JP6304750B2 - 高強力中空ポリエステルマルチフィラメント - Google Patents

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本発明は高強力中空ポリエステルマルチフィラメントに関し、さらに詳しくは高嵩高性と高強力を高い次元で満足する産業資材用の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントに関する。
ポリエステル繊維は機械的特性をはじめ様々な優れた特性を有しており、各種産業用途・分野に利用されている。さらに最近では単純に強度を要求されるばかりではなく、低密度でありながら強度に優れた、すなわち最終的に繊維製品とした場合に、嵩高性を保ちながら高強度の繊維製品が求められている分野がある。
例えばロープやネットの分野において、単純に繊維を高強力化した場合、同じ強力を有する最終製品は細い糸条で構成されることになる。しかしその場合には保持した部分に応力が集中し、例えば細くかつ高強力なロープを用いた場合には、太いロープを用いた場合よりも、そのロープを保持する手に食い込み、痛みや怪我をしやすいという問題があった。
そこで単純に繊維を中空化して低密度の繊維製品を得る手法が知られている。例えば紡糸口金を中空形状にして中空繊維を得る方法が知られている。しかしこのような方法により得られる中空繊維は、産業繊維のように強い力がかかる用途ではその中空部分で潰れやすく、十分な嵩高性を発揮することができなかった。またこのような口金形状を変更することによる製糸方法では、口金吐出孔から溶融吐出されるポリマーの貼り合せの技術(口金設計そのもの)が必要であり、どうしても繊維が割れやすいという問題があった。
そこで例えば特許文献1では、複合繊維装置を用いて、いわゆるコンジュゲート紡糸により、中心部にポリビニールアルコール系の樹脂などの溶出しやすい成分を添加し、紡糸捲取後にその樹脂を溶出させ、中空繊維とする方法が提案されている。しかしこのような複合繊維に関しては、確かに中空を形成する剤を溶出した後の中空形成率は高いが、そのコストは著しく高くなるという問題があった。また短繊維にカットする分野ではともかく、長繊維のまま用いる分野では、その中空成分の溶出が困難であるという問題があった。
また衣料用の分野では各種の断面形状の繊維が知られているが(例えば特許文献2や特許文献3)、異形化による強度低下が大きく、また延伸工程等の途中工程における毛羽の発生や、断面の変形による中空率及び空隙率の低下が大きいという課題があった。産業資材用に適した高嵩高性の中空繊維が待望されていたのである。
特開2002−173824号公報 特開2001−115334号公報 特開2008−57060号公報
本発明は、上記従来技術の有する問題点を解消し、嵩高性に優れながら高強力である高強力中空ポリエステルマルチフィラメントを提供することにある。
本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、繊維を構成するポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位で構成されたポリエステル繊維からなり、下記要件を満足することを特徴とする。
a)構成単糸の繊維軸に直交する断面形状が中空コアー部を有すること。
b)該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し、かつ該コアー部の長さ方向に沿って延在する複数枚のフィン部を有すること。
c)構成単糸の断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%であること。
d)繊維の強度が6.0cN/dtex以上であること。
さらには、マルチフィラメントの断面において、マルチフィラメント横断面の最外周面積に占めるマルチフィラメント空隙率が40〜70%であることや、ポリマー成分中にカーボンブラックを0.1重量%以上含有すること、ポリマー成分中にベンゾトリアゾールを0.5重量%以上含有することが好ましい。
そして本発明は、上記の本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントからなる繊維製品を包含する。
また、もう一つの本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法は、ポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位であるポリマーを口金から溶融吐出し、延伸する高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法であって、複数の口金から吐出したポリマーが接合して、中空のコアー部とそのコアー部の表面からコアー部中心点に対し放射状に突出した複数枚のフィンを有する単糸断面とし、口金から吐出直後に加熱紡糸筒を通過させて200〜800m/分で一旦巻き取りまたは巻き取ることなく、引き続き延伸することにより、その単糸断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%となるようにすることを特徴とする。
本発明によれば、嵩高性に優れながら高強力である高強力中空ポリエステルマルチフィラメントが提供される。
本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントを構成する単糸の、繊維軸に直交する断面の模式図である。 本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの繊維軸に直交する断面の模式図である。 紡糸口金の一具体例の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いるポリエステルは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコールを主たるジオール成分とするポリエステルを90重量%以上含有するポリエステルであり、該ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲内で、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分や上記とは異なる他のグリコール成分を共重合していても良い。
かかるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は、通常工業繊維用素材として使用されるポリエステルと同じ範疇の0.7〜1.1範囲のものが好ましい。また、必要に応じて適宜艶消し剤、制電剤、安定剤などの添加剤またはアルカリ減量により繊維表面に微細孔やフィブリルを形成させる事の出来る添加剤などを含んでも良い。
さて本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、上記のように繊維を構成するポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位で構成されたポリエステル繊維からなり、マルチフィラメントを構成する各構成単糸の繊維軸に直交する断面形状が中空コアー部を有することが必要である。さらには中空コアー―部が繊維軸に対して直交する断面が四角中空であるコアー部であることが好ましい。さらにこのコアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し、かつ該コアー部の長さ方向に沿って延在する複数枚のフィン部を有することを必須とする。ここでフィンの数としては6〜18本、特に好ましくは8〜12本の範囲であることが好ましい。またマルチフィラメントを構成する単糸の本数としては6本〜600本の範囲であることが好ましく、特には12〜360本の範囲にあることが好ましい。工業的に装置を設計しやすい見地からは、フィンの数としては8の倍数であることや、マルチフィラメントを構成する単糸の数としては12の倍数であることが好ましい。フィンの数を増やし過ぎると目的とする軽量感が損なわれるため、単糸繊度を4〜20dtex程度とし、フィンの数を適度に抑えることが好ましい。
特に好ましい単糸の断面形状としては、図1に示されているような、繊維軸に対して直交する断面が四角中空であるコアー部と、該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し且つ該コアー部の長さ方向に沿って延在する8枚のフィン部とからなる形状であることが好ましい。このようにコアー部の中空部分の形状を、丸形中空ではなく四角中空とすることで、図3に示されているような紡糸口金各吐出スリットでの吐出ポリマー同士のより高い貼り合せ性を得ることでき、安定して目的の単糸断面形状をえることができる。
コアー部中空部分の形状は丸形中空であっても良いが、その製造時の口金形状が丸型とした場合、紡糸時での貼り合せ不良による単糸断面変形が多発しやすく、断糸による工程通過性が低下する傾向にある。また該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し且つ該コアー部の長さ方向に沿って延在するフィン部を有する形状にすることでマルチフィラメント状態での単糸間の干渉による高い体積排除効果をえることができ、高い空隙形成率を得ることができるのである。
また、単糸数は好ましくは6本以上のマルチフィラメントであることが好ましく、さらには8〜500本、特には12〜250本の単糸から構成されていることが好ましい。このような本発明のマルチフィラメントはフィンを取り付けた事による体積排除効果がより有効に作用し、十分な嵩高さを得ることが可能となる。
さらに本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、各構成単糸の断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%であることが必要である。さらには単糸空隙率は5〜30%の範囲であることが好ましく、特には14〜28%であることが好ましい。
このように若干単糸空隙率の値を低く抑えることにより、高強力の物性と嵩高性を両立させることができるようになったのである。なおここで単糸空隙率とは繊維軸に直交する繊維断面において、複数枚のフィン部先端を結んだ囲まれた領域内にn存在する繊維を構成する高分子以外の空隙が占める割合である。なおこの領域の面積は電子顕微鏡写真から容易に得ることができ、繊維を構成する高分子の横断面にしめる面積は繊度(dtex)と高分子の密度から計算した値を用いることができる。
また本発明の高強力中空マルチフィラメントは、このマルチフィラメントの断面において、マルチフィラメント横断面の最外周面積に占めるマルチフィラメント空隙率が30〜70%であることが好ましい。特には40〜60%の範囲であることが好ましい。ここでマルチフィラメント空隙率は、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面写真から、写真画像のポリエステルマルチフィラメント糸の外周部分を線で結びその内側の面積を総面積として、ポリマーの占める面積を除いた空隙面積の比率を求めたものである。
この高強力中空マルチフィラメントの強度としては6.0cN/dtex以上であることが必要である。さらには6.0〜8.0cN/dtexの範囲であることが好ましい。このように高強力と高中空を両立させることは極めて困難であり、本発明では後に述べる高強力中空マルチフィラメントの製造方法により始めて得られたのである。
またこの高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの物性としては強力と伸度から計算されるシルクファクターの値が18以上であることが好ましい。さらには18〜21の範囲であることが好ましい。ここでシルクファクターとは、強度の値に、伸度の平方根の値を乗じて得られる数値である。
マルチフィラメントの総繊度としては100〜1700dtexであることが好ましく、560〜1670dtexの範囲であることがさらに好ましい。またマルチフィラメントを構成する単糸の繊度としては4〜20dtexの範囲であることが好ましく、特には8〜15dtexの範囲であることが好ましい。
さらに本発明の高強力中空マルチフィラメントは、そのポリマー成分中にカーボンブラックを0.1重量%以上含有することが好ましい。さらには0.1〜2重量%、特には0.2〜1重量%のカーボンブラックを含有することが好ましい。このようにカーボンブラックを含有することにより耐光性を向上させることが可能となる。
また、さらにはポリマー成分中にベンゾトリアゾールを0.5重量%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.5〜5重量%、特には0.2〜1重量%のベンゾトリアゾールを含有することが好ましい。特にカーボンブラックとベンゾトリアゾールを併用することで、より高い耐光性を確保することが可能となる。
さて、このような本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、もう一つの本発明である高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法にて得ることができる。すなわち、ポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位であるポリマーを口金から溶融吐出し、延伸する高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法であって、複数の口金から吐出したポリマーが接合して、中空のコアー部とそのコアー部の表面からコアー部中心点に対し放射状に突出した複数枚のフィンを有する単糸断面とし、口金から吐出直後に加熱紡糸筒を通過させて200〜800m/分で一旦巻き取りまたは巻き取ることなく、引き続き延伸することにより、その単糸断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%となるようにする製造方法である。
ここで紡糸に用いる口金の形状としては、中空部を形作る複数の円弧部分と、放射状に突出したフィン部となる部分とから構成されたものであることが好ましい。さらに円弧の切れ目の部分付近にフィン部の根本が位置することが好ましい。このような配置とすることによって、各吐出部分の端部が接着しやすくなるばかり、中空が潰れることを抑制することが可能となる。また円弧の中心部分付近にフィン部の根本が位置することが好ましい。このようにすることにより円弧の中心部分が角を持ちやすくなり、例えば4つの円弧部と8本のフィン部を有する口金を使用した場合には容易に四角形状の中空部を得ることが可能となる。
さらにこの本発明の製造方法では、紡糸口金から吐出した繊維を加熱紡糸筒を使って遅延冷却させることが重要である。より具体的な加熱紡糸筒としては、温度範囲が300〜400℃であることが好ましい。また加熱紡糸筒の長さは紡糸速度とも関係するのであるが、紡糸速度が200〜800m/分の場合、長さとしては40〜200mmの範囲であることが好ましい。なお紡糸速度としては400〜550m/分の範囲であることがさらに好ましい。
また繊維の強力を発現させるためには延伸することが必要であり、強力と中空率のバランスから延伸倍率としては2.0倍以上が好ましく、特には5.0〜6.0倍の範囲であることが好ましい。
このようにして得られる本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、高強力であるにも関わらず、繊維横断面中に空隙が多く形成させることができ、その結果繊維の見かけ比重が下がったマルチフィラメントとなる。例えばこの本発明の高強力中空マルチフィラメントを用いてロープやネットとした場合、適度な嵩や太さが有り取扱い易い製品を得ることが可能となった。高強力繊維を用いた場合、ロープやネットが細くなりすぎて視認性が低下する場合や、人に接する部分において切傷を生じるなどの問題があった。本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは嵩高とすることによりこれらの問題を有効に解消しうるのである。
また本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、海苔の養殖用ネットなどにも有効に適用される。繊維の表面積が増え、よりその有効性が向上するのである。さらにはこの表面積の向上効果は接着性の向上にも寄与するため、各種のゴムや樹脂に対する補強用の繊維としても有効である。
この本発明の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントは、産業資材用ロープ、土木作業シート、ネット、漁網等の幅広い分野に最適に使用することができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で求めた。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用して35℃で測定した。
(3)マルチフィラメント空隙率(%)
マルチフィラメント空隙率は、まず最初に紡糸捲取したポリエステルマルチフィラメントのセクションを切り、繊維横断面写真(560倍以上35000倍以下)をSEMにより撮影し、写真画像のポリエステルマルチフィラメント糸の外周部分を線(図2の破線部分)で結びその内面積を面積Cとした。
またポリエステルマルチフィラメント糸を構成する各単糸の、繊維軸に直交する横断面のポリマー部面積を面積Bとした。なおこの面積は、上記の単糸空隙率と同じく、繊度とポリマー密度から求めた断面積を使用した。ポリエステルマルチフィラメントを構成する単糸の数をNとした。
そして以下の式により、マルチフィラメント空隙率を求めた。測定は5箇所の繊維断面から計算を行い、その平均値をもってマルチフィラメント空隙率(%)とした。
マルチフィラメント空隙率(%)=((C−N×B)/C)×100
B;単糸繊維軸に直交する断面ポリマー部面積
C;マルチフィラメント糸横断面最外周面積
N;マルチフィラメント糸に含まれる単糸数
(4)強度保持率
耐候試験機(岩崎電気株式会社製「アイスーパーUVテスター」)を使用し、UV照射前後での引張試験機にて測定した強力(N)の保持率を強力保持率(%)とした。なお耐候試験は、UV照射時間10時間、温度63℃、湿度50%の条件下で行った。
強力保持率(%)=UV照射強力(N)/UV照射強力(N)×100%
[実施例1]
固有粘度が1.02のポリエチレンテレフタレートを300℃で溶融し、図3に示す吐出孔を12個有する紡糸口金より吐出した。吐出された糸条は、口金下で長さ100mm、温度350℃の加熱紡糸筒にて加熱、その後冷却しオイリングローラーにてオイル付与し500m/分の速度にて巻き取った。得られた部分的未延伸糸を温度90℃〜120℃で3.0倍に延伸し、次いで温度200℃で熱セットを施し130dtex、強度6.2cN/dtexの中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率10%、マルチフィラメント空隙率51%得られた。中空形状は四角であった。このポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様に紡糸口金より吐出し、加熱紡糸筒の口金下長さを100mmから45mmに短くし、温度を300℃にした以外は実施例1と同様にして中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。強度が5.6cN/dtexと低くまた、シルクファクターが16と低いものとなった。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率2%、マルチフィラメント空隙率も32%と低いものであり、大きな軽量化率が確認できなかった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
実施例1と同様に紡糸口金より吐出し、加熱紡糸筒の口金下長さを100mmから300mmに長くし、温度を300℃にした以外は実施例1と同様にして中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。強度が5.0cN/dtexと低いものとなった。得られたマルチフィラメントの軽量感は単糸空隙率5%、マルチフィラメント空隙率も35%と低いものであり、大きな軽量化率が確認できなかった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例2]
固有粘度が1.05に高めたポリエチレンテレフタレートを用い、そのポリエチレンテレフタレートに対し、カーボンブラックを20%含有した原着ポリエステルマスターチップを4%、ベンゾトリアゾールを10%含有したチップを30%添加し、305℃で溶融させて、図3に示す吐出孔を12個有する紡糸口金より吐出した。吐出された糸条は、口金下の加熱紡糸筒で長さ45mm、温度305℃で加熱、その後冷却しオイリングローラーにてオイル付与し500m/分の速度にて巻き取った。得られた未延伸糸を温度90℃〜120℃で5.3倍に延伸し、次いで温度180℃で熱セットを施し130dtex、強度6.6cN/dtexの中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られた繊維の軽量感は単糸空隙率34%、マルチフィラメント空隙率53%のものが得られた。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
使用ポリマーとしてベンゾトリアゾールを10%含有したチップを30%添加から10%添加に変更した以外は、実施例2と同様にして、中空ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの軽量感は中空率34%、空隙率45%のものが得られた。また、強度が6.8cN/dtexと産業用繊維としては十分な物性であった。得られたポリエステルマルチフィラメントの評価結果を表1に併せて示す。
Figure 0006304750
A;単糸繊維中空部
B;単糸繊維横断面ポリマー部
C;マルチフィラメント糸横断面最外周面積

Claims (6)

  1. 繊維を構成するポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位で構成されたポリエステル繊維からなり、下記要件を満足することを特徴とする高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
    a)構成単糸の繊維軸に直交する断面形状が中空コアー部を有すること。
    b)該コアー部外表面からコアー部中心点に対して放射状に突出し、かつ該コアー部の長さ方向に沿って延在する複数枚のフィン部を有すること。
    c)構成単糸の断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%であること。
    d)繊維の強度が6.0cN/dtex以上であること。
  2. マルチフィラメントの断面において、マルチフィラメント横断面の最外周面積に占める
    マルチフィラメント空隙率が30〜70%である請求項1記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
  3. ポリマー成分中にカーボンブラックを0.1重量%以上含有する請求項1または2記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
  4. ポリマー成分中にベンゾトリアゾールを0.5重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメント。
  5. ポリマー成分の少なくとも90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位であるポリマーを口金から溶融吐出し、延伸する高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法であって、
    複数の口金から吐出したポリマーが接合して、中空のコアー部とそのコアー部の表面からコアー部中心点に対し放射状に突出した複数枚のフィンを有する単糸断面とし、口金から吐出直後に加熱紡糸筒を通過させて、200〜800m/分で一旦巻き取りまたは巻き取ることなく、引き続き延伸することにより、その単糸断面において、複数枚のフィン部先端で囲まれた領域内に存在する単糸空隙率が4〜40%となるようにすることを特徴とする高強力中空ポリエステルマルチフィラメントの製造方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の高強力中空ポリエステルマルチフィラメントからなる繊維製品。
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