JP6325345B2 - マグネトロン - Google Patents

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Description

実施形態の発明は、マグネトロンに関する。
電子レンジ、高周波医療機器、マイクロ波通信機器等のマイクロ波を利用した電子機器には、マイクロ波発生装置としてマグネトロンが用いられている。例えば、マグネトロンは、陽極および陰極を備え、陽極と陰極との間の作用空間によりマイクロ波を発振する電磁波生成部と、電磁波生成部に電力を供給する入力部と、電磁波生成部により生じたマイクロ波をアンテナリードを介して出力する出力部と、を具備する。
マグネトロンは、数多くの精密部材からなり、複雑な構造を有していることから、ろう材により構成部材同士を接合することが好適である。このとき、接合が不十分であるとマグネトロンの発振周波数が所望の値からずれ、リーク不良や出力不良、または製品寿命が短くなる等の問題が起こりやすくなる。また、マグネトロンによりノイズが発生または増大することで衛星放送やラジオ受信に影響を及ぼす場合もある。よって、マグネトロンを正常に動作させるためには、ろう材による接合強度が重要となる。
ろう材としては、例えば銀ろう材、Mo−Ru系ろう材、C−B−Mo系ろう材等が知られている。特に、銀ろう材は、他のろう材に比べ高い接合強度が得られるため、金属加工の分野で多用されているポピュラーな材料であり、マグネトロンへの使用においても長年の使用実績を有している。しかしながら、銀は希少金属であり、単位価格が高く、また相場の状況により価格が大きく変動する。よって、例えばBAg−8(JIS)等の主成分が銀である銀ろう材を用いて複数の構成部材同士を接合しようとすると、マグネトロンの製造コストが高くなってしまうといった問題を有していた。このため、コストが低く、銀ろう材と同等またはそれ以上の接合強度を有する新規ろう材が求められている。
特開平3−194830号公報 国際公開WO2011−136282号公報 特許第4667441号公報
実施形態の発明が解決しようとする課題は、構成部材の接合強度を高めつつマグネトロンの製造コストを削減することである。
実施形態のマグネトロンは、中空部を有する陽極円筒と、陽極円筒の内壁に接合され、中空部の中心軸に向かって延在する陽極ベインと、陽極ベインの上面または下面に接合されたストラップリングと、陽極ベインと離間するように中空部の中心軸に沿って設けられた陰極ロッドと、陰極ロッドに巻回された陰極フィラメントと、陽極ベインに接合され、陽極ベインと陰極ロッドとの間で発生するマイクロ波を出力するためのアンテナリードと、を具備する。陽極円筒および陽極ベイン、陽極ベインおよびアンテナリードと、陽極ベインおよびストラップリングの少なくとも一組を接合するように設けられ、銅および錫の合金を含むろう材層と、を具備する。銅および錫の合金中の錫濃度は、11質量%以上38質量%未満である。
接合部の構造例を示す模式図である。 接合部の構造例を示す模式図である。 マグネトロンの構成例を示す断面模式図である。 マグネトロンの製造方法例を説明するためのフローチャートである。 接合部断面の顕微鏡観察写真である。 接合部断面の顕微鏡観察写真である。 ろう材層中の錫濃度とマグネトロンの出力効率との関係を示す図である。 各サンプルの出力効率を示す図である。
実施形態のマグネトロンは、入力部、電磁波生成部、および出力部に大きく分けられる。実施形態のマグネトロンは、中空部を有する陽極円筒と、陽極円筒の内壁に接合され、陽極円筒の中空部の中心軸に向かって延在する陽極ベインと、陽極ベインの上面または下面に接合されたストラップリングと、陽極円筒と離間するように中空部の中心軸に沿って設けられた陰極ロッドと、陰極ロッドに巻回された陰極フィラメントと、陽極ベインに接合されたアンテナリードと、を少なくとも具備する。
さらに、実施形態のマグネトロンは、陽極円筒および陽極ベイン、陽極ベインおよびストラップリング、ならびに陽極ベインおよびアンテナリードの少なくとも一組を接合するように設けられたろう材層を具備する。ろう材層の例について図1および図2を参照して説明する。
図1および図2は、接合部の構造例を示す断面模式図である。図1および図2では、構成部材11と、構成部材12と、構成部材11と構成部材12とを接合するろう材層13と、を図示している。構成部材11および構成部材12のそれぞれは、陽極円筒、陽極ベイン、ストラップリング、およびアンテナリードのうち、ろう材層により接合された部材のいずれかである。例えば、陽極円筒と陽極ベインとの接合部の場合、構成部材11および構成部材12の一方が陽極円筒であり、他方が陽極ベインとなる。構成部材11、12としては、例えば銅(例えば無酸素銅)等のシート抵抗が低い材料を用いることが好ましい。なお、これに限定されず、例えば鉄等の金属材料やアルミナ等のセラミック材料を用いてもよい。
図1に示すろう材層13は、構成部材11および構成部材12に接して設けられている。図1では、構成部材11と構成部材12との間にもろう材層13の一部が形成されているが、これに限定されず、構成部材11と構成部材12とが接していてもよい。また、図2に示すように、構成部材11と構成部材12との間にろう材層13を設けてもよい。
ろう材層13は、銅および錫の合金を含む。当該合金は例えば青銅合金である。ろう材層13は、例えば銅および錫の合金組成や相状態等によって、機械的特性、熱的特性、または電気的特性等が大きく変化する。よって、ろう材層13において所望の特性を得るためには銅および錫の合金の組成や製造条件の制御が必要である。上記のようなろう材層13の特性は、マグネトロンの性能に大きく影響する。
例えば、ろう材層13による接合強度は、マグネトロンの信頼性や出力効率等の低下を抑制するために重要である。必要な接合強度を得るためには、ろう材層13の融点が650℃よりも高いことが好ましい。マグネトロンは真空管の一種であり、組立て後に、真空での排気工程を経て完成するものである。排気工程は排気炉で行われるのが一般的である。このとき、陽極等を中心に約650℃まで温度が上昇する。ろう材層13の融点が650℃以下の場合には、接合後のろう材層13が排気工程により分解し、製品不良が起こる可能性がある。なお、余裕度を考慮すると、ろう材層13の融点は、700℃以上、さらには740℃以上であることがより好ましい。
前述のとおり、ろう材層13の融点は650℃よりも高いことが好ましい。しかしながら、製造設備に与えられる負荷や製造コストの観点から考えると、ろう材層13の融点が極端に高いことは好ましくない。例えば、100%の銅からなる銅ろう材の融点が仮に1083℃である場合、構成部材11または構成部材12に銅を用いるためには、1083℃未満の温度で接合等の処理を行うことが必要となる。その他にも接合部に与えるダメージや、加熱設備の負荷等を総合的に勘案すると、ろう材層13の融点は1000℃以下であることが好ましい。さらに、設備に与える負荷を重視すると、ろう材層13の融点は、920℃以下であることがより好ましい。
ろう材層13の融点は、ろう材層13の銅および錫の合金に含まれる錫濃度が低くなるにつれて上昇する。例えば、ろう材層13の融点を650℃よりも高くするためには、錫濃度を60質量%未満にする必要がある。合金中の錫濃度を60質量%未満にすることにより、ろう材層13の分解等が抑制され、高い接合強度を得ることができるため、接合不良等を抑制することができる。また、ろう材層13の融点を700℃以上にするためには、合金中の錫濃度を50質量%以下にし、740℃以上にするためには合金中の錫濃度を40質量%以下にする必要がある。また、ろう材層13の融点を1000℃以下にするためには、合金中の錫濃度を11質量%以上にする必要があり、ろう材層13の融点を920℃以下にするためには、ろう材層13の合金中の錫濃度を20質量%以上にする必要がある。
また、マグネトロンの出力効率を高めるためには、電磁波生成部における構成部材の接合部の電気抵抗を低くすることも重要である。マグネトロンの電磁波生成部では、陰極から放射された電子が、円軌道を描きながら内部を周回し、やがて陽極に到達する。このとき、電磁波生成部内は大量の電子流の通り道となるため、構成部材の電気抵抗が小さいことが好ましい。
接合部の電気抵抗を低くするためには、構成部材の電気抵抗に加え、ろう材層13の電気抵抗(例えばシート抵抗)も低くする必要がある。例えば、銅を用いて構成部材11、12を構成する場合、電気抵抗の観点からろう材層13として構成部材11、12と同じ銅のろう材を用いることが最も好ましいが、その他の実用特性等を考慮すると、銅および錫の合金材料を用いる必要がある。しかしながら、銅のシート抵抗が16.78nΩ・mであるのに対し、錫のシート抵抗は銅の約8倍の115nΩ・mであるため、錫濃度が高くなるほど、銅および錫の合金のシート抵抗が高くなる。
ろう材層13において、銅および錫の合金中の錫濃度が38質量%以上になると、電気抵抗が高くなり、マグネトロンの出力効率が大幅に低下する。これに対し、銅および錫の合金中の錫濃度を38質量%未満にすることにより、ろう材層13の電気抵抗による問題が抑制され、最終製品のマグネトロンにおいてマイクロ波の出力効率を実用レベルにすることができる。このとき、銅および錫の合金中の錫濃度の下限値について、製品特性上の制限は無く、マグネトロンの出力効率等に問題はない。ただし、錫濃度が極端に低くなると、製造条件の面から制約を受ける場合がある。
上記ろう材層13の温度特性や電気特性の観点から、本実施形態のマグネトロンでは、ろう材層13の銅および錫の合金中の錫濃度を11質量%以上38質量%未満としている。このとき、合金中の錫以外の残部は、銅としてもよい。ろう材層13の銅および錫の合金中の錫濃度を11質量%以上38質量%未満にすることにより、熱によるろう材成分の分解を抑制しつつ、少なくとも一部のシート抵抗を低くすることができる。さらに、接合部の接合強度を高め、マグネトロンの出力効率を高めることができる。
さらに、ろう材層13は、少なくとも一部に銅および錫の合金相を有していてもよい。例えば、図1および図2に示すように、ろう材層13は、領域14と領域15の複数の相を有することが好ましい。領域14の銅および錫の合金中の錫濃度は、領域15の銅および錫の合金中の錫濃度よりも高い。換言すると、領域14は銅および錫の合金中の錫濃度として第1の錫濃度を有し、領域15は銅および錫の合金中の錫濃度として第2の錫濃度を有し、第1の錫濃度は第2の錫濃度よりも高い。前述のとおり、銅および錫の合金では錫濃度が低いほどシート抵抗が低くなるため、領域15のシート抵抗は領域14のシート抵抗よりも低い。領域14および領域15のそれぞれは、結晶相であってもよい。図1に示す領域14は、接合部の表面部から中心部に向かって枝状に分岐しながら形成されている。なお、領域14の形状や個数、面積等は、図1および図2に限定されない。領域14および領域15を形成することにより、領域15が導電パスとして機能し、マグネトロンの出力効率を高めることができる。
ろう材層13の各領域における錫濃度は、例えば、以下のように求めることができる。ろう材層13全体をX、錫濃度の高い領域14をA、Bとする。このとき、領域14が3ケ所以上存在する場合は、以下順次C、D、E・・として区別する。
次に、レーザー顕微鏡を用いて、X、A、Bのそれぞれの輪郭をトレースし、各部の面積SX、SA、SBを求める。次に、錫濃度が高いAまたはBで任意の3点を選択し、錫濃度の定量分析を行い、3点の平均値をN1とする。一方、錫濃度の低い領域でも任意の3点を選択し、錫濃度の定量分析を行い、3点の平均値をN2とする。ろう材層13の錫濃度Zは、各分析点の加重平均を用いて下記式(1)のとおり求めることができる。なお、ここでの錫濃度は、計算により求められた値のうち、小数点以下を四捨五入して得られた数値とする。
Z={N1×(SA+SB)/SX+N2×(SX−SA−SB)/SX}×100…(1)
なお、ろう材層13を形成する際の出発材料中の錫濃度が極端に低い等の理由により、錫濃度の偏析状態を判別することが困難な場合には、ろう材層13全体が均一濃度であると仮定し、任意の6ケ所の錫濃度を平均して求める(小数点以下は四捨五入)。
ろう材層13は、例えば以下のように形成される。所定の比率の銅と錫との合金を粉砕して金属粉末とする。次に、当該金属粉末に樹脂を加えて作製したろう材ペーストを加熱し、構成部材11と構成部材12と固着する。以上により、構成部材11と構成部材12とを接合するろう材層13を形成することができる。
金属粉末の粒径は、特に限定されるものではないが、例えば8〜12μm程度であることが好ましい。上記粒径にすることにより、金属粉末と樹脂とを混合した際のろう材ペーストの均一性(金属粉末の分散性)を高めることができる。
金属粉末に加える樹脂としては、例えばポリビニルアルコールを用いることができる。これに限定されず、バインダとして使用可能なものであれば他の材料を用いてもよい。例えば、アルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等の市販の有機材料を用いることができる。本実施形態では、上記材料に溶剤とフラックスを加え、十分に練り込んだ形でペーストを作製する。
ろう材ペーストは、60〜90質量%を金属粉末をとし、残部を樹脂成分とすることが好ましい。金属粉末が90質量%を超えた場合、ペーストの流動性が悪くなり、均一な塗布膜を得ることが困難となる。一方、金属粉末の混合割合が少ない場合、ペーストの塗布性に問題はないが、有機材料成分の割合が多すぎるため、別の問題が生じる。ペースト塗布後の焼成条件にもよるが、樹脂成分が多すぎると、樹脂成分が十分に熱分解されず、接合部表面に有機炭化物が残存しやすくなる。有機炭化物が残存すると、接合部分の電気抵抗が高くなり、マグネトロンの出力効率が低下するといった問題が生じる。
なお、ろう材はペーストに限定されない。例えば、同じ合金を含む合金板や合金ワイヤ等の固体状のろう材を用いても同様の接合特性を得ることができる。ペーストの場合、接合部に塗布することでろう付けが行われるが、板材やワイヤの場合は接合部の隙間に適度な大きさの合金ワイヤ等を挟み込むことで、同様に処理することが可能である。ただし、この合金系を使用する場合、材料の硬度に注意する必要がある。例えば、67質量%の銅および33質量%の錫の合金の場合、硬度が非常に高いため板状やワイヤ状に塑性加工を行うことが困難となる。これに対し、ペースト状のろう材は加工性が高く扱いやすい。
また、領域14を形成する場合、例えばろう材層13の合金中の錫濃度や、ろう材層13を形成する際の融解後の冷却速度を制御して、ろう材層13を偏析させることで領域14を形成することができる。
このように、実施形態のマグネトロンでは、錫濃度を調整した銅および錫の合金を含むろう材層により構成部材同士を接合することにより、銀等の希少金属を用いなくても、高い接合強度を得ることができ、出力効率の低下等を抑制することができる。また、ろう材のコストを削減することができるため、マグネトロンの製造コストを削減することができる。
さらに、実施形態のマグネトロンの具体例について図3を参照して説明する。図3は、マグネトロンの構成例を示す模式図である。図3に示すマグネトロン20は、陽極円筒21と、陽極ベイン22と、ストラップリング23、24と、陰極ロッド25と、陰極フィラメント26と、ポールピース27、28と、トップハット29と、エンドハット30と、アンテナリード31と、金属容器32、33と、永久磁石34、35と、放熱フィン36と、ヨーク37と、陰極ステム38と、コイル39と、コンデンサ40と、フィルタケース41と、絶縁筒42と、排気管43と、キャップ44と、を具備する。
陽極円筒21は、中空部を有する。陽極ベイン22は、陽極円筒21の内壁から中空部の中心軸mに向かって延在するように複数設けられる。陽極ベイン22の外端は陽極円筒21に接合され、内端はどこにも接しておらず遊端となっている。中心軸mに平行な方向からみて、複数の陽極ベイン22は放射状に設けられている。陽極ベイン22は、共振板としての機能を有する。また、陽極円筒21および陽極ベイン22は、電磁波生成部の陽極としての機能を有する。
ストラップリング23は、陽極ベイン22の上および下に位置するように複数設けられている。ストラップリング24は、ストラップリング23の外周側に位置し、陽極ベイン22の上および下に位置するように複数設けられている。ストラップリング24の径は、ストラップリング23の径よりも大きい。複数の陽極ベイン22における任意の陽極ベイン22を基準としたとき、奇数番目の陽極ベイン22のそれぞれの上面は、ストラップリング24に接合され、下面は、ストラップリング23に接合されている。偶数番目の陽極ベイン22のそれぞれの上面は、ストラップリング23に接合され、下面はストラップリング24に接合されている。
陰極ロッド25は、複数の陽極ベイン22に囲まれるように設けられ、且つ複数の陽極ベイン22の遊端と離間するように中心軸mに沿って設けられる。陰極フィラメント26は、中心軸mに沿って陰極ロッド25に巻回されるように螺旋状に設けられる。陰極ロッド25および陰極フィラメント26は、電磁波生成部の陰極としての機能を有する。
ポールピース27は、陽極ベイン22上に位置するように陽極円筒21に接合される。ポールピース28は、陽極ベイン22下に位置するように陽極円筒21に接合される。ポールピース27、28のそれぞれは、中央に貫通孔を備える漏斗形状を有する。ポールピース27、28の貫通孔の中心軸は、陽極円筒21の中心軸mに位置している。ポールピース27、28は、集磁板としての機能を有する。また、ポールピース27は、アンテナリード31を延在させるための開口部を有する。
トップハット29およびエンドハット30は、陰極フィラメント26を挟むように設けられる。トップハット29およびエンドハット30は、陰極ロッド25を延在させるための貫通孔を有する。トップハット29およびエンドハット30の貫通孔を介して陰極ロッド25が延在する。
アンテナリード31は、陽極ベイン22に接合され、ポールピース27に設けられた開口部を介して延在する。アンテナリード31は、陽極ベイン22と陰極フィラメント26との間の作用空間により生成されるマイクロ波を外部に放射する機能を有する。
金属容器32は、ポールピース27上に位置するように陽極円筒21に接合される。金属容器33は、ポールピース28下に位置するように陽極円筒21に接合される。金属容器32、33は、開口部を有する。永久磁石34は、ポールピース27上に設けられ、金属容器32を囲むように設けられる。永久磁石35は、ポールピース28下に設けられ、金属容器33を囲むように設けられる。永久磁石34、35は、例えば中空部を有する環状構造であり、中空部に金属容器32または金属容器33が設けられる。放熱フィン36は、陽極円筒21に接する。放熱フィン36は、マイクロ波を発生させる際に生じる熱を陽極円筒21を介して外部に放出する機能を有する。
ヨーク37は、電磁波生成部を囲むように設けられる。具体的には、ヨーク37は、陽極円筒21と、陽極ベイン22と、ストラップリング23、24と、陰極ロッド25と、陰極フィラメント26と、ポールピース27、28と、トップハット29と、エンドハット30と、アンテナリード31と、金属容器32、33と、永久磁石34、35と、放熱フィン36と、を囲むように設けられる。ポールピース27、28、永久磁石34、35、およびヨーク37は、陽極円筒21の中心軸m方向に磁場を発生させる励磁回路としての機能を有する。また、ヨーク37は、放熱フィン36に接する。これにより、放熱フィン36を通じて伝わった熱は、ヨーク37を介して外部に放出される。
陰極ステム38は、金属容器33の開口部の端部に接合される。例えば、ろう材を用いて陰極ステム38を金属容器33に接合してもよい。また、陰極ロッド25は、金属容器33の開口部を介して陰極ステム38に接続される。陰極ステム38としては、例えばセラミック材料等を用いることができる。
コイル39は、陰極ステム38に接する。コンデンサ40は、コイル39に電気的に接続される。コイル39およびコンデンサ40は、入力部のフィルタ回路としての機能を有する。フィルタケース41は、陰極ステム38およびコイル39を囲むように設けられる。マグネトロン20では、入力部からフィラメント印加電力および動作電圧が陰極ステム38を介して陰極ロッド25に供給される。
絶縁筒42の下面は、金属容器32の開口部の端部に接合されている。絶縁筒42は、トップとしての機能を有する。例えば、ろう材を用いて絶縁筒42を金属容器32に接合することができる。絶縁筒42としては、例えばセラミック材料等を用いることができる。排気管43は、絶縁筒42の上面に接合されている。例えば、ろう材を用いて排気管43を絶縁筒42に接合することができる。さらに、アンテナリード31は、ポールピース27の貫通孔、金属容器32の開口部、絶縁筒42を介して排気管43に接する。すなわち、アンテナリード31は、出力部まで延在するように設けられる。キャップ44は、排気管43を覆うように設けられる。
図3に示すマグネトロン20では、陰極フィラメント26と陽極ベイン22との間に作用空間が形成される。作用空間内に生じる電界と、励磁回路により中心軸m方向に発生させた磁界と、コイル39等の入力部から供給されるフィラメント印加電力および動作電圧によって、陰極フィラメント26から放出された熱電子は作用空間で周回運動を行うことによって、マイクロ波を発振させる。マイクロ波はアンテナリード31を介して出力部から外部に放射される。
図4は、実施形態のマグネトロンの製造方法例を説明するためのフローチャートである。マグネトロンの製造方法例では、図4に示すように、前工程S1において各構成部材の仮組立を行い、その後ろう付けによりろう材層等を形成することで構成部材同士を接合する。その後排気工程S2において加熱処理を行ってもよい。次に、仕上工程S3、外装工程S4を経てマグネトロンが製造される。さらに、試験工程S5においてマグネトロンの出力特性等を検査する。また、試験工程S5において、構成部材同士の接合強度を測定してもよい。
図3に示すマグネトロン20は、前述したとおり、陽極円筒21および陽極ベイン22、陽極ベイン22およびストラップリング23、24、ならびに陽極ベイン22およびアンテナリード31の少なくとも一組を接合するように設けられ、銅および錫の合金を含むろう材層を具備する。なお、これに限定されず、例えば図1および図2に示すろう材層13と同じ材料を適用することが可能であれば、他の構成部材同士の接合に上記ろう材層を用いてもよい。例えば、金属容器32および絶縁筒42、ならびに金属容器33および陰極ステム38の少なくとも一組を接合するように上記と同じ材料のろう材層を設けてもよい。ろう材層の説明としては、図1および図2に示すろう材層13の説明を適宜援用することができる。
図5は、マグネトロン20における陽極円筒21と陽極ベイン22との接合部断面の顕微鏡観察写真であり、図6は図5の一部の拡大写真である。図5は、倍率300倍での顕微鏡観察写真であり、図6は、倍率1000倍での顕微鏡観察写真である。なお、顕微鏡観察に用いたマグネトロンは、ろう材として71質量%の銅および29質量%の錫の合金を含むろう材層を具備する。上記マグネトロンにおいて、構成部材間の接合強度や、マグネトロン製品特性等は、実用レベルである。
図5の顕微鏡観察写真では、陽極円筒21と陽極ベイン22とに接するろう材層50が形成されていることがわかる。図5および図6からわかるように、ろう材層50は、接合部表面を被覆するように固形厚膜を形成している。さらに、詳細確認すると、ろう材層50は、色の濃い部分と色の薄い部分の2種類に大別することができる。色の濃い部分は、図1の領域14に相当し、色の薄い部分は領域15に相当する。図5では、領域51aないし領域51cの少なくとも3箇所に色の濃い部分が形成されている。色の濃い部分を観察すると接合部の表面から奥部に向かって枝状に分岐しながら、延在していることがわかる。
図5に示す接合部断面において、銅と錫の元素マッピングおよび、組成定量分析等を行うと、色の濃い部分では、銅濃度が色の薄い部分よりも低く、錫濃度が色の薄い部分よりも高い。換言すると、色の薄い部分では銅濃度が色の濃い部分よりも高く、錫濃度が色の高い部分よりも低い。さらに、図6のポイント61およびポイント62における元素の定量分析結果を表1に示す。表1からポイント61およびポイント62の錫濃度および銅濃度の割合は、元素マッピングの結果に沿うものである。また、ポイント61に相当する、錫濃度の高い領域について、組織の詳細分析を行うと、銅と錫との共析晶を有することがわかる。
Figure 0006325345
このように、接合後のろう材層では、銅元素と錫元素の濃度分布が、ろう材層全体で均一ではなく、錫濃度が相対的に高い領域と低い領域が偏在する。さらに、ろう材中の錫濃度が変化した場合における、銅と錫濃度分布の変化と、マグネトロンの製品特性に対する影響について図7を参照して説明する。
図7は、ろう材層中の錫濃度とマグネトロンの出力効率との関係を示す図である。図7において、横軸はろう材層中の錫濃度(質量%)を表し、縦軸はマグネトロンの出力効率(%)を表す。このとき、ろう材層として銅および錫の合金を含むろう材を用いたマグネトロンの出力効率を、ろう材層として銀ろう材を用いたマグネトロンの出力効率を標準(100%)としたときの相対値で表す。図7からわかるとおり、銅および錫の合金を含むろう材を用いたマグネトロンの出力効率は、合金中の錫濃度が38質量%のときを境に大きく変化する。錫濃度が38質量%未満の場合、マグネトロンの出力効率の平均値が99.6%であり、ろう材層として銀ろう材を用いた場合と、ほぼ同等の特性を示す。一方、錫濃度が38質量%以上の場合、マグネトロンの出力効率の平均値が97.8%であり、ろう材層として銀ろう材を用いた場合との差が2%以上となり出力効率が大幅に低下する。
図7に示すように、錫濃度が低いグループ71の方が錫濃度が高いグループ72よりも高い出力効率を示している。しかしながら、グループ内の個々の値をみると必ずしも錫濃度に比例して変化しているのではなく、錫濃度が所定の濃度(図7では38質量%)の付近において大きく変化することがわかる。このような現象は、2つのグループ間で、錫の偏析状態の違いにより起こると考えられる。錫濃度が38質量%未満のろう材層では、錫濃度が15質量%以上の領域(図1の領域14に相当)と、錫濃度が15質量%未満の領域(図1の領域15に相当)の2つの領域が偏在している。このとき、錫濃度が5質量%以下のろう材層の場合、全ての領域において錫濃度が15質量%未満となる場合がある。一方、錫濃度が38質量%以上のろう材層の場合でも、38質量%未満のろう材層と同様に、濃度の異なる2つの領域が偏在する場合があるが、いずれも錫濃度が20%を超える高濃度となる。
従って、マグネトロンにおいて実用レベルの出力特性を得るためには、接合後のろう材層に含まれる合金中の錫濃度が38質量%未満であることが好ましく、さらに、錫濃度が15質量%以上となる領域と錫濃度が15質量%未満となる領域を具備することが好ましい。また、錫濃度が15質量%未満の領域の面積と、マグネトロンの出力効率との間には、特に相関関係は無いと考えられるため、錫濃度が15質量%未満の領域がろう材層の少なくとも一部に存在していれば上記出力特性を得ることができる。このことは以下の理由によるものと考えられる。マグネトロンの空洞共振器内で電子流が移動する際、電子流は、ろう材層のバルク全体ではなく、表面層等のごく限られた一部のみを移動すると推定される。このとき、ろう材層に錫濃度が15質量%未満の領域が存在すると、抵抗が低い当該領域が優先的に導電パスになり得る。錫濃度が15質量%未満の領域は、上記導電パスとして機能するため、このような領域が僅かでも存在すれば、十分に機能を果たすことができる可能性がある。
銅−錫合金系において、錫濃度が少なくなる程、電気抵抗が低くなることはある程度まで予測が可能である。一方、実施形態のマグネトロンにおける銅および錫の合金を含むろう材層は、所定の錫濃度まで電気抵抗が変わらず低いといった特性を有する。錫濃度が増加しても、所定の濃度まではろう材層の電気抵抗が高くならないことは、工業的に見ても非常に有益である。なぜならば、例えば錫濃度が11質量%以上、さらに20質量%以上の高濃度でも、良好な製品特性が得られる可能性があるため、ろう材の融解処理温度を例えば900℃以下に下げることができ、低温でろう付けできるからである。
本実施例では、マグネトロンの具体例について説明する。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
錫濃度が異なる種々の合金を出発材料として、各構成部材同士のろう付けを行うことでろう材層を形成し、500Wのマグネトロンをそれぞれ5サンプルずつ製造した。各実施例および比較例におけるろう材層の合金中の錫濃度を表2に示す。なお、比較例3では72質量%の銀と28質量%の銅とを含むろう材を用いてろう材層を形成した。出発材料としては、粉砕合金と樹脂を組み合わせたペーストを主として用いたが、実施例3では合金プレートを用いた。また、ろう付け工程について、ろう材の使用形態に応じた添加方法と、ろう材の種類に応じて加熱処理条件(融解温度)を変更した以外は、いずれのマグネトロンも同一工程により製造した。
マグネトロンは、図4に示す製造方法により製造した。まず、陽極円筒と陽極ベイン等を含む各構成部材の仮組立を行い、その後ろう付け工程に移った。ろう付けの出発処理として、実施例3を除く製品の接合面には、ろう材ペーストの塗布、実施例3では接合部界面へのろう材プレートの挿入を行った。ろう材ペーストとしては、70質量部のCu−Sn系合金粉末と、30質量部のポリビニルアルコールを混ぜ合わせたものを使用した。塗布は、市販の一般的なディスペンサを用いて行った。ペーストの粘度を概ね120000〜160000mPa・sに調整し、固形分の含有されたスラリーを、一ケ所の接合につき0.01g程度使用した。このように前準備が終わったマグネトロン構体を、水素炉に入れて加熱し、ろう付け処理をおこなった。ろう材の加熱融解温度は、ろう材の種類に応じて変更したが、定温での保持時間は全て18分で統一した。また昇温と降温については、それぞれ約1時間とした。
ろう付け処理を行った後、排気工程、仕上工程、外装工程を順次行った。なお、排気工程では加熱処理として約650℃まで加熱した。その後、試験工程において得られたマグネトロンの特性検査を行い、製品として完成させた。ろう付けが不十分の場合、構成部材同士が外れたり、緩んだりする場合も考えられるが、比較例2以外は、目視により明らかに不良と判定されるようなマグネトロンは無かった。
物理的な接合が不十分であれば、得られたマグネトロンの発振周波数が既定値から外れることや、リーク不良が生じる等の問題がある。また、物理的な接合が十分でも、接合部の電気抵抗が高くなると、出力効率が低下し、実用上の問題も生じる。よって、得られたマグネトロンの製品特性を評価することで、接合強度の合否も同時に評価することが可能である。
マグネトロンの出力効率は、以下のように測定した。測定装置としては、マグネトロンの着脱が可能なデマンタブルの専用測定装置を使用した。マグネトロンを測定装置に装着後、定格のフィラメント電圧(Ef)を3.5V、陽極電流(Ib)を定格の200mAに設定し、マグネトロンを作動させた。そして動作時の、陽極電圧(emb2)、電力(Po)、発振周波数(f)をそれぞれ読み取った。各測定値は、マグネトロン毎に異なるが、emb2は3.7kV、Poは530W、fは2462MHzの値を概ね示した。以上のデータをそれぞれ取得した後、出力効率を計算した。出力効率は下式(2)により求められる。
出力効率(%)=(出力電力/入力電力)×100=(Po/emb2×0.2)×100…(2)
例えば、上記データを式(2)に代入すると、以下の効率が算出される。
出力効率(%)=(530/3700×0.2)×100=71.6
それぞれのマグネトロンについて、ろう付け条件と、それに対応した製品特性を表2に示す。本実施例では、式(2)を用いて出力効率の値を求めたが、表2に示す出力効率の値は、標準マグネトロンの出力効率を100%としたときの相対値である。なお、表2における出力効率の値は、5サンプルの出力効率の平均値で表したが、各サンプルの個々の値については、図8に示すとおりである。また、標準マグネトロンとしては、本実施例以外で出力効率が適正値を示す別のマグネトロンを使用した。標準マグネトロンは、比較例3に相当するもので、比較例3と同じ製品デザイン、製造プロセスで別途製造したものである。
Figure 0006325345
表2の出力効率の合否判定として、標準マグネトロンの出力効率に対して98.5%以上の数値を示すものを合格品として丸印で表し、98.5%未満のものを不合格品としてバツ印で表した。表2からもわかるように、実施例1〜7および比較例3において、不合格品はゼロであり、出力効率の絶対値も略同等といえるレベルであった。実施例1に1個の不良品があったが、これは接合不良であったため合否判定対象とはしていない。ろう材の融点が非常に高温であるため、加熱温度が低かったと考えられる。また、比較例2では、出力効率が98.5%未満である製品が1個、接合不良品が4個発生した。そのうち1個はストラップリングの不良(ストラップ不良)であった。このストラップ不良の原因は接合不良である。すなわち、この不良は、ろう付け不良のために発振周波数が規定値より外れ、マグネトロンの動作点がずれたことに起因する出力不良である。このため、結果として、陽極円筒および陽極ベインの温度が上昇し、ストラップリングの破損に繋がった。
接合後のろう材層における錫濃度を算出するために、接合部断面の顕微鏡観察を行った。実施例1、2、4ないし7において詳細に観察したところ、錫濃度の異なる第1の領域と第2の領域を有し、第1の領域において銅および錫の共析晶の存在が確認された。また、ろう材層全体中の錫濃度(計算値)は、出発材料に含まれる錫にほぼ比例して変化したが、共析晶中の錫濃度や、共析晶以外の部分の錫濃度は、出発材料中の錫濃度との相関が見られなかった。ただし、出発材料中の錫濃度が高くなっていくにつれ、共析晶の占める面積比率が増大する傾向が見られた。なお、共析晶中の錫濃度は15質量%以上、共析晶以外の部分の錫濃度は15質量%未満であることが、実施例でも確認された。なお、比較例3のろう材の錫濃度をゼロと判定したが、これは出発材料として銀および銅を含むろう材を使用しているためである。
また、得られたマグネトロンの製造コストを算出した。比較例3のサンプルに使用したろう材コストを基準として、使用ろう材のコストダウン率を比較した。表2においてコストダウン率が10〜30%のサンプルを丸印で表し、コストダウン率が30〜60%のサンプルを重丸印で表し、コストダウン率が0%のサンプルをバツ印で表す。例えば、実施例6のように、3ケ所の接合部に銅および錫の合金を含むろう材を使用したサンプルのろう材コストは、比較例3の約50%になった。また、その他の実施例のように、1または2ケ所の接合部に銅および錫の合金を含むろう材層を形成したサンプルも、ろう材の使用量に応じてコストを削減することができる。
以上のように、実施例1〜7のマグネトロンは、ろう材層に銅および錫の合金を用いているため、接合部において接合強度に問題がない。さらに、実施例1〜7のマグネトロンは、従来の銀ろうをろう材層に用いた製品と同等のマグネトロン特性を有する。よって、優れた実用特性を示すことが明らかとなった。また、実施例1〜7のマグネトロンにおけるろう材層は、成分中に希少金属が含有されておらず、低価格で製造が可能であるため、コストパフォーマンスのより優れたマグネトロンを得ることができた。
(実施例8、比較例4)
動作電力800Wのマグネトロンとして、陽極円筒−陽極ベイン接合部、陽極ベイン−ストラップリング接合部、陽極ベイン−アンテナリード接合部の3ケ所に銅および錫の合金を含むろう材層を具備するマグネトロンを製造した。実施例8では、出発材料のろう材としては、67質量%の銅および33質量%の錫の合金を含むろう材を用いた。また、比較例4では、比較例3に用いたものと同じ72質量%の銀および28質量%の銅を含むろう材を出発材料として使用した。上記ろう材を用いて接合したマグネトロンを、実施例8、比較例4共にそれぞれ100サンプル製造した。なお、製造方法、製品評価方法は実施例1と同様である。また、Ef=3.3V、Ib=300mA、Po=800Wとした。
得られた各特性の評価結果を表3に示す。なお、表3におけるマグネトロンの出力効率は、100個のサンプルの平均値である。また、製造歩留り中の不良数は、ろう付けに起因する不良のみを計数したものであり、その他要因に起因する不良は含まれていない。
Figure 0006325345
表3からわかるとおり、実施例8のマグネトロンは、従来の銀ろう材を用いた比較例4のマグネトロンと比較して、出力効率、製造歩留共に実用レベルである。また、100個のサンプルを製造するために実施例8のマグネトロンに使用したろう材の価格は、比較例4に使用した従来のろう材に比べて約半額となり、実施例8のマグネトロンは、コストパフォーマンスの観点からも優れていた。
(実施例9、比較例5)
実施例8と比較例4で製造したマグネトロンのうち、各2個ずつ計4個のサンプルを任意に抜き取り、それぞれ実施例9、比較例5としてライフテストを行った。0時間後の出力効率を100%とし、2000時間までの出力効率の低下率を測定した。出力効率の測定は、400時間毎に行い、各サンプルにつき5回のライフデータを測定した。4個のサンプルにおいて、2000時間後の出力効率の低下率はいずれも2%以内で、実用上特に問題になるレベルではなかった。また、実施例9と比較例5との間で殆ど差異は無く、略同等レベルであった。さらに、測定の終ったマグネトロンのうち、実施例9の2個のマグネトロンを分解し、接合後のろう材層の分析評価を行った。ろう材層の錫濃度の平均は、28.9質量%であった。
なお、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、一つの実施形態の一部の構成を別の実施形態の一部の構成に置換してもよい。また、一つの実施形態の少なくとも一部の構成と別の実施形態の少なくとも一部の構成とを組み合わせてもよい。
11…構成部材、12…構成部材、13…ろう材層、14…領域、15…領域、20…マグネトロン、21…陽極円筒、22…陽極ベイン、23…ストラップリング、24…ストラップリング、25…陰極ロッド、26…陰極フィラメント、27…ポールピース、28…ポールピース、29…トップハット、30…エンドハット、31…アンテナリード、32…金属容器、33…金属容器、34…永久磁石、35…永久磁石、36…放熱フィン、37…ヨーク、38…陰極ステム、39…コイル、40…コンデンサ、41…フィルタケース、42…絶縁筒、43…排気管、44…キャップ、50…ろう材層、51a…領域、52b…領域、52c…領域、61…ポイント、62…ポイント。

Claims (6)

  1. 中空部を有する陽極円筒と、
    前記陽極円筒の内壁に接合され、前記中空部の中心軸に向かって延在する陽極ベインと、
    前記陽極ベインの上面または下面に接合されたストラップリングと、
    前記陽極ベインと離間するように前記中空部の中心軸に沿って設けられた陰極ロッドと、
    前記陰極ロッドに巻回された陰極フィラメントと、
    前記陽極ベインに接合されたアンテナリードと、
    前記陽極円筒および前記陽極ベイン、前記陽極ベインおよび前記アンテナリード、ならびに前記陽極ベインおよび前記ストラップリングの少なくとも一組を接合するように設けられ、銅および錫の合金を含むろう材層と、を具備するマグネトロンであって、
    前記銅および錫の合金中の錫濃度が11質量%以上38質量%未満である、マグネトロン。
  2. 前記陽極円筒、前記陽極ベイン、前記アンテナリード、および前記ストラップリングのうち、前記ろう材層により接合された部材が無酸素銅からなる、請求項1に記載のマグネトロン。
  3. 前記ろう材層は、
    前記銅および錫の合金中の錫濃度として第1の錫濃度を有する第1の領域と、
    前記銅および錫の合金中の錫濃度として第2の錫濃度を有する第2の領域と、を有し、
    前記第1の錫濃度は、前記第2の錫濃度よりも高い、請求項1または請求項2に記載のマグネトロン。
  4. 前記第1の錫濃度は、15質量%以上であり、
    前記第2の錫濃度は、15質量%未満である、請求項3に記載のマグネトロン。
  5. 前記第1の領域は、銅および錫の共析晶を有する、請求項3または請求項4に記載のマグネトロン。
  6. 前記第2の領域のシート抵抗は、前記第1の領域のシート抵抗よりも低い、請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のマグネトロン。
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