以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態のラベル作成装置の概略構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1において、この印字ラベル作成装置1(印字装置に相当)は、所望の印字を行った印字済みラベル用テープを所定の長さに切断することにより、印字ラベルL(後述の図5参照)を作成する。なお、本実施形態において印字ラベル作成装置1の前・後・左・右・上・下というときは、図1及び図2等に示す方向を指す。
<全体概略構成>
図1及び図2に示すように、印字ラベル作成装置1の筐体2は、装置下面を構成する下カバー15と、装置側面を構成する横カバー16と、装置上面を構成する上カバー17とにより構成されている。上カバー17には、前方向から後方向に向けて、文字入力等の種々の操作が行われるキーボード3(操作手段に相当)、印字ラベル作成装置1の各種機能を実行させるための機能キー群4、及び、入力した文字や記号等を表示するための液晶ディスプレイ5が設けられている。機能キー群4には、この例では、電源スイッチ4B、印刷キー4C等が含まれている。また横カバー16の右側後方には、印刷された印刷済ラベル用テープ109(後述の図3参照)をカットするためのカッターレバー7が設けられている。
印字ラベル作成装置1の上側後方には、カートリッジ8を着脱可能なカートリッジホルダ9が設けられている。このカートリッジホルダ9は、印字ラベル作成装置1の前端部を回転軸として開閉可能に構成された上記下カバー15を閉じると覆われ、下カバー15を開放すると露出する。
また、図2に示すように、印字ラベル作成装置1の上側後方には、カートリッジホルダ9に隣接して、電池BT(後述の図4参照)を複数個収納可能な電池収納部70が設けられている。なお、図2中、符号60は、外部電源としてのACアダプタ220(後述の図4参照)の出力プラグが接続されるDCジャックである。
<カートリッジ>
図3に示すように、カートリッジ8は、筐体8Aと、この筐体8A内に配置され帯状の基材テープ101が巻回された第1ロール102(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、上記基材テープ101と略同じ幅である、透明なカバーフィルム103(被印字媒体に相当)が巻回された第2ロール104(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のインクリボン105を巻き取るリボン巻き取りローラ106と、カートリッジ8のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ27と、を有する。
テープ送りローラ27は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ印字済みラベル用テープ109としつつ、図3中矢印Aで示す方向にテープ送りを行う。
第1ロール102は、リール部材102aの周りに上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では4層構造となっており、詳細な図示を省略するが、内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、適宜の粘着剤からなる貼り合わせ用粘着層、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム、適宜の粘着剤からなる貼り付け用粘着層、剥離紙の順序で積層され構成されている。
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103の裏面に、インクリボン105がサーマルヘッド23(印字手段に相当)に押圧されて当接させられる。
このとき、上記のカートリッジ8の構成に対応して、カートリッジホルダ9には、上記使用済みのインクリボン105を巻き取るためのリボン巻き取り軸107と、印字済みラベル用テープ109を搬送するための上記テープ送りローラ27を駆動するためのテープ送りローラ駆動軸108(搬送手段に相当)とが設けられている。またカートリッジホルダ9には、カバーフィルム103に所望の印刷を行う上記サーマルヘッド23が、カートリッジ8の装着時にカートリッジ8の開口部14(図2参照)に位置するように設けられている。
リボン巻き取りローラ106及びテープ送りローラ27は、カートリッジ8外に設けた例えばパルスモータである駆動モータ211(後述の図4参照)の駆動力が、図示しないギヤ機構を介し上記リボン巻き取りローラ駆動軸107及び上記テープ送りローラ駆動軸108に伝達されることによって、互いに連動し回転駆動される。
上記構成において、カートリッジ8が上記カートリッジホルダ9に装着されロールホルダがリリース位置(図示省略)から図3に示す印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が、上記サーマルヘッド23と、このサーマルヘッド23に対向して設けたプラテンローラ26との間に狭持される。これとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が、テープ送りローラ27と、テープ送りローラ27に対向して設けた圧着ローラ28との間に狭持される。そして、上記駆動モータの駆動力によって、リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27が、図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記圧着ローラ28及びプラテンローラ26はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、圧着ローラ28及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ27へ供給される。
一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、サーマルヘッド制御回路217(後述の図4参照)によりサーマルヘッド23に設けられた複数の発熱素子が通電され、発熱する。このとき、カバーフィルム103の裏面側(すなわち上記基材テープと接着される側)には、リボン巻き取りローラ106により駆動されるインクリボン105が、上記サーマルヘッド23に押圧されて当接させられる。この結果、カバーフィルム103の裏面に、所望の印字内容の印字データに対応した印字(詳細は後述)が印刷される。
そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが、上記テープ送りローラ27及び圧着ローラ28の押圧により上記貼り合わせ用粘着層により接着されて一体化され、印字済みラベル用テープ109として形成され、カートリッジ8外へと排出される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻き取りローラ106に巻き取られる。
カートリッジ8外へ排出された印字済みラベル用テープ109の搬送経路の下流側には、固定刃40と可動刃41を備えた切断機構42が設けられている。上記カッターレバー7が操作されることにより可動刃41が動作し、上記印字済みラベル用テープ109が切断され、印字ラベルL(後述の図5等参照)が生成される。
<制御系>
次に、図4を用いて、印字ラベル作成装置1の制御系について説明する。
図4において、印字ラベル作成装置1は、所定の演算を行うCPU212を有している。
CPU212には、上記液晶ディスプレイ5と、EEPROM214と、RAM213と、が接続されている。またCPU212は、ACアダプタ220に接続され印字ラベル作成装置1の電源のオン・オフ処理を行う電源回路215と、上記リボン巻き取りローラ駆動軸107及び上記テープ送りローラ駆動軸108を駆動する駆動モータ211の駆動制御を行うモータ駆動回路216と、上記サーマルヘッド23の発熱素子の通電制御を行うサーマルヘッド制御回路217とに接続されている。
EEPROM214には、各種制御プログラム(後述の図9、図13のフローを実行する制御プログラムを含む)が記憶されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつEEPROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって印字ラベル作成装置1全体の制御を行う。
また、EEPROM214内には、それぞれが画像やシンボル等からなる複数のパーツ(付着用画像に相当。詳細は後述)を記憶したパーツ記憶部214a(画像記憶手段に相当)を備えている。なお、このパーツ記憶部214aの詳細は後述する。RAM213内には、テキスト文字をドットパターンに展開する印字バッファ213aを備えている。この印字バッファ213aに関しても後述する。
<実施形態の特徴>
本実施形態の特徴は、操作者が操作入力したテキスト文字の所定の付着対象部位に上記パーツが付着した態様の、印字ラベルLが生成されることにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
<テキスト文字の入力>
本実施形態では、例えば、まず図5(a)に示すように、操作者によるキーボード3又は機能キー群4等の適宜の操作により、上記液晶ディスプレイ5に、テキスト文字等の入力を行うためのテキスト編集画面5Aが表示される。この状態で、図5(b)に示すように、操作者は、上記キーボード3等を用いてテキスト文字の入力を行う。この例では、「春」のテキスト文字T1、「草」のテキスト文字T2、「花」のテキスト文字T3、からなる「春草花」の文字列TRが入力されている。なお、以下適宜、テキスト文字T1,T2,T3等を区別しない場合はこれらを総称して単に「テキスト文字T」と称する。
<パーツの選択>
その後、上記テキスト入力画面5Aから移行したパーツ選択画面5B(あるいはテキスト入力画面5Aのままでもよい)において、例えば上記機能キー群4の操作により、予め用意され上記パーツ記憶部214aに記憶されていた複数のパーツP11,P12,P13,P14,P15,P16、P17・・・(以下適宜、「パーツP」と総称する)が、例えばスクロールにより一覧可能に表示される。
ここでは、上記パーツPとして、草のパーツP11、麦わら帽子のパーツP12、桜の花のパーツP13、雲のパーツP14、魚の頭のパーツP15、魚の尾のパーツP16、炎のパーツ17等が上記EEPROM214のパーツ記憶部214aに記憶されており、それらパーツP11〜P17等が一覧可能にパーツ選択画面5B(又は別画面若しくは別ウィンドウ等でもよい)に表示される。
操作者は、上記パーツP11〜P17等のうち、上記テキスト文字Tにそれぞれ個別に適用したいと意図する、1つ(複数を選択可能としてもよい)のパーツを選択する、選択操作を行う。
この例では、図5(c)に示すように、操作者によるキーボード3又は機能キー群4等の適宜の操作により、上記パーツ選択画面5Bにおいて、上記パーツP11が選択されている。なお、このとき、「パーツをこれにしますか?」の確認メッセージが併せて表示されている。
上記確認メッセージに対応して操作者がキーボード3又は機能キー群4等を用いて適宜の確認操作を行うと、(以上の入力結果・選択結果に対応して)上記パーツP11が使用するパーツとして設定される。そして、各テキスト文字T1,T2,T3を構成する複数の部位のうち、所定の付着対象部位に、上記パーツP11が付着した態様の印字ラベルLが生成される。この例では、図5(d)に示すように、上記「春」のテキスト文字T1のうちの左側の斜線部位の上端部、「草」のテキスト文字T2のうちの上側の2つの縦線部位の各上端部、「花」のテキスト文字T3を構成する部位のうちの上側の2つの縦線部位の各上端部に、それぞれ上記パーツP11が付着した態様の印字ラベルLが生成される。
上記付着対象部位の他の例としては、例えば、テキスト文字Tを構成する上記縦線部位の下端部(後述の図6(a)等参照)、横線部位の左・右端部(後述の図6(b)等参照)、斜線部位の下端部や上端部(後述の図6(d)等参照)、折れ曲がる部位の角部(後述の図6(e)等参照)、離間する2つの部位の間(後述の図7(e)参照)、内部空間を形成するように包囲する包囲部の当該内部空間(後述の図7(c)参照)、等がある。
なお、上記テキスト文字Tの付着対象部位に付着するパーツP(上記の例ではパーツP11)は、スクロールによりパーツ選択画面5Bに順次表示される複数のパーツP(P11〜P17等)から操作者が選択することに対応して設定していたが、パーツ記憶部214aに記憶された複数のパーツPからアトランダムに自動的に選択して設定してもよい。また、上記テキスト文字TにおけるパーツPの付着対象部位は、予め(上記したような適宜のルールに基づき)設定されていてもよいし、操作者が付着対象部位を選択することに対応して設定してもよい。また、付着対象部位は1つのテキスト文字Tにつき1箇所でも複数箇所でもよい。
<各種パーツの例>
上記のようにしてテキスト文字Tに付着可能な各種パーツの例を、図6及び図7により説明する。
図6(a)に示す例では、「高」のテキスト文字T4を構成する複数の部位のうち、上側の縦線部位の上端部に上記麦わら帽子のパーツP12が付着し、下側の左・右の縦線部位の各下端部にブーツのパーツP18が付着している。この例では、ブーツのパーツP18は、左・右のどちら側に付着するかに応じて、図示のように適宜左・右反転して付着する。
図6(b)に示す例では、「皿」のテキスト文字T5を構成する複数の部位のうち、下側の横線部位の左端部に上記魚の頭のパーツP15が付着し、下側の横線部位の右端部に上記魚の尾のパーツP16が付着している。
図6(c)は、上記図5(d)を用いて前述した例で、「草」のテキスト文字T2を構成する複数の部位のうち、上側の左・右2つの縦線部位の各上端部に上記草のパーツP11が付着している。
図6(d)に示す例では、「花」のテキスト文字T3を構成する複数の部位のうち、上側の2つの縦線部位の各上端部、上側の横線部位の左・右端部、左下側の縦線部位の下端部、左側の斜線部位の下端部、右上側の斜線部位の上端部、右下側の斜線部位の上端部に、それぞれ上記桜の花のパーツP13が付着している。
図6(e)に示す例では、「寒」のテキスト文字T6を構成する複数の部位のうち、上側の折れ曲がる部位の左・右角部、下側の横線部位の左・右端部に、それぞれつらら(氷柱)のパーツP19が付着している。つららのパーツP19は、この例では、左・右のどちら側に付着するかに応じて、図示のように適宜左・右反転して付着する。
図7(a)に示す例では、「A」のテキスト文字T7を構成する複数の部位のうち、左・右2つの斜線部位の上端部に太陽のパーツP20が付着し、左・右2つの斜線部位の各下端部にそれぞれ上記雲のパーツP14が付着している。
図7(b)に示す例では、「W」のテキスト文字T8を構成する複数の部位のうち、左・右2つの斜線部位の各上端部、中央の2つの斜線部位の上端部に、それぞれ上記炎のパーツP17が付着している。
図7(c)に示す例では、「U」のテキスト文字T9を構成する複数の部位のうち、内部空間を形成するように包囲する包囲部の当該内部空間(左・右の縦線部位の間)に、下に凸の複数の半円弧を左右方向に連ねたパーツP21が付着している。
図7(d)に示す例では、「I」のテキスト文字T10を構成する複数の部位のうち、縦線部位の上端部にネジ頭のパーツP22が付着し、縦線部位の下端部にネジ軸のパーツP23が付着している。
図7(e)に示す例では、「j」のテキスト文字T11を構成する複数の部位のうち、縦線部位中の離間する2つの部位の間に、傘のパーツP24が付着している。
<アジャスタ部付きのパーツの例>
また、上記パーツ記憶部214aに記憶されたパーツP11〜P17等の少なくとも1つは、テキスト文字Tの大きさの変化に合わせて、自ら大きさや形状を可変としつつ付着するアジャスタ部を備えている。アジャスタ部が伸縮するパーツの例を図8により説明する。
図8(a)において、「春」のテキスト文字T1の付着対象部位(この例では左側の斜線部位の上端部)に付着した草のパーツP11は、図8(a)中の拡大図に示すように、パーツP11の画像本体を構成する本体部P11aと、上記本体部P11aと付着対象部位との間を連結するアジャスタ部P11bと、を備えている。本体部P11aは、印字形成時の大きさが固定となっている。アジャスタ部P11bは、付着するテキスト文字Tの大きさ(言い替えればフォントサイズ)に合わせて、印字形成時の大きさ又は形状が可変となるように構成されている。
図8(a)に示すように、パーツP11が付着する「春」のテキスト文字T1の大きさ(サイズ)が比較的小さいと、右側拡大図に示すように、アジャスタ部P11bが(サイズの小さいテキスト文字T1の大きさに合わせて)変形(縮短)し、当該縮短したアジャスタ部P11bがテキスト文字T1の上記付着対象部位に付着する。一方、図8(b)に示すように、パーツP11が付着する「春」のテキスト文字T1の大きさ(サイズ)が大きいと、アジャスタ部P11bが(サイズの大きいテキスト文字T1の大きさに合わせて)変形(伸長)し、当該伸長したアジャスタ部P11bがテキスト文字T1の上記付着対象部位に付着する。
<制御手順>
以上説明した手法を実現するために、上記CPU212によって実行される処理手順を表すフローを図9に示す。
図9において、例えば操作者が上記機能キー群4の上記電源スイッチ4Bを操作することにより、このフローが開始される(「START」位置)。
まず、ステップS10で、CPU212は、液晶ディスプレイ5に制御信号を出力し、前述のテキスト編集画面5Aを表示させる(上記図5(a)参照)。ステップS10が終了すると、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU212は、操作者がキーボード3を介して実行したテキスト文字T(図5に示した前述の例では「春」「草」「花」のテキスト文字T1,T2,T3)の入力操作を受付ける(上記図5(b)参照)。ステップS20が終了すると、ステップS30に移る。
ステップS30では、CPU212は、液晶ディスプレイ5に制御信号を出力し、前述のパーツ選択画面5Bを表示させる(上記図5(c)参照)その後、CPU212は、ステップS20で受け付けたテキスト文字Tに対し、上記パーツ記憶部214aに記憶された上記パーツP11〜P24等のうちいずれか1つを選択する操作が、適宜の機能キー群4又はキーボード3等を介してなされたか否かを判定する。上記選択操作がなされていない場合は、ステップS30の判定が満たされず(S30:NO)、ステップS30の判定が満たされるまでループ待機する。上記選択操作がなされた場合は、ステップS30の判定が満たされ(S30:YES)、ステップS40に移行する。
ステップS40では、CPU212は、上記ステップS30で選択されたパーツP(図5に示した前述の例では草のパーツP11)を、使用するパーツとして設定する。なお、このステップS40を実行するCPU212が、各請求項記載の設定手段として機能する。ステップS40が終了すると、ステップS50に移る。
ステップS50では、CPU212は、上記印刷キー4Cが押されたか否かを判定する。印刷キー4Cが押されていない場合は、ステップS50の判定が満たされず(S50:NO)、ステップS50の判定が満たされるまでループ待機する。印刷キー4Cが押された場合は、ステップS50の判定が満たされ(S50:YES)、ステップS60に移行する。
ステップS60では、CPU212は、上記ステップS20で操作入力された上記テキスト文字Tの付着対象部位を探索する。この付着部位探索処理の詳細を、図10により説明する。
<付着部位探索処理>
この付着部位探索処理では、図10に示すように、上記テキスト文字Tのイメージデータを形成するドットパターンQがイメージバッファ213a上に展開され、展開されたドットパターンQに基づきテキスト文字Tの付着対象部位が1つ1つ検出される。ここでは、印字バッファ213a上に「草」のドットパターンQが展開された場合を例にとって説明する。
図10において、この「草」に対応する上記ドットパターンQは、91個のオンドットを含んでいる。すなわち、ドットパターンQには、オンドットとして、B5ドット、B11ドット、C2ドット〜C14ドット、D5ドット、D11ドット、E4ドット〜E12ドット、F4ドット、F12ドット、G4ドット〜G12ドット、H4ドット、H12ドット、I4ドット〜I12ドット、J8ドット、K2ドット〜K14ドット、L8ドット、が含まれている。
例えば、上記ドットパターンQにおいて、A4〜A6ドット、B4ドット、B6ドットがオフドットであり、かつB5ドットがオンドットであることによって、B5ドットが上記付着対象部位としての縦線部位の上端部であることが検出される。また、A10〜A12ドット、B10ドット、B12ドットがオフドットであり、かつB11ドットがオンドットであることによって、B11ドットが同様に上記付着対象部位としての縦線部位の上端部であることが検出される。
また例えば、B1、B2ドット、C1ドット、D1、D2ドットがオフドットであり、かつC2ドットがオンドットであることによって、C2ドットが上記付着対象部位としての横線部位の左端部であることが検出される。また、B14、B15ドット、C15ドット、D14、D15ドットがオフドットであり、かつC14ドットがオンドットであることによって、C14ドットが上記付着対象部位としての横線部位の右端部であることが検出される。
また例えば、D3、D4ドット、E3ドット、F3ドットがオフドットであり、かつE4ドット、E5ドット、F4ドットがオンドットであることによって、E4ドットが上記付着対象部位としての左角部であることが検出される。また、D12、D13ドット、E13ドット、F13ドットがオフドットであり、かつE11ドット、E12ドット、F12ドットがオンドットであることによって、E12ドットが上記付着対象部位としての右角部であることが検出される。
また例えば、H3ドット、I3ドット、J3ドット、J4ドットがオフドットであり、かつH4ドット、I4ドット、I5ドットがオンドットであることによって、I4ドットが上記付着対象部位としての左角部であることが検出される。また、H13ドット、I13ドット、J13ドット、J12ドットがオフドットであり、かつH12ドット、I12ドット、I11ドットがオンドットであることによって、I12ドットが上記付着対象部位としての右角部であることが検出される。
また例えば、J1、J2ドット、K1ドット、L1、L2ドットがオフドットであり、かつK2ドットがオンドットであることによって、K2ドットが上記付着対象部位としての横線部位の左端部であることが検出される。また、J14、J15ドット、K15ドット、L14、L15ドットがオフドットであり、かつK14ドットがオンドットであることによって、K14ドットが上記付着対象部位としての横線部位の右端部であることが検出される。
また例えば、L7ドット、L9ドット、M7〜M9ドットがオフドットであり、かつL8ドットがオンドットであることによって、L8ドット上記付着対象部位としての縦線部位の下端部であることが検出される。
図9に戻り、以上のようにしてステップS60の付着部位探索処理が終了すると、ステップS70に移る。なお、このステップS60を実行するCPU212が、各請求項記載の付着部位探索手段として機能する。
ステップS70では、CPU212は、上記ステップS60で検出された上記テキスト文字Tの付着対象部位に、上記ステップS40で設定されたパーツPを付着した態様の、印字データを生成する。なお、付着対象部位が複数検出されていた場合には、それらのうちの少なくとも1つに上記設定されたパーツPが付着した態様の印字データが生成される。そのときに付着対象部位の選別は、予め定められた優先順位順のルールや、上部の付着対象部位が下部の付着対象部位よりも優先するルール、縦線・横線の端部がそれ以外よりも優先されるルール等、適宜のルールによって行えば足りる。このステップS70を実行するCPU212が各請求項記載の印字データ生成手段として機能する。ステップS70が終了すると、ステップS80に移る。
ステップS80では、CPU212は、モータ駆動回路216に制御信号を出力し、駆動モータ211によりテープ送りローラ駆動軸108及びリボン巻取りローラ駆動軸107を駆動開始する。これにより、カバーフィルム103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109(以下適宜、単にカバーフィルム103等」という)の搬送が開始される。ステップS80が終了すると、ステップS90に移る。
ステップS90では、CPU212は、上記ステップS70で生成された印字データに基づき、上記のようにして搬送されるカバーフィルム103等が所定の印字領域の開始位置まで搬送されたかどうか(印字領域の前端にサーマルヘッド23が正対する搬送方向位置になるまでカバーフィルム103等が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定は、例えばステッピングモータからなる上記駆動モータ211のパルス数をカウントする等、公知の適宜の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が印字領域の開始位置まで搬送されていなければステップS90の判定が満たされず(S90:NO)、ステップS90の判定が満たされるまでループ待機する。カバーフィルム103等が印字領域の開始位置まで搬送されたらステップS90の判定が満たされ(S90:YES)、ステップS100に移る。
ステップS100では、CPU212は、ステップS70で生成された印字データに基づきサーマルヘッド23の発熱素子に通電を行う印字処理を行う。これにより、カバーフィルム103に、上記通電された発熱素子によりインクリボン105のインクが転写され、上記印字データに対応した印字が形成される。ステップS100が終了すると、ステップS110に移る。
ステップS110では、CPU212は、搬送されるカバーフィルム103等が印字領域の終了位置まで搬送されたかどうか(印字領域の後端にサーマルヘッド23が正対する搬送方向位置になるまでカバーフィルム103等が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定も上記同様の公知の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が印字領域の終了位置まで搬送されていなければステップS110の判定が満たされず(S110:NO)、ステップS100に戻って同様の手順を繰り返す。カバーフィルム103等が印字領域の終了位置まで搬送されていればステップS110の判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。
ステップS120では、CPU212は、上記ステップS70で生成された印字データに基づき、搬送されるカバーフィルム103等が、上記印字データに基づく印字領域よりラベル後端側に設定される所定の切断位置まで搬送されたかどうか(上記切断位置に上記可動刃41が正対する搬送方向位置になるまで、印字済みラベル用テープ109が搬送されたかどうか)、を判定する。この判定も、前述と同様の公知の手法により行えば足りる。カバーフィルム103等が切断位置まで搬送されていなければステップS120の判定が満たされず(S120:NO)、ステップS120の判定が満たされるまでループ待機する。カバーフィルム103等が切断位置まで搬送されたらステップS120の判定が満たされ(S120:YES)、ステップS130に移る。
ステップS130では、CPU212は、モータ駆動回路216に制御信号を出力し、駆動モータ211によるテープ送りローラ駆動軸108及びリボン巻取りローラ駆動軸107の駆動を停止する。これにより、カバーフィルム103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。なお、上記ステップS80〜ステップS130を実行するCPU212が各請求項記載の連携制御手段として機能する。ステップS130が終了すると、ステップS140に移る。
ステップS140では、CPU212は、液晶ディスプレイ5に制御信号を出力する。これにより、操作者に対し、カッターレバー7を操作し切断機構15を動作させ上記印字済みラベル用テープ109を切断するよう促す、適宜の表示が液晶ディスプレイ5において行われる。操作者がカッターレバー7を操作することで、印字済ラベル用テープ109の切断が行われ、上記ステップS60で検出された上記テキスト文字Tの付着対象部位に上記ステップS40で設定されたパーツPを付着した態様の印字が形成された、印字ラベルLが生成される(図5(d)参照)。その後、このフローを終了する。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、操作者が、複数のテキスト文字Tの入力操作を行うとともに各テキスト文字Tに適用したいパーツPの選択を行うことで、各テキスト文字Tの付着対象部位に適宜のパーツPが付着した態様の印字ラベルLを作成することができる(図5(d)参照)。したがって、テキスト文字を単に包囲するような画像を配置するだけの従来手法に比べ、テキスト文字Tにおいて種々多様な表現態様を実現することができる。この結果、操作者の用途や好みに応じ、多彩な印字を表現性豊かに形成した印字ラベルLを作成することができるので、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、パーツ記憶部213aに記憶された複数種類のパーツP11〜P17等のうち少なくとも1つのパーツP(前述の例ではパーツP11)が、上記本体部(前述の例では本体部P11a)と、上記本体部と上記付着対象部位との間を連結するアジャスタ部(前述の例ではアジャスタ部P11b)と、を備えている。このようにパーツPがアジャスタ部を備えていることにより、フォントサイズの設定等によりテキスト文字Tの大きさが種々変化する場合であっても、大きさ固定の画像本体を構成するパーツPの本体部を、滑らかにかつ確実にテキスト文字Tの上記付着対象部位に接続することができる。
また、本実施形態では特に、操作入力されたテキスト文字Tに備えられる上記付着対象部位を、前述の付着部位探索処理(ステップS60参照)により自動的に探索する。そして、探索により見つかった上記付着対象部位に対し、選択されたパーツPを付着させた態様で、印字データが生成される。これにより、操作者がテキスト文字Tの入力操作を行うと、当該テキスト文字Tに含まれる上記所定の付着対象部位が自動的に探索されて、探索により見つかった付着対象部位にパーツPが付着した態様の印字を形成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)各テキスト文字ごとに予め付着対象部位が決定されている場合
上記実施形態では、テキスト文字Tが入力されると、その都度、各テキスト文字に対し上記付着部位が探索されたが、これに限られない。すなわち、各テキスト文字Tごとに、予め付着対象部位が決定されていてもよい。そのような変形例を図11に示す。
図11において、この例では、「O」のテキスト文字T12に対しつばさのパーツP25が付着している。この例では、「O」という文字に対し、その上半分の左・右両側の2箇所が、予め付着対象部位に決定されており、当該付着対象部位にそれぞれ上記パーツP25が付着している。なおこの例では、2つのパーツP25は、図示のように適宜左・右反転して付着される。
上記のような、事前に各テキスト文字ごとに付着対象部位が決定されている場合に、例えば図12に概念的に示すように、各テキスト文字と対応する付着対象部位との関係が、相関テーブルとして適宜の箇所(例えば上記EEPROM214の相関記憶部214b。前述の図4参照)に記憶されていても良い。
図12に示すこの相関テーブルTSにおいて、例えば「草」の文字に対しては、「草」の上側左の縦線部位の上端部が第1付着対象部位、「草」の上側右の縦線部位の上端部が第2付着対象部位、「草」の下側中央の縦線部位の下端部が第3付着対象部位、・・・等のように、事前に複数の付着対象部位が設定されている。
同様に、例えば「皿」の文字に対しては、「皿」の下側の横線部位の左端部が第1付着対象部位、「皿」の下側の横線部位の右端部が第2付着対象部位、「皿」の上側の横線部位の左端部が第3付着対象部位、・・・等のように、事前に複数の付着対象部位が設定されている。
この相関テーブルTSは、操作入力されたテキスト文字Tに対しパーツPを付着する際、当該テキスト文字Tの付着対象部位を特定するのに参照される。
<操作手順>
以上説明した変形例の手法を実現するためにCPU212により実行される印字処理の制御手順を、図13のフローにより説明する。図13のフローは、上記図9のステップS60に代えてステップS60′を設けた点が異なる。
図13において、上記図9と同様のステップS10〜ステップS50が終了すると、新たに設けたステップS60′に移る。
ステップS60′では、CPU212は、上記ステップS20で操作入力された上記テキスト文字Tの付着対象部位を、上記相関テーブルTS(上記図11参照)を参照して特定する。なお、前述のように、第1付着対象部位→第2付着対象部位→第3対象部位→・・というこの順序をそのまま優先順位として適用して上記特定を行っても良いし、これら複数の付着対象部位の中から、適宜のルールに基づき選択することで特定しても良い。このステップS60′を実行するCPU212が、各請求項記載の付着部位特定手段として機能する。ステップS60′が終了すると、ステップS70に移る。このステップS70〜ステップS140は図9と同様であり、説明を省略する。
本変形例においては、上述したように、複数のテキスト文字Tそれぞれについて付着対象部位の数や場所が予め設定され、上記相関テーブルTSとして相関記憶部214bに記憶されている。したがって、操作者がテキスト文字Tの入力操作を行うと、当該テキスト文字Tの上記付着対象部位が上記相関テーブルTSの相関を参照しつつ特定され、その特定された付着対象部位にパーツPが付着した態様の印字を形成することができる。
(3)付着対象部位を順次切り替えてプレビューする場合
例えば、図14(a)〜図14(e)に示すように、操作者のキーボード3又は機能キー群4等の適宜の操作により、上記ディスプレイ5上に表示したプレビュー画面5Bで、テキスト文字TにおけるパーツPの付着対象部位を順次切り替えながらその付着した姿(テキスト文字Tの外観)を順次プレビューしてもよい。
例えば、まず表示される図14(a)では、上記草のパーツP11が上記「春」のテキスト文字T1の左側の斜線部位の上端部に付着した状態が表されている。その後上記操作により切り替えられて表示される図14(b)では、上記パーツP11が「春」のテキスト文字T1の上側の横線部位の左端部に付着した状態が表されている。さらに上記操作により切り替えられて表示される図14(c)では、上記パーツP11が「春」のテキスト文字T1の上側の横線部位の右端部に付着した状態が表されている。さらに上記操作により切り替えられて表示される図14(d)では、上記パーツP11が「春」のテキスト文字T1の左側の斜線部位の下端部に付着した状態が表されている。さらに上記操作により切り替えられて表示される図14(e)では、上記パーツP11が「春」のテキスト文字T1の右側の斜線部位の下端部に付着した状態が表されている。このように、本変形例では、上記操作が行われるたびに、テキスト文字TにおけるパーツPの付着対象部位が順次切り替えられる。
本変形例によれば、操作者がテキスト文字TにおけるパーツPの付着対象部位を順次切り替えて、テキスト文字TにパーツPが付着した好みの外観のところで適宜の操作で選択することにより、操作者が気に入った外観を有するテキスト文字TにパーツPが付着した態様の印字形成をすることができる。
(4)その他
なお、以上は、印字装置として、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷するプリンタや、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタに対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
但し、例えばしきい値や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
なお、以上において、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図9、図13に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。