以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である車両用空調装置10が搭載された車両11を示す概略図である。図1には白抜きの矢印を用いて空気の流れ方向が示されている。図1に示すように、車両11のインストルメントパネル12には、車両用空調装置10が組み込まれている。車両用空調装置10は、フロントウインド13に向けて開口するデフロスタ吹出口(第1吹出口)14と、乗員の上半身に向けて開口するフェイス吹出口15と、乗員の下半身に向けて開口するフット吹出口(第2吹出口)16とを備えている。フェイス吹出口15やフット吹出口16は、フロントウインド13以外の車室空間17に向けて開口する吹出口となっている。
図2は車両用空調装置10の構成を示す概略図である。図2には白抜きの矢印を用いて空気の流れ方向が示されている。図2に示すように、車両用空調装置10はチャンバ20を有しており、チャンバ20にはクーラユニットのエバポレータ21やヒータユニットのヒータコア22が組み込まれている。チャンバ20には吸気ダクト23が接続されており、吸気ダクト23には外気取込口24および内気取込口25が設けられている。また、吸気ダクト23には、サーボモータ26によって駆動されるインテークドア27が設けられている。インテークドア27は、外気取込口24を開放して内気取込口25を閉塞する外気導入位置と、内気取込口25を開放して外気取込口24を閉塞する内気循環位置とに移動自在となっている。チャンバ20内に外気を取り込む外気導入時には、インテークドア27が外気導入位置に作動する一方、チャンバ20内に内気を取り込む内気循環時には、インテークドア27が内気循環位置に作動する。また、吸気ダクト23には送風機であるブロワ28が設けられており、ブロワ28は動力源としてのブロワモータ29を有している。ブロワモータ29を回転させることにより、デフロスタ吹出口14、フェイス吹出口15およびフット吹出口16に向けて、ブロワ28から空気を送風することが可能となる。
図2に示すように、チャンバ20には、デフロスタ吹出口14を端部に備えるデフロスタダクト30と、フェイス吹出口15を端部に備えるフェイスダクト31と、フット吹出口16を端部に備えるフットダクト32とが接続されている。また、チャンバ20には、サーボモータ33によって駆動されるデフロスタドア34が設けられている。デフロスタドア34の開度を制御することにより、デフロスタダクト30の風量を調整することが可能となる。また、チャンバ20には、サーボモータ35によって駆動されるフェイスドア36が設けられている。フェイスドア36の開度を制御することにより、フェイスダクト31の風量を調整することが可能となる。さらに、チャンバ20には、サーボモータ37によって駆動されるフットドア38が設けられている。フットドア38の開度を制御することにより、フットダクト32の風量を調整することが可能となる。
また、図2に示すように、チャンバ20には、サーボモータ40によって駆動されるミックスダンパ41が設けられている。ミックスダンパ41はヒータコア22の上流側に設けられており、ミックスダンパ41によってヒータコア22に向かう空気の流れが制御されている。すなわち、図2に矢印aで示すように、ヒータコア22に近づける方向にミックスダンパ41を制御すると、ヒータコア22を通過する風量を減少させることができ、チャンバ20内における空気温度の上昇を抑制することが可能となる。また、図2に矢印bで示すように、ヒータコア22から離れる方向にミックスダンパ41を制御すると、ヒータコア22を通過する風量を増加させることができ、チャンバ20内における空気温度を上昇させることが可能となる。なお、ヒータコア22には、エンジン等によって暖められた温水が導かれている。
また、車両用空調装置10は、前述したブロワモータ29やサーボモータ26,33,35,37,40等を制御する制御ユニット(制御部)42を有している。また、制御ユニット42には、車室外の空気温度(以下、外気温と記載する)を検出する外気温センサ43、車室内の空気温度を検出する室温センサ44、車速を検出する車速センサ45、太陽からの日射量を検出する日射センサ46等が接続されている。そして、制御ユニット42は、適切な車内環境を維持するため、各種センサ43〜46からの検出信号に基づいて、ブロワモータ29やサーボモータ26,33,35,37,40等を制御している。なお、制御ユニット42は、制御信号等を演算するCPU、制御プログラムやデータ等が格納されるROM、および一時的にデータが格納されるRAM等によって構成されている。
続いて、車両用空調装置10が備える各種空調モードについて説明する。図3は各種空調モードを示した説明図である。図3に示すように、車両用空調装置10は、基本的な空調モードとして、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードおよびD/Fモードを有している。FACEモードは、フェイス吹出口15から空気を放出し、フット吹出口16およびデフロスタ吹出口14を閉塞する空調モードである。B/Lモードは、フェイス吹出口15およびフット吹出口16から空気を放出し、デフロスタ吹出口14を閉塞する空調モードである。また、FOOTモードおよびD/Fモードは、フット吹出口16およびデフロスタ吹出口14から空気を放出し、車内環境に応じてフェイス吹出口15を開放または閉塞する空調モードである。
図3に示すように、フット吹出口16およびデフロスタ吹出口14から空気を放出する空調モードとして、FOOTモードおよびD/Fモードが設けられている。FOOTモードは、更にFOOT1モードおよびFOOT2モードの2つに分けられている。フェイス吹出口15が閉塞される場合において、FOOT1モードは、総風量のうち、フット吹出口16から80%の風量を放出し、デフロスタ吹出口14から20%の風量を放出する空調モードとなる。また、フェイス吹出口15が閉塞される場合において、FOOT2モードは、総風量のうち、フット吹出口16から65%の風量を放出し、デフロスタ吹出口14から35%の風量を放出する空調モードとなる。さらに、フェイス吹出口15が閉塞される場合において、D/Fモードは、総風量のうち、フット吹出口16から50%の風量を放出し、デフロスタ吹出口14から50%の風量を放出する空調モードとなる。このように、FOOT1モード、FOOT2モードおよびD/Fモードにおいては、それぞれにフット吹出口16とデフロスタ吹出口14との風量割合が異なっている。なお、フット吹出口16とデフロスタ吹出口14との風量割合は、フットドア38やデフロスタドア34の開度制御によって調整されている。また、FOOTモードにおいては、FOOT1モードが初期設定の空調モードとなっている。
ここで、FOOT1モードを、デフロスタ吹出口14の風量を20%(第1割合)に調整する第1空調モードと見なした場合には、FOOT2モードとD/Fモードとの少なくとも一方が、デフロスタ吹出口14の風量を20%よりも大きな35%,50%(第2割合)に調整する第2空調モードとなっている。また、FOOT2モードを、デフロスタ吹出口14の風量を35%(第1割合)に調整する第1空調モードと見なした場合には、D/Fモードが、デフロスタ吹出口14の風量を35%よりも大きな50%(第2割合)に調整する第2空調モードとなっている。
次いで、制御ユニット42によって実行される空調制御について説明する。図4〜図10は空調制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。また、図11(a)〜(c)は空調制御に用いられる補正マップの一例を示す線図である。図12(a)〜(c)は空調制御に用いられる補正マップの一例を示す線図である。図13(a)および(b)は空調制御に用いられる補正マップの一例を示す線図である。なお、図6および図7のフローチャートは符号αで互いに接続されている。図8および図9のフローチャートは符号βで互いに接続されている。図8および図10のフローチャートは符号γで互いに接続されている。
図4に示すように、ステップS10では、各種データが読み込まれる。各種データとしては、外気温、日射量、車速、インテークドア27の位置、ミックスダンパ41の位置、現在の空調モード、現在のブロワモータ29の制御電圧等である。続いて、ステップS11では、インテークドア27が外気導入位置であるか否かが判定される。ステップS11において、外気導入位置であると判定された場合には、ステップS12に進み、現在の空調モードがFACEモードまたはB/Lモードであるか否かが判定される。ステップS12において、空調モードがFACEモードまたはB/Lモードであると判定された場合には、ステップS13に進み、空調制御(1)が実行される。一方、ステップS12において、空調モードが、FACEモードまたはB/Lモード以外、つまりFOOTモードまたはD/Fモードであると判定された場合には、ステップS14に進み、空調制御(2)が実行される。また、ステップS11において、インテークドア27が内気循環位置であると判定された場合には、ステップS15に進み、空調制御(3)が実行される。
続いて、空調制御(1)、空調制御(2)および空調制御(3)について詳細に説明する。インテークドア27が外気導入位置であり、かつ空調モードがFACEモードまたはB/Lモードである場合には、図5に示した空調制御(1)が実行される。図5に示すように、ステップS20では、外気温が所定温度A[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS20において、外気温がA以上であると判定された場合には、ステップS21に進み、車速に基づき図11(a)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V1が設定される。続くステップS22では、現在の制御電圧Voから補正電圧V1が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS23では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図11(a)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V1が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ28の風量(以下、ブロワ風量と記載する)が減少した状態となる。
なお、図11(a)に矢印Xaで示すように、車速が上昇する際には実線の特性線に沿って補正電圧V1が設定される一方、矢印Xbで示すように、車速が低下する際には破線の特性線に沿って補正電圧V1が設定される。同様に、後述する図11(b)、図11(c)、図12(a)、図12(b)、図12(c)、図13(a)、図13(b)においても、矢印Xaで示すように、車速が上昇する際には実線の特性線に沿って補正電圧V2〜V8が設定される。一方、矢印Xbで示すように、車速が低下する際には破線の特性線に沿って補正電圧V2〜V8が設定される。
図5に示すように、ステップS20において、外気温がA未満であると判定された場合には、ステップS24に進み、外気温が所定温度Aよりも低い所定温度B[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS24において、外気温がB以上であると判定された場合には、ステップS25に進み、車速に基づき図11(b)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V2が設定される。続くステップS26では、現在の制御電圧Voから補正電圧V2が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS23では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図11(b)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V2が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ風量が減少した状態となる。
また、ステップS24において、外気温がB未満であると判定された場合には、ステップS27に進み、車速に基づき図11(c)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V3が設定される。続くステップS28では、現在の制御電圧Voから補正電圧V3が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS23では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図11(c)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V3が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ風量が減少した状態となる。
このように、インテークドア27が外気導入位置であり、かつ空調モードがFACEモードまたはB/Lモードである場合には、車速が上昇する程にブロワ風量を減少させている。これにより、ラム圧によって外気取込口24に空気が押し込まれた場合であっても、車速に応じてブロワ風量が抑制されることから、フェイス吹出口15等からの風量が過度に増加することがなく、適切な車内環境を維持することが可能となる。また、図11(a)〜(c)に示すように、同じ車速であっても外気温の低下に伴って補正電圧を減少させている(V1>V2>V3)。すなわち、同じ車速であっても外気温が低下している場合には、ブロワ風量の引き下げ幅を縮小している。これにより、外気温が低下している場合にはブロワ風量の過度な減少を抑制することができるため、ラム圧によるフェイス吹出口15等からの風量増加を抑制しつつ車室内温度変化を抑制し、乗員の快適性を維持することが可能となる。
続いて、インテークドア27が外気導入位置であり、かつ空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードである場合に実行される空調制御(2)について説明する。図6に示すように、ステップS30では、外気温が所定温度C[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS30において、外気温がC以上であると判定された場合には、ステップS31に進み、車速に基づき図12(a)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V4が設定される。続くステップS32では、現在の制御電圧Voから補正電圧V4が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS33では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図12(a)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V4が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ風量が減少した状態となる。
一方、ステップS30において、外気温がC未満であると判定された場合には、ステップS34に進み、外気温が所定温度Cよりも低い所定温度D[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS34において、外気温がD以上であると判定された場合には、ステップS35に進み、車速に基づき図12(b)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V5が設定される。続くステップS36では、現在の制御電圧Voから補正電圧V5が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS33では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図12(b)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V5が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ風量が減少した状態となる。
また、ステップS34において、外気温がD未満であると判定された場合には、ステップS37に進み、車速に基づき図12(c)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V6が設定される。続くステップS38では、現在の制御電圧Voから補正電圧V6が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS39では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図12(c)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V6が大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが低下するため、ブロワモータ29の回転速度が低下してブロワ風量が減少した状態となる。
このように、インテークドア27が外気導入位置であり、かつ空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードである場合には、車速が上昇する程にブロワ風量を減少させている。これにより、ラム圧によって外気取込口24に空気が押し込まれた場合であっても、車速に応じてブロワ風量が抑制されることから、フット吹出口16等からの風量が過度に増加することがなく、適切な車内環境を維持することが可能となる。また、図12(a)〜(c)に示すように、同じ車速であっても外気温の低下に伴って補正電圧を減少させている(V4>V5>V6)。すなわち、同じ車速であっても外気温が低下している場合には、ブロワ風量の引き下げ幅を縮小している。これにより、外気温が低下している場合にはブロワ風量の過度な減少が抑制されるため、デフロスタ吹出口14から適切な風量で送風することができ、後述するコールドドラフトを抑制することが可能となる。
前述したように、図6のステップS34において外気温がD未満であった場合、つまりインテークドア27が外気導入位置であり、空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードであり、かつ外気温がD未満である場合には、コールドドラフトが発生し易い状況となっている。このため、図7のステップS40に進み、車速が所定車速G[km/h]以上であるか否かが判定される。ステップS40において、車速がG以上であると判定された場合には、ステップS41に進み、ブロワモータ29の制御電圧が所定電圧Q[V]以下であるか否かが判定される。ステップS41において、制御電圧がQ以下であり、ブロワ風量が少ないと判定された場合には、ステップS42に進み、日射量が所定量W[W/m2]以下であるか否かが判定される。ステップS42において、日射量がW以下である状況、つまり太陽の輻射エネルギーによってフロントウインド13が暖まり難い状況であると判定された場合には、ステップS43に進み、ミックスダンパ41が暖め側(図2の矢印b方向)に制御される。そして、ステップS44において、空調モードがFOOT1モードからD/Fモードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から50%に増加した状態となる。
また、ステップS40において、車速がG[km/h]未満であると判定された場合には、ステップS45に進み、日射量が所定量W以下であるか否かが判定される。ステップS45において、日射量がWを上回ると判定された場合には、フロントウインド13が暖まり易い状況であることから、送風温度や空調モードを維持したままルーチンを抜ける。一方、ステップS45において日射量がW以下であると判定された場合には、フロントウインド13が暖まり難い状況であることから、ステップS46において、空調モードがFOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から35%に増加した状態となる。同様に、ステップS41において制御電圧がQ以下であると判定された場合や、ステップS42において日射量が所定量W以下であると判定された場合にも、ステップS46に進み、空調モードがFOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。
このように、外気温が低下する走行状況においては、フロントウインド13が冷えることから、乗員に向けてフロントウインド13から下降気流(以下、コールドドラフトと記載する)が発生し、快適な車内環境を維持することが困難となる。そこで、コールドドラフトの発生が想定される走行状況においては、空調モードを切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を増加させ、フロントウインド13を積極的に暖めるようにしている。これにより、フロントウインド13の温度を上昇させ、コールドドラフトの発生を抑制することができ、快適な車内環境を維持することが可能となる。特に、コールドドラフトが発生し易い状況、つまり車速が高く、ブロワ風量が少なく、かつ日射量が少ない場合には、ミックスダンパ41を暖め側に制御するとともに、D/Fモードに切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を大きく増加させる。このように、コールドドラフトが発生し易い状況においては、より積極的にフロントウインド13を暖めることにより、快適な車内環境を維持している。
続いて、内気循環時に実行される空調制御(3)について説明する。図8に示すように、ステップS50では、現在の空調モードがFACEモードまたはB/Lモードであるか否かが判定される。ステップS50において、空調モードがFACEモードまたはB/Lモードであると判定された場合には、現在の空調モードやブロワ風量を維持したままルーチンを抜ける。一方、ステップS50において、空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードであると判定された場合には、ステップS51に進み、外気温が所定温度E[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS51において、外気温がE以上であると判定された場合には、コールドドラフトが発生し難い状況であることから、現在の空調モードやブロワ風量を維持したままルーチンを抜ける。
一方、ステップS51において、外気温がE未満であると判定された場合、つまりコールドドラフトが発生し易い状況であると判定された場合には、ステップS52に進み、外気温が所定温度Eよりも低い所定温度F[℃]以上であるか否かが判定される。ステップS52において、外気温がF以上であると判定された場合には、ステップS53に進み、車速に基づき図13(a)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V7が設定される。続くステップS54では、現在の制御電圧Voから補正電圧V7が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS55では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図13(a)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V7がマイナス側に大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが上昇するため、ブロワモータ29の回転速度が上昇してブロワ風量が増加することになる。
このように、インテークドア27が内気循環位置であり、空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードであり、かつ外気温がF〜Eの範囲内である場合には、車速に応じてブロワ風量が引き上げられる。次いで、図9に示すように、ステップS60に進み、車速が所定車速H[km/h]以上であるか否かが判定される。ステップS60において、車速がH以上であると判定された場合には、ステップS61に進み、ブロワモータ29の制御電圧が所定電圧R[V]以下であるか否かが判定される。ステップS61において、制御電圧がR以下であり、ブロワ風量が少ないと判定された場合には、ステップS62に進み、日射量が所定量X[W/m2]以下であるか否かが判定される。ステップS62において、日射量がX以下である状況、つまりフロントウインド13が暖まり難い状況であると判定された場合には、ステップS63に進み、ミックスダンパ41が暖め側(図2の矢印b方向)に制御される。そして、ステップS64において、空調モードがFOOT1モードからD/Fモードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から50%に増加した状態となる。
また、ステップS62において日射量が所定量Xを超えると判定された場合には、ステップS65に進み、日射量が所定量Xよりも多い所定量Y[W/m2]以下であるか否かが判定される。そして、ステップS65において、日射量がY以下である状況、つまりフロントウインド13が暖まり難い状況であると判定された場合には、ステップS66に進み、空調モードがFOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から35%に増加した状態となる。
このように、内気循環時においても、外気温が低下する走行状況においては、フロントウインド13が冷えることから、乗員に向けてコールドドラフトが発生するおそれがある。そこで、コールドドラフトの発生が想定される走行状況においては、空調モードを切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を増加させ、フロントウインド13を積極的に暖めるようにしている。これにより、フロントウインド13の温度を上昇させ、コールドドラフトの発生を抑制することができ、快適な車内環境を維持することが可能となる。特に、コールドドラフトが発生し易い状況、つまり車速が高く、ブロワ風量が少なく、かつ日射量が少ない場合には、ミックスダンパ41を暖め側に制御するとともに、D/Fモードに切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を大きく増加させる。このように、コールドドラフトが発生し易い状況においては、より積極的にフロントウインド13を暖めることにより、快適な車内環境を維持している。
なお、ステップS60において車速がH未満であった場合、ステップS61において制御電圧がRを超えた場合、或いはステップS65において日射量がYを超えた場合には、フロントウインド13が冷え難い状況或いはフロントウインド13が暖まり易い状況である。すなわち、コールドドラフトが発生し難い状況であることから、送風温度や空調モードを維持したままルーチンを抜ける。
また、図8に示すように、ステップS52において、外気温がF未満であると判定された場合には、ステップS56に進み、車速に基づき図13(b)の補正マップを参照し、ブロワモータ29の補正電圧V8が設定される。続くステップS57では、現在の制御電圧Voから補正電圧V8が減算され、ブロワモータ29の目標電圧Vtが算出される。そして、ステップS58では、目標電圧Vtに基づいてブロワモータ29が制御される。ここで、図13(b)に示すように、車速が上昇する程に補正電圧V8がマイナス側に大きく設定されている。すなわち、車速が上昇する程に目標電圧Vtが上昇するため、ブロワモータ29の回転速度が上昇してブロワ風量が増加することになる。
このように、インテークドア27が内気循環位置であり、空調モードがFOOTモードまたはD/Fモードであり、かつ外気温がE未満である場合には、車速に応じてブロワ風量が引き上げられる。次いで、図10に示すように、ステップS70に進み、車速が所定車速I[km/h]以上であるか否かが判定される。ステップS70において、車速がI以上であると判定された場合には、ステップS71に進み、ブロワモータ29の制御電圧が所定電圧S[V]以下であるか否かが判定される。ステップS71において、制御電圧がS以下であり、ブロワ風量が少ないと判定された場合には、ステップS72に進み、日射量が所定量Z[W/m2]以下であるか否かが判定される。ステップS72において、日射量がZ以下である状況、つまりフロントウインド13が暖まり難い状況であると判定された場合には、ステップS73に進み、ミックスダンパ41が暖め側(図2の矢印b方向)に制御される。そして、ステップS74において、空調モードがFOOT1モードからD/Fモードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から50%に増加した状態となる。
また、ステップS70において、車速がI[km/h]未満であると判定された場合には、ステップS75に進み、日射量が所定量Z[W/m2]以下であるか否かが判定される。ステップS75において、日射量がZを上回ると判定された場合には、フロントウインド13が暖まり易い状況であることから、送風温度や空調モードを維持したままルーチンを抜ける。一方、ステップS75において日射量がZ以下であると判定された場合には、フロントウインド13が暖まり難い状況であることから、ステップS76において、空調モードがFOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。このように、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合が20%から35%に増加した状態となる。同様に、ステップS71において制御電圧がS以下であると判定された場合や、ステップS72において日射量がZ以下であると判定された場合にも、フロントウインド13が暖まり難い状況であることから、ステップS76に進み、空調モードがFOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。
このように、内気循環時においても、外気温が低下する走行状況においては、フロントウインド13が冷えることから、乗員に向けてコールドドラフトが発生するおそれがある。そこで、コールドドラフトの発生が想定される走行状況においては、空調モードを切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を増加させ、フロントウインド13を積極的に暖めるようにしている。これにより、フロントウインド13の温度を上昇させ、コールドドラフトの発生を抑制することができ、快適な車内環境を維持することが可能となる。特に、コールドドラフトが発生し易い状況、つまり車速が高く、ブロワ風量が少なく、かつ日射量が少ない場合には、ミックスダンパ41を暖め側に制御するとともに、D/Fモードに切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を大きく増加させる。このように、コールドドラフトが発生し易い状況においては、より積極的にフロントウインド13を暖めることにより、快適な車内環境を維持している。
これまで説明したように、外気温が低下する走行状況においては、フロントウインド13が冷えてコールドドラフトが発生することから、空調モードを切り替えてデフロスタ吹出口14の風量割合を増加させ、コールドドラフトの発生を抑制している。続いて、この空調モードの切り替えによるコールドドラフトの抑制制御、つまり図4〜図10のフローチャートに沿って説明した空調制御について、一覧表にまとめて説明する。ここで、図14は外気導入時かつFOOTモードまたはD/Fモード設定時における空調制御の内容を示す表である。また、図15は内気循環時かつFOOTモードまたはD/Fモード設定時における空調制御の内容を示す表である。また、外気温と比較判定されるD,E,F[℃]は温度閾値であり、車速と比較判定されるG,H,I[km/h]は速度閾値であり、日射量と比較判定されるW,X,Y,Z[W/m2]は日射閾値である。さらに、ブロワモータ29の制御電圧はブロワ風量に連動することから、制御電圧と比較判定されるQ,R,S[V]は風量閾値に相当する値である。
まず、図14を用いて外気導入時における空調制御について説明する。図14に符号a1で示すように、外気温がD未満であり、車速がG以上であり、制御電圧がQ以上である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。図14に符号b1で示すように、外気温がD未満であり、車速がG以上であり、制御電圧がQ以上であり、日射量がW以上である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。図14に符号c1で示すように、外気温がD未満であり、車速がG以上であり、制御電圧がQ未満であり、日射量がW未満である場合には、特にフロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えられ、更にミックスダンパ41が暖め側に制御される。図14に符号d1で示すように、外気温がD未満であり、車速がG未満であり、日射量がW未満である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。
このように、図14に符号a1〜d1で示した各走行状況においては、フロントウインド13が冷え易い走行状況であることから、空調モードをFOOT2モードやD/Fモードに切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合を増加させている。これにより、フロントウインド13を積極的に暖めることができ、コールドドラフトの発生を抑制することが可能となる。また、外気導入時においては、図12(a)〜(c)の補正マップを参照して補正電圧V4〜V6を設定し、ブロワモータ29の目標電圧Vtを減少側に補正している。このように、外気導入時においては、車速上昇に応じてブロワ風量を減少させることにより、ラム圧による風量の過度な増加を抑制することができ、適切な車内環境を維持することが可能となる。
続いて、図15を用いて内気循環時における空調制御について説明する。図15に符号a2で示すように、外気温がF以上E未満であり、車速がH以上であり、制御電圧がR未満であり、日射量がX以上Y未満である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。図15に符号b2で示すように、外気温がF以上E未満であり、車速がH以上であり、制御電圧がR未満であり、日射量がX未満である場合には、特にフロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えられ、更にミックスダンパ41が暖め側に制御される。図15に符号c2で示すように、外気温がF未満であり、車速がI以上であり、制御電圧がS未満であり、日射量がZ以上である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。図15に符号d2で示すように、外気温がF未満であり、車速がI以上であり、制御電圧がS未満であり、日射量がZ未満である場合には、特にフロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからD/Fモードに切り替えられ、更にミックスダンパ41が暖め側に制御される。図15に符号e2で示すように、外気温がF未満であり、車速がI未満であり、日射量がZ未満である場合には、フロントウインド13が冷え易い状況であることから、FOOT1モードからFOOT2モードに切り替えられる。
このように、図15に符号a2〜e2で示した各走行状況においては、フロントウインド13が冷え易い走行状況であることから、空調モードを切り替えることにより、デフロスタ吹出口14の風量割合を増加させている。これにより、フロントウインド13を積極的に暖めることができ、コールドドラフトの発生を抑制することが可能となる。また、内気循環時においては、図13(a)および(b)の補正マップを参照して補正電圧V7,V8を設定し、ブロワモータ29の目標電圧Vtを増加側に補正している。このように、内気循環時においては、車速上昇に応じてブロワ風量を増加させることにより、コールドドラフトを抑制するだけでなく、フロントウインド13の曇りを防止することが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、第1空調モードとしてFOOT1モードやFOOT2モードを例示し、第2空調モードとしてFOOT2モードやD/Fモードを例示しているが、これらの空調モードに限られることはなく、他の空調モードであっても良いことはいうまでもない。例えば、総風量の全てをデフロスタ吹出口14から放出するデフロスタモードを設定し、デフロスタモードを第2空調モードとして設定しても良い。また、前述の説明では、第2吹出口としてフット吹出口16を挙げているが、これに限られることはなく、第2吹出口としてフェイス吹出口15を採用しても良く、第2吹出口としてフェイス吹出口15とフット吹出口16との双方を採用しても良い。
また、前述の説明では、FOOT1モードからFOOT2モードまたはD/Fモードに切り替える条件として、図14に符号a1〜d1で示した条件や、図15に符号a2〜e2で示した条件を例として挙げているが、これらの条件に限られることはない。例えば、外気温だけに基づいてFOOT2モードやD/Fモードへの切り替えを判定しても良く、外気温および車速に基づいてFOOT2モードやD/Fモードへの切り替えを判定しても良い。また、外気温および日射量に基づいてFOOT2モードやD/Fモードへの切り替えを判定しても良く、外気温およびブロワ風量に基づいてFOOT2モードやD/Fモードへの切り替えを判定しても良い。なお、車両用空調装置10の構造としては、図2に例示した構造に限られることはなく、他の構造であっても良いことはいうまでもない。