JP6301793B2 - Drr画像作成方法およびdrr画像作成装置 - Google Patents

Drr画像作成方法およびdrr画像作成装置 Download PDF

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Description

この発明は、DRR画像作成方法に関し、特に、被検者に対して治療ビームを照射して放射線治療を行うときに、被検者の位置決めを行うため、X線管とX線検出器を備えたX線撮影系により撮影したX線撮影画像との比較に使用されるDRR画像を作成するためのDRR画像作成方法およびDRR画像作成装置に関する。
X線CT装置により収集した3次元画像データを利用した仮想的透視投影であるDRR(Degital Reconstructed Radiography:デジタル再投影放射線)画像は、例えば、被検者である患者の位置決めに利用される。すなわち、患者に対して治療ビームを照射して放射線治療を行う治療装置においては、DRR画像は、患者の位置決め時に、X線撮影画像の位置ずれを計算するのに使用される。また、患者の位置決め後には、DRR画像とX線撮影画像との位置ずれが許容範囲内にあるかが、医師等による読影により確認される。
このDRR画像を作成するときには、コンピュータ上に仮想的に、CT画像を挟んでX線管とX線検出器の幾何学配置であるジオメトリを再現する。そして、仮想的なX線管から仮想的なX線検出器を結ぶ線分上にあるCTデータボクセルにおけるCT値の線積分を求める。そして、CT値の線積分を線減弱係数の線積分に変換してX線の減弱を算出し、これに基づいて各画素に到達する相対X線量を計算する。そして、相対X線量に正規化を施すことにより、各画素の画素値を算出してDRR画像を得ている(特許文献1参照)。
特開2013−99431号公報
DRR画像は、ビームハードニング現象が発生しない単色のX線で、かつ、散乱線の映り込みのない理想的条件下で作成される。一方、実際にX線管とX線検出器を利用したX線撮影においては、ビームハードニング現象や散乱線が発生することから、DRR画像とX線撮影画像とは、画質が異なるものとなる。このような画質の差は、ビームハードニング現象が顕著で、かつ、散乱線が多い脊椎等を撮影する場合等において特に顕著なものとなる。
DRR画像とX線撮影画像とで画質が異なった場合には、DRR画像とX線撮影画像とを比較して位置ずれを認識することが困難となる。また、医師等が読影によりDRR画像とX線撮影画像との位置ずれが許容範囲内にあるかを判断する場合においても、読影に長い時間を要することとなる。このような場合には、患者に苦痛を与えるだけではなく、高額な放射線治療装置を利用しての放射線治療のスループットが低下するという問題が生ずる。
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、X線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能なDRR画像作成方法およびDRR画像作成装置を提供することを目的とする。
第1の発明では、放射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成方法であって、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加する。
第2の発明では、前記仮想的な透視投影は、前記コンピュータ上に再現したX線撮影系の幾何学的配置におけるX線管と前記X線CTデータの各画素とを結ぶ光線を設定するとともに、この光線上に複数の計算点を設定し、前記計算点のCT値を前記X線管から前記計算点までの累積CT値に基づいて補正し、補正後の各計算点のCT値用いて前記光線上に位置する計算点のCT値を累積し、累積されたCT値に基づいてDRR画像を作成する。
請求項3の発明では、前記透視投影に基づいて得られた各画素値に基づいて、その画素値を補正する。
第4の発明では、前記補正は、予め求められたルックアップテーブルを利用して実行される。
第5の発明では、X線管から照射されるX線のスペクトルに基づいてルックアップテーブルが選択される。
第6の発明では、放射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成装置であって、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加する画像処理部を備える。
第7の発明では、放射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成方法であって、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、前記X線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加する。
第8の発明では、前記透視投影に基づいて得られた各画素値からその画素周辺の散乱線分布を算出し、各画素値にその散乱線分布を加算する。
第9の発明では、前記散乱線分布の算出は、予め求められたルックアップテーブルを利用して実行される。
第10の発明では、X線管から照射されるX線のスペクトルに基づいてルックアップテーブルが選択される。
第11の発明では、放射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成装置であって、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、前記X線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加する画像処理部を備えることを特徴とする。
第1および第6の発明によれば、透視投影に基づいて得られる画素値に対してビームハードニング効果に相当する成分を付加することから、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。このため、DRR画像とX線撮影画像との読影や位置決めを容易に実行することが可能となる。
第2の発明によれば、X線CTデータに対してX線撮影時と同等の条件を適用することにより、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
第3の発明によれば、透視投影に基づいて得られた各画素値に基づいてその画素値自身を補正することにより、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
第4および第5の発明によれば、ルックアップテーブルを利用して適正かつ容易に、画素値を補正することが可能となる。
第7および第11の発明によれば、透視投影に基づいて得られる画素値に対してX線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加することから、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。このため、DRR画像とX線撮影画像との読影や位置決めを容易に実行することが可能となる。
第8の発明によれば、散乱線分布を利用することにより、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
第9および第10の発明によれば、ルックアップテーブルを利用して適正かつ容易に、散乱線分布の算出を行うことが可能となる。
この発明に係るDRR画像の作成方法を適用するX線透視装置をX線治療装置とともに示す概要図である。 放射線治療装置におけるヘッド55およびヘッド支持部54の揺動動作を示す説明図である。 この発明の第1実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。 仮想的な透視撮影の様子を模式的に示す説明図である。 この発明の第2実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。 この発明の第3実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るDRR画像の作成方法を適用するX線透視装置をX線治療装置とともに示す概要図である。また、図2は、放射線治療装置におけるヘッド55およびヘッド支持部54の揺動動作を示す説明図である。
放射線治療装置は、テーブル56上で横たわった被検者57の患部に対してX線や電子線等の放射線を照射して放射線治療を行うためのものであり、治療室の床面51上に設置されたガントリー53と、このガントリー53に対して水平方向を向く軸を中心として揺動するヘッド支持部54と、このヘッド支持部54に支持され、被検者57に向けて放射線を照射するためのヘッド55とを備える。ヘッド支持部54の揺動動作により、ヘッド55は、被検者57の患部に対して、様々な角度から放射線を照射することが可能となる。
放射線治療時においては、放射線を患部に正確に照射する必要がある。このため、患部付近には、マーカが設置される。そして、X線透視装置においては、第1X線透視機構と第2X線透視機構とを使用して体内に埋め込まれたマーカを連続的に透視して、第1X線透視機構と第2X線透視機構により得た二次元の透視画像からマーカの三次元の位置情報を演算することで、マーカを高精度で検出する構成となっている。
このような透視を実行するためのX線透視装置は、第1X線管1aと第1X線検出器2aとから成る第1X線透視機構と、第2X線管1bと第2X線検出器2bとから成る第2X線透視機構と、これらの第1X線管1aと第1X線検出器2aとを互いに対向配置される後述する第1透視位置および第2透視位置に移動させるとともに、第2X線管1bと第2X線検出器2bとを互いに対向配置される第1透視位置および第2透視位置に移動させる移動機構とを備える。なお、第1X線検出器2aおよび第2X線検出器2bとしては、フラットパネルディテクタ(FPD)が使用される。
第1X線管1aは、X線管用第1台座3aに支持されている。また、第2X線管1bは、X線管用第2台座3bに支持されている。撮影室の床面51に形成された凹部の底面52には、二つの直線部を円弧部を含む連結部により接続した略U字状のX線管用の第1レール21と、このX線管用の第1レール21と同様二つの直線部を円弧部を含む連結部により接続した略U字状のX線管用の第2レール22とが配設されている。これらのX線管用の第1レール21およびX線管用の第2レール22は、互いに平行に配置されている。そして、X線管用第1台座3aおよびX線管用第2台座3bは、これらのX線管用の第1レール21および第2レール22により案内されて、複数の透視位置に移動する。
同様に、第1X線検出器2aは、X線検出器用第1台座4aに支持されている。また、第2X線検出器2bは、X線検出器用第2台座4bに支持されている。撮影室の天井からは、二つの直線部を円弧部を含む連結部により接続した略U字状のX線検出器用の第1レール11と、このX線検出器用の第1レール11と同様二つの直線部を円弧部を含む連結部により接続した略U字状のX線検出器用の第2レール12とが吊下されている。これらのX線検出器用の第1レール11およびX線検出器用の第2レール12は、互いに平行に配置されている。そして、X線検出器用第1台座4aおよびX線検出器用第2台座4bは、これらのX線検出器用の第1レール11および第2レール12により案内されて、複数の透視位置に移動する。
このような放射線治療装置およびX線透視装置においては、被検者57を正しい位置に位置決めして放射線治療を実行するために、X線透視装置で実際に被検者57を撮影したX線撮影画像と、治療計画時に被検者57をCT撮影したデータより得られたDRR画像とを比較する必要がある。このとき、実際にX線管とX線検出器を利用したX線撮影においては、ビームハードニング現象や散乱線が発生することから、DRR画像とX線撮影画像とは、画質が異なるものとなる。このため、この発明においては、ビームハードニング効果や散乱線の影響を考慮して、X線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成する画像処理部80を採用している。
図3は、この発明の第1実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。
放射線治療装置は、上述したヘッド55、ヘッド支持部54およびガントリー53等を制御する治療装置制御部91を備える。また、X線透視装置は、上述した第1X線管1a、第2X線管1b、第1X線検出器2aおよび第2X線検出器2bや、これらの第1X線管1a、第2X線管1b、第1X線検出器2aおよび第2X線検出器2bを移動させるための移動機構を制御するX線透視装置制御部92を備える。治療装置制御部91とX線透視装置制御部92とは、互いに接続されている。
X線透視装置制御部92は、画像処理部80に接続され、この画像処理部80を介して、液晶表示パネル等から構成される表示部93にX線透視画像を表示する。この画像処理部80は、治療計画時に被検者57をCT撮影して得られたCTデータをCTデータ記憶部94から取得可能となっている。また、この画像処理部80は、後述するDRR画像の作成時に使用されるルックアップテーブルのデータをルックアップテーブル記憶部95から取得可能となっている。なお、このX線透視装置制御部92と画像処理部80とは、論理演算を実行するCPU、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM等を備えたコンピュータから構成される。
この画像処理部80は、機能的構成として、コンピュータ上に再現したX線撮影系の幾何学的配置におけるX線管とX線CTデータの各画素とを結ぶ光線を設定するとともに、この光線上に複数の計算点を設定する計算点設定部81と、計算点設定部81で設定された各計算点のCT値をX線管から計算点までの累積CT値に基づいて補正するCT値補正部82と、CT値補正部82により補正後の各計算点のCT値用いて光線上に位置する計算点のCT値を累積するCT値累積部83と、CT値累積部83により累積されたCT値に基づいてDRR画像を作成するDRR画像作成部84と、を備える。
この画像処理部80によりDRR画像を作成するときには、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置であるジオメトリを再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行う。
図4は、仮想的な透視撮影の様子を模式的に示す説明図である。
DRR画像作成時には、コンピュータ上に三次元のX線CTデータ100を配置する。そして、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置であるジオメトリを再現する。この実施形態においては、X線CTデータ100を挟んで、両側に、図1に示す第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bを配置する。X線CTデータ100は、図3に示すCTデータ記憶部94から取得される。これらのX線CTデータ100および第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bの配置は、図1に示すX線透視装置で透視を実行するときの被検者57と第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとの配置と同じジオメトリとなっている。ここで、ジオメトリとは、撮影対象とX線管およびX線検出器の幾何学的配置関係を意味する。
この状態で、画像処理部80における計算点設定部81により、第1X線管1aまたは第2X線管1bと、X線CTデータ100の各画素を介して第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとを結ぶ多数の光線Lを設定する。なお、図4においては、説明の便宜上、2本の光線L1、L2を図示している。そして、この光線L上に、各々、複数の計算点を設定する。この計算点は、計算点設定部81により、例えば、光線L上に1mm毎に設定される。
次に、計算点設定部81により設定された各計算点のCT値を、線形補間等を行って算出する。そして、このCT値を、CT値補正部82により、各光線Lにおける第1X線管1aまたは第2X線管1bから各計算点までの累積CT値に基づいて補正する。この補正を実行するときには、図3に示すルックアップテーブル記憶部95に記憶されたルックアップテーブルが利用される。このルックアップテーブルは、累積CT値をインデックスとして、CT値を補正する係数を記憶したものである。このルックアップテーブルにおいては、累積CT値が大きいほど、小さな係数となる。
ビームハードニング現象は、X線透視に使用されるX線が連続X線であることから、X線が被検者57を通過して減衰するに伴って、X線のスペクトルの高いエネルギー部分が相対的に多くなって、減衰しにくくなる現象である。このため、累積CT値が大きいほど、CT値を補正する係数を小さなものとすると、ビームハードニング効果と同等の補正を行うことが可能となる。このルックアップテーブルは、予め、実測により、あるいは、シミュレーションにより求められる。このルックアップテーブルは、管電圧が異なる場合など、第1X線管1aまたは第2X線管1bから照射されるX線のスペクトルが変化する場合に対応して、ルックアップテーブル記憶部95に複数個が記憶されている。そして、実際に撮影に使用されるX線のスペクトルに基づいて最も適切なルックアップテーブルが選択される。
次に、CT値累積部83により、CT値補正部82により補正された後の光線L上の各計算点のCT値を累積する線積分を実行する。そして、DRR画像作成部84により、累積されたCT値を線減弱係数の線積分に変換してX線の減弱を算出することにより、DRR画像を作成する。
この実施形態に係る画像処理装置によれば、各光線上に設定した複数の計算点のCT値を第1X線管1aまたは第2X線管1bから各計算点までの累積CT値に基づいて補正し、補正後の各計算点のCT値を用いて各光線上に位置する計算点のCT値を累積することにより、透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加することができ、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図5は、この発明の第2実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。なお、上述した第1実施形態と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この画像処理部80は、機能的構成として、コンピュータ上に再現したX線撮影系の幾何学的配置において上述した光線Lを設定し、CT値を累積するCT値累積部83と、CT値累積部83により累積されたCT値に基づいてDRR画像を作成するDRR画像作成部84と、このDRR画像の各画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加するDRR画像補正部85とを備える。
この実施形態においても、図4に示すように、DRR画像作成時には、コンピュータ上に三次元のX線CTデータ100を配置する。そして、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置であるジオメトリを再現する。この実施形態においても、X線CTデータ100を挟んで、両側に、図1に示す第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bを配置する。X線CTデータ100は、図3に示すCTデータ記憶部94から取得される。これらのX線CTデータ100および第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bの配置は、図1に示すX線透視装置で透視を実行するときの被検者57と第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとの配置と同じジオメトリとなっている。
この状態で、第1実施形態の場合と同様に、第1X線管1aまたは第2X線管1bと、X線CTデータ100の各画素を介して第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとを結ぶ多数の光線Lを設定する。そして、CT値累積部83により、この光線L上のCT値を累積することにより線積分する。しかる後、DRR画像作成部84により、累積されたCT値を線減弱係数の線積分に変換してX線の減弱を算出することにより。DRR画像を作成する。そして、作成されたDRR画像の各画素値に対して、DRR画像補正部85により、ビームハードニング効果に相当する成分を付加する補正を実行する。
より具体的には、DRR画像作成部84により作成されたDRR画像の画素値に対して、これをビームハードニング効果に相当する成分を付加したより大きな画素値に変換する補正を行う。この補正を実行するときには、図5に示すルックアップテーブル記憶部95に記憶されたルックアップテーブルが利用される。このルックアップテーブルは、実測またはシミュレーションにより求められた、DRR画像の画素値とそのときのビームハードニング効果に相当する画素値との関係を記憶したものである。なお、このルックアップテーブルは、管電圧が異なる場合など、第1X線管1aまたは第2X線管1bから照射されるX線のスペクトルが変化する場合に対応して、ルックアップテーブル記憶部95に複数個が記憶されている。そして、実際に撮影に使用されるX線のスペクトルに基づいて最も適切なルックアップテーブルが選択される。
この第2実施形態に係る画像処理装置によれば、透視投影に基づいて得られた各画素値に基づいてその画素値を補正することにより、透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加することができる。このときの補正の精度は、第1実施形態と比較していくらか低いものとはなるが、複雑な計算を実行することなく、高速に、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図6は、この発明の第3実施形態に係る画像処理部80を含む制御系を示すブロック図である。なお、上述した第1、第2実施形態と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この画像処理部80は、機能的構成として、コンピュータ上に再現したX線撮影系の幾何学的配置において上述した光線Lを設定し、CT値を累積するCT値累積部83と、CT値累積部83により累積されたCT値に基づいてDRR画像を作成するDRR画像作成部84と、DRR画像作成部84により作成されたDRR画像の各画素値からその画素値周辺の散乱線分布を算出する散乱線分布算出部86と、DRR画像作成部84により作成されたDRR画像の各画素値に散乱線分布算出部86により算出された散乱分布を加算する散乱分布加算部87とを備える。
この実施形態においても、図4に示すように、DRR画像作成時には、コンピュータ上に三次元のX線CTデータ100を配置する。そして、コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置であるジオメトリを再現する。この実施形態においても、X線CTデータ100を挟んで、両側に、図1に示す第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bを配置する。X線CTデータ100は、図3に示すCTデータ記憶部94から取得される。これらのX線CTデータ100および第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bの配置は、図1に示すX線透視装置で透視を実行するときの被検者57と第1X線管1aまたは第2X線管1bと第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとの配置と同じジオメトリとなっている。
この状態で、第1、第2実施形態の場合と同様に、第1X線管1aまたは第2X線管1bと、X線CTデータ100の各画素を介して第1X線検出器2aまたは第2X線検出器2bとを結ぶ多数の光線Lを設定する。そして、CT値累積部83により、この光線L上のCT値を累積することにより線積分する。しかる後、DRR画像作成部84により、累積されたCT値を線減弱係数の線積分に変換してX線の減弱を算出することにより。DRR画像を作成する。そして、作成されたDRR画像の各画素値に対して、X線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加する。
より具体的には、DRR画像作成部84により作成されたDRR画像の各画素に対して、散乱線分布算出部86により、その画素周辺の散乱線分布を求める。この散乱線分布の算出には、図6に示すルックアップテーブル記憶部95に記憶されたルックアップテーブルが利用される。このルックアップテーブルは、実測またはシミュレーションにより求められた、DRR画像の画素値とそのときのその画素周辺の散乱線分布との関係を記憶したものである。この散乱線分布は、点広がり関数として記憶される。そして、この点広がり関数の形状は、上述したように、実測またはシミュレーションにより求められている。なお、このルックアップテーブルは、管電圧が異なる場合など、第1X線管1aまたは第2X線管1bから照射されるX線のスペクトルが変化する場合に対応して、ルックアップテーブル記憶部95に複数個が記憶されている。そして、実際に撮影に使用されるX線のスペクトルに基づいて最も適切なルックアップテーブルが選択される。
この第3実施形態に係る画像処理装置によれば、透視投影に基づいて得られた各画素値に基づいてその画素値を補正することにより、透視投影に基づいて得られる画素値に対して、散乱線に相当する成分を付加することができる。このため、X線撮影系により撮影したX線撮影画像と同等の画質を有するDRR画像を作成することが可能となる。
この発明は、例えば、放射線治療等の分野において、DDR画像を作成するときに利用される。
1a 第1X線管
1b 第2X線管
2a 第1X線検出器
2b 第2X線検出器
53 ガントリー
54 ヘッド支持部
55 ヘッド
56 テーブル
57 被検者
80 画像処理部
81 計算点設定部
82 CT値補正部
83 CT値累積部
84 DRR画像作成部
85 DRR画像補正部
86 散乱線分布算出部
87 散乱線分布加算部
91 治療装置制御部
92 X線透視装置制御部
93 表示部
94 CTデータ記憶部
95 ルックアップテーブル記憶部
100 X線CTデータ

Claims (11)

  1. 射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成方法であって、
    コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加することを特徴とするDRR画像作成方法。
  2. 請求項1に記載のDRR画像作成方法において、
    前記仮想的な透視投影は、前記コンピュータ上に再現したX線撮影系の幾何学的配置におけるX線管と前記X線CTデータの各画素とを結ぶ光線を設定するとともに、この光線上に複数の計算点を設定し、
    前記計算点のCT値を前記X線管から前記計算点までの累積CT値に基づいて補正し、
    補正後の各計算点のCT値を用いて前記光線上に位置する計算点のCT値を累積し、
    累積されたCT値に基づいてDRR画像を作成するDRR画像作成方法。
  3. 請求項1に記載のDRR画像作成方法において、
    前記透視投影に基づいて得られた各画素値に基づいて、その画素値を補正するDRR画像作成方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載のDRR画像作成方法において、
    前記補正は、予め求められたルックアップテーブルを利用して実行されるDRR画像作成方法。
  5. 請求項4に記載のDRR画像作成方法において、
    線管から照射されるX線のスペクトルに基づいてルックアップテーブルが選択されるDRR画像作成方法。
  6. 射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成装置であって、
    コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、ビームハードニング効果に相当する成分を付加する画像処理部を備えることを特徴とするDRR画像作成装置。
  7. 射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成方法であって、
    コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、前記X線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加することを特徴とするDRR画像作成方法。
  8. 請求項7に記載のDRR画像作成方法において、
    前記透視投影に基づいて得られた各画素値からその画素周辺の散乱線分布を算出し、各画素値にその散乱線分布を加算するDRR画像作成方法。
  9. 請求項8に記載のDRR画像作成方法において、
    前記散乱線分布の算出は、予め求められたルックアップテーブルを利用して実行されるDRR画像作成方法。
  10. 請求項9に記載のDRR画像作成方法において、
    線管から照射されるX線のスペクトルに基づいてルックアップテーブルが選択されるDRR画像作成方法。
  11. 射線治療に用いられるDRR画像を作成するDRR画像作成装置であって、
    コンピュータ上にX線撮影系の幾何学的配置を再現し、予め収集されたX線CTデータに仮想的に透視投影を行うとともに、前記透視投影に基づいて得られる画素値に対して、前記X線撮影系で発生する散乱線に相当する成分を付加する画像処理部を備えることを特徴とするDRR画像作成装置。
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