以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
(第1実施形態)
本実施形態の給湯装置10は、一般家庭用として使用されるものである。給湯装置10は、図1に示すように、貯湯タンク11内に貯えられた蓄熱用流体等を熱源として、台所・洗面所・浴室などへの給湯機能の他に、浴槽51への給湯用水の注水や、浴槽51へ注水された給湯用水を追焚きする機能(湯張り機能)を有している。本実施形態では、「蓄熱用流体」として給湯側(熱負荷側)と同じ給湯用水を用いている。
給湯装置10は、貯湯タンクユニット20、ヒートポンプユニット13、制御部100、操作部120(メインリモコン121、および浴室リモコン122)を含んで構成されている。
貯湯タンクユニット20は、貯湯タンク11、沸上回路12、熱負荷回路14、給水用配管15、給湯配管27、風呂注湯ユニット70、浴水循環回路80を含んで構成される。
貯湯タンク11は、蓄熱用流体を内部に貯えるタンク(容器)である。この貯湯タンク11は、耐食性に優れた金属製、例えば、ステンレス製からなり、その外周部に断熱材が設けられている。これにより、貯湯タンク11は、蓄熱用流体を長時間に渡って保温可能となっている。
貯湯タンク11は、縦長形状であり、貯湯タンク11内部の貯湯量および貯湯温度を検出するために、その高さ方向に7個並んだ第1〜第7水温サーミスタ111〜117が設けられている。各水温サーミスタ111〜117は、後述する制御部100に接続されており、各水位における貯湯タンク11内に満たされた蓄熱用流体の温度情報が、制御部100に出力される。本実施形態では、第1水温サーミスタ111により、貯湯タンク11の上部における蓄熱用流体の温度を検出する。なお、後述の制御部100は、各水温サーミスタ111〜117から出力される温度情報に基づいて、貯湯タンク11内上方の湯と貯湯タンク11内下方の沸き上げられる前の水との境界位置、および貯湯タンク11内の貯湯量が検出可能となっている。
貯湯タンク11は、その底面に導入口11aが設けられている。導入口11aには、貯湯タンク11内に市水を供給する市水流入配管21が接続されている。市水流入配管21に接続される市水配管22には、導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する減圧弁23が設けられている。この市水配管22は、給水用配管15を介して後述する風呂混合弁24および給湯混合弁25に接続されている。
続いて、ヒートポンプユニット13は、入口配管36から導入された蓄熱用流体を加熱して、出口配管37から導出する「加熱部」である。本実施形態のヒートポンプユニット13は、図示しないが、少なくとも圧縮機、放熱器としての水冷媒熱交換器、可変式減圧器、蒸発器、および気液分離器が閉回路を構成するように接続されたヒートポンプサイクルを有している。本実施形態のヒートポンプサイクルは、冷媒として二酸化炭素を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える蒸気圧縮式の超臨界冷凍サイクルを構成している。
ヒートポンプユニット13には、入口配管36を通過してヒートポンプユニット13に流入する蓄熱用流体の温度を検出する流入側サーミスタ13aが設けられている。流入側サーミスタ13aは、ヒートポンプユニット13による蓄熱用流体の加熱能力を調整するために利用される温度情報を検出するもので、後述する制御部100に接続されている。後述する制御部100では、流入側サーミスタ13aの検出情報(温度情報)を利用して、可変式減圧器や圧縮機の運転を制御することで、ヒートポンプユニット13の加熱能力を調整する。
ヒートポンプユニット13は、水冷媒熱交換器の冷媒流路を流れる高温高圧の冷媒と、水冷媒熱交換器の水流路を流れる蓄熱用流体(水)との間で熱交換を行うことにより、蓄熱用流体を沸き上げることが可能となっている。
また、本実施形態の如く、ヒートポンプサイクルを超臨界冷凍サイクルで構成した場合、一般的なヒートポンプサイクル(亜臨界冷凍サイクル)よりも、蓄熱用流体を高温(例えば、85℃〜90℃程度)に沸き上げることができる。ヒートポンプサイクルは、主に、貯湯タンク11の蓄熱用流体の貯湯量が不足しているときや、料金設定の安価な深夜時間帯の深夜電力を利用して貯湯タンク11内の湯を沸き上げる。なお、ヒートポンプユニット13は、ヒートポンプサイクルとして、例えば、エジェクタ式の冷凍サイクルや、冷媒として、HFC系冷媒やHFO系冷媒等を用いた亜臨界冷凍サイクルが採用されていてもよい。
続いて、沸上回路12は、貯湯タンク11の下部から蓄熱用流体を取出してヒートポンプユニット13で加熱し、再び蓄熱用流体を貯湯タンク11の上部に戻すための回路である。沸上回路12は、貯湯タンク11の下部(底面側)と入口配管36とを接続する沸上用往き配管31、および出口配管37と貯湯タンク11の上部(上面側)とを接続する沸上用戻り配管32を有する。
また、沸上回路12は、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体を、沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→貯湯タンク11の上部の順に流すための沸上用循環ポンプ33が設けられている。本実施形態の沸上用循環ポンプ33は、入口配管36に配置されており、入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37へと一方向に流すポンプで構成されている。なお、本実施形態では、沸上用循環ポンプ33が「沸上用ポンプ」を構成する。
本実施形態の沸上用戻り配管32には、沸上用往き配管31に連通するバイパス配管35が接続されている。そして、沸上用戻り配管32とバイパス配管35との合流部には、流路切替弁34が設けられている。
流路切替弁34は、沸上用戻り配管32を流れる蓄熱用流体の流路を、貯湯タンク11の上部へ向かう流路と、バイパス配管35へ向かう流路へ切り替える三方弁である。なお、本実施形態の流路切替弁34は、貯湯タンク11の上部へ向かう蓄熱用流体の流量と、バイパス配管35に流れる蓄熱用流体の流量との流量割合を調節可能に構成されている。
続いて、熱負荷回路14は、貯湯タンク11の蓄熱用流体と給湯用水(浴槽51に貯めた水等)とを熱交換させて、給湯用水を追焚きするための回路である。本実施形態の熱負荷回路14は、取出配管41、風呂熱交換器42、取入配管43、風呂1次ポンプ44、および風呂1次逆止弁46を有する。
取出配管41は、沸上用戻り配管32を介して貯湯タンク11の上部から蓄熱用流体を取り出す配管であり、沸上用戻り配管32における流路切替弁34の上流側に接続されている。沸上用戻り配管32における流路切替弁34から貯湯タンク11の上部へ至る配管410は、貯湯タンク11の上部から取出配管41へ蓄熱用流体を取り出すための配管(補助取出配管)としても機能する。
本実施形態の取出配管41には、風呂1次逆止弁46が設けられている。この風呂1次逆止弁46は、蓄熱用流体が、取入配管43側から風呂熱交換器42を経由して取出配管41側へ逆流することを防止するために設けられている。また、風呂1次逆止弁46は、風呂1次ポンプ44の運転停止時に、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体が取出配管41側へ流入することを妨げる流通抵抗としても機能する。
風呂熱交換器42は、取出配管41を通過した蓄熱用流体を風呂側(熱負荷側)にて利用される給湯用水と熱交換させる「熱負荷用熱交換器」である。具体的には、風呂熱交換器42は、蓄熱用流体が流通する第1流通部42a、および給湯用水が流通する第2流通部42bを有し、各流通部42a、42bを流れる流体同士が熱交換するように構成されている。
取入配管43は、風呂熱交換器42を通過した蓄熱用流体を貯湯タンク11に戻す配管である。取入配管43には、風呂1次ポンプ44が設けられている。風呂1次ポンプ44は、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体を、取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11の順に流すものであり、「追焚用ポンプ」を構成している。
風呂1次ポンプ44は、流路切替弁34で沸上用戻り配管32と貯湯タンク11の上部とが連通している際に、ヒートポンプユニット13を流れる蓄熱用流体、および貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体それぞれを、沸上用戻り配管32を介して取出配管41へ流す。
また、風呂1次ポンプ44は、流路切替弁34で沸上用戻り配管32と貯湯タンク11の上部とが連通していない場合に、ヒートポンプユニット13を流れる蓄熱用流体だけを沸上用戻り配管32を介して取出配管41へ流す。
なお、風呂1次ポンプ44の運転停止時には、風呂1次逆止弁46が沸上用戻り配管32の蓄熱用流体が取出配管41側へ流入することを妨げる流通抵抗となるので、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体が取出配管41へ殆ど流入しない。
このように、本実施形態では、風呂1次ポンプ44の作動および流路切替弁34の設定により、沸上用戻り配管32から取出配管41へ流す蓄熱用流体の流量が調整される。従って、本実施形態では、風呂1次ポンプ44および流路切替弁34が、沸上用戻り配管32から取出配管41へ流す蓄熱用流体の流量を調整する「流量調整手段」を構成する。
続いて、給湯配管27は、貯湯タンク11の上部に接続され、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体(高温水)を、最下流側に設けられた浴室のシャワー54、台所や洗面所の蛇口等の給湯使用側端末へ導くため配管である。
給湯配管27には、給湯使用側端末に至る経路の途中に、逃がし弁52が配設された排出配管53が接続されている。この逃がし弁52は、貯湯タンク11内の圧力が所定圧以上に上昇した際に、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体(高温水)を外部に排出するものである。
また、給湯配管27における排出配管53との接続部よりも下流側には、中温水配管29が接続されている。中温水配管29は、貯湯タンク11内の中段部を構成する中温水部から、貯湯タンク11における中間温度となる蓄熱用流体(中温水)を導出するための配管である。
給湯配管27と中温水配管29との合流部には、中温水混合弁30が設けられている。中温水混合弁30は、給湯配管27から取り出した高温水と中温水配管29から取り出した中温水との混合比を調節可能に構成され、高温水と中温水との混合比の調節により、給湯配管27を流れる蓄熱用流体の温度を調整する温度調整弁である。なお、中温水配管29には、中温水混合弁30を介して、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体(高温水)が貯湯タンク11の中温水部へ逆流することを防止するための中温水逆止弁17が設けられている。
給湯配管27における中温水混合弁30よりも下流側には、給湯配管27を流れる蓄熱用流体を、後述する風呂戻り配管81を介して、浴槽51へ導く風呂用配管28が接続されている。風呂用配管28には、給水用配管15が接続されると共に当該給水用配管15との合流部に風呂混合弁24が設けられている。
風呂混合弁24は、中温水混合弁30にて温度調整された給湯用水の流量と、市水配管22から導入される給湯用水の流量の流量比を調節可能に構成され、当該流量比の調整により、風呂用配管28の末端で出湯する給湯用水の温度を調整する温度調整弁である。なお、風呂混合弁24における流量比の調整は、風呂混合弁24の出口側に設けられた風呂サーミスタ73の検出値に応じて行われる。
風呂用配管28における風呂混合弁24の下流側には、浴槽51に注湯するための風呂注湯ユニット70が設けられている。風呂注湯ユニット70は、風呂用電磁弁71、逆流防止弁72、風呂用配管28に流れる温水の温度を検出する風呂サーミスタ73、風呂用配管28に流れる温水の流量を検出する風呂用流量カウンタ74、および2つの風呂用逆止弁75を有する。
風呂用電磁弁71は、浴槽51に湯張り・差し湯・足し湯をするときに開弁される。風呂用電磁弁71は、風呂用流量カウンタ74により検出された流量情報に基づいて所定の流量の混合湯が出湯されるように制御部100で制御される。なお、風呂用流量カウンタ74にて風呂用配管28内の水の流れを検出したときは、風呂用電磁弁71が開弁されて給湯用水を出湯している状態である。
2つの風呂用逆止弁75は、後述する浴水循環回路80内の給湯用水の風呂混合弁24側への逆流を防止するために設けられている。また、2つの風呂用逆止弁75間には、排出経路上流端を接続すると共に風呂混合弁24下流側に導圧管を接続した逆流防止弁72が設けられる。逆流防止弁72は、給湯配管27側に浸入しようとする給湯用水がある場合に、両接続点の圧力差に応じて逆流防止弁72を作動させて、給湯用水を風呂注湯ユニット70の外部に排出できるようになっている。
給湯配管27における風呂用配管28との接続部よりも下流側には、給水用配管15が接続されると共に当該給水用配管15との合流部に給湯混合弁25が設けられている。この給湯混合弁25は、中温水混合弁30にて温度調整された水の流量と、市水配管22から導入される水の流量の流量比を調節可能に構成され、当該流量比の調整により、給湯配管27の末端で出湯する水の温度を調整する温度調整弁である。なお、給湯混合弁25における流量比の調整は、給湯混合弁25の出口側に設けられた給湯サーミスタ61の検出値に応じて行われる。
給湯配管27における給湯混合弁25よりも下流側には、給湯配管27に流れる水の温度を検出する給湯サーミスタ61、給湯配管27に流れる水の流量を検出する給湯用流量カウンタ62、および給湯用逆止弁63が設けられる。
給湯用逆止弁63は、給湯配管27の末端のシャワー54等から給湯混合弁25側への蓄熱用流体の逆流を防止するために設けられている。なお、給湯用流量カウンタ62にて給湯配管27内の水の流れを検出したときは、給湯配管27の末端にあるシャワー54等で給湯用水を出湯している状態である。
続いて、浴水循環回路80について説明する。浴水循環回路80は、浴槽51に貯められた給湯用水を風呂熱交換器42へ循環させて、浴槽51内の給湯用水を追焚きするための回路である。なお、本実施形態では、風呂注湯ユニット70および浴水循環回路80が「浴槽回路」を構成する。
本実施形態の浴水循環回路80は、風呂戻り配管81、および風呂往き配管82を有している。風呂戻り配管81は、浴槽51内の給湯用水を追焚きする追焚運転時に、浴槽51内の給湯用水を風呂熱交換器42の入口側へ導くと共に、浴槽51へ注水する注水運転時に、風呂熱交換器42を経由せずに、低温の水を浴槽51へ導く配管である。
ここで、風呂戻り配管81には、風呂循環ポンプ84と風呂熱交換器42との間に、風呂用配管28の下流端が接続されている。これにより、浴槽51の湯張り運転時に、風呂用電磁弁71が開弁されると、風呂混合弁24により所望の温度に調整された給湯用水が、風呂戻り配管81から浴槽51へ供給されると共に、風呂戻り配管81から風呂熱交換器42および風呂往き配管82を介して浴槽51へ供給される。
風呂往き配管82は、湯張り運転として注水運転や追焚運転を実施する際に、風呂熱交換器42で熱交換された給湯用水を浴槽51内に導く配管である。なお、本実施形態では、風呂往き配管82が「浴槽導入配管」を構成する。
風呂戻り配管81には、浴槽51側から順に、水位センサ87、風呂循環センサ83、風呂追焚きサーミスタ85、および風呂循環ポンプ84が設けられている。また、風呂往き配管82には、風呂熱交サーミスタ86が設けられている。
風呂循環ポンプ84は、浴槽51内の給湯用水を追焚きする際に、浴槽51内の給湯用水を、風呂戻り配管81→風呂熱交換器42→風呂往き配管82→浴槽51の順に流すポンプである。なお、本実施形態では、風呂循環ポンプ84が浴槽51の給湯用水を風呂熱交換器42へ供給すると共に、風呂熱交換器42を通過した給湯用水を戻す「浴槽循環ポンプ」を構成している。また、本実施形態では、風呂用電磁弁71および風呂循環ポンプ84が、風呂往き配管82を介して風呂熱交換器42を通過した給湯用水を浴槽51へ供給するための「浴槽供給手段」を構成する。
水位センサ87は、浴槽51内の水位を検出する水位検出手段である。浴槽51内の水位上昇に伴って、風呂戻り配管81内の水圧(静圧)が上昇する。このため、本実施形態では、風呂戻り配管81内の水圧を検出する圧力センサを水位センサ87として採用している。
風呂循環センサ83は、風呂戻り配管81にて給湯用水が流れているか否かを検出するもので、本実施形態では、流量センサ(フロースイッチ)を採用している。本実施形態の風呂循環センサ83は、風呂戻り配管81に水が流れている際にオン信号を出力し、風呂戻り配管81に水が流れていない際にオフ信号を出力する。
風呂追焚きサーミスタ85は、風呂戻り配管81を流れる水の温度を検出する温度センサである。前述の如く、風呂戻り配管81には、湯張り運転における追焚運転や注水運転を行う際に、風呂熱交換器42を通過していない水が流れる。このため、風呂追焚きサーミスタ85は、追焚き運転時に、風呂熱交換器42を通過する前の浴槽51内の水温を検出し、注水時に、風呂熱交換器42を通過する前の水温を検出することになる。なお、本実施形態では、風呂追焚きサーミスタ85が、風呂熱交換器42を通過前の給湯用水の温度を検出する「第1温度検出手段」を構成している。
ここで、本実施形態の風呂追焚きサーミスタ85は、風呂循環ポンプ84の運転により浴槽51から風呂熱交換器42に供給される給湯用水の温度(浴槽51内の水温)を検出可能となっており、後述する制御部100に接続されている。後述する制御部100では、風呂追焚きサーミスタ85で検出した温度を利用して、浴槽51内の給湯用水の温度を検出する。
続いて、風呂熱交サーミスタ86は、風呂熱交換器42の出口温度を検出する温度センサである。風呂戻り配管81には、追焚運転時や注水運転時に、風呂熱交換器42を通過した後の水が流れる。このため、風呂熱交サーミスタ86は、追焚運転時および注水運転時のいずれの場合も、風呂熱交換器42を通過した後の給湯用水の温度を検出することになる。なお、本実施形態では、風呂熱交サーミスタ86が「第2温度検出手段」を構成している。
ここで、本実施形態の風呂熱交サーミスタ86は、風呂熱交換器42における熱交換能力を調整するために利用される温度情報を検出するものであり、後述する制御部100に接続されている。後述する制御部100では、風呂熱交サーミスタ86で検出した温度情報を利用して、風呂1次ポンプ44の回転数を制御することで、風呂熱交換器42における熱交換能力を調整する。
本実施形態の浴槽51には、浴槽51に対して風呂戻り配管81、および風呂往き配管82を接続する浴槽アダプタ51aが設けられている。浴槽アダプタ51aは、浴槽51における給湯用水の出入口であり、浴槽アダプタ51aを介して、追焚運転時に、浴槽51内の給湯用水が風呂熱交換器42側へ取り出され、注水運転時に浴槽51内へ給湯用水が供給される。
また、本実施形態の浴槽51には、浴槽51内の給湯用水を排出する排出穴51cを閉塞する浴槽栓51bが設けられている。排出穴51cは、図示しない排水路に連通しており、浴槽栓51bが排出穴51cから抜かれた際に、浴槽51内の給湯用水が排出される。
続いて、本実施形態の給湯装置の電子制御部である制御部100について説明する。制御部100は、マイクロコンピュータを主体として構成され、記憶手段として内蔵する各種メモリ(ROM、RAM、EEPROM等)に、予め設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムが記憶されている。
制御部100の入力側には、各サーミスタ111〜117、13a、61、73、85、86、各流量カウンタ62、74、風呂循環センサ83、水位センサ87等の給湯用のセンサ群が接続されている。また、制御部100には、後述するメインリモコン121、および浴室リモコン122等が双方向に通信可能に接続されている。
制御部100の出力側には、ヒートポンプユニット13、各混合弁24、25、30、風呂用電磁弁71、流路切替弁34、各循環ポンプ33、44、84等の各種制御機器が接続されている。制御部100では、給湯用のセンサ群の検出情報や各リモコン121、122からの操作信号等に基づいて、各種制御機器を制御する。
続いて、メインリモコン121、および浴室リモコン122について説明する。各リモコン121、122は、ユーザが、制御部100に対して、沸上運転、追焚運転、湯張り運転等の各種運転の実行を要求するための操作部120である。
メインリモコン121は、浴室以外の場所(台所等)に設置されて給湯装置10全体を操作するための操作部120である。一方、浴室リモコン122は、浴室内に設置されて主に風呂機能を操作するための操作部120である。
各リモコン121、122には、図2に示すように、制御部100に対して各種運転の実行を要求するための操作スイッチ120a、運転状態、各種温度、操作ガイド、エラー等の各種情報を表示する表示部120b、各種情報を音声出力するスピーカ120cが設けられている。本実施形態では、表示部120bおよびスピーカ120cが、作業者に対して各種情報を報知する「報知手段」を構成する。なお、図2に示すリモコン121、122は一例であり、操作スイッチ120a、表示部120b、スピーカ120cの配置形態が図2に示すものに限定されない。また、各リモコン121、122において、操作スイッチ120a、表示部120b、スピーカ120cの配置形態やその数等が異なっていてもよい。
次に、給湯装置10の作動について説明する。本実施形態では、給湯装置10の設置完了後(試運転の実施後)における代表的な作動について説明した後、給湯装置10の設置時等に実施される試運転の作動について説明する。なお、給湯装置10の設置完了後における作動では、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管の接続状態が正常接続状態となっているものとする。
まず、給湯装置10の設置完了後における貯湯タンク11の蓄熱用流体の沸上運転について説明する。この沸上運転は、制御部100が特定の沸上時間帯(例えば時間帯別電灯制度の夜間時間帯)に実行する。
沸上運転時には、制御部100は、沸上用戻り配管32を流れる蓄熱用流体の流路が貯湯タンク11の上部へ向かう流路となるように流路切替弁34を制御する。その後、制御部100は、予め設定された湯量または貯湯タンク11の全量分の湯が貯湯タンク11の上部側の貯湯されるように、ヒートポンプユニット13、および沸上用循環ポンプ33を運転する。
これにより、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体は、沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→貯湯タンク11の上部の順に流れる。そして、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体は、ヒートポンプユニット13を通過する際に、所定の沸上温度となるように沸き上げられ、貯湯タンク11の上部側へ貯湯される。
続いて、給湯装置10の設置完了後における貯湯タンク11の蓄熱用流体を利用した給湯運転について説明する。給湯運転は、制御部100が、例えば、各リモコン121、122から給湯運転の実行を要求する要求信号を受けた際に実行する。
給湯運転時には、制御部100は、給湯配管27の末端に配設される給湯栓等を開弁させる。この際の給水圧力により貯湯タンク11内の蓄熱用流体が給湯配管27側へ押し出され、各配管を介して貯湯タンク11からの蓄熱用流体および市水流入配管21からの水が各混合弁25、30で混合されて所望の温度(給湯設定温度)に調整される。その後、各混合弁25、30で温度調整された水が、給湯配管27の末端のシャワー54等へ供給される。
続いて、給湯装置10の設置完了後における浴槽51の湯張り運転について説明する。湯張り運転は、制御部100が、例えば、各リモコン121、122から湯張り運転の実行を要求する要求信号を受けた際に実行する。
湯張り運転時には、制御部100は、風呂用電磁弁71を開弁させる。この際の給水圧力により貯湯タンク11内の蓄熱用流体が給湯配管27側へ押し出され、貯湯タンク11からの蓄熱用流体および市水流入配管21からの水が風呂混合弁24で混合されて所望の温度(湯張り設定温度)に調整される。そして、風呂混合弁24で温度調整された水が、浴水循環回路80を介して浴槽51へ供給される。
その後、浴槽51に対して目標湯張り量の水を供給して湯張りが完了すると、制御部100は、風呂用電磁弁71を閉弁させる。そして、制御部100は、所定時間毎に、風呂循環ポンプ84を作動させて浴槽51内の給湯用水を浴水循環回路80内に循環させ、風呂追焚きサーミスタ85で浴槽51内の給湯用水の温度を検知し、保温の必要つまり追焚き動作の必要があるか監視する。
制御部100は、浴槽51内の給湯用水の温度が設定温度よりも低下した際には自動的に追焚き運転を実行する。なお、制御部100は、各リモコン121、122からの追焚運転の実行を要求する要求信号を受けた際にも追焚き運転を実行する。
追焚き運転時には、制御部100は、まず、風呂循環ポンプ84を運転させ、浴槽51内の給湯用水を浴水循環回路80内に取り込んで風呂熱交換器42に循環させる。その状態で、制御部100は、沸上用戻り配管32と貯湯タンク11の上部とが連通するように流路切替弁34を制御し、風呂1次ポンプ44を運転させる。
これにより、ヒートポンプユニット13から直接供給される蓄熱用流体、および貯湯タンク11内の蓄熱用流体が、取出配管41を通じて風呂熱交換器42に流れる。この際、風呂熱交換器42では、蓄熱用流体と浴槽51からの給湯用水とが熱交換して、給湯用水の温度が上昇する。なお、風呂熱交換器42を通過して温度低下した蓄熱用流体は、取入配管43を通じて貯湯タンク11に戻る。
さらに、制御部100は、追焚き運転時に、風呂熱交換器42を通過した給湯用水の温度を風呂熱交サーミスタ86で検出する。そして、風呂熱交サーミスタ86で検出した検出温度に基づいて、風呂熱交換器42を通過した給湯用水の温度が設定温度に応じて決定される目標温度となるように、風呂1次ポンプ44の回転数を制御する。これにより、浴槽51内の給湯用水の温度が設定温度まで上昇する。
次に、給湯装置10の設置時や構成機器の交換時等に実施される試運転の作動について説明する。本実施形態の給湯装置10の試運転では、ヒートポンプユニット13にて貯湯タンク11の蓄熱用流体を沸き上げる沸上運転、および浴槽51へ風呂熱交換器42を通過した後の給湯用水を供給する湯張り運転を並行して行う。試運転は、実際に貯湯タンク11の蓄熱用流体を加熱、および浴槽51への湯張りを行うことから、運転を開始してから完了するまでに長時間(例えば、30分程度)を要する。
そこで、本実施形態では、試験運転に要する時間を短縮するために、試運転における沸上運転および湯張り運転の実施時に、各運転と同様に長時間を要する処理である逆接判定処理を実施する。
ここで、逆接判定処理は、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態であるか否かを判定する処理である。逆接続状態とは、沸上用往き配管31に出口配管37が接続され、且つ、沸上用戻り配管32に入口配管36が接続される状態である。これに対して、正常接続状態は、図1に示すように、沸上用往き配管31に入口配管36が接続され、且つ、沸上用戻り配管32に出口配管37が接続される状態である。
試運転における沸上運転、湯張り運転、および逆接判定処理それぞれは、制御部100による制御処理により実行される。本実施形態では、制御部100における試運転における沸上運転および湯張り運転を実行する構成(ハードウェアやソフトウェア)が運転制御手段100aを構成し、制御部100における逆接判定処理を実行する構成(ハードウェアやソフトウェア)が逆接判定手段100bを構成する。
まず、本実施形態の制御部100が実行する試運転の制御処理について図3に示すフローチャート、および図4、図5に示す給湯装置10の構成図を用いて説明する。なお、図3に示す制御ルーチンは、給湯装置10の配管や電気系統の接続、貯湯タンク11内への給水が完了した後、給湯装置10に対して電源が投入された状態(ブレーカのオン)で制御部100により実行される。
図3に示すように、メインリモコン121、および浴室リモコン122の一方から試運転の実行を要求する要求信号を受けたか否かを判定する(S10)。なお、試運転の実行を要求する要求信号は、作業者(施工業者やサービスマン)によるメインリモコン121または浴室リモコン122の操作により制御部100へ発信される。
ステップS10の判定処理にて、試運転の実行を要求する要求信号を受けていると判定された場合には、試運転開始処理を実行する(S11)。この試運転開始処理では、試運転開始時の各サーミスタ111〜117、13a、61、73、85、86の温度情報等をメモリに記憶すると共に、試運転における目標沸上温度、目標湯張り量等の目標値が決定される。なお、目標沸上温度、目標湯張り量等の目標値は、予めメモリに記憶された初期値、あるいは、作業者がメインリモコン121または浴室リモコン122の操作により設定した設定値に決定される。
ここで、沸上回路12には、貯湯タンク11への給水時に、蓄熱用流体として所定量の水が回り込むものの、沸上回路12を構成する配管が長い場合等に、沸上回路12内にエアが滞留することがある。沸上回路12内におけるエアの滞留は、沸上運転時における沸上用循環ポンプ33の負荷が増大したり、ヒートポンプユニット13の加熱能力が不安定となったりする要因となることから好ましくない。
このため、試運転開始処理が完了した後、沸上回路12内に滞留するエアを抜くエア抜き処理を実行する(S12)。エア抜き処理では、例えば、流路切替弁34にて沸上用戻り配管32を流れる蓄熱用流体の流路を、貯湯タンク11の上部へ向かう流路やバイパス配管35へ向かう流路に設定した状態で、沸上用循環ポンプ33や風呂1次ポンプ44を低回転で運転させる。これにより、沸上回路12内に滞留するエアは、沸上回路12内に強制的に送り込まれる水によって貯湯タンク11内に押し出され、逃がし弁52を介して外部へ排出される。
エア抜き処理が完了すると、沸上運転、および湯張り運転を開始する(S13)。具体的には、ヒートポンプユニット13、および沸上用循環ポンプ33を運転すると共に、沸上用戻り配管32を流れる蓄熱用流体の流路が貯湯タンク11の上部へ向かう流路となるように流路切替弁34を制御し、さらに、風呂用電磁弁71を開弁させる。
この際、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、図4の白抜き矢印で示すように、貯湯タンク11の下部→沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→貯湯タンク11の上部の順に流れる。この場合、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体は、ヒートポンプユニット13を通過する際に、所定の沸上温度となるように沸き上げられた後、貯湯タンク11の上部側へ貯湯される。
また、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合、貯湯タンク11の上部、および市水流入配管21からの給湯用水は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体、および市水流入配管21からの給湯用水は、風呂混合弁24で混合された後、図4の黒太矢印で示すように、浴水循環回路80の風呂戻り配管81および風呂往き配管82の双方を介して浴槽51へ流れる。なお、風呂戻り配管81および風呂往き配管82の双方へ給湯用水を流すことで、浴水循環回路80に滞留するエアを、浴槽51側から外部へ排出することができる。
一方、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、図5の白抜き矢印で示すように、貯湯タンク11の上部→沸上用戻り配管32→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用往き配管31→貯湯タンク11の下部の順に流れる。
この場合、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体が、ヒートポンプユニット13を通過する際に、所定の沸上温度となるように沸き上げられた後、貯湯タンク11の下部側へ貯湯される。つまり、貯湯タンク11の下部に戻された蓄熱用流体によって、貯湯タンク11内全体の水が温められるだけで、貯湯タンク11の上部から所望の温度の湯を取り出すことができない。
また、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合、貯湯タンク11の上部、および市水流入配管21からの給湯用水は、図5の黒太矢印で示すように、正常接続状態である場合と同様の流れとなる。
続いて、沸上運転、および湯張り運転を開始した後、浴槽51へ予め設定された基準量の水が供給されたか否かを判定する(S14)。この判定処理では、例えば、風呂用流量カウンタ74の検出流量の湯張り運転を開始してからの合計流量に基づいて判定する。
ステップS14の判定処理にて、浴槽51へ基準量の水が供給されたと判定された場合には、浴槽51への水の供給量(基準量)に対する浴槽51の水位変化を確認する基準水位確認処理を実行する(S15)。
基準水位確認処理は、浴槽51への水の供給量(基準量)と浴槽51の水位変化との関係を確認すると共に、浴槽51の水平方向の断面積を把握するために行われる。基準水位確認処理では、まず、風呂用電磁弁71を閉弁し、浴槽51への水の供給を停止する。浴水循環回路80における水の流れが停止した後、水位センサ87により浴槽51の水位を検出する。そして、水位センサ87の検出値と浴槽51への水の供給量から浴槽51の水平方向の断面積を算出した後、風呂用電磁弁71を開弁して、浴槽51への水の供給を再開する。なお、水位センサ87の検出値、浴槽51への水の供給量、浴槽51の水平方向の断面積は、試運転終了後も参照できるように、制御部100のメモリ(例えば、EEPROM)に記憶される。
基準水位確認処理の完了後、試運転開始処理(S11)にて決定された目標湯張り量(>基準量)の水が浴槽51へ供給されたか否かを判定する(S16)。この判定処理では、例えば、風呂用流量カウンタ74の検出流量の湯張り運転を開始してからの合計流量に基づいて判定する。
ステップS16の判定処理にて、浴槽51へ目標湯張り量の水が供給されたと判定された場合には、浴槽51への水の供給量(目標湯張り量)に対する浴槽51の水位変化を確認する設定水位確認処理を実行する(S17)。
設定水位確認処理は、基準水位確認処理と同様に、浴槽51への水の供給量(目標湯張り量)と浴槽51の水位変化との関係を確認すると共に、浴槽51の水平方向の断面積を把握するために行われる。
設定水位確認処理では、風呂用電磁弁71を閉弁し、浴槽51への水の供給を停止する。そして、浴水循環回路80における水の流れが停止した後、水位センサ87により浴槽51の水位を検出する。そして、水位センサ87の検出値と浴槽51への水の供給量から浴槽51の水平方向の断面積を算出する。なお、水位センサ87の検出値、浴槽51への水の供給量、浴槽51の水平方向の断面積は、試運転終了後も参照できるように、制御部100のメモリ(例えば、EEPROM)に記憶される。
ここで、本実施形態の設定水位確認処理は、浴槽51の水位が少なくとも浴槽アダプタ51aから給湯用水が取り出すことが可能な水位を超えた状態、すなわち、浴槽アダプタ51aの最上部(上端)を超える水位となる状態で実施される。なお、本実施形態では、設定水位確認処理が「水位確認処理」に該当する。
ステップS17の設定水位確認処理の完了後、浴槽栓51bにより排出穴51cが閉塞されていない栓抜け状態であるか否かを確認する栓抜け確認処理(S18)を実行する。
栓抜け確認処理は、試運転中に作業者が誤って浴槽栓51bを抜いていないか等を確認する処理である。栓抜け状態となっていない場合、風呂循環ポンプ84を運転することで風呂戻り配管81に給湯用水が流れるが、栓抜け状態となっている場合、浴槽51内から給湯用水が排水されることで風呂循環ポンプ84を運転しても、風呂戻り配管81に給湯用水が流れないことがある。
そこで、本実施形態の栓抜け確認処理では、風呂用電磁弁71を閉弁した状態で、風呂循環ポンプ84を運転し、風呂循環センサ83の検出信号に基づき、風呂戻り配管81に給湯用水が流れているか否かを確認する。
具体的には、風呂用電磁弁71を閉弁した状態で、風呂循環ポンプ84を運転した際に、風呂循環センサ83の検出信号が、所定時間(例えば、20秒)継続してオン信号が出力された場合には栓抜け状態でないと判定する。
一方、風呂用電磁弁71を閉弁した状態で、風呂循環ポンプ84を運転した際に、風呂循環センサ83の検出信号が、所定時間(例えば、5秒)オフ信号が継続された場合に栓抜け状態であると判定する。そして、栓抜け状態である旨を操作部120の表示部120bやスピーカ120cにより作業者に報知する。なお、抜け栓確認処理は、風呂循環センサ83に限らず、浴槽51内の水位を検出する水位センサ87の検出値に基づいて確認してもよい。また、栓抜け確認処理は、設定水位確認処理の完了後だけでなく、設定水位確認処理の前の任意のタイミングで実施してもよい。
続いて、風呂用電磁弁71を閉弁した状態で、貯湯タンク11内の蓄熱用流体の沸上が完了したか否かを判定する(S19)。この判定処理では、貯湯タンク11内の蓄熱用流体の温度(例えば、第1、第2水温サーミスタ111、112の検出値)が、試運転開始処理(S11)にて決定された目標沸上温度以上であるか否かを判定し、目標沸上温度以上である場合に、沸上運転が完了したと判定する。
ステップS19の判定処理にて、蓄熱用流体の沸上運転が完了したと判定された場合には、試運転終了処理を実行し(S20)、試運転を終了する。この試運転終了処理では、ヒートポンプユニット13、および沸上用循環ポンプ33の運転を停止すると共に、試運転が終了した旨を操作部120の表示部120bやスピーカ120cにより作業者に報知する。
次に、本実施形態の制御部100が実行する逆接判定処理について図6に示すフローチャート、および図7、図9に示す構成図等を用いて説明する。なお、図6に示す制御ルーチンは、前述の沸上運転および湯張り運転と並行して制御部100により実行される。
図6に示すように、まず、逆接判定の開始条件が成立したか否かを判定する(S30)。このステップS30では、少なくとも以下に示す条件1、2の条件を満たす場合に、逆接判定の開始条件が成立したと判定する。
・条件1:「試運転にて設定水位確認処理が完了していること」
・条件2:「試運転にて沸上運転の実行中であること」
なお、条件1に関しては、浴槽51内の水位が浴槽アダプタ51aから給湯用水を取り出すことが可能な水位を確実に超えていることを確認するために設けられている。
ステップS30の判定処理にて、逆接判定の開始条件が成立したと判定された場合には、ステップS31、S32の処理により、蓄熱用流体と給湯用水とを熱交換させる熱交換処理を開始する。
具体的には、ステップS31では、風呂循環ポンプ84の運転を開始する。これにより、浴槽51内の給湯用水は、図7、図9の黒太矢印で示すように、風呂戻り配管81→風呂熱交換器42→風呂往き配管82→浴槽51の順に流れる。
続いて、ステップS32の処理では、蓄熱用流体の流路が流路切替弁34により貯湯タンク11の上部へ向かう流路に設定し、熱負荷回路14の風呂1次ポンプ44の運転を開始する。
これにより、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体が、図7の白抜き矢印で示すように、沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。この際、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体は、沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
このように、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合には、風呂熱交換器42にヒートポンプユニット13にて沸き上げられた蓄熱用流体(高温水)が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、高温の蓄熱用流体と浴槽51から供給された給湯用水との熱交換により、給湯用水が昇温する。
このため、図8に示すように、風呂往き配管82に設けられた風呂熱交サーミスタ86の検出温度は、風呂戻り配管81に設けられた風呂追焚きサーミスタ85の検出温度よりも高くなり、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが大きくなる。
これに対して、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体が、図9の白抜き矢印で示すように、沸上用戻り配管32→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→貯湯タンク11の下部に流れる。また、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体は、沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
このように、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合には、ヒートポンプユニット13で沸き上げられた蓄熱用流体が貯湯タンク11の下部に流れ、貯湯タンク11上部の蓄熱用流体の温度は殆ど変化しない。そして、風呂熱交換器42には、ヒートポンプユニット13にて沸き上げられていない低温の蓄熱用流体が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、低温の蓄熱用流体と浴槽51から供給された給湯用水との熱交換となり、給湯用水が殆ど昇温しない。
このため、図10に示すように、風呂往き配管82に設けられた風呂熱交サーミスタ86の検出温度は、風呂戻り配管81に設けられた風呂追焚きサーミスタ85の検出温度と同程度となり、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが殆どない。
続いて、風呂1次ポンプ44の始動開始から所定時間(例えば、30秒程度)が経過したか否かを判定する(S33)。この結果、風呂1次ポンプ44の始動開始から所定時間が経過したと判定された場合には、ステップS35〜ステップS44に示す逆接判定を開始する。なお、制御部100は、ステップS33の判定処理で風呂追焚きサーミスタ85の検出温度が、基準温度以上であると判定された際に、内蔵するタイマを起動し、逆接判定開始からの経過時間を計測する。
ステップS33の判定処理の結果、風呂1次ポンプ44の始動開始から所定時間が経過したと判定された場合には、風呂追焚きサーミスタ85の検出温度が、予め設定された基準温度(例えば、20℃)以上であるか否かを判定する(S34)。
ステップS34の判定処理にて、風呂追焚きサーミスタ85の検出温度が、基準温度よりも低いと判定された場合(S34:NO)、各サーミスタ85、86の検出温度を取得し、各サーミスタ85、86の検出値の温度差ΔTを算出する(S35)。なお、ステップS35では、風呂熱交サーミスタ86の検出温度から風呂追焚きサーミスタ85の検出温度を減算した値を各サーミスタ85、86の検出値の温度差ΔTとして算出する。
続いて、ステップS35にて算出した温度差ΔTが、予め設定された第1判定閾値ΔTh1よりも低い状態が所定秒間(例えば、5秒間)継続された否かを判定する(S36)。なお、第1判定閾値ΔTh1は、例えば、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態となっている際に想定される各サーミスタ85、86の検出温度の最大温度差(例えば5℃程度)に設定すればよい。
前述したように、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合には、風呂熱交サーミスタ86の検出温度が風呂追焚きサーミスタ85の検出温度よりも高くなる。一方、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合には、風呂熱交サーミスタ86の検出温度と風呂追焚きサーミスタ85の検出温度との温度差が殆どない。
このため、ステップS36の判定処理にて、温度差ΔTが第1判定閾値ΔTh1よりも低い状態が所定秒間継続されたと判定された場合(S36:YES)、接続異常フラグをオンに設定する(S37)。この接続異常フラグは、「オン」が逆接続状態を示し、「オフ」が正常接続状態を示している。なお、接続異常フラグのオンオフ状態は、試運転終了後も参照できるように、制御部100のメモリ(例えば、EEPROM)に記憶される。
一方、ステップS36の判定処理にて、温度差ΔTが第1判定閾値ΔTh1よりも低い状態が所定秒間継続されていないと判定された場合(S36:NO)、ステップS38に移行する。
ステップS38では、制御部100に内蔵されたタイマの計測値が予め定めた基準時間(例えば、20秒)を経過したか否か、および、温度差ΔTが第1判定閾値ΔTh1よりも大きい値に設定された第2判定閾値ΔTh2よりも大きい状態であるか否かを判定する。
ステップS38の処理は、逆接判定の時間短縮を図るための処理であり、タイマの計測値が基準時間を経過したと判定された場合には、前述の接続異常フラグをオフ(正常接続状態)に設定する(S39)。また、ステップS38の処理にて、温度差ΔTが第2判定閾値ΔTh2よりも大きい状態であると判定された場合には、正常接続状態である可能性が高いと判断し、接続異常フラグをオフ(正常接続状態)に設定する(S39)。なお、ステップS38にて何れの条件も満たさない場合には、ステップS35の処理に戻る。
また、前述のステップS34の判定処理にて、風呂追焚きサーミスタ85の検出温度が、基準温度以上と判定された場合(S34:YES)、ステップS35の処理と同様に、各サーミスタ85、86の検出値の温度差ΔTを算出する(S40)。
続いて、ステップS40にて算出した温度差ΔTが、予め設定された第3判定閾値ΔTh3よりも低い状態が所定秒間(例えば、5秒間)継続された否かを判定する(S41)。
ここで、第3判定閾値ΔTh3は、風呂熱交換器42に流入する給湯用水の温度上昇に応じて判定閾値が小さくなるように、第1基準閾値ΔTh1よりも小さい値(例えば、3℃程度)に設定されている。
この理由については、次の通りである。風呂熱交換器42を通過する前の給湯用水の温度が高い場合、風呂熱交換器42に流入する蓄熱用流体との温度差が小さくなることで、風呂熱交換器42における熱交換量が減少してしまう。このことが、正常接続状態時における各サーミスタ85、86の検出値の温度差を縮小させる方向に作用すると、逆接判定にて正常接続状態を逆接続状態であると誤った判定してしまうことが懸念される。このため、本実施形態では、逆接判定における誤った判定を回避するために、風呂熱交換器42に流入する給湯用水の温度上昇に応じて判定閾値を小さくしている。
ステップS41の判定処理にて、温度差ΔTが第3判定閾値ΔTh3よりも低い状態が所定秒間継続されたと判定された場合には、接続異常フラグをオン(逆接続状態)に設定する(S42)。
一方、ステップS41の判定処理にて、温度差ΔTが第3判定閾値ΔTh3よりも低い状態が所定秒間継続されていないと判定された場合には、ステップS43に移行する。ステップS43では、制御部100に内蔵されたタイマの計測値が予め定めた基準時間(例えば、20秒)を経過したか否か、および、温度差ΔTが第3判定閾値ΔTh3よりも大きい値に設定された第4判定閾値ΔTh4よりも大きい状態であるか否かを判定する。
ステップS43の処理は、ステップS38の処理と同様に、逆接判定の時間短縮を図るための処理であり、タイマの計測値が基準時間を経過したと判定された場合には、前述の接続異常フラグをオフ(正常接続状態)に設定する(S44)。また、ステップS43の処理にて、温度差ΔTが第4判定閾値ΔTh4よりも大きい状態であると判定された場合には、正常接続状態である可能性が高いと判断し、接続異常フラグをオフ(正常接続状態)に設定する(S44)。なお、ステップS43にて何れの条件も満たさない場合には、ステップS40の処理に戻る。
続いて、ステップS37、S39、S42、S44の処理にて、接続異常フラグのオンオフ状態を設定した後、逆接判定の判定結果を操作部120に対して出力する出力処理(S45)を行う。その後、風呂1次ポンプ44および風呂循環ポンプ84の運転を停止して(S46)、逆接判定処理を終了する。
ここで、ステップS45の出力処理では、ステップS37、S42の処理にて接続異常フラグがオン(逆接続状態)に設定された場合、その旨を示すエラー信号を操作部120に対して出力する。これにより、操作部120では、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である旨を作業者に対して報知する。操作部120では、例えば、図11に示すように、表示部120bに「配管確認:異常」と表示することで、作業者に逆接続状態である旨を報知する。なお、作業者に対する逆接続状態である旨の報知は、表示部120bに限らず、スピーカ120cの音声出力により行ってもよい。
また、ステップS45の出力処理では、ステップS39、S44の処理にて接続異常フラグがオフ(正常接続状態)に設定された場合、その旨を示す確認信号を操作部120に対して出力する。これにより、操作部120では、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である旨を作業者に対して報知する。操作部120では、例えば、図12に示すように、表示部120bに「配管確認:正常」と表示することで、作業者に正常接続状態である旨を報知する。なお、作業者に対する正常接続状態である旨の報知は、表示部120bに限らず、スピーカ120cの音声出力により行ってもよい。
ここで、例えば、給湯装置10への電源供給が遮断されると、制御部100による試運転や逆接判定処理が中断される事態が発生する可能性がある。このような事態を想定して、給湯装置10の再起動時には、制御部100が、操作部120に対して試運転や逆接判定処理が未実施あるいは未完了である旨を示す警告信号を出力し、その旨を操作部120から作業者へ報知することが望ましい。
以上説明した本実施形態の給湯装置10では、制御部100において、試運転における沸上運転および湯張り運転と逆接判定とを並行して実行する。具体的には、本実施形態では、制御部100が、沸上運転の実行中に、風呂熱交換器42にて蓄熱用流体と給湯用水とを熱交換させる熱交換処理を実行する。そして、当該熱交換処理の実行中に、風呂熱交換器42通過前後における給湯用水の温度に基づいて逆接判定を行う。
これにより、本実施形態の給湯装置10では、沸上運転および逆接判定を個別に実行する場合に比べて、給湯装置10の試験運転に要する時間を短縮可能させることができる。
加えて、本実施形態では、制御部100が実行する逆接判定処理において、風呂追焚きサーミスタ85の検出値に応じて逆接判定時の判定閾値を小さくしている。これによれば、風呂熱交換器42に流入する給湯用水の温度状態が逆接判定の判定結果へ影響することを抑制することができる。従って、本実施形態の給湯装置10によれば、ヒートポンプユニット13間における配管が逆接続状態であるか否かを適切に判定することができる。
また、本実施形態では、浴槽51内の給湯用水の温度を検出する風呂追焚きサーミスタ85、および風呂熱交換器42における熱交換量を調整するための風呂熱交サーミスタ86を利用して、風呂熱交換器42通過前後の給湯用水の温度を検出している。このように、各サーミスタ85、86を異なる目的の温度検出手段と兼用すれば、給湯装置10の部品点数を増加させることなく、逆接判定を行うことができる。
さらに、本実施形態では、操作部120を構成する各リモコン121、122にて逆接判定処理の判定結果を報知する報知手段として、表示部120b、スピーカ120cが設けられている。これによれば、作業者(施工業者やサービスマン)に対して、逆接判定処理の判定結果を適切に報知することができる。
ここで、本実施形態では、設定水位確認処理の完了後であって沸上運転の実行中に、逆接判定処理を実施している。この理由は、設定水位確認処理の実行中に逆接判定処理を行うと、逆接判定処理時の風呂循環ポンプ84の運転により、浴槽51内の水位が変動してしまうことを避けるためである。換言すれば、本実施形態の如く、設定水位確認処理の実行中に逆接判定処理を行わないことで、設定水位確認処理にて浴槽51内の水位を正確に確認することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態の栓抜け確認処理にて、風呂循環ポンプ84を運転させる点を考慮し、栓抜け確認処理中に逆接判定処理を実施する点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態の制御部100が実行する逆接判定処理について図13に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図13に示す制御ルーチンは、図3に示す栓抜け確認処理(S18)と並行して制御部100により実行される。
図13に示すように、まず、逆接判定の開始条件が成立したか否かを判定する(S30A)。ステップS30Aでは、少なくとも以下に示す条件1〜3全ての条件を満たす場合に、逆接判定の開始条件が成立したと判定する。
・条件1:「試運転にて設定水位確認処理が完了していること」
・条件2:「試運転にて沸上運転の実行中であること」
・条件3:「試運転にて栓抜け確認処理の実行中であること」
ステップS30Aの判定処理にて、逆接判定の開始条件が成立したと判定された場合には、ステップS31に移行して、風呂循環ポンプ84の運転を開始する。なお、栓抜け確認処理により既に風呂循環ポンプ84の運転が開始されている場合には、本ステップをスキップして、ステップS47に移行する。
ステップS47では、浴槽51内に残湯(給湯用水)があるか否かを判定する。この判定処理は、栓抜け確認処理と同様に、風呂循環センサ83の検出信号に基づき、浴槽51内に残湯があるか否かを判定すればよい。
例えば、風呂循環センサ83の検出信号が、所定時間(例えば、5秒)継続してオフ信号が出力された場合に残湯なしと判定し、所定時間(例えば、20秒)継続してオン信号が出力された場合に残湯ありと判定すればよい。なお、ステップS47で行う判定処理は、栓抜け確認処理(図3のステップS18)と実質的に同様であり、栓抜け確認処理の結果に基づいて、残湯があるか否かを判定してもよい。
ステップS47の判定処理の結果、浴槽51内に残湯なしと判定された場合(S47:NO)には、ステップS45Aに移行して、操作部120を介して残湯がない旨を作業者に対して報知する。
一方、ステップS47の判定処理の結果、浴槽51内に残湯ありと判定された場合(S47:YES)には、風呂1次ポンプ44の運転を開始する(S32)。ステップS32以降の処理は、第1実施形態の逆接判定処理で説明した内容であることから、その説明を省略する。
以上説明した本実施形態では、設定水位確認処理の完了後であって栓抜け確認処理の実行中に逆接判定処理を並行して実行しているので、給湯装置10の試運転を短縮させることができる。特に、風呂循環ポンプ84を運転して栓抜け確認処理を行うものにおいては、逆接判定処理のためだけに、風呂循環ポンプ84を運転させる必要がないことから好適である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、風呂用電磁弁71を開弁して浴槽51に対して風呂熱交換器42を通過した給湯用水を注水している期間に、逆接判定処理を実施する点が第1、第2実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態の制御部100が実行する逆接判定処理について図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図14に示す制御ルーチンは、風呂用電磁弁71を開弁している期間に制御部100により実行される。
図14に示すように、まず、逆接判定の開始条件が成立したか否かを判定する(S30C)。ステップS30Cでは、少なくとも以下に示す条件1〜3全ての条件を満たす場合に、逆接判定の開始条件が成立したと判定する。
・条件1:「試運転にて風呂用電磁弁71が開弁されていること(注水運転の実行中)」
・条件2:「試運転にて沸上運転の実行中であること」
なお、条件1が成立している場合には、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態、逆接続状態であるか否かにかかわらず、貯湯タンク11の上部、および市水流入配管21からの給湯用水は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体、および市水流入配管21からの給湯用水は、風呂混合弁24で混合された後、図15、図16の黒太矢印で示すように、浴水循環回路80の風呂戻り配管81および風呂往き配管82の双方を介して浴槽51へ流れる。
ステップS30Cの判定処理にて、逆接判定の開始条件が成立したと判定された場合には、ステップS32に移行して、蓄熱用流体の流路が流路切替弁34により貯湯タンク11の上部へ向かう流路に設定し、熱負荷回路14の風呂1次ポンプ44の運転を開始する。
これにより、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体が、図15の白抜き矢印で示すように、沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。この際、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体は、沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
このように、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合には、風呂熱交換器42にヒートポンプユニット13にて沸き上げられた蓄熱用流体(高温水)が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、高温の蓄熱用流体と給湯用水との熱交換により、給湯用水が昇温する。
この結果、風呂往き配管82に設けられた風呂熱交サーミスタ86の検出温度は、風呂戻り配管81に設けられた風呂追焚きサーミスタ85の検出温度よりも高くなり、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが大きくなる。
これに対して、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体が、図16の白抜き矢印で示すように、沸上用戻り配管32→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→貯湯タンク11の下部に流れる。また、貯湯タンク11の上部の蓄熱用流体は、沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
このように、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が逆接続状態である場合には、ヒートポンプユニット13で沸き上げられた蓄熱用流体が貯湯タンク11の下部に流れ、貯湯タンク11上部の蓄熱用流体の温度は殆ど変化しない。そして、風呂熱交換器42には、ヒートポンプユニット13にて沸き上げられていない低温の蓄熱用流体が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、低温の蓄熱用流体と給湯用水との熱交換となり、給湯用水が殆ど昇温しない。
この結果、風呂往き配管82に設けられた風呂熱交サーミスタ86の検出温度は、風呂戻り配管81に設けられた風呂追焚きサーミスタ85の検出温度と同程度となり、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが殆どない。
続いて、風呂1次ポンプ44の始動開始から所定時間が経過したか否かの判定処理(S33)で、所定時間が経過したと判定された場合、ステップS35〜ステップS44に示す逆接判定を開始する。なお、ステップS36、S39、S41、S43における判定閾値ΔTh1〜ΔTh4については、試運転を実施する環境に応じて適宜調整することが好ましい。
続いて、ステップS37、S39、S42、S44の処理にて、接続異常フラグのオンオフ状態を設定した後、逆接判定の判定結果を操作部120に対して出力する出力処理(S45)を行う。その後、風呂1次ポンプ44を停止し(S46A)、逆接判定処理を終了する。
以上説明した本実施形態の給湯装置10では、制御部100が、沸上運転の実行中において、浴槽51へ風呂熱交換器42を注水する注水運転時に、風呂熱交換器42にて蓄熱用流体と給湯用水とを熱交換させる熱交換処理を実行する。そして、当該熱交換処理の実行中に、風呂熱交換器42通過前後における給湯用水の温度に基づいて逆接判定を行う。これによれば、第1実施形態で説明した構成と同様の作用効果を得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態に対して沸上回路12と熱負荷回路14との間の配管構成を変更した例について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図17に示すように、本実施形態の熱負荷回路14の取出配管41は、沸上用戻り配管32における流路切替弁34の下流側に接続されている。そして、取出配管41と沸上用戻り配管32との接続部には、蓄熱切替弁26が設けられている。
この蓄熱切替弁26は、沸上用戻り配管32を流れる蓄熱用流体の流路を、貯湯タンク11の上部へ向かう流路と、取出配管41へ向かう流路へ切り替える三方弁である。なお、本実施形態の蓄熱切替弁26は、貯湯タンク11の上部へ向かう蓄熱用流体の流量と、取出配管41に流れる蓄熱用流体の流量との流量割合を調節可能に構成されている。
蓄熱切替弁26は、風呂1次ポンプ44の運転時に、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体が取出配管41へ向かう流路に設定され、風呂1次ポンプ44の運転停止時に、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体が貯湯タンク11の上部へ向かう流路に設定される。
流路切替弁34が貯湯タンク11の上部へ向かう流路に設定されると共に、蓄熱切替弁26が取出配管41へ向かう流路に設定されている際に、風呂1次ポンプ44を運転させると、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体は、次のように流れる。すなわち、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体は、取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11の順に流れる。
一方、流路切替弁34および蓄熱切替弁26の双方が貯湯タンク11の上部へ向かう流路に設定されている際には、沸上用戻り配管32の蓄熱用流体が、取出配管41に流れることなく貯湯タンク11の上部へ流れる。
このように、本実施形態では、風呂1次ポンプ44の作動、流路切替弁34および蓄熱切替弁26の設定により、沸上用戻り配管32から取出配管41へ流す蓄熱用流体の流量が調整される。従って、本実施形態では、風呂1次ポンプ44、流路切替弁34、および蓄熱切替弁26が、沸上用戻り配管32から取出配管41へ流す蓄熱用流体の流量を調整する「流量調整手段」を構成している。
その他の構成は、第1実施形態と同様であり、以下、本実施形態の制御部100による蓄熱切替弁26の制御について説明する。本実施形態の制御部100は、風呂1次ポンプ44を運転させない場合に、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体が貯湯タンク11の上部へ向かう流路となるように蓄熱切替弁26を制御する。これにより、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体は、図17の一点鎖線矢印で示すように、貯湯タンク11の上部へ流れる。
一方、本実施形態の制御部100は、風呂1次ポンプ44を運転させる場合に、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体が取出配管41へ向かう流路となるように蓄熱切替弁26を制御する。これにより、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体は、図17の二点鎖線矢印で示すように、取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
続いて、本実施形態の逆接判定処理を説明する。本実施形態の逆接判定処理は、第1実施形態の逆接判定処理のステップS32(熱交換処理の開始処理)が異なっており、ステップS32の変更点について説明する。
本実施形態の熱交換処理の開始処理(図示しないステップS32)は、流路切替弁34を通過した蓄熱用流体が取出配管41へ向かう流路となるように蓄熱切替弁26を制御し、熱負荷回路14の風呂1次ポンプ44の運転を開始する。
これにより、正常接続状態である場合、貯湯タンク11の下部の蓄熱用流体が、沸上用往き配管31→入口配管36→ヒートポンプユニット13→出口配管37→沸上用戻り配管32→取出配管41→風呂熱交換器42→取入配管43→貯湯タンク11へ流れる。
このように、本実施形態においても、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間の配管が正常接続状態である場合には、風呂熱交換器42にヒートポンプユニット13にて沸き上げられた蓄熱用流体(高温水)が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、高温の蓄熱用流体と給湯用水との熱交換により、給湯用水が昇温し、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが大きくなる。
これに対して、逆接続状態である場合、ヒートポンプユニット13で沸き上げられた蓄熱用流体が貯湯タンク11の下部に流れる。そして、風呂熱交換器42には、ヒートポンプユニット13にて沸き上げられていない低温の蓄熱用流体が流入する。これにより、風呂熱交換器42では、低温の蓄熱用流体と給湯用水との熱交換となり、給湯用水が殆ど昇温せず、各サーミスタ85、86の検出温度の温度差ΔTが殆どない。
このため、本実施形態の如く、第1実施形態に対して沸上回路12と熱負荷回路14との間の配管構成を変更した構成においても、第1実施形態の逆接判定処理で説明したステップS32以降の処理を実行することで、沸上回路12およびヒートポンプユニット13間における配管が逆接続状態であるか否かを判定することができる。
なお、本実施形態では、第1実施形態の如く、設定水位確認処理の完了後であって沸上運転の実行中に、逆接判定処理を実施する例について説明したが、これに限定されない。例えば、本実施形態の構成において、沸上運転の実行中において、浴槽51へ風呂熱交換器42を注水する注水運転時に、図18に示すように、蓄熱用流体および給湯用水を流し、その際の各サーミスタ85、86の検出値に基づいて逆接判定を行ってもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)上述の各実施形態では、ステップS36やステップS41にて、風呂追焚きサーミスタ85および風呂熱交サーミスタ86の検出値の差が判定閾値より小さい場合に、逆接続状態であると判定する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、各サーミスタ85、86の検出値、および風呂循環センサ83の検出値(風呂熱交換器42へ流入する給湯用水の流量)から、風呂熱交換器42の熱交換量を算出する(=温度差×流量)。そして、算出した風呂熱交換器42の熱交換量が所定の基準熱交換量に満たない場合に逆接続状態であると判定するようにしてもよい。
(2)上述の各実施形態の如く、逆接判定処理にて、風呂追焚きサーミスタ85の検出値に応じて逆接判定時の判定閾値を小さくすることが望ましいが、これに限定されず、判定閾値が固定値に設定されていてもよい。
(3)上述の各実施形態の如く、逆接判定を行うために風呂熱交換器42を通過する前の温度を検出する温度検出手段および浴槽51内の給湯用水の温度を検出する温度検出手段を、風呂追焚きサーミスタ85で兼用することが望ましいが、これに限定されない。例えば、風呂熱交換器42を通過する前の温度を検出する温度検出手段、および浴槽51内の給湯用水の温度を検出する温度検出手段を個別に設けるようにしてもよい。
(4)上述の各実施形態の如く、逆接判定を行うために風呂熱交換器42を通過した後の温度を検出する温度検出手段、および風呂1次ポンプ44を制御するための温度検出手段を風呂熱交サーミスタ86で兼用することが望ましいが、これに限定されない。例えば、風呂熱交換器42を通過した後の温度を検出する温度検出手段、および風呂1次ポンプ44を制御するための温度検出手段を個別に設けるようにしてもよい。
(5)上述の各実施形態では、逆接続判定処理の判定結果を、ユーザが制御する操作部120を利用して報知する例について説明したが、これに限らず、例えば、作業者専用の操作端末を介して、逆接続判定処理の判定結果を報知するようにしてもよい。
(6)上述の各実施形態では、蓄熱用流体を給湯側と同じ給湯用水を用いる例について説明したが、これに限定されず、給湯用水と異なる流体を蓄熱用流体として採用してもよい。この場合、貯湯タンク11の蓄熱用流体と給湯用水とを熱交換させる熱交換器を追加すればよい。
(7)上述の各実施形態では、水位センサ87を圧力センサで構成する例について説明したが、これに限定されず、例えば、フロート式の水位計を水位センサ87として採用してもよい。
(8)上述の各実施形態では、湯張り試運転時に、水位確認処理として、基準水位確認処理および設定水位確認処理を実施する例について説明したが、これに限らず、例えば、基準水位確認処理を省略して設定水位確認処理だけを実施するようにしてもよい。
(9)上述の各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(10)上述の各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(11)上述の各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。