JP6299850B1 - 防水パンの突合せ部の防水構造及びバルコニーの防水床構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建物外部の床や水がかかる場所の床において、互いに隣り合うように床面上に敷設される防水パン同士を、突き合わせて形成される防水パンの突合せ部の防水性を向上させる防水構造を提供する。【解決手段】 防水パンの突合せ部の防水構造1は、互いに隣り合う前記防水パン2の突き合わされた面にそれぞれ設けられて当接する第一水密材2aと、隣接する前記防水パン2の上面の端縁に跨って2つの前記防水パン2を連結固定し、且つ、互いに当接する2つの前記第一水密材2aと圧着する第二水密材4aを有する固定カバー4と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、建物外部の床や水がかかる場所の床において、床面上に並べて敷設される防水パンの突合せ部の防水性を向上させる防水構造に関する。
従来より、バルコニーやベランダのような建物外部の床や、水がかかる場所の床には、水を受ける複数の防水パンを敷設することによって、建築構造部に水が浸入することを防止している。これらの防水パンは、互いに隣り合う防水パン同士を突合せ、連結することによって使用されるが、防水パンの突合せ部においては、防水パンの端縁同士に形成された隙間から、水が建物構造部に浸入する恐れがあるため、特に防水対策が講じられている。
例えば、特許文献1では、バルコニーの支持部材上に配置される複数のパネルパン同士を、連結カバーで連結する防水パンが提案されている。この防水パンでは、紐状シールをパネルパンの連結部付近に設けられたシール材保持溝に押し込み、隣り合うパネルパン同士の紐状シールを跨ぐように連結カバーで覆い、連結カバーとシール材保持溝の溝壁面とで紐状シールを挟圧することにより、防水性を保持している。
また、特許文献2では、床パンの端縁同士に形成された隙間をパッキンとコーキング材によって埋め、連結板とカバー材が、床パンの突合せ部の上面を跨って覆い、床パンの端縁同士に形成された隙間から水が漏出することを抑制する発明が提案されている。この発明では、連結板をねじによって床パンに固定しており、ねじを埋設するねじ穴は、予めコーキング処理を施すことによって防水性を高められている。連結板の上面には、防水テープを介してカバー材が設けられ、この防水テープによって連結板とカバー材との間に侵入した水がねじ穴に到る事を抑制している。そして、連結板及びカバー材の側面と、床パンが接する位置には、コーキング材が打設されている。
しかしながら、特許文献1の発明では、連結カバーとシール材保持溝の溝壁面が紐状シールを挟圧することによって防水性を保持しているため、気候や周辺環境の影響を受けて紐状シールが収縮、脆性化した場合、連結カバーとシール材保持溝による挟圧力が弱まり、連結カバーと紐状シールとの隙間から水が浸入する恐れがある。また、連結カバーを固定する連結具を挿通する孔に防水対策が講じられていないため、孔を通じて水が防水パンの裏側に浸入する可能性が高い。
一方、特許文献2に記載の発明では、各隙間に対しそれぞれ段階を分けてコーキングを打設しているので、より防水性を高めることができる。しかしながら、施工後、防水パンの端縁同士の隙間や、コーキング処理されたねじ穴の状態を目視確認することは難しく、コーキングの劣化を見逃して漏水を防止できない可能性がある。
そこで、本発明は、建物外部の床や水がかかる場所の床において、床面上に並べて敷設される防水パンの突合せ部の防水性を向上させる防水構造を提供することを目的とする。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造は、床面上に並べて敷設される防水パンの突合せ部の防水構造であって、互いに隣り合う前記防水パンの突き合わされた面にそれぞれ設けられて当接する第一水密材と、隣接する前記防水パンの上面の端縁に跨って2つの前記防水パンを連結固定し、且つ、互いに当接する2つの前記第一水密材と圧着する第二水密材を有する固定カバーと、を備えることを特徴としている。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造は、前記固定カバーは、平板状で幅方向の中央部に前記第二水密材を設けた平板部と、前記平板部の両側端から第二水密材を設けた方向へ突出して前記防水パンの上面と前記平板部との間に前記第二水密材を入れる間隙を形成する当接部と、前記固定カバーを前記防水パンに固定する固定具を挿通するために前記第二水密材を挟む位置に形成される挿通孔と、を有することを特徴としている。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造は、前記防水パンは、前記固定カバーを前記防水パンに固定する固定具を螺合させるための上方に開口した袋状の雌ねじ穴を有することを特徴としている。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造は、前記第二水密材は、前記平板部に設けられた2つの保持部に幅方向の両側を挟まれて設けられていることを特徴としている。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造は、前記第一水密材は、前記防水パンの上面よりも上方に突出することを特徴としている。
本発明のバルコニーの防水床構造は、請求項1から5のいずれかに記載の前記防水パンの突合せ部の防水構造を有することを特徴としている。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造によると、固定カバーに設けられた第二水密材が、互いに当接した二つの第一水密材をと圧着するので、第一水密材のみで防水構造を構築するよりも、突合せ部の防水性をより向上させることができる。また、第一水密材は、第二水密材に覆われることで、直接外気に接触する面が減少するので劣化を遅らせることができ、万が一第二水密材が劣化しても、第一水密材によって防水性が保持されているため、水が防水パン同士の突合せ部から浸入することを防止できる。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造によると、固定カバーに設けられる挿通孔は、平板部の幅方向の中央部に設ける第二水密材を挟む位置に設けられる。したがって、第二水密材は、固定具に傷つけられることなく第一水密材の上面を覆うことができ、安定した防水性を保持することができる。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造によると、固定具を固定する雌ねじ穴が、防水パンを貫通せず袋状となっているため、雌ねじ穴から、水が防水パンの下部に浸入することを防ぐことができ、防水性を向上させることができる。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造によると、保持部は、第二水密材の幅方向の両側を挟んでいるので、第二水密材の水平方向のずれを防ぐことができる。したがって、第二水密材は、確実に第一水密材と圧着できるとともに固定具に傷つけられることなく安定した防水構造を構築することができる。また、第二水密材の配置する位置が明確となるため、第二水密材を取替える際に、新たな第二水密材を所望する位置へ容易に配置することができる。
本発明の防水パンの突合せ部の防水構造によると、第一水密材が、防水パンの上面よりも上方に突出するので、第一水密材と第二水密材が強固に密着し、より信頼性の高い防水構造を構築することができる。
本発明のバルコニーの防水構造によると、請求項1から請求項5のいずれかに記載の防水パンの突合せ部の防水構造を有しているので、水が、バルコニー床に敷設される防水パンの突合せ部からバルコニー床に侵入することを防止することができる。
以下、防水パンの突合せ部の防水構造1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本実施形態の防水パンの突合せ部の防水構造1は、建物外部の床や水がかかる場所の床において、床面F1の上に並べて敷設される防水パン2の突合せ部3の防水性を向上させる防水構造である。
防水パンの突合せ部の防水構造1は、図1〜図3に示すように、互いに隣り合う防水パン2の突き合わされた面にそれぞれ設けられて当接する第一水密材2aと、隣接する防水パン2の上面の端縁に跨って2つの防水パン2を連結固定し、且つ、互いに当接する2つの第一水密材2aの上方に設けられ、2つの保持部に両側を挟まれた第二水密材4aを有する固定カバー4と、を備えている。なお、本願において「袋状」とは、底部を有する筒状のことを指す。
防水パン2は、バルコニーやベランダのような建物外部の床や、水がかかる場所の床面上に互いに隣り合うように設置される。図4及び図5に示すように、防水パン2は、突き合わされる面に設けられる第一水密材2aと、第一水密材2aを支持する支持部2bと、床面F1の上に当接する脚部2cと、脚部2cに支持される床板部2dと、上方に開口した袋状の雌ねじ穴2eを備えている。また、隣り合う防水パン2同士は、突合せ部3を形成している。また、図示していないが、床板部2dの上部には、タイルやシート材で形成された床仕上材を敷設することができる。
第一水密材2aは、水が突合せ部3から防水パン2の下部に浸入することを防止する水密材である。第一水密材2aは、防水パン2同士が突き合わされる面に連続して設けられ、図6及び図7に示されているように、床板部2dの上面よりも上方に突出しており、断面L型状の支持部2bに支持されている。支持部2bが第一水密材2aを支持することにより、第一水密材2aの位置が拘束されるため、突合せ部3において安定した防水性を保つことができる。
第一水密材2aの材質や支持部2bへの固定方法は、特に限定されないが、材質は、水密性、耐久性に優れた硬質樹脂を想定しており、支持部2bへの固定は、粘着性のある接着剤や両面テープによって行うことができる。また、劣化した場合には、第一水密材2aを支持部2bから剥がして新たな第一水密材2aを張りなおすだけでよい。
第一水密材2aの厚さは、特に限定されないが、厚さ3mm以上を想定している。このような厚さであれば、突合せ部3からの水の浸入を十分防止することができる。また、第一水密材2aの床板部2dの上面よりも上方に突出する高さについても、特に限定されることはないが、2mm程度が好適である。このような高さであれば、突合せ部3を固定カバー4で覆っても、その上から床仕上材6を敷設することができる。
雌ねじ穴2eは、突合せ部3に跨って配置される固定カバー4を固定する固定具5と螺合する穴であり、図9に示すように床板部2d上面の固定カバー4に覆われる範囲に設けられ、穴の内周面には雌ねじが形成される。また、雌ねじ穴2eは、図5に示すように、床板部2dを貫通しない袋状となっており、水が雌ねじ穴2eから防水パン2の下部に侵入することを防止できる。したがって、ねじ穴に特別な防水処理を施さずに防水性を保持することができる。
固定カバー4は、突合せ部3を上方から覆うことができる長尺な部材である。図1及び図8に示されるように、固定カバー4は、第二水密材4aと、第二水密材4aを保持する保持部4bと、平板状で幅方向の中央部に第二水密材4aを設けた平板部4cと、平板部4cの幅方向の両側端から第二水密材4aを設けた方向へ突出して、防水パンの上面と平板部との間に第二水密材4aを入れる間隙を形成する当接部4dと、固定カバー4を防水パン2に固定する固定具5を挿通するための挿通孔4eを有している。
第二水密材4aは、第一水密材2aと密着して、水が突合せ部3に浸入することを防止する水密材である。図8に示すように、第二水密材4aは、平板部4cの幅方向の中央部に連続して設けられる。また、第二水密材4aを保持する保持部4bは、第二水密材4aの幅方向の両側端に設けられている。この保持部4bは、第二水密材4aの位置を保持して第二水密材4aの水平方向のずれを防止することができる。また、保持部4bを設けることで、第二水密材4aを配置する位置が明確となり、劣化した第二水密材4aを取替える際に、新たな第二水密材4aを所望する位置へ容易に配置することができる。
第二水密材4aの材質や固定方法は、特に限定されないが、材質は、水密性、耐久性に優れた硬質樹脂を想定しており、平板部4cへの固定は、粘着性のある接着剤や両面テープによって行うことができる。また、劣化した場合には、第二水密材4aを平板部4cから剥がし、保持部4bの位置に合わせて新たな第二水密材4aを張りなおすだけでよい。
第二水密材4aの厚さは、第一水密材2aの床板部2dの上面よりも上方に突出する高さよりも大きくなるように形成されている。その厚さは特に限定されないが、2mm以上が好適である。このような厚さであれば、第二水密材4aが第一水密材2aの上面を覆った際、第一水密材2aが第二水密材4aに圧着しても、水が第二水密材4aと第一水密材2aとの間に侵入することを十分に防止することができる。
平板部4cは、突合せ部3を跨いで覆う部分で、図8及び図9に示すように、平板状を形成している。また、平板部4cに形成される挿通孔4eは、固定カバー4を防水パン2に固定する固定具5を挿通するための孔で、第二水密材4aを幅方向に挟む位置に、長手方向に対して一定の間隔で形成されている。挿通孔4eは、固定カバー4を防水パン2に配置した場合に、先述した防水パン2の雌ねじ穴2eと合致する位置に形成されている。
当接部4dは、固定カバー4が床板部2に固定される際、平板部4cの幅方向の両端縁が露出することにより、施工者が躓いて転倒したり平板部4cの角部で手指を怪我したりする事故を防止するとともに、美観を損なうことを防止することができる。当接部4cの高さは、第一水密材2aが第二水密材4aに圧着した状態で、床面部2dに当接できる高さとなっている。高さは特に限定されないが、5mm以上を想定している。このような高さであれば、固定カバー4を防水パン2に固定した際にガタツキを防止できる。
なお、固定カバー4を防水パン2に固定する固定具5は、ビスやネジを想定しているが、同様の性能を有してれば、特にこれに限定されることはない。
次に、上述した防水パン2及び固定カバー4を使用する防水パンの突合せ部の防水構造1の施工手順について説明する。まず、図2に示すように、防水パン2を互いに隣り合うように隙間無く床面上に敷設する。このとき、第一水密材2a同士を隙間無く当接させ、突合せ部3を形成するようにする。次に、図8に示すように、互いに当接している第一水密材2aの上面を、第二水密材4aが跨ぐように固定カバー4で覆い、続いて、挿通孔4eと雌ねじ穴2eの位置を合致させた状態で固定具5を挿通孔4eに挿入し、固定具5を雌ねじ穴2eに螺着さて固定カバー4を防水パン2に固定する。
固定カバー4を防水パン2に固定することによって、図10に示すように、床面部の上面よりも上方に突出している第一水密材2aは、必然的に上部に当接する第二水密材4aに圧着することになる。したがって、第一水密材2aと第二水密材4aは強固に密着することができ、より信頼性の高い防水構造を構築することができる。
このように第一水密材2aの上面を第二水密材4aで覆うことにより、第一水密材2aのみで防水構造を構築するよりも、突合せ部3の防水性をより向上させることができる。また、第一水密材2aは、第二水密材4aに覆われることで、直接外気に接触する面が減少するので劣化を遅らせることができるとともに、万が一第二水密材2aが劣化して防水性能を喪失したとしても、当接し合う第一水密材2aによって防水性能が保持されているため、水が防水パン2の下部に浸入することはない。つまり、当接し合う第一水密材2aで一次防水を行い、第一水密材2aの上面に配置される第二水密材4aで二次防水を行うことができるので、より信頼の高い防水構造を構築することができるのである。
また、固定具を外せば、第一水密材2aと第二水密材4aの状態を目視確認することができるので、施工後の点検を容易に行うことができるとともに、各水密材の劣化にいち早く気づくことができる。
先述したように、雌ねじ穴2eは、床板部2dを貫通していないため、固定具5を防水パン2に固定しても、雌ねじ穴2eを通じて水が防水パン2の下側に浸入することはない。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る防水パンの突合せ部の防水構造は、バルコニーやべランダなどの建物外部床に好適に用いることが出来る。
1 防水パンの突合せ部の防水構造
2 防水パン
2a 第一水密材
2c 脚部
2d 床板部
2e 雌ねじ穴
3 突合せ部
4 固定カバー
4a 第二水密材
4b 保持部
4c 平板部
4d 当接部
4e 挿通孔
5 固定具
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Claims (6)
- 床面上に並べて敷設される防水パンの突合せ部の防水構造であって、
互いに隣り合う前記防水パンの突き合わされた面にそれぞれ設けられて当接する第一水密材と、
隣接する前記防水パンの上面の端縁に跨って2つの前記防水パンを連結固定し、且つ、互いに当接する2つの前記第一水密材と圧着する第二水密材を有する固定カバーと、を備えることを特徴とする防水パンの突合せ部の防水構造。 - 前記固定カバーは、平板状で幅方向の中央部に前記第二水密材を設けた平板部と、前記平板部の両側端から第二水密材を設けた方向へ突出して前記防水パンの上面と前記平板部との間に前記第二水密材を入れる間隙を形成する当接部と、前記固定カバーを前記防水パンに固定する固定具を挿通するために前記第二水密材を挟む位置に形成される挿通孔と、を有することを特徴とする請求項1に記載の防水パンの突合せ部の防水構造。
- 前記防水パンは、前記固定カバーを前記防水パンに固定する前記固定具を螺合させるための上方に開口した袋状の雌ねじ穴を有することを特徴とする請求項2に記載の防水パンの突合せ部の防水構造。
- 前記第二水密材は、前記平板部に設けられた2つの保持部に幅方向の両側を挟まれて設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の防水パンの突合せ部の防水構造。
- 前記第一水密材は、前記防水パンの上面よりも上方に突出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防水パンの突合せ部の防水構造。
- 請求項1から5のいずれかに記載の前記防水パンの突合せ部の防水構造を有することを特徴とするバルコニーの防水床構造。
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