JP6303291B2 - 複合繊維 - Google Patents

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本発明は、2種類以上のポリマーにより構成される複合繊維において、繊維軸と垂直方向の繊維断面に島成分とそれを取り囲むように配置された海成分からなる海島複合繊維に関するものであり、高次加工性に優れた複合繊維に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた繊維は力学的特性や寸法安定性に優れるため、衣料用途のみならずインテリアや車両内装、産業用途等幅広く利用されており、産業上の価値は極めて高い。しかしながら、繊維の用途が多様化する現在において、その要求特性も多様なものとなり、しばしば、既存ポリマーでは、対応できない場合がある。これに対して、一からポリマーを分子設計するのでは、コスト的および時間的に課題があり、複数のポリマーの特性を兼ね備えた複合繊維の開発が選択される場合がある。このような複合繊維では、主となる成分を他方の成分が被覆するなどして、単独繊維では達成されない風合い、嵩高性などといった感性的効果、また、強度、弾性率、耐摩耗性などといった力学特性の付与が可能となる。複合繊維にはその形状も含めて、多種多様なものが存在し、その繊維が使われる用途に合わせて、様々な技術が提案されてきた。それらの複合繊維の中でも、海成分の中に多数の島成分を配した、いわゆる海島複合繊維に関する技術開発が盛んに行われている。
海島複合繊維の利用として代表的なものでは、繊維の極細化がある。一般には、易溶解成分の海成分に難溶解成分の島成分を配置しておき、繊維あるいは繊維製品とした後に、易溶解成分を除去することで、島成分からなる極細繊維を採取することができる。繊維径が数ミクロンメートル(μm)以下の極細繊維になると、一般の繊維では得ることができない柔軟なタッチやきめ細やかさを発現し、例えば、人工皮革や新触感テキスタイルとして展開されている。その他にも、繊維間隔の緻密さを利用し、高密度織物とし、防風性や撥水性を必要とするスポーツ衣料にも使用される。また、極細化された繊維は、細かい溝へ入り込み、かつ比表面積の増大や微細な繊維間空隙に汚れが捕捉される。このため、産業資材用途においては、ワイピングクロスやフィルター材料など高い吸着性や塵埃捕集性を利用した用途へ展開されている。このような極細繊維の出発原料となる海島複合繊維には、大きく2種類ある。1つにはポリマー同士をブレンドするポリマーブレンド型、1つには複合口金を活用する複合紡糸型である。
いずれの場合でも、一般には、当該海島繊維の海成分を易溶出性ポリマー、島成分を難溶出性ポリマーとし、一旦複合繊維のまま繊維構造体を形成した後で海成分の溶出処理(脱海処理)を施すことにより、残った極細繊維からなる繊維構造体を得るものである。このような手法では、いわゆる極細繊維を加工するのと比較して、繊維径が大きい複合繊維のまま、高次加工することにより、大きく加工性が向上するものである。しかしながら、複合繊維は織編みや不織布形態とするにはニードルパンチなど比較的過酷な条件で加工されることに加えて、他素材との混繊を行う場合があり、仮撚り加工など高温で処理される場合がある。このような観点から、従来技術を見ると以下の課題があるものであった。
特許文献1では、優れた力学特性、耐熱性、耐摩耗性を脂肪族ポリエステル樹脂組成物に付与することを目的として、脂肪族ポリエステルにポリアミドがブレンドされた海島構造を有した樹脂組成物に関する提案がある。
特許文献1の提案においては、脂肪族ポリエステルとポリアミドの相溶性を高めることにより、ポリアミドからなる島ドメインのサイズを0.001〜10μmまで微分散させ、従来の脂肪族ポリエステルの欠点を克服し、脂肪族ポリエステルを高性能化することが可能であると記載されている。特許文献1の記載を精査すると、耐摩耗性等に優れたナイロン等をブレンドした効果により、軽度の摩擦によるフィブリル化を抑制でき、またアイロンをあてた場合の溶融を抑制するなどといった効果が期待できるとされている。しかしながら、引用文献1の技術においては、ブレンドするポリマーの内、脂肪族ポリエステルが低粘度となるため、例えば、紡糸口金の細孔などにより、ポリマー流にせん断応力がかかると、脂肪族ポリエステルが繊維の最外層にブリードアウトするという課題があり、緻密に押出条件を規制しないと複合繊維の最外層は脂肪族ポリエステルにより構成されることとなる。また、微分散したポリアミドが複合繊維の最外層の周辺にも存在することになるため、加熱雰囲気下で強撚などの過酷な処理を施した場合には、脂肪族ポリエステルが溶融し、さらに装置との擦過等によってポリアミドが脱落するなどして、高次加工の通過性に問題が発生する場合があった。
これは、ポリマーブレンドを主体とした特許文献2、特許文献3および特許文献4でも同じ原理で低粘度成分が繊維最外層にて薄膜を形成し、この周辺には島成分が存在することにより、過度の擦過では該薄膜が破壊され、フィブリル化を発生する等、耐摩耗性が低くなるため、適用できる加工方法や加工条件に制約がある場合があった。さらに、そもそもこれらのポリマーブレンドでは、島成分と海成分でせん断により蓄積される弾性エネルギーが異なるため、紡糸口金等の細孔から溶融吐出した場合には、その挙動の差から吐出された細孔の径よりもポリマー流が拡大する現象であるバラス現象が遅延的に発生し、紡糸線が微細に変動するため、複合繊維径がランダムに変動し、上記した耐摩耗性という観点では、さらに悪化する傾向にある。
このような課題を克服するためには、複合断面を精密に制御できる複合紡糸口金を利用した紡糸方法の適用が考えられる。
特許文献5では、従来公知のパイプ型海島複合口金を用いた海島複合繊維に関する提案がある。特許文献5の請求項4では、繊維外周に最も近い島成分と繊維外周との間隔についての記載があり、この制御により脱海処理を主体とした高次加工の加工性が向上する旨の記載がある。しかしながら、これらの記載を精査すると、実施例に記載される最外層の海成分の厚みは高々150nm程度であり、前述したポリマーブレンド型と比較すれば最外層厚みが厚くなるものの、複合繊維の耐熱性および耐摩耗性の観点では不十分なものであった。このため、ポリマーブレンド型と同様に高次加工の通過性という観点では問題となる場合があった。これは、従来のパイプ型の海島複合口金を用いた場合では、実質的に海成分の制御を行っておらず、最外層の厚みが薄くなってしまうことは、ある意味いたしかたのないものである。
このような従来の海島複合繊維の課題に対しては、海島型構造を更に鞘成分により被覆することにより、高次加工時の繊維のヘタリや割れを抑制することが考えられる。特許文献6では、ポリエチレンで被覆されてなる海島型構造を有する芯成分を、ポリスチレンからなる鞘成分で被覆した構造を特徴とした芯鞘型海島複合繊維に関する提案がある。特許文献6の提案においては、確かに、高絡合で高密度な不織布を得ようとした場合には、最外層のポリスチレン層が芯成分の海島構造部分を保護することにより、パンチ密度を高めた場合でもある程度の繊維のヘタリや割れを抑制することが可能となる。しかしながら、特許文献6の技術においては、例えば、仮撚り加工などで加熱擦過されると、鞘成分ポリマーと芯成分ポリマーが異なるため、芯鞘複合繊維で見られる鞘の剥離や割れが発生する場合があり、耐摩耗性という観点では不十分なものとなる。さらには、実施例を精査すると、芯成分を構成する海島構造部分はポリマーブレンドにて構成されている。この場合、実質的には、前述したポリマーブレンド型の課題である薄い海成分層の周辺に島成分が存在することとなるため、海成分の剥離が起こりやすい構造であり、島成分の比率やブレンド状態をよほど精密に制御しないと、特許文献6の課題として挙げた鞘成分の剥離を助長する場合がある。
このため、繊維からなる布帛を品位高く得るための、耐熱性および耐磨耗性が向上した高次加工性に優れる海島複合繊維が望まれていた。
特開2003−238775号公報(請求の範囲、第3頁、第4頁) 特開2005−200459号公報(請求の範囲、実施例) 特開2010−168683号公報(請求の範囲) 特開2012−241150号公報(請求の範囲) 特開2007−100243号公報(請求の範囲、実施例) 特開2003−3331号公報(請求の範囲、実施例)
本発明は、2種類以上のポリマーにより構成される複合繊維において、繊維軸と垂直方向の繊維断面に島成分とそれを取り囲むように配置された海成分からなる海島複合繊維に関するものであり、高次加工性に優れる海島複合繊維を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により達成される。
(1)繊維複合断面において、海成分内に島成分が規則的に配置された海島複合繊維であり、島数が100〜10000島、島成分径が10〜1536nmの範囲であって、近接した2つの島成分間の島成分距離バラツキが1.0〜10.0%、かつ最外層厚み(T)と島成分径(r)との関係が下記式を満足することを特徴とする海島複合繊維。
0.5≦T/r≦5.0・・・(1)
ここで最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円の半径と複合繊維の半径との差によって求められる値であり、最外層に存在する海成分の厚みを意味する。
)島成分径バラツキが1.0〜20.0%、異形度バラツキが1.0〜10.0%であることを特徴とする(1)載の海島複合繊維。
)海成分ポリマーの融点が200℃以上であることを特徴とする(1)または)に記載の海島複合繊維。
)(1)から()のいずれかに記載の海島複合繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
本発明は、従来技術では主に海成分を溶出することで、島成分からなる極細繊維を発生させるといった極細化技術に利用されていた海島複合繊維の断面形態によって、従来の複合繊維では課題であった高次加工の工程通過性を向上させることに着想したものである。すなわち、従来技術の課題であった成分間の剥離(フィブリル化)や糸割れを海島複合繊維の断面を緻密に制御することによって物理的に解消しようとするものであり、その断面の特徴は、内層には断面形状および径が均質な島成分が海成分内に規則的に配置された海島構造層を海成分からなる最外層が厚みを持って被覆する構造となっている。このため、微細に分割されながらも規則的に配置された海島構造層では、主に糸割れの要因となる圧縮方向の応力が分散されることにより糸割れなどを抑制し、これを保護層となる最外層が被覆することにより、擦過などの繊維軸方向の応力を吸収することで、フィブリル化に対する耐性が大幅に向上し、過酷な条件下で加工される高次加工における工程通過性が大幅に向上したものとなる。
海島複合繊維の島成分の一例の概要図である。 海島複合繊維の断面の一例の概要図である。 海島複合繊維の断面の一例の拡大図である。 本発明の極細繊維の製造方法を説明するための説明図であり、複合口金の一例の概要図である。 分配プレートの一例の概要図である。 吐出プレートの一例の概要図である。
以下、本発明の海島複合繊維について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明で海島複合繊維とは、繊維軸に対して垂直方向の繊維断面に2種類以上のポリマーが複合断面を形成している繊維であり、この複合断面において、一方のポリマーからなる島成分が、他方のポリマーからなる海成分の中に点在する断面構造を有しているものである。本発明の海島複合繊維においては、この海島断面構造が断面の内層部に存在し、この海島断面層においては、圧縮方向の応力分散に優れた断面構造を形成させるという観点から、島成分が微細に分割されていていることが重要である。具体的には、島成分径が10〜1536nmの範囲である必要があり、本発明の海島複合繊維の第一の要件になる。更に剥離が起こり易いポリマーの組合せを想定した場合には、島成分と海成分の接触面積を増大させることが好適である。島成分の重量当りの接触面積は島成分径比の2乗に比例するため、ポリマー界面をより増加させるという観点から本発明における島成分径は10〜1000nmであることが好ましい。
また、前述した圧縮方向の応力分散という考えを推し進めると、本発明における海島構造層の構造はいずれにおいても均質であることが好適であり、その島成分径のバラツキが1.0〜20.0%、異形度のバラツキが1.0〜10.0%というように非常に均質な島成分であり、海成分の中に規則的に配置されていることが好ましい。係る範囲であれば、局所的に粗大な島成分が存在しないことを意味し、高次加工工程における繊維断面内での応力分布が抑制されて、工程通過性が良好なものとなる。特に比較的張力の高い延伸工程や製織工程、更に脱海工程の通過性への効果は大きい。また、繊維断面方向への圧縮変形が加えられる、例えば、仮撚り工程等では、この粗大な島成分が存在しないことが非常に重要である。すなわち、粗大な島成分が存在しないことで、圧縮方向の応力が集中することを抑制し、繊維割れや海成分の剥離の基点が生まれないため、フィブリル化抑制など耐摩耗性の向上効果は非常に大きいのである。
こういった観点から島成分径バラツキは小さいほど好ましく、1.0〜15.0%とすることがより好ましい。特に極性などが異なるポリマーの組み合せ、例えば、ポリエステルとポリアミド、ポリエステルとポリオレフィンなどではポリマーの複合界面における接着性が低く、島成分径にバラツキがあると、応力分布が生まれ、容易に界面剥離が発生しやすく、これらの組み合わせにおいては、島成分径バラツキが1.0〜7.0%であることが特に好ましい範囲として挙げることができる。
また、島成分径バラツキの場合と同様に、ポリエステルとポリアミドや、ポリエステルとポリオレフィンとの組み合わせのように、極性の異なるポリマーで複合繊維とする場合には、ポリマー間で微細な応力で剥離を発生やすい。このため、耐圧縮変形を考えた場合には、島成分の形状も応力集中を抑制するという観点で非常に有効であり、本発明の複合繊維に存在する島成分の異形度バラツキは、小さい方が好ましく、異形度バラツキが1.0〜5.0%の範囲であることがより好ましい。
本発明における島成分径、異形度およびそれらのバラツキは、以下のように求めるものである。すなわち、海島複合繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で150本以上の島成分が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施せば、島成分のコントラストをはっきりさせることができる。繊維断面が撮影された各画像から無作為に抽出した150本の島成分の島成分径を測定する。本発明の島成分径とは、繊維軸に対して垂直方向の切断面を2次元的に撮影した画像において、島成分を内包し、かつ島成分の輪郭と2点以上で外接する最小の真円(島成分の外接円)の径のことを意味する。図1には本発明の要件の説明を明確にするため、歪んだ島成分の一例を示すが、島成分(図1中の2)に外接する真円(図1中の1)の径がここで言う島成分径にあたる。島成分径の値に関しては、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。また、島成分の内接円(図1中の3)は、島成分の輪郭に2点以上で内接し、かつ島成分の外接円と中心を同一にする真円(島成分の内接円)の径を内接円径として、異形度=島成分径÷内接円径から、小数点第3位までを求め、小数点第3位以下を四捨五入したものを本発明においては異形度とした。これらの島成分径および異形度のバラツキ(CV%)は、島成分径および異形度の測定結果をもとにバラツキ(CV%)=(標準偏差/平均値)×100(%)として算出される値であり、小数点第2位以下は四捨五入するものである。以上の操作を、同様に撮影した10画像について行い、10画像の評価結果の単純な数平均値を本発明の言う島成分径バラツキおよび異形度バラツキを意味する。
前述した非常に均質な構造を持った内層部の海島構造層に加えて、更に圧縮方向の応力に加えて、擦過などに対する耐性を向上させるため、本発明の海島複合繊維においては、機械的に緻密に設計された構造を有しており、これが本発明の第2の要件となる。すなわち、海成分からなる最外層の厚みが島成分に対してある一定の比率にあることが本発明の海島複合繊維の重要な要点であり、この最外層厚み(T)と島成分径(r)との関係が0.5≦T/r≦5.0であることが重要である。ここで言う最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の周の頂点を結んだ外接円(図2の5)の半径と複合繊維(図2の4)の半径との差によって求められる値であり、海島構造を取り囲むように配置された海成分からなる層の厚みを意味する。
この最外層厚みを求める方法は以下の通りである。すなわち、前述した島成分径および異形度のバラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面全体が写るように2次元的に撮影する。撮影された画像から、複合繊維の輪郭に2点以上で接する真円の半径を複合繊維の半径として求め、さらに図2中の5のように海島構造の外周に配置された島成分と2個以上接するように外接する真円(外接円)の半径を求める。ここで、いずれの値においても、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。この複合繊維の半径および海島構造部分の外接円の半径を無作為に抽出した10本の繊維について測定し、それぞれの半径の差を数平均した値が、本発明で言う最外層厚みを意味する。
本願の発明者等は、従来の複合繊維の課題である糸割れやポリマー界面の剥離によるフィブリルの発生を解消するために鋭意検討し、この耐性の向上には最外層厚みと島成分径との比を制御することで達成されることを見出し、本発明に至った。すなわち、最外層厚み(T)と島成分径(r)との比(T/r)を0.5以上にすることで、特にポリマー界面の剥離等に対する耐磨耗性が飛躍的に向上することを見出したのである。最外層厚みを係る範囲にすることにより、島成分と海成分からなる最外層との接触面積を増大させることが可能になることに加えて、島成分径に依存して形成される凹凸が発現するアンカー効果が加わることにより、主に擦過などの繊維軸方向の応力を担っていた最外層部分の剥離が大幅に抑制されることとなる。ここで言うアンカー効果とは、被覆する成分が非被覆成分の表層あるいは間に形成される凹凸に入り込むことによりはじめて発現するものであり、さらに、内層部の海島構造層にも海成分が入り込んでいることにより、この剥離抑制効果はより強固なものとなるのである。この効果は、従来のいわゆる芯鞘複合繊維では、全く期待されないものであり、事実、極性の異なるポリマーの組み合せで構成された芯鞘構造においては、鞘割れ等の被覆成分の剥離が発生し易く、高次加工条件の制約を生む場合があった。この界面剥離の要因となる島/海界面でのせん断応力は、そのエネルギーが一定の場合には、島成分径に正比例し、複合繊維の表層との距離に反比例する。このため、本発明で言う最外層厚みと島成分径との関係が界面剥離を抑制し、耐摩耗性を向上させるためには非常に重要なのである。この界面剥離のメカニズムと複合断面の構成パラメータについて鋭意検討した結果、最外層厚み(T)と島成分径(r)との比(T/r)とせん断応力のとの相関関係を発見した。また、この発見を利用して、T/rの増加により、特に繊維表層部でのポリマー界面剥離が大幅に抑制されることを見出したのである。
従来の複合繊維の耐摩耗性を大幅に改善し、高次加工の通過性や布帛の品位を向上させるという本発明の目的効果を達成するためには、T/rを0.5以上にすることが重要である。このT/rの値は、基本的には増加するほど耐磨耗性が向上する傾向にある。しかしながら、最外層厚みが過剰に増加すると、島成分との界面はアンカー効果も手伝い強固に固定されているため、複合繊維の表層では、せん断エネルギーが蓄積し、ポリスチレンや共重合ポリエステルなどの非晶ポリマー等では、このギャップにより最外層部分の中層部でせん断破壊が起こる場合がある。このため、海成分の表層部分が複合繊維から剥がれ落ちるなどの現象を予防するという観点からT/r値の上限値は5.0である。
最外層への海成分ポリマー配置を適正量とし、海島構造層への海成分ポリマー配置を増加させ、海島構造の均質性を高めるという観点から、0.5≦T/r≦5.0とするまた、このような島成分と海成分の界面剥離と最外層部分の破壊のバランスが向上するという観点では、0.7≦T/r≦3.0がより好ましい範囲である。係る範囲であれば、組み合わせるポリマーの圧縮変形挙動などの機械特性差や相溶性に伴うポリマー界面の接着性が低い場合でも、剥離等に対する耐性が物理的に向上するため、どのようなポリマーの組み合わせでも、本発明の言う耐摩耗性が向上した海島複合繊維となる。
本発明の海島複合繊維は、その断面形態において、優れた均質性を有したものであり、紡糸性や延伸性といった製糸性および高次加工の工程通過性という点で優れたものである。
さらに、高次加工で加えられる加熱雰囲気下での圧縮変形やせん断変形を想定した場合には、以上のような島成分の均質化および最外層厚み等に加えて、下記の点を緻密に制御すると更に本発明の効果が顕著なものとなる。
すなわち、本発明の海島複合繊維においては、海島構造層に存在する島成分の1本1本が実質的にほぼ同じ形状をしており、これが等間隔で規則正しく配列されていることで本発明の効果がより一層際立ったものとなる。その配列の規則性は、島成分間の距離として定義することができ、近接した2つの島成分距離バラツキが1.0〜20.0%であることが好ましい。島成分距離とは、図3中の7((a)、(b))に示すように、近接する2つの島成分の中心間の距離を意味し、この島成分の中心とは、前述した島成分の外接円(図1中の1)の中心を言う。この島成分距離は、前述した島成分径や異形度のバラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影し、無作為に抽出した150箇所について測定し、求めるものである。ここで言う島成分距離バラツキとは、島成分距離の平均値および標準偏差から、島成分距離バラツキ(島成分距離CV%)=(島成分距離の標準偏差/島成分の平均値)×100(%)として算出される値であり、小数点2桁目以下は四捨五入するものである。この値を同様に撮影した10画像について評価し、10画像の結果の単純な数平均が本発明で言う島成分距離バラツキを意味する。この島成分距離バラツキが、1.0〜20.0%の範囲であれば、海島複合繊維の断面において、島成分が規則正しく配置されていることとなるため、力学的性能の付与による高性能複合繊維として活用することができる。また、本発明の海島複合繊維を衣料用などのテキスタイルに適用する場合には、発色性などの色調もその特性として求められる場合があり、島成分が乱雑に配置されることによる光の散乱を抑制し、布帛の白ボケを抑制するという観点では、島成分距離のバラツキは小さい方が好適であり、島成分距離バラツキは1.0〜10.0%であることがより好ましい。逆にこの効果を応用すれば、薄膜干渉の効果を利用して、複合繊維に構造発色などといった光学的な効果を付与することも可能であり、島成分および海成分の配置アレンジによっては、透過光および反射光の波長選択機能も発現させることも可能である。
以上のような複合繊維としての力学特性や光学特性の向上といった観点では、島成分が緻密に規則配置されていることが好適であり、図3に例示する通り、近接した4つの島成分において、隣り合う2つの島成分の中心を結んだ直線同志(図3中の7−(a)(島成分の中心を結んだ直線1)および7−(b)島成分の中心を結んだ直線2))が平行関係にあることが好ましい。ここで言う平行関係とは、下記の通り定義するものである。すなわち、図3中の7−(a)と7−(b)に交わる第3の直線(図3中の8)を引いた際に、その内角(図3中θaおよびθb)の和が175°〜185°にあることを意味する。島成分の平行関係の評価においては、島成分径および島成分径バラツキの場合と同様に撮影した海島複合繊維の断面において、無作為に摘出した100箇所について、前述の通りθaおよびθbの和を小数点第1位まで測定し、この平均値の小数点以下を四捨五入して求めた値が、175°〜185°の範囲内であれば、平行関係にあるとした。以上の評価を同様に撮影した10画像について、評価するものである。
このような島成分の規則的な配列は、製糸および後加工で複合繊維にかかる張力を複合繊維の断面で均等に担うという効果が生まれ、製糸性や後加工性が大きく向上する。特に海島複合繊維の場合では、糸切れなどが多くおのずと2000m/min以下の低紡速での製糸を強いられるが、本発明の海島複合繊維では3000m/min以上の高紡速でも糸切れなどを起こすことなく、紡糸することが可能である。また、この際にも紡糸応力に偏りがなく、断面方向に均一に分散するため、品位に優れたものとなる。このような島成分の規則的な配列は、前述した同様の効果によって比較的高い応力を受ける高次加工においても有効に作用することは言うまでもなく、優れた工程通過性を示す。
さらに、高次加工で加えられる加熱雰囲気下での圧縮変形やせん断変形を考える場合には、以上のような島成分の均質化等に加えて、海成分の均質性も着目すべき要件である。このため、本発明においては、海島複合断面において、近接した3つの島成分に囲まれた海成分における海成分径バラツキが1.0〜20.0%であることが好ましい。
ここで言う海成分径バラツキとは、前述した島成分径および異形度のバラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影する。この画像から、図3中の9に示すように、近接する3つの島成分(図3中の2)の周に接する真円の径を本発明で言う海成分径とした。この海成分径を無作為に抽出した150箇所について測定し、海成分径の平均値および標準偏差から、海成分径バラツキ(海成分径CV%)を求めた。海成分径バラツキとは、(海成分径の標準偏差/海成分径の平均値)×100(%)として算出される値であり、小数点第2位以下は四捨五入するものである。また、これまでの断面形態の評価と同様に、10画像について、同様の評価を行い、この10画像の評価結果の単純な数平均を本発明の海成分径バラツキとした。
海成分の形状バラツキがあると、特に圧縮応力を付与された場合に、その部分に応力集中が起こり、繊維割れの基点となる場合があるため、この繊維割れに対する耐性をさらに向上させるという観点では、この海成分径バラツキは小さい方が好適であり、1.0〜10.0%であることがより好ましい。
本発明の海島複合繊維は、破断強度が0.5〜10.0cN/dtexであり、伸度が5〜700%であることが好ましい。ここで言う、強度とは、JIS L1013(1999年)に示される条件でマルチフィラメントの荷重−伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期の繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。また、初期の繊度とは、求めた繊維径、フィラメント数および密度から算出した値、もしくは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの重量を算出した値を意味する。本発明の海島複合繊維の破断強度は、高次加工の工程通過性や実使用に耐えうるものとするためには、0.5cN/dtex以上とすることが好ましく、実施可能な上限値は10.0cN/dtexである。また、伸度についても、高次加工通過性から繊維の靭性を考慮すれば、5%以上であることが好ましく、実施可能な上限値は700%である。破断強度および伸度は、目的とする用途に応じて、製造工程における条件を制御することにより、調整が可能であり、その他の収縮特性や染色性を考慮して決定することができる。本発明の海島複合繊維ならびに、海成分を易溶出ポリマーとし、脱海処理を施すことで発生させた極細繊維をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、破断強度が1.0〜4.0cN/dtex、伸度が20〜40%とすることが好ましい。また、比較的使用状況が過酷になる、スポーツ衣料用途などでは、破断強度が3.0〜5.0cN/dtex、伸度が10〜40%とすることが好ましい。
本発明の海島複合繊維は、耐摩耗性に優れることに加えて、海成分のポリマーを後述するポリマーから選択することにより、例えば、耐熱性の低いポリマーからなる島成分を耐熱性の高いポリマーで被覆することで高耐熱複合繊維として利用することも可能である。ポリ乳酸などのポリマーにおいては、他の生分解性ポリマーと比較して、特性バランスに優れるものの、融点が160℃程度であるため、ポリ乳酸単独繊維では、仮撚り加工をはじめとする加熱処理を伴う高次加工の処理条件に制約がある場合があった。これは、繊維では良く行われる混繊を考慮した場合には、混繊させる他素材の選択が狭まり、用途展開の制約となる場合がある。一方、本発明の海島複合繊維においては、海成分からなる最外層厚みを有しているため、海成分に耐熱性の高いポリマーを配置すれば、この海成分が表層の耐熱性を負担することができるため、その複合繊維は海成分の特性に応じた耐熱性を持つこととなる。
また、海成分に剛性のあるポリマーを配置した場合には、複合繊維のヘタリや剛性性までも改善することが可能となる。昨今の環境問題に対する関心の高まりから、植物由来のポリマーの利用が高まるなかで、ポリ乳酸をはじめとするバイオマスポリマーの利用拡大が検討されている。一方、他のバイオマスポリマーと比較して、ポリ乳酸は力学特性に優れるものの、圧縮変形が繰り返し加えられるカーペット等の用途には、ヘタリという観点で要求特性を満足せず、なかなか展開が進まないものであった。一方で、本発明の海島複合繊維においては、島成分をポリ乳酸とし、海成分をポリエステルなどの剛性に優れるポリマーとすることで、剛性が大幅に向上し、課題であった使用時のヘタリ(立毛つぶれ)が抑制されるものとなる。
更に、海成分を融点が低いポリマーとし、海島複合繊維のまま、一旦不織布として加工し、これに海成分の融点±20℃の加熱処理を施すと、その不織布は海島複合繊維が接触面において、融着したシート状物になるため、本発明の海島複合繊維からなるシート状物は優れた高次加工通過性を発現することは言うまでもない。
本発明の海島複合繊維は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な中間体とし、脱海処理するなどして極細繊維を発生させ、様々な繊維製品とすることが可能である。また、本発明の海島複合繊維は、未処理のまま、部分的に海成分を除去させる、あるいは脱島処理をするなどして繊維製品とすることも可能である。ここで言う繊維製品は、ジャケット、スカート、パンツ、下着などの一般衣料から、スポーツ衣料、衣料資材、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシートなどの車輌内装品、化粧品、化粧品マスク、ワイピングクロス、健康用品などの生活用途や研磨布、フィルター、有害物質除去製品、電池用セパレーターなどの環境・産業資材用途や、縫合糸、スキャフォールド、人工血管、血液フィルターなどの医療用途に使用することができる。
以下に本発明の海島複合繊維の製造方法の一例を詳述する。
本発明の海島複合繊維は、従来公知のパイプ型の海島複合口金を用いて製造してもよいが、パイプ型口金では本発明のような複合断面形態を緻密に制御する必要がある海島複合繊維を製造することは非常に困難なことである。それは、本発明の海島複合繊維を製造するためには、10-1g/min/holeから10−5g/min/holeオーダと従来の複合紡糸技術で用いられている吐出条件よりも数桁低い極少なポリマー流量を制御する必要があり、このため、本発明の海島複合繊維には、特開2011−174215号公報に記載される海島複合口金を用いた方法が好適に用いられる。
本発明に用いる複合口金の一例について、図面(図4〜図6)を用いて更に詳述する。
図4は、本発明に用いる海島複合口金の一例を模式的に説明するための側面図、図5は分配プレートの平面図であり、それぞれが一つの吐出孔に関わる溝および孔として記載したものである。図6は本発明に用いる吐出プレートの側面図である。
図4に示した複合口金は、ポリマーA(島成分)およびポリマーB(海成分)といった2種類のポリマーを用いた例であり、上から計量プレート10、分配プレート11および吐出プレート12の大きく3種類の部材が積層された状態で紡糸パック内に組み込まれ、紡糸に供される。この口金部材では、計量プレート10が各吐出孔および海と島の両成分の分配孔当たりのポリマー量を計量して流入し、分配プレート11によって、単(海島複合)繊維の断面における海島複合断面および島成分の断面形状を制御、吐出プレート12によって、分配プレート11で形成された複合ポリマー流を圧縮して、吐出するという役割を担っている。複合口金の説明が錯綜するのを避けるために、図示されていないが、計量プレート10より上に積層する部材に関しては、紡糸機および紡糸パックに合わせて、流路を形成した部材を用いれば良い。ちなみに、計量プレート10を、既存の流路部材に合わせて設計することで、既存の紡糸パックおよびその部材がそのまま活用することができる。このため、特に該複合口金のために紡糸機を専有化する必要はない。
また、実際には流路−計量プレート間あるいは計量プレート10−分配プレート11間に複数枚の流路プレート(図示せず)を積層すると良い。これは、口金断面方向および単繊維の断面方向に効率よく、ポリマーが移送される流路を設け、分配プレート11に導入される構成とすることが目的である。吐出プレート12より吐出された複合ポリマー流は、従来の溶融紡糸法に従い、冷却固化後、油剤を付与され、規定の周速になったローラで引き取られて、海島複合繊維となる。
計量プレート10では、ポリマーAとポリマーBとが、計量プレートのポリマーA用計量孔およびポリマーB用計量孔に流入し、下端に穿設された孔絞りによって、計量された後、分配プレート11に流入される。ここで、ポリマーAおよびポリマーBは、各計量孔に具備する絞りによる圧力損失によって計量される。この絞りの設計の目安は、圧力損失が0.1MPa以上となることである。一方、この圧力損失が過剰になって、部材が歪むのを抑制するために、30.0MPa以下となる設計とすることが好ましい。この圧力損失は計量孔毎のポリマーの流入量および粘度によって決定される。例えば、温度280℃、歪速度1000s−1での粘度で、100〜200Pa・sのポリマーを用い、紡糸温度280〜290℃、計量孔毎の吐出量が0.1〜5.0g/minで溶融紡糸する場合には、計量孔の絞りは、孔径0.01〜1.00mm、L/D(吐出孔長/吐出孔径)0.1〜5.0であれば、計量性よく吐出することが可能である。ポリマーの溶融粘度が上記粘度範囲より小さくなる場合や各孔の吐出量が低下する場合には、孔径を上記範囲の下限に近づくように縮小あるいは/または孔長を上記範囲の上限に近づくように延長すれば良い。逆に高粘度であった場合や吐出量が増加する場合には、孔径および孔長をそれぞれ逆の操作を行えばよい。また、この計量プレート10を複数枚積層して、段階的にポリマー量を計量することが好ましく、2段階から10段階に分けて計量孔を設けることがより好ましい。
計量プレート10から吐出されたポリマーは、分配プレート11の分配溝13に流入される。ここで、計量プレート10と分配プレート11との間には、計量プレートに穿設される計量孔と同数の溝を配置して、この溝長を下流に沿って断面方向に徐々に延長していくような流路を設け、分配プレートに流入する以前にポリマーAおよびポリマーBを断面方向に拡張しておくと、海島複合断面の安定性が向上するという点で好ましい。
分配プレート11では、計量プレート10から流入したポリマーを合流するための分配溝13(13−(a)(分配溝1)および13−(b)(分配溝2))とこの分配溝の下面にはポリマーを下流に流すための分配孔が穿設されている。この分配プレートは、複数枚積層されることで、一部で各ポリマーが個別に合流−分配が繰り返されることが好ましい。
このような構造を有した複合口金は、前述したようにポリマーの流れが常に安定化したものであり、島成分が規則正しく配列された海島構造を形成させることが可能となる。ここでポリマーAの分配孔(島数)は、理論的には2本からスペースの許す範囲で無限に作製することは可能である。但し、本発明の効果である耐摩耗性を向上するため、島成分と海成分の接触面積を高め、海成分と島成分の剥離を抑制する観点から、本発明においては、100〜10000島であり、島充填密度は、0.1〜20.0島/mmの範囲であれば良い。この島充填密度という観点では、1〜20.0島/mmが好ましい範囲である。ここで言う島充填密度とは、単位面積当たりの島数を表すものであり、この値が大きい程多島の海島複合繊維の製造が可能であることを示す。ここで言う島充填密度は、1吐出孔から吐出される島数を吐出導入孔の面積で除することによって求めた値である。この島充填密度は各吐出孔によって変更することも可能である。
複合繊維の断面形態ならびに島成分の断面形状は、吐出プレート10直上の分配プレート11におけるポリマーAおよびポリマーBの分配孔の配置により制御することができる。ここで、この複合口金においては、海島複合断面において、ポリマーAとポリマーBの両者をドット(点)配置させ、海成分を直接配置することが本発明の海島複合繊維を得るためには、好適なことなのである。
本発明の海島複合繊維の特徴である海成分からなる最外層を形成させるためには、最外層用海成分の分配孔を海島構造形成部分とは別に穿設しておき、この海成分用分配孔の数、配置および吐出量を海島複合断面の設計に応じて決定すれば良い。これは、例えば、図5に示すように、吐出プレート12直上の分配プレート11に、分配孔を底面に穿設した環状溝14を設置すると良い。この環状溝15は海島複合繊維で必要となる最外層厚みに応じて2環以上に設置することも可能である。但し、この環状溝を過剰に設置すると、海島部分の設計に制約を作り、その他の流路の設計を複雑にする場合があるため、実施的には、5環以内にすることが好適である。
分配プレート11によりポリマーAおよびポリマーBによって構成された複合ポリマー流は、吐出プレート12に流入される。ここで、吐出プレート12には、吐出導入孔15を設けることが好ましい。吐出導入孔15は、分配プレート11から吐出された複合ポリマー流を一定距離の間、吐出面に対して垂直に流すためのものである。これは、ポリマーAおよびポリマーBの流速差を緩和させるととともに、複合ポリマー流の断面方向での流速分布を低減させることを目的としている。この流速比の緩和がほぼ完了するという観点から、複合ポリマー流が縮小孔16に導入されるまでに10−1〜10秒(=吐出導入孔長/ポリマー流速)を目安として吐出導入孔を設計することが好ましい。係る範囲であれば、流速の分布は十分に緩和され、断面の安定性向上に効果を発揮する。
次に、複合ポリマー流は、所望の径を有した吐出孔に導入する間に縮小孔16によって、ポリマー流に沿って断面方向に縮小される。ここで、複合ポリマー流の中層の流線はほぼ直線状であるが、外層に近づくにつれ、大きく屈曲されることとなる。本発明の海島複合繊維を得るためには、ポリマーAおよびポリマーBを合わせると無数のポリマー流によって構成された複合ポリマー流の断面形態を崩さないまま、縮小させることが好ましい。このため、この縮小孔の孔壁の角度は、吐出面に対して、30°〜90°の範囲に設定することが好ましい。
前述したように導入孔長、縮小孔壁の角度を考慮することで、分配プレートで形成された断面形態を維持して、吐出孔17から紡糸線に吐出される。この吐出孔17は、複合ポリマー流の流量、すなわち吐出量を再度計量する点と紡糸線上のドラフト(=引取速度/吐出線速度)を制御する目的がある。吐出孔17の孔経および孔長は、ポリマーの粘度および吐出量を考慮して決定するのが好適である。本発明の海島複合繊維を製造する際には、吐出孔径は0.1〜2.0mm、L/D(吐出孔長/吐出孔径)は0.1〜5.0の範囲で選択することができる。
本発明の海島複合繊維の断面形態を達成するためには、前述した複合口金の設計に加えて、ポリマーAおよびポリマーBの粘度比(ポリマーA/ポリマーB)を0.2〜10.0とすることが好ましい。基本的には分配孔の配置によって、島成分の拡張範囲は制御されるものの、吐出プレートの圧縮孔16によって、合流し、断面方向に縮小されるため、その時のポリマーAおよびポリマーBの溶融粘度比、すなわち、溶融時の剛性比が断面の形成に影響を与える場合がある。特に本発明の海島複合繊維においては、最外層厚みを設けた特殊な海島複合繊維であるため、圧縮孔16の孔壁と複合ポリマー流とでせん断応力が高くなる場合がある。この場合、最外層の海成分がそのせん断応力により流速分布を生じ、ポリマーの組み合わせによっては、海島構造部分が複合繊維の中心部に配置されない場合がある。このため、ポリマーA/ポリマーB=1.0〜5.0とするのがより好ましい範囲である。
本発明の海島複合繊維に用いるポリマーA(島成分)およびポリマーB(海成分)は、例えば、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。ここで前述した溶融粘度比を考慮して、各成分の分子量等を調整すると本発明の海島複合断面の形態の均質性をさらに向上させるという観点から好ましい。
本発明の海島複合繊維においては、耐摩耗性を大幅に改善させることを目的としており、特に、複合繊維の外周に配置される海成分においては、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ乳酸が好ましい。さらに、耐熱性という観点では、融点が200℃以上あると、乾熱や湿熱などの加熱処理を加える高次加工の通過性が大幅に改善される。この加熱処理に対する耐性が向上すると、例えば、本発明の海島複合繊維と他素材との混繊を想定した場合には、その加熱温度の制約がなく、本発明の海島複合繊維の特性に加えて、他素材の特性と付与した織編物とすることが可能となるため、幅広い用途展開を可能にすることができるという点で非常に好適なのである。また、本願発明の海島複合繊維を脱海せず使用する場合には、前述した融点をもったポリマーにて被覆されていることで、一般に、200℃程度であるアイロン処理も可能である。また、本発明の海島複合繊維は他の素材との混繊をすることで、風合いや光沢感など布帛の特性として様々な特性を発現させることができるが、この他素材との組合せを考えた場合には、この耐熱性が高いほど好ましく、海成分ポリマーの融点は230℃以上であることがより好ましい。また、本発明の海島複合繊維を耐熱性の必要となる産業資材用途への展開を考える場合には、この融点は更に高温であることが好適であり、海成分ポリマーの融点は、250℃以上であることが更に好ましい。
本発明における融点とは、示差走査熱量測定(DSC)で観測される融解ピークのピークトップ温度を意味し、具体的な測定方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、サンプルとして10mgを計量し、アルミパンに封入後、Perkin Elmaer DSC−7に設置して、昇温速度16℃/分で測定を行う。そして、2nd runにおいてそのポリマーの融解ピークのピークトップ温度をそのポリマーの融点として求めたものである。
本発明の海島複合繊維から極細繊維を発生させるためには、島成分と比較して海成分を溶剤にて溶出し易い易溶出ポリマーとして製糸し、脱海処理を施せば良い。この場合の海成分ポリマーの例としては、ポリエステルおよびその共重合体、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、ポリビニールアルコールなどの溶融成形可能で、他の成分よりも易溶解性を示すポリマーから選択すると良い。易溶出成分としては、水系溶剤あるいは熱水などに易溶解性を示す共重合ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニールアルコールなどが好ましく、特に、ポリエチレングリコール、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独あるいは組み合わされて共重合したポリエステルやポリ乳酸を用いることが紡糸性および低濃度の水系溶剤に簡単に溶解するという観点から好ましい。また、脱海性および発生する極細繊維の開繊性という観点では、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独で共重合されたポリエステルが特に好ましい。極細繊維を発生させる場合の難溶出成分(島成分)および易溶出成分(海成分)の組み合わせは、目的とする用途に応じて難溶出成分を選択し、難溶出成分の融点を基準に同紡糸温度で紡糸可能な易溶解成分を選択すれば良い。また、本発明の海島複合繊維から極細繊維を発生させる場合には、極細繊維の断面形状の安定性および力学物性保持という観点から、脱海に使用する溶剤に対する難溶解成分と易溶解成分の溶解速度差が大きいほど好ましく、3000倍までの範囲を目安に前述したポリマーから組み合わせを選択すると良い。
本発明の海島複合繊維から極細繊維を採取するのに好適なポリマーの組み合わせとしては、融点の関係から海成分を5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1〜10モル%あるいは/またはポリエチレングリコールが1〜20モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート、島成分をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、海成分をポリ乳酸、島成分をナイロン6、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好適な例として挙げられる。易溶出成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが共重合された共重合PETやポリ乳酸(PLA)等の場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いることができる。本発明の複合繊維をアルカリ水溶液にて処理する方法としては、例えば、複合繊維あるいはそれからなる繊維構造体とした後で、アルカリ水溶液に浸漬させればよい。この時、アルカリ水溶液は50℃以上に加熱すると、加水分解の進行を早めることができるため、好ましい。また、流体染色機などを利用し、処理すれば、一度に大量に処理をすることができるため、生産性もよく、工業的な観点から好ましいことである。
本発明に用いる海島複合繊維を紡糸する際の紡糸温度は、2種類以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度ポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解等することなく、分子量低下が抑制されるため、好ましい。
本発明に用いる海島複合繊維を紡糸する際の吐出量は、実用的な範囲として吐出孔当たり0.1g/min/hole〜40.0g/min/holeを挙げることができる。この際、吐出の安定性を確保できる吐出孔における圧力損失を考慮することが好ましい。ここで言う圧力損失は、0.1MPa〜40MPaを目安にポリマーの溶融粘度、吐出孔径、吐出孔長との関係から吐出量を係る範囲より決定することが好ましい。
本発明に用いる海島複合繊維を紡糸する際の島成分(ポリマーA)と海成分(ポリマーB)の比率は、吐出量を基準に海/島比率で5/95〜95/5の範囲で選択することができる。但し、海島複合断面の長期安定性という観点から、本発明の海島複合繊維が安定性を維持しつつ製造できる範囲として、この海/島比率は、20/80〜70/30がより好ましく、係る範囲であれば、海島構造部分および最外層部分ともに精度良く形成させることができる。
このように吐出された海島複合ポリマー流は、冷却固化されて、油剤を付与されて周速が規定されたローラによって引き取られることにより、海島複合繊維となる。ここで、この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、本発明に用いる海島複合繊維を安定に製造するには、100〜7000m/minの範囲とすることが好ましい。この海島複合繊維は、高配向とし力学特性を向上させるという観点から、一旦巻き取られた後で延伸を行うことも良いし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行うことも良い。
この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラと結晶化温度相当とした第2ローラの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取られ、図7のような海島複合繊維断面を有する複合繊維を得ることができる。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、複合繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。ここで、延伸倍率を高め、力学物性を向上させるという観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
以上のように、本発明の海島複合繊維の製造方法を一般の溶融紡糸法に基づいて説明したが、メルトブロー法およびスパンボンド法でも製造可能であることは言うまでもなく、さらには、湿式および乾湿式などの溶液紡糸法などによって製造することも可能である。
以下実施例を挙げて、本発明の極細繊維について具体的に説明する。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
A.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
B.ポリマーの融点
Perkin Elmear DSC−7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.繊度
海島複合繊維の100mの重量を測定し、それを100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊度とした。海島複合繊維から発生させた極細繊維の繊度に関しては、1mの重量を測定し、それを10000倍することで繊度とした。
D.繊維の力学特性
海島複合繊維および海島複合繊維から発生させた極細繊維をオリエンテック社製引張試験機 テンシロン UCT−100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で応力−歪曲線を測定する。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで破断強度を算出し、破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を100倍することで、破断伸度を算出した。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、小数点第2位を四捨五入した値である。
E.島成分径および島成分径バラツキ(CV%)
海島複合繊維をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面をT(株)日立製作所製 H−7100FA型透過型電子顕微鏡(TEM)にて島成分が150本以上観察できる倍率で撮影した。この画像から無作為に選定した150本の島成分を抽出し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての島成分径を測定し、平均値および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式を基づき繊維径CV%を算出した。
島成分径バラツキ(CV%)=(標準偏差/平均値)×100
以上の値は全て10ヶ所の各写真について測定を行い、10ヶ所の平均値とし、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。
F.島成分の異形度および異形度バラツキ(CV%)
前述した島成分径および島成分径バラツキと同様の方法で、島成分の断面を撮影し、その画像から、切断面に外接する真円の径を島成分径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、異形度=島成分径÷内接円径から、小数点第3位までを求め、小数点第3位以下を四捨五入したものを異形度として求めた。この異形度を無作為に抽出した150本の島成分について測定し、その平均値および標準偏差から、下記式に基づき異形度バラツキ(CV%)を算出した。
異形度バラツキ(CV%)=(異形度の標準偏差/異形度の平均値)×100(%)
この異形度バラツキについては、10ヶ所の各写真について測定を行い、10ヶ所の平均値とし、小数点第2位以下は四捨五入するものである。
G.海島複合繊維の最外層厚み
前述した島成分径および異形度のバラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面全体が写るように2次元的に撮影する。撮影された画像から、複合繊維の輪郭に2点以上で接する真円の半径を複合繊維の半径として求め、さらに図2中の5のように海島構造の外周に配置された島成分と2個以上接するように外接する真円(外接円)の半径を求める。ここで、いずれの値においても、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。この複合繊維の半径および海島構造部分の外接円の半径を無作為に抽出した10本の海島複合繊維について測定し、それぞれの半径の差を単純な数平均を行ない、最外層厚みとした。ここで言う最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円(図2の5)の半径と複合繊維(図2の4)の半径との差によって求められる値であり、海島構造を取り囲むように配置された海成分からなる層の厚みを意味する。
H.海成分径バラツキおよび海成分径比
前述した島成分径および島成分径バラツキと同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影する。この画像から、図2中の5に示すように、近接する3つの島成分(図2中の2)に内接する真円の径を本発明で言う海成分径とした。この海成分径を無作為に抽出した150箇所について、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて測定し、平均値および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式を基づき海成分径(CV%)を算出した。
海成分径バラツキ(CV%)=(標準偏差/平均値)×100
10画像について、同様の評価を行い、この10画像の評価結果の単純な数平均の小数点第2位以下は四捨五入して求めた値が海成分径バラツキとした。
また、海成分径を島成分径で除することにより、算出した値の小数点第3位以下を四捨五入して求めた値を海成分径比とした。
I.島成分の配置評価
島成分の中心を島成分の外接円(図1中の1)の中心とした場合に、島成分距離とは、図3中のに示すように、近接する2つの島成分の中心間の距離として定義される値である。この評価は、前述した島成分径と同様の方法で、海島複合繊維の断面を2次元的に撮影し、無作為に抽出した150箇所について、島成分距離を測定する。この島成分距離バラツキとは、島成分距離の平均値および標準偏差から、島成分距離バラツキ(島成分距離CV%)=(島成分距離の標準偏差/島成分の平均値)×100(%)として小数点以下は四捨五入算出する。この値を同様に撮影した10画像について評価し、10画像の結果の単純な数平均を島成分距離バラツキとして評価した。
また、撮影した画像の無作為に抽出した近接した4つの島成分100箇所について、図3中の−(a)、−(b)およびのように直線を引き、θaおよびθbの和(図3)を小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入して、平均値を求めた。以上の評価を同様に撮影した10画像について、評価した。
J.耐摩耗性評価
アピアランス形ピリングテスター(インテック株式会社製)を用いて、JIS L 1076 6. 3. C法(2001)「織物及び編物のピリング試験方法」に準じて試験を行い、布帛の耐摩耗性を下記の4段階評価にて評価した。この4段階評価は磨耗処理後4時間以上放置した布帛の磨耗面を20倍の拡大鏡で磨耗面を観察し、下記の基準にて判定するものである。同評価をn数=10で行い、その数値の平均値からサンプルの耐摩耗性を評価した。
4:繊維表層にフィブリル、粉体が観察されない。
3:繊維表層に軽微なフィブリル、粉体が観察される。
2:繊維表層にフィブリル、粉体が堆積している。
1:繊維表層に多量なフィブリル、粉体が堆積している。
実施例1
島成分として、ポリ乳酸(PLA 融点:165℃ 溶融粘度:90Pa・s)と、海成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%および分子量1000のポリエチレングリコール(PEG)を共重合したPET(共重合PET 融点:235℃ 溶融粘度:140Pa・s)を270℃で別々に溶融後、計量し、図4に示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、吐出プレート直上の分配プレートには、1つの吐出孔当たり島成分用として、500の分配孔が穿設されており、最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を6層穿設した分配プレート(図5)を使用した。また、吐出導入孔長(図6の15)は5mm、縮小孔(図6の16)の角度は45°、吐出孔径0.5mm、吐出孔長/吐出孔径は1.5のものである。
ポリ乳酸の比率は重量比で70%として吐出し、複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与して、紡糸速度1500m/minで巻き取った。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で延伸速度800m/minで4.0倍延伸し、最終的に50dtex−15フィラメントとした。なお、本願発明の海島複合繊維は、共重合PETからなる最外層が1395nm形成されており、T/r=2.0(島成分径:687nm)、表1に示す通り海島構造層の構成が非常に均質なため、紡糸工程における引取ローラや糸道ガイドなどの擦過により、複合繊維の割れや島成分の飛び出しはなく、計10錘の延伸機で4.5時間サンプリングをおこなったが、糸切れ錘は0錘と延伸性でも優れたものであった。
また、高次加工における耐摩耗性を判断するため、得られた海島複合繊維を2本合糸して筒編機(栄光産業社製)にて筒編みとし、その表面を20倍の拡大鏡によって観察したところ、繊維にフィブリルや糸割れは一切観察されなかった。更に、上記した評価方法によって、編み地の耐摩耗性を調べたが、磨耗処理前後で布帛の表面状態(色調、フィブリル化など)に一切の変化はなく、良好な耐摩耗性を有していることがわかった(耐摩耗性評価:優良(4))であった。結果を表1に示す。
ちなみに、この編み地を50℃に加熱した弱水酸化ナトリウム水溶液(NaOH濃度:0.5wt%)にて海成分である共重合PETを99%以上溶出したところ、PLAからなるナノファイバー(繊維径:680nm)を採取することができた。このPLAナノファイバーは強度2.5cN/dtex、伸度34%と優れた力学特性を有するものであった。
実施例2
海成分をポリブチレンテレフタレート(PBT 融点:235℃ 溶融粘度:120Pa・s)とし、紡糸温度を255℃、延伸倍率を3.0倍としたこと以外は、全て実施例1に従い実施した。
この島成分がPLA、海成分がPBTとした海島複合繊維の評価結果は、表1に示す通りであるが、T/r=2.0であり、耐摩耗性に優れるものであった。また、表面温度130〜200℃に設定した規定のアイロンを用いて、JIS L 1057「織物及び編物のアイロン収縮率試験方法」(2006)に準じて試験を行い、実施例2で得たサンプルの耐熱性を評価した。アイロンの表面温度を5℃毎段階的に変更して評価したところ、180℃まではアイロン処理した編み地にアタリ、硬化が見られず良好な耐熱性を有していることがわかった。一般的にPLA単独からなる繊維においては、同手法での評価において、160℃でもアイロンが接触した部分に融解が発生することからすると、実施例2のサンプルにおいては、実質的にPLAから構成される繊維であるにも関わらず、良好な耐熱性を有していることがわかる。結果を表1に示す。
Figure 0006303291
実施例3
海成分をナイロン6(N6 融点:225℃ 溶融粘度:130Pa・s)とし、延伸倍率を3.0倍としたこと以外は全て実施例2に従い実施した。
この島成分がPLA、海成分がN6とした海島複合繊維の評価結果は、表1に示す通りであるが、T/r=2.1(最外層厚み:1435nm 島成分径:687nm)であり、耐摩耗性に優れるものであった。結果を表2に示す。
実施例
島成分であるPLA比率を50%(実施例4)変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。この海島複合繊維における断面構成は、PLA比率に変化し、実施例4のサンプルではT/r=4.3(最外層厚み:2472nm 島成分径:580nm)であり、実施例3と同様に耐摩耗性に優れるものであった。結果を表2に示す。
実施例6(参考例)
海島構造層における島成分数を700島、最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を2層穿設した分配プレート(図5)を使用し、PLA比率を90%に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。この海島複合繊維における断面構成は、T/r=0.4(最外層厚み:326nm 島成分径:774nm)であり、耐摩耗性評価においては、軽微なフィブリルによる若干の白化が見られるものの、変退色用グレースケールの等級判定において、4級から3−4級に変化する程度であり、実用において問題のないレベルのものであった(耐摩耗性評価:良好(3))。結果を表2に示す。
Figure 0006303291
実施例7,実施例(参考例)
海島構造層における島成分数を100島(実施例7)および3000島(実施例8/参考例)に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。これらのサンプルでは、いずれも最外層が1435nmの厚みを持って形成されており、島数によって島成分径が変化し、T/r=0.9(実施例7 島成分径:1536nm)、5.1(実施例8/参考例 島成分径:280nm)と変化するものであった。T/r=5.1の実施例8(参考例)のサンプルにおいては、耐摩耗性が非常に優れており、磨耗前後で全く編み地の状態が変化しないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。この編み地について、実施例2に記載されているアイロン処理を表面温度140℃として編み地を加熱圧縮処理した後、編み地からアイロン処理された海島複合繊維を採取した。採取した海島繊維を前述している E.島成分径および島成分径バラツキ(CV%)の手法と同様に、海島複合繊維の断面観察を任意の10箇所について行った。結果、実施例8で採取したサンプルはアイロン処理されているにも関わらず、海成分と島成分が剥離している箇所は一切見られず、最外層厚みと島成分径の関係(T/r)および微細に分割された島成分によって構成される海島構造層の形成により、加熱圧縮処理に対しても優れた耐性を有していることがわかった。実施例6と比較して粗大な島成分によって構成されている実施例7では、耐摩耗性に関しては、磨耗後には海成分が剥離したものと考えられる軽微な粉体が観察され(耐摩耗性評価:良好(3))、実施例9と同様のアイロン処理した場合においては、海成分と島成分との間で部分的に微小な隔離が観察されたが、問題のないレベルであった。結果を表3に示す。
比較例1
海島構造層における島成分数を10島に変更したこと以外は全て実施例3に従い実施した。このサンプルにおいては、T/r=0.3(最外層厚み:1435nm 島成分径:4856nm)であった。
耐摩耗性に関しては、磨耗後には海成分が剥離したものと考えられる粉体が堆積している様子が観察され(耐摩耗性評価:可(2))、ところどころで島成分が露出したものであった。また、実施例8と同様のアイロン処理した場合においては、海成分と島成分との間で隔離が観察され、本発明の海島複合繊維と比較して、加熱圧縮変形の耐性に劣るものであった。結果を表3に示す。
比較例2
最外層形成用として、円周方向1°毎に分配孔を配置した海成分用環状溝(図5の14)を2層穿設した分配プレート(図5)を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
比較例2のサンプルにおいては、本発明で言う最外層形成用の海成分用分配孔を設けていない分配プレートを使用したため、T/r=0.2(最外層厚み:161nm 島成分径:687nm)であり、耐摩耗性に関しては、島成分が所々で露出してフィブリル化しているものであった(耐摩耗性評価:可(2))。また、実施例8と同様のアイロン処理を施した場合には、最外層が薄いため、軽いアタリが出るものであった。
比較例3
特開2001−192924号公報で記載される従来公知のパイプ型海島複合口金(1つの吐出孔当たり島数:500)を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
紡糸に関しては、問題がなかったものの、延伸工程では、断面の不均一性に起因する糸切れが4.5時間のサンプリング中に2錘で見られた。
得られた海島複合繊維は、T/r=0.2(島成分径:693nm 最外層厚み:104nm)であり、実質的に本発明で言う最外層は形成されていないものであった。更に1島成分当りのポリマー量が低下したことから、海島構造を形成する島成分の形状は部分的異なるものであり、断面形状のバラツキは本発明の海島複合繊維と比較して大きいものであった(島成分径バラツキ:23.0% 異形度バラツキ:25.0%)。比較例1のサンプルでは、この断面観察の際に、島成分の形状バラツキが大きいことによる応力集中が要因と考えられる島成分と海成分の間の剥離が多くの箇所で確認されるものであった。このため、耐摩耗性評価のために、磨耗処理を施した場合には、その処理面に多量のフィブリルおよび粉体が確認されるものであり、島成分が多数露出したものであった。また、実施例8と同様にアイロン処理を施した場合には、部分的に糸割れが発生しているものであった。結果を表3に示す。
比較例4
従来公知の芯鞘複合口金を使用したこと以外は全て実施例3に従い実施した。
比較例4においては、実施例2と比較して製糸性(紡糸、延伸)には問題なく糸サンプルを採取することが可能であるものの、断面観察の際にいずれのフィラメントにおいても、全体的に芯成分と鞘成分が剥離しているものであった。
本発明の定義に基づき算出すると、T/r=0.1(0.05)(芯成分径:15360鞘成分厚み(最外層):755nm)であり、耐摩耗性評価では、鞘が割れて芯成分が多く露出したものであった(耐摩耗性評価:不可(1))。結果を表3に示す。
Figure 0006303291
実施例9
海成分を実施例3で用いたN6(溶融粘度:110Pa・s)とし、JIS K 7210(1999)で測定されるMFR=9g/10minのポリプロピレン(PP 融点:160℃ 溶融粘度:75Pa・s)を島成分として、実施例6で使用した海島複合口金を用い、PP比率70%、紡糸温度270℃として紡糸した。その他に関しては、全て実施例1に従い実施した。
この海島複合繊維における断面構成は、T/r=1.1(最外層厚み:892nm 島成分径:810nm)であり、耐摩耗性評価においては、磨耗前後で変化が見られないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。結果を表4に示す。
実施例10
海成分を実施例1で用いた共重合PET(溶融粘度:140Pa・s)を用いて紡糸したこと以外は全て実施例9に従い実施した。
この海島複合繊維における断面構成は、T/r=1.0(最外層厚み:840nm 島成分径:810nm)であり、断面観察時に海成分と島成分の界面での剥離は確認されないものであった。更に編み地での評価を行うため、筒編み機にて編み加工を施したサンプルを20倍の拡大鏡にて観察してみても、編み地にフィブリル化などは確認されなかった。この編み地を用いた耐摩耗性評価においては、磨耗前後でサンプルの表面状態に変化が見られないものであった(耐摩耗性評価:優良(4))。また、実施例2で行った耐熱性評価においては、190℃までの加工に耐えるものであり、耐熱性が良好なものであった。この編み地を50℃に加熱した弱水酸化ナトリウム水溶液(NaOH濃度:0.5wt%)にて海成分である共重合PETを99%以上溶出したところ、PPからなるナノファイバー(繊維径:810nm)を採取することができた。このPPナノファイバーは強度3.5cN/dtex、伸度48%と優れた力学特性を有するものであり、かつポリマー由来による耐薬品性を有したものであった。結果を表4に示す。
比較例5
比較例3に記載される従来公知のパイプ型海島複合口金を使用したこと以外は、実施例10に従い実施した。
この海島複合繊維を紡糸する際には、紡糸工程におけるガイド等に多く島成分(PP)の飛び出しによるフィブリル状のサンプルが多く堆積するものであり、断面観察を実施したところ、複合繊維の断面において、糸割れや島成分が飛び出した箇所が多く見られた。参考までに本発明の定義に基づき評価した断面は、T/r=0.2(最外層厚み:130nm 島成分径:810nm)であり、耐摩耗性評価においては、フィブリルや粉末がサンプルの表層に多く見られるものであり(耐摩耗性評価:不可(1))、高次加工通過性が非常に低いものであった。結果を表4に示す。
比較例6
比較例3に記載される従来公知のパイプ型海島複合口金を使用し、島成分としてポリエチレンテレフタレート(PET 融点:255℃ 溶融粘度:185Pa・s)、海成分を実施例9で使用したPP(融点:160℃ 溶融粘度:75Pa・s)とし、PET比率50%、紡糸温度280℃で紡糸したこと以外は全て実施例9に従い実施した。ちなみに比較例6に関しては、PET比率70%で複合紡糸を試みたが、紡糸工程におけるガイドや引取りローラにPETからなる極細繊維が多く堆積するものであり、紡糸困難と半眼して、PET比率を50%まで低下させたものである。
比較例6における海島複合繊維は、T/r=0.2(最外層厚み:168nm 島成分径:683nm)であり、耐摩耗性評価においては、PP成分が粉状になって繊維表層に堆積している様子が観察された(耐摩耗性評価:2(可))。また、このサンプルにおける耐熱性を調べるため、実施例2に記載されるアイロン耐熱性評価を実施したところ、比較例6のサンプルにおいては、140℃程度でアタリが観察され、160℃以上では、複合繊維同士が融着するものであった(耐熱温度:140℃)。
実施例11
島成分を高分子量ポリエチレンテレフタレート(高分子量PET 融点:255℃ 溶融粘度:240Pa・s)とし、海成分をポリフェニレンサルファイド(PPS 融点:280℃溶融粘度:180Pa・s)とし、PET比率を80%、紡糸温度310℃として紡糸した。その他の条件に関しては、実施例1に記載される条件に従い実施した。
実施例11では、問題なく紡糸および延伸可能であり、さらに、島成分がPPSの場合でも、断面の構成、均質性および後加工性は本発明の目的を達成するものであった。更に、本サンプルを90℃に加熱した強水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5wt%)にて5時間処理した場合の減量率について調べたところ、処理前後でサンプル重量減が1%未満であり、優れた耐薬品性を有していることが分かった。結果を表4に示す。
実施例12
島成分を液晶ポリエステル(LCP 融点:290℃ 溶融粘度:20Pa・s)、海成分を実施例11で用いたPET(溶融粘度:150Pa・s)とし、LCP比率80%、紡糸温度340℃として実施例1に従い紡糸した。実施例12については、延伸は行わなかった。
実施例12においても、その他のポリマーの組み合せ同様に問題なく紡糸が可能であり、さらに、島成分がLCPの場合でも、断面の構成、均質性および後加工性に関しても実施例1と同等の性能を有していた。一般にはLCPはその繊維構造に由来してフィブリル化を起こし易いものの、実施例12にて得られたサンプルにおいては、PETが最外層として存在することで耐摩耗性に全く問題のないものであった。結果を表4に示す。
Figure 0006303291
1 島成分の外接円
2 島成分
3 島成分の内接円
4 複合繊維
5 海島構造の外接円
6 最外層厚み
7 島成分距離
7−(a) 島成分距離
7−(b) 島成分距離
8 島成分頂点を結んだ直線
9 海成分の内接円
10 計量プレート
11 分配プレート
12 吐出プレート
13 分配溝
13−(a)ポリマーAの分配溝
13−(b)ポリマーBの分配溝
14 環状溝
15 導入孔
16 圧縮孔
17 吐出孔

Claims (4)

  1. 繊維複合断面において、海成分内に島成分が規則的に配置された海島複合繊維であり、島数が100〜10000島、島成分径が10〜1536nmの範囲であって、近接した2つの島成分間の島成分距離バラツキが1.0〜10.0%、かつ最外層厚み(T)と島成分径(r)との関係が下記式を満足することを特徴とする海島複合繊維。
    0.5≦T/r≦5.0・・・(1)
    ここで最外層厚みとは、最も外周に配置された島成分の頂点を結んだ外接円の半径と複合繊維の半径との差によって求められる値であり、最外層に存在する海成分の厚みを意味する
  2. 島成分径バラツキが1.0〜20.0%、異形度バラツキが1.0〜10.0%であることを特徴とする請求項1載の海島複合繊維。
  3. 海成分ポリマーの融点が200℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の海島複合繊維。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の海島複合繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
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