JP6316188B2 - 医用機器のラック - Google Patents
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Description
このように、輸液チューブやシリンジポンプを垂直方向ではなく、水平方向に通して保持する構造を採用しようとするのは、複数台の輸液ポンプやシリンジポンプをラックに対して上下位置になるようにスタックした状態で重ねて保持することができる利点があるからである。
そこで、本発明は、医用機器と外部の装置との間で情報のやり取りを行うことが可能な医用機器のラックを提供することを目的とする。
前記ラックと前記通信ボックスは、ポールに対して着脱可能に取り付けるためのポールクランプを有することを特徴とする。
また、上記構成によれば、ラックに通信ボックスが装着されても、ラックと通信ボックスは共にポールに対して確実にクランプして固定することができる。
上記構成によれば、通信ボックスは、ラックの本体に対して簡単な構造ながら確実に取り付けることができる。
上記構成によれば、医用機器とラックは、医用機器を装着部に装着すると、確実に電気的に接続することができる。
上記構成によれば、ラックの装着部は、輸液ポンプを着脱可能に装着できる。
上記構成によれば、ラックの装着部は、シリンジポンプを着脱可能に装着できる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の医用機器のラックの好ましい実施形態を示す正面図である。図2は、図1に示すラックを右斜め上から見た表側の斜視図である。図3は、図2のラックを左斜め上から見た表側の斜視図である。
図1におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。X方向は、水平方向であって、ラック500と輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001の左右方向である。X方向は、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001における薬剤の送液方向(T方向)でもある。Y方向は、ラック500と輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001の前後方向である。
図1に示すラック500は、3台の医用機器を搭載しており、図1の例では、上から順に、2台の輸液ポンプ1と1台のシリンジポンプ1001を積み重ねるようにして着脱可能に装着している。なお、輸液ポンプ1とシリンジポンプ1001の構造例は、後で説明するが、輸液ポンプ1の本体ケース2の外形形状とシリンジポンプ1001の本体ケース1002の外形形状は、共通化されている。
図2と図3に示すように、ラック500の本体501と上部の連結部502と下部の連結部受け部540は、好ましくは耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、仮に薬剤等がかかっても内部に侵入するのを防ぐことができる防沫処理構造を有している。ラック500の本体501は、フロントケース511とリアケース512を組み合わせることで構成されている。上部の連結部502は、このラック500の上部において、さらに別の同じ構造のラック500を積み上げて連結する際に用いられる部分である。あるいは上部の連結部502は、後で説明する通信ボックスを着脱可能に装着する際に用いられる。下部の連結部受け部540は、このラック500の下部において、さらに別の同じ構造のラック500の上部の連結部502を挿入することで連結するのに用いられる部分である。あるいは下部の連結部受け部540は、通信ボックスを着脱可能に装着する際に用いられる。金属製のU字型のハンドル450は、このラック500を運ぶ際に医療従事者が持つ部分である。このハンドル450は、上部の連結部502に上面に固定されている。
図2と図3に示すラック500では、本体501の上部の連結部502とハンドル450が露出されている。しかし、図4から図7に示すラック500では、通信ボックス520が本体501の上部の連結部502に対して、着脱可能に装着されている。
図4は、ラック500の本体501と、この本体501に装着された通信ボックス520を左斜めから見た表側の斜視図である。図5は、ラック500の本体501と通信ボックス520を左斜めから見た裏側の斜視図である。図6は、ラック500の本体501と通信ボックス520を右斜めから見た裏側の斜視図であり、図7は、ラック500の本体501と通信ボックス520の裏側を示す斜視図である。
図5に示す通信ボックス520のポールクランプ400は、連結部522の背面に設けられており、通信ボックス520のポールクランプ400は本体501側の2台のポールクランプ400と同じものである。通信ボックス520のポールクランプ400と本体501の上側のポールクランプ400とのZ方向についての間隔は、本体501の2台のポールクランプ400の間隔と同じに設定されている。これにより、本体501と通信ボックス520は、3台のポールクランプ400を用いて、図1に示すポール499に対して均等間隔でロックして安定して固定することができる。
特に、通信ボックス520の重量が大きくても、通信ボックス420自体にもポールクランプ400が設けられているので、ポール499は、ラック500と、ラック500の上部とラック500の下部の少なくとも一方に装着された通信ボックス520とを、確実に安定して固定することができるメリットがある。通信ボックス420が、ラック500の上部とラック500の下部の少なくとも一方に装着されると、通信ボックス420は、ラック500を通じて、第1装着部C1から第3装着部C3に装着されている2台の輸液ポンプ1と1台のシリンジポンプ1001との間で、電気的に接続される。このため、2台の輸液ポンプ1と1台のシリンジポンプ1001は、外部のコンピュータに対して、通信ボックス420を通じて、必要な情報のやり取りを行うことができる。なお、ポールクランプ400の構造は、後で説明する。
通信ボックス520の連結部522は、図4に示すように、通信用のコネクタ522Cを有している。図4に示すように通信ボックス520の筐体521の前面525には、表示部526が設けられている。この表示部526は、例えば電源スイッチ526A、電源プラグ挿入ランプ526B、商用交流電源もしくはバッテリ電源を示すランプ526C、通信レベルを示すランプ群526D等を有している。
図2と図3に示す第1装着部C1と第2装着部C2と第3装着部C3の構造は、実質的には同じであるので、第1装着部C1を代表して以下に説明することにして、第1装着部C1と第2装着部C2と第3装着部C3の同様の箇所には同じ符号を記す。
図2と図3に示すように、第1装着部C1は、電源接続用のアウトレット端子530と、ロック機構部531と、IrDA532と、プッシャー533と、トレイ534と、支持部535と、操作レバー536と、インジケータ537を有している。
図2に示す支持部535は、同一軸上において対向し、同一の外径,長さ,材質のポスト535Aと下部ポスト535Bを有している。上部ポスト535Aは、第1装着部C1の上側壁CW1においてZ1方向に向けて下向きに固定され、下部ポスト535Bは、第1装着部C1の下側壁CV1においてZ2方向に向けて上向きに固定されている。これらの上部ポスト535Aと下部ポスト535Bは、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001のポンプ用のポールクランプ(後で説明する。)に対して着脱可能に取り付けることができる。上部ポスト535Aと下部ポスト535Bを通る回転中心軸CLは、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001を回転操作しながら第1装着部C1に取り付ける場合に、回転支持中心になる。
図7に示すように、ラック500の本体501の下部には、別のラック500の上部の連結部502を挿入することで受けるための連結部受け部540が設けられている。この連結部受け部540は、通信ボックス520の凹型形状の連結部受け部523と同じ凹型形状を有している。連結部受け部540は、図示しないが、図7に示すラック500に下側に、別のラック500の上部の連結部502を電気的に機械的に連結するのに用いられる。あるいは連結部受け部540は、図7に示す通信ボックス520と同じ形状の別の通信ボックス520の凸型形状の連結部522を電気的に機械的に連結するのに用いられる。
まず、図8(A)と図8(B)を参照して、輸液ポンプ1の構造例を説明する。図8(A)は、本発明の輸液ポンプの好ましい実施形態を示す外観斜視図である。図8(B)は、図8(A)に示す輸液ポンプ1をW方向から見た正面図である。
図8(A)と図8(B)に示す輸液ポンプ1は、ラック500と通信ボックス520を用いて、外部のコンピュータに対して、院内無線または有線LANなどの通信ネットワークで輸液ポンプ1の動作情報,薬剤情報等の情報の交換が可能である。輸液ポンプ1は、例えば集中治療室(ICU、CCU,NICU)等で使用され、患者に対して、例えば抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。この輸液ポンプ1は、図4に示すラック500と通信ボックス520を用いて、例えば薬剤ライブラリから使用する薬剤情報を選択して得ることで、その選択した薬剤を送液することができる。この薬剤ライブラリは、薬剤ライブラリデータベース(DB)において、予め登録された薬剤名を含む薬剤の投与設定群である薬剤情報である。医療従事者は、この薬剤ライブラリを用いることにより、複雑な投与設定をその都度行わなくても良く、薬剤の選択および薬剤の設定が図れる。
図8(B)では、表示部3には、一例として薬剤投与の予定量(mL)の表示欄3B、薬剤投与の積算量(mL)の表示欄3C、充電履歴の表示欄3D、流量(mL)の表示欄3E等が表示されている。表示部3は、この他に警告メッセージを表示することもできる。図8(A)に示すように、操作パネル部4は、本体ケース2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、例えばパイロットランプ4A、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等が配置されている。電源スイッチボタンは操作パネル部4とは別の位置に配置されている。
このシリンジポンプ1001は、輸液ポンプ1と同様に、ラック500と通信ボックス520を用いて、外部のコンピュータに対して、情報の交換が可能である。シリンジポンプ1001は、例えば集中治療室(ICU、CCU,NICU)等で使用され、患者に対して、例えば抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。このシリンジポンプ1001は、図4に示すラック500と通信ボックス520を用いて、例えば薬剤ライブラリから使用する薬剤情報を選択して得ることで、その選択した薬剤を送液することができる。この薬剤ライブラリは、薬剤ライブラリデータベース(DB)において、予め登録された薬剤名を含む薬剤の投与設定群である薬剤情報である。医療従事者は、この薬剤ライブラリを用いることにより、複雑な投与設定をその都度行わなくても良く、薬剤の選択および薬剤の設定が図れる。
図9に示すように、シリンジポンプ1001は、例えば薬剤を充填したシリンジ1200のシリンジ本体1201を、クランプ1005を用いて動かないようにセットすることができる。モータMが、シリンジ押子駆動部1007の駆動軸を回転することで、シリンジ押子駆動部1007のスライダ1010は、シリンジ1200のシリンジ押子1202をT方向に押圧して、シリンジ本体1201内の薬剤を、チューブ1203と留置針1204を介して、患者Pに対して正確に送液する。シリンジポンプ1001は、本体ケース1002を有し、この本体ケース1002は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されていることにより、液密性能を有する箱体として構成されている。これにより、後で説明するように、仮に薬剤や水分等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫および防滴(防水)処理構造を有している。
図9に示すように、表示部1003は、カラーグラフィック表示することができるカラー液晶表示装置(LCD))や有機ELである。この表示部1003は、本体ケース2の上部分2Aの左上位置であって、シリンジ設定部1006とシリンジ押子駆動部1007の上側に配置されている。操作パネル部1004は、本体ケース1002の上部分1002Aにおいて表示部1003の右側に配置され、操作パネル部1004には、操作ボタンとしては、図示例では、パイロットランプ4A、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E等が配置されている。
シリンジ設定部1006は、シリンジ本体1201を収容する収容部1008と、クランプ5と、シリンジ1200の本体フランジ1209をはめ込んで把持するための本体フランジ把持部1500を有している。収容部1008は、凹型のシリンジ本体保持部1008Dを有している。収容部1008の左側の端部の壁部分には、チューブ1203を着脱可能に挟み込むためのチューブ固定部1009が形成されている。このチューブ固定部1009は、図2に示すようにチューブ203の一部を挟み込んで固定する溝部分である。
図10(A)は、図2に示す第1装着部C1、第2装着部C2、そして第3装着部C3の内の第1装着部C1を、第1装着部C1、第2装着部C2、第3装着部C3の中から代表して示す斜視図であり、図10(B)は、図10(A)に示す第1装着部C1を正面側から見た斜視図である。図11は、図10(A)において第1装着部C1をCN方向から見た斜視図である。
図8に示す輸液ポンプ1の本体ケース2と図9に示すシリンジポンプ1001の本体ケース1002は、一部分を除いて共通の外型形状を有していることで共通化を図っている。これにより、輸液ポンプ1とシリンジポンプ1001は、ラック500の第1装着部C1、第2装着部C2、そして第3装着部C3のいずれに対しても、共通して装着できるようになっている。
図12は、図11に示す電源接続用のアウトレット端子530の付近の構造例を、UB方向から見た斜視図である。図12に示すように、電源接続用のアウトレット端子530は、取り付け基部551に収容して保持されている。バネ552は、取付け基部551内に配置され、アウトレット端子530の後端部530Kと、取付け基部551との間に取り付けられている。
図10に示すように、トレイ534は、Y2方向(手前側)に水平に突き出すようにして形成されている板状の支持突起部である。このトレイ534は、図8の輸液ポンプ1あるいは図9のシリンジポンプ1001を第1装着部C1に対して装着する時と、取り外す時に、輸液ポンプ1の下部あるいはシリンジポンプ1001の下部を支えて、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001が第1装着部C1から脱落しないようにする役割を果たす。これにより、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001が、装着時あるいは取り外し時にラック500から落下するのを防ぐことができ、安全性を確保できる。
図11に示す位置決め用の突き当て部557は、図8の輸液ポンプ1あるいは図9のシリンジポンプ1001を第1装着部C1に対して装着して本固定した時に、輸液ポンプ1の背面あるいは図9のシリンジポンプ1001の背面部に突き当たることで、予め定めた正確な姿勢で第1装着部C1に装着できる機能を有する。図11に示すストッパ558は、操作レバー536をRL方向へ回転操作する際に操作レバー536の回転角度を規制する。
図13(A)に示す第1動作機構部560は、医療従事者が操作レバー536を、回転中心軸SQを中心としてRL方向に回転することで、ロック機構部531の第2係止部である第2爪部562をDF方向に持ち上げる機能を有する。第1係止部である第1爪部561は、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)をラック500側に仮固定するための仮固定部材であり、第2爪部562は、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)をラック500側に本固定するための主固定部材である。仮固定はプレロックともいい、本固定はオンロックともいう。
これにより、医療従事者が操作レバー536をRL方向に、所定角度θ1、例えば10度回転操作すると、第1カム564がSJ方向に回転するので、第2カム566はSG方向に回転して押し上げられる。この第2カム566が押し上げられると、第3カム567はSV方向に押し上げられる。この結果、第2爪部562は、DF方向に持ち上げることができる。第2爪部562をDF方向に持ち上げることで、本固定用の第2爪部56は、輸液ポンプ1の背面部側に対する係合状態、あるいはシリンジポンプ1001の背面部側に対する係合状態を、確実に解除することができる。しかし、第2爪部56による本固定を解除しても、第1爪部561の係合は解除していない。
これにより、医療従事者が図13(B)に示す操作レバー536をRL方向に回転操作すると、リンク部材568がRL1方向に回転するので、別の操作部材569はRL2方向に持ち上がる。したがって、医療従事者が操作レバー536を所定角度θ2だけRL方向に回転操作することで、図14(A)から図14(B)に示すように、プッシャー533の先端部533Aは、Y2方向に所定のストロークSTCだけ突出するようになっている。このプッシャー533の先端部533Aが、Y2方向に所定のストロークSTCだけ突出する。このため、例えば図11の第1装着部C1に装着されている輸液ポンプ1の背面部あるいはシリンジポンプ1001の背面部を、Y2方向(前方向)に押し出すことで、医療従事者が、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001を第1装着部C1から取り外す際の作業を容易に行うことができる。
図15(A)と図15(B)に示すように、輸液ポンプ1の背面部側には、ポンプ用のポールクランプ600と、アウトレット端子穴部570を有している。アウトレット端子穴部570は、図10に示す電源接続用のアウトレット端子530を着脱可能に挿入することで、アウトレット端子穴部570とアウトレット端子530とを、電気的にしかも機械的に接続するために設けられている。
ポンプ用のポールクランプ600は、輸液ポンプ1の背面部に予め設けられている取付け部599を用いて、着脱可能に装着されている。このポールクランプ600は、図1に示す輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001を、図1に示すラック500を用いないで、直接別のポンプ取付け用のポール1499に対して着脱可能に固定する場合に用いられる。
基部601は、輸液ポンプ1の背面部にある取付け部599に対してはめ込むことで装着することができる。固定具602は、基部601に対して固定されている。固定具602は、第1突出部分602Aと、第1突出部分602Aに間隔をおいて対向して配置されている第2突出部分602Bを有している。第1突出部分602Aには、操作部604の一部が固定されており、操作部604は、回転部605と、移動部材606を有している。移動部材606の先端部には、移動具603が固定されている。操作部604は、X方向に沿って配置されており、医療従事者が回転部605を回転することにより、移動部材606の移動具603を、X方向に沿って進めて、移動具603と第2突出部分60Bの間にポール1499を挟み込むことで、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001を着脱可能に保持できる。
第1挿入用穴部611は第1突出部分602Aの上面側に形成され、第2挿入用穴部612は第1突出部分602Aの下面側に形成されており、第1挿入用穴部611と第2挿入用穴部612は中心軸MNに沿っている。第1挿入用穴部611は、図15と図10に示す支持部535の上部ポスト535Aを着脱可能に挿入する。同様にして、第2挿入用穴部612は、図15と図10に示す支持部535の下部ポスト535Bを着脱可能に挿入する。すなわち、図10に示す回転中心軸CLは、図15に示す中心軸MNに一致することになる。
凹部623はZ1方向(下方向)に窪むように形成された部分であり、この凹部623の端部には、第1段部621と第2段部622がZ2方向に突き出るように形成されている。第1段部621は第2段部622に隣接して形成されているが、第1段部621は第2段部622よりも、よりY1方向(後ろ方向)にずれた位置に形成されている。つまり、第1段部621は、Y1方向よりに形成され、第2段部622は、Y2方向よりに形成されている。
図16(B)に示すように、第1段部621が凹部623からのZ2方向に形成されている形成高さHK1は、第2段部622が凹部623から形成されているZ2方向の形成高さHK2に比べて、小さく設定されている。これにより、第1爪部561が第1段部621に係合している仮固定状態は、第2爪部562が第2段部622に係合している本固定状態に比べて、容易に解除できるようになっている。
ただし、第1爪部561のL字型の先端部561Fの形状は、図16(B)に示すように、90度を超えた形成角度Fθになっており、しかも第1段部621は、Y1寄りに傾斜して形成されている。このため、図16(B)に示すように、輸液ポンプ1が第1装着部C1に対して仮固定された状態であると、医療従事者が輸液ポンプ1とともにポールクランプ600をSS1方向に引くと、第1爪部561の先端部561Fは第1段部621から容易に持ち上がって外れる。このため、輸液ポンプ1はSS1方向に容易にしかもスムーズに取り出すことができる。
ただし、第2爪部562の先端部562Fと第2段部622は、輸液ポンプ1とともにポールクランプ600をSS1方向に引いても、第2爪部562の先端部562Fは第2段部622から持ち上がらないような形状になっている。つまり、先端部562Fは、90度未満の形成角度Gθになっており、しかも第2段部622は、Z2方向に向けて垂直に形成されている。このため、第2爪部562の先端部562Fは第2段部622からは容易に外れないようになっており、輸液ポンプ1が本固定された状態であると、輸液ポンプ1はSS1方向に取り外すことができないようになっている。
図18(A)に示すように、医療従事者は、輸液ポンプ1の右側を右手で支えるとともに輸液ポンプ1の左側を左手で支え、輸液ポンプ1側の第1挿入用穴部611には、上部ポスト535Aをはめ込み、輸液ポンプ1側の第2挿入用穴部612には、下部ポスト535Bをはめ込む。この状態では、輸液ポンプ1のアウトレット端子穴部570は、電源接続用のアウトレット端子530に対面している。
これにより、輸液ポンプ1を第1装着部C1に対して装着しようとする際には、輸液ポンプ1のアウトレット端子穴部570は、第1装着部C1側のアウトレット端子530に対して正対することができ、図18(A)から図18(B)に示すように、輸液ポンプ1を、回転中心軸CLを中心として、SS方向に回転するだけで、輸液ポンプ1のアウトレット端子穴部570には、第1装着部C1側のアウトレット端子530を確実にしかもスムーズにはめ込んで電気的に接続できる。
図19に示すインジケータ537の動作機構部640は、ラック500の第1装着部C1の内部に配置されており、スライド板641と、リンク部材642と、連結部材643を有している。主固定部材である第2爪部562が、DF方向に持ち上がると、リンク642がDH方向に回転して、連結部材643が中心軸CLRを中心にしてDU方向に回転する。これにより、スライド板641はY2方向に所定ストローク分スライドするようになっている。
図17に示すように、主固定部材である第2爪部562が、第2段部622にかみ合っている本固定状態であると、第2爪部562はDF方向には持ち上がっておらず、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)はラック500側に本固定されている。この場合には、本固定されている旨を示すため、インジケータ537の窓部650には、スライド板641の青色領域641Bが表示される。このため、医療従事者は、この青色領域641Bを見ることで、輸液ポンプ1が第1装着部C1において安全に本固定されていることを目視で確認できる。なお、ラック500には輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)が未装着である場合にも、インジケータ537の窓部650には、未装着である旨を示すため、スライド板641の青色領域641Bが表示される。これにより、輸液ポンプ1が未装着であることを、目視で確認できる。スライド板641の青色領域641Bは、輸液ポンプ1が確実に本固定されている状態を示す本固定表示である。本固定されている旨を示すために、インジケータ537の窓部650において、青色領域641Bの表示に代えてキャラクタ表示,シンボルマーク表示等で表示するようにしてもよい。
これにより、医療従事者は、インジケータ537に表示されるスライド板641の赤色領域641Rを見ることで、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)がラック500に対して仮固定状態であることを目視で確認することができ、安全面で有効である。このように、インジケータ537が設けられていることにより、医療従事者は輸液ポンプ(あるいはシリンジポンプ1001)が第1装着部C1(第2装着部C2、第3装着部C3)に対して、仮固定状態であるか、本固定状態であるかを、目視で確認でき、輸液ポンプ(あるいはシリンジポンプ1001)の着脱作業を安全に行える。
また、仮固定されている旨を示すために、インジケータ537の窓部650において、赤色領域641Rの表示に代えてキャラクタ表示,シンボルマーク表示等で表示するようにしてもよい。
図20と図5を参照すると、ポールクランプ400は、プラスチック製の基部701と、金属製の取り付け用の固定具702と、金属製の取付け用の移動具703と、操作部704を有している。基部701は、ラック500のリアケース512の左右方向(X方向9の中央位置に固定されている。固定具702は、基部701に固定されており、固定具702は、第1突出部分702Aと、第1突出部分702Aに間隔をおいて対向して配置されている第2突出部分702Bを有している。第1突出部分702Aのメネジ702Cには、操作部704のオネジ704Nがかみ合っており、オネジ704Nの先端部には移動具703が取り付けられている。医療従事者が操作部704を回転することにより、移動具703が第2突出部分702Bに向けて軸方向VBに沿って進むので、移動具703と第2突出部分702Bの間には、ポール499を挟み込むことができる。これにより、3つのポールクランプ400は、ラック500と通信ボックス520をポール499に対して着脱可能に固定できるようになっている。
図20(A)に示すように、第1当接部720は、外側突出部721と、複数の段差部分722と、内側突出部733を有している。同様にして、第2当接部730は、外側突出部731と、複数の段差部分732と、内側突出部733と、ガイド突起部734を有している。
図21(A)に示すように、ポールクランプ2400がラック2401の背面部に平行に取り付けられているので、操作具2406の移動方向が、ラック2401の背面部に平行になっている。移動具2398の当接部2402の外側突出部2404と突出部分2399の当接部2403の外側突出部2405が、互いにX方向に沿って向かい合う方向に突出している。このため、図21(A)から図21(B)に示すように、医療従事者が、ラック2401をY1方向に沿ってポール499に対して近づけて、当接部2402の外側突出部2404と当接部2403の外側突出部2405との間に通そうとすると、当接部2402の外側突出部2404と当接部2403の外側突出部2405が、ポール499の外周部に突き当たってしまう。このため、ポール499自体が移動具2398の当接部2402の外側突出部2404と第2突出部分2399の当接部2403の外側突出部2405に押されて、ポール499が後ろ側に下がってしまうことがある。このようにポール499が動いてしまうと、これらの外側突出2404と外側突出部2405の間にうまくポール499を通すことができない。
図24に示すように、ラック500は、ポール499に対して複数のポールクランプ400を用いて着脱可能に固定される。このラック500には、複数台の輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001が、支持部535とポールクランプ600とロック機構部531を用いて着脱可能に固定される。ラック500の上部の連結部502には、通信ボックス520や別のラック500の下部の連結部受け部540を着脱可能に装着できる。同様にして、ラック500の下部の連結部受け部540には、通信ボックス520の連結部522や、別のラック500の上部の連結部502を着脱可能に装着できる。ラック500の上部の連結部502と下部の連結部受け部540にそれぞれ別のラック500を連結することにより、例えば9つの装着部C1からC3を重ねることができるので、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001が9つの装着部C1からC3に対して、任意に装着できる。
まず、医療従事者は、図1に示すポール499を床面FWに置いて、1つのラック500を複数のポールクランプ400を用いて、このポール499に対して装着する。このラック500の第1装着部C1から第3装着部C3には、輸液ポンプ1あるいはシリンジポンプ1001はまだ装着されていない。図20に示すように、操作部704の軸方向VBは、X方向に対して、所定の角度DGだけ傾けて設定されていることから、ポール499を、Y1方向に沿って第1当接部720の外側突出部721と第2当接部730の外側突出部731との間を通過させて第1当接部720と第2当接部730の間に位置させる時に、第1当接部720の外側突出部721と第2当接部730の外側突出部731の存在が、ポール499に当たらず、ラック500をY1方向に沿ってポール499に向けて真っ直ぐ近づけて、ポール499を通過させて装着する作業の邪魔にならない。
図16(B)に示すように、輸液ポンプ1が仮固定された状態では、図19に示すインジケータ537の窓部650には、スライド板641の赤色領域641Rが表示される。これにより、医療従事者は、インジケータ537に表示される色を目視で確認することで、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)がラック500に対して仮固定状態であることを目視で確認することができ、安全面で有効である。
このように、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)を第1装着部C1(第2装着部C2あるいは第3装着C3)に本固定すると、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)を第1装着部C1(第2装着部C2あるいは第3装着C3)に対して、支持部535の上部ポスト535Aと下部ポスト535Bと、ロック機構部531と、アウトレット端子530を用いて安全にしかも確実に固定することができる。
なお、図22(A)に示すように、この通信ボックス520は、図3に示すラック500の上部の連結部502に対して、図4に例示するように着脱可能に装着することができる。しかも、図22(B)と図23に例示するように、通信ボックス520は、ラック500の下部の連結部受け部540に対しても、着脱可能に装着することができる。このたに、医療従事者は、必要に応じて、ラック500の上部と下部の少なくとも一方に、通信ボックス520を装着できる。
医療従事者が、図11(A)と図13(A)に示す操作レバー536を、RL方向に所定角度θ1回転操作すると、図17に示すようにロック機構部531の本固定用の第2爪部562がDF方向に持ち上がる。このため、第2爪部562と係合部620の第2段部622との係合が外れて、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)の本固定状態は解除されるのであるが、図16(B)に示すように第1爪部561と係合部620の第1段部621による仮固定状態は解除されない。
この状態で、医療従事者が、図11(A)の操作レバー536をRL方向に、図13(B)に示す所定角度θ2まで回転操作すると、図13(B)に示すプッシャー533の先端部533Aは、Y2方向に所定のストロークSTCだけ、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)の背面部側をY2方向に押し出す。これにより、プッシャー533は、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)の背面部を、図16(B)に示すSS1方向に強制的に押す。輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)の背面部がSS1方向に押されると、第1爪部561が係合部620の第1段部621から持ち上がって、輸液ポンプ1(あるいはシリンジポンプ1001)の仮固定状態が解除できる。
以上のようにして、輸液ポンプ1は、図17に示す本固定状態から図16(B)から図16(A)に示すように仮固定状態の解除を経て取り外すことができる。このように輸液ポンプ1をSS1方向に回動して取り外す際には、輸液ポンプ1の下部は、図10に示すトレイ534の上に載っているので、輸液ポンプ1が不用意に落下するのを防いでいる。
以上説明した、輸液ポンプ1をラック500の第1装着部C1ないし第3装着部C3に装着する動作は、シリンジポンプ1001をラック500の第1装着部C1ないし第3装着部C3に装着する動作と同じである。
通信ボックス520は、ラック500を通じて医用機器との間で、電気的に接続されている。このため、ラック500の上部と下部の少なくとも一方に通信ボックス520を装着すれば、医用機器と通信ボックス520は、ラック500を通じて電気的に接続できる。
図5に示すように、ラック500と通信ボックス520は、ポール499に対して着脱可能に取り付けるためのポールクランプ400を有する。このため、ラック500に通信ボックス520が装着されても、ラック500と通信ボックス520をポール499に対して確実にクランプして固定することができる。
図8に示す輸液チューブ200と図9に示すシリンジ1200は、チューブ装着部50において水平方向(X方向)に沿って配置されており、向かって右側が薬液の上流側で、向かって左側が薬液の下流側である。しかし、これに限らず、図8に示す輸液チューブ200と図9に示すシリンジ1200は、横方向ではあるが、やや上流側が上で下流側が下になるように傾けて配置しても良い。本発明において、図8の輸液チューブ200と図9に示すシリンジ1200が配置されている横方向は、水平方向と、水平方向に対してやや傾いている傾斜方向をも含んでいる。
医用機器としては、輸液ポンプ1やシリンジポンプ1001に限らず、他の種類の機器であっても良い。
図示のラック500は、装着部C1、C2、C3を有しているが、これに限らず、2つの装着部あるいは、4つ以上の装着部を有する構造にしても良い。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
Claims (5)
- 医用機器を着脱可能に装着する医用機器のラックであって、
本体と、
前記本体の上部と前記本体の下部の少なくとも一方には、情報のやり取りを行うための通信ボックスを着脱可能に装着する連結部と、
前記本体に設けられて、横方向に向けた姿勢で使用される前記医用機器を着脱可能に装着するための装着部と
を有し、
前記ラックと前記通信ボックスは、ポールに対して着脱可能に取り付けるためのポールクランプを有することを特徴とする医用機器のラック。 - 前記本体の上部に配置された前記連結部は、前記通信ボックスに着脱可能にはめ込んで連結する凸型の連結部であり、前記本体の下部に配置された連結部は、前記通信ボックスの一部分を着脱可能にはめ込んで連結する凹型の連結受け部であることを特徴とする請求項1に記載の医用機器のラック。
- 前記装着部に装着された前記医用機器のアウトレット端子受け部に対して挿入されることで前記医用機器と前記ラックとの間の電気的接続を行うアウトレット端子が、前記装着部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の医用機器のラック。
- 前記医用機器は、本体ケースを有し、前記本体ケースの上部分には情報を表示する表示部と操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体ケースの下部分には薬剤を送液するための輸液チューブを装着するためのチューブ装着部と前記チューブ装着部を覆う開閉カバーが配置されている輸液ポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医用機器のラック。
- 前記医用機器は、本体ケースを有し、前記本体ケースの上部分には情報を表示する表示部と操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体ケースの下部分には薬剤を送液するためのシリンジを装着するためのシリンジ装着部が配置されているシリンジポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医用機器のラック。
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