以下に、本発明の実施形態及び変形例に係る苗移植機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態及び変形例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び変形例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
[実施形態]
本発明の実施形態に係る苗移植機1を、図1から図8に基いて説明する。図1は、実施形態に係る苗移植機を表す側面図である。図2は、実施形態に係る苗移植機を表す上面図である。図3は、実施形態に係る苗移植機のローリング機構の上面図である。図4は、実施形態に係る苗移植機のローリング機構の側面図である。図5は、実施形態に係る苗移植機の駆動力伝達機構などの構成を一部断面で示す図である。図6は、実施形態に係る苗移植機の苗植付装置の要部を示す側面図である。図7は、実施形態に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。図8は、図7に示された苗積載部の側面図である。
実施形態に係る苗移植機1は、歩行する作業者とともに走行しながら圃場に苗を植え付けるものである。なお、以下では、苗移植機1の前進方向を前方側(図1および図2の左側)とし、前進方向の逆向きの方向を後方側(図1および図2の右側)とし、苗移植機1の前後方向に直交する直交方向を左右方向とし、苗移植機1の前後方向に直交する鉛直方向を上下方向としている。
図1および図2に示すように、苗移植機1は、走行車体2と、走行車体2の後部(後方側)に設けられた苗植付装置3と、駆動力伝達機構4と、フロート5と、整地装置6と、制御装置(図示せず)を備えている。
走行車体2は、圃場を走行する左右一対の駆動輪としての走行輪10を備えている。即ち、苗移植機1は、走行車体2の左右両側に設けられた圃場を走行する一対の走行輪10を備えている。走行車体2は、エンジン11と、前部フレーム12と、前部フレーム12の後端に固着され湾曲して斜め上方に延びる後部フレーム13と、後部フレーム13の後端に取り付けられた操縦ハンドル14(操縦部材に相当)とを備えている。この苗移植機1において、エンジン11の駆動力は、走行車体2を前進させるために走行輪10を回転駆動するだけでなく、苗植付装置3を駆動させるためにも使用される。
走行輪10は、前部フレーム12に前端部を中心として回転自在に設けられた走行伝動ケース41の後端部に回転自在に支持されている。走行輪10は、走行伝動ケース41が前端部を中心として回転されることで、前部フレーム12即ち走行車体2に対して上下動され、走行車体2に対する上下方向の位置が変更される。一対の走行輪10は、ローリング機構15により走行車体2に上下方向の位置が変更自在に設けられている。
ローリング機構15は、図3及び図4に示すように、走行伝動ケース41の前端部から立設した立設片41aに前端部が回転自在に連結した左右の連結ロッド15aと、連結ロッド15aの後端部同士を連結しかつ上下方向の回動軸15bを中心として回動自在に設けられたリンクアーム15cと、前部フレーム12に設けられかつ左右の走行伝動ケース41即ち走行輪10を上下動させる油圧昇降シリンダ15dなどを備えている。
連結ロッド15aは、前端部が立設片41aに回動自在に連結したことにより、走行伝動ケース41と共に上下動する。油圧昇降シリンダ15dは、ピストンロッドが伸縮すると、左右の連結ロッド15a、左右の走行伝動ケース41を上下動させて、走行輪10を上下動させる。また、油圧昇降シリンダ15dの外周でかつリンクアーム15cの前方には、リンクアーム15cを後方に付勢するスプリング15eを設けている。
上記の構成により、左右の走行輪10のいずれか一方、または両方が圃場の凹凸部を通過すると走行伝動ケース41が上方または下方に回動し、この回動量がスプリング15eの付勢力を上回るときは、左右の連結ロッド15aがリンクアーム15cを回動させることにより、左右の走行輪10の上下位置を左右で合わせることができる構成となるので、苗の植付作業中に走行車体2や苗植付装置3が傾斜し、苗の植付深さが左右方向で乱れたり、走行車体2が左右方向に曲がりながら進んで苗の植付条列が蛇行したりすることが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、走行輪10が圃場の凹凸部を通過すると、スプリング15eの付勢力によってリンクアーム15cが回動し、左右の連結ロッド15aによって走行伝動ケース41が上方または下方に回動することにより、左右の走行輪10を圃場面に確実に接地させることができるので、作業者が左右の走行輪10の接地位置を修正する作業が不要となる。
そして、油圧昇降シリンダ15dを伸縮させると左右の走行伝動ケース41及び走行輪10が自動的に上下回動することにより、圃場の表面と苗植付装置3との距離を調節することができるので、圃場の深さに合わせた適切な苗の植え付けができ、苗の植付精度が向上する。
エンジン11は、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関であって、出力軸から駆動力を出力する。出力軸は、走行車体2の左側方から突出している。エンジン11は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、前部フレーム12の前端部に配置されている。エンジン11の上方には、ボンネットカバー18が設けられている。ボンネットカバー18は、エンジン11の上方に設けられた燃料タンク19や制御装置を収容している。
操縦ハンドル14は、走行車体2即ち苗移植機1の走行方向を変更して、走行車体2を操作するためのものである。操縦ハンドル14は、苗植付装置3の苗積載部30の後側に設けられている。操縦ハンドル14の前側でかつ苗植付装置3の苗積載部30の後側には、走行輪10、苗植付装置3への伝動を断つことができる主クラッチレバー20と、走行輪10、苗植付装置3への伝動を断ったり油圧昇降シリンダ15dを作動させるべく油路を切り替えたりする植付昇降レバー21を設けている。主クラッチレバー20は、入位置と切位置との2つの操作位置に操作できる構成となっており、駆動力伝達機構4の主伝動ケース40内の主クラッチを操作して伝動状態と非伝動状態とに切り替える。
植付昇降レバー21は、植付位置、下降位置、中立位置及び上昇位置の4つの操作位置に操作できる構成となっており、駆動力伝達機構4の植付クラッチを操作して苗植付装置3を駆動状態と非駆動状態とに切り替えると共に、油圧昇降シリンダ15dを作動させて左右の走行輪10を上下動させる。
すなわち、植付昇降レバー21を植付位置に操作すると、植付クラッチを伝動状態にして苗植付装置3を作動させると共に、走行車体2の自重で左右の走行輪10が接地荷重を受けることにより油圧昇降シリンダ15dに左右の走行輪10を上動させ、走行車体2を下降させてフロート5を接地状態とする。前記下降位置に操作すると、上述のように走行車体2を下降させた状態で、植付クラッチを非伝動状態にして苗植付装置3の作動を停止させる。前記中立位置に操作すると、上述のように苗植付装置3の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ15dへの油路を遮断して油圧昇降シリンダ15dの作動を固定し、左右の走行輪10を任意の上下位置で固定して走行車体2の昇降を停止させる。前記上昇位置に操作すると、上述のように苗植付装置3の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ15d内へ油圧を供給して左右の走行輪10を下動させ、走行車体2を上昇させてフロート5を非接地状態とする。
操縦ハンドル14の左右のハンドルグリップ14aの下方には左右各々のサイドクラッチレバー22を設けており、該サイドクラッチレバー22により駆動力伝達機構4の左右各々のサイドクラッチを操作する構成となっている。操縦ハンドル14の斜め前下側で後部フレーム13の左側には植付深さ調節レバー23を設けており、該植付深さ調節レバー23の操作により各フロート5の回動支点軸の走行車体2に対する上下位置を変更して、苗植付装置3による苗の植付深さを変更して調節できる構成となっている。
操縦ハンドル14の斜め前下側で後部フレーム13の右側には苗取量調節レバー24を設けており、該苗取量調節レバー24の操作により苗植付装置3の苗積載部30の苗植付部31に対する上下位置を変更して、苗植付部31による一株当たりの苗取り量を変更して調節できる構成となっている。
ボンネットカバー18の後部の上方には、補給用のマット状苗を載せる予備苗載台(図示せず)を支持するための支持フレーム25を設けている。予備苗載台は、棒材を組み合わせた枠体で構成され、予備苗載台を支持する支持フレーム25は、前部フレーム12に両端が取り付けられた予備苗載台支持フレ−ム26に支持されている。
苗植付装置3は、苗の植付範囲を複数の区画あるいは複数の列で、苗を圃場に植え付けることができる。実施形態に係る苗移植機1は、苗を4つの区画で植え付ける、いわゆる4条植のものである。苗植付装置3は、植え付けるためのマット状苗を積載する苗積載部30と、苗積載部30から苗積載部30に積載された苗を取って圃場に植え付ける苗植付部31と、手動苗送装置36(図7に示す)とを備えている。
苗積載部30は、走行車体2の後部に設けられている。苗積載部30は、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ台30aを備えており、それぞれの苗載せ台30aに土付きのマット状苗を積載することが可能になっている。即ち、苗載せ台30aは、左右方向に複数並べられて設けられている。これにより、苗積載部30に積載したマット状苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意しているマット状苗を取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
また、苗積載部30は、後部フレーム13の前部に左右方向に移動可能に支持され、駆動力伝達機構4からの駆動力によりリードカム機構46(図5などに示す)を介して左右方向に往復移動する構成となっている。また、苗積載部30には、左右移動端で、苗積載部30に積載したマット状苗を苗積載部30の下端に設けられた苗取口32(苗取り位置に相当)まで送り出す各条の苗送り装置33を備えている。この苗送り装置33は、駆動力伝達機構4からの駆動力で作動し、苗積載部30の左右移動端でマット状苗を一株分苗取口32へ送り出す。
苗送り装置33は、図7に示すように、各苗載せ台30aに各々2ずつ並んで設けた苗送りベルト33dなどにより構成されており、苗送りベルト33dは、下部駆動ローラ33bと上部テンションローラ33cとに巻き掛けて設けている。そして、下部駆動ローラ33bは、苗載せ台30a裏面に回転自在に支持された駆動軸33aと一体的に回転するように設けられている。図6に示すように、駆動軸33aには、苗送り従動カム94にて作動する駆動ラチェット機構95が設けられ、後部フレーム13には苗送り駆動カム96が回動自在に支軸97にて支持されている。
一方、図5に示すように、植付伝動機構42の中央植付伝動ケース43内に軸支されたリードカム軸49の右端部には、駆動カム98が第1キー99を介してリードカム軸49と一体的に回転し、且つ、リードカム軸49の軸方向に移動自在に設けられている。そして、駆動カム98は、圧縮バネ100にて図5中の矢印イ方向に付勢されており、通常は図5のリードカム軸49の段部に接当した仮想線に示す位置にある。
一方、従動カム101は、中央植付伝動ケース43に回転自在に軸支された従動カム軸102に第2キー103を介して従動カム軸102と一体的に回転する。従動カム101の右端面は、従動カム軸102に固定された停止部材104に接当する。従動カム101の左端面と中央植付伝動ケース43に設けた軸支部105との間には圧縮バネ106が設けられており、通常、従動カム101は、圧縮バネ106に付勢されて図5の実線に示す位置にある。尚、従動カム軸102の右端部は、中央植付伝動ケース43の外側に突出して設けられており、該突出した右端部に連結杆107の基部が溶接固定している。
また、連結杆107の他端部は、前記苗送り駆動カム96に取付け位置調節機構108を介して連結されている。また、従動カム軸102の軸支部105よりも左側の部位には、リードメタル48と一体の移動部材48cが外嵌合した状態で設けられており、従動カム軸102の左端部にはリードメタル48と一体の移動部材48cが従動カム軸102上を左端部まで移動してきた時に接当する接当部材102aが設けられている。
そして、田植作業時に、リードメタル48がリードカム軸49上を右端部にまで移動した時(苗積載部30が右端部にまで移動した時)、リードメタル48が駆動カム98を圧縮バネ100に抗して矢印イの反対方向に移動させて、回転する駆動カム98が従動カム101に接当して、従動カム101を回転させる。すると、従動カム軸102も回転するので、連結杆107を介して苗送り駆動カム96を図6に示す矢印ロ方向に作動させる。
すると、苗送り駆動カム96にて苗送り従動カム94が図6に示す矢印ハ方向に作動し、駆動ラチェット機構95にて駆動軸33aが回転し、各苗送り装置27の各苗送りベルト33dを回転させて、各苗載せ台30aに載置されたマット状苗を苗載せ台30aが右端部にまで移動した時に苗取口32へ送る。
逆に、リードメタル48がリードカム軸49上を左端部にまで移動した時(苗積載部30が左端部にまで移動した時)、駆動カム98は圧縮バネ100の付勢力にて図5のリードカム軸49の段部に接当した仮想線に示す位置にあるが、リードメタル48と一体の移動部材48cが従動カム軸102上を左端部まで移動して接当部材102aに接当して、従動カム軸102を圧縮バネ106に抗して図5に示す矢印ニ方向に移動させる。すると、従動カム101も従動カム軸102と共に矢印ニ方向に移動し、駆動カム98と接当する位置まで移動する。
そこで、回転する駆動カム98が従動カム101に接当して、従動カム101を回転させる。従動カム101の回転により、従動カム軸102も回転するので、連結杆107を介して苗送り駆動カム96を矢印ロ方向に作動させる。すると、苗送り駆動カム96にて苗送り従動カム94が矢印ハ方向に作動し、駆動ラチェット機構95にて駆動軸33aが回転し、各苗送り装置27の各苗送りベルト33dを回転させて、各苗載せ台30aに載置されたマット状苗を苗載せ台30aが左端部にまで移動した時に苗取口32へ送る。
前述した構成の苗送り装置33は、苗積載部30が左右いずれかの端部に位置した時、即ち、マット状苗から左右一列分の苗を掻き取り、苗載せ台30a上にマット状苗が下方に移動し得るスペースが生じた時に、作動して、マット状苗の左右方向一列に亘って一株分マット状苗を苗取口32へ送り出す。こうすることで、苗送り装置33は、マット状苗を圧縮しすぎることなく苗取口32に送り出すことができる。
苗植付部31は、走行車体2の後部に設けられ、苗積載部30に積載された苗を圃場に植え付ける。苗植付部31は、条毎に一つずつ配設されており、各々一つの苗積載部30に積載された苗を圃場に植え付ける植込杆34を備えている。実施形態では、苗植付装置3は、苗植付部31を合計4つ設け、4つの苗植付部31が苗積載部30から苗取口32へ供給される苗をそれぞれ一株分づつ掻き取って、走行しながら圃場に同時に4条分の苗を植え付ける4条植えの構成となっている。
苗植付部31は、駆動力伝達機構4の後述する植付伝動ケース43,44の下部に取り付けられている。苗植付部31は、左右方向に間隔をあけて配置され、苗積載部30の苗取口32の前方側に配置されている。苗植付部31は、駆動力伝達機構4の植付伝動軸47などにより回転駆動される植付アーム35(図2に示す)と、植付アーム35に回転自在に設けられた植込杆34とを備えている。
植付アーム35は、駆動力伝達機構4の植付伝動軸47などを介してエンジン11からの駆動力が伝達されて回転されるとともに、エンジン11からの駆動力により植込杆34を回転させる。植込杆34は、苗積載部30に積載された苗を圃場に植え付ける。植込杆34は、その先端で苗積載部30に積載されて苗取口32内の苗を一株づつ掻き取って、植付アーム35により回転されることで下降し、掻き取った苗を圃場に植え付ける。そして、植込杆34は、植付アーム35により回転されることで再度上昇して、次の苗を一株づつ掻き取る。このように、植込杆34の先端は、図1に二点鎖線で示す軌跡Kに沿って移動する。なお、植込杆34は、軌跡Kの上端部Kaで苗を苗積載部30から一株づつ掻き取り、軌跡Kの下端部Kb(苗植付位置に相当)で掻き取った苗を圃場に植え付ける。このように、苗植付部31は、植付アーム35が回転されながら、植込杆34が植付アーム35に対して回転されるとともに、植込杆34が苗積載部30に積載された苗を圃場に植え付ける。
手動苗送装置36は、操作するたびに苗送り装置33を作動させて苗を送り出すものである。手動苗送装置36は、図8に示すように、苗積載部30の後側でかつ操縦ハンドル14の前側に設けられている。また、手動苗送装置36は、苗積載部30の複数の苗載せ台30aのうちの左右方向の最も外側の苗載せ台30aと、最も外側の苗載せ台30aから2番目の苗載せ台30aとの間に設けられている。実施形態では、手動苗送装置36は、図7に示すように、最も左側の苗載せ台30aと、左から2番目の苗載せ台30aとの間に設けられている。
手動苗送装置36は、図8に示すように、一方向回転部材36aと、回動部材36bと、手動操作部材36cと、付勢部材36dとを備える。一方向回転部材36aは、苗送り装置33の駆動軸33aに取り付けられかつ駆動軸33a即ち駆動ローラ33bと一体に回転する。一方向回転部材36aは、周知のラチェット機構で構成され、苗送り装置33の駆動ローラ33bがマット状苗を苗取口32に向けて送り出す一方向K1(図8に示す)の回転が許容され、前記一方向K1と逆向きの他方向K2(図8に示す)の回転が規制されている。即ち、一方向回転部材36aは、一方向K1のみに回転可能なものである。また、一方向回転部材36aの外縁部には、複数の歯36gが全周に亘って設けられている。
回動部材36bは、回動自在に設けられかつ一方向回転部材36aを一方向K1に回転させることが可能なものである。回動部材36bは、苗積載部30から後側に突出した板状部材36eと、板状部材36eに取り付けられた押込爪36fとを備えている。板状部材36eは、苗積載部30寄りの前端部を中心として回転自在に設けられている。板状部材36eの回転中心は、左右方向と平行である。押込爪36fは、板状部材36eの後端部が上昇する方向に回転すると、一方向回転部材36aの歯36gに噛み合って一方向回転部材36aを一方向K1方向に回転させる。押込爪36fは、板状部材36eの後端部が上昇する方向に回転すると、一方向回転部材36aとともに苗送り装置33の駆動ローラ33bを一株分回転させる。なお、上記の板状部材36eは、苗積載部30が左右いずれかの端部に移動したときに回動するリードカム機構46の苗送り駆動カム96が接触すると回動し、苗送り装置33を作動させる部材でもある。
手動操作部材36cは、操作されることで回動部材36bを回動させるものである。手動操作部材36cは、棒状に形成され、苗積載部30に取り付けられた支持片30bにより苗積載部30に苗載せ台30aの表面に沿って移動自在に支持されている。手動操作部材36cは、下端部が回動部材36bの板状部材36eの後端部に回転自在に連結されている。手動操作部材36cは、図8中に実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで上方に移動されることで、回動部材36bを板状部材36eの前端部を中心として回動させて、一方向回転部材36aを苗送り装置33がマット状苗を1株分送り出す一方向K1に回動させる。このように、手動操作部材36cは、苗載せ台30aの表面に沿って上下方向に移動自在に設けられ、上方に移動されることで、一方向回転部材36aを回動させる。
付勢部材36dは、一方向回転部材36aが他方向K2に回転する方向に前記手動操作部材36cを付勢するものである。本実施形態では、付勢部材36dは、手動操作部材36cを下方に付勢する。付勢部材36dは、コイルばねで構成され、支持片30bの下方に配置され、下端部が手動操作部材36cから突出した凸部36hにより支持されている。付勢部材36dは、手動操作部材36cが上方に移動すると縮小して手動操作部材36cを下方に付勢する弾性復元力を生じる。
前述した構成の手動苗送装置36は、付勢部材36dの付勢力により押込爪36fが一方向回転部材36aの歯36gを押し込まない図8の実線で示す位置に位置付けられる。そして、付勢部材36dの付勢力に抗して、手動操作部材36cが図8の二点鎖線で示す位置まで上方に移動されると、押込爪36fが一方向回転部材36aを一株分一方向K1に回転させる。そして、手動操作部材36cの操作をやめると、付勢部材36dの付勢力により手動苗送装置36は、図8に実線で示す位置に復帰する。
駆動力伝達機構4は、エンジン11の後側に設けられた主伝動ケース40と、主伝動ケース40の左右各々に設けられた走行伝動ケース41と、植付伝動機構42とを備えている。主伝動ケース40は、前部フレーム12の前端部に取り付けられている。主伝動ケース40は、エンジン11の出力軸を収容しており、エンジン11からの駆動力が伝達される。
主伝動ケース40内には、エンジン11からの駆動力の走行輪10、苗植付装置3への全ての伝動を断つことが出来る主クラッチと、主クラッチからの駆動力を走行輪10への伝動経路と苗植付装置3への伝動経路とに分岐する動力分岐部と、苗植付装置3への伝動経路上において苗植付装置3への伝動を断つことができる植付クラッチと、走行輪10への伝動経路上において噛み合うギヤの切替により路上走行用の前進高速状態、植付作業用の前進低速状態、ギヤが噛み合わずに非伝動となる中立状態及び後進状態の4状態に切り替えて変速できる変速部と、変速部の伝動下手側で左右の走行輪10への伝動を非伝動状態に切り替えることができる左右各々のサイドクラッチとを設けている。従って、走行輪10への伝動経路では、エンジン11からの駆動力は、変速部及びサイドクラッチを介して主伝動ケース40から左右に突出する左右各々の走行用伝動軸(図示せず)に伝動される。
走行伝動ケース41は、主伝動ケース40の走行用伝動軸を収容しており、走行伝動ケース41内でスプロケット及びチェ−ンにより該走行伝動ケース41から左右外側に突出する車軸10aに伝動し、走行輪10を回転駆動する。走行伝動ケース41は、前端部に位置する走行用伝動軸周りに上下に回動可能に設けられ、後端部に位置する車軸10aを上下に移動させて走行輪10を上下動させる。
植付伝動機構42は、図2及び図5に示すように、主伝動ケース40から後側に延び、且つ植付クラッチを介してエンジン11からの駆動力が伝達される伝達軸45と、中央植付伝動ケース43と、外側植付伝動ケース44と、エンジン11からの駆動力により苗積載部30を左右方向に往復移動させるリードカム機構46と、を備えている。
中央植付伝動ケース43は、左右方向の中央に設けられ、後部フレーム13の前端部上に配置されている。中央植付伝動ケース43は、伝達軸45の後端と、植付伝動軸47の中央部と、4つの苗植付部31のうちの中央の2つの苗植付部31へ駆動力を伝達するギヤやチェーンなどで構成される伝動機構43aを回転自在に収容している。伝達軸45を介して伝達されたエンジン11からの駆動力は、伝達軸45の後端及び植付伝動軸47に固定されたベベルギヤにより、植付伝動軸47に伝達されて、植付伝動軸47を軸心回りに回転駆動する。また、植付伝動軸47に伝達されたエンジン11からの駆動力は、伝動機構43aを介して中央の2つの苗植付部31へ伝達され、これら中央の2つの苗植付部31の植付アーム35を回転させるとともに、植込杆34を植付アーム35に対して回転させる。
外側植付伝動ケース44は、中央植付伝動ケース43の左右両側に設けられ、中央植付伝動ケース43に取り付けられている。外側植付伝動ケース44は、植付伝動軸47の端部と、左右各々の外側の1つの苗植付部31へ伝動するスプロケットやチェーンなどで構成される伝動機構を回転自在に収容している。植付伝動軸47を介して伝達されたエンジン11からの駆動力は、植付伝動軸47の端部に固定されたスプロケットなどで構成される伝動機構を介して外側の1つの苗植付部31へ伝達され、この1つの苗植付部31の植付アーム35を回転させるとともに、植込杆34を植付アーム35に対して回転させる。
リードカム機構46は、苗積載部30に取り付けられたリードメタル48と、エンジン11の駆動力により回転自在に中央植付伝動ケース43内に収容されたリードカム軸49とを備えている。リードカム軸49は、長手方向が左右方向と平行な状態で、左右方向の移動が規制されかつ軸心回りの回転が許容されて、中央植付伝動ケース43内に収容されている。リードカム軸49の外周面には、螺旋状の溝49aが形成されている。リードカム軸49は、植付伝動軸47からエンジン11の駆動力が伝達されて、軸心回りに回転する。
リードメタル48は、リードカム軸49の溝49aに係合する爪48aを備えている。リードメタル48は、爪48aが溝49a内を移動することで、リードカム軸49の回転により左右方向に往復移動する。リードメタル48は、リードカム軸49の回転により左右方向に往復移動すると、苗積載部30を左右方向に往復移動する。
フロート5は、走行車体2の下部に設けられ、且つ走行車体2の移動と共に圃場の表面に接触して圃場の表面上を滑走して整地するものである。フロート5は、走行車体2の左右方向の中央に設けられた一つのセンターフロート51と、該センターフロート51の左右両側にそれぞれ設けられた一対のサイドフロート52との3枚で構成されている。苗移植機1は、センターフロート51と一対のサイドフロート52との間に走行輪10を設けている。
センターフロート51は、中央の2つの苗植付部31の苗を植え付ける位置を整地し、サイドフロート52は、外側の各々1つの苗植付部31の苗を植え付ける位置を整地する。センターフロート51は、前端がサイドフロート52の前端より前側に位置し、サイドフロート52より前後長が長く、サイドフロート52より左右幅が広く、サイドフロート52より接地面積が広い。
整地装置6は、圃場の表面のうち各苗植付部31の植込杆34が苗を植え付ける位置を整地する植付整地装置61と、走行輪10の走行跡を整地する走行整地装置62とを備えている。
制御装置は、苗移植機1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置は、例えば、エンジン11を制御するエンジン制御等を実行している。
前述した苗移植機1は、圃場に苗を植え付ける際には、作業者が操縦ハンドル14の左右のハンドルグリップ14aを把持し、植付昇降レバー21を植付位置に操作して走行車体2を下降させると共に苗植付装置3を作動可能な状態にし、主クラッチレバー20を入位置に操作して走行車体2を走行させながら苗植付装置3を作動させることにより、圃場に同時に4条分の苗を植え付けていく。圃場の枕地に到達すると、植付昇降レバー21を上昇位置に操作して苗植付装置3の作動を停止させると共に走行車体2を上昇させ、走行伝動ケース41を下方へ回動してフロート51,52を圃場から浮かせた状態にして旋回内側のサイドクラッチレバー22を操作して旋回内側の走行輪10のサイドクラッチを断ち、走行車体2を旋回させる。
また、苗移植機1は、苗の植付作業では、リードカム機構46が苗積載部30を左右方向に往復移動させながら苗積載部30の移動左右端で苗送り装置33がマット状苗を一株分苗取口32に送り出す。そして、苗移植機1は、苗送り装置33が苗取口32にマット状苗を送り出せなかった場合には、作業者が手動苗送装置36の手動操作部材36cを上方に移動させる操作をしてマット状苗を苗取口32に送り出す。
以上のように、本実施形態の苗移植機1の構成によれば、操作するたびに苗送り装置33を作動させる手動苗送装置36を備えたことにより、苗送り装置33が苗取口32までマット状苗を下ろしきれないときは、手動苗送装置36の手動操作によってマット状苗を苗取口32まで移動させることができる。したがって、苗植付部31が苗を植え付けられない箇所が発生せず、手作業で苗を植え付ける必要がなくなる。
また、苗移植機1は、苗送り装置33が作動しなくなっても、手動苗送装置36を操作してマット状苗を苗取口32に移動させることができるので、苗送り装置33が故障しても植付作業が中断されることが防止され、作業能率が向上する。したがって、苗移植機1は、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。
また、苗移植機1は、手動操作部材36cを操作して回動部材36bを回動させ、一方向回転部材36aを回転させることにより、苗送り装置33を任意に作動させることができる。したがって、苗が植え付けられず、手作業で植え付ける必要が無くなる。また、苗移植機1は、手動操作部材36cの操作を止めると、付勢部材36dが手動操作部材36cを移動させて一方向回転部材36aを回転させない状態にすることができるので、作業者は、手動操作部材36cを離すだけで苗送り装置33の作動を止めることができ、マット状苗を送り過ぎて潰れさせることを抑制できる。
また、苗移植機1は、手動操作部材36cを上方に移動させると回動部材36bが一方向回転部材36aを回転させる構成としたことにより、手動操作部材36cから手を離した際に回動部材36bが元の位置に復帰しやすくなるので、確実に苗送り装置33の作動を停止させることができ、送り出し過ぎたマット状苗が潰れることを防止できる。
また、苗移植機1は、苗植付部31の構成部材の少ない上方に手動操作部材36cを移動させることにより、他の構成部材との干渉がなく、操作性が向上する。
苗移植機1は、手動苗送装置36を苗積載部30の後側で且つ操縦ハンドル14よりも前側に設けることにより、作業者は苗積載部30の前側まで移動してマット状苗を苗取口32まで移動させる操作を行なう必要がなく、作業能率が向上する。また、マット状苗を手で苗取口32に移動させないことにより、摩擦でマット状苗の形が崩れることを防止できるので、苗植付部31が掻き取る苗の量や姿勢が乱れることがなく、苗の植付量がより安定する。
苗移植機1は、手動苗送装置36を左右方向の最も外側の苗載せ台30aと左右方向の最も外側から2番目の苗載せ台30aとの間に配置したことにより、手動苗送装置36が苗積載部30の左右両側からはみ出すことを防止でき、手動苗送装置36が移動中に周辺に接触して破損することが防止される。
また、苗積載部30の左右方向の中心寄りに手動苗送装置36が配置されるので、走行車体2の左右方向中心寄りに立つ作業者が手動苗送装置36を操作しやすくなり、作業能率が向上する。
[変形例1]
本発明の実施形態の変形例1に係る苗移植機1を、図9に基いて説明する。図9は、実施形態の変形例1に係る苗移植機の苗積載部の側面図である。なお、図9において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態の変形例1に係る苗移植機1の手動苗送装置36では、手動操作部材36cを第1アーム部材36caと、第2アーム部材36cbと、リンク部材36ccとで構成している。第1アーム部材36ca及び第2アーム部材36cbは、棒状に形成されている。第1アーム部材36caは、下端部が回動部材36bの板状部材36eの後端部に回転自在に連結されている。第2アーム部材36cbは、上端部が支持片30bに回転自在に支持されている。リンク部材36ccは、第1アーム部材36caの上端部と第2アーム部材36cbの下端部を回転自在に連結している。付勢部材36dは、支持片30bの上に設けられ、かつ上端部に第2アーム部材36cbから突出した凸部36hが当接する。
変形例1の手動苗送装置36では、作業者が手動操作部材36cの第2アーム部材36cbを下方に移動すると、第1アーム部材36caが上方に移動して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させて、一株分のマット状苗を苗取口32に向けて送り出す。また、作業者が、第2アーム部材36cbの操作をやめると、付勢部材36dの付勢力により第2アーム部材36cbが上昇し、第1アーム部材36caが下降して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させない位置に復帰する。
変形例1に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。
[変形例2]
本発明の実施形態の変形例2に係る苗移植機1を、図10に基いて説明する。図10は、実施形態の変形例2に係る苗移植機の苗積載部の側面図である。なお、図10において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態の変形例2に係る苗移植機1の手動苗送装置36では、手動操作部材36cの上部に延長操作部材36iを設けている。延長操作部材36iは、棒状に形成され、一端部が手動操作部材36cの上部に回転自在に連結されているとともに、長手方向の中央部が支持片30bに回転自在に支持されている。延長操作部材36iの一端部及び中央部の回転中心は、左右方向と平行である。延長操作部材36iは、手動操作部材36cから後側に延びている。
変形例2の手動苗送装置36では、作業者が延長操作部材36iを下方に移動すると、手動操作部材36cが上方に移動して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させて、一株分のマット状苗を苗取口32に向けて送り出す。また、作業者が延長操作部材36iの操作をやめると、付勢部材36dの付勢力により手動操作部材36cが下降して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させない位置に復帰する。
変形例2に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。
[変形例3]
本発明の実施形態の変形例3に係る苗移植機1を、図11に基いて説明する。図11は、実施形態の変形例3に係る苗移植機の苗積載部の側面図である。なお、図11において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態の変形例3に係る苗移植機1の手動苗送装置36では、手動操作部材36cの上部に延長操作部材36iを設けている。延長操作部材36iは、棒状に形成され、一端部が手動操作部材36cの上部に回転自在に連結されているとともに、長手方向の中央部が支持片30bに回転自在に支持されている。延長操作部材36iの一端部及び中央部の回転中心は、左右方向と平行である。延長操作部材36iは、手動操作部材36cから苗側に延びて、他端部即ち前端部を苗積載部30よりも前側に突出させている。
変形例3の手動苗送装置36では、作業者が延長操作部材36iを下方に移動すると、手動操作部材36cが上方に移動して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させて、一株分のマット状苗を苗取口32に向けて送り出す。また、作業者が延長操作部材36iの操作をやめると、付勢部材36dの付勢力により手動操作部材36cが下降して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させない位置に復帰する。
変形例3に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗積載部30の前側に延長操作部材36iを設けているので、苗積載部30に載置されたマット状苗の状態を見ながら延長操作部材36iを操作することができるので、マット状苗を適切に苗取口32に移動させることができる。したがって、マット状苗が潰れることが防止されると共に、マット状苗が苗取口32に届かず、マット状苗が植え付けられない箇所が発生することが防止される。
また、手動操作部材36cや付勢部材36d等の長尺な部材を苗積載部30の後側に配置することができるので、手動苗送装置36を機体操作の妨げとなる位置から離間させることができ、操作性が向上する。
[変形例4]
本発明の実施形態の変形例4に係る苗移植機1を、図12に基いて説明する。図12は、実施形態の変形例4に係る苗移植機の苗積載部の側面図である。なお、図12において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態の変形例4に係る苗移植機1の手動苗送装置36では、回動部材36bの板状部材36eを苗積載部30よりも前側に突出させ、前後方向の中央部を中心として回転自在に設けているとともに、前端部に手動操作部材36cの下端部を回転自在に連結している。さらに、手動操作部材36cと付勢部材36dと支持片30bを苗積載部30の前側に設けている。さらに、付勢部材36dは、支持片30bの上に設けられ、かつ上端部に手動操作部材36cから突出した凸部36hが当接する。
変形例4の手動苗送装置36では、作業者が手動操作部材36cを下方に移動すると、回動部材36bの板状部材36eが中央部を中心として回転して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させて、一株分のマット状苗を苗取口32に向けて送り出す。また、作業者が手動操作部材36cの操作をやめると、付勢部材36dの付勢力により手動操作部材36cが上昇して、押込爪36fが一方向回転部材36aを回転させない位置に復帰する。
変形例4に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。苗積載部30の前側に設けた手動操作部材36cを操作することで、苗積載部30に載置されたマット状苗の状態を見ながら手動苗送装置36を操作することができるので、マット状苗を適切に苗取口32に移動させることができる。したがって、マット状苗が潰れることが防止されると共に、マット状苗が苗取口32に届かず、マット状苗が植え付けられない箇所が発生することが防止される。
また、手動操作部材36cや付勢部材36d等の長尺な部材を苗積載部30に積載された苗の上方に配置することができるので、手動苗送装置36を機体操作の妨げとなる位置から離間させることができ、操作性が向上する。
[変形例5]
本発明の実施形態の変形例5に係る苗移植機1を、図13に基いて説明する。図13は、実施形態の変形例5に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。なお、図13において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例5では、手動苗送装置36は、図13に示すように、最も右側の苗載せ台30aと、右から2番目の苗載せ台30aとの間に設けられている。変形例5に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗移植機1は、手動苗送装置36が破損することが防止されるとともに、作業者が手動苗送装置36を操作しやすくなり、作業能率が向上する。
[変形例6]
本発明の実施形態の変形例6に係る苗移植機1を、図14に基いて説明する。図14は、実施形態の変形例6に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。なお、図14において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例6では、手動苗送装置36は、図14に示すように、最も右側の苗載せ台30aと右から2番目の苗載せ台30aとの間と、最も左側の苗載せ台30aと左から2番目の苗載せ台30aとの間との合計2箇所に設けられている。変形例6に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗移植機1は、手動苗送装置36が破損することが防止されるとともに、手動苗送装置36を2箇所設けたことにより、作業者が手動苗送装置36を操作しやすくなり、作業能率が向上する。
[変形例7]
本発明の実施形態の変形例7に係る苗移植機1を、図15に基いて説明する。図15は、実施形態の変形例7に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。なお、図15において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例7では、手動苗送装置36は、図15に示すように、複数の苗載せ台30aのうちの左右方向の最も外側の苗載せ台30aの外側の端部に設けられている。変形例7では、手動苗送装置36は、最も左側の苗載せ台30aの左側の端部に設けられている。変形例7に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗移植機1は、最も外側(左側)の苗載せ台30aの端部に手動苗送装置36を設けたことにより、苗積載部30の摺動位置に関係なく手動苗送装置36に手が届きやすくなるので、手動苗送装置36の操作が容易になり、作業能率が向上する。
[変形例8]
本発明の実施形態の変形例8に係る苗移植機1を、図16に基いて説明する。図16は、実施形態の変形例8に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。なお、図16において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例8では、手動苗送装置36は、図16に示すように、複数の苗載せ台30aのうちの左右方向の最も外側の苗載せ台30aの外側の端部に設けられている。変形例8では、手動苗送装置36は、最も右側の苗載せ台30aの右側の端部に設けられている。変形例8に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗移植機1は、最も右側の苗載せ台30aの端部に手動苗送装置36を設けたことにより、苗積載部30の摺動位置に関係なく手動苗送装置36に手が届きやすくなるので、手動苗送装置36の操作が容易になり、作業能率が向上する。
[変形例9]
本発明の実施形態の変形例9に係る苗移植機1を、図17に基いて説明する。図17は、実施形態の変形例9に係る苗移植機の苗積載部を後側からみた平面図である。なお、図17において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例9では、手動苗送装置36は、図17に示すように、複数の苗載せ台30aのうちの左右方向の中央の苗載せ台30aの左右どちらか一側に設けられている。変形例9では、手動苗送装置36は、中央の二つの苗載せ台30aの間に設けられることで、左右方向の中央の苗載せ台30aの左右どちらか一側に設けられている。変形例9に係る苗移植機1によれば、実施形態と同様に、苗の植付量を安定させることができ、作業能率の低下を抑制することができる。また、苗移植機1は、苗積載部30の左右方向の中心寄りに手動苗送装置36が配置されるので、走行車体2の左右方向中心寄りに立つ作業者が手動苗送装置36を操作しやすくなり、作業能率が向上する。
[変形例10]
本発明の実施形態の変形例10に係る苗移植機1を、図18及び図19に基いて説明する。図18は、実施形態の変形例10に係る苗移植機のセンターフロートに接続するセンサロッドの正面図である。図19は、図18に示されたセンサロッドと油圧昇降シリンダを動作させるバルブとの接続部分の断面図である。なお、図18及び図19において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
苗移植機1は、図18に示すように、センターフロート51上にセンサロッド70が立設し、センサロッド70の上端部が油圧昇降シリンダ15dを伸縮させるバルブ(図示せず)に接続している。センターフロート51が上下動するのに連動して、油圧昇降シリンダ15dのロッドが伸縮して走行輪10が上下動する。
バルブには、バルブ側アーム71が取り付けられた回動軸72が設けられ、センサロッド70の上端部には、回動軸72の外周に嵌合した軸受部材73に取り付けられたロッド側アーム74が取り付けられている。図19に示すように、軸受部材73の内周面の左右方向の両端部には、小径部73aを設け、左右方向の中央部には大径部73bを設けている。小径部73aの内径は、回動軸72の外径と等しく形成され、大径部73bの内径は、回動軸72の外径よりも大きく形成されている。軸受部材73は、大径部73b内に潤滑用のグリスが充填される。センターフロート51が上下動すると、ロッド側アーム74が回動軸72を中心に回転し、バルブ側アーム71を回転させて、油圧昇降シリンダ15dが伸縮して走行輪10が上下動する。
変形例10によれば、軸受部材73の内周面の中央部に大径部73bを設けて、大径部73b内に潤滑用のグリスを充填しているので、ロッド側アーム74をスムーズに回転させることができ、センターフロート51が上下動するのに連動して、走行輪10をスムーズに上下動させることができる。
[変形例11]
本発明の実施形態の変形例11に係る苗移植機1を、図20に基いて説明する。図20は、実施形態の変形例11に係る苗移植機のセンターフロートに接続するセンサロッドと油圧昇降シリンダを動作させるバルブとの接続部分の正面図である。なお、図19において、前述した実施形態、変形例10と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
変形例11では、走行輪10の上下動の感度や上下動をロックする植付昇降レバー21にワイヤ75を介して回動プレート76を連結している。植付昇降レバー21を操作すると、回動プレート76がセンサロッド70のばね70aを抑え込む図20の実線で示す位置と、ばね70aを伸縮自在とするとともに走行輪10の上下動の感度を調整する図20の二点鎖線で示す位置とに亘って、回動プレート76が回転する。
センサロッド70の上端部は、バルブ側アーム71aに連結し、センサロッド70が上下動すると、バルブ側アーム71aが回動軸72周りに回転して、油圧昇降シリンダ15dを伸縮させる。バルブ側アーム71aは、ナット77により回動軸72に取り付けられている。変形例11によれば、走行輪10の上下動の感度をこまめに調整することができる。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で、構成要素を種々組み合わせて実施することができる。