特許文献1の非接触ICカードおよび特許文献2のRFIDタグのように、表示部を備えたRFIDタグにおいては、表示部にRFIDタグ内の情報、あるいは任意の文字や画像を表示することで、RFIDタグの機能と、表示体の機能の2つの機能を発揮させることができ、多機能型のRFIDタグとすることができる。しかし、特許文献1の非接触ICカードとリーダライタとの間で無線通信を行う際には、リーダライタとICカードのアンテナどうしを近接保持する必要があり書換え操作が煩わしい。また、画像などの大きな容量のデータを、リーダライタから非接触ICカードへ送信する場合には、データの容量が大きい分だけ通信時間が長くなるのを避けられず、表示内容を書換える時間が長引く不利がある。
特許文献2のRFIDタグでは、UHF周波数帯を使用して無線通信を行うので、NFCを使用して無線通信を行う場合に比べて通信距離を大きくすることができ、リーダライタとRFIDタグのアンテナどうしを近接保持する必要がない。しかし、通信距離が大きいと壁面での無線通信電波の反射波や障害物などの周辺環境の影響を受けて、無線通信の状態が不安定になりやすい。とくに、画像などの大きな容量のデータをRFIDタグへ送信する場合には通信時間が長くなるため、通信が終了するまでの間に周辺環境の外乱を受けやすい。そのため、データの送信途中に無線通信が不安定になって、表示部の表示内容を書換えることができない状況に陥りやすい。
本発明の目的は、表示部の表示内容を書換える際に、外部とRFIDタグとの間で行われる無線通信を短時間で完了させて、無線通信が不安定になりやすい周辺環境下であっても、確実に表示部の表示内容を書換えることができるRFIDタグ、およびRFIDタグシステムを提供することにある。
本発明は、外部との無線通信を行う通信コントローラ8と、表示ユニット9と、これら両者8・9に電力を供給する電源10とを有し、表示ユニット9は、通信コントローラ8に接続される表示コントローラ16と、不揮発性表示媒体からなる表示部17と、各種データを格納する記憶部18とを備えており、UHF周波数帯の電波を通信媒体にして外部と無線通信を行うRFIDタグを対象とする。記憶部18には、ベース画像データ22と、定型画像データ23とが格納されている。ベース画像データ22の画像には、エリアコードで特定されて定型画像データ23が重畳される合成エリア25が設けられている。定型画像データ23には、定型画像データ23を特定する定型画像コードが割り当てられている。表示コントローラ16は、外部から通信コントローラ8へ送信された書換えコマンドに基づいて、記憶部18からベース画像データ22および定型画像データ23を読み出し、ベース画像データ22と定型画像データ23とを重畳して表示画像データ21を生成したのち、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して、表示内容を書換えるようになっている。そして、書換えコマンドが、ベース画像データ22の画像の合成エリア25を指定するエリアコードと、エリアコードで指定した合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を指定する定型画像コードとを含んでいることを特徴とする。なお、ここで言う「不揮発性表示媒体」とは、表示の書換え時に電力を消費し、表示の書換え後は電力を消費することなく、あるいはごく僅かな電力消費で表示状態を保持できる表示媒体のことを意味しており、例えば、電子ペーパーや、開発途上ではあるものの電子ペーパーと同様の利点を備えた有機ELディスプレイ等がある。
通信コントローラ8は、電源10の電力を利用して外部との間で無線通信を行う通信モードと、電源10の電力を利用することなく外部からの送信波を受信待機する待機モードとにモード変更可能に構成する。表示ユニット9は、電源10の電力を利用して表示部17の表示内容を書換える書換えモードと、電源10の僅かな電力を利用して通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードとにモード変更可能に構成する。通信コントローラ8が待機モードから通信モードへとモード変更するのに伴って、表示ユニット9がスリープモードから書換えモードへとモード変更され、表示ユニット9が書換えモードからスリープモードへとモード変更するのに伴って、通信コントローラ8が通信モードから待機モードへとモード変更するように構成する。
記憶部18に複数のベース画像データ22を格納し、各ベース画像データ22には、ベース画像データ22を特定するベース画像コードをそれぞれ割り当てる。書換えコマンドにベース画像データ22を指定するベース画像コードを含むように構成する。
RFIDタグは、記憶部18のデータを書換える更新モードを備え、更新モードにおいては、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23の一部あるいは全部を消去したのち、外部から通信コントローラ8へ送信されたベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納する。
表示部17を電子ペーパーで構成する形態を採ることができる。
また、本発明は上記のRFIDタグと、ホスト端末1と、ホスト端末1で制御されてRFIDタグと無線通信を行うリーダライタ2とを含む、RFIDタグシステムを対象とする。RFIDタグが装着された搬送体5の搬送路30に臨む異なる位置に複数のゲート31が設けられ、各ゲート31にそれぞれリーダライタ2が配置されている。搬送体5がゲート31を通過する際に、リーダライタ2とRFIDタグとの間で無線通信を行って、表示部17の表示内容を書換えることを特徴とする。
本発明のRFIDタグおよびRFIDタグシステムにおいては、ベース画像データ22と、定型画像データ23とを記憶部18に格納した。また、ベース画像データ22の画像には、エリアコードで特定される定型画像データ23が重畳される合成エリア25を設け、定型画像データ23には、定型画像データ23を特定する定型画像コードを割り当てた。さらに、表示コントローラ16は、外部から通信コントローラ8へ送信された書換えコマンドに基づいて、記憶部18からベース画像データ22および定型画像データ23を読み出し、ベース画像データ22と定型画像データ23とを重畳して表示画像データ21を生成したのち、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して、表示内容を書換えるようにした。そして、書換えコマンドは、ベース画像データ22の画像の合成エリア25を指定するエリアコードと、エリアコードで指定した合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を指定する定型画像コードとを含むようにした。
このように、ベース画像データ22および定型画像データ23を予め記憶部18に格納しておくと、容量の大きな画像データを外部からRFIDタグへ向かって送信する必要がなく、エリアコードと定型画像コードなどで構成される容量の小さい書換えコマンドをRFIDタグへ向かって送信するだけで、表示コントローラ16で表示画像データ21を生成し、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して、表示内容を書換えることができる。従って、例えば障害物などが多く無線通信が不安定になりやすい工場や倉庫の建屋内などの環境下であっても、RFIDタグとの無線通信を短時間で完了させて、確実に表示部17の表示内容を書換えることができる。また、合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を変更することにより、異なる表示画像データ21を生成できるので、表示部17に多様な表示内容を表示することが可能である。
電源10の電力を利用して外部との間で無線通信を行う通信モードと、電源10の電力を利用することなく外部からの送信波を受信待機する待機モードとにモード変更可能に通信コントローラ8を構成した。また、電源の電力を利用して表示部17の表示内容を書換える書換えモードと、電源10からの僅かな電力を利用して通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードとにモード変更可能に表示ユニット9を構成した。そのうえで、通信コントローラ8が待機モードから通信モードへとモード変更するのに伴って、表示ユニット9をスリープモードから書換えモードへとモード変更し、表示ユニット9が書換えモードからスリープモードへとモード変更するのに伴って、通信コントローラ8が通信モードから待機モードへとモード変更するようにした。これによれば、表示部17の書換え動作時以外は電源10の電力をほとんど使用することがなく、電源10の電力消費の削減を図ることができる。従って、RFIDタグの電源交換の頻度を減少させてRFIDタグのメンテナンスに要する手間と時間を軽減できる。また、表示部17の書換え動作時には電源10の電力を使用するので、通信コントローラ8および表示ユニット9を的確に作動させて、確実に表示部17の表示内容を書換えることができる。
記憶部18に複数のベース画像データ22を格納し、各ベース画像データ22にベース画像コードをそれぞれ割り当て、書換えコマンドにベース画像データ22を指定するベース画像コードを含むように構成すると、表示すべきベース画像データ22の画像の種類を増加して、表示部17の表示内容をさらに多様に書換えることができる。
RFIDタグは、記憶部18のデータを書換える更新モードを備え、更新モードにおいては、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23の一部あるいは全部を消去したのち、外部から通信コントローラへ送信されたベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納するようにした。これによれば、RFIDタグを更新モードにして、所望のベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納することで、RFIDタグの使用場所に応じた最適な表示画像データ21を生成することができ、使い勝手のよいRFIDタグとすることができる。
電子ペーパーは、例えば液晶表示体に比べて、表示内容を書換える際の消費電力が僅かであり、また、電力を消費することなく表示状態を保持することができる。従って、表示部17を電子ペーパーで構成したRFIDタグによれば、表示部17での電源10の電力消費をさらに低減でき、電源10の長寿命化を図ることができる。
上記のRFIDタグと、ホスト端末1と、ホスト端末1で制御されてRFIDタグと無線通信を行うリーダライタ2とを含むRFIDタグシステムにおいて、RFIDタグが装着された搬送体5の搬送路30に臨む異なる位置に複数のゲート31を設け、各ゲート31にそれぞれリーダライタ2を配置した。そして、搬送体5がゲート31を通過する際に、リーダライタ2とRFIDタグとの間で無線通信を行って、表示部17の表示内容を書換えるようにした。こうしたRFIDタグシステムによれば、搬送体5のゲート通過時にリーダライタ2とRFIDタグとが無線通信を行うことにより、RFIDタグが装着された搬送体5が搬送路30のどの位置を搬送されているかをホスト端末1で確認することができる。また、例えばゲート31を通過した搬送体5の次の搬送先を表示部17に表示することにより、搬送体5の搬送先を目視で確認することができる。本発明のRFIDタグシステムにおいては、リーダライタ2とRFIDタグとの無線通信を短時間で完了させることができるので、搬送路30上をRFIDタグが移動している状態であっても、表示部17の表示内容を書換えることができるので、リーダライタ2と移動する搬送体5に装着されたRFIDタグとの間で無線通信を行うRFIDタグシステムとして好適である。
(実施例) 図1から図7に、本発明に係るRFIDタグシステムの実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図2に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図1において、RFIDタグシステムは、RFIDタグと、パーソナルコンピュータ(PC)からなるホスト端末1と、ホスト端末1に接続される複数のリーダライタ2などで構成されており、RFIDタグの通信コントローラ8とリーダライタ2との間で非接触の無線通信を行う。この無線通信にはUHF周波数帯(920MHz)の電波を使用し、「EPC Global Class−1 Generation−2」に基づく通信制御が行われる。リーダライタ2は、ホスト端末1で制御されており、無線通信用の送信波を送信し、あるいはRFIDタグからの反射波を受信するアンテナ3を備える。アンテナ3はパッチアンテナで構成されている。
図2に示すようにRFIDタグは、上方が開口する四角箱状の部品ストッカ(搬送体)5の側壁外側に装着される、タグ本体7を備えている。図3に示すように、タグ本体7は、後面に開口を有する四角箱状の前ケース7aと、前ケース7aの後面開口を塞ぐように固定される後ケース7bとからなり、前後のケース7a・7bは、不透明樹脂で形成されている。前ケース7aの前面には窓7cが開口されており、窓7cには透明樹脂製の保護カバー7dが嵌め込まれている。図1に示すように、タグ本体7の内部には、リーダライタ2と無線通信を行う通信コントローラ8と、表示ユニット9と、これら両者8・9に電力を供給する一次電池(電源)10とを有する。通信コントローラ8は、リーダライタ2からの無線通信用の送信波を受信し、あるいは反射波を送信するアンテナ11を備えており、アンテナ11は折返しダイポールアンテナで構成されている。通信コントローラ8は、リーダライタ2から送信された指令に基づき、リーダライタ2にデータを送信し、ないしは表示ユニット9と通信を行う。通信コントローラ8、アンテナ11、表示ユニット9、一次電池10などは、基板12(図1参照)上に実装されている。基板12の詳細は後述する。
通信コントローラ8は記憶部14を備えており、その記憶領域は、システム領域とユーザー領域とに区分されている。システム領域には、通信コントローラ8固有の識別コードと、リーダライタ2との無線通信を制御するプログラムを備えており、これにより、通信コントローラ8は単独でRFIDタグの機能を有する。また、システム領域には表示ユニット9の表示コントロール16との通信を制御するプログラムが格納されている。ユーザー領域は、通信コントローラ8が表示ユニット9と通信を行う際に、リーダライタ2から送信されたデータを一時的に格納するために使用される。
通信コントローラ8は、一次電池10の電力を利用してリーダライタ2との間で無線通信を行う通信モードと、一次電池10の電力を利用することなくリーダライタ2からの送信波を受信待機する待機モードとにモード変更可能に構成されている。待機モードから通信モードへとモード変更する際の電力は、アンテナ11がリーダライタ2から放射された送信波を受信した際の電波によって生じる電力を利用する。
表示ユニット9は、通信コントローラ8に接続される表示コントローラ16と、電子ペーパー(不揮発性表示媒体)からなる表示部17と、各種データを格納する記憶部18とを備える。表示部17は、その表示面が保護カバー7dに臨む状態で設けられており、表示コントローラ16と表示部17との間には表示ドライバ19が設けられている。表示ドライバ19は、表示部17の表示内容の制御、および消去などを行う。表示ユニット9の全体は表示コントローラ16で制御されており、一次電池10の電力を利用して表示部17の表示内容を書換える書換えモードと、一次電池10の僅かな電力を利用して通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードとにモード変更可能に構成されている。
図1から図3に示すように基板12は、通信コントローラ8およびアンテナ11が実装されるアンテナ基板12aと、表示コントローラ16、記憶部18および表示ドライバ19などが実装されるメイン基板12bとで構成されている。アンテナ基板12aはメイン基板12bに対してピンヘッダ12cで接続され、表示部17はメイン基板12bに対してフレキシブルケーブル12dで接続されている。図3に示すように、アンテナ基板12aとメイン基板12bとの間には隙間G1が設けられた状態で、両者12a・12bが前後に重なり合うように配置されている。また、表示部17とメイン基板12bとの間には隙間G2が設けられた状態で、両者12b・17が前後に重なり合うように配置されている。これにより、アンテナ基板12aと表示部17とは隣り合うように配置され、さらに両者12a・17の間には隙間G3が設けられている。アンテナ基板12aと表示部17とを隣り合うように配置したことにより、正面視においてタグ本体7は左右非対称に形成されている。なお、隙間G1は隙間G2よりも小さく設定されている。
隙間G1は、2mm以上5mm以下に設定することが好ましい。これは、隙間G1が2mm未満であると、リーダライタ2のアンテナ3から放射された送信波と、アンテナ3から放射されてメイン基板12bの配線パターンで反射した送信波の両方をアンテナ11が受信し、無線通信が不安定になるからである。メイン基板12bの配線パターンは銅箔にエッチングを施して形成してある。一方、隙間G1が5mmを超えると、アンテナ基板12aとメイン基板12bとを接続するピンヘッダ12cが周辺環境のノイズを拾いやすくなり、そのため、無線通信が不安定になるからである。また、隙間G3を設けることにより、電子ペーパーからなる表示部17が備える電極で反射した送信波を、アンテナ11が受信するのを効果的に防ぐことができる。また同様に、通信における表示部17の影響を防ぐため、アンテナ基板12aに実装される通信コントローラ8は、表示部17の隣接端から距離G4分だけ離れた位置に配置することが望ましい。本実施例では、アンテナ基板12aとメイン基板12bとの隙間G1は2.5mmに設定し、メイン基板12bと表示部17との隙間G2は7.5mmに設定し、アンテナ基板12aと表示部17との隙間G3は3.5mmに設定した。また、正面視における表示部17と通信コントローラ8との距離G4は、18mmに設定した(図3参照)。また、タグ本体7は、前後の厚み寸法を17mmに設定し、左右の幅寸法を160mmに設定し、上下の高さ寸法を95mmに設定した。
記憶部18には、表示画像データ21の基となる複数のベース画像データ22と、複数の定型画像データ23とが格納されている。本実施例では、図5(a)に示す3個のベース画像データ22a〜22c(22)と、図5(b)に示す3個の文字の定型画像データ23a(23)と、図5(c)に示す12個の数字および記号の定型画像データ23b(23)と、図5(d)に示す2個のバーコードの定型画像データ23c(23)を記憶部18に格納した。各ベース画像データ22には、ベース画像データ22を特定するベース画像コードがそれぞれ割り当てられており、各定型画像データ23には、定型画像データ23を特定する定型画像コードがそれぞれ割り当てられている。これらの画像コードも、各画像データと、後述するエリアコードとともに記憶部18に格納している。
ベース画像データ22の画像には、各種文字や記号が予め表示されている。また、ベース画像データ22の画像には、エリアコードで特定されて定型画像データ23が重畳される合成エリア25が設けられており、合成エリア25に定型画像データ23を重畳させることにより、表示部17に表示する表示画像データ21が生成される。図5(a)に示すように、ベース画像データ22aの画像には、「管理番号」、「工程No.」、「数量」、「投入日時」、あるいは四角枠などが表示されていて、これらの表示と関連付けられた位置に想像線で示す6個の合成エリア25a〜25fが予め設定されている。なお、ベース画像データ22b・22cの画像にもベース画像データ22aの画像とは異なる文字や画像などが表示されている。ベース画像データ22a〜22cは、表示部17の表示画素数と同一の画素数の画像データであり、あらかじめ設定された座標位置で白黒表示を行って、先のような文字表示を行う。
RFIDタグは、記憶部18のデータを書換える更新モードを備えており、RFIDタグを更新モードにした状態で、リーダライタ2との無線通信を行うことで、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23の一部あるいは全部を消去したのち、リーダライタ2から送信されたベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納する。ベース画像データ22および定型画像データ23の一部を消去する場合には、ホスト端末1側で任意のベース画像データ22および定型画像データ23を選択して消去することができる。これに伴い、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23の全部を消去する場合に比べて、更新モードにおける無線通信時間を短縮することができる。更新モードにおける記憶部18のデータ書換え時には、無線通信でリーダライタ2からRFIDタグに画像データを送信するので、外乱の影響を受け難い周辺環境のもとで、RFIDタグを静止させた状態で行うことが好ましい。なお、RFIDタグを更新モードにする際には、リーダライタ2からRFIDタグに対して、同タグを更新モードにモード変更する指令を送信する。または、機械的なスイッチを設けて更新モードにモード変更してもよいが、前者の方法がRFIDタグの構造が複雑化せず、スイッチ操作の手間もなく好ましい。
表示コントローラ16は、リーダライタ2から通信コントローラ8へ送信された書換えコマンドに基づいて、記憶部18からベース画像データ22および定型画像データ23を読み出し、ベース画像データ22と定型画像データ23とを重畳して表示画像データ21を生成する。表示コントローラ16は、表示画像データ21を生成したのち、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して、表示内容を書換える。
書換えコマンドは、ベース画像データ22を指定するベース画像コードと、ベース画像データ22の画像の合成エリア25を指定するエリアコードと、エリアコードで指定した合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を指定する定型画像コードで構成されている。このように、ベース画像データ22、合成エリア25、および定型画像データ23を指定するコードで構成される書換えコマンドによれば、そのデータ容量を小さくすることができ、表示部17の書換えのための無線通信時間を短縮することができる。リーダライタ2から送信された書換えコマンドは、通信コントローラ8の記憶部14に一時的に格納され、通信コントローラ8と表示コントローラ16との通信により、表示コントローラ16に転送されて記憶部18に格納される。このとき、記憶部14のユーザー領域より大きな容量のデータがリーダライタ2から送信される場合には、データはホスト端末1でユーザー領域に格納可能な容量に分割され、複数回にわたって通信コントローラ8に送信され、さらに表示コントローラ16に転送される。先に説明したRFIDタグの更新モードで画像データを記憶部18に格納する際にも、同様の送信制御が行われる。
図4に示す表示画像データ21の画像を表示コントローラ16が生成する際の書換えコマンドの内容を説明する。この場合の書換えコマンドは、その先頭に、図5に示すベース画像データ22aを指定するベース画像コードが記述されており、次に、合成エリア25aを指定するエリアコード、および「12000−56700−01」のそれぞれの定型画像データ23bを指定する複数の定型画像コードが記述されている。次に、合成エリア25bを指定するエリアコード、および「39−123」のそれぞれの定型画像データ23bを指定する複数の定型画像コードが記述されている。次に、合成エリア25cを指定するエリアコード、および「150」のそれぞれの定型画像データ23bを指定する複数の定型画像コードが記述されている。次に、合成エリア25dを指定するエリアコード、および「14/08/04」のそれぞれの定型画像データ23bを指定する複数の定型画像コードが記述されている。次に、合成エリア25eを指定するエリアコード、および「入荷」の文字が描画された定型画像データ23aを指定する定型画像コードが記述されている。最後に、合成エリア25fを指定するエリアコード、および二次元バーコードの定型画像データ23cを指定する定型画像コードが記述されている。
ここで、リーダライタ2からRFIDタグに、ホスト端末1で生成した表示画像データ21を送信する場合と、本実施例に係る書換えコマンドを送信する場合との通信時間を比較する。まず、例えば表示部17が4.2インチの電子ペーパーからなり、その表示ピクセル数が400×300である場合、ホスト端末1で生成した図4に示す表示画像データ21のデータ量は117kbitであった。これを「EPC Global Class−1 Generation−2」に基づく通信制御で送信するとき、その冗長性は約6倍であるので、リーダライタ2から通信コントローラ8への送信データ量は、702kbitとなる。920MHzのUHF周波数帯における通信レートは39kbpsであるので、ホスト端末1で生成した表示画像データ21の送信に要する通信時間は約18秒となる。また、前記表示画像データ21を圧縮した場合には、そのデータ量を39kbitまで減じることができるが、この場合でも約6秒の通信時間を要する。次に、上記で説明した書換えコマンドのデータ量は、0.47kbitであった。これを同様の通信制御により送信するとき、そのデータ量は2.81kbitとなるので、書換えコマンドの送信に要する通信時間は約0.07秒となる。従って、本発明のように書換えコマンドを送信して表示部17の表示を書換える場合には、画像データを送信する場合に比べて、通信時間を格段に短縮することができる。なお、上記で算出した通信時間には、リーダライタ2とRFIDタグとが無線通信を行う際のレスポンス待ち時間、およびRFIDタグの内部処理時間は含まれていない。
表示コントローラ16による図4に示す表示画像データ21の生成過程を説明する。表示コントローラ16は書換えコマンドに基づいて、まず、ベース画像コードで指定されたベース画像データ22aを記憶部18から読み出す。次に、各合成エリア25a〜25f毎に、指定された定型画像データ23を記憶部18から読み出し重畳させる工程を繰り返す。これにて、表示画像データ21が生成される。
表示部17の表示内容の書換え動作の流れを、図6のフローチャートを用いて説明する。まず、ホスト端末1で表示画像データ21を決定し、書換えコマンドを生成する。ホスト端末1を操作して書換え動作を開始すると、ホスト端末1はリーダライタ2を制御して送信波の発信を開始し、通信コントローラ8に向けて書換え指令を送信する(S1)。このとき、通信コントローラ8は、アンテナ11がリーダライタ2から放射された送信波を受信した際の電波によって生じる電力で起動し、待機モードから通信モードへとモード変更される(S2)。これに伴い、表示ユニット9はスリープモードから書換えモードへとモードが変更される(S3)。通信コントローラ8および表示ユニット9のモード変更を確認した通信コントローラ8は、リーダライタ2に向けてRFIDタグの識別コードを含む起動確認信号を送信する(S4)。RFIDタグの起動を確認したホスト端末1は(S5)、書換えコマンドのデータの送信を開始する(S6)。データを受信した通信コントローラ8は、受信したデータを記憶部14に一時的に格納し(S7)、表示コントローラ16にデータを転送する(S8)。データを取得した表示コントローラ16(S9)は、データを記憶部18に格納する(S10)。このとき、記憶部14のユーザー領域より大きな容量のデータがリーダライタ2から送信される場合には、データは複数回にわたって通信コントローラ8に送信され、S6からS10の動作が繰り返される。
書換えコマンドのデータをすべて取得した表示コントローラ16は、書換えコマンドに基づいて、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23を読み出して(S11)、先に説明した表示画像データ21の生成過程を経て、表示部17に表示する表示画像データ21を生成する(S12)。生成された表示画像データ21は表示ドライバ19に転送され(S13)、表示ドライバ19は、表示部17に表示できるデータ形式に表示画像データ21を変換したのち(S14)、現在表示部17に表示されている表示画像データ21を消去し、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して表示内容を書換える(S15)。表示内容の書換えが完了した信号を、表示コントローラ16が表示ドライバ19から受信すると、表示ユニット9はスリープモードにモード変更される(S16)。これに伴い、通信コントローラ8は、リーダライタ2に書換え完了の信号を送信し(S17)、通信モードから待機モードへとモードが変更される(S18)。書換え動作の完了をホスト端末1が確認すると(S19)、ホスト端末1はリーダライタ2を制御して送信波の発信が停止される。なお、逐次動作S5で起動確認する際に、起動確認信号に含まれるRFIDタグの識別コードが、書換え対象のRFIDタグの識別コードと異なっている場合には書換え動作を中断して、表示ユニット9をスリープモードにし、通信コントローラ8を待機モードにする信号をリーダライタ2から送信する。このときには、書換え動作が異常終了した旨を、ホスト端末1で報知する。
図1から図6で示したRFIDタグは、以下の形態で実施することができる。
タグ本体7の内部に、リーダライタ2と無線通信を行う通信コントローラ8と、電子ペーパーからなる表示部17を備える表示ユニット9と、これら両者8・9に電力を供給する電源10とを有し、UHF周波数帯の電波を通信媒体にしてリーダライタ2と無線通信を行うRFIDタグを対象とする。通信コントローラ8は、リーダライタ2が放射する送信波を受信するアンテナ11を備えており、通信コントローラ8およびアンテナ11はタグ本体7の内部に配置された基板12上に実装され、表示部17は基板12の前面に配置されており、RFIDタグの正面視において、アンテナ11が表示部17の投影面から外れた基板12上に配置されていることを特徴とする。
図2に示すRFIDタグの正面視において、アンテナ11を表示部17の投影面から外れた基板12上に配置すると、表示部17の投影面内にアンテナ11を配置した場合に比べて、リーダライタ2から放射された送信波が表示部17で遮られる領域を可及的に小さくすることができる。従って、リーダライタ2から放射された送信波をアンテナ11で良好に受信することができる。なお、表示部17が送信波を遮るのは、電子ペーパーからなる表示部17が備える表示状態を切換えるための電極が、送信波を遮蔽および反射するシールドの機能を発揮するからである。
表示ユニット9は、通信コントローラ8に接続される表示コントローラ16と、各種データを格納する記憶部18とを含み、基板12は、通信コントローラ8およびアンテナ11が実装されるアンテナ基板12aと、表示コントローラ16および記憶部18が実装されるメイン基板12bとで構成されており、アンテナ基板12aが、メイン基板12bの前面に隙間G1を介して配置されている形態を採ることができる。
メイン基板12bの前面に隙間G1を介してアンテナ基板12aを配置すると、メイン基板12bに配された配線パターンで反射した送信波を、アンテナ11が受信するのを効果的に防ぐことができ、リーダライタ2から放射された送信波をアンテナ11でさらに良好に受信することができる。また、アンテナ基板12aには、アンテナ11と通信コントローラ8を接続する配線パターン、およびアンテナ基板12aとメイン基板12bとを接続するための配線パターン以外は設ける必要がなく、アンテナ基板12aがリーダライタ2から放射された送信波を反射するのを効果的に防ぐことができる。
アンテナ基板12aと表示部17とが、隙間G3を介して隣り合うように配置されている形態を採ることができる。アンテナ基板12aと表示部17とを隙間G3を介して隣り合うように配置すると、表示部17の電極で反射した送信波を、アンテナ11が受信するのを効果的に防ぐことができ、リーダライタ2から放射された送信波をアンテナ11でさらに良好に受信することができる。
本実施例のRFIDタグシステムの適用例として、工場における部品管理に利用した場合について説明する。図7に示すように、部品受入部門と倉庫、および倉庫と組立ラインの間には、RFIDタグが装着された部品ストッカ5を搬送するコンベアライン(搬送路)30が設けられており、コンベアライン30は、部品受入部門と倉庫とを結ぶ第1コンベアライン30aと、倉庫と組立ラインとを結ぶ第2コンベアライン30bとで構成されている。コンベアライン30に臨む異なる位置に複数のゲート31が設けられている。具体的には、第1コンベアライン30aおよび第2コンベアライン30bの上流端と下流端のそれぞれにゲート31が設けられている。第1コンベアライン30aの上流端のゲート31は、第1コンベアライン30aの搬送始端に臨んで配置するが、他のゲート31は、コンベアライン30上に設けられている。各ゲート31にはそれぞれリーダライタ2が配置されており、それぞれホスト端末1に接続されている。
第1コンベアライン30aの上流端のゲート31に配置されたリーダライタ2とホスト端末1との間には、クライアント端末32が設けられている。クライアント端末32は、ホスト端末1と同様の機能を有しており、クライアント端末32より下位のリーダライタ2を制御してRFIDタグと無線通信を行うことができる。これにより、部品受入部門の作業員がホスト端末1の設置場所まで移動して表示部17の書換えを行う必要がなく、部品受入部門の近傍でRFIDタグの表示部17の書換えを行うことができる。この書換え時には、図4に示すように部品の管理番号、部品を使用する工程ナンバー、部品ストッカ5に投入された部品の数量、投入日時、および「入荷」の文字などを表示部17に表示する。なお、クライアント端末32で表示部17の書換えを行った場合には、書換え情報はホスト端末1に転送され、RFIDタグの識別コードと表示内容とが関連付けられた状態で、ホスト端末1により管理される。
RFIDタグの表示部17の書換えが完了すると、部品ストッカ5を第1コンベアライン30aで倉庫に移送する。第1コンベアライン30aの上流端のゲート31を除く他のゲート31のリーダライタ2は、常に書換え指令を送信しており、搬送される部品ストッカ5がゲート31を通過する際に、RFIDタグは書換え指令を受信して起動し、リーダライタ2に起動確認信号を送信する。この起動確認信号には、RFIDタグの識別コードが含まれており、これにより、ホスト端末1は部品ストッカ5を特定することができ、入荷した部品が倉庫に搬送されてきたことを確認できる。部品ストッカ5を特定したホスト端末1は、部品ストッカ5を倉庫に保管するため、RFIDタグの表示部17の「入荷」の文字を先に説明した書換え動作で「保管」に書換える。本実施例のRFIDタグシステムにおいては、リーダライタ2とRFIDタグとの無線通信を短時間で完了させることができるので、コンベアライン30上を部品ストッカ5が搬送されて、RFIDタグが移動している状態であっても、表示部17の表示内容を書換えることができる。倉庫の作業員は、書換えが完了しているのを確認したのち、倉庫に部品ストッカ5を収納する。
倉庫に収納されている部品ストッカ5を出荷する場合には、ホスト端末1に出荷指示が登録され、作業員は出荷指示に従い第2コンベアライン30b上に部品ストッカ5を載置する。載置された部品ストッカ5は搬送されて第2コンベアライン30bの上流側のゲート31を通過し、通過の際に先の保管時と同様の動作が行われ、「保管」の文字が「出荷」に書換えられる。このとき、出荷指示と異なる部品ストッカ5が第2コンベアライン30b上に載置された場合には、RFIDタグの識別コードが、出荷指示で登録されたRFIDタグの識別コードと一致しないため、間違った部品ストッカ5が第2コンベアライン30b上に載置されたと判断でき、第2コンベアライン30bを停止させて搬送を中止する。この場合には、表示部17の書換えは行われない。下流側に搬送された部品ストッカ5は、第2コンベアライン30bの下流側のゲート31を通過し、このとき「出荷」の文字が削除され、製造ラインに到着した部品ストッカ5は、作業員が目視で管理番号など確認したのち組立ラインに部品を供給する。なお、倉庫と部品検査場が併設されて部品検査後に倉庫に保管する場合には、「入荷」の文字を「検品」に書き換え、検品作業が必要な部品ストッカ5であることを表示して、倉庫へと搬送することができる。この場合には、部品検査場にクライアント端末32およびリーダライタ2を設けておき、検査終了後に「検品」の文字を「保管」に書き換え、倉庫に部品ストッカ5を収納するようにすればよい。
上記のように、部品ストッカ5のゲート31通過時にリーダライタ2とRFIDタグとが無線通信を行うことにより、RFIDタグが装着された部品ストッカ5がコンベアライン30のどの位置を搬送されているかをホスト端末1で確認することができる。また、作業員は、部品ストッカ5に収容された部品の品番や収容数、あるいは部品ストッカ5の搬送先を目視で確認することができる。
以上のように、本実施例のRFIDタグにおいては、ベース画像データ22と、複数種の定型画像データ23とを記憶部18に格納し、表示画像データ21を表示コントローラ16で生成する際の書換えコマンドを、ベース画像データ22の画像の合成エリア25を指定するエリアコードと、エリアコードで指定した合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を指定する定型画像コードとを含んで構成したので、容量の大きな画像データをリーダライタ2からRFIDタグへ向かって送信する必要がなく、エリアコードと定型画像コードなどで構成される容量の小さい書換えコマンドをRFIDタグへ向かって送信するだけで、表示コントローラ16で表示画像データ21を生成し、生成した表示画像データ21の画像を表示部17に表示して、表示内容を書換えることができる。従って、例えば障害物などが多く無線通信が不安定になりやすい工場や倉庫の建屋内などの環境下であっても、リーダライタ2とRFIDタグとの無線通信を短時間で完了させて、確実に表示部17の表示内容を書換えることができる。また、合成エリア25に重畳させる定型画像データ23を変更することにより、異なる表示画像データ21を生成できるので、表示部17に多様な表示内容を表示することが可能である。
一次電池10の電力を利用してリーダライタ2との間で無線通信を行う通信モードと、一次電池10の電力を利用することなくリーダライタ2からの送信波を受信待機する待機モードとにモード変更可能に通信コントローラ8を構成し、また、電源の電力を利用して表示部17の表示内容を書換える書換えモードと、一次電池10からの僅かな電力を利用して通信コントローラ8からの起動信号を受信待機するスリープモードとにモード変更可能に表示ユニット9を構成した。そのうえで、通信コントローラ8が待機モードから通信モードへとモード変更するのに伴って、表示ユニット9をスリープモードから書換えモードへとモード変更し、表示ユニット9が書換えモードからスリープモードへとモード変更するのに伴って、通信コントローラ8が通信モードから待機モードへとモード変更するようにしたので、表示部17の書換え動作時以外は一次電池10の電力をほとんど使用することがなく、一次電池10の電力消費の削減を図ることができる。従って、RFIDタグの電源交換の頻度を減少させてRFIDタグのメンテナンスに要する手間と時間を軽減できる。また、表示部17の書換え動作時には一次電池10の電力を使用するので、通信コントローラ8および表示ユニット9を的確に作動させて、確実に表示部17の表示内容を書換えることができる。
記憶部18に複数のベース画像データ22を格納し、各ベース画像データ22にベース画像コードをそれぞれ割り当て、書換えコマンドにベース画像データ22を指定するベース画像コードを含むように構成したので、表示すべきベース画像データ22の画像の種類を増加して、表示部17の表示内容をさらに多様に書換えることができる。
RFIDタグは、記憶部18のデータを書換える更新モードを備え、更新モードにおいては、記憶部18に格納されているベース画像データ22および定型画像データ23の一部あるいは全部を消去したのち、リーダライタ2から送信されたベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納するようにしたので、RFIDタグを更新モードにして、ユーザー側で所望のベース画像データ22および定型画像データ23を記憶部18に格納することで、RFIDタグの使用場所に応じた最適な表示画像データ21を生成することができ、使い勝手のよいRFIDタグとすることができる。
電子ペーパーは、例えば液晶表示体に比べて、表示内容を書換える際の消費電力が僅かであり、また、電力を消費することなく表示状態を保持することができる。従って、表示部17を電子ペーパーで構成したRFIDタグによれば、表示部17での電源10の電力消費をさらに低減でき、電源10の長寿命化を図ることができる。
上記のRFIDタグと、ホスト端末1と、ホスト端末1で制御されてRFIDタグと無線通信を行うリーダライタ2とを含むRFIDタグシステムにおいて、RFIDタグが装着された部品ストッカ5のコンベアライン30に臨む異なる位置に複数のゲート31を設け、各ゲート31にそれぞれリーダライタ2を配置した。そして、部品ストッカ5がゲート31を通過する際に、リーダライタ2とRFIDタグとの間で無線通信を行って、表示部17の表示内容を書換えるようにした。本実施例のRFIDタグシステムによれば、リーダライタ2とRFIDタグとの無線通信を短時間で完了させることができるので、リーダライタ2と移動する部品ストッカ5に装着されたRFIDタグとの間で無線通信を行うRFIDタグシステムとして好適である。
上記の実施例では、合成エリア25をベース画像データ22に予め設定したが、その必要はなく、合成エリア25の基点(合成エリア25の上部左端)を指定する表示部17のXY座標と、基点からのXおよびY方向のピクセル数とをエリアデータとすることができる。この場合には、ベース画像データ22に自在に定型画像データ23を重畳させることができ、表示部17により多様な表示内容を表示することが可能である。ベース画像データ22の画像に、「入荷」、「保管」、「出荷」などの複数の文字を予め表示しておき、これら文字の1個を囲むように丸枠あるいは四角枠の定型画像データ23を重畳して、これを搬送先の表示としてもよい。この場合には、記憶部18に記憶させる定型画像データ23の個数を減じて、定型画像データ23の総記憶容量を低容量化することができる。
表示部17は、1個の電子ペーパーで構成したが、複数の電子ペーパーで表示部17を構成してもよく、すべての電子ペーパー、ないしは任意の電子ペーパーの表示内容を書換えることができる。この場合には、書換えコマンドに書換えを行う電子ペーパーを特定するコードを含むようにすればよい。電源10は、一次電池に代えて二次電池を使用してもよく、二次電池の充電方法は接点式、ないしは無接点式のいずれの充電形態であってもよい。アンテナ基板12a、メイン基板12b、および表示部17の配置において、隙間G1は隙間G2よりも小さく設定したが、隙間G1を隙間G2よりも大きく設定することができる。アンテナ11は、折り返しダイポールアンテナ以外に、半波長ダイポールアンテナ、パッチアンテナなど、リーダライタ2からの送信波を受信し、あるいは反射波を送信できるアンテナであればよい。