JP6306792B1 - 土のう詰め替え袋 - Google Patents
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Description
しかし、土のう等の耐用年数は数年程度であり、紫外線等によって袋体の表面等が劣化すると破れて中の放射性物質が漏出したり、吊り上げ時に持ち手がちぎれて落下するなどのおそれがある。そこで、放射性物質を封入した土のう等を保管、搬送するに際して、劣化しているおそれがある土のう等を、袋ごと新たな詰め替え袋に移し替える作業が行われている。
特許文献1(段落0040、図10)には、劣化したフレコンバッグを充填物ごと詰め替え袋に詰め替える工程が開示されている。
<1>ダンプトラック等による搬送時、詰め替え袋が荷台から落下すると、詰め替え袋が破れて土のう内の有害な放射性物質が漏出するおそれがある。
<2>詰め替え袋の袋口はロープで縛られているだけなので、落下時にロープが破損したり抜けたりして袋口から放射性物質がこぼれ出すおそれがある。
<3>横向き又は反転した詰め替え袋を逆さづりするには、玉掛け用に袋体にベルト等を巻き付けて再拘束する必要がある。これは作業員の放射性物質への被曝時間を増やすため、健康面での懸念がある。
<4>詰め替え袋が横向き又は反転して落下した場合、詰め替え袋の上部の吊ベルトを使って吊り上げようとすると、ベルトや袋体に偏圧がかかり詰め替え袋が破損しやすい。
<5>詰め替え袋を逆さに吊り上げると、内部の土のうの荷重で蓋が破れて落下するおそれがある。
この構成によれば、落下後の吊り上げ作業及び積みなおし作業を効率化し、作業員の被曝時間を大幅に短縮することができる。
この構成によれば、安全な吊角度を確保し、袋体の破損を防ぐことができる。
この構成によれば、蓋体が破れて土のうが落下するのを防ぐことができる。
この構成によれば、袋体の蓋部を強固に締結し、蓋部から土のうの充填物が漏出するのを防ぐことができる。
この構成によれば、土のうの荷重に対し、袋体の底部を補強することができる。
<1>袋口が封鎖手段によって強固に締結されているため、落下しても袋口から放射性物質が漏出するおそれがない。
<2>詰め替え袋が横向き又は反転して落下した場合であっても、底面の吊上部をクレーン掛けすることで、詰め替え袋の向きを変えず、容易に吊り上げることができる。このため、作業員の被曝時間が少なく、安全性が高い。
<3>逆さ吊り時、蓋部にかかる土のうの荷重を、連結した支持部によって支持できるため、土のうが蓋部を破いて落下するおそれがない。
<4>袋体の直径を土のうの直径より大きい所定の範囲に設定することで、吊り上げ時にベルトや袋体に偏圧がかかりにくく破損しにくい。
なお、本明細書等において「土のう」とは、土のう袋やフレコンバッグに放射性廃棄物などの充填物を充填した物を意味する。
<1>全体の構成(図1)。
本発明の土のう詰め替え袋1は、充填物が充填された土のうAを内部に封入することで、土のうAの劣化による充填物の漏出を防止するための袋体である。
土のう詰め替え袋1は、有底略円筒状の袋体10と、袋体10に接合する拘束ベルト20と、を備える。
袋体10は、土のうAを封入する袋状の構成要素である。
袋体10は、略円筒状の胴部11と、胴部11の上縁に接続する略円筒状の蓋部12と、胴部11の下方を塞ぐ底部13と、を少なくとも備える。
蓋部12の上縁付近には、土のうAの配置後に開口を封鎖するための封鎖手段12aを有する。
袋体10は、吊り上げ吊り降ろし作業に対応可能な高強度と対候性及び耐久性を備えた素材を採用するのが望ましい。
本例では、袋体10の素材として紫外線吸収剤(カーボンブラック)を織り込んだポリプロピレンを採用する。ただしこれに限られず、ポリエステルその他の合成樹脂素材を採用してもよい。
安全上、玉掛け作業においては吊り角度は60度以下とする必要がある。
そこで、土のう詰め替え袋1の底部の直径φ1を両斜辺、土のうAの底部の直径φ2を底辺として吊り角度60度以下を確保するには、φ1:φ2=2:√3となるから、φ1とφ2との比率が下記の数式1を満たすことが望ましい。
また、土のう詰め替え袋1の高さH1を両斜辺、土のうAの高さH2を底辺とみなすことができるから、上記数式1より、土のう詰め替え袋1の底部の直径φ1及び高さH1、並びに土のうAの底部の直径φ2及び高さH2は、以下の数式2を満たすことが望ましい。
本発明の土のう吊り上げ袋1は、土のう詰め替え袋1の底部の直径φ1及び高さH1が上記の比率を満たすことによって、玉掛け作業の安全性を確保することができる。
また、吊り上げ時や転落による受衝時、土のう詰め替え袋1と土のうAの間に適切な余裕が確保されているため、部分的な応力集中による袋体10の破損を防ぐことができる。
封鎖手段12aは、蓋部12の開口を締結して袋体を封鎖する手段である。
本例では、蓋部12内の上縁付近に周設した紐体による巾着構造を採用する。
環状に締結した紐体を両側に引っ張ることで、蓋部12の内部に挿通した紐体によって開口を引き寄せて固く閉じることができる。
この構造によって、土のう詰め替え袋1の落下・転倒時に締結した紐体が抜けるなどして開口から充填物が漏出するのを防ぐことができる。
なお、封鎖手段12aは、巾着構造に限られず、例えば蓋部12の一側に接続した紐体と他側に設けたループの組み合わせ構造を採用してもよい(図2)。
この場合、蓋部12の開口を紐体で絞った後に、ループを通して締結することで、落下の衝撃による紐体の抜けを防ぐことができる。
拘束ベルト20は、袋体10の補強機能と、吊上機能、及び逆さ吊り時の蓋体支持機能を兼ね備えた帯状体である。
拘束ベルト20は、全体で無端状に接続するベルトを胴部11の周方向の4カ所で胴部11の上下方向に沿って接続してなる。
拘束ベルト20は、胴部11の周面に接続された4つの補強部21と、隣り合う補強部21から胴部11の上方に延出して連続するループ状の2つの支持部22と、支持部22において連続しない2つの補強部21から下方に延出し、底部を経由して連結する2つの吊上部と、を有する。
拘束ベルト20も袋体10同様、高強度、対候性、及び耐久性を備えた素材を採用するのが望ましい。
本例では、拘束ベルト20としてポリプロピレン製の帯体を採用する。ただしこれに限られず、ポリエステルその他の合成樹脂素材を採用してもよい。
補強部21は、袋体10と接続し、袋体10の補強機能を有する部分である。
本例では、拘束ベルト20の内、袋体10の胴部11に上下に沿って配置する部分である。
補強部21は、全長にわたって胴部11に縫い付ける必要はなく、所定の強度を確保できれば部分的に縫い付けてもよい。
本例では、補強部21を部分的に被覆して補強する補強材21aをさらに設ける。
支持部22は、搬送時には土のう詰め替え袋1の吊り手の機能を有し、逆さ吊り時には蓋部12の破損防止機能を有する部分である。
支持部22の長さは、土のうAを封入して逆さ吊りした状態において、蓋部12を介して土のうAの荷重を支持可能な長さとする。これによって、蓋部12の破損によって土のうAが落下するのを防ぐことができる。
2つの支持部22の少なくとも一方の中央部には、支持部22同士を連結するための連結手段22aを備える。
本例では、連結手段22aとして支持部22の片方に設けた長尺の面ファスナーを採用する。この面ファスナーを他方の支持部22に巻き付けてから留めることで、両支持部22を連結することができる。
なお、連結手段22aは面ファスナーに限られず、各種の紐体や番線などを採用してもよい。
吊上部23は、土のう詰め替え袋1の転倒時及び反転時において吊り手の機能を有する部分である。
吊上部23は、袋体10の底部13を経由してそれぞれ2本の補強部21と接続する。
吊上部23と底部13の間にはクレーン玉掛け用の挿通空間が形成される。
本例では、吊上部23を底部13に部分的に縫い付ける。ただしこれに限られず、吊上部23を底部13と完全に独立させてもよい。
本例では、2本の吊上部23は、底部13において交差している。吊上部23を交差させることで、その交点で吊り上げることができるので、玉掛けが容易になる。ただしこれに限られず、吊上部23が底部13において並列していてもよい。
引き続き、本発明の土のう詰め替え袋の使用方法について説明する。
<1>詰め替え作業。
土のうAの詰め替え作業は、蓋部12を上向きに開いた状態の土のう詰め替え袋1を地盤に配置し、その上にクレーン等で吊り上げた土のうAを吊下して行う。
土のうAの底部を土のう詰め替え袋1の上10〜20cm程度の高さに吊った状態で、土のう詰め替え袋1の蓋部12と胴部11を上方に引っ張り上げて、土のうAの胴部を覆う。
続いて、土のうAを完全に下すとともに、蓋部12で土のうAの上部を覆って封鎖手段12aによって開口を固く縛って閉鎖する。
2本の支持部22を束ねて連結手段22aによって相互に連結する。
その後、支持部22を吊り手としてクレーン等で吊り上げて搬送する。
土のう詰め替え袋1は、トラックの荷台等から落下すると、通常横転するか底部13を上に上下反転する。
横転時において底部13側から吊り上げた方が袋体10への負担が少ない場合、および上下反転している場合には、拘束ベルト20の吊上部23に玉掛けして、クレーン等で逆さに吊り上げて荷台に積みなおす。
また、土のう詰め替え袋1が正位、すなわち蓋部12が上を向き底部13が接地した状態であれば、通常通り支持部22を吊り手としてクレーン等で荷台に積みなおせばよい。
本発明の土のう詰め替え袋1は、袋体10の直径φ1が土のうAの直径φ2に対して所定の比率を有するため、落下による受衝時にも袋体10の表面に応力が集中せず、破損しにくい。
また、蓋部12が封鎖手段12aによって強固に封鎖されているため、落下しても土のうAの充填物が蓋部12から外に漏出するおそれがない。
土のう詰め替え袋1を吊上部23で逆さに吊り上げると、袋体10内部の土のうAが蓋部12に乗り、土のうAの荷重で蓋部12が下方に膨らむ。
この際、連結手段22aによって連結された支持部22が蓋部12越しに土のうAを下方から支持することで(図4)、蓋部12が破損して落下するのを防ぐことができる。
10 袋体
11 胴部
12 蓋部
12a 封鎖手段
13 底部
20 拘束ベルト
21 補強部
21a 補強材
22 支持部
23 吊上部
A 土のう
Claims (5)
- 土のうを充填物ごと封入するための、土のう詰め替え袋であって、
袋体と、前記袋体と接合する拘束ベルトと、を備え、
前記袋体は、略円筒状の胴部と、前記胴部の下方を塞ぐ底部と、前記胴部の上縁に接続する略円筒状の蓋部と、を有し、
前記蓋部の上縁付近には、紐体の締結により前記袋体の開口を封鎖する封鎖手段を有し、
前記拘束ベルトは、前記胴部の周方向の各部において前記胴部の上下方向に沿って接続する4つの補強部と、隣り合う2つの補強部の上方から前記胴部の上方に延出してループ状に連続する2つの支持部と、前記支持部において連続しない2つの補強部の下方から前記底部を経由して連続する2つの吊上部と、を有し、
前記2つの支持部の少なくとも一方の中央には、相互に連結するための連結手段を有し、
前記吊上部と前記底部の間には、吊り上げ用の挿通空間を有することを特徴とする、
土のう詰め替え袋 - 前記袋体の底部の直径φ1及び高さH1並びに前記土のうの底部の直径φ2及び高さH2が以下の数式を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の土のう詰め替え袋。
(φ1+(H1−H2))/φ2 ≧ 1.15 - 前記支持部の長さが、前記袋体の内部に土のうを封入し、前記連結手段で前記2つの支持部を連結して、前記吊上部で前記袋体を逆さに吊り上げた状態において、前記蓋部を介して前記土のうを下方から支持可能な長さであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の土のう詰め替え袋。
- 前記封鎖手段が、前記蓋部内に周設した紐体による巾着構造、または前記蓋部の一側に接続した紐体と他側に設けたループの組み合わせ構造のいずれかであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土のう詰め替え袋。
- 前記2つの吊上部が、前記底部で交差することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の土のう詰め替え袋。
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