JP6315791B2 - 鉄化合物担持酸化チタン粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、可視光線の照射により優れた光触媒能を発揮する鉄化合物担持酸化チタン粒子、及びその製造方法、並びに前記鉄化合物担持酸化チタン粒子の水性懸濁液に関する。
酸化チタンは紫外線を吸収すると強い酸化作用を発揮するため、近年、様々な用途に光触媒として利用されている(例えば、下記(1)〜(5))。
(1)自動車の排気ガス等から排出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)等の環境汚染物質を分解することによる大気浄化
(2)アンモニア、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭物質を分解することによる消臭
(3)テトラクロロエチレンやトリハロメタン等の有機塩素化合物を分解することによる浄水
(4)殺菌し、更にその死骸を分解することによる抗菌
(5)油分を分解することにより、油分に砂や垢が付着して生じる汚れを防止する防汚
前記酸化チタンは太陽光の照射下では優れた光触媒能を発揮することができるが、白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光源に含まれる紫外線量は4%程度と少なく、大部分が可視光線と赤外線で構成されていることから、このような光源下では十分な光触媒能を発揮することができないという問題があった。
上記問題を解決する方法としては、酸化チタンに窒素や特定の金属(例えば、鉄化合物等)を担持させることにより、可視光応答性を付与する方法が知られている。特許文献1には、励起光の照射下で酸化チタン粒子に鉄化合物を担持させて得られる鉄化合物担持酸化チタン粒子が記載されており、前記鉄化合物担持酸化チタン粒子は可視光応答性に優れることが記載されている。しかし、可視光応答性の点で未だ不十分であった。
また、酸化チタンの製造方法としては塩素法や硫酸法が主流であり、前記方法で得られた酸化チタンは焼成工程を経て粉体化して利用されている。しかし、この方法で得られる酸化チタンは凝集しているため、水中において酸化チタンを再分散することは困難であり、分散剤を添加して、ビーズミルなどにより機械的に分散することを必要とし、前記分散剤によって酸化チタンの光触媒能が低下することも問題であった。
特開2011−225422号公報
従って、本発明の目的は、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲に応答性を有し、生活空間の光源下において高い触媒活性を発揮することができる酸化チタン粒子を提供することにある。
本発明の他の目的は、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲に応答性を有し、生活空間の光源下において高い触媒活性を発揮することができる酸化チタン粒子の水性懸濁液であって、分散剤を使用しなくても高分散状態を長期に亘って維持することができる水性懸濁液を提供することにある。
本発明者等は上記目的を達成するため鋭意検討した結果、平均価数が3を超える鉄化合物を担持した酸化チタン粒子は、平均価数が3以下の鉄化合物を担持した酸化チタン粒子に比べて優れた可視光応答性を有し、室内空間等の紫外線量が少ない環境下においても高い光触媒能を発揮することができること、細菌やウイルスに対して増殖の抑制、死滅、若しくは不活性化させる効果(=抗微生物活性)を発揮することができること、前記抗微生物活性は暗所においても発揮することができること、酸化チタン粒子に鉄化合物を担持させる工程及び鉄化合物を担持した酸化チタン粒子を水洗する工程を励起光照射下で行うと、平均価数が3を超える鉄化合物が担持された酸化チタン粒子を効率よく製造することができること、また、前記方法で得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子は水中において高分散性を有し、凝集し難いため分散剤を使用する必要がなくなり、分散剤の使用による光触媒能の低下を防止することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、酸化チタン粒子表面に鉄化合物が担持されている鉄化合物担持酸化チタン粒子であって、担持されている鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数が3を超えることを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン粒子を提供する。
本発明は、また、担持されている鉄化合物のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)が、α−Fe23のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)より高エネルギーである前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を提供する。
X線吸収微細構造スペクトルの測定条件:
実験ステーション:BL12C
分光器:Si(111)2結晶分光器
ミラー:集光ミラー
吸収端:FeK(7111.2eV)吸収端
検出法:蛍光収量法
使用検出器:多素子半導体検出器
本発明は、また、鉄化合物担持酸化チタン粒子が、酸化チタン粒子の酸化反応面に鉄化合物が担持されている鉄化合物担持酸化チタン粒子である前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を提供する。
本発明は、また、鉄化合物担持酸化チタン粒子における酸化チタン粒子が、ルチル型酸化チタン粒子である前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を提供する。
本発明は、また、暗所において抗微生物活性を有する前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を提供する。
本発明は、また、前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を含む暗所用抗微生物剤を提供する。
本発明は、また、酸化チタン粒子に鉄化合物を担持させて鉄化合物担持酸化チタン粒子を得る工程、及び得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子を水洗する工程を経て前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子を得る鉄化合物担持酸化チタン粒子の製造方法であって、前記両工程を励起光照射下で行うことを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン粒子の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記の鉄化合物担持酸化チタン粒子の水性懸濁液であって、前記鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度が10.2重量%の水性懸濁液を断面積が676cm2の容器に液面高さが29cmになるまで充填して、30℃の暗室で3か月間静置した場合の、液面から5cm下における鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度が7.0重量%以上であることを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン水性懸濁液を提供する。
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は平均価数が3を超える鉄化合物を担持するため、平均価数が3以下の鉄化合物を担持した酸化チタン粒子よりも優れた可視光応答性を発揮することができ、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲の光を吸収することにより、価電子帯にホール、伝導帯に励起電子を生成し、表面の物質を酸化、或いは還元する反応を行うことができる。そのため、太陽光だけでなく、白熱灯、蛍光灯、及びLEDライト等の通常の生活空間における紫外線量の少ない光源を利用して優れた光触媒能を発揮することができ、車内や屋内等の従来は光触媒能を十分に発揮することが困難であった空間において環境浄化等に好適に使用することができる。
また、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は、暗所であっても、細菌からウイルスに至るまで広範囲の微生物に対し抗微生物作用を発揮することができ、光の無いあるいは光の届かない場所や、照明設備があっても非照射状態が長い場所において使用するための暗所用抗微生物剤として好適に使用することができる。
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子が、特に、鉄化合物を酸化チタン粒子の酸化反応面に選択的に担持したものである場合は、光吸収により生じた励起電子とホールの分離性を著しく向上させることができ、励起電子とホールの再結合及び逆反応の進行を抑制することができるため、一層高い光触媒活性を示すことができる。
さらに、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は分散性に優れ、長期に亘って高分散状態を維持することができる。そのため、分散剤を使用する必要がなく、分散剤の使用により引き起こされる光触媒能の低下を防止することができる。
(110)(111)面を有するロッド状ルチル型酸化チタン粒子の(111)面に鉄化合物が担持する様子を模式的に表した図(a)と、(001)(110)(111)面を有するロッド状ルチル型酸化チタン粒子の(001)(111)面に鉄化合物が担持する様子を模式的に表した図(b)である。 実施例1で得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子(1)と、FeO(Fe[II])、Fe34(Fe[II,III])、α−Fe23(Fe[III])のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル(縦軸:吸収強度、横軸:X線照射エネルギー(eV))を示す図である。 鉄化合物担持酸化チタン水性懸濁液の沈降速度を評価する方法において、断面積が676cm2の容器に液面高さが29cmになるまで充填した鉄化合物担持酸化チタン水性懸濁液の、液面から5cm下を採取する方法を示す模式図である。
[鉄化合物担持酸化チタン粒子]
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子表面に鉄化合物が担持されている鉄化合物担持酸化チタン粒子であって、担持されている鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数が3を超えることを特徴とする。
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は、担持されている鉄化合物のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)が、α−Fe23のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)より高エネルギーである。
言い換えると、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は、担持されている鉄化合物のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、X線照射エネルギーが7121eVの時の吸収強度が、α−Fe23のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、X線照射エネルギーが7121eVの時の吸収強度よりも小さいことを特徴とする。
X線吸収微細構造スペクトルの測定条件:
実験ステーション:BL12C
分光器:Si(111)2結晶分光器
ミラー:集光ミラー
吸収端:FeK(7111.2eV)吸収端
検出法:蛍光収量法
使用検出器:多素子半導体検出器
鉄化合物担持酸化チタン粒子における酸化チタン粒子としては、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型酸化チタン粒子等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、ルチル型酸化チタン粒子が好ましい。
酸化チタン粒子としては、公知の方法により製造されたものを使用することができる。
酸化チタン粒子のうち、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子や、(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子は、例えば、チタン化合物を、水性媒体(例えば水、又は水と水溶性有機溶媒との混合液)中で水熱処理[例えば100〜200℃、3〜48時間(好ましくは6〜12時間)]することにより合成することができる。
前記チタン化合物としては、3価のチタン化合物、4価のチタン化合物を挙げることができる。3価のチタン化合物としては、例えば、三塩化チタンや三臭化チタン等のトリハロゲン化チタン等を挙げることができる。3価のチタン化合物としては、なかでも安価で、入手が容易な点で三塩化チタン(TiCl3)が好ましい。
また、4価のチタン化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等を挙げることができる。
Ti(OR1t4-t (1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。tは0〜3の整数を示す)
1における炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等のC1-4脂肪族炭化水素基等を挙げることができる。
Xにおけるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素原子等を挙げることができる。
このような4価のチタン化合物としては、例えば、TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(OC49)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(OC492Cl2、Ti(OC252Br2等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(OC493Cl、Ti(OC253Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等を挙げることができる。本発明における4価のチタン化合物としては、なかでも安価で、入手が容易な点で、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタン(TiCl4)が好ましい。
特に、前記チタン化合物として4価のチタン化合物を使用する場合は、反応温度110〜220℃(好ましくは130〜220℃)、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中で2時間以上(好ましくは5〜15時間)水熱処理を施すことにより(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子、及び/又は(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子を合成することができる。
(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子は、その他、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子を硫酸(好ましくは50重量%以上の高濃度の硫酸、特に好ましくは濃硫酸)中に投入し、加熱下で撹拌することにより、前記酸化チタン粒子の稜又は頂点の部位を浸食(溶解)して合成することもできる。
上記方法により得られた粗酸化チタン粒子は、例えば、濾過、濃縮、蒸留等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
本発明においては、なかでも、酸化チタン粒子の水懸濁液の上澄み液のpHが1以上(好ましくは1〜7、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは2〜5.5)となるまで繰り返し水洗することが好ましく、特に、クロスフロー方式により膜濾過することが、酸化チタン粒子の結晶構造を維持しつつ、イオン性不純物の含有量を低減することができ、粉砕処理等を施す必要がなくそのまま鉄化合物を担持する工程に付すことができ、鉄化合物を高担持することができる酸化チタン粒子が得られる点で好ましい。
また、水洗処理に付す酸化チタン粒子は湿状態であること(すなわち、水熱処理後、蒸発・乾固等を行うことなく水洗処理に付すこと)が好ましい。それにより酸化チタン粒子の凝集を防止することができ、高分散性を有する酸化チタン粒子を得ることができる。
酸化チタン粒子の比表面積としては、例えば10m2/g以上、好ましくは10〜200m2/g、より好ましくは10〜150m2/g、更に好ましくは30〜150m2/g、特に好ましくは50〜100m2/g、最も好ましくは60〜100m2/gである。酸化チタン粒子の比表面積が上記範囲を下回ると、反応物質を吸着する能力が低下して光触媒能が低下する傾向がある。一方、酸化チタン粒子の比表面積が上記範囲を上回ると、励起電子とホールの分離性が低下し、光触媒能が低下する傾向がある。
酸化チタン粒子の形状は、特に限定されないが、ロッド状(すなわち、棒状或いは針状)が好ましく、酸化チタン粒子の平均アスペクト比(長径/短径)は例えば1.5以上、好ましくは1.5〜100、より好ましくは1.5〜50、特に好ましくは1.5〜20、最も好ましくは2〜15である。
尚、本発明の平均アスペクト比は下記調製方法で得られたサンプルについて、下記測定方法で求めた値である。
<サンプル調製方法>
1.少量(耳かきサイズのスパチュラに半分程度)の酸化チタン粒子を9mLのガラス製サンプル瓶に入れ、エタノールを7mL入れ、超音波洗浄器にて超音波を5分間かけてエタノール中に分散させエタノール分散液を得る。
2.得られたエタノール分散液をガラス製スポイドで1滴取り、SEM用試料台の上に落として自然乾燥させた後、30秒間白金蒸着を行う。
<測定方法>
電界放出型走査電子顕微鏡(商品名「FE-SEM JSM-6700F」、日本電子(株)製、加速電圧:15kV、WD:約3mm、倍率:20万倍)を使用して結晶粒子をランダムに観察し、代表的な3カ所を抽出し、抽出されたSEM写真全体の中で、見た目に極端に大きく又は小さくなく、平均的な大きさの粒子を中心に輪郭がはっきりしている粒子30個を抽出してOHPシートに写し、それらの粒子について、画像解析ソフトウェア(商品名「WinROOF Version5.6」、三谷商事(株)製)を用いて各短径(最大長径に直交する幅)を求め、それらの値を平均して平均短径とした。また、同様の方法で平均長径(最大長径)を求め、これらの比(平均長径/平均短径)を平均アスペクト比とした。
酸化チタン粒子表面に担持される鉄化合物は、鉄イオン、鉄単体、鉄塩、鉄酸化物、鉄水酸化物、鉄錯体等のいずれの状態であってもよい。
鉄化合物の担持量としては、酸化チタン粒子に対して重量基準で、例えば50ppm以上、好ましくは100ppm以上、更に好ましくは200ppm以上、特に好ましくは300ppm以上、最も好ましくは500ppm以上である。鉄化合物の担持量の上限は、例えば5000ppm程度、好ましくは3000ppm、特に好ましくは2000ppmである。鉄化合物の担持量が上記範囲を上回ると、励起電子が有効に作用せず、光触媒能が低下する傾向がある。一方、鉄化合物の担持量が少なすぎると、可視光応答性が低下する傾向がある。
鉄化合物は、酸化チタン粒子の露出結晶面における酸化反応面又は還元反応面のうち一方の面(特に、酸化反応面)に選択的に担持されることが、酸化反応と還元反応の反応場を空間的により大きく引き離すことができ、それにより励起電子とホールの分離性を高め、励起電子とホールの再結合及び逆反応の進行を極めて低く抑制することができ、より高い光触媒作用を発揮することができる点で好ましい。
酸化チタン粒子のうち、ルチル型酸化チタン粒子の主な露出結晶面としては、例えば、(110)(001)(111)(011)面等を挙げることができる。ルチル型酸化チタン粒子としては、例えば、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(110)(011)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、酸化反応と還元反応の反応場を空間的により大きく引き離すことができ、励起電子とホールとの再結合及び逆反応の進行を抑制することができる点で、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子が好ましい。前記(111)面と(001)面は酸化反応面であり、(110)面は還元反応面である。
従って、本発明における鉄化合物担持酸化チタン粒子としては、なかでも、(110)(111)面を有し、前記(111)面に鉄化合物が選択的に担持されたルチル型酸化チタン、及び/又は(110)(111)(001)面を有し、前記(001)(111)面に鉄化合物が選択的に担持されたルチル型酸化チタン粒子が好ましい。
なお、本発明において、「鉄化合物が選択的に担持」とは、露出結晶面を有する酸化チタン粒子に担持する鉄化合物の50%を超える量(好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上)が2面以上の露出結晶面のうち、全ての面ではなく、特定の面(例えば、特定の1面又は2面等)に担持されていることをいう。鉄化合物の担持は、透過型電子顕微鏡(TEM)やエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を使用し、露出結晶面上の鉄化合物由来のシグナルを確認することで判定できる。
鉄化合物の酸化チタン粒子への担持は、例えば、酸化チタン粒子に鉄化合物を含浸させる含浸法により行うことができる。
含浸は、具体的には、酸化チタン粒子の水懸濁液中に鉄化合物を添加することにより行うことができ、例えば、鉄化合物として三価の鉄化合物を使用する場合は、例えば、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)等を添加することにより行うことができる。
含浸時間としては、例えば1〜48時間程度、好ましくは3〜36時間、特に好ましくは6〜36時間である。
本発明においては、酸化チタン粒子に鉄化合物を担持する(特に、酸化チタン粒子に鉄化合物を含浸して担持する)工程を、励起光照射下で行うことを特徴とする。励起光を照射すると、酸化チタン粒子の価電子帯の電子が伝導帯に励起し、価電子帯にホール、伝導帯に励起電子が生成し、これらは粒子表面へ拡散し、各露出結晶面の特性に従って励起電子とホールとが分離されて酸化反応面と還元反応面とを形成する。この状態で鉄化合物として、例えば三価の鉄化合物の含浸を行うと、三価の鉄化合物は酸化反応面には吸着するが、還元反応面では三価の鉄化合物は二価の鉄化合物に還元され、二価の鉄化合物は吸着されにくい特性を有するため溶液中に溶出し、結果として酸化反応面に選択的に鉄化合物が担持された鉄化合物担持酸化チタン粒子を得ることができる。
励起光の照射方法としては、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することができればよく、例えば、紫外線を照射することにより行うことができる。紫外線照射手段としては、例えば、中・高圧水銀灯、UVレーザー、UV−LED、ブラックライト等の紫外線を効率よく発生させる光源を有する紫外線露光装置等を使用することができる。励起光の照射量としては、例えば0.1〜300mW/cm2程度、好ましくは0.5〜100mW/cm2である。励起光の照射時間としては、例えば1〜48時間程度、好ましくは3〜36時間、特に好ましくは6〜36時間である。
さらに、本発明においては、含浸の際に犠牲剤を添加することが好ましい。犠牲剤を添加することにより、酸化チタン粒子の2面以上の露出結晶面のうち、全ての面でなく特定の面に高い選択率で鉄化合物を担持させることができる。犠牲剤としては、それ自体が電子を放出しやすい有機化合物を使用することが好ましく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸等のカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)等のアミン等を挙げることができる。
犠牲剤の添加量としては、適宜調整することができ、例えば、酸化チタン粒子の水懸濁液の0.5〜20.0重量%程度、好ましくは1.0〜5.0重量%である。犠牲剤は過剰量を使用してもよい。
さらにまた、含浸処理に付す酸化チタン粒子は湿状態であること(すなわち、水熱処理及び必要に応じて水洗処理後、蒸発・乾固等を行うことなく鉄化合物の含浸処理に付すこと)が好ましい。それにより酸化チタン粒子の凝集を防止することができ、高分散性を有する鉄化合物担持酸化チタン粒子を得ることができる。
鉄化合物担持工程を経て得られた粗鉄化合物担持酸化チタン粒子は、周知慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留等や、これらを組み合わせた方法により精製することができる。
本発明においては、鉄化合物担持工程を経て得られた粗鉄化合物担持酸化チタン粒子を、鉄化合物担持酸化チタン粒子の水懸濁液の上澄み液の電気伝導度が300μS/cm以下(例えば0.5〜300μS/cm、好ましくは0.5〜250μS/cm、特に好ましくは1〜200μS/cm)となるまで繰り返し水洗することが好ましい。鉄化合物担持酸化チタン水懸濁液の電気伝導度が上記範囲となるまで水洗することにより、鉄化合物担持酸化チタン粒子に含まれる不純物[例えば、酸化チタン粒子に含まれる未反応原料(チタン化合物)、鉄化合物(例えば、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)等の3価の鉄化合物等)、反応中間体(例えば、2価の鉄化合物等)]を分離・除去することができ、単位容積当たりの光触媒能を一層向上させることができる。
上記水洗に使用する水としては、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等を挙げることができる。
水洗処理方法としては、例えば、水に分散−水洗−遠心分離を、遠心分離後の上澄み液の電気伝導度が上記範囲となるまで繰り返し行ってもよく、濾過膜を使用し濾過液(若しくは透過液)の電気伝導度が上記範囲になるまで繰り返し膜濾過してもよい。膜濾過には、全量ろ過方式とクロスフロー方式(濾過膜面に平行に被処理水を流し、流れの側方で濾過する方式、下記に示す)が含まれる。本発明においては下記クロスフロー方式により膜濾過することが、鉄化合物担持酸化チタン粒子の結晶構造及び分散性を維持しつつ、イオン性不純物の含有量を低減することができる点で好ましい。
また、本発明においては粗鉄化合物担持酸化チタン粒子の水洗処理を励起光照射下で行うことを特徴とする。励起光を照射した状態で水洗処理を行うと、水洗処理中に、担持された3価の鉄化合物が酸化チタン粒子の還元反応面に移動した場合はその移動した鉄化合物を2価の鉄化合物に還元して溶液中の溶出させることにより、酸化反応と還元反応の反応場を空間的に大きく引き離した状態を維持することができ、励起電子とホールの再結合及び逆反応の進行を極めて低く抑制して高い光触媒作用を発揮することができ、その上、酸化反応面に担持した3価の鉄化合物の少なくとも一部をさらに酸化して高価の鉄化合物とし、結果として平均価数を3を超えるものとすることができるため、一層優れた可視光応答性を獲得することができるからである。励起光の照射は上記と同様の方法により行うことができ、励起光の照射量としては、例えば0.1〜300mW/cm2程度、好ましくは0.5〜100mW/cm2である。
さらに、水洗処理に付す粗鉄化合物担持酸化チタン粒子は湿状態であること(すなわち、鉄化合物の含浸処理後、蒸発・乾固等を行うことなく水洗処理に付すこと)が好ましい。それにより鉄化合物担持酸化チタン粒子の凝集を防止することができ、高分散性を有する鉄化合物担持酸化チタン粒子を得ることができる。
鉄化合物担持酸化チタン粒子を水洗した後は、乾燥処理等に付すことにより、高純度で、優れた光触媒能を有する鉄化合物担持酸化チタン粒子を得ることができる。
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子の比表面積としては、例えば10m2/g以上、好ましくは10〜200m2/g、より好ましくは10〜150m2/g、更に好ましくは30〜150m2/g、特に好ましくは50〜100m2/g、最も好ましくは60〜100m2/gである。
(クロスフロー方式による膜濾過)
前記クロスフロー方式による膜濾過とは、濾過膜面に平行に被処理水を流し、濾滓の沈着による濾過膜汚染を防ぎながら被処理水の一部を、被処理水の流れの側方で濾過する方法である。上記方法により得られた粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液をクロスフロー方式による膜濾過に付すことにより、濾過膜表面に圧密化された濾滓を形成することなくイオン性不純物を効率よく取り除くことができ、(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の結晶構造を維持しつつ、イオン性不純物の含有量を極めて低く低減することができる。尚、「(鉄化合物担持)酸化チタン」とは「酸化チタン又は鉄化合物担持酸化チタン」のことである。
クロスフロー方式による膜濾過に付す粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液の濃度は、例えば0.1〜40重量%程度(好ましくは0.1〜30重量%)である。粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の濃度が上記範囲を外れると、イオン性不純物の除去効率が低下する傾向がある。また、粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の濃度が上記範囲を上回る場合は、粘度が高くなりすぎ、ファウリング(目詰まり)し易くなる。
粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液をクロスフロー方式による膜濾過に付すと、イオン性不純物が透過液と共に分離除去され、濃縮された(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液が得られる。
濃縮倍率は1〜400倍程度(なかでも1〜20倍、特に1〜10倍)に調整することが好ましい。濃縮倍率が上記範囲を上回ると、膜面への付着物質の堆積抑制が困難となり、(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の圧密化を防止することが困難となる傾向がある。また、膜面への付着物質の堆積により濾過膜にファウリング(目詰まり)が発生することにより膜寿命が低下し易くなり、逆洗浄を頻繁に行う必要が生じたり、濾過処理が運転不能となる場合が生じる等により濾過速度が低下する傾向がある。一方、濃縮倍率が上記範囲を下回ると、イオン性不純物の分離効率が低下し、洗浄水の使用量が増加する傾向がある。
前記濃縮倍率は、例えば、濾過圧力、粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液の膜面線速(クロスフロー速度)等をコントロールすることにより調整することができる。濾過圧力は、例えば0.001〜5.0MPa程度、好ましくは0.005〜3MPa、特に好ましくは0.01〜2.0MPaである。
また、粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液を含む供給液の膜面線速は大きいほど膜面への付着物質の堆積が抑制され、高い濾過流束(フラックス)が得られる。膜面線速(クロスフロー速度)は、例えば0.02m/s以上、3m/s未満、好ましくは0.05m/s以上、1.5m/s未満である。
クロスフロー方式による膜濾過を経て濃縮された(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液は、水を加えて(鉄化合物担持)酸化チタン懸濁液の濃度が上記範囲となるように希釈し、再びクロスフロー方式により膜濾過する操作を繰り返すことが好ましい。それにより、ファウリング(目詰まり)等による濾過膜の負荷を軽減し、濾過膜の寿命の低下を抑制しつつ(鉄化合物担持)酸化チタン粒子中のイオン性不純物の含有量を極めて低く低減することができる。
クロスフロー方式による膜濾過に使用する濾過膜としては、例えば、限外濾過膜、精密濾過膜、ナノフィルター、逆浸透膜等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、分離性能に優れる点で限外濾過膜を使用することが好ましい。
限外濾過膜は平均細孔径が1〜20nm程度(好ましくは、1〜10nm)であり、分子量が1000〜300000程度(好ましくは、1000〜50000)、平均粒子径が1〜10nm程度の物質を分離することができる。
限外濾過膜の膜形状としては、例えば、中空糸型濾過膜、チューブラー膜、スパイラル膜、平膜等の何れであっても良いが、逆洗浄が比較的容易に行える点から、中空糸型濾過膜又はチューブラー膜を使用することが好ましい。
中空糸型濾過膜における中空糸膜の内径は、汚染物質による閉塞の防止、膜モジュールへの中空糸充填率の向上という観点から、0.1〜2.0mm程度(好ましくは、0.5〜1.5mm)である。
濾過膜の材質としては、例えば、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セラミックなどの一般的な材質を挙げることができる。本発明においては、なかでも、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル、及び芳香族ポリアミドが好ましい。
中空糸型濾過膜を使用する場合、粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液を流す方法(濾過方式)としては、内側(中空糸膜の内側)に粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液を含む供給液を流し、外側(中空糸膜の外側)に向けて透過水が流れる方式(内圧濾過方式)と、その逆に外側に粗(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液を含む供給液を流し、内側に向けて透過水が流れる方式(外圧濾過方式)が挙げられる。本発明においては、なかでも、膜面流速を高く維持できる点で内圧濾過方式が好ましい。
クロスフロー方式による膜濾過においては、濾過膜面への付着物質の堆積を防止して濾過膜への負担を軽減し、長期間膜濾過運転を行うため、濾過膜に対し洗浄水により間欠的な逆洗浄を施すことが好ましい。逆洗浄は圧力及び流速を制御しつつ予め定められた周期で行うことが好ましい。
逆洗浄の圧力としては、例えば0.01〜3.0MPa程度であり、好ましくは0.01〜2.0MPa、特に好ましくは0.01〜1.0MPa、最も好ましくは0.01〜0.5MPa、さらに好ましくは0.05〜0.5MPaである。また、逆洗浄の流速としては、例えば0.01〜10kg/mim程度、好ましくは0.05〜5kg/mim、特に好ましくは0.1〜5kg/mim[或いは、例えば1×10-7〜2×10-4m/sec程度、好ましくは8×10-7〜9×10-5m/sec、特に好ましくは1×10-6〜9×10-5m/sec]である。逆洗浄の頻度としては、例えば0.5〜3時間に1回程度行うことが好ましい。逆洗浄の時間は0.5〜10分程度が好ましい。
なお、逆洗浄に用いる洗浄水としては、水(例えば、精製水、蒸留水、純水、イオン交換水等)を使用することが好ましい。また、逆洗浄により膜通過した洗浄水は、濃縮された(鉄化合物担持)酸化チタン粒子の水懸濁液の希釈用の水として再利用することができる。
上記方法により得られた粗酸化チタン粒子の水懸濁液をクロスフロー方式により膜濾過する場合は、透過液のpHが1以上(好ましくは1〜7、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは2〜5.5)となるまで繰り返し行うことが好ましい。クロスフロー方式による膜濾過を透過液のpHが上記範囲となる前に終了すると、イオン性不純物(特に、水素イオン、塩素イオン、チタンイオン)の除去が不十分となり、鉄化合物の担持が困難となる場合がある。
上記方法により得られた粗鉄化合物担持酸化チタン粒子の水懸濁液をクロスフロー方式により膜濾過する場合は、透過液の電気伝導度が300μS/cm以下(例えば0.5〜300μS/cm、好ましくは0.5〜250μS/cm、特に好ましくは1〜200μS/cm)となるまで繰り返し行うことが好ましい。クロスフロー方式による膜濾過を透過液の電気伝導度が上記範囲となる前に終了すると、イオン性不純物(特に、鉄イオン、塩素イオン)の除去が不十分となる場合がある。
上記方法により得られる本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は優れた光触媒能を有し、可視光によるメタノール酸化法(メタノールを酸化した際に生成するCO2量)により評価した光触媒能は、例えば、500ppm以上、好ましくは600ppm以上である。尚、本発明の光触媒能は、実施例において使用されたメタノール酸化法によって求められる。
また、上記方法により得られる本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は分散性に優れ、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子の水性懸濁液であって、前記鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度が10.2重量%の水性懸濁液を断面積が676cm2の容器に液面高さが29cmになるまで充填して、30℃の暗室で3か月間静置した場合の、液面から5cm下における鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度は、例えば7.0重量%以上、好ましくは8.0重量%以上、特に好ましくは9.0重量%以上、最も好ましくは9.5%以上である。そのため、前記鉄化合物担持酸化チタン粒子の水性懸濁液は、光触媒能を低下させる恐れのある分散剤を添加する必要が無く、分散剤の使用により引き起こされる光触媒能の低下を防止することができる。尚、本発明の鉄化合物担持酸化チタン水性懸濁液は、溶媒として少なくとも水を含有し、水と共に、水に対して可溶性を有する有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトンなど)を含有していても良い。
更に、従来の光触媒は紫外線量の少ない環境下では機能が充分に発揮できなかったため、屋内や車内用途への応用はなかなか進まなかったが、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲において優れた応答性を有するため、屋外だけでなく、屋内や車内等の紫外線量が低い環境下(例えば、白熱灯や蛍光灯等を光源とする生活空間内等)においても優れた光触媒能を発揮して抗微生物活性、消臭、大気浄化、水質浄化、防汚等の様々な効果を発揮することができる。そのため、屋内(例えば、トイレ、喫煙ルーム等)や車内の環境浄化、家電製品の高機能化等、広範囲への応用が可能である。
本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子の抗微生物活性については、暗所(紫外光、可視光が照射されない場所)においても発揮することができ、細菌からウイルスに至るまで広範囲の微生物に対し、その増殖を抑制したり、死滅又は不活性化させることができる。抗菌活性値は、例えば2以上である。抗ウイルス活性値は、例えば2以上である。尚、前記抗菌活性値や抗ウイルス活性値は実施例に記載の方法で測定することができる。そのため、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子は暗所用抗微生物剤としても好適に使用することができる。
そして、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子を含む暗所用抗微生物剤を光の無いあるいは光の届かない場所や、照明設備があっても非照射状態が長い場所(例えば、家庭内や病院、学校等の公共施設内のトイレ、キッチン、風呂、洗面所、倉庫、会議室、待合室、手術室などの床、壁、天井、家具、付帯設備、サニタリー用品、空調設備、衛生設備、車内のシート、車のエアコンフィルター、床、壁面など)に適用[例えば、本発明の鉄化合物担持酸化チタン粒子を分散媒やバインダー成分等と混合して塗布する等]することで、その空間内に存在する細菌やウイルス等の微生物の増殖を抑制したり、死滅又は不活性化させることができる。特に、冷蔵庫の内部(収納室)、洗濯機や浴室乾燥機等の機械の内部、水道管、配水管、冷却器、加湿器の水タンク、エアコンのドレンパンなどの、光がほとんど照射されない部位における細菌やウイルスの増殖を効果的に抑制することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
(粗酸化チタン懸濁液の調製)
室温(25℃)にて、四塩化チタン水溶液(Ti濃度:16.5±0.5重量%、塩素イオン濃度:31±2重量%、東邦チタニウム(株)製)をTi濃度が5.6重量%になるように純水で希釈した。希釈後の四塩化チタン水溶液5650gを容量10Lのタンタルライニングのオートクレーブに入れ密閉した。熱媒を用い、2時間かけて上記オートクレーブ内温度を140℃まで昇温した。その後、撹拌所要動力(Pv値)1360W/m3で撹拌しつつ、温度:140℃、圧力:その温度における蒸気圧の条件下で5時間保持し、その後、熱媒を冷却することにより、オートクレーブを40℃以下まで冷却した。オートクレーブ内温度が40℃以下になったことを確認して、粗酸化チタン懸濁液5650gを取り出した。
(クロスフロー方式による膜濾過処理(1))
上記(粗酸化チタン懸濁液の調製)で得られた粗酸化チタン懸濁液を純水で3倍に希釈して、中空糸型限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行った。濾過処理を経て得られた濃縮液は再度仕込みタンクに循環し、透過液のpHが4.0になるまで繰り返し濾過処理に付した。尚、pHはpH試験紙を使用して測定した。この間、1時間に1回の割合で0.1MPaの圧力、2kg/minの流速で1分間逆洗浄を実施した。この逆洗浄により膜通過した洗浄水は仕込みタンクに循環した。その後、純水の仕込を停止し、酸化チタン濃度を濃縮させて酸化チタン懸濁液を得た。酸化チタン懸濁液を常圧下、105℃で1時間乾燥したところ、結晶面(110)及び結晶面(111)及び結晶面(001)を有するロッド状有するロッド状酸化チタン525gが得られた。
得られた酸化チタンの下記紫外光によるトルエン酸化法で評価した光触媒能は625ppm(分解率:94%)であった。
(鉄化合物担持処理)
上記(クロスフロー方式による膜濾過処理(1))を経て得られた酸化チタン懸濁液に、塩化鉄水溶液(35重量%)7.5gを添加し、室温(25℃)にて30分撹拌した。その後、メタノール95g(酸化チタン懸濁液の1.7重量%)を添加し、100Wの高圧水銀ランプを用いて紫外線(UV)を12時間照射して(UV照射量:5mW/cm2)、粗鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)を得た。
(クロスフロー方式による膜濾過処理(2))
仕込みタンク内において、100Wの高圧水銀ランプを用いて紫外線(UV)(UV照射量:5mW/cm2)を照射しながら、粗鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)を純水で3倍に希釈後、中空糸型限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行った。濾過処理を経て得られた濃縮液は再度仕込みタンクに循環し、透過液の電気伝導度が200μS/cmになるまで繰り返し濾過処理に付した。この間、1時間に1回の割合で0.1MPaの圧力、2kg/minの流速で1分間逆洗浄を実施した。この逆洗浄により膜通過した洗浄水は仕込みタンクに循環した。その後、純水の仕込みを停止し、鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)(平均粒子径:1000nm、鉄化合物担持酸化チタン濃度:15重量%、上澄み液の電気伝導度:200μS/cm、上澄み液のpH:4.9)を得た。仕込みタンク内における紫外線(UV)照射時間は累計24時間であった。その後、常圧下、105℃で1時間乾燥して、鉄化合物担持酸化チタン(1)(比表面積:77m2/g、平均アスペクト比:6)を得た。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(1)は、結晶面(110)及び結晶面(111)を有し、前記結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンと結晶面(110)、結晶面(111)及び結晶面(001)を有し、前記結晶面(001)及び結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンの混合物であった(図1)。
更に、得られた鉄化合物担持酸化チタンのX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した結果、鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数は3を超える値であった(図2)。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(1)の鉄化合物の含有量は800ppm、下記可視光によるメタノール酸化法により評価した光触媒能は734ppmであった。
更にまた、得られた鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)(濃度:10.21重量%)を断面積が676cm2の容器に液面高さが29cmになるまで充填し、30℃の恒温暗室で1か月間静置し、静置後の上澄み液(=液面から5cm下の液)の鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度(重量%)を測定した。
上記と同様の方法で得られた鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)について、静置時間を2〜4か月に変更した以外は上記と同様にして、静置後の上澄み液の鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度(重量%)を測定した。
尚、前記断面積が676cm2の容器としては、20Lポリタンク(縦×横×高さ=26cm×26cm×39cm、商品名「クリーンボトルAS050C ナチュラル」、(株)アイセロ製)を使用した(図3参照)。
結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 0006315791
また、得られた鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(1)の抗微生物活性を下記方法により評価した。
その結果、抗菌活性値は4.5、抗ウイルス活性値は5.0であった。
実施例2
上記(鉄化合物担持処理)において、紫外線照射時間を12時間から36時間に変更した以外は、実施例1と同様にして粗鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(2)を得、鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(2)を得、結晶性の鉄化合物担持酸化チタン(2)(比表面積:78m2/g、平均アスペクト比:5)を得た。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(2)は、結晶面(110)及び結晶面(111)を有し、前記結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンと結晶面(110)、結晶面(111)及び結晶面(001)を有し、前記結晶面(001)及び結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンの混合物であった。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(2)のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した結果、鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数は3を超える値であった。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(2)の鉄化合物の含有量は730ppm、下記可視光によるメタノール酸化法により評価した光触媒能は774ppmであった。
実施例3
上記(鉄化合物担持処理)において、UV照射量を5mW/cm2から10mW/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にして粗鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(3)を得、鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(3)を得、結晶性の鉄化合物担持酸化チタン(3)(比表面積:78m2/g、平均アスペクト比:4.8)を得た。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(3)は、結晶面(110)及び結晶面(111)を有し、前記結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンと結晶面(110)、結晶面(111)及び結晶面(001)を有し、前記結晶面(001)及び結晶面(111)に選択的に鉄化合物が担持されたロッド状ルチル型酸化チタンの混合物であった。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(3)のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した結果、鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数は3を超える値であった。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(3)の鉄化合物の含有量は720ppm、下記可視光によるメタノール酸化法により評価した光触媒能は753ppmであった。
実施例4
(鉄化合物担持処理)において酸化チタン(商品名「ST01」、石原産業(株)製)を水に懸濁させた酸化チタン懸濁液を使用した以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(4)を得、結晶性の鉄化合物担持酸化チタン(4)を得た。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(4)の鉄化合物の含有量は80ppmであり、下記可視光によるメタノール酸化法により評価した光触媒能は400ppmであり、鉄化合物の含有量が少ない割には光触媒能が優れていた。
また、実施例1と同様にして鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(4)の分散性を評価したところ、静置後1週間の上澄み液の鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度は0.50重量%であった。
比較例1
上記(鉄化合物担持処理)において紫外線照射を行わず、且つ、(クロスフロー方式による膜濾過処理(2))においては仕込みタンク内での紫外線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして粗鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(5)を得、鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(5)を得、結晶性の鉄化合物担持酸化チタン(5)(比表面積:78m2/g、平均アスペクト比:4.8)を得た。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(5)のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した結果、鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数は3価より小さい値であった。
得られた鉄化合物担持酸化チタン(5)の鉄化合物の含有量は850ppmであった。また、下記可視光によるメタノール酸化法により評価した光触媒能は476ppmであった。
<光触媒活性評価方法(紫外光によるトルエン酸化法)>
気相にてトルエンを酸化し、生成するCO2量を測定することにより光触媒活性を評価した。
酸化チタン200mgをガラス製皿に広げて反応容器(テドラーバッグ、材質:フッ化ビニル樹脂)の中に入れ、100ppmのトルエンガス125mLを反応容器内に吹き込んだ。トルエンガスの酸化チタンへの吸着が平衡に達した後、室温(25℃)で光照射(LED、光強度:0.1mW/cm2、光の波長:365nm)を行い、光照射開始から24時間後のCO2の生成量を測定した。
<光触媒活性評価方法(可視光によるメタノール酸化法)>
気相にてメタノールを酸化し、生成するCO2量を測定することにより光触媒活性を評価した。
鉄化合物担持酸化チタン200mgをガラス製皿に広げて反応容器(テドラーバッグ、材質:フッ化ビニル樹脂)の中に入れ、800ppmのメタノールガス125mLを反応容器内に吹き込んだ。メタノールガスの鉄担持酸化チタンへの吸着が平衡に達した後、室温(25℃)で光照射(LED、光強度:2.5W/m2、光の波長:455nm)を行った。光照射開始から24時間後のCO2の生成量(反応容器内のCO2濃度)をメタナイザー(商品名「MT221」、GLサイエンス(株)製)が付属した水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(商品名「GC−14B」、島津製作所製)を使用して測定した。
<鉄化合物担持酸化チタンのX線吸収微細構造(XAFS)>
鉄化合物担持酸化チタンにX線を照射し、その吸収量を計測することにより、X線吸収微細構造(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)スペクトルを測定した。
また、比較のため、FeO(Fe[II])、Fe34(Fe[II,III])、α−Fe23(Fe[III])についても同様に測定した。
測定条件
実験施設:高エネルギー加速器研究機構 放射光科学研究施設(Photon Factory)
実験ステーション:BL12C
分光器:Si(111)2結晶分光器
ミラー:集光ミラー
吸収端:FeK(7111.2eV)吸収端
検出法:蛍光収量法
使用検出器:多素子半導体検出器
<抗微生物活性(抗菌活性及び抗ウイルス活性)の評価方法>
(抗菌活性、抗ウイルス活性試験に使用する試験片の作製方法)
鉄化合物担持酸化チタン懸濁液(鉄化合物担持酸化チタン濃度:10重量%)を固形分が1mg/cm2となるように、ガラス板(50mm×50mm×1mm)にスプレーガンを用いて塗布し、自然乾燥したものを試験片とした。
(抗菌活性の測定方法)
上記試験片(=鉄化合物担持酸化チタン塗工ガラス板)を用いて、大腸菌の生菌数を測定することにより評価した。鉄化合物担持酸化チタン層には、予め紫外線強度が1mW/cm2となるように(トプコン社製紫外線強度計「UVR−2」に同社製受光部「UD−36」を取り付けて測定)、ブラックライトを用いて紫外線を17時間照射し、これを抗菌活性測定用試料とした。
次に、この抗菌活性測定用試料を用いて、日本工業規格JIS R 1752:2013「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」に基づく方法で暗所のみで試験を行った。すなわち、鉄化合物担持酸化チタン層に大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)の菌液(生菌数:2.0×105個)を接種し、被覆フィルムを載せて密着させ、これを室温(25±5℃)、暗所で4時間保存し、試料検体1個当たりの生菌数を測定した。
鉄化合物担持酸化チタン未塗工ガラス板についても同様の操作を行い、生菌数を測定した。
なお、抗菌性測定用試験片を3つ用いて同時に行い、これら3つの生菌数の平均値で評価を行った。抗菌活性値は以下の式で求めた。抗菌活性値が2以上であれば、一般的に抗菌活性を発現しているといえる。
抗菌活性値=log(N10/N1
10:鉄化合物担持酸化チタン未塗工ガラス板で評価を4時間行った後の生菌数の平均値
1:鉄化合物担持酸化チタン塗工ガラス板で評価を4時間行った後の生菌数の平均値
暗所保管4時間後の生菌数が少ないものほど、大腸菌の抗菌性が高いと言える。
(抗ウイルス活性の測定方法)
上記試験片(=鉄化合物担持酸化チタン塗工ガラス板)を用いて、バクテリオファージ感染価を測定することにより評価した。鉄化合物担持酸化チタン層には、予め紫外線強度が1mW/cm2となるように(トプコン社製紫外線強度計「UVR−2」に同社製受光部「UD−36」を取り付けて測定)、ブラックライトを用いて紫外線を24時間照射し、これを抗ウイルス活性測定用試料とした。
次に、この抗ウイルス活性測定用試料を用いて、日本工業規格JIS R 1756:2013「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の抗ウイルス性試験方法−バクテリオファージQβ」に基づく方法で暗所のみで試験を行った。すなわち、鉄化合物担持酸化チタン層にバクテリオファージQβ(Escherichia coli phage Qβ NBRC20012)の試験液(バクテリオファージ感染価:1.0×106pfu)を接種し、被覆フィルムを載せて密着させ、これを室温(25±5℃)、暗所で2時間保存後、活性ファージを大腸菌に感染させることにより、試料検体1個当たりのバクテリオファージ感染価を測定した。
鉄化合物担持酸化チタン未塗工ガラス板についても同様の操作を行い、バクテリオファージ感染価を測定した。
なお、抗ウイルス性測定用試験片を3つ用いて同時に行い、これら3つのバクテリオファージ感染価の平均値で評価を行った。抗ウイルス活性値は以下の式で求めた。抗ウイルス活性値が2以上であれば、一般的に抗ウイルス活性を発現しているといえる。
抗ウイルス活性値=log(N20/N2
20:鉄化合物担持酸化チタン未塗工ガラス板で評価を2時間行った後のバクテリオファージ感染価の平均値
2:鉄化合物担持酸化チタン塗工ガラス板で評価を2時間行った後のバクテリオファージ感染価の平均値
暗所保管2時間後のバクテリオファージ感染価が少ないものほど、抗ウイルス性が高いと言える。

Claims (6)

  1. 酸化チタン粒子表面に鉄化合物が担持されている鉄化合物担持酸化チタン粒子であって、前記酸化チタン粒子がルチル型酸化チタン粒子であり、鉄化合物が前記酸化チタン粒子の酸化反応面に担持されており、担持されている鉄化合物に含まれる鉄イオンの平均価数が3を超えることを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン粒子。
  2. 担持されている鉄化合物のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)が、α−Fe23のFe−K端 X線吸収微細構造スペクトル中の吸収端近傍構造スペクトルにおける、吸収強度0.5を示すX線照射エネルギー(eV)より高エネルギーである請求項1に記載の鉄化合物担持酸化チタン粒子。
    X線吸収微細構造スペクトルの測定条件:
    実験ステーション:BL12C
    分光器:Si(111)2結晶分光器
    ミラー:集光ミラー
    吸収端:FeK(7111.2eV)吸収端
    検出法:蛍光収量法
    使用検出器:多素子半導体検出器
  3. 暗所において抗微生物活性を有する請求項1又は2に記載の鉄化合物担持酸化チタン粒子。
  4. 請求項1又は2に記載の鉄化合物担持酸化チタン粒子を含む暗所用抗微生物剤。
  5. 酸化チタン粒子に鉄化合物を担持させて鉄化合物担持酸化チタン粒子を得る工程、及び得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子を水洗する工程を経て請求項1〜の何れか1項に記載の鉄化合物担持酸化チタン粒子を得る鉄化合物担持酸化チタン粒子の製造方法であって、前記酸化チタン粒子としてルチル型酸化チタン粒子を使用し、前記両工程を励起光照射下で行うことを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の鉄化合物担持酸化チタン粒子の水性懸濁液であって、前記鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度が10.2重量%の水性懸濁液を断面積が676cm2の容器に液面高さが29cmになるまで充填して、30℃の暗室で3か月間静置した場合の、液面から5cm下における鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度が7.0重量%以上であることを特徴とする鉄化合物担持酸化チタン水性懸濁液。
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