JP6325895B2 - 非特異反応抑制剤および免疫学的検査方法 - Google Patents

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Description

この発明は、畜糞や家畜血液、畜舎内ふき取り検体、食肉処理場ライン拭き取り検体などの畜産動物の飼育や食肉処理等に関する畜産物由来の検体から、食中毒菌や病原ウイルスなどの抗原を検出するための免疫学的検査に用いる非特異反応抑制剤およびこれを用いた免疫学的検査方法並びにイムノクロマトグラフィー用テストストリップに関する。
一般に、細菌性やウイルス性の食中毒を防止するため、食中毒性の細菌やウイルスに汚染された食品またはその原料等に対するラテラル・フロー法の一形態であるイムノクロマトグラフィーやELISAなどの免疫学的検査が行われている。
このうちイムノクロマトグラフィーによる細菌検査は、PCR法に比べて検出感度は劣るものの特別な装置が不要で簡便かつ迅速に行なえることから、頻繁に検査を行なうことができ、食中毒菌、病原ウイルスなどの検出には適した方法である。
イムノクロマトグラフィーによる細菌検査法の代表的な形態としては、食中毒菌等の標的抗原の存在を調べる液状検体を、スティック状のテストストリップの基端に設けたサンプルパッドに対して滴下し、このサンプルパッドに連結されたコンジュゲートパッドで金属コロイドなどの標識粒子と結合した抗体と前記抗原とを反応させ、この反応で生成した標識された抗原抗体複合物を、コンジュゲートパッドに連結された多孔質支持体であるメンブレンから先端の吸収パッドに向かう一定方向に毛細管現象によって移動させるものがある。
そして、前記メンブレン上の所定域には予め固定された抗体を設けて移動する抗原抗体複合物を捕捉し、この所定区域に集合した抗原抗体複合物の標識の呈色によって標的抗原の有無を判定している。
また、ELISA法では、ウェルプレートの各ウェルに保持した固相化抗体に対し、所定濃度の抗原を含有する標準溶液または被検査溶液を接触させ、免疫反応により得られた複合体に対し、さらに酵素・基質反応に基づく発色または発光の可能な酵素(標識)を備えた抗体を結合させ、その後、酵素・基質反応による発光量または発色の程度を光学的に測定し、抗原濃度既知の標準溶液の発光量や発色程度と被検査溶液のそれとを比較することによって、抗原量を定量的に検査することができる。
このような免疫学的検査では、検体中に標的物質以外にも交差抗原性の細菌、ウイルス、タンパク質などの夾雑物が含まれているときに、非特異的な反応を伴いやすい。イムノクロマトグラフィーでは、この反応によりテストストリップの判定区域に標的物質を伴わない標識粒子が集合して呈色することがあり、そのような偽陽性反応による呈色によって正確な判定が妨げられる。
また、ELISA法でも夾雑物が非特異反応因子となって、抗原に代わって固定化抗体と反応し、偽陽性反応による呈色または発色によって正確な判定が妨げられる場合がある。
このような偽陽性反応による免疫学的検査の誤判定を防止する手段として、検体を希釈する液に対し、塩基性アミノ酸、無機塩類、界面活性剤から選ばれる2種以上を添加し、非特異因子による反応を防止する手段が知られている(特許文献1)。
また、検体が、ノロウイルスやサポウイルスである場合においては、検体の希釈液にマウス、ウサギ、ヒツジまたはヒト由来の動物グロブリン、界面活性剤、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子、血清アルブミンを添加して特異反応を向上させることが知られている(特許文献2)。
ところで、細菌の一種であるカンピロバクター属菌は、動物に感染すると腸炎を起こし、ギラン・バレー症候群を起こす例もある食中毒性の細菌である。また、サルモネラ属菌は主にヒトや動物の消化管に生息する腸内細菌の一種であり、その一部はヒトや動物に感染して下痢症状を起こす。
カンピロバクター属菌もサルモネラ属菌も家畜(特に鶏など)の腸管に高い確率で存在していることが知られており、これらが食肉処理工程で食肉に付着し、それらを摂取することで食中毒の原因となることがある。
食中毒の原因としてカンピロバクター属菌の感染を判定するには、検体を界面活性剤で処理して菌体表面のタンパク質を液中に遊離させ、さらにこのタンパク質を所定のモノクロナール抗体を用いたイムノクロマト法で検査する方法が知られている(特許文献3)。サルモネラ属菌の検査についても所定の抗体を用いたイムノクロマト法が開発されている。
一般的に食中毒菌や病原性ウイルスの感染予防には、原因菌やウイルスを食品等の対象物に付着させないことが望ましく、例えば食肉の場合には、家畜の糞便中に含まれる食中毒菌が食肉に付着することを防ぐ必要がある。
食中毒菌の食肉への付着は、家畜や鶏などを解体する屠場、食鳥処理場などにおいて糞便が付着したり、処理・搬送ライン上に付着した食中毒菌が食肉に移行することによっておこる場合が多いことから、糞便中の食中毒菌の存在の有無を解体前に判断することによって、ラインならびに屠体への食中毒菌、病原性ウイルスの付着を防止することが好ましい。
また、飼育中や解体処理中においても食中毒菌による汚染状況をモニタリングすることで、消毒などの適切な処置を行なうことが可能になる。このために、糞中の食中毒性細菌や病原ウイルスなどを簡易の手法で迅速に検査し、判定する手法が求められている。
特開2003−279577号公報(段落0002等) 特開2004−301684号公報(請求項1〜4、段落0011) 特開2009−77658号公報(段落0016)
しかし、上記した従来の免疫学的検査では、例えば、鶏糞など畜糞中のカンピロバクター属菌やサルモネラ属菌を検出しようとすると、夾雑物等によって偽陽性反応が起こりやすく、これを防止するために非特異因子を除去すると、検出感度が低下するなどの弊害が起こりやすく、正しい判定を確実に行なうことが容易ではなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、病原性ウイルスや食中毒菌などの免疫学的検査における偽陽性反応を確実に防止できる手法を確立し、特に畜糞や畜舎内ふき取り検体、ライン拭き取り検体などを検体としてカンピロバクター属菌などの食中毒菌の家畜への感染を判別する場合においても、イムノクロマトグラフィーやELISAなどによる免疫学的検査における偽陽性反応を確実に防止し、かつ検出感度に優れた免疫学的検査ができるようにすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、畜産物由来の抗原を検出する免疫学的検査における免疫反応系に添加する非特異反応抑制剤において、この非特異反応抑制剤は、鳥類由来のIgYを含有することを特徴とする免疫学的検査用の非特異反応抑制剤としたのである。
この発明の非特異反応抑制剤は、家禽糞や家畜糞などの検体に存在する食中毒菌等の畜産物由来の抗原を検出することを目的として免疫学的検査を行なう際に、抗原を一般的な緩衝液(例えばPBSなど)で希釈した混合液(以下、「畜糞乳剤」と称する場合がある。)に添加して用いるなど、免疫学的検査における被検査液や検査装置などの免疫反応系のシステムに添加して用いられる。
非特異反応抑制剤は、鳥類由来のIgYを必須成分として含有するものである。
この発明の非特異反応抑制剤は、免疫学的検査における免疫反応系に添加して用いられる際、畜糞中の食中毒菌等のような畜産物由来の抗原以外の夾雑物である非特異因子とIgYが優先的に反応することで、食中毒菌病原性ウイルス等の特異因子とそれらを標的とする抗体との抗原抗体反応が確実に起こりやすくなっていると考えられ、非特異反応である偽陽性反応は確実に防止され、正確な判定を安定して行なうことができるようになる。
後述する試験結果からも明らかなように、非特異反応抑制剤の必須成分である鳥類由来のIgYの代表例としては、鶏やウズラなどの家禽のIgYを採用することができる。また上記畜産物由来の抗原が、家禽や家畜の糞に含まれる抗原である場合でも偽陽性反応が防止でき、これにより正しい判定を確実に行なうことができる。
また、上記した畜産物由来の抗原としては、例えばカンピロバクター属菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、リステリア菌またはインフルエンザウイルスであってもよい。
前記免疫学的検査としては、イムノクロマトグラフィーまたはELISAを採用することができる。
すなわち、この発明では、畜産物由来の抗原を検出する免疫学的検査方法において、上記した非特異反応抑制剤を免疫反応系に添加する免疫学的検査方法を採用することができる。
また、前記抗原を検出するイムノクロマトグラフィーによる免疫学的検査方法としては、畜産物由来の抗原と結合する抗体であって標識を備えたものに、検体とその希釈液の混合物を接触させ、免疫反応により生成した標識付きの抗原抗体複合物をメンブレン上で毛細管現象によって移動させながら、このメンブレン上の所定区域に予め固定しておいた抗体と結合させ、この結合により前記所定区域に集合する前記抗原抗体複合物の標識の顕在化によって畜産物由来の抗原を検出することができる。
その際、検体中に標識付抗体に結合する夾雑物が含まれると、夾雑物と標識付抗体が結合した複合物が前記所定区域に集合して呈色がおこる。この場合、真の標的の食中毒菌が存在しない場合においても、陽性と判定される程度の呈色が生じる場合がある。
この偽陽性反応による呈色を防止するために、畜糞乳剤等に添加する非特異反応抑制剤として、鳥類由来のIgYを含有する非特異反応抑制剤を用いた検査方法を採用することができる。
この発明の畜産物由来の抗原を検出する免疫学的検査方法によれば、畜産物由来の抗原と反応する抗体であって標識を備えたものに、この発明の非特異反応抑制剤を接触させた際、検体中の夾雑物が鳥類由来のIgYと優先的に反応して複合物を生成するため、抗原と反応する抗体の当該抗原(食中毒菌、病原ウイルスなど)との反応が確実に起こりやすくなる。
イムノクロマトグラフィーにおいては、生成した複合物をメンブレンに流下させながら、このメンブレンの所定流域に予め固定した抗体との反応は、夾雑物と結合した標識付複合物との反応ではなく、標識と結合しかつ抗原である食中毒菌とが結合した複合物との反応が優先され、この反応により前記所定流域の抗体に捕捉された前記複合物の標識の呈色によって食中毒菌などの標的抗原を確実に検出することができるので、偽陽性反応が防止される。
上記のイムノクロマトグラフィーによる免疫学的検査方法において、前記鳥類由来のIgYは、家禽由来のIgYを採用することができ、また上記畜糞としては、家禽糞または家畜糞を採用することができる。また、上記抗原として、カンピロバクター属菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、リステリア菌、インフルエンザウイルスなどを検出対象とすることができる。
また、上記したイムノクロマトグラフィー用のテストストリップとしては、検体を含有する被検査液を吸収可能な吸液性の検体パッドと、この検体パッドに連続して設けられ、畜産物由来の抗原と結合可能な標識抗体を保持する吸液性のコンジュゲートパッドと、このコンジュゲートパッドに連続して設けられ抗原抗体複合物を含む液体を毛細管現象により移動可能なメンブレンを備え、このメンブレン上の所定区域に前記抗原と結合する抗体を固定して設けたテストストリップからなり、前記検体パッド、前記コンジュゲートパッドまたは前記メンブレンのいずれかに鳥類由来のIgYを含有する非特異反応抑制剤を固相または液相の状態で保持してなるイムノクロマトグラフィー用テストストリップを採用することができる。
鳥類由来のIgYを含有する非特異反応抑制剤が、固相または液相の状態で検体パッド、コンジュゲートパッドまたはメンブレンのいずれかに保持されていることにより、これらを通過する液体に鳥類由来のIgYが含まれることになり、IgYと被検査液中の夾雑物は優先的に反応して抗原抗体複合物を生成するため、抗原と抗体との反応が確実に起るとも考えられる。
すなわち、固定化抗体は、標識と結合しかつ抗原である食中毒菌等とが結合した抗原抗体反応物と確実に反応し、この反応により前記所定流域の抗体に捕捉された前記複合物の標識の呈色や発光によって畜産物由来の抗原を確実に検出して偽陽性反応は防止される。
この発明の免疫学的検査用の非特異反応抑制剤およびこれを用いた免疫学的検査方法に係る発明は、非特異反応抑制剤が鳥類由来のIgYを含有することにより、畜産物由来の抗原を検出しようとするときに、非特異因子である夾雑物と抗体との反応が防止され、すなわち特異因子との抗原抗体反応のみが確実に起こりやすくなり、偽陽性反応が防止されて正しい判定を確実に行なうことができる利点がある。
また、上記した免疫学的検査方法に用いるイムノクロマトグラフィー用テストストリップの発明は、鳥類由来のIgYが、固相または液相の状態で検体パッド、コンジュゲートパッドまたはメンブレンのいずれかに保持されていることにより、非特異因子である夾雑物と抗体との反応が防止され、特異因子との抗原抗体反応のみが確実に起こりやすくなり、結果的に偽陽性反応が防止され、正しい判定を確実に行なうことができるイムノクロマトグラフィー用テストストリップとなる利点がある。
実施形態のテストストリップ(未使用状態)を模式的に示す斜視図 実施形態のテストストリップ(陽性呈色状態)を模式的に示す斜視図 実施例1、2、比較例1、2に用いたIgY精製試料画分のSDS-PAGE泳動図 実施例1のカンピロバクター属菌の検出感度を示す図表 実施例3のサルモネラ属菌の検出感度を示す図表
この発明の非特異反応抑制剤、免疫学的検査方法およびイムノクロマトグラフィー用テストストリップの各実施形態を、以下に添付図面を参照して説明する。
先ず、実施形態のテストストリップの基本構造を図1、2を用いて説明すると、このテストストリップは、滴下される液状の検体(試料)を吸収可能な検体パッド1と、この検体パッド1に連続して設けられ食中毒菌を抗原として結合可能な標識抗体を保持する吸液性のコンジュゲートパッド2と、このコンジュゲートパッド2に連続するように基板5上に薄い層状に設けられて抗原抗体複合物を含む液体を毛細管現象により移動可能なメンブレン3、さらに最下流部で液体を吸収する吸収パッド4を備えている。
そして、メンブレン3上の所定区域にはライン状に前記抗原と結合する特異的抗体Aを保持し、それより下流側には、同様に標識された抗体Aと結合する抗体Bからなるコントロールラインを設け、検体を標識された抗体Aを含有する希釈液がコントロールラインまで到達した場合に呈色して、含有する希釈液も同ラインまで到達したことを確認できるようにしている。
実施形態のテストストリップは、所要長さのシート状の検体パッド(サンプルパッドとも称される)、コンジュゲートパッド、メンブレン、吸収パッドが、この順にプラスチック製の基板5上に重ねて一体に配置され、各パッドは隣り合うものが部分的に重ね合わされて連結されている構造を有する。
この発明に用いる抗体は、抗原の所定部位と結合する特異的抗体であり、通常、IgG抗体を採用して好ましい結果を得ており、その他の抗体クラスのものでも使用可能である。
また、この発明に用いる特異的抗体の標識は、上記抗体と予め結合せることのできる識別可能な周知のものであり、例えば金などの金属のコロイド粒子、ラテックス粒子、蛍光物質など公知の識別可能な標識を採用できる。
そして、この発明の非特異反応抑制剤は、鳥類由来のIgYを含有し、上記の食中毒菌検出用テストストリップを使用する際に、液状の検体(試料)に混ぜてこれを吸収可能な検体パッドに滴下または含浸して用いることができる。
検体パッド、コンジュゲートパッドおよび吸収パッドは、いずれも繊維集合体からなる吸液性の多孔質素材であり、代表的な素材として、ガラス繊維単独またはガラス繊維と有機高分子繊維との複合材料を採用している。ちなみに、有機高分子繊維の材料は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。
また、メンブレンは、一般的なラテラル・フロー用のテストストリップに使用されているニトロセルロースやナイロン等で形成された素材を用いることができる。
この発明で検出対象とする畜産物由来の抗原のうち、食中毒菌としては、カンピロバクター属菌、サルモネラ属菌、病原性(腸管出血性)大腸菌、セレウス菌、腸炎ビブリオ菌、エロモナス属菌、ウェルシュ菌またはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、赤痢菌(志賀赤痢菌等)などが挙げられる。病原性ウイルスとしては、ノロウイルス、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。
また後述する試験結果からも明らかなように、特にカンピロバクター属菌またはサルモネラ属菌に対するイムノクロマトグラフィーによる食中毒菌の検査方法についても、この発明を適用して正しい判定を確実に行なうことができる。因みに、これらの菌が含まれる可能性のある検体の対象として、鶏糞、牛糞または豚糞などの家畜糞便が挙げられる。
非特異反応抑制剤は、鳥類由来のIgYを含有するが、この発明でいう鳥類とは、系統分類学上の鳥類の全種をいい、鳥類が有する免疫グロブリンのIgYを採用する。また、この発明では、鳥類由来のIgYのうち、鶏を代表例とする家禽類由来のIgYを使用して好ましい結果を得ている。
ここでいう家禽類とは、鳥類に属する家畜として、食用、観賞用などの目的で人間の生活に役だつように飼養可能なものをいう。家禽類は、人の生活環境に近い存在であり、人に有用な免疫グロブリンも含まれている可能性が高いと考えられる。代表的な家禽類としては、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ハト、ガチョウ、ウズラ、ダチョウ、シャモ、チャボなどが挙げられる。
IgYは、哺乳類のIgGに相当する分子量約18万の免疫グロブリンであり、鳥類における免疫グロブリンの約7割を占め、その血清中に3.0〜7.0mg/ml程度存在することが知られており、特に卵黄にはIgYが10〜20mg/ml程度局在するが、卵白には殆ど存在しない。
IgYの卵黄または血清からの精製は、公知の手法を用いて行なうことができる。例えば分取した卵黄から、卵黄膜をろ過によって取り除き、デキストラン硫酸を終濃度0.2%、塩化カルシウムを終濃度0.1Mとなるように添加後、遠心分離を行なう脱脂法によって脂質とリポ蛋白質を除去した後、硫安沈殿によってIgY分画を回収することができる。得られたIgY分画からさらにアフィニティー精製によって高純度のIgYを得ることができる。
アフィニティー精製については、2-メルカプトピリジンをリガンドとして有する市販の抗体精製用カラム(例えば、GEヘルスケア社製HiTrap IgY Purification HP Column)を用いることができる。
このようにして得られるIgYは、前記した畜糞乳剤等と混合して使用することができる。また畜糞乳剤等を作製する際に、畜糞と混合する緩衝液中に下記の濃度の範囲にて添加して使用することもできる。
非特異反応抑制剤は、一般的な緩衝液であるリン酸緩衝生理食塩水 (Phosphate Buffered Saline)などを主成分とし、上記のIgYを必須成分として添加混合したものが代表的なものであり、イムノクロマトグラフィーに用いる場合には、テストストリップに滴下して使用することができる。
上記非特異反応抑制剤中のIgY濃度は、必要に応じて調整され、畜糞乳剤と混合したテストストリップに滴下する場合の液状検体中には、終濃度で0.05〜5質量%の割合で含まれるようにすることが好ましい。
上記の使用状態では、数値範囲未満の少量のIgYでは、確実に偽陽性を防止することが困難な場合があり、また上記数値範囲を超えて多量に添加しても偽陽性防止効果はそれ以上に確実になることはなく、実用的な効果の向上は望めないからである。
このような理由から、免疫学的検査における免疫反応系における好ましいIgYの配合割合は、0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜2質量%であり、さらに好ましくは1〜1.5質量%である。
検査対象となる畜糞としては、家禽または牛、豚などの家畜糞を採用でき、これを界面活性剤水溶液あるいはリン酸緩衝液等の一般的な緩衝液を適量添加して得られた畜糞乳剤をIgYと混合し、イムノクロマトグラフィーでは、これを被検査液としてテストストリップの検体パッドに滴下する。または、IgYを含む緩衝液を作製し、これを適量畜糞に添加してからテストストリップの検体パッドに滴下することもできる。
さらに、この発明の非特異反応抑制剤を加える前に、畜産物由来の抗原の希釈液に、煮沸等の方法で熱を加えることによって、より確実に偽陽性反応を防止することもできる。
図1、図2に示されるように、この発明の非特異反応抑制剤と畜糞乳剤の混合物をテストストリップの検体パッド1に滴下して検査するとき、抗原(食中毒菌や病原性ウイルス)および家禽由来のIgYを含んだ非特異反応抑制剤が検体パッド1からコンジュゲートパッド2に浸透するまでに、畜糞中の夾雑物が鳥類由来のIgYと反応して複合物を生成している。
そのため、図2に示すようにコンジュゲートパッド2に抗原(食中毒菌や病原性ウイルス)を含んだ非特異反応抑制剤と畜糞の混合物が到達した際には、夾雑物は既にIgYと反応しており、夾雑物は標識結合抗体(以下、標識抗体と称します。)とは反応できなくなっているから、標識抗体と抗原のみが抗原抗体反応により結合する。
そして、標識付き抗原抗体複合物をメンブレン3に流下させると、メンブレンの所定流域に予めライン状に固定した抗体Aと標識付き抗原抗体複合物との反応が起こり、夾雑成分と結合した標識付複合物との偽陽性反応ではなく、食中毒菌等を抗原として結合した標識付き抗原抗体複合物とメンブレン3に固定された抗体Aとが結合する真正の陽性反応が起こる。
このようにして抗原である食中毒菌等が結合した抗原抗体複合物と抗体Aとの反応が優先され、この反応により前記所定流域の抗体Aに捕捉された前記抗原抗体複合物の標識の呈色が起こり、偽陽性反応は起こらずに食中毒菌を確実に検出することができる。
また、上記の使用状態とは異なる状態で使用されるテストストリップの他の実施形態を以下に説明する。
図1、2に示すように、この発明のイムノクロマトグラフィーによる畜産物由来の抗原検出用テストストリップの実施形態は、検体(試料)を含有する被検査液を吸収可能な検体パッド1と、この検体パッド1に連続して設けられ食中毒菌などの畜産物由来の抗原を結合可能な標識抗体を保持する吸液性のコンジュゲートパッド2と、このコンジュゲートパッド2に連続して設けられ、抗原抗体複合物を含む液体を毛細管現象で移動させるメンブレン3と、さらに必要に応じて吸収パッド4を非透液性の基板5上に順に連続させて設けたテストストリップであり、このメンブレン3上の所定区域には、前記抗原と結合する抗体Aおよびコントロールライン用の抗体Bを間隔を開けてライン状に固定している。
そして、この発明の他の実施形態では、検体パッド1、コンジュゲートパッド2またはメンブレン3のいずれかに、鳥類由来のIgYを固相または液相の状態で保持しておくことができる。
前記したようにIgYを液相の状態で保持するには、上述した非特異反応抑制剤を所定部品に滴下して含浸し乾燥しないように保持させればよいが、固相の状態で保持するには、この含浸保持した状態の所定部品を乾燥させる。
このような食中毒菌検出用テストストリップの実施形態を使用するときには、鳥類由来のIgYを予め畜糞乳剤等に添加しておく必要はなく、一般的に使用される緩衝液を用いて畜糞乳剤等を作製し、実施形態のテストストリップに滴下すればよい。
このようにすると、抗原を含有する畜糞乳剤等が、検体パッドから、テストストリップを展開された際、検体パッド、コンジュゲートパッドまたはメンブレンのいずれかで、畜糞乳剤中の夾雑成分が鳥類由来のIgYと反応して複合物を生成する。
そのため、食中毒菌は標識付きの抗原特異的抗体と結合する確率が高められ、抗体と標的とする抗原との複合反応が確実に起こりやすくなる。
そして、標識付きの複合物がメンブレンに流下するとき、メンブレンの所定流域に予め固定された抗体との反応は、抗原特異的標識抗体が夾雑物と結合した複合物との偽陽性反応ではなく、食中毒菌等を抗原として結合した標識付き複合物とメンブレン上の所定の位置に結合した抗体との結合になり、この結合位置で抗原抗体反応物の標識の呈色が局所的に起こり、偽陽性反応は起こらずに食中毒菌を呈色によって確実に検出することができる。
免疫学的検査としては、上記したイムノクロマトグラフィーばかりでなく、エンザイムイムノアッセイ(酵素標識免疫学的検査方法)、その他に凝集、混濁などによって定量も可能な方法を含めて周知な免疫学的検査方法を採用することができ、例えばELISAを採用することもできる。
すなわち、この発明では、畜産物由来の抗原を検出する免疫学的検査方法において、上記した非特異反応抑制剤を免疫反応系に添加する様々な免疫学的検査方法を採用することができる。
例えば、ELISA法では、ウェルプレートの各ウェルに分注する被検査液(検体)を調製する際に、上述した非特異反応抑制剤を添加しておくことにより、偽陽性反応のない正確な判定を行なうことができる。また、上述した非特異反応抑制剤をウェルプレートの各ウェルに固相状態で保持させておくことによっても、偽陽性反応のない正確な判定を行なうことができる。
[実施例1、2、比較例1、2]
<イムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤の調製>
図3に示すように鶏血清と卵黄よりIgYを精製した。また、鶏血清と卵黄よりIgY除去画分を調製した。
先ず、鶏血清あるいは卵黄を緩衝液で10倍に希釈したものを作製した。これらは前述の方法を用いて、脱脂法によって脂質とリポ蛋白質を除去した後、硫安沈殿によってIgY分画を回収した。
これらのIgY分画を0.5M硫酸カリウムが含有される緩衝液に懸濁し、平衡化を行ったHi trap IgYに前述の0.5M硫酸カリウム含有の緩衝液に懸濁したIgY分画を流し、カラム担体にIgYのみを特異的に吸着させることで、アフィニティー精製を行なった。この際、カラムを通過した液をIgY除去画分とした。続いて、カラムに硫酸カリウムを除去した緩衝液を流すことで、カラムに吸着したIgYを溶出させることでIgYを精製した。
得られた実施例1、2、比較例1、2のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤の主要成分である鶏血清のIgYの精製物、鶏血清のIgY除去画分、鶏卵黄のIgYの精製物、鶏卵黄のIgYの除去画分のそれぞれについて、IgYが含まれているかどうかを確認するため、SDS−PAGEを行ない、その結果を図3に示した。
図3の結果からも明らかなように、鶏血清のIgYの精製物、鶏卵黄のIgYの精製物には、約70kDa付近にIgYH鎖の分子量に相当するバンド、約30kDa付近にL鎖の分子量に相当するラインが認められ、IgYであると認められた。
なお、鶏血清のIgY除去画分、鶏卵黄のIgYの除去画分にはIgYに相当する分子量のラインは認められなかった。またウエスタンブロッティングにより鶏卵黄、鶏血清のIgY除去分画にIgYは検出されないことを確認した。
以上の結果を確認し、次いで実施例1として鶏血清から精製されたIgYを0.5質量%含有するPBS、実施例2として、鶏卵黄から精製されたIgYを0.5質量%含有するPBSを調製した。
また、比較例1として、鶏血清からIgYを除去した画分を50質量%含有するPBS、実施例2としては、鶏卵黄からIgYを除去した画分を50質量%含有するPBSを調製した。
そして、実施例1、実施例2、比較例1のものをPBSで希釈した糞便と等量で混合することで被検査液を調製し、これをイムノクロマトグラフィーによる検査に供した。
実施例9、比較例3〜9]
以下の表1に示すように、鶏血清(実施例9)について、鶏以外の血清としてウサギ血清(比較例3)、ウマ血清(比較例4)、ブタ血清(比較例5)、ロバ血清(比較例6)、ヒツジ血清(比較例7)について、またその他の添加剤として、L−アルギニン塩酸塩(比較例8)、四塩化アンモニウム塩(比較例9)について、それぞれPBS中に20質量%懸濁したもの(イムノクロマトグラフィー用希釈液)を調製した。
得られた比較例3〜9のイムノクロマトグラフィー用希釈液および実施例のイムノクロマトグラフィー用希釈液(非特異反応抑制剤について、鶏糞便中のカンピロバクター属菌のイムノクロマトグラフィーを以下のように行なった。
<イムノクロマトグラフィーによる鶏糞中のカンピロバクター属菌の検査>
カンピロバクター属菌陰性であることが判明している鶏28羽の糞便について、比較例3〜9の希釈液を、鶏糞乳剤と等量混合したものをイムノクロマトグラフィー用被検査液とし、その被検査液を日本ハム社製の食中毒菌検出用テストストリップ(実施形態で説明した構造のもの)の検体パッドに滴下し、テストラインに呈色が起きず陰性と判断されたものの割合を調べ、その結果を表1中に示した。また実施例の非特異反応抑制剤を糞乳剤と等量混合し、テストストリップの検体パッドに滴下し、陰性と判断されたものの割合を調べて、表1中に併記した。
表1の結果からも明らかなように、実施例のイムノクロマトグラフィー用希釈液(非特異反応抑制剤を使用した場合は、28羽の鶏の糞便のすべてが陰性と判断され、偽陽性解消効果は確実に得られたことが認められた。
さらに、上記と同じ試験において、検体としてAにはカンピロバクター属菌を緩衝液と混合したもの、BにはAと同量のカンピロバクター属菌を含有する鶏糞を緩衝液と混合したものを用い、イムノクロマトグラフィー用希釈液として、Aには鶏血清を含有しないもの(ブランク)を用い、Bには鶏の血清を含有する実施例のイムノクロマトグラフィー用希釈液(非特異反応抑制剤を用いて、食中毒菌検出用テストストリップで検査し、陽性ライン強度を数値化した結果を図4のグラフに示した。
Bにおけるカンピロバクター属菌の検出感度はAにおける検出感度と同等かそれ以上であり、IgYを非特異反応抑制剤の必須成分として用いる鶏糞検査法におけるカンピロバクター属菌検出感度は従来のイムノクロマトを用いたカンピロバクター属菌の検出感度と同等かそれ以上であった。
イムノクロマトグラフィーによる鶏糞中のサルモネラ属菌の検査
実施例1のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤に対し、予めサルモネラ属菌陰性または陽性が判別されている鶏糞便を検体として、偽陽性解消効果および検出感度の調査を以下のように行なった。
まず (1)にはイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤にIgYを含有しないもの(ブランク)を用い、(2)にはIgYを含有する実施例1のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤を用いて、6個体由来のサルモネラ属菌陰性鶏糞便(検体No.1〜6)をサルモネラ属菌検出用テストストリップで検査し、その結果を表2に示した。
表2の結果からも明らかなように、サルモネラ属菌陰性の鶏糞便を検体として実施例1のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤を用いた場合には、すべての検体が陰性と判断され全く偽陽性は発生しなかった。
また、上記と同じ試験において、検体としてAにはサルモネラ属菌液、BにはAと同量のサルモネラ属菌を含有する鶏糞を用い、イムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤として、AにはIgYを含有しないもの(ブランク)を用い、BにはIgYを含有する実施例1のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤を添加した後、検出用テストストリップで検査し、その結果を図5に示した。
図5の結果からも明らかなように、Bにおけるサルモネラ属菌の検出感度は、Aにおける検出感度と同等かそれ以上であり、IgYを非特異反応抑制剤の必須成分として用いる鶏糞検査法におけるサルモネラ属菌検出感度は、従来のイムノクロマトを用いたサルモネラ属菌の検出感度と同等かそれ以上であった。
[実施例3、比較例10]
実施例2において、鶏卵黄に代えてウズラ卵黄由来のIgYを使用したこと以外は、全く同様にしてイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤(実施例3)を調製した。また、比較例10は、実施例3においてウズラ卵黄由来のIgYを含まないイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤でありブランクである。
次に、実施例3、比較例10に対して、前記した<イムノクロマトグラフィーによる鶏糞中のサルモネラ属菌の検査>を行なって、その結果を以下の表3に示した。
表3の結果からも明らかなように、実施例3のイムノクロマトグラフィー用非特異反応抑制剤を用いた場合には、サルモネラ属菌陰性の鶏糞便を3つの検体として試験した結果、全く偽陽性は発生しなかった。またカンピロバクター属菌陰性の糞便においても同様のウズラ卵黄を使用した試験を行い、偽陽性が完全に抑止されることを確認した。
[実施例4〜8、比較例11〜15]
以下のようにして、ELISA法による鶏糞中のカンピロバクター属菌の検査を行なった。
<抗体固相プレートの作製>
抗カンピロバクターモノクローナル抗体(4B4抗体)を5μg/mLとなるように、固相化緩衝液(0.1M NaHCO3, NaOH(pH 8.5))に懸濁し、100μlずつマイクロウェルに分注後、4℃で一晩固相化処理を行なった。固相化処理後、マイクロウェルを洗浄液(0.01M リン酸緩衝液(pH7.2), 0.15 M NaCl, 0.05 % Tween 20)で2回洗浄した後、ブロッキング液(1% BSA, 5 % スクロース)200μlをマイクロウェルに満たし、4℃、で一晩静置することで、ブロッキングを行った。ブロッキング後、プレートは風乾させELISAに使用した。
<ELISA法によるカンピロバクター属菌の検出>
ELISA法は、定法に従って行ない、ブロッキング後のプレートを洗浄液で3回洗浄し、検体を100μl各ウェルに分注した。同じ検体については2反復(2ウェル)で試験を行った。各検体の詳細については表4にまとめて示した。
中の鶏糞、Bは、鶏糞を採取した個体の相違を示し、陰性と陽性は、カンピロバクターに非感染または感染した個体であることを示している。
22.5℃で1時間反応を行なった(1次抗体反応)。1次抗体反応後、プレートを5回洗浄し、ビオチン標識抗体を100 μlずつ各ウェルに分注し、22.5℃で1時間反応を行なった。ビオチン標識抗体にはビオチン標識した4B4抗体を使用し、5 μg/mLの濃度で使用した。この反応後、プレートを洗浄液で5回洗浄し、ストレプトアビジン液(Thermo)を100μl各ウェルに分注し、22.5℃で30分間反応させた。反応後、発色基質(TMB)を各ウェルに100μl分注し、20分間反応させた。この反応後、反応停止液(0.5 M硫酸)を各ウェルに100μl分注し、マイクロプレートリーダーにて各ウェルの450nmの吸光度を測定し、その吸光度の結果を表4にまとめて示した。
表4の結果からも明らかなように、比較例11、12は、カンピロバクター属菌陰性の検体であるにも関わらず高い吸光度を示し、偽陽性反応が生じていることが示された。
しかし、実施例4、5における吸光度は低く、鶏糞に鶏血清を終濃度50%で添加することで、偽陽性反応を抑えることができることが判明した。
また、実施例6、7の陽性検体に鶏血清を添加したものにおいては、陽性反応を確認することができた。
これらのことから、鶏糞検体に鶏血清(IgY)を添加することでELISA法においても鶏糞中からカンピロバクター属菌を検出できることが分かった。
1 検体パッド
2 コンジュゲートパッド
3 メンブレン
4 吸収パッド
5 基板

Claims (7)

  1. 家禽または家畜の糞便を検体とし、前記検体に含まれる抗原を検出する免疫学的検査における免疫反応系に添加する非特異反応抑制剤において、この非特異反応抑制剤は鳥類由来のIgYを含有することを特徴とする免疫学的検査用の非特異反応抑制剤。
  2. 前記鳥類由来のIgYは、家禽のIgYである請求項1に記載の非特異反応抑制剤。
  3. 上記抗原が、カンピロバクター属菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、リステリア菌、またはインフルエンザウイルスである請求項1または2に記載の非特異反応抑制剤。
  4. 免疫学的検査が、イムノクロマトグラフィーまたはELISAである請求項1〜のいずれかに記載の非特異反応抑制剤。
  5. 家禽または家畜の糞便を検体とし、前記検体に含まれる抗原を検出する免疫学的検査方法において、請求項1〜のいずれかに記載の非特異反応抑制剤を免疫反応系に添加することを特徴とする免疫学的検査方法。
  6. 家禽または家畜の糞便を検体とし、前記検体に含まれる抗原と結合する抗体であって標識を備えたものに、前記検体とその希釈液の混合物を接触させ、免疫反応により生成した標識付の抗原抗体複合物をメンブレン上で毛細管現象によって移動させながらこのメンブレン上の所定区域に予め固定しておいた抗体と結合させ、この結合により前記所定区域に集合した前記抗原抗体複合物の標識の顕在化によって前記抗原を検出するイムノクロマトグラフィーによる免疫学的検査方法において、
    前記希釈液は、請求項1〜のいずれかに記載の非特異反応抑制剤を含有する希釈液であることを特徴とするイムノクロマトグラフィーによる免疫学的検査方法。
  7. 検体として家禽または家畜の糞便を含有する被検査液を吸収可能な吸液性の検体パッドと、この検体パッドに連続して設けられ前記検体に含まれる抗原と結合可能な標識抗体を保持する吸液性のコンジュゲートパッドと、このコンジュゲートパッドに連続して設けられ抗原抗体複合物を含む液体を毛細管現象により移動可能なメンブレンを備え、このメンブレン上の所定区域に前記抗原と結合する抗体を固定して設けたテストストリップからなり、前記検体パッド、前記コンジュゲートパッドまたは前記メンブレンに請求項1〜のいずれかに記載の非特異反応抑制剤を固相または液相の状態で保持してなるイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
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