(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。被検体P(図1において点線の枠内)は、MRI装置100に含まれない。静磁場磁石1は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石等である。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から傾斜磁場パルスの供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、傾斜磁場パルスを傾斜磁場コイル2に供給する。
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル2の空洞内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送信コイル6は、磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7からRF(Radio Frequency)パルスの供給を受けて、磁場を発生する。送信部7は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に供給する。
受信コイル8は、磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号)を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、磁場の影響によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。また、受信コイル8は、受信したMR信号を受信部9に出力する。
受信部9は、シーケンス制御部10から送られる制御信号に従って、受信コイル8から出力されたMR信号に基づきMR信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されたMR信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成し、生成したMR信号データを、シーケンス制御部10を介して計算機システム20に送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2等を備える架台装置側に備えられていてもよい。
シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御する。具体的には、シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。例えば、シーケンス制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
計算機システム20は、インタフェース部21と、画像再構成部22と、記憶部23と、入力部24と、表示部25と、制御部26とを備える。インタフェース部21は、シーケンス制御部10に接続され、シーケンス制御部10と計算機システム20との間で送受信されるデータの入出力を制御する。画像再構成部22は、シーケンス制御部10から送信されたMR信号データから画像データを再構成し、再構成した画像データを記憶部23に格納する。
記憶部23は、画像再構成部22によって格納された画像データや、MRI装置100において用いられるその他のデータを記憶する。例えば、記憶部23は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
入力部24は、各種指示を操作者から受け付ける。例えば、入力部24は、マウス、キーボード等である。表示部25は、画像データ等を表示する。例えば、表示部25は、液晶ディスプレイ等である。
制御部26は、上述した各部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。例えば、制御部26は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。なお、制御部26は、後述するように、撮像範囲を自動的に導出するための各部を備える。
図2は、第1の実施形態に係る制御部26等を示すブロック図である。図2に示すように、第1の実施形態に係る制御部26は、収集部26aと、検出部26bと、導出部26cと、撮像制御部26dとを備える。
収集部26aは、被検体Pの心臓を内包する範囲の3次元画像データを収集する。具体的には、収集部26aは、インタフェース部21を介してシーケンス制御部10等の各部を制御することで3次元画像データを収集し、収集した3次元画像データを検出部26bに出力する。
検出部26bは、3次元画像データから心臓に関する領域情報(例えば、心臓の上端位置及び下端位置)を検出する。具体的には、検出部26bは、収集部26aから出力された3次元画像データから心臓に関する領域情報を検出し、検出した領域情報を導出部26cに出力する。
導出部26cは、心臓に関する領域情報に基づいて、3次元画像データの収集に続く後続撮像の撮像範囲を導出する。具体的には、導出部26cは、検出部26bから出力された心臓に関する領域情報に基づいて後続撮像の撮像範囲を導出し、導出した撮像範囲を撮像制御部26dに出力する。この場合、導出部26cは、後続撮像の種類に応じた撮像範囲を導出する。なお、第1の実施形態において、後続撮像とは、本撮像前に実行される種類の異なる複数の準備撮像、及び、本撮像(基本断面を収集する撮像)である。本撮像前に実行される種類の異なる複数の準備撮像は、例えば、『マルチスライス像を収集するための撮像』や、『受信コイル8(RFコイル)がマルチコイルである場合に、受信コイル8の受信感度分布を示すデータを収集する感度マップ撮像』、『静磁場強度の均一補正に用いるデータを少なくとも収集するシミング撮像(シミングスキャン)』等である。マルチスライス像は、後述するように、本撮像を支援する情報として機能し得るので、マルチスライス像を収集する撮像のことを「支援撮像」ということがある。
撮像制御部26dは、撮像範囲に従って、後続撮像の実行を制御する。具体的には、撮像制御部26dは、導出部26cから出力された撮像範囲に従い、インタフェース部21を介してシーケンス制御部10等の各部を制御することで、後続撮像の実行を制御する。また、撮像制御部26dは、複数の後続撮像を連続的に実行するように制御する。
図3は、第1の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、初期に収集した3次元画像データから各種領域情報を検出すると、検出した各種領域情報に基づいて各種撮像範囲を自動的に導出し、その後の後続撮像を自動的に行う。すなわち、第1の実施形態において、3次元画像データが収集された後、マルチスライス像を収集するための撮像、感度マップ撮像、シミング撮像、本撮像である基本断面の撮像まで、全て自動的に実行される。なお、第1の実施形態において、各種後続撮像の撮像範囲は、初期に収集した3次元画像データの範囲内に導出される。以下、各ステップ毎に詳細に説明する。
まず、収集部26aが、被検体Pの心臓を内包する範囲の3次元画像データを収集する(ステップS101)。図4は、第1の実施形態における3次元画像データを示す図である。図4に示すように、収集部26aは、読み出し方向を頭足方向、位相エンコード方向を左右方向、スライスエンコード方向を背腹方向として、3次元画像データを収集する。後述するように、第1の実施形態において、検出部26bは、この3次元画像データから頭足方向における心臓の上端位置及び下端位置を検出するので、頭足方向の分解能が高いこと、すなわちマトリックスサイズが大きいことが望ましい。このため、収集部26aは、読み出し方向を頭足方向として3次元画像データを収集する。なお、読み出し方向を頭足方向とすることで分解能を高める手法であるので、撮像枚数を増やす必要がなく、撮像時間、すなわち被検体の息止め時間が増えることもない。
また、図4に示すように、収集部26aは、磁場中心位置を中心に、頭足方向、左右方向、及び背腹方向、それぞれ25cm以上の撮像範囲で3次元画像データを収集する。3次元画像データは、他の撮像に先立って収集されるものであるので、被検体の心臓が3次元画像データ内のどの位置にどの大きさで入るかは不明であり、ある程度撮像範囲を大きく設定する必要がある。この点、心臓の大きさは頭足方向が13cm程度であると考えられるので、第1の実施形態においては、その倍程度の25cm以上とした。なお、被検体が小児の場合には、心臓の大きさも小さくなると考えられるので、例えば20cm以上としてもよい。なお、撮像範囲の大きさは、任意に変更することができる。また、撮像範囲の上限値は、例えば、MRI装置100として設定可能なFOV(Field Of View)の最大値(例えば、静磁場強度の均一性を担保可能な範囲)と考えることができる。
なお、3次元画像データは、3次元再構成によって生成された3次元MR画像でもよく、あるいは複数枚の2次元MR画像(読み出し方向及び位相エンコード方向)でもよい。
ここで、第1の実施形態において、3次元画像データの収集に用いるパルスシーケンスを説明する。収集部26aは、GE(Gradient Echo)系のパルスシーケンスを3次元画像データの収集に用いる。GE系のパルスシーケンスは、小さなフリップ角の励起パルス及び傾斜磁場パルスによってMR信号を収集する手法であるので、SE(Spin Echo)系のパルスシーケンスに比較してTR(Repetition Time)を短縮することができる。例えば、収集部26aは、3D FFE(Fast Field Echo)シーケンスや、3D SSFP(Steady-state Free Precession)シーケンスを用いる。また、撮像時間は延長することになるが、収集部26aは、3D FFEシーケンスや3D SSFPシーケンスに先立ち、T2プリパレーション(preparation)パルスを印加するパルスシーケンスを付加してもよい。T2プリパレーションパルスを印加することで、画像のコントラストを強調することができる。
例えば、3D FFEシーケンスの場合、各種パラメータは、息止め可能な時間を目安として設定される。例えば、パラメータは、ECG(Electrocardiogram)同期なしで、TR/TE(Echo Time)=3.7/1.3(ms)、92〜96(位相エンコード方向)×256〜366(リード方向)×30〜40(スライス方向)等である。
なお、MRIにおいては、一部の領域についてMR信号を収集せずに、未収集領域のMR信号を、複素共役性を利用した数学的処理により推定するハーフスキャン法がある。例えば、収集部26aは、位相エンコード方向、スライスエンコード方向、又はその両方向に対するハーフスキャン法の適用を併用してもよい。
また、収集部26aは、ECG同期ありで、2D FFEシーケンスや2D SSFPシーケンスを用いたマルチスライス撮像(体軸横断面、矢状断面、冠状断面、又はこれらの組み合わせ)を行うことで、3次元画像データを収集してもよい。例えば、この場合、各種パラメータは、TR/TE=3.4/1.7(ms)、128〜192(位相エンコード方向)×256(リード方向)、マルチスライス20枚等である。
次に、検出部26bが、3次元画像データから各種領域情報を検出する(ステップS102)。具体的には、第1の実施形態において、検出部26bは、各種領域情報a)〜c)を検出する。
a)心臓の上端位置及び下端位置
b)被検体の外接直方体領域
c)心臓の外接直方体領域
「a)心臓の上端位置及び下端位置」は、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲の導出と、寝台4の移動が必要が否かの判定に用いられる。また、「b)被検体の外接直方体領域」は、感度マップ撮像の撮像範囲の導出に用いられる。また、「c)心臓の外接直方体領域」は、シミング撮像の撮像範囲の導出に用いられる。なお、「c)心臓の外接直方体領域」に「a)心臓の上端位置及び下端位置」は含まれるので、検出部26bは、「c)心臓の外接直方体領域」を検出することで「a)心臓の上端位置及び下端位置」の検出を兼ねてもよい。
図5は、第1の実施形態における上端位置及び下端位置を示す図である。上述したように、「a)心臓の上端位置及び下端位置」は、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲の導出に用いられる。マルチスライス像の撮像範囲、特に頭足方向をカバーする撮像範囲は、心臓全体を含むように設定することが望まれる。例えば、心臓の下端部分は、基本断面の位置決めにおいて重要な軸を導出するための特徴部位と関係がある。このため、マルチスライス像の撮像範囲が心臓の下端部分をカバーしきれなかった場合、再撮像が要求され、被検体、操作者ともに負担を強いられる。
検出部26bは、ステップS101にて収集された3次元画像データに、例えばテンプレートマッチングやパターン認識等の技術を適用することで、3次元画像データから心臓の上端位置及び下端位置を検出する。
例えば、テンプレートマッチングの技術を適用することで心臓の上端位置を検出する場合、検出部26bは、肺動脈の分岐位置周辺の平均画像パターンを予め準備し、この平均画像パターンを用いて3次元画像データを走査し、最もマッチング度の高い高さを心臓の上端位置とする。また、例えば、パターン認識の技術を適用することで心臓の下端位置を検出する場合、検出部26bは、事前に複数の実データから左心室心尖部周辺の領域とそうでない領域のパターンを収集し、サポートベクターマシンなどの識別器を構築しておき、対象画像の各位置を切り出して識別器に入力することで、左心室心尖部か否かを判定する。
もっとも、心臓の上端位置及び下端位置の検出手法はこれに限られるものではない。例えば、心臓の上端位置をパターン認識の技術を適用することで検出してもよいし、心臓の下端位置をテンプレートマッチングの技術を適用することで検出してもよい。また、心臓の上端位置及び下端位置の検出にあたり注目する部位も、肺動脈の分岐位置や左心室心尖部に限られるものではない。例えば、大動脈、肺動脈、横隔膜、脾臓等に注目してもよい。また、テンプレートマッチングやパターン認識の技術に限られるものではなく、例えば、後述するレジストレーションやセグメンテーションに基づくアプローチでもよい。
また、検出部26bは、ステップS101にて収集された3次元画像データから、例えば、図6に示すように、被検体に外接する直方体領域を検出する。図6は、第1の実施形態における被検体の外接直方体領域を示す図であり、図7は、第1の実施形態における外接直方体領域を説明するための図である。図7の(A)に示すように、直方体領域の情報(以下「外接直方体情報」)は、直方体の対角関係にある2点で表現される。もっとも、実施形態はこれに限られるものではなく、図7の(B)に示すように、直方体の任意の1点と3辺の長さとで表現されてもよい。
例えば、検出部26bは、閾値処理や、領域拡張等のラベリング処理によって、被検体の領域(又は、被検体の領域でない空気領域)を抽出することで、被検体の外接直方体領域を検出する。また、例えば、検出部26bは、頭足方向、左右方向、背腹方向に輝度値を平均値や最大値に基づいて射影して得られる1次元プロファイルを閾値処理することで、被検体の外接直方体領域を検出する。
また、検出部26bは、ステップS101にて収集された3次元画像データから、例えば、図8に示すように、心臓に外接する直方体領域を検出する。図8は、第1の実施形態における心臓の外接直方体領域を示す図である。例えば、検出部26bは、心臓の位置が既知のモデル画像を予め準備し、モデル画像と3次元画像データとの画像パターンが一致するようにモデル画像を剛体変形又は非剛体変形させるレジストレーションを行うことで、心臓の外接直方体領域を検出する。例えば、検出部26bは、以下(1)式を解き、画像変形パラメータを求めることで、レジストレーションを行う。
(1)式における『i』は、画像の位置ベクトルであり、『I(i)』は、位置iにおける3次元画像データの画素値であり、『M(i)』は、位置iにおけるモデル画像の画素値である。また、関数『E』は、3次元画像データとモデル画像との類似度の評価関数である。関数『E』は、類似しているほど値が低くなる関数であり、対応画素同士の二乗誤差の総和等で実現される。また、関数『g』は、Affine変換等の剛体変形や、Thin−Plate−Spline変換等の非剛体変形の関数である。
また、検出部26bは、例えば、3次元画像データを、閾値処理によって、空気領域と、空気領域以外の領域とにセグメンテーションし、空気領域の境界に、横隔膜面モデルや心臓を模した球体のモデルをあてはめることで、心臓の外接直方体情報を検出する。
検出部26bによる各種情報の検出が完了すると、続いて、撮像制御部26dが、後続撮像の開始前に、ステップS102にて検出された心臓の上端位置及び下端位置、並びに磁場中心位置に基づいて、寝台4(又は天板4a)の移動を制御する。例えば、撮像制御部26dは、磁場中心位置が、心臓の上端位置と下端位置との間の中間位置に位置付けられるか否かを判定することで、寝台4の移動が必要か否かを判定する(ステップS103)。そして、磁場中心位置と中間位置とが一致しない場合、撮像制御部26dは、寝台4の移動が必要であると判定し(ステップS103,Yes)、磁場中心位置から中間位置までの距離を移動量として寝台制御部5を制御することで、寝台4の移動を制御する(ステップS104)。
一方、磁場中心位置と中間位置とが一致する場合、撮像制御部26dは、寝台4の移動は不要であると判定し(ステップS103,No)、ステップS105の処理に移行する。なお、寝台4の移動が必要か否かの判定は、上述した手法に限られるものではない。例えば、検出部26bは、磁場中心位置から中間位置までの距離が所定閾値を上回る場合に、寝台4の移動が必要であると判定してもよい。また、例えば、検出部26bは、磁場中心位置が、心臓の上端位置と下端位置との間に収まらない場合に、寝台4の移動が必要であると判定してもよい。また、第1の実施形態においては、寝台4の移動後、ステップS105の処理に移行する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、寝台4の移動後、ステップS101に戻って3次元画像データを再び収集し、各種領域情報の検出を再び行ってもよい。
寝台位置の調整が完了すると、続いて、導出部26cが、ステップS102にて検出された各種領域情報に基づいて、各種後続撮像の撮像範囲を導出する(ステップS105)。具体的には、導出部26cは、各種後続撮像a)〜c)の撮像範囲を導出する。
a)マルチスライス像を収集するための撮像
b)感度マップ撮像
c)シミング撮像
まず、導出部26cは、ステップS102において検出された「a)心臓の上端位置及び下端位置」に基づいて、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲を導出する。図9〜図11は、第1の実施形態における撮像範囲を説明するための図である。図9に示すように、例えば、導出部26cは、心臓の上端位置及び下端位置を含む所定範囲、すなわち、心臓の上端位置から頭方向に所定のオフセットL1を取った位置P1と、心臓の下端位置から足方向に所定のオフセットL2を取った位置P2とを、スライス方向の撮像範囲として導出する。
このオフセットL1及びL2の長さには、固定の値を用いてもよく、被検体P毎に異なる可変の値を用いてもよい。例えば、導出部26cは、被検体Pの身長、体重等の体型を示す情報や、被検体Pの年齢、性別、心拍数、脈拍数、病歴、運動歴、喫煙歴、息止め可能時間等の情報を予め取得し、これらの情報に基づいて、オフセットトL1及びL2の長さを変更してもよい。また、例えば、導出部26cは、設定可能な情報について操作者から設定を受け付ける等して、オフセットトL1及びL2の長さを変更してもよい。
なお、導出部26cは、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲のうち、左右方向の撮像範囲、及び、背腹方向の撮像範囲については、例えば、少なくとも心臓が含まれる範囲となるように予め定めた固定の値を用いればよい。また、例えば、導出部26cは、頭足方向の撮像範囲と同様に、被検体P毎に異なる可変の値を用いてもよい。また、例えば、導出部26cは、ステップS102において検出された「b)被検体の外接直方体領域」に基づいて、左右方向の撮像範囲、及び、背腹方向の撮像範囲を導出してもよい。例えば、導出部26cは、被検体の外接直方体情報に含まれる3辺のうち短い辺を、位相エンコード方向の撮像範囲として導出してもよい。また、例えば、導出部26cは、位相エンコード方向の撮像範囲が、被検体に外接する直方体領域よりも広くなるように導出してもよい。この場合、折り返しの影響のない最小の撮像時間で、マルチスライス像を収集するための撮像を行うことができる。
続いて、導出部26cは、ステップS102において検出された「b)被検体の外接直方体領域」に基づいて、感度マップ撮像の撮像範囲を導出する。図10に示すように、例えば、導出部26cは、被検体に外接する直方体領域を含む所定範囲(図10において外側の直方体)、すなわち、被検体に外接する直方体領域よりも広い範囲を、感度マップ撮像の撮像範囲として導出する。ここで、感度マップ撮像によって収集されるマップとは、受信コイル8がマルチコイルである場合に、各要素コイルの受信感度の空間的分布を示すものであり、撮像高速化技術のひとつであるパラレルイメージング等に用いられる。
次に、導出部26cは、ステップS102において検出された「c)心臓の外接直方体領域」に基づいて、シミング撮像の撮像範囲を導出する。図11に示すように、例えば、導出部26cは、心臓に外接する直方体領域を含む所定範囲(図11において外側の直方体)を、シミング撮像の撮像範囲として導出する。例えば、導出部26cは、心臓に外接する直方体領域から、頭足方向、左右方向、及び背腹方向に、所定の長さオフセットを取った範囲を、シミング撮像の撮像範囲として導出する。このオフセットの長さには、固定の値を用いてもよく、被検体P毎に異なる可変の値を用いてもよい。例えば、導出部26cは、被検体Pの身長、体重等の体型を示す情報や、被検体Pの年齢、性別、心拍数、脈拍数、病歴、運動歴、喫煙歴、息止め可能時間等の情報を予め取得し、これらの情報に基づいて、オフセットの長さを変更してもよい。また、例えば、導出部26cは、設定可能な情報について操作者から設定を受け付ける等して、オフセットの長さを変更してもよい。
ここで、第1の実施形態において、シミング撮像は、静磁場の均一性を調整するために行われるものである。具体的には、まず、静磁場強度の均一補正に用いるデータ(静磁場の影響を反映したデータ)が収集され、収集されたデータに基づいて静磁場の補正量(オフセット磁場)が計算される。そして、この計算された補正量に応じて電流値が決定され、この電流値を補正コイル(図1において図示を省略)に流す(オフセット磁場を印加する)ことで、静磁場の均一性を調整する。ところで、静磁場の影響を反映したデータに、診断対象とする領域以外のデータが含まれる場合、適切な補正量を計算できないおそれがある。例えば、心臓領域と胸壁領域とでは静磁場分布が大きく異なることが多く、心臓領域外のデータが混入した場合には、計算される補正量に誤差が生じ、適切な調整ができないおそれがある。このため、シミング撮像の撮像範囲は、対象臓器の近傍に限定して設定されることが望ましい。第1の実施形態においては、心臓に外接する直方体領域から所定の長さオフセットを取った範囲をシミング撮像の撮像範囲として導出することで、シミング撮像の撮像範囲を対象臓器の近傍に適切に限定することができる。
また、第1の実施形態においては、静磁場強度の均一補正に用いるデータを収集するシミング撮像を行う例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、このシミング撮像は、更に、RFパルスの中心周波数を求めるためのデータ収集を含んでもよい。この場合、RFパルスの中心周波数を求めるためのデータ収集は、オフセット磁場を印加した状態で行われる。また、静磁場強度の均一補正に用いるデータ収集を行わずに、RFパルスの中心周波数を求めるためのデータ収集のみを単独で行う場合もある(中心周波数設定用の周波数スペクトラム撮像)。なお、周波数スペクトラム撮像は、静磁場強度の均一補正に用いるデータ収集の撮像範囲のうち、中心部分のスライスのみを撮像範囲として行ってもよい。あるいは、周波数スペクトラム撮像は、静磁場強度の均一補正に用いるデータ収集の撮像範囲全体をボクセルとして選択励起して行ってもよい。
導出部26cによる撮像範囲の導出が完了すると、続いて、撮像制御部26dが、導出部26cによって導出された撮像範囲に従って、後続撮像を制御する。例えば、撮像制御部26dは、ステップS105において導出された「a)マルチスライス像を収集するための撮像」の撮像範囲に従って、マルチスライス像を収集する(ステップS106)。また、撮像制御部26dは、ステップS105において導出された「b)感度マップ撮像」の撮像範囲に従って、感度マップ撮像を行う(ステップS107)。また、撮像制御部26dは、ステップS105において導出された「c)シミング撮像」の撮像範囲に従って、シミング撮像を行う(ステップS108)。
そして、撮像制御部26dは、ステップS108におけるシミング撮像によって収集されたデータに基づいて、磁場強度の補正を行う(ステップS109)。具体的には、撮像制御部26dは、ステップS108におけるシミング撮像によって収集されたデータに基づいて静磁場の補正量を計算し、計算した補正量に応じて電流値を決定する。そして、撮像制御部26dは、決定した電流値を補正コイル(図1において図示を省略)に流すように各部を制御することで、静磁場の均一性を調整する。
その後、撮像制御部26dは、ステップS106において収集されたマルチスライス像から、診断に用いる基本断面を収集するための位置情報である基本位置を算出し(ステップS110)、算出した基本位置に基づいて基本断面を収集する(ステップS111)。
図12〜図15は、第1の実施形態における基本位置及び基本断面を示す図である。なお、第1の実施形態においては「四腔長軸像(又は四腔断面像)」を想定するが、実施形態はこれに限られるものではない。
図12に示すように、例えば、撮像制御部26dは、ステップS106において収集されたマルチスライス像の中からn番目の画像MSnを選択し、選択した画像MSnから、僧帽弁の中心と心尖部とを通る長軸ベクトルv1を、基本位置として算出する。そして、撮像制御部26dは、算出した長軸ベクトルv1を通り頭足方向に平行な断面S1を基本断面として設定し、収集する。この基本断面S1を収集した画像P1は、「垂直長軸像」と呼ばれる。
また、図13に示すように、例えば、撮像制御部26dは、画像P1から、僧帽弁の中心と心尖部とを通る長軸ベクトルv2を、基本位置として算出する。そして、撮像制御部26dは、算出した長軸ベクトルv2を通り断面S1に直交する断面S2を基本断面として設定し、収集する。この基本断面S2を収集した画像P2は、「水平長軸像」と呼ばれる。
また、図14に示すように、例えば、撮像制御部26dは、画像P2から、僧帽弁の中心と心尖部とを通る長軸ベクトルv3を、基本位置として算出する。そして、撮像制御部26dは、算出した長軸ベクトルv3及び断面S2のいずれにも直交する複数の断面S3を基本断面として設定し、収集する。この複数の基本断面S3を収集した画像は、「左室短軸像」と呼ばれる。
また、図15に示すように、例えば、撮像制御部26dは、左室短軸像のうち、心基部寄りの任意の左室短軸像から、左室の中心C1と右心室の角を通る短軸ベクトルv4を、基本位置として算出する。そして、撮像制御部26dは、算出した短軸ベクトルv4を通り断面P3と直交する断面を基本断面として設定し、収集する。この基本断面を収集した画像P4は、「四腔長軸像」と呼ばれる。
なお、基本位置の算出は、基本断面を一意に決定できる手法であればよく、公知の技術を用いることができる(例えば、特開2006−55641号公報、特開2002−140689号公報、特許4018303号公報を参照)。例えば、心室の血液量を用いる公知の手法の場合、例えば、撮像制御部26dは、画像処理により、複数のマルチスライス像の中から心室の血液量が最大のマルチスライス像を選択し、画像曲率技法及び画像勾配技法を用いて、左心室の尖端部位置を識別する。また、撮像制御部26dは、左心室の心筋層の2つの開放された尖端部の間に線を生成することで、基底部位置を識別する。そして、撮像制御部26dは、尖端部位置及び基底部位置を通って延伸された軸を、基本位置として算出する。撮像制御部26dは、同様に他の基本位置も算出しながら、基本断面を収集する。
また、例えば、特徴部位を含む小領域を辞書画像として準備する公知の手法の場合、例えば、撮像制御部26dは、僧帽弁や三尖弁、心室中隔等の組織や接合部を含む小領域を辞書画像として予め準備する。例えば、撮像制御部26dは、小領域内の輝度値を部位毎に平均化することで、僧帽弁用の辞書画像や、三尖弁用の辞書画像等を生成する。そして、撮像制御部26dは、マルチスライス像の中で辞書画像と類似度が高い部分を探索し、類似度が高いと判定された辞書画像の種類から特徴部位を特定する。そして、撮像制御部26dは、特定した特徴部位を用いて基本位置を算出すればよい。
また、例えば、基本断面を表示部25にプレビュー表示し、操作者に選択させるといった、手動の手法を用いてもよい。上述においては、マルチスライス像収集、感度マップ撮像、及びシミング撮像といった準備撮像を自動的に実行した後に、基本位置を自動的に算出し、基本断面を自動的に収集する例、すなわち本撮像まで自動的に実行する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、準備撮像の実行後、収集されたマルチスライス像を用いて基本位置を算出し、収集されたマルチスライス像から確認用の基本断面や、基本断面の位置を他の画像上で確認させる画面等を生成して、一旦表示部25にプレビュー表示してもよい。操作者は、表示部25にプレビュー表示された基本断面等を確認することができる。一方、撮像制御部26dは、操作者により「確認」が入力されたことを条件として、本撮像である基本断面の撮像を開始する。なお、この場合、マルチスライス像は、本撮像を支援する情報として機能し得る。また、この場合、撮像範囲が自動的に導出される後続撮像に、本撮像は含まれず、本撮像前に実行される種類の異なる複数の準備撮像が含まれる。
上述したように、第1の実施形態によれば、3次元画像データから心臓の上端位置及び下端位置を検出し、検出した心臓の上端位置及び下端位置に基づいてマルチスライス像の撮像範囲を導出するので、マルチスライス像の撮像範囲を簡易に設定することができる。
すなわち、マルチスライス像の撮像範囲は、心臓全体を含みつつ、頭足方向については心臓以外の領域をできるだけ含まないように撮像範囲を設定することが望ましい。なぜなら、頭足方向に広い範囲でマルチスライス像を撮像する場合、撮像枚数を多くするか、撮像間隔を広くする必要があるが、前者の場合は、被検体の息止め時間が長くなり、後者の場合は、頭足方向の空間分解能が低下するからである。一方で、従来、スカウト像として、体軸横断面、矢状断面、及び冠状断面を撮像していたが、心臓の形状や位置、方向には個人差があること、また、心拍の影響等により、スカウト像に描出される心臓は毎回異なるおそれがある。このため、心臓全体をカバーする範囲を正確に求めることは、熟練した操作者でも困難であった。この点、第1の実施形態によれば、直交3断面ではなく3次元画像データを収集し、3次元画像データから心臓の上端位置及び下端位置を検出した上でマルチスライス像の撮像範囲を自動的に導出するので、熟練した操作者でも困難なマルチスライス像の撮像範囲を、簡易かつ高精度に設定することができる。
また、第1の実施形態によれば、マルチスライス像の撮像範囲に限られず、感度マップ撮像の撮像範囲やシミング撮像の撮像範囲も、3次元画像データから検出された心臓の領域情報に基づいて自動的に導出するので、各種撮像範囲を簡易に設定することができる。更に、シミング撮像の撮像範囲を、心臓の外接直方体情報に基づいて導出するので、シミング撮像の撮像範囲を、安定かつ高精度に設定することができる。
なお、3次元画像データが収集された撮像範囲と、各種準備撮像の撮像範囲(マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲、感度マップ撮像の撮像範囲、シミング撮像の撮像範囲)との関係を説明する。まず、心臓に外接する直方体領域から所定の長さオフセットを取った範囲として導出されるシミング撮像の撮像範囲が、これらの撮像範囲の中で最も小さい。次に、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲が、このシミング撮像の撮像範囲と等しいか、若しくは、大きい。次に、感度マップ撮像の撮像範囲が、このマルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲より大きい。そして、3次元画像データが収集された撮像範囲は、この感度マップ撮像の撮像範囲より、更に大きい。
すなわち、導出部26cは、複数の後続撮像にシミング撮像が含まれる場合、領域情報より大きいシミング撮像の撮像範囲を導出し、複数の後続撮像にマルチスライス像を収集するための撮像が含まれる場合、シミング撮像の撮像範囲と等しい若しくは大きい、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲を導出し、複数の後続撮像に感度マップ撮像が含まれる場合、マルチスライス像を収集するための撮像の撮像範囲より大きい感度マップ撮像の撮像範囲を導出する。
なお、第1の実施形態において説明した処理手順は、任意に変更することができる。例えば、感度マップ撮像は、基本断面の収集より後であってもよい。感度マップ撮像によって収集される感度マップは、画像を再構成する段階までに収集されればよいからである。
また、例えば、3次元画像データの収集と感度マップ撮像とを兼ねてもよい。この場合、撮像が1つ減り、撮像時間の短縮に寄与する。なお、その他の撮像同士を組み合わせて兼ねることで、撮像時間を短縮してもよい。
また、第1の実施形態においては、3次元画像データを収集する処理(ステップS101)から処理が開始されたが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、3次元画像データの収集処理を開始する前に、撮像制御部26dは、後続する準備撮像の種類の選択や順番の指定等を受け付け、受け付けた種類の準備撮像を、受け付けた順番で実行するように制御してもよい。例えば、第1の実施形態の例を用いて説明すると、ステップS100において、撮像制御部26dが、準備撮像として、「マルチスライス像を収集するための撮像、感度マップ撮像、及びシミング撮像」の選択を受け付け、この順番で実行することを受け付けたと考えることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るMRI装置100は、第1の実施形態と同様、3次元画像データを収集した後、後続撮像の撮像断面を自動的に導出し、各種後続撮像を順次実行するが、確認画面を随時表示し、確認を受け付けてから実行する点が、第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図16は、第2の実施形態に係る制御部26等を示すブロック図である。図16に示すように、第2の実施形態において、収集部26aによる制御の下で収集された3次元画像データは、画像再構成部22にも出力される。
画像再構成部22は、3次元画像データから、MIP(Maximum Intensity Projection)像やMPR(Multi Planar Reconstructions)像を生成する。そして、画像再構成部22は、生成したこれらの画像に、検出部26bによって検出された心臓の上端位置及び下端位置や、導出部26cによって導出された撮像範囲を重畳することで、各種確認画面を生成し、表示部25に表示する。操作者は、表示部25に表示された確認画面を確認すると、必要に応じて確認画面上で調整を行った後、「確認」を入力する。すると、撮像制御部26dは、「確認」を受け付けた場合に、表示部25に表示された確認画面の内容に従って、後続撮像を制御する。
図17は、第2の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。図17に示すように、第2の実施形態においては、寝台4の移動が必要であると判定された後に(ステップS203,Yes)、確認画面の表示処理が行われる。図18は、第2の実施形態における寝台移動の確認画面を示す図である。図18に示すように、例えば、画像再構成部22は、冠状断面のMIP像に、検出部26bによって検出された心臓の上端位置及び下端位置(図18において2本の線)を重畳した確認画面V1を生成し、生成した確認画面V1を表示部25に表示する(ステップS204)。その後、撮像制御部26dは、操作者による「確認」が入力されたか否かを判定し(ステップS205)、「確認」が入力された場合に(ステップS205,Yes)、寝台4の移動を制御する(ステップS206)。
また、図17に示すように、第2の実施形態においては、マルチスライス像の収集(ステップS210)や、感度マップ撮像の実行(ステップS213)、シミング撮像の実行(ステップS216)の前に、確認画面の表示処理が行われる。図19は、第2の実施形態における撮像範囲の確認画面を示す図である。例えば、画像再構成部22は、図19の(A)に示すように、体軸横断面のMPR像に、ステップS207において導出された「a)マルチスライス像の撮像範囲」(図19において点線の四角)を重畳した確認画面V2を生成し、生成した確認画面V2を表示部25に表示する(ステップS208)。その後、撮像制御部26dは、操作者による「確認」が入力されたか否かを判定し(ステップS209)、「確認」が入力された場合に(ステップS209,Yes)、マルチスライス像の収集処理に移行する(ステップS210)。
感度マップ撮像の確認画面表示(ステップS211)及び確認の受付(ステップS212)や、シミング撮像の確認画面表示(ステップS214)及び確認の受付(ステップS215)も同様に行われる。
なお、実施形態は上述に限られるものではない。例えば、画像再構成部22は、MPR像を生成する場合に、検出部26bによって検出された各種情報を用いて、MPR像の位置を最適化してもよい。
例えば、画像再構成部22は、体軸横断面のMPR像を生成する場合に、検出部26bによって検出された心臓の上端位置及び下端位置から心臓の頭足方向の中心位置を求め、この中心位置におけるMPR像を生成してもよい。また、例えば、画像再構成部22は、検出部26bによって検出された心臓の外接直方体情報から心臓の左右方向の中心位置を求め、図19の(B)に示すように、この中心位置における矢状断面のMPR像を生成してもよい。また、例えば、画像再構成部22は、検出部26bによって検出された心臓の外接直方体情報から心臓の背腹方向の中心位置を求め、図19の(C)に示すように、この中心位置における冠状断面のMPR像を生成してもよい。
あるいは、例えば、画像再構成部22は、検出部26bによって検出された心臓の外接直方体情報から心臓の背腹方向の中心位置を求め、その中心位置から所定範囲内の3次元画像データに限定して、冠状断面のMIP像を生成してもよい。また、MIP像やMPR像に限らず、平均値投影像等でもよい。また、直交3軸に対して斜めの像(オブリーク像)でもよい。このように、画像再構成部22は、運用の形態に合わせ適宜確認画面を生成すればよい。
上述したように、第2の実施形態によれば、確認画面を随時表示し、確認を受け付けてから各種処理を実行するので、各種処理の実行前に操作者による確認が可能になり、より安全面に配慮することもできる。
なお、第2の実施形態においては、寝台移動の前、マルチスライス像収集の前、感度マップ撮像実行の前、及びシミング撮像実行の前の全てのタイミングで確認画面を表示し、確認を受け付ける例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、確認画面を表示するタイミングを1回ないし数回に集約し、複数の確認を同時に受け付ける形態でもよい。また、一部の確認の省略、追加や、順序の変更等を行ってもよい。また、例えば、マルチスライス像収集、感度マップ撮像、及びシミング撮像といった準備撮像については確認画面を表示せずに、本撮像についてのみ確認画面を表示してもよい。
また、第1の実施形態において、3次元画像データの収集処理を開始する前に、後続する準備撮像の種類の選択や順番の指定等を受け付けてもよい旨を説明したが、同様に、第2の実施形態において、3次元画像データの収集処理を開始する前に、後続する準備撮像の種類の選択や順番の指定、及び、確認画面を表示するか否かの選択やタイミングの指定等を受け付けてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るMRI装置100は、感度マップ撮像及びシミング撮像を実行せずに基本断面の収集に進む点で、第1の実施形態と異なる。図20は、第3の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。第1の実施形態と異なる点を中心に説明すると、図20に示すように、第3の実施形態において、検出部26bは、「a)心臓の上端位置及び下端位置」を検出すればよく(ステップS302)、また、導出部26cは、「a)マルチスライス像の撮像範囲」を導出すればよい(ステップS305)。そして、撮像制御部26dは、マルチスライス像の収集を制御した後(ステップS306)、感度マップ撮像及びシミング撮像を実行することなく、次の処理へ移行する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るMRI装置100は、シミング撮像を実行せずに基本断面の収集に進む点で、第1の実施形態と異なる。図21は、第4の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。第1の実施形態と異なる点を中心に説明すると、図21に示すように、第4の実施形態において、検出部26bは、「a)心臓の上端位置及び下端位置」及び「b)被検体の外接直方体領域」を検出すればよく(ステップS402)、また、導出部26cは、「a)マルチスライス像の撮像範囲」及び「b)感度マップ撮像の撮像範囲」を導出すればよい(ステップS405)。そして、撮像制御部26dは、マルチスライス像の収集を制御し(ステップS406)、感度マップ撮像を実行した後(ステップS407)、シミング撮像を実行することなく、次の処理へ移行する。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るMRI装置100は、感度マップ撮像を実行せずに基本断面の収集に進む点で、第1の実施形態と異なる。図22は、第5の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。第1の実施形態と異なる点を中心に説明すると、図22に示すように、第5の実施形態において、検出部26bは、「a)心臓の上端位置及び下端位置」及び「c)心臓の外接直方体領域」を検出すればよく(ステップS502)、また、導出部26cは、「a)マルチスライス像の撮像範囲」及び「c)シミング撮像の撮像範囲」を導出すればよい(ステップS505)。そして、撮像制御部26dは、マルチスライス像の収集を制御し(ステップS506)、シミング撮像を実行し(ステップS507)、磁場強度を補正した後(ステップS508)、感度マップ撮像を実行することなく、次の処理へ移行する。
(その他の実施形態)
上述した実施形態においては、対象臓器として心臓を想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、心臓以外の対象臓器であってもよい。例えば、対象臓器が肝臓の場合、MRI装置100は、3次元画像データから肝臓に関する領域情報を検出し、検出した領域情報に基づいて、後続撮像の撮像範囲を導出する。ここで、肝臓に関する領域情報とは、例えば、頭足方向、左右方向、背腹方向等の各方向の肝臓の上端位置及び下端位置、被検体の外接直方体情報、肝臓の外接直方体情報等である。後続撮像の目的に応じて必要な領域情報を検出すればよい。なお、肝臓の場合、被検体の外接直方体情報によって、肝臓の外接直方体情報を兼ねてもよい。
また、対象臓器を心臓に限定しない場合、MRI装置100は、必ずしも、マルチスライス像を収集するための撮像を実行する必要はない。すなわち、この場合、MRI装置100は、対象臓器を内包する範囲の3次元画像データを収集する収集部と、3次元画像データから対象臓器に関する領域情報を検出する検出部と、領域情報に基づいて後続撮像の撮像範囲を3次元画像データの範囲内に導出する導出部と、撮像範囲に従って後続撮像を制御する撮像制御部とを備えればよい。この場合、後続撮像は、シミング撮像、感度マップ撮像、及び診断に用いられる画像を収集する本撮像のうち、少なくともひとつあればよい。
また、上述した実施形態においては、導出部26cが領域情報に基づく計算処理によって撮像範囲を導出する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、導出部26cは、領域情報と撮像範囲とを対応付けたテーブルを予め記憶しておき、このテーブルを参照することによって撮像範囲を導出してもよい。例えば、導出部26cは、心臓の上端位置及び下端位置の情報と、これに適した撮像範囲の情報とを対応付けたテーブルを予め記憶しておき、検出部26bによって検出された上端位置及び下端位置を用いてテーブルを参照し、対応付けて記憶された撮像範囲の情報を取得すればよい。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、撮像範囲を簡易に設定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。