以下、実施の形態を図面に基づき説明する。なお、図1〜図15では、移動可能な各部材の移動方向を把握しやすくするために、X1、X2、Y1、Y2方向を矢印でそれぞれ図示し、図示した移動方向を本文中の説明で引用する。また、図1〜図4、図6〜図11、図13〜図15では、液圧操作装置内の各部を流動する作動液が高圧であるか低圧であるかを把握しやすくするために、高圧になっているアキュムレータ内に文字“H”(High)を図示し、低圧になっている低圧タンク内に文字“L”(Low)を図示する。
<第1の実施の形態>
図1〜図4に示すように、本実施形態の液圧操作装置10は、送電系統に設けられる遮断器を、開路動作及び閉路動作させるための駆動源として作動液(油などの作動流体)を適用する装置である。すなわち、液圧操作装置10は、液圧制御機構11、電極移動機構12、インターロック機構14、開路用ソレノイド15、閉路用ソレノイド16、低圧タンク17、ポンプユニット18、アキュムレータ19を主に備えている。
電極移動機構12は、第1の制御ポート21を介して作動液が出入りする第1の液室31内の圧力に応じて、遮断器の可動電極3が、遮断器の固定電極2から離間する図1に示す第1の開路位置と固定電極2に接触する図3に示す第1の閉路位置との間で、可動電極3を矢印Y1−Y2方向に移動させる。より具体的には、可動電極3は、液圧操作装置10の開路動作の完了時に第1の開路位置に移動し、一方、閉路動作の完了時に第1の閉路位置に移動する。
図1〜図4に示すように、電極移動機構12は、駆動シリンダ5、駆動ピストン6及び駆動ロッド7を備えている。駆動シリンダ5は、矢印Y1−Y2方向に移動可能な状態で駆動ピストン6を内部に収容している。駆動ロッド7は、一端部に可動電極3を支持していると共に、一端部と他端部との間に駆動ピストン6を保持している。
図2及び図4に示すように、駆動シリンダ5は、駆動ピストン6によって区画される他方の領域に第1の液室31を有し、駆動ピストン6によって区画される一方の領域に第6の液室36を有している。なお、駆動ピストン6の周縁部と駆動シリンダ5の内壁部分との間には、互いの境界部分をシールするシール部が設けられている。
ここで、駆動ピストン6及び駆動ロッド7が第1の液室31内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積は、駆動ピストン6及び駆動ロッド7が第6の液室36内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積よりも大きくなるように、駆動ピストン6及び駆動ロッド7が形成されている。つまり、パスカルの原理を応用するこのような構成により、第1の液室31内の圧力と第6の液室36内の圧力とが例えば互いに等しい場合、図3に示すように、駆動ピストン6及び駆動ロッド7と共に可動電極3は、固定電極2側(矢印Y2方向)に移動することになる。
なお、上述した電極移動機構は、可動電極を移動させて、可動電極と固定電極との各電極を接触又は離間させるものであるが、これに代えて、移動させる側を固定電極側にして各電極を接触又は離間させるようにしてもよいし、さらにこれに代えて、可動電極側と固定電極側との双方を移動させて、各電極を接触又は離間させるようにしてもよい。
開路用ソレノイド15は、液圧操作装置10に与えられる(入力される)開路指令に応じて、液圧操作装置10(遮断器)の開路動作を始動させるためのアクチュエータである。一方、閉路用ソレノイド16は、液圧操作装置10に与えられる閉路指令に応じて、液圧操作装置10の閉路動作を始動させるためのアクチュエータである。低圧タンク17は、第1の排液ポート23及び第3の排液ポート29を介して低圧の作動液を回収して貯留する。ポンプユニット18は、低圧タンク17内に回収された作動液を昇圧してアキュムレータ19側に移送する。アキュムレータ19は、昇圧された作動液を高圧のまま蓄え、また、この昇圧された高圧の作動液を第1の給液ポート22側に向けて給液する。
図1〜図4に示すように、アキュムレータ19と第1の給液ポート22との間は、高圧流路52で接続されている。つまり、アキュムレータ19は、高圧流路52を介して高圧の作動液を第1の給液ポート22側に向けて給液する。また、高圧流路52は、途中で分岐し、駆動シリンダ5の第6の液室36にも接続されている。
液圧制御機構11は、図1〜図4に示すように、パイロット弁部8及び主操作弁部9を有する。パイロット弁部8は、第2の制御ポート24、第2の給液ポート25、第2の排液ポート26、切換弁41、リンクレバー42を備えている。
切換弁41は、例えばロッド状に構成されており、直接的な弁機能を有する膨出した部位が中央部分に形成されている。切換弁41は、第3の排液ポート29につながる第2の排液ポート26と第2の制御ポート24とを接続する図1に示す第2の開路位置と、第1の給液ポート22につながる第2の給液ポート25と第2の制御ポート24とを接続する図3に示す第2の閉路位置との間で、矢印X1−X2方向に移動する。
言い換えると、図1に示すように、第2の開路位置に移動した切換弁41は、第2の給液ポート25と第2の制御ポート24との間を閉鎖する。一方、図3に示すように、第2の閉路位置に移動した切換弁41は、第2の排液ポート26と第2の制御ポート24との間を閉鎖する。リンクレバー42は、図3、図4に示すように、軸42aを中心として回転可能に構成されており、開路用ソレノイド15が励磁されて可動片15aが矢印Y2方向に移動した場合、切換弁41を、矢印X1方向に押して図4、図1に示す第2の開路位置に移動させる。
図1〜図4に示すように、主操作弁部9は、主操作弁ケース43、ガイドケース43a、第3の液室33、給液弁45、排液弁46、給液弁用バネ47、排液弁用バネ48を主に備えている。主操作弁ケース43及びガイドケース43aは、給液弁45、排液弁46、給液弁用バネ47、排液弁用バネ48を内部に収容している。排液弁46は、有底円筒状に構成されている。給液弁45は、排液弁46に対して同軸的に配置される状態で排液弁46の内部に収容されている。
図1〜図4に示すように、第3の液室33は、主操作弁ケース43及びガイドケース43aの内壁と排液弁46の内壁と給液弁45の外形部分との間に包囲された空間によって構成されている。また、第3の液室33は、排液弁46に形成された開口部を通じてパイロット弁部8の第2の制御ポート24と接続されている。
給液弁45は、第2の制御ポート24を介して作動液が出入りする第3の液室33内の圧力に応じて、図2に示す第3の開路位置と図1に示す第3の閉路位置との間を矢印X1−X2方向(給液弁45自身の軸方向)に移動し、第3の開路位置に移動したときに、排液弁46に形成された開口部を通じて、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の給液ポート22との間を接続する。
つまり、切換弁41の第2の閉路位置への移動により第2の制御ポート24と第2の給液ポート25とが接続されて第3の液室33内の圧力が高圧になっている状態では、給液弁45は、図2に示すように、第3の閉路位置に移動し、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の給液ポート22との間を接続する。この場合、第1の給液ポート22から第1の制御ポート21を通じて高圧の作動液が第1の液室31内に導入され、この第1の液室31内が高圧となり、これにより、図3に示すように、可動電極3は、第1の閉路位置に移動し固定電極2と接触することになる。
給液弁用バネ47は、給液弁45の一端部側に配置された圧縮コイルバネであり、給液弁45を第3の閉路位置側(給液弁45を閉じる矢印X2方向)に付勢する。図1に示すように、第3の閉路位置に移動した給液弁45は、排液弁46の内壁部分に形成されたシート部(弁座部分)49と接触して、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の給液ポート22との間を閉鎖する。
一方、排液弁46は、第3の液室33内の圧力に応じて、給液弁45と一体となって図4に示す第4の開路位置と図2に示す第4の閉路位置との間を矢印X1−X2方向(排液弁46自身の軸方向)に移動し、第4の開路位置に移動したときに、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の排液ポート23との間を接続する。
つまり、切換弁41の第2の開路位置への移動により第2の制御ポート24と第2の排液ポート26とが接続されて第3の液室33内の圧力が低圧になっている状態では、排液弁46は、図4に示すように、第4の開路位置に移動し、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の排液ポート23との間を接続する。この場合、第1の液室31内から制御ポート21及び第1の排液ポート23を通じて作動液が低圧タンク17側に排出されて、第1の液室31内が低圧となり、これにより、図1に示すように、可動電極3は、第1の開路位置に移動し固定電極2側から大きく離間することになる。
排液弁用バネ48は、排液弁46の一端部側に配置された圧縮コイルバネであり、排液弁46を第4の閉路位置側(排液弁46を閉じる矢印X1方向)に付勢する。図2に示すように、第4の閉路位置に移動した排液弁46は、主操作弁ケース43の内壁部分に形成されたシート部(弁座部分)51と接触して、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の排液ポート23との間を閉鎖する。
図5に示すように、インターロック機構(連動機構)14は、第1の制御ポート21につながる第3の制御ポート27を介して作動液が出入りする第2の液室32内の圧力が、第1の圧力を超えるときに、切換弁41の第2の閉路位置への移動を、図4に示すように機械的に阻止する。ここで、液圧操作装置10は、後述する引き外し優先機能(開路動作優先機能)及びポンピング防止機能(アンチポンピング機能)を搭載している。インターロック機構14は、これら引き外し優先機能及びポンピング防止機能を実現する。具体的には、インターロック機構14は、ロックレバー駆動機構として機能する前述した閉路用ソレノイド16と、ロックピン53aを有する弁移動レバー53と、ロックレバー54と、係合解除機構55と、を備えている。
弁移動レバー53は、軸53bを中心として回転可能に構成されており、切換弁41に接触しつつ切換弁41を第2の閉路位置側(矢印X2方向)に移動させる。ロックレバー54は、弁移動レバー53と係合可能である。詳述すると、ロックレバー54は、図5に示すように、断面L状に構成されており、一対のアーム部54a、54bを備えている。アーム部54a、54bどうしの境界部分には、閉路用ソレノイド16の可動片16aの先端部分に支持された軸54cが設けられている。
このようなロックレバー54は、軸54cを通じて、閉路用ソレノイド16における可動片16aの先端部分によって回転可能に支持されている。また、一方のアーム部54aの先端部分には切欠き部54dが設けられている。切欠き部54dは、弁移動レバー53のロックピン53aと係合可能(ロック可能)に構成されている。
閉路用ソレノイド16は、弁移動レバー53と係合したロックレバー54を駆動することによって、弁移動レバー53と接触する切換弁41を図2に示す第2の閉路位置へ移動させる。より詳細には、ロックレバー54と係合した状態の弁移動レバー53は、図2に示すように、閉路用ソレノイド16が励磁されて可動片16aが矢印Y2方向に移動した場合、切換弁41を、矢印X2方向に押して第2の閉路位置に移動させる。
一方、係合解除機構55は、第2の液室32内の圧力が第1の圧力を超えるときに、ロックレバー54(ロックレバー54の他方のアーム部54b)と接触して、弁移動レバー53とロックレバー54との係合を、図5に示すように解除するインターロックロッド(解除部材)55aを有している。
詳述すると、係合解除機構55は、上述した第2の液室32及びインターロックロッド55aに加え、第4の液室34と、付勢部材としてのロッド用バネ55dと、オリフィス55eを含む流路55fと、カバー部材55gと、をさらに備えている。インターロックロッド55aは、下端部分(底部)にピストン部55bを有している。インターロックロッド55aは、上端部分55cが外部に突出する状態で、主操作弁ケース43内に形成されたシリンダ状の内部空間へ昇降可能(矢印Y1−Y2方向へ移動可能)に収容されている。カバー部材55gは、上述したシリンダ状の内部空間における上端側に位置する開口を閉鎖している。
図5に示すように、上記シリンダ状の内部空間は、インターロックロッド55aのピストン部55bによって上下に区画されている。第4の液室34は、ピストン部55bにより区画されたシリンダ状の内部空間における上部側の領域である。第2の液室32は、ピストン部55bにより区画されたシリンダ状の内部空間における下部(底部)側の領域である。オリフィス55eを含む流路55fは、第4の液室34と第1の排液ポート23との間を接続している。
ロッド用バネ55dは、圧縮コイルバネであり、内径部分にインターロックロッド55aを上端部分55c側から挿入するかたちで、第4の液室34内に収容されている。つまり、ロッド用バネ55dは、ピストン部55bを通じてインターロックロッド55aを、ロックレバー54から遠ざける方向(矢印Y2方向)に付勢している。これにより、第2の液室32内の圧力は、ロッド用バネ55dによる付勢力(バネ力)に抗しつつインターロックロッド55aをロックレバー54に近付ける方向(矢印Y1方向)に押す力として作用する。
したがって、係合解除機構55は、第1の圧力(本実施形態では、第4の液室34内の作動液による圧力とインターロックロッド55aの自重とロッド用バネ55dの付勢力とによりインターロックロッド55aのピストン部55bを矢印Y2方向に押す圧力)を、第2の液室32内の圧力が超えるとき、インターロックロッド55aが矢印Y1方向に上昇して、その上端部分55cがロックレバー54の他方のアーム部54bと接触して、弁移動レバー53とロックレバー54との係合(ロック)を解除する。
より具体的には、液圧操作装置10の閉路動作の過程で、図2に示すように、第3の制御ポート27につながる第1の制御ポート21が、第1の給液ポート22と接続されて、第2の液室32内が高圧になるため、図3に示すように、インターロックロッド55aが上昇してロックレバー54と接触し、弁移動レバー53とロックレバー54との係合を解除する。なお、第4の液室34内の作動液は、流路55f中のオリフィス55eを介して第1の排液ポート23へ排出されるので、インターロックロッド55aが動作する速度を抑制することができる。
ここで、インターロック機構14により実現される引き外し優先機能及びポンピング防止機能について説明する。なお、引き外し優先機能及びポンピング防止機能の説明をわかりやすくするために、図4では、開路状態へ向う過渡期の状態において、開路用ソレノイド15及び閉路用ソレノイド16の双方が励磁されて、可動片15a及び可動片16aが矢印Y2方向にそれぞれ移動している状況を図示している。
まず、引き外し優先機能は、液圧操作装置10(遮断器)の開路動作を閉路動作よりも実質的に優先させる機能である。例えば、引き外し優先機能は、閉路動作の完了後さらに閉路指令が継続されていて、閉路用ソレノイド16が励磁されたままになっている状況であっても、開路指令がさらに与えられて開路用ソレノイド15が励磁された場合に、閉路状態から開路状態へと優先的に移行させることを可能とするものである。
つまり、閉路動作が完了するまでの過程で、インターロックロッド55aは、ロックレバー54と弁移動レバー53との係合を解除することで、図3、図4に示すように、切換弁41を第2の閉路位置へ移動させるための駆動力を喪失させる。したがって、閉路動作が完了した後に閉路指令が継続されている場合に、閉路動作が再び実行されることを阻止できる。また、閉路指令が継続されているこの状況においても、切換弁41を第2の開路位置へ移動させるための駆動力は喪失されていないため、開路指令をさらに与えることで、開路用ソレノイド15及びリンクレバー42の動作に連動して切換弁41が第2の開路位置へ移動し、これにより開路動作を実行することが可能となる。
一方、ポンピング防止機能は、閉路、開路、閉路、開路といったように際限なく液圧操作装置10(遮断器)の動作状態が切り替わるポンピング動作を、防止する機能である。例えば、ポンピング防止機能は、液圧操作装置10の閉路状態から開路状態への移行中に、閉路指令が継続的に与えられていた場合、開路動作完了後に続いて閉路動作が実行されてしまうことなどを防止する機能である。
すなわち、上述したように、閉路動作が完了するまでの過程で、図3に示すように、インターロックロッド55aは、ロックレバー54と弁移動レバー53との係合を解除する。したがって、例えば、閉路動作完了後にさらに開路動作が完了した状況において、閉路指令が継続されている場合、図5に示すように、閉路用ソレノイド16の励磁が継続されていてロックレバー54の切欠き部54dが弁移動レバー53のロックピン53aよりも下降しているため、ロックレバー54の切欠き部54dと弁移動レバー53のロックピン53aとは係合(ロック)できない状況となる。これによって、切換弁41の第1の閉路位置への動作が阻止されることから、閉路動作が再度実行されず、これによりポンピング動作の発生を防止することができる。
さらに詳述すると、ロックレバー54と弁移動レバー53とが、再度、係合する条件は、ロックレバー54及びインターロックロッド55aが、閉路動作が開始される以前の初期位置に戻ることである。つまり、インターロックロッド55aは、開路状態において第2の液室32が低圧になっている場合に、ロッド用バネ55dの付勢力によって図1に示すように閉路動作開始以前の初期位置(インターロックロッド55a本体が矢印Y2方向に下降しその上端部分55cがロックレバー54から離間する位置)に戻る。
一方、ロックレバー54は、閉路指令が解除され閉路用ソレノイド16の励磁が停止されれば、閉路用ソレノイド16の本体内に設けられたバネなどの付勢力によって可動片16aが矢印Y1方向に上昇し、これに伴い、ロックレバー54も矢印Y1方向に上昇して、図1に示すように閉路動作開始以前の初期位置(ロックピン53aに対して切欠き部54dの高さが揃う位置)に復帰する。
つまり、インターロックロッド55aが初期位置に向けて下降し、ロックレバー54が初期位置に向けて上昇することによって、図1に示すように、ロックレバー54と弁移動レバー53とは互いに係合される。この状態になってはじめて、閉路動作を実行することが可能となる。
次に、本実施形態の液圧操作装置10の動作を図1〜図5に基づき説明する。まず、液圧操作装置10が開路状態から閉路状態へ移行する際の動作について説明する。図1に示すように、液圧操作装置10の開路状態において、液圧操作装置10に与えられる閉路指令に応じて閉路用ソレノイド16が励磁される。図2に示すように、可動片16aが矢印Y2方向に移動すると、ロックレバー54と係合した状態の弁移動レバー53は、図2に示すように、切換弁41を、矢印X2方向に押して第2の閉路位置に移動させる。これにより、第2の制御ポート24と第2の給液ポート25とが接続される。
この際、アキュムレータ19からの高圧の作動液は、高圧流路52、第1の給液ポート22、第2の給液ポート25及び第2の制御ポート24を経て、第3の液室33内に給液され、第3の液室33内の圧力を上昇させる。このように第3の液室33内の圧力が高圧になっている状態では、給液弁45は、図2に示すように、給液弁用バネ47の付勢力に抗しつつ、矢印X1方向に押されて第3の開路位置に移動し、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の給液ポート22との間を接続する。
この場合、第1の給液ポート22から第1の制御ポート21を通じて高圧の作動液が第1の液室31内に導入され、第1の液室31内の圧力は上昇して高圧となる。この際、可動電極3は、図3に示すように、上記したパスカルの原理によって矢印Y2方向に押されて第1の閉路位置に移動し固定電極2と接触することになる。
さらに、液圧操作装置10の閉路動作の過程で、図2に示すように、第1の制御ポート21と共に第3の制御ポート27が、第1の給液ポート22と接続されて、第2の液室32内の圧力が上昇し高圧になる。これにより、係合解除機構55のインターロックロッド55aは、ロッド用バネ55dの付勢力などに抗しつつ矢印Y1方向に上昇してロックレバー54と接触し、弁移動レバー53とロックレバー54との係合を解除する。このようにして、液圧操作装置10は、閉路状態への移行を完了したことになる。
ここで、閉路動作が完了するまでの過程で、インターロックロッド55aが、ロックレバー54と弁移動レバー53との係合を解除したことで、図3、図5に示すように、切換弁41を第1の閉路位置へ移動させるための駆動力が失われる。このため、閉路指令が継続されている場合でも、閉路動作が実行されることを阻止できる。また、開路指令がさらに与えられた場合、例えば図4に示すように、開路用ソレノイド15及びリンクレバー42の動作に通じて切換弁41を第2の開路位置へ移動させ、開路動作を実行することが可能となる。このようにして引き外し優先機能が実現される。
また、例えば、上述した閉路動作完了後にさらに開路動作が完了した状況において、閉路指令が継続されている場合、図3、図5に示すように、閉路用ソレノイド16の励磁が継続されていてロックレバー54の切欠き部54dが弁移動レバー53のロックピン53aよりも下降しているため、ロックレバー54と弁移動レバー53とは係合(ロック)できない状況となる。したがって、切換弁41を第1の閉路位置へ移動させることができないことから、閉路動作が再度実行されることはなく、ポンピング動作の発生を防止できる。このようにしてポンピング防止機能が実現される。
次に、液圧操作装置10が閉路状態から開路状態へ移行する際の一般的な動作について説明する。図3に示すように、液圧操作装置10の閉路状態において、液圧操作装置10への開路指令の入力に応じて開路用ソレノイド15が励磁される。図4に示すように、可動片15aが矢印Y2方向に移動すると、リンクレバー42は、切換弁41を、矢印X1方向に押して第2の開路位置に移動させる。これにより、第2の制御ポート24と第2の排液ポート26とが接続される。
この際、第3の液室33内の作動液は、第2の制御ポート24、第2の排液ポート26、及び第3の排液ポート29を経て、低圧タンク17内に回収される。これにより、第3の液室33内の圧力は低下する。このようにして第3の液室33内が低圧になっている状態では、排液弁46は、図4に示すように、排液弁用バネ48の付勢力に抗しつつ、給液弁45と一体となって矢印X2方向に押されて第4の開路位置に移動し、第1及び第3の制御ポート21、27と第1の排液ポート23との間を接続する。
この場合、第1の制御ポート21及び第1の排液ポート23を通じて第1の液室31内の作動液は、低圧タンク17内に回収される。これにより、第1の液室31内の圧力が低下することになる。第1の液室31内の圧力が低下したことにより、図1に示すように、可動電極3は、矢印Y2方向に上昇して第1の開路位置に移動し固定電極2から離間することになる。
さらに、第3の制御ポート27及び第1の排液ポート23を通じて第2の液室32内の作動液は、低圧タンク17内に回収される。これにより、第2の液室32内の圧力も低下することになる。この際、インターロックロッド55aは、ロッド用バネ55dに付勢されつつ矢印Y2方向に下降してロックレバー54側から離間する。一方、ロックレバー54は、閉路指令が解除されて閉路用ソレノイド16の励磁が停止されている状態では、可動片16aと共に矢印Y1方向に上昇し、これにより、ロックピン53a及び切欠き部54dを介して、図1に示すように弁移動レバー53と係合する。このようにして、液圧操作装置10は、開路状態への移行を完了したことになる。
既述したように、本実施形態の液圧操作装置10は、インターロック機構14によって実現されるポンピング防止機能や引き外し優先機能を搭載していることで、閉路動作よりも開路動作を優先的に実行させることができ、さらにポンピング動作の発生を防止することができる。また、液圧操作装置10は、図1〜図4に示すように、例えば排液弁46の内部に給液弁45を設置するといった部品設置スペースの有効な活用に加え、インターロックロッド55aやロックレバー54などの構造が簡易な構成部品によってインターロック機構14を構成しているので、部品の設置に関するスペースを小さくすることが可能である。したがって、液圧操作装置10によれば、遮断器を駆動するうえでの安全性を確保できると共に小型化を図ることができる。
なお、インターロックロッド55a及びロッド用バネ55dなどを取り外し、第3の制御ポート27や第1、第4の液室31、34を塞ぐ簡易な作業によって、インターロック機構14を容易に削除することが可能である。つまり、液圧操作装置10によれば、インターロック機構14を適用するか否かの選択を簡易な作業によって実現できるので、良好なメンテナンス性(保守性)を得ることができる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施形態を図6、図7に基づき説明する。なお、図6、図7において、図1〜図5に示した第1の実施形態中の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付与し重複する説明を省略する。
第2の実施形態の液圧操作装置20は、第1の実施形態の液圧操作装置10が備えていた係合解除機構55を含むインターロック機構14に代えて、図6、図7に示すように、係合解除機構56を含むインターロック機構57を備えている。すなわち、本実施形態のインターロック機構57が有する係合解除機構56は、係合解除機構55のロッド用バネ55d及びオリフィス55eを含む流路55fに代えて、オリフィス58aを含む第4の制御ポート58を備えている。
図6、図7に示すように、第4の制御ポート58は、第2の給液ポート25と第4の液室34との間を接続している。つまり、第4の液室34内には、第2の給液ポート25につながる第4の制御ポート58を介して高圧の作動液が出入りする。したがって、第4の液室34内の圧力は、第2の液室32内の圧力に抗しつつインターロックロッド55aを、ロックレバー54から遠ざける方向(矢印Y2方向)に押す力として作用する。一方、第2の液室32内の圧力は、第4の液室34内の圧力に抗しつつインターロックロッド55aを、ロックレバー54に近付ける方向(矢印Y1方向)に押す力として作用する。
ここで、ピストン部55bを含むインターロックロッド55aが第2の液室32内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積は、ピストン部55bを含むインターロックロッド55aが第4の液室34内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積よりも大きくなるように、当該インターロックロッド55aの形状が適宜構成されている。より具体的には、第2の液室32内の圧力と第4の液室34内の圧力とが例えば互いに等しい場合、インターロックロッド55aがロックレバー54に近付く方向(矢印Y1方向)に上昇するように、上記した前者、後者の受圧面積がそれぞれ設定されている。
これにより、係合解除機構56は、第2の液室32内の圧力が、第1の圧力を超えるときに(本実施形態では、第4の液室34内の圧力以上のときに)、インターロックロッド55aが矢印Y1方向に上昇してロックレバー54と接触し、弁移動レバー53とロックレバー54との係合(ロック)を解除する。なお、この場合、第4の液室34内の作動液は、第4の制御ポート58途中のオリフィス58aを介して、第2の給液ポート25へ排出されることになるため、インターロックロッド55aが上昇する際の速度を抑制することができる。
したがって、本実施形態の液圧操作装置20は、第1の実施形態と同様に、ポンピング防止機能及び引き外し優先機能を備える装置であって、閉路動作よりも開路動作を優先的に実行させることができると共に、ポンピング動作の発生を防止することが可能である。また、液圧操作装置20は、図6、図7に示すように、インターロックロッド55a、ロックレバー54、第4の制御ポート58などといった構造が簡易な構成部品によってインターロック機構57を構成しているので、第1の実施形態と同様、部品の設置スペースを小さくすることが可能となり、これによって小型化を図ることができる。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施形態を図8〜図12に基づき説明する。なお、図8〜図12において、図1〜図5に示した第1の実施形態中の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付与し重複する説明を省略する。
第3の実施形態の液圧操作装置30は、第1の実施形態の液圧操作装置10が備えていた液圧制御機構11、インターロック機構14、開路用ソレノイド15及び閉路用ソレノイド16に代えて、図8〜図12に示すように、液圧制御機構61、開路用電磁弁75及び閉路用電磁弁(閉路用弁)76を備えている。
開路用電磁弁75は、液圧操作装置30に与えられる開路指令に応じて、液圧操作装置30(遮断器)の開路動作を始動させるためのアクチュエータである。一方、閉路用電磁弁76は、液圧操作装置30に与えられる閉路指令に応じて、液圧操作装置30の閉路動作を始動させるためのアクチュエータである。液圧制御機構61は、液圧制御機構11のパイロット弁部8に代えて、図8〜図12に示すように、インターロック機構64を含むパイロット弁部68を有している。
パイロット弁部68は、図8〜図12に示すように、弁ケース78、78a、78b、開路用ポート72、閉路用ポート74、第4の排液ポート73、第3の制御ポート27a、オリフィス79aを含む流路79、第5の液室35、第7の液室37、第2の液室32a、第8の液室38、切換弁41a、インターロック弁71、インターロック用バネ71b、開路弁用バネ75c、閉路弁用バネ76cを備えている。
上述した各ポート及び各液室は、ブロック化された弁ケース78、78a、78bの内部に形成されている。インターロック用バネ71b、開路弁用バネ75c、閉路弁用バネ76cは、圧縮コイルバネである。また、図8〜図11に示すように、第4の排液ポート73は、途中で二手に分岐しその一方が、閉路用電磁弁76を介して閉路用ポート74に接続されている。さらに、第5の液室35は、閉路用ポート74と接続されており、この閉路用ポート74を介して作動液が出入りする。
閉路用電磁弁76は、第4の排液ポート73と閉路用ポート74との間を開閉する。つまり、閉路用電磁弁76は、閉路指令に応じて励磁された場合、閉路弁用バネ76cの付勢力に抗しつつ可動片76aと共に弁本体部76bが矢印Y2方向に移動し、第4の排液ポート73と閉路用ポート74との間を開放する。
また、図8〜図11に示すように、第4の排液ポート73の分岐している他方は、開路用電磁弁75を介して開路用ポート72に接続されている。さらに、第7の液室37は、開路用ポート72と接続されており、この開路用ポート72を介して作動液が出入りする。開路用電磁弁75は、第4の排液ポート73と開路用ポート72との間を開閉する。すなわち、開路用電磁弁75は、開路指令に応じて励磁された場合、開路弁用バネ75cの付勢力に抗しつつ可動片75aと共に弁本体部75bが矢印Y2方向に移動し、第4の排液ポート73と開路用ポート72との間を開放する。
切換弁41aは、第2の排液ポート26と第2の制御ポート24とを接続する図8に示す第2の開路位置と、第2の給液ポート25と第2の制御ポート24とを接続する図9に示す第2の閉路位置との間で、矢印X1−X2方向に移動する。
ここで、切換弁41aの一端部が第5の液室35内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積は、切換弁41aの他端部が第7の液室37内で作動液と接触して圧力を受ける受圧面積よりも大きくなるように、当該切換弁41aの形状が適宜構成されている。つまり、パスカルの原理を応用するこのような構成によって、第5の液室35内の圧力と第7の液室37内の圧力とが例えば互いに等しい場合、切換弁41aは、矢印X2方向に押されて図8に示す第2の開路位置に移動することになる。また、切換弁41aは、第5の液室35内の圧力が、第2の圧力(本実施形態では、第7の液室37内の圧力)よりも低いときに、図9に示す第2の閉路位置へ移動する。
切換弁41aの内部には、第2の給液ポート25と第7の液室37とを接続する流路41bと、第2の給液ポート25と第5の液室35とを接続する流路41cと、がそれぞれ形成されている。したがって、例えば、開路用電磁弁75と閉路用電磁弁76との双方が閉じられている場合、第7の液室37内及び第5の液室35内の圧力は、高圧の状態に維持されている。
つまり、この状態において、閉路用電磁弁76が開いた場合、第4の排液ポート73と閉路用ポート74との間が開放され、第5の液室35内から作動液が閉路用ポート74及び第4の排液ポート73を介して排出される。これにより、第5の液室35内の圧力が低下して、第5の液室35内が低圧となることから、切換弁41aは、矢印X1方向に押されて図9に示す第2の閉路位置に移動する。
また、第7の液室37内及び第5の液室35内の圧力が高圧の状態において、開路用電磁弁75が開いた場合、第4の排液ポート73と開路用ポート72との間が開放され、第7の液室37内から作動液が開路用ポート72及び第4の排液ポート73を介して排出される。これによって、第7の液室37内の圧力が低下して、第7の液室37内が低圧となることから、切換弁41aは、矢印X2方向に押されて図8に示す第2の開路位置に移動する。
なお、切換弁41aの第2の開路位置への移動完了後、開路用電磁弁75が閉じられると、第7の液室37内には、第2の給液ポート25及び切換弁41a内の流路41bを介して作動液が供給され、第7の液室37内は、圧力が上昇する。ただし、上述したように、第5の液室35側にある切換弁41aの一端部の受圧面積は、第7の液室37側にある切換弁41aの他端部の受圧面積よりも大きいため、第5の液室35内の圧力と第7の液室37内の圧力とが例えば互いに等しい場合、切換弁41aは、そのまま第2の開路位置に保持される。
図8〜図12に示すように、インターロック機構64は、第1の実施形態のインターロック機構14と同様に、第3の制御ポート27aを介して作動液が出入りする第2の液室32a内の圧力が、第1の圧力を超えるときに、切換弁41aの第2の閉路位置への移動を、図11に示すように機械的に阻止する。インターロック機構64は、引き外し優先機能及びポンピング防止機能を実現する。具体的には、インターロック機構64は、図8〜図12に示すように、主に、上述した第4の排液ポート73、閉路用ポート74、閉路用電磁弁76、第3の制御ポート27a、第5の液室35、第2の液室32a、第8の液室38、インターロック用バネ71b、インターロック弁71によって構成される。
インターロック弁71は、閉路用ポート74を閉じる図10に示す閉塞位置と閉路用ポート74を開放する図8に示す開放位置との間を移動可能であって、第2の液室32a内の圧力が、第1の圧力を超えるときに(本実施形態では、閉路用ポート74内の圧力以上のときに)、図10に示す閉塞位置に移動する。インターロック用バネ71bは、インターロック弁71を、開放位置から閉塞位置へと移動させる方向(矢印X1方向)に付勢している。
図8〜図12に示すように、インターロック弁71の内部には、第5の液室35及び流路41cを介して第2の給液ポート25につながっている閉路用ポート74と、第8の液室37と、を接続している流路41bが形成されている。したがって、図8に示すように、開路用電磁弁75と閉路用電磁弁76との双方が例えば閉じられている場合、第8の液室38内の圧力は、第5の液室35内及び閉路用ポート74内と共に、それぞれ高圧の状態に維持されている。
ここで、インターロック機構64により実現される引き外し優先機能及びポンピング防止機能について説明する。なお、引き外し優先機能及びポンピング防止機能の説明をわかりやすくするために、図11では、開路状態へ向う過渡期の状態において、開路用電磁弁75及び閉路用電磁弁76の双方が開いている状況を図示している。
まず、引き外し優先機能は、例えば、閉路動作の完了後さらに閉路指令が継続されていて、閉路用電磁弁76が開いたままになっている状況であっても、開路指令がさらに与えられて開路用電磁弁75が開いた場合に、閉路状態から開路状態へと優先的に移行させることを可能とするものである。
つまり、第7の液室37内が低圧であると共に第5の液室35内が高圧である図8に示す開路状態において、図9に示すように、閉路指令に応じて閉路用電磁弁76が開いた場合、第4の排液ポート73と閉路用ポート74との間が開放され、第5の液室35内及び閉路用ポート74内の作動液が第4の排液ポート73を介して排出される。これにより、第5の液室35内及び閉路用ポート74内が低圧となることから、切換弁41aは、矢印X1方向に押されて図9に示す第2の閉路位置に移動する。
切換弁41aが第2の閉路位置に移動したことで、これに伴い、給液弁45も、図9に示すように、第3の閉路位置に移動し、これにより、第1の給液ポート22と第3の制御ポート27aとが接続される。この結果、第1の給液ポート22及び第3の制御ポート27aを介して高圧の作動液が第2の液室32a内に導入され、第2の液室35内が高圧となることから、インターロック弁71は、矢印X1方向に押されて図10、図12に示す閉塞位置に移動する。これによって、閉路用ポート74が閉じられる。
図10に示すように、閉路動作が完了したこの状態において、さらに閉路指令が継続されていて、閉路用電磁弁76が開いたままであっても、インターロック弁71によって閉路用ポート74が閉じられていることから、第5の液室35内は、低圧にはならず、この結果、切換弁41aの第2の閉路位置への移動が阻止される。したがって、閉路動作が完了した後に閉路指令が継続されている場合に、閉路動作が再び実行されることを防止することができる。
また、閉路指令が継続されているこの状況においても、開路指令をさらに与え、図11に示すように、開路用電磁弁75を開くと、第4の排液ポート73と開路用ポート72との間が開放され、第7の液室37内から作動液が開路用ポート72及び第4の排液ポート73を介して排出される。これによって、第7の液室37内が低圧となることから、切換弁41aが、矢印X2方向に押されて図11、図8に示す第2の開路位置に移動し、開路動作が実行される。このようにして引き外し優先機能が実現される。
一方、ポンピング防止機能は、例えば、液圧操作装置10の閉路状態から開路状態への移行中に、閉路指令が継続的に与えられていた場合、開路動作完了後に続いて閉路動作が実行されてしまうことなどを防止する機能である。
つまり例えば、閉路動作完了後にさらに開路動作が完了した状況において、閉路指令が継続されている場合、インターロック弁71は閉塞位置にあり、閉路用ポート74は閉じられたままであることから、第5の液室35内を低圧にできない状況である。これによって、切換弁41aの第2の閉路位置への動作が阻止されることから、閉路動作が再度実行されず、これによりポンピング動作の発生を防止することができる。このようにしてポンピング防止機能が実現される。
なお、インターロック弁71を図8に示す開放位置に復帰させるには、第2の液室32a内を低圧にし、閉路用ポート74と流路79とにおけるオリフィス79aよりも上部側を高圧にすることである。つまり、継続されている閉路指令を解除して閉路用電磁弁76を閉じると、第2の給液ポート25、切換弁41a内の流路41c、オリフィス79aを含む流路79を介して、閉路用ポート74と流路79とにおけるオリフィス79aよりも上部側に高圧の作動液が導入されて当該開路用ポート72の上部側が高圧になる。
さらにこの状態で、開路動作が実行されて排液弁46を開くと、第1の排液ポート23と第3の制御ポート27aとが接続されて第2の液室32a内が低圧となる。これにより、インターロック弁71は、インターロック用バネ71bの付勢力に抗しつつ、矢印X2方向に押されて開放位置に復帰する。インターロック弁71が開放位置に復帰したことで、閉路用ポート74が開き、さらに、開路動作が完了した後、閉路用電磁弁76を開くことで、切換弁41aが図9に示す第2の閉路位置に移動し、これにより閉路動作が実行される。
なお、本実施形態の液圧操作装置30では、切換弁41aが、第2の開路位置及び第2の閉路位置へそれぞれ移動した後の、給液弁45、排液弁46、電極移動機構12の動作は、第1の実施形態の液圧操作装置10と同様である。
既述したように、本実施形態の液圧操作装置30は、閉路動作よりも開路動作を優先的に実行させることができると共にポンピング動作の発生を防止することができる。また、液圧操作装置30は、図9〜図12に示すように、部品の設置スペースの有効な活用に加え、構造が簡易な構成部品によってインターロック機構64を構成しているので、装置本体の小型化を図ることができる。また、液圧操作装置30では、インターロック機構64を含むパイロット弁部68が、弁ケース78、78a、78bによってブロック化して構成されていることで、主操作弁ケース43及びガイドケース43aからパイロット弁部68を容易に着脱することができ、これにより、インターロック機構64を含むパイロット弁部68のメンテナンス性を高めることができる。
次に、比較例1、2の液圧操作装置40、50について説明する。
<比較例1>
まず、図13に基づき、比較例1の液圧操作装置40が開路状態から閉路状態へ移行する際の動作について説明する。閉路用ソレノイド116が励磁され、可動片116aが矢印X2方向に押されると、切換弁141は、閉路位置に移動する。これにより、制御ポート124と給液ポート125とが接続される。
この際、アキュムレータ119からの高圧の作動液は、高圧流路152、給液ポート122、給液ポート125及び制御ポート124を経て、液室133内に給液され、液室133内の圧力を上昇させる。このように液室133内の圧力が高圧になっている状態では、給液弁145は、給液弁用バネ147の付勢力に抗しつつ、矢印X2方向に押されて開路位置に移動し、給液ポート122と制御ポート121との間を接続する。
この場合、給液ポート122から制御ポート121を通じて高圧の作動液が液室131内に導入され、液室131内の圧力は上昇して高圧となる。この際、駆動ピストン106が矢印Y1方向に上昇し、これに伴い可動電極103は、固定電極102と接触する。
次に、図13に基づき、比較例1の液圧操作装置40が閉路状態から開路状態へ移行する際の動作について説明する。開路用ソレノイド115が励磁され、可動片115aが矢印X1方向に押されると、切換弁141は開路位置に移動する。これにより、排液ポート126と制御ポート124とが接続される。
この際、液室133内の作動液は、制御ポート124、排液ポート126、及び排液ポート123を経て、低圧タンク117内に回収される。これにより、液室133内の圧力は低下する。このようにして液室133内が低圧になっている状態では、排液弁146は、排液弁用バネ148の付勢力に抗しつつ、給液弁145と一体となって矢印X1方向に押されて開路位置に移動し、排液ポート123と制御ポート121との間を接続する。
この場合、制御ポート121及び排液ポート123を通じて液室131内の作動液は、低圧タンク117内に回収される。これにより、液室131内の圧力が低下することになる。液室131内の圧力が低下したことにより、駆動ピストン106が、矢印Y2方向に下降し、これに伴い、可動電極103は、固定電極102から離間する。
ここで、比較例1の液圧操作装置40は、ポンピング防止機能及び引き外し優先機能を搭載していないことから、遮断器を駆動するうえでの安全性の面が懸念される。
<比較例2>
次に、図14に基づき、比較例2の液圧操作装置50が開路状態から閉路状態へ移行する際の動作について説明する。閉路用電磁弁276が開くと、排液ポート273と閉路用ポート274とが接続されて排液ポート273が開放され、液室235内及び閉路用ポート217内の作動液が排液ポート273を介して低圧タンク217側に排出される。これにより、液室235内及び閉路用ポート274内が低圧となることから、切換弁241は、矢印X1方向に押されて図14に示す閉路位置に移動する。
切換弁241が閉路位置に移動したことで、給液ポート225と制御ポート224とが接続される。ここで、前述したように、閉路用ポート274側が低圧になることから、インターロック弁271は、矢印X1方向に引かれて閉塞位置に移動する。これにより、閉路用ポート274が閉じられることで、再度の閉路動作の実行が阻止され、この結果、ポンピング防止機能が実現される。
なお、制御ポート224と給液ポート225とが接続されたことで、アキュムレータ219からの高圧の作動液は、高圧流路252、給液ポート225及び制御ポート224に供給されるので、給液弁バネ247の付勢力に抗しつつ給液弁245が開く。給液弁245が開くと、給液ポート225と制御ポート221とが接続され、液室231内の圧力が上昇して高圧となる。この際、可動電極203は、矢印Y2方向に下降して固定電極202と接触する。
次に、図15に基づき、比較例2の液圧操作装置50が閉路状態から開路状態へ移行する際の動作について説明する。閉路用電磁弁276が開かれている状態で、例えば開路用電磁弁275がさらに開かれた場合、排液ポート273aと開路用ポート272との間が開放され、液室237内から作動液が開路用ポート272及び排液ポート273aを介して低圧タンク217側に排出される。液室237内が低圧となることから、切換弁241が、矢印X2方向に引かれて図15に示す開路位置に移動し、開路動作が実行される。このようにして引き外し優先機能が実現される。
なお、切換弁241が、開路位置に移動したことで、排液ポート226と制御ポート224とが接続され、排液弁バネ248の付勢力に抗しつつ排液弁246が開く。排液弁246が開くと、制御ポート221と排液ポート273aとが接続されるので、液室231内の圧力が低下する。この際、可動電極203は、矢印Y1方向に上昇して固定電極202から離間する。
ここで、既述した比較例2の液圧操作装置50は、図14、図15に示すように、例えば排液弁246と給液弁245とを互いに異なる位置に個別に配置していることなどから、部品の設置スペースを極力少なくするといった配慮が乏しく、例えば装置本体の小型化を図るうえで課題を残している。
これに対して、第1〜第3の実施形態の液圧操作装置10、20、30は、上述したように、部品の設置スペースの有効な活用により小型化を図り、また、ポンピング防止機能及び引き外し優先機能を備えていることにより、遮断器を駆動するうえでの安全性を確保することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。