JP6326297B2 - 有機デバイス用電極、及びそれを備えた有機デバイス - Google Patents

有機デバイス用電極、及びそれを備えた有機デバイス Download PDF

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Description

本発明は、有機デバイス用電極、及びそれを備えた有機デバイスに関する。
従来の有機デバイス用電極の技術として、例えば非特許文献1及び2に開示された技術が知られている。
非特許文献1及び2に記載された有機デバイス用電極は、ITOからなる層の上に導電性高分子層が成膜された構造を有している。導電性高分子層を構成する材料として、ポリアニリンやPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸))等が挙げられている。このように、有機デバイス用電極をITOからなる層及び導電性高分子層の2層構造とすることによって、有機デバイスの性能を向上させている。
また、有機デバイス用電極には、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属材料からなる金属層を備えた構造が知られている。例えば特許文献1には、置換または未置換のポリアセチレンの少なくとも1つの高分子末端に、金属、金属酸化物または合金の表面と結合可能な有機官能基(末端官能基)を有する置換ポリアセチレン、及びこの置換ポリアセチレンの高分子鎖末端が金属、金属酸化物または合金からなる電極に結合している有機デバイスが開示されている。このような、置換ポリアセチレンの高分子鎖末端と電極との化学結合によって、置換ポリアセチレンからなる層と電極との接着性が向上する。
特開2008−222797号公報(2008年 9月25日公開)
Applied Physics Letters 64(1994)1245 Applied Physics Letters 70(1994)2067
しかしながら、上述のような従来技術は、以下の問題がある。
まず、非特許文献1及び2に記載された技術を金属材料からなる金属層を備えた有機デバイス用電極に適用した場合、有機デバイスの特性が悪くなる。
非特許文献1及び2の技術のように、ITOからなる層の上に導電性高分子層が成膜された構造である場合、有機デバイスのキャリア注入効率が向上し、特性がよくなる。しかし、ITOからなる層の代わりに金属材料からなる金属層を用いた場合、有機デバイスの特性が悪くなる。導電性高分子層は、通常、導電性高分子を溶媒で溶解した溶液をコートすることによって形成される。金属材料からなる金属層に対する、ポリアニリンやPEDOT:PSS等の導電性高分子溶液の濡れ性が悪いため、導電性高分子層は、金属層の表面上で不均一に形成される。また、導電性高分子溶液によって金属層は酸化する、あるいは腐食するため、金属層の導電性が悪くなる。このため、有機デバイスは、特性が向上しない。
また、特許文献1に記載された置換ポリアセチレンの構造を介したキャリア伝導は良好ではない。図14は、特許文献1に記載された従来技術の問題点を説明するための模式図である。
特許文献1に記載された技術において、金属等と置換ポリアセチレンとの間の具体的な化学結合の形成方法は、下記の2通りである。
(i) 金属等と化学結合できる末端官能基を有する置換ポリアセチレンを、金属等と反応させる。
(ii) 金属等と化学結合できる末端官能基を金属等と結合させた後、置換ポリアセチレンと末端官能基とを反応させる。
特許文献1に記載された技術では、A.置換ポリアセチレンまたはB.末端官能基の面内方向(横方向)のサイズが上記(i)及び(ii)のほぼ全てのケースで一致しないと考えられる。
上記 (ii) では、置換ポリアセチレンが金属等の表面と結合するためには、末端官能基が金属等と結合しているという制限がある。一方、上記 (i) では、そのような制限はない。
まず、面内方向(横方向)において、A.置換ポリアセチレンのサイズがB.末端官能基のサイズよりも小さい(A<B)場合、上記 (ii) では、置換ポリアセチレンの密度が本来のポリアセチレン密度よりも減少するため、キャリア伝導が良好でない。また、上記 (i) では、上記 (ii) の状況に加え、末端置換基の立体障害による置換ポリアセチレンの配向性(ややミクロな視点での膜均一性)が低下することによって、キャリア伝導が良好でないことが考えられる。
また、面内方向(横方向)において、A.置換ポリアセチレンのサイズがB.末端官能基のサイズよりも大きい(A>B)場合、上記(ii)では置換ポリアセチレンの密度や、置換ポリアセチレンの立体障害による置換ポリアセチレンの配向性が低下するため、上記(i)では末端官能基の密度が低くなるため、キャリア伝導が良好でない。
以上のように、特許文献1に記載された技術では、置換ポリアセチレンの密度や配向性が低下するため、置換ポリアセチレンを介したキャリア伝導が良好ではない。それゆえ、特許文献1に記載された有機デバイスは、特性が向上しない。
以上のように、非特許文献1及び2、並びに特許文献1に記載の従来技術では、金属層を有する有機デバイス用電極を備えた有機デバイスの特性を向上させることは困難である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、金属層を有し、有機デバイスの特性を向上させることが可能な有機デバイス用電極、及びそれを備えた有機デバイスを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る有機デバイス用電極は、金属を含む金属層、チオール化合物を含むチオール化合物層、及び導電性高分子を含む導電性高分子層がその順に積層されており、上記チオール化合物は、分子構造中に、上記金属と結合するチオール基、及び上記金属と結合しない親水性の置換基を有することを特徴としている。
本発明の一態様によれば、有機デバイスの特性を向上させることができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る有機デバイス用電極の構成を模式的に示した断面図である。 本発明の実施形態1に係る有機デバイス用電極の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態1に係る有機デバイス用電極の作用効果を説明するための説明図であり、(a)は、従来の有機デバイス用電極の製造方法を示し、(b)は、本実施形態に係る有機デバイス用電極の製造方法を示す。 本発明の実施形態1に係る有機デバイス用電極における、チオール化合物層のチオール化合物分子、及び導電性高分子層の導電性高分子の関係を模式的に示した図である。 本発明の実施形態2に係る有機デバイスとしての有機TFT素子の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る有機デバイスとしての有機薄膜太陽電池素子の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る有機デバイスとしての有機EL素子の概略構成を示す断面図である。 実施例1における有機デバイス用電極及び有機デバイス素子の概略構成を示す断面図である。 実施例1の有機デバイス素子、及び比較例1〜3の各有機デバイス素子について、電流電圧特性を比較評価した結果を示すグラフである。 実施例2の有機デバイス素子の概略構成を示す断面図である。 実施例3における有機デバイス用電極及び有機TFT素子の概略構成を示す断面図である。 実施例4の有機薄膜太陽電池素子の概略構成を示す断面図である。 実施例5の有機EL素子の概略構成を示す断面図である。 特許文献1に記載された従来技術の問題点を説明するための模式図である。
〔実施形態1〕
(有機デバイス用電極100の構成)
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機デバイス用電極100の構成を模式的に示した断面図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る有機デバイス用電極100は、金属層11と、金属層11上に設けられたチオール化合物層12と、チオール化合物層12上に設けられた導電性高分子層13とを備えている。
金属層11は、有機デバイス内で生じたキャリアを外部の回路へ取出す役割、または外部の回路からキャリアが注入される役割を担っている。金属層11は、例えばガラス等の基板上に形成される構成が一般的であるが、この構成に限定されない。例えば、基板そのものが金属層11によって構成されていてもよい。
金属層11に含まれる金属材料としては、キャリアの輸送損失をできるだけ防ぐという目的から、抵抗率が低い材料を用いることが好ましい。また、金属層11は、後述のチオール化合物層12と結合できる材料からなることが好ましく、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選択された1種の材料、または、上記群から選択される2つ以上の合金を主成分として含む。
チオール化合物層12は、金属層11の金属と結合するチオール基(−SH)を有するチオール化合物を主成分として含む。チオール化合物層12は、有機デバイス用電極100内において、キャリアを金属層11から導電性高分子層13へ、または導電性高分子層13から金属層11へ輸送する役割を担う。また、チオール化合物層12には、導電性高分子層13を金属層11の表面上に均一に膜状に形成させる役割がある。このように、チオール化合物層12が存在することによって、導電性高分子層13が金属層11表面に均一に形成される。このため、金属層11と導電性高分子層13との間でのキャリアの授受がスムーズに行われ得る。さらに、チオール化合物層12は、金属層11を保護する役割を果たす。このため、導電性高分子層13の原料となる導電性高分子溶液により金属層11が腐食する、あるいは酸化することを防止することができる。
それゆえ、有機デバイスを作製するために有機デバイス用電極100上に有機半導体層を成膜するに際し、導電性高分子層13と有機半導体層とが直接接触する領域が増大し、かつ、導電性高分子層13と有機半導体層との界面の状態が良好になる。このため、作製される有機デバイスは、有機デバイス用電極100と有機半導体層との間のキャリアの授受がスムーズに行われ得る。また、チオール化合物層12によって、金属層11の腐食または酸化による有機デバイス用電極100の導電性の低下を防止することができる。
したがって、チオール化合物層12を有する有機デバイス用電極100を用いることによって、有機デバイスの特性を向上させることができる。
導電性高分子層13は、有機デバイス用電極100の最上面に設けられている。有機デバイスにおいては、導電性高分子層13は、有機半導体層と直接接触するため、有機半導体層へキャリアを注入する、あるいは有機半導体層からキャリアを取出す役割を果たす。このように、導電性高分子層13と有機半導体層との間のキャリアの授受によって、キャリアの注入効率、または取出し効率を向上させることができる。
また、導電性高分子層13は、導電性高分子を主成分とする薄膜として形成されている。導電性高分子層13の厚さは、特に限定されないが、1nm以上10μm以下であることが好ましい。導電性高分子層13の厚さが1nm以上であれば、キャリアの注入効率または取出し効率を向上させる効果を奏し得る。また、導電性高分子層13の厚さが10μm以下であれば、キャリアが金属層11やチオール化合物層12に到達するまでに導電性高分子層13内で失活するのを抑えることができる。
導電性高分子層13の主成分となる材料は、上述した役割を果たすものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアニリン、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸))等が挙げられている。
(有機デバイス用電極100の製造方法)
次に、本実施形態に係る有機デバイス用電極100の製造方法について、説明する。図2は、有機デバイス用電極100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2に示されるように、基板上に金属層11を形成する金属層形成工程S11と、金属層11上にチオール化合物層12を形成するチオール化合物層形成工程S21と、チオール化合物層12上に導電性高分子層13を形成する導電性高分子層形成工程S31と、を含んでいる。有機デバイス用電極100の製造方法では、金属層形成工程S11、チオール化合物層形成工程S21、導電性高分子層形成工程S31の順に行われる。なお、有機デバイス用電極100の製造方法には、金属層形成工程S11、チオール化合物層形成工程S21、及び導電性高分子層形成工程S31以外の工程が含まれていてもよい。
金属層形成工程S11は、例えば基板上に金属層11を成膜することによって行われ得る。金属層11の形成方法には、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法若しくは電子ビーム式真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、インクジェット法、またはスクリーン印刷法等を用いることができる。また、金属層11をパターニングする場合、パターニング方法として、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、またはメタルマスクを用いて堆積させる方法等の既存の方法を用いることができる。
チオール化合物層形成工程S21は、例えば、金属層11上にチオール化合物分子からなる自己組織化単分子膜を形成することによって行われ得る。チオール化合物層12の形成方法には、特に限定されないが、例えば、チオール化合物分子の蒸気を金属層11の表面上に曝すことによって成膜する気相法、または、チオール化合物分子を有機溶媒などの溶媒中に溶解させたチオール化合物溶液を作製し、この溶液に金属層11の表面をディップ法やスピンコート法等によって曝す液相法等を用いることができる。
気相法によってチオール化合物層12を作製する場合、反応時間は、特に限定されないが、チオール化合物分子の種類やチオール化合物分子の量によって適宜設定し得、例えば、1秒以上1000分以下とすることができる。また、反応系の温度は、例えば0℃以上400℃以下とすることができるが、反応中に温度を変更してもよい。
また、液相法によってチオール化合物層12を作製する場合においても、反応時間は、特に限定されないが、チオール化合物分子の種類やチオール化合物分子の量によって適宜設定し得、例えば、1秒以上1000分以下とすることができる。また、反応系の温度は、例えば0℃以上250℃以下とすることができるが、反応中に温度を変更してもよい。
導電性高分子層形成工程S31は、チオール化合物層12上に導電性高分子層13を成膜することによって行われ得る。
導電性高分子層13の形成方法には、特に限定されないが、例えば、水などの溶媒に目的の導電性高分子を溶解させた導電性高分子溶液を作製し、この溶液にチオール化合物層12の表面をディップコート法やスピンコート法等によって曝す液相法を用いることができる。また、真空蒸着等の方法で導電性高分子の基となる低分子を形成した後に、加熱処理を行うことによって高分子化する方法なども用いることができる。
液相法により導電性高分子層13を形成するとき、形成条件は、特に限定されないが、例えばスピンコート法を用いる場合、スピンの回転数を100rpm以上10000rpm以下とすることができる。スピンの回転数は、導電性高分子層13の形成時に適宜変更してもよい。また、導電性高分子層13を形成した後に加熱処理を行ってもよい。
(有機デバイス用電極100の作用効果)
図3は、有機デバイス用電極100の作用効果を説明するための説明図であり、図3の(a)は、従来の有機デバイス用電極の製造方法を示し、図3の(b)は、本実施形態に係る有機デバイス用電極の製造方法を示す。なお、図3に示された有機デバイス用電極の製造方法では、金属層11としてAu、Ag、Cu等を主成分とする層を用い、導電性高分子層13としてPEDOT:PSSを主成分とする層を用いている。
本実施形態に係る有機デバイス用電極100の特徴点は、金属層11と導電性高分子層13との間に親水性置換基を有するチオール化合物からなるチオール化合物層12が形成されていることにある。PEDOT:PSSに代表される化合物からなる導電性高分子層13を有する有機デバイス用電極は、導電性高分子層13と有機半導体層との間のキャリア注入が良好になる。このため、この有機デバイス用電極を備えた有機デバイスは、特性が向上する。しかし、有機デバイス用電極を製造するに際し、図3の(a)に示されるように、Au、Ag、Cu等を主成分とする金属層11上に導電性高分子層13を形成するとき、導電性高分子の金属層11に対する濡れ性が悪いため、金属層11の表面に均一な導電性高分子層13を形成することができない。
そのため、図3の(a)に示される従来の有機デバイス用電極を備えた有機デバイスは、有機半導体層と導電性高分子層13との接触面積が小さい、導電性高分子層13の不均一性による大きな表面凹凸によって有機半導体層と有機デバイス用電極との密着性が悪い、等の不具合が生じる。そして、この不具合によって、導電性高分子層13の効力が十分に発揮されない。また、金属層11上に導電性高分子層13を形成するに際し、導電性高分子溶液を金属層11上にコートする場合、金属層11が導電性高分子溶液によって腐食する、あるいは酸化することがある。そのため、腐食または酸化によって金属層11の導電性が悪くなる等により、導電性高分子層13を用いることによる効果を十分に発揮することができない。
本実施形態に係る有機デバイス用電極100によれば、金属層11上に、親水性の置換基を有するチオール化合物からなるチオール化合物層12が設けられている。導電性高分子層13は、(特に親水性の)有機物と相性がよい(濡れ性がよい)。このため、導電性高分子溶液を金属層11上にコートする場合、導電性高分子層13は、チオール化合物層12上に均一に成膜され得る。また、チオール化合物層12は、膜厚が小さいため、金属層11と導電性高分子層13との間の導電を実効的に阻害しない。加えて、チオール化合物層12は、金属層11を保護する役割を果たす。それゆえ、導電性高分子溶液による金属層11の腐食または酸化を防止することができる。
このように、本実施形態に係る有機デバイス用電極100は、金属層11と導電性高分子層13との間にチオール化合物層12が導入された「金属層11/チオール化合物層12/導電性高分子層13」構造を有するので、導電性高分子層13の膜均一性が向上するとともに金属層11の腐食や酸化が防止される。そして、これにより、導電性高分子層13の効力を十分に発揮することができ、有機デバイスにおけるキャリア注入効率を十分に向上させることができる。
ここで、金属層11の金属は、チオール化合物層12が金属層11上に形成可能な材料である必要がある。それゆえ、金属層11を構成する金属材料は、チオール化合物層12を構成するチオール化合物分子との化学結合を形成することが可能な金属材料である必要がある。
また、図4は、チオール化合物層12のチオール化合物分子、及び導電性高分子層13の導電性高分子の関係を模式的に示した図である。図4に示されるように、本実施形態に係る有機デバイス用電極100によれば、チオール化合物層12と導電性高分子層13とが分かれている。それゆえ、チオール化合物層12及び導電性高分子層13は、密度及び配向性が互いに干渉することがない。すなわち、導電性高分子層13の導電性高分子の密度または配向性は、チオール化合物層12を構成するチオール化合物分子の影響を受けず、良好な状態となっている。また、チオール化合物層12のチオール化合物分子の密度または配向性は、導電性高分子の影響を受けず、良好な状態となっている。このため、有機デバイス用電極100を備えた有機デバイスは、特性が向上する。
(チオール化合物層12に含まれるチオール化合物について)
本実施形態に係る有機デバイス用電極100は、上述のように、金属層11、チオール化合物層12、及び導電性高分子層13が積層された3層構造を有している。チオール化合物層12は、金属と結合する硫黄分子(チオール基)を有するチオール化合物分子からなる自己組織化単分子膜(チオールSAM)で構成されている。チオール化合物層12を構成するチオール化合物は、分子構造中に、金属層11を構成する金属と結合するチオール基、及び金属層11を構成する金属と結合しない親水性の置換基を有していればよい。この親水性の置換基を有するチオールSAM(チオール化合物層12)にて金属層11表面を修飾することによって、導電性高分子層13となる導電性高分子溶液の濡れ性が向上する。その結果、導電性高分子層13は、チオール化合物層12の表面に均一に形成される。さらには、チオールSAM(チオール化合物層12)は、金属層11を保護する保護層として機能するため、導電性高分子溶液による金属層11の腐食または酸化を防止することができる。
また、上記チオール化合物における親水性の置換基は、導電性高分子溶液との濡れ性を向上させることが可能な置換基であれば特に限定されない。好ましくは、親水性の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ニトロ基、金属と結合していないチオール基、及び金属と反応していないセレノール基からなる群から選択される、少なくとも1種である。
また、上記チオール化合物は、主鎖に、π共役系構造を有することが好ましい。π共役系構造は、有機化合物の化学構造の中でも良好な導電性を有するので、有機デバイス用電極100の導電性が向上する。このような、主鎖にπ共役系構造を有するチオール化合物としては、芳香族系チオール化合物が挙げられる。
また、導電性の面から、上記チオール化合物は、主鎖が短いことが好ましい。上記チオール化合物の主鎖の長さの下限は、チオール化合物層の安定性の観点から、主鎖が脂肪族である場合は炭素数3であることが望ましく、また、芳香族である場合はベンゼン環1個であることが望ましい。主鎖が脂肪族である場合における主鎖の長さの下限(炭素数3)、及び主鎖が芳香族である場合における主鎖の長さの下限(ベンゼン環1個)は共に、約7Åに相当する。それゆえ、主鎖の長さの下限は、7Åであることが望ましい。
なお、本実施形態においては、チオール化合物は、主鎖にπ共役系構造を有する化合物に限定されず、例えば脂肪族系チオール化合物であってもよい。
チオール化合物層12を構成するチオール化合物は、具体的には、4−ヒドロキシベンゼンチオール、4’−ヒドロキシ−4−メルカプトビフェニル、8−ヒドロキシ−1−オクタンチオール、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、4−ヒドロキシベンゼンチオールが好ましい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態は、実施形態1に係る有機デバイス用電極を備えた有機デバイスに関するものであり、より具体的には、有機TFT素子に関する。
(有機TFT素子200の構成)
図5は、本実施形態に係る有機デバイスとしての有機TFT素子200の概略構成を示す断面図である。
図5に示されるように、本実施形態に係る有機TFT素子200では、基板21上にゲート絶縁層22が設けられている。ゲート絶縁層22上には、ソース電極20aとドレイン電極20bとが間隔を置いて形成されている。また、ソース電極20aとドレイン電極20bとに挟まれるように、ゲート絶縁層22上に有機半導体層26が形成されている。
基板21は、ゲート電極を兼ねた構成となっており、例えばシリコン(Si)から構成されている。
また、ゲート絶縁層22は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ゲート絶縁層22は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル等の無機材料からなる無機絶縁層であっても、パリレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール等の有機材料からなる有機絶縁層であってもよい。
有機半導体層26は、有機半導体材料を主成分として含む層である。有機半導体層26に含まれる有機半導体材料は、従来公知の有機TFT素子に用いられる有機半導体であれば特に限定されるものではない。例えば、有機半導体層26は、フラーレン、フラーレン誘導体、ペンタセン、ペンタセン誘導体、ジナフトチエノチオフェン、ジナフトチエノチオフェン誘導体、ペリレン誘導体、フタロシアニン誘導体、オリゴチオフェン、ポリチオフェン等の有機半導体材料から構成することができる。有機半導体層26は、フラーレン、フラーレン誘導体、ペンタセン、ペンタセン誘導体、ジナフトチエノチオフェン、ジナフトチエノチオフェン誘導体から構成することが好ましい。具体的には、有機半導体層26は、C60フラーレン及びその誘導体(以下、C60と記す)から構成されている。
フラーレンまたはその誘導体は、良好な電流特性を有する有機半導体材料の一つであり、n型の有機半導体材料として現在最も注目されている材料の一つである。また、ジナフトチエノチオフェンまたはその誘導体は、安定性に優れ良好な電流特性を有する有機半導体材料の一つであり、p型の有機半導体材料として現在最も注目されている材料の一つである。このため、フラーレンまたはその誘導体、または、ジナフトチエノチオフェンまたはその誘導体からなる有機半導体層26を備えた有機TFT素子200は、大きな移動度を得ることができる。
ソース電極20a及びドレイン電極20bは、実施形態1にて説明した有機デバイス用電極100と同様の構成を有する。すなわち、ソース電極20aは、金属層23aと、金属層23a上に設けられたチオール化合物層24aと、チオール化合物層24a上に設けられた導電性高分子層25aとを備えている。同様に、ドレイン電極20bは、金属層23bと、金属層23b上に設けられたチオール化合物層24bと、チオール化合物層24b上に設けられた導電性高分子層25bとを備えている。ここで、金属層23a及び23bを構成する金属は、金(Au)または銀(Ag)であることが好ましい。
ここで、有機TFT素子200において、有機半導体層26は、ソース電極20a及びドレイン電極20bに直接接触している。このため、有機TFT素子200の構成によれば、ソース電極20a及びドレイン電極20bと有機半導体層26との間のキャリアの授受をスムーズに行うことができる。また、ソース電極20a及びドレイン電極20bにおいて、金属層23a及び23bは、チオール化合物層24a及び24bによって腐食または酸化が防止される。それゆえ、有機TFT素子200の特性が向上する。
(有機TFT素子200の製造方法)
次に、本実施形態に係る有機TFT素子200の製造方法について、説明する。有機TFT素子200の製造方法は、ゲート電極を兼ねた基板21を作製する基板作製工程と、基板21にゲート絶縁層22(ゲート絶縁膜)を形成するゲート絶縁層形成工程と、ゲート絶縁層22上にソース電極20a及びドレイン電極20bを形成するゲートドレイン電極形成工程と、有機半導体層26を形成する有機半導体層形成工程と、を含む。
上記基板作製工程では、例えば、ガラス等からなる絶縁基板上にゲート電極となる材料を形成する。ゲート電極となる材料を絶縁基板上に形成する方法は、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法若しくは電子ビーム式真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。また、ゲート電極をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法等の、既存の方法を用いることができる。
続いて、上記ゲート絶縁層形成工程では、ゲート絶縁層22となる材料をゲート電極上に形成して、ゲート絶縁層22を形成する。ゲート絶縁層22の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法若しくは電子ビーム式真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。また、ゲート絶縁層22をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
続いて、上記ゲートドレイン電極形成工程を実施する。上記ゲートドレイン電極形成工程におけるソース電極20a及びドレイン電極20bの形成方法は、上記実施形態1に係る有機デバイス用電極100の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
最後に、上記有機半導体層形成工程では、ソース電極20a及びドレイン電極20bと、ゲート絶縁層22の少なくとも一部とに連続して接するように有機半導体層26を形成する。有機半導体層26の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法などの真空蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。有機半導体層26をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
(有機TFT素子200の具体的な構成例)
有機TFT素子200の具体的な構成として、例えば、以下の構成が挙げられる。
すなわち、図5に示される構成において、ゲート電極を兼ねた基板21を構成する材料がシリコン(Si)であり、ゲート絶縁層22を構成する材料が酸化シリコン(SiO)であり、金属層23a及び23bを構成する材料が金(Au)であり、チオール化合物層24a及び24bを構成するチオール化合物が4−ヒドロキシベンゼンチオールであり、導電性高分子層25a及び25bを構成する導電性高分子がPEDOT:PSSである。また、有機半導体層26としてp型有機半導体からなる層を用いる場合、具体的な有機半導体層26は、膜厚60nmのペンタセンからなる層である。有機半導体層26としてn型有機半導体からなる層を用いる場合、具体的な有機半導体層26は、膜厚60nmのC60からなる層である。
また、ゲート絶縁層22の膜厚は、300nmであり、ソース電極20aとドレイン電極20bとの間隔(チャネル長)は、50μmである。
このような有機TFT素子200は、ソース電極20a及びドレイン電極20bと有機半導体層26との間のキャリア注入が良好になるため、閾値電極を低減でき、かつ高い移動度を有する。
(有機TFT素子200の変形例)
なお、本実施形態に係る有機TFT素子200は、上述した構成に限定されるものではなく、上述した構成要素以外の構成要素を有していてもよい。このような構成要素としては、特に限定されないが、例えば、有機TFT素子200を封止するように形成された封止層が挙げられる。そして、封止層を構成する材料として、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、またはエポキシ樹脂などを用いることができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態は、実施形態1に係る有機デバイス用電極を備えた有機デバイスに関するものであり、より具体的には、有機薄膜太陽電池素子に関する。
(有機薄膜太陽電池素子300の構成)
図6は、本実施形態に係る有機デバイスとしての有機薄膜太陽電池素子300の概略構成を示す断面図である。
図6に示されるように、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池素子300では、基板31上に下部電極30が設けられている。下部電極30上には有機半導体層35が設けられている。また、有機半導体層35上には、上部電極36が設けられている。
基板31は、特に限定されないが、例えば、ステンレス基板、ポリイミド基板、サファイヤ基板、ガラス基板等が挙げられる。
有機半導体層35は、有機半導体材料を主成分として含む層である。有機半導体層35に含まれる有機半導体材料は、従来公知の有機薄膜太陽電池素子に用いられる有機半導体であれば特に限定されるものではない。例えば、有機半導体層35は、フタロシアニン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体、ジナフトチエノチオフェン、ジナフトチエノチオフェン誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン等の有機半導体材料から構成することができる。有機半導体層35は、フタロシアニン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体、ポリチオフェン等から構成されていることが好ましく、フラーレンまたはフラーレン誘導体を含んでいることが特に好ましい。具体的には、有機半導体層35は、C60/銅フタロシアニン(CuPc):C60/CuPcの3層構造から構成されている。
上部電極36を構成する材料は、従来公知の有機薄膜太陽電池素子に用いられる材料であれば特に限定されるものではない。例えば、上部電極36は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、マグネシウム−銀合金(Mg:Ag)、ITO、ZnO等から構成することができる。上部電極36は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)から構成されていることが好ましい。具体的には、上部電極36は、金(Au)あるいは銀(Ag)から構成されている。
下部電極30は、実施形態1にて説明した有機デバイス用電極100と同様の構成を有する。すなわち、下部電極30は、基板31から有機半導体層35へ向かって、金属層32、チオール化合物層33、導電性高分子層34がこの順に積層された構成になっている。ここで、金属層32に含まれる金属は、金(Au)または銀(Ag)であることが好ましい。
ここで、有機薄膜太陽電池素子300において、有機半導体層35は、下部電極30に直接接触している。このため、有機薄膜太陽電池素子300の構成によれば、下部電極30と有機半導体層35との間のキャリアの授受をスムーズに行うことができる。また、下部電極30において、金属層32は、チオール化合物層33によって腐食または酸化が防止される。それゆえ、有機薄膜太陽電池素子300の特性が向上する。
(有機薄膜太陽電池素子300の製造方法)
次に、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池素子300の製造方法について、説明する。有機薄膜太陽電池素子300の製造方法は、基板31上に下部電極30を形成する下部電極形成工程と、下部電極30上に有機半導体層35を形成する有機半導体層形成工程と、有機半導体層35上に上部電極36を形成する上部電極形成工程と、を含む。
まず、上記下部電極形成工程を実施する。上記下部電極形成工程における下部電極30の形成方法は、上記実施形態1に係る有機デバイス用電極100の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
続いて、上記有機半導体層形成工程を実施する。上記有機半導体層形成工程における有機半導体層35の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法などの真空蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。有機半導体層35をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
最後に、上記上部電極形成工程を実施する。上記上部電極形成工程における上部電極36の形成方法は、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法若しくは電子ビーム式真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。また、上部電極36をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
(有機薄膜太陽電池素子300の具体的な構成例)
有機薄膜太陽電池素子300の具体的な構成として、例えば、以下の構成が挙げられる。
すなわち、図6に示される構成において、基板31を構成する材料がガラスである。また、金属層32は、銀(Ag)から構成されており、25nm程度の膜厚とすることによって光半透過性を有する。また、チオール化合物層33は、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層34は、PEDOT:PSSから構成されている。また、有機半導体層35は、導電性高分子層34側から、C60からなる層、CuPc:C60からなる層、CuPcからなる層がこの順に積層されたC60/CuPc:C60/CuPcの3層の積層構造になっており、これら3層の合計膜厚が100nm程度である。また、上部電極36は、金(Au)から構成されている。
(有機薄膜太陽電池素子300の変形例)
なお、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池素子300は、上述した構成に限定されるものではなく、上述した構成要素以外の構成要素を有していてもよい。このような構成要素としては、特に限定されないが、例えば、基板31上に設けられた反射防止層、有機薄膜太陽電池素子300を封止するように形成された封止層が挙げられる。上記反射防止層として、例えば、微細な凹凸形状を有するフッ化マグネシウム(MgF)または酸化シリコン(SiO)などを用いることができる。また、封止層を構成する材料として、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、またはエポキシ樹脂などを用いることができる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態は、実施形態1に係る有機デバイス用電極を備えた有機デバイスに関するものであり、より具体的には、有機EL素子に関する。
(有機EL素子400の構成)
図7は、本実施形態に係る有機デバイスとしての有機EL素子400の概略構成を示す断面図である。
図7に示されるように、本実施形態に係る有機EL素子400では、基板41上に下部電極40が設けられている。下部電極40上には有機半導体層45が設けられている。また、有機半導体層45上には、上部電極46が設けられている。
基板41は、特に限定されないが、例えば、ポリイミド基板、サファイヤ基板、ガラス基板等が挙げられる。
有機半導体層45は、有機半導体材料を主成分として含む層である。有機半導体層45に含まれる有機半導体材料は、従来公知の有機EL素子に用いられる有機半導体であれば特に限定されるものではない。例えば、有機半導体層45は、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)等のトリフェニルアミン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−1、1’−ビフェニル等のカルバゾール誘導体、バソクプロイン(BCP)等のフェナンスロリン誘導体、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンカルボキシミド等のペリレン誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、ジスチルアリレン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ポリチオフェン、ポリフルオレン、クマリン、ルブレン、トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム錯体(Alq3)、トリス[2−フェニルピリジナート−C2,N]イリジウム錯体等の有機半導体材料から構成することができる。有機半導体層45は、N,N’−ジ−[(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル]−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(NPD)、Alq3、BCP等から構成されていることが好ましい。具体的には、有機半導体層45は、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)/トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム錯体(Alq3)の2層構造から構成されている。
上部電極46を構成する材料は、従来公知の有機EL素子に用いられる材料であれば特に限定されるものではない。例えば、上部電極46は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム−銀合金(Mg:Ag)、マグネシウム−インジウム合金(Mg:In)、フッ化リチウム(LiF)やカルシウム(Ca)やバリウム(Ba)やセシウム(Cs)とアルミニウム(Al)の積層膜等から構成することができる。上部電極46は、アルミニウム(Al)、マグネシウム−銀合金(Mg:Ag)、フッ化リチウム/アルミニウム積層膜(LiF/Al)から構成されていることが好ましい。具体的には、上部電極46は、フッ化リチウム(LiF)/アルミニウム(Al)の積層膜から構成されている。
下部電極40は、実施形態1にて説明した有機デバイス用電極100と同様の構成を有する。すなわち、下部電極30は、基板41から有機半導体層45へ向かって、金属層42、チオール化合物層43、導電性高分子層44がこの順に積層された構成になっている。ここで、金属層42に含まれる金属は、金(Au)であることが好ましい。
ここで、有機EL素子400において、有機半導体層45は、下部電極40に直接接触している。このため、有機EL素子400の構成によれば、下部電極40と有機半導体層45との間のキャリアの授受をスムーズに行うことができる。また、下部電極40において、金属層42は、チオール化合物層43によって腐食または酸化が防止される。それゆえ、有機EL素子400の特性が向上する。
(有機EL素子400の製造方法)
次に、本実施形態に係る有機EL素子400の製造方法について、説明する。有機EL素子400の製造方法は、基板41上に下部電極40を形成する下部電極形成工程と、下部電極40上に有機半導体層45を形成する有機半導体層形成工程と、有機半導体層45上に上部電極46を形成する上部電極形成工程と、を含む。
まず、上記下部電極形成工程を実施する。上記下部電極形成工程における下部電極40の形成方法は、上記実施形態1に係る有機デバイス用電極100の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
続いて、上記有機半導体層形成工程を実施する。上記有機半導体層形成工程における有機半導体層45の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法などの真空蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。有機半導体層45をパターニングする場合には、たとえば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
最後に、上記上部電極形成工程を実施する。上記上部電極形成工程における上部電極46の形成方法は、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法若しくは電子ビーム式真空蒸着法などの真空蒸着法、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、インクジェット法、スクリーン印刷法などを用いることができる。また、上部電極46をパターニングする場合には、例えば、フォトプロセスを用いたエッチング法、リフトオフ法、または、メタルマスクを用いて堆積させる方法などの既存の方法を用いることができる。
(有機EL素子400の具体的な構成例)
有機EL素子400の具体的な構成として、例えば、以下の構成が挙げられる。
すなわち、図7に示される構成において、基板41を構成する材料がガラスである。また、金属層42は、金(Au)から構成されており、25nm程度の膜厚とすることによって光半透過性を有する。また、チオール化合物層43は、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層44は、PEDOT:PSSから構成されている。また、有機半導体層45は、導電性高分子層44側から、α−NPDからなる層、Alq3からなる層がこの順に積層されたα−NPD/Alq3の2層の積層構造になっており、これら2層の合計膜厚が100nm程度である。また、上部電極46は、LiF/Alから構成されている。
(有機EL素子400の変形例)
なお、本実施形態に係る有機EL素子400は、上述した構成に限定されるものではなく、上述した構成要素以外の構成要素を有していてもよい。このような構成要素としては、特に限定されないが、例えば、有機EL素子400を封止するように形成された封止層が挙げられる。封止層を構成する材料として、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、またはエポキシ樹脂などを用いることができる。
(有機デバイス用電極のその他の適用例)
実施形態1に係る有機デバイス用電極を備えた有機デバイスは、有機TFT素子(実施形態2)、有機薄膜太陽電池素子(実施形態3)、有機EL素子(実施形態4)に限定されない。実施形態1に係る有機デバイス用電極を適用可能な、その他の有機デバイスとしては、例えば、有機センサーが挙げられる。具体的には、ガスの吸収によって、あるいは光照射下で、導電率が変化する有機半導体が存在する。それゆえ、このような有機半導体を実施形態1に係る有機デバイス用電極に適用し有機半導体の導電率変化をセンシングすることによって、ガスセンサーまたは光センサーに応用することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る有機デバイス用電極100は、金属を含む金属層11、チオール化合物を含むチオール化合物層12、及び導電性高分子を含む導電性高分子層13がその順に積層されており、上記チオール化合物は、分子構造中に、上記金属と結合するチオール基、及び上記金属と結合しない親水性の置換基を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、チオール化合物層12に含まれるチオール化合物は、分子構造中に、金属層11の金属と結合するチオール基、及び金属層11の金属と結合しない親水性の置換基を有している。それゆえ、この親水性の置換基を有するチオール化合物にて金属層11表面を修飾することによって、導電性高分子層13となる導電性高分子溶液の濡れ性が向上する。その結果、上記の構成によれば、導電性高分子層13は、チオール化合物層12の表面に均一に形成される。さらには、チオール化合物層12は、金属層11を保護する保護層として機能するため、導電性高分子溶液による金属層11の腐食または酸化を防止することができる。そして、これらにより、導電性高分子層13の効力を十分に発揮することができ、有機デバイスにおけるキャリア注入効率を十分に向上させることができる。
また、上記の構成によれば、チオール化合物層12と導電性高分子層13とが分かれている。それゆえ、チオール化合物層12及び導電性高分子層13は、密度及び配向性が互いに干渉することがない。
以上のことから、上記の構成によれば、有機デバイスの特性を向上させることができる。
本発明の態様2に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1において、上記親水性の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ニトロ基、金属と結合していないチオール基、及び金属と反応していないセレノール基からなる群から選択される、少なくとも1種であることが好ましい。
上記の構成によれば、導電性高分子層13となる導電性高分子溶液の濡れ性が向上するし、導電性高分子層13が、チオール化合物層12の表面により均一に形成される。
本発明の態様3に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1または2において、上記金属層11に含まれる金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選択された1種であるか、あるいは、上記群から選択される2つ以上の金属の合金であることが好ましい。
上記の構成によれば、チオール化合物層12のチオール化合物におけるチオール基と金属層11との結合が良好になる。
本発明の態様4に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1〜3において、上記チオール化合物は、主鎖に、π共役系構造を有することが好ましい。
π共役系構造は、有機化合物の化学構造の中でも良好な導電性を有する。それゆえ、上記の構成によれば、有機デバイス用電極100の導電性が向上する。
本発明の態様5に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1〜4において、上記チオール化合物は、芳香族系チオール化合物であることが好ましい。
本発明の態様6に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1〜5において、上記導電性高分子層13は、PEDOT:PSSを含むことが好ましい。
上記の構成によれば、導電性高分子層13上面に有機半導体層が設けられた有機デバイスにおいて、導電性高分子層13と有機半導体層との間のキャリア注入が良好になり、有機デバイスの特性が向上する。
本発明の態様7に係る有機デバイス用電極100は、上記態様1〜6において、上記チオール化合物は、4−ヒドロキシベンゼンチオールであることが好ましい。
上記の構成によれば、チオール化合物層12表面上の導電性高分子層13の均一性がより良好になるため、有機デバイス用電極100の導電性がより良好になる。
本発明の態様8に係る有機デバイス(有機TFT素子200、有機薄膜太陽電池素子300、有機EL素子400)は、上記態様1〜7の有機デバイス用電極100を備えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、有機デバイスの特性を向上させることができる。
本発明の態様9に係る有機デバイス(有機TFT素子200)は、上記態様8において、ゲート電極を兼ねた基板21上に、ゲート絶縁層22と、ソース電極20aと、ドレイン電極20bと、及び有機半導体層26と、を備え、ソース電極20a及びドレイン電極20bの両方が上記有機デバイス用電極100である有機TFT素子200であってもよい。
また、本発明の態様10に係る有機デバイス(有機薄膜太陽電池素子300)は、上記態様8において、基板31上に、下部電極30と、下部電極30上に設けられた有機半導体層35と、有機半導体層35上に設けられた上部電極36と、を備え、上記下部電極30が、上記有機デバイス用電極100である有機薄膜太陽電池素子300であってもよい。
また、本発明の態様11に係る有機デバイス(有機EL素子400)は、上記態様8において、基板41上に、下部電極40と、下部電極40上に設けられた有機半導体層45と、有機半導体層45上に設けられた上部電極46と、を備え、上記下部電極40が、上記有機デバイス用電極100である有機EL素子400であってもよい。
また、本発明の有機デバイスは、上述した有機デバイスに限定されず、例えば、有機センサー、より具体的には、光センサー、ガスセンサーに適用することができる。
すなわち、本発明の態様12に係る有機デバイス(有機デバイス素子600)は、上記態様8において、ガラスからなる基板61上に、第1の電極60aと、第2の電極60bと、及び有機半導体層66と、を備え、第1の電極60a及び第2の電極60bの両方が上記有機デバイス用電極100である有機センサーであってもよい。
また、本発明の態様13に係る有機デバイス(有機デバイス素子700)は、上記態様8において、ガラスからなる基板71上に、下部電極70と、下部電極70上に設けられた有機半導体層65と、有機半導体層65上に設けられた上部電極76と、を備え、上記下部電極70が、上記有機デバイス用電極100である有機センサーであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明の一実施例について説明すれば以下の通りである。図8は、実施例1における有機デバイス用電極500及び有機デバイス素子600の概略構成を示す断面図である。
図8に示されるように、本実施例の有機デバイス用電極500は、金属層51が銀(Ag)から構成され、チオール化合物層52が、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層53がPEDOT:PSSから構成されている。そして、電極60a及び60bとして、このような有機デバイス用電極500を備えた有機デバイス素子600は、基板61がガラスから構成され、有機半導体層66がCuPcから構成されている。
本実施例の有機デバイス素子600は、以下のようにして作製された。
まず、2.2cm×2.2cmのガラスからなる基板61の表面上に、抵抗加熱による真空蒸着法によって密着層となるクロム(Cr)を形成した後にAgからなる金属層51を形成した。そして、基板61上にヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を行い、ガラスからなる基板61上にHMDSからなる膜を形成した(図示せず)。この基板61を4−ヒドロキシベンゼンチオールを10mmol/Lの濃度で溶解させたエタノール溶液中に5分間浸した後、エタノールでリンス洗浄し、Agからなる金属層51上に4−ヒドロキシベンゼンチオールからなるチオール化合物層52を形成した。続いて、別途準備したPEDOT:PSSの水溶液を用いたスピンコート法によって、チオール化合物層52上に導電性高分子層53となるPEDOT:PSS膜を成膜した。この時、ガラスからなる基板61表面は、HMDS処理によって撥水性となっている。このため、ガラス表面には、PEDOT:PSS膜は形成されない。このようにしてPEDOT:PSS/4−ヒドロキシベンゼンチオール/Agの3層の積層構造からなる、電極60a及び60b(有機デバイス用電極500)を形成した。さらに、この後、CuPcを抵抗加熱の真空蒸着法によって成膜し、有機半導体層66を形成した。
以上により、有機デバイス用電極500、およびこれを電極60a及び60bとして用いた、有機デバイス素子600を作製した。
比較例1
電極60a及び60bの作製において4−ヒドロキシベンゼンチオールからなるチオール化合物層52を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、有機デバイス素子を作製した。
比較例2
電極60a及び60bの作製において導電性高分子層53となるPEDOT:PSS膜を成膜しなかったこと以外は実施例1と同様にして、有機デバイス素子を作製した。
比較例3
電極60a及び60bの作製において4−ヒドロキシベンゼンチオールからなるチオール化合物層52の形成及び導電性高分子層53となるPEDOT:PSS膜の成膜を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、有機デバイス素子を作製した。
図9は、実施例1の有機デバイス素子600、及び比較例1〜3の各有機デバイス素子について、電流電圧特性を比較評価した結果を示すグラフである。図9に示されるように、各有機デバイス素子に対し同じ電圧を印加した場合、実施例1の有機デバイス素子600において最も大きな電流が発生した。
なお、実施例1の有機デバイス素子600、及び比較例1〜3の各有機デバイス素子は、基板に対し水平方向に導電するタイプの有機デバイス素子である。
本発明の他の実施例について、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図10は、実施例2の有機デバイス素子700の概略構成を示す断面図である。
図10に示されるように、本実施例の有機デバイス素子700における下部電極70は、金属層72が銀(Ag)から構成され、チオール化合物層73が、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層74がPEDOT:PSSから構成されている。そして、このような下部電極70を備えた有機デバイス素子700は、基板71がガラスから構成され、有機半導体層75がCuPcから構成され、上部電極76が銀(Ag)から構成されている。
本実施例の有機デバイス素子700は、以下のようにして作製された。
まず、2.2cm×2.2cmのガラスからなる基板71の表面上に、抵抗加熱による真空蒸着法によって、Agからなる金属層72を形成した。次いで、この基板71を、4−ヒドロキシベンゼンチオールを10mmol/Lの濃度で溶解させたエタノール溶液中に10分間浸した後、エタノールでリンス洗浄し、Agからなる金属層72上にチオール化合物層73を形成した。続いて、別途準備したPEDOT:PSSの水溶液を用いたスピンコート法によって、チオール化合物層73上に導電性高分子層74となるPEDOT:PSS膜を成膜した。このようにしてPEDOT:PSS/4−ヒドロキシベンゼンチオール/Agの3層の積層構造からなる下部電極70を形成した。さらに、この後、CuPcからなる層を、抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、有機半導体層75を形成した。そして、最後に、Agを抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、上部電極76を形成した。
以上により、有機デバイス素子700を作製した。
なお、実施例2の有機デバイス素子700は、基板に対し垂直方向に導電するタイプの有機デバイス素子である。
なお、実施例1及び2の有機デバイス素子600及び700は、例えば、上述した有機センサー(ガスセンサーや光センサー)に適用することができる。
本発明のさらに他の実施例について図11に基づいて説明すれば以下のとおりである。図11は、実施例3における有機デバイス用電極100及び有機TFT素子200の概略構成を示す断面図である。
図11に示されるように、本実施例の有機デバイス用電極100は、金属層11が金(Au)から構成され、チオール化合物層12が、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層13がPEDOT:PSSから構成されている。そして、ソース電極20a及びドレイン電極20bとして、このような有機デバイス用電極100を備えた有機TFT素子200は、基板21がSiから構成され、ゲート絶縁層22がSiOから構成され、有機半導体層26がペンタセンから構成されている。
本実施例の有機TFT素子200は、以下のようにして作製された。
まず、2.2cm×2.2cmのn−Siからなる基板21の表面上にSiOからなるゲート絶縁層22を有する基板を準備した。次に、抵抗加熱による真空蒸着法によってAuからなる金属層11(23)を形成した。そして、基板21上にヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を行い、SiOからなるゲート絶縁層22におけるチャネルとなる領域上にHMDSからなる膜を形成した(図示せず)。この基板21を4−ヒドロキシベンゼンチオールを10mmol/Lの濃度で溶解させたエタノール溶液中に5分間浸した後、エタノールでリンス洗浄し、Auからなる金属層11(23)上に4−ヒドロキシベンゼンチオールからなるチオール化合物層12(24)を形成した。続いて、別途準備したPEDOT:PSSの水溶液を用いたスピンコート法によって、チオール化合物層12(24)上に導電性高分子層13(25)となるPEDOT:PSS膜を成膜した。この時、SiOからなるゲート絶縁層22表面におけるチャネルとなる領域は、HMDS処理によって撥水性となっている。このため、チャネルとなる領域にはPEDOT:PSS膜は形成されない。このようにしてPEDOT:PSS/4−ヒドロキシベンゼンチオール/Auの3層の積層構造からなる、ソース電極20a及びドレイン電極20b(有機デバイス用電極100)を形成した。さらに、この後、ペンタセンを抵抗加熱の真空蒸着法によって成膜し、有機半導体層26を形成した。
以上により、有機デバイス用電極100、およびこれをソース電極20a及びドレイン電極20bとして用いた、ボトムコンタクト型の有機TFT素子200を作製した。
本発明のさらに他の実施例について、図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図12は、実施例4の有機薄膜太陽電池素子300の概略構成を示す断面図である。
図12に示されるように、本実施例の有機薄膜太陽電池素子300における下部電極30は、金属層32が銀(Ag)から構成され、チオール化合物層33が、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層34がPEDOT:PSSから構成されている。そして、このような下部電極30を備えた有機薄膜太陽電池素子300は、基板31がガラスから構成され、有機半導体層35がC60/CuPc:C60/CuPcの3層構造から構成され、上部電極36がAuから構成されている。
本実施例の有機薄膜太陽電池素子300は、以下のようにして作製された。
まず、2.2cm×2.2cmのガラスからなる基板31の表面上に、抵抗加熱による真空蒸着法によって、Agからなる金属層32を形成した。有機薄膜太陽電池素子300において、光が金属層32を通過して有機半導体層35に入射できるように、金属層32は、膜厚25nmの光半透過性のAg膜とした。次いで、この基板31を、4−ヒドロキシベンゼンチオールを10mmol/Lの濃度で溶解させたエタノール溶液中に10分間浸した後、エタノールでリンス洗浄し、Agからなる金属層32上にチオール化合物層33を形成した。続いて、別途準備したPEDOT:PSSの水溶液を用いたスピンコート法によって、チオール化合物層33上に導電性高分子層34となるPEDOT:PSS膜を成膜した。このようにしてPEDOT:PSS/4−ヒドロキシベンゼンチオール/Agの3層の積層構造からなる下部電極30を形成した。さらにこの後、C60からなる層、CuPcとC60との1:1混合物からなる層、CuPcからなる層を、順次抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、光吸収層となる有機半導体層35を形成した。そして、最後に、Auを抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、上部電極36を形成した。
以上により、有機薄膜太陽電池素子300を作製した。
本発明のさらに他の実施例について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図13は、実施例5の有機EL素子400の概略構成を示す断面図である。
図13に示されるように、本実施例の有機EL素子400における下部電極40は、金属層42が金(Au)から構成され、チオール化合物層43が、4−ヒドロキシベンゼンチオールから構成され、導電性高分子層44がPEDOT:PSSから構成されている。そして、このような下部電極40を備えた有機EL素子400は、基板41がガラスから構成され、有機半導体層45がα−NPD/Alq3の2層構造から構成され,上部電極46がLiF/Alから構成されている。
本実施例の有機EL素子400は、以下のようにして作製された。
まず、2.2cm×2.2cmのガラスからなる基板41の表面上に、抵抗加熱による真空蒸着法によってAuからなる金属層42を形成した。有機EL素子400において、有機半導体層45から出射した光が金属層42を透過できるように、金属層42は、膜厚25nmの光半透過性のAu膜とした。次いで、この基板41を、4−ヒドロキシベンゼンチオールを10mmol/Lの濃度で溶解させたエタノール溶液中に10分間浸した後、エタノールでリンス洗浄し、Auからなる金属層42上にチオール化合物層43を形成した。続いて、別途準備したPEDOT:PSSの水溶液を用いたスピンコート法によって、チオール化合物層43上に有機半導体層45となるPEDOT:PSS膜を成膜した。このようにしてPEDOT:PSS/4−ヒドロキシベンゼンチオール/Auの3層の積層構造からなる下部電極40を形成した。さらにこの後、α−NPDからなる層及びAlq3からなる層を、順次抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、有機半導体層45を形成した。最後に、LiF/Alを抵抗加熱による真空蒸着法によって成膜し、上部電極46を形成した。
以上により、有機EL素子400を作製した。
本発明は、有機デバイスの特性を向上させることができるので、有機TFT素子、有機薄膜太陽電池素子、有機EL素子等の有機デバイス全般に利用することができる。
11、23a、23b、32、42、51、72 金属層
12、24a、24b、33、43、52、73 チオール化合物層
13、25a、25b、34、44、53、74 導電性高分子層
20a、60a ソース電極(有機デバイス用電極)
20b、60b ドレイン電極(有機デバイス用電極)
30、40、70 下部電極(有機デバイス用電極)
100、500 有機デバイス用電極
200 有機TFT素子(有機デバイス)
300 有機薄膜太陽電池素子(有機デバイス)
400 有機EL素子(有機デバイス)
600、700 有機デバイス素子

Claims (7)

  1. 金属を含む金属層、チオール化合物を含むチオール化合物層、及び導電性高分子を含む導電性高分子層がその順に積層されており、
    上記チオール化合物は、分子構造中に、上記金属と結合するチオール基、及び上記金属と結合しない親水性の置換基を有することを特徴とする有機デバイス用電極。
  2. 上記親水性の置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ニトロ基、金属と結合していないチオール基、及び金属と反応していないセレノール基からなる群から選択される、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機デバイス用電極。
  3. 上記金属層に含まれる金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選択された1種であるか、あるいは、上記群から選択される2つ以上の金属の合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機デバイス用電極。
  4. 上記チオール化合物は、主鎖に、π共役系構造を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機デバイス用電極。
  5. 上記導電性高分子層は、PEDOT:PSSを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機デバイス用電極。
  6. 上記チオール化合物は、4−ヒドロキシベンゼンチオールであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機デバイス用電極。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の有機デバイス用電極を備えたことを特徴とする有機デバイス。
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