JP6303291B2 - 複合繊維 - Google Patents
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このような課題を克服するためには、複合断面を精密に制御できる複合紡糸口金を利用した紡糸方法の適用が考えられる。
(1)繊維複合断面において、海成分内に島成分が規則的に配置された海島複合繊維であり、島数が100〜10000島、島成分径が10〜1536nmの範囲であって、近接した2つの島成分間の島成分距離バラツキが1.0〜10.0%、かつ最外層厚み(T)と島成分径(r)との関係が下記式を満足することを特徴とする海島複合繊維。
ここで最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円の半径と複合繊維の半径との差によって求められる値であり、最外層に存在する海成分の厚みを意味する。
本発明で海島複合繊維とは、繊維軸に対して垂直方向の繊維断面に2種類以上のポリマーが複合断面を形成している繊維であり、この複合断面において、一方のポリマーからなる島成分が、他方のポリマーからなる海成分の中に点在する断面構造を有しているものである。本発明の海島複合繊維においては、この海島断面構造が断面の内層部に存在し、この海島断面層においては、圧縮方向の応力分散に優れた断面構造を形成させるという観点から、島成分が微細に分割されていていることが重要である。具体的には、島成分径が10〜1536nmの範囲である必要があり、本発明の海島複合繊維の第一の要件になる。更に剥離が起こり易いポリマーの組合せを想定した場合には、島成分と海成分の接触面積を増大させることが好適である。島成分の重量当りの接触面積は島成分径比の2乗に比例するため、ポリマー界面をより増加させるという観点から本発明における島成分径は10〜1000nmであることが好ましい。
さらに、高次加工で加えられる加熱雰囲気下での圧縮変形やせん断変形を想定した場合には、以上のような島成分の均質化および最外層厚み等に加えて、下記の点を緻密に制御すると更に本発明の効果が顕著なものとなる。
本発明の海島複合繊維は、従来公知のパイプ型の海島複合口金を用いて製造してもよいが、パイプ型口金では本発明のような複合断面形態を緻密に制御する必要がある海島複合繊維を製造することは非常に困難なことである。それは、本発明の海島複合繊維を製造するためには、10-1g/min/holeから10−5g/min/holeオーダと従来の複合紡糸技術で用いられている吐出条件よりも数桁低い極少なポリマー流量を制御する必要があり、このため、本発明の海島複合繊維には、特開2011−174215号公報に記載される海島複合口金を用いた方法が好適に用いられる。
図4は、本発明に用いる海島複合口金の一例を模式的に説明するための側面図、図5は分配プレートの平面図であり、それぞれが一つの吐出孔に関わる溝および孔として記載したものである。図6は本発明に用いる吐出プレートの側面図である。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
Perkin Elmear DSC−7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
海島複合繊維の100mの重量を測定し、それを100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊度とした。海島複合繊維から発生させた極細繊維の繊度に関しては、1mの重量を測定し、それを10000倍することで繊度とした。
海島複合繊維および海島複合繊維から発生させた極細繊維をオリエンテック社製引張試験機 テンシロン UCT−100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で応力−歪曲線を測定する。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで破断強度を算出し、破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を100倍することで、破断伸度を算出した。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、小数点第2位を四捨五入した値である。
海島複合繊維をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面をT(株)日立製作所製 H−7100FA型透過型電子顕微鏡(TEM)にて島成分が150本以上観察できる倍率で撮影した。この画像から無作為に選定した150本の島成分を抽出し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての島成分径を測定し、平均値および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式を基づき繊維径CV%を算出した。
島成分径バラツキ(CV%)=(標準偏差/平均値)×100
以上の値は全て10ヶ所の各写真について測定を行い、10ヶ所の平均値とし、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。
前述した島成分径および島成分径バラツキと同様の方法で、島成分の断面を撮影し、その画像から、切断面に外接する真円の径を島成分径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、異形度=島成分径÷内接円径から、小数点第3位までを求め、小数点第3位以下を四捨五入したものを異形度として求めた。この異形度を無作為に抽出した150本の島成分について測定し、その平均値および標準偏差から、下記式に基づき異形度バラツキ(CV%)を算出した。
異形度バラツキ(CV%)=(異形度の標準偏差/異形度の平均値)×100(%)
この異形度バラツキについては、10ヶ所の各写真について測定を行い、10ヶ所の平均値とし、小数点第2位以下は四捨五入するものである。
前述した島成分径および異形度のバラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面全体が写るように2次元的に撮影する。撮影された画像から、複合繊維の輪郭に2点以上で接する真円の半径を複合繊維の半径として求め、さらに図2中の5のように海島構造の外周に配置された島成分と2個以上接するように外接する真円(外接円)の半径を求める。ここで、いずれの値においても、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。この複合繊維の半径および海島構造部分の外接円の半径を無作為に抽出した10本の海島複合繊維について測定し、それぞれの半径の差を単純な数平均を行ない、最外層厚みとした。ここで言う最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円(図2の5)の半径と複合繊維(図2の4)の半径との差によって求められる値であり、海島構造を取り囲むように配置された海成分からなる層の厚みを意味する。
前述した島成分径および島成分径バラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影する。この画像から、図2中の5に示すように、近接する3つの島成分(図2中の2)に内接する真円の径を本発明で言う海成分径とした。この海成分径を無作為に抽出した150箇所について、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて測定し、平均値および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式を基づき海成分径(CV%)を算出した。
海成分径バラツキ(CV%)=(標準偏差/平均値)×100
10画像について、同様の評価を行い、この10画像の評価結果の単純な数平均の小数点第2位以下は四捨五入して求めた値が海成分径バラツキとした。
また、海成分径を島成分径で除することにより、算出した値の小数点第3位以下を四捨五入して求めた値を海成分径比とした。
島成分の中心を島成分の外接円(図1中の1)の中心とした場合に、島成分距離とは、図3中の7に示すように、近接する2つの島成分の中心間の距離として定義される値である。この評価は、前述した島成分径と同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影し、無作為に抽出した150箇所について、島成分距離を測定する。この島成分距離バラツキとは、島成分距離の平均値および標準偏差から、島成分距離バラツキ(島成分距離CV%)=(島成分距離の標準偏差/島成分の平均値)×100(%)として小数点以下は四捨五入算出する。この値を同様に撮影した10画像について評価し、10画像の結果の単純な数平均を島成分距離バラツキとして評価した。
また、撮影した画像の無作為に抽出した近接した4つの島成分100箇所について、図3中の7−(a)、7−(b)および8のように直線を引き、θaおよびθbの和(図3)を小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入して、平均値を求めた。以上の評価を同様に撮影した10画像について、評価した。
アピアランス形ピリングテスター(インテック株式会社製)を用いて、JIS L 1076 6. 3. C法(2001)「織物及び編物のピリング試験方法」に準じて試験を行い、布帛の耐摩耗性を下記の4段階評価にて評価した。この4段階評価は磨耗処理後4時間以上放置した布帛の磨耗面を20倍の拡大鏡で磨耗面を観察し、下記の基準にて判定するものである。同評価をn数=10で行い、その数値の平均値からサンプルの耐摩耗性を評価した。
島成分として、ポリ乳酸(PLA 融点:165℃ 溶融粘度:90Pa・s)と、海成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%および分子量1000のポリエチレングリコール(PEG)を共重合したPET(共重合PET 融点:235℃ 溶融粘度:140Pa・s)を270℃で別々に溶融後、計量し、図4に示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、吐出プレート直上の分配プレートには、1つの吐出孔当たり島成分用として、500の分配孔が穿設されており、最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を6層穿設した分配プレート(図5)を使用した。また、吐出導入孔長(図6の15)は5mm、縮小孔(図6の16)の角度は45°、吐出孔径0.5mm、吐出孔長/吐出孔径は1.5のものである。
海成分をポリブチレンテレフタレート(PBT 融点:235℃ 溶融粘度:120Pa・s)とし、紡糸温度を255℃、延伸倍率を3.0倍としたこと以外は、全て実施例1に従い実施した。
この島成分がPLA、海成分がPBTとした海島複合繊維の評価結果は、表1に示す通りであるが、T/r=2.0であり、耐摩耗性に優れるものであった。また、表面温度130〜200℃に設定した規定のアイロンを用いて、JIS L 1057「織物及び編物のアイロン収縮率試験方法」(2006)に準じて試験を行い、実施例2で得たサンプルの耐熱性を評価した。アイロンの表面温度を5℃毎段階的に変更して評価したところ、180℃まではアイロン処理した編み地にアタリ、硬化が見られず良好な耐熱性を有していることがわかった。一般的にPLA単独からなる繊維においては、同手法での評価において、160℃でもアイロンが接触した部分に融解が発生することからすると、実施例2のサンプルにおいては、実質的にPLAから構成される繊維であるにも関わらず、良好な耐熱性を有していることがわかる。結果を表1に示す。
海成分をナイロン6(N6 融点:225℃ 溶融粘度:130Pa・s)とし、延伸倍率を3.0倍としたこと以外は全て実施例2に従い実施した。
この島成分がPLA、海成分がN6とした海島複合繊維の評価結果は、表1に示す通りであるが、T/r=2.1(最外層厚み:1435nm 島成分径:687nm)であり、耐摩耗性に優れるものであった。結果を表2に示す。
島成分であるPLA比率を50%(実施例4)と変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。この海島複合繊維における断面構成は、PLA比率に変化し、実施例4のサンプルではT/r=4.3(最外層厚み:2472nm 島成分径:580nm)であり、実施例3と同様に耐摩耗性に優れるものであった。結果を表2に示す。
海島構造層における島成分数を700島、最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を2層穿設した分配プレート(図5)を使用し、PLA比率を90%に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。この海島複合繊維における断面構成は、T/r=0.4(最外層厚み:326nm 島成分径:774nm)であり、耐摩耗性評価においては、軽微なフィブリルによる若干の白化が見られるものの、変退色用グレースケールの等級判定において、4級から3−4級に変化する程度であり、実用において問題のないレベルのものであった(耐摩耗性評価:良好(3))。結果を表2に示す。
海島構造層における島成分数を100島(実施例7)および3000島(実施例8/参考例)に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。これらのサンプルでは、いずれも最外層が1435nmの厚みを持って形成されており、島数によって島成分径が変化し、T/r=0.9(実施例7 島成分径:1536nm)、5.1(実施例8/参考例 島成分径:280nm)と変化するものであった。T/r=5.1の実施例8(参考例)のサンプルにおいては、耐摩耗性が非常に優れており、磨耗前後で全く編み地の状態が変化しないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。この編み地について、実施例2に記載されているアイロン処理を表面温度140℃として編み地を加熱圧縮処理した後、編み地からアイロン処理された海島複合繊維を採取した。採取した海島繊維を前述している E.島成分径および島成分径バラツキ(CV%)の手法と同様に、海島複合繊維の断面観察を任意の10箇所について行った。結果、実施例8で採取したサンプルはアイロン処理されているにも関わらず、海成分と島成分が剥離している箇所は一切見られず、最外層厚みと島成分径の関係(T/r)および微細に分割された島成分によって構成される海島構造層の形成により、加熱圧縮処理に対しても優れた耐性を有していることがわかった。実施例6と比較して粗大な島成分によって構成されている実施例7では、耐摩耗性に関しては、磨耗後には海成分が剥離したものと考えられる軽微な粉体が観察され(耐摩耗性評価:良好(3))、実施例9と同様のアイロン処理した場合においては、海成分と島成分との間で部分的に微小な隔離が観察されたが、問題のないレベルであった。結果を表3に示す。
海島構造層における島成分数を10島に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。このサンプルにおいては、T/r=0.3(最外層厚み:1435nm 島成分径:4856nm)であった。
耐摩耗性に関しては、磨耗後には海成分が剥離したものと考えられる粉体が堆積している様子が観察され(耐摩耗性評価:可(2))、ところどころで島成分が露出したものであった。また、実施例8と同様のアイロン処理した場合においては、海成分と島成分との間で隔離が観察され、本発明の海島複合繊維と比較して、加熱圧縮変形の耐性に劣るものであった。結果を表3に示す。
最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を2層穿設した分配プレート(図5)を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
比較例2のサンプルにおいては、本発明で言う最外層形成用の海成分用分配孔を設けていない分配プレートを使用したため、T/r=0.2(最外層厚み:161nm 島成分径:687nm)であり、耐摩耗性に関しては、島成分が所々で露出してフィブリル化しているものであった(耐摩耗性評価:可(2))。また、実施例8と同様のアイロン処理を施した場合には、最外層が薄いため、軽いアタリが出るものであった。
特開2001−192924号公報で記載される従来公知のパイプ型海島複合口金(1つの吐出孔当たり島数:500)を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
紡糸に関しては、問題がなかったものの、延伸工程では、断面の不均一性に起因する糸切れが4.5時間のサンプリング中に2錘で見られた。
得られた海島複合繊維は、T/r=0.2(島成分径:693nm 最外層厚み:104nm)であり、実質的に本発明で言う最外層は形成されていないものであった。更に1島成分当りのポリマー量が低下したことから、海島構造を形成する島成分の形状は部分的異なるものであり、断面形状のバラツキは本発明の海島複合繊維と比較して大きいものであった(島成分径バラツキ:23.0% 異形度バラツキ:25.0%)。比較例1のサンプルでは、この断面観察の際に、島成分の形状バラツキが大きいことによる応力集中が要因と考えられる島成分と海成分の間の剥離が多くの箇所で確認されるものであった。このため、耐摩耗性評価のために、磨耗処理を施した場合には、その処理面に多量のフィブリルおよび粉体が確認されるものであり、島成分が多数露出したものであった。また、実施例8と同様にアイロン処理を施した場合には、部分的に糸割れが発生しているものであった。結果を表3に示す。
従来公知の芯鞘複合口金を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
比較例4においては、実施例2と比較して製糸性(紡糸、延伸)には問題なく糸サンプルを採取することが可能であるものの、断面観察の際にいずれのフィラメントにおいても、全体的に芯成分と鞘成分が剥離しているものであった。
本発明の定義に基づき算出すると、T/r=0.1(0.05)(芯成分径:15360鞘成分厚み(最外層):755nm)であり、耐摩耗性評価では、鞘が割れて芯成分が多く露出したものであった(耐摩耗性評価:不可(1))。結果を表3に示す。
海成分を実施例3で用いたN6(溶融粘度:110Pa・s)とし、JIS K 7210(1999)で測定されるMFR=9g/10minのポリプロピレン(PP 融点:160℃ 溶融粘度:75Pa・s)を島成分として、実施例6で使用した海島複合口金を用い、PP比率70%、紡糸温度270℃として紡糸した。その他に関しては、全て実施例1に従い実施した。
この海島複合繊維における断面構成は、T/r=1.1(最外層厚み:892nm 島成分径:810nm)であり、耐摩耗性評価においては、磨耗前後で変化が見られないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。結果を表4に示す。
海成分を実施例1で用いた共重合PET(溶融粘度:140Pa・s)を用いて紡糸したこと以外は全て実施例9に従い実施した。
この海島複合繊維における断面構成は、T/r=1.0(最外層厚み:840nm 島成分径:810nm)であり、断面観察時に海成分と島成分の界面での剥離は確認されないものであった。更に編み地での評価を行うため、筒編み機にて編み加工を施したサンプルを20倍の拡大鏡にて観察してみても、編み地にフィブリル化などは確認されなかった。この編み地を用いた耐摩耗性評価においては、磨耗前後でサンプルの表面状態に変化が見られないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。また、実施例2で行った耐熱性評価においては、190℃までの加工に耐えるものであり、耐熱性が良好なものであった。この編み地を50℃に加熱した弱水酸化ナトリウム水溶液(NaOH濃度:0.5wt%)にて海成分である共重合PETを99%以上溶出したところ、PPからなるナノファイバー(繊維径:810nm)を採取することができた。このPPナノファイバーは強度3.5cN/dtex、伸度48%と優れた力学特性を有するものであり、かつポリマー由来による耐薬品性を有したものであった。結果を表4に示す。
比較例3に記載される従来公知のパイプ型海島複合口金を使用したこと以外は、実施例10に従い実施した。
この海島複合繊維を紡糸する際には、紡糸工程におけるガイド等に多く島成分(PP)の飛び出しによるフィブリル状のサンプルが多く堆積するものであり、断面観察を実施したところ、複合繊維の断面において、糸割れや島成分が飛び出した箇所が多く見られた。参考までに本発明の定義に基づき評価した断面は、T/r=0.2(最外層厚み:130nm 島成分径:810nm)であり、耐摩耗性評価においては、フィブリルや粉末がサンプルの表層に多く見られるものであり(耐摩耗性評価:不可(1))、高次加工通過性が非常に低いものであった。結果を表4に示す。
比較例3に記載される従来公知のパイプ型海島複合口金を使用し、島成分としてポリエチレンテレフタレート(PET 融点:255℃ 溶融粘度:185Pa・s)、海成分を実施例9で使用したPP(融点:160℃ 溶融粘度:75Pa・s)とし、PET比率50%、紡糸温度280℃で紡糸したこと以外は全て実施例9に従い実施した。ちなみに比較例6に関しては、PET比率70%で複合紡糸を試みたが、紡糸工程におけるガイドや引取りローラにPETからなる極細繊維が多く堆積するものであり、紡糸困難と半眼して、PET比率を50%まで低下させたものである。
比較例6における海島複合繊維は、T/r=0.2(最外層厚み:168nm 島成分径:683nm)であり、耐摩耗性評価においては、PP成分が粉状になって繊維表層に堆積している様子が観察された(耐摩耗性評価:2(可))。また、このサンプルにおける耐熱性を調べるため、実施例2に記載されるアイロン耐熱性評価を実施したところ、比較例6のサンプルにおいては、140℃程度でアタリが観察され、160℃以上では、複合繊維同士が融着するものであった(耐熱温度:140℃)。
島成分を高分子量ポリエチレンテレフタレート(高分子量PET 融点:255℃ 溶融粘度:240Pa・s)とし、海成分をポリフェニレンサルファイド(PPS 融点:280℃溶融粘度:180Pa・s)とし、PET比率を80%、紡糸温度310℃として紡糸した。その他の条件に関しては、実施例1に記載される条件に従い実施した。
島成分を液晶ポリエステル(LCP 融点:290℃ 溶融粘度:20Pa・s)、海成分を実施例11で用いたPET(溶融粘度:150Pa・s)とし、LCP比率80%、紡糸温度340℃として実施例1に従い紡糸した。実施例12については、延伸は行わなかった。
実施例12においても、その他のポリマーの組み合せ同様に問題なく紡糸が可能であり、さらに、島成分がLCPの場合でも、断面の構成、均質性および後加工性に関しても実施例1と同等の性能を有していた。一般にはLCPはその繊維構造に由来してフィブリル化を起こし易いものの、実施例12にて得られたサンプルにおいては、PETが最外層として存在することで耐摩耗性に全く問題のないものであった。結果を表4に示す。
2 島成分
3 島成分の内接円
4 複合繊維
5 海島構造の外接円
6 最外層厚み
7 島成分距離
7−(a) 島成分距離
7−(b) 島成分距離
8 島成分頂点を結んだ直線
9 海成分の内接円
10 計量プレート
11 分配プレート
12 吐出プレート
13 分配溝
13−(a)ポリマーAの分配溝
13−(b)ポリマーBの分配溝
14 環状溝
15 導入孔
16 圧縮孔
17 吐出孔
Claims (4)
- 繊維複合断面において、海成分内に島成分が規則的に配置された海島複合繊維であり、島数が100〜10000島、島成分径が10〜1536nmの範囲であって、近接した2つの島成分間の島成分距離バラツキが1.0〜10.0%、かつ最外層厚み(T)と島成分径(r)との関係が下記式を満足することを特徴とする海島複合繊維。
0.5≦T/r≦5.0・・・(1)
ここで最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円の半径と複合繊維の半径との差によって求められる値であり、最外層に存在する海成分の厚みを意味する - 島成分径バラツキが1.0〜20.0%、異形度バラツキが1.0〜10.0%であることを特徴とする請求項1記載の海島複合繊維。
- 海成分ポリマーの融点が200℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の海島複合繊維。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の海島複合繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
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