JP6302855B2 - 防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 - Google Patents
防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6302855B2 JP6302855B2 JP2015029447A JP2015029447A JP6302855B2 JP 6302855 B2 JP6302855 B2 JP 6302855B2 JP 2015029447 A JP2015029447 A JP 2015029447A JP 2015029447 A JP2015029447 A JP 2015029447A JP 6302855 B2 JP6302855 B2 JP 6302855B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid crystal
- light
- layer
- reflective material
- insect repellent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Catching Or Destruction (AREA)
Description
[1]570〜620nmの波長域の光を波長選択的に反射し、上記反射の反射光が円偏光である防虫用反射材。
[2]570〜620nmの波長域に反射ピークを示す反射スペクトルを与える[1]に記載の防虫用反射材。
[3]380nm〜780nmの光の透過率が50%以上である[1]または[2]に記載の防虫用反射材。
[4]上記反射ピークにおける拡散反射率が30%以上45%以下である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の防虫用反射材。
[5]コレステリック液晶相を固定した層を含む[1]〜[4]のいずれか一項に記載の防虫用反射材。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の防虫用反射材と照射装置とを含む防虫システム。
[8]上記照射装置の発光ピークが570〜620nmの波長域にある[7]に記載の防虫システム。
[9]上記照射装置が円偏光を照射する[7]または[8]に記載の防虫システム。
[10]上記照射装置が、発光ピークが570〜620nmの波長域にある光を発光するLED光源を含む[7]〜[9]のいずれか一項に記載の防虫システム。
[11]建物の入り口または窓に配置された[1]〜[6]のいずれか一項に記載の反射材に570〜620nmの波長の光を建物の外側から照射することを含む、上記建物への虫の侵入を防止する防虫方法。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。 本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、照度計や光スペクトルメータに測定対象物を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、反射スペクトルは、日本分光社製の可視紫外分光測定装置V−670に積分球ユニットおよび全体反射率測定ユニットを装着して測定したものとする。本明細書において、「反射ピーク」は反射スペクトルで観測される反射波形で極大を意味する。すなわち反射率が極大になる点を意味する。「反射ピーク波長」は極大を示す波長を意味する。
本明細書において、反射率や光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の可視スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本発明の反射材は防虫に用いられる反射材である。防虫は、虫の忌避または防除、または殺虫の意味を含むが、本発明の反射材は、特に、虫を忌避する、すなわち、寄せ付けないために用いることができる。例えば、虫が誘引されやすい環境下において、誘引される虫の数を減らすために本発明の反射材を用いることができる。本発明の反射材により忌避される虫は特に限定されないが、自然光(非偏光)に誘引されやすい走光性の虫が好ましい。特に飛翔昆虫が好ましい。虫の例としては、ショウジョウバエやイエバエなどのハエ類、ユスリカ、トビケラ、ヨコバイ、ウンカ、メイガ、コガタアカイエカ、ハマダラカ、コガネムシ、カメムシなどが挙げられる。
本発明の反射材は薄膜のフィルム状、シート状、または板状などであればよい。反射材は薄膜のフィルムとしてロール状等になっていてもよい。
本発明の反射材は570〜620nmの波長域の光を波長選択的に反射する。すなわち、本発明の反射材は、可視光領域(380nm〜780nm)の他の波長域の光と比較して、570〜620nmの波長域の光を優勢に反射する。本発明の反射材は、580〜610nmの波長域の光を波長選択的に反射することが好ましい。
反射材の、570〜620nmの波長域の波長選択的な反射の全反射率は、30%以上、35%以上、40%以上であればよく、47%以上であることが好ましい。また、上記反射の拡散反射率は25%以上であることが好ましい。反射材の拡散反射率は、さらに、30%以上、35%以上、40%以上であってもよく、45%以下、42%以下等であってもよい。上記全反射率および拡散反射率は、570〜620nmの波長域の反射ピーク波長において測定したものであればよい。反射材が上記範囲の拡散反射率を示すことにより、反射材の表面積に対してより広い範囲で防虫効果を得ることができる。コレステリック液晶層を含む反射材において、拡散反射率は、例えば、後述するように、コレステリック液晶層の形成の際の下層の選択や、コレステリック液晶層形成のための組成物中の水平配向剤の有無で調整することができる。
反射材の反射スペクトルは570〜620nmの波長域の反射ピークを示す反射以外の反射を示してもよく、示していなくてもよいが示していないことが好ましい。
反射材は、380nm〜780nm波長域の全域の光の総透過率が50%より大きいことが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
反射材は、波長380〜780nmの非偏光可視光の直透過率が50%以上であることが好ましい。また、特に、ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。ヘイズ値は5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。可視光透過性を有し、ヘイズも低い反射材では、反射材の反対側にある情報または風景の観察が可能である。
本発明の反射材はコレステリック液晶相を固定した層を含んでいることが好ましい。本明細書において、コレステリック液晶相を固定した層を、コレステリック液晶層または液晶層ということもある。
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。このコレステリック液晶相を固定した層を含ませることにより、特定の波長域で波長選択的に右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射する反射材を得ることができる。なお、本明細書において、円偏光選択反射を単に選択反射ということもある。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などが挙げられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、支持体、透明層などに塗布し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する水平配向剤を添加してもよい。水平配向剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、水平配向剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し膜厚を均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
支持体、透明層、下層となるコレステリック液晶層などへの液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
本発明者らの検討の結果、拡散反射率が高く、ヘイズ値が低いコレステリック液晶層は、層の少なくとも一方の表面、好ましくは層の両表面で液晶分子のチルト角が小さく、且つ液晶分子の面内配向方位をランダムとすることにより得られることが判明した。すなわち、チルト角および面内配向方位を調整することにより、拡散反射率が高く、ヘイズ値が低いコレステリック液晶層を形成することができる。コレステリック液晶層表面近傍の液晶配向方向、チルト角はコレステリック液晶層断面の膜表面近傍を透過電子顕微鏡(TEM)像などで確認すればよい。
コレステリック液晶層表面の液晶分子のチルト角と面内配向方位とを上記のように調整することにより、最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成を実現することができる。螺旋軸の傾きを有するとは、後述の螺旋軸の傾きが2°以上である面内の位置があることを意味する。最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成によりコレステリック液晶相の螺旋軸は面内で僅かなうねりを持って分布させることができると考えられる。すなわち、層の法線方向から螺旋軸のずれを、生じさせることができる。この螺旋軸のずれにより、散乱性の層となる。この層の内部には、複数の配向欠陥が存在しうる。
コレステリック液晶層断面をTEM観察すると、明部と暗部との縞模様が観察できる。縞模様は、層面に略平行な方向に明部と暗部とが繰り返されるように観察される。図1に模式図を示す。この明部と暗部の繰り返し2回分(明部2つおよび暗部2つ)が螺旋1ピッチ分に相当する。縞模様の法線方向が螺旋軸となる。コレステリック液晶層の最表面の螺旋軸の傾きは、最表面11から1本目の暗部がなす線と同じ側の最表面との角度として得ることができる(図1の101)。
コレステリック液晶層を、最表面の螺旋軸の傾きが面内で変化しているように構成することにより、拡散反射率が高い散乱性の層とすることができる。なお、「螺旋軸の傾きが変化している」とは、例えば、表面の任意の直線上で一定間隔で螺旋軸の傾きを測定すると、直線進行方向で増加および減少が確認される状態を示す。増加および減少は、好ましくは繰り返されており、変化は好ましくは連続的である。
最表面はコレステリック液晶層の少なくともいずれか一方(最上面または最下面)であってもよく、両方(最上面まおよび最下面)であってもよいが、両方であることが好ましい。
さらに螺旋軸の傾きの最大値を20°以下とすることにより、ヘイズ値(可視光波長域)を5%以下程度に低く調整することができる。螺旋軸の傾きの最大値は2°以上20°以下であればよく、5°以上20°以下であることが好ましい。
液晶分子の面内配向方位とは、液晶分子の上記の最大の屈折率の方向最大の屈折率の方向の、層と平行な面内での方位を意味する。面内配向方位がランダムであるとは、面内の液晶化合物分子の面内配向方位の平均方位と4°以上異なる面内配向方位を有する液晶分子がTEMにて10%以上20%以下で確認できる状態を意味する。
なお、本明細書において、液晶分子というとき、液晶組成物においては重合性液晶化合物の分子を意味し、重合性液晶化合物が液晶組成物の硬化反応により高分子化している場合は、上記重合性液晶化合物分子に該当する部分構造を意味する。
本発明の反射材はコレステリック液晶層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層はいずれも可視光領域で透明であることが好ましい。本明細書において可視光領域で透明であるとは、可視光の透過率が70%以上であることをいう。
また、他の層はいずれも低複屈折性であることが好ましい。本明細書において低複屈折性であるとは、本発明の反射材が反射を示す波長域において、正面位相差が10nm以下であることを意味し、上記正面位相差は5nm以下であることが好ましい。さらに、他の層はいずれもコレステリック液晶層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。他の層としては支持体、透明層、接着層などが挙げられる。
反射材は、反射材の自己支持性のための支持体を行くんでいてもよい。支持体はコレステリック液晶層の形成の際に基板となっていてもよい。支持体は以下の透明層を兼ねていてもよい。
支持体は特に限定されない。支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどのプラスチックフィルムまたはガラスが挙げられる。仮支持体としては、上記のプラスチックフィルムのほか、ガラスを用いてもよい。
支持体の膜厚としては、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜90μmである。
コレステリック液晶層の形成のために用いられる基板は、コレステリック液晶層形成後に剥離される仮支持体であってもよく、コレステリック液晶層形成の後、コレステリック液晶層が支持体に転写されてもよい。
本発明の反射材は、コレステリック液晶層の形成の際に液晶組成物が塗布される下層として、透明層を含んでいてもよい。すなわち、コレステリック液晶層に直接隣接する層として、透明層を含んでいてもよい。透明層は、その表面に設けられる液晶組成物中の重合性液晶化合物分子に対して低いプレチルト角を与える材料からなる層を好ましく用いることができる。
透明層の例としては、(メタ)アクリレートモノマー、ゼラチン、ウレタンモノマーなどを含む非液晶性の重合性組成物を塗布硬化したもの、ポリイミド(日産化学社製ポリイミドワニスのサンエバー130など)、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂などが挙げられる。拡散反射率の高いコレステリック液晶層の形成のため、液晶組成物を塗布する透明層の表面はラビング処理(例えば、ポリマー層の表面を、紙または布等で一定方向に、擦ることによるラビング処理)を行わないことが好ましい。
透明層の厚さは0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜20μmであることがさらに好ましい。
例えば、(メタ)アクリレートモノマーを含む層を塗布硬化して得られるアクリル層は面内において等方的であるため、アクリル層表面にラビング処理を施さずに液晶層を形成すると、アクリル層に接している液晶の面内配向方位はランダムとなる。そのため、アクリル層表面に液晶組成物を塗布して形成されるコレステリック液晶層を配向欠陥を有する層とすることができ、前述のようにコレステリック液晶相の拡散反射率を上げることができる。
反射材は、各層の接着のため、接着層を含んでいてもよい。接着層は、例えば、コレステリック液晶層と支持体との間に設けられてもよい。仮支持体上で形成されたコレステリック液晶層を支持体上に転写する際などに接着層を用いることができる。
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
接着層の膜厚は0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであればよい。反射フィルムの色ムラ等を軽減するため均一な膜厚で設けられることが好ましい。
本発明の反射材は、防虫に用いることができる。防虫方法に本発明の反射材を用いる際は、防虫が望まれる場所に上記反射ピーク波長の光が反射されるように設置すればよい。このときの光源としては、太陽光などの環境光であってもよい。照明装置を用いる場合は、上記の反射材の反射ピークを示す波長の光を照射することができる照明装置を用いればよい。照明装置の光源は、570〜620nmの波長域に発光ピークを示すLED光源であってもよく、ナトリウムランプ、蛍光灯などであってもよい。照明装置と反射材とを組み合わせて防虫システム(防虫装置)として用いることができる。
また、円偏光を照射する照明装置を用いることも好ましい。このとき、上記の反射材の反射円偏光のセンスに合わせて、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に照射するようにすればよい。
右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に照射する照明装置は、市販の照射装置の光出射部に円偏光フィルムを配置して作製してもよい。このときの円偏光フィルムは、上記のコレステリック液晶層を含む反射材の製造方法に従って製造することができる。
本発明の反射材は可視光領域の光透過性も高い構成とすることが可能であり、そのような構成の反射材を用いれば、店舗や病院のガラス扉の入り口や窓などに用いた場合でも、その透明性を損なわず、色味も生じさせにくい。例えば、反射材を店舗や病院のガラス扉の入り口や窓などに貼付しても、建物内からの外部の視認性や、外部からの店舗などの内部の視認性を損なわない。
本発明の反射材を中間層などとして用いて、上記ガラス扉や窓用のガラス板を製造してもよい。
(コレステリック液晶性混合物(R)の調製)
下記各成分を混合し、コレステリック液晶性混合物(R)を調製した。
・化合物1 80質量部
・化合物2 20質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.1質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.007質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 3質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
厚さ80μmのPET(富士フイルム株式会社製)面に、表1に示す塗布液Aを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層(透明層)を形成した。このアクリル層上にラビング処理を施さずに捩れ方向が右の塗布液R1を乾燥後の乾膜の厚みが6μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、反射材1を得た。
塗布液R1をR2、R3に変えた以外は、上述の方法と同様にして、反射材2、および3を得た。
この反射材の垂直入射光に対する反射ピーク波長およびピークの半値幅を、AXOMETRICS社製のAxoScanを用いて測定したところ、反射材1では反射ピーク波長600nm、ピークの半値幅は73nm、反射材2ではそれぞれ525nm、64nm、反射材3では反射ピーク波長455nm、ピークの半値幅は59nmであった。また、各反射材の各反射ピーク波長での拡散反射率は、反射材1が40%、反射材2は40%, 反射材3は39%であった。反射材1の全反射率と拡散反射率を示すスペクトルを図2に示す。
厚さ80μmのPET(富士フイルム株式会社製)の表面をラビング処理した後に、上述の右の塗布液Rのキラル剤LC−756を左旋回性キラル剤(化合物4)に変え、選択反射のピーク波長が595nmになるようにその混合量を調節した以外は上述の右の塗布液Rと同じ組成の塗布液Lを乾燥後の乾膜の厚みが6μmになるように室温にて塗布し、その後上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、円偏光フィルム1を得た。
この反射材の垂直入射光に対する反射ピーク波長を、AXOMETRICS社製のAxoScanを用いて測定し中心波長は595nm、ピークの半値幅は65nmであった。
内部に白色LED照明を設けた 高さ2m、縦方向3m、横方向2mのパイプハウスを組み立てた。このハウスから30cmの距離に上記反射材1を2m×1mの大きさに調製し、そのPET面側がハウス側になるように2枚つるし設置した。この際、シートの長辺が高さ方向になるように、設置した。
害虫防除光源として、パイフォトニクス社製の発光波長が595nmホロライト4台を反射材から6mの距離に設置して、反射材の中心に光の中心を向けて照射した。この光源の発光スペクトルを図3に示した。なお、この光源の反射材1による反射光を、左右の円偏光板を通して目視観察することによって、反射された光が右円偏光であることを確認した。
防虫効果の確認は、夜間に内部の照明を点灯し、害虫防除光源点灯時に1時間の間に反射材を越えてハウス側面に到達した昆虫を捕獲し、害虫防除光源および反射材無設置時に1時間の間に飛来した昆虫数に対する比(値が小さいほど効果大)を求めることで行った。
A:菓子の銘柄および包装の色が認識可能
B:菓子の存在が認識可能(許容範囲)
C:菓子類の存在識別が困難
害虫防除光源を反射カバーつきの4本の黄色蛍光灯に、発光面を反射材側に向けて シートから20cmの距離につるして設置した以外は、実施例1と同様に評価を行った。この光源の発光スペクトルを図3に示した。
黄色蛍光灯の蛍光管に円偏光フィルム1をPET面を内側にして巻きつけた以外は、実施例2と同様にして、評価を行った。なお、この黄色蛍光灯を、左右の円偏光板を通して目視観察することによって、発せられた光が右円偏光であることを確認した。
図3に示した発光スペクトルの白色LED光源の光出射開口部に円偏光フィルム1をPET面を内側にして貼り付けた以外は実施例2と同様にして、評価を行った。
光源および反射材を設置しなかった以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
<比較例2>
反射材として市販の拡散シート(キモト社製WSK40)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。本シートの反射光を、左右の円偏光板および直線偏光板を通して目視観察することによって、発せられた光が非偏光であることを確認した。
<比較例3>
反射材を設置しなかった以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
<比較例4>
反射材を設置せず、且つ光源の発光面をハウスと反対側に向けて点灯した以外は、実施例2と同様にして評価を行った。
<比較例5>
光源としてHER-LED社製の緑色LED 7Wを用い、反射材1を反射材2に変えた以外は実施例1と同様にして評価を行った。またこの光源の発光スペクトルを図3に示した。
<比較例6>
光源としてHER-LED社製の青色LED 7Wを用い、反射材1を反射材3に変えた以外は実施例1と同様にして評価を行った。またこの光源の発光スペクトルを図3に示した。
結果を表2に示す。
Claims (6)
- 建物の入り口または窓に配置された反射材に570〜620nmの波長の光を建物の外側から照射することを含み、
前記反射材が570〜620nmの波長域の光を波長選択的に反射し、
前記反射の反射光が円偏光である、
前記建物への虫の侵入を防止する防虫方法。 - 前記反射材が570〜620nmの波長域に反射ピークを示す反射スペクトルを与える請求項1に記載の防虫方法。
- 前記反射材の前記反射ピークにおける拡散反射率が30%以上45%以下である請求項2に記載の防虫方法。
- 前記反射材の380nm〜780nmの光の透過率が50%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防虫方法。
- 前記反射材がコレステリック液晶相を固定した層を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の防虫方法。
- 前記反射材がコレステリック液晶相を固定した前記層に直接隣接する層として(メタ)アクリレートモノマーを含む層を塗布硬化して得られるアクリル層を含む請求項5に記載の防虫方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015029447A JP6302855B2 (ja) | 2015-02-18 | 2015-02-18 | 防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015029447A JP6302855B2 (ja) | 2015-02-18 | 2015-02-18 | 防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016149984A JP2016149984A (ja) | 2016-08-22 |
JP6302855B2 true JP6302855B2 (ja) | 2018-03-28 |
Family
ID=56694878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015029447A Expired - Fee Related JP6302855B2 (ja) | 2015-02-18 | 2015-02-18 | 防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6302855B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043678A1 (ja) * | 2016-09-01 | 2018-03-08 | 富士フイルム株式会社 | 加飾シート、液晶表示装置および自動車車内用内装 |
JP6954668B2 (ja) * | 2019-10-18 | 2021-10-27 | 考司 新谷 | 害虫からの視認性及び選好性の低下による防除方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004000093A (ja) * | 2002-05-31 | 2004-01-08 | Toshiba Lighting & Technology Corp | 発光装置および照明装置 |
JP2005058019A (ja) * | 2003-08-18 | 2005-03-10 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 防虫性のシート |
JP2007020439A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Fujifilm Holdings Corp | 植物成長制御用フィルム |
JP2007209323A (ja) * | 2006-02-08 | 2007-08-23 | Makoto Fukada | 反射偏光捕虫器 |
JP4770626B2 (ja) * | 2006-07-26 | 2011-09-14 | パナソニック電工株式会社 | 誘虫捕獲装置 |
-
2015
- 2015-02-18 JP JP2015029447A patent/JP6302855B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016149984A (ja) | 2016-08-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6336572B2 (ja) | 反射部材、投映スクリーン、コンバイナ、および、遮熱部材 | |
JP6530763B2 (ja) | 画像表示機能付きミラー | |
JP6580143B2 (ja) | 投映システムおよび投映システムの中間像スクリーンの製造方法 | |
JP6149006B2 (ja) | 反射フィルムおよび反射フィルムを有するディスプレイ | |
JP6194256B2 (ja) | 投映システムおよびプロジェクター | |
KR101944227B1 (ko) | 투영상 표시용 하프 미러 및 그 제조 방법, 그리고 투영상 표시 시스템 | |
JP5981780B2 (ja) | 植物栽培に用いられる照明装置 | |
US10061187B2 (en) | Reflection member available for heat shield use and projector including reflection member | |
JPWO2017006787A1 (ja) | 画像表示機能付きミラー | |
JP6193471B2 (ja) | 投映像表示用部材および投映像表示用部材を含む投映システム | |
JP2018151636A (ja) | 投映像表示用ハーフミラーおよび投映像表示システム | |
JP6286440B2 (ja) | 投映像表示用ハーフミラーおよび投映像表示システム | |
JP6314249B2 (ja) | 画像表示機能付きミラー | |
WO2018034154A1 (ja) | 植物用照明装置 | |
JP6302855B2 (ja) | 防虫用反射材、防虫システム、および防虫方法 | |
JP6220738B2 (ja) | 光学部材および光学部材を有するディスプレイ | |
JP6198681B2 (ja) | 反射フィルムおよび反射フィルムを有するディスプレイ | |
JPWO2020066367A1 (ja) | 反射シート | |
JP6117148B2 (ja) | 光学部材および光学部材を有するディスプレイ | |
JP2018116308A (ja) | 遮熱用途に使用可能な反射部材および反射部材を含むプロジェクター | |
JP7104803B2 (ja) | 反射シートおよび発光装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170303 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171124 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171226 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180227 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180305 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6302855 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |