JP6305001B2 - 銅箔、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

銅箔、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、銅箔、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板に関し、特に、高周波信号に対応した銅箔及び銅箔をエッチングした後の残部の樹脂の透明性が要求される分野に好適な銅箔、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板に関する。
近年、電子機器の高機能化に伴い、信号の高周波化が進んでおり、それに伴い信号配線として用いられるフレキシブルプリント配線板(以下、FPC)にも高周波対応が求められてきている。信号が高周波化すると、信号電流は配線の表面近傍を伝播するために、FPCの配線部材として用いられる銅箔の表面が粗いと信号の損失が大きくなる。そのため高周波対応の銅箔には表面の平滑性が求められる。
また、FPCをLCD(液晶ディスプレイ)と、例えば異方性導電膜(ACF)を用いて接合する際に、FPCのベースとなる樹脂層(例えば、ポリイミド)越しにCCDカメラでマーカー位置を確認し、接合位置合わせを行う。このため樹脂層の透明度が低いと位置合わせが困難になる。
FPCの樹脂層は、銅箔と樹脂層とを接合した後にエッチングによって銅層を除去したものである。そのため樹脂層表面は、銅箔表面の凹凸を転写したレプリカとなっている。つまり、銅箔表面が粗いと樹脂層表面も粗くなり、光を乱反射するために透明度が低下する。このため、樹脂層の光透過性を改善するためには、銅箔の樹脂層との接着面を平滑にする必要がある。
一般に、銅箔の樹脂層との接着面は、接着強度を増すために粗化めっき処理される。銅箔の表面粗さに比べて粗化処理のめっき粒子が大きいことから、銅箔表面を平滑にする手段として、これまで主としてめっき条件の改良が行われてきた。
このような技術として、例えば、特許文献1には、銅箔表面にクロム及び亜鉛のイオンまたは酸化物から形成され、少なくとも0.5%のシランを含有する水溶液を用いて処理される付着層を持つ銅箔が示されている。
特開2012−39126号公報
しかしながら、特許文献1に開示された実証サンプルの密着強度は、比較サンプルである粗い銅箔と比べて低く、このように粗化粒子を過度に微細化すると樹脂層との密着強度が低下することから、粗化めっきの改良による平滑化には限界がある。このため、樹脂層と銅箔との密着強度の確保と、樹脂層の視認性の向上とを両立することが困難となっている。
従って、本発明は、従来と同じ粗化めっきを施した場合にも平滑な表面を有し、樹脂と良好に接着しつつも銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた銅箔、銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板を提供することを課題とする。
従来から、表面形状を規定するパラメータとして、例えばJIS−B0601に規格する算術平均粗さRaが知られている。図1(a)に示すように、Raは、粗さ曲線Cxの凸部の高さと凹部の深さの平均値を求めたものであり、Raが小さいほど表面が平滑であるとされる。一方、図1(b)に示すように、粗さ曲線Cyにおいて平坦部Plが多いものの、ところどころに深い溝Gが存在する場合、図1(a)の表面よりもRaが大きくなり、見掛け上、表面が粗いように見えることがある。
本発明者らが検討したところ、銅箔の表面形状として、全面に凹凸が分布している図1(a)の表面より、平坦部Plが多い図1(b)の表面の方が樹脂との接着性が高く、かつ銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性にも優れることが判明した。又、銅箔の表面に平坦部Plが多くなると、グラフェンの成長を妨げない平滑状態が要求されるグラフェン製造用銅箔等にも適することを見出した。
そして、本発明者らは、上記した平坦部Plが多い表面形状を所定のパラメータによって表現できることを見出した。
なお、銅張積層板に用いる銅箔の場合、通常は樹脂と接着する面を粗化めっきしており、粗化めっき面においては上述の表面形状が失われるので、樹脂と接着しない面(粗化めっきしない面)の表面を規定する。
すなわち、本発明の銅箔は、少なくとも一方の面のJIS−B0601に規格する輪郭曲線の負荷曲線Cと、負荷長さ率Rmrを40%の幅とするウィンドウWの両端との2つの交点P1,P2(但し、P1,P2の前記負荷長さ率RmrがP1<P2)の高さ方向の切断レベル差Rδcが最小となるとき、前記交点P1,P2を通る直線Lが前記負荷長さ率Rmr=0、100%にそれぞれ一致する高さ方向の切断レベルの差である有効負荷粗さRkが0.2μm以下、前記交点P1,P2を通る直線Lと、前記負荷長さ率Rmr=100%の限界線との交点をP3とし、前記交点P3を通り前記切断レベル差Rδc=0の直線Mと前記輪郭曲線の負荷曲線Cとの交点をP4とし、前記交点P4における前記負荷長さ率Rmrを示すMr2が85%以上となる。
前記交点P1,P2を通る直線Lと、前記負荷長さ率Rmr=100%の限界線との交点をP3とし、前記交点P3を通り前記切断レベル差Rδc=0の直線Mと前記輪郭曲線の負荷曲線Cとの交点をP4とし、辺P3−P4を底辺とする直角三角形の面積Sが、前記限界線と、前記輪郭曲線の負荷曲線Cとで囲まれる面積と等しくなるときの前記直角三角形の高さである谷部深さRvkが0.2μm以下となることが好ましい。
本発明の銅箔は、Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr、Zn、Ni、Si、P、Cr及びFeの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜1500質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
本発明の銅張積層板は、前記銅箔と樹脂基板とを積層して構成してなる。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、前記銅張積層板を用いてなる。
本発明によれば、樹脂と良好に接着しつつも銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた銅箔が得られる。
銅箔表面の断面形状を表す模式図である。 輪郭曲線の負荷曲線Cを表す模式図である。 Bt及びBbを定義する模式図である。 t1及びt2及びSvを定義する模式図である。 明度曲線の傾き評価の際の、撮影装置の構成及び明度曲線の傾きの測定方法を表す模式図である。
以下、本発明の実施形態に係る銅箔について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
<銅箔の形態及び組成>
本発明の銅箔は、樹脂基板と積層されて銅張積層板を作製し、エッチングにより部分的に銅箔を除去することで使用される用途に適する。通常、銅箔のうち、樹脂基板と接着する面、即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を行う粗化処理が施される。この粗化処理は銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき等により行うことができる。
銅箔厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜35μmである。銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。
銅箔は質量率で99.9%以上の銅を含み、電解銅箔及び圧延銅箔を使用できる。
圧延銅箔としては、JIS−H3100(C1020)に規格される無酸素銅、又は、JIS−H3100(C1100)に規格されるタフピッチ銅が挙げられる。
圧延銅箔は、Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr、Zn、Ni、Si、P、Cr及びFeの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で1500質量ppm以下含有してもよい。上記元素の合計量が1500質量ppmを超えると導電率が低下する場合がある。上記元素の合計量の下限は、例えば10質量ppm以上である。
<表面形状>
まず、図2を参照し、本発明の銅箔の表面形状を規定するパラメータについて説明する。
上述のように、図1(b)に示す平坦部Plが多い表面は、樹脂との接着性が高くなるように粗化めっきを施した場合でも、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れる。そこで、本発明においては、平坦部Plを表すパラメータとして、JIS−B0671−2に規格する輪郭曲線の負荷曲線Cを用いる。
図2に示すように、輪郭曲線の負荷曲線Cは、粗さ曲線の高さにつき、高い方から順に累積頻度をグラフ化したものであり、横軸の累積頻度を0〜100%の間で負荷長さ率Rmrとして表す。Rmr=100%における高さは粗さ曲線の最も低い高さ(最も深い谷)を示す。そして、平坦部Plでは曲線Cが水平に近くなるので、曲線Cの傾きが小さいほど、表面形状が平坦である。
有効負荷粗さRk:Rkは、負荷曲線Cと、負荷長さ率Rmrを40%の幅とするウィンドウWの両端との2つの交点P1,P2(但し、P1,P2の前記負荷長さ率RmrがP1<P2)の高さ方向の切断レベル差Rδcが最小となるとき、交点P1,P2を通る直線Lが負荷長さ率Rmr=0、100%にそれぞれ一致する高さ方向の切断レベルの差である。曲線Cの傾きが小さいほどRkも小さくなり、表面形状が平坦となる。
谷部深さRvk:Rvkは、直線Lと、負荷長さ率Rmr=100%の限界線との交点をP3とし、交点P3を通り切断レベル差Rδc=0の直線Mと負荷曲線Cとの交点をP4とし、辺P3−P4を底辺とする直角三角形の面積Sが、Rmr=100%の限界線と負荷曲線Cとで囲まれる面積と等しくなるときの当該直角三角形の高さである。Rvkは、銅箔表面の最も深い谷部の深さを表し、Rvkが小さいほど、谷が浅く表面形状が平坦となる。
Mr2:Mr2は、交点P3を通り切断レベル差Rδc=0の直線Mと、負荷曲線Cとの交点をP4とし、交点P4における負荷長さ率Rmrを示す。Rmrは、銅箔表面の最も深い谷部の深さが生じるときの頻度を表し、Rvkが大きいほど、谷が浅く表面形状が平坦となる。
本発明の銅箔は、少なくとも一方の面の有効負荷粗さRkが0.2以下である。Rkが0.2以下であると、銅箔の表面形状が平坦となり、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れる。Rkの下限は特に限定されないが、例えば0.05である。
銅箔の少なくとも一方の面の谷部深さRvkが0.2以下であると好ましい。Rvkが0.2以下であると、銅箔の谷部の深さが浅く、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れる。Rvkの下限は特に限定されないが、例えば0.01である。
銅箔の少なくとも一方の面のMr2が85%以上であると好ましい。Mr2が85%以上であると、銅箔表面の凹部が少なく、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れる。Mr2の上限は特に限定されないが、例えば95%である。
本発明の銅箔を、粗化処理面側から樹脂基板に貼り合わせて銅張積層体を構成することができる。樹脂基板はプリント配線板等に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルフィルムやポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルム、フッ素樹脂フィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、ポリイミドフィルム等の基材に接着剤を介して、又は、接着剤を使用せずに高温高圧下で圧延銅箔に積層接着(熱圧着)して、又は、ポリイミド前駆体を塗布・乾燥・硬化等を行うことで積層板を製造することができる。
<銅箔の製造方法>
本発明の銅箔は、所望の組成のインゴットを熱間圧延及び面削後、冷間圧延と焼鈍を数回(通常、2回程度)繰り返し、次いで最終再結晶焼鈍した後、最終冷間圧延して製造することができる。焼鈍後に表面酸化膜を除去するために、表面の酸洗や研磨等を行ってもよい。最終冷間圧延では、材料を繰り返し圧延機に通板(パス)することで所定の厚みに仕上げる。
最終冷間圧延の最終圧延パスにおける油膜当量を17000以下、最終圧延パスの直前の圧延パスにおける油膜当量を15000以下、最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける油膜当量を10000以下とし、且つ、最終圧延パスの直前で圧延平行方向の60度光沢度が500より大きくなるように調整すると、銅箔表面のRk、Rvk、又はMr2を上述の範囲に制御することができる。上記した60度光沢度を500より大きくする方法の一例としては、以下に述べるように圧延ロール表面を平滑にすることが挙げられる。
油膜当量を制御することで、材料表面の変形がロールによって拘束され、圧延による厚みの変化に伴う表面の凹凸の増加を抑制することができ、平坦度が高くなる。また、最終圧延パスの直前で材料の光沢度を高くすることで、材料を平滑にして所期の表面形状を得ることができる。最終パス直前で光沢度が低いと、最終パスで材料表面を平滑にしても、その前のパスまでに形成された深い凹凸が残留するため、所期の表面形状が得られない。ここで、油膜当量は下記の式で規定される。圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg]/mm])}
油膜当量を制御するためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
また、油膜当量の値が小さい場合には、圧延に用いる圧延ロール表面の凹凸が材料表面に転写しやすいため、圧延ロール表面も平滑であるのが好ましい。このため、圧延ロールの回転軸に平行な方向に測定したときのJIS B0601に規格する算術平均粗さRaが0.1μm以下であるのが好ましい。
<圧延銅箔の製造>
各実施例及び比較例の圧延銅箔を以下のように製造した。
まず、表1に示す組成の銅インゴットを鋳造し、熱間圧延を行った後、冷間圧延と、300〜800℃の温度に設定した焼鈍炉における焼鈍とを1回以上繰り返し、その後冷間圧延して1〜2mm厚の圧延板を得た。この圧延板を300〜800℃の温度に設定した焼鈍炉で焼鈍して再結晶させ、表1に記載の厚みまで最終冷間圧延した。最終冷間圧延の最終圧延パス、最終圧延パスの直前の圧延パス、及び最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける油膜当量を表1に示す。又、最終圧延パスの直前での圧延平行方向の60度光沢度G60を表1に示す
また、最終冷間圧延で用いた圧延ロールは、ロールの回転軸に平行な方向に測定したときの平均粗さRaが0.08μmであった。
なお、表1の組成の欄の「TPC+Ag200ppm」は、JIS−H3100(C1100)のタフピッチ銅(TPC)に200質量ppmのAgを添加したことを意味する。又、「OFC+1200ppmSn」は、JIS−H3100(C1020)の無酸素銅(OFC)に1200質量ppmのSnを添加したことを意味する。他の添加量の場合も同様である。


得られた試料の一方の面(以下、粗化面という)に以下の条件で粗化処理を行った。粗化処理の条件は、実用上十分なピール強度が得られるものとして一般的にFPC用途で用いられているものとした。
・めっき浴組成:Cu15Ra/L、Co8.5Ra/L、Ni8.6Ra/L
・処理液pH:2.5
・処理温度:38℃
・電流密度:20A/dm
・めっき時間:2.0秒
上述のようにして作製した実施例及び比較例の各サンプルについて、各種評価を下記の通り行った。
表面形状:銅箔の粗化処理しなかった面(粗化面の反対面)のMD方向(Machine Direction;圧延銅箔では圧延平行方向,電解銅箔では流れ方向)について、上述の輪郭曲線の負荷曲線Cを求め、Rk、Rvk、Mr2を上述のように求めた。粗さ測定装置として、小坂研究所製のサーフコーダSE−3400を用いた。
ピール強度(接着強度);
上記片面銅張積層板につき、IPC−TM−650に準拠し、引張り試験機で常態(常温で24時間放置)ピール強度を測定した。上記常態ピール強度が0.7N/mm以上であれば、樹脂との接着性が良好である。
異常電着;
上記銅箔の粗化面につき、電着粒の形態をSEMにて観察した。樹枝状に成長した電着粒が存在すると、後述する樹脂の透明性が低下する。以下の基準で評価した。
×:樹枝状の粗大な電着がみられ、かつめっき層の一部に不めっき部が存在し、そこから下地が露出しているのが観察された
△:樹枝状の粗大な電着がみられたが、銅箔全面がめっき層に被覆されていた
○:樹枝状の粗大な電着がみられず、銅箔全面がめっき層に被覆されていた
樹脂の透明性(Sv値);
上記銅箔の粗化面に樹脂を積層したときの透明性(視認性)を以下のSv値で評価した。そして、Sv値4.0以上のものを◎、3.5以上のものを○,Sv値3.5未満3.0以上のものを△、3.0未満のものを×とした。
Sv値の測定は以下の通りである。まず、上記の粗化処理後の銅箔を2枚用い、ポリイミドフィルム(カネカ製厚み50μm)の両面に上記各銅箔の粗化面側を貼り合わせ、銅箔を塩化第二鉄水溶液で溶解除去してサンプルフィルムを作製した。次に、ライン状の黒色マークを印刷した印刷物をサンプルフィルムの下に敷いて、印刷物をサンプルフィルム越しにCCDカメラで撮影し、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定した。このように測定した観察地点−明度グラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線の傾き(角度)を測定した。この時用いた測定装置の構成及び明度曲線の傾きの測定方法を示す模式図を図5に示す。また、ΔB、t1、t2、Svは、図4で示すように、下記の撮影装置で測定した。なお、横軸の1ピクセルは10μm長さに相当する。
撮影装置は、CCDカメラ、マークを付した紙を下に置いたポリイミド樹脂基板を置くステージ(白色)、ポリイミドフィルムの撮影部に光を照射する照明用電源、撮影対象のマークが付された紙を下に置いた評価用ポリイミドフィルムをステージ上に搬送する搬送機を備えている。測定に用いた撮影装置一式の主な仕様を以下に示す。
・撮影装置:株式会社ニレコ製シート検査装置Mujiken
・CCDカメラ:8192画素(160MHz)、1024階調デジタル(10ビット)
・照明用電源:高周波点灯電源
・照明:蛍光灯(30W)
なお、図5に示された明度について、0は「黒」を意味し、明度255は「白」を意味し、「黒」から「白」までの灰色の程度(白黒の濃淡、グレースケール)を256階調に分割して表示している。
(Sv値)
ここで、「Sv」の値は、次のようにして求める。まず、銅箔をポリイミド樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで両面の銅箔を除去し、ライン状のマークを印刷した印刷物を露出した樹脂基板の下に敷いて、印刷物を樹脂基板越しにCCDカメラで撮影する。撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向に対して垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定し、観察地点−明度グラフを作成する。このグラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差は明るさの諧調差であり、これをΔB(=Bt−Bb)としたとき、ΔBが40以上となるように明るさの諧調を設定する。また、明度曲線とBtの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点をt2としたとき、Svの値は以下の式(1)で定義される。
(数2)
Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)
なお、前記観察位置−明度グラフにおいて、横軸は位置情報(ピクセル×0.1)、縦軸は明度(階調)の値を示す。
ここで、「明度曲線のトップ平均値Bt」、「明度曲線のボトム平均値Bb」、及び、後述の「t1」、「t2」、「Sv」について、図を用いて説明する。
図1(a)及び図1(b)に、マークの幅を約0.3mmとした場合のBt及びBbを定義する模式図を示す。マークの幅を約0.3mmとした場合、図1(a)に示すようにV型の明度曲線となる場合と、図1(b)に示すように底部を有する明度曲線となる場合がある。いずれの場合も「明度曲線のトップ平均値Bt」は、マークの両側の端部位置から50μm離れた位置から30μm間隔で5箇所(両側で合計10箇所)測定したときの明度の平均値を示す。一方、「明度曲線のボトム平均値Bb」は、明度曲線が図1(a)に示すようにV型となる場合は、このV字の谷の先端部における明度の最低値を示し、図1(b)の底部を有する場合は、約0.3mmの中心部の値を示す。
図4に、t1及びt2及びSvを定義する模式図を示す。「t1(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点並びにその交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)を示す。「t2(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点並びにその交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)を示す。このとき、t1およびt2を結ぶ線で示される明度曲線の傾きについては、y軸方向に0.1ΔB、x軸方向に(t1−t2)で計算されるSv(階調/ピクセル×0.1)で定義される。なお、横軸の1ピクセルは10μm長さに相当する。また、Svは、マークの両側を測定し、小さい値を採用する。さらに、明度曲線の形状が不安定で上記「明度曲線とBtとの交点」が複数存在する場合は、最もマークに近い交点を採用する。
CCDカメラで撮影した上記画像において、マークが付されていない部分では高い明度となるが、マーク端部に到達したとたんに明度が低下する。ポリイミド樹脂基板の視認性が良好であれば、このような明度の低下状態が明確に観察される。一方、ポリイミド樹脂基板の視認性が不良であれば、明度がマーク端部付近で一気に「高」から「低」へ急に下がるのではなく、低下の状態が緩やかとなり、明度の低下状態が不明確となってしまう。
このため、銅箔を貼り合わせて除去したポリイミド樹脂基板に対し、マークを付した印刷物を下に置き、ポリイミド樹脂基板越しにCCDカメラで撮影した上記マーク部分の画像から得られる観察地点−明度グラフにおいて描かれるマーク端部付近の明度曲線の傾きを制御するのが好ましい。より詳細には、明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値(前記観察地点−明度グラフの横軸の値)をt2としたときに、上記(1)式で定義されるSvが3.5以上となるのが好ましい。
このような構成によれば、樹脂基板の種類や厚みの影響を受けずに、CCDカメラによるポリイミド越しのマークの識別力が向上する。このため、視認性に優れるポリイミド樹脂基板を作製することができ、電子基板製造工程等でポリイミド樹脂基板に所定の処理を行う場合のマーキングによる位置決め精度が向上し、これによって歩留まりが向上する等の効果が得られる。Svは好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上,さらに好ましくは5.0以上である。Svの上限は特に限定する必要はないが、例えば70以下、30以下、15以下、10以下である。このような構成によれば、マークとマークで無い部分との境界がより明確になり、位置決め精度が向上して、マーク画像認識による誤差が少なくなり、より正確に位置合わせができるようになる。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、表面のRkが0.2以下の各実施例の場合、樹脂との接着性、及び銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性が良好であった。
一方、最終冷間圧延の最終圧延パス、最終圧延パスの直前の圧延パス、又は最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける油膜当量の少なくとも1つが上記範囲を外れた各比較例の場合、表面のRkが0.2を超え、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性が劣った。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の面のJIS−B0601に規格する輪郭曲線の負荷曲線Cと、負荷長さ率Rmrを40%の幅とするウィンドウWの両端との2つの交点P1,P2(但し、P1,P2の前記負荷長さ率RmrがP1<P2)の高さ方向の切断レベル差Rδcが最小となるとき、
    前記交点P1,P2を通る直線Lが前記負荷長さ率Rmr=0、100%にそれぞれ一致する高さ方向の切断レベルの差である有効負荷粗さRkが0.2μm以下
    前記交点P1,P2を通る直線Lと、前記負荷長さ率Rmr=100%の限界線との交点をP3とし、前記交点P3を通り前記切断レベル差Rδc=0の直線Mと前記輪郭曲線の負荷曲線Cとの交点をP4とし、
    前記交点P4における前記負荷長さ率Rmrを示すMr2が85%以上となる銅箔。
  2. 前記交点P1,P2を通る直線Lと、前記負荷長さ率Rmr=100%の限界線との交点をP3とし、前記交点P3を通り前記切断レベル差Rδc=0の直線Mと前記輪郭曲線の負荷曲線Cとの交点をP4とし、
    辺P3−P4を底辺とする直角三角形の面積Sが、前記限界線と、前記輪郭曲線の負荷曲線Cとで囲まれる面積と等しくなるときの前記直角三角形の高さである谷部深さRvkが0.2μm以下となる請求項1に記載の銅箔。
  3. Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr、Zn、Ni、Si、P、Cr及びFeの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜1500質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる請求項1又は2に記載の銅箔。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の銅箔と樹脂基板とを積層して構成した銅張積層板。
  5. 請求項4に記載の銅張積層板を用いたフレキシブルプリント配線板。
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