以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。
この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側からワンタッチコネクタを利用して着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。ここで、ワンタッチコネクタとは、一の装着操作で複数の接点が接続状態となり、一の分離操作で複数の接点が分離状態となる接続コネクタC1〜C4(図3参照)を意味する。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は、その回動角度に応じた強度で動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
ここで、打撃槌は、発射ソレノイドによって駆動されており、打撃槌が機能するまでの発射準備のため、球送りソレノイドが機能している。また、発射ハンドル10には、発射ソレノイドの発射強度を調整可能な強度ボリュームと、遊技者が発射ハンドル10に触れているか否かを検出するタッチセンサと、遊技者が発射停止を指示する発射停止スイッチと、が配置されている。
そして、発射ハンドル10の回転位置を示す発射強度信号と、タッチセンサからのタッチセンサ信号と、停止スイッチ信号は、発射接続基板27を経由して、発射制御基板25に伝送されるよう構成されている(図3参照)。
一方、上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DSが配置されている。
また、表示装置DSの前面に形成される空間には、演出可動体AMU(可動役物)が昇降自在に配置されている。演出可動体AMUは、昇降機構ALVに保持されて昇降される固定部材FIXと、固定部材FIXに支持されて回転する回転部材ROTとで構成されている。
昇降機構ALVの昇降動作や、回転部材ROTの回転動作は、ステッピングモータで構成された演出モータM1〜Mxの回転によって実現される。なお、通常時には、演出可動体AMUは、昇降機構ALVに吊り上げられた状態で待機している。
遊技領域の適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置DSは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DSは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるよう構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。なお、電動式チューリップは、不図示の第1ソレノイドが通電することで開放状態となる。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。また、予告演出の一種として、演出可動体AMUが中央開口HOの位置に降下してくることがある。そして、降下した演出可動体AMUは、時計方向又は反時計方向に回転した後、元の位置に上昇する。
大入賞口16は、前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。開閉板16aは、不図示の第2ソレノイドが通電状態となって開放する。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧と電源異常信号ABN1,ABN2を出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、演出制御基板22に伝送され、演出制御基板22から出力される制御コマンドCMD’は、画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送される。また、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板32を経由して、払出制御基板24に伝送される。
制御コマンドCMD,CMD’,CMD”は、何れも16ビット長であるが、主制御基板21や払出制御基板24が関係する制御コマンドは、8ビット長毎に2回に分けてパラレル送信されている。一方、演出制御基板22から画像制御基板23に伝送される制御コマンドCMD’は、16ビット長をまとめてパラレル伝送されている。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24とインタフェイス基板28に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。
なお、画像インタフェイス基板28と画像制御基板23とは、配線ケーブルを経由することなく、雌雄コネクタで直結されており、画像制御基板23と画像インタフェイス基板28とで画像制御部23を構成している。そして、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。
枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、発射接続基板27と、枠中継基板35と、ランプ駆動基板36とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
ここで、ランプ駆動基板36には、複数のLEDが接続されており、これらのLED群を駆動する駆動データSDATAは、シリアル信号として、演出制御基板22→枠中継基板34→接続コネクタC4→枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36に搭載された複数のLEDドライバに伝送される。
一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23及び画像インタフェイス基板28が、表示装置DSやその他の回路基板と共に固定されている。
図示の通り、電源基板20は、接続コネクタC3を通して、電源中継基板33に接続され、演出制御部22は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から3種類の直流電圧(5V,12V,35V)を受けている。演出制御部22は、主制御部21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受け、ランプ駆動基板29やランプ/モータ駆動基板30に搭載されたLEDドライバやモータドライバに、駆動データSDATA(シリアル信号)を供給している。
ている。
また、電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板32に接続され、主制御基板21は、主基板中継基板32を経由して、3種類の直流電圧DC35V,DC12V,DC5Vと、バックアップ電源BAKと、電源異常信号ABN1とを受けている。
主制御部21には、係員が操作可能な初期化スイッチSWが配置されており、そのON操作を示すRAMクリア信号CLRは、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号である。
払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、3種類の直流電圧DC35V,DC12V,DC5Vと共に直接的に受けている。
また、払出制御基板24には、遊技球の払出を特定する計数スイッチ信号や、ガラス扉6の開閉状態を特定するドア開放信号DORが入力されている。本実施例では、ドア開放信号DORは、ドア開放状態(異常)でHレベル、ドア閉鎖状態(正常)でLレベルとなるよう構成されている。
主制御部21は、主基板中継基板32と接続コネクタC1を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、ガラス扉6の開閉状態を示すドア開放信号DORや、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。
ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板31を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類を駆動している。
ここで、検出スイッチは、主制御部21から配電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。また、図柄始動口15への入賞状態などを示す各検出スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベル又はCMOSレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板31を経由して、複数N個の磁気センサMG1〜MGnに接続されている。各磁気センサMGiは、遊技盤の適所に配置され、各々に設定された判定閾値THiを超える異常レベルの磁気を検出するとONレベル(H)の磁気検出信号MGNiを出力する。
上記の通り、本明細書では、磁気センサMG1〜MGnを総称する場合には、添え字iを使用してMGiと称する。また、判定閾値THiや磁気検出信号MGNiについても同様である。
本実施例では、全ての磁気センサMGiは、その配置位置に応じた最適な判定閾値THiに自動設定されるよう構成されている。本実施例の場合、この自動設定動作は、電源投入直後に実行されるAタイプの磁気センサMGaもあれば、演出モータM1〜Mxが回転する動作時に実行されるBタイプの磁気センサMGbもある。但し、AタイプであるかBタイプであるかに拘わらず、何れの磁気センサMGbも内部構成は全く同じである。
そして、演出モータM1〜Mxに近接するなど、特殊位置に配置されるBタイプの磁気センサMGbは、演出モータM1〜Mxの動作時に検出される周辺磁気に基づいて、最適な判定閾値THbに自己決定される。
これは、特殊位置に配置されたBタイプの磁気センサMGbについて、判定閾値THbを高めに設定しておかないと、演出モータM1〜Mxの動作時に、通常の遊技動作を不正遊技と誤認してしまうおそれがあるからである。
一方、それ以外の通常位置に配置されたAタイプの磁気センサMGaについては、例えば、電源投入後、ガラス扉6が閉じている時に検出される周辺磁気に基づいて、最適な判定閾値THaに自己決定される。なお、Aタイプの磁気センサMGaには、ソレノイドが機能する図柄始動口15や大入賞口16に近接して配置される磁気センサも含まれている。
そのため、これらの磁気センサMGaは、ソレノイド通電時には、電源投入時には検出されない高レベルの周辺磁気を検知することになり、このソレノイド通電状態を異常発生と誤認しない判定閾値THaが必要となる。
しかし、本実施例では、後述する感度抵抗Rsによる個別的な感度調整が可能であり、この感度調整によって判定閾値THaを高めることができるので、電源投入後に判定閾値を自動決定しても何ら弊害は生じない。
一方、感度調整では対処できないような特殊位置の磁気センサMGbについては、磁気高レベルの状態で判定閾値THbを自動決定している。
図4は、以上の動作を実現する磁気センサMGiと、これを制御する主制御部21の回路構成について、遊技盤中継基板31の回路構成と共に図示したものである。
ここでは、演出モータM1〜Mxに近接配置される磁気センサMGbと、図柄始動口15などを含む普通位置に配置される磁気センサMGaについて図示している。なお、磁気センサMGbについて、その内部構成を具体的に図示しているが、全ての磁気センサMG1〜MGnは、図示の回路構成と同じである。
全ての磁気センサMGiは、図4の右上に記載の通り、電源端子Vccと、グランド端子GNDと、制御信号端子CTLと、検出信号端子MGNと、抵抗端子ADJと、を有して構成されている。そして、抵抗端子ADJとグランド端子GNDとの間には、感度抵抗Rsが接続される。なお、実際の感度抵抗Rsは、遊技盤中継基板31に配置される。
磁気センサMGiの電源端子Vccには、遊技盤中継基板31を経由して、主制御部21から電源電圧Vcc(+5V)が供給され、グランド端子GNDは、遊技盤中継基板31と主制御部21の該当端子に接続されている。
検出信号端子MGNは、遊技盤中継基板31を経由して、主制御部21のプルアップ抵抗R16,R17に接続されることで、磁気センサMGiの磁気検出信号MGNを伝送している。N個の磁気センサMGiからの磁気検出信号MGN1〜MGNnは、図示の通り、OR論理などで纏められることなく、全て個別的に主制御部21に伝送されている。
また、制御信号端子CTLには、遊技盤中継基板31に配置されたON/OFF制御トランジスタQ11〜Q12のコレクタ端子を経由して、動作制御信号CTLが供給されている。ここで、動作制御信号CTLは、主制御部21が出力するセンサ制御信号SNか、又は、ドア開放信号DORに対応している。
図4の下部に示す通り、特殊位置に配置されたBタイプの磁気センサMGbには、論理反転されたセンサ制御信号SNが動作制御信号CTLとして供給され、それ以外の普通位置に配置されたAタイプの磁気センサMGaには、論理反転されたドア開放信号DORが、動作制御信号CTLとして供給される。
主制御部21は、払出制御部24から伝送されたドア開放信号DORを、そのまま転送するが、センサ制御信号SNについては、電源リセット信号IORSTと、キャリブレーション信号CALと、ドア開放信号DORと、に基づいて主制御部21において生成される。
この点を具体的に説明すると、先ず、主制御部21には、CPUによる書込み動作が可能なD型フリップフロップDFFが設けられている。このフリップフロップDFFは、クリア端子CLRに供給される電源リセット信号IORSTによってクリアされ、CPUによるキャリブレーション信号CALの書込み動作(以下、CAL書込み動作という)によって、Hレベル(1ビット長)のキャリブレーション信号CALがラッチされるよう構成されている。
そのため、電源投入後は、電源リセット信号IORSTによって、フリップフロップDFFのCAL出力が、CAL=Lとなり、その後のCAL書込み動作でCAL=Hとなる。なお、フリップフロップDFFのクロック端子CLKには、CPUのCAL書込み動作時に、有意レベルのチップセレクト信号CSが供給される。
図示の通り、フリップフロップDFFのCAL出力は、NOTゲートG8を経由して、ORゲートG9に供給される。このORゲートG9には、ドア開放信号DORも供給されており、何れかの入力信号がHレベルであれば、Hレベルのセンサ制御信号SNとして、ON/OFF制御トランジスタQ11をON動作させる。
先に説明した通り、CPUによるCAL書込み動作時までは、NOTゲートG8の出力がHレベルを維持するので、このHレベル維持状態では、ガラス扉6の開閉状態に拘わらず、ON/OFF制御トランジスタQ11がON動作を継続する。
一方、CPUによるCAL書込み動作が実行されると、ガラス扉6が閉鎖状態(ドア開放信号DORがLレベル)であることを条件に、ORゲートG9の出力がLレベルに遷移して、ON/OFF制御トランジスタQ11がON状態からOFF状態に遷移する。
本実施例では、ON/OFF制御トランジスタQ11のON状態は、ガラス扉6の開放状態などの異常時を意味し、ON/OFF制御トランジスタQ11のOFF状態は、正常状態を意味する。そこで、本実施例では、電源リセット後、継続してON状態であったON/OFF制御トランジスタQ11がOFF状態(正常状態)に遷移すると、磁気センサMGbにおいて、判定閾値THbを自己決定するキャリブレーション動作を開始させるようにしている。
なお、CPUによるCAL書込み動作時に、もし、ガラス扉6が開放状態(ドア開放信号DORがHレベル)であれば、ON/OFF制御トランジスタQ11は、引き続きON状態を継続することになり、その後、ガラス扉6が閉鎖状態に移行してから、磁気センサMGbにおいて、上記したキャリブレーション動作が開始される。
ところで、ドア開放信号DORを受けるON/OFF制御トランジスタQ12は、CPUによるCAL書込み動作とは無関係であり、電源投入後、ガラス扉6が閉鎖状態(ドア開放信号DORがLレベル)であるか、或いは、開放状態から閉鎖状態に移行すると、磁気センサMGaにおいて、判定閾値THaを自己決定するキャリブレーション動作が実行される。
以上を踏まえて、磁気センサMGiの内部回路を説明する。磁気センサMGiは、外部磁気を検知して検知信号Eoを出力する磁気検知部DETと、内部クロックΦを計数するカウンタCNTと、カウンタCNTのカウント値をラッチ可能なラッチ回路LTと、ラッチ回路LTとカウンタのOR出力を受けるDAコンバータCVと、DAコンバータCVの比較出力Erを検知信号Eoと比較する第1コンパレータCMP1と、DAコンバータCVの比較出力Erにバイアス電圧Ebを加算する加算回路AMPと、加算回路AMPの出力値(Er+Eb)を検知信号Eoと比較する第2コンパレータCMP2と、第2コンパレータCMP2の出力に基づいてON/OFF動作する出力トランジスタQ10と、を中心に構成されている。
図示の通り、カウンタCNTのクロック端子CKは、ANDゲートG1を経由して内部クロックΦを受けており、ANDゲートG1の他方側の入力端子には、主制御部21から遊技盤中継基板31を経由して伝送される動作制御信号CTLが供給されている。したがって、カウンタCNTは、動作制御信号CTL=Hレベルの場合に限り、内部クロックΦを受けることになる。
また、カウンタCNTのクリア端子CLRは、ANDゲートG2の出力を受けており、ANDゲートG2には、電源リセット信号RSTと、禁止信号Dsとが供給されている。したがって、電源リセット信号RSTと、禁止信号Dsの何れか一方がLレベルであると、カウンタCNTはクリア状態となる。一方、電源リセット信号RST=Hレベル、且つ、禁止信号Ds=Hレベルの場合には、カウンタCNTの計数動作が許容されることになる。
ラッチ回路LTは、カウンタCNTの出力D0〜Dnを受けると共に、電源電圧Vcc=Hレベルの規制信号Egを受けている。そして、ラッチ回路LTのクリア端子CLRには、電源リセット信号RSTが供給されている。また、クロック端子CLKには、第1コンパレータCMP1の出力が供給されている。
そして、第1コンパレータCMP1の出力がHレベルからLレベルに立下ると、この立下りエッジに同期して、ラッチ回路LTは、カウンタCNTの出力D0〜Dnと、Hレベルの規制信号Egを、内部保持して出力端子Qxに出力するよう構成されている。
ここで、出力端子Qxから出力されるHレベルの規制信号Egは、NOTゲートG4を経由することでLレベルの禁止信号Dsとなって、ANDゲートG2とANDゲートG5に供給される。ANDゲートG5に、Lレベルの禁止信号Dsが供給されることで、第1コンパレータCMP1の出力がLレベルに変化した後、第1コンパレータCMP1の出力が更に変化しても、その変化が、ラッチ回路LTに影響を与えることがない。すなわち、第1コンパレータCMP1の出力がLレベルに変化することで、ラッチ回路LTが、第1コンパレータCMP1から切り離されることになる。
Lレベルの禁止信号DsがANDゲートG2供給されることで、第1コンパレータCMP1の出力がLレベルに変化した後は、カウンタCNTがクリア状態となり、その後も、ラッチ回路LTの保持動作に基づき、Lレベルの禁止信号Dsが維持され、クリア状態が永続的に維持されることになる。このように、第1コンパレータCMP1の出力がLレベルに変化した後は、カウンタCNTは、内部クロックΦを受けても計数動作を実行できないことになる。
DAコンバータCVは、ORゲート群G3〜G3を通して、ラッチ回路LTとカウンタCNTのOR出力を受けて、アナログ変換した比較出力Erを出力している。
ここで、カウンタCNTやラッチ回路LTが電源リセットされた後は、ORゲート群G3〜G3の出力が全てLレベルであるので、比較出力Erは、最初はゼロレベルである。また、この時、磁気検知部DETの磁気検知出力である検知信号Eoは、Eo>0であるので、第1コンパレータCMP1の出力は、Hレベルである。なお、ラッチ回路LTが電源リセットされると、ANDゲートG5の制御入力端子はHレベルとなるので、ラッチ回路LTのクロック端子CLKは、ANDゲートG5を経由して、第1コンパレータCMP1の出力を受信可能となる。
最初はゼロレベルであった比較出力Erは、その後、カウンタCNTの計数動作に基づいて、直線的に増加し、検知信号Eoを上回ると、第1コンパレータCMP1の出力は、HレベルからLレベルに変化することになり、ラッチ回路LTのラッチ動作が実現される。
そして、その後は、先に説明した通り、カウンタCNTが計数動作を実行しないので、DAコンバータCVの入力は増加せず、比較出力Erが固定化されることになる。先に説明した通り、ANDゲートG5の制御入力端子に、Lレベルの禁止信号Dsが供給されることで、ラッチ回路LTは、第1コンパレータCMP1から切り離される。
加算回路AMPは、単一電源で動作するOPアンプで構成されており、反転入力端子に接続された2個の抵抗Rと、非反転入力端子に接続された2個の抵抗Rの全ての抵抗値が同一値であることから、加算回路AMPの出力は、比較出力Erと、バイアス電圧Ebの加算値(Er+Eb)となる。
ここで、比較出力Erは、自然状態における磁気センサMGiの周辺磁気に対応し(Er≒Eo)、バイアス電圧Ebは、磁気センサMGiに固有の判定閾値THiを規定するための調整値に対応する。すなわち、Er+Ebの値が、磁気センサMGiにとっての判定閾値THiとなり、第2コンパレータCMP2において周辺磁気と比較される。
ここで、バイアス電圧Ebは、外付けの感度抵抗Rsと、その感度抵抗Rsに供給される定電流値Ioで規定されるよう構成されている(Eb=Rs*Io)。そのため、磁気センサMGiに配置位置などに基づいて、感度抵抗Rsの抵抗値を最適設定することで、磁気センサMGi毎の最適判定閾値THiを決定することができる。例えば、図柄始動口15や大入賞口16に近接して配置される磁気センサMGaのバイアス電圧(判定用調整値)Ebは高めに設定される。
なお、感度抵抗Rsの抵抗値が低いほど、その磁気センサMGiが、外部磁気に敏感に反応することになり、また、磁気検出範囲が広がることになる。
このように、第2コンパレータCMP2では、個々的に最適設定された判定閾値THiが、周辺磁気と比較される。但し、判定閾値THiは、THi=Er+Eb≒正常検知レベルEo+判定用調整値Ebであって、定常状態(正常時)において、検知信号Eoが判定閾値THiを上回ることがないので(THi>Eo)、第2コンパレータCMP2の出力は、Lレベルとなる。
第2コンパレータCMP2の出力は、NANDゲートG6で反転されて出力トランジスタQ10に供給されるので、定常状態(正常時)では、出力トランジスタQ10がON状態となり、磁気検出信号MGNiは、主制御部21においてLレベルとなる。
一方、磁気検知部DETが異常レベルの磁気を検知すると、検知信号Eoが判定閾値THiを上回るので(THi<Eo)、第2コンパレータCMP2の出力が、LレベルからHレベルに遷移する。
第2コンパレータCMP2の出力は、NANDゲートG6で反転されて出力トランジスタQ10に供給されるので、異常検出時には、出力トランジスタQ10がOFF状態となり、磁気検出信号MGNiは、LレベルからHレベルに遷移する。そのため、主制御部21のCPUは、磁気検出信号MGNiの異常遷移に基づいて、適宜な報知動作を開始することになる。
ところで、磁気センサMGiには、動作制御信号CTLを受けて0.5〜1秒程度の遅延動作を実行する遅延回路DLYと、遅延回路DLYの遅延出力CTL’や動作制御信号CTLを受けるANDゲートG7と、ANDゲートG7のゲート出力OPNや第2コンパレータCMP2の出力を受けるNANDゲートG6と、が設けられている。
そして、NANDゲートG6の出力は、出力トランジスタQ10に供給されている。そのため、動作制御信号CTLがLレベルであれば、ANDゲートG7のゲート出力OPNがLレベルになることで、出力トランジスタQ10は、第2コンパレータCMP2の出力レベルに拘わらず、必ず、ON動作することになる(正常判定の動作)。
この構成は、係員が、ガラス扉6を開放した状態では、例え、磁気検知部DETが異常レベルの磁気を検知しても、異常Hレベルの磁気検出信号MGNiを出力しないためである。すなわち、係員がガラス扉6を開放すると、ドア開放信号DORがHレベルに変化するので、遊技盤中継基板31のON/OFF制御トランジスタQ11,Q12がON動作して、動作制御信号CTLをLレベルに変化させ、ANDゲートG7のゲート出力OPNをLレベルにする。
したがって、上記の構成によれば、係員が、仮に、磁気部材を磁気センサMGiに近づけたとしても、異常報知動作が開始されることはなく、遊技客に不信感を与えることはない。
以上、磁気センサMGiと主制御部21との関係を説明したので、図5に基づいて、Bタイプの磁気センサMGbの動作内容を確認する。タイミングT0で電源が投入されると、磁気センサMGbの電源リセット信号RSTは、その後も、タイミングT1まではLレベルを維持する。
そのため、このリセット期間中(T1−T0)に、カウンタCNTと、ラッチ回路LTが確実にリセットされ、カウンタCNTとラッチ回路LTの出力データが、全てLレベルとなる。
このとき、ラッチ回路LTの出力端子QxもLレベルであるので、禁止信号Dsは、Hレベルとなる。そして、電源リセット信号RSTがHレベルに変わるタイミングT1の後は、カウンタCNTのクリア状態は解消され、カウンタCNTが更新可能な状態となる。
一方、主制御部21でも、電源リセット信号IORSTが、所定時間、Lレベルを維持することで、フリップフロップDFFのCAL出力がLレベルとなる。そのため、NOTゲートG8の出力がHレベルとなり、ドア開放信号DORのレベルに拘わらず、センサ制御信号SNがHレベルとなり、ON/OFF制御トランジスタQ11がON動作する。
この主制御部21の動作によって、磁気センサMGbに対する動作制御信号CTLは、Lレベルとなるので、これを受ける磁気センサMGbのANDゲートG1の入力もLレベルとなり、内部クロックΦがカウンタCNTに供給されることはない。
なお、タイミングT1で、カウンタCNTのクリア状態は解消され、カウンタCNTが、更新可能な状態となるが、電源リセット後、直ちに、センサ制御信号SNがHレベルとなり、ON/OFF制御トランジスタQ11がON動作して、動作制御信号CTLがLレベルになるので、カウンタCNTが更新動作を実行することがない。
また、動作制御信号CTLがLレベルであるとき、NANDゲートG6は、Lレベルのゲート出力OPNを受けるので、出力トランジスタQ10は、ON状態を維持し、異常Hレベルの磁気検出信号MGNbが出力されるおそれはない。
その後、タイミングT2で、CPUがCAL書込み動作を実行すると、その時のドア開放信号DORがLレベル(正常レベル)であれば、センサ制御信号SNがLレベルに変化し、動作制御信号CTLがLレベルからHレベルに遷移し、その後は、その正常Hレベルに維持される。
そのため、磁気センサMGbのANDゲートG1の制御入力端子がHレベルとなり、内部クロックΦがカウンタCNTに供給され始める。その結果、カウンタCNTのカウンタ出力が順次増加し、これを受けるDAコンバータCVのアナログ出力Erも順次増加する。
DAコンバータCVのアナログ出力Erは、第1コンパレータCMP1において、その時の磁気検知部DETの検知信号Eoと比較されるが、タイミングT3で、Er>Eoとなると、第1コンパレータCMP1の出力がLレベルに遷移する。
この変化は、ANDゲートG5を経由して、ラッチ回路LTのクロック端子CLKに伝えられるので、その時のカウンタCNTのカウンタ出力が、ラッチ回路LTにラッチされることになる。また、ラッチ回路LTのラッチ動作によって、Hレベルの規制信号EgがNOTゲートG4を経由することでLレベルの禁止信号Dsとなり、ANDゲートG5の制御入力端子や、カウンタCNTのクリア端子CLRをLレベルに変化させる。
そして、ラッチ回路LTのラッチ動作によって、カウンタCNTのクリア状態が維持されることで、カウンタCNTは、動作制御信号CTLのレベル変化に拘わらず、それ以降も、非動作状態を継続する。
先に説明した通り、ラッチ動作時のDAコンバータCVのアナログ出力Erは、加算回路AMPでバイアス加算(Er+Eb)されることで、その磁気センサMGbにおける判定閾値THbとなる(THb=Er+Eb)。以上の動作によって、磁気センサ自らが、判定閾値THbを自動設定するキャリブレーション動作が完了する。
本実施例では、ラッチ回路LTのラッチ動作によって、カウンタCNTの非動作状態が継続されるので、キャリブレーション動作は、電源リセット後一回に限定され、判定閾値THiを異常に高めるような不正な設定動作の可能性を排除している。
なお、キャリブレーション動作中、ガラス扉6の開放操作によって動作制御信号CTLがLレベルに変化した場合には、内部クロックΦのカウンタCNTへの供給が停止されることで、キャリブレーション動作が中断される。そして、その後、動作制御信号CTLが正常Hレベルに復帰すると、キャリブレーション動作が再開されることになる。
また、キャリブレーション動作が完了した後、ガラス扉6の開放操作によって動作制御信号CTLがLレベルに変化すると(図5(d)のタイミングT4)、ANDゲートG7のゲート出力OPNがLレベルとなり、磁気検出動作が回避される。そして、その後、ガラス扉6が閉鎖された後も、所定時間はゲート出力OPNのLレベルが維持されることで、出力トランジスタQ10がON動作を継続し、磁気検出動作が実行されない。これらは、無意味な異常報知動作を回避するための動作であり、先に説明した通りである。
以上、センサ制御信号SNに基づく動作制御信号CTLを受けるBタイプの磁気センサMGbについて説明したので、次に、ドア開放信号DORを動作制御信号CTLとして受けるAタイプの磁気センサMGaについて補足的に説明する。
電源投入後、ガラス扉6が閉鎖状態であって、ドア開放信号DORが正常Lレベルであれば、遊技盤中継基板31のON/OFF制御トランジスタQ12を経由した動作制御信号CTLがHレベルとなるので、図5のタイミングT1の後に、上記したキャリブレーション動作が実行される。
一方、電源投入後、ガラス扉6が開放状態の場合には、その後、開放状態から閉鎖状態に変わったタイミングから上記したキャリブレーション動作が実行される。
なお、キャリブレーション動作後、ガラス扉6の開放操作がされると、ガラス扉6の閉鎖後の所定時間も含め、事実上、磁気検出動作が実行されないことは磁気センサMGbの場合と同じである。
以上、回路動作を中心に説明したので、最後に、図6のフローチャートに基づいて主制御部21の制御動作について説明する。電源投入後、主制御部21のCPUは、割込み禁止状態に設定され、ワンチップマイコン各部が初期設定される(ST1)。
なお、上記のソフトウェア処理とは無関係に、Aタイプの磁気センサMGaは、電源リセット信号IORSTがHレベルに変化するT1タイミング(図5(b))で、主制御部21が正常Lレベルのドア開放信号DORを受けていることを条件に、各々の判定閾値THaが自動的に自己決定されている。
なお、ドア開放信号DORが異常Hレベルである場合には、その後、正常Lレベルのドア開放信号DORを受けたタイミングで、判定閾値THaが自動的に自己決定される。
一方、Bタイプの磁気センサMGbについては、フリップフロップDFFが電源リセットされたことで、ON/OFF制御トランジスタQ11がON動作し、動作制御信号CTLがLレベルとなることで、判定閾値THaの自己決定動作が待機状態となっている。
以上、ハードウェアに基づく初期動作を説明したが、ソフトウェア処理としては、ステップST1に続いて、入力ポートからRAMクリア信号CLRを取得し、そのレベルを記憶する(ST2)。なお、RAMクリア信号CLRは、電源投入時の係員による初期化スイッチSWのON/OFF操作状態を示している。ステップST2の処理が終われば、次に、リセット回路RSTのウォッチドッグタイマにクリアパルスを出力しつつ、所定の待機時間を消費する(ST3,ST4)。この時間消費処理によって、主制御部21からの制御コマンドを受信すべきサブ制御部22,23,24の準備動作が確実に完了する。
続いて、電源基板20から出力されている電源異常信号ABN1を取得し、これが正常レベルに変化するまで、同一の処理を繰返す(ST5〜ST6)。そして、電源異常信号ABN1が正常レベル(H)であると判定されれば、内蔵RAMの書換え動作が許可される(ST7)。
次に、CPUは、演出制御部22に対して、初期動作コマンドを送信する(ST8)。この初期動作コマンドは、演出可動体AMUによる可動演出を正常に実行するための制御コマンドであるが、ステップST3〜ST4の時間消費処理を経ているので、このタイミングでは、演出制御部22の受信準備は確実に完了している。但し、ガラス扉6が閉鎖されていることを条件にステップST8の処理を実行しても良い。それは、ガラス扉6が閉鎖されていないと、CAL書込み動作を実行しても(ST9)、キャリブレーション処理が開始されないためである。
そして、初期化コマンドを受けた演出制御部22では、演出可動体AMUを原点位置に回収する回収動作を実行する。ここで、回収動作は、演出可動体AMUが原点領域に回収されている場合も含め実行され、演出可動体AMUは、一旦、原点領域から離脱した後、原点領域内の所定の原点位置に回収される。以上の回収動作が開始されることで、全ての演出モータM1〜Mnは回転を開始することになる。なお、回収動作に要する時間は、例えば5秒程度である。
そこで、CPUは、所定の待機時間後にCAL書込み動作を実行する(ST9)。CAL書込み動作は、図5のタイミングT2のソフトウェア動作として、先に説明した通りであり、フリップフロップDFFに、1バイト長Hレベルのキャリブレーション信号CALを書き込むことで実現される。なお、フリップフロップDFFは、電源リセットされているので、このT2タイミングに至るまで、フリップフロップDFFの出力CALはLレベルである。
そして、ステップST9の処理で、フリップフロップDFFの出力CALがHレベルに遷移したことで、Bタイプの磁気センサMGbでは、正常Lレベルのドア開放信号DORを受けていることを条件に、キャリブレーション動作が実行され、各々の判定閾値THbが自動的に最適に自己決定される。
なお、ドア開放信号DORが異常Hレベルである場合には、その後、正常Lレベルのドア開放信号DORを受けたタイミングで、判定閾値THaが自動的に自己決定される。但し、ステップST9のタイミング(図5のT2)で、ガラス扉6が開放されていることは事実上なく、また、演出モータM1〜Mnの回収動作には5秒程度を要するので、万一、キャリブレーション動作の開始が多少遅れても、自動設定される判定閾値THaの値に問題はない。
次に、ステップST9のCAL書込み処理に続いて、ウォッチドッグタイマにクリアパルスを送信した上で、払出制御部24から受けている電源投入信号のレベルを判定する(ST10,ST11)。そして、ステップST11の判定によって、払出制御部24が正常に動作していることが確認されたら、ステップST2の処理で先行取得したRAMクリア信号のレベルを判定する(ST12)。
ここで、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、内蔵RAMの全領域をゼロクリアする(ST17)。次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するためのRAMクリアコマンドを、演出制御部22に出力する(ST18)。
一方、RAMクリア信号はOFF状態の場合には、ステップST12の判定に続いて、バックアップフラグBFLの内容が判定される(ST13)。バックアップフラグBFLとは、電断時に正常にバックアップ動作が実行されたことを示すデータである。
そして、BFLが正常値でない場合には、ステップST13からステップST17の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。一方、BFLが正常値であれば、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する(ST14)。
チェックサムの演算結果が、バックアップ保存されている正当値と一致いない場合には、ステップST17の処理に移行させてRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作を初期状態に戻す。一方、ステップST15の判定において、正当判定される場合には所定のバックアップ復帰コマンドをサブ制御部22、24に送信する(ST16)。
このようにしてバックアップ復帰又はRAMクリアに関する一連の処理が終わると、タイマ割込み動作(不図示)を起動する割込み信号を出力するCTC(Counter Timer Circuit )を初期設定する(ST19)。そして、CPUを割込み禁止状態にセットした状態で(ST20)、各種のカウンタついて更新処理を実行し(ST21)、その後、CPUを割込み許可状態に戻してステップST20に戻る。
以上の通り、本実施例では、ハードウェア動作とソフトウェア処理とを組み合わせることで、同一の回路構成の磁気センサを、配置位置に基づいてAタイプとBタイプに区別し、各磁気センサに最適な判定閾値を、配置位置に基づいて最適タイミングで自動決定させている。
そして、主制御部21は、不図示のタイマ割込み処理によって、定時的(例えば2mS毎)に磁気検出信号MGNiのレベルを繰り返し判定することで、異常事態の発生を即座に把握している。
また、本実施例では、磁気センサMG1〜MGnによる判定閾値の決定処理は、タイマ割込みが可能になるステップST19の処理までに全て完了している。すなわち、ステップST9の処理タイミングと、ステップST19の処理タイミングとの時間差は、判定閾値の決定処理に要する時間より十分長く設定されている。そのため、判定閾値の決定処理時に、異常レベルの磁気検出信号MGNiが出力されても、主制御部21は、これを認識しないので何ら問題がない。
また、磁気検出信号MGNiは、異常時にはHレベルであって、且つ、オープンコレクタ状態で磁気センサMGiから主制御部21に伝送されるので、磁気検出信号MGNiを伝送する伝送路が断線した場合は、主制御部21は、磁気異常と判定するフェールセーフ機能を発揮する。
ところで、本実施例の磁気センサMGiは、自動決定された判定閾値THiを超える磁気を検知する一方で、それ以下の磁気には反応しないので、判定閾値THiが異常に高く設定されると、もはや、防犯機能を発揮できないことになる。
そのため、キャリブレーション動作を悪用する違法行為も懸念されるところである。例えば、停電復帰を奇貨として、或いは、不正に電断させた後の電源復帰時を狙って、強力磁石を磁気センサMGiに近づけると、電源リセット後の自動キャリブレーション動作によって、判定閾値THiが異常に高く設定されてしまうことなる。
そこで、かかる点を考慮して、キャリブレーション動作時に異常に高い磁気を検知した場合には、その異常を検出して報知できる構成を採るのが好ましい。
図5(b)は、そのような異常判定機能を追加した磁気センサMGiであり、カウンタCNTの最上位ビットDnを受けるD型フリップフロップDFF’と、D型フリップフロップDFF’のER出力を受けるNOTゲートG10と、NOTゲートG10のERバー出力を受けるANDゲートG11とが、追加的に設けられている。
ここで、カウンタCNTの最上位ビットDnは、キャリブレーション動作時の周辺磁気が正常レベルであれば、ONレベル(例えばHレベル)とはなり得ない数値を生成するビットである。
また、D型フリップフロップDFF’は、D入力端子がHレベル(Vcc)とされ、クロック端子CLKへの入力信号が立上るタイミングで、HレベルのD入力がラッチされるよう構成されている。
そして、D型フリップフロップDFF’のクリア端子CLRに、カウンタCNTと同じタイミングで電源リセットRSTが供給されることで、フリップフロップDFF’のER出力はLレベルとなる。
図示の通り、NOTゲートG10の出力は、内部クロックΦをカウンタCNTに伝えるANDゲートG1の入力端子に供給されている。また、ANDゲートG11は、NOTゲートG10と、NANDゲートG6の出力を受けている。したがって、ANDゲートG11は、NOTゲートG10とNANDゲートG6の出力がHレベルである場合に、出力トランジスタQ10をON動作させ、その結果、磁気検出信号MGNが正常Lレベルとなる。
以上の構成を踏まえて、キャリブレーション動作時の各部の動作を説明する。電源が投入されると、電源リセット信号RSTによって、カウンタCNTの全出力Q0〜Qnと、フリップフロップDFF’のER出力はLレベルとなる。そして、NOTゲートG10の出力がHレベルとなるので、動作制御信号CTLがHレベルであれば、内部クロックΦがカウンタCNTに供給されて、キャリブレーション動作が開始される。
すなわち、カウンタCNTは内部クロックΦに基づいて更新動作を繰り返す。このとき、不正遊技者は、強力磁石を磁気センサMGiに近づけていると仮定する。そのため、カウンタCNTのカウンタ出力がいくら増加しても、カウンタ出力に基づいて生成される比較電圧Erが、検知信号Eoを超えることがない。
そのため、遂には、カウンタCNTの最上位ビットQnが、Hレベルに立上ることになり、この変化に基づいて、フリップフロップDFF’がラッチ動作をして、そのER出力がLレベルからHレベルに変り、NOTゲートG10の出力がLレベルに変る。
その結果、ANDゲートG1の入力がLレベルとなり、カウンタCNTの更新動作が停止される。また、ANDゲートG11の入力がLレベルになることで、出力トランジスタQ10がON動作(正常時動作)することが阻止される。
そして、カウンタCNTの更新動作が停止されることで、カウンタCNTの最上位ビットQnが変化することが阻止され、フリップフロップDFF’のER出力がHレベルに維持されることで、出力トランジスタQ10は、電源遮断時まで、永続的にOFF状態となる。
このように、キャリブレーション異常時には、その後も、出力トランジスタQ10がOFF状態を維持するので、タイマ割込み処理が開始された後(図6のステップST19の後)、主制御部21は、直ちに磁気異常を把握することになり、適宜な異常報知動作が開始されることで、違法遊技者の目論見を成功させることはない。
以上、実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定せず、適宜に変更可能である。特に、磁気センサの内部回路は一例を示したに過ぎず、同等の動作を実現する他の回路構成に代えても良い。また、磁気センサMGiの個数は、何ら限定されず、単一個でもあっても良い。この点は、Aタイプ、Bタイプの個数についても同様であり、複数の磁気センサの全てがAタイプでも良いし、全てがBタイプであっても良い。