JP6300646B2 - ケミカルルーピング燃焼システム - Google Patents
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Description
CLCの特長は、化学吸収システムでの液再生エネルギーや酸素燃焼システムにおける酸素製造装置の駆動エネルギーが不要であるため、これらの技術に比べて消費エネルギーを大幅に低減し、発電効率の低下を抑制できる可能性がある。
空気反応器1では、金属粒子(Me)5が空気6中の酸素と反応して金属粒子(MeO)4となる。
酸化した金属粒子(MeO)4はサイクロン(図示せず)でN2やO2などの反応後ガス36と分離され、燃料反応器2へ送られる。
燃料反応器2では高温の金属粒子(MeO)4と固体燃料(例えば石炭)7が接触して、金属粒子(MeO)4の酸素と固体燃料7が反応する。このとき固体燃料7を酸化した金属粒子(MeO)4は還元されて金属粒子(Me)5となり、空気反応器1へ戻る循環ループを形成する。
(2n+m) MexOy−1+mH2O+nCO2 (2)
空気反応器1からは窒素や残存酸素を含んだ反応後ガス36が放出され、燃料反応器2からはCO2ガス9やH2O(水蒸気) 10などが排出される。これらのガスは高温のため、排熱回収ボイラ(図示せず)で熱回収して、発電に利用する(非特許文献1参照)。
固定燃料である石炭は、水分、灰分、揮発分ならびに固定炭素などの成分から構成されており、800℃以上の高温場に石炭が投入されると、熱分解し、気体成分(水分と揮発分)と固体成分(固定炭素と灰分)に瞬時に分離される。一般に、気体成分を揮発分、固体成分をチャーと呼んでいる。
この3塔式CLCでは、石炭の酸化反応をチャー反応と揮発分反応に分割し、チャーの反応時間確保による未反応物を低減することを目的として、図4で示した燃料反応器を、燃料反応器2と揮発反応器3の2塔に分けたものである。この理由は、チャーのガス化反応阻害要因である揮発分を分離し、チャーのガス化反応を効率よく進行させるためである(非特許文献2参照)。
図6は、この3塔式CLCの具体例を示す概略系統図である。
固体燃料をガス化させる移動層式燃料反応器と、
前記燃料反応器から生成したガス成分を金属粒子で酸化する流動層式揮発分反応器と、
前記ガス成分の酸化により還元された前記金属粒子を空気により酸化する流動層式空気反応器と、
前記空気反応器から排出される前記金属粒子と前記ガス成分を分離するサイクロンと、
前記揮発分反応器から排出される二酸化炭素を分離・回収する例えば二酸化炭素圧縮液化装置などの二酸化炭素回収手段を備えて、
前記金属粒子が循環するように、前記燃料反応器と前記揮発分反応器と前記空気反応器と前記サイクロンをニューマティックバルブと配管でループ状に接続したケミカルルーピング燃焼システムを対象とするものである。
そして本発明の第1の手段は、
前記燃料反応器に供給する二酸化炭素もしくは水蒸気、あるいは二酸化炭素と水蒸気の両方を成分とするガス化剤の供給量の調整により、前記二酸化炭素回収手段での二酸化炭素の回収率を制御する構成になっていることを特徴とするものである。
前記固体燃料が例えば石炭の単独、あるいは石炭と植物由来バイオマスの併用など石炭を含む固体燃料であって、
前記固体燃料の固定炭素モル量に対する前記ガス化剤モル量の比(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αと、前記燃料反応器で生成するチャーのガス化率との関係を予め求めておき、
前記制御する二酸化炭素の回収率に対応した前記チャーのガス化率と前記(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αの関係に基づいて、前記ガス化剤の供給量を調整することを特徴とするものである。
前記ガス化剤の供給量の調整により二酸化炭素の回収率を制御する構成が、
前記燃料反応器に前記ガス化剤を供給するガス化剤供給管と、
前記ガス化剤供給管に付設された弁と、
前記二酸化炭素の回収率に応じて前記弁の開度調整を指示する二酸化炭素回収率変更指示手段を備えていることを特徴とするものである。
前記燃料反応器に供給するガス化剤として、前記揮発分反応器からの排気ガスの一部を使用する構成になっていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1ないし第3の手段いずれかの手段において、
前記燃料反応器に供給するガス化剤として、前記二酸化炭素回収手段で回収した二酸化炭素の一部を使用する構成になっていることを特徴とするものである。
前記揮発分反応器の排気ガス出口側に設けた熱交換器または/および前記サイクロンの排気ガス出口側に設けた熱交換器で生成した水蒸気の一部を、前記燃料反応器に供給するガス化剤として使用する構成になっていることを特徴とするものである。
前記燃料反応器とその燃料反応器の上に設けられた前記揮発分反応器の間に、前記揮発分反応器内の前記金属粒子の流動化を促進するための二酸化炭素もしくは水蒸気、あるいは二酸化炭素と水蒸気の両方を成分とするアシスタントガスを供給する例えばアシスタントガス供給配管と弁からなるアシスタントガス供給手段を設けたことを特徴とするものである。
前記燃料反応器に供給する前記ガス化剤の一部を前記アシスタントガスとして前記揮発分反応器に供給する構成になっていることを特徴とするものである。
前記揮発分反応器に供給する前記アシスタントガスとして、前記二酸化炭素回収手段で回収した二酸化炭素の一部を使用する構成になっていることを特徴とするものである。
前記揮発分反応器の排気ガス出口側に設けた熱交換器または/および前記サイクロンの排気ガス出口側に設けた熱交換器で生成した水蒸気の一部を、前記揮発分反応器に供給する前記アシスタントガスとして使用する構成になっていることを特徴とするものである。
図1に示すように3塔式CLCは、空気反応器1と燃料反応器2と揮発反応器3の3塔を主体に構成されており、これらにサイクロン13、熱交換器15、空気予熱器16、除塵装置17、熱交換器19、脱硝装置20、除塵装置21、脱硫装置22、CO2圧縮液化装置23および空気ブロア35などが図に示すように配置、接続されている。
排出されたチャー12と金属粒子(Me)5はLバルブ26を通過して、空気反応器1へ移送される。空気反応器1には、空気予熱器16を通過した高温の空気30が導入されており、空気予熱器16の内部では空気30がチャー12を燃焼する。
図3は、固定炭素モル量に対するガス化剤モル量の比(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αをパラメータとして、チャーのガス化率とαの関係を示した特性図である。
固定炭素とは、石炭の工業分析で得られる揮発分と水分と灰分を除いた固体の炭素分である。例えばガス化時間(チャー12が燃料反応器2内に滞留する時間)が15分に設計されている場合、図3に示すようにα=1.2ではガス化率は約98%、α=0.5ではガス化率は30%と、αが減少するのに伴いチャーのガス化率が低下する傾向にある。
このように本発明では、CO2回収率の調整をチャー12のガス化剤27の供給量の制御によって行うことを特徴としている。
図1に示すように揮発分反応器3から排出されたCO2ガス9とH2O(水蒸気)10の高温混合ガスは、それを熱交換器19に通すことにより低温化される。この混合ガスの一部をガス化剤27として用いるため、熱交換器19の出口側から燃料反応器2の下部側に延びたガス化剤供給配管40を設け、そのガス化剤供給配管40の途中に循環ブロア34と弁32を設ける。
産業用CO2の需要変化に伴ってCO2回収率を変更する場合、初めにCO2回収率変更指示手段31に希望するCO2回収率を入力する。この入力に基づいて、弁32の開度が調整され、循環ブロア34によって送られてくるガス化剤27の供給流量がコントロールされる。
例えば、燃料反応器2をチャー12の滞留する時間が15分になるように設計していた場合、CO2回収率を98%から30%に変更するには、図3よりガス化時間15分におけるチャーガス化率98%から30%に変更したときの、(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αに設定する。この場合、αが1.2から0.5へ変更することになる。
また,水蒸気の供給元として、図1に示す熱交換器15,19から生成した水蒸気を利用してもよい。
金属粒子(MeO)4として酸化鉄を使用した場合の、還元/酸化反応式を下記に示す。
酸化反応:4Fe3O4+O2(空気)⇒6Fe2O3+発熱 (4)
金属粒子(MeO)4として酸化鉄を使用した場合、金属粒子(MeO)4はFe2O3、金属粒子(Me)5はFe3O4に相当する。そして空気反応器1では前記式(4)で示すFe3O4と空気の酸化反応が生じ、燃料反応器2と揮発分反応器3では前記式(3)で示すFe2O3の還元反応が生じる。
CH4+6Fe2O3⇒CO+H2O+4Fe3O4 (5)
CO+3Fe2O3⇒CO2+2Fe3O4 (6)
H2+3Fe2O3⇒H2O+2Fe3O4 (7)
また、金属粒子(MeO)4が撹拌されないため、生成ガス11との反応性が低下する。
本実施例では図2に示すように、ガス化剤供給配管40上の循環ブロア34と弁32の間から揮発分反応器3の下部に向けてアシストガス供給管41を分岐し、そのアシストガス供給管41上に弁38を付設して、弁38に例えばキーボードなどで構成されているアシストガス供給指示手段42を接続している。
本実施例のように、揮発分反応器3から排出されるCO2ガスやH2O(水蒸気)をガス化剤供給配管40から分岐してアシストガス37として供給すれば、ランニングコストを低く抑えることができる。
さらにCO2ガスの供給元として、CO2圧縮液化装置23で回収したCO2を再利用しても良い。さらにまた、H2O(水蒸気)の供給元として、熱交換器15,19から生成した水蒸気を利用しても良い。
2:燃料反応器、
3:揮発分反応器、
4:金属粒子(MeO)、
5:金属粒子(Me)、
6:空気、
7:固体燃料、
8:燃焼排気ガス、
9:CO2ガス、
10:H2O(水蒸気)、
11:生成ガス、
12:チャー、
13:サイクロン、
15,19:熱交換器、
23:CO2圧縮液化装置、
24,25,26:Lバルブ、
27:ガス化剤、
30:空気、
31:CO2回収率変更指示手段、
32,38:弁、
37:アシストガス、
40:ガス化剤供給配管、
41:アシストガス供給配管、
42:アシストガス供給指示手段。
Claims (10)
- 固体燃料をガス化させる移動層式燃料反応器と、
前記燃料反応器から生成したガス成分を金属粒子で酸化する流動層式揮発分反応器と、
前記ガス成分の酸化により還元された前記金属粒子を空気により酸化する流動層式空気反応器と、
前記空気反応器から排出される前記金属粒子と前記ガス成分を分離するサイクロンと、
前記揮発分反応器から排出される二酸化炭素を分離・回収する二酸化炭素回収手段を備えて、
前記金属粒子が循環するように、前記燃料反応器と前記揮発分反応器と前記空気反応器と前記サイクロンをニューマティックバルブと配管でループ状に接続したケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記燃料反応器に供給する二酸化炭素もしくは水蒸気、あるいは二酸化炭素と水蒸気の両方を成分とするガス化剤の供給量の調整により、前記二酸化炭素回収手段での二酸化炭素の回収率を制御する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記固体燃料が石炭を含む固体燃料であって、
前記固体燃料の固定炭素モル量に対する前記ガス化剤モル量の比(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αと、前記燃料反応器で生成するチャーのガス化率との関係を予め求めておき、
前記制御する二酸化炭素の回収率に対応した前記チャーのガス化率と前記(ガス化剤モル量/固定炭素モル量)αの関係に基づいて、前記ガス化剤の供給量を調整することを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1または2に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記ガス化剤の供給量の調整により二酸化炭素の回収率を制御する構成が、
前記燃料反応器に前記ガス化剤を供給するガス化剤供給管と、
前記ガス化剤供給管に付設された弁と、
前記二酸化炭素の回収率に応じて前記弁の開度調整を指示する二酸化炭素回収率変更指示手段を備えていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記燃料反応器に供給するガス化剤として、前記揮発分反応器からの排気ガスの一部を使用する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記燃料反応器に供給するガス化剤として、前記二酸化炭素回収手段で回収した二酸化炭素の一部を使用する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記揮発分反応器の排気ガス出口側に設けた熱交換器または/および前記サイクロンの排気ガス出口側に設けた熱交換器で生成した水蒸気の一部を、前記燃料反応器に供給するガス化剤として使用する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記燃料反応器とその燃料反応器の上に設けられた前記揮発分反応器の間に、前記揮発分反応器内の前記金属粒子の流動化を促進するための二酸化炭素もしくは水蒸気、あるいは二酸化炭素と水蒸気の両方を成分とするアシスタントガスを供給するアシスタントガス供給手段を設けたことを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項7に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記燃料反応器に供給する前記ガス化剤の一部を前記アシスタントガスとして前記揮発分反応器に供給する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項7に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記揮発分反応器に供給する前記アシスタントガスとして、前記二酸化炭素回収手段で回収した二酸化炭素の一部を使用する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。 - 請求項7に記載のケミカルルーピング燃焼システムにおいて、
前記揮発分反応器の排気ガス出口側に設けた熱交換器または/および前記サイクロンの排気ガス出口側に設けた熱交換器で生成した水蒸気の一部を、前記揮発分反応器に供給する前記アシスタントガスとして使用する構成になっていることを特徴とするケミカルルーピング燃焼システム。
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