以下、本発明に係る現像ユニット、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
[画像形成装置の全体的な構成]
まず、本実施例の現像ユニットが用いられる画像形成装置の全体的な構成について説明する。本実施例では、画像形成装置は、プロセスカートリッジ方式を採用した電子写真方式の画像形成装置(電子写真画像形成装置)である。
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(レーザビームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置、及びワードプロセッサが含まれる。また、プロセスカートリッジとは、感光体(電子写真感光体)と、この感光体に作用するプロセス手段として少なくとも現像手段と、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能としたものである。また、現像ユニットとは、感光体上の静電潜像を現像するために用いられる現像手段を一体化した装置(現像装置)である。現像ユニットは、少なくとも現像手段を構成する現像剤担持体としての現像ローラを有する。この現像ユニットは、プロセスカートリッジの一部を構成した状態で、又は現像ユニット単独で、画像形成装置本体に搭載される。現像ユニットが、単独で画像形成装置本体に対して着脱可能な現像カートリッジとされていてもよい。また、画像形成装置本体(以下、単に「装置本体」ともいう。)とは、プロセスカートリッジや現像カートリッジを除いた画像形成装置部分である。
本実施例では、画像形成装置は、4個のプロセスカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」ともいう。)が着脱可能なフルカラー画像形成装置である。しかし、画像形成装置に装着するカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。例えば、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、画像形成装置に装着されるカートリッジの個数は1個である。また、本実施例では、画像形成装置は、レーザビームプリンタである。
図1は、本実施例の画像形成装置1の断面図である。また、図2(a)、(b)は、後述する異なる状態を示す本実施例の画像形成装置の斜視図である。図1に示すように、画像形成装置1は、4個のカートリッジPY、PM、PC、PKを装置本体2に取り外し可能に装着して、電子写真画像形成プロセスを用いて記録用紙などの記録媒体(記録材、転写材)Sにフルカラー画像を形成するものである。4個のカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するためのものである。詳しくは後述するように、これらのカートリッジPY、PM、PC、PKは、画像形成装置1の前ドア3を開放することで、例えばサービスマンによらずに使用者自身で容易に装置本体2に対して着脱できる。
ここで、画像形成装置1に関して、前ドア3を設けた側を正面(前面)とし、正面とは反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置1を正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側とする。また、本実施例では、4個のカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれ同様の電子写真画像形成プロセス機構を有しており、使用する現像剤の色が異なる。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかのカートリッジの要素であること、又はいずれかのカートリッジに対応して設けられた要素であることを表す図中の符号の末尾のY、M、C、Kは省略して説明することがある。
図1は、画像形成装置1を非駆動側から見た断面図であり、紙面手前が画像形成装置1の非駆動側、紙面右側が画像形成装置1の正面、紙面奥側が画像形成装置1の駆動側となる。装置本体2には、第1、第2、第3、第4のカートリッジPY、PM、PC、PKが水平方向に配置されている。詳しくは後述するように、カートリッジPには、装置本体2に設けられた駆動出力部から回転駆動力(回転力)が伝達される。また、カートリッジPには、装置本体2からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアスなど)が供給される。
図3は、本実施例のカートリッジPを非駆動側から見た断面図である。図3に示すように、カートリッジPは、感光体ユニット8と、現像ユニット9と、を有する。感光体ユニット8は、像担持体としてのドラム型(円筒形)の感光体である感光体ドラム(以下、単に「ドラム」ともいう。)4と、このドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段及びクリーニング手段と、を有する。また、現像ユニット9は、ドラム4上の静電潜像を現像する現像手段を有する。第1、第2、第3、第4のカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれ現像枠体29内に形成された現像剤収納部49に、現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを収容している。そして、第1、第2、第3、第4のカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれドラム4の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像(現像剤像)を形成する。カートリッジPについては、後述して更に詳しく説明する。
図1において第1、第2、第3、第4のカートリッジPY、PM、PC、PKの上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが設けられている。このレーザスキャナユニットLBは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像の画像情報に対応してそれぞれレーザ光Zを出力して、各カートリッジPY、PM、PC、PKに対して出射する。そして、このレーザ光Zは、カートリッジPの露光窓部10を通過してドラム4の表面を走査露光する。
図1において第1、第2、第3、第4のカートリッジPY、PM、PC、PKの下方には、トナー像を記録媒体Sに転写するための転写装置としての中間転写ベルトユニット11が設けられている。この中間転写ベルトユニット11は、駆動ローラ13、二次転写対向ローラ14、テンションローラ15を有し、これらのローラに可撓性を有する無端状のベルトで形成された中間転写体としての中間転写ベルト12が掛け渡されている。図1において、ドラム4は、その下面が中間転写ベルト12の上面に接している。ドラム4と中間転写ベルト12との接触部が一次転写部N1である。中間転写ベルト12の内周側には、各ドラム4Y、4M、4C、4Kに対向する位置に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である各一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kが設けてられている。また、中間転写ベルト12の外周側には、二次転写対向ローラ14と対向する位置に、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ17が配置されている。中間転写ベルト12と二次転写ローラ17との接触部が二次転写部N2である。
図1において中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18が設けられている。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ19、及び給紙ローラ20を有する。
図1において装置本体2内の左上方には、定着手段としての定着ユニット21と、排出ユニット22と、が設けられている。また、図1において装置本体2の上面は、装置本体2内から排出された記録媒体Sが積載される排出トレイ23とされている。
詳しくは後述するように、カートリッジPは、引き出し可能なカートリッジトレイ60を介して装置本体2に対して着脱可能な構成となっている。図2(a)は、装置本体2からカートリッジトレイ60が引き出された状態を示している。図2(b)は、装置本体2内を見やすくするために、カートリッジトレイ60及び前ドア3を取り外した状態を示している。
[カートリッジの着脱構成]
次に、カートリッジPの装置本体2への着脱動作について説明する。図16は、カートリッジトレイ60が装置本体2から引き出され、カートリッジPが着脱可能な状態を示した画像形成装置1の断面図である。また、図17は、カートリッジPのカートリッジトレイ60への着脱動作を示した画像形成装置1の断面図である。
装置本体2内には、カートリッジPを装着可能なカートリッジトレイ60が設けられている。図16に示すように、カートリッジトレイ60は、装置本体2に対して実質的に水平方向であるG1、G2方向に直線移動(押し込み/引き出し)可能なように構成されている。そして、カートリッジトレイ60は、装置本体2内の装着位置と、装着位置から引き出された引き出し位置と、をとりうる。
まず、カートリッジPの装置本体2への装着動作について説明する。前ドア3を開け、カートリッジトレイ60を図16中矢印G1方向に移動させることで、カートリッジトレイ60は引き出し位置に移動する。この状態において、カートリッジPは、図17中矢印H1方向からカートリッジトレイ60に装着され、保持される。カートリッジPを保持したカートリッジトレイ60を図16中矢印G2方向に移動させ、カートリッジトレイ60は装置本体2内の装着位置に移動する。そして、前ドア3を閉めることで、カートリッジPの装置本体2への装着動作が完了する。
次に、カートリッジPの装置本体2からの取り出しについて説明する。前述したカートリッジPの装置本体2への装着動作と同様にして、カートリッジトレイ60を引き出し位置に移動させる。この状態において、カートリッジPは、図17中矢印H2方向に取り出され、カートリッジPの装置本体2からの取り出し動作が完了する。
[画像形成動作]
次に、フルカラー画像を形成する場合を例に画像形成動作について説明する。
各カートリッジPのドラム4が、所定の周速度で回転駆動される(図3中矢印D方向(反時計回り))。また、中間転写ベルト12が、ドラム4の回転に対して順方向(図1中矢印C方向(時計回り))に、ドラム4の周速度に対応した周速度で回転駆動される。また、レーザスキャナユニットLBが駆動される。レーザスキャナユニットLBの駆動に同期して、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ5によって、ドラム4の表面が所定の極性の所定の電位に一様に帯電処理される。レーザスキャナユニットLBは、各ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Zで走査露光する。これにより、各ドラム4の表面に対応する色の画像信号に応じた静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像は、現像ユニット9によりトナー像として現像される。現像ユニット9は、所定の周速度で回転駆動(図3矢印E方向(時計回り))される現像剤担持体としての現像ローラ6によってトナーを担持して搬送し、ドラム4上の静電潜像に供給する。現像ローラ6には、現像手段を構成する現像剤規制部材としての現像ブレード31(図3)によって、現像剤としてのトナーがコートされる。
このような電子写真画像形成プロセスにより、第1のカートリッジPYのドラム4Yには、フルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのイエロー色のトナー像が、一次転写部N1Yにおいて、一次転写ローラ16Yの作用により、中間転写ベルト12上に一次転写される。その後、第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKのドラム4M、4C、4Kに、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分に対応するトナー像が形成される。そして、それらのトナー像が、中間転写ベルト12上にすでに転写されているトナー像に順次に重畳されて一次転写される。このようにして、中間転写ベルト12上に、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色の重畳トナー像が形成される。
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写部N2に導入される。これにより、記録媒体Sが二次転写部N2を搬送されていく過程で、中間転写ベルト12上の4色の重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括して二次転写される。
トナー像が転写された記録媒体Sは、定着ユニット21に設けられた定着ローラと加圧ローラとにより加熱及び加圧されることでその上にトナー像が定着された後に、排出トレイ23へ排出される。
なお、一次転写後にドラム4上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニングブレード7(図3)によって回転するドラム4上から掻き取られて除去され、廃現像剤収納部27(図3)に回収される。また、二次転写後に中間転写ベルト12上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段(図示せず)により除去されて回収される。
[カートリッジの構成]
図4は、本実施例のカートリッジPを駆動側からみた組立斜視図である。また、図5は、本実施例のカートリッジPを非駆動側からみた組立斜視図である。また、図7は、本実施例のカートリッジPの駆動連結部を駆動側から見た分解図である。また、図8は、本実施例のカートリッジPの駆動連結部を非駆動側から見た分解図である。
カートリッジPは、ドラム4と、ドラム4に作用するプロセス手段と、を有する。本実施例では、カートリッジPは、プロセス手段として、次の各手段を有する。まず、ドラム4を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ5である。また、ドラム4に形成された潜像を現像する現像手段としての現像ローラ6などである。また、ドラム4の表面に残留する残留現像剤を除去するためのクリーニング手段としてのクリーニングブレード7である。そして、カートリッジPは、前述のように、感光体ユニット8と現像ユニット9とに分かれている。
[感光体ユニットの構成]
感光体ユニット8は、図3〜図5に示すように、ドラム4、帯電ローラ5、クリーニングブレード7、クリーニング容器26、クリーニング容器26内に形成される廃現像剤収納部27、カートリッジカバー部材24、25などで構成されている。カートリッジカバー部材は、駆動側カートリッジカバー部材24と非駆動側カートリッジカバー部材25とで構成されている。
ドラム4は、カートリッジPの長手方向の両端に設けられた端部部材としてのカートリッジカバー部材24、25により回転自在に支持されている。ここで、カートリッジPについてドラム4の回転軸線方向に対応する方向を長手方向と定義する。カートリッジカバー部材24、25は、カートリッジPの長手方向の両端側で、クリーニング容器(クリーニング枠体)26に固定されている。また、図4に示すように、ドラム4の回転軸線方向の一端側には、ドラム4に回転駆動力を伝達するためのカップリング部材4aが設けられている。各カートリッジPY、PM、PC、PKのカップリング部材4aは、図2(b)に示す装置本体2に設けられたドラム駆動出力部材61Y、61M、61C、61Kと係合する。そして、カップリング部材4aには、ドラム駆動出力部材61を介して、外部駆動源としての装置本体2に設けられた駆動モータ(図示せず)からの回転駆動力がドラム4に伝達される。カップリング部材4aは、前述のようにしてカートリッジPが装置本体2に装着された際に、ドラム駆動出力部材61と係合する。
帯電ローラ5は、ドラム4に接触し、ドラム4の回転に従動して回転できるように、クリーニング容器26に支持されている。また、クリーニングブレード7は、ドラム4の周面に所定の圧力で接触するように、クリーニング容器26に支持されている。クリーニング手段7によりドラム4の周面から除去された転写残トナーは、クリーニング容器26内の廃現像剤収納部27に収納される。
また、図4、図5に示すように、駆動側カートリッジカバー部材24、非駆動側カートリッジカバー部材25には、それぞれ現像ユニット9を回動可能に支持するための駆動側現像ユニット支持部24a、非駆動側現像ユニット支持部25aが設けられている。
[現像ユニットの構成]
現像ユニット9は、図4、図5、図7、図8に示すように、現像ローラ6、現像ブレード31、現像枠体29、現像枠体29内に形成される現像剤収納部49、軸受部材45、現像カバー部材32などで構成されている。
軸受部材45は、図7に示すように、カートリッジPの長手方向の一端側(駆動側)において現像枠体29の外側に固定されている。この軸受部材45は、現像ローラ6の回転軸線方向の一端側(駆動側)を回転可能に支持している。現像ローラ6は、その回転軸線方向の一端部(駆動側)に、現像ローラギア(現像剤担持体ギア)69を有する。詳しくは後述するように、現像ローラギア69は、現像ローラ6の回転軸線方向の一端側(駆動側)に延在する軸部6aに嵌合されて固定され、現像ローラ6と同一直線上(同軸)で一体に回転するように構成されている。換言すれば、軸受部材45は、現像ローラ6を介して現像ローラギア69を回転可能に支持している。なお、現像ローラ6の回転軸線方向の他端側(非駆動側)は、現像枠体29によって回転可能に支持されている。また、軸受部材45は、現像ローラギア69へ回転駆動力を伝達するためのアイドラギア68を回転可能に支持している。
駆動連結部として、軸受部材45と駆動側カートリッジカバー部材24との間には、軸受部材45から駆動側カートリッジカバー部材24に向かって、次の各部材が設けられている。まず、アイドラギア68が設けられている。次に、駆動連結機構の一部であるバネ70、駆動連結機構の一部であるクラッチカップリング71が設けられている。次に、解除機構の一部である解除カム72、解除機構の一部である作用部材としての解除レバー73が設けられている。次に、現像駆動入力部材である現像入力カップリング74が設けられている。最後に、現像カバー部材32が設けられている。これらの部材は、現像入力カップリング74と同一直線上(同軸)になるように設けられている。そして、現像カバー部材32は、カートリッジPの長手方向において軸受部材45の外側に固定されている。この現像カバー部材32は、現像ローラギア69、アイドラギア68、クラッチカップリング71、現像入力カップリング74を覆うように構成されている。現像カバー部材32は、詳しくは後述するように、駆動入力部から現像剤担持体までの駆動列の少なくとも一部を覆うと共に、該駆動列の複数のギアのうちの少なくとも1つを支持するカバー部材の一例である。
さらに、図4、図7に示すように、現像カバー部材32には、円筒部32bが設けられている。そして、円筒部32bの外周部に形成された開口部であるレバー開口部32cからは、解除レバー73が突出している。また、円筒部32bの端面の半径方向内側(中央部)に形成された開口部であるカップリング開口部32dからは、外部駆動源から回転駆動力を入力される駆動入力部である、現像入力カップリング74の駆動入力部74bが露出している。各カートリッジPY、PM、PC、PKの駆動入力部74bは、図2(b)に示す装置本体2に設けられた現像駆動出力部材62Y、62M、62C、62Kと係合する。そして、駆動入力部74bには、現像駆動出力部材62を介して、外部駆動源としての装置本体2に設けられた駆動モータ(図示せず)からの回転駆動力が伝達される。駆動入力部74bは、前述のようにしてカートリッジPが装置本体2に装着された際に、現像駆動出力部材62Y、62M、62C、62Kと係合する。
装置本体2から現像入力カップリング74へ入力された回転駆動力は、現像入力カップリング74と噛み合うクラッチカップリング71に伝達され、さらにクラッチカップリング71と噛み合うアイドラギア68に伝達される。そして、アイドラギア68を介して、現像ローラギア69及び現像ローラ6へ駆動が伝達される。
本実施例では、上記駆動連結機構と上記解除機構とで、駆動入力部から複数のギア(ギア列)への駆動伝達の連結又は解除の状態を切り替える連結解除機構が構成される。
なお、現像ローラギア69、アイドラギア68、駆動連結機構、解除機構などについては、後述して詳しく説明する。
[感光体ユニットと現像ユニットの組立]
次に、図4、図5を参照して、感光体ユニット8と現像ユニット9との組立について説明する。現像ユニット9と感光体ユニット8とを組み付ける場合、カートリッジPの長手方向の一端側では、駆動側カートリッジカバー部材24の駆動側現像ユニット支持部24aに現像カバー部材32の円筒部32bの外径部32aを嵌合させる。そして、カートリッジPの長手方向の他端側では、非駆動側カートリッジカバー部材25の非駆動側現像カートリッジ支持部25aに、現像枠体29から突出して設けられた突出部29bを嵌合させる。これにより、現像ユニット9は、感光体ユニット8に対して回動可能に支持される。
ここで、現像ユニット9の感光体ユニット8に対する回動中心を、軸線Xとする。この軸線Xは、駆動側現像ユニット支持部24aの中心と、非駆動側現像カートリッジ支持部25aの中心と、を結んだ線である。
[現像ユニットの姿勢]
次に、図3〜図5を参照して、現像ユニットの姿勢について説明する。現像ユニット9は、付勢手段としての弾性部材である加圧バネ95により付勢され、軸線Xを中心として回動して現像ローラ6がドラム4に接触するように構成されている。すなわち、現像ユニット9は、加圧バネ95の付勢力によって図3中矢印G方向に押圧され、軸線Xを中心として図中矢印H方向のモーメントが作用する構成となっている。これにより、現像ローラ6は、ドラム4に対し所定の圧力で接触できる。
図6は、カートリッジPを駆動側から見た側面図である。なお、図6では、説明のために一部の部品の図示を省略している。カートリッジPが装置本体2に装着されているときは、感光体ユニット8は装置本体2に位置決めされて固定されている。図6(a)は、上述したドラム4と現像ローラ6とが互いに接触した状態を示している。このときの現像ユニット9の状態を当接状態とする。現像動作時には、この状態とされる。図6(b)は、ドラム4と現像ローラ6とが互いに離間した状態を示している。このときの現像ユニット9の状態を離間状態とする。現像ユニット9は、装置本体2に設けられた作用部(図示せず)からの力により、軸線Xを中心として、図6(b)中の矢印K方向に角度θ2だけ回動した状態とされる。このとき、ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε2だけ離間した状態となる。装置本体2内で、画像形成動作の待機時などのカートリッジPが使用されない時に、この状態とされる。上記装置本体2に設けられた作用部の動作が制御されることで、カートリッジPの当接状態と離間状態とが切り替えられる。
[駆動連結部の構成]
次に、図7〜図13を参照して、駆動連結部の構成について更に詳しく説明する。
前述のように、軸受部材45は、アイドラギア68と現像ローラ6とを回転可能に支持している。軸受部材45に設けられた第1支持部(現像剤担持体支持部)としての第1軸受部45q(円筒内面)が、現像ローラ6の支持受け部としての軸部6aの外周と回転可能に係合し、現像ローラ6を回転可能に支持している。そして、現像ローラ6の軸部6aに、現像ローラギア69が嵌合されている。換言すれば、第1の支持部としての第1軸受部45qは、現像ローラ6の軸部6aを介して現像ローラギア69を回転可能に支持している。また、軸受部材45に設けられた第2支持部(第1アイドラギア支持部)としての第2軸受部45p(円筒外面)が、アイドラギア68の第1支持受け部としての第1円筒部68pの内周と回転可能に係合し、アイドラギア68を回転可能に支持している。第1円筒部68pは、アイドラギア68の回転軸線方向の一端部に設けられている。これによって、アイドラギア68から現像ローラギア69を介して現像ローラ6に回転駆動力が伝達される。また、アイドラギア68の係合突起68a(本実施例では4個)が、クラッチカップリング71の対応する係合穴部71bに摺動可能に係合して、アイドラギア68とクラッチカップリング71とが同一直線上(同軸)で一体に回転するように構成されている。
図9は、現像入力カップリング74及びクラッチカップリング71の構成を示している。クラッチカップリング71の半径方向中央には穴部71mが設けられている。この穴部71mは、現像入力カップリング74の第1小径円柱部74mと回転可能に係合する。これによって、クラッチカップリング71は、現像入力カップリング74に対して回動可能に支持されている。図7に示すように、クラッチカップリング71と現像入力カップリング74との間には、解除カム72が配置されている。図10に示すように、解除カム72は、略リング形状に構成されており、外周面72iを有する。また、現像カバー部材32は、内周面32iを有する。解除カム72は、その外周面72iを、現像カバー部材32の内周面32iと摺動可能に係合させ、現像カバー部材32に支持されている。また、現像カバー部材32は、ガイド部としてのガイド32hを有し、解除カム72は、被ガイド部としてのガイド溝72hを有する。現像カバー部材32のガイド32hは、解除カム72のガイド溝72hと摺動可能に係合する。このガイド32hとガイド溝72hとが係合していることで、解除カム72は現像カバー部材32に対して、軸線X方向に沿って図中矢印M方向及び矢印N方向にのみスライド移動可能な構成となっている。
図11は、駆動連結部の断面図である。図11(a)は、後述するクラッチカップリング71の爪71aと、現像入力カップリング74の爪74aと、が互いに係合している状態を示している。また、図11(b)は、クラッチカップリング71の爪71aと、現像入力カップリング74の爪74aと、が互いに離間している状態を示している。現像カバー部材32は、これに設けられた第3支持部(第2アイドラギア支持部)としての内径部32qにおいて、アイドラギア68の第2支持受け部としての第2円筒部68qの外周と回転可能に係合し、アイドラギア68を回転可能に支持している。第2円筒部68qは、アイドラギア68の回転軸線方向において第1円筒部68pとは反対側の端部に設けられている。また、現像入力カップリング74の第2小径円柱部74kと、アイドラギア68の穴部68kと、が回転可能に係合している。また、現像入力カップリング74の円柱部74pと、現像カバー部材32の穴部32pと、が互いに回転可能に係合している。すなわち、現像入力カップリング74は、アイドラギア68と現像カバー部材32とによって、その回転軸線方向の両端を回転可能に支持されている。さらに、軸受部材45の第2軸受部45p、現像カバー部材32の内径部32q、及び現像カバー部材32の穴部32pは、軸線Xと同一直線上(同軸)になるように配置されている。すなわち、現像入力カップリング74は、現像ユニット9の感光体ユニットに対する回動中心である軸線Xを中心として回転可能に、現像ユニット9に対して支持されている。また、前述のように、現像入力カップリング74の第1小径円柱部74mとクラッチカップリング71の穴部71mとが係合している(図9)。結果として、クラッチカップリング71は、軸線Xを中心に回転可能に、現像ユニット9に対して支持されている。また、解除レバー73の被ガイド面73sが現像入力カップリング74のガイド面74sに当接している。これにより、解除レバー73は、軸線X方向の移動が規制されている。詳しくは後述するように、クラッチカップリング71の爪71aと現像入力カップリング74の爪74aとは、これらが互いに係合している状態(図11(a))と、これらが互いに離間している状態(図11(b))との間で切り替えられる。
図12は、解除カム72及び解除レバー73の構成を示している。解除カム72は、当接部(斜面)72aと、円筒内面72eと、略中央の開口部72dと、を有する。また、解除レバー73は、当接部(斜面)73aと、外周面73eと、略中央の開口部73dと、を有する。解除カム72の当接部72aと、解除レバー73の当接部73aと、が接触可能に構成されている。また、解除カム72の円筒内面72eと、解除レバー73の外周面73eと、が互いに回動可能に係合している。さらに、解除カム72の外周面72i、解除カム72の円筒内面72e、及び解除レバー73の外周面73eは、それぞれの回転軸線が同一直線上(同軸)になるように配置されている。前述のように、解除カム72の外周面72iは、現像カバー部材32の内周面32iと係合するように構成されている。また、解除カム72の外周面72i、及び現像カバー部材32の内周面32iは、軸線Xに対して同一直線上(同軸)になるように配置されている。すなわち、解除レバー73は、解除カム72及び現像カバー部材32を介して、軸線Xを中心に回動可能に、現像ユニット9に対して支持されている。
図13は、駆動連結部及び駆動側カートリッジカバー部材24の構成を示している。解除レバー73は、力受け部73bを有する。力受け部73bは、駆動側カートリッジカバー部材24の係合部24dと係合して、駆動側カートリッジカバー部材24から力を受ける。この力受け部73bは、現像カバー部材32の円筒部32bの一部に設けられたレバー開口部32cから突出し、駆動側カートリッジカバー部材24の係合部24dと係合する構成となっている。この係合部24dと力受け部73bとが係合していることで、解除レバー73は駆動側カートリッジカバー部材24に対して、軸線X周りの相対移動ができないように規制されている。このように、レバー開口部32cから駆動側カートリッジカバー部材24の係合部24dと係合する力受け部73bが突出するように、解除レバー73が配置されている。
[駆動連結部の動作]
図6〜図15を参照して、現像ユニット9の当接状態及び離間状態への姿勢変化に伴う、駆動連結部の動作について説明する。
まず、現像ユニット9の当接状態(図6(a))における駆動連結部の動作について説明する。図14(a)は、現像ユニット9が当接状態にあるときの駆動連結部の状態を模式的に示している。また、図14(b)は、その状態における駆動連結部の構成の斜視図である。なお、図14では、説明のために一部の部品の図示を省略している。また、図14(a)では、現像入力カップリング74及びクラッチカップリング71の対と、解除カム72及び解除レバー73の対と、をそれぞれ別々に示している。また、図14(b)では、現像カバー部材32は、ガイド32hを含む一部のみが表示されている。
解除カム72の当接部72aと解除レバー73の当接部73aとの間には、隙間eがある。また、このとき、現像入力カップリング74の爪74aとクラッチカップリング71の爪71aとは互いに係合量qを有して係合し、駆動伝達が可能な構成となっている。また、前述のように、クラッチカップリング71はアイドラギア68と係合している(図11)。そのため、装置本体2から現像入力カップリング74に入力された回転駆動力は、クラッチカップリング71を介してアイドラギア68に伝達される。これにより、現像ローラギア69及び現像ローラ6が駆動される。
次に、現像ユニット9が当接状態(図6(a))から軸線Xを中心として図中矢印K方向に角度θ2だけ回動して離間状態(図6(b))に移動したときの駆動連結部の動作について説明する。図15(a)、(b)は、それぞれ現像ユニット9が離間状態にあるときの図14(a)、(b)と同様の図である。
現像ユニット9が角度θ2だけ回動すると、現像ユニット9内に組み込まれた解除カム72や現像カバー部材32は、現像ユニット9の回動と連動して角度θ2だけ図中矢印K方向に回動する。一方、解除レバー73は、現像ユニット9に組み込まれているが、図13に示したように、その力受け部73bが駆動側カートリッジカバー部材24の係合部24dと係合している。そのため、解除レバー73の当接部73aは位置変化せず、解除レバー73は現像ユニット9の回動とは連動しない。したがって、解除カム72が図中矢印K方向に回転移動したとき、解除カム72の当接部72aは、解除レバー73の当接部73aから反力を受ける。また、前述のように、解除カム72は、そのガイド溝72hが現像カバー部材32のガイド32hと係合して軸線X方向に沿って図中矢印M方向及び矢印N方向)にのみ移動可能に規制されている。そのため、解除レバー73の当接部73aが解除カム72の当接部72aへ反力を与えることで、解除カム72は図中矢印N方向へ移動量pだけスライド移動する。また、解除カム72の図中矢印N方向への移動と連動して、解除カム72の押圧面72cが、クラッチカップリング71の非押圧面71cを押圧する。これにより、クラッチカップリング71がバネ70の押圧力に抗して図中矢印N方向へ移動量pだけスライド移動する。このとき、現像入力カップリング74の爪74aとクラッチカップリング71の爪71aとの係合量qよりも移動量pが大きいため、現像入力カップリング74の爪74a及びクラッチカップリング71の爪71aの係合が解除される。これにより、現像入力カップリング74は装置本体2から回転駆動力が入力されて回転し続ける一方で、クラッチカップリング71は停止する。結果として、アイドラギア68、現像ローラギア69、及び現像ローラ6の回転が停止する。
次に、現像ユニット9が離間状態から当接状態へ変化するときの駆動連結部の動作について説明する。この動作は、上述の現像ユニット9の当接状態から離間状態への動作の逆である。
図15に示すように、現像ユニット9が離間状態(図6(b))にあるときは、駆動連結部は、現像入力カップリング74の爪74aとクラッチカップリング71の爪71aとの係合が解除された状態となっている。この状態から、徐々に現像ユニット9が図中矢印H方向へ回動し、現像ユニット9が角度θ2だけ回動すると、クラッチカップリング71がバネ70の押圧力により図中矢印M方向へ移動する。そして、現像入力カップリング74の爪74aと、クラッチカップリング71の爪71aと、が互いに係合する。これにより、前述した通り、装置本体2から現像入力カップリング74に入力された回転駆動力は、クラッチカップリング71、アイドラギア68、現像ローラギア69を介し、現像ローラ6へ伝達される。
[現像ローラギアとアイドラギアの構成]
図18〜図23を参照して、アイドラギア68及び現像ローラギア69の構成について更に詳しく説明する。
図18(a)は、現像ローラギア69の斜視図である。現像ローラギア69は、ギア部(歯)69aと、駆動伝達面(嵌合面)69bと、傾き抑止リブ69cと、円筒支持部69dと、を有する。
図18(b)は、現像ローラギア69のギア部69aを拡大して示す斜視図である。図18(b)に示すように、現像ローラギア69のギア部69aの歯面69a3は、歯幅方向(回転軸線方向)の端部の厚みよりも、歯幅方向の中央部の厚みの方が大きくなるような、クラウニング形状を有する。すなわち、現像ローラギア69のギア部69aの歯面69a3の、歯幅方向の端部69a1の厚みをt1、歯幅方向の中央部69a2の厚みをt2とする。このとき、現像ローラギア69のギア部69aの歯面69a3は、t2−t1=2c(>0)となるようなクラウニング量cのクラニング形状を有する。
図19(b)は、現像ローラ6と現像ローラギア69とが嵌合した状態での現像ローラギア69の縦断面図(図19(a)中のFA−FA断面)である。図19(b)中ハッチング領域が現像ローラ6の軸部6aを示している。図19(b)に示すように、現像ローラギア69の円筒支持部69dと現像ローラ6の軸部6aとが嵌合する。また、現像ローラギア69の駆動伝達面69bは、現像ローラ6へ回転駆動力を伝達するための面であり、現像ローラ6の軸部6aの被駆動伝達面6a1と接触することにより、回転駆動力を現像ローラ6へ伝達することが可能である。現像ローラギア69の回転軸線U方向における駆動伝達面69bの端部69b1の位置は、ギア部69aの歯幅W間に位置する。さらに、現像ローラギア69には、駆動伝達面69bの端部69b1から、現像ローラギア69の回転軸線U方向において現像ローラ6側(図19(b)中矢印L方向)に延伸して形成された、傾き抑止リブ69cが設けられている。この傾き抑止リブ69cは、現像ローラギア69の回転軸U方向において、駆動伝達面69bの端部69b1から、現像ローラ6の被駆動伝達面6a1の端部6a2までの間に形成されている。さらに、この傾き抑止リブ69cのリブ接触面69c1は、現像ローラ6の被駆動伝達面6a1と接触するため、駆動伝達面69bと同一平面となるように形成されている。
図19(a)は、現像ローラギア69の回転軸線方向の一端側(現像ローラ6側)から見た現像ローラギア69の正面図である。ここで、現像ローラギア69の駆動伝達面69bと円筒支持部69dとの交わる稜線を隅部69eとし、駆動伝達面69bの中心線をmとする。図19(a)に示すように、傾き抑止リブ69cは、中心線mに直交する方向において、隅部69eと一定距離aの間隔を空け、中心線mに対して対称に配置されている。
駆動伝達面69bと傾き抑止リブ69cとにより、現像ローラギア69の回転軸線Uが現像ローラ6の回転軸線に対して傾くことが抑制される。そして、駆動伝達面69bの端部69b1の位置はギア部69aの歯幅W間に位置され、端部69b1から図19(b)中矢印L方向側には上述のような構成の傾き抑止リブ69cが配置される。これにより、ギア部69aの歯底の体積が可及的に低限されて、現像ローラギア69の成型のヒケによるギア部69aの寸法精度の低下が抑制される。
なお、本実施例では、傾き抑止リブ69cは2本としているが、本数はこれに限定されるものではなく、例えば1本でも3本以上でもよい。好ましくは、本実施例と同様に、中心線mに対して対称であり、隅部69eから一定距離aの間隔が空いている構成とする。
本実施例における好適な現像ローラギア69の仕様は下記の通りである。
材料:POMなどの摺動性が良好な樹脂材料。なお、これ以外でも、グリスなどの潤滑剤を塗布することで、広範囲の任意の材料を適用できる。
ギア形状:平歯歯車、はすば歯車など、任意であるが、本実施例では平歯歯車としている。
モジュール:任意であるが、本実施例では0.5としている。
歯数:任意であるが、本実施例では20歯としている。
歯幅:任意であるが、本実施例では3mmとしている。
クラウニング量:本実施例では0.01mm〜0.1mmとしている(図18(b)におけるc=0.01〜0.1mm)。後述して更に詳しく説明する。
図20は、アイドラギア68の構成を示している。アイドラギア68は、ギア部(歯)68bと、第1円筒部68pと、第2円筒部68qと、を有する。ギア部68bは、現像ローラギア69のギア部69aと噛み合う。また、前述のように、第1円筒部68pは軸受部材45の第2軸受部45pと係合し、第2円筒部68qは現像カバー部材32の内径部32qと係合する(図7、図8)。
[アイドラギアと現像ローラギアの間の駆動伝達]
次に、図21〜図23を参照して、アイドラギア68から現像ローラギア69への駆動の伝達の状態について説明する。
図21は、現像入力カップリング74(より詳細にはその駆動入力部74b)から現像ローラ6までの駆動列の配置をカートリッジPの長手方向と交差する方向に見た平面図である。なお、図21では、説明のために一部の部材の図示を省略している。また、図22(a)、(b)は、カートリッジPの長手方向において外側(駆動側)から見た軸受部材45と現像カバー部材32の配置を示している。後述するように図22(a)、(b)は、それぞれ軸受部材45のアイドラギア支持中心と現像カバー部材32のアイドラギア支持中心との関係が異なる状態を示している。また、図22(c)、(d)は、それぞれ図22(a)、(b)に対応するアイドラギア68と現像ローラギア69の噛み合い状態を示している。
図21に示すように、軸受部材45は、現像ローラ6の軸部6a及びアイドラギア68を回転可能に支持している。また、現像カバー部材32は、アイドラギア68及び現像入力カップリング74を回転可能に支持している。現像入力カップリング74は、クラッチカップリング71(図21には図示せず)と連結した状態であり、装置本体2に設けられた現像駆動出力部材62(図2(b))により図中H方向への回転駆動力が入力される。そして、クラッチカップリング71を介して現像入力カップリング74と連結されているアイドラギア68は、図中H方向へ回転駆動される。図中H方向へ回転駆動されたアイドラギア68は、現像ローラギア69へ力を伝達し、現像ローラギア69を図中J方向へ回転駆動させる。そして、現像ローラギア69と嵌合している現像ローラ6は、図中J方向へ回転駆動する。
また、図21、図22(c)に示すように、アイドラギア68のギア部68bと現像ローラギア69のギア部69aとが噛み合っている。ここで、特にアイドラギア68のギア部68bのうち現像ローラギア69のギア部69aと噛み合うギア部を、噛合ギア部68gとする。また、現像ローラギア69のギア部69aのうちアイドラギア68のギア部68bと噛み合うギア部を、噛合ギア部69gとする。
図23(a)は、アイドラギア68と現像ローラギア69の噛み合い位置における接線方向の断面(図22(c)中のRA−RA断面)であり、それぞれのギアの噛み合い状態を示している。図23中の斜線のハッチング領域は、アイドラギア68のギア部68b(噛合ギア部68gを含む。)を示している。また、図23中の斜め格子のハッチング領域は、現像ローラギア69のギア部69a(噛合ギア部69gを含む。)を示している。なお、図23において、アイドラギア68の回転軸線Vは図示できない位置にあるが、説明のため表記している。
アイドラギア68が回転軸線Vを中心とし図中矢印H方向へ回転すると、アイドラギア68の噛合ギア部68gは接線方向(図23中矢印K方向)へ移動する。このとき、アイドラギア68の噛合ギア部68gの接触面68g1が現像ローラギア69の噛合ギア部69gの被接触面69g3と接触し、アイドラギア68の噛合ギア部68gが現像ローラギア69の噛合ギア部69gを押圧する。そのため、現像ローラギア69の噛合ギア部69gは接線方向(図23中矢印E方向)へ従動する。そして、現像ローラギア69は、その回転軸線Uを中心に図中矢印J方向へ回転駆動される。
[クラウニング形状の作用効果]
次に、現像ローラギア69のギア部69aのクラウニング形状の作用効果にについて説明する。なお、以下の説明では、現像ローラギア69の回転軸線Uは理想的な軸線(位置、傾き)を維持するものとする。また、図22において、理想的な軸線の方向は紙面に垂直方向となるが、説明のために理想的な軸線であっても角度を持った線として表現している。
まず、アイドラギア68の回転軸線Vが現像ローラギア69の回転軸線Uに対して傾く現象について説明する。
アイドラギア68は、回転軸線V方向の両端において軸受部材45の第2軸受部45pと現像カバー部材32の内径部32qとによって支持されている。つまり、図22(a)に示すように、第2軸受部45pの中心位置45p1と内径部32qの中心位置32q1とを結んだ直線Sが、アイドラギア68の回転軸線Vとなる。図22(c)に示すように、直線Sが現像ローラギア69の回転軸線Uと略平行であれば、アイドラギア68の回転軸線Vは現像ローラギア69の回転軸線Uに対して略平行となる。したがって、アイドラギア68は現像ローラギア69と略平行となって噛み合う。
一方、図22(b)は、第2軸受部45pの中心位置45p1と内径部32qの中心位置32q1とを結んだ直線Sが、現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた状態を表す。この場合、図22(d)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vは、現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた状態となる。このときのアイドラギア68の回転軸線を回転軸線V’とする。そして、この場合、アイドラギア68は、現像ローラギア69と角度Δα傾いた状態で噛み合うことになる。
このような直線Sの現像ローラギア69の回転軸線Uに対する傾きは、軸受部材45及び現像カバー部材32のうち少なくとも一方の寸法精度やそれらの組付け精度が不十分な場合に発生することがある。
また、本実施例では、現像カバー部材32は、駆動側カートリッジカバー部材24の規制部24dと係合するため解除レバー73が突出するレバー開口部32cを有している(図13、図21)。そのため、例えば図27に示すような、レバー開口部を有してない現像カバー部材320の場合と比較し、剛性が低下する場合がある。なお、図27の例において、本実施例のものと実質的に同一の機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図27の例では、アイドラギア68は、回転軸線V方向の両端において軸受部材45の第2軸受部45pと現像カバー部材32の内径部320qとによって支持されている。現像カバー部材32の剛性が低い場合、図22(c)、(d)中の矢印Fで示されるような、回転駆動時の現像ローラギア69とアイドラギア68との噛み合い力により、現像カバー部材32に変形が生じる可能性がある。こうなると、内径部32qの中心位置32q1の位置がずれて、上記同様、図22(b)に示すように、直線Sが現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾く。この場合、上記同様、図22(d)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vは、現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた回転軸線V’となる。そのため、アイドラギア68は、現像ローラギア69と角度Δα傾いた状態で噛み合うことになる。
次に、現像ローラギア69の回転軸線Uに対してアイドラギア68の回転軸線Vの傾きが発生していない状態と、角度Δαの傾きが発生した状態とでの、ギア部の噛み合い状態の違いについて説明する。
まず、比較例として、図28に示すようなクラウニング形状を有していない現像ローラギア690の場合について説明する。図28(a)は、比較例の現像ローラギア690の斜視図、図28(b)は比較例の現像ローラギア690の部分拡大斜視図である。現像ローラギア690は、ギア部690aと、駆動伝達面(嵌合面)690bと、傾き抑止リブ690cと、円筒支持部690dと、を有する。図28(b)に示すように、ギア部690aの歯面690a3は、ギア部690aの1歯において、歯幅方向の端部690a1も歯幅方向の中央部690a2も厚みtが一定となっている。なお、比較例の現像ローラギア690のその他の構成については、本実施例のクラウニング形状を有する現像ローラギア69と同様であるため説明を省略する。
図22(a)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vが現像ローラギア690の回転軸線Uに対して略平行な場合、アイドラギア68と現像ローラギア690とは略平行な状態で噛み合う。図29(a)は、この場合のアイドアギア68と現像ローラギア690との噛み合い状態(図22(c)中のRA−RA断面)を示す。なお、図29(a)におけるハッチング領域は、図23(a)の場合と同様の意味を有する。図29(a)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vに傾きが生じていない場合、アイドラギア68の噛合ギア部68gの接触面68g1と現像ローラギア690の噛合ギア部690gの被接触面690g3とは、略平行に接触する。そのため、アイドラギア68の噛合ギア部68gと現像ローラギア690の噛合ギア部690gとの歯当たりは、歯幅方向に対して均一となる。したがって、現像ローラギア690の噛合ギア部690gの被接触面690g3に加わる面圧は小さく、現像ローラギア690の噛合ギア部690gの変形が小さい。そのため、現像ローラギア690に発生する振動も小さく、現像ローラギア690は精度よく回転することが可能である。
一方、図22(b)に示すように、アイドラギア68の回転軸線V’が現像ローラギア690の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた場合、アイドラギア68と現像ローラギア690とが角度Δα傾いた状態で噛み合う。図29(b)は、この場合のアイドアギア68と現像ローラギア690との噛み合い状態(図22(d)中のRA−RA断面)を示す。なお、図29(b)におけるハッチング領域は、図23(a)の場合と同様の意味を有する。図29(b)に示すように、アイドラギア68の回転軸線V’に角度Δαの傾きが生じている場合、アイドラギア68の噛合ギア部68gの接触面68g1と現像ローラギア690の噛合ギア部690gの被接触面690g3とは角度Δα傾いている。そのため、アイドラギア68の噛合ギア部68gと現像ローラギア690の噛合ギア部680gとの歯当たりは、現像ローラギア690の歯幅方向の端部690g1が最初に接触する片当たりとなる。片当たりになると、現像ローラギア690の噛合ギア部690gの歯幅方向の中央部に比べて剛性が低い歯幅方向の端部690g1のみでアイドラギア68からの力を受けることになるため、現像ローラギア690の噛合ギア部690gの変形が大きくなる。この変形が大きくなると、現像ローラギア690の回転方向に振動が発生し、現像ローラギア690の回転精度は低下してしまうことがある。すると、現像ローラギア690から回転駆動力を受けている現像ローラ6にも回転方向に振動が発生することがある。そして、この現像ローラギア690のギア部690aの1歯ごとの振動により、現像ローラ6によるドラム4上の静電潜像の現像ムラが発生し、画像上にギア1歯周期の横スジとして現れてしまうことがあり、画像品質の低下を引き起こすことがある。
次に、本実施例のギア部69aの歯面69a3にクラウニング形状を有する現像ローラギア69の場合について説明する。
図22(a)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vが現像ローラギア69の回転軸線Uに対して略平行な場合、アイドラギア68と現像ローラギア69とは略平行な状態で噛み合う。図23(a)は、この場合のアイドアギア68と現像ローラギア69との噛み合い状態(図22(c)中のRA−RA断面)を示す。
図23(a)に示すように、アイドラギア68の回転軸線Vに傾きが生じていない場合、現像ローラギア69の噛合ギア部69gの歯幅方向の中央部69g2が、アイドラギア68の噛合ギア部68gの接触面68g1と接触する。本実施例のクラウニング形状を有する現像ローラギア69は、ギア部69aの歯幅方向の中央部69a2が凸形状であるからである。そのため、アイドラギア68の噛合ギア部68gと現像ローラギア69の噛合ギア部69gとの歯当たりは、歯幅方向に対してほぼ中央となる。このとき、現像ローラギア69は、その噛合ギア部69gの歯幅方向の端部69g1よりも剛性の高い歯幅方向の中央部69g2でアイドラギア68からの面圧を受ける。そのため、現像ローラギア69の噛合ギア部69gの変形が小さく、現像ローラギア69に発生する振動は小さい。したがって、現像ローラギア69は精度よく回転することが可能である。
一方、図22(b)に示すように、アイドラギア68の回転軸線V’が現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた場合、アイドラギア68と現像ローラギア69とが角度Δα傾いた状態で噛み合う。図23(b)は、この場合のアイドアギア68と現像ローラギア69との噛み合い状態(図22(d)中のRA−RA断面)を示す。なお、図23(b)におけるハッチング領域は、図23(a)の場合と同様の意味を有する。図23(b)に示すように、アイドラギア68に角度Δαの傾きが生じても、アイドラギア68の噛合ギア部68gの接触面68g1は、現像ローラギア69の噛合ギア部69gの歯幅方向の端部69g1と中央部69g2との間の被接触面69g3に接触する。現像ローラギア69は、そのギア部69aにクラウニング形状を有するからである。つまり、アイドラギア68の噛合ギア部68gと現像ローラギア69の噛合ギア部69gとの歯当たりは、歯幅方向に対して中央寄りとなる。これにより、歯幅方向に対して現像ローラギア69の噛合ギア部69gが中央寄りの位置でアイドラギア68からの力を受けることになるため、現像ローラギア69の噛合ギア部69gの変形が小さく、現像ローラギア69に発生する振動は小さい。このように、現像ローラギア69にクラウニング形状を設けることにより、アイドラギア68の回転軸線Vに角度Δαの傾きが発生した場合においても、現像ローラギア69の回転精度の低下を抑制し、精度良く回転することが可能となる。
なお、アイドラギア68の回転軸線Vが現像ローラギア69の回転軸線Uに対して角度Δα傾いた場合について説明したが、これとは反対方向である角度−Δαの傾きが生じた場合でも、クラウニング形状の作用は同様である。
図24(a)は、現像ローラギア69の回転軸線Uに対するアイドラギア68の回転軸線Vの傾き量と、現像ローラギア68の回転精度との相関を示したグラフである。横軸は、現像ローラギア69の回転軸線Uに対するアイドラギア68の回転軸線Vの傾き量(以下、単に「アイドラギア68の傾き量」ともいう。)である。縦軸は、アイドラギア68から回転駆動力を受けた現像ローラギア69の回転精度である。グラフの上側に行くほど回転精度が高いことを示す。また、本実施例において、画像上に現像ローラギア69のギア1歯周期の横スジが発生しないために必要とされる現像ローラギア69の回転精度をD以上とする。本実施例のクラウニング形状を有する現像ローラギア69の場合を実線で示し、比較例のクラウニング形状を有さない現像ローラギア690の場合を破線で示している。
比較例の現像ローラギア690の場合、アイドラギア68の傾き量が増加すると、現像ローラギア69の回転精度は大きく低下する。そのため、必要な回転精度D以上を維持するためのアイドラギア68の傾き量を±B1の領域で管理しなければならない。
一方、本実施例の現像ローラギア69の場合、アイドラギア68の傾き量が増加しても、現像ローラギア69の回転精度の低下を軽減できる。これにより、必要な回転精度D以上を維持するためのアイドラギア68の傾き量は±C1の領域となる(|B1|<|C1|)。このように、本実施例の現像ローラギア69を用いることで、アイドラギア68の傾き量の管理を緩和することが可能である。つまり、軸受部材45や現像カバー部材32の寸法精度や、それらの組立精度の管理を緩和でき、管理コストを低減することができる。
図24(b)は、現像カバー部材32の剛性と現像ローラギア69の回転精度との相関を示したグラフである。横軸は、現像ローラギア69とアイドラギア68との噛み合い力方向(図22(c)中の矢印F)における現像カバー部材32の内径部32qの変形量(剛性)である。縦軸は、アイドラギア68から回転駆動力を受けた現像ローラギア69の回転精度であり、上記同様、必要とする精度をD以上とする。本実施例のクラウニング形状を有する現像ローラギア69の場合を実線で示し、比較例のクラウニング形状を有さない現像ローラギア690の場合を破線で示している。
前述のように、現像カバー部材32に変形が生じると、アイドラギア68を支持する現像カバー部材の内径部32qの位置がずれるため、アイドラギア68に傾きが発生する。また、現像カバー部材32は剛性が低くなると変形が大きくなるため、アイドラギア68の傾き量が大きくなる。このとき、比較例の現像ローラギア690の場合、アイドラギアの傾き量が大きくなると、現像ローラギア69の回転精度は大きく低下する。そのため、必要な回転精度D以上を維持するためには、現像カバー部材32に剛性がB2以上の材料を用いるか、或いは現像カバー部材32の肉厚の増加や補強リブを追加するなどといったことが必要になる。
一方、本実施例の現像ローラギア69の場合、現像カバー部材32の変形によってアイドラギア68に傾きが発生しても、現像ローラギア69の回転精度の低下を低減できる。これにより、必要な現像ローラ69の回転精度D以上を維持するために、現像カバー部材32に剛性がB2以上の材料を用いたり、或いは現像カバー部材32の肉厚の増加や補強リブを追加するなどといったことはしなくてもよい。すなわち、現像カバー部材32の剛性がC2以上(C2<B2)あればよい。このように、本実施例の現像ローラギア69を用いることで、現像カバー部材32に、より低剛性である安価な材料を用いることができ、材料コストを低減することができる。また、現像カバー部材32の肉厚の減少、補強リブの減少、切欠きを設けることなどが可能になるため、現像カバー部材32に使用する材料の体積を減らし、材料コストの削減が可能となる。
本実施例では、現像ユニット9の姿勢変化に連動して駆動連結部の連結及び解除動作をするため、駆動側カートリッジカバー24と係合する解除レバー73が突出するように、現像カバー部材32にレバー開口部32cが設けられている。このように、レバー開口部32cを設け現像カバー部材32の剛性が低下する構成においても、現像ローラギア69の回転精度を維持することができ、高剛性材料の適用することなどによるコストの上昇を抑制できる。
本実施例では、現像ローラギア69のギア部69aの歯幅方向の端部69a1の厚みに対する歯幅方向の中央部69a2の凸量であるクラウニング量cを、歯幅Wが3mmであるのに対して0.01〜0.1mmと設定した。しかし、クラウンニング量cは、歯幅の寸法に合わせて自由に設定できる。ただし、クラウニング量がアイドラギア68の傾き量に対して小さすぎると、アイドラギア68と現像ローラギア69との歯当たりは、片当たり状態になる。その場合、アイドラギア68からの面圧を、現像ローラギア69の剛性の低いギア部69aの歯幅方向の端部69g1側でうけるため、現像ローラギア69の回転精度が低下してしまう。また、クラウニング量が大きすぎると、ギア部69aの曲率が大きくなるため、アイドラギア68と現像ローラギア69とが噛み合う際の接触面積が小さくなる。この場合、アイドラギア69から受ける面圧が高くなるため、現像ローラギア68のそれぞれのギア部(歯)69aに削れが生じやすく、現像ローラギア69の回転精度が低下してしまう場合がある。以上より、クラウニング量cは、本発明を実施する現像ユニット9の具体的な構成に応じて適切な値で設定することが望まれる。
また、上述の実施例では、現像ローラギアの回転軸線が理想的な軸線を維持し、アイドラギアの回転軸線が現像ローラギアの回転軸線に対して傾く場合で説明した。しかし、アイドラギアの回転軸線が理想的な軸線を維持し、現像ローラギアの回転軸線Uがアイドラギアの回転軸線に対して傾く状態もある。この場合においても、上述の実施例において説明したアイドラギアの回転軸線が傾いた状態と同様に考えることができるため、その場合についての説明は省略する。また、アイドラギアと現像ローラギアとの両方の回転軸線が傾いて両者が非平行になる場合も同様である。
以上、本実施例によれば、アイドラギア68と現像ローラギア69とがそれぞれの回転軸線が互いに傾いた状態で噛み合っても、駆動伝達精度の低下を抑制することが可能である。そのため、軸受部材45や現像カバー部材32の寸法精度や組付精度を緩和することができ、また軸受部材45や現像カバー部材32は相対的に低剛性であってもよいので相対的に低剛性で安価な材料を適用できる。そのため、寸法精度や組立精度の管理コストの低減や、材料コストの低減が可能となり、現像ユニットやプロセスカートリッジのコストの低減を図ることが可能となる。
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、現像ユニットはプロセスカートリッジの構成の一部としたが、これに限定されるものではない。例えば、現像ユニットが単独で画像形成装置の装置本体に着脱可能な構成とされていてもよい。また、現像ユニットは、画像形成装置の装置本体に対し容易には着脱が不可能な装置本体の構成の一部であってもよく、この場合例えば現像ユニットには現像剤ボトルから現像剤が補給される構成であってもよい。
また、上述の実施例では、アイドラギアは、軸受部材に設けられた支持部としての軸受部と係合して支持される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、現像枠体に支持部としての軸受部を設け、アイドラギアがこの軸受部と係合して支持される構成であってもよい。
また、上述の実施例では、アイドラギアは、その回転軸線方向の両端部をそれぞれ軸受部材と現像カバー部材とで回転可能に支持される構成とした。すなわち、上述の実施例では、アイドラギアは、その回転軸線方向の両端部がそれぞれ別の部材によって回転可能に支持される。しかし、アイドラギアの支持構成は、これに限定されるものではない。アイドラギアは、その回転軸線方向の一方の端部で回転可能に支持される構成であってもよい。つまり、例えば、上述の実施例におけるアイドラギアの第1円筒部に対応する支持受け部のみが、軸受部材又は現像枠体に設けられた支持部で支持される構成とされていてもよい。また、上述の実施例におけるアイドラギアの第2円筒部に対応する支持受け部のみが、現像カバー部材に設けられた支持部で支持される構成とされていてもよい。この場合、アイドラギアは、現像ローラギアの噛み合い反力で回転軸線が傾きやすくなる。しかし、上述の実施例と同様に現像ローラギアにクラウニング形状を設けることで、現像ローラギアの回転精度の低下を軽減できる。
また、上述の実施例では、現像ユニットに設けられた現像ローラに駆動伝達する駆動列の複数のギア(ギア列)のうち現像ローラギアにクラウニング形状を設けたが、これに限定されるものではない。上述の実施例に即して言えば、現像ローラギア及びアイドラギアのうち少なくとも一方がクラウニング形状を有していればよい。つまり、アイドラギアのみがクラウニング形状を有していてもよいし、アイドラギア及び現像ローラギアの両方がクラウニング形状を有してもよい。
また、上述の実施例では、現像ユニットの姿勢変化に連動して現像ローラに対する駆動連結部の連結及び解除の動作をすることで、現像入力カップリングからアイドラギアへの駆動を制御する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、図25(a)、(b)に示すように、アイドラギア682に、装置本体2に設けられた現像駆動出力部材62(図2(b))と係合する駆動入力部682cを設けることができる。なお、図25(a)はアイドラギア682の斜視図、図25(b)はこのアイドラギア682を用いた現像ローラに駆動伝達する駆動列の平面図である。このアイドラギア682は、上述の実施例の場合と同様に、ギア部682b、第1円筒部682p、第2円筒部682qを有する。そして、駆動入力部682cに回転駆動力が入力されることでアイドラギア682が回転駆動され、これによりアイドラギア682と噛み合う現像ローラギア69が回転駆動される構成としてもよい。この場合、例えば、装置本体2に設けられた駆動モータ(図示せず)の制御によって、現像駆動出力部材62の駆動制御を行い、アイドラギア682の駆動を制御することができる。
また、上述の実施例では、駆動入力部と略同軸で回転するアイドラギアが、現像ローラに直接駆動伝達する現像ローラギアと噛み合い、現像ローラギアが回転駆動される構成とした。すなわち、上述の本実施例では、アイドラギアは、現像ローラに駆動伝達する駆動列の複数のギアからなるギア列において、駆動入力部に最も近いギアである。また、上述の実施例では、現像ローラギアは、現像ローラに駆動伝達する駆動列の複数のギアからなるギア列において、現像ローラに最も近いギアである。しかし、駆動列の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、図26に示すように、現像入力カップリング74の回転方向Hを逆方向にしたい場合などに、アイドラギア68と現像ローラギア69との間に第2アイドラギア680を配置する構成が考えられる。なお、図26の例では、第2アイドラギア680は、軸受部材45によってのみ支持されている。この場合、アイドラギア68、第2アイドラギア680及び現像ローラギア69のうち少なくとも1つのギアの歯面がクラウニング形状を有する構成とすることで、現像ローラギア69の回転精度を相応に向上させることができる。つまり、現像ローラに駆動伝達する駆動列の複数のギアのうち少なくとも1つのギアの歯面がクラウニング形状を有していればよい。好ましくは、アイドラギア68、第2アイドラギア680及び現像ローラギア69において、互いに噛み合うギアのうち少なくとも一方の歯面がクラウニング形状を有する構成とする。例えば、第2アイドラギア680のみがクラウニング形状を有している構成、アイドラギア68及び現像ローラギア69がクラウニング形状を有している構成が考えられる。
さらに、第2のアイドラギアが第3のアイドラギアと噛み合い、第3のアイドラギアが現像ローラと噛み合う構成としてもよい。このように、現像ローラに駆動伝達する駆動列において駆動入力部に最も近いアイドラギアから現像ローラギアに至るまでのギアは複数であってもよい。つまり、現像ローラに駆動伝達する駆動列の複数のギアは、現像ローラギアと、現像ローラギアに回転駆動力を伝達する複数のアイドラギアと、を有していてよい。そして、この現像ローラギア及び複数のアイドラギアのうち少なくとも1つのギアの歯面がクラウニング形状を有する構成とすることで、現像ローラギアの回転精度を相応に向上させることができる。好ましくは、この現像ローラギア及び複数のアイドラギアにおいて、互いに噛み合うギアのうち少なくとも一方の歯面がクラウニング形状を有する構成とする。なお、複数のアイドラギアは、それぞれ独立して前述のいずれかの方法で支持(回転軸線方向の少なくとも一方の端部で支持)されていてよい。すなわち、複数のアイドラギアのうち少なくとも1つは、その回転軸線方向の両端部がそれぞれ別の部材によって回転可能に支持されていてよい。また、複数のアイドラギアのうち少なくとも1つは、その回転軸線方向の一方の端部で回転可能に支持されていてよい。