JP6314633B2 - 画像処理装置およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、第1の画像内の基準領域に類似する第2の画像内の対象領域を決定する技術に関する。
第1の画像と第2の画像とが合成される画像を表す出力画像データを生成する技術が知られている。例えば、特許文献1に開示された技術では、一度には読み取れない大きさの原稿を、スキャナを用いて2回に分けて読み取ることによって、第1の画像を表すスキャンデータと、第2の画像を表すスキャンデータと、が取得される。そして、2個のスキャンデータを用いて、第1の画像と第2の画像とが合成される合成画像を表す合成画像データが生成される。第1の画像と第2の画像とを合成する位置は、パターンマッチングを用いて決定される。
しかしながら、上記技術では、第1の画像と第2の画像とを合成するための処理の効率化について、十分に考慮されているとは言えなかった。このために、第1の画像内の基準領域に類似する第2の画像内の対象領域を決定するための処理時間が長くなる可能性があった。
本発明は、対応領域を決定するための処理時間を低減することができる新たな技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]画像処理装置であって、第1の画像を表す第1の画像データと、第2の画像を表す第2の画像データと、を取得する取得部と、前記第1の画像データを用いて、前記第1の画像内の一部の領域である基準領域を決定する基準領域決定部と、前記第2の画像データを用いて、前記第2の画像内の一部の領域であって、前記第2の画像内の第1の候補領域と第2の候補領域とを含む複数個の候補領域を特定する特定部であって、前記第2の候補領域は、少なくとも前記第1の候補領域の外の領域を含む、前記特定部と、前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、前記複数個の候補領域のうちの一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第1の判断部と、前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、前記一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第2の判断部と、前記基準領域に対応する前記第2の画像内の対応領域を、前記第1の判断部による判断結果と前記第2の判断部による判断結果とを用いて、前記複数個の候補領域の中から決定する対応領域決定部と、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いて、前記基準領域と前記対応領域とが重なるように、前記第1の画像と前記第2の画像とが合成される合成画像を表す合成画像データを生成する生成部と、を備え、前記第1の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、前記第1の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、前記第2の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定部は、前記第1の候補領域を前記対応領域として決定し、前記第1の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断せず、前記第1の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、前記第2の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第1の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、前記第1の判断部によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、前記第2の判断部によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定部は、前記第2の候補領域を前記対応領域として決定する、画像処理装置。
上記構成によれば、第1の判断部によって第1の候補領域と基準領域とが類似していないと判断されると、第2の判断部により第1の候補領域と基準領域とが類似するか否かが判断されないため、第1の判断部によって第1の候補領域と基準領域とが類似していないと判断される場合に、第2の判断部により第1の候補領域と基準領域とが類似するか否かが判断される構成よりも、効率良く対応領域を決定することができる。したがって、対応領域を決定するための処理の処理時間を低減することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像読取装置、画像処理装置や画像読取装置の制御方法、これらの装置または方法を実現するためのコンピュータプ口グラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
A.実施例:
A−1:画像処理システム1000の構成
図1は、実施例における画像処理システムの構成を示すブロック図である。画像処理システム1000は、画像処理装置としてのサーバ400と、複合機200と、を備えている。サーバ400は、インターネット70に接続されており、複合機200は、LAN(Local Area Network)80を介して、インターネット70に接続されている。この結果、サーバ400と複合機200は、LAN80とインターネット70とを介して、通信可能である。また、LAN80には、複合機200のユーザのパーソナルコンピュータ500が接続されていても良い。
A−1:画像処理システム1000の構成
図1は、実施例における画像処理システムの構成を示すブロック図である。画像処理システム1000は、画像処理装置としてのサーバ400と、複合機200と、を備えている。サーバ400は、インターネット70に接続されており、複合機200は、LAN(Local Area Network)80を介して、インターネット70に接続されている。この結果、サーバ400と複合機200は、LAN80とインターネット70とを介して、通信可能である。また、LAN80には、複合機200のユーザのパーソナルコンピュータ500が接続されていても良い。
サーバ400は、CPU410と、DRAMなどの揮発性記憶装置420と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置430と、インターネット70などのネットワークに接続するためのインタフェースを含む通信部480と、を備えている。揮発性記憶装置420には、CPU410が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域421が設けられている。不揮発性記憶装置430には、コンピュータプログラム431と、UIデータ群433と、が格納されている。
コンピュータプログラム431、および、UIデータ群433は、例えば、サーバ400の管理者によって、インターネット70を介してサーバ400にアップロードされることにより、サーバ400にインストールされる。または、コンピュータプログラム431、および、UIデータ群433は、例えば、DVD−ROMなどに格納された形態で提供され、サーバ400の管理者によって、サーバ400にインストールされても良い。CPU410は、コンピュータプログラム431を実行することにより、後述する画像処理を実現する。
複合機200は、CPU210と、DRAMなどの揮発性記憶装置220と、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置230と、プリンタ部240と、スキャナ部250と、タッチパネルやボタンなどの操作部260と、液晶ディスプレイなどの表示部270と、外部機器と通信を行う通信部280と、を備えている。例えば、通信部280は、LAN80などのネットワークに接続するためのインタフェースや、外部記憶装置(例えば、USBメモリ)と接続するためのインタフェースを含んでいる。
揮発性記憶装置220には、CPU210が処理を行う際に生成される種々のデータを一時的に格納するバッファ領域221が設けられている。不揮発性記憶装置230には、制御プログラム231が格納されている。
プリンタ部240は、インクジェット方式やレーザー方式などの印刷方式を用いて印刷を実行する。スキャナ部250は、光電変換素子(例えば、CCD、CMOS)を用いて光学的に原稿を読み取ることによってカラー画像やグレー画像を表すスキャンデータを生成する。スキャナ部250は、いわゆるフラットベッド式の原稿台を備えている。なお、原稿台の長手方向のサイズは、ISO(International Organization for Standardizationの略称)216で定められている紙の寸法を規定するA4サイズの長手方向の長さである297mmより少しだけ(例えば、数センチ)長いサイズである。そして、原稿台の短手方向のサイズは、ANSI/ASME(American National Standards Institute/American Society of Mechanical Engineersの略称)Y14.1で定められている紙の寸法を規定するレターサイズの短手方向の長さである215.9mmより少しだけ(例えば、数センチ)長いサイズである。本実施例では、1回で読み取ることができる原稿の最大サイズは、A4サイズより大きくA3サイズ(ISOで定められている紙の寸法)より小さいサイズである。具体的には、スキャナ部250は、長手方向の長さがA4サイズの長手方向の長さより少しだけ長く、かつ、短手方向の長さがレターサイズの短手方向の長さより少しだけ長い原稿を読み取り、当該原稿のサイズの画像を表す画像データを生成する。このために、後述するように、A3サイズの原稿の長手方向の中央付近が重複するように、A3サイズの原稿を2回に分けて読み取ることができる。
CPU210は、制御プログラム231を実行することにより、複合機200の制御を実行する。例えば、CPU210は、プリンタ部240やスキャナ部250を制御して、コピー処理、印刷処理、スキャン処理などを実行する。さらに、CPU210は、サーバ400にアクセスして、サーバ400が提供するサービスを利用するサービス利用処理を、実行することができる。
A−2:画像処理システム1000の動作
図2は、画像処理システム1000の動作を示すシーケンス図である。このシーケンス図の処理は、複合機200が、サーバ400が提供する画像生成サービスの利用指示を、ユーザから受け付けた場合に開始される。この画像生成サービスは、詳細は後述するが、複数個のスキャンデータによって表される複数個のスキャン画像を合成するサービスである。複数個のスキャンデータは、詳細は後述するが、例えば、1回で読み取り可能なサイズより大きなサイズの原稿を、複数回に分けて読み取ることによって生成される。
図2は、画像処理システム1000の動作を示すシーケンス図である。このシーケンス図の処理は、複合機200が、サーバ400が提供する画像生成サービスの利用指示を、ユーザから受け付けた場合に開始される。この画像生成サービスは、詳細は後述するが、複数個のスキャンデータによって表される複数個のスキャン画像を合成するサービスである。複数個のスキャンデータは、詳細は後述するが、例えば、1回で読み取り可能なサイズより大きなサイズの原稿を、複数回に分けて読み取ることによって生成される。
処理が開始されると、S5では、複合機200のCPU210は、サービス開始要求を、サーバ400に対して送信する。サーバ400のCPU410は、サービス開始要求を受信すると、UIデータ群433(図1)から画像生成サービスの提供に必要なUIデータを選択し、該UIデータを複合機200に対して送信する(S10)。UIデータは、具体的には、ユーザインタフェース画面(以下、UI画面)を表す画面データと、制御データと、を含む。この制御データは、例えば、UI画面を利用して複合機200が所定の処理(具体的には、後述するS15のスキャン処理)を行うために必要な各種のデータを含む。例えば、制御データは、UI画面(例えば、図4)を介して受け付けたユーザの指示に基づいて、複合機200が実行すべき処理(例えば、サーバ400へのスキャンデータの送信)を行うために必要な情報(例えば、スキャンデータの送信先アドレス)を含む。
S15では、CPU210は、受信したUIデータに基づいて、複数個のスキャンデータを生成するスキャン処理を実行する。スキャン処理では、CPU210は、ユーザが用意した原稿を2回に分けて読み取ることによって、2個のスキャンデータを生成する。本実施例のスキャンデータは、RGBの各成分の値(例えば、0〜255の256階調の値)を画素ごとに含むRGB画像データである。
図3は、本実施例で用いられる原稿の一例を示す図である。図3の原稿10のサイズは、スキャナ部250が1回で読み取り可能なサイズ(本実施例では、A4サイズより少し大きなサイズ)の約2倍のサイズ(本実施例では、A3サイズ)である。
図4は、UI画面の一例を示す図である。先ず、CPU210は、図4のUI画面UG1を表示部270に表示する。例えば、UI画面UG1は、原稿台への原稿10の適切な設置を促すメッセージMS1と、スキャンボタンSBと、キャンセルボタンCBと、を含んでいる。ユーザは、UI画面UG1に従って、原稿10の左側の約半分の領域10L(図3)を読み取ることができるように、原稿10を原稿台に設置し、スキャンボタンSBを押下する。スキャンボタンSBの押下に応じて、CPU210は、スキャナ部250を制御して原稿を読み取ることによって、左側スキャンデータを生成する。
図5は、スキャン画像の一例を示す図である。図5(A)には、左側スキャンデータによって表される左側スキャン画像20Lが示されている。左側スキャン画像20Lは、原稿10の左側の約半分の領域10L(図3)を示す左側原稿画像HILと、余白WBLと、を含んでいる。
次に、CPU210は、所定のUI画面(図示省略)を表示部270に表示する。このUI画面は、UI画面UG1と同様に、原稿台への原稿10の適切な設置を促すメッセージと、スキャンボタンと、キャンセルボタンと、を含んでいる。ユーザは、UI画面に従って、原稿10の右側の約半分の領域10R(図3)を読み取ることができるように、原稿10を原稿台に設置し、スキャンボタンを押下する。CPU210は、スキャンボタンの押下に応じて、スキャナ部250を制御して原稿を読み取ることによって、右側スキャンデータを生成する。
図5(B)には、右側スキャンデータによって表される右側スキャン画像20Rが示されている。右側スキャン画像20Rは、原稿10の右側の約半分の領域10R(図3)を示す右側原稿画像HIRと、余白WBRと、を含んでいる。
ここで、図3の原稿10の横方向の中央部CAを表す画像は、左側スキャン画像20Lの右辺に沿った領域と、右側スキャン画像20Rの左辺に沿った領域と、の両方に含まれている。すなわち、図5にハッチングで示すように、左側スキャン画像20Lは、原稿10の中央部CAを表す画像CILを含み、右側スキャン画像20Rは、原稿10の中央部CAを表す画像CIRを含んでいる。これは、例えば、UI画面や複合機200の説明書などによって、原稿10の中央部CAが、右側スキャンデータの生成時と左側スキャンデータの生成時との両方で読み取られるように、原稿10を原稿台に設置するように、ユーザに指示することによって、実現される。なお、左側スキャン画像20L内の画像CILと、右側スキャン画像20R内の画像CIRとは、ともに原稿10の中央部CAを表しているが、ユーザによって原稿台に設置された原稿10の位置、スキャナ部250の光電変換素子の特性などによって、面積や色などに多少の差は、生じ得る。
なお、本実施例では、スキャンデータの生成時に、CPU210は、図示しないUI画面を介して、生成されるべきスキャンデータによって表される画像をカラー画像とするかグレー画像とするかについての指示をユーザから取得する。カラー画像は、有彩色を含む複数の色(例えば、RGB各成分値が256階調、すなわち、256×256×256=約1600万色)を用いて表現される画像である。グレー画像は、無彩色のみを含む複数の色(例えば、256階調の無彩色)を用いて表現される画像である。生成される右側スキャンデータおよび左側スキャンデータは、ユーザからのカラー画像に関する指示に応じたカラー画像、または、ユーザからのグレー画像に関する指示に応じたグレー画像を表すスキャンデータである。
具体的には、スキャナ部250は、ユーザからの指示に拘わらずに、一旦は、カラー画像を表すスキャンデータ(RGB画像データ)を生成する。CPU210は、ユーザからの指示がグレー画像を表すスキャンデータを生成する指示である場合には、カラー画像を表すスキャンデータを、グレー画像を表すスキャンデータに変換する。この変換処理は、例えば、変換前のスキャンデータのRGB値を用いて、グレー成分を表す値を公知の式に従って算出することによって実行される。変換後のスキャンデータは、例えば、RGBの3つの成分値が全て同じ値、すなわち、グレー成分を表す値に変換されたスキャンデータである。したがって、グレー画像を表すスキャンデータも、形式的には、カラー画像を表すスキャンデータと同様のRGB画像データである。ユーザからの指示がカラー画像を表すスキャンデータを生成する指示である場合には、この変換処理は実行されない。なお、右側スキャンデータおよび左側スキャンデータには、当該スキャンデータによって表される画像がカラー画像であるかグレー画像であるかを示すメタデータが付加される。
図2のS20では、CPU210は、右側スキャン画像20Rを表す右側スキャンデータと、左側スキャン画像20Lを表す左側スキャンデータと、をサーバ400に対して送信する。この結果、S25にて、サーバ400のCPU410は、右側スキャンデータと、左側スキャンデータと、取得して、バッファ領域421に格納する。
S30では、CPU410は、右側スキャンデータを用いて、基準領域決定処理を実行する。基準領域決定処理は、右側スキャンデータによって表される右側スキャン画像20Rの一部の領域である基準領域SPを決定する処理である。なお、基準領域決定処理の詳細は、後述する。
S35では、CPU410は、対応領域決定処理を実行する。対応領域決定処理は、右側スキャン画像20R内の基準領域SPに対応する左側スキャン画像20L内の対応領域CPを決定する処理である。基準領域SPに対応する対応領域CPは、次のように定義できる。右側スキャン画像20R内の基準領域SP(図5(B))内に表されている原稿10の一部分を特定部分SPT(図3)とする。基準領域SPに対応する対応領域CPは、左側スキャン画像20Lにおいて、原稿10の特定部分SPTを表す領域である。なお、対応領域処理の詳細は、後述する。
S40では、CPU410は、合成処理を実行する。合成処理では、右側スキャンデータと左側スキャンデータとを用いて、右側スキャン画像20R内の右側原稿画像HIRと、左側スキャン画像20L内の左側原稿画像HILとが合成された合成画像30を表す合成画像データが生成される。
図6は、合成画像30の一例を示す図である。図6に示すように、合成画像30において、右側原稿画像HIRと左側原稿画像HILとは、右側原稿画像HIR内の基準領域SPと、左側原稿画像HIL内の対応領域CPと、が重なるように、合成される。合成画像30において、右側原稿画像HIRと左側原稿画像HILとが互いに重なり合う領域内の画素の値には、例えば、右側原稿画像HIR(右側スキャン画像20R)内の画素の値が優先的に採用される。これによって、右側原稿画像HIRと左側原稿画像HILとが合成されて、図3の原稿10を表す合成画像30が生成される。
なお、後述する対応領域決定処理において、基準領域SPに対応する対応領域CPを決定できなかった場合には、例えば、機械的に、左側スキャン画像20Lの右端の辺と、右側スキャン画像20Rの左端の辺と、が接するように、2個のスキャン画像が合成された合成画像を表す合成画像データが生成される(図示省略)。
図2のS45では、CPU410は、生成された合成画像データを複合機200に対して送信する。複合機200のCPU210は、合成画像データを受信すると、受信した合成画像データを不揮発性記憶装置230に格納するとともに、ユーザに合成画像データを受信したことを通知する。合成画像データは、ユーザの利用に供される。例えば、複合機200は、ユーザの指示に基づいて、合成画像データを用いて、合成画像30を印刷することができる。
以上説明した画像処理システム1000によれば、一の原稿10(図3)からそれぞれ別の領域を読み取ることによって得られる複数個の画像データ(具体的には、右側スキャンデータと左側スキャンデータ)を用いて、一の原稿10を表す合成画像データを生成することができる。
次に、図2のS30で示した基準領域決定処理を説明する。図7は、基準領域決定処理のフローチャートである。S105では、CPU410は、右側スキャン画像20R内に、配置範囲FAを決定する。決定された配置範囲FAの内側に、基準領域決定処理によって、基準領域SPが決定される。配置範囲FAは、図5(B)に示す予め定められた範囲に設定される。配置範囲FAは、図5(B)に示すように、右側スキャン画像20Rの左辺に沿って配置されている。
配置範囲FAの横方向の長さ(すなわち、短手方向の長さ)は、右側スキャン画像20Rにおいて、原稿10の中央部CAを表す画像CIRの横方向の幅より狭いことが好ましい。配置範囲FAの縦方向の長さ(すなわち、長手方向の長さ)は、右側スキャン画像20Rの縦方向の長さと等しい。
S110では、CPU410は、基準領域SPのサイズを決定する。本実施例では、基準領域SPのサイズは、予め定められた値に決定される。具体的には、基準領域SPは、基準領域SPの横方向のサイズは、例えば、5画素〜20画素程度であり、基準領域SPの縦方向のサイズは、右側スキャン画像20Rの縦方向の画素数の1/4〜1/2程度である。
S115では、CPU410は、配置範囲FA内の複数個の部分画像の中から、1個の注目部分画像を選択する。図8は、配置範囲FA内の複数個の部分画像について説明する図である。
部分画像のサイズおよび形状は、S110にて決定された基準領域SPと同じである。図8には、配置範囲FAの上辺および左辺と、上辺および左辺が一致する部分画像PI1と、配置範囲FAの下辺および左辺と、下辺および左辺が一致する部分画像PI2と、配置範囲FAの上辺および右辺と、上辺および右辺が一致する部分画像PI3と、配置範囲FAの下辺および右辺と、下辺および右辺が一致する部分画像PI4と、が図示されている。
図8に矢印で示すように、左上の端の部分画像PI1が最初の注目部分画像として選択される。そして、1画素ずつ下方向に位置がずれた部分画像が、順次に選択される。そして、左下の端の部分画像PI2が選択されると、左上の端の部分画像PI1の位置から1画素だけ右方向にずれた部分画像が選択される。その後は、再び1画素ずつ下方向に位置がずれた部分画像が、順次に選択される。最後に選択される部分画像は、右下の端の部分画像PI4である。
1個の注目部分画像が選択されると、S120では、CPU410は、注目部分画像のばらつき画素数VCを算出する。
ばらつき画素数VCの算出方法は、以下の通りである。先ず、CPU410は、注目部分画像内の複数個の画素を、2種類の画素、すなわち、ばらつき画素と、非ばらつき画素と、に分類する。
図9は、ばらつき画素と非ばらつき画素とを説明する図である。CPU410は、注目部分画像内の複数個の画素を1個ずつ注目画素TPとして選択して、注目画素TPがばらつき画素であるか非ばらつき画素であるかを判断する。具体的には、図9に示すように、CPU410は、注目画素TPを中心とする横3画素×3画素分の領域FL内の画素を用いて、当該判断を実行する。まず、図9の式に示すように、CPU410は、注目画素TPの値(R0、G0、B0)と、周囲の8個の画素の値(Rn、Gn、Bn)のそれぞれと、の差分ΔVnを算出する。nは、注目画素の周囲の8個の画素を識別する1〜8までの番号であり、図9の領域FL内の各画素に付された番号である。ΔVnは、図9に式で示すように、3種類の成分値の差分の絶対値の和で表される。すなわち、ΔVnは、(Rn−R0)の絶対値と、(Gn−G0)の絶対値と、(Bn−B0)の絶対値と、の合計値で表される。CPU410は、図9に式で示すように、算出された8個の差分ΔVnの合計値を、注目画素TPのばらつき値Vとして算出する。
注目画素TPのばらつき値Vが、所定の閾値Vth以上である場合には、注目画素TPは、ばらつき画素であると判断される。注目画素TPのばらつき値Vが、所定の閾値Vth未満である場合には、注目画素TPは、非ばらつき画素であると判断される。これによって、注目部分画像内の全ての画素が、ばらつき画素と非ばらつき画素とのいずれかに分類される。
CPU410は、注目部分画像内のばらつき画素の個数VC(ばらつき画素数VC)を算出する。
S125では、CPU410は、注目部分画像のばらつき画素数VCと、記憶値VCmと、を比較する。記憶値VCmは、処理済みの部分画像のばらつき画素数VCのうちの最大値である。記憶値VCmの初期値は、0である。
注目部分画像のばらつき画素数VCが、記憶値VCmより大きい場合には(S130:YES)、S135において、CPU410は、注目部分画像のばらつき画素数VCを、新たな記憶値VCmとして記憶する。そして、S140において、CPU410は、注目部分画像の左上の画素の座標P(X1、Y1)を、最大のばらつきを有する部分画像を示す情報として記憶する。注目部分画像のばらつき画素数VCが、記憶値VCm以下である場合には(S130:NO)、CPU410は、S135、S140をスキップして、S145に処理を進める。
S145では、CPU410は、配置範囲FA内の全ての部分画像(図8)を注目部分画像として処理したか否かを判断する。未処理の部分画像がある場合には(S145:NO)、CPU410は、S115に戻って、未処理の部分画像を注目部分画像として選択する。全ての部分画像が処理された場合には(S145:YES)、S150において、CPU410は、上述したS140にて部分画像の座標P(X1、Y1)が記憶されているか否かを判断する。
部分画像の座標P(X1、Y1)が記憶されている場合には(S150:YES)、S160において、CPU410は、記憶された座標P(X1、Y1)によって特定される部分画像の領域を、基準領域SPとして決定する。部分画像の座標P(X1、Y1)が記憶されていない場合には(S150:NO)、S155において、CPU410は、デフォルトの領域を、基準領域SPとして決定する。デフォルトの領域は、例えば、座標P(X1、Y1)=(1、1)によって特定される部分画像の領域である。基準領域SPが決定されると、基準領域決定処理は終了される。
以上の説明から解るように、本実施例の基準領域決定処理では、配置範囲FA内の複数個の部分画像のうち、最大のばらつき画素数VCを有する部分画像の領域が、基準領域SPとして決定される。図5(B)には、右側スキャン画像20Rの配置範囲FA内に決定された基準領域SPが図示されている。
次に、図2のS35で示した対応領域決定処理について説明する。図10は、対応領域決定処理のフローチャートである。S305では、CPU410は、右側スキャンデータの複数個の画素の値を、RGB色空間の値(R値、G値、B値)から、YCbCr色空間の画素の値(Y値、Cb値、Cr値)に変換する色変換処理を実行する。YCbCr色空間の値は、明るさを示す成分値(具体的には、Y値)と、彩度および色相に関する成分値(具体的には、Cb値とCr値)と、を含む。色変換処理は、公知の変換式を用いて実行される。本実施例では、変換後のYCbCr色空間の値(Y値、Cb値、Cr値)は、それぞれ、256階調の値である。
S310では、CPU410は、左側スキャン画像20L内の探索領域SAを決定する。図5(A)の左側スキャン画像20L内には、探索領域SAが示されている。探索領域SAは、予め定められた領域である。探索領域SAの縦方向の長さは、左側スキャン画像20Lの縦方向の全長に等しい。探索領域SAの左右方向の長さは、例えば、左側スキャン画像20Lの左右方向の長さの20%〜50%である。探索領域SAは、例えば、左側スキャン画像20Lの右辺と、上辺の右側の部分と、下辺の右側の部分と、を含む領域である。
S315では、CPU410は、探索領域SA内に特定されるべき複数個の候補領域の中から、1個の注目候補領域を特定する。図11は、探索領域SA内に特定されるべき複数個の候補領域について説明する図である。説明のために、図11の探索領域SA内の画素の座標を、右方向を正方向とするX2軸と下方向を正方向とするY2軸とを有する2次元座標系を用いて表す。
候補領域の形状およびサイズは、図7の基準領域決定処理によって右側スキャン画像20R内に決定された基準領域SP(図5(B))に応じて決定される。まず、基準領域SPと同じ形状およびサイズを有する枠NPが、探索領域SAの少なくとも一部とが重なるように、探索領域SAに対して配置される。そして、枠NP内の領域のうち、探索領域SAと重なる領域が注目候補領域として特定される。
図11の枠NPaは、最も右側かつ上側に配置される枠である。この枠NPaの左上の画素Paの座標を(k、1)とする。画素Paの横方向(X2軸方向)の位置は、探索領域SAの右端の画素の横方向の位置と同じである。画素Paの縦方向(Y2軸方向)の位置は、探索領域SAの上端の画素より所定長(具体的には、50〜100画素分の長さ)だけ上方に位置している。したがって、図11においてハッチングで示すように、枠NPa内の領域のうち、左端の1本の画素のライン上に位置する複数個の画素の下側の一部分の領域が、探索領域SAと重なっている。
図11の枠NPbは、最も右側かつ下側に配置される枠である。この枠NPbの左上の画素Pbの座標を(k、m)とする。画素Pbの横方向の位置は、探索領域SAの右端の画素の横方向の位置と同じである。画素Pbの縦方向の位置は、探索領域SAの下端の画素より所定長だけ下方に位置している。したがって、図11においてハッチングで示すように、枠NPb内の領域のうち、左端の1本の画素のライン上に位置する複数個の画素の上側の一部分の領域が、探索領域SAと重なっている。
図11の枠NPcは、最も左側かつ上側に配置される枠である。この枠NPcの左上の画素Pcの座標を(1、1)とする。画素Pcの横方向の位置は、探索領域SAの左端の画素の横方向の位置と同じである。画素Pcの縦方向の位置は、探索領域SAの上端の画素より所定長だけ上方に位置している。したがって、図11においてハッチングで示すように、枠NPc内の領域のうち、下側の一部分の領域が探索領域SAと重なっている。
図11の枠NPdは、最も左側かつ下側に配置される枠である。この枠NPdの左上の画素Pdの座標を(1、m)とする。画素Pdの横方向の位置は、探索領域SAの左端の画素の横方向の位置と同じである。画素Pcの縦方向の位置は、探索領域SAの下端の画素より所定長だけ下方に位置している。したがって、図11においてハッチングで示すように、枠NPc内の領域のうち、上側の一部分の領域が探索領域SAと重なっている。
複数個の候補領域を特定するために配置される枠NPの左上の画素の座標は、(p、q)で表される(k×m)個の座標の中から、順次に選択される。ここで、pは、1以上k以下の任意の整数であり、qは、1以上m以下の任意の整数である。したがって、探索領域SAには、(k×m)個の枠NPが配置可能である。換言すれば、探索領域SA内には、(k×m)個の候補領域が特定可能である。
図11に矢印で示すように、これらの(k×m)個の枠NPの中から、右上の端の枠NPaが配置されるべき枠NPとして最初に選択される。そして、次回の注目候補領域が特定されるときに、1画素ずつ下方向に位置がずれた枠NPが、順次に選択される。そして、右下の端の枠NPbが選択されると、右上の端の枠NPaの位置から1画素だけ左方向にずれた枠NPが選択される。その後は、再び1画素ずつ下方向に位置がずれた枠NPが順次に選択され、縦方向(Y2軸方向)の値がmである枠NPが選択される毎に、枠NPの位置が1画素だけ左方向にずれた枠NPが選択される。最後に選択される枠NPは、左下の端の枠NPdである。
図11の枠NPa〜NPdのように、探索領域SAの端部近傍に配置される枠NPが、注目候補領域を特定するために用いられる場合には、枠NPの一部が探索領域SAより外側に位置するので、注目候補領域の大きさは、図5(B)の基準領域SPより小さくなる。一方、図11の枠NPeのように、探索領域SAの中央部近傍に配置される枠NPが、注目候補領域を特定するために用いられる場合には、枠NPの全体が探索領域SA内に位置するので、注目候補領域の大きさは、図5(B)の基準領域SPと同じになる。
このように、複数個の候補領域は、1画素ずつずれて順次に特定される。したがって、例えば、特定の注目候補領域の次の注目候補領域は、少なくとも特定の注目候補領域の外の領域を含む。
1個の注目候補領域が特定されると、S320では、CPU410は、Y値に基づいて基準領域と注目候補領域との類似度SYを算出する。
図12は、類似度SYの算出処理のフローチャートである。S405では、CPU410は、注目候補領域内の全ての画素のうち、1個の画素を注目画素として選択する。
S410では、CPU410は、注目候補領域内の注目画素のY値と、当該注目画素に対応する基準領域SP内の画素のY値と、の差分ΔYを算出する。注目画素に対応する基準領域SP内の画素は、注目候補領域内の画像と基準領域SP内の画像とを、注目候補領域を特定する際に用いた枠NPと、基準領域SPの外縁とが一致するように重ねた場合に、注目画素と重なる基準領域SP内の画素である。差分ΔYを算出すべき2個の画素の値をY1、Y2とすると、差分ΔYは、(Y1−Y2)の絶対値である。
S415では、CPU410は、算出された差分ΔYが、所定の閾値TH1以下であるか否かを判断する。差分ΔYが、所定の閾値TH1以下である場合には(S415:YES)、S420において、CPU410は、Y値が類似する画素の個数KYをカウントアップする。差分ΔYが、所定の閾値TH1以下である場合には、注目画素と、当該注目画素に対応する基準領域SP内の画素とは、Y値について互いに類似すると判断できるからである。閾値TH1は、本実施例では、例えば、7が用いられる。
差分ΔYが、所定の閾値TH1より大きい場合には(S415:NO)、CPU410は、S420をスキップして、処理をS425に進める。
S425では、CPU410は、注目候補領域内の全ての画素を注目画素として処理したか否かを判断する。未処理の画素がある場合には(S425:NO)、CPU410は、S405に戻って、未処理の画素を注目画素として選択する。全ての画素が処理された場合には(S425:YES)、CPU410は、S430に処理を進める。
S430では、CPU410は、類似度SYを算出する。類似度SYは、注目候補領域内の画素の総数Nに対する画素数KYの割合である(SY=(KY/N))。類似度SYが大きいほど、基準領域SPと注目候補領域とはY値について類似している。
図10に戻って説明を続ける。S320にてY値に基づく類似度SYが、図12の算出方法に従って算出されると、S325では、CPU410は、Y値に基づく類似度SYが、所定の閾値THYより大きいか否かを判断する。閾値THYは、例えば、0.7とされる。
類似度SYが閾値THY以下である場合には(S325:NO)、明るさに関する類似判断(具体的には、Y値に基づく類似判断)の結果として、基準領域SPと注目候補領域とは類似していないと判断される。この場合には、CPU410は、後述する色相および彩度に関する類似判断(具体的にはCr値およびCr値に基づく類似判断(S335〜S345))を実行せずに、処理をS360に進める。換言すれば、この場合には、明るさに関する類似判断の結果のみに基づいて、最終的に、基準領域SPと注目候補領域とは類似していないと判断される。このために、CPU410は、次の候補領域の処理に移行すべく、S360の処理を実行する。
類似度SYが閾値THYより大きい場合には(S325:YES)、明るさに関する類似判断の結果として、基準領域SPと注目候補領域とは類似していると判断される。この場合には、S330において、CPU410は、右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、カラー画像であるか否かを判断する。上述したように、右側スキャン画像20R、左側スキャン画像20Lを表す2個のスキャンデータには、当該スキャンデータによって表される画像がカラー画像であるかグレー画像であるかを示すメタデータが付加されている。CPU410は、例えば、当該メタデータを参照することによって、右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、カラー画像であるか否かを判断する。
右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、グレー画像である場合には(S330:NO)、CPU410は、後述する色相および彩度に関する類似判断(S335〜S345)を実行せずに、処理をS365に進める。換言すれば、この場合には、明るさに関する類似判断の結果のみに基づいて、最終的に、基準領域SPと注目候補領域とは類似していると判断される。右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、グレー画像である場合には、全ての画素のCb値およびCr値が値を有さないので、色相および彩度に関する類似判断を行う意味がないからである。なお、右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、グレー画像である場合に、全ての画素のCb値およびCr値が無彩色を表す値(例えば、ゼロ)であっても良い。
右側スキャン画像20Rおよび左側スキャン画像20Lが、カラー画像である場合には(S330:YES)、S335において、CPU410は、Cb値に基づいて基準領域と注目候補領域との類似度SCbを算出する。
図13は、類似度SCbの算出処理のフローチャートである。S505では、CPU410は、注目候補領域の比較領域内の全ての画素のうち、1個の画素を注目画素として選択する。図12の類似度SYの算出処理では、注目候補領域内の全ての画素が、処理対象となる注目画素として選択されるが、図13の類似度SCbの算出処理では、注目候補領域の一部または全体の領域である比較領域内の画素が注目画素として選択され、当該比較領域外の画素は注目画素として選択されない。
図14は、比較領域について説明する図である。図14(A)には、ハッチングされた候補領域CD1と、候補領域CD1を特定するための枠NP1と、が図示されている。図14(A)の例では、枠NP1の全体と探索領域SAとが重なっているので、枠NP1の全体が候補領域CD1である。候補領域CD1は、画素が配置される5本の縦方向のラインPL1〜PL5を含んでいる。初回の類似度SCbの算出処理では、5本のラインPL1〜PL5のうち、1本のラインPL1上の複数個に位置する画素の領域が、比較領域とされる。
図14(B)には、ハッチングされた候補領域CD2と、候補領域CD2を特定するための枠NP2と、が図示されている。図14(B)の例では、枠NP2の一部が探索領域SAと重なり、枠NP2の残りの部分は探索領域SAの外側にあるので、枠NP2の一部が候補領域CD2である。このために、候補領域CD2に含まれる縦方向のラインの本数(具体的には3本)は、候補領域CD1(図14(A))より少ない。この場合でも、初回の類似度SCbの算出処理では、3本のラインPL1〜PL3のうち、1本のラインPL1上の複数個の画素の領域が、比較領域とされる。
S510では、CPU410は、比較領域内の注目画素のCb値と、当該注目画素に対応する基準領域SP内の画素のCb値と、の差分ΔCbを算出する。差分ΔCbを算出すべき2個の画素の値をCb1、Cb2とすると、差分ΔCbは、(Cb1−Cb2)の絶対値である。
S515では、CPU410は、算出された差分ΔCbが、所定の閾値TH2以下であるか否かを判断する。差分ΔCbが、所定の閾値TH2以下である場合には(S515:YES)、S520において、CPU410は、Cb値が類似する画素の個数KCbをカウントアップし、S525に処理を進める。差分ΔCbが、所定の閾値TH2以下である場合には、注目画素と当該注目画素に対応する基準領域SP内の画素とは、Cb値について互いに類似すると判断できるからである。閾値TH2は、本実施例では、上述した閾値TH1(図12のS415)と同じ値、例えば、7が用いられる。これに代えて、閾値TH2は、閾値TH1とは異なる値が用いられても良い。
差分ΔCbが、所定の閾値TH2より大きい場合には(S515:NO)、CPU410は、S520をスキップして、処理をS525に進める。
S525では、CPU410は、比較領域内の全ての画素を注目画素として処理したか否かを判断する。未処理の画素がある場合には(S525:NO)、CPU410は、S505に戻って、未処理の画素を注目画素として選択する。全ての画素が処理された場合には(S525:YES)、CPU410は、S530に処理を進める。
S530では、CPU410は、類似度SCbを算出する。類似度SCbは、比較領域内の画素の総数Nsに対する画素数KCbの割合である(SCb=(KCb/Ns))。類似度SCbが大きいほど、基準領域SPと注目候補領域とはCb値について類似している。
図10に戻って説明を続ける。S340では、CPU410は、Cr値に基づいて基準領域SPと注目候補領域との類似度SCrを算出する。類似度SCrを算出する処理は、Cb値に基づく類似度SCbの算出処理(図13)と同様である。すなわち、比較領域内の各画素のCr値と、対応する基準領域SP内の画素のCr値と、の差分ΔCrが算出される。そして、各画素について算出されたΔCrと所定の閾値TH3との比較に基づいて、各画素がCr値について類似するか否かが判断される。さらに、Cr値について類似する画素の個数KCrが算出される。Cr値について類似する画素の個数KCrに基づいて、類似度SCrが算出される(SCr=(KCr/Ns))。閾値TH3の値は、例えば、閾値TH2(図13のS515)と同じ値が用いられる。
S345では、CPU410は、Cb値に基づく類似度SCbが所定の閾値THCbより大きく、かつ、Cr値に基づく類似度SCrが所定の閾値THCrより大きいか否かを判断する。閾値THCb、THCrは、例えば、上述した閾値THYと同じ値、具体的には、0.7とされる。これに代えて、閾値THCb、THCrは、例えば、上述した閾値THYとは異なる値、例えば、上述した閾値THYより小さな値、具体的には、0.6とされても良い。
類似度SCbが閾値THCbより大きく、かつ、類似度SCrが閾値THCrより大きい場合には(S345:YES)、明るさに関する類似判断(S320、S325)の結果に加えて、Cr値、Cb値に基づく類似判断(S335〜S345)の結果でも、基準領域SPと注目候補領域とは類似していると判断される。この場合には、最終的な判断として、基準領域SPと注目候補領域とは類似していると判断されて、処理はS365に進められる。
類似度SCbが閾値THCb以下である場合、または、類似度SCrが閾値THCr以下である場合には(S345:NO)、S350において、CPU410は、比較領域を拡大可能であるか否かを判断する。具体的には、注目候補領域の全体が比較領域である場合には、比較領域は拡大可能ではないと判断される。注目候補領域の一部の領域が比較領域である場合、すなわち、注目候補領域が比較領域ではない領域を含む場合には、比較領域は拡大可能であると判断される。
比較領域が拡大可能である場合には(S350:YES)、S355において、CPU410は、比較領域を拡大する。具体的には、注目候補領域内であり、かつ、現在の比較領域外である領域のうち、1本の画素のライン分の領域が、現在の比較領域に追加されることによって、拡大後の比較領域が設定される。比較領域が拡大されると、CPU410は、S335に戻る。この結果、拡大後の比較領域内の複数個の画素を用いて、上述した色相および彩度に関する類似判断(S335〜S345)が繰り返される。例えば、図14(A)、図14(B)の例では、2回目のS335〜S345では、2本のラインPL1、PL2分の領域が比較領域とされ、3回目のS335〜S345では、3本のラインPL1〜PL3分の領域が比較領域とされる。
なお、2回目のS335、S340では、新たに追加された1本のライン(ラインPL2)分の画素数KCb、KCrがカウントされ(図13)、カウント済みのライン分の画素数KCb、KCrと合算されて、拡大後の比較領域の画素数KCb、KCrがカウントされる。そして、拡大後の比較領域の比較領域の画素数KCb、KCrに基づいて、新たに類似度SCb、SCrが算出される。3回目以降のS335、S340も同様である。
比較領域が拡大可能でない場合には(S350:NO)、CPU410は、処理をS360に進める。換言すれば、この場合には、明るさに関する類似判断の結果では基準領域SPと注目候補領域とは類似していると判断されたが、色相および彩度に関する類似判断の結果では基準領域SPと注目候補領域とは類似していないと判断されたことに基づいて、最終的に、基準領域SPと注目候補領域とは類似していないと判断される。このために、CPU410は、次の候補領域の処理に移行すべく、S360の処理を実行する。
S360では、CPU410は、探索領域SA内の全ての候補領域(図11)を注目候補領域として処理したか否かを判断する。未処理の候補領域がある場合には(S360:NO)、CPU410は、S315に戻って、未処理の候補領域を注目候補領域として特定する。全ての候補領域が処理された場合には(S360:YES)、CPU410は、基準領域SPに対応する対応領域CPを決定できないまま、対応領域決定処理を終了する。
最終的に、基準領域SPと、現在の注目候補領域とが類似していると判断される場合に実行されるS365では、CPU410は、現在の注目候補領域を、基準領域SPに対応する対応領域CPとして決定して、対応領域決定処理を終了する。図5(A)には、左側スキャン画像20Lの探索領域SA内に、決定された対応領域CPが図示されている。
以上説明した上記実施例によれば、対応領域決定処理(図10)において、明るさに関する類似判断を行う処理(S320、S325)、すなわち、基準領域SP内の複数個の画素のそれぞれのY値と、複数個の候補領域のうちの注目候補領域内の複数個の画素のそれぞれのY値と、を用いて、注目候補領域と基準領域SPとが類似するか否かを判断する処理が実行される。また、色相および彩度に関する類似判断を行う処理(S335〜S345)、すなわち、基準領域SP内の複数個の画素のそれぞれのCb値とCr値と、注目候補領域内の複数個の画素のそれぞれの素のそれぞれのCb値とCr値と、を用いて、注目候補領域と基準領域SPとが類似するか否かを判断する処理が実行される。そして、明るさに関する類似判断の判断結果と、色相および彩度に関する類似判断の判断結果と、を用いて、複数個の候補領域の中から対応領域CPが決定される(S365)。
ここで、対応領域決定処理の特徴を説明するために、複数個の候補領域のうちの1個の領域を第1の候補領域とし、複数個の候補領域のうちの1個の領域であって、第1の候補領域の次に注目候補領域とされる領域を第2の候補領域とする。
先ず、明るさに関する類似判断によって、第1の候補領域と基準領域SPとが類似するか否かが判断される(S320、S325)。明るさに関する類似判断によって第1の候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される場合に(S325:YES)、色相および彩度に関する類似判断によって、第1の候補領域と基準領域SPとが類似するか否かが判断される(S335〜S345)。色相および彩度に関する類似判断によって第1の候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される場合に(S345:YES)、第1の候補領域が対応領域CPとして決定される(S365)。
そして、明るさに関する類似判断によって第1の候補領域と基準領域SPとが類似しないと判断される場合に(S325:NO)、第1の候補領域について、色相および彩度に関する類似判断は行われず、明るさに関する類似判断によって、第2の候補領域と基準領域SPとが類似するか否かが判断される(S320、S325)。また色相および彩度に関する類似判断によって第1の候補領域と基準領域SPとが類似しないと判断される場合に(S345:NO)、同様に、明るさに関する類似判断によって、第2の候補領域と基準領域SPとが類似するか否かが判断される(S320、S325)。
そして、明るさに関する類似判断によって第2の候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される場合に(S325:YES)、色相および彩度に関する類似判断によって、第2の候補領域と基準領域SPとが類似するか否かが判断される(S335〜S345)。色相および彩度に関する類似判断によって、第2の候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される場合に(S345:YES)、第2の候補領域は、対応領域CPとして決定される(S365)。
このように、明るさに関する類似判断と色相および彩度に関する類似判断との両方によって、第1の候補領域と基準領域SPとが類似していると判断される場合には、第2の候補領域については処理されることなく、第1の候補領域が対応領域CPとして決定される。明るさに関する類似判断によって第1の候補領域と基準領域SPとが類似していないと判断されると、第1の候補領域について色相および彩度に関する類似判断は実行されない。さらに、明るさに関する類似判断と色相および彩度に関する類似判断の一方によって、第1の候補領域と基準領域とが類似していないと判断される場合に、第2の候補領域について、明るさに関する類似判断が判断される。この結果、効率良く対応領域CPを決定することができる。したがって、合成画像データを生成するための処理の処理時間を低減することができる。
さらに説明すると、テキストを表す画像のように、比較的色数が少ない画像のように、Cb値およびCr値のばらつきが少ない画像は、比較的多い。これに対して、Y値のばらつきが少ない画像は、比較的少ない。このために、明るさに関する類似判断は、色相および彩度に関する類似判断より精度良く、2個の領域が類似するか否かを判断できると考えられる。しかしながら、例えば、薄い黄色と薄い青、あるいは、濃い青と黒のように、観察者が見ると比較的大きく異なる色であるのに、Y値(すなわち、明るさ)の違いは比較的小さい場合もあるので、明るさに関する類似判断のみでは、十分に精度良く2個の領域が類似するか否かを判断できない可能性がある。本実施例では、1つの注目候補領域について、先に、明るさに関する類似判断を行い、明るさに関する類似判断が肯定的である場合に限って、確認的に色相および彩度に関する類似判断を行っている。この結果、最終的な類似判断の精度を低下させることなく、類似判断の処理負荷の増加を抑制することができる。この結果、効率良く対応領域CPを決定することができる。
さらに、基準領域SPを含む右側スキャン画像20Rと、複数個の候補領域を含む左側スキャン画像20Lと、をそれぞれ表す2個のスキャンデータの色空間が、RGB色空間からYCrCb色空間に変換され(S305)、その後に上述した類似判断が実行される。この結果、類似判断をより効率良く実行できる。仮に、明るさに関する類似判断はYCbCr色空間のY値を用いて実行され、色相および彩度に関する類似判断はLab色空間のa値およびb値を用いて実行される場合には、2種類の類似判断をそれぞれ異なる色空間の値を用いて実行することになる。このような場合よりも、本実施例によれば、効率よく候補領域と基準領域SPとが類似するか否かを判断することができる。また、2種類の類似判断をYCbCr色空間の成分値を用いて行うことによって、2種類の類似判断を適切に実行することができる。
さらに、明るさに関する類似判断は、Y値の差分ΔYが比較的小さい画素の個数KYに基づいて実行され(図12)、色相および彩度に関する類似判断は、Cb値の差分ΔCbが比較的小さい画素の個数KCbと、Cr値の差分ΔCrが比較的小さい画素の個数KCrとに基づいて実行される(図13)。より具体的には、明るさに関する類似判断は、個数KYを注目候補領域内の画素数Nで割った類似度SCが所定の閾値THYより大きい場合に、注目候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される。また、色相および彩度に関する類似判断は、個数KCbや個数KCrを比較領域内の画素数Nsで割った類似度SCb、SCrが所定の閾値THCb、THCrより大きい場合に、注目候補領域と基準領域SPとが類似すると判断される。この結果、候補領域と基準領域とが類似するか否かを適切に判断することができる。例えば、明るさに関する類似判断が各注目画素の差分ΔYの合計値を用いて実行される場合や、色相および彩度に関する類似判断が各注目画素の差分ΔCb、ΔCrの合計値を用いて実行される場合と比較して、画素ごとの類似判断に基づいて領域間の類似判断が実行されるので、類似判断の精度が向上する。
さらに、基準領域決定処理(図7〜図9)では、右側スキャン画像20R内の複数個の画素の値のばらつきに基づいて基準領域SPが決定される。例えば、基準領域SPの位置は、それぞれ、右側スキャン画像20Rの配置範囲FA内の複数個の画素の値に基づいて決定されている。具体的には、画素の値のばらつきが最も大きくなるように、基準領域SPが決定される(図7など)。そして、対応領域決定処理(図10)では、ばらつきに基づいて決定された基準領域に応じて、複数個の候補領域が特定される。従って、基準領域に対応する適切な対応領域が容易に決定される。
より具体的に説明すると、画素の値のばらつきが比較的小さい領域は、特徴が乏しい。このために、画素の値のばらつきが比較的小さい領域が基準領域SPに決定されると、左側スキャン画像20L内の対応領域CPを決定することが困難になる可能性がある。例えば、左側スキャン画像20L内の誤った領域が、対応領域CPに決定されやすい。画素のばらつきが比較的小さい領域には、例えば、背景を示す領域や、オブジェクトの内部の色の変化が乏しい領域などが含まれる。
これに対して、画素の値のばらつきが比較的大きな領域は、エッジなどを比較的多く含むので、特徴的な部分を含む可能性が高い。このために、画素の値のばらつきが比較的大きな領域が基準領域SPに決定されると、左側スキャン画像20L内の対応領域CPを容易に決定できる。換言すれば、ばらつきが比較的小さい領域を基準にするよりも、ばらつきが比較的大きい領域を基準にするほうが、対応領域CPに対応する対応領域CPを精度良く決定できる。
さらに、上記実施例では、2個のスキャンデータがグレー画像を表す場合に(S330:NO)、色相および彩度に関する類似判断が実行されない。そして、明るさに関する類似判断の結果のみを用いて対応領域CPが決定される。一方、2個のスキャンデータがカラー画像を表す場合に(S330:YES)、明るさに関する類似判断と、色相および彩度に関する類似判断との両方が実行される。そして、両方の類似判断の結果を用いて対応領域CPが決定される。この結果、無駄な判断処理、具体的には、2個のスキャンデータがグレー画像を表す場合における色相および彩度に関する類似判断の処理が実行されない。したがって、2個のスキャンデータによって表される画像が、カラー画像であるかグレー画像であるかに応じて、効率的に対応領域CPを決定することができる。
さらに、色相および彩度に関する類似判断は、基準領域SPの一部の比較領域内の複数個の画素を用いて、実行される(図10のS335〜S355、図14)。この結果、より効率的に対応領域CPが決定される。したがって、合成画像データを生成するための処理の処理時間を低減することができる。
より具体的には、初回の色相および彩度に関する類似判断では、比較領域は、基準領域SP内の1本のラインPL1(図14)上に位置する複数個の画素である。したがって、例えば、初回の色相および彩度に関する類似判断で、類似判断が完了する場合には、より効率的に対応領域CPが決定される。
さらに、色相および彩度に関する類似判断では、基準領域SP内の第1のラインPL1上の複数個の画素を用いて1回目の判断を実行し、1回目の判断によって注目候補領域と基準領域SPとが類似しないと判断される場合に(S345:NO)、基準領域SP内の第2のラインPL2上の複数個の画素を、さらに用いて2回目の判断が実行される。このように、1ラインずつ判断を繰り返すことで、より効率良く注目候補領域と基準領域とが類似するか否かを判断することができる。色相および彩度に関する類似判断は、主要な判断である明るさに関する類似判断の結果が肯定的である場合に、確認的に実行される判断である。このために、色相および彩度に関する類似判断の結果が肯定的である可能性が比較的高い。したがって、比較的小さな領域のみを用いて、色相および彩度に関する類似判断を行っても、最終的な類似判断の精度はあまり低下しないと考えられる。本実施例では、色相および彩度に関する類似判断の結果が否定的である場合に限り、比較領域を拡大して色相および彩度に関する類似判断を繰り返すので、より効率よく注目候補領域と基準領域とが類似するか否かを判断することができる。
B.変形例
(1)上記実施例では、明るさに関する類似判断には、YCbCr色空間のY値(輝度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、YCbCr色空間のCb値、Cr値が用いられている。これに代えて、明るさに関する類似判断には、Lab色空間のL値(明度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、Lab色空間のa値、b値が用いられても良い。あるいは、明るさに関する類似判断には、HSV色空間のV値(明度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、HSV色空間のH値(色相)、S値(彩度)が用いられても良い。一般的に言えば、スキャンデータの画素の値は、明度や輝度などの明るさを示す第1の成分値と、彩度および色相の少なくとも一方に関する第2の成分値と、を含む色空間の値に変換されることが好ましい。そして、明るさに関する類似判断は、第1の成分値を用いて実行され、色相および彩度に関する類似判断は、第2の成分値を用いて実行されることが好ましい。
(1)上記実施例では、明るさに関する類似判断には、YCbCr色空間のY値(輝度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、YCbCr色空間のCb値、Cr値が用いられている。これに代えて、明るさに関する類似判断には、Lab色空間のL値(明度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、Lab色空間のa値、b値が用いられても良い。あるいは、明るさに関する類似判断には、HSV色空間のV値(明度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、HSV色空間のH値(色相)、S値(彩度)が用いられても良い。一般的に言えば、スキャンデータの画素の値は、明度や輝度などの明るさを示す第1の成分値と、彩度および色相の少なくとも一方に関する第2の成分値と、を含む色空間の値に変換されることが好ましい。そして、明るさに関する類似判断は、第1の成分値を用いて実行され、色相および彩度に関する類似判断は、第2の成分値を用いて実行されることが好ましい。
(2)明るさに関する類似判断と色相および彩度に関する類似判断は、互いに異なる色空間の値を用いて実行されても良い。例えば、明るさに関する類似判断には、YCbCr色空間のY値(輝度)が用いられ、色相および彩度に関する類似判断には、Lab色空間のa値、b値が用いられても良い。
(3)上記実施例では、色相および彩度に関する類似判断において、Cb値に基づく類似度SCbの算出(図10のS335)に用いられる比較領域と、Cr値に基づく類似度SCrの算出(図10のS340)に用いられる比較領域と、は同じ領域である。これに代えて、これらの比較領域は互いに異なる領域であっても良い。例えば、初回の類似度SCbの算出は、ラインPL1(図14)上の複数個の画素を用いて実行され、初回の類似度SCrの算出は、ラインPL2(図14)上の複数個の画素を用いて実行されても良い。
また、上記実施例では、比較領域は、縦方向の特定のライン(例えば、ラインPL1、PL2)上の複数個の画素の領域であるが、比較領域は、横方向の特定のライン上の複数個の画素の領域であっても良い。
(4)上記実施例では、明るさに関する類似判断は、常に基準領域SP内の全ての画素を用いて行われているが、基準領域SPの一部の領域内の複数個の画素を用いて行われても良い。また、上記実施例では、色相および彩度に関する類似判断は、基準領域SPの一部の領域である比較領域内の複数個の画素を用いて行われているが、常に基準領域SP内の全ての画素を用いて行われても良い。
(5)2個のスキャンデータによって表される2個の画像を、第1の画像と、第2の画像とする。上記実施例では、第1の画像(具体的には、右側スキャン画像20R)の左辺近傍と、第2の画像(具体的には、左側スキャン画像20L)の右辺近傍と、が結合されるように、合成画像が生成されている。これに代えて、例えば、2個のスキャンデータの生成に用いられる一つの原稿に応じて、第1の画像の右辺近傍と、第2の画像の左辺近傍とが、結合されるように、合成画像が生成されてもよい。あるいは、第1の画像の下辺近傍と、第2の画像の上辺近傍とが、結合されるように、合成画像が生成されても良く、第1の画像の上辺近傍と、第2の画像の下辺近傍と、が結合されるように、合成画像が生成されてもよい。
(6)上記実施例では、2個のスキャンデータを用いて、2個のスキャン画像が合成された合成画像を表す合成画像データが生成されている。これに限らず、任意の個数のスキャンデータを用いて合成画像データが生成されても良い。例えば、4個のスキャン画像データを用いて、4個のスキャン画像が合成された合成画像を表す合成画像データが生成されてもよい。
(7)上記実施例では、合成画像データの生成に用いられる2個の画像データは、複合機200のスキャナ部250によって原稿が読み取られることによって生成される2個のスキャンデータである。これに代えて、2個の画像データは、デジタルカメラによって原稿の複数個の領域を撮影することによって、2個の画像データが生成されても良い。
(8)上記実施例では、合成画像データの生成に用いられる2個のスキャンデータは、1つの原稿10を読み取って得られる右側スキャンデータと左側スキャンデータである。これに代えて、2個のスキャンデータは、2個の原稿をそれぞれ読み取って得られる2個のスキャンデータであっても良い。
(9)上記実施例においてサーバ400のCPU410によって実行される処理(例えば、図2のS25〜S40の処理)は、例えば、複合機200のCPU210によって実行されても良い。この場合には、サーバ400は不要であり、複合機200が単体で図2の処理を実行すればよい。また、サーバ400のCPU410によって実行される処理は、複合機200と接続されたパーソナルコンピュータ500(図1)のCPU(図示省略)によって実行されても良い。例えば、パーソナルコンピュータ500のCPUは、パーソナルコンピュータ500にインストールされたスキャナドライバプログラムを実行することによって、これらの処理を実行しても良い。また、サーバ400は、本実施例のように1つの計算機で構成されても良く、複数個の計算機を含む計算システムによって構成されていても良い。
(10)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
200...複合機、210...CPU、220...揮発性記憶装置、221...バッファ領域、230...不揮発性記憶装置、231...制御プログラム、240...プリンタ部、250...スキャナ部、260...操作部、270...表示部、280...通信部、400...サーバ、410...CPU、420...揮発性記憶装置、421...バッファ領域、430...不揮発性記憶装置、431...コンピュータプログラム、433...UIデータ群、480...通信部、500...パーソナルコンピュータ、1000...画像処理システム
Claims (13)
- 画像処理装置であって、
第1の画像を表す第1の画像データと、第2の画像を表す第2の画像データと、を取得する取得部と、
前記第1の画像データを用いて、前記第1の画像内の一部の領域である基準領域を決定する基準領域決定部と、
前記第2の画像データを用いて、前記第2の画像内の一部の領域であって、前記第2の画像内の第1の候補領域と第2の候補領域とを含む複数個の候補領域を特定する特定部であって、前記第2の候補領域は、少なくとも前記第1の候補領域の外の領域を含む、前記特定部と、
前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、前記複数個の候補領域のうちの一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第1の判断部と、
前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、前記一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第2の判断部と、
前記基準領域に対応する前記第2の画像内の対応領域を、前記第1の判断部による判断結果と前記第2の判断部による判断結果とを用いて、前記複数個の候補領域の中から決定する対応領域決定部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いて、前記基準領域と前記対応領域とが重なるように、前記第1の画像と前記第2の画像とが合成される合成画像を表す合成画像データを生成する生成部と、
を備え、
前記第1の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第1の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定部は、前記第1の候補領域を前記対応領域として決定し、
前記第1の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断せず、前記第1の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断部によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第1の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第1の判断部によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断部は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断部によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定部は、前記第2の候補領域を前記対応領域として決定する、画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の画像データおよび前記第2の画像データは、第1の色空間の値を画素ごとに含む画像データであり、
前記画像処理装置は、さらに、
前記基準領域内の複数個の画素の値と前記候補領域内の複数個の画素の値を、前記第1の色空間の値から第2の色空間の値に変換する変換部であって、前記第2の色空間は、明るさを示す第1の成分値と、彩度および色相の少なくとも一方に関する第2の成分値と、を含む、前記変換部を備え、
前記第1の判断部は、前記基準領域内の複数個の画素の前記第1の成分値と前記一の候補領域内の複数個の画素の前記第1の成分値とを用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断部は、前記基準領域内の複数個の画素の前記第2の成分値と前記一の候補領域内の複数個の画素の前記第2の成分値とを用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する、画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記第2の色空間は、YCbCr色空間であり、
前記第1の成分値は、Y値であり、
前記第2の成分値は、Cb値とCr値である、画像処理装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記第1の判断部は、前記基準領域内の複数個の画素のうち、前記一の候補領域内の対応する画素との間の明るさを示す値の差分が第1の閾値以下である第1種の画素の個数を算出し、
前記第1種の画素の個数に基づいて前記一の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断し、
前記第2の判断部は、前記基準領域内の複数個の画素のうち、前記一の候補領域内の対応する画素との間の彩度および色相の少なくとも一方に関する値の差分が第2の閾値以下である第2種の画素の個数を算出し、
前記第2種の画素の個数に基づいて前記一の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断する、画像処理装置。 - 請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記第1の判断部は、前記第1種の画素の個数が第3の閾値より大きい場合に、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断し、
前記第2の判断部は、前記第2種の画素の個数が第4の閾値より大きい場合に、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断する、画像処理装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記基準領域決定部は、前記第1の画像内の複数個の画素の値のばらつきに基づいて、前記基準領域を決定し、
前記特定部は、前記ばらつきに基づいて決定される前記基準領域に応じて、前記複数個の候補領域を特定する、画像処理装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記第2の判断部は、前記第1の画像データと前記第2の画像データとがグレー画像を表す場合に、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断せず、
前記基準領域決定部は、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとがカラー画像を表す場合には、前記第1の判断部による判断結果と前記第2の判断部による判断結果とを用いて前記対応領域を決定し、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとが前記グレー画像を表す場合には、前記第1の判断部による判断結果を用いて前記対応領域を決定する、画像処理装置。 - 請求項1〜7に記載の画像処理装置であって、
前記第1の判断部と前記第2の判断部との少なくとも一方は、前記基準領域の一部の領域内の複数個の画素を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する、画像処理装置。 - 請求項8に記載の画像処理装置であって、
前記第2の判断部は、前記一部の領域内の複数個の画素を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する、画像処理装置。 - 請求項8または9に記載の画像処理装置であって、
前記一部の領域内の複数個の画素は、前記基準領域内の1本のライン上に位置する複数個の画素である、画像処理装置。 - 請求項8または9に記載の画像処理装置であって、
前記第2の判断部は、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する際に、前記基準領域内の第1のライン上の複数個の画素を用いて1回目の判断を実行し、前記1回目の判断によって前記一の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に前記基準領域内の第2のライン上の複数個の画素を用いて2回目の判断を実行する、画像処理装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記第1の画像データは、原稿の第1の領域を光学的に読み取ることによって得られる画像データであり、
前記第2の画像データは、前記原稿の第2の領域を光学的に読み取ることによって得られる画像データである、画像処理装置。 - コンピュータプログラムであって、
第1の画像を表す第1の画像データと、第2の画像を表す第2の画像データと、を取得する取得機能と、
前記第1の画像データを用いて、前記第1の画像内の一部の領域である基準領域を決定する基準領域決定機能と、
前記第2の画像データを用いて、前記第2の画像内の一部の領域であって、前記第2の画像内の第1の候補領域と第2の候補領域とを含む複数個の候補領域を特定する特定機能であって、前記第2の候補領域は、少なくとも前記第1の候補領域の外の領域を含む、前記特定機能と、
前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、前記複数個の候補領域のうちの一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの明るさを示す値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第1の判断機能と、
前記基準領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、前記一の候補領域内の複数個の画素のそれぞれの彩度および色相の少なくとも一方に関する値と、を用いて、前記一の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断する第2の判断機能と、
前記基準領域に対応する前記第2の画像内の対応領域を、前記第1の判断機能による判断結果と前記第2の判断機能による判断結果とを用いて、前記複数個の候補領域の中から決定する対応領域決定機能と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いて、前記基準領域と前記対応領域とが重なるように、前記第1の画像と前記第2の画像とが合成される合成画像を表す合成画像データを生成する生成機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記第1の判断機能は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第1の判断機能によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断機能は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断機能によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定機能は、前記第1の候補領域を前記対応領域として決定し、
前記第1の判断機能によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第2の判断機能は、前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断せず、前記第1の判断機能は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断機能によって前記第1の候補領域と前記基準領域とが類似しないと判断される場合に、前記第1の判断機能は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第1の判断機能によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記第2の判断機能は、前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似するか否かを判断し、
前記第2の判断機能によって前記第2の候補領域と前記基準領域とが類似すると判断される場合に、前記対応領域決定機能は、前記第2の候補領域を前記対応領域として決定する、コンピュータプログラム。
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