JP6317864B2 - タングステン含有物の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水酸化ナトリウムを用いるタングステン含有物の処理方法において、炭酸イオンを含まないNa2WO4液を高収率で得ることができる処理方法に関する。
タングステンは、タングステン酸カルシウム(CaWO4)の形態で灰重石(白鉱:シーライト)に含まれており、また鉄マンガン重石には(Fe,Mn)WO4の状態で含有されている。これらの鉱物を含む鉱石からタングステンを取り出す方法として、例えば、白鉱を、高温高圧(200〜250℃、1.6〜4MPa)下で、アルカリ浸出してタングステン酸ナトリウム(Na2WO4)を生成させる方法が知られている(特許文献1)。これをイオン交換によってナトリウムをアンモニウムイオンに置換してパラタングステン酸アンモニウムにし、さらに焙焼して酸化タングステンにし、これを水素還元して金属タングステンが製造される。しかし、白鉱をアルカリ浸出してタングステン酸ナトリウムを生成させる従来の方法は高温高圧下の浸出であるためコスト高であり、設備上の負担が大きい問題があった。
また、一般に白鉱(CaWO4含有鉱)のアルカリ浸出には炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムが使用され、次式[1]、[2]に示すように、タングステン酸ナトリウムと共に炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムが生成する(非特許文献1、2)。
CaWO4+Na2CO3 → Na2WO4+CaCO3↓・・・[1]
CaWO4+2NaOH → Na2WO4+Ca(OH)2↓・・・[2]
上記アルカリ浸出において、水酸化ナトリウムを使用すると、Ca(OH)2は僅かに溶解性を有するので、その一部が溶解し、次式[3]に示すように、生成したNa2WO4と反応してCaWO4に戻る逆反応が生じ、浸出率が低下する。このためアルカリとしては炭酸ナトリウムがよく使用される。
Na2WO4+Ca(OH)2 → CaWO4+2NaOH・・・[3]
一方、炭酸ナトリウムを使用すると、浸出液中に多量の炭酸イオンが含まれ、この炭酸イオンは、タングステン酸ナトリウムのNaイオンをNH4イオンに置換するイオン交換工程において、イオン交換樹脂に対するWO4イオンの吸着を阻害し、炭酸イオンが多いほどWO4イオンは樹脂に吸着されずにロスになると云う問題がある。
特表昭58−500021号公報
那須重治、「タングステン鉱石の高圧分解抽出」、日本鉱業会誌,78巻,892号(1962) Zhongwei Zhao and Honggui Li, " Thermodynamics for leaching of scheelite - Pseudo - ternary - system phase diagram and its application" Metallurgical and Materials Transactions B, 39B, 2008, 519-
本発明は、白鉱などのアルカリ浸出処理における従来の上記問題を解決したものであり、水酸化ナトリウムを用いる処理方法において、CaWO4のCaをNaに置換する第一工程において、Na2WO4およびCa(OH)2を固体状態で生成させることによって、これらの逆反応(上記式[3])を抑制し、次の第二工程において、Na2WO4を選択的に溶解させてCa(OH)2等と効果的に分離する二段階処理によって、炭酸イオンを含まないNa2WO4液を高収率で得ることができる処理方法を提供する。
〔1〕CaWO含有物を原料とし、該原料を水酸化ナトリウム水溶液に混合し、NaO濃度14wt%以上の混合スラリーにして固体状態のタングステン酸ナトリウム(NaWO)を生成させるNa置換工程、上記混合スラリーから固形分のNaWOを回収し溶解してNaWO溶液を回収するW浸出工程を有し、該W浸出工程において、濃度1.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解し、または該Na WO に対してNa CO /WO (モル比)=0.8〜1.0になる量の炭酸ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解することを特徴とするタングステン含有物の処理方法。
〔2〕Na置換工程において、水酸化ナトリウム水溶液をNaOH/WO3(モル比)=2.5〜6.0、および水/原料(重量比)=0.5〜1.5の範囲に添加して混合スラリーにするタングステン酸ナトリウムを生成させる上記[1]に記載するタングステン含有物の処理方法。
〔3〕Na置換工程において、水酸化ナトリウム水溶液に加えて炭酸ナトリウムをNaCO/WO(モル比)=1以下の範囲で添加してタングステン酸ナトリウムを生成させる上記[1]または上記[2]に記載するタングステン含有物の処理方法。
〔4〕Na置換工程の残渣に含まれるCa(OH) 、およびW浸出工程において炭酸ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解した際に生じるCaCO 残渣をNa置換工程に戻して再利用する上記[1]〜上記[3]の何れかに記載するタングステン含有物の処理方法。
〔5〕CaWO4含有物として白鉱を用いる上記[1]〜上記[4]の何れかに記載するタングステン含有物の処理方法。
〔具体的な説明〕
本発明の処理方法は、CaWO含有物を原料とし、該原料を水酸化ナトリウム水溶液に混合し、NaO濃度14wt%以上の混合スラリーにして固体状態のタングステン酸ナトリウム(NaWO)を生成させるNa置換工程、上記混合スラリーから固形分のNaWOを回収し溶解してNaWO溶液を回収するW浸出工程を有し、該W浸出工程において、濃度1.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解し、または該Na WO に対してNa CO /WO (モル比)=0.8〜1.0になる量の炭酸ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解することを特徴とするタングステン含有物の処理方法である。

原料のCaWO4含有物として白鉱、あるいはCaWO4を含有するスクラップ等を用いることができる。以下、白鉱を例にして説明する。本発明の処理方法を図1に示す。
〔Na置換工程〕
本発明の処理方法は、水酸化ナトリウム水溶液を用い、白鉱のCaWO4のCaをNaに置換する。このNa置換工程において、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)をできるだけ固体の状態で生成させるため、白鉱を水酸化ナトリウム水溶液に混合し、Na2O濃度14wt%以上の混合スラリーにする。
混合スラリーのNa2O濃度が14wt%未満では、生成するNa2WO4が液状になり、上記式[3]の逆反応が生じ易いのでNa2WO4の収率が低下する。一方、混合スラリーのNa2O濃度を14wt%以上にし、Na2WO4を固体の状態で生成させることによって上記式[3]の逆反応が生じ難くなり、Na2WO4の収率を高めることができる。
白鉱と水酸化ナトリウム水溶液の混合液(混合スラリー)において、Na2O濃度が14wt%以上になるように、NaOH/WO3(モル比)=2.5〜6.0、好ましくは2.5〜5にし、液中の水と白鉱の量比(水/白鉱の重量比)=0.5〜1.5、好ましくは0.5〜1.0に調整すると良い。
Na2O濃度14wt%以上の混合スラリーにすることによって、従来のアルカリ浸出のような高温高圧下(例えば200℃以上、1.6MPa以上)で処理する必要がなく、常圧下および80℃〜140℃、好ましくは90℃〜100℃の温度でタングステン酸ナトリウムを生成させることができる。反応時間は4時間以下で良い。
上記式[3]の逆反応をさらに抑制するため、水酸化ナトリウムに加えて炭酸ナトリウムをNa2CO3/WO3(モル比)=1以下、好ましくはNa2CO3/WO3比=0.7〜1の範囲で添加すると良い。Na2CO3/WO3比が1を超えると炭酸イオン量が増加するので好ましくない。
上記処理工程において、例えば、白鉱を粉砕し、水と混合して鉱石スラリーを調製する。このスラリーに水酸化ナトリウムを添加する。あるいは水酸化ナトリウムを加えさらに炭酸ナトリウムを添加する。これらのアルカリは予め水を加えて水溶液または水スラリーにして使用すると良い。これを鉱石スラリーに混合して混合スラリーにする。この混合スラリーのNa2O濃度が14wt%以上になるように、NaOH/WO3(モル比)および水/白鉱(重量比)を上記範囲に調整する。
上記混合スラリーを反応機に仕込み、スラリーを撹拌しながら上記温度に加熱する。反応機は撹拌機を有するものが好ましい。ニーダーなどの混練機を用いると水/鉱石比が小さくても反応性を高めることができる。また、あらかじめスラリーを十分かき混ぜれば、スラリーを回転式キルンで加熱して反応させることができる。
反応機に仕込んだ混合スラリーの水/鉱石比が0.8以下であると反応物は固相が主体となるので、反応後、反応物を濾過せずにW浸出工程に送ることができる。一方、上記水/鉱石比が0.8より大きいと反応物には液分と固形分が存在するので、反応物を濾過する。濾液にはNa2CO3と未反応のNaOHが含まれているので、この濾液を混合スラリーの調製工程に戻してアルカリをリサイクルし、残渣をW浸出工程に送る。この残渣にはNa2WO4およびCa(OH)2が含まれている。
〔W浸出工程〕
Na置換工程で生じた残渣(固形分)に含まれるNa2WO4を水酸化アルカリ水溶液または炭酸アルカリ水溶液を用いて洗浄溶解(浸出)し、Na2WO4溶液を回収する。この洗浄浸出液として水酸化ナトリウム水溶液、または炭酸ナトリウム水溶液を使用する。
水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合には、濃度1.5mol/L以上、好ましくは2mol/L以上の水溶液が良い。水酸化ナトリウムの濃度が1.5mol/L未満であるとタングステンが十分に浸出しない。
炭酸ナトリウム水溶液を用いる場合には、Na2WO4に対してNa2CO3/WO3(モル比)=0.8〜1.0以下になる量の炭酸ナトリウム水溶液を用いると良い。炭酸ナトリウム量がNa2CO3/WO3(モル比)=0.8を下回るとタングステンが十分に浸出せず、このモル比が1を超えると炭酸イオン量が過剰になるので好ましくない。
Na置換工程で生じた固形状のNa2WO4を含む残渣を上記アルカリ水溶液に混合し、0℃〜100℃、好ましくは室温〜70℃程度で10分〜2時間程度撹拌して洗浄すると、残渣に含まれるNa2WO4が選択的に溶解する。これを濾過してNa2WO4を含む液を回収することができる。
Na2WO4を含む残渣に水を加えてスラリーにし、これに水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを加えて洗浄浸出する場合には、これらのアルカリ量がスラリー中で上記濃度になるように調整する。
回収したNa2WO4含有液には炭酸イオンが実質的に含まれていない。このNa2WO4含有液をイオン交換工程に送り、NaイオンをNH4イオンに置換することによってタングステン酸アンモニウム溶液を得ることができる。
Na置換工程の残渣に含まれるCa(OH)2は上記濃度のアルカリ溶液によって溶解されず、固形状態のまま残る。さらに、タングステン浸出液として炭酸ナトリウム溶液を用いた場合には、Na2CO3がCa(OH)2と反応してCaCO3を生じ、このCaCO3も溶解されずに固体分として残る。これらの固形分はNa置換工程に戻して再利用することができる。なお、上記洗浄浸出液のアルカリ濃度が低いと、タングステン浸出時に溶解したNa2WO4とCa(OH)2の一部が反応してCaWO4が生成し、Wの収率が低下するので好ましくない。
水酸化アルカリ水溶液または炭酸アルカリ水溶液の使用量は限定されないが、イオン交換工程での好ましいW濃度は5〜50g/Lであるので、W濃度がこの範囲になる液量であればよい。
(イ)本発明の方法は、水酸化ナトリウムによるNa置換工程において、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)を固体の状態で生成させるので、Na2WO4がCa(OH)2と反応してCaWO4に戻る逆反応が生じ難くなり、Na2WO4の収率を高めることができる。
(ロ)本発明の処理方法によれば、炭酸イオンを実質的に含まないNa2WO4含有液を得ることができ、この液をイオン交換樹脂に送ってNaイオンをNH4イオンに交換する際に、WO4イオンの吸着が炭酸イオンによって妨害されず、イオン交換効率を高めることができる。
(ハ)本発明の処理方法は、Na置換工程において、従来よりも反応温度を低下することができ、さらに水の使用量を少なくすることができる。このため、加熱に必要な熱量が少なくなり、設備費とランニングコストを低減することができる。
本発明の処理工程の概略を示す工程図。 実施例1の粉末X線回折チャート。 比較例1の粉末X線回折チャート。 実施例5の粉末X線回折チャート。
本発明の実施例および比較例を以下に示す。
液体の元素濃度はICP発光分光分析装置(島津製作所製ICPS7510)によって測定した。
固体の元素濃度は加圧酸分解−ICP発光分光分析によって測定した。
固体の粉末X線回折測定は市販装置(RIGAKU UltimaIV X-RAY DIFFRACTOMETER)用いた。
固体のSEM観察は日本分光製装置(JEOL JSM-6510LV)によって行った。
Na置換工程内のスラリー中のNa2O濃度は、Na置換材としてNaOHを用いた場合、ICP発光分光分析装置(島津製作所製ICPS7510)でNa濃度を求め、Na2Oに換算して求めた。Na置換材としてNaOHとNa2CO3を用いた場合、ICP発光分光分析装置でNa濃度を求め、その濃度からNa2CO3に帰するNa濃度を差し引いたNa濃度を求め、それをNa2Oに換算した。
液中の炭酸イオン濃度は、酸添加により発生したCO2を赤外線吸収により定量した。
実施例、比較例では、NaOH、Na2WO4 、Ca(OH)2、Na2CO3は何れも関東化学製の特級試薬、CaWO4は関東化学製の一級試薬を使用した。
〔実施例1:Na置換工程〕
Na2O濃度34wt%の水酸化ナトリウム水溶液1410gとCaWO4 1000gを混合してNa2O濃度20wt%のスラリーにした(A1)。
Na2O濃度26wt%の水酸化ナトリウム水溶液1210gとCaWO4 1000gを混合してNa2O濃度14wt%のスラリーにした(A2)。
これを140℃に加熱し、4時間保持した。残渣を固液分離して粉末X線回折によって測定した。A1の回折チャートを図2に示した。図示するように、CaWO4のピークが小さくなり、Na2WO4のピークが成長していることから、CaWO4からNa2WO4への反応が進行していることを確認した。この残渣をSEM観察したところ、Na2WO4の結晶が観察された。この結果を表1に示した。
A1と同様にしてA2についてNa2WO4が生成していることを確認した。
〔比較例1:Na置換工程〕
Na2O濃度10wt%の水酸化ナトリウム水溶液4610gとCaWO4 1000gを混合してNa2O濃度9wt%のスラリーにした(A3)。
これを140℃に加熱し、4時間保持した。残渣を固液分離しての粉末X線回折によって測定した。この回折チャートを図3に示した。図示するように、CaWO4のピークに変化はなく、Na2WO4のピーク成長が少ないことから、CaWO4からNa2WO4への反応が進行し難い状態であることを確認した。この残渣をSEM観察したところ、Na2WO4の結晶は観察されなかった。
実施例1および比較例1の結果から、混合スラリーのNa2O濃度が14wt%以上の場合にはNa2WO4が生成するが、Na2O濃度が9wt%の比較例1ではNa2WO4が生成し難いことが確認される。また、実施例1の結果によれば、混合スラリーのNa2O濃度が14wt%より高いとNa2WO4が固体状態で生成することが確認される。
Figure 0006317864
〔実施例2:Na2CO3によるW浸出〕
Na2WO4168g、Ca(OH)242g、H2O1000gを混合してスラリーにした。これにNa2CO3を7〜61g加えて混合スラリーのNa2CO3/WO3(モル比)を0.1〜1.0に調整した。これを20℃で1時間撹拌した後に液中のW濃度を測定し、添加したNa2CO3量と比較した。この結果を表2に示した。
Na2CO3/WO3比が0.8〜1.0においてWの浸出率は92%以上になり、Na2CO3を用いてNa2WO4を溶解する場合にはNa2CO3/WO3比を0.8〜1.0に調整すれば好ましいことが確認された。
Figure 0006317864
〔実施例3:NaOHによるW浸出〕
Na2WO4253g、Ca(OH)264g、H2O1000gを混合してスラリーにした。これにNaOH 40〜100gを加えて混合スラリーのNaOH濃度を1.0〜2.5mol/Lに調整した。これを20℃で1時間撹拌した後に液中のW濃度とNaOH濃度を測定した。この結果を表3に示した。
NaOH濃度が1.5mol/L以上であれば、Ca2+とWO4 2-の反応によるCaWO4の生成が抑制され、CaによってWが固定化されないので、Wを97%以上浸出できることを確認した。
Figure 0006317864
〔比較例2:水浸出〕
実施例1のA1について、固液分離した固形分(Na2WO4含有)を水でタングステン浸出した後に粉末X線回折によって測定したところ、CaWO4のピークが観測された。水浸出時に溶解したNa2WO4と残留するCa(OH)2の一部が反応してCaWO4が生成していることを確認した。従って、浸出液として水を用いると、Na2WO4の一部がCaWO4になり、タングステンの損失になることが確認された。
〔実施例4:Na置換後のW浸出〕
実施例1のA1の固形分(Na2WO4含有)を炭酸ナトリウム水溶液でタングステン浸出した後に、残渣を粉末X線回折によって測定した。炭酸ナトリウムの量はA1中のタングステン含有量に対して当量とした。タングステン浸出前のA1固形分の粉末X線回折チャートを図4(A)に示し、タングステン浸出後の残渣の粉末X線回折チャートを図4(B)に示した。
図示するように、タングステン浸出前のA1固形分に見られたNa2WO4の高いピークに代えて、タングステン浸出後の残渣にはCaCO3の高いピークが示されており、Na2WO4が溶出し、Ca(OH)2はCaCO3に転化して残渣中に固定化されていることを確認した。
〔実施例5:白鉱のNa置換とW浸出〕
Na2O濃度35wt%の水酸化ナトリウム水溶液165gと白鉱100gを混合してNa2O濃度22wt%のスラリーにし、これを100℃に加熱して4時間保持した。固液分離して得た残渣を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でタングステン浸出し、Na2WO4水溶液を得た。水溶液のW濃度からW収率を算出したところ97%であった。この溶液をイオン交換工程に送るため、水2000gで希釈してW濃度を23g/Lにした。このNa2WO4水溶液の炭酸イオン濃度は0g/Lであった。
〔実施例6:Na2O濃度〕
Na2O濃度31wt%の水酸化ナトリウム水溶液81gと白鉱100gを混合してNa2O濃度14wt%のスラリーにした(スラリーの水量/白鉱:0.5)。これを100℃に加熱して4時間保持した後に、固液分離して得た残渣を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でタングステン浸出し、Na2WO4水溶液を得た。水溶液のW濃度からW収率を算出したところ63%であった。この溶液をイオン交換工程に送るため、水1500gで希釈してW濃度を20g/Lにした。このNa2WO4水溶液の炭酸イオン濃度は0g/Lであった。
この結果から、スラリーのNa2O濃度が14wt%であれば、スラリーの水量/白鉱が0.5と低くてもWの回収率を高めることができることを確認した。
〔実施例7:水/鉱石比〕
Na2O濃度25wt%の水酸化ナトリウム水溶液230gと白鉱100gを混合してNa2O濃度17wt%のスラリーにした(スラリーの水量/白鉱:1.6)。これを100℃に加熱して4時間保持した後に、固液分離して得た残渣を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でタングステン浸出し、Na2WO4水溶液を得た。水溶液のW濃度からW収率を算出したところ79%であった。この溶液をイオン交換工程に送るため、水1800gで希釈してW濃度を20g/Lにした。このNa2WO4水溶液の炭酸イオン濃度は0g/Lであった。
この結果から、白鉱の処理において、Na置換工程における水/鉱石比が高すぎるとWの回収率が低下することを確認した。
〔実施例8:炭酸ナトリウムの併用効果〕
Na2O濃度22wt%の水酸化ナトリウム水溶液125gと白鉱100g、およびNa2CO332gを混合してNa2O濃度11%のスラリーにした。これを100℃に加熱して4時間保持した後に、固液分離して得た残渣を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でタングステン浸出し、Na2WO4水溶液を得た。水溶液のW濃度からW回収率を算出したところ90%であった。この溶液をイオン交換工程に送るため、水2000gで希釈してW濃度を22g/Lにした。このNa2WO4水溶液の炭酸イオン濃度は0.6g/Lであった。Na2CO3のみでNa置換を行った場合に比べて、炭酸イオン濃度を1/10以下に抑えることができた。
〔比較例3:〕
Na2O濃度20wt%の水酸化ナトリウム水溶液144gと白鉱100gを混合してNa2O濃度12wt%のスラリーにし、これを100℃に加熱して4時間保持した。固液分離して得た残渣を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でタングステン浸出し、Na2WO4水溶液を得た。水溶液のW濃度からW回収率を算出したところ30%であった。この溶液をイオン交換工程に送るため、水400gで希釈してW濃度を22g/Lにした。このときの炭酸イオン濃度は0g/Lであった。Wの回収率は30%であった。
この結果から、白鉱の処理において、スラリーのNa2O濃度が低いとWの回収率が低下することを確認した。
実施例5〜8、比較例3の結果を表4に示す。表4のW収率はNa置換工程の収率とW浸出工程の回収率の合計である。
比較例3に示すように、Na置換時のスラリーのNa2O濃度が12wt%であると、W収率は30%程にとどまる。一方、実施例5に示すように、NaOH/W比=6.0、水/白鉱比=0.9として、Na置換時のスラリーのNa2O濃度22wt%に上げるとW収率が97%に向上する。
実施例6に示すようにNaOH/W比=2.6、水/白鉱比=0.5まで下げても、Na置換時のスラリーのNa2O濃度が14%以上であれば、W収率は60%以上になり、比較例3よりも高いW収率を示す。
実施例7に示すように、実施例5との比較からNaOH/W比=6.0に維持したまま、水/白鉱比=1.6まで上げて、Na置換時のスラリーのNa2O濃度17wt%に下げるとW収率は79%に低下する。実施例5と実施例7のW収率の比較から水/白鉱比=1.6以下が好ましい。
実施例8に示すように、Na2CO3/WO3比=1になるように炭酸ナトリウムを追加するとW収率は90%になり、NaOH/W比を下げても高いW収率を得ることができた。さらに、実施例5、実施例6、実施例7および実施例8の何れにおいても、Na2WO4水溶液の炭酸イオン濃度を大幅に低下することができた。
Figure 0006317864

Claims (5)

  1. CaWO含有物を原料とし、該原料を水酸化ナトリウム水溶液に混合し、NaO濃度14wt%以上の混合スラリーにして固体状態のタングステン酸ナトリウム(NaWO)を生成させるNa置換工程、上記混合スラリーから固形分のNaWOを回収し溶解してNaWO溶液を回収するW浸出工程を有し、該W浸出工程において、濃度1.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解し、または該Na WO に対してNa CO /WO (モル比)=0.8〜1.0になる量の炭酸ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解することを特徴とするタングステン含有物の処理方法。
  2. Na置換工程において、水酸化ナトリウム水溶液をNaOH/WO(モル比)=2.5〜6.0、および水/原料(重量比)=0.5〜1.5の範囲に添加して混合スラリーにするタングステン酸ナトリウムを生成させる請求項1に記載するタングステン含有物の処理方法。
  3. Na置換工程において、水酸化ナトリウム水溶液に加えて炭酸ナトリウムをNaCO/WO(モル比)=1以下の範囲で添加してタングステン酸ナトリウムを生成させる請求項1または請求項2に記載するタングステン含有物の処理方法。
  4. Na置換工程の残渣に含まれるCa(OH) 、およびW浸出工程において炭酸ナトリウム水溶液を用いて上記Na WO を溶解した際に生じるCaCO 残渣をNa置換工程に戻して再利用する請求項1〜請求項3の何れかに記載するタングステン含有物の処理方法。
  5. CaWO含有物として白鉱を用いる請求項1〜請求項4の何れかに記載するタングステン含有物の処理方法。
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