JP6323675B2 - 車両のドア構造 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、ドア本体の上方に設けられたドアサッシュと、その車外側面を覆う装飾用のモール部材とを備えた車両のドアサッシュ構造が開示されている。
しかしながら、上述したような加飾モールがサイドドアの上縁に設けられている場合、この加飾モールによる反射光が操作者の視界に入ることによりその操作者に心理的な圧迫感を与え、操作者がサイドドアの後端から必要以上に間隔を空けた位置に立つようになることが、本願発明者らによる実験の結果から明らかになっている。このように、サイドドアの後端から離れた位置でサイドドアを開く操作を行った場合、サイドドアを十分に開くことができず、スムーズな乗車を行うことができないという問題がある。
このように構成された本発明においては、加飾モールの後端を含む加飾モールの一部の領域に反射抑制部を備えたことにより、加飾モールの後端を含む加飾モールの一部による反射光が操作者の視界に入って心理的な圧迫感を与えることを抑制でき、操作者がサイドドアの後端から必要以上に間隔を空けた位置に立つことを防止できる。これにより、加飾モールを備えたサイドドアであっても操作者はスムーズな乗車を行うことができ、車両のデザイン性の向上と車両へのスムーズな乗り込み動作とを両立することができる。さらに、このように構成された本発明においては、加飾モールによる反射光から影響を受けやすい操作者の体格が車高に応じて変化することを考慮に入れて定めた加工長さの範囲に反射抑制部を設けることができ、加飾モールにおいて反射抑制部を設ける範囲を必要最小限に抑えることができる。これにより、車両のデザイン性の向上と車両へのスムーズな乗り込み動作とを一層高いレベルで両立することができる。
このように構成された本発明においては、車高が高くなるほど加飾モールによる反射光から影響を受けやすい操作者の体格が大きくなり、サイドドアを操作するときのサイドドア後端から操作者の頭部までの距離が大きくなることを考慮に入れた加工長さの範囲に反射抑制部を設けることができ、加飾モールにおいて反射抑制部を設ける範囲を必要最小限に抑えることができる。
このように構成された本発明においては、加飾モールによる反射光の反射方向を分散させることができ、これにより、加飾モールによる反射光が操作者の視界に入って心理的な圧迫感を与えることを抑制できる。
このように構成された本発明においては、反射抑制部の凸面形状における最小曲率半径部分を、操作者の視点に近い位置に形成することができ、これにより、加飾モールによる反射光が操作者の視界に入って心理的な圧迫感を与えることを確実に抑制できる。
まず、図1乃至図5により、本発明の実施形態による車両のドア構造を説明する。図1は、本発明の実施形態によるドア構造を適用した車両の側面図であり、図2は、図1に示したフロントサイドドアの拡大側面図であり、図3は、図2におけるIII−III矢視図であり、図4は、図2におけるIV−IV矢視図であり、図5は、本発明の実施形態による車両のドア構造におけるドアサッシュの断面図であり、図5(a)は車高の高い車両におけるドアサッシュの断面図、図5(b)は車高の低い車両におけるドアサッシュの断面図である。また、図6は、サイドドアを開く操作者が圧迫感を感じることなくサイドドアを開くために必要とする加飾モール後端からの距離を説明する図であり、図6(a)は操作者と加飾モール後端との位置関係を示す概念図、図6(b)は操作者と加飾モール後端との位置関係と、操作者が圧迫感を感じることなくサイドドアを開くために必要とする加飾モール後端からの距離との関係を示す線図である。
さらに、ドアサッシュ10の車幅方向内側には、ドアサッシュ10とAピラー12及びルーフサイドレール14との間をシールするウェザーストリップ16が設けられ、ドアサッシュ10の車幅方向外側には、加飾モール18が設けられている。
インナサッシュ20は、Aピラー12及びルーフサイドレール14の下面に平行に延びウェザーストリップ16が取り付けられる取付面部24と、その取付面部24の車幅方向外側端から上方に延びる起立部26と、取付面部24の車幅方向内側端から下方に湾曲して延びる湾曲部28と、湾曲部28の下端から下方に延びる垂下部30とを備える。
アウタサッシュ22は、インナサッシュ20の取付面部24の下面に沿って延びる平板部32と、平板部32の車幅方向外側端から下方に延びる内壁部34と、内壁部34の下端から車幅方向外側に折り返されて上方に延びる外壁部36と、外壁部36の上端から車幅方向内側に折り返されて下方に延びる上側ヘム部38とを備える。アウタサッシュ22の上側ヘム部38と外壁部36とによって、インナサッシュ20の起立部26が挟持される。
さらに、アウタサッシュ22は、アウタサッシュ22の平板部32の車幅方向内側端から下方に延びる垂下部40と、垂下部40の下端から車幅方向内側に折り返されて上方に延びる下側ヘム部42とを備え、これらの垂下部40と下側ヘム部42とによって、インナサッシュ20の垂下部30が挟持される。
ウェザーストリップ16の取付基部46には係止具56が取り付けられており、この係止具56が、アウタサッシュ22及びインナサッシュ20に形成された係止孔58、60を介してアウタサッシュ22及びインナサッシュ20に係止されることにより、ウェザーストリップ16がドアサッシュ10に固定される。この固定状態において、ウェザーストリップ16の第2シールリップ部54の先端がインナサッシュ20の起立部26に圧接される。フロントサイドドア2を閉じた場合、ウェザーストリップ16の第1シール部48及び第2シール部50がAピラー12及びルーフサイドレール14の下面に当接することにより、ドアサッシュ10の上縁とAピラー12及びルーフサイドレール14との間がシールされる。
具体的には、図3に示すように、加飾モール18の反射抑制部68において、モール本体62は、加飾モール18の長手方向に沿って延びる凸面形状に形成されている。
一方、図4に示すように、加飾モール18の反射抑制部68以外の部分(図4では車体のAピラー12に対応する部分)において、モール本体62は平板状に形成されている。
さらに、車両前後方向に延びるルーフサイドレール14のうち加飾モール18の反射抑制部68の上方に位置する部分は、その外縁部が下方に向かって(サイドドアを閉めた状態において加飾モール18に向かって)突出するように形成されている。これにより、ルーフサイドレール14の下面と加飾モール18の上面とが成す角度αを鋭角にすることができ、ルーフサイドレール14の下縁と加飾モール18の上縁との隙間が大きく開いて見えることを防止できる。
例えば、図1に示したようなセダン型の車両1においては、図3に示すように、凸面形状における最小曲率半径部分70は、モール本体62の上下方向中央近傍に位置している。
また、いわゆるSUV(Sport Utility Vehicle)やミニバンのように、車高が操作者の身長を超えるような車高の高い車両1においては、図5(a)に示すように、凸面形状における最小曲率半径部分70は、モール本体62の下方に位置している。
一方、スポーツ車のように、車高が操作者の身長を下回るような車高の低い車両1においては、図5(b)に示すように、凸面形状における最小曲率半径部分70は、モール本体62の上方に位置している。
具体的には、図6(a)に示すように、フロントサイドドア2を開く操作者の視点の高さと加飾モール18後端の高さとの差(以下、「視点距離」という)をH(操作者の視点の方が高い場合に正)とし、操作者が圧迫感を感じることなくフロントサイドドア2を開くために必要とする加飾モール18後端から操作者の頭部重心までの距離(以下、「安心距離」という)をLとすると、図6(b)に示すように、フロントサイドドア2を開く操作者の視点の高さと加飾モール18後端の高さとが一致した場合(視点距離H=0)、安心距離Lが最大(図6(b)では180mm)となり、視点距離Hが大きくなるほど安心距離Lが小さくなる。
例えば、フロントサイドドア2の加飾モール18後端の高さ1380mm程度のセダン型の車両1において、加工長さを安全距離Lの最大値180mmに設定することにより、視点の高さと加飾モール18後端の高さとが一致する身長(約150cm)の操作者であってもフロントサイドドア2の後端から必要以上に離れることなくサイドドアを開く操作を行うことが可能になる。
以上のように、加飾モール18の反射抑制部68の加工長さは、車高が高くなるほど短くなるように設定される。
例えば、図7(a)に示すように、加飾モール18の反射抑制部68において、モール本体62にヘアライン加工を施すことにより、光の一方向への反射を抑制するようにしてもよい。
あるいは、図7(b)に示すように、加飾モール18の反射抑制部68において、モール本体62を、加飾モール18の長手方向に沿って延びる逆台形形状(上底の長さが下底の長さよりも長い台形)に形成することにより、加飾モール18より上方への光の反射を抑制するようにしてもよい。
2 フロントサイドドア
4 リアサイドドア
18 加飾モール
62 モール本体
68 反射抑制部
70 最小曲率半径部分
Claims (4)
- サイドドアの上縁に沿って配置された加飾モールを有する車両のドア構造であって、
上記加飾モールは、その後端を含む上記加飾モールの一部の領域に、光の一方向への反射を抑制する加工を施した反射抑制部を備え、上記反射抑制部は、上記加飾モールの後端から車高に応じて定めた加工長さの範囲に設けられていることを特徴する車両のドア構造。 - 上記加工長さは、車高が高くなるほど短くなるように設定される請求項1に記載の車両のドア構造。
- 上記反射抑制部は、上記加飾モールの長手方向に沿って延びる凸面形状に形成されている請求項1又は2に記載の車両のドア構造。
- 上記反射抑制部の凸面形状における最小曲率半径部分は、車高が高くなるほど上記加飾モールの下方に設けられる請求項3に記載の車両のドア構造。
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