JP6304750B2 - 高強力中空ポリエステルマルチフィラメント - Google Patents
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a)構成単糸の繊維軸に直交する断面形状が中空コアー部を有すること。
b)該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し、かつ該コアー部の長さ方向に沿って延在する複数枚のフィン部を有すること。
c)構成単糸の断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%であること。
d)繊維の強度が6.0cN/dtex以上であること。
そして本発明は、上記の本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントからなる繊維製品を包含する。
本発明で用いるポリエステルは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコールを主たるジオール成分とするポリエステルを90重量%以上含有するポリエステルであり、該ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲内で、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分や上記とは異なる他のグリコール成分を共重合していても良い。
この本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、産業資材用ロープ、土木作業シート、ネット、漁網等の幅広い分野に最適に使用することができる。
オルソクロロフェノールを溶媒として使用して35℃で測定した。
マルチフィラメント空隙率は、まず最初に紡糸捲取したポリエステルマルチフィラメントのセクションを切り、繊維横断面写真(560倍以上35000倍以下)をSEMにより撮影し、写真画像のポリエステルマルチフィラメント糸の外周部分を線(図2の破線部分)で結びその内面積を面積Cとした。
またポリエステルマルチフィラメント糸を構成する各単糸の、繊維軸に直交する横断面のポリマー部面積を面積Bとした。なおこの面積は、上記の単糸空隙率と同じく、繊度とポリマー密度から求めた断面積を使用した。ポリエステルマルチフィラメントを構成する単糸の数をNとした。
そして以下の式により、マルチフィラメント空隙率を求めた。測定は5箇所の繊維断面から計算を行い、その平均値をもってマルチフィラメント空隙率(%)とした。
マルチフィラメント空隙率(%)=((C−N×B)/C)×100
B;単糸繊維軸に直交する断面ポリマー部面積
C;マルチフィラメント糸横断面最外周面積
N;マルチフィラメント糸に含まれる単糸数
耐候試験機(岩崎電気株式会社製「アイスーパーUVテスター」)を使用し、UV照射前後での引張試験機にて測定した強力(N)の保持率を強力保持率(%)とした。なお耐候試験は、UV照射時間10時間、温度63℃、湿度50%の条件下で行った。
強力保持率(%)=UV照射後強力(N)/UV照射前強力(N)×100%
固有粘度が1.02のポリエチレンテレフタレートを300℃で溶融し、図3に示す吐出孔を12個有する紡糸口金より吐出した。吐出された糸条は、口金下で長さ100mm、温度350℃の加熱紡糸筒にて加熱、その後冷却しオイリングローラーにてオイル付与し500m/分の速度にて巻き取った。得られた部分的未延伸糸を温度90℃〜120℃で3.0倍に延伸し、次いで温度200℃で熱セットを施し130dtex、強度6.2cN/dtexの中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率10%、マルチフィラメント空隙率51%得られた。中空形状は四角であった。このポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に示す。
実施例1と同様に紡糸口金より吐出し、加熱紡糸筒の口金下長さを100mmから45mmに短くし、温度を300℃にした以外は実施例1と同様にして中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。強度が5.6cN/dtexと低くまた、シルクファクターが16と低いものとなった。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率2%、マルチフィラメント空隙率も32%と低いものであり、大きな軽量化率が確認できなかった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
実施例1と同様に紡糸口金より吐出し、加熱紡糸筒の口金下長さを100mmから300mmに長くし、温度を300℃にした以外は実施例1と同様にして中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。強度が5.0cN/dtexと低いものとなった。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率5%、マルチフィラメント空隙率も35%と低いものであり、大きな軽量化率が確認できなかった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
固有粘度が1.05に高めたポリエチレンテレフタレートを用い、そのポリエチレンテレフタレートに対し、カーボンブラックを20%含有した原着ポリエステルマスターチップを4%、ベンゾトリアゾールを10%含有したチップを30%添加し、305℃で溶融させて、図3に示す吐出孔を12個有する紡糸口金より吐出した。吐出された糸条は、口金下の加熱紡糸筒で長さ45mm、温度305℃で加熱、その後冷却しオイリングローラーにてオイル付与し500m/分の速度にて巻き取った。得られた未延伸糸を温度90℃〜120℃で5.3倍に延伸し、次いで温度180℃で熱セットを施し130dtex、強度6.6cN/dtexの中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られた繊維の軽量感は単糸空隙率34%、マルチフィラメント空隙率53%のものが得られた。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
使用ポリマーとしてベンゾトリアゾールを10%含有したチップを30%添加から10%添加に変更した以外は、実施例2と同様にして、中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの軽量感は中空率34%、空隙率45%のものが得られた。また、強度が6.8cN/dtexと産業用繊維としては十分な物性であった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
B;単糸繊維横断面ポリマー部
C;マルチフィラメント糸横断面最外周面積
Claims (6)
- 繊維を構成するポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位で構成されたポリエステル繊維からなり、下記要件を満足することを特徴とする高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
a)構成単糸の繊維軸に直交する断面形状が中空コアー部を有すること。
b)該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し、かつ該コアー部の長さ方向に沿って延在する複数枚のフィン部を有すること。
c)構成単糸の断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%であること。
d)繊維の強度が6.0cN/dtex以上であること。 - マルチフィラメントの断面において、マルチフィラメント横断面の最外周面積に占める
マルチフィラメント空隙率が30〜70%である請求項1記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。 - ポリマー成分中にカーボンブラックを0.1重量%以上含有する請求項1または2記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
- ポリマー成分中にベンゾトリアゾールを0.5重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
- ポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位であるポリマーを口金から溶融吐出し、延伸する高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法であって、
複数の口金から吐出したポリマーが接合して、中空のコアー部とそのコアー部の表面からコアー部中心点に対し放射状に突出した複数枚のフィンを有する単糸断面とし、口金から吐出直後に加熱紡糸筒を通過させて、200〜800m/分で一旦巻き取りまたは巻き取ることなく、引き続き延伸することにより、その単糸断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%となるようにすることを特徴とする高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントからなる繊維製品。
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