JP6304224B2 - 小型アンテナ及び計算装置 - Google Patents

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    • H01Q7/005Loop antennas with a substantially uniform current distribution around the loop and having a directional radiation pattern in a plane perpendicular to the plane of the loop with variable reactance for tuning the antenna

Description

本発明は、変形折り返しダイポールアンテナを小型化することができる小型アンテナ及び計算装置に関する。
特許文献1には、線路からなる導体でダイポールアンテナを構成する第1の素子と、絶縁体を挟んで第1の素子に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子とを備えた変形折り返しダイポールアンテナが記載されている。この変形折り返しダイポールアンテナでは、第1の素子の先端と第2の素子の先端を接続し、更に、第1の素子と第2の素子を折り曲げている。この変形折り返しダイポールアンテナをさらに小型化した小型アンテナとして、特許文献2に記載された小型アンテナが知られている。この小型アンテナでは、変形折り返しダイポールアンテナのエレメントの直線部分の一部を、インダクタンス形状(クランク形状や先端にいくほど形状幅が小さくなる形状、例えば、三角形や半楕円の形状)となるように構成した。
一方、変形折り返しダイポールアンテナのリターンロスを改善したアンテナとして、特許文献3に記載された構成が知られている。この構成では、変形折り返しダイポールアンテナの素子の線幅を調整することにより、インピーダンスを調整して、リターンロスを改善している。
特開2005−260567号公報 特開2015−76678号公報 特開2011−130411号公報
リターンロスを改善した変形折り返しダイポールアンテナ(特許文献3参照)は、小型化が困難であるという問題がある。一方、直線部分の一部をインダクタンス形状にして、小型化したダイポールアンテナ(特許文献2参照)は、特許文献3の構成を適用しても、リターンロスを良好に改善することが困難であるという問題がある。
本発明の目的は、小型化を図ることができると共に、リターンロスを向上させることができる小型アンテナ及び計算装置を提供することにある。
請求項1の発明は、線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、
線路(26)と広い導体(73)からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、
前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34、40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっており、
前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が同一方向の共振モードAの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が逆方向の共振モードBの共振周波数Fb0との関係を、
共振モードAの共振周波数Fa0が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲か、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲に入るように、給電点からインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が設定されている。
請求項21の発明は、線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、線路と広い導体からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34,40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっている小型アンテナについて、前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が同一方向の共振モードAの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が逆方向の共振モードBの共振周波数Fb0とを入力して、前記小型アンテナのアドミッタンスYab、インピーダンスZab、反射係数Γab、または、リターンロスRLabを計算するアンテナ設計用の計算装置である。
請求項24の発明は、線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、線路と広い導体からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34,40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっている小型アンテナについて、1つの共振周波数を入力して、もう1つの共振周波数F2a、F2b、または、アンテナ形状を計算するアンテナ設計用の計算装置である。
請求項27の発明は、線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の片方の端部が給電点である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備え、前記第1の素子(23)と前記第2の素子(24)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造を有するインダクタンス形状、または、らせん構造を有するインダクタンス形状になっており、前記第1の素子(23)に流れる電流方向と前記第2の素子(24)に流れる電流方向が同一方向の共振モードの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23)に流れる電流方向と前記第2の素子(24)に流れる電流方向が逆方向の共振モードの共振周波数Fb0が離れるように、前記第1の素子(23)及び前記第2の素子(24)の中心からインダクタンス形状(34、40)までの長さを設定し、前記第1の素子(23)または前記第2の素子(24)の線路のうちの前記インダクタンス形状(34、40)以外の線路の少なくとも一部の線路幅が、前記インダクタンス形状(34、40)の線路の線路幅よりも広くなるように構成されている。
本発明の第1実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図、(d)はインダクタンス形状の拡大図 周波数と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 従来構成(その1)を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図 従来構成(その2)を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図 共振周波数とエレメント長との関係を示す特性図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 共振波長と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 インピーダンスチャートを示す図 本発明を説明する構成(その1)を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 規格化周波数とFa0/Fb0との関係を示す特性図 インピーダンスZaのスミスチャート インピーダンスZbのスミスチャート インピーダンスのシミュレーション結果を示すスミスチャート 各周波数及び各定数を表にして示す図 シミュレーション結果と計算結果を比較するスミスチャート シミュレーション結果と計算結果を比較するものであって、リターンロスと周波数との関係を示す特性図 シミュレーション結果と計算結果を比較するスミスチャート シミュレーション結果と計算結果を比較するものであって、リターンロスと周波数との関係を示す特性図 本発明の第2実施形態を示すもので、周波数と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 本発明の第3実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しモノポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しモノポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しモノポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図 周波数と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 共振波長と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 本発明の第4実施形態を示すもので、周波数と長さ(Lm+S)との関係を示す特性図 本発明の第5実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図、(d)はインダクタンス形状の拡大図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 インピーダンスチャートを示す図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 本発明の第6実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図、(d)はインダクタンス形状の拡大図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 本発明の第7実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの縦断側面図、(c)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図、(d)はインダクタンス形状の拡大図 リターンロスと周波数との関係を示す特性図 本発明の第8実施形態を示すもので、(a)は変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図、(b)は変形折り返しダイポールアンテナの第2の素子側の構成を示す図 本発明の第9実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第10実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第11実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第12実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第13実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第14実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第15実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第16実施形態を示すインダクタンス形状の拡大図 本発明の第17実施形態を示すもので、変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図 本発明の第18実施形態を示すもので、変形折り返しダイポールアンテナの第1の素子側の構成を示す図 本発明の第19実施形態を示す計算装置のブロック図 計算制御のフローチャート リターンロスと周波数との関係を示す特性図 スミスチャート 本発明の第20実施形態を示す計算装置のブロック図 計算制御のフローチャート 共振周波数と半楕円形状の個数との関係を示す特性図 長さ(Lm+S)と半楕円形状の個数との関係を示す特性図
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図20を参照して説明する。本発明は、特許文献2に記載された変形折り返しダイポールアンテナを改良することにより、リターンロスを改善したものである。まず、本発明者による発明の過程について説明する。
図4に、特許文献2の変形折り返しダイポールアンテナ1を示す。この変形折り返しダイポールアンテナ1は、誘電体の基板2(図4(b)参照)の一方の面に導体パターン(線路からなる導体)で形成された第1の素子3と、誘電体の基板2の他方の面に導体パターンで形成された第2の素子4と、第1の素子3と第2の素子4を短絡する短絡素子5とを備える。
第1の素子3は、図4(a)に示すように、アンテナ幅方向中心面Cに対して対称となっている第1L字部6及び第2L字部7を有し、これらL字部6、7の各長辺部の先端部にはインダクタンス形状8、9が設けられている。L字部6、7の各短辺部の先端部の対向する部位に、給電点10が設けられている。第2の素子4は、図4(c)に示すように、第1の素子3とほぼ同形状に形成されており、一対の対向辺部11、12と、これら対向辺部11、12の一端を連結する連結辺部13とを有している、対向辺部11、12の各他端部にはインダクタンス形状14、15が設けられている。短絡素子5は、第1の素子3のL字部6、7の各先端部と、第2の素子4の対向辺部11、12の各他端部の先端とを接続するスルーホール16(図4(b)参照)を備えている。
また、図3には、第1の素子3のL字部6、7と、第2の素子4の対向辺部11、12とに、インダクタンス形状8、9、14、15を設けないように構成した変形折り返しダイポールアンテナ17を示す。
このような構成の変形折り返しダイポールアンテナ1、17においては、第1の素子3と第2の素子4とに流れる電流の方向が同一方向である共振モード(共振モードAと称する)と、第1の素子3と第2の素子4とに流れる電流の方向が逆方向である共振モード(共振モードBと称する)とがある。ここで、第1の素子3及び第2の素子4の長辺部(即ち、L字部6、7の長辺部、対向辺部11、12の長辺部)の長さをLとし、Lを変化させたときの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0の変化をシミュレーションした結果を、図5に示す。図5においては、横軸をL(エレメント長)とし、縦軸を共振周波数としている。
図5において、曲線P1は、変形折り返しダイポールアンテナ17(図3参照)の共振モードAの共振周波数Fa0の変化を示し、曲線P2は、変形折り返しダイポールアンテナ12の共振モードBの共振周波数Fb0の変化を示す。そして、曲線P3は、変形折り返しダイポールアンテナ1(図4参照)の共振モードAの共振周波数Fa0の変化を示し、曲線P4は、変形折り返しダイポールアンテナ1の共振モードBの共振周波数Fb0の変化を示す。
上記図5のグラフから、第1の素子3及び第2の素子4の線路の一部をインダクタンス形状8、9、14、15に変更することにより、次の2つの変化が発生することがわかる。第1の変化は、2つの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0が低くなることである。第2の変化は、2つの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0が接近し、一致する場合も発生することである。
特許文献2に記載された変形折り返しダイポールアンテナ1は、第1の変化の作用効果に着目してなされたものである。これに対して、第2の変化が起こると、2つの共振周波数Fa0、Fb0がほぼ一致してしまい、2つの共振モードが影響し合うようになり、リターンロスが大きくなることがわかった。そこで、本発明者は、第1の素子3及び第2の素子4の線路の一部をインダクタンス形状8、9、14、15に変更した構成としながら、2つの共振周波数Fa0、Fb0を離間させる構成を発明することにより、リターンロスの改善を試みた。
具体的には、まず、図4(a)に示すように、第1の素子3(及び第2の素子4)のL字部6の短辺部の長さをSとし、L字部6の長辺部のうちのインダクタンス8を除く部分の長さをLmとし、長さ(Lm+S)を変化させることにより、2つの共振モードA、Bの2つの波長λa、λbを離間させ、これにより、2つの共振モードA、Bの2つの共振周波数Fa0、Fb0を離間させる構成を発明した。以下、この発明について、具体的に説明する。
図6は、L字部6、7、11、12の長辺部の長さLmを例えば5mm、10mm、15mm、20mm、24mm、29mmと変化させたときに、リターンロスの変化をシミュレーションして求めた結果を示す図である。この図6においては、横軸を周波数とし、縦軸をリターンロスとしている。そして、図6において、曲線B1は、長さLmが5mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B2は、長さLmが10mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B3は、長さLmが15mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B4は、長さLmが20mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B5は、長さLmが24mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B6は、長さLmが29mmであるときのリターンロスの変化を示す。
上記図6から、第1の現象として、長さLmを長くすると共に、共振周波数(即ち、リターンロスが落ち込む周波数)は低くなることがわかる。また、第2の現象として、長さLmを長くすると、リターンロスが良くなる場合と悪くなる場合があることがわかる。
まず、第1の現象を掘り下げることにより、L字部6、7、11、12の長辺部の長さLmから2つの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0を計算式で求められることと、第1の素子3と第2の素子4を接続する短絡素子5の有無で共振モードBの共振周波数Fb0が変化することとを発見した。以下、これについて、具体的に説明する。
図7は、第1の素子3及び第2の素子4の長さ(Lm+S)を変化させたときの共振モードA、Bの波長λa、λbの変化をシミュレーションして求めた結果を示す図である。図7においては、横軸を長さ(Lm+S)とし、縦軸を共振時の波長としている。図7において、直線Q1は共振モードAの波長λaの変化を示し、直線Q2は共振モードBの波長λbの変化を示す。また、2つの共振周波数Fa0、Fb0と、共振時の2つの波長λa、λbとの間には、次のような関係式が成立する。
λa=C/Fa0 (1)
λb=C/Fb0 (2)
但し、Cは光速である。
また、図7に示す2つの直線Q1、Q2を、式で表すと、次の2つの式となる。
λa=Ca1*(Lm+S)+Ca0 (3)
λb=Cb1*(Lm+S)+Cb0 (4)
Fa0=C/λa (5)
Fb0=C/λb (6)
但し、Ca1は直線Q1の傾き(λaの比例定数)、Ca0は直線Q1の切片(λaの定数)、Cb1は直線Q2の傾き(λbの比例定数)、Cb0は直線Q2の切片(λbの定数)である。
(1)式、(2)式、(3)式、(4)式より、第1の素子3及び第2の素子4の長さ(Lm+S)から2つの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0を計算式で求められることがわかる。
また、本発明者は、第1の素子3と第2の素子4を接続する短絡素子5を設けないように構成(短絡素子無しの構成)することにより、または、短絡素子5を設けるが、その短絡素子5の位置を調整することにより、共振周波数Fb0を変化させ、これにより、共振周波数Fa0と共振周波数Fb0を離間させる(Fa0≠Fb0)構成を発明した。
まず、図8及び図9を参照して、短絡素子5の有無により、共振モードBの共振周波数Fb0が変化することを説明する。L字部6、7、11、12の長辺部の長さLmが例えば15mmである構成において、短絡素子5の有無で、共振モードBの共振周波数Fb0が変化することを、図8のリターンロスのグラフと、図9のインピーダンスチャートに示す。
図8は、周波数とリターンロスとの関係を示すグラフであり、横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。この図8において、曲線R1は、短絡素子5有りの構成、即ち、図4に示す変形折り返しダイポールアンテナ1のリターンロスの変化を示す。また、図8において、曲線R2は、短絡素子5無しの構成、即ち、図4に示す変形折り返しダイポールアンテナ1から短絡素子5を無くした構成のリターンロスの変化を示す。図8から、短絡素子5が有る構成の場合、共振周波数Fa0と、共振周波数Fb0がほぼ一致し、更に、リターンロスが大きいことがわかる。これに対して、短絡素子5が無い構成の場合、共振周波数Fb0が変化して、共振周波数Fa0と共振周波数Fb0が離間し(即ち、Fa0≠Fb0)、更に、共振周波数Fa0のリターンロスが小さくなっていることがわかる。
また、図9は、インピーダンスチャートであり、この図9において、曲線T1は、短絡素子5有りの構成、即ち、図4に示す変形折り返しダイポールアンテナ1のインピーダンスチャートを示す。また、図9において、2つの曲線T21、T22は、短絡素子5無しの構成、即ち、図4に示す変形折り返しダイポールアンテナ1から短絡素子5を無くした構成のインピーダンスチャートを示す。図9から、短絡素子5が有る構成の場合、共振周波数Fa0と、共振周波数Fb0がほぼ一致することがわかる。これに対して、短絡素子5が無い構成の場合、共振周波数Fa0と、共振周波数Fb0が離間(即ち、Fa0≠Fb0)することがわかる。
尚、短絡素子5の有無により上述したように共振周波数Fb0が変化する理由は、短絡素子の有無によって、式(4)中のCb1(λbの比例定数)とCb0(λbの定数)が変化するためである。
更に、図4、図10及び図11を参照して、短絡素子5の位置を変更することにより、共振モードBの共振周波数Fb0が変化することを説明する。図4の変形折り返しダイポールアンテナ1においては、短絡素子5の位置を、インダクタンス部8の端、即ち、L字部6の長辺部の先端部付近に配置している。これに対して、図10の変形折り返しダイポールアンテナ1においては、短絡素子5の位置P2を、インダクタンス部8の例えば8個の半楕円形状部16の中央部(例えば4個目)に配置している。尚、L字部6、7、11、12の長辺部の長さLmが例えば15mmの構成についてシミュレーションした結果から、図11のグラフを得た。
図11は、周波数とリターンロスとの関係を示すグラフであり、横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。この図11において、曲線U1は、短絡素子5の位置が端である構成、即ち、図4に示す変形折り返しダイポールアンテナ1のリターンロスの変化を示す。また、図11において、曲線U2は、短絡素子5の位置が中央部である構成、即ち、図10に示す変形折り返しダイポールアンテナ1のリターンロスの変化を示す。図11から、短絡素子5の位置を端から中央部に変更することにより、共振周波数Fb0が変化して、2つの共振周波数Fa0、Fb0が離間(Fa0≠Fb0)し、更に、共振周波数Fa0、Fb0のリターンロスが十分小さくなっていることがわかる。尚、短絡素子5の位置を変更するにより上述したように共振モードBの共振周波数Fb0が変化する理由は、短絡素子5の位置によって式(4)中のCb1(λbの比例定数)とCb0(λbの定数)が変化するためである。
次に、前記第2の現象、即ち、長さLmを長くすると、リターンロスが良くなる場合と悪くなる場合があるという現象について、2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)と、リターンロスが−6dB以下となる規格化周波数とに着目して確認してみた。
図12は、2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)と、リターンロスが−6dB以下となる規格化周波数との関係を示すグラフである。図12においては、横軸を2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)とし、縦軸をリターンロスが−6dB以下となる規格化周波数としている。この場合、2つの共振周波数Fa0、Fb0としては、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)より求めた値を用い、リターンロスが−6dB以下となる規格化周波数としては、図6のリターンロスのグラフから求めた値を用いた。
尚、規格化周波数は、リターンロスが−6dBとなる周波数Fmを、リターンロスが−6dB以下の区間で極小値となる周波数Fsで規格化したFm/Fsである。なお、図6の曲線B5のようにリターンロスが−6dB以下の区間で極小値となる周波数Fsが2つある場合は、2つの極小値となる周波数Fs1,Fs2の平均値(Fs1+Fs2)/2を極小値となる周波数Fsとする。
上記図12のグラフから、2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)に応じて規格化周波数が変化し、リターンロスが劣化する領域(劣化領域と称す)とリターンロスが改善する領域(改善領域と称す)とがあることがわかる。劣化領域では、規格化周波数の点(範囲)がなくなり、比(Fa0/Fb0)は1となる。改善領域では、比(Fa0/Fb0)は0.90〜0.96の範囲または1.04〜1.10の範囲となる。劣化領域の範囲内においては、リターンロスが劣化しているので、この劣化領域の範囲内に入らないように2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)を設定する必要がある。
次に、上記した劣化領域の範囲を設定するために、リターンロスを計算する計算式を導出する処理と、導出した計算式に基づいて劣化領域の範囲を設定する処理とについて説明する。
まず、リターンロスの計算式を導出する手順を説明する。
図13は、共振モードAのインピーダンスZaをスミスチャート上にプロットしたイメージ図である。この図13において、Fa0は、共振モードAの共振周波数であり、リアクタンス値が0、抵抗値がRaとなっている。Fardは、共振モードAの低い反共振周波数であり、リアクタンス値が−∞となっている。Fardの周波数値は、無限小の周波数値であるが、下記計算式においては、1/Fardを計算するために、Fa0よりも十分小さい値、本実施形態では、例えば1MHzを用いている。
Fard=1(MHz) (7a)
Faruは、共振モードAの高い反共振周波数であり、リアクタンス値が∞となっている。Faruの周波数値は、ほぼFa0の周波数値の2倍となる。
Faru=2Fa0 (7b)
図13から、共振モードAのインピーダンスZaは、下記式で計算できる。
Za=Ra+jXa (10)
Raは、共振モードAの共振抵抗値(Ω)
Xaは、共振モードAのリアクタンス値(Ω)
jは虚数
Fard<F≦Fa0において、次の3式が成り立つ。
Xa=Kad(1−(F/Fa0))/(1−(F/Fard)) (11)
Kad=((Fa0(1−Δad)/Fard)−1)/(1−Δad)) (12)
Δad=(Fa0−Fad)/Fa0 (13)
Fはインピーダンスを求める周波数
Fardは共振モードAの低い反共振周波数 、リアクタンスは−∞
Fa0は共振モードAの共振周波数(MHz)、リアクタンスは0
Fadは共振モードAのリアクタンスが−1となる周波数
Kadは共振モードAの下の比例定数
Δadは共振モードAのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
また、Fa0≦F<Faruにおいて、次の3式が成り立つ。
Xa=Kau(1−(F/Fa0))/(1−(F/Faru)) (14)
Kau=((Fa0(1+Δau)/Faru)−1)/(1+Δau)) (15)
Δau=(Fau−Fa0)/Fa0 (16)
Fはインピーダンスを求める周波数
Faruは共振モードAの高い反共振周波数 、リアクタンスは∞
Fauは共振モードAのリアクタンスが1となる周波数
Kauは共振モードAの上の比例定数
Δauは共振モードAのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
また、図14は、共振モードBのインピーダンスZbをスミスチャート上にプロットしたイメージ図である。この図14において、Fb0は、共振モードBの共振周波数であり、リアクタンス値が0、抵抗値がRbとなっている。Fbrdは、共振モードBの低い反共振周波数であり、リアクタンス値が−∞となっている。Fbrdの周波数値は、図4に示す短絡素子5が有る構成の場合、ほぼFb0/2となり、短絡素子5が無い構成の場合、無限小の周波数値であるが、下記計算式では、1/Fbrdを計算するために、Fb0 よりも十分小さい値、本実施形態では、例えば1MHzを用いている。
短絡素子5が有る構成の場合
Fbrd =Fb0/2 (8a)
短絡素子5が無い構成の場合
Fbrd =1(MHz) (9a)
短絡素子5がなく、Fb03が共振モードBの3倍の高調波の共振周波数である場合、
Fbrd =2Fb03/3 (9c)
また、Fbruは、共振モードBの高い反共振周波数であり、リアクタンス値が∞となっている。Fbruの周波数値は、図4に示す短絡素子5が有る構成の場合、ほぼ3Fb0/2の周波数値となり、短絡素子5が無い構成の場合、ほぼ2Fb0の周波数値となる。
短絡素子5が有る構成の場合、
Fbru =3Fb0/2 (8b)
短絡素子5が無い構成の場合、
Fbru =2Fb0 (9b)
短絡素子5がなく、Fb03が共振モードBの3倍の高調波の共振周波数である場合、
Fbru =4Fb03/3 (9d)
次に、図14から、共振モードBのインピーダンスZbは、下記式で計算できることがわかる。
Zb=Rb+jXb (17)
Rbは、共振モードBの共振抵抗値(Ω)
Xbは、共振モードBのリアクタンス値(Ω)
jは虚数
Fbrd<F≦Fb0において、次の3式が成り立つ。
Xb=Kbd(1−(F/Fb0))/(1−(F/Fbrd)) (18)
Kbd=((Fb0(1−Δbd)/Fbrd)−1)/(1−(1−Δbd)) (19)
Δbd=(Fb0−Fbd)/Fb0 (20)
Fはインピーダンスを求める周波数
Fbrdは共振モードBの低い反共振周波数 、リアクタンスは−∞
Fb0は共振モードBの共振周波数(MHz)、リアクタンスは0
Fbdは共振モードBのリアクタンスが−1となる周波数
Kbdは共振モードBの下の比例定数
Δbdは共振モードBのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
また、Fb0≦F<Fbruにおいて、次の3式が成り立つ。
Xb=Kbu(1−(F/Fb0))/(1−(F/Fbru)) (21)
Kbu=(1−(Fb0(1+Δbu)/Fbru))/(1−(1+Δbu)) (22)
Δbu=(Fbu−Fb0)/Fb0 (23)
Fはインピーダンスを求める周波数
Fbruは共振モードBの高い反共振周波数 、リアクタンスは∞
Fbuは共振モードBのリアクタンスが1となる周波数
Kbuは共振モードBの上の比例定数
Δbuは共振モードBのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
そして、共振モードA、BのアドミッタンスYa、Ybは、下記式で計算できる。
Ya=1/Za=1/(Ra+jXa) (24)
Yb=1/Zb=1/(Rb+jXb) (25)
また、共振モードA、Bの合成されたアドミッタンスYab、反射係数Γab、リターンロスRLabは、下記式で計算できる。
Yab=Ya+Yb=1/(Ra+jXa)+1/(Rb+jXb)
=(Ra−jXa)/(Ra+Xa)+(Rb−jXb)
/(Rb+Xb
=Ra/(Ra+Xa)+Rb/(Rb+Xb
−j(Xa/(Ra+Xa)+Xb/(Rb+Xb))
=Gab+jBab (26)
Γab=(Y0−Yab)/(Y0+Yab) (27)
RLab=20Log(|Γab|) (28)
Y0は、規格化アドッミタンス(1/Ω)、通常は、1/50
|Γab|は、Γabの絶対値
Gabは共振モードA、Bの合成コンダクタンス
Babは共振モードA、Bの合成サセプタンス
次に、上記式(26)を計算するために必要な各定数の求め方について説明する。
ΔadとΔauは、原理上ほぼ同じ値になることから、下記式のように平均値Δaを計算して用いる。
Δa =(Δau+Δad)/2 (29)
従って、KadとKauは、下記式のようになる。
Kad=((Fa0(1−Δa)/Fard)−1)/(1-(1-Δa)) (30)
Kau=(1−(Fa0(1+Δa)/Faru))/(1-(1+Δa)) (31)
ここで、Δa≪1であることから、
Kad=((Fa0/Fard)−1)/2/Δa (32)
Kau=(1−(Fa0/Faru))/2/(−Δa) (33)
同様にして、ΔbdとΔbuは、原理上ほぼ同じ値になることから、下記式のように平均値Δbを計算して用いる。
Δb=(Δbu+Δbd)/2 (34)
従って、KbdとKbuは、下記式のようになる。
Kbd=((Fb0(1−Δb)/Fbrd)−1)/(1-(1-Δb)) (35)
Kbu=(1−(Fa0(1+Δb)/Fbru))/(1-(1+Δb)) (36)
ここで、Δb≪1であることから、
Kbd=((Fb0/Fbrd)−1)/2/Δb (37)
Kbu=(1−(Fb0/Fbru))/2/(−Δb) (38)
図15は、図4に示すアンテナにおいて、パラメータのSを6.2mm、Lmを29mmに設定した構成において、インピーダンスのシミュレーション結果に、各周波数のポイントを併記した図である。尚、図15において、Rabは、2つの共振モードA、Bの共振抵抗値(Ω)である。また、図16には、シミュレーション結果より求めたの値及び共振抵抗の値と、上記した計算式により算出した各定数Δa、Δbの算出結果とを表にして示す。
次に、上記したようにして求めた各周波数及び各定数を用いて、式(27)、(28)によって計算した計算結果と、シミュレーション結果とがほぼ一致していることを確認する。
図17及び図18は、図4に示すアンテナにおいて、パラメータのSを6.2mm、パラメータのLmを29mmと設定した構成において、インピーダンス及びリターンロスのシミュレーション結果と、式(27)、(28)によってインピーダンス及びリターンロスを計算した計算結果との比較を行った図である。
式(27)、(28)によって計算する場合、図16の表に記載された共振抵抗(Ra、Rb)及び各定数(Δa、Δb) の各値を使うと共に、2つの共振モードA、Bの共振周波数(Fa0 、Fb0 )、反共振周波数(Fard 、Faru、Fbrd、Fbru)の各値を使って計算する。尚、共振周波数(Fa0 、Fb0 )の各値は、式(5)、(6)を用いて求める。反共振周波数(Fard 、Faru、Fbrd、Fbru)の各値は、式(7a)、(7b)、(8a)、(8b)を用いて求める。
図17のスミスチャートにおいて、実線C1は計算結果を示し、破線C2はシミュレーション結果を示す。また、図18は、周波数とリターンロスとの関係を示す特性図であり、この図18において、実線C3は計算結果を示し、破線C4はシミュレーション結果を示す。図17のスミスチャート及び図18のリターンロスの特性図から、式(27)、(28)による計算結果と、シミュレーション結果とが良く一致していることがわかる。即ち、式(27)、(28)等が正しいことが証明された。
また、図19及び図20は、パラメータのLmを29mmから5mmに変更した構成において、インピーダンス及びリターンロスのシミュレーション結果と、式(27)、(28)によってインピーダンス及びリターンロスを計算した計算結果との比較を行った図である。この場合も、上記した図17及び図18の場合とほぼ同様にして行なう。
即ち、式(27)、(28)によって計算する場合、図16の表に記載された共振抵抗(Ra、Rb)及び各定数(Δa、Δb) の各値を使うと共に、2つの共振モードA、Bの共振周波数(Fa0 、Fb0 )、反共振周波数(Fard 、Faru、Fbrd、Fbru)の各値を使って計算する。尚、共振周波数(Fa0 、Fb0 )の各値は、式(5)、(6)を用いて求める。反共振周波数(Fard 、Faru、Fbrd、Fbru)の各値は、式(7a)、(7b)、(8a)、(8b)を用いて求める。
図19のスミスチャートにおいて、実線C5は計算結果を示し、破線C6はシミュレーション結果を示す。また、図20は、周波数とリターンロスとの関係を示す特性図であり、この図20において、実線C7は計算結果を示し、破線C8はシミュレーション結果を示す。図19のスミスチャート及び図20のリターンロスの特性図から、式(27)、(28)による計算結果と、シミュレーション結果とが良く一致していることがわかる。即ち、式(27)、(28)による計算が正しいことが証明された。
次に、前記した劣化領域の範囲を決定する方法について説明する。
まず、図15示す共振モードAの共振抵抗Raと、共振モードBの共振抵抗Rbと、2つの共振モードの共振抵抗Rabとの間には、次の2つの関係式が成り立つ。
Rab<Ra (39)
Rab<Rb (40)
これら式(39)、(40)において、抵抗値を逆数にすると、
1/Rab>1/Ra (41)
1/Rab>1/Rb (42)
となる。そして、1/Rabは、下記のようにして求められる。
(26)式より、
Ra/(Ra+Xa)+Rb/(Rb+Xb)=Gab=1/Rab
となることから、
1/Rab=Ra/(Ra+Xa)+Rb/(Rb+Xb) (43)
が得られる。よって、
Ra/(Ra+Xa)+Rb/(Rb+Xb)>1/Ra (44)
Ra/(Ra+Xa)+Rb/(Rb+Xb)>1/Rb (45)
となる。(44)式の両辺にRa(Ra+Xa)をかけると、
RaRb(Ra+Xa)/(Rb+Xb)>Xa (46)
RaRb(Ra+Xa)/Xa>(Rb+Xb) (47)
同様にして、(45)式の両辺にRa(Ra+Xa)をかけると、
RaRb(Rb+Xb)/Xb>(Ra+Xa) (48)
となる。(47)式と(48)式を掛け合わせると、
RaRb/Xa/Xb>1 (49)
RaRb>XaXb (50)
RaRb>XaXb (51)
となる。(14)式、(18)式を代入すると、
RaRb>│Kau(1−(F/Fa0))/(1−(F/Faru))│・
│Kbd(1−(F/Fb0))/(1−(F/Fbrd))│ (52)
となる。
次に、FとFa0、Fb0との関係を下記のように定義する。
F=Fa0(1+Δf)=Fb0(1−Δf) (53)
Δf=(Fb0−Fa0)/(Fa0+Fb0) (54)
(53)式を(52)式に代入し、劣化領域の範囲では、Δf≪1となっていることから、
RaRb>│Kau・2(−Δf)/(1−(F/Faru))│・
│Kbd・2Δf/(1−(Fb0/Fbrd))│ (55)
(55)式に(33)式、(37)式を代入すると、
RaRb>Δf/Δa/Δb (56)
Δf<RaRbΔaΔb (57)
−Δfm<Δf<Δfm (58)
ここで、Δfmは劣化範囲境界の周波数比であり、次の式が成り立つ。
Δfm=√(RaRbΔaΔb) (59)
(53)式より
Fa0/Fb0=(1−Δf)/(1+Δf) (60)
(58)式、(59)式、(60)式より、前記劣化領域の範囲は、
(1−Δfm)/(1+Δfm)<Fa0/Fb0 (61)
あるいは、
Fa0/Fb0<(1+Δfm)/(1−Δfm) (62)
となる。ここまでで、前記劣化領域の範囲を決定する算出方法を説明した。
次に、リターンロスを改善する方法について説明する。リターンロスを改善するためには、前記劣化領域の範囲の外、即ち、改善領域に入るように設定する必要がある。このため、(60)式、(61)式より求めた下記条件式を満足するリターンロスの改善領域の範囲内に、2つの共振周波数Fa0、Fb0の比(Fa0/Fb0)を設定する必要がある。
(1−Δfm)/(1+Δfm)>Fa0/Fb0 (63)
あるいは、
Fa0/Fb0>(1+Δfm)/(1−Δfm) (64)
となる。ここで、(63)式、(64)式中のFb0を移項すると、
((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0>Fa0 (65)
あるいは、
Fa0>((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0 (66)
となる。ここで、(65)式、(66)式中のΔfmの項を移項すると、
((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0<Fb0 (67)
あるいは、
Fb0<((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0 (68)
となる。
従って、2つの共振周波数Fa0、Fb0の関係を、(65)式、(66)式、または、(67)式、(68)式を満足するように、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式を用いて、第1の素子3または第2の素子4のインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)を調整する。これにより、リターンロスを改善することができる。
(第1実施形態)
次に、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の変形折り返しダイポールアンテナ21は、図1に示す構造を有する。この変形折り返しダイポールアンテナ21は、誘電体からなる平板状の基板22(図1(b)参照)の一方の面に導体パターン(即ち、線路からなる導体)で形成された第1の素子23と、基板2の他方の面に導体パターン(即ち、線路からなる導体)で形成された第2の素子24と、第1の素子23と第2の素子24を短絡する短絡素子70とを備える。基板22は、誘電体材料、例えばガラスエポキシ製の基板である。尚、基板22(誘電体)の厚さをt、基板22(誘電体)の比誘電率をε、基板22(誘電体)の誘電体損をtanδとする。
図1(a)に示すように、第1の素子23は、導体パターン(例えば銅箔パターン)により形成された給電側平行部25を備える。給電側平行部25は、アンテナ幅方向中心面(以下、幅方向中心面)Cに対して対称となっている2つのL字部、即ち、第1L字部26と第2L字部27とを備える。第1L字部26は、長辺部28と短辺部29を備える。長辺部28は、幅方向中心面Cに平行である。短辺部29は、長辺部28よりも短く、長辺部28の一端部(図1中左端部)に連結され、長辺部28から垂直に幅方向中心面C方向に突き出す。
第2L字部27も第1L字部26と同様の構成であり、長辺部30と短辺部31を備える。長辺部30は、第1L字部26の長辺部28と同じ長さおよび幅であり、幅方向中心面Cを挟んで長辺部28と対向する。短辺部31は、長辺部30よりも短く、長辺部30の一端部(図1中左端部)に連結されている。また、短辺部31は、長辺部30から垂直に幅方向中心面C方向に突き出す。短辺部31の幅および長さは、第1L字部26の短辺部29と同じである。
このように、第1L字部26と第2L字部27は、同じ形状をしており、互いの短辺部29、31が向かい合うように配置されている。そして、短辺部29、31の先端部が給電点32となっている。尚、前述の幅方向中心面Cは、基板22の面に垂直、且つ、第1L字部26の長辺部28および第2L字部27の長辺部30に平行な平面である。
また、第1L字部26、第2L字部27には、その一部に内側突き出し部33、33が形成されている。内側突き出し部33は、基板22の面内において、第1L字部26、第2L字部27によって囲われる内側方向に、それら第1L字部26、第2L字部27の長辺部28、30の直線部分から突き出している。内側突き出し部33が、インダクタンス形状34を構成している。
本実施形態における内側突き出し部33は、図1(d)に示すように、1つ1つは半楕円形状である。半楕円形状であることから、先端部の幅は、基部の長さ、すなわち2つの端点間の長さよりも短く、また、先端へ向かうほど連続的に幅が狭くなる。内側突き出し部33の個数は、第1L字部26の長辺部28、第2L字部27の長辺部30にそれぞれ例えば8個設けられている。この場合、一つのインダクタンス形状34を構成する内側突き出し部33の個数をNiとすると、本実施形態では、Ni=8である。内側突き出し部33の位置は、第1L字部26の長辺部28の先端部付近から短辺部29方向に連続して8個が配置されている。第2L字部27側も同様であり、第2L字部27の長辺部30の先端部付近から短辺部31方向に連続して8個が形成されている。
尚、連続とは、図1(d)に示すように、一つの内側突き出し部33の端部と、その内側突き出し部33に隣接している別の内側突き出し部33の端部とが共通していることをいう。また、本実施形態では、内側突き出し部33の両端部の位置は、長辺部28、30の下端部(または上端部)と同じ位置にある。内側突き出し部33は、一方(左方)の端の一つにおいて長辺部28、30の直線部分(導体パターン)から折れ曲がって内側に突き出し、先端部で折り返して、他方(右方)の端の一つで再び長辺部28、30の直線部分(導体パターン)に連結する。尚、図1(d)に示すように、内側突き出し部33の基部の幅をWi、高さをHi、線路幅をφiとする。また、インダクタンス形状34一つ分の内側突き出し部33の形成個数をNiとする。
このような構成の第1の素子23は、図1(a)に示すように、長辺部28、30の長手方向長さ(エレメント長)をL、長辺部28、30の長手方向長さのうちのインダクタンス形状34を除く部分の長さをLmとする。長辺部28、30の対向する距離(エレメント高さ)をHとする。長辺部28、30の線路幅は、内側突き出し部33の線路幅と同じであり、φiとする。短辺部29、31の長さをSとする。短辺部29、31の線路幅は、長辺部28、30の線路幅(即ち、内側突き出し部33の線路幅)と同じであり、φiとする。
また、第2の素子24は、図1(c)に示すように、導体パターン(例えば銅箔パターン)により形成された非給電側平行部35を備える。非給電側平行部35は、互いに対向して配置された一対の対向辺部36、37と、その一対の対向辺部36、37の一端を互いに連結する連結辺部38を備える。
対向辺部36、37は、互いに平行であり、長さおよび幅は互いに同一である。対向辺部36は、その長さが前述したL(エレメント長)になっており、基板22を介して、第1の素子23の第1L字部26の長辺部28と対向する。もう一方の対向辺部37も同様に、その長さがLになっている。この対向辺部37は、基板22を介して、第1の素子23の第2L字部27の長辺部30と対向する。尚、これら対向辺部36、37の線路幅は、第1の素子23の長辺部28、30の線路幅と同じであり、φiである。
連結辺部38は、2つの対向辺部36、37に対して垂直であり、その長さ(エレメント高さ)はH、線路幅は対向辺部36、37の線路幅と同じであり、φiである。この連結辺部38は、基板22を介して、第1の素子23の第1L字部26の短辺部29、第2L字部26の短辺部31と対向する。
対向辺部36、37には、対向辺部36、37、連結辺部38により囲まれる内側方向に突き出す内側突き出し部39、39が形成されている。この内側突き出し部39がインダクタンス形状40を構成している。内側突き出し部39は、本実施形態では、第1の素子23に形成されている内側突き出し部33と形状が同じであり、この内側突き出し部39も半楕円形状である。また、内側突き出し部39は大きさも内側突き出し部33と同じである。さらに、内側突き出し部39の個数も内側突き出し部33と同様であり、本実施形態では、8*2個が形成されており、それぞれ、内側突き出し部33と対向する位置に形成されている。
また、短絡素子70は、第1の素子23のL字部26、27の各先端部と、第2の素子24の対向辺部36、37の各他端部の先端とを接続するスルーホール71(図1(b)参照)を備えている。
さて、本実施形態においては、短辺部29、31の長さSを例えば6.2mmとし、長辺部28、30、36、37の長手方向長さのうちのインダクタンス形状34、40を除く部分の長さLmを例えば5、10、15、20、24、または、29mmとした。これにより、長さ(Lm+S)は、11.2、16.2、21.2、26.2、30.2、または35.2mmに設定した。このとき、Lmが5mmの場合は、短辺部29,31は、長辺部28,30よりも長くなっている。そして、全ての線路幅φiを例えば0.2mm、内側突き出し部33、39の高さHiを例えば6mm、基部の幅Wiを例えば0.6mm、誘電体の基板22の厚さtを0.8mmとした。また、基板22の比誘電率εを4.9、誘電体の誘電体損tanδを0.025とした。このような設定条件でシミュレーションした結果、リターンロスが改善しているアンテナは、図6または図12に示すように、長さ(Lm+S)が11.2、16.2、26.2、30.2、35.2mmのものであった。反対に、リターンロスが劣化しているアンテナは、図6または図12に示すように、長さ(Lm+S)が21.1mmのものであった。
図2は、長さ(Lm+S)と周波数の関係を示すグラフであり、この図2に基づいてリターンロスの改善領域と劣化領域を説明する。図2の横軸は長さ(Lm+S)であり、縦軸は周波数である。図2において、曲線D1は、共振モードAの共振周波数Fa0を示し、曲線D2は、共振モードBの共振周波数Fb0を示す。これらFa0及びFb0は、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式と長さ(Lm+S)とから求めた。尚、λaの比例定数Ca1、λaの定数Ca0、λbの比例定数Cb1、λbの定数Cb0としては、図7で求めた値を使用した。また、第1の素子23と第2の素子24とに流れる電流方向が同一方向の共振モードが共振モードAであり、電流方向が逆方向の共振モードが共振モードBである。
また、第1の素子23と第2の素子24を接続する短絡素子70の配設位置を変更すると、λbの比例定数Cb1とλbの定数Cb0の値が変化する。
図2において、曲線D3は、共振モードBの低い反共振周波数Fbrdを示し、曲線D4は、共振モードBの高い反共振周波数Fbruを示す。これらFbrd及びFbruは、(8a)式、(8b)式から求めた。
図2において、曲線D5は、Fb0((1−Δfm)/(1+Δfm))を示し、曲線D6は、Fb0((1+Δfm)/(1−Δfm))を示す。これらFb0((1−Δfm)/(1+Δfm))、Fb0((1+Δfm)/(1−Δfm))は、(65)式、(66)式から求めたものであり、劣化領域と改善領域を分ける境界である。曲線D5、D6は、Fb0の曲線D2よりわずかに下と上に位置する。尚、Δfmは、図16で求めた定数を用いて、(59)式で求めた。
リターンロスの改善領域は、(65)式、(66)式を満足する領域であり、
Fbru>Fa0>((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0 (69)
あるいは、
Fbrd<Fa0<((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0 (70)
の領域である。
上記改善領域を、図2の縦軸(即ち、周波数軸)で見ると、両矢印E1、E2で示す領域であり、図2の横軸(即ち、長さ(Lm+S)軸)で見ると、改善領域と記入している領域である。縦軸の両矢印E1、E2で示す領域は、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲と、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲とである。
横軸の改善領域は、共振モードAの共振周波数Fa0(即ち、曲線D1)が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0 (即ち、曲線D6)との交点から下の領域と、共振モードAの共振周波数Fa0(即ち、曲線D1)が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0(即ち、曲線D5)との交点から上の領域とである。
そして、上記改善領域内に、共振モードAの共振周波数Fa0が入るように、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
換言すると、共振モードAの共振周波数Fa0が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲か、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0 から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲内に入るように、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
図2において、○の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが改善しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が11.2、16.2、26.2、30.2、35.2mmの各アンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
また、図2において、×の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが劣化しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が21.2mmのアンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
図2から、計算式で求めた改善領域と、シミュレーション結果から判断した改善領域のFa0とFb0(即ち、○の記号の位置)が良く一致していることがわかる。そして、図2から、計算式で求めた劣化領域と、シミュレーション結果から判断した劣化領域のFa0とFb0(即ち、×の記号の位置)が良く一致していることがわかる。即ち、上述した計算式による計算結果が正しいことが証明された。
また、本実施形態においては、第1の素子23及び第2の素子24のうちのインダクタンス形状34、40以外の線路部に折れ曲がった部分を設けるように構成したので、変形折り返しダイポールアンテナ21のエレメント高さHを低くすることができる。
(第2実施形態)
図21は、本発明の第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第2実施形態の変形折り返しダイポールアンテナ21の具体的構成は、第1実施形態と同じである。第1実施形態では、リターンロスの改善領域と劣化領域を決定するに際して、共振モードBの低い反共振周波数Fbrdと高い反共振周波数Fbruに基づいて計算するように構成したが、第2実施形態では、共振モードAの低い反共振周波数Fardと高い反共振周波数Faruに基づいて計算するように構成した。以下、第2実施形態について、具体的に説明する。
図21は、長さ(Lm+S)と周波数の関係を示すグラフであり、この図21によって、リターンロスの改善領域と劣化領域を決定する計算方法について説明する。図21において、曲線D1は、共振モードAの共振周波数Fa0を示し、曲線D2は、共振モードBの共振周波数Fb0を示す。これらFa0及びFb0は、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式と長さ(Lm+S)とから求めた。尚、λaの比例定数Ca1、λaの定数Ca0、λbの比例定数Cb1、λbの定数Cb0としては、図7で求めた値を使用した。また、第1の素子23と第2の素子24を接続する短絡素子70の配設位置を変更すると、λbの比例定数Cb1とλbの定数Cb0の値が変化する。
図21において、曲線D41は、共振モードAの高い反共振周波数Faruを示す。尚、共振モードAの低い反共振周波数Fardは、図21には示されておらず、図21に示す領域の外にある。これらFard及びFaruは、(7a)式、(7b)式から求めた。
図2において、曲線D51は、Fa0((1−Δfm)/(1+Δfm))を示し、曲線D61は、Fa0((1+Δfm)/(1−Δfm))を示す。これらFa0((1−Δfm)/(1+Δfm))、Fa0((1+Δfm)/(1−Δfm))は、(67)式、(68)式から求めたものであり、劣化領域と改善領域を分ける境界である。曲線D51、D61、Fa0の曲線D1よりわずかに下と上に位置する。尚、Δfmは、図16で求めた定数を用いて、(59)式で求めた。
リターンロスの改善領域は、(67)式、(68)式を満足する領域であり、
Faru>Fb0>((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (71)
あるいは、
Fard<Fb0<((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0 (72)
の領域である。
上記改善領域を、図21の縦軸(即ち、周波数軸)で見ると、両矢印E11、E21で示す領域であり、図21の横軸(即ち、長さ(Lm+S)軸)で見ると、改善領域と記入している領域である。縦軸の両矢印E11、E21で示す領域は、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0から共振モードAの高い反共振周波数Faruまでの範囲と、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0から共振モードAの低い反共振周波数Fardまでの範囲とである。
横軸の改善領域は、共振モードBの共振周波数Fb0(即ち、曲線D2)が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (即ち、曲線D61)との交点から下の領域と、共振モードBの共振周波数Fb0(即ち、曲線D2)が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0(即ち、曲線D51)との交点から上の領域とである。
そして、上記改善領域内に、共振モードBの共振周波数Fb0が入るように、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
換言すると、共振モードBの共振周波数Fb0が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0から共振モードAの高い反共振周波数Faruまでの範囲か、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0から共振モードAの低い反共振周波数Fardまでの範囲内に入るように、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
図21において、○の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが改善しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が11.2、16.2、26.2、30.2、35.2mmの各アンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
そして、図21において、×の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが劣化しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が21.2mmのアンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
図21から、計算式で求めた改善領域と、シミュレーション結果から判断した改善領域のFa0とFb0(即ち、○の記号の位置)が良く一致していることがわかる。そして、図21から、計算式で求めた劣化領域と、シミュレーション結果から判断した劣化領域のFa0とFb0(即ち、×の記号の位置)が良く一致していることがわかる。即ち、計算式による計算結果が正しいことが証明された。
尚、上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第3実施形態)
図22、図23は、本発明の第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第3実施形態では、第1の素子72は、第1L字部26と、広い導体73とを備えている。広い導体73は、例えば高周波回路のグランドで構成されている。第1L字部26の短辺部29の先端部と、広い導体73との接続点が入力端子74となっている。
第2の素子75は、第1の素子72の第1L字部26と対向して配置され、且つ、第1L字部26とほぼ同じ形状のL字部76を備えている。L字部76は、長辺部28と短辺部29を備え、長辺部28に内側突き出し部39、即ち、インダクタンス形状40が設けられている。L字部76の短辺部29の先端部が入力端子77となっている。この構成の場合、入力端子74と入力端子77が給電点となっている。本実施形態の小型アンテナは、小型モノポールアンテナとして構成されている。
基板22は、誘電体からなる例えばプリント配線基板で構成されている。基板22の第2の素子75が配設された面に、高周波回路78が設けられている。また、第1の素子72と第2の素子75を短絡する短絡素子70は、第1の素子72のL字部26の先端部と、第2の素子75のL字部76の長辺部28の先端部とを接続するスルーホール71(図22(b)参照)を備えている。
本実施形態においては、第1の素子72の短辺部29の長さSを例えば6.2mmとし、長辺部28の長手方向長さのうちのインダクタンス形状34を除く部分の長さLmを例えば5、10、15、20、24、または、29mmとした。これにより、長さ(Lm+S)は、11.2、16.2、21.2、26.2、30.2、または35.2mmに設定した。そして、全ての線路幅φiを例えば0.2mm、内側突き出し部33の高さHiを例えば6mm、基部の幅Wiを例えば0.6mm、誘電体の基板22の厚さtを0.8mmとした。また、基板22の比誘電率εを4.9、誘電体の誘電体損tanδを0.025とした。このような設定条件でシミュレーションした結果、リターンロスが改善しているアンテナは、図24に示すように、長さ(Lm+S)が11.2、16.2mmのものであった。反対に、リターンロスが劣化しているアンテナは、図24に示すように、長さ(Lm+S)が21.1、26.2、30.2、35.2mmのものであった。
尚、図24は、長さLmを例えば5、10、15、20、24、29mmと変化させたときに、リターンロスの変化をシミュレーションして求めた結果を示す図である。この図24においては、横軸を周波数とし、縦軸をリターンロスとしている。そして、図24において、曲線B11は、長さLmが5mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B21は、長さLmが10mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B31は、長さLmが15mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B41は、長さLmが20mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B51は、長さLmが24mmであるときのリターンロスの変化を示す。曲線B61は、長さLmが29mmであるときのリターンロスの変化を示す。
また、図25は、第1の素子3及び第2の素子4の長さ(Lm+S)を変化させたときの共振モードA、Bの波長λa、λbの変化をシミュレーションして求めた結果を示す図である。図25においては、横軸を長さ(Lm+S)とし、縦軸を共振時の波長としている。図25において、直線Q11は共振モードAの波長λaの変化を示し、直線Q21は共振モードBの波長λbの変化を示す。また、2つの共振周波数Fa0、Fb0と、共振時の2つの波長λa、λbとの間には、次のような関係式が成立する。
λa=C/Fa0 (1)
λb=C/Fb0 (2)
但し、Cは光速である。
また、図25に示す2つの直線Q11、Q21を、式で表すと、次の2つの式となる。
λa=Ca11*(Lm+S)+Ca01 (3−1)
λb=Cb11*(Lm+S)+Cb01 (4−1)
Fa0=C/λa (5)
Fb0=C/λb (6)
但し、Ca11は直線Q11の傾き(λaの比例定数)、Ca0は直線Q11の切片(λaの定数)、Cb11は直線Q21の傾き(λbの比例定数)、Cb01は直線Q21の切片(λbの定数)である。
(1)、(2)、(3−1)、(4−1)式より、第1の素子73及び第2の素子75の長さ(Lm+S)から2つの共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0を計算式で求められることがわかる。
さて、図23は、長さ(Lm+S)と周波数の関係を示すグラフであり、この図23に基づいてリターンロスの改善領域と劣化領域を説明する。図23において、曲線D12は、共振モードAの共振周波数Fa0を示し、曲線D22は、共振モードBの共振周波数Fb0を示す。これらFa0及びFb0は、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式と長さ(Lm+S)とから求めた。尚、λaの比例定数Ca11、λaの定数Ca01、λbの比例定数Cb11、λbの定数Cb01としては、図25で求めた値を使用した。また、第1の素子72と第2の素子75とに流れる電流方向が同一方向の共振モードが共振モードAであり、電流方向が逆方向の共振モードが共振モードBである。
また、第1の素子72と第2の素子75を接続する短絡素子70の配設位置を変更すると、λbの比例定数Cb11とλbの定数Cb01の値が変化する。
図23において、曲線D32は、共振モードBの低い反共振周波数Fbrdを示し、曲線D42は、共振モードBの高い反共振周波数Fbruを示す。これらFbrd及びFbruは、(8a)式、(8b)式から求めた。
図23において、曲線D52は、Fb0((1−Δfm)/(1+Δfm))を示し、曲線D62は、Fb0((1+Δfm)/(1−Δfm))を示す。これらFb0((1−Δfm)/(1+Δfm))、Fb0((1+Δfm)/(1−Δfm))は、(65)式、(66)式から求めたものであり、劣化領域と改善領域を分ける境界である。曲線D52、D62は、Fb0の曲線D22よりわずかに下と上に位置する。尚、Δfmは、図16で求めた定数を用いて、(59)式で求めた。
リターンロスの改善領域は、(65)式、(66)式を満足する領域であり、
Fbru>Fa0>((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0 (69)
あるいは、
Fbrd<Fa0<((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0 (70)
の領域である。
上記改善領域を、図23の縦軸(即ち、周波数軸)で見ると、両矢印E12、E22で示す領域であり、図23の横軸(即ち、長さ(Lm+S)軸)で見ると、改善領域と記入している領域である。縦軸の両矢印E12、E22で示す領域は、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲と、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲とである。
横軸の改善領域は、共振モードAの共振周波数Fa0(即ち、曲線D12)が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0 (即ち、曲線D62)との交点から下の領域と、共振モードAの共振周波数Fa0(即ち、曲線D12)が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0(即ち、曲線D52)との交点から上の領域とである。
そして、上記改善領域内に、共振モードAの共振周波数Fa0が入るように、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
換言すると、共振モードAの共振周波数Fa0が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲か、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0 から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲内に入るように、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
図23において、○の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが改善しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が11.2、16.2mmの各アンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
また、図23において、×の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが劣化しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が21.2、26.2、30.2、35.2mmのアンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
図23から、計算式で求めた改善領域と、シミュレーション結果から判断した改善領域のFa0とFb0(即ち、○の記号の位置)が良く一致していることがわかる。また、図23から、計算式で求めた劣化領域と、シミュレーション結果から判断した劣化領域のFa0とFb0(即ち、×の記号の位置)が良く一致していることがわかる。即ち、計算式による計算結果が正しいことが証明された。
尚、上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第4実施形態)
図26は、本発明の第4実施形態を示すものである。尚、第3実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第4実施形態の小型モノポールアンテナの具体的構成は、第3実施形態と同じである。第3実施形態では、リターンロスの改善領域と劣化領域を決定するに際して、共振モードBの低い反共振周波数Fbrdと高い反共振周波数Fbruに基づいて計算するように構成したが、第4実施形態では、共振モードAの低い反共振周波数Fardと高い反共振周波数Faruに基づいて計算するように構成した。以下、第4実施形態について、具体的に説明する。
図26は、長さ(Lm+S)と周波数の関係を示すグラフであり、この図26によって、リターンロスの改善領域と劣化領域を決定する計算方法について説明する。図26において、曲線D12は、共振モードAの共振周波数Fa0を示し、曲線D22は、共振モードBの共振周波数Fb0を示す。これらFa0及びFb0は、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式と長さ(Lm+S)とから求めた。尚、λaの比例定数Ca11、λaの定数Ca01、λbの比例定数Cb11、λbの定数Cb01としては、図25で求めた値を使用した。また、第1の素子72と第2の素子75を接続する短絡素子25の配設位置を変更すると、λbの比例定数Cb11とλbの定数Cb01の値が変化する。
図26において、曲線D43は、共振モードAの高い反共振周波数Faruを示す。尚、共振モードAの低い反共振周波数Fardは、図26には示されておらず、図26に示す領域の外にある。これらFard及びFaruは、(8a)式、(8b)式から求めた。
図26において、曲線D53は、Fa0((1−Δfm)/(1+Δfm))を示し、曲線D63は、Fa0((1+Δfm)/(1−Δfm))を示す。これらFa0((1−Δfm)/(1+Δfm))、Fa0((1+Δfm)/(1−Δfm))は、(67)式、(68)式から求めたものであり、劣化領域と改善領域を分ける境界である。曲線D53、D63、Fa0の曲線D12よりわずかに下と上に位置する。尚、Δfmは、図16で求めた定数を用いて、(59)式で求めた。
リターンロスの改善領域は、(67)式、(68)式を満足する領域であり、
Faru>Fb0>((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (71)
あるいは、
Fard<Fb0<((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0 (72)
の領域である。
上記改善領域を、図26の縦軸(即ち、周波数軸)で見ると、両矢印E13、E23で示す領域であり、図26の横軸(即ち、長さ(Lm+S)軸)で見ると、改善領域と記入している領域である。縦軸の両矢印E13、E23で示す領域は、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0から共振モードAの高い反共振周波数Faruまでの範囲と、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0から共振モードAの低い反共振周波数Fardまでの範囲とである。
横軸の改善領域は、共振モードBの共振周波数Fb0(即ち、曲線D22)が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (即ち、曲線D63)との交点から下の領域と、共振モードBの共振周波数Fb0(即ち、曲線D22)が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0(即ち、曲線D53)との交点から上の領域とである。
そして、上記改善領域内に、共振モードBの共振周波数Fb0が入るように、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
換言すると、共振モードBの共振周波数Fb0が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上、即ち、((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0から共振モードAの高い反共振周波数Faruまでの範囲か、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下、即ち、((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0から共振モードAの低い反共振周波数Fardまでの範囲内に入るように、(3−1)式、(4−1)式、(5)式、(6)式を用いて長さ(Lm+S)を決定することにより、リターンロスを改善することができる。
図26において、○の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが改善しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が11.2、16.2mmの各アンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
また、図26において、×の記号は、シミュレーションの結果により、リターンロスが劣化しているアンテナ、即ち、長さ(Lm+S)が21.2、26.2、30.2、35.2mmのアンテナの共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0とを示す。
図26から、計算式で求めた改善領域と、シミュレーション結果から判断した改善領域のFa0とFb0(即ち、○の記号の位置)が良く一致していることがわかる。また、図26から、計算式で求めた劣化領域と、シミュレーション結果から判断した劣化領域のFa0とFb0(即ち、×の記号の位置)が良く一致していることがわかる。即ち、計算式による計算結果が正しいことが証明された。
尚、上述した以外の第4実施形態の構成は、第3実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第4施形態においても、第3実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第5実施形態)
図27ないし図30は、本発明の第5実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第5実施形態では、短絡素子70を設けないように構成した(即ち、第1の素子23と第2の素子24の間を絶縁するように構成した)。更に、第1の素子23の線路の一部、例えばL字部26、27の短辺部29、31の線路幅W1を他の部分の線路幅より広くするように構成した。
図27に示す構成のアンテナにおいては、短絡素子70を設けないように構成することにより、Cb1(λbの比例定数)とCb0(λbの定数)が変化し、インダクタンス形状34までの長さ(Lm+S)が例えば21.2mmの条件で、共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0の関係が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域になっている。
また、図27に示す構成のアンテナでは、短辺部29、31の線路幅W1を例えば20mmに設定した。尚、インダクタンス形状34の線路幅を細くすれば細くするほど、インダクタンス成分が増加することから、インダクタンス形状34、40の形成部分の線路幅は、最小可能線路幅(即ち、線路幅の下限値である例えば0.2mm)に設定しておくことが、小型化の面から望ましい。
また、図27に示す構成のアンテナでは、長辺部28、30の長手方向長さLを例えば20.8mm、長辺部28、30のインダクタンス形状34を除く部分の長さLmを例えば15.1mm、長さ(Lm+S)を例えば21.2mmに設定した。エレメント高さHを例えば12.4mmに設定した。そして、短辺部29、31以外の線路の線路幅φiを例えば0.2mm、内側突き出し部33の高さHiを例えば6mm、基部の幅Wiを例えば0.6mm、誘電体の基板22の厚さtを0.8mmと設定した。
また、図13から、インダクタンス形状34、40の半楕円個数Niが8個で短絡素子が有る場合の定数Ra、Δa、Rb、Δbは、下記のように求められる。
Ra=0.33
Δa=0.029
Rb=0.38
Δb=0.045
これらのを(59)式に代入すると、
Δfm=0.013 (73)
が得られる。
第5実施形態においては、短絡素子は無いが、劣化範囲境界の周波数比Δfmは、一桁大きくなるような変化をしないことから、余裕をもたせ、上記(73)式の値を10倍した値をΔfmと設定して、この値が正しいかどうかを以下確認する。
Δfm=0.013*10=0.13 (74)
図28は、図27に示す構成のアンテナについて、誘電体の比誘電率εを4.9、誘電体の誘電体損tanδを0.025と設定した条件でシミュレーションした結果のリターンロスを示す。図28の横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。図28において、実線G1は、線路幅W1を20mmに設定したもののリターンロスを示す。破線G2は、線路幅W1を0.2mmに設定したもののリターンロスを示す。また、Fb03は、共振モードBの3倍の高調波の共振周波数である。
図28から、共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0が離れ、更に、これらFa0、Fb0が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域の関係になっていることがわかる。尚、共振モードがAであるかBであるかの判断は、シミュレーションによって電流分布を解析した結果で判定することができる。
図28から、共振モードAの共振周波数Fa0のリターンロスが−15dBと改善できていることがわかる。このように改善できる理由は、2つの共振周波数Fa0、Fb03を離し、これら共振周波数Fa0、Fb03が(70)式、(71)式を満足するリターンロスの改善領域の関係にした上で、インダクタンス形状等の線路幅φi(例えば0.2mm)よりも、第1の素子23の一部(例えば短辺部29,31)の線路幅W1を例えば20mmと広くしていることによる。
次に、Fa0、Fb03が(70)式、(71)式を満足することを確認する。
図28のグラフG1(即ち、W1=20mm)から、共振モードAの共振周波数Fa0、共振モードBの3倍の高調波の共振周波数Fb03の各値を求め、(7b)式、(9c)式に代入すると、
Fa0=1470MHz
Fb03=2157MHz
Faru=2Fa0=2940MHz
Fbrd=2Fb03/3=1438MHz
となる。(74)式の値を用いて、(70)式、(71)式を確認すると、下記のように満足することがわかる。
Fbrd=1438<1470=Fa0
<1661=((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb03 (70)
Faru=2940>2157=Fb03
>1909=((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (71)
次に、線路幅W1を更に広くして例えば29mmに設定した構成のアンテナについて、シミュレーションした結果のインピーダンスチャート及びリターンロスの変化を、図29及び図30に示す。
図29において、実線I1は、W1=20mmの構成のインピーダンスチャートを示す。破線I2は、W1=0.2mmの構成のインピーダンスチャートを示す。実線I3は、W1=29mmの構成のインピーダンスチャートを示す。図29から、W1を0.2mmから20mmに広げると、共振周波数Fa0のインピーダンスの円は小さくなり、共振周波数Fa0のインピーダンスは、基準インピーダンス(例えば50Ω)の点PBに近づく。しかし、さらにW1を広げて29mmにすると、共振周波数Fa0のインピーダンスの円はさらに小さくなり、共振周波数Fa0のインピーダンスは、基準インピーダンスの点PBから離れていく。
また、図30において、横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。図30において、実線G11は、線路幅W1を20mmに設定したもののリターンロスを示す。破線G21は、線路幅W1を0.2mmに設定したもののリターンロスを示す。実線G31は、線路幅W1を29mmに設定したもののリターンロスを示す。この図30から、線路幅W1を0.2mmから20mmに広くすると、リターンロスを改善できるが、広げすぎると、例えば線路幅W1を29mmに設定すると、リターンロスが悪化することがわかる。
即ち、第1の素子23のインダクタンス形状34以外の線路の少なくとも一部の線路幅W1をインダクタンス形状34の線路幅以上に広くすることによって、共振周波数Fa0のリターンロスを改善できるが、線路幅W1の広げる幅に最適値(例えば20mm)があることもわかる。尚、線路幅W1をさらに広くすると、例えば29mmよりも広くすると、線路幅W1の線路(即ち、短辺部29、31)と、インダクタンス形状34の半楕円の線路とが重なってしまい、アンテナとして機能しなくなる。従って、第1の素子23の一部の線路幅W1としては、リターンロスの性能改善面から最適値があると共に、他の線路と重なってしまうという物理的な上限値もある。
尚、上述した以外の第5実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第5施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第6実施形態)
図31ないし図33は、本発明の第6実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第6実施形態では、インダクタンス形状34、40の代わりに、線路の一部を方形のらせん構造からなるインダクタンス形状を用いた。そして、第6実施形態では、短絡素子70を設けないように構成(即ち、第1の素子23と第2の素子24の間を絶縁するように構成)した。以下、第6実施形態について、具体的に説明する。
図31(a)に示すように、第1の素子23は、導体パターンにより形成された給電側平行部25を備え、給電側平行部25は第1L字部26と第2L字部27とを備える。第1L字部26は、長辺部28と短辺部29を備える。第2L字部27も第1L字部26と同様の構成であり、長辺部30と短辺部31を備える。短辺部29、31の先端部が給電点32となっている。
また、第1L字部26、第2L字部27には、その一部である長辺部28、30の先端部にインダクタンス形状41、41が形成されている。インダクタンス形状41は、基板22の面内において、第1L字部26、第2L字部27によって囲われる内側方向に突き出している。インダクタンス形状41は、図31(d)に示すように、長辺部28、30の直線状の導体パターンを内側方向に延長し、延長した部分で方形らせん構造42を形成している。
第6実施形態では、図31(d)に示すように、方形らせん構造42の導体パターンの線路幅φiを例えば0.2mm、方形らせん構造42の巻数Nrを例えば6回、方形らせん構造42のギャップGrを例えば0.2mm、方形らせん構造42の幅Wrを例えば4.9mm、方形らせん構造42の高さHrを例えば4.9mmとしている。
また、図31(a)に示すように、第1L字部26及び第2L字部27の長辺部28、30の長手方向長さ(即ち、エレメント長)をL(例えば20mm)、長辺部28、30の長手方向長さのうちのインダクタンス形状41を除く部分の長さをLm(例えば15mm)、長辺部28、30の対向する距離(エレメント高さ)をH(例えば12.4mm)とする。長辺部28、30の線路幅は、インダクタンス形状41の線路幅と同じであり、φi(例えば0.2mm)とする。短辺部29、31の長さをS、短辺部29、31の線路幅は、インダクタンス形状41の線路幅と同じであり、φi(例えば0.2mm)とする。
また、第2の素子24は、図31(c)に示すように、導体パターンにより形成された非給電側平行部35を備え、非給電側平行部35は一対の対向辺部36、37と連結辺部38を備える。対向辺部36、37は、互いに平行であり、長さおよび幅は互いに同一である。対向辺部36、37は、その長さが前述したL(即ち、エレメント長)になっている。これら対向辺部36、37の線路幅は、W4(例えば5mm)となっており、第1L字部26及び第2L字部27の線路幅φi(例えば0.2mm)よりも広くなっている。連結辺部38は、その長さ(即ち、エレメント高さ)がHとなっており、線路幅は、W2(例えば5mm)となっており、第1L字部26及び第2L字部27の線路幅φiよりも広くなっている。
対向辺部36、37の先端部には、インダクタンス形状43、43が形成されている。インダクタンス形状43は、基板22の面内において、対向辺部36、37、連結辺部38によって囲われる内側方向に突き出している。インダクタンス形状43は、図31(c)、(d)に示すように、対向辺部36、37の幅方向中心から線路幅φiの導体パターンを対向辺部36、37に沿う方向に延長し、延長した部分で方形らせん構造42を形成している。尚、インダクタンス形状43の方形らせん構造42の形状及び各部の大きさは、インダクタンス形状41の方形らせん構造42の形状及び各部の大きさと同じである。
また、第6実施形態では、2つの共振周波数Fa0、Fb0の関係が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域内になるように、インダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が決定されている。また、第1の素子23と第2の素子24の線路を折り曲げることにより、エレメント高さHを低くすることができる。
尚、インダクタンス形状43の線路幅を細くすれば細くするほど、インダクタンス成分が増加することから、インダクタンス形成43の線路幅は、最小可能線路幅(即ち、線路幅の下限値)にしておくことが小型化の面から望ましい。
第6実施形態では、短絡素子が無く、且つ、インダクタンス形状41、43が方形のらせん構造42になっているが、劣化範囲境界の周波数比Δfmは、一桁大きくなるような変化をしないことから、余裕をもたせ、(73)式の値を10倍した(74)式の値をΔfmとして用いることにする。
図32において、実線Y1は、誘電体の比誘電率εを例えば4.9、誘電体の誘電体損tanδを例えば0.025と設定し、導体パターン(線路)の導電率として銅(Cu)の導電率を使用した条件でシミュレーションした結果、得られたリターンロスを示す。図32の横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。尚、図32に示す破線Y2は、W2=W4=0.2mmに設定した構成について同じ条件でシミュレーションした結果、得られたリターンロスを示す。
図32から、共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0が離れ、更に、これらFa0、Fb0が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域の関係になっていることがわかる。尚、共振モードがAであるかBであるかの判断は、シミュレーションによって電流分布を解析した結果で判定することができる。
そして、図32から、線路幅W2及びW4を0.2mmから5mmに広げることにより、共振モードAの共振周波数Fa0のリターンロスが、−13dBから−17dBへ改善できていることがわかる。
このように改善できる理由は、2つの共振周波数Fa0、Fb0を離し、これら共振周波数Fa0、Fb0 が(70)式、(71)式を満足するリターンロスの改善領域の関係にした上で、インダクタンス形状の線路幅φi(例えば0.2mm)よりも、第2の素子24の一部(例えば連結辺部38及び対向辺部36、37)の線路幅W2及びW4を5mmと広くしていることによる。
次に、Fa0、Fb0 が(70)式、(71)式を満足することを確認する。
図32の実線Y1(即ち、W2=W4=5mm)のグラフから、共振モードAの共振周波数Fa0、共振モードBの3倍の高調波の共振周波数Fb03の各値を求め、(7b)式、(9c)式に代入すると、
Fa0=1053MHz
Fb03=1479MHz
Faru=2Fa0=2106MHz
Fbrd=2Fb03/3=986MHz
となる。(74)式の値を用いて、(70)式、(71)式を確認すると、下記のように満足することがわかる。
Fbrd=986<1053=Fa0
<1139=((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb03 (70)
Faru=2106>1479=Fb03
>1368=((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (71)
尚、第2の素子24の一部、例えば連結辺部38の線路幅W2及び対向辺部36、37の線路幅W4としては、前述したように、リターンロスの性能改善面から線路幅に最適値があると共に、他の線路と重なってしまうという物理的な上限値もある。
また、上述した以外の第6実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第6実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第7実施形態)
図33及び図34は、本発明の第7実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第7実施形態では、第1の素子23と第2の素子24とを短絡する短絡素子70を設けると共に、第1の素子23及び第2の素子24のうちのインダクタンス形状34、40以外の線路部に折れ曲がった部分がないように構成した。以下、第7実施形態について、具体的に説明する。
図33(a)に示すように、第1の素子23は、導体パターンにより形成された給電側直線状部45を備え、給電側直線状部45は、互いに向かい合うように配置された第1直線状部46と第2直線状部47を備える。第1直線状部46及び第2直線状部47の対向する先端部が給電点32となっている。
第1直線状部46の一部である図33(a)中の上半部には、インダクタンス形状34が形成され、第2直線状部47の一部である図33(a)中の下半部には、インダクタンス形状34が形成されている。インダクタンス形状34は、基板22の面内において、図33(a)中の右方へ突き出している。インダクタンス形状34は、図33(d)に示すように、第1直線状部46及び第2直線状部47の幅方向中心から線路幅φiの導体パターンを、第1直線状部46及び第2直線状部47に沿う方向に延長し、延長した部分で半楕円形状の内側突き出し部33を連続的にNi個形成して構成されている。
尚、図33(d)に示すように、内側突き出し部33の基部の幅をWi、高さをHi、線路幅をφiとする。また、インダクタンス形状34一つ分の内側突き出し部33の形成個数をNiとする。第7実施形態のインダクタンス形状34においては、1個の半楕円形状(即ち、内側突き出し部33)が三箇所の曲げ構造を有している。そして、第7実施形態では、半楕円形状(即ち、内側突き出し部33)の個数Niが例えば5個であるから、11箇所の曲げ構造を有するインダクタンス形状34となる。
また、図33(a)に示すように、第1直線状部46及び第2直線状部47の長さ(エレメント長)をL、第1直線状部46及び第2直線状部47の長さのうちのインダクタンス形状34を除く部分の長さを(Lm+S)とする。第1直線状部46及び第2直線状部47のうちのインダクタンス形状34を除く部分の線路幅W1は、インダクタンス形状34の線路幅φi(例えば0.2mm)よりも広い。本実施形態の場合、エレメント長Lを例えば11.2mm、インダクタンス形状までの長さ(Lm+S)を例えば7.2mm、φiを例えば0.2mm、第1の素子3の第1直線状部46及び第2直線状部47の線路幅W1を例えば2mm、半楕円形状の高さHiを6mm、半楕円形状の幅Wiを0.6mm、誘電体(基板22)の厚さtを例えば0.8mmに設定している。
また、第2の素子24は、図33(c)に示すように、導体パターンにより形成された非給電側直線状部48を備えている。非給電側直線状部48の線路幅は、第1の素子23のインダクタンス形状34形成部分の導体パターンの線路幅φi(例えば0.2mm)と同じになっている。非給電側直線状部48の両端部には、インダクタンス形状40、40が形成されている。インダクタンス形状40は、基板22の面内において、図33(c)中の左方へ突き出している。インダクタンス形状40は、図33(c)に示すように、非給電側直線状部48の線路幅φiの導体パターンを延長し、延長した部分で半楕円形状の内側突き出し部33を連続的にNi個形成して構成されている。尚、インダクタンス形状40の内側突き出し部33の形状及び各部の大きさは、第1の素子23のインダクタンス形状34の内側突き出し部33の形状及び各部の大きさと同じである。
また、第7実施形態では、図18(b)に示すように、第1の素子23と第2の素子24は、短絡素子70によって接続(短絡)されている。短絡素子70は、第1の素子23の第1直線状部46の上端部と、第2の素子4の非給電側直線状部48の上端部とを接続するスルーホール71と、第1の素子23の第2直線状部47の下端部と、第2の素子4の非給電側直線状部48の下端部とを接続するスルーホール71とを備えている。
第7実施形態においては、短絡素子70を設けように構成され、更に、2つの共振周波数Fa0、Fb0の関係が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域内になるように、インダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が決定されている。
尚、インダクタンス形状34、40の線路幅を細くすれば細くするほど、インダクタンス成分が増加することから、インダクタンス形成34、40の線路幅は、最小可能線路幅(即ち、線路幅の下限値)にしておくことが小型化の面から望ましい。
第7実施形態においては、インダクタンス形状以外の線路部の折れ曲りが無く、半楕円個数Niが5個になっているが、劣化範囲境界の周波数比Δfmは、一桁大きくなるような変化をしないことから、余裕をもたせ、(73)式の値を10倍した(74)式の値をΔfmとして用いることにする。
図34において、曲線Z1は、誘電体の比誘電率εを例えば4.9、誘電体の誘電体損tanδを例えば0.025と設定し、導体パターン(線路)の導電率として銅(Cu)の導電率を使用した条件でシミュレーションした結果、得られたリターンロスを示す。図34の横軸は周波数を示し、縦軸はリターンロスを示す。尚、図34に示す曲線Z2は、線路幅W1を0.2mmに設定した構成について同じ条件でシミュレーションした結果、得られたリターンロスを示す。
図34から、共振モードAの共振周波数Fa0と共振モードBの共振周波数Fb0が離れ、更に、これらFa0、Fb0が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域の関係になっていることがわかる。尚、共振モードがAであるかBであるかの判断は、シミュレーションによって電流分布を解析した結果で判定することができる。
そして、図34から、線路幅W1を0.2mmから2mmに広げることにより、共振モードAの共振周波数Fa0のリターンロスが、−8dBから−13dBへ改善できていることがわかる。このように改善できる理由は、2つの共振周波数Fa0、Fb0を離し、これら共振周波数Fa0、Fb0 が(69)式、(72)式を満足するリターンロスの改善領域の関係にした上で、インダクタンス形状の線路幅φi(例えば0.2mm)よりも、第1の素子23の一部(例えば第1直線状部46及び第2直線状部47)の線路幅W1を2mmと広くしていることによる。尚、第1の素子23の一部の線路幅W1としては、前述のように、リターンロスの性能改善面から線路幅に最適値がある。
次に、Fa0、Fb0 が(69)式、(72)式を満足することを確認する。
図34の曲線Z1(即ち、W1=2mm)のグラフから、共振モードAの共振周波数Fa0、共振モードBの共振周波数Fb0を求め、(7a)式、(8b)式に代入すると、
Fa0=2970MHz
Fb0=2266MHz
Fard=1MHz
Fbru=3Fb0/2=3399MHz
となる。(74)式の値を用いて、(69)式、(72)式を確認すると、下記のように満足することがわかる。
Fbru=3399>2970=Fa0
>1745=((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0 (69)
Fard=1<2266=Fb0
<3858=((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0 (72)
尚、上述した以外の第7実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第7実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第8実施形態)
図35は、本発明の第8実施形態を示すものである。尚、第5実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第8実施形態では、第5実施形態の変形折り返しダイポールアンテナ21を、高周波回路49を実装したプリント配線基板50に設けた。具体的には、図35(a)に示すように、プリント配線基板50の一方の面に第1実施形態の第1の素子23を形成し、図35(b)に示すように、プリント配線基板50の他方の面に第1実施形態の第2の素子24を形成した。そして、プリント配線基板50が誘電体の機能を有するように構成した。
更に、図35(a)に示すように、プリント配線基板50の一方の面において、第1の素子23の第1L字部26及び第2L字部27の短辺部29、31の先端部(給電点32)と、高周波回路49の入出力端子51a、51bとを接続する接続線路52、52を設けた。接続線路52は、導体パターン(例えば銅箔パターン)で形成されており、その線路幅を例えばφiとしている。
尚、上述した以外の第8実施形態の構成は、第5実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第8実施形態においても、第5実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第8実施形態によれば、高周波回路49を実装したプリント配線基板50に変形折り返しダイポールアンテナ21を設けたので、部品点数を削減できると共に、高周波回路の入出力端子と変形折り返しダイポールアンテナ21を接続する接続ケーブルを不要にすることができることから、製造コストを低減できる。
(第9実施形態)
図36は、本発明の第9実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第9実施形態では、内側突き出し部33を、二等辺三角形状となるように形成した。第9実施形態では、内側突き出し部33の形状が第1実施形態と相違するのみであり、内側突き出し部33の数、位置、大きさは、第1実施形態の内側突き出し部33と同じである。また、線路幅φiも、第1実施形態の内側突き出し部33と同じである。内側突き出し部33が二等辺三角形状である場合も、先端が点であることから、先端部の幅は基部の長さWiよりも短く、また、先端へ向かうほど連続的に幅が狭くなる。そのため、図36に示すように、内側突き出し部33を二等辺三角形状としても、内側突き出し部33を連続して形成することができる。よって、狭い範囲に多くの内側突き出し部33を形成することができるので、アンテナを特に小型化することができる。
(第10実施形態)
図37は、本発明の第10実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第10実施形態では、図37に示すように、内側突き出し部33の両端を接続する両端接続部54をさらに備えた。両端接続部54は、半楕円形状の内側突き出し部33の一方の端と他方の端とを接続している。第10実施形態の両端接続部54は、半楕円形状であり、内側突き出し部33とは異なり、外側に突き出している。両端接続部54の高さは図37に示すようにL2である。第10実施形態では、インダクタンス形状34、40は、楕円形状(内側突き出し部33+両端接続部54)を1個以上並べた形状となっている。
尚、上述した以外の第10実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第10実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第10実施形態によれば、内側突き出し部33の両端を接続する両端接続部54を設けたので、リターンロスのばたつきを防止できるという効果を得ることができる。
(第11実施形態)
図38は、本発明の第11実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第11実施形態では、内側突き出し部33は、2つの直角折れ曲がり点を持つ直角折れ曲がり形状である。内側突き出し部33の高さHi及び線路幅φiはこれまでの第1実施形態の内側突き出し部33と同じである。また、繰り返し単位の幅が第1実施形態の内側突き出し部33の幅Wiと同じになっている。この内側突き出し部33の個数、位置も、第1実施形態と同じである。第11実施形態では、インダクタンス形状は、方形状を1個以上並べた形状となっている。
(第12実施形態)
図39は、本発明の第12実施形態を示すものである。尚、第10実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第12実施形態では、図39に示すように、両端接続部55は、内側突き出し部13の一方の端と他方の端とを接続しており、また、形状は半楕円形状である。第10実施形態(図37参照)とは異なり、第12実施形態の両端接続部55は、内側突き出し部33と同様に、内側に突き出している。突き出している方向は第5実施形態の両端接続部54と相違するが、両端接続部55の高さは、図39に示すように、第10実施形態の両端接続部54と同様、L2である。
尚、上述した以外の第12実施形態の構成は、第10実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第12実施形態においても、第10実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第13実施形態)
図40は、本発明の第13実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第13実施形態では、図40に示すように、内側突き出し部33は直角三角形状である。内側突き出し部33の形状が第1実施形態と相違するのみであり、内側突き出し部33の数、位置、大きさは、第1実施形態と同じである。内側突き出し部33が直角三角形状である場合も、先端が点であることから、先端部の幅は基部の長さWiよりも短く、また、先端へ向かうほど連続的に幅が狭くなる。そのため、内側突き出し部33を直角三角形状としても、内側突き出し部33を連続して形成することができる。よって、狭い範囲に多くの内側突き出し部33を形成することができるので、アンテナを特に小型化することができる。
(第14実施形態)
図41は、本発明の第14実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第14実施形態では、図41に示すように、内側突き出し部33はステップ形状である。内側突き出し部33の高さHi、線路幅φi、繰り返し単位の幅Wiは、第1実施形態の内側突き出し部3と同じである。この内側突き出し部33の数、位置は第1実施形態と同じである。
図41に示すように、1つの内側突き出し部33の形状は、詳しくは、第1長垂線部33a、先端線部33b、第1短垂線部33c、中間線部33d、第2短垂線部33eを備える。第1長垂線部33aは、アンテナ幅方向中心面Cに向かって、内側突き出し部33の一方の端点eから垂直に内側突き出し部33の先端まで延びる。先端線部33bは、第1長垂線部33aの先端側の端部に一端部が連結され、アンテナ幅方向中心面Cに平行になっている。
第1短垂線部33cは、先端線部33bに一端が連結され、先端線部33bから、アンテナ幅方向中心面Cに垂直に、かつ、アンテナ幅方向中心面Cから離隔する方向に延びている。また、第1短垂線部33cは第1長垂線部33aよりも短い。中間線部33dは、第1短垂線部33cに一端部が連結され、第1短垂線部33cから、アンテナ幅方向中心面Cに平行、かつ、第1長垂線部33aとは反対側に延びる。
第2短垂線部33eは、中間線部33dに一端部が連結され、他端部が、第1長垂線部33aが連結されている側とは反対側の内側突き出し部33の端点eとなっており、アンテナ幅方向中心面Cに垂直である。また、第2短垂線部33eは第1長垂線部33aよりも短い。上記した構成を備える内側突き出し部33は、短接続線33fを介して、隣接する内側突き出し部33と互いに接続する。内側突き出し部33がステップ形状である場合も、内側突き出し部33の長さ分だけ、内側突き出し部33がない場合よりも線路長が長くなることから、アンテナを小型化することができる。
(第15実施形態)
図42は、本発明の第15実施形態を示すものである。尚、第6実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第15実施形態では、図42に示すように、線路幅φiの導体パターンで楕円形のらせん構造60を形成し、形成した楕円形のらせん構造60でインダクタンス形状41を構成した。この構成の場合、楕円形のらせん構造60の導体パターンの線路幅をφi、楕円形のらせん構造60の巻数をNr、楕円形のらせん構造60のギャップをGr、楕円形のらせん構造60の幅をWr、楕円形のらせん構造60の高さをHrとしている。
尚、上述した以外の第15実施形態の構成は、第6実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第15実施形態においても、第6実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第16実施形態)
図43は、本発明の第16実施形態を示すものである。尚、第15実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第16実施形態では、図43に示すように、線路幅φiの導体パターンで円形のらせん構造61を形成し、形成した円形のらせん構造61でインダクタンス形状41を構成した。この構成の場合、円形のらせん構造61の導体パターンの線路幅をφi、円形のらせん構造61の巻数をNr、円形のらせん構造61のギャップをGr、円形のらせん構造61の幅をWr、円形のらせん構造61の高さをHrとしている。
尚、上述した以外の第16実施形態の構成は、第15実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第16実施形態においても、第15実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
(第17実施形態)
図44は、本発明の第17実施形態を示すものである。尚、第1実施形態または第6実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第1実施形態においては、第1の素子23の第1L字部26及び第2L字部27の長辺部28、30に同じ形状のインダクタンス形状34、34を設けたが、これに限られるものではなく、異なる形状のインダクタンス形状を設けても良い。例えば、第17実施形態では、図44に示すように、第1の素子23の第1L字部26の長辺部28に内側突き出し部33からなるインダクタンス形状34を設け、第1の素子23の第2L字部27の長辺部30に方形らせん構造42からなるインダクタンス形状41を設けた。そして、図示はしないが、第2の素子24においても、第1の素子23と同様に、第1L字部26に対応する対向辺部36に内側突き出し部33からなるインダクタンス形状34を設け、第2L字部27に対応する対向辺部37に方形らせん構造42からなるインダクタンス形状41を設けた。
尚、上述した以外の第17実施形態の構成は、第1実施形態または第6実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第17実施形態においても、第1実施形態または第6実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
また、第1の素子23の第1L字部26及び第2L字部27の長辺部28、30に異なる形状のインダクタンス形状を設けるに際しては、異なる形状の内側突き出し部33からなるインダクタンス形状34を組み合わせるように構成しても良いし、異なる形状のらせん構造42、60、61からなるインダクタンス形状を組み合わせるように構成しても良いし、複数種類の内側突き出し部の中の1つと複数種類のらせん構造の中の1つとを適宜組み合わせるように構成しても良い。
(第18実施形態)
図45は、本発明の第18実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第1実施形態においては、第1の素子23の第1L字部26及び第2L字部27の長辺部28、30に同形状且つ同個数の内側突き出し部33からなるインダクタンス形状34、34を設けたが、これに限られるものではなく、内側突き出し部33の個数が異なるインダクタンス形状を設けても良い。例えば、第18実施形態では、図45に示すように、第1の素子23の第1L字部26の長辺部28に例えば8個の内側突き出し部33を形成し、第1の素子23の第2L字部27の長辺部30に例えば6個の内側突き出し部33を形成した。そして、図示はしないが、第2の素子24においても、第1の素子23と同様に、第1L字部26に対応する対向辺部36に例えば8個の内側突き出し部33を形成し、第2L字部27に対応する対向辺部37に例えば6個の内側突き出し部33を形成した。
尚、上述した以外の第18実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第18実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
また、上記第18実施形態では、半楕円形状の内側突き出し部33の形成個数が異なるように構成したが、これに限られるものではなく、他の形状の内側突き出し部33の形成個数が異なるように構成しても良い。
尚、上記した各実施形態の変形折り返しダイポールアンテナ21は、車載用無線装置や携帯端末(スマホや携帯電話機等)の小型アンテナとして使用することができる。車載用無線装置や携帯端末の無線通信システムの例としては、携帯電話(700MHz帯、800MHz帯、900MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯)、無線LAN(2.4GHz帯、5GHz帯)、GPS(1.5GHz帯)、車車間通信(700MHz帯)、路車間通信(5.8GHz帯)等がある。
また、上記した各実施形態によれば、短絡素子が有る場合(第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第7実施形態)でも、短絡素子が無い場合(第5実施形態、第6実施形態)でも、リターンロスを改善することができる。また、第1の素子と第2の素子のインダクタンス形状以外の線路が折れ曲がっている場合(第1〜第6実施形態)でも、折れ曲がっていない場合(第7実施形態)でも、リターンロスを改善することができる。
(第19実施形態)
図46ないし図49は、本発明の第19実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第19実施形態においては、共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0を入力し、各周波数Fにおける前記した変形折り返しダイポールアンテナのアドミッタンス値Yab(即ち、(26)式)、反射係数Γab(即ち、(27)式)、リターンロスRLab(即ち、(28)式)、インピーダンス値Zab=1/Yabを計算するアンテナ設計用の計算装置及び計算プログラムの一例を示す。
アンテナ設計用の計算装置81は、図46に示すように、入力部82と、アンテナ特性定数保存部83と、計算部84と、出力部85とを備えている。入力部82は、キーボードやマウス等で構成されており、共振周波数Fa0、Fb0や計算条件(例えばFk、Fo、Fs)等のデータを入力する。アンテナ特性定数保存部83は、メモリやハードディスク等の記憶部で構成されており、計算に必要な種々のアンテナ特性定数(例えばKau、Kad、Faru、Fard、Ra、Kbu、Kbd、Fbru、Fbrd、Rb)等のデータを記憶している。
計算部84は、CPUやマイコンで構成されており、入力部82から共振周波数Fa0、Fb0や計算条件を入力し、アンテナ特性定数保存部83からアンテナ特性定数を入力し、アドミッタンス値Yab、反射係数Γab、リターンロスRLab、インピーダンス値Zab=1/Yabを計算し、計算結果を出力部85へ送信する機能を有する。また、計算部84は、計算結果をアンテナ特性定数保存部83へ送信して記憶するように構成することも好ましい。
出力部85は、表示装置やプリンタや外部機器へ送信する通信装置等で構成されており、計算部84から受信した計算結果を、表示装置に表示したり、プリンタにより印刷したり、外部機器へ送信したりする。
次に、上記した構成の計算装置81による計算処理について、図47を参照して説明する。図47のフローチャートは、計算部84の計算プログラムの制御内容を示す。まず、図47のステップS10では、計算部84は、入力部82で入力された共振周波数Fa0、Fb0と周波数の計算条件(例えばFk、Fo、Fs)とを入力する。この場合、Fkは計算開始周波数であり、Foは計算終了周波数であり、Fsは計算ステップ周波数(即ち、計算する周波数の間隔)であり、これらの計算条件によって計算する周波数の範囲が決定される。
続いて、ステップS20へ進み、計算部84は、アンテナ特性定数保存部83に記憶されているアンテナ特性定数(例えばKau、Kad、Faru、Fard、Ra、Kbu、Kbd、Fbru、Fbrd、Rb)を読み出して入力する。この場合、Kau、Kadは共振モードAの上下の比例定数(即ち、(31)式または(33)式、(30)式または(32)式) である。Faru、Fardは、共振モードAの高い反共振周波数(即ち、(7b)式)、低い反共振周波数(即ち、(7a)式)である。Raは、共振モードAの共振抵抗(図13または図15参照)である。Kbu、Kbdは、共振モードBの上下の比例定数(即ち、(36)式または(38)式、(35)式または(37)式) である。Fbru、Fbrdは、共振モードBの高い反共振周波数(即ち、(8b)式または(9b)式)、低い反共振周波数(即ち、(8a)式または(9a)式)である。Rbは、共振モードBの共振抵抗(図14または図15参照)である。
そして、ステップS30へ進み、計算する周波数Fを計算開始周波数Fkとする。この後、ステップS40へ進み、FがFa0以下であるか否かを判断する。ここで、FがFa0以下であれば、ステップS50へ進み、共振モードAのリアクタンスXaを(11)式で計算する。また、上記ステップS40において、FがFa0より大きいときには、ステップS60へ進み、共振モードAのリアクタンスXaを(14)式で計算する。
続いて、ステップS70へ進み、FがFb0以下であるか否かを判断する。ここで、FがFb0以下であれば、ステップS80へ進み、共振モードBのリアクタンスXbを(18)式で計算する。また、上記ステップS70において、FがFb0より大きいときには、ステップS90へ進み、共振モードBのリアクタンスXbを(21)式で計算する。
この後、ステップS100へ進み、共振モードA、BのインピーダンスZa、Zbを(10)式、(17)式で計算する。次いで、ステップS110へ進み、共振モードA、BのアドミッタンスYa、Ybを(24)式、(25)式で計算する。そして、ステップS120へ進み、共振モードA、Bの合成されたアドミッタンスYab、反射係数Γab、リターンロスRLabを(26)式、(27)式、(28)式で計算する。また、共振モードA、Bの合成されたインピーダンスZabは、Zab=1/Yabで計算する。
続いて、ステップS130へ進み、計算部84は、計算結果(F、Yab、Zab、Γab、RLab)を出力部85へ出力する。尚、計算部84は、上記計算結果をアンテナ特性定数保存部83へ送信して記憶するように構成しても良い。
そして、ステップS140へ進み、周波数Fが終了周波数Fo以上であるか否かを判断する。ここで、周波数Fが終了周波数Fo未満であれば、ステップS150へ進み、周波数Fに計算ステップ周波数Fsを加算した後、ステップS40へ戻り、以下、上述した処理を繰り返し実行する。また、上記ステップS140において、周波数Fが終了周波数Fo以上であるときには、「YES」へ進み、計算制御を終了する。
リターンロスRLabの計算結果の一例を図48に示す。図48の横軸は周波数、縦軸はリターンロスである。この場合、Fa0=900MHz、Fb0=1000MHz、Fk=700Mhz、Fo=1200MHz、Fs=1MHzとした。そして、アンテナ特性定数(例えばKau、Kad、Faru、Fard、Ra、Kbu、Kbd、Fbru、Fbrd、Rb)としては、図16で求めた値を用いた。また、この計算結果のスミスチャートを図49に示す。これら図48、図49は、出力部85による出力の例である。
(第20実施形態)
図50ないし図53は、本発明の第20実施形態を示すものである。尚、第19実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第20実施形態においては、共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0のうちの1つの共振周波数F1を入力し、アンテナ形状を変化させたときのもう1つの共振周波数F2a、F2bとインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)a、(Lm+S)bを計算する。この第20実施形態において、アンテナ形状を変化させるに際しては、インダクタンス形状34の内側突き出し部33の個数Niを変化させることにした。
第20実施形態においては、入力部82は、共振モードA、Bの共振周波数Fa0、Fb0のうちの1つの共振周波数F1のデータを入力する。アンテナ特性定数保存部83の代わりにアンテナ形状定数保存部86を設け、このアンテナ形状定数保存部86には、アンテナ形状定数として、内側突き出し部33の個数Niを変化させたときの共振時の2つの波長λa、λbの比例定数Ca1(Ni)((3)式参照)、Cb1(Ni)((4)式参照)と、2つの波長λa、λbの定数Ca0(Ni)((3)式参照)、Cb0(Ni)((4)式参照)を保存している。
計算部84は、入力部82で入力した1つの共振周波数F1を入力し、アンテナ形状定数保存部86からアンテナ形状定数(Ca1(Ni)、Cb1(Ni)、Ca0(Ni)、Cb0(Ni))を入力し、もう1つの共振周波数F2a、F2bとインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)a、(Lm+S)bを計算し、計算結果を出力部85へ送信する。また、計算部84は、計算結果をアンテナ形状定数保存部86へ送信して記憶するように構成することが好ましい。
出力部85は、計算部84から受信した計算結果を、表示装置に表示したり、プリンタにより印刷したり、外部機器へ送信したりする。
次に、上記した構成のアンテナ設計用の計算装置81による計算処理について、図51を参照して説明する。図51のフローチャートは、計算部84の計算プログラムの制御内容を示す。この計算処理においては、内側突き出し部33の個数Niを1から最大個数(Nmax)まで変化させながら、もう1つの共振周波数F2a、F2bと、インダクタンス形状までの長さ(Lm+S)a、(Lm+S)bを計算する。
まず、図51のステップS210では、計算部84は、入力部82で入力された1つの共振周波数F1を入力すると共に、アンテナ形状定数保存部86に記憶されているアンテナ形状定数を読み出して入力する。続いて、ステップS220へ進み、個数Niに1をセットする。
そして、ステップS230へ進み、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式に基づいて、共振周波数F2a、F2b、長さ(Lm+S)a、(Lm+S)bを計算する。この場合、まず、λ1=C/F1でλ1を求める。そして、
(Lm+S)a=(λ1−Ca0(Ni))/Ca1(Ni)
λ2b=Cb1(Ni)・(Lm+S)a+Cb0(Ni)
F2b=C/λ2b
(Lm+S)b=(λ1−Cb0(Ni))/Cb1(Ni)
λ2a=Ca1(Ni)・(Lm+S)b+Ca0(Ni)
F2a=C/λ2a
によってF2a、F2b、(Lm+S)a、(Lm+S)bを計算する。尚、Cは光速である。
この後、ステップS240へ進み、計算部84は、Ni、(Lm+S)a、F2a、(Lm+S)b、F2bを出力部85へ送信する。次いで、ステップS250へ進み、NiがNmax以上であるか否かを判断する。ここで、NiがNmaxよりも小さいときには、ステップS260へ進み、Niをカウントアップ(即ち、+1)する。そして、ステップS230へ進み、上述した処理を繰り返し実行する。また、上記ステップS250において、NiがNmax以上であるときには、「YES」へ進み、計算処理を終了する。
図52は、F1=900MHzとして、内側突き出し部33の個数Niを変化させたときの、もう1つの共振周波数F2a、F2bの計算結果の一例を示す。図52において、実線FN1は共振周波数F2aを示し、実線FN2は共振周波数F2bを示し、実線FN3は共振周波数F1を示す。図53は、F1=900MHzとして、内側突き出し部33の個数Niを変化させたときの、長さ(Lm+S)a、(Lm+S)bの計算結果の一例を示す。図53において、実線LN1は長さ(Lm+S)aを示し、実線LN2は長さ(Lm+S)bを示す。図52及び図53から、内側突き出し部33の個数Ni及び長さ(Lm+S)の設計するに際して、F1とF2a(またはF2b)が十分離れるように、即ち、リターンロスが十分低減するようにするための設計作業を容易に行なうことができる。
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明は上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。尚、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として実施形態に記載の具体的構成との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図面中、16はスルーホール、21は変形折り返しダイポールアンテナ、22は基板、23は第1の素子、24は第2の素子、26は第1L字部、27は第2L字部、28は長辺部、29は短辺部、30は長辺部、31は短辺部、32は給電点、33は内側突き出し部、34はインダクタンス形状、36、37は対向辺部、38は連結辺部、39は内側突き出し部、40はインダクタンス形状、41はインダクタンス形状、42は方形らせん構造、43はインダクタンス形状、45は給電側直線状部、46は第1直線状部、47は第2直線状部、49は高周波回路、50はプリント配線基板、52は接続線路、54、55は両端接続部、60は楕円形のらせん構造、61は円形のらせん構造、70は短絡素子、71はスルーホール、72は第1の素子、73は広い導体、74は入力端子、75は第2の素子、76はL字部、77は入力端子、78は高周波回路、81は計算装置、82は入力部、83はアンテナ特性定数保存部、84は計算部、85は出力部、86はアンテナ形状定数保存部である。

Claims (30)

  1. 線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、
    線路(26)と広い導体(73)からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、
    前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34、40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっており、
    前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が同一方向の共振モードAの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が逆方向の共振モードBの共振周波数Fb0との関係を、
    共振モードAの共振周波数Fa0が、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上から共振モードBの高い反共振周波数Fbruまでの範囲か、共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下から共振モードBの低い反共振周波数Fbrdまでの範囲に入るように、給電点からインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が設定されている小型アンテナ。
  2. 共振モードBの共振周波数Fb0が、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上から共振モードAの高い反共振周波数Faruまでの範囲か、共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下から共振モードAの低い反共振周波数Fardまでの範囲に入るように、給電点からインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が設定されている請求項1記載の小型アンテナ。
  3. 前記共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに上は、下記条件式になっていること、
    ((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0<Fa0
    但し、Δfmは劣化範囲境界の周波数比であり、次の式が成立する。
    Δfm=√(RaRbΔaΔb)
    Raは共振モードAの共振抵抗値、Rbは共振モードBの共振抵抗値、
    Δa=(Δau+Δad)/2あるいはΔa=ΔauあるいはΔa=Δad
    Δau=(Fau−Fa0)/Fa0
    Δauは共振モードAのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
    Fauは共振モードAのリアクタンスが1となる周波数
    Fa0は共振モードAの共振周波数
    Δad=(Fa0−Fad)/Fa0
    Δadは共振モードAのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
    Fadは共振モードAのリアクタンスが−1となる周波数
    Δb=(Δbu+Δbd)/2あるいはΔb=ΔbuあるいはΔb=Δbd
    Δbu=(Fbu−Fb0)/Fb0
    Δbuは共振モードBのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
    Fbuは共振モードBのリアクタンスが1となる周波数
    Fb0は共振モードBの共振周波数
    Δbd=(Fb0−Fbd)/Fb0
    Δbdは共振モードBのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
    Fbdは共振モードBのリアクタンスが−1となる周波数
    または、
    前記共振モードBの共振周波数Fb0のわずかに下は、下記条件式になっていること、
    ((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0>Fa0
    を特徴とする請求項1記載の小型アンテナ。
  4. 前記共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに上は、下記条件式になっていること、
    ((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0<Fb0
    但し、Δfmは劣化範囲境界の周波数比であり、次の式が成立する。
    Δfm=√(RaRbΔaΔb)
    Raは共振モードAの共振抵抗値、Rbは共振モードBの共振抵抗値、
    Δa=(Δau+Δad)/2あるいはΔa=ΔauあるいはΔa=Δad
    Δau=(Fau−Fa0)/Fa0
    Δauは共振モードAのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
    Fauは共振モードAのリアクタンスが1となる周波数
    Fa0は共振モードAの共振周波数
    Δad=(Fa0−Fad)/Fa0
    Δadは共振モードAのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
    Fadは共振モードAのリアクタンスが−1となる周波数
    Δb=(Δbu+Δbd)/2あるいはΔb=ΔbuあるいはΔb=Δbd
    Δbu=(Fbu−Fb0)/Fb0
    Δbuは共振モードBのリアクタンスが0から1に変化する周波数比率
    Fbuは共振モードBのリアクタンスが1となる周波数
    Fb0は共振モードBの共振周波数
    Δbd=(Fb0−Fbd)/Fb0
    Δbdは共振モードBのリアクタンスが−1から0に変化する周波数比率
    Fbdは共振モードBのリアクタンスが−1となる周波数
    または、
    前記共振モードAの共振周波数Fa0のわずかに下は、下記条件式になっていること、
    ((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0>Fb0
    を特徴とする請求項2記載の小型アンテナ。
  5. 次の式、
    λa=Ca1*(Lm+S)+Ca0
    λb=Cb1*(Lm+S)+Cb0
    Fa0=C/λa
    Fb0=C/λb
    但し、Ca1はλaの比例定数、Ca0はλaの定数、Cb1はλbの比例定数、Cb0はλbの定数である。
    を用いて求められた前記共振モードAの共振周波数Fa0と前記共振モードBの共振周波数Fb0が、
    下記条件、
    ((1+Δfm)/(1−Δfm))Fb0<Fa0<Fbru あるいは、
    ((1−Δfm)/(1+Δfm))Fb0>Fa0>Fbrd あるいは、
    ((1+Δfm)/(1−Δfm))Fa0<Fb0<Faru あるいは、
    ((1−Δfm)/(1+Δfm))Fa0>Fb0>Fard
    但し、
    Fardは共振モードAの低い反共振周波数であり、リアクタンスは-∞であり、
    Faruは共振モードAの高い反共振周波数であり、リアクタンスは∞であり、
    Fbrdは共振モードBの低い反共振周波数であり、リアクタンスは−∞であり、
    Fbruは共振モードBの高い反共振周波数であり、リアクタンスは∞である。
    を満足するように、給電点からインダクタンス形状までの長さ(Lm+S)が決定されている請求項1から4のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  6. 前記インダクタンス形状(34、40)以外の線路の少なくとも一部の線路幅がインダクタンス形状(34、40)の線路幅以上に広くなるように構成されている請求項1から5のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  7. 前記インダクタンス形状(34、40)の線路幅以上に広くなる線路の線路幅は、共振周波数Fa0のインピーダンスが基準インピーダンスに近づいた状態となるように、設定されている請求項6記載の小型アンテナ。
  8. 給電点以外の線路部に、前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)を接続させる短絡素子(70)を有する請求項1から7のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  9. 前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)のインダクタンス形状(34、40)以外の線路部が折れ曲がっている請求項1から8のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  10. 前記第1の素子(23)及び前記第2の素子(24)を、高周波回路(49)を形成するプリント配線基板(50)に形成した請求項1から9のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  11. 前記第1の素子(23)の給電点(32)と前記高周波回路(49)の入出力端子(51a、51b)を接続する線路(52)を、前記プリント配線基板(50)に形成した請求項10記載の小型アンテナ。
  12. 前記第1の素子(72)の広い導体(73)を、高周波回路のグランドで構成した請求項1から9のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  13. 前記三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34、40)は、半楕円形状(33)を1個以上並べた形状である請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  14. 前記三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34、40)は、三角形を一つ以上ならべた形状である請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  15. 前記三箇所以上の曲げ構造を有するインダクタンス形状(34、40)は、楕円形状を1個以上並べた形状である請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  16. 前記三箇所以上の曲げ構造を有するインダクタンス形状(34、40)は、方形状を1個以上並べた形状であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  17. 前記らせん構造のインダクタンス形状(41)は、方形のらせん構造(42)である請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  18. 前記らせん構造のインダクタンス形状(41)は、楕円形のらせん構造(60)である請求項1から12のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  19. 前記第1の素子(23)の一対の導体にそれぞれ形成された前記インダクタンス形状(34、41)は、異なる形状である請求項1から18のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  20. 前記第1の素子(23)の一対の導体にそれぞれ形成され、各種の形状を1個以上並べた形状であるインダクタンス形状(34)は、前記各種の形状の個数が異なる請求項1から16のいずれか一項記載の小型アンテナ。
  21. 線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、
    線路と広い導体からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、
    前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34,40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっている小型アンテナについて、
    前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が同一方向の共振モードAの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23または72)に流れる電流方向と前記第2の素子(24または75)に流れる電流方向が逆方向の共振モードBの共振周波数Fb0とを入力して、前記小型アンテナのアドミッタンスYab、インピーダンスZab、反射係数Γab、または、リターンロスRLabを計算するアンテナ設計用の計算装置。
  22. 前記アドミッタンスYabは、下記式、
    Yab=Ya+Yb
    Ya=1/Za
    Yb=1/Zb
    Za=Ra+jXa
    但し、Raは共振モードAの共振抵抗値、Xaは共振モードAのリアクタンス値、jは虚数、
    Zb=Rb+jXb
    但し、Rbは共振モードBの共振抵抗値、Xbは共振モードBのリアクタンス値、
    を用いて計算するように構成された請求項21記載のアンテナ設計用の計算装置。
  23. 共振モードAのリアクタンス値Xaと共振モードBのリアクタンス値Xbは、下記式、
    Fa0≦F<Faruにおいて、
    Xa=Kau(1−(F/Fa0))/(1−(F/Faru)
    但し、Fはインピーダンスを求める周波数、Faruは共振モードAの高い反共振周波数でリアクタンスは∞、Fa0は共振モードAの共振周波数でリアクタンスは0、Kauは共振モードAの上の比例定数、
    Fard<F≦Fa0において、
    Xa=Kad(1−(F/Fa0))/(1−(F/Fard)
    但し、Fardは共振モードAの低い反共振周波数でリアクタンスは−∞、Kadは共振モードAの下の比例定数、
    Fb0≦F<Fbruにおいて、
    Xb=Kbu(1−(F/Fb0))/(1−(F/Fbru)
    但し、Fbruは共振モードBの高い反共振周波数でリアクタンスは∞、Fb0は共振モードBの共振周波数でリアクタンスは0、Kbuは共振モードBの上の比例定数、
    Fbrd<F≦Fb0において、
    Xb=Kbd(1−(F/Fb0))/(1−(F/Fbrd)
    但し、Fbrdは共振モードBの低い反共振周波数でリアクタンスは−∞、Kbdは共振モードBの下の比例定数、
    を用いて計算するように構成された請求項21または22記載のアンテナ設計用の計算装置。
  24. 線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の各々における片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備えた小型アンテナ、あるいは、
    線路と広い導体からなる第1の素子(72)と、誘電体を挟んで前記第1の素子の線路部に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(75)とを備え、前記第1の素子(72)の線路と広い導体の接続部と第2の素子(75)の端部に、給電点がある小型アンテナであって、
    前記第1の素子(23または72)と前記第2の素子(24または75)の線路の一部が、三箇所以上の曲げ構造のインダクタンス形状(34,40)、または、らせん構造のインダクタンス形状(41)になっている小型アンテナについて、
    1つの共振周波数を入力して、もう1つの共振周波数F2a、F2b、または、アンテナ形状を計算するアンテナ設計用の計算装置。
  25. 前記もう1つの共振周波数F2a、F2bは、下記式、
    λ1=C/F1
    但し、Cは光速、F1は1つの共振周波数、λ1は1つの共振周波数の波長
    λ1=λaの場合
    (Lm+S)a=(λ1−Ca0)/Ca1
    λ2b=Cb1(Lm+S)a+Cb0
    F2b=C/λ2b
    λ1=λbの場合
    (Lm+S)b=(λ1−Cb0)/Cb1
    λ2a=Ca1(Lm+S)b+Ca0
    F2a=C/λ2a
    但し、λaは共振モードAの共振時の波長、λbは共振モードBの共振時の波長、
    (Lm+S)aはインダクタンス形状までの長さ、
    (Lm+S)bはインダクタンス形状までの長さ
    Ca1はλaの比例定数、Ca0はλaの定数 、
    Cb1はλbの比例定数、Cb0はλbの定数、
    λ2aはもう1つの共振周波数の波長、
    λ2bはもう1つの共振周波数の波長、
    F2aはもう1つの共振周波数、
    F2bはもう1つの共振周波数
    を用いて計算するように構成された請求項24記載のアンテナ設計用の計算装置。
  26. 前記インダクタンス形状の個数Niを変数として、もう1つの共振周波数F2a、F2b、または、アンテナ形状を計算するに際しては、λaの比例定数Ca1、λaの定数Ca0、λbの比例定数Cb1及びλbの定数Cb0の代わりに、λaの比例定数Ca1(Ni)、λaの定数Ca0(Ni)、λbの比例定数Cb1(Ni)及びλbの定数Cb0(Ni)を用いて計算するように構成された請求項25記載のアンテナ設計用の計算装置。
  27. 線路からなる一対の導体からなり、当該一対の導体の片方の端部が給電点(32)である第1の素子(23)と、
    誘電体を挟んで前記第1の素子(23)に対向して配置され、線路からなる導体である第2の素子(24)とを備え、
    前記第1の素子(23)と前記第2の素子の線路(24)の一部が、三箇所以上の曲げ構造を有するインダクタンス形状(34、40)、または、らせん構造を有するインダクタンス形状(41)になっており、
    前記第1の素子(23)に流れる電流方向と前記第2の素子(24)に流れる電流方向が同一方向の共振モードの共振周波数Fa0と、前記第1の素子(23)に流れる電流方向と前記第2の素子(24)に流れる電流方向が逆方向の共振モードの共振周波数Fb0が離れるように、前記第1の素子(23)及び前記第2の素子(24)の中心からインダクタンス形状(34、40)までの長さを設定し、
    前記第1の素子(23)または前記第2の素子(24)の線路のうちの前記インダクタンス形状(34、40)以外の線路の少なくとも一部の線路幅が、前記インダクタンス形状(34、40)の線路の線路幅よりも広くなるように構成されている小型アンテナ。
  28. 前記第1の素子(23)及び前記第2の素子(24)の中心から前記インダクタンス形状(34、40)までの長さを(Lm+S)とし、前記2つの共振周波数Fa0、Fb0の波長をλa、λbとし、
    λa=Ca1*(Lm+S)+Ca0
    λb=Cb1*(Lm+S)+Cb0
    但し、Ca1はλaの比例定数、Ca0はλaの定数、Cb1はλbの比例定数、Cb0はλbの定数であり、
    前記2つの式を用いて、λa≠λbとなるように、前記長さ(Lm+S)が設定されている請求項27記載の小型アンテナ。
  29. 前記一対の導体の給電点以外の線路に設けられ、前記第1の素子(23)と前記第2の素子(24)を接続する短絡素子(70)を備え、
    λa≠λbとなるように、前記短絡素子(70)の位置が設定されている請求項28記載の小型アンテナ。
  30. 前記インダクタンス形状(34,40)の線路の線路幅よりも広くする線路幅は、共振周波数Fa0のインピーダンスが基準インピーダンスに近づいた状態になるように、設定されている請求項27から29のいずれか一項記載の小型アンテナ。
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