダンプさせる。この放土作業は作業単独操作により実行される場合と作業旋回操作により実行される場合がある。放土後は次の掘削のために掘削位置まで旋回する。この動作は掘削位置から放土位置にバケット33を移動させる動作と逆の動作であるが、放土後であるため空荷状態(PB≦PB0)で旋回動作(つまり空荷旋回動作)が実行される。
同図に示したように、油圧ショベル1の掘削及び積込の作業の1サイクルの動作には経時的に実行される「掘削」、「載荷旋回」、「放土」、「空荷旋回」の動作が含まれ、「1サイクル目」、「2サイクル目」、「3サイクル目」・・・と示したように1サイクルの動作が繰り返し実行されることで掘削及び積込の作業が進捗する。注目されるのは、1サイクルの掘削及び積込の作業では、載荷旋回動作の後に空荷旋回動作が必ず実行されることである。本実施形態では載荷旋回動作後の空荷旋回動作を検知することで放土作業が実施されたと判定し、放土作業の間隔を掘削積込の作業サイクルと扱う。
なお、実際の作業では、放土して空荷状態に移行した後、空荷旋回動作に移行する前に、放土した土石をバケット33で均す作業が加わる場合もあるが、長時間に亘る掘削及び積込の作業のサイクルタイムを評価するには十分な精度が期待できる。演算処理装置57の判定ロジックにおいては、図32にn=1、n=2、n=3・・・と表している各時点(後述するフラグSLの設定が1から0に変わる時点)が掘削及び積込の作業の連続する2サイクルの境界であり、nは放土回数に等しい。
以上の技術思想に基づく演算処理装置57,63による処理手順を次に説明する。
2.稼働状態データ取得手順
図27は本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図6に対応する図である。図6の手順と同様、図27の手順も電源が入ってから切れるまで車載マイコン50の演算処理装置57によって設定周期(例えば1秒周期)で実行される。図27の手順が繰り返し実行されることによって車載マイコン50側でセッション単位の無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、放土回数、保持圧等の稼働状態データが集計される。
図27のスタート及びステップS301−S308,S313−S315の各手順は、図6のスタート及びステップS101−S108,S113−S115の各手順に対応している。図27及び図6の手順の相違点は次の(A4)−(E4)であり、その他の点において図27の手順は図6の手順と同様である。
(A4)ステップS301におけるリセット項目から作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が省略され、代わりに載荷フラグF/E、載荷旋回動作時間m(秒)、載荷旋回フラグSL、合計載荷旋回動作時保持圧ΣPB、セッション中の放土回数n、セッション中の掘削積込作業の1サイクル(放土間隔)当たりの平均保持圧PBa(=ΣPB/m)、セッション中の合計保持圧ΣPBa、電源入り時間T0中の合計保持圧ΣPL、電源入り時間T0中の放土回数Jが追加されている点。
(B4)ステップS302の入力信号に圧力検出信号PBが追加されている点。
(C4)ステップS111,S112の手順がステップS309の保持圧等演算手順(詳細は図28)で置換されている点。
(D4)ステップS314のセッションデータ送信手順が図29の手順に置き換わっている点。
(E4)電源が切れていた場合にステップS315から移行する手順が図30の手順に置き換わっている点。
なお、上記の載荷フラグF/Eは、圧力検出信号PBがその設定値PB0より大きいと1、設定値PB0以下だと0に設定されるフラグである。また、載荷旋回フラグSLは、旋回操作信号Ssが入力されると同時に載荷フラグF/E=1(Ss=F/E=1)となった場合に1、その後旋回操作信号Ssが入力されると同時に載荷フラグF/E=0(SL=Ss=1,F/E=0)となった場合に0に戻るフラグである。
図28は図27のステップS309の保持圧等演算手順の詳細を表すフローチャートである。
・ステップS309a−S309c
ステップS309の手順を開始すると、演算処理装置57は、作業判定装置57iにより、まずブームシリンダ34の保持圧に起因する圧力検出信号PBを設定値PB0と比較し、圧力検出信号PBが設定値PB0より大きいか否かを判定する(ステップS309a)。作業判定装置57iは、PB>PB0であれば載荷状態であると判定して載荷フラグF/Eを1に設定し(ステップS309b)、PB≦PB0であれば空荷状態であると判定して載荷フラグF/Eを0に設定する(ステップS309c)。例えば作業装置30或いは走行装置11を駆動してバケット33に土石を入れた状態でバケット33を地面から持ち上げると、ブームシリンダ34で作業装置30を支えた状態となるため保持圧(圧力検出信号PB)が上昇する。バケット33に掬い込んだ土石の密度が小さい場合や少量である場合には、圧力検出信号PBは設定値PB0を超えて上昇しないが、通常作業で重量物をバケット33に掬い込んでいる場合には圧力検出信号PBが設定値PB0を超え、ステップS309bでF/E=1となる。
・ステップS309d−S309f
続くステップS309dでは、演算処理装置57は、作業判定装置57iにより、載荷旋回状態であるか否か、具体的には、旋回操作信号Ssが入力されていて、かつ載荷フラグF/Eの設定が1(Ss=F/E=1)であるか否かを判定する。作業判定装置57iは、判定が満たされれば(Ss=F/E=1であれば)ステップS309eに、満たされなければ(Ss=F/E=1でなければ)ステップS309e,S309fをスキップしてステップS309gに手順を移す。載荷旋回動作が検知されてステップS309eに手順が移ると、演算処理装置57は、作業判定装置57iによって載荷旋回フラグSLを1に設定し(SL=1)、続くステップS309fで載荷旋回動作時間mをカウントアップすると共に(m=m+1)保持圧としての圧力検出信号PBを積算し(ΣPB=ΣPB+PB)、ステップS309gに手順を移す。ステップS309fの手順は後にステップS309hで載荷旋回フラグSLの設定が0に変わるまで繰り返し実行されるので、載荷旋回時(例えば図32における時点A−Bの時間)の圧力検出信号PBの積算値ΣPB(m回分の圧力検出信号PBの合計値)が演算される。
・ステップS309g−S309j
ステップS309gに手順を移すと、演算処理装置57は、作業判定装置57iにより、載荷旋回フラグSLの設定が1で、かつ空荷旋回動作が実行されたか否か、具体的には、載荷旋回フラグSLの設定が1の状態で、旋回操作信号Ssが入力され、かつ載荷フラグF/Eの設定が0(SL=Ss=1,F/E=0)であるか否かを判定する。作業判定装置57iは、判定が満たされれば(SL=Ss=1,F/E=0であれば)ステップS309hに、満たされなければ(SL=Ss=1,F/E=0でなければ)ステップS309h−S309jをスキップして図28の手順を終了する。載荷旋回状態から空荷旋回状態への移行が検知されてステップS309hに手順を移すと、演算処理装置57は、作業判定装置57iにより、載荷旋回フラグSLの設定をリセットし(SL=0)、続くステップS309iで載荷旋回動作中の平均保持圧PBa(PBの平均値)を計算すると共に(PBa=ΣPB/m)、セッション中の放土回数nをカウントアップする(n=n+1)。更に、演算処理装置57は、続くステップS309jで、今回分の1サイクルの平均保持圧PBaを作業判定装置57iにより加算してセッション中の合計保持圧ΣPBaを求め(ΣPBa=ΣPBa+PBa)、図28の手順を終了する。平均保持圧PBaは作業装置30の姿勢にも影響されるがバケット33に掬い込んだ土石の重量に比例した値であるので、土石量の計:測値として一定の妥当性を有する。
演算処理装置57によって、図28の手順が繰り返し実行されることにより、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、放土回数や保持圧に関する稼働のデータが取得される。
なお、掘削及び積込の作業で旋回動作を行う場合には、熟練者は1回の旋回操作で掘削位置から放土位置までバケット33を移動させられるところ非熟練者は旋回操作を小刻みに繰り返す傾向がある。また、先に図2に示したように旋回操作を行う操作レバーは作業装置30の操作を行う操作レバーを兼ねているので、作業装置30の操作時に意に反して旋回操作が行われる場合もある。このような場合には、図28の手順を繰り返し実行するに当たって2サイクル続けて判定が満たされたら載荷旋回フラグSLの設定が変更されるようにステップS309d,S309gの判定条件を変更することで対応できる。
3.稼働状態データ送信手順(最後を除くセッション)
図29は本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による最後を除くセッションの稼働状態データの送信手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図7に対応する図である。図29の手順がセッション終了毎に実行されることによってセッション単位の稼働状態データが車載マイコン50からサーバ60に送信される。
図29のステップS314a−S314dの各手順は、図7のステップS114a−S114dの各手順に対応している。図29及び図7の手順の相違点は次の(A5)及び(B5)であり、その他の点において図29の手順は図7の手順と同様である。
(A5)ステップS314cにおける送信項目から作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が省略され、代わりに作業時間To(=T2−Tt’)、放土回数n及びセッション中の合計保持圧ΣPBaが追加されている点。
(B5)ステップS314dにおけるリセット項目から作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が省略され、代わりに放土回数n及びセッション中の合計保持圧ΣPBaが追加されている点。
4.稼働状態データ送信手順(最後のセッション)
図30は本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置による最後のセッションの稼働状態データ送信手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図8に対応する図である。電源が切れた時に図30の手順が実行されることによって最後のセッション(f)の稼働状態データが車載マイコン50からサーバ60に送信される。
図30のステップS316−S319の各手順は、図8のステップS116−S119の各手順に対応している。図30及び図8の手順の相違点は、ステップS318における送信項目から作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が省略され、代わりに作業時間To、放土回数n及びセッション中の合計保持圧ΣPBaが追加されている点であり、その他の点において図30の手順は図8の手順と同様である。
図33はステップs314aやステップS318で車載マイコン50からサーバ60に送信されるデータの例である。
5.データ処理手順
図31は本発明の第5実施形態に係る稼働状態記録装置によるデータ処理手順を表すフローチャートで、第1実施形態の図9に対応する図である。図9の手順と同様、図31の手順もサーバ60の演算処理装置63により実行される。サーバ60において図31の手順に従って車載マイコン50から送信されてくるセッション毎の稼働状態データを基にセッション毎の作業内容が判定され、レポートが作成される。
図31のステップS351−S359の各手順は、図9のステップS151−S154,S157−S159の各手順に対応している。図31及び図9の手順の相違点は次の(A6)−(E6)であり、その他の点において図31の手順は図9の手順と同様である。
(A6)ステップS352における保存項目から作業旋回操作時間Tfs、作業単独操作時間Tf’及び燃料消費量Q1が省略され、代わりに作業時間To、放土回数n及びセッション中の合計保持圧ΣPBaが追加されている点。
(B6)ステップS354のリセット項目から積込作業時間TL、掘削作業時間TD及びその他作業時間TEが省略され、代わりに作業時間Toが追加されている点。
(C6)操作時間比率の演算(ステップS155)やそれに基づく作業判定(ステップS156)に相当する手順が省略されている点。
(D6)ステップS357における積算項目から合計積込作業時間ΣTL、合計掘削作業時間ΣTD、合計その他作業時間ΣTE、合計燃料消費量ΣQ1が省略され、代わりに合計作業時間ΣTo、セッション中の放土1回当たりの平均保持圧ΣPBa/n、合計保持圧ΣPL、合計放土回数Jが追加されている点。
(E6)ステップS359におけるレポート出力項目から合計積込作業時間ΣTL、合計掘削作業時間ΣTD、合計その他作業時間ΣTE、合計燃料消費量ΣQ1が省略され、代わりに合計作業時間ΣTo、合計放土回数J、合計保持圧ΣPL、放土1回当たりの平均保持圧ΣPL/J、平均積込掘削サイクルタイムΣTo/Jが追加されている点。
ステップS357,S359について説明する。
・ステップS357
ステップS357では、車載マイコン50からセッション毎に稼働状態データが送信されてくる度に、演算処理装置63によってその都度稼働状態データが積算され記憶装置62に保存される。このステップで積算される積算値は、次の通りである。
合計電源入り時間ΣT0
合計原動機稼働時間ΣT1
合計無作業時間ΣTI
合計走行作業時間ΣTT
合計作業時間ΣTo(=ΣT1−ΣTI−ΣTT)
放土1回当たりの平均保持圧ΣPBa/n
合計保持圧ΣPL
合計放土回数J
このうち合計電源入り時間ΣT0、合計原動機稼働時間ΣT1、合計無作業時間ΣTI、合計走行作業時間ΣTT、合計作業時間ΣToの演算方法は既出の実施形態で説明した通りである。なお、本実施形態において合計無作業時間ΣTI、合計走行作業時間TTは、それぞれ合計無操作時間ΣTi、合計走行単独操作時間ΣTt’と同義である(ΣTI=ΣTi、ΣTT=ΣTt’)。従って、合計作業時間ΣToは、合計原動機稼働時間ΣT1から合計無作業時間ΣTI及び合計走行作業時間ΣTTを差し引くことで求められる(ΣTo=ΣT1−ΣTI−ΣTT)。
放土1回当たりの平均保持圧ΣPBa/nは、セッション中の放土1回当たりの平均保持圧であり、セッション中の載荷旋回時の平均保持圧PBa(=ΣPB/m)の合計値ΣPBaをセッション中の放土回数nで除することによって演算される。合計保持圧ΣPLは、電源入り後の総放土重量に応じた値であり、セッション毎の合計保持圧ΣPBaを積算していくことにより演算される(ΣPL=ΣPL+ΣPBa)。合計放土回数Jは、セッション毎の放土回数nを積算していくことによって演算される(J=J+n)。
・ステップS359
ステップS359では、セッションステータスSがEndとなった場合に、集計した稼働状態データを基にして、演算処理装置63のレポート出力装置63eによってレポート出力項目が演算される。このとき、演算処理装置63は、レポートデータを出力装置66に出力すると共に、又は出力装置66に出力するのに代えて、レポートデータを記憶装置62に保存することもできる。このステップで演算される値は、次の通りである。
作業開始時刻
作業終了時刻
合計電源入り時間ΣT0
合計原動機稼働時間ΣT1
合計操作時間ΣT2(=ΣT1−ΣTI)
合計無作業時間ΣTI
合計走行作業時間ΣTT
合計作業時間ΣTo
合計放土回数J
合計保持圧ΣPL
放土1回当たりの平均保持圧ΣPL/J
平均掘削積込サイクルタイムΣTo/J
このうち放土1回当たりの平均保持圧ΣPL/J、及び平均掘削積込サイクルタイムΣTo/J以外の演算方法はステップS357までの説明で述べた通りである。放土1回当たりの平均保持圧ΣPL/Jは、電源入り時間T0を通じての放土1回当たりの平均保持圧であり、合計保持圧ΣPLを合計放土回数Jで除して演算される。掘削積込作業の平均サイクルタイムΣTo/Jは、合計作業時間ΣToを合計放土回数で除して演算することとした。
7.効果
本実施形態によれば、旋回操作信号Ss、走行操作信号St及び作業操作信号Sfを基にして、無操作及び走行単独操作を検知して無作業及び走行作業を判別することができる。また、旋回時はブームシリンダ34の保持圧が安定していることに着目し、無作業でも走行作業でもない場合には、旋回操作信号Ssと圧力検出信号PBとを基に載荷旋回動作及び空荷旋回動作を判別し、これによって掘削積込作業を判別することができる。加えて、載荷旋回動作後の空荷旋回動作を判別することで放土が行われたことを認識し、放土回数をカウントしたり掘削積込作業のサイクルタイム(放土間隔)を計測したりすることができ、また載荷旋回時の圧力検出信号PBを基にして放土重量又はこれに準ずる値を計測することができる。すなわち、本実施形態によれば、単なる作業判定のみならず、圧力検出信号PBを加味することで放土回数や掘削積込作業のサイクルタイム、作業量或いはこれらの傾向を知ることができる。
そして、掬い込んだ土石の重量が分かるので、例えば掘削積込作業の対象となったものが、比重の軽い土砂であったのか、高含水率の泥土であったのか、岩石であったのか、極端に比重の大きな鉱石(鉄鉱石等)であったのか、等といったこと推測することができ、更にサイクルタイムや放土回数を加味することでより詳しい作業内容を推測することができる。つまり、対象物やその性状による圧力検出信号PBやそれに基づくデータ(例えば平均保持圧ΣPBa/n)の傾向を予め把握しておけば、掘削積込の対象となったものが比重の軽い土砂や石炭等がであったのか等を推測することができる。載荷旋回動作が判別できない場合には、法面作業や均し作業、表土剥ぎ等をしていたことを推測することができる。また、機体の損傷に繋がるような重量物を対象とする作業を行ったか否かといったこともレポートから判断することができ、点検項目や点検頻度の検討にも役立つ。また、サイクルタイムを加味することで、例えば固い地山を掘削していて掘削動作に時間を要したこと等も推測することができる。
その他、本実施形態によれば、既述した実施形態との共通点に関してその実施形態と同様の効果が得られる。
8.レポート
図34はセッション単位のレポートの例を表す図である。同図に示したレポートには、ステップS359で演算した各データが記録されている。この例でレポートに記録してあるデータは、時刻、電源入り時間T0(分)、原動機稼働時間T1(分)、無作業時間TI(分)、走行作業時間TT(分)、作業時間To(分)、平均保持圧ΣPBa/n(MPa)、放土回数J(回)、掘削積込動作のサイクルタイムTo/J(秒)である。
平均保持圧ΣPBa/nはセッション中の1回当たりの放土重量に対応する値の平均値であるので、掘削積込作業の対象物の推測に寄与する。例えば、レポートの上4行及び下2行のセッションの平均保持圧ΣPBa/nは80−100MPaと比較的低い値である。この場合、例えば油圧ショベル1(又は同一若しくは同程度の仕様の機種)の作業実績で対象物と平均保持圧との関係を把握しておくことにより、掘削対象物の比重が軽いとか少量であるとか推測できる。対して5−8行目のセッションの平均保持圧ΣPBa/nは140−170MPaと比較的高い値であり、掘削対象物が、高含水の土砂であるとか、比重の重い岩石を含んだ土石であるとか推測することができる。
また、掘削積込作業では、「掘削動作→放土位置への旋回動作→放土→掘削位置への旋回動作」という作業を繰り返すので、1回の積込動作の所要時間を把握することは重要である。これについては、サイクルタイムΣTo/Jで概略を知ることができる。このサイクルタイムは、放土位置と掘削位置の位置関係により旋回角度が大きい場合、掬い込んだ対象物を溢さないようにゆっくり旋回する場合、地山が固くて掘削作業に時間を要する場合等に長くなる傾向がある。
まとめると、図34の例では、例えば上4行と下2行のセッションでは典型的な掘削積込作業を行っていたと推測することができる。中でも4行目のセッションでは、平均保持圧に大きな変化が見られないものの放土回数が多くサイクルタイムが短くなっているので、例えばルーズな地山の溝掘り掘削で掘削した土砂を周囲に放土する繰り返し作業をしていたのではないかと推測できる。それに対して、5−8行目のセッションでは、平均保持圧が上昇しサイクルタイムも長くなっていることから、例えば重量のある対象物を通常よりゆっくりした動作で慎重に放土する必要がある作業であったのではないかと推測することができる。
図35は電源入り時間T0単位のレポートの例を表す図である。同図に例示したレポートでは、電源入り時間T0単位のデータが総括されて1行に記録されており、1行目のデータが図34のレポートのデータに対応している。この例でレポートに記録してあるデータは、作業日、作業開始時刻、作業終了時刻、合計電源入り時間ΣT0(分)、合計原動機稼働時間ΣT1(分)、合計無作業時間ΣTI(分)、合計走行作業時間ΣTT(分)、合計作業時間ΣTo(時間)、平均保持圧ΣPL/J(MPa)、合計放土回数J(回数)、合計保持圧ΣPL(MPa)、掘削積込動作の平均サイクルタイムΣTo/J(秒)である。作業場所や作業内容は1日殆ど変化しない場合も多く、セッション単位のデータを毎行記録したレポートが必要以上に煩雑になるようであれば、電源入り時間T0単位で作業を記録する方が良い場合もある。レポートは1日単位にまとめることもできるが、24時間稼働する現場では日を跨いで作業をすることがあるので、図35では電源入り時間T0単位のデータを1行に記録する場合を例示した。
例えば図35のレポートの1−3行目のデータを見ると、電源入り時間T0はそれぞれ1.5時間、7時間、7時間あるものの、掘削積込作業に充てられた時間はそれぞれ0.8時間、3.8時間、4.8時間と短く、頻繁に作業場所を移動する必要があったこと等が窺われる。
また、このようなレポートを継続して作成していくことにより、作業効率の変化を直感的にとらえることができる。例えば、同一現場の作業で運転者が熟練者から非熟練者に交代した場合には、サイクルタイムが大きくなり、またバケット一杯に土石を掬い込む技量がないことからバケット33に掬い込む土量体積が減少する。このようなことも分かるので、運転者の技量を判断して必要となれば操作の指導をすることができ、操作者の育成にも役立ち得る。
また、予想した稼働状態と実際のレポートの記録との間に大きな傾向の違い生じた場合に、点検項目や点検時期の計画を見直すこともできる。レンタル業者において軽作業を目的として貸し出された機体が実際には重作業に用いられるような状況もレポートから読み取ることができ、このこともメンテナンス計画の策定に寄与する。
図36は電源入り時間T0単位のレポートの他の例を表す図である。先の図35のレポートの例では、放土重量に関連する値として、平均保持圧ΣPL/J、合計保持圧ΣPLという圧力値を記録する場合を例示した。保持圧は放土重量に関係する値ではあるが、重量を直接的に表す値ではない。図36の例は、圧力を重量に換算してレポートに記録し、放土重量の見当をつける上でより分かり易い表記とした例である。重量への換算は換算式さえ与えておけば、サーバ60で問題なく実行することができる。
例えばバケット一杯の土砂重量を想定すると(例として0.8t)、図36のレポートの1,3行目のデータは平均放土重量が0.95t,0.68tで想定重量との差がさほどなく、サイクルタイムもそれぞれ24秒、18秒とさほど変わらないことから、作業対象物が同じようなものであったことが推定できる。一方、2行目のデータでは、平均放土重量が1.24tと想定重量と比較してかなり大きく、かつサイクルタイムも42秒と長くなっており、通常の土砂より重い岩石を多く含んだような土石を対象に作業していたことが推定できる。
〔第6実施形態〕
本実施形態は、建設機械(ここでは油圧ショベル1)の機体に加速度センサを設置し、作業単独操作時の加速度の大きさを検出し評価することにより、無作業、走行作業、掘削作業又はその他作業に油圧ショベル1の作業時間を分類する実施形態である。本実施形態におけるその他作業には、作業装置30を用いた作業のうち機体に大きな負荷がかかる掘削作業以外の作業、例えば積込作業の他、法面整地作業、クレーン作業、圃場整備等の軽作業が含まれる。機体に負荷がかかる重作業割合を管理者やサービス担当者が把握し易くすることで発破計画やメンテナンス計画への貢献を狙ったものである。
図37は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置の機能ブロック図であり、図5に対応する図である。図37に示した稼働状態記録装置は、車載マイコン50’、サーバ60’及び出力装置66を備えており、これら車載マイコン50’、サーバ60’及び出力装置66で機能が分担されている。出力装置66については図5の稼働状態記録装置と同様であるため、車載マイコン50’及びサーバ60’の構成について次に説明する。
1.車載マイコン50’
車載マイコン50’は、入力インタフェイス51、RTC52、電源装置53、記憶装置54、GPS55、通信装置56、演算処理装置57’、出力インタフェイス58、及び加速度センサ59を備えている。入力インタフェイス51、RTC52、電源装置53、記憶装置54、GPS55、通信装置56、出力インタフェイス58は図5に示したものと同様であるため説明を省略する。また、入力インタフェイス51に入力される信号のうち、圧力検出信号PB及び燃料消費量信号Δqが省略されているが、レポート項目によって必要になる場合には入力インタフェイス51に入力されるようにしても良い。次に加速度センサ59及び演算処理装置57’の構成について説明する。
(1)加速度センサセンサ59
加速度センサ59は車載マイコン50’に内蔵されている。車載マイコン50’は、本実施形態ではX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、Z軸方向(上下方向)の加速度が加速度センサ59により検出されるように、例えば運転室22の上部に設置されている。加速度センサ59で検出されたそれぞれXYZ方向の加速度信号αx,αy,αzは入力インタフェイス51に入力される。但し、車載マイコン50’の設置位置はこれに限定されず、検出する加速度の方向が適切であれば運転室22の床面や壁面等の他の場所でも良い。また、加速度センサ59は車載マイコン50’に内蔵されたものではなく、車載マイコン50’とは別置きのものを用いても良い。その場合、車載マイコン50の設置位置や姿勢は検出加速度の方向に制限されない。また、本実施形態は加速度センサ59として3軸加速度センサを用いてXYZ方向の加速度を検出する例であるが、加速度センサ59により検出される加速度の方向が2方向又は1方向で足りる場合には2軸又は1軸の加速度センサを用いることもできる。
ここで、油圧ショベルが水平面上にある場合はZ軸は鉛直になるため、重力加速度を検出する場合、その大きさはZ方向加速度αzに一致するが、油圧ショベルは傾斜地で作業する場合もある。油圧ショベルの作業場所の傾斜をθとした場合、重力加速度を加速度センサ59で検出すると、例えばX方向加速度及びZ方向加速度として検出される重力加速度の大きさは、それぞれABS(g・sinθ)、ABS(g・cosθ)となる。油圧ショベルの掘削作業場所の水平面に対する傾斜は通常は5度以下であり、ユーザによっては10度程度の傾斜地で油圧ショベルを動かす例もあるが、機体に大きな加速度のかかる重作業を行うことは殆どない。θ=10の場合、sinθ=0.17、cosθ=0.99であるため、10度までの傾斜地なら重力加速度の影響はX軸方向で0.17g以下、Z軸方向で0.1g以下である。傾斜地での重力加速度の影響は最大でも重力加速度の20%以下である。
(2)演算処理装置57’
演算処理装置57’は、稼働データ取得及びデータ送信の手順を実行するものであり、電源供給の開始をトリガとして記憶装置54に格納されたプログラムに従って処理を開始した後、電源供給の終了をトリガとして処理を終了するものである。
一連の手順を実行するために、演算処理装置57’には、電源入り時間演算装置57a、原動機稼働時間演算装置57b、操作信号判定装置57c、無操作時間演算装置57d、走行単独操作時間演算装置57e、作業単独操作時間演算装置57f、作業時間演算装置57h、作業判定装置57i、キャリブレーション処理装置57n、第1定期処理装置57o(本例では0.1s定期処理装置57oという)、第2定期処理装置57p(本例では1s定期処理装置57pという)、及び第3定期処理装置57q(本例では10s定期処理装置57qという)が含まれている。このうち電源入り時間演算装置57a、原動機稼働時間演算装置57b、操作信号判定装置57c、無操作時間演算装置57d、走行単独操作時間演算装置57e、作業単独操作時間演算装置57f、作業時間演算装置57h、作業判定装置57iは図5に示したものと同様であるため説明を省略する。また、図5の例と同様に、一部の処理部、例えば作業時間演算装置57h、作業判定装置57i等はサーバ60’側に設けても良い(作業時間演算装置63b、作業判定装置63c)。レポート作成装置57kは図5に示したものと同様のものであり、車載マイコン50’にレポート作成装置57kを設けた場合には、サーバ60’にアクセスしてレポート出力を得る場合以外に、例えば通信状況が悪くリモートでデータを送受できないような現場でも車載マイコン50’に端末Xを接続してレポートを作成することができる。キャリブレーション処理装置57n、0.1s定期処理装置57o、1s定期処理装置57p及び10s定期処理装置57qについて順次説明していく。
・キャリブレーション処理装置57n
キャリブレーション処理装置57nは、加速度センサ59の検出値を基にして操作時の加速度の大きさを計測するための基準(以下、基準加速度)として無操作時の加速度を計測する処理を実行する処理部である。この処理は操作時には実行されないが、無操作時にのみ都度実行される。
・0.1s定期処理装置(第1定期処理装置)57o
0.1定期処理装置57cは、設定期間(後述する第2設定周期、本例では0.1秒周期)中の評価加速度を演算する処理を実行する処理部である。この処理は電源入り時に一定の第1設定周期(<第2設定周期、本例では1s周期)で繰り返し実行される。評価加速度は、検出加速度と基準加速度との差分(以下、補正加速度)に応じた値であり、本実施形態では第2設定期間中の補正加速度の最大値とするが、例えば平均値等を採用しても良い。第1設定周期を0.1sとしたのは、加速度センサ59のデータ出力周期を0.1sとし、この設定に合わせた場合の例であり、油圧ショベル1の機体の大きさや形状、加速度センサ59の仕様等によって第1設定周期は変更され得る。
・1s定期処理装置(第2定期処理装置)57p
1s定期処理装置57pは、各種操作時間の計測(積算)と作業単独操作時の最大加速度の計算を第2設定周期(本例では1秒周期)毎に実行する処理部である。具体的には、各種操作時間として、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業単独操作時間Tt’を演算し、最大加速度として、作業単独操作時のXYZ方向の各評価加速度の最大値の最大値を演算する。第2設定周期を1sとしたのは、操作時間の計測の最小値を1sに設定した場合の例であり、第2設定周期は適宜変更可能である。
・10s定期処理装置(第3定期処理装置)57q
10s定期処理装置57qは、セッション(本例では電源入り時間T0)中の作業判定、各種作業時間の計測(積算)及びデータ送信を第3設定周期(>第2設定周期、本例では10秒周期)で実行する処理部である。本実施形態では、この処理で無作業時間TI、走行作業時間TT、掘削作業時間TD、及びその他作業時間TEが演算される例を説明する。第3設定周期を10sとしたのは、掘削積込や放土のサイクルタイムが10s−30s程度である中型又は大型の油圧ショベルを対象とした場合の例であり、地山の掘削をしたかどうか(機体に大きな負荷がかかる作業をしたかどうか)を判定するための時間間隔として10sが適当であるためである。第3設定周期は、油圧ショベル1の機体の大きさによって適宜変更可能である。
2.サーバ60’
サーバ60’は、図5に示したサーバ60とハード的には基本的に同様の構成で足り、演算処理装置63にはレポート作成装置63eが備わっている。図5の稼働情報記録装置と同様、作業時間演算装置57hや作業判定装置57i等は図37に示したようにサーバ60’の演算処理装置63に備わっていても良い(作業時間演算装置63b、作業判定装置63c)。また、図45で後述する処理を実行するプログラムが記憶装置62に格納されていて、そのプログラムに従って演算処理装置63によって図45に例示したレポート作成処理が実行されるようになっている。その他の点においてサーバ60,60’は同様の構成である。
3.稼働状態データ取得手順
(1)概要
図38は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。同図の手順は車載マイコン50’の演算処理装置57’により実行される手順である。
図38の手順は、記憶装置54に記憶されたプログラムに従って演算処理装置57’によって実行され、電源信号SpがOFF(=0)からON(=1)に切り換わった際に開始されてまずステップS401,S402が実行される。その後、ステップS403−S406が第1設定周期(0.1s周期)で、ステップS407が第2設定周期(1s周期)で、ステップS408が第3設定周期(10s周期)で繰り返し実行され、最後に電源信号SpがON(=1)からOFF(=0)に切り換わるとステップS409を経てステップS410,S411が実行されて終了される。
・スタート
運転者が電源供給切換器40pをONにすると油圧ショベル1の本体の電気回路と共に車載マイコン50の電源が入る。このようにして入力インタフェイス51に入力される電源信号SpがONになると、車載マイコン50は、記憶装置54のプログラムに従って演算処理装置57’により図38の手順を開始する。
・ステップS401,S402
続くステップS401,S402は、例えば第1実施形態におけるステップS101(図6)に相当する処理である。ステップS401では、演算処理装置57’はRTC52から現在時刻情報を取得して作業開始時の時刻データとして記憶装置54に出力し保存すると共に、通信装置56を介してサーバ60’に送信する。ステップS402では、後の演算処理に用いる各種データを次のように初期化(リセット)する。
Fc=C1=C2=C3=0
αx’=αy’=αz’=0
Ax’=Ay’=Az’=0
Af’=0
T0=T1=Ti=Tt=Tf=TD=TE=0
ΣTI=ΣTT=ΣTD=ΣTE=0
各種データについてはそれぞれ適時に説明する。ステップS401,S402の手順は逆であっても良い。
・ステップS403
ステップS403では、演算処理装置57’は入力インタフェイス51を介して現在の各種データを読み込む。ここで読み込まれるデータは以下の通りである。 現在時刻
原動機稼働信号Se
走行操作信号St
作業操作信号Sf
旋回操作信号Ss
X方向加速度信号αx
Y方向加速度信号αy
Z方向加速度信号αz
演算処理装置57’は、これら読み込んだ信号を記憶装置54に一時的に保存する。
・ステップS404
続くステップS404では、演算処理装置57’は、設定期間(本例では1s)分の加速度データαx,αy,αzを格納する。加速度データの格納態様は図39に概念を例示したようになっており、演算処理装置57’は、格納メモリのアドレスm1−m10にそれぞれ0.1s周期(第1設定周期)で加速度データαx,αy,αzを順次一時格納していく。例えば、0.1s毎に新しい加速度データが読み込まれると、新たな加速度データがアドレスm1に一時格納されて最新の加速度データ(αx1,αy1,αz1)となる。これに伴い、それまでアドレスm1−m9に格納されていた各加速度データが繰り下がってアドレスm2−m10に格納され、アドレスm10に格納されていた9サイクル前の加速度データ(αx10,αy10,αz10)は図39の格納メモリから消去される。例えば、同図でアドレスm9に格納されている8サイクル前の加速度データ(αx9,αy9,αz9)は、新たな加速度データの格納に伴ってアドレスm10に移動し、加速度データ(αx10,αy10,αz10)となる。このステップS404の処理が繰り返し実行されると、0.1s毎にその時点以前の10個の各加速度データが格納される。
・ステップS405
ステップS405はキャリブレーション処理装置57nにより実行される加速度センサ59のキャリブレーション処理である。手順の詳細は図40を用いて後述する。
・ステップS406
ステップS406は0.1s定期処理装置57oにより実行される0.1s定期処理である。手順の詳細は図41を用いて後述する。
・ステップS407
ステップS407は1s定期処理装置57pにより実行される1s定期処理である。手順の詳細は図42を用いて後述する。
・ステップS408
ステップS408は10s定期処理装置57qにより実行される10s定期処理である。手順の詳細は図43を用いて後述する。
・ステップS409−END
続くステップS409−S411は、例えば第1実施形態におけるステップS115(図6)、ステップS118(図8)、ステップS119(図8)に相当する処理である。
つまりステップS409では、演算処理装置57’は、電源が入っていればステップS403に手順を戻し、電源が入っている限りステップS403−S409の処理を繰り返し実行する。電源が切れていれば、演算処理装置57’はS410に手順を移す。ステップS410に手順を移すと、演算処理装置57’は、作業終了を示すデータと共にステップS405−S408で後述するように取得した下記のデータをサーバ60’に送信する。
作業終了時刻
電源入り時間T0
原動機稼働時間T1
合計無作業時間ΣTI
合計走行作業時間ΣTT
合計掘削作業時間ΣTD
合計その他作業時間ΣTE
最大加速度AfM
その後、演算処理装置57’は、ステップS411で電源装置53により車載マイコン50の電源を切断して図38の手順を終了する。
次にステップS405のキャリブレーション処理、ステップS406の0.1s定期処理、ステップS407の1s定期処理、ステップS408の10s定期処理について説明していく。
(2)キャリブレーション処理
図40は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置によるキャリブレーション処理の実行手順を表すフローチャートである。同図の手順は演算処理装置57’のキャリブレーション処理装置57nにより実行される手順である。
図38のステップS404の手順を完了すると、演算処理装置57’は、ステップS405に手順を移し、キャリブレーション処理装置57nによって図40の手順に従って加速度センサ59のキャリブレーション処理(ステップS405a−S405i)を実行する。
・ステップS405a
ステップS405aで、キャリブレーション処理装置57nは、加速度の変化量(絶対値)を計算する。具体的には、今回の加速度αx,αy,αzの値と1サイクル前(0.1s前)の値αx’,αy’,αz’とを用いて次のように変化量δx,δy,δzが計算される。
δx=ABS(αx−αx’)
δy=ABS(αy−αy’)
δz=ABS(αz−αz’)
ABSは絶対値を求める関数である。
・ステップS405b
ステップS405bに手順を移すと、キャリブレーション処理装置57nは、無操作状態(St=Sf=Ss=0)で、なおかつ変化量δx,δy,δzが全て予め定めておいた闘値δ0以下(δx≦δ0,δy≦δ0,δz≦δ0)であるかどうかを判定する。閾値はδx,δy,δzに対して個々に設定した値を用いても良い。すなわち、ステップS405bの条件は加速度計59のキャリブレーション処理に適した条件下にあるか否かを判定するための条件である。ステップS405bのような条件としたのは、加速度の変化量が設定値を超える状態では機体振動が一定以下とはいえず、また、操作中であって機体が大きく振動していても加速度の変化量は必ずしも設定を超えるとは限らないためである。ステップS405bの条件を満たす場合にはステップS405cに、条件を満たさない場合にはステップS405hに、キャリブレーション処理装置57nは手順を移す。
・ステップS405c
ステップS405bに手順を移すと、キャリブレーション処理装置57nは、キャリブレーション処理の実行中か否かを判定する。キャリブレーション処理が実行中か否かはフラグFcで示され(実行中:Fc=1/非実行中:Fc=0)、キャリブレーション処理装置57nは、Fc=1であればステップS405d以降の基準加速度の計算処理に手順を移し、Fc=0であればステップS405iに手順を移す。
・ステップS405d,S405e
ステップS405dに手順を移すと、キャリブレーション処理装置57nは、カウンタC1をカウントアップする(C1=C1+1)。カウンタC1は、基準加速度の計測に要する設定の所要計測期間(本例では1s)をカウントするためのものである。続くステップS405eで、キャリブレーション処理装置57nは、カウンタC1による計測時間が所要計測期間(=1s)に達したか否か(C1=10か否か)を判定し、所要計測期間に達していれば(C1=10であれば)ステップS405fに手順を移し、達していなければ(C1≦9であれば)図40の手順を終えて図40の手順を終えた旨の信号を出力する。既に図38に示したように、図40の手順(ステップS405の手順)が終わると、電源が切られない限りはステップS406−S409を経てステップS403(図38)に手順が戻るため、図40のステップS405b,S405cの条件を満足する状態が継続することでC1が0.1s周期でカウントアップされる。
・ステップS405h,S405i
ステップS405b−S405dのフローから分かる通り、所要計測期間は、加速度の変化量が設定以下でかつ無操作の状態(ステップS405bの条件を満足する状態)の継続時間であるため、キャリブレーション中であることがカウントアップの条件となる。従って、先のステップS405bの条件が満たされない場合、キャリブレーション処理が実行される条件ではないため、キャリブレーション処理装置57nはステップS405bからステップS405hに手順を移し、フラグFcを0に設定すると共に、カウンタC1をリセットする(Fc=C1=0)。また、ステップS405bの条件が満たされても、キャリブレーション中でなければC1をカウントアップされないため、キャリブレーション処理装置57nはステップS405cからステップS405iに手順を移し、フラグFcを1に設定すると共に、カウンタC1のカウントを1にする(Fc=C1=1)。このステップS405iは、キャリブレーション処理の実行を開始する最初のサイクルでのみ実行される。ステップS405h又はステップS405iの処理を実行したら、キャリブレーション処理装置57nは図40の手順を終えて図40の手順を終えた旨の信号を出力する。
・ステップS405f
カウンタC1の計測時間が所要計測期間に達すると、キャリブレーション処理装置57nは、ステップS405eからステップS405fに手順を移し、図39で説明した格納メモリから各方向の加速度データを読み出して基準加速度αx0,αy0,αz0を次のように計算する。
αx0=(αx1+αx2+…+αx10)/10
αy0=(αy1+αy2+…+αy10)/10
αz0=(αz1+αz2+…+αz10)/10
本実施形態では、XYZ各方向の加速度データについて、所要計測期間中の平均値を基準加速度として計算している。
・ステップS405g
キャリブレーション処理を終えてステップS405gに手順を移すと、キャリブレーション処理装置57nは、キャリブレーション処理のためのフラグFcとカウンタC1をリセットし(Fc=C1=0)、図40の手順を終えて図40の手順を終えた旨の信号を出力する。ステップS405bの条件を満足する状態が所要計測期間の倍以上継続する場合、又はステップS405bの条件が満たされなくなった後再び所要計測期間以上満足する場面が訪れた場合、基準加速度はカウンタC1の計測時間が所要計測期間に到達する度に計算し直され、常時最新の値に更新されていく。また、電源を入れてからエンジンをかけて操作装置を操作するまでに1s以上は経過するので、通常は機体を動作させるまでに基準加速度は取得又は更新される。
(3)0.1s定期処理(第1定期処理)
図40の手順を終えた旨の信号をキャリブレーション処理装置57nから受信すると、演算処理装置57’は、ステップS405(図38)からステップS406(図38)に手順を移し、0.1s定期処理装置57oに指令して0.1s定期処理(第1定期処理)を実行する。0.1s定期処理では基準加速度を基準にして0.1s毎に入力される加速度データを補正(ゼロ補正)した補正加速度(絶対値)を計算し、補正加速度の最大値を選択してステップS407の1s定期処理(第2定期処理)に移る。
図41は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による0.1s定期処理(第1定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。
・ステップS406a
図41の手順を開始すると、0.1s定期処理装置57oは、まずステップS406aでカウンタC2をカウントアップする(C2=C2+1)。カウンタC2は第2設定周期をカウントするものであり、第1設定周期(本例では0.1s)毎に1ずつカウントアップされ、C2=10(=1s)となるまで時間をカウントする。
・ステップS406b
続くステップS406bでは、0.1s定期処理装置57oは、次のようにXYZ各方向について検出加速度と基準加速度との差分をとって補正加速度Ax,Ay,Azを計算する。
Ax=ABS(αx−αx0)
Ay=ABS(αy−αy0)
Az=ABS(αz−αz0)
補正加速度は差分の大きさ(絶対値)である。
・ステップS406c
続くステップS406cでは、0.1s定期処理装置57oは、現在の補正加速度Ax,Ay,Azとその前回値(1サイクル前の値)Ax’,Ay’,Az’とを比較し、それぞれ次のように大きい値を最大加速度AxM,AyM,AzMとする演算を行う。
AxM=max(Ax,Ax’)
AyM=max(Ay,Ay’)
AzM=max(Az,Az’)
例えば電源を入れて初めてステップS406cの処理が実行される場合、ステップS402(図38)でAx’=Ay’=Az’=0に初期化されているため、AxM,AyM,AzMとしてそれぞれ今回値Ax,Ay,Azが選択される。
・ステップS406d
続くステップS406dでは、0.1s定期処理装置57oは、現在の各最大加速度を次回の演算に用いる前回値Ax’,Ay’,Az’に設定して記憶装置54に保存し(Ax’=AxM、Ay’=AyM、Az’=AzM)、図41の手順を終了すると共にその旨を示す信号を出力する。後の1s定期処理の始め(具体的には図42のステップS407a)でカウンタC2=10に到達するまで図41の処理は0.1s周期で繰り返し実行されるので、図41の手順によってC2=10に至るまでの間の(つまり1s毎に)最大加速度AxM,AyM,AzMがステップS406cで得られる。
(4)1s定期処理(第2定期処理)
図41の手順を終えた旨の信号を0.1s定期処理装置57oから受信すると、演算処理装置57’は、ステップS406(図38)からステップS407(図38)に手順を移し、1s定期処理装置57pに指令して1s定期処理(第2定期処理)を実行する。1s定期処理では1s毎に操作時間と評価加速度の最大値を計算し、ステップS408の10s定期処理(第3定期処理)に移る。
図42は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による1s定期処理(第2定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。
・ステップ407a
図42の手順を開始すると、1s定期処理装置57pは、まずステップS407aでカウンタC2による計測時間が1s(第2設定周期)に達したか否か(C2=10か否か)を判定し、達していれば(C2=10であれば)ステップS407bに手順を移し、達していなければ(C2≦9であれば)図42の手順を終え、図42の手順を終えた旨の信号を出力する。
・ステップS407b
C2=10に達した場合、1s定期処理装置57pはステップS407aからステップS407bに手順を移し、C2及びAx’,Ay’,Az’をリセットする(C2=Ax’=Ay’=Az’=0)。また、1s定期処理装置57pはカウンタC3をカウントアップする(C3=C3+1)。カウンタC3は第3設定周期をカウントするものであり、第2設定周期(本例では1s)毎に1ずつカウントアップされ、C3=10(=10s)となるまで時間をカウントする。また、1s定期処理装置57pは電源入り時間演算部57aに信号を出力し、電源入り時間演算部57aにより電源入り時間T0を積算する(T0=T0+1)。ステップS407bは第1実施形態のステップS102(図6)に相当する処理である。
・ステップS407c−S407j
続くステップS407c−S407jは、第1実施形態の図6におけるステップS103−S108,S111,S112とそれぞれ同様の処理である。すなわち、1s定期処理装置57pは、原動機稼働中であることを確認し(ステップS407c)、原動機稼働時間演算部57bに信号を出力し、原動機稼働時間演算部57bにより原動機稼働時間T1を積算する(ステップS407d)。その後、1s定期処理装置57pは、操作信号判定部57cに信号を出力し、操作信号判定部57cによって操作信号を判定し(ステップS407e,S407g,S407i)、無操作時間演算装置57d、走行単独操作演算時間57e及び作業単独操作演算時間57fに信号を出力して各操作時間を演算する(ステップS407f,S407h,S407j)。但し、次の4点で第1実施形態と異なる。
第1に、ステップS407cでは、ステップS103と異なり、原動機稼働中でない場合に図42の手順は終了し、1s定期処理装置57pによりその旨の信号が出力される。
第2に、ステップS104と異なり、ステップS407dの積算項目に燃料消費量が含まれない。
第3に、ステップS107と異なり、ステップS407gで走行単独操作でない場合の後続の処理がステップS407iである(作業旋回操作は判定されない)。
4に、ステップS407iでは、ステップS111と異なり、操作が作業単独操作でない場合に図42の手順は終了し、1s定期処理装置57pによりその旨の信号が出力される。
ステップS407iの手順を終えたら、1s定期処理装置57pは、ステップS407kに手順を移す。
・ステップS407k
ステップS407kに手順を移すと、1s定期処理装置57pは、作業単独操作と判定された今回の1s周期におけるXYZ方向の各最大加速度(AxM,AyM、AzM)の中から次のように最大値を選択して評価加速度Afを計算する。
Af=max(AxM,AyM、AzM)
評価加速度Afは、作業単独操作時の1s周期毎の最大加速度(AxM,AyM、AzM)の最大成分(AxM,AyM又はAzM)である。
・ステップS407l,ステップS407m
ステップS407kに手順を移すと、1s定期処理装置57pは、次のように今回の評価加速度Afをそれ以前に最後に計算した前回評価加速度Af’と比較し、値の大きい方を選択して最大評価加速度AfMを計算し記憶装置54に保存する。
AfM=max(Af,Af’)
続くステップS407mでは、1s定期処理装置57pは、今回計算した最大評価加速度AfMを次回のステップS407iの処理で用いる前回値として設定して記憶装置54に保存し(Af’=AfM)、図42の手順を終えて図42の手順を終えた旨の信号を出力する。
後の10s定期処理の始め(具体的には図43のステップS408a)でカウンタC3=10に到達するまで図42の処理は1s周期で繰り返し実行されるので、図42の手順によってC3=10に至るまでの間の(つまり10s毎に)最大評価加速度AfMがステップS407lで得られる。C3=10となるまでに作業単独操作がない場合、その期間については評価加速度Af、最大評価加速度AfMとも計算されない。
(5)10s定期処理(第3定期処理)
図42の手順を終えた旨の信号を1s定期処理装置57pから受信すると、演算処理装置57’は、ステップS407(図38)からステップS408(図38)に手順を移し、10s定期処理装置57qに指令して10s定期処理(第3定期処理)を実行する。10s定期処理では10s毎に作業判定と稼働データの送信を実行し、ステップS409の手順に移る。
図43は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置による10s定期処理(第3定期処理)の実行手順を表すフローチャートである。
・ステップ408a
図43の手順を開始すると、10s定期処理装置57qは、まずステップS408aでカウンタC3による計測時間が第3設定周期(=10s)に達したか否か(C3=10か否か)を判定し、達していれば(C3=10であれば)ステップS408bに手順を移し、達していなければ(C3≦9であれば)図43の手順を終え、図43の手順を終えた旨の信号を出力する。
・ステップS408b
ステップS408bに手順を移すと、10s定期処理装置57qは、直近10s間の確定したデータを記憶装置54に保存すると共にサーバ60’に送信する。送信データは以下の通りである。
現在時刻
電源入り時間T0
原動機稼働時間T1
無操作時間Ti
走行単独操作時間Tt’
作業単独操作時間Tf’
最大評価加速度AfM
ここで送信するデータは本実施形態では特に使用しないが、後述するように機体状態を推し量るための情報等として使用する場合がある(データの例を図44に示す)。
・ステップS408c
続くステップS408cでは、10s定期処理装置57qは、最大評価加速度AfMが予め設定してある閾値Af0より大きいが否かを判定し、閾値Af0より大きければステップS408dに手順を移し、閾値Af0以下であればステップS408eに手順を移す。最大評価加速度に関する閥値Af0は、例えば油圧ショベル1で固い地山を掘削した時に検出された加速度データを基に、例えばルーズな土砂を対象にした作業や均し作業、法面作業等の軽作業ではこれを超える最大評価加速度が計測されない値に設定してある。このとき、ステップS408cの判定結果を基に、作業判定装置57iにより、AfM>Af0であれば作業単独操作時間Tf’の作業は掘削作業、AfM≦Af0であれば作業単独操作時間Tf’の作業はその他作業と判定される。
・ステップS408d,S408e
ステップS408dに手順を移すと、10s定期処理装置57qは、作業判定装置57iによる判定を基に、次のように空作時間TD及びその他作業時間TEを計算する。その他作業とは上述した軽作業を意味する。
TD=Tf’
TE=T1−Ti−Tt’−Tf’
この例では、原動機稼働時間T1=10sのうち作業単独操作時間Tf’を掘削作業時間TDとみなし、原動機稼働時間T1から無操作時間Tiと走行単独操作時間Tt’と作業単独操作時間Tf’を差し引いた時間をその他作業時間TEとみなしている。
一方、ステップS408eに手順を移すと、10s定期処理装置57qは、作業判定装置57iによる判定を基に、次のように掘削時間TD及びその他作業時間TEを計算する。
TD=0
TE=T1−Ti−Tt’
この例では、T1−Ti−Tt’を全てその他作業時間TEとみなし、掘削作業時間TDを0としている。
ステップS408d,S408eにおける作業時間の計算は、エンジン稼働中でも無操作なら無作業であり、走行単独操作による移動も油圧ショベルの本来作業ではないとして、原動機稼働時間T1から無操作時間Tiと走行単独操作時間Tt’を差し引いた時間を実作業時間として扱い、実作業時間中の作業を掘削作業かその他作業かに分類する思想のものである。
・ステップS408f
ステップS408d又はS408eの手順を終えると、10s定期処理装置57qは、ステップS408fに手順を移し、作業時間の合計値を次のように計算(積算)する。
合計無作業時間ΣTI=ΣTI+TI
合計走行作業時間ΣTT=ΣTT+TT
合計掘削作業時間ΣTD=ΣTD+TD
合計その他作業時間ΣTE=ΣTE+TE
無作業時間TIは無操作時間Tiに等しく、走行作業時間TTは走行単独操作時間Tt’に等しい。このステップによりセッション(本例では電源入り時間T0)中の各作業時間が10s周期で積算されて合計値が計算される。
・ステップS408g
続くステップS408gでは、10s定期処理装置57qは、今回の10s間で確定した作業時間を記憶装置54に保存すると共にサーバ60’に送信する。ここで送信されるデータは次の通りである。
現在時刻
電源入り時間T0
原動機稼働時間T1
無作業時間TI
走行作業時間TT
掘削作業時間TD
その他作業時間TE
最大評価加速度AfM
本実施形態では電源入り時間T0をセッションとした例であって作業時間の送信はステップS410(図38)の処理で足りるが、サーバ60’側で30分毎とか1時間毎、ある時間範囲のレポートを作成する場合を考慮すればステップS408gの処理は有用である。
・ステップS408h,S408i
続くステップS408hでは、10s定期処理装置57qは、次の10s分の作業時間の計測のために、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業単独操作時間Tf’、評価加速度の前回値Af’をリセットする(Ti=Tt’=Tf’=Af’=0)。更に、10s定期処理装置57qはステップS408iに手順を移し、カウンタC3をリセットし(C3=0)、図43の手順を終えて図43の手順を終えた旨の信号を出力する。すると、演算処理装置57’は、前述したステップS409に手順を移す。
4.レポート作成処理
次にサーバ60’側の処理について説明する。図37に示したサーバ60’の記憶装置62には、データを一時保存する領域と演算処理装置63でレポート作成処理を実行するためのプログラムの格納領域とがある。サーバ60’は、車載マイコン50’から送信されたデータを通信装置65で受信すると、入出力装置61を介して記憶装置62に保存すると共に、記憶装置62内に格納されているプログラムに従って演算処理装置63によってレポートを作成する。
図45は本発明の第6実施形態に係る稼働状態記録装置によるレポート作成処理手順を表すフローチャートである。同図の手順は、車載マイコン50’からデータを受信するとサーバ60’の演算処理装置63によって記憶装置62のプログラムに従って実行される処理である。
・ステップ451
本実施形態においては車載マイコン50’からサーバ60’に送信されるデータでレポート作成に不可欠なデータは、ステップS401(図38)の処理で送信される作業開始データ(作業開始時刻)、及びステップS410(図38)の処理で送信される作業終了データ(作業終了時刻、各種データ)である。
そこで、サーバ60’の演算処理装置63は、まずステップS451で受信データが作業開始データか否かを判定し、作業開始データであればステップS452に、作業開始データでなければステップS453に手順を移す。
・ステップS452
ステップS452に手順を移すと、演算処理装置63は、ステップS401の処理で車載マイコン50’から受信したデータ(作業開始時刻)を記憶装置62に保存して図45の手順を終え(ステップS405)、次のデータ受信まで待機状態になる。
・ステップS453,S454
一方、ステップS453に手順を移すと、演算処理装置63は、ステップS410の処理で車載マイコン50’から受信したデータ(作業終了時刻等)を記憶装置62に保存する。続くステップS454では、演算処理装置63は、レポート作成装置63eに信号を出力し、記憶装置62からデータを読み出してレポート作成装置63eによってレポートを作成する。レポート項目は例えば次の通りである。
作業開始時刻
作業終了時刻
電源入り経過時間T0
原動機稼働時間T1
合計無作業時間ΣTI
合計走行作業時間ΣTT
合計掘削作業時間ΣTD
合計その他作業時間ΣTE
作成したレポートは、演算処理装置63から入出力装置61を介して適宜出力装置66に出力される。
図46は本実施形態のレポートの例を表す図である。図示したように、作業の開始から終了までの各作業時間がまとめられているので、別途把握している作業量との関係から油圧ショベル1の作業内容が妥当か、例えば作業者の熟練度や地山の強度、発破の具合、大きい機種に変えるべきか、より小さい機種で足りるか等の判断に役立つ。
5.効果
先に説明した各実施形態と同様、本実施形態においても、無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業単独操作時間Tf’を基にして作業内容を自動判別することにより、現実の作業内容と照らして妥当性の高い判定をすることができる。
また、作業時間のうち機体にダメージを与えるのは主に掘削作業である。そもそも油圧ショベルは掘削積込作業を主体とする機械であり、作業量(掘削土量)はダンプ等の運搬機械で把握することも可能である。そこで、本願発明者等は掘削作業時間の把握に主眼を置いた。掘削作業ではバケット33を地山に食い込ませる際に作業装置30にかかる負荷に伴って機体が大きく揺れる。本実施形態ではこの機体の揺れを加速度センサ59で検出し、掘削作業の判別に用いることとした。このように作業判定の基礎に加速度を加えたことにより、油圧ショベル1の稼働時間のうち機体に大きな負荷がかかる掘削作業時間を精度良く検出することができ、これにより機体のメンテナンス計画がより立て易くなる。
〔第7実施形態〕
本実施形態は第6実施形態とほぼ同様の実施形態であるが、10s定期処理における掘削作業時間TDの計算方法が第6実施形態と異なる。
図47は本発明の第7実施形態に係る稼働状態記録装置による10s定期処理(第3定期処理)の実行手順を表すフローチャートであり、第6実施形態の図43に対応する図である。
同図に示したように、図47の手順は第6実施形態の図43の手順と大部分が同じであり、技術的効果は第6実施形態と同様である。図43の手順と相違するのは、ステップS408dがステップS408d’となった点のみである。具体的には、最大評価加速度AfMが閾値Af0より大きい場合、10s定期処理装置10qは、ステップS408dにおいて掘削作業時間TDとその他作業時間TEを次のように計算する。
TD=T1−Ti−Tt’
TE=0
すなわち、原動機稼働時間T0から無操作時間Tiと走行単独操作時間Tt’を差し引いた値が全て掘削作業時間TDとみなされる。
一般的に掘削動作には掘削した土砂を掬い上げて旋回し放士する動作を伴うところ、第6実施形態では、最大評価加速度AfMが閾値Afより大きい場合に作業単独操作時間Tf’(≒掘削動作)のみを掘削作業時間TDとしたため、旋回を伴う積込動作時間が掘削作業時間TDとしてカウントされない。そのため、運転者や管理者にレポートにおける掘削作業時間TDが少ない印象を与える場合がある。それに対し、本実施形態では、ステップS407i(図42)の判定を満たさなかった作業(積込作業等)の時間が作業単独操作時間Tf’以外に掘削作業時間TDに加わる。そのため第6実施形態に比べてレポートされる掘削作業時間TDは傾向として長くなり、運転者や管理者の感覚と近い値となる。
本実施形態によるレポートの例を図48に示す。図48のレポートは図46で説明した第6実施形態によるレポートと同一作業に基づいて作成されたものであるが、掘削作業時間ΣTDとその他作業時間ΣTEの値が異なっていて、本実施形態の方が掘削作業時間TDの値が大きくなっていることが分かる。掘削作業で高負荷がかかる累積時間をメンテナンス指標として重視するなら第6実施形態が好ましい場合もあり、機体の揺れは運転者の疲労に繋がるので掘削作業時間TDを労働管理指標として重視するなら本実施形態が好ましい場合もある。本実施形態と第6実施形態は目的に応じて選択することができる。
〔第8実施形態〕
本実施形態はキャリブレーション処理を省略した点を除いて第6実施形態と同様である。第6及び第7実施形態では掘削作業の判定のために最大評価加速度AfMを計算し、10s定期処理のステップS408b,S408g(図43)で最大評価加速度AfMをサーバ60’に送信することとした。最大評価加速度AfMはキャリブレーション処理の他に機体にかかる負荷(言い換えればダメージ)の大きさの目安として役立ち得るため、サーバ60’に送信し保存することは機体の状態を推し量る上で有益である。しかし、稼働状態データのレポートを目的とする限りでは複雑なキャリブレーション処理は必ずしも必要ない。前述したように地面の傾斜による重力加速度の影響は最大でも0.2g程度であるので、検出データに対する重力の影響が小さいXY方向加速度αx,αyは基準加速度を用いた補正をせず、Z方向加速度αzについては地面が水平であるとの仮定の下で基準加速度を重力加速度gとし、重力加速度gを差し引いた値をZ方向の補正加速度としても、機体にかかる負荷の大きさを相対的に判定することができる。
図49は本発明の第8実施形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートであり、第6実施形態の図38に対応する図である。図49の手順が第6実施形態の図38の手順と相違する点は、キャリブレーション処理を実行するためのステップS404,S405が省略され、0.1s定期処理(第1定期処理)S406がステップS406’で置換された点のみである。
図50はステップS406’すなわち本発明の第8実施形態に係る稼働状態記録装置による0.1s定期処理(第1定期処理)の実行手順を表すフローチャートであり、第6実施形態の図41に対応する図である。図50の手順が第6実施形態の図41の手順と相違する点は、加速度の補正と絶対値計算に関するステップS406bの処理がステップS406b’で置換された点のみである。ステップS406b’では、0.1s定期処理装置57oは、次のように加速度データを補正して絶対値(大きさ)を求める。
Ax=ABS(αx)
Ay=ABS(αy)
Az=ABS(αz−(−g))
前述したように、Z方向加速度αzは基準加速度を重力加速度として一律に補正し、XY方向加速度については補正を省略している。このような処理であっても第6実施形態のレポート(図46)とほぼ同様のレポートが得られる。本実施形態においても第6実施形態と同様の効果が得られる。
〔その他〕
以上の各実施形態において、電源入り時間T0を通した稼働状態データは、電源が切れる度に車載マイコン50から送信される態様としたが、サーバ60からの要求に応じて車載マイコン50からサーバ60に送信される構成とすることもできる。また、RTC52と電源装置53の機能によって特定の時刻(例えば午前0時)に自動的に車載マイコン50の電源が入ってサーバ60に送信される構成とすることもできる。後者の場合、特定時刻に稼働状態データを受信して1日単位のレポートを作成したい場合に有用である。
また、演算処理装置57,57’による操作信号の判定を毎秒処理とした(操作信号のサンプリング周期を1秒とした)場合を例に挙げて説明したが、サンプリング周期は適宜変更可能である。サンプリング周期を短くした場合には作業判定の基となるデータが増えるので作業内容の判定精度の向上が期待でき、長くしても精度上特に問題なければ作業内容処理システムの処理負担を軽減することができる。更には、サンプリング周期毎に作業内容別の操作時間をカウントアップする計時方法に限らず、例えば操作信号の判定結果から、入力パターンの変化した時刻を取得していき、時刻の差分をとって作業内容別の操作時間を集計する方法も考えられる。
また、図4に示したように、走行装置11、旋回体20及び作業装置30の動作を指示する各操作信号として、3種の操作信号St,Ss,Sfを車載マイコン50に入力する構成を例示したが、このようにまとめず、左走行装置の前進を指示する信号、右旋回を指示する信号、ブーム上げ動作を指示する信号、バケットクラウドを指示する信号・・・等の個々の信号を直接車載マイコン50に入力し、車載マイコン50側で走行操作信号St、作業操作信号Sf、旋回操作信号Ssのいずれに該当するのかを判断する構成とすることもできる。
また、稼働状態データ取得手順からレポート作成手順を含めた一連の作業判定手順を車載マイコン50とサーバ60とで分担して実行する場合を例に挙げて説明したが、車載マイコン50とサーバ60の役割分担については適宜変更可能である。また、車載マイコン50かサーバ60のいずれか一方で一連の作業判定手順を実行する構成とすることも考えられる。例えば、油圧ショベル1の運転室22の車載モニタを出力装置66として、一連の手順を車載マイコン50で全て実行し車載モニタにレポートを出力する構成とすることもできる。また、レポート作成の手順までを車載マイコン50で実行し、サーバ60にレポートを送信する構成も考えられる。この場合、サーバ60で多数の油圧ショベル1を管理する場合にはサーバ60の負担を軽減できるメリットがある。反対に、油圧ショベル1では操作信号を処理せず、検出された操作信号を逐次サーバ60に送信し、サーバ60側で操作信号の判定の手順から実行する構成も考えられる。この場合には、車載マイコン50の負担が軽減される。
また、油圧ショベル1を本発明に係る稼働状態記録装置の適用対象として例示したが、ホイールローダやクレーン等の他の建設機械にも本発明は適用し得る。また、クローラ式の建設機械に限らず、ホイール式の建設機械にも本発明は適用可能である。更に、原動機Eとしてエンジン(内燃機関)を用いた建設機械を適用対象として例示したが、電動モータを原動機とする建設機械にも本発明は適用可能である。
更に、パイロット操作式の操作装置を搭載した建設機械を適用対象とし、パイロット圧(油圧信号)を操作信号とする場合を例に挙げて説明したが、例えば電気レバー装置等の電気操作式の操作装置を搭載した建設機械を適用対象とすることもでき、この場合には操作信号は電気信号となる。また、建設機械がリモコン操作される場合もあり、このような場合でも本発明は適用可能である。この場合には無線信号を操作信号として受信することで同様の処理をすることができ、更にはサーバ60に繋げた受信機をリモコンの信号の到達距離の範囲内に設置しておけば、車載マイコン50を経由せずにリモコンの操作信号を直接サーバ60に送信することも可能である。この場合、稼働状態記録装置の構成要素としての車載マイコン50は省略し得る。
最後に、本発明の実施形態は以上に説明した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、前述した各実施形態は発明の理解のために詳述したものであり、説明した全ての構成を必ずしも備える必要はない。また、2又は3以上の実施形態を組み合わせることが可能である。例えば、一実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置換すること、一実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えること等が可能である。例えば第4実施形態に第5実施形態を組み合わせると、例えば“土石のような重量物を対象とした掘削作業(作業単独操作が主の作業)であって15回の放土を行った”ことが見てとれるセッションであれば、例えば“掘削しながら土石をダンプに積み込む作業をしていた”と見当をつけることができる。また、“軽い土砂を対象とした積込作業(作業旋回操作が主の作業)であって40回の放土を行った”ことが見てとれるセッションであれば、例えば“土砂の積み替えのような作をしていた”と見当をつけることができる。“レポートでは積込作業と判定されているものの放土回数が3回しかない”ことが見て取れるセッションであれば、“作業旋回操作を主としているが法面整備や地均し等のあまりバケット33に土砂を満載して放土するようなことのない作業をしていた”と見当をつけることができる。この場合、原動機Eは稼働させても重作業は殆どしないことが分かるため、メンテナンス計画の適正化に寄与する。
1 建設機械
11 走行装置
20 旋回体
26L,26R,27L,27R 操作装置
29 圧力検出器
30 作業装置
54 記憶装置
57c 操作信号判定装置
57d 無操作時間演算装置
57e 走行単独操作時間演算装置
57f 作業単独操作時間演算装置
57i 作業判定装置
57j 燃料消費量演算装置
57l 作業旋回操作時間演算装置
57m 保持圧演算装置
57n キャリブレーション処理装置
59 加速度センサ
62 記憶装置
63c 作業判定装置
63e レポート作成装置
66 出力装置
E 原動機
J 合計放土回数
n 放土回数
Ri 無操作時間比率
R1,R1’,R1” 設定値
R2,R2’,R” 設定値
R3,R3’,R3” 設定値
R4,R4’,R4” 設定値
Rf’ 作業単独操作時間比率
Rfs 作業旋回操作時間比率
Rt’ 走行単独操作時間比率
Sf 作業操作信号
Ss 旋回操作信号(操作信号)
St 走行操作信号
T1 原動機稼働時間
T2 操作時間(=T1−Ti)
TD 掘削作業時間
TE その他作業時間
TI 無作業時間
TL 積込作業時間
TT 走行作業時間
PB 圧力検出信号(保持圧)
PB0 設定値
PBa 放土1回当たりの(載荷旋回時の)平均保持圧
αx,αy,αz 加速度
ΔQfs 作業旋回操作時燃料消費率
ΔQA,ΔQB 設定値
ΔQf’ 作業単独操作時燃料消費率

Claims (5)

  1. 原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、
    前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、
    前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、
    前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、
    前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、
    前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、
    前記作業判定装置は、前記無操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を無作業、前記走行単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を走行作業、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間の積算により前記無作業、前記走行作業、前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする稼働状態記録装置。
  2. 原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、
    前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、
    前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、
    前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、
    前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、
    前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、
    前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間としてこの無作業時間を前記無操作時間の積算により演算すると共に、前記走行単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を走行作業、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間を減じた時間の積算により前記走行作業、前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする稼働状態記録装置。
  3. 原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、
    前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、
    前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、
    前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、
    前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間及び前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、
    前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間を記憶する記憶装置とを備え、
    前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間、前記走行単独操作時間を走行作業時間としてこれら無作業時間及び走行作業時間をそれぞれ前記無操作時間、前記走行単独操作時間の積算により演算すると共に、前記作業旋回操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率がその設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減じた時間の積算により前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする稼働状態記録装置。
  4. 原動機、走行装置、前記走行装置上に旋回可能に設けた旋回体、前記旋回体に設けた作業装置、並びにこれら走行装置、旋回体及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、
    前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、
    前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、
    前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号と共に前記旋回体に対する操作信号のみが入力された作業旋回操作時間を演算する作業旋回操作時間演算装置と、
    前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、
    前記操作信号判定装置で判定した各操作時間の燃料消費量を演算する燃料消費量演算装置と、
    前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業旋回操作時間、前記作業単独操作時間及び前記燃料消費量を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、
    前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間と燃料消費量を記憶する記憶装置とを備え、
    前記作業判定装置は、前記無操作時間を無作業時間、前記走行単独操作時間を走行作業時間としてこれら無作業時間及び走行作業時間をそれぞれ前記無操作時間、前記走行単独操作時間の積算により演算すると共に、前記作業旋回操作時間の比率及び燃料消費率が各設定値を超えるセッションの作業を積込作業、前記作業単独操作時間の比率及び燃料消費率が各設定値を超えるセッションの作業を掘削作業、それ以外のセッションの作業をその他作業と順次判定し、該当セッションの原動機稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減じた時間の積算により前記積込作業、前記掘削作業及び前記その他作業の各作業時間を演算することを特徴とする稼働状態記録装置。
  5. 請求項1−のいずれかの稼働状態記録装置において、
    前記作業判定装置の判定結果を基にレポートを作成するレポート作成装置と、
    前記レポート作成装置で作成したレポートを出力する出力装置と
    を備えたことを特徴とする稼働状態記録装置。
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