以下、図面を参照して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)及び画像処理装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、送受信コイル107と、送信部108と、受信コイル109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部120及び計算機130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及び読み出し用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送受信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送受信コイル107に供給する。例えば、送受信コイル107は、全身用(WB(Whole Body))コイルである。
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR信号」)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。例えば、受信コイル109は、全身用コイル、頭部用の受信コイル、脊椎用の受信コイル、腹部用の受信コイルなどである。また、第1の実施形態では、受信コイル109は、複数のコイルエレメントを含んだアレイコイルであり、各コイルエレメントで受信したMR信号を複数のチャネルで出力する。
なお、上述した送受信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。例えば、シーケンス制御部120は、シーケンス情報に基づいて、WBコイルである送受信コイル107の感度分布を示す感度マップデータ及び診断用の画像データを収集する。なお、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108が送受信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。
また、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMRデータ(感度マップデータ及び診断用の画像データ)を受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース部131、記憶部132、制御部133、入力部134、表示部135、及び画像生成部136を備える。
インタフェース部131は、シーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信し、シーケンス制御部120からMRデータを受信する。また、インタフェース部131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部132に格納する。記憶部132に格納されたMRデータは、制御部133によってk空間に配置される。
記憶部132は、インタフェース部131によって受信されたMRデータや、制御部133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部136によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶部132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
入力部134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示部135は、制御部133による制御の下、スペクトラムデータや画像データ等の各種の情報を表示する。表示部135は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
制御部133は、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、制御部133は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路であり、撮像条件設定部133aと、マスク画像生成部133bとを有する。
撮像条件設定部133aは、入力部134を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信することによって撮像を制御する。
マスク画像生成部133bは、画像生成部136によって生成されたマップ画像に閾値処理を行うことで対象物の信号領域を抽出したマスク画像を作成する。なお、マスク画像生成部133bの詳細については後述する。
なお、制御部133は、MRデータに基づいて行われる画像の生成を制御したり、表示部135による表示を制御したりする。また、制御部133は、受信部110によって生成されたMRデータを記憶部132から読み出し、k空間に配置する。
画像生成部136は、制御部133によってk空間に配置されたk空間データを記憶部132から読み出し、読み出したk空間データに2次元フーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。例えば、画像生成部136は、シーケンス制御部120によって収集された感度マップデータに基づいて、マップ画像を生成する。また、例えば、画像生成部136は、マスク画像を用いて、シーケンス制御部120によって収集された診断用の画像データを再構成する。
以上、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成について説明した。このような構成のもと、第1の実施形態では、計算機130が、受信コイル109が有する複数のコイルエレメントを用いてMR信号を収集するパラレルイメージングの撮像シーケンスを実行し、収集したMR信号からMR画像を再構成する。
ところで、マスク画像を利用し、パラレルイメージングにより得られた折返しのあるMR画像の展開処理を行う範囲を限定する手法では、画像に欠損が生じる場合がある。図2は、画像の欠損を説明するための図である。なお、図2では胸部の横断像を例示する。
図2中における2aは、MRI装置が生成したマスク画像の一例を示す。通常のMRI装置は、本来信号のある領域において、何らかの要因により信号強度の低下が生じ、信号強度が閾値以下となった場合、この領域を信号が無い領域と判定する。このため、通常のMRI装置は、本来信号のある領域を欠損したマスク画像2aを生成する。なお、マスク画像2aにおいて、矢印の先端で示す領域が欠損した領域である。
そして、通常のMRI装置は、このマスク画像2aにて信号のある領域に限定して展開処理を行う。図2中における2bは、通常のMRI装置が生成した展開後の画像の一例を示す。ここで、通常のMRI装置は、欠損した領域については展開処理を行わないので、展開後の画像2bに欠損が生じてしまう。なお、展開後の画像2bにおいて、矢印の先端で示す領域が欠損した領域である。
このようなことから、第1の実施形態に係るMRI装置100は、複数の異なる種類の撮像条件にて感度マップデータを収集する。そして、第1の実施形態に係るMRI装置100は、収集した感度マップデータに基づいて第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像に基づいて第2のマスク画像を生成することで、画像の欠損が生じることなく、対象の領域を描出する。例えば、第1の実施形態に係るMRI装置100は、複数の異なる種類の撮像条件で収集された感度マップデータから複数の第1のマスク画像を生成し、当該複数の第1のマスク画像間で共通する領域を抽出して第2のマスク画像を生成する。
以下では、図3から図8を用いて、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理の詳細について説明する。図3は、第1の実施形態に係るMRI装置100による処理手順を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態では、「胸部」の横断像を撮像する場合を説明する。図3に示すように、撮像条件設定部133aは、撮像条件選択画面を表示し、撮像条件の選択を受付ける(ステップS101)。ここで、撮像条件とは、撮像に当たって設定される条件のことであり、例えば、撮像部位や撮像断面の種類、各種撮像パラメータを含む。また、撮像断面には、体軸断面(アキシャル(axial)断面)、矢状断面(サジタル(sagittal)断面)、冠状断面(コロナル(coronal)断面)が含まれる。また、撮像パラメータには、例えば、TR(Repetition Time)、TE(Echo Time)、FA(Flip Angle)、スライス数(NS(Number Of Slice))、FOV(Field Of View)、スライス厚(ST(Slice Thickness))等の設定情報が含まれる。
図4は、第1の実施形態に係る撮像条件選択画面を説明するための図である。例えば、図4に示すように、撮像条件選択画面には、左から順に、人体模型図上で撮像部位の選択を受け付ける領域1と、領域1で選択された撮像部位のグループに含まれる様々な種類の撮像の名称(以下、適宜「プロトコルタイトル」)を表示する領域2と、領域2で選択された種類の撮像で実行され得るスキャン群(プロトコル群)の一覧を表示する領域3とが含まれる。
撮像条件設定部133aは、領域1上で撮像部位の選択を受け付けると、選択された撮像部位のグループに含まれるプロトコルタイトルの一覧を領域2に表示する。例えば、操作者が、領域1上で「胸部」に対応する矩形を選択すると、「胸部」のグループに含まれる様々な種類のプロトコルタイトルの一覧が、領域2に表示される。
続いて、撮像条件設定部133aは、領域2上でプロトコルタイトルの選択を受け付けると、領域3に、選択されたプロトコルタイトルに含まれるスキャン群(プロトコル群)の一覧を表示する。例えば、操作者が、領域2上で「Breast」を選択すると、このプロトコルタイトルの撮像で実行され得るスキャン群(プロトコル群)の一覧が、領域3に表示される。この一覧には、イメージスキャンの実行前に行なわれるプレスキャンに関するプロトコル群と、診断用の画像データを収集するためのイメージスキャンに関するプロトコル群とが含まれる。例えば、プレスキャンに関するプロトコル群として、位置決め画像を収集するためのプロトコルや、感度マップデータを収集するためのプロトコル、シミングのためのプロトコルが含まれる。また、各種イメージスキャンのためのプロトコルが、それぞれ、1つ又は複数含まれる。
次に、撮像条件設定部133aは、領域3上で、1つ又は複数のプロトコルの選択を受け付ける。なお、図4に示すように、各プロトコルには、そのプロトコルの名称に相当する「Scan ID」や、プロトコルの撮像時間である「Time」、その他、TR、TE、FA、NS、FOV、STなどが含まれる。
そして、撮像条件設定部133aは、撮像条件に基づいて、シーケンス制御部120による感度マップデータの収集或いは、マスク画像生成部133bによるマスク画像の生成のうち、少なくとも一方の手法を特定する。例えば、撮像条件設定部133aは、受付けた撮像条件に基づいて、マスク画像生成処理の方針を決定してシーケンス制御部120或いはマスク画像生成部133bに出力する。マスク画像生成処理の方針には、複数の異なる種類の撮像条件にて感度マップデータを収集してマスク画像を生成する方針と、生体における左右の対称性に基づいてマスク画像を生成する方針とが含まれる。撮像条件設定部133aは、撮像条件が選択された段階でマスク画像生成処理の方針を決定する。なお、第1の実施形態に係る撮像条件設定部133aは、撮像部位が「胸部」である場合、マスク画像生成処理の方針として、複数の異なる種類の撮像条件にて感度マップデータを収集するように決定する。なお、このマスク画像生成処理の方針は、シーケンス情報に含まれる。
そして、シーケンス制御部120は、撮像条件設定部133aによって生成されたシーケンス情報に基づいて、プレスキャンを実行する(ステップS102)。例えば、第1の実施形態に係るシーケンス制御部120は、プレスキャンの1つとして、位置決め画像を収集したり、複数の異なる撮像条件にてWBコイルエレメントの感度分布を示す感度マップデータを収集したりする。ここで、第1の実施形態に係るシーケンス制御部120は、このプレスキャンにおいて、複数の異なる位相エンコード方向にて感度マップデータを収集する。
以下、図5及び図6を用いて、感度マップデータを収集する処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係る複数の異なる撮像条件を説明するための図であり、図6は、第1の実施形態に係る感度マップデータのk空間への格納順序を説明するための図である。図5及び図6では、撮像条件1及び撮像条件2で感度マップデータを収集する場合を説明する。
図5に示す撮像条件は、撮像条件1と、撮像条件2とで感度マップデータを収集する場合を示す。ここで、撮像条件1では位相エンコード方向がAP(Anterior Posterior)方向であり、撮像条件2では位相エンコード方向がRL(Right Left)方向であるものとする。そして、各位相エンコード方向で10回エコー(MR信号)を収集する。ここで、図5に示す撮像条件では、撮像条件1で10回MR信号を収集した後に、撮像条件2で10回MR信号を収集する。これにより、シーケンス制御部120は、撮像条件1にて10回感度マップデータを収集し、その後、撮像条件2にて10回感度マップデータを収集する。なお、説明の便宜上、感度マップデータの収集回数が10回である場合を説明するが、感度マップデータの収集回数は任意に変更可能である。
図3に戻る。続いて、シーケンス制御部120は、診断用の画像データを収集するイメージングスキャンを実行する(ステップS103)。例えば、シーケンス制御部120は、「胸部」の体軸断面のイメージスキャンを実行する。
また、図5に示す撮像条件で収集された感度マップデータは、図6に示す順序でk空間に格納される。ここで、撮像条件1で収集された感度マップデータを格納するk空間をk空間(1)とし、撮像条件2で収集された感度マップデータを格納するk空間をk空間(2)とする。かかる場合、制御部133は、1番目に取得した感度マップデータ(1)から10番目に取得した感度マップデータ(10)までをk空間(1)に格納する。次いで、制御部133は、11番目に取得した感度マップデータ(11)から20番目に取得した感度マップデータ(20)までをk空間(2)に格納する。
そして、画像生成部136は、感度マップデータからマップ画像を生成する(ステップS104)。例えば、画像生成部136は、k空間(1)から読み出した感度マップデータからマップ画像(1)を生成し、k空間(2)から読み出した感度マップデータからマップ画像(2)を生成する。
また、マスク画像生成部133bは、マスク画像生成処理を実行する(ステップS105)。以下、図7及び図8を用いて、マスク画像生成処理について説明する。図7は、第1の実施形態に係るマスク画像生成処理の手順を示すフローチャートであり、図8は、第1の実施形態に係るマスク画像生成処理を説明するための図である。図7に示すように、マスク画像生成部133bは、位相エンコード方向がAP方向、RL方向の場合におけるマップ画像を取得する(ステップS201)。例えば、マスク画像生成部133bは、図8に示すように、位相エンコード方向がAP方向であるマップ画像8aと、位相エンコード方向がRL方向であるマップ画像8bとを取得する。なお、図8に示すように、マップ画像8a及びマップ画像8bには、心臓の拍動により位相エンコード方向に発生するアーチファクトが映りこんでいる。
続いて、マスク画像生成部133bは、閾値が低い状態にて、閾値処理によりマスク画像を生成する(ステップS202)。例えば、マスク画像生成部133bは、図8に示すように、マップ画像8aからマスク画像8cを生成し、マップ画像8bからマスク画像8dを生成する。ここで、マスク画像生成部133bは、図8に示すように、一定の割合でマスク領域を拡張したマスク画像8c及びマスク画像8dを生成する。例えば、マスク画像生成部133bは、マップ画像のマスク領域を15%拡張したマスク画像を生成する。なお、マスク領域を拡張する割合は、任意に変更可能である。
また、マスク画像生成部133bは、マスク画像生成時の閾値を低下させる。このため、図8に示すように、マスク画像8c及びマスク画像8dには、心臓の拍動アーチファクトが映りこんでいる。この心臓の拍動アーチファクトは、位相エンコード方向に強く発生する特性がある。なお、マスク画像生成部133bは、マスク画像の欠損がなくなるように閾値を低下させればよい。言い換えると、マスク画像生成部133bは、マスク画像の欠損がなくなるのであれば、心臓の拍動アーチファクトが映りこまない閾値を設定してもよい。
そして、マスク画像生成部133bは、2種類のマスク画像を比較し、両画像にて信号のある領域を抽出したマスク画像を生成する(ステップS203)。例えば、マスク画像生成部133bは、図8に示すように、マスク画像8cとマスク画像8dとからマスク画像8eを生成する。ここで、マスク画像生成部133bが生成するマスク画像8cとマスク画像8dとでは、位相エンコード方向が異なる。すなわち、マスク画像8cとマスク画像8dとにおいて、心臓の拍動アーチファクトの信号は、共通しないので抽出されない。この結果、マスク画像生成部133bが生成するマスク画像8eでは、心臓の拍動アーチファクトが除去される。
図3に戻る。画像生成部136は、MR画像を再構成する(ステップS106)。例えば、画像生成部136は、図8に示すマスク画像8eにて信号のある領域に限定して展開処理を行うことで、展開後の画像8fを再構成する。そして、制御部133は、表示部135による表示を制御することで、MR画像を表示する(ステップS107)。
上述したように、第1の実施形態によれば、マスク画像の欠損を防止するので、再構成した画像の画質を向上させることができる。例えば、通常のMRI装置では、画像の欠損を回避する場合、閾値処理を行う際の閾値を下げてマスク画像を生成する手法も考えられる。しかし、閾値の低下により本来除去されるべき拍動によるアーチファクトなどの信号が描出されてしまう。この結果、通常のMRI装置では、展開処理において、マップ画像に依存したノイズの増幅が起こり、SNR(Signal-Noise Ratio)が低下する。また拍動や呼吸の影響により位相エンコード方向に強く発生するアーチファクトはパラレルイメージングにおいては予期しないエラーとなる場合がある。一方で、第1の実施形態では、閾値処理を行う際の閾値を下げてマスク画像を生成し、2つのマスク画像で共通する領域を抽出することで、拍動などの信号を除去することができる。これにより、第1の実施形態によれば、例えば、ノイズの増幅やアーチファクトを除去し、再構成した診断用のMR画像の画質を向上させることができる。
更に、第1の実施形態によれば、撮像の分解能や信号強度を向上させるために、各プロトコルにおける撮像時間を長くしなくてもよい。このため、胸部や腹部など息止めが必要な撮像において適用可能であり、胸部や腹部などでも再構成した画像の画質を向上させることができる。
なお、第1の実施形態では、「胸部」の横断像を撮像する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、「胸部」以外の他の部位について、複数の異なる種類の撮像条件にて収集した感度マップデータに基づいて第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像に基づいて第2のマスク画像を生成するようしてもよい。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、複数の異なる条件で撮像を行う場合、片方の条件にて全データを取得した後、もう片方の条件にてデータの取得を行うものとして説明した。例えば、撮像条件1でk空間全体の感度マップデータを収集した後に、撮像条件2でk空間全体の感度マップデータを収集する。しかし、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、複数の異なる種類の撮像条件にて感度マップデータを収集する場合に、1又は複数のエコーラインごとに撮像条件の種類を切り替えて感度マップデータの取得を行うようにしてもよい。
以下、図9及び図10を用いて、感度マップデータを収集する処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係る複数の異なる撮像条件の変形例を説明するための図であり、図10は、第1の実施形態に係る感度マップデータのk空間への格納順序の変形例を説明するための図である。図9及び図10では、撮像条件1及び撮像条件2で感度マップデータを収集する場合を説明する。
図9に示す撮像条件は、撮像条件1と、撮像条件2とで感度マップデータを収集する場合を示す。ここで、撮像条件1では位相エンコード方向がAPであり、撮像条件2では位相エンコード方向がRLであるものとする。そして、各位相エンコード方向で10回MR信号を収集する。ここで、図9に示す撮像条件では、MR信号を収集するごとに撮像条件を切り替える。すなわち、撮像条件1で1回MR信号を収集した後に、撮像条件2で1回MR信号を収集する処理を10回繰り返す。これにより、シーケンス制御部120は、撮像条件1及び撮像条件2にて各10回感度マップデータを収集する。
また、図9に示す撮像条件で収集された感度マップデータは、図10に示す順序でk空間に格納される。ここで、撮像条件1で収集された感度マップデータを格納するk空間をk空間(1)とし、撮像条件2で収集された感度マップデータを格納するk空間をk空間(2)とする。かかる場合、制御部133は、1番目に撮像条件1で取得した感度マップデータ(1)をk空間(1)に格納し、2番目に撮像条件2で取得した感度マップデータ(2)をk空間(2)に格納する。そして、制御部133は、3番目に撮像条件1で取得した感度マップデータ(3)をk空間(1)に格納し、4番目に撮像条件2で取得した感度マップデータ(4)をk空間(2)に格納する。このように、制御部133は、撮像条件1で取得した感度マップデータをk空間(1)に格納する処理と、撮像条件2で取得した感度マップデータをk空間(2)に格納する処理とを交互に実行する。そして、画像生成部136は、k空間(1)から読み出した感度マップデータからマップ画像(1)を生成し、k空間(2)から読み出した感度マップデータからマップ画像(2)を生成する。
このようにして、撮像条件1による感度マップデータの収集と撮像条件2による感度マップデータの収集とを交互に実行することにより得られる効果について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、撮像条件1でk空間全体の感度マップデータを収集した後に、撮像条件2でk空間全体の感度マップデータを収集する場合のマップ画像の一例を示す図であり、図12は、感度マップデータを収集するごとに撮像条件を切り替える場合のマップ画像の一例を示す図である。図11に示すように、撮像条件1でk空間全体の感度マップデータを収集した後に、撮像条件2でk空間全体の感度マップデータを収集する場合、呼吸などの影響によって被検体が動くことで、同じスライス位置でもマップ画像間で大きな位置ずれが生じる可能性がある。一方、図12に示すように、MR信号を収集するごとに撮像条件を切り替えて感度マップデータの収集を行うことで、異なる撮像条件間での被検体の動きの差を少なくすることができ、位置ずれの少ないマップ画像を生成することが可能となる。
なお、第1の実施形態では、複数の異なる種類の撮像条件として位相エンコード方向がAP方向とRL方向である場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、複数の異なる種類の撮像条件として、撮像領域やマトリクスの異なる条件にて感度マップデータを収集するようにしてもよい。例えば、MRI装置100は、低分解能で撮像したあと、対象の領域を絞って高分解能で撮像する。かかる場合、MRI装置100は、各スキャンにおける撮像時間を延長させること無く、対象の領域に絞った高分解能撮像を行うことが可能となる。また、MRI装置100は、TRやTEの異なる条件で感度マップデータを収集することで、画像コントラストや信号強度の異なる画像を得るようにしてもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、異なる条件で撮影したマスク画像から新たなマスク画像を生成する場合について説明した。ところで、MRIによる撮像では、左右が対称な部位を対象とする場合がある。また、パラレルイメージングの撮像シーケンスを左右対称の部位について実行する際に、マスク画像を利用し、展開処理を行う範囲を限定する手法では、画像に欠損が生じる場合がある。図13は、画像の欠損を説明するための図である。なお、図13では乳房の冠状断像を例示する。
図13中における13a〜13dは、通常のMRI装置が乳房の冠状面の断層像について生成したマスク画像の一例を示す。ここで、マスク画像13a〜マスク画像13dは、連続するスライスのマスク画像である。通常のMRI装置は、本来信号のある領域において、何らかの要因により信号強度の低下が生じ、信号強度が閾値以下となった場合、この領域を信号が無い領域と判定する。このため、通常のMRI装置は、本来信号のある領域を欠損したマスク画像13cを生成する。なお、マスク画像13cにおいて、矢印の先端で示す領域が欠損した領域である。
そして、通常のMRI装置は、このマスク画像13a〜マスク画像13dにて信号のある領域に限定して展開処理を行う。図13中における13e〜13hは、通常のMRI装置が生成した展開後の画像の一例を示す。ここで、通常のMRI装置は、欠損した領域については展開処理を行わないので、本来信号のある領域を欠損したマスク画像13cから生成した展開後の画像13gに欠損が生じてしまう。なお、展開後の画像13gにおいて、矢印の先端で示す領域が欠損した領域である。
このようなことから、第2の実施形態に係るMRI装置100は、1種類の撮像条件にて感度マップデータを収集し、収集した感度マップデータに基づいて第1のマスク画像を生成する。そして、第2の実施形態に係るMRI装置100は、当該第1のマスク画像に基づいて第2のマスク画像を生成することで、画像の欠損が生じることなく、対象の領域を描出する。例えば、第2の実施形態に係るMRI装置100は、1種類の撮像条件で収集された感度マップデータから第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像内の左右対称性に基づいて、第2のマスク画像を生成する。なお、第2の実施形態に係るMRI装置100の構成は、撮像条件設定部133a及びマスク画像生成部133bの機能が一部異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係るMRI装置100の構成と同様である。このため、第2の実施形態に係るMRI装置100の構成については、撮像条件設定部133a及びマスク画像生成部133bのみを説明し、その他の詳細な説明を省略する。なお、第2の実施形態では、「乳房」の冠状断像を撮像する場合を説明する。
第2の実施形態に係る撮像条件設定部133aは、図4に示した撮像条件選択画面を表示し、撮像条件の選択を受付ける。ここで、第2の実施形態に係る撮像条件設定部133aは、撮像条件に基づいて、シーケンス制御部120による感度マップデータの収集或いは、マスク画像生成部133bによるマスク画像の生成のうち、少なくとも一方の手法を特定する。例えば、第2の実施形態に係る撮像条件設定部133aは、撮像部位が「乳房の冠状断像」である場合、マスク画像生成処理の方針として、第1の実施形態とは異なり、1種類の撮像条件にて感度マップデータを収集するように決定する。この結果、シーケンス制御部120は、撮像条件設定部133aによって生成されたマスク画像生成処理の方針に基づいて、プレスキャンを実行する。ここで、シーケンス制御部120は、このプレスキャンにおいて、全身用コイルにて撮影された感度マップデータを収集する。第2の実施形態においてシーケンス制御部120は、1つの撮像条件にて感度マップデータを収集する。
第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、1種類の撮像条件で収集された感度マップデータから第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像内の左右対称性に基づいて、第2のマスク画像を生成する。例えば、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、左右が対称となるようにピクセルの比較を行い、どちらか片方でも信号がある場合には信号があると判断し、新しいマスク画像を生成する。図14及び図15を用いて、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bの処理動作を説明する。
図14は、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bによる処理手順を示すフローチャートであり、図15は、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bによって生成されるマスク画像の一例を示す図である。図14に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マップ画像を取得する(ステップS301)。
そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マップ画像について閾値処理によりマスク画像を生成する(ステップS302)。例えば、図15に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マスク画像15aを生成する。図15に示すマスク画像15aでは、左側の領域の画像は矩形から左上の一部が切り欠かれた形状であり、右側の領域の画像は左側の領域の画像よりも小さい矩形である。すなわち、図15に示すマスク画像15aでは、左右が対称ではない。
続いて、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、RL方向で対称となるようにマスク画像を修正し(ステップS303)、新しいマスク画像を生成する(ステップS304)。例えば、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、図15に示すマスク画像15aのピクセルを左右の対称性に基づいて比較し、左右の一方だけに信号がある領域について、他方の領域にも信号を補完して、新たなマスク画像15bを生成する。なお、マスク画像生成部133bは、マスク画像15bにおいて、右側の領域の画像と、左側の領域の画像との間の領域についても信号を補完した新たなマスク画像を生成するようにしてもよい。
上述したように、第2の実施形態に係るMRI装置100は、1種類の撮像条件にて感度マップデータを収集し、収集した感度マップデータに基づいて第1のマスク画像を生成する。そして、第2の実施形態に係るMRI装置100は、当該第1のマスク画像に基づいて第2のマスク画像を生成することで、画像の欠損が生じることなく、対象の領域を描出する。これにより、第2の実施形態によれば、診断用のMR画像の画質を向上させることができる。
なお、第2の実施形態では、「乳房」の冠状断像を撮像する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、左右が対象である部位について、1種類の撮像条件で収集された感度マップデータから第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像内の左右対称性に基づいて、第2のマスク画像を生成するようにしてもよい。
(第2の実施形態の変形例)
また、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、スライス間でマスク画像を比較し、画像の欠損が生じた領域について左右の対称性に基づいて新たなマスク画像を生成してもよい。すなわち、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、スライス方向を背腹方向とする複数のコロナル面に対して生成された複数の第1のマスク画像のうち、連続する前後の第1のマスク画像の幅を比較する。そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、当該幅が所定の閾値以下である場合に、第1のマスク画像の左右対称性に基づいて、第2のマスク画像を生成する。例えば、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、冠状断像のマスク画像において、各スライスにおける左右の最大幅を求める。そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、背腹側スライスでの左右の最大幅を比較し、例えば、50%以下になっている場合には画像の欠損が生じた領域と判定する。図16は、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bによる処理手順を示すフローチャートの変形例であり、図17は、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bによって生成されるマスク画像の変形例の一例を示す図である。
図16に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マップ画像を取得する(ステップS401)。そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マップ画像について閾値処理によりマスク画像を生成する(ステップS402)。
続いて、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、各スライスのマスク画像におけるRL方向での最大幅を算出する(ステップS403)。そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、スライスの乳頭側に向かって連続した2枚のマスク画像について、RL方向の幅を比較する(ステップS404)。例えば、図17に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マスク画像17aとマスク画像17bとについて、RL方向の幅を比較する。
続いて、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、一つ前のスライスのマスク画像と比較し、幅が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS405)。ここでは、閾値が50%であるものとして説明する。第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、一つ前のスライスのマスク画像と比較し、幅が50%以下ではないと判定する場合(ステップS405、No)、ステップS407に移行する。なお、閾値は50%に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
一方、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、一つ前のスライスのマスク画像と比較し、幅が50%以下であると判定する場合(ステップS405、Yes)、RL方向で対称となるようにマスク領域を拡大する(ステップS406)。例えば、図17に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、マスク画像17aと比較してマスク画像17bのRL方向の幅が50%以下であると判定する。そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、左右の一方だけに信号がある領域について、他方の領域にも信号を補完して、新たなマスク画像17cを生成する。また、乳頭側スライスでの左右の最大幅と比較することで、例えば連続して画像欠損が発生している場合にも信号を補完して、新たなマスク画像を生成することが可能である。
そして、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、信号を含む全てのスライスのマスク画像について処理が完了したか否かを判定する(ステップS407)。ここで、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、信号を含む全てのスライスのマスク画像について処理が完了したと判定する場合(ステップS407、Yes)、処理を終了する。一方、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、信号を含む全てのスライスのマスク画像について処理が完了していないと判定する場合(ステップS407、No)、ステップS404に移行する。
ところで、例えば、手術によって片側の乳房を摘出した被検体について乳房の冠状面の断層像を撮影する場合、マスク画像は左右対称にならない。かかる場合を考慮し、マスク画像生成部133bは、連続した2枚のマスク画像についてRL方向の幅を比較することに加えて、数枚後のスライスのマスク画像とRL方向の幅を比較するようにしてもよい。かかる場合、撮像条件設定部133aは、例えば、HIS(Hospital Information System)やRIS(Radiology Information System)から取得した被検体の属性情報に基づいて、マスク画像生成処理の方針を決定する。具体的には、撮像条件設定部133aは、HISやRISから取得した被検体の属性情報から、被検体に乳房の摘出手術を受けたことがあると判定した場合、マスク画像生成部133bに、以下の処理を実行させる。すなわち、撮像条件設定部133aは、マスク画像生成部133bに、連続した2枚のマスク画像についてRL方向の幅を比較させることに加えて、数枚後のスライスのマスク画像とRL方向の幅を比較させる。これにより、マスク画像生成部133bは、連続する前後の第1のマスク画像の幅を比較した結果、幅が所定の閾値以下である場合に、更に所定の枚数後の第1のマスク画像の幅と比較し、当該比較の結果が所定の閾値以下である場合に、第1のマスク画像の左右対称性に基づいて、第2のマスク画像を生成する。
図18は、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bによる処理手順を示すフローチャートの変形例の別例である。なお、図18において、図16に示す各処理と同様の処理については同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
図18に示すように、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、一つ前のスライスのマスク画像と比較し、幅が閾値以下であると判定する場合(ステップS505、Yes)、N個後のスライスのマスク画像と比較し、幅が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS506)。ここでは、閾値が50%であるものとして説明する。第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、N個後のスライスのマスク画像と比較し、幅が50%以下であると判定する場合(ステップS506、Yes)、一つ前のスライスのマスク画像と同じマスク領域となるようにマスク領域を拡大する(ステップS507)。一方、第2の実施形態に係るマスク画像生成部133bは、N個後のスライスのマスク画像と比較し、幅が50%以下ではないと判定する場合(ステップS506、No)、マスク領域を拡大することなく、ステップS508に移行する。なお、閾値は50%に限定されるものではなく、任意に変更可能である。また、ステップS505とステップS506とで、異なる閾値を設定してもよい。
(その他の実施形態)
上述した実施形態においては、撮像条件設定部133aは、受付けた撮像条件或いは、HISやRISから取得した被検体の属性情報に基づいて、マスク画像生成処理の方針を決定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、撮像条件設定部133aは、受付けた撮像条件と、HISやRISから取得した被検体の属性情報との両方に基づいて、マスク画像生成処理の方針を決定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、イメージスキャンと同じ断面で感度マップデータを収集する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、感度マップデータをボリュームデータで収集し、収集したボリュームデータから、イメージングスキャンと同じ断面のマスク画像をMPR(multi-planar reconstruction)により作成する。そして、MRI装置100は、MPRにより作成したマスク画像を使用して展開処理を行うことで、MR画像を再構成するようにしてもよい。
また、MRI装置100は、k空間データを収集する手法として、k空間におけるデータ点を直交上に収集する手法を適用してもよいし、或いは、k空間におけるデータ点を非直交状に収集し、k空間に充填するようにしてもよい。例えば、MRI装置100は、k空間におけるデータ点を非直交状に収集する手法として、ラジアルスキャンやPROPELLER等と称されるスキャンによって、感度マップデータや診断用の画像データを収集するようにしてもよい。
例えば、MRI装置100は、ラジアルスキャンによって感度マップデータを収集する場合、k空間の原点を通る1本のk空間軌跡におけるデータ点を1TRで取得し、これをTR毎に回転させてk空間におけるデータ点を充填する。これにより、MRI装置100は、位相エンコード方向に発生するアーチファクトを散らすことが可能となる。
また、例えば、MRI装置100は、PROPELLER法によるスキャンによって、感度マップデータを収集する場合、短冊状の矩形領域(blade)の回転角度を変えた収集をTR毎に繰り返すことで、k空間におけるデータ点を充填する。これにより、MRI装置100は、位相エンコード方向に発生するアーチファクトを散らすことが可能となる。
このように、MRI装置100は、ラジアルスキャンやPROPELLER法によるスキャンによって、感度マップデータ及び診断用の画像データのうち少なくとも感度マップデータを収集することで、マスク画像生成時の閾値を下げることができる。この結果、MRI装置100は、画像の欠損を回避し、かつ、アーチファクトを除去することが可能となる。なお、かかる場合にも、撮像条件設定部133aは、撮像条件が選択されると、マスク画像生成処理の方針として、感度マップデータの収集法として、ラジアルスキャンやPROPELLER等と称される撮像法を決定する。なお、第1の実施形態では、異なる条件で撮影したマスク画像から新たなマスク画像を生成する場合について説明したが、MRI装置100は、ラジアルスキャンやPROPELLER法によるスキャンによって、感度マップデータを収集する場合、1種類の撮像条件にて感度マップデータを収集すればよい。
また、上述した実施形態においては、MRデータの収集と診断用のMR画像の生成とを一連の処理として実行する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、MRI装置100は、感度マップデータを収集しておけば、MRデータの収集とは異なるタイミングで、診断用のMR画像の生成を実行するようにしてもよい。
また、マップ画像を生成する処理と、診断用のMR画像を再構成する処理とを画像処理装置に実行させてもよい。かかる場合、画像処理装置は、撮像条件に基づいてMRI装置によって収集された受信コイルの感度分布を示す感度マップデータに基づいて、第1のマスク画像を生成し、当該第1のマスク画像に基づいて第2のマスク画像を生成する。そして、画像処理装置は、第2のマスク画像を用いて、撮像条件に基づいてMRI装置によって収集された診断用の画像データを再構成する。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、画質を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。