JP5986799B2 - 遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量の調整方法 - Google Patents

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本発明は、遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量の調整方法、及び前記遷移金属化合物担持量の調整方法を利用した遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法に関する。
光触媒反応とは、光触媒能を有する固体化合物に紫外線を照射すると励起電子と電子が出たあとの穴(正孔:ホール)が生成し、該励起電子が還元作用を、該ホールが強い酸化作用を有し、これらにより反応物を酸化、或いは還元する反応である。代表的な光触媒能を有する固体化合物としては酸化チタンが知られている。酸化チタンは紫外線を吸収することにより、強い酸化作用を発揮することができ、例えば、大気浄化、水質浄化、汚染防止、脱臭、抗菌、院内感染防止、曇り防止等幅広い用途に応用されている。
しかしながら、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光源に含まれる紫外線量は4%程度と少なく、大部分が可視光線と赤外線で構成されていることから、このような光源下では、酸化チタンの光触媒能を十分発揮させることが困難であった。
その解決方法としては、酸化チタンに特定の金属を担持することにより、バンドギャップを小さくして可視光応答性を付与する方法が挙げられる。特許文献1には、原料であるチタン化合物をアルカリ処理して水酸化チタンを得、得られた水酸化チタンに金属塩を添加して金属被覆水酸化チタンとし、更に水熱処理を施すことにより金属被覆酸化チタンを得る方法が記載されている。しかし、前記方法は工程が複雑であり、また、所望の可視光応答性、及び光触媒能を付与することは困難であった。
国際公開第2006/044495号
従って、本発明の目的は、所望の可視光応答性及び光触媒能を容易に付与することができる、遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法、及び所望の可視光応答性及び光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、酸化チタンの水分散液に遷移金属化合物を添加して、酸化チタン表面に遷移金属化合物を担持させる工程において、酸化チタンの水分散液のpHを0から7の範囲で調整すると、酸化チタンへの遷移金属化合物担持量を調整することができ、所望の遷移金属化合物担持量及び光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを容易に得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、チタン化合物を水熱処理して得られる酸化チタンの水分散液に遷移金属化合物を添加することにより得られる遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量の調整方法であって、前記酸化チタンの水分散液のpHを0から7の範囲で調整することにより遷移金属化合物担持量を調整することを特徴とする遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法を提供する。
前記酸化チタンの水分散液のpHの調整は、酸化チタンの水分散液のpHが0から7の範囲になるまで水洗処理を施す、及び/又は酸化チタンの水分散液のpHが0から7の範囲になるまで塩基を添加することにより行うことが好ましい。
本発明は、また、反応温度100℃〜220℃、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中でチタン化合物に2〜48時間水熱処理を施すことにより酸化チタンを生成させ、得られた酸化チタンに、前記遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法により担持量を調整しつつ遷移金属化合物の担持を行うことを特徴とする遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法を提供する。
前記遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法においては、励起光照射下で、酸化チタンに遷移金属化合物を担持することが好ましい。
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法によれば、遷移金属化合物を担持する際の酸化チタンの水分散液のpHを調整することにより、容易に、酸化チタンに担持される遷移金属化合物量を所望する値に調整することができる。そして、前記遷移金属化合物担持量調整方法により遷移金属化合物担持量を調整すれば、高い遷移金属化合物担持量を有し、優れた可視光応答性及び光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを、容易且つ効率よく製造することができる。そのようにして得られた遷移金属化合物担持酸化チタンは、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光を吸収して、有機物質を効率よく酸化することができるため、大気の浄化、脱臭、浄水、抗菌、防汚等の目的に有用である。
[遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法]
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法は、チタン化合物を水熱処理して得られる酸化チタンの水分散液に遷移金属化合物を添加することにより得られる遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量の調整方法であって、前記酸化チタンの水分散液のpHを0から7の範囲で調整することにより遷移金属化合物担持量を調整することを特徴とする。pHが上記範囲を外れると、酸化チタンへの効率的な遷移金属化合物の担持が困難となり、可視光応答性が著しく低下する。
酸化チタンの水分散液のpHの調整は、例えば、酸化チタンの水分散液のpHが0から7の範囲になるまで水洗処理を施す方法(水洗処理方法)や、酸化チタンの水分散液のpHが上記範囲になるまで塩基を添加する方法(中和処理方法)や、これらを組み合わせて行う方法等を挙げることができる。
酸化チタンへの遷移金属化合物の担持し易さに影響を与える因子としては、例えば、酸化チタンの水分散液中のイオン性不純物含有量が挙げられる。イオン性不純物が酸化チタンの水分散液中に存在すると、遷移金属化合物の担持が阻害され、その結果として得られる遷移金属化合物担持酸化チタンの光触媒能が低下する傾向がある。本発明においては、上記水洗処理及び/又は中和処理等により、酸化チタンの水分散液のpHを上記範囲に調整することで、酸化チタンの水分散液中に含有するイオン性不純物含有量を調整することができ、酸化チタン表面への遷移金属化合物担持量を調整することができる。
上記酸化チタンに含まれるイオン性不純物としては、例えば、原料となるチタン化合物に由来するチタンイオン、ハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)等を挙げることができる。
上記水洗処理は、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等を使用して行うことができる。
水洗処理方法としては、例えば、水に分散−水洗−遠心分離を、遠心分離後の上澄み液のpHが上記範囲となるまで繰り返し行ってもよく、濾過膜を使用し濾過液(若しくは透過液)のpHが上記範囲になるまで繰り返し膜濾過してもよい。膜濾過には、全量ろ過方式とクロスフロー方式(濾過膜面に平行に被処理水を流し、流れの側方で濾過する方式)が含まれる。
濾過膜としては、例えば、孔サイズが1〜20nm(好ましくは、1〜10nm)であり、分子量1000〜300000の物質、好ましくは、分子量1000〜50000の物質を分離対象とする限外濾過膜を使用することが好ましい。
また、濾過膜の膜形状としては、例えば、中空糸型濾過膜、チューブラー膜、スパイラル膜、平膜等の何れであっても良いが、逆洗浄が比較的容易に行える点から、中空糸型濾過膜、又はチューブラー膜を使用することが好ましい。
濾過膜の材質としては、例えば、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セラミックなどの一般的な材質を特に制限されることなく使用することができる。本発明においては、なかでも、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミドが好ましい。
濾過圧力は、例えば0.001〜5.0MPa程度であり、好ましくは0.005〜3MPa、特に好ましくは0.01〜2.0MPaである。
また、膜濾過する場合、濾過膜面への付着物質の堆積を防止して濾過膜への負担を軽減し、長期間膜濾過運転を行うため、濾過膜に対し洗浄水により間欠的な逆洗浄を施すことが好ましい。逆洗浄は圧力及び流速を制御しつつ予め定められた周期で行うことが好ましい。
中和処理に使用する塩基としては、例えば、ヒドロキシルアミン、アンモニアやその塩、アンモニア水、第1級から第4級のアミン類やその塩、水酸化バリウム等の金属水酸化物、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド等の金属アルコキサイド、リチウムアンモニア溶液、塩基性イオン交換樹脂、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩類、リン酸水素2ナトリウム等のリン酸塩類、酢酸ナトリウム等の酢酸塩類等の弱塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、弱塩基を使用することが好ましく、特に、アンモニア、アンモニア水等が、入手しやすく、且つ取り扱いが容易である点で好ましい。
上記水洗処理、及び中和処理は一方のみを行ってもよく、両方行ってもよい。水洗処理と中和処理とを両方行う場合、水洗処理−中和処理の順で行ってもよく、中和処理−水洗処理の順で行ってもよい。
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法によれば、遷移金属化合物を添加する際の酸化チタンの水分散液のpHを上記範囲内で調整することにより、容易に、遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物の担持量を、例えば、0ppmを超え、5000ppm以下(なかでも10〜5000ppm、好ましくは20〜4000ppm、より好ましくは50〜4000ppm、特に好ましくは70〜3000ppm、更に好ましくは100〜2000ppm、最も好ましくは200〜2000ppm)の範囲内で調整することができる。
[遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法]
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法は、反応温度100℃〜220℃、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中でチタン化合物に2〜48時間水熱処理を施すことにより酸化チタンを生成させる工程(酸化チタン生成工程)、得られた酸化チタンに、前記遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法により担持量を調整しつつ遷移金属化合物の担持を行う工程(遷移金属化合物担持工程)を有する。
[酸化チタン生成工程]
本発明の酸化チタン生成工程は、反応温度100℃〜220℃、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中でチタン化合物に2〜48時間水熱処理を施すことにより酸化チタンを得る工程である。
(チタン化合物)
本発明におけるチタン化合物としては、例えば、3価のチタン化合物、4価のチタン化合物等を挙げることができる。
3価のチタン化合物としては、例えば、三塩化チタンや三臭化チタンなどのトリハロゲン化チタン等を挙げることができる。
4価のチタン化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等を挙げることができる。
Ti(OR)t4-t (1)
(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。tは0〜3の整数を示す)
Rにおける炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等のC1-4脂肪族炭化水素基等を挙げることができる。
Xにおけるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
このような4価のチタン化合物としては、例えば、TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(OC49)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(OC492Cl2、Ti(OC252Br2等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(OC493Cl、Ti(OC253Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等を挙げることができる。
本発明におけるチタン化合物としては、なかでも、より強い酸化作用を発揮することができる点で、4価のチタン化合物[なかでも、安価、且つ入手が容易な点で、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタン(TiCl4)が好ましい]が好ましい。
(水性媒体)
水熱処理の際に用いる水性媒体としては、例えば、水、又は水と水溶性有機溶媒との混合液等を挙げることができる。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;アセトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;酢酸等のカルボン酸等を挙げることができる。水と水溶性有機溶媒との混合比率は、前者/後者(重量比)=10/90〜99.9/0.1、好ましくは50/50〜99/1程度である。
本発明においては、なかでも水溶性有機溶媒の回収作業が不要な点で水を使用することが好ましい。
また、水性媒体にはハロゲン化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム等のアルカリ金属ハロゲン化物等)を添加してもよい。しかし、本発明においては、特にハロゲン化物を添加しなくとも、結晶化度が高く、粒子径の揃った酸化チタンを得ることができる。
水性媒体中のチタン化合物濃度(チタン換算)としては、1.5〜17.0重量%(好ましくは2.5〜15.0重量%、特に好ましくは2.5〜8.0重量%)となる濃度であることが好ましい。水性媒体中のチタン化合物濃度(チタン換算)が上記範囲を上回ると、例えば塩素等が副生することにより反応器が腐食し易くなる場合がある。一方、水性媒体中のチタン化合物濃度(チタン換算)が上記範囲を下回ると、反応により得られる酸化チタンに結晶型の異なるものが混在して、結晶型の均一性が低下する傾向がある。
水熱処理時の反応温度は100℃〜220℃(好ましくは110℃〜210℃、特に好ましくは110℃〜200℃)である。水熱処理時の反応温度が上記範囲を上回ると、例えば塩素等が副生することにより反応器が腐食し易くなる場合がある。一方、水熱処理時の反応温度が上記範囲を下回ると結晶型の均一性が低下する傾向がある。
水熱処理は反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下(すなわち、密閉系)で行われる。
また、水熱処理を施す時間は2〜48時間、好ましくは2〜24時間、より好ましくは2〜15時間、特に好ましくは5〜15時間である。水熱処理を施す時間が長すぎると生産性が低下する傾向がある。一方、水熱処理を施す時間が短すぎると結晶型の均一性が低下する傾向がある。
水熱処理は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方法により行うことができ、例えば、オートクレーブ等の密閉系反応容器を使用して、反応温度、反応圧力、反応時間、及び必要に応じて水性媒体中のチタン化合物濃度(チタン換算)を上記範囲に調整することにより行うことができる。
酸化チタン生成工程により得られる酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタンが好ましく、より好ましくはロッド状ルチル型酸化チタン、特に好ましくは(110)面及び(111)面を有するロッド状ルチル型酸化チタン及び/又は(110)面(111)面及び(001)面を有するロッド状ルチル型酸化チタンである。また、前記酸化チタンの比表面積としては、例えば10〜200m2/g、好ましくは10〜100m2/gである。酸化チタンの比表面積が上記範囲を下回ると、反応物質の吸着能力が低下して光触媒能が低下する傾向があり、一方、酸化チタンの比表面積が上記範囲を上回ると、励起電子とホールの分離性が低下し、励起電子とホールとの再結合や逆反応の進行により光触媒能が低下する傾向がある。
[遷移金属化合物担持工程]
本発明の遷移金属化合物担持工程は、上記酸化チタン生成工程で得られた酸化チタンに、前記遷移金属化合物担持酸化チタンにおける遷移金属化合物担持量調整方法により担持量を調整しつつ遷移金属化合物の担持を行う工程である。
遷移金属化合物は、例えば、遷移金属イオン、遷移金属単体、遷移金属塩、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物又は遷移金属錯体の状態で担持される。遷移金属化合物としては、可視光領域に吸収スペクトルを有し、可視光照射により励起状態となり伝導帯に電子を注入することができるものが好ましく、例えば、周期表第3〜第11族元素化合物、なかでも周期表第8〜第11族元素化合物が好ましく、特に、三価の鉄化合物(Fe3+)が好ましい。
酸化チタンへの遷移金属化合物の担持は、例えば、酸化チタンに遷移金属化合物を含浸する含浸法により行うことができる。具体的には、上記酸化チタン生成工程を経て得られた酸化チタンの水分散液中に、撹拌しながら、遷移金属化合物を添加することにより行うことができ、例えば、遷移金属化合物として三価の鉄化合物(Fe3+)を担持する場合は、例えば、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)等を添加することにより行うことができる。
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法では、遷移金属化合物を添加する際の酸化チタンの水分散液のpHを0から7の範囲で調整することにより、所望量(例えば、0ppmを超え、5000ppm以下程度)の遷移金属化合物を担持した遷移金属化合物担持酸化チタンを容易に製造することができる。pHが上記範囲を外れると、効率的な酸化チタンへの遷移金属化合物の担持が困難となり、得られる遷移金属化合物担持酸化チタンの可視光応答性が著しく低下する。また、遷移金属化合物の担持量が上記範囲を上回ると、励起電子が有効に作用せず、光触媒能が低下する傾向がある。
本発明においては、特に、遷移金属化合物の担持量が多く(例えば、0ppmを超え、5000ppm以下(なかでも10〜5000ppm、好ましくは20〜4000ppm、より好ましくは50〜4000ppm、特に好ましくは70〜3000ppm、更に好ましくは100〜2000ppm、最も好ましくは200〜2000ppm)、優れた可視光応答性、及び光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを製造する場合は、遷移金属化合物を添加する際の酸化チタンの水分散液のpHを、例えば、0から7.0(好ましくは1.0以上、6.0未満、より好ましくは2.0から5.5、特に好ましくは2.5から5.0)の範囲で調整することが好ましい。
遷移金属化合物の添加量としては、例えば、酸化チタンに対して0.01〜10重量%程度、好ましくは0.05〜5重量%である。遷移金属化合物の添加量が上記範囲を外れると、pHを調整することによる酸化チタン表面への遷移金属化合物担持量の調整が困難となる傾向がある。含浸時間としては、例えば1分から48時間程度、好ましくは5分から24時間程度である。
遷移金属化合物の担持は、酸化チタンの2面以上の露出結晶面のうち、全ての面でなく特定の面(例えば、特定の1面又は2面等)に選択的に行われることが好ましい。遷移金属化合物を特定の面に選択的に担持することにより、酸化反応と還元反応の反応場の分離性を高め、励起電子とホールとの再結合を抑制し、逆反応の進行を抑制して、光触媒活性を飛躍的に向上させることができるからである。
本発明において、「遷移金属化合物を特定の面に選択的に担持」とは、露出結晶面を有する酸化チタンに担持する遷移金属化合物の50%を超える量(好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上)が2面以上の露出結晶面のうち、全ての面でなく特定の面(例えば、特定の1面又は2面等)に担持されていることをいう。尚、面選択率の上限は100%である。面選択性は、透過型電子顕微鏡(TEM)やエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を使用し、遷移金属化合物由来のシグナルを確認することで判定できる。
そして、本発明においては、酸化チタンに遷移金属化合物を含浸する際に励起光を照射することが、大掛かりな設備などを要することなく容易に、且つ効率よく、2面以上の露出結晶面のうち、特定の面に選択的に遷移金属化合物を担持することができる点で好ましい。励起光を照射すると、酸化チタンの価電子帯の電子が伝導帯に励起し、価電子帯にホール、伝導帯に励起電子が生成し、これらは粒子表面へ拡散し、各露出結晶面の特性に従って励起電子とホールとが分離されて酸化反応面と還元反応面とを形成する。この状態で、例えば三価の鉄化合物の含浸を行うと、酸化反応面では三価の鉄化合物(Fe3+)が吸着するが、還元反応面では三価の鉄化合物(Fe3+)は二価の鉄化合物(Fe2+)に還元され、二価の鉄化合物(Fe2+)は吸着しにくい特性を有するため、吸着せずに溶液中に溶出する。結果として酸化反応面に選択的に鉄化合物(Fe3+)が担持された鉄化合物担持酸化チタンを得ることができる。
励起光の照射方法としては、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することができればよく、例えば、紫外線を照射することにより行うことができる。紫外線照射手段としては、例えば、中・高圧水銀灯、UVレーザー、UV−LED、ブラックライト等の紫外線を効率よく発生させる光源を有する紫外線露光装置等を使用することができる。励起光の照射強度としては、例えば0.1〜300mW/cm2程度、好ましくは0.5〜100mW/cm2である。励起光の照射時間としては、例えば1分から72時間程度、好ましくは30分から48時間である。
さらに、本発明においては、含浸の際に犠牲剤を添加することが好ましい。犠牲剤を添加することにより、酸化チタンの2面以上の露出結晶面のうち、全ての面でなく特定の面(例えば、特定の1面又は2面等)に高い選択率で遷移金属化合物を担持させることができる。犠牲剤としては、それ自体が電子を放出しやすい有機化合物を使用することが好ましく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸等のカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)等のアミン等を挙げることができる。
犠牲剤の添加量としては、適宜調整することができ、例えば、酸化チタンの水分散液の0.5〜20.0重量%程度、好ましくは1.0〜5.0重量%である。犠牲剤は過剰量を使用してもよい。
遷移金属化合物担持工程を経て得られた遷移金属化合物担持酸化チタンは、周知慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等や、これらを組み合わせた方法により精製することができる。
本発明においては、遷移金属化合物担持工程を経て得られた遷移金属化合物担持酸化チタンを、遷移金属化合物担持酸化チタンの水分散液の電気伝導度が500μS/cm以下(好ましくは10〜400μS/cm、特に好ましくは20〜300μS/cm)となるまで繰り返し水洗することが好ましい。
水洗は、例えば、水に分散−水洗−遠心分離を、遠心分離後の上澄み液の電気伝導度が上記範囲となるまで繰り返し行ってもよく、濾過膜を使用し濾過液(若しくは透過液)の電気伝導度が上記範囲になるまで繰り返し膜濾過してもよい。膜濾過には、全量ろ過方式とクロスフロー方式(濾過膜面に平行に被処理水を流し、流れの側方で濾過する方式)が含まれる。膜濾過に使用する濾過膜としては上記と同様のものを例示できる。
上記水洗に使用する水としては、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等を挙げることができる。遷移金属化合物担持酸化チタンを水洗した後は、乾燥処理等に付すことが好ましい。
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法によれば、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲の光に対し、所望の可視光応答性、及び光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを製造することができる。光触媒能は、気相にてメタノールを酸化し、生成するCO2量(ppm)を測定することにより評価することができ(メタノール酸化法)、本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法によれば、例えば300ppm以上の範囲内の所望の光触媒能を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを容易に製造することができる。
そして、本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法によれば、容易且つ選択的に、優れた可視光応答性、及び優れた光触媒能(上記メタノール酸化法により評価した光触媒能は、例えば300ppm以上、好ましくは360ppm以上、特に好ましくは600ppm以上、最も好ましくは750ppm以上)を有する遷移金属化合物担持酸化チタンを製造することができる。
本発明に係る遷移金属化合物担持酸化チタンの製造方法により得られた遷移金属化合物担持酸化チタンは、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光を吸収して、有害化学物質を水や二酸化炭素にまで分解することが可能である。そのため、抗菌防カビ、脱臭、大気浄化、水質浄化、防汚等さまざまに応用することができ、室内の壁紙や家具をはじめ家庭内や病院、学校等の公共施設内での環境浄化、家電製品の高機能化等、広範囲への応用が可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、pHはpHメータ(商品名「B−212」、HORIBA製)、又はpH試験紙を使用して測定した。
また、鉄化合物担持酸化チタンにおける鉄化合物の含有量(担持量)は下記方法により分析した。
<鉄化合物の含有量分析方法:ICP−AES分析方法>
分析機器としては、ICP発光分光分析装置(商品名「CIROS120」、リガク社製)を使用した。
実施例及び比較例で得られた鉄化合物担持酸化チタン20mgを予め洗浄したビーカーに精秤し、硫酸1mLを加えた後、砂浴上で加熱溶解した。試料溶解後、少量の超純水を加えてリフラックスした後、これをIWAKI製PP容器にて20mLにメスアップし、ICP発光分析に供した。検量線用の標準液はSPEX社製ICP−MS用混合標準液「XSTC−22」を硫酸水溶液にて適宜、希釈調製したものを使用した。内部標準元素としては、Y(イットリウム)を用いた。
実施例1
(酸化チタン生成工程)
室温(25℃)にて、市販の四塩化チタン水溶液(東邦チタニウム社製工業原料用、約17重量%Ti含有希塩酸溶液)573g、純水1123gを内容積3LのZr製オートクレーブに入れ密閉した。上記オートクレーブをオイルバスに投入し、50分かけてオートクレーブ内温度を140℃まで昇温した。その後、140℃、その温度における蒸気圧の条件で10時間保持した後、オートクレーブをオイルバスから取り外し1時間30分かけて自然冷却させた。オートクレーブ内温度が40℃以下になったことを確認した後、オートクレーブを開封して反応物(1)を取出した。
(水洗処理工程(1))
得られた反応物(1)1696gを、遠心分離後の上澄み液がpH2.6になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返して、水分散液(1-1)を得た。
(鉄化合物担持工程)
得られた水分散液(1-1)に塩化鉄水溶液(35重量%)0.15gを添加し、室温にて30分撹拌処理した。その後、メタノール6mLを添加し、13Wのブラックライト(紫外線強度:2.4mW/cm2)を使用して紫外線を20時間照射して懸濁液(1-1)を得た。
(水洗処理工程(2))
その後、遠心分離後の上澄み液の電気伝導度が200μS/cm以下になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰返し行い、減圧下、60℃で20時間乾燥して鉄化合物担持酸化チタン(1-1)143gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-1)の鉄化合物の含有量は340ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は904ppmであった。
実施例2
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH0.2になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-2)147gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-2)の鉄化合物の含有量は20ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は352ppmであった。
実施例3
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH1.6になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-3)145gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-3)の鉄化合物の含有量は35ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は570ppmであった。
実施例4
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH2.0になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-4)147gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-4)の鉄化合物の含有量は210ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は860ppmであった。
実施例5
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH3.6になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-5)148gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-5)の鉄化合物の含有量は330ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は890ppmであった。
実施例6
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH4.8になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-6)147gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-6)の鉄化合物の含有量は170ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は780ppmであった。
実施例7
水洗処理工程(1)において遠心分離後の上澄み液がpH6.0になるまで遠心分離−水分散−水洗を繰り返した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-7)145gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-7)の鉄化合物の含有量は16ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は338ppmであった。
比較例1
水洗処理工程(1)において遠心分離−水分散−水洗を行った後、アンモニア水溶液(28重量%)でpH7.2になるまで中和した点以外は実施例1と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(1-8)148gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(1-8)の鉄化合物の含有量は0ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は290ppmであった。
実施例8
(酸化チタン生成)
室温(25℃)にて、四塩化チタン水溶液(Ti濃度:16.5重量%±0.5重量%、塩素イオン濃度:31重量%±2重量%、東邦チタニウム(株)製)をTi濃度が5.6重量%になるように純水で希釈した。希釈後の四塩化チタン水溶液5650gを容量10Lのタンタルライニングのオートクレーブに入れ密閉した。熱媒を用い、2時間かけて上記オートクレーブ内温度を140℃まで昇温した。その後、温度:140℃、圧力:その温度における蒸気圧の条件下で10時間保持した後、熱媒を冷却することによりオートクレーブを冷却した。オートクレーブ内温度が40℃以下になったことを確認して、反応物(2)5650gを取り出した。
(水洗処理工程(1):クロスフロー方式による膜濾過)
反応物(2)を純水で3倍に希釈して、限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行った。濾過処理を経て得られた濃縮液は再度仕込みタンクに循環し、透過液のpHが4.0になるまで繰り返し濾過処理に付した。これにより、水分散液(2)を得た。この間、1時間に1回の割合で0.1MPaの圧力、2kg/minの流速で1分間逆洗浄を実施した。この逆洗浄により膜通過した洗浄水は仕込みタンクに循環した。
(鉄化合物担持工程)
上記で得られた水分散液(2)に塩化鉄水溶液(35重量%)7.5gを添加し、室温(25℃)にて30分撹拌した。その後、メタノール95gを添加し、100Wの高圧水銀ランプを用いて紫外線を3時間照射して(紫外線強度:5mW/cm2)、懸濁液(2-1)を得た。
(水洗処理工程(2):クロスフロー方式による膜濾過)
懸濁液(2-1)を純水で3倍に希釈して、限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行った。濾過処理を経て得られた濃縮液は再度仕込みタンクに循環し、透過液の電気伝導度が200μS/cmになるまで繰り返し濾過処理に付した。この間、1時間に1回の割合で0.1MPaの圧力、2kg/minの流速で1分間逆洗浄を実施した。この逆洗浄により膜通過した洗浄水は仕込みタンクに循環した。
その後、常圧下、105℃で1時間乾燥して、鉄化合物担持酸化チタン(2-1)530gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(2-1)の鉄化合物の含有量は830ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は775ppmであった。
実施例9
鉄化合物担持工程において、塩化鉄水溶液(35重量%)の使用量を7.5gから15.0gに変更した以外は実施例8と同様にして、懸濁液(2-2)を得、鉄化合物担持酸化チタン(2-2)530gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(2-2)の鉄化合物の含有量は2000ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は753ppmであった。
実施例10
上記(水洗処理工程(1):クロスフロー方式による膜濾過)において透過液のpHが5になるまで繰り返し濾過処理に付し、(水洗処理工程(2):クロスフロー方式による膜濾過)において、透過液の電気伝導度が100μS/cmになるまで繰り返し濾過処理に付した以外は実施例8と同様にして、鉄化合物担持酸化チタン(2-3)530gを得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン(2-3)の鉄の含有量は900ppmであった。また、下記光触媒活性評価方法にて測定した光触媒能は780ppmであった。
更に、鉄化合物担持酸化チタン(2-3)を光触媒として使用し、光照射によるアセトアルデヒド分解率を算出することで、光触媒性能を評価した。
すなわち、JIS R 1701−2(ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第2部:アセトアルデヒドの除去性能)に準じる流通式の性能評価装置を用い、幅50mm、長さ100mmのガラス板に鉄化合物担持酸化チタン(2-3)100mgを広げ、光照射容器の中に入れた。室温(25℃)で3ppmのアセトアルデヒドガスを0.2L/minで流し、暗条件における鉄化合物担持酸化チタン(2-3)へのアセトアルデヒドの吸着が平衡に達した後、室温(25℃)で光照射(蛍光灯6000ルクス)を行った。光照射容器出口のアセトアルデヒド濃度を水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(商品名「GC−14B」、島津製作所製)を使用して測定した。
光照射前のアセトアルデヒド濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのアセトアルデヒド濃度をBとし、前記アセトアルデヒド濃度Aと前記アセトアルデヒド濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出したアセトアルデヒド分解率(%)は63%であった。
<光触媒活性評価:メタノール酸化法>
実施例及び比較例で得られた鉄化合物担持酸化チタンの光触媒能は、気相にてメタノールを酸化し、生成するCO2量を測定することにより評価した。
500mLテドラーバッグ(材質:フッ化ビニル樹脂)を反応容器として使用し、実施例及び比較例で得られた鉄化合物担持酸化チタン200mgをそれぞれガラス製皿に広げ、反応容器の中に入れ、800ppmのメタノールガス125mLを反応容器に吹き込んだ。メタノールガスの酸化チタンへの吸着が平衡に達した後、室温(25℃)で光照射を行った。光源には、2.5mW/cm2のLED455nmを用いた。光照射開始から24時間後のCO2の生成量(反応容器内のCO2濃度)をメタナイザー(商品名「MT221」、GLサイエンス製)が付属した水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(商品名「GC−14B」、島津製作所製)を使用して測定した。

Claims (4)

  1. トリハロゲン化チタン及びテトラハロゲン化チタンから選択されるチタン化合物を水熱処理して得られるルチル型酸化チタンの水分散液に鉄化合物を添加することにより得られる鉄化合物担持ルチル型酸化チタンにおける鉄化合物担持量の調整方法であって、鉄化合物の添加量をルチル型酸化チタンに対して0.01〜10重量%に調整し、且つルチル型酸化チタンの水分散液のpHを0から6の範囲で調整することにより鉄化合物担持量を10〜2000ppmの範囲で調整することを特徴とする鉄化合物担持ルチル型酸化チタンにおける鉄化合物担持量調整方法。
  2. ルチル型酸化チタンの水分散液のpHの調整を、ルチル型酸化チタンの水分散液のpHが0から6の範囲になるまで水洗処理を施す、及び/又はルチル型酸化チタンの水分散液のpHが0から6の範囲になるまで塩基を添加することにより行う請求項1に記載の鉄化合物担持ルチル型酸化チタンにおける鉄化合物担持量調整方法。
  3. 反応温度100℃〜220℃、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中でトリハロゲン化チタン及びテトラハロゲン化チタンから選択されるチタン化合物に2〜48時間水熱処理を施すことによりルチル型酸化チタンを生成させ、得られたルチル型酸化チタンに、請求項1又は2に記載の鉄化合物担持ルチル型酸化チタンにおける鉄化合物担持量調整方法により担持量を調整しつつ鉄化合物の担持を行うことを特徴とする鉄化合物担持ルチル型酸化チタンの製造方法。
  4. 励起光照射下で、ルチル型酸化チタンに鉄化合物を担持する請求項3に記載の鉄化合物担持ルチル型酸化チタンの製造方法。
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