JP6308242B2 - 緊急通報装置の配設構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車室を備える車両に搭載される緊急通報装置の配設構造に関するものである。
近年、エアバックECUからエアバッグ展開信号を入力すると、動作電力の供給元を車両バッテリから補助バッテリに切換え、緊急通報信号をサービスセンターに送信する車載緊急通報装置が知られている(例えば、特許文献1)。
なお、エアバックECUは、例えば、特許文献2に示すように、フロアトンネルに設けられている。
特開2008−213714号公報 特開2009−234379号公報
緊急通報装置は車両の衝突時に作動するものなので、衝突時の荷重により緊急通報装置が故障すると、緊急通報信号をサービスセンターに送信することができなくなるという問題が発生する。よって、車両の衝突時の荷重から緊急通報装置を保護する必要がある。
しかし、特許文献1は、車両バッテリからの電力供給が絶たれた場合において、緊急通報動作を適切に行うことを課題とする発明であり、車両の衝突時の衝撃から緊急通報装置を保護することは全く考慮されていない。
また、特許文献2は、1つの加速度センサによって、衝突が車両の左側で発生したのか右側で発生したのかを判別する発明であり、衝突時の荷重から緊急通報装置を保護することは全く考慮されていない。
本発明は、車両の衝突時の荷重から緊急通報装置を保護する緊急通報装置の配設構造を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る緊急通報装置の配設構造は、車室を備える車両に搭載される緊急通報装置の配設構造であって、
前記車室の前方の下部に設けられ、前記車室の後方に向けて下方に傾斜するダッシュパネルと、
前記緊急通報装置が載置される載置面を備える載置ブラケットとを備え、
前記載置ブラケットは、前記載置面と前記ダッシュパネルとにクリアランスが設けられるように前記ダッシュパネルに取り付けられている。
本態様によれば、載置ブラケットは、緊急通報装置を載置する載置面を備え、この載置面がダッシュパネルに対してクリアランスを設けて配置されているので、車両の衝突時の荷重が直接的に緊急通報装置に加わることが防止され、緊急通報装置を保護できる。
上記態様において、前記載置ブラケットは、前記載置面の前方から屈曲し、前記車室の前方と対向するように前記ダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられた第1脚部を備えてもよい。
本態様によれば、第1脚部は、載置面の前方から屈曲し、車室の前方と対向するようにダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられている。そのため、車両の前突時に前方から後方に向けてダッシュパネルに荷重が加わったとき、その荷重により載置ブラケットは第1脚部及び載置面の境の屈曲部を支点にダッシュパネルから離れる方向に変形する。これにより、前突時の荷重が屈曲部で吸収され、緊急通報装置を保護できる。
上記態様において、前記緊急通報装置を上側から覆うように前記載置ブラケットに取り付けられたカバーを更に備えてもよい。
本態様によれば、緊急通報装置のカバーは載置ブラケットに取り付けられているので、衝突時にカバーは載置ブラケットと一体的に移動し、緊急通報装置がカバーと衝突することを防止できる。
上記態様において、前記載置面は、前記緊急通報装置が載置され、前記ダッシュパネル側に窪んだ凹部を備え、
前記凹部は、前記車室の前方に向かう外縁を備えてもよい。
本態様によれば、載置面には車室の前方に向かう外縁が設けられているので、側突時に、載置ブラケットはこの外縁を支点に曲げられる。その結果、側突時の荷重がこの外縁で吸収され、側突時の荷重から緊急通報装置を保護できる。
上記態様において、載置ブラケットは、前記載置面の側方から屈曲し、前記車室の側方と対向するように前記ダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられた第2脚部を備えてもよい。
本態様によれば、第2脚部は、載置面の側方から屈曲し、車室の側方と対向するようにダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられている。そのため、車両の側突時に側方から中央に向けてダッシュパネルに荷重が加わったとき、その荷重により載置ブラケットは屈曲部を支点にダッシュパネルから離れる方向に変形する。これにより、側突時の荷重が屈曲部で吸収され、緊急通報装置を保護できる。
本発明によれば、車両の衝突時の荷重が直接的に緊急通報装置に加わることが防止され、緊急通報装置を保護できる。
本発明の実施の形態に係る緊急通報装置の配設構造が適用された車室の構成を示す図である。 緊急通報装置を拡大して示した図である。 載置ブラケットを示す図である。 載置ブラケットに取り付けられるカバーを示す図である。 カバーが取り付けられた状態のダッシュパネルを示す図である。 図2のVI−VI方向からの断面図である。 フロアカバーが取り付けられた状態のダッシュパネルを示す図である。 図1のVIII−VIII方向からの断面図である。 図8のIX−IX方向からの断面図である。 図8のX−X方向からの断面図である。 車室を上方から見た図である。 ワイヤーハーネスとハーネスブラケットとの関係に注目した図である。 ワイヤーハーネスがフロアトンネル部の側面に取り付けられる様子を示す図である。 固定部材の構成を示す図である。
(載置ブラケット)
以下の説明では、まず、載置ブラケット20を中心とする緊急通報装置10の配設構造について説明し、次に、ハーネスブラケット80を中心とする緊急通報装置10の配設構造について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る緊急通報装置10の配設構造が適用された車室1の構成を示す図である。図2は、緊急通報装置10を拡大して示した図である。なお、図1、図2に示すように、車室1の前側を前方、車室1の後側を後方、車室1の上側を上方、車室1の下側を下方と記述する。また、後方から見て車幅方向の左側を左方、後方から見て車幅方向の右側を右方と記述する。
図1を参照し、車室1には、車幅方向のほぼ中央において、前後方向に延びるフロアトンネル40が設けられている。フロアトンネル40の両側には、シート200が載置されるフロア50が設けられている。フロア50の前方且つフロアトンネル40の両側にはダッシュパネル30が配置されている。なお、シート200は、助手席であるが、ドライバーが搭乗する操縦席であってもよい。
図2を参照し、ダッシュパネル30は、車室1の前方の下部に配置されている。図6を参照し、ダッシュパネル30は、後方に向かうにつれて下方に傾斜している。なお、図6は、図2のVI−VI方向からの断面図である。
図2を参照し、ダッシュパネル30の上方には載置ブラケット20が取り付けられている。載置ブラケット20は、緊急通報装置10が載置される載置面21を備える。載置ブラケット20は、載置面21とダッシュパネル30とにクリアランスSP(図6参照)が設けられるようにダッシュパネル30に取り付けられている。
載置面21の左前方には、車室1の前方と対向するようにダッシュパネル30に向けて延設された平板状の脚部231(第1脚部の一例)が設けられている。脚部231は、載置面21との境目の屈曲部L1を介してダッシュパネル30に延びる立設部231aと、立設部231aの先端からダッシュパネル30に沿って延びる取付部231bとを備える。取付部231bは、ダッシュパネル30に対してボルトで締結されている。
載置面21の右後方には、車室1の側方と対向するようにダッシュパネル30に向けて延設された平板状の脚部232(第2脚部の一例)が設けられている。脚部232は、載置面21との境目の屈曲部L2からダッシュパネル30に延びる立設部232aと、立設部232aの先端からダッシュパネル30に沿って延びる取付部232bとを備える。先端部232bは、ダッシュパネル30に対してボルトで締結されている。
ここで、屈曲部L1は、左右方向に対して45度以下の角度で直線状に傾斜する。そのため、前突時において、前方から後方に向かう荷重がかかった場合、載置ブラケット20は、屈曲部L1を支点に屈曲し易くなる。これにより、載置ブラケット20は、前突時の荷重を屈曲部L1で吸収し、緊急通報装置10を保護する。なお、屈曲部L1は、左右方向と平行ではなく多少傾斜しているのは、側突や斜突時の荷重にもある程度対応するためである。但し、これは一例であり、屈曲部L1は、左右方向と平行であってもよい。
一方、屈曲部L2は、前後方向と平行であり、直線状である。そのため、側突時において、側方から車幅の中央に向かう荷重が載置ブラケット20に加わった場合、載置ブラケット20は、屈曲部L2を支点に屈曲し易くなる。これにより、載置ブラケット20は側突時の荷重を屈曲部L2で吸収し、緊急通報装置10を保護する。
脚部231の右隣には、脚部231と同様の構成を持つ脚部233が設けられている。脚部233は、載置面21との境目の屈曲部L3が屈曲部L1と平行であるため、脚部231と同じ作用を得ることができる。
脚部233の右隣には、載置ブラケット20をダッシュパネル30に固定する固定部241が設けられている。固定部241は、載置面21の右前方からL字状の屈曲部L3を介してダッシュパネル30側に延びており、先端がダッシュパネル30に対してボルトにより締結されている。ここで、固定部241の屈曲部L4は、直線状ではなく、L字状であるため、脚部231〜233に比べて屈曲し難くなっているが、その分、強度が保たれている。
図3を参照し、載置面21の左後方には、載置ブラケット20をダッシュパネル30に固定する固定部242が設けられている。固定部242は、載置面21の左後方からダッシュパネル30に向けて延び、先端がダッシュパネル30に対してボルトにより締結されている。固定部242は、載置ブラケット20をダッシュパネル30へ固定することを主眼としているが、載置面21との境目の屈曲部L8が車幅方向と平行なので、脚部231と同様、前突時の荷重を吸収できる。
このように、載置ブラケット20は、載置面21からダッシュパネル30に向けて延設された、脚部231〜233及び固定部241,242によってダッシュパネル30に取り付けられている。そのため、図6に示すように、載置面21とダッシュパネル30との間にクリアランスSPが形成される。これにより、載置ブラケット20は、衝突時の荷重を緩和することができ、緊急通報装置10を衝突時の荷重から保護できる。
ここで、脚部231〜233及び固定部241,242は、車幅方向から見て、載置面21とダッシュパネル30とがほぼ平行となるような高さを持っている。
図2を参照し、載置面21のほぼ中央には、ダッシュパネル30側に窪んだ凹部22が設けられている。緊急通報装置10は、この凹部22の上方に取り付けられている。ここで、凹部22は、側方の外縁L5が前後方向と平行である。そのため、側突時において、側方から車室1の中央に向かう荷重が加わった場合、載置ブラケット20は、外縁L5で屈曲し易くなる。そのため、載置ブラケット20は、側突時の荷重を外縁L5で吸収し、緊急通報装置10を保護する。また、図2の例では、凹部22は、前方の外縁L6が車幅方向と平行である。そのため、載置ブラケット20は、前突時の荷重を外縁L6で吸収し、緊急通報装置10を保護する。
緊急通報装置10は、平板な直方体形状を持ち、上面11の前方には、左右方向に延びる短冊状の押圧板25がボルトにより締結されている。図3を参照し、押圧板25には、押圧板25を上方から付勢する連絡部26が取り付けられている。連絡部26は、後端が押圧板25の左右方向のほぼ中央に取り付けられ、前端が載置ブラケット20とボルトにより締結されている。これにより、緊急通報装置10は、載置ブラケット20に固定される。
緊急通報装置10は、フロアトンネル40の上側に載置された検出ユニット9(図11参照)とワイヤーハーネスWを介して電気的に接続されている。検出ユニット9は、上方から見て、車両のほぼ中央部に設置される。検出ユニット9、重力センサを備え、車両の衝突を検出する。そして、検出ユニット9は、車両の衝突を検出すると、ワイヤーハーネスWを介して緊急通報装置10に衝突検出信号を出力すると共に、エアバック装置(図略)にエアバックを展開させる展開信号を出力する。
緊急通報装置10は、衝突検出信号を受信すると、車両の現在位置や事故の種類等の事故に関する所定の情報をサービスセンターへ送信する。その後、緊急通報装置10は、サービスセンターによって返信された当該事故に対する対処方法を受信すると、当該受信した対処方法を示す音声信号をスピーカー(図略)へ出力する。これにより、スピーカーは、入力された音声信号が示す音声を出力する。このようにして、緊急通報装置10は、サービスセンターによって返信された当該事故に対する対処方法を乗員に案内する。
図3は、載置ブラケット20を示す図である。図3に示すように、載置ブラケット20は、上方から見て大局的には台形状であり、車幅方向から見てダッシュパネル30とほぼ平行な載置面21を備えておいる。そして、載置ブラケット20は、上述した脚部231,232(不図示)、固定部241、脚部232、及び固定部242がこの順で時計回りに設けられている。また、載置ブラケット20は、載置面21の中央に上述した凹部22が設けられている。緊急通報装置10は、凹部22の外縁L5が右方の側面に沿って位置決めされ、凹部22の外縁L6が前方の側面に沿って位置決めされて凹部22に載置される。そして、緊急通報装置10は、押圧板25によって上方から押圧され、凹部22と押圧板25とによって挟持される。
図4は、載置ブラケット20に取り付けられるカバー27を示す図である。カバー27は、上方から見て、大局的に台形形状であり、載置面21のほぼ全域を覆う。また、カバー27は、車幅方向から見て、緊急通報装置10よりも多少大きな高さを持っている。そのため、カバー27は、載置面21に載置された緊急通報装置10の全体を覆うことができる。
ここで、カバー27は、右後方から右方に延びる取付部27Rと、左後方から下方に延びる取付部27Lとを備え、取付部27R,27Lがボルトにより載置ブラケット20に締結されている。
すなわち、カバー27は、ダッシュパネル30及びフロアトンネル40等の車両本体とは独立して、載置ブラケット20に取り付けられている。そのため、カバー27は、車両の衝突時に載置ブラケット20と一体的に移動し、緊急通報装置10と衝突することが防止されている。そのため、カバー27と緊急通報装置10とが衝突して緊急通報装置10の破損の防止が図られている。
図5は、カバー27が取り付けられた状態のダッシュパネル30を示す図である。カバー27は上面がダッシュカバー31と連なるように配置されている。また、カバー27の前方には、上面がカバー27の上面と連なるようにトップカバー271が配置されている。これにより、車幅方向から見て、トップカバー271、カバー27、ダッシュカバー31は、それぞれの上面が連なる。
図7は、フロアカバー32が取り付けられた状態のダッシュパネル30を示す図である。フロアカバー32は、ダッシュパネル30を上方から覆う上部321と、フロア50を上方から覆う下部322とを備える。上部321は、車幅方向から見て、ダッシュパネル30とほぼ平行である。また、図5で説明したように、トップカバー271、カバー27、ダッシュカバー31は、それぞれ、上面が連なるように配置されているので、上部321は、凹凸のない平面で構成できる。また、図1に示すように、フロア50は、地表と平行であり、下部322はフロア50と平行なので、下部322は地表と平行になる。フロアカバー32にはフロアマット(図略)が載置され、その上にシート200に着座した搭乗者の足が置かれる。
以上、本実施の形態は、図6に示すように、緊急通報装置10を載置する載置面21を備え、この載置面21がダッシュパネル30に対してクリアランスSPを設けて配置されているので、車両の衝突時の荷重が直接的に緊急通報装置10に加わることが防止され、緊急通報装置10を保護できる。
また、図2に示すように、脚部231は、載置面21の左前方から屈曲し、車室1の前方と対向するようにダッシュパネル30に向けて延設されている。そのため、車両の前突時に前方から後方に向けてダッシュパネル30に荷重が加わったとき、その荷重により載置ブラケット20は屈曲部L1を支点にダッシュパネル30から離れる方向に変形し易くなる。これにより、前突時の荷重が屈曲部L1で吸収され、緊急通報装置10を保護できる。
また、図4に示すように、カバー27は載置ブラケット20に取り付けられているので、衝突時にカバー27は載置ブラケット20と一体的に移動し、緊急通報装置10がカバー27と衝突することを防止できる。
また、図3に示すように、載置面21には車室1の前方に向かう外縁L5が設けられているので、側突時に、載置ブラケット20はこの外縁L5を支点に曲げられる。その結果、側突時の荷重がこの外縁L5で吸収され、側突時の荷重から緊急通報装置10を保護できる。
また、図2に示すように、脚部232は、載置面21の右後方から屈曲し、車室1の側方と対向するようにダッシュパネル30に向けて延設されている。そのため、車両の側突時に側方から中央に向けてダッシュパネル30に荷重が加わったとき、その荷重により載置ブラケット20は屈曲部L2を支点にダッシュパネル30から離れる方向に変形する。これにより、側突時の荷重が屈曲部L2で吸収され、緊急通報装置を保護できる。
(ハーネスブラケット)
次に、ハーネスブラケット80を中心とする緊急通報装置10の配設構造について説明する。図1、図2に示すように、ハーネスブラケット80は、フロアトンネル40の側面41に設けられた固定位置411(第1固定位置の一例)まで、ワイヤーハーネスWと並列するように載置ブラケット20から延設されている。
図8は、図1のVIII−VIII方向からの断面図である。フロアトンネル40は、後方から見て、左方に設けられ、上方に立設された側面41と、右方に設けられ、上方に立設された側面41と、両側面41を上方から閉塞する上面42とを備える。ワイヤーハーネスWは、一端にコネクタC1(第1コネクタの一例)が設けられ、コネクタC1を介して緊急通報装置10と電気的に接続される。具体的には、コネクタC1は緊急通報装置10の後方の側面に設けられたコネクタ接続端子に接続される。また、図11に示すように、ワイヤーハーネスWは、他端にコネクタC2(第2コネクタの一例)が設けられ、コネクタC2を介して検出ユニット9と電気的に接続されている。具体的には、コネクタC2は、検出ユニット9の前方の側面に設けられたコネクタ接続端子に接続される。
図11は、車室1を上方から見た図である。検出ユニット9は、フロアトンネル40の上方において、緊急通報装置10よりも後方に配置されている。図11を参照し、フロアトンネル40には、フロアトンネル40の後方側の上面42を覆う上部ユニット43が取り付けられている。検出ユニット9は、この上部ユニット43の上部に取り付けられている。
図8を参照し、ワイヤーハーネスWは、コネクタC1からフロアトンネル40の側面41に向かう領域W1(第1領域の一例)と、領域W1から屈曲し、フロアトンネル40の側面41に沿ってフロアトンネル40の上面42に向かう領域W2(第2領域の一例)とを備えている。領域W1は、ワイヤーハーネスWにおいて、コネクタC1から左方に向けて直線状に延びる領域である。領域W2は、図9に示すように、ワイヤーハーネスWにおいて、車幅方向から見て、後方に向けて上方に傾斜するように、側面41に沿って延びる領域である。
このように、領域W1は、緊急通報装置10から左方に向けて直線状に延ばされているので、図7に示すように、ワイヤーハーネスWを通すために、フロアカバー32の上部321に凸部を設ける必要がなくなり、上部321を平面的に構成できる。また、領域W2は、フロアトンネル40の側面41に沿っているので、ワイヤーハーネスWを通すために、フロアカバー32の中央側の側部323に凸部を設ける必要がなくなり、側部323を平面的に構成できる。これらにより、搭乗者の足場の空間を確保し、搭乗者の乗り心地の向上が図られている。
図9は、図8のIX−IX方向からの断面図である。ワイヤーハーネスWは、領域W2に連なり、検出ユニット9に向けて直線状に延びる領域W3を備えている。
固定部材90(第1固定部材の一例)は、ハーネスブラケット80を固定位置411に取り付ける。また、固定部材90は、固定位置411の近傍でワイヤーハーネスWを保持する。固定部材100(第2固定部材の一例)は、ワイヤーハーネスWを上部ユニット43の上部に設けられた固定位置421に固定する。
固定位置411は、例えば、側面41の前方であって上下方向のほぼ中央に設けられた孔(図13参照)で構成されている。固定位置421は、上部ユニット43の上部前方に設けられた孔H1(図略)で構成されている。
図12は、ワイヤーハーネスWとハーネスブラケット80との関係に注目した図である。図12に示すように、ハーネスブラケット80は、載置面21の左方からフロアトンネル40に延びるように載置面21に取り付けられている。ハーネスブラケット80は、領域W1と並列する案内部81(第1案内部の一例)と、案内部81から上方に屈曲し、領域W2と並列する案内部82(第2案内部の一例)とを備えている。図8に示すように、領域W2は領域W1に対して90度に近い角度で大きく屈曲されているので、それに合わせて、案内部82は案内部81に対して90度に近い角度で大きく屈曲されている。そのため、図12に示すように、案内部81及び案内部82の境目に屈曲部L7が形成されている。
図13は、ワイヤーハーネスWがフロアトンネル40の側面41に取り付けられる様子を示す図である。図13に示すように、固定部材90は、ワイヤーハーネスWの領域W2の所定の位置から前方に突出した枝部91と、枝部91の先端から孔H1側に設けられたクリップ部92と、枝部91の根元側において領域W2に沿って延びる根元部95と、根元部95の両端を領域W2に固定する一対のホルダー93とを備えている。
クリップ部92は、可撓性を有する樹脂材料で構成され、枝部91側に設けられた大局的に円錐状の傘部921と、傘部921の中央から孔H1側に延びる円筒部922と、円筒部922の側面に設けられた一対の突起部923とを備えている。孔H1にはクリップ部92と嵌合する円環(図略)が設けられている。
円環は図14に示す、固定部材100に対応する円環102と同じである。図14を参照し、円環102の孔102aの直径は、円筒部922とほぼ同じである。また、突起部923は、挿入方向D41に向けて先細りのテーパ923aが設けられている。したがって、円筒部922を孔102aに挿入すると、突起部923が円筒部922側に縮むように変形する。そして、突起部923を通過するまで円筒部922が孔102aに挿入されると、縮んでいたテーパ923aが復帰する。これにより、突起部923が返しになって、円筒部922が円環102から容易に抜けることが防止されている。
図12に示すように、案内部82の先端には、固定部材90の円筒部922が挿入される孔(図略)が設けられており、固定部材90の円筒部922は、この孔に通されて円環(図略)に挿入される。これにより、ワイヤーハーネスWは、固定位置411の近傍で、固定部材90によって保持される。
車両が前突すると、図9に示すように、載置ブラケット20には反時計回りの荷重Fが加わって突き上げられる場合がある。この場合、載置ブラケット20に載置された緊急通報装置10も反時計回りに突き上げられるので、ハーネスブラケット80が無ければ、ワイヤーハーネスWはこの緊急通報装置10の突き上げに追従できなくなり、やがて、コネクタC1が緊急通報装置10から外れてしまう。
そこで、本実施の形態では、ハーネスブラケット80を設けた。これにより、緊急通報装置10が載置ブラケット20と共に突き上げられたとしても、ハーネスブラケット80が荷重Fを吸収し、ワイヤーハーネスWは、固定位置411から緊急通報装置10までの距離が維持されるように突き上げられる。よって、コネクタC1が緊急通報装置10から外れることを防止できる。
図12を参照し、案内部81は、載置面21側の領域の横幅A1が案内部82側の領域の横幅A2(<A1)よりも大きくされている。詳細には、横幅A1は案内部82に向けて徐々に小さくなっている。また、案内部82は、横幅がA2である。これにより、案内部81の剛性が案内部82よりも高められている。そのため、衝突時の荷重により、ハーネスブラケット80は、屈曲部L7を支点に屈曲し易くなる。その結果、衝突時の荷重が屈曲部L7で吸収され、コネクタC1が緊急通報装置10から外れることへの更なる防止が図られている。
図10は、図8のX−X方向からの断面図である。図10に示すように、ハーネスブラケット80は、フロアトンネル40等の車両本体部とクリアランスを設けて、載置ブラケット20の左方に設けられている。これにより、衝突時において車両本体部から直接的な荷重が加わり難くなり、コネクタC1が緊急通報装置10から外れることへの更なる防止が図られている。
図14は、固定部材100の構成を示す図である。固定部材100は、クリップ部103とワイヤーハーネスWを通す円環状のホルダー101とを備えている。クリップ部103は、上述した、固定部材90のクリップ部92と同様、円筒部922、突起部923を備えている。なお、クリップ部103においては、傘部921(図13参照)は省かれている。ホルダー101は、円筒部922の上部に取り付けられている。円環102は、図9に示すように、固定位置421に形成された孔(図略)に取り付けられている。
固定部材100は、固定部材90と同様、円筒部922から挿入方向D41に沿って円環102に挿入され、ワイヤーハーネスWを上部ユニット43の上部に取り付ける。これにより、ワイヤーハーネスWは、フロアトンネル40の上面42及び上部ユニット43の上部において、領域W2からコネクタC2まで直線状に延びる領域W3が形成される。
ここで、固定部材100は、可撓性を有する樹脂製部材で構成されており、衝突時にワイヤーハーネスWに一定以上の張力が加わった場合、円環102から外れるように抜き差し自在に構成されている。詳細には、突起部923が円筒部922側に縮むことで、固定部材100は、円環102から外れる。
そのため、衝突時にワイヤーハーネスWに一定以上の張力が加わると、固定部材100は、円環102から外れることで、ワイヤーハーネスWの張力を緩和させる。これにより、固定部材100は、コネクタC1が緊急通報装置10から外れることの更なる防止が図られている。
(変形例1)
上記実施の形態では、緊急通報装置10は、フロアトンネル40の左方に設けられていたが右方に設けられていてもよい。この場合、ハーネスブラケット80は、載置ブラケット20の右方からフロアトンネル40に向けて延びることになる。
(変形例2)
図3において、3本の脚部231〜233が設けられているが、いずれか1本又は2本の脚部が省かれてもよい。
C1,C2 コネクタ
L1,L2,L3,L4,L7 屈曲部
L5,L6 外縁
SP クリアランス
W ワイヤーハーネス
W1 領域,W2,W3 領域
1 車室
9 検出ユニット
10 緊急通報装置
20 載置ブラケット
21 載置面
22 凹部
27 カバー
30 ダッシュパネル
40 フロアトンネル
41 側面
42 上面
43 上部ユニット
50 フロア
80 ハーネスブラケット
81,82 案内部
90,100 固定部材
411 固定位置
421 固定位置

Claims (5)

  1. 車室を備える車両に搭載される緊急通報装置の配設構造であって、
    前記車室の前方の下部に設けられ、前記車室の後方に向けて下方に傾斜するダッシュパネルと、
    前記緊急通報装置が載置される載置面を備える載置ブラケットとを備え、
    前記載置ブラケットは、前記載置面と前記ダッシュパネルとにクリアランスが設けられるように前記ダッシュパネルに取り付けられている緊急通報装置の配設構造。
  2. 前記載置ブラケットは、前記載置面の前方から屈曲し、前記車室の前方と対向するように前記ダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられた第1脚部を備える請求項1記載の緊急通報装置の配設構造。
  3. 前記緊急通報装置を上側から覆うように前記載置ブラケットに取り付けられたカバーを更に備える請求項1又は2記載の緊急通報装置の配設構造。
  4. 前記載置面は、前記緊急通報装置が載置され、前記ダッシュパネル側に窪んだ凹部を備え、
    前記凹部は、前記車室の前方に向かう外縁を備える請求項1〜3のいずれかに記載の緊急通報装置の配設構造。
  5. 載置ブラケットは、前記載置面の側方から屈曲し、前記車室の側方と対向するように前記ダッシュパネルに向けて延設され、先端が前記ダッシュパネルに取り付けられた第2脚部を備える請求項1〜5のいずれかに記載の緊急通報装置の配設構造。
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