JP6320842B2 - 抗菌性繊維の製造方法及び抗菌性繊維 - Google Patents

抗菌性繊維の製造方法及び抗菌性繊維 Download PDF

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Description

本発明は、抗菌性繊維の製造方法及び抗菌性繊維に関する。
近年、健康志向が高まり、繊維の抗菌処理が注目されている。また、抗菌処理された繊維を用いた防臭効果を有する繊維製品なども種々提案され、実用に供されている。
抗菌処理剤としては、銀、酸化チタンなどの金属又は金属化合物、植物由来成分であって抗菌性を繊維に付与しうる茶カテキン、クマザサエキス、竹、アロエなども提案されており、カテキンや銀を用いた繊維製品は、上市されている。
繊維用の抗菌処理剤として、粒子径が10μm以下である酸化ジルコニウム化合物、ポリフェノール系化合物、カテキンなどを含み、pHが7.5〜11.5である加工剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−57212号公報
しかしながら、特許文献1に記載の加工剤では、繊維を加工する際に、金属化合物である酸化ジルコニウムを安定に繊維に付与することが困難であり、耐久性の良好な抗菌性繊維は得られないのが現状である。また、抗菌成分として公知のカテキンなどのポリフェノールは、飲用に供することができる茶葉より抽出されるため高価であり、より安価で入手しやすく、繊維への付与が容易な成分を使用する、効果的な抗菌処理方法が求められていた。
上記従来技術を考慮してなされた本発明の目的は、簡易な処理により、抗菌性に優れ、抗菌効果が長期間持続する繊維を得ることができる抗菌性繊維の製造方法、及び、抗菌性及びその持続性に優れた抗菌性繊維を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1> 繊維をカチオン性化合物で処理する工程と、
カチオン性化合物で処理された繊維を、サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種を含む浸漬処理液に浸漬する工程と繊維をカチオン性化合物で処理する工程と、を含み、
前記サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種は、タンニンと、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸と、を含むサジー果実由来成分を含有し、
前記サジー果実由来成分が、前記繊維にカチオン性化合物を介して固定化される抗菌性繊維の製造方法。
<2> 前記カチオン性化合物が、4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を含む<1>に記載の抗菌性繊維の製造方法。
<3> 前記浸漬処理液が、サジー果汁、サジー果実、サジー果皮、サジー果汁の搾り滓、サジー果実の溶媒抽出物、サジー果皮の溶媒抽出物、及び、サジー果汁の搾り滓の溶媒抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の抗菌性繊維の製造方法。
<4> 前記繊維が、予め染色された繊維である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の抗菌性繊維の製造方法。
<5> 前記処理液に浸漬する工程の後に、さらに、前記抗菌性繊維を漂白する工程を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の抗菌性繊維の製造方法。
> サジーの果実由来成分から選択される少なくとも1種を、カチオン性化合物を介して繊維に固定化した状態で含む抗菌性繊維であり、前記サジーの果実由来成分は、タンニンと、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸と、を含む抗菌性繊維。
<7> 前記カチオン性化合物が、4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤を含む<6>に記載の抗菌性繊維。
> 肺炎桿菌に対する抗菌性を有する<>又は<>に記載の抗菌性繊維。
本発明によれば、簡易な処理により、抗菌性に優れ、抗菌効果が長期間持続する繊維を得ることができる抗菌性繊維の製造方法、及び、抗菌性と、その持続性に優れた抗菌性繊維を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[抗菌性繊維の製造方法]
本発明の抗菌性繊維の製造方法は、繊維をカチオン性化合物で処理する工程(以下、カチオン処理工程と称することがある)と、カチオン性化合物で処理された繊維を、サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種を含む浸漬処理液に浸漬する工程(以下、浸漬工程と称することがある)と、を含む。
なお、「サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種」を、以下、「サジー果実及びその由来物」と称することがある。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように考えている。
本発明の製造方法により、繊維をカチオン性化合物により処理した後、サジー果実及びその由来物を含有する浸漬処理液に浸漬することで、カチオン性化合物を介してサジー果実及びその由来物に含まれるサジー果実の由来成分が繊維に固定化され、その結果、繊維がサジー果実の由来成分に起因する耐久性に優れた抗菌性を発現するものと推定される。
本発明において、繊維にサジー果実の由来成分が固定化されるとは、繊維にサジー果実の由来成分が、何らかの相互作用により付着し、水洗、漂白などの物理的処理又は化学的処理によってもサジー果実の由来成分が繊維から分離しない状態を指す。サジー果実の由来成分の繊維への固定化の態様には制限はなく、物理的、化学的な吸着、反応による結合、水素結合性の相互作用による結合など、いずれの態様であっても本発明における固定化に包含される。
以下、本発明の抗菌性繊維の製造方法について、工程順に説明する。
<カチオン処理工程>
本発明の抗菌性繊維の製造方法では、まず、繊維をカチオン性化合物で処理する。
(繊維)
本発明の抗菌性繊維の製造方法を適用しうる繊維には特に制限はなく、綿、麻などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維のいずれであってもよい。
本発明の抗菌性繊維の製造方法を適用可能な繊維の代表的な例を以下に挙げるが、これに制限されるものではない。
綿、麻、葉脈繊維などのセルロース系天然繊維
シルク、ウールなどのタンパク系天然繊維
レーヨン、キュプラ、ポリノジック、再生タンパク質繊維であるカゼイン、トウモロコシデンプン由来の再生繊維であるトウモロコシ繊維などの再生繊維
アセテート、トリアセテート、ミルクカゼインとアクリロニトリルから得られるプロミックス等の半合成繊維
ポリエステル、ポリアミド(ナイロン:登録商標)、芳香族ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ベンゾエート、ビニロン、ポリ塩化ビニル等の合成繊維
繊維の形態としては、綿など紡糸される前の原料繊維;モノフィラメント糸、撚り糸などの糸;不織布、編物、織物などの布;などが挙げられ、処理液中に浸漬することができれば特に繊維の形態に制限はない。
また、シャツなどの被服、下着、スカーフ、靴下、タオルなどの繊維製品も本発明における繊維に含まれる。
(カチオン性化合物)
本発明の抗菌性繊維の製造方法に用いることができるカチオン性化合物は、抗菌処理剤として機能するサジーの果実由来成分から選択される少なくとも1種の、繊維への吸着性を向上させる前処理剤として用いられる。
カチオン性化合物としては、カルボキシ基、スルホン基などの酸基、アミノ基などを分子内に有してもよいカチオン性化合物、例えば、塩基性アミノ酸、アンモニウム塩化合物などが挙げられ、より具体的には、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどの塩基性アミン化合物;第4級アンモニウム塩、第3級アンモニウム塩などのアンモニウム塩化合物;アルギニンなどの塩基性アミノ酸;などが挙げられる。
カチオン性化合物、例えば、代表的なカチオン性化合物である第4級アンモニウム塩としては、以下に示すアンモニウム塩化合物の如き、カチオン性界面活性剤として知られる4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤を使用することもできる。
カチオン性化合物は、アルカリ条件下で繊維と接触すると、カチオン性化合物が分子内に有する窒素と繊維との間に相互作用を形成して固定化されるものと考えられる。そして、繊維に固定化した第4級アンモニウム等のカチオン性化合物が、引き続き行われる浸漬工程において、接触するサジー果実由来成分と相互作用を形成することで、サジー由来成分がカチオン性化合物を介して繊維に固定化され、カチオン性化合物を用いない場合に比較し、サジー果実由来成分が繊維に、より強固に固定化するものと考えられる。
本発明に使用される代表的な4級アンモニウム塩を以下に示す。
カチオン性化合物としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、シオールCHP(商品名:第4級アンモニウム塩水溶液、(株)シオンテック)、PEシオールCT(商品名:ポリエステル樹脂粒子/油剤の水溶媒調整品/第4級アンモニウム塩の混合物、(株)シオンテック)等が挙げられる。
カチオン処理工程は、処理対象繊維を、カチオン性化合物含有処理液に浸漬し、60℃〜130℃、好ましくは、60℃〜80℃に加温して処理する工程である。
カチオン性化合物含有処理液は、少なくともカチオン性化合物と溶媒とを含有し、目的に応じてその他の成分を含有することができる。
(溶媒)
カチオン性化合物含有処理液の溶媒は水を含有する。溶媒としては水のみを用いてもよいが、さらに、カチオン性化合物の溶解性を向上させるため、水溶性の有機溶媒を、全溶媒中の5質量%〜50質量%含有させることができる。
水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールエチレン、ジメチルアルデヒドなどが挙げられる。
カチオン性化合物としては、既述のカチオン性化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性化合物含有処理液におけるカチオン性化合物の含有量は、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜7質量%であることがより好ましい。
カチオン性化合物の使用量としては、処理対象繊維100質量部に対して、カチオン性化合物を固形分換算で、0.01質量部〜30質量部となる範囲で用いることが好ましく、0.02質量部〜10質量部となる範囲で用いることがより好ましい。
従って、処理対象繊維に対するカチオン性化合物の総量が上記範囲となるように、カチオン性化合物含有処理液の濃度、使用量を適宜調整することが好ましい。
また、カチオン性化合物含有処理液には、カチオン性化合物の繊維への吸着を促進する目的で、アルカリ剤を含有することができる。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、カチオン性化合物含有処理液にアルカリ剤を用いる場合の含有量は、処理液の量や浸漬に用いる装置により適宜選択することができる。一般的には、アルカリ剤は処理液のpHが9〜13となる量を添加することが好ましい。
カチオン性化合物含有処理液は、繊維へのカチオン性化合物の固定化を促進し、より強固に固定化するために、アミノ酸粒子、繊維を構成するセルロース又は合成樹脂を含む粒子(以下、繊維成分含有粒子と称することがある)などを含有することができる。
なかでも、抗菌性繊維の製造方法に用いられる処理繊維を構成する成分と同質又は類似の成分を含む繊維成分含有粒子を用いることで、カチオン性化合物の処理繊維への固定化がより強固なものとなる。
粒子サイズとしては、粒径が0.001μm〜0.3μmの範囲であることが好ましい。
アミノ酸粒子、及び繊維成分含有粒子から選ばれる粒子を含むことにより、カチオン性化合物の処理繊維への吸着がより強固となり、さらに、その作用機構は不明であるが、処理される繊維の風合いが、より優れたものとなる。
特に、通常、表面加工が困難とされるポリエステル繊維を処理する場合、カチオン性化合物含有処理液にポリエステル粒子、好ましくは粒径が0.001μm〜0.3μmのポリエステル粒子を含有させることで、ポリエステル繊維へのカチオン性化合物の固定化がより強固となり、ひいては、引き続き行われる浸漬処理工程において、サジー果実の由来成分の繊維への固定化がより強固なものとなる。
カチオン性化合物含有処理液に含むことができる粒子の粒径は、倍率500倍の光学顕微鏡写真にて撮影した写真の視野角に存在する粒子の粒子径(長径)を20個計測し、その算術平均により測定することができる。
カチオン性化合物含有処理液には、アミノ酸粒子、及び繊維成分含有粒子から選ばれる粒子を1種のみ含有させてもよく、目的に応じて2種以上含有させてもよい。
粒子のカチオン性化合物含有処理液における含有量は、1質量%〜15質量%であることが好ましく、5質量%〜10質量%であることがより好ましい。
カチオン性化合物含有処理液は、溶媒と、カチオン性化合物、及び所望により用いられるアルカリ剤などの任意成分と、を混合し、十分に撹拌して調製することができる。処理液の調製は常温(25℃)で行ってもよいが、均一な処理液を調製する観点からは、30℃〜90℃に加温することが好ましい。
調製されたカチオン性化合物含有処理液に、処理対象繊維を浸漬し、十分に接触させる。浸漬温度は、60℃〜130℃の範囲が好ましく、70℃〜100℃の範囲がより好ましい。浸漬時間は、30分間〜60分間が好ましく、30分間〜45分間の範囲がより好ましい。
繊維は、布、糸、繊維製品の状態であれば、そのまま浸漬すればよいが、短繊維、短い糸状である場合には、布製袋、不織布製袋、メッシュ状の袋など、液透過性の袋又はカゴなどの容器に入れて浸漬してもよい。
処理される繊維と同質の繊維成分を含有する粒子を用いる場合、被処理繊維がセルロース繊維の場合には、処理液のPHを9以上とし、温度80℃以上で30分以上浸漬することが好ましく、被処理繊維がシルクや羊毛などのタンパク質繊維の場合には、処理液のPHを9以下とし、温度60℃以上で30分以上浸漬することが好ましく、被処理繊維がポリエステル繊維などの合成繊維の場合には、処理液のPHを11以上とし、温度80℃以上で30分以上浸漬することが好ましい。
処理対象繊維と処理液とを十分に接触させるために、浸漬中に処理液を撹拌してもよい。撹拌は常法により行うことができる。
(水洗)
所定の浸漬時間、浸漬した後、カチオン性化合物含有処理液から取り出した繊維は水洗することが好ましい。
十分に水洗を行なうことで、繊維間に残るカチオン性化合物含有処理液、及び繊維に吸着していないカチオン性化合物を除去することが、引き続き行われる浸漬工程で、サジー果実由来成分を繊維に十分に、且つ、均一に付与させことができるという観点から、水洗工程を行うことが好ましい。
これは、水洗工程にて、繊維間のカチオン性化合物が除去されず、被処理繊維においてpHが高い領域が残る場合には、サジーの被処理繊維への吸着がムラになり、均一な処理が困難となる可能性があるためである。
<浸漬工程>
カチオン処理工程を経て、カチオン性化合物が結合した繊維を、サジー果実及びその由来物から選択される少なくとも1種を含む浸漬処理液に浸漬する浸漬工程を行う。
(サジー)
サジー(学名:Hippophas rhmnoides)とは、別名、シーベリー、シーバックソーン、ヒッポファエとも称される、グミ科、ヒッポフェア属の植物である。
本発明において、有効成分として使用されるサジー果実由来成分は、サジー果実、及びサジー果実由来物から得られる。
より詳細には、浸漬処理液の調製に用いるサジー果実、及びサジー果実由来物としては、サジーの生の果実、果実を乾燥した乾燥サジー、サジー果汁、果汁の搾り滓、サジー果皮等が挙げられる。また、サジー生果実、果実を乾燥した乾燥サジー果実、サジー果汁の搾り滓、サジーの果皮を溶媒抽出した抽出液は、浸漬処理に使用しうる有効成分を含有するためサジー果実由来物に包含され、浸漬処理液の調製に使用することができる。
さらに、サジー果汁、果汁の搾り滓、サジー果皮を乾燥し、所望により粉砕して得られる粉末、サジー生果実、果実を乾燥した乾燥サジー果実、サジー果汁の搾り滓、サジー果皮等を溶媒抽出して得られた抽出液を乾燥した粉末なども本発明におけるサジー果実由来物として好適に使用される。
サジーは、ユーラシア中央部から中国、ヨーロッパにて自生している植物であり、抗酸化性があることが知られており、サプリメント、健康食品としては従来公知である。しかしながら、サジー果実及びその由来物が繊維に抗菌性を付与しうること、サジー果実及びその由来物から得られるサジー果実の由来成分を繊維に固定化する抗菌性繊維の製造方法、及びサジー果実の由来成分を含む抗菌性繊維については知られていない。
(浸漬処理液の調製方法)
(1.サジー果汁)
サジー果汁は、生のサジー果実をミキサーにて潰し、その後、圧力をかけて絞り、果汁のみをろ別することで得ることができる。
サジー果汁はそのまま、或いは、水などの溶媒で希釈して浸漬処理液とすることができる。
このとき、サジー果汁とろ別されたサジー果実の搾り滓も、後述するように、サジー果実由来物として、浸漬処理液の調製に用いることができる。
(2.サジー果実又はサジー搾り滓抽出液)
サジー果実、果皮、サジー果汁の搾り滓等を溶媒抽出することでサジー果実の由来成分を含有する抽出液を得ることができる。サジー果実の由来成分を含有する抽出液はそのまま、或いは、水などの溶媒で希釈して浸漬処理液とすることができる。
溶媒抽出方法としては、水を抽出液として使用し、アルカリ条件下で抽出を行う方法、水と有機溶剤との混合溶媒、又は、有機溶剤を溶媒として抽出する方法などを挙げることができる。
水による抽出方法としては、生のサジー果実を潰したもの、サジー果皮、サジー果汁の搾り滓などのサジー果実及びその由来物 1質量部に対して、水を15質量部〜25質量部程度を含有させ、ステンレス製容器などに入れて、よく撹拌し、アルカリ剤にて、抽出液のpHを8以上に調製し、30℃〜100℃、好ましくは、80℃〜90℃に昇温し、30分間〜100分間程、好ましくは、50分間〜80分間抽出し、固形分をろ別して、サジー果実及びその由来物の溶媒抽出液を得る方法が挙げられる。
pH調製に用いられるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
サジー果実及びその由来物を水と有機溶剤との混合溶媒又は有機溶剤により溶媒抽出する方法をとる場合、使用しうる有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルアルデヒドなどが挙げられる。
有機溶剤としてプロピレングリコール、ジメチルアルデヒドなどを用いる場合には、有機溶剤の全溶媒中における含有率は20質量%以上とすることができ、100質量%であってもよい。好ましくは、30質量%〜100質量%の範囲であり、より好ましくは50質量%〜100質量%の範囲である。
有機溶剤としてメタノール、エタノールなどの低級アルコールを用いる場合には、有機溶剤の全溶媒中における含有率は2質量%〜10質量%の範囲であることが好ましく、5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
以下、水とプロピレングリコールとの混合溶媒又はプロピレングリコールを抽出用溶媒として使用する方法を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
まず、水:プロピレングリコールの混合比率が質量基準で、80:20〜0:100の抽出溶媒を調製し、サジー果実及びその由来物 1質量部に対して、抽出用溶媒を15質量部〜25質量部程度を含有させ、ステンレス製容器などに入れて、よく撹拌し、30℃〜100℃、好ましくは、80℃〜90℃に昇温し、30分間〜100分間程、好ましくは、50分間〜80分間抽出し、固形分をろ別して、サジー果実及びその由来物の溶媒抽出液を得る方法が挙げられる。
なお、水:プロピレングリコールの混合溶媒において、プロピレングリコールの含有量を50質量%以上100質量%(水を含まない)までとし、密閉可能な重層構造の反応容器に入れて抽出を行うことで、反応容器内が加圧状態となり、例えば、反応容器内の温度を230℃程度まで昇温することができる。このように、抽出溶媒としてプロピレングリコール50質量%以上含有する溶媒を用い、高温高圧条件下で抽出を行うことで、サジー果実及びその由来物から得られるサジー果実の由来成分(有効成分)は、水を単独溶媒として、常圧下で60℃〜90℃に加温して抽出した場合に比較して、より高濃度で抽出することができる。
水とプロピレングリコールの混合溶媒を用いてサジー果実の由来成分を抽出した場合、得られた抽出物を用いて浸漬処理液を調製する場合には、必要に応じてプロピレングリコールの少なくとも一部を溶媒から除去して、浸漬処理液中のプロピレングリコールの量をサジー果実の由来成分に対して3倍量以下とすることが、効果の観点から好ましい。
既述の方法で得られたサジー果汁、サジー果実及びその由来物の溶媒抽出液は、液の状態で保存する場合には、保存性向上の観点から、防腐剤を含有させることができる。
使用しうる防腐剤としては、エタノール、安息香酸、ソルビン酸、パラオキシン化合物などが挙げられる。
防腐剤の含有量は、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、サジー果汁、抽出液等の液状成分の全量に対して、2質量%〜5質量%の範囲とすることができる。
(3.噴霧乾燥)
既述の方法で得られたサジー果汁、又はサジー果実及びその由来物の溶媒抽出液は、噴霧乾燥して粉末に加工することができる。サジー果実の由来成分を含む液を粉末という固体状とすることで、保存性が液の場合に比較してより向上し、保存、輸送などハンドリング性がより良好となる。
サジー果実及びその由来物を粉末に調製するための噴霧乾燥装置は、公知の装置を適宜使用することができる。常法に従い、噴霧乾燥装置の上部から、サジー果汁、又はサジー果実及びその由来物の溶媒抽出液を噴霧して、装置内にて熱風乾燥し、装置の下部から粉体化したサジー果実の由来成分を含有する粉末を取り出せばよい。
乾燥温度は80℃〜150℃程度とすることができ、100℃〜130℃であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、サジー果実及びその由来物を含有する浸漬処理液により製造される繊維の殺菌性は、サジー果実及びその由来物を130℃〜150℃程度で加熱して得た粉末を用いて浸漬処理液を調製した場合にも、液状のサジー果実及びその由来物を用いて浸漬処理液を調製した場合と比較して低下することはない。
得られたサジー果実及びその由来物の粉末は、保存性が良好であるため、特に防腐剤などの添加は必要ない。なお、乾燥状態を維持するため、得られた粉末は、密閉できる缶、瓶、袋等の容器内で保存することが好ましい。容器の材料は酸素透過性が低いものが好ましい。
サジー果実及びその由来物の粉末は、水などの溶剤に溶解して浸漬処理液の調製に用いられる。
浸漬処理液の調製に用いる溶媒としては水が好ましく、サジー果実及びその由来物の粉末の溶解性を向上させるため、既述の水溶性有機溶剤を本発明の効果を損なわない範囲において使用してもよい。
(4.サジー果実等の乾燥物)
サジー果実の乾燥物、サジー果皮の乾燥物、サジー果汁の搾り滓の乾燥物等を粉砕した粉末も、サジー果実及びその由来物として、浸漬処理液の調製に用いることができる。
サジー果実、果皮、サジー果汁の搾り滓の乾燥物の製造は、公知の果実乾燥方法、公知の乾燥装置を用いて、常法により行うことができる。
サジー由来成分として、サジー果汁、サジー果実及びその由来物の溶媒抽出液などの液状成分を用いる場合には、液状成分をそのまま浸漬処理液として用いるか、水を含む溶媒で希釈して浸漬亜処理液を調製すればよい。
希釈によりサジー由来成分含有処理液を調製する場合、常温にて行うことができるが、30℃〜90℃に加温して調製してもよい。
サジー果汁、又は、サジー果実及びその由来物の溶媒抽出液を乾燥した粉末、乾燥サジー果実の粉砕物、サジー果汁の搾り滓の乾燥品などの固体粉末を浸漬処理液の調製に用いる場合には、固体粉末と、水を含む溶媒と、を含有する液を十分に撹拌して浸漬処理液を調製すればよい。
サジー果実及びその由来物として粉末などの固体成分を用いる場合には、粉末の溶解性を向上するため、混合物を加温することが好ましい。加温条件としては、30℃〜90℃であることが好ましく、50℃〜85℃であることがより好ましい。
浸漬処理液の調製時間は、30分間〜60分間が好ましく、30分間〜45分間の範囲がより好ましい。
サジー果実及びその由来物が液状の場合、固体状の場合のいずれにおいても、調製されたサジー果実の由来成分を含有する液状混合物を、さらに、10時間〜36時間、好ましくは、20時間〜30時間程度、常温にて静置して、浸漬処理液を得ることが好ましい。
浸漬処理液におけるサジー果実及びその由来物の含有量は、果汁、搾り滓抽出液などの液状成分を浸漬処理液の調製に用いる場合には、浸漬処理液の全量に対して、10質量%〜40質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
サジー果汁、又はサジー原料抽出液の噴霧乾燥品、サジー果実の乾燥品、サジー果汁の搾り滓の乾燥などの固体粉末を浸漬処理液の調製に用いる場合には、浸漬処理液の全量に対して、10質量%〜40質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
(浸漬処理)
得られたサジー果実の由来成分を含有する浸漬処理液に、カチオン処理工程を経て、カチオン性化合物が固定化された繊維を浸漬する。
使用する浸漬処理液の量は、処理液に含まれるサジー果実の由来成分が繊維全量に対して十分に固定化される量であればよいが、効果の観点からは、例えば、繊維100質量部に対して、浸漬処理液が5質量部〜100質量部であることが好ましく、10質量部〜20質量部であることがより好ましい。
サジー果実の由来成分を含有する浸漬処理液と繊維とが十分に接触するために、染色機などの装置内に繊維に対して過剰の水を入れ、そこに繊維と浸漬処理液とを添加して撹拌しながら浸漬を十分に行うことが好ましい。
繊維を浸漬した浸漬処理液は、処理効率向上の観点から、加温することが好ましい。加温条件としては、30℃〜130℃であることが好ましく、50℃〜90℃であることがより好ましい。
浸漬時間は、10分間〜60分間が好ましく、30分間〜45分間の範囲がより好ましい。
繊維と処理液とを十分に接触させるため、処理液を撹拌することが好ましい。
被処理繊維が、ポリエステル繊維であるか、ポリエステル繊維を含む混紡品である場合には、繊維のサジー由来成分含有処理液への浸漬時における処理液の温度は、100℃〜130℃であることが、処理効果を向上させる観点から好ましい。
本発明者らの検討によれば、130℃の高温処理においても、サジー果実の由来成分に起因する抗菌性は損なわれないことが確認されている。
(水洗)
所定のサジー浸漬工程を行った後、サジー由来成分含有処理液から取り出した繊維は水洗することが好ましい。
十分に水洗を行なうことで、サジー由来成分含有処理液を十分に除去する。
繊維が白色の場合には、サジー由来成分により、繊維がベージュに着色する。この着色により、水洗後もサジー由来成分が繊維に固定化されていることが確認できる。
(サジー由来成分固定化の確認)
繊維にサジー由来成分が固定化されていることは、ガスクロマトグラフィー分析により確認することができる。即ち、サジー由来成分は、少なくともタンニンと数種のアミノ酸(例えば、ヒスチジン、リジン、ロイシン、バリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン等)を含有することが本発明者らの検討により明らかとなった。
なお、これらアミノ酸のなかでも、分子内に芳香環を有するチロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンは、繊維の抗菌性向上に寄与する。
これらのことから、ガスクロマトグラフィー分析により繊維付着成分を分析し、タンニン、及び抗菌性向上に寄与するアミノ酸であるチロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選ばれる少なくとも1種が確認された場合、サジー由来成分が繊維に固定化していると判断することができる。
より簡易な確認方法としては、繊維に媒染剤を付着させる方法が挙げられる。即ち、市販の鉄媒染剤を約20倍の水に溶解させた溶液をサジー浸漬処理後の繊維に塗布し、その後、水洗する方法が挙げられる。繊維にサジー由来成分が固定化されている場合には、媒染剤溶液を塗布した領域のみにおいて繊維に付着したサジー由来のタンニンが変性し、ベージュ色がグレー味を帯びたこげ茶色に変色する。この変色によりサジー由来成分含が繊維上に固定化されていることを簡易に確認できる。
サジー由来成分が固定化された繊維は、後述するように、本発明者らの検討により、黄色ブドウ状菌、モラクセラ菌、肺炎桿菌等に対する抗菌効果が確認された。
カテキンなどの植物由来の抗菌成分では抗菌効果を得られない肺炎桿菌に対しても、繊維に固定化されたサジー由来成分が抗菌効果を発現することは本発明の大きな特徴である。
本発明の抗菌性繊維の製造方法に用いるサジー果実およびその由来物は、本来、食品に使用されるものであり安全性が高い。また、サジー由来物として、サジー果汁の搾り滓を用いれば、廃棄物の有効利用にもなり、且つ、材料が安価であるという利点をも有する。
(漂白)
浸漬処理工程を経て、サジー果実の由来成分が固定化された繊維は、ベージュ色を呈している。
ベージュ色に着色した抗菌性繊維は、そのまま使用してもよいが、白色の繊維とする場合、或いは、さらに繊維を所望の色に着色する場合には、クエン酸、過酸化水素などにより抗菌性繊維に漂白処理を行ってもよい。
クエン酸、過酸化水素などによる漂白処理は、常法により行うことができる。漂白処理した繊維をガスクロマトグラフィー分析したところ、サジー果実の由来成分は、漂白処理された後も、繊維へ固定化されていることが確認された。
また、後述する抗菌試験において、浸漬工程の後、漂白処理した抗菌性繊維についても、漂白処理前の繊維と同様に黄色ブドウ状菌、モラクセラ菌、肺炎桿菌等に対する抗菌効果が確認された。
(染色)
本発明の抗菌性繊維の処理方法に用いる繊維は、予め染色されたものであってもよい。
即ち、抗菌性を付与したい繊維を、予め、反応性染料などで所望の色相に染色したものに、上記の製造方法を適用しても、同様に抗菌性繊維が製造される。
繊維の染色は、常法により行うことができる。
原料となる繊維、繊維製品の染色に用いられる染色機としては、オーバーマイヤー機、かせ染機、チーズ染色機、ウインス機、ジッカー機、液流機、パデイング・マングル機、連染機、ドラム機、ワッシャー機、ビーム染色機等を適用することができる。
また、常圧染色機、高圧染色機、密閉染色機、捺染機を用いて、染料を混入することで繊維を染色することができる。
〔抗菌性繊維〕
本発明の抗菌性繊維は、繊維表面にサジー果実の由来成分が固定化されている、サジー果実の由来成分を含む繊維である。
本発明の抗菌性繊維は、前記本発明の抗菌性繊維の製造方法によって製造された繊維であることが好ましい。
抗菌性繊維の形態は任意である。即ち、短繊維の状態で、糸の状態でも、織布、不織布などの布であっても、下着、被服、スカーフ、ロープ、タオルなどの最終製品でもよい。
また、抗菌繊維である短繊維を撚って糸としても、糸を織ったり、編んだりした布としてもよく、糸を織ったニット製品などの繊維製品としてもよく、布を裁断し、縫製した繊維製品としてもよい。
本発明の抗菌性繊維は、抗菌性とその持続性に優れるため、種々の分野に利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
<カチオン性化合物含有処理液の調製>
水10kg(10リットル)に、第4級アンモニウム塩(株式会社シオンテック、PEシオールCT:商品名 10質量%水溶液)60g(ml)を混合し、水酸化ナトリウム(25質量%水溶液)200gを投入して十分に撹拌、混合し、カチオン性化合物含有処理液を調製した。
<カチオン処理工程>
得られたカチオン性化合物含有処理液に、被処理繊維である綿100%40番双糸の天竺編布400gを入れ、80℃にて30分間浸漬した。
その後、カチオン性化合物含有処理液から布を取りだし、水洗してカチオン性化合物含有処理液を除去した。
<浸漬処理液の調製>
ステンレスの容器に、水4000g(4リットル)と、サジー果汁の搾り滓を乾燥した粉末200gとを投入し、80℃に昇温して30分間、撹拌、混合した。得られた混合物を室温(25℃)にて24時間静置し、浸漬処理液を調製した。
<浸漬工程>
ステンレス容器に水10kg(10リットル)と、調製した浸漬処理液40g(40ml)とを投入して十分に撹拌、混合した。混合液に、カチオン処理した天竺編布400gを投入し、80℃にて20分間、処理液を撹拌しながら浸漬した。
その後、天竺編布を取りだし、水洗し、絞って水分を除去し、電気乾燥機で90℃、60分間乾燥して、抗菌処理された天竺編布(綿布)400gを得た。布は、ベージュ色を呈していた。
[実施例2]
繊維は、繊維製品とする場合、基本的には染色するので、染料で染色した繊維について本発明の抗菌性繊維の製造方法を適用した。
(繊維の染色)
水20kg(20リットル)をステンレス容器に入れ、容器に、反応染料(オージー長瀬カラーケミカル株式会社製、Red:商品名)2gと0.2質量%の水酸化ナトリウムを水1kgに対し0.5gの割合で含有させ、十分に撹拌混合して染色液を調製した。
得られた染色液に、綿100%の40番手単糸のブロード織物200gを水で濡らして浸漬し、染色液を混合しながら80℃まで昇温し、80℃の温度を維持したまま45分間染色した。45分経過後に、芒硝を水1kgに対し3gの割合で添加し、ベージュに染色されたブロード織物を得た。
染色した布は十分に水洗し、余分な水を搾り、乾燥機で乾かした。
ベージュ色に染色した綿ブロード織物を使用した以外は、実施例1と同様にして、カチオン処理工程、浸漬工程を行ない、予め染色した綿ブロード織物にサジー果実の由来成分が固定化された実施例2の抗菌性繊維を得た。
[実施例3]
(漂白処理)
水道水10リットル(10kg)を入れたステンレス容器に過酸化水素を水1kg当たり3g投入し、水酸化ナトリウムにより、液のpHを10に調整した。
得られた漂白処理液に、実施例1で得た抗菌性繊維(天竺編綿布)を浸漬し、漂白処理液を撹拌しながら、80℃で15分間漂白処理を行った。
繊維はベージュ色が漂白されて白色の繊維となった。
漂白された繊維を十分に水洗し、水分を搾り、乾燥機で乾燥して、実施例3の抗菌性繊維を得た。
<抗菌性試験>
実施例1〜実施例3で得た抗菌性繊維(綿布)に対し、JIS L1902(2008年) 定量試験(菌液吸収法)により抗菌性試験を行った。
標準綿布としては、本発明の製造方法を適用していない綿布を用いた。
但し、洗濯方法は、JIS L 0217 103号、の試験方法による。
(洗剤はJAFET標準配合洗剤を使用)
[抗菌性試験1:黄色ぶどう球菌]
生菌数の測定方法:混釈平板培養法
殺菌性試験対象菌体:黄色ぶどう球菌 Staphylococcus aureus NBRC 12732
〔抗菌性の算出方法〕
算出方法:増殖活性値=Mb−Ma
Ma:標準綿布の接種直後の生菌数の常用対数値
Mb:標準綿布の18時間後の生菌数の常用対数値

殺菌活性値=Ma−Mc
Ma:標準綿布の接種直後の生菌数の常用対数値
Mo:試験試料の接種直後の生菌数の常用対数値

静菌活性値=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)
Mb:標準綿布の18時間後の生菌数の常用対数値
Ma:標準綿布の接種直後の生菌数の常用対数値
Mc:試験試料の18時間後の生菌数の常用対数値
Mo:試験試料の接種直後の生菌数の常用対数値
標準綿布の試験結果を表1に示す。また、実施例1〜実施例3で得られた抗菌処理された天竺編布(綿布)における抗菌性の試験結果を表2に示す。
[抗菌性試験2:肺炎桿菌]
生菌数の測定方法:混釈平板培養法
殺菌性試験対象菌体:肺炎桿菌 Klebsiella pneumoniae NBRC 13277
殺菌性試験対象菌体を肺炎桿菌に変えた以外は、抗菌性試験1と同様にして抗菌性試験を行った。結果を、下記表3〜表4に示す。

[抗菌性試験3:モラクセラ菌]
生菌数の測定方法:混釈平板培養法
殺菌性試験対象菌体:モラクセラ菌 Moraxella osloensis ATCC 19976
殺菌性試験対象菌体をモラクセラ菌に変えた以外は、抗菌性試験1と同様にして抗菌性試験を行った。結果を、下記表5〜表6に示す。
表1〜表6に明らかなように、本発明の製造方法により得られた抗菌性繊維は、染色処理、漂白処理を行わない試料(実施例1)、染色後に抗菌性繊維とした試料(実施例2)、抗菌性繊維を得た後、漂白処理した試料(実施例3)のいずれも、黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、モラクセラ菌のいずれに対しても、優れた抗菌性を示し、抗菌効果は、繊維を30回洗濯した後も維持されることがわかる。
〔実施例4〕
(繊維の染色)
分散染料(オージー長瀬カラーケミカル株式会社製、赤)0.8%o.w.fと分散染料(オージー長瀬カラーケミカル株式会社製、黄)0.2%o.w.fの混合物であるオレンジ染料を、20gの水に溶解して染色液を調製した。
ポリエステル100%75d糸の厚めのデシン織物20gを準備した。
ここで「%o.w.f」とは、繊維100gに対して使用する染料の質量を表す単位であり、繊維100gに対して染料1gを使用する場合、1%o.w.fと表記する。
試験用の染色機に1000gの水を入れ、ポリエステル製のデシン織物を浸漬し、予め調製した染色液を添加して、混合しながら130℃まで昇温し、130℃の温度を維持したまま30分間染色した。
30分経過後に、芒硝3gを1000gの水に溶かしたものを染色液に投入し、十分に撹拌した。その後、デシン織物を、芒硝を投入した染色液から取り出して十分に水洗し、余分な水を搾り、乾燥機で乾燥して、オレンジに染色されたデシン織物を得た。
<カチオン処理工程>
試験用の染色機に1000gの水を入れ、染色したポリエステル製のデシン織物をいれて、撹拌しながら、第4級アンモニウム塩(株式会社シオンテック、PEシオールCT:商品名)を10%o.w.f添加し、さらに撹拌、混合しながら、水酸化ナトリウム(25質量%水溶液)を、液のpHが11になるまで添加して十分に撹拌、混合した。液温を80℃に昇温し、80℃にて30分間撹拌しながら浸漬した。
なお、カチオン性化合物処理工程で用いたPEシオールCT(商品名)は、第4級アンモニウム塩とともに、粒子径が0.001μmのポリエステル粒子を10質量%含有する組成物である。
その後、処理液から布を取り出し、水洗してカチオン性化合物含有処理液を除去し、乾燥した。
<浸漬処理液の調製>
ステンレスの容器に、水4kg(4リットル)と、サジー果汁の搾り滓を乾燥した粉体200gとを投入し、80℃に昇温して30分間、撹拌、混合した。得られた混合物を室温(25℃)で24時間静置し、浸漬処理液を調製した。
<浸漬工程>
ステンレス容器に水1000gと、調製した浸漬処理液4gとを投入して十分に撹拌、混合した。混合液に、カチオン処理したポリエステルデシン布20gを投入し、80℃にて20分間、処理液を撹拌しながら浸漬した。
その後、デシン布を取りだし、水洗し、絞って水分を除去し、電気乾燥機で90℃、60分間乾燥して、抗菌処理されたポリエステルデシン布を得た。
実施例1と同様の抗菌試験を行ったところ、染色したポリエステル布においても、実施例2の染色した綿布と同様の抗菌性を有することがわかった。

Claims (8)

  1. 繊維を、カチオン性化合物で処理する工程と、
    カチオン性化合物で処理された繊維を、サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種を含む浸漬処理液に浸漬する工程と、を含み、
    前記サジーの果実及びサジーの果実由来物から選択される少なくとも1種は、タンニンと、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸と、を含むサジー果実由来成分を含有し、
    前記サジー果実由来成分が、前記繊維にカチオン性化合物を介して固定化される抗菌性繊維の製造方法。
  2. 前記カチオン性化合物が、4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤を含む請求項1に記載の抗菌性繊維の製造方法。
  3. 前記浸漬処理液が、サジー果汁、サジー果実、サジー果皮、サジー果汁の搾り滓、サジー果実の溶媒抽出物、サジー果皮の溶媒抽出物、及び、サジー果汁の搾り滓の溶媒抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の抗菌性繊維の製造方法。
  4. 前記繊維が、予め染色された繊維である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の抗菌性繊維の製造方法。
  5. 前記浸漬処理液に浸漬する工程の後に、さらに、前記抗菌性繊維を漂白する工程を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗菌性繊維の製造方法。
  6. サジーの果実由来成分から選択される少なくとも1種を、カチオン性化合物を介して繊維に固定化した状態で含む抗菌性繊維であり、前記サジーの果実由来成分は、タンニンと、チロシン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸と、を含む抗菌性繊維。
  7. 前記カチオン性化合物が、4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤を含む請求項6に記載の抗菌性繊維。
  8. 肺炎桿菌に対する抗菌性を有する請求項又は請求項に記載の抗菌性繊維。
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