JP6321047B2 - 手術器具の近位制御のためのシステム及び方法 - Google Patents

手術器具の近位制御のためのシステム及び方法 Download PDF

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Description

本開示は、低侵襲ロボット支援手術における使用のための手術システム及び方法、より具体的には、解剖学的エントリポイントの近位に位置するピボット部周りに手術器具を動かすシステム及び方法を対象にする。
低侵襲医療技術は、診断又は外科的処置の間に傷つけられる無関係な組織の量を減らすことを目的とし、したがって患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を減らす。低侵襲ロボット手術又は遠隔手術システムは、外科医の器用さを増大させるように及び従来の低侵襲技術の制限の幾つかを避けるように、開発されている。遠隔手術では、外科医は、手で手術器具を直接握り且つ動かすのではなく、手術器具の動きを操作するために何らかの遠隔制御、例えば、サーボ機構等、を使用する。遠隔手術では、外科医は、手術ワークステーションにおいて手術部位の画像を提供されることができる。ディスプレイで手術部位の2又は3次元画像を見ながら、外科医は、マスタ制御デバイスを操作することによって、患者に外科手術を行い、このマスタ制御デバイスは、サーボ機構的に操作される器具の動きを制御する。
ロボット支援遠隔手術において、外科医は、典型的には、患者から離れ得る場所(例えば、手術室の反対側、異なる部屋、または患者とは全く異なる建物)から、手術部位での手術器具の動作を制御するようにマスタコントローラを操作する。マスタコントローラは、患者側手術用マニピュレータ(「スレーブ」)に取り外し可能に結合される手術器具に動作可能に結合される、手持ち式リストジンバル、ジョイスティック、外骨格グローブ等のような、1又は複数の手入力デバイスを通常含む。マスタコントローラは、手術部位での器具の位置、配向、及び関節を制御する。スレーブは、手術器具を支持し且つ制御するように一緒に接続される1又は複数のアーム、ジョイント、リンク機構、サーボモータ等を含む、電気機械組立体である。外科手術では、(内視鏡を含む)手術器具が、開いた手術部位に直接、自然の開口を通って、又はカニューレを通って体腔内に挿入され得る。
低侵襲手術に関して、手術用マニピュレータによって制御される、手術器具は、1つの外科的切開部位、患者の体の多数の接近して間隔を空けられた切開部位、及び/又は患者の解剖学的構造の1若しくは複数の自然の開口を通って体腔に導入され得る。特に小さいエントリポートを通って実行される幾つかの低侵襲手術に関して、多数の手術器具が、略平行な器具シャフトを用いて密接に集められた集団の中に導入され得る。先の手術システム及び技法は、解剖学的エントリポイントの近くの領域において、「リモートセンタ(remote center)」として知られる、運動の共通の中心を維持する。特に狭い外科的切開部又は人間の喉又は頚部のような特に狭い自然の開口を通る、解剖学的エントリポイントにおいて回転の中心を維持する試みは、手術器具の近位端部の衝突をもたらし得る。手術器具の衝突の発生を最小化しながらこれらの手術器具を制御することに関して、改良されたシステム及び方法が必要とされる。
本発明の実施形態は以下の特許請求の範囲によって要約される。1つの実施形態では、ロボット手術システムは、近位取付セクション及び遠位取付セクションを有する器具シャシを有する。システムはまた、遠位取付セクションに移動可能に結合される器具ガイド及び近位取付セクションに結合されるアクチュエータを有する。リンケージシステムが、アクチュエータから器具ガイドに運動を伝達するように、アクチュエータ及び器具ガイドを動作可能に相互に接続する。
他の実施形態では、ロボット手術方法は、近位取付セクション及び遠位取付セクションを有する器具シャシを提供するステップを有する。器具ガイド組立体が遠位取付セクションに移動可能に結合される。1対の近位アクチュエータが近位取付セクションに結合され、リンケージシステムが、アクチュエータ及び器具ガイド組立体を動作可能に相互に接続する。方法はさらに、器具ガイド組立体を第1の回転自由度で動かすことをリンケージシステムに生じさせるように、近位アクチュエータの一方に第1の制御信号を提供するステップを含む。方法はまた、器具ガイド組立体を第2の回転自由度で動かすことをリンケージシステムに生じさせるように、近位アクチュエータの他方に第2の制御信号を提供するステップを含む。
他の実施形態では、ロボット手術システムは、近位取付セクション及び遠位取付セクションを有する器具シャシを有する。シャシは近位取付セクションに結合される器具インタフェースを含む。手術システムはさらに、近位取付セクションに結合される作動システムを有する。手術システムはさらに、作動システムと遠位取付セクションとの間に動作可能に結合されるリンケージシステムを有する。リンケージシステムは器具ガイドを含む。手術システムはさらに、器具インタフェース及び器具ガイドと結合するように構成される手術器具を含む。
本開示の態様は、添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明から最も良く理解される。業界の標準的習慣にしたがって、様々な特徴が正確な縮尺で描かれていないことが強調される。実際、様々な特徴の寸法は、議論の明快さのために任意に増減され得る。加えて、本開示は、参照数字及び/又は文字を様々な例において繰り返し得る。この繰り返しは、単純さ及び明快さを目的とし、それ自体では、議論される様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を規定しない。
本開示の実施形態によるロボット手術システムの概略図である。 本開示の実施形態による低侵襲手術システムの概略図である。 本開示の実施形態による低侵襲手術システムの概略図である。 本開示の実施形態による低侵襲手術システムの概略図である。 本開示の他の実施形態による低侵襲手術システムの斜視図である。 本開示の実施形態によるロボット手術システムの器具インタフェースの概略図である。 本開示の実施形態によるロボット手術の方法である。 本開示の実施形態による手術器具の遠位端部の側面図である。
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、開示される実施形態の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細が説明される。しかし、本開示の実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかである。他の例では、よく知られた方法、手順、コンポーネント、及び回路は、本発明の実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細には説明されていない。
図面の図1を参照すると、ロボット手術システムが、参照数字100によって概して示される。ロボット手術システム100は、外科的処置を入力するための、マスタ又は外科医用コンソールとも称される、マスタシステム102、及び患者内の手術部位において手術器具をロボット式に動かすための、患者側マニピュレータ(PSM)とも称される、スレーブシステム104を含む。ロボット手術システム100は、低侵襲ロボット手術を実行するために使用される。本開示に記載されるシステム及び技法を実装するために使用されることができるロボット手術システムアーキテクチャの1つの例は、Sunnyvale,CaliforniaのIntuitive Surgical Inc.により製造されるda Vinci(登録商標)Surgical Systemである。代替的には、1つのマニピュレータアームを持つより小さい規模のロボット手術システムが幾つかの処置には適し得る。ロボット手術システム100はまた、内視鏡のような、画像キャプチャ装置を含む、画像キャプチャシステム106、並びに関連付けられる画像処理ハードウェア及びソフトウェアを含む。ロボット手術システム100はまた、マスタシステム102及びスレーブシステム104のセンサ、モータ、アクチュエータ、及び他のコンポーネントに、並びに画像キャプチャシステム106に動作可能に連結される制御システム108を含む。
システム100は、低侵襲手術を患者に実行する、システムオペレータ、一般的に外科医によって使用される。システムオペレータは、マスタシステム102で見るために提示される、画像キャプチャシステム106によってキャプチャされた画像を見る。外科医の入力コマンドに応じて、制御システム108は、ロボットスレーブシステム104に結合された手術器具のサーボ機構的な運動を生じさせる。
制御システム108は、マスタシステム102、スレーブシステム104、及び画像キャプチャシステム106の間の制御行うための、少なくとも1つのプロセッサ、典型的には複数のプロセッサを含む。制御システム108はまた、本出願に記載される方法の幾つか又は全てを実装するためのソフトウェアプログラミング命令を含む。制御システム108は図1の単純化された概略図に単一のブロックとして示されているが、少なくとも処理の一部はオプションで入力装置に隣接して実行され、一部がマニピュレータに隣接して実行される等を伴って、システムは幾つかのデータ処理回路を(例えば、マスタシステム102及び/又はスレーブシステム104に)有し得る。任意の種々様々な集中型又は分散型データ処理アーキテクチャが利用され得る。同様に、プログラミングコードは、幾つかの別のプログラム若しくはサブルーチンとして実装され得る、又は、本出願に記載されるロボットシステムの幾つかの他の態様に統合され得る。1つの実施形態において、制御システム108は、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE802.11、DECT、及び無線テレメトリのような無線通信プロトコルをサポートし得る。
ロボット手術システム100はさらに、スレーブシステム104に結合する器具シャシ110を含む。器具シャシ110は、患者エントリポイント116への導入のために手術器具112及び内視鏡114を結合するための共通プラットフォームを提供する。この実施形態では、患者エントリポイントは、喉又は喉頭へのアクセスを提供するための人間の口である。本開示の実施形態は、他の自然の又は外科的に作られた開口を通って体組織にアクセスするために使用され得る。
図2Aは、本開示の実施形態による低侵襲手術システム200の概略図である。システム200は、近位セクション204及び遠位セクション206を有する器具シャシ202を含む。器具シャシ202は、内視鏡216を支持する。一般的に、遠位セクション206におけるシャシの寸法及び形状は、外科的エントリポイントの近くで手術器具の体積を最小化するために、近位端部204に比べて、縮小される。器具インタフェース208、210が、器具シャシ202の近位セクション204に移動可能に取り付けられる。手術器具212は、その近位端部213で器具インタフェース208に取り付けられる。手術器具214は、その近位端部215で器具インタフェース210に取り付けられる。インタフェース208は、その全体が本願に参照により援用される、米国特許第6,491,701号に記載されるように、手術器具212の可動コンポーネントを駆動する。インタフェース210は同様な方法で器具214を駆動する。手術器具212、214はまた、シャシ202の遠位セクション206に移動可能に結合される。以下に詳細に記載されるように、器具インタフェース208、210は、回転及び直線運動が可能にされるように、シャシ202の近位セクション204に取り付けられる。具体的には、器具インタフェースマウント又はフレキシブル器具シャフトは、シャシ202に対する器具インタフェース208、210のピッチ運動、シャシに対する器具インタフェースのヨー運動及びシャシに対する器具インタフェースの挿入スライド運動を可能にする。システム200は、ピボット位置の近くの、ツールの近位端部の小さい動きが、対象を操作するためのツールの遠位端部におけるより大きい動きに対応することができるという点において、箸が動く方法と同様に機能する。
作動システム220は、エンドエフェクタ及び様々な手首ジョイントのような、器具212の構成要素を作動させる。作動システム222は、エンドエフェクタ及び様々な手首ジョイントのような、器具214の構成要素を作動させる。作動システム220、222は、器具の制御をもたらすための、モータ、アクチュエータ、駆動システム、制御システム、及び他の構成要素を含み得る。インタフェース作動システム224は、シャシ202に対して器具212の動作を制御し、インタフェース作動システム226は、シャシ202に対して器具214の動作を制御する。座標系X、Y、Zは器具212と共に動き、座標系X、Y、Zは器具212と共に動く手術システム200は図示されるように2つの器具を操作するように構成され得るが、代替実施形態では、システムは2より多い器具の動作を制御するために使用され得る。
図2Bは、本開示の他の実施形態による低侵襲手術システム200の概略図である。この実施形態では、インタフェース作動システム224’は、近位器具インタフェース208をヨー運動(例えば、軸Y周り)で動かすように制御するために配向システムG(例えば、図3に示されるようなジンバルシステム、ジンバル構成要素334、336)を駆動するモータM1を含む。インタフェース作動システム224’はまた、近位器具インタフェース208をピッチ運動(例えば、軸X周り)で動かすように制御するために配向システムGを駆動するモータM2を含む。インタフェース作動システム224’はまた、近位器具インタフェース208を(例えば、器具の挿入及び引き抜きのために)軸Zに沿って軸方向に動かすように制御するためにモータM3を含む。詳細に示されていないが、インタフェース作動システム226’は、近位器具インタフェース210に同様の動作をもたらすために同様の構成要素を含み得る。したがって、この実施形態では、器具の動作は、遠位端部における支持又は制御なしに近位端部において制御され得る。この実施形態では、インタフェース作動システム224’及び226’は、近位器具インタフェース208、210の間にある。手術システム200は、図示されるように2つの器具を操作するように構成され得るが、代替実施形態では、システムは2より多い器具の動作を制御するために使用され得る。
図2Cは、本開示の他の実施形態による低侵襲手術システム200の概略図である。この実施形態では、インタフェース作動システム224”及び226”は、それぞれ、インタフェース作動システム224’及び226’と実質的に同様であるが、この実施形態では、近位器具インタフェース208、210は、インタフェース作動システム224”と226”との間にある。手術システム200は、図示されるように2つの器具を操作するように構成され得るが、代替実施形態では、システムは2より多い器具の動作を制御するために使用され得る。
ロボット手術の以前の方法及びシステムは、ロボットマニピュレータアームに及び手術器具のシャフトに沿って位置合わせ(整列)され且つ、入口切開部のような、患者エントリポイントに一致した運動のリモートセンタ周りに手術器具の運動を拘束した挿入リンケージシステムに結合された手術器具の使用を伴っていた。これらの方法及びシステムのさらなる詳細は、米国特許第5,817,084号及び第6,441,577号に記載され、これらはその全体が本願に参照により援用される。本開示の実施形態は、患者エントリポイントにおける運動のリモートセンタの拘束を取り除き、手術器具の近位端部の近くの空間内の又は近位端部と一致する場所の周りに、少なくとも1つの回転自由度を伴って、手術器具が枢動することを可能にする。近位枢動位置は、例えば、約40−50cm長さの手術器具を使用するとき、患者エントリポイントから約30cmであり得る。
図3は、本開示の他の実施形態による低侵襲手術システム300の概略図である。システム300は、小さい空間内で作業するとき、器具の衝突を避けるのに効果的であり得る。システム300は、器具シャシ302及び手術器具308、310をそれぞれシャシに取り付けるための器具インタフェース304、306を含む。手術器具308は、エンドエフェクタ308a及び手首機構308bを含む。手術器具310は、エンドエフェクタ310a及び手首機構310bを含む。手術器具308、310は、マスタシステム102から生じる制御入力信号及び制御システム108からのマニピュレータ作動信号に基づいて互いに独立して動く。システム300はさらに、シャシマウントアクチュエータシステム312及びアクチュエータシステム312と手術器具308、310を相互に接続するリンケージシステム314を含む。画像キャプチャシステム316は、シャシ302によって支持され、概して、シャシを通る(Z軸方向の)中心軸318に沿って位置合わせ(整列)される。
より詳細には、器具シャシ302は、近位部分320及び遠位部分322を含む。システム300は、概して中心軸318周りに分けられる左側半部324及び右側半部326を概して含む。この実施形態では、システム300の右及び左側半部の構造及び機能は概して同じである。したがって、システム300の構造及び機能の完全な説明は、右側半部326の構造及び機能が同一であるという理解のために、左側半部324に向けられる。
器具シャシ302は、シャシの近位端部329に配置されるブリッジ部328を含み且つシャシの遠位端部331に配置されるブリッジ部330を含む。支持チューブ332が概して軸318に沿って延びるとともに画像キャプチャシステム316を支持する。支持チューブ332は、ブリッジ部328、330を強固に接続する。器具シャシの構成要素は、比較的剛性の高い金属、プラスチック、又はセラミックで形成され得る。器具シャシ302はさらに、ジンバルプレート336に枢動可能に接続されるジンバル支持部334を含む。ジンバルシステム334、336は、手術器具308のヨー運動(すなわち、Y方向軸周りの回転自由度)を可能に且つ手術器具308のピッチ運動(すなわち、X方向軸周りの回転自由度)を可能にする。ジンバルシステム334、336の運動は、詳細に記載されるように運動がシステム300の他の作動される力に反応するという点で、受動的である。代替実施形態では、多軸ジンバル、ボール/ソケットジョイント、及びヒンジを含む、他のジョイント又は枢動システムが、シャシの近位セクションにおいて1又は複数の自由度を備え得る。
器具シャシ302はまた、器具インタフェース304のトラック(図示せず)とスライド可能に係合されるガイド(図示せず)を含む。ガイド338及びトラック340は、システム300の右半部326により明確に視認できる。左半部のガイド及びトラックは、概してZ方向軸に沿った手術器具308の挿入動作を可能にする。挿入駆動システム341a、341bは、ガイド及びトラックを互いに対して動かす被駆動挿入動作を提供するように、器具308、310それぞれに結合される。挿入駆動システム341a、341bは、駆動モータ及び、リードネジ、ボールネジ、ケーブル駆動、又はラック&ピニオンシステムのような駆動機構を含む。代替的には、ガイド/トラックの運動は、運動がシステム300の他の作動される力に反応するという点で、受動的であり得る。
作動システム312の左半部は、シャシ302に結合されたアクチュエータ340、342を含む。アクチュエータ340、342はそれぞれ、可変且つ制御可能な力及び位置制御を提供する駆動機構をそれぞれ持つモータM1、M2並びにそれぞれのモータ駆動シャフトの回転位置を制御システム108にそれぞれ提供するためのエンコーダE1、E2を含む。適切な代替を含む作動システムのさらなる詳細は、その全体が本願に参照によって援用される米国特許第5、792、135号で提供される。アクチュエータ340、342は、動作を伝達するリンケージシステム314に結合される。それぞれのアクチュエータは、所定の種類の動作を提供する。例えば、アクチュエータ340は、(X方向軸周りの)作動ピッチ運動を提供し、アクチュエータ342は、(Y方向軸周りの)作動ヨー運動を提供する。
リンケージシステム314の左半部は、ボール・ソケットジョイント348、350の間に結合される作動ロット346を含む。ボール・ソケットジョイント348はアクチュエータ340に結合される。リンケージシステム314はまた、ボール・ソケットジョイント350に結合される器具ガイド352を含む。この実施形態では、器具ガイド352は、手術器具308のシャフトを受け入れるように寸法決めされる管状スリーブである。代替実施形態では、器具ガイドは、手術器具をシャシに移動可能に連結する、リング、トレイ、開口チューブ、又は他の構造であり得る。リンケージ346、348、350は、アクチュエータ340からの動作を挿入ガイド352に伝達するように働く。具体的には、リンケージは、器具ガイド352を概して直線Y方向に又は回転ピッチ運動で動かし得る。リンケージシステム314はまた、ボール・ソケットジョイント356(表示はシャシによって遮られている)、358の間に結合される作動ロッド354を含む。ボール・ソケットジョイント350はアクチュエータ342に結合される。器具ガイド352はまた、ボール・ソケットジョイント358に結合される。リンケージ354、356、358は、アクチュエータ342からの動作を挿入ガイド352に伝達するように働く。具体的には、リンケージは、器具ガイド352を概してX方向に又は回転ヨー運動で動かし得る。リンケージシステム314はまた、遠位ブリッジ部330に形成されたソケット内に位置するボールジョイント360を含む。ボールジョイント360は、器具ガイドをシャシ302に繋ぐように器具ガイド352に結合される。リンケージシステムの構成要素は、比較的剛性の高い金属、プラスチック、又はセラミックで形成され得る。リンケージシステムの構成要素は、滅菌可能又は使い捨てであり得る。リンケージシステムの構成要素は、患者エントリポイントの近くの手術機器の体積を最小化するために小さい断面積を有し得る。例えば、ロッドリンケージは、約1−3mmの直径を有し得る。代替実施形態では、他のリンケージ構成要素が、所定の動作を伝達するのに適し得る。このような代替構成要素は、一方向ヒンジジョイント、サドルジョイント、スライドジョイント、バネのような可撓性構成要素、及び固定ジョイントを含み得る。
シャシ302はまた画像キャプチャシステム316を支持する。より具体的には、画像キャプチャシステム316の内視鏡器具370は、支持チューブ332を通って延びる。内視鏡器具370は、観察端部372を有し、観察端部でキャプチャされた画像を外科医又は他の観察者に表示するためにマスタシステム102のビューアに動作可能に接続される。内視鏡器具370は、器具シャシ302に対して固定され得る又は軸318に概して位置合わせされる挿入軸に沿った運動に拘束され得る。代替的には、内視鏡器具は、観察端部の視点を変えるために器具シャシに対して操縦可能、枢動可能、又は別の方法で関節運動可能である。
器具インタフェース304は図4に詳細に示される。シャシインタフェースプレート380(これはシャシの一部又はインタフェースの一部と見なされ得る)が器具インタフェースプレート382に回転可能に接続される。回転運動は、完全な又は部分的な回転運動を提供するために、スイベル(swivel)ジョイント、ボール/ソケットジョイント、又は他の既知の機構によって提供され得る。プレート380、382の間の回転運動は、詳細に記載されるように運動がシステム300の他の作動される力に反応するという点で、受動的である。
アクチュエータ384、386、388、390は、インタフェースディスク392、394、396、398それぞれに動作可能に結合される。取り付けられた手術器具の所定の運動を駆動することのインタフェースディスク及びそれらの機能のより詳細な説明は、例えば、“Instrument Interface of Robotic Surgical System,”を開示する、2006年12月10日に出願された、米国特許第7、963、913号に完全に記載され、これはその全体が本願に参照により援用される。この実施形態では、各アクチュエータはモータM及びエンコーダEを含む。各アクチュエータ384−390は、手術器具308のエンドエフェクタ308a及び/又は手首機構308bにおける特定の運動に影響を及ぼす。1つの例として、アクチュエータ384は、手首機構308bのロール運動を制御し得る。アクチュエータ386は、手首機構308bの作動されるピッチ運動を制御し得る。アクチュエータ388及びアクチュエータ390は、手首機構の作動されるヨー及び把持運動を制御するように協調され得る。様々なアクチュエータに割り当てられる制御は単なる例である。代替実施形態では、アクチュエータは、手術エンドエフェクタ又は手首部の異なる運動を制御するように構成され得る。例えば、単一のアクチュエータが把持を制御し得る一方、2つのアクチュエータの協調される組み合わせは、手首機構のピッチ及びヨーを制御し得る。
図3に示されるように、手術器具308は、インタフェース304に結合する近位ハウジング394を含む。器具シャフト396は、近位ハウジング394と手首機構308bとの間を延びる。手術器具、エンドエフェクタ、及び手首機構の様々な実施形態が、米国特許第5,792,135号、第6,331,181号、及び6,817,974号に詳細に説明され、これらは、それらの全体が本願に参照により援用される。
組み立てられるとき、近位ハウジング394は、器具インタフェース304に結合され、シャフト396は、器具ガイド352を通って挿入される。シャフト396は、システム300で作動された力に応じて、器具ガイド352内を受動的にスライドする。例えば、アクチュエータ340、342は、軸X周りのピッチ及び軸Y周りのヨーに関する連成運動を提供し得る。アクチュエータ340、342が軸Y周りの異なる方向に動くとき、シャフト396はピッチで動く。アクチュエータ340、342の組み合わされた動作は、シャフト396を方向の範囲で動かすように、2×2の結合マトリックスによって支配され得る。
記載されるようにシステム300は、小さい自然の又は外科的に作られた患者エントリポイントを通って体組織への外科的アクセスを可能にする。システムは、開いた患者の口を介して喉頭又は喉組織に外科的にアクセスする又は膣式子宮摘出術を実行するために子宮頸部を介して子宮組織にアクセスするのに特に適し得る。代替的には、システム300は、乳房手術のような、外科医を疲れさせ得る又は不便なポジショニングを必要とし得る手術を実行するために使用され得る。手術器具の回転及び挿入動作を制御するために多数の大きい専用のマニピュレータアームを必要とするロボット手術システムと比べて、システム300は、多数の手術器具を支持する最小化されたサイズのシャシを使用する。システム300は共通シャシに結合された2つの手術器具の使用を記載するが、代替実施形態では、3以上の手術器具が共通シャシに取り付けられ且つ共通シャシから制御され得る。シャシの近位セクションで器具ガイドの動作を制御するために作動システムを配置することは、多数の手術器具を支持し且つ制御するために器具シャフトに沿った中間又は遠位位置において必要とされる構造の数及びサイズを最小化する。リンケージシステムは、作動システムが器具ガイドの動作を離れて制御することを可能にする。
システム300の使用の前に、スレーブマニピュレータシステム104のマニピュレータアームが所定の位置に位置決めされ且つロックされる。マニピュレータアームは、例えば、da Vinci(登録商標)Surgical Systemのアームであり得る、又は、最大6自由度を有する結合されたアームを持つより小さいスケールのマニピュレータであり得る。幾つかの実施形態では、システム300を支持するマニピュレータアームは、モータによって制御されない。それは、ブレーキ又はロックを有する1又は複数のバランスを取られたジョイントを持つ受動的にロック可能なアームであり得る。受動的にロック可能なアームは、解放された設定において自由に動くことができ、システムが選択された配向で手術部位に配置されることを可能にする。受動的にロック可能なアームはその後、選択された配向を保持するブレーキを用いてロックされた設定に動かされる。他の実施形態では、システム300は、鉄の拘束部、手動でロックされ得る受動マルチジョイントアンバランスアームによって保持され得る。
次に図5を参照すると、システム300を使用するロボット手術の概略の方法400が提供される。402において、手術器具308の近位端部のハウジング394が、器具インタフェース304に受けられて係合する。404において、手術器具309のシャフト396が、器具シャシ302の遠位端部において器具ガイド352に受けられる。より具体的には、シャフト396の遠位又は中間部分が、器具ガイド352の中で受けられる。406において、作動システム312は、器具シャシ302に対して器具ガイド352を動かすようにリンケージシステム314を作動させる。より具体的には、アクチュエータ340は、ロッド346を動かすボール及びソケットジョイント348を動かすことを含みながら、リンケージシステム314を駆動するために、制御システム108から制御信号を受信する。さらに、アクチュエータ342は、ロッド354を動かすボール・ソケットジョイント356を動かすことを含みながら、リンケージシステム314を駆動するために、制御システム108から制御信号を受信する。ロッド346及びロッド354が一緒に動くとき、器具ガイド352は、X方向軸に沿って動く。ロッド346及びロッド354が反対に動くとき、器具ガイド352は、Y方向軸に沿って動く。1つのロッド346又は354のみが動いている場合、器具ガイド352は、X及びY方向軸の両方に対してある角度をなして動く。器具ガイド352は、ボールジョイント360によってシャシ302の遠位部分330に繋ぎ止められる。
408において、器具ガイド352のモータ駆動作動に応じて、手術器具308の近位端部は、複数の回転自由度で受動的に動くことを可能にされる。より具体的には、手術器具308の近位端部は、Y方向軸周りにジンバルプレート336を用いて受動的に(ヨー)回転することを可能にされる。加えて、手術器具308の近位端部は、X方向軸周りにシャシインタフェースプレート380に対して器具インタフェースプレート382を用いて受動的に(ピッチ)回転することを可能にされる。受動的な回転ジョイントの近位配置のために、器具シャフト396の遠位又は中間位置の近くの器具ガイド352の動作は、手術器具308の近位端部におけるより小さいスケールの動作に影響を及ぼす。手術器具の近位端部におけるより小さいスケールの動作は、近位端部の器具の衝突を減少させる又は防ぐ。ロボットアームの衝突を避けるために、幾つかの既存のシステムは、約8−9cmの器具の解剖学的なエントリポイントの間の間隔を必要とし得る。本開示のシステムは、ロボットアームの衝突を避けながら、より近い器具間隔を可能にし得る。
代替実施形態では、シャシの近位端部におけるジンバル又は他の回転ジョイントの1又は複数が、固定ジョイントと置き換えられ得る。この実施形態では、可撓性器具シャフトが使用されることができ、手術器具に、シャシに対する限られた量の回転運動を可能にする。
手術器具に追加的な自由度を提供し且つ狭い患者エントリポイント内に挿入される比較的平行な器具の間の作業スペースを増加させるために、平行運動機構又は「ジョグルジョイント(joggle joint)」が手術器具の遠位端部に加えられ得る。平行運動機構は、エンドエフェクタの近位の、エンドエフェクタの横方向の移動を可能にする、手術器具の遠位の一連のジョイント及びリンケージを含む。ジョグルジョイント及び平行運動機構の説明は、全体が本願に参照により援用される、米国特許第7,942,868号及び米国特許出願第12/489,566号に提供される。図6は、シャフト501を持つ遠位手術器具セクション500の側面図である。セクション500は、ジョイント502、ジョイント504、ジョイント506、及びリンケージ508、510を含む。ジョイント502、504は+/−45°の回転を可能にし、ジョイント510は+/−90°の回転を可能にする。ジョイント502、504、506及びリンケージ508、510はシャフト501の軸から横方向変位Dを提供し、概して平行な手術器具の間のより大きい手術作業スペースを可能にする。
本発明の実施形態における1又は複数の要素は、制御システム108のようなコンピュータシステムのプロセッサ上で実行するようにソフトウェアに実装されてもよい。ソフトウェアに実装される場合、本発明の実施形態の要素は、本質的に、必要なタスクを行うコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、プロセッサ可読記憶媒体又は装置において記憶されることができ、伝送媒体又は通信リンクにわたる搬送波に表されるコンピュータデータシグナルとしてダウンロードされてもよい。プロセッサ可読記憶装置は、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を記憶することができる任意の媒体を含み得る。プロセッサ可読記憶装置の例は、電子回路、半導体素子、半導体メモリ素子、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD−ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の記憶装置を含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のコンピュータネットワークを介してダウンロードされ得る。
示された処理及び表示は、いかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的には関連しないということに留意されたい。種々の汎用システムを、本明細書における教示によるプログラムと共に使用することができる、又は、記載される動作を行うためにより専門の装置を構成することが便利であると証明することができる。種々のこれらのシステムに対する要求される構造は、特許請求の範囲における要素として明らかになる。加えて、本発明の実施形態は、いかなる特定のプログラム言語を参考にしても記載されない。種々のプログラム言語が本明細書において記載される本発明の教示を実装するために使用され得ることが理解されるであろう。
本発明の幾つかの例証的な実施形態が記載され、付随の図面に示されているが、そのような実施形態は単に広義の発明を例示したものであって、その広義の発明を限定するのではないということ、及び、本発明の実施形態は、種々の他の修正が当業者に対して生じ得るため、示され且つ記載される特定の構造及び配置に限定されないということが理解されることになる。

Claims (9)

  1. 手術システムであって:
    近位シャシ部分及び遠位シャシ部分を有する器具シャシであって、前記近位シャシ部分及び前記遠位シャシ部分はいずれも前記器具シャシの中心軸に沿って配置され、前記遠位シャシ部分は、前記手術システムの使用中、前記近位シャシ部分より、患者エントリポイントの近くに配置される、器具シャシ;
    近位器具端部及び遠位器具端部を持つ剛性シャフトを有する手術器具であって、前記剛性シャフトは中心器具軸を規定し、前記近位器具端部は前記近位シャシ部分に結合される、手術器具;
    前記手術器具の前記剛性シャフトを受けるように構成されるとともに、前記中心器具軸が前記器具シャシの前記中心軸に対して移動可能であるように、前記遠位シャシ部分に配置された遠位ブリッジ部材に前記手術器具を移動可能に結合するように構成される、器具ガイド部材
    前記近位シャシ部分固定されるアクチュエータ;及び
    前記器具シャシの前記中心軸に対して前記中心器具軸を再配向するよう前記アクチュエータから前記器具ガイド部材に運動を伝達するように、前記アクチュエータ及び前記器具ガイド部材を動作可能に相互に接続する、リンケージシステム;を有する
    術システム。
  2. 前記近位シャシ部分に移動可能に結合される器具インタフェースをさらに有し、前記近位器具端部は前記器具インタフェースを介して前記近位シャシ部分に結合されている
    請求項1に記載のシステム。
  3. 前記器具インタフェースは、前記近位シャシ部分にスライド可能に結合される、
    請求項2に記載のシステム。
  4. 前記器具インタフェース及び前記近位シャシ部分を相互に接続するジンバルシステムをさらに有する、
    請求項2に記載のシステム。
  5. 前記器具インタフェースと前記近位シャシ部分との間にスイベル接続部をさらに有する、
    請求項2に記載のシステム。
  6. 前記器具シャシは、画像キャプチャ装置を支持するように寸法決めされる近位支持部材を前記近位支持部材は支持チューブによって前記遠位ブリッジ部材に強固に結合され、前記画像キャプチャ装置は、前記支持チューブを通って且つ前記遠位ブリッジ部材を越えて延びる、
    請求項1に記載のシステム。
  7. 前記リンケージシステムは、前記器具ガイド部材を第1の回転自由度で動かすように前記アクチュエータと前記器具ガイド部材との間を枢動可能に結合する作動ロッドを含む、
    請求項1に記載のシステム。
  8. 前記リンケージシステムはさらに、前記アクチュエータ及び前記作動ロッドを相互に接続する第1のボールジョイント及び前記作動ロッド及び前記器具ガイド部材を相互に接続する第2のボールジョイントを含む、
    請求項7に記載のシステム。
  9. 前記近位シャシ部分に結合される第2のアクチュエータ並びに前記第2のアクチュエータ及び前記器具ガイド部材を動作可能に相互に接続する第2のリンケージシステムをさらに有し、
    前記第2のリンケージシステムは、前記器具ガイド部材を第2の回転自由度で動かすように前記第2のアクチュエータと前記器具ガイド部材との間を枢動可能に結合する第2の作動ロッドを含む、
    請求項7に記載のシステム。
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