プログラマブル・ロジック・コントローラPLCは、例えば図8に示すように1つの電源モジュールPSと、I/Oモジュール等の複数(n個)のアナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)とを備えて構築される。前記電源モジュールPSは、例えば交流100Vの入力電力から直流24Vの主電源電圧を生成し、生成した主電源電圧を前記複数のアナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)にそれぞれ並列に供給する役割を担う。この主電源電圧の供給は、例えば前記電源モジュールPSおよび前記複数のアナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)が搭載されるベースボード(図示せず)を介して行われる。
ここで前記アナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)は、外部機器RL(RL1〜RLn)に所定の電流を出力する出力電流制御装置OCC(OCC1〜OCCn)をそれぞれ備える。これらの出力電流制御装置OCC(OCC1〜OCCn)は、例えば前記アナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)から離れて設置される前記外部機器RL(RL1〜RLn)に対して電源ケーブルを介して電力を供給する際、該外部機器RL(RL1〜RLn)の負荷インピーダンスに応じた電流を出力する役割を担う。このような電源ケーブルを介する電流出力により、該電源ケーブルの長さによって変化する線路インピーダンスに拘わりなく前記外部機器RL(RL1〜RLn)に、その定格に応じた所定の電源電圧が供給される。
ところで前記出力電流制御装置OCC(OCC1〜OCCn)は、例えば図9に示すように構成された電流出力回路1を主体として構成される。この電流出力回路1は、基本的には該電流出力回路1の出力電流ILを設定する為の電流値設定電圧V3を入力し、該電流値設定電圧V3に応じた出力電流ILを生成するように構成される。
具体的には前記電流出力回路1は、抵抗R1を介してドレインを電源電圧V1に接続すると共に、抵抗R2を介してソースを接地したFET2aと、前記電流値設定電圧V3に応じて前記FET2aのゲート電圧を制御する演算増幅器2bとにより構成された定電流回路2を備える。前記演算増幅器2bは前記電流値設定電圧V3を反転入力端子に入力すると共に、前記抵抗R2に生起される電圧を非反転端子に入力し、これらの電圧が等しくなるように動作する。このような前記演算増幅器2bの動作により、前記FET2aに流れる電流が前記電流値設定電圧V3に応じて一定化される。そして前記FET2aに流れる一定電流により前記抵抗R1に一定の降下電圧が生起される。
また前記電流出力回路1は、更に抵抗R3を介してドレインを前記電源電圧V1に接続すると共に、ソースを電流出力端子に接続したMOS-FET3aと、このMOS-FET3aのゲート電圧を制御する演算増幅器3bとからなる電流変換回路3を備える。前記演算増幅器3bは、前記MOS-FET3aに流れる電流に応じて前記抵抗R3に生じた電圧を反転端子に入力すると共に、前記抵抗R2に生起される降下電圧を非反転端子に入力し、これらの電圧が等しくなるように前記MOS-FET3aのゲート電圧を補正制御する。
このような前記MOS-FET3aのゲート電圧の補正により、前記MOS-FET3aを介して前記抵抗R3に流れる電流が、前記抵抗R2に生じた電圧に応じて一定に保持される。ちなみに前記MOS-FET3aに流れる電流は、前記抵抗R3に流れる電流と等しい。この結果、前記MOS-FET3aに流れる電流は、前記抵抗R1に生起された降下電圧、ひいては前記電流値設定電圧V3に応じて定められた電流値となる。
従って上述した前記定電流回路2と前記電流変換回路3とを備えて構成された前記電流出力回路1によれば、前記電流値設定電圧V3に応じた値の出力電流ILが前記電流出力端子から電源ケーブルを介して外部機器RLに出力される。尚、前記電流値設定電圧V3は、例えば前記プログラマブル・ロジック・コントローラPLCの動作仕様を決定する図示しない上位機器やプロセッサ・モジュールやローダー等から与えられる出力指示値に応じて生成される。
ところで複数のアナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)を備えて構築された前記プログラマブル・ロジック・コントローラPLCにおいては、前記出力電流制御装置OCC(OCC1〜OCCn)の全てを使用しているか否かに拘わらず、前記各アナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)に対して前記電源モジュールPSからそれぞれ主電源電圧を供給することが必要である。しかし前記プログラマブル・ロジック・コントローラPLCに組み込まれる前記電源モジュールPSの電源容量を増やすには限界があり、一般的には負荷変動に対する十分な余裕を見込んだ電源容量を確保することも困難である。この為、負荷短絡や過負荷に起因して前記電源モジュールPSにおける一次側電流が増加した場合、該電源モジュールPSがシステムダウンする虞がある。
また前記アナログ電流出力モジュールMに複数個の電流出力回路1を並列に設けることで電流の出力チャネル数を増やすことが考えられる。しかし各出力チャネルにおける負荷短絡に起因する前記電流出力回路1の発熱は、専ら前記アナログ電流出力モジュールMの内部に集中する。これ故、前記アナログ電流出力モジュールMに複数の電流出力回路1を搭載することも懸念される。
ところで前記電流出力回路1から供給される出力電流ILによって前記外部機器RLに加えられる電圧以外は、前記電流出力回路1における熱として消費される。即ち、前記外部機器RLの負荷インピーダンスが小さい場合には、前記出力電流ILを生成する前記電流出力回路1の出力インピーダンス(内部インピーダンス)が大きくなる。この結果、前記電流出力回路1での損失が増大することが否めない。
具体的には、例えば負荷インピーダンスが0Ωの前記外部機器RLに対して前記電流出力回路1から25mAの出力電流ILを供給する場合、一般的には前記電流出力回路1の電源電圧V1として直流24Vが必要である。そしてこの場合、直流24Vの電源電圧V1の全てが前記電流出力回路1に加わるので、該電流出力回路1での損失(消費電力)は0.6W(=24V×25mA)となる。
また前記アナログ電流出力モジュールMに、例えば8チャネル分の前記電流出力回路1を搭載するものとすると、これらの複数の電流出力回路1での総損失(総消費電力)は4.8W(=0.6W×8ch)となる。即ち、前記アナログ電流出力モジュールM内における発熱と損失は、電流の出力チャネル数に比例して増大する。
ここで負荷インピーダンスの変化に対する前記出力電流ILと前記電流出力回路1の損失との関係は、例えば図10に示すようになる。この図10に示すように前記電流出力回路1の損失は、一般的には負荷インピーダンスが小さい程、前記電流出力回路1にかかる電圧が大きくなるため、出力電流ILの増加に伴って大きくなる。尚、負荷インピーダンスが或る程度大きい場合には、外部機器側にかかる電圧が大きくなるため、前記電流出力回路1の損失が或る程度低く抑えられる。
尚、前記電流出力回路1における前記MOS-FET3aのオン抵抗特性によって前記出力電流ILに対する制限作用が働く。この電流制限作用により前記出力電流ILが或る程度大きくなった場合には前記電流出力回路1の損失が或る程度低く抑えられる。
ところで前記MOS-FET3a、ひいては前記電流出力回路1の損失と発熱を抑える技術として、例えば特許文献1には前記電流出力端子COTに生じる電圧と、前記電流出力回路1に加える電圧との差を一定に保つことが開示される。ちなみにこの特許文献1に開示される技術は、概略的には前記電流出力回路1から電流出力端子を介して外部機器RLに所定の出力電流ILを流したときに前記電流出力端子に生じる端子電圧V2を、前記電流出力回路1に供給する前記電源電圧V1を生成する外部機器用電源にフィードバックする。そして前記外部機器用電源のフィードバック制御により該外部機器用電源から前記電流出力回路1に印加する電源電圧V1を変え、これによって前記端子電圧V2と、前記電流出力回路1に加える電源電圧V1との差を一定にするものである。
しかしながら前記特許文献1に紹介される前記電源電圧V1のフィードバック制御においては、出力電流ILの変更指示に対して前記電流値設定電圧V3を応答性良く生成しても、前記外部機器用電源の追従性が悪いと言う問題がある。
具体的には前記電源電圧V1と前記端子電圧V2との電圧差が、例えば3Vの一定電圧となるように前記電源電圧V1をフィードバック制御し、これによって前記電源電圧V1を3V〜24Vの範囲で可変設定するものとする。この際、図11に負荷インピーダンスの違いによる前記出力電流ILと前記端子電圧V2との関係を示すように、前記外部機器RLの負荷インピーダンスが高い程、前記出力電流ILの増加に伴って前記端子電圧V2が高くなる。そして、例えば負荷インピーダンスが750Ωの外部機器RLに対して25mAの出力電流ILを供給したときの前記端子電圧V2は、例えば図11に示す関係から18.75Vとして求められる。
これに対して0mAの出力電流ILを外部機器RLに供給したときの前記端子電圧V2は図11に示すように0Vであるから、前記端子電圧V2との電圧差を一定とする前記電源電圧V1は3Vとなる。従って前記出力指示値を変更して前記出力電流ILを0mAから25mAに切換えた場合、前記電源電圧V1は15.75V(=18.75V−3V)も不足することになる。
するとこの場合には前記出力指示値の変更に伴って、例えば図12に示すように前記電流出力回路1の出力電流ILが徐々に高められ、この出力電流ILの増大に伴って図11に示すように前記端子電圧V2が徐々に上昇する。この際、前記端子電圧V2が18.75Vに達するまでの時間遅れは、前記外部機器用電源の追従特性に依存する。そして前記電源電圧V1が21.75V(=18.75V+3V)まで高まると、前記端子電圧V2との間で一定の電圧差を保って前記電源電圧V1が安定する。
従って特許文献1に開示される手法によれば、前記出力指示値を変更した際、この変更に伴って出力電流ILが切換えられるまでに、前記外部機器用電源の追従特性に依存する時間遅れが生じることが否めない。具体的には前記外部機器用電源における電源電圧V1の変更に伴う立ち上がり時間が1ms/Vである場合、例えば前記外部機器用電源が生成する電源電圧V1を3Vから24Vに変更するまでには21msもの時間を要する。この為、前記出力電流ILの変更指示に対して前記電流値設定電圧V3を変更して前記電流出力回路1の出力電流ILを0mAから25mAに切換える場合、前記外部機器用電源の追従性に依存して前記出力電流ILを変更するまでには略21msの時間遅れが生じると言う問題がある。
ちなみにこの時間遅れの問題を解消する為に、例えば前記電源電圧V1の最大値を18Vに制限すると、負荷インピーダンスが低い場合、前記電流出力回路1での損失が大きくなると言う新たな問題が発生する。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、負荷インピーダンスに応じた出力電流の変更指示に対して高速に応答して出力電流を切換えることができ、しかも負荷インピーダンスの変化に拘わることなく電流出力回路の損失を抑えることのできる出力電流制御装置を提供することにある。
また同時に本発明は、上記の特長を有する出力電流制御装置を搭載した複数のアナログ電流出力モジュールを含んでプログラマブルに構成されたコントローラを提供することを目的としている。
上述した目的を達成するべく本発明に係る出力電流制御装置は、
外部機器用電源から供給される電源電圧V1を受けて動作して電流出力端子を介して外部機器に出力電流ILを供給する電流出力回路と、
出力指示値に基づいて前記電流出力回路を制御して前記外部機器が出力する出力電流ILの値を決定する電流値設定電圧V3を生成する電流値設定部と、
この電流値設定部が設定した電流値設定電圧V3と前記電流出力端子の端子電圧V2とに基づいて前記外部機器用電源が生成する前記電源電圧V1を可変制御する電圧制御回路とを具備し、
前記電圧制御回路は、設定される前記電流値設定電圧V3が大きくなるに伴って前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を小さくすることを特徴としている。
具体的には前記電圧制御回路は、前記電流値設定電圧V3が小さく設定される程、前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を大きくし、逆に前記電流値設定電圧V3が大きく設定される程、前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を小さくすることを特徴としている。
ここで前記電流値設定電圧V3は、予め想定された範囲の負荷インピーダンスに対して前記出力電流制御装置での損失を低く抑えて該出力電流制御装置から出力可能な電流値を設定し得る制御値である。
ちなみに前記電圧制御回路は、前記電流値設定電圧V3と前記電流出力端子の端子電圧V2との差に基づいて前記電源電圧V1を生成する前記外部機器用電源をフィードバック制御するものである。また前記外部機器用電源は、前記電流出力端子の端子電圧V2の低下に連動して該外部機器用電源が生成する前記電源電圧V1を低下させて前記電流出力端子を介する出力電流を抑制する保護機能を備えて構成される。
好ましくは前記電圧制御回路は、前記電流値設定電圧V3に基づいて出力電流値を決定する比較基準電圧V4を生成する比較基準電圧生成回路と、この比較基準電圧生成回路が生成した比較基準電圧V4と前記電流出力端子の端子電圧V2との差(誤差電圧)を求める誤差検出器とを備え、前記誤差電圧を前記外部機器用電源に対するフィードバック電圧FBとして出力するように構成される。
ここで前記電流値設定部に与えられる前記出力指示値は、前記外部機器の負荷インピーダンスに応じて設定される。ちなみに前記出力指示値は、例えば前記電流出力回路の動作仕様を決定する上位機器、または専用のローダーやプロセッサ・モジュールの制御値から入力される。好ましくは前記出力指示値は、nビットのデジタル値として与えられ、前記電流値設定部は、前記nビットのデジタル値に応じたアナログ電圧を前記電流値設定電圧V3として生成するD/A変換器からなる。
尚、前記外部機器用電源は、例えば前記フィードバック電圧FBに基づいて出力電圧をフィードバック制御するスイッチング電源装置、具体的にはDC/DCコンバータからなり、その出力電圧を前記電流出力回路に対する電源電圧V1として生成して出力する。
また前記電流出力回路は、前記外部機器が接続される前記電流出力端子と、前記電源電圧V1が印加される電源端子との間に電流制限抵抗を介して介装されてオン抵抗が制御される、例えばMOS-FETからなる半導体制御素子を備え、該半導体制御素子を介して前記電流出力端子から前記外部機器に出力する出力電流ILの値を制御するように構成される。
また本発明に係るプログラマブルに構成されたコントローラは、例えば外部機器が接続される端子を有する1つ以上のアナログ電流出力モジュールを備え、前記1つ以上のアナログ電流出力モジュールのそれぞれに前述した構成の出力電流制御装置を備えて構成される。ここで前記アナログ電流出力モジュールは、例えば外部機器が接続される電流出力端子を備えたI/Oモジュールからなる。好ましくは前記1つ以上のアナログ電流出力モジュールは、電源モジュールから供給される主電源電圧を受けて当該モジュールのシステム用内部電源電圧、並びに前記出力電流制御装置に対するアナログ回路用電源電圧をそれぞれ生成して動作するものからなる。
上記構成の出力電流制御装置によれば、出力指示値に基づいて生成した電流値設定電圧V3と電流出力端子の端子電圧V2との差に基づいて前記外部機器用電源が生成する電源電圧V1をフィードバック制御する。特に設定された前記電流値設定電圧V3が大きくなるに伴って前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を小さくする。具体的には前記電流値設定電圧V3が小さく設定された場合には前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を大きくすると共に、前記電流値設定電圧V3が大きく設定された場合には前記電流出力回路に印加される前記電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との差を小さくする。
この結果、前記出力指示値に応じて前記電流出力回路に印加される電源電圧V1と前記電流出力端子の端子電圧V2との電圧差を応答性良く変更することができる。従って前記電流値設定電圧V3に従って前記電流出力回路から前記電流出力端子を介して外部機器に出力される出力電流ILが切換えられた場合であっても、前記電流出力回路での発熱と損失とを低く抑えることができる。
即ち、本発明によればプロセッサ・モジュールやローダー等から与えられる出力指示値と外部機器の負荷インピーダンスとに応じて前記外部機器用電源が生成して前記電流出力回路に印加する電源電圧を応答性良く変更制御することができるので、前記電流出力回路、ひいては当該出力電流制御装置における発熱とその損失とを効果的に軽減することができる。この結果、例えば電流出力回路を構築するMOS-FET等の半導体制御素子の低電力容量化を図ると共に、当該出力電流制御装置、更にはプログラマブル・ロジック・コントローラ等に必要な電源容量を小さく抑えることが可能となる。更には前記電流出力回路の発熱を抑えることができるので、電流出力の多チャネル化を図ることも容易となる等の効果が奏せられる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る出力電流制御装置について説明する。
この出力電流制御装置は、図8に示したプログラマブル・ロジック・コントローラPLCにおける複数のアナログ電流出力モジュールM(M1〜Mn)にそれぞれ搭載されるもので、その電流出力端子に接続される外部機器RL(RL1〜RLn)に対して所定の電流を出力する役割を担う。尚、図8において符号OCC(OCC1〜OCCn)を付してそれぞれ示した出力電流制御装置を、ここでは本発明に係る出力電流制御装置10として以下にその説明を進める。
図1は、前記アナログ電流出力モジュールMに設けられるシステム用電源11とアナログ回路用電源12とを併記して示す本発明に係る出力電流制御装置10の概略構成図である。ちなみに前記システム用電源11は前記アナログ電流出力モジュールMを構成するデジタル系の回路部に対する電源電圧、例えば直流5Vの電源電圧を生成する非絶縁型DC/DC変換器からなる。また前記アナログ回路用電源12は、本発明に係る出力電流制御装置10を含むアナログ回路系に対する、例えば直流30Vの内部電源電圧を生成する絶縁型DC/DC変換器からなる。
本発明に係る出力電流制御装置10は、該出力電流制御装置10に設けられた電流出力端子COTを介して、該電流出力端子COTに接続された外部機器RLに所定の出力電流ILを供給する役割を担う。ちなみに前記出力電流制御装置10は、前記直流30Vの内部電源電圧を受けて動作し、後述する電流出力回路13に印加する電源電圧V1を生成する外部機器用電源14を備える。前記電流出力回路13は、前記外部機器用電源14から供給される前記電源電圧V1を受けて動作するもので、基本的には前述した図9に示した電流出力回路1と同様に前記定電流回路2と前記電流変換回路3とを備えて構成される。従ってここでは前記電流出力回路13についての徒な説明の繰り返しを省略する。
更に前記出力電流制御装置10は、前述したプロセッサ・モジュールやローダー等から入力される出力指示値に応じて前記電流出力回路13から前記電流出力端子COTを介して前記外部機器RLに出力される出力電流ILを制御する為の電流値設定電圧V3を生成する電流値設定部19を備える。この電流値設定部19は、例えばnビットのデジタル信号からなる出力指示値を入力し、前記電流出力回路13が出力する出力電流ILの電流値を制御する為の電流値設定電圧V3を前記出力指示値に応じて生成するものである。前記電流値設定部19が生成する前記電流値設定電圧V3は、例えば0%〜100%の出力指示値に対応する0V〜5Vの電圧である。このような役割を担う前記電流値設定部19は、例えばD/A変換器からなる。
前記電流値設定部19にて生成された前記電流値設定電圧V3は、前述したように定電流回路2と電流変換回路3とを備えた電流出力回路13に与えられる。これによって前記電流出力回路13は、基本的には該電流出力回路13が前記電流出力端子COTを介して前記外部機器RLに出力する出力電流ILを前記電流値設定電圧V3に応じて設定する。
ここで本発明に係る出力電流制御装置10が特徴とすることろは、前記電流値設定部19が設定した前記電流値設定電圧V3と、前記電流出力回路13が前記外部機器RLに出力する出力電流ILによって前記電流出力端子COTに生じる端子電圧V2との電圧差を求める電圧制御回路15を備える点にある。この電圧制御回路15は、前記電流値設定電圧V3と前記端子電圧V2との電圧差(誤差電圧)を、例えばDC/DCコンバータからなる前記外部機器用電源14が生成する前記電源電圧V1を制御する為のフィードバック電圧FBとして生成する。そして前記フィードバック電圧FBに基づく前記外部機器用電源14のフィードバック制御により、前記電流出力回路13に供給される電源電圧V1が前記電流値設定電圧V3と前記端子電圧V2との電圧差(フィードバック電圧FB)に応じて可変設定されるようになっている。
このような作用を呈する前記電圧制御回路15は、例えば図2に示すように比較基準電圧生成回路16と、この比較基準電圧生成回路16が生成した比較基準電圧V4と、バッファアンプ17を介して検出される前記電流出力端子COTの端子電圧V2との電圧差を求める誤差検出器18とを備えて構成される。ちなみに前記比較基準電圧生成回路16は、前記電流値設定電圧V3を入力するバッファアンプ16aと、例えば10Vの内部基準電圧を入力するバッファアンプ16bとを備える。そして前記比較基準電圧生成回路16は、前記バッファアンプ16a,16bの各出力電圧の電圧差を分圧抵抗Ra,Rbを介して抵抗分割することで、前記内部基準電圧を基準として前記電流値設定電圧V3に応じた前記比較基準電圧V4を生成するように構成される。
また前記電圧制御回路15を構成する前記誤差検出器18は、バッファアンプ17を介して検出される前記電流出力端子COTの端子電圧V2と前記比較基準電圧V4との誤差電圧を求め、この誤差電圧を前記外部機器用電源14に与えるフィードバック電圧FBとして求める。そして前記外部機器用電源14は、前記電源電圧V1が前記フィードバック電圧FBと等しくなるようにその出力電圧である前記電源電圧V1をフィードバック制御する。この結果、前記外部機器RLの負荷インピーダンスに応じて生起される前記電流出力端子COTの端子電圧V2と前記比較基準電圧V4との電圧差に応じて前記電流出力回路13に印加される電源電圧V1が変更される。
このように構成された出力電流制御装置10においては、例えば0mAから20mAに至る出力電流ILの設定を指示する前記出力指示値に対して、前述したD/A変換器からなる前記電流値設定部19は、例えば図3(a)に示すように前記電流値設定電圧V3を生成する。そして前記外部機器用電源14は、基本的には前記電流値設定電圧V3と前記端子電圧V2との電圧差に応じて、例えば図3(b)に示すように前記電源電圧V1を変化させる。換言すれば前記電流値設定電圧V3が大きく設定されるに伴って前記電流値設定電圧V3と前記端子電圧V2との電圧差が小さくなるように制御され、この電圧差に応じて前記電源電圧V1が制御される。
尚、図3(b)において前記出力電流ILを20mAに設定したときに前記外部機器用電源14が生成する電源電圧V1は3Vに設定されている。この3Vの電源電圧V1は、前記負荷インピーダンスが0Ωで前記電流出力端子COTに生じる端子電圧V2が0Vのときにおける前記電流出力回路13の動作を、特に該電流出力回路13を構成する前述したMOS-FETからなる半導体制御素子3aの動作を保証し、該半導体制御素子3aによる電流制限機能を維持する上での最低の電源電圧である。
即ち、前記電圧制御回路15を構成する前記比較基準電圧生成回路16は、例えば図4(a)に示すように前記電流値設定電圧V3に応じた前記比較基準電圧V4を生成する。この比較基準電圧V4は、前記出力指示値が0%で最大電圧となり、前記出力指示値が100%のときに最小電圧となる、前記電流値設定電圧V3を反転した電圧である。この比較基準電圧V4と、前記電流出力端子COTの端子電圧V2との電圧差が前記誤差検出器18を介して求められて前記外部機器用電源14に対するフィードバック電圧FBとして出力される。
そして前記外部機器用電源14は、前述したように前記電源電圧V1が前記フィードバック電圧FBと等しくなるようにその出力電圧である前記電源電圧V1をフィードバック制御する。この結果、例えば図4(b)に示すように前記外部機器RLの負荷インピーダンスに応じて変化する前記電流出力端子COTの端子電圧V2と、そのときに与えられている前記電流値設定電圧V3に応じて前記電流出力回路13に印加される電源電圧V1が変更される。
具体的には出力電流ILを0mAから20mAの範囲で変更可能な前記電流出力回路13に対して前記出力指示値が0%で出力電流ILが0mAに設定されている場合、図4(b)に特性Aとして示すように前記外部機器用電源14は負荷インピーダンスの如何に拘わることなく、例えば24Vの一定の電源電圧V1を生成する。即ち、前記電流出力端子COTの端子電圧V2に対して電圧差が大きい前記電源電圧V1を生成する。
また前記出力指示値が50%で出力電流ILが10mAに設定されている場合には、図4(b)に特性Bとして示すように前記外部機器用電源14は前記負荷インピーダンスが0Ωのときには、前記出力指示値が0%に設定されているときの電源電圧V1よりも低い、例えば11Vの電源電圧V1を生成する。そして負荷インピーダンスが大きくなるに従って前記電流出力端子COTに生じる端子電圧V2が高くなるので、前記外部機器用電源14は前記端子電圧V2との電圧差を維持しながら該端子電圧V2の上昇に伴って前記電源電圧V1を24Vまで高くする。そして前記電源電圧V1が24Vまで高められた後には、前記外部機器用電源14は前記負荷インピーダンスが更に大きくなっても24Vの電源電圧V1を維持する。
更に前記出力指示値が100%で出力電流ILが20mAに設定されている場合には、前記外部機器用電源14は図4(b)に特性Cとして示すように前記負荷インピーダンスが0Ωのときには、前記出力指示値が50%に設定されているときの電源電圧V1よりも更に低い、例えば3Vの電源電圧V1を生成する。そして負荷インピーダンスが大きくなるに従って前記電流出力端子COTに生じる端子電圧V2が高くなるので、前記外部機器用電源14は前記端子電圧V2との電圧差を維持しながら該端子電圧V2の上昇に伴って前記電源電圧V1を24Vまで高くする。そして前記電源電圧V1が24Vまで高められた後には、前記出力指示値が50%のときと同様に前記外部機器用電源14は前記負荷インピーダンスが更に大きくなっても24Vの電源電圧V1を維持する。
この際、前記負荷インピーダンスが或る程度大きくなると前記電流出力回路13におけるMOS-FET3aが有する電流制限機能の働きによって前記出力電流ILが徐々に低下する。そして前記電流出力回路13によって前記出力電流ILが0mAに制限された後には、前記端子電圧V2は前記電流制限機能が働いている前記電流出力回路13での電圧降下分だけ前記24Vの電源電圧V1よりも低い電圧に維持される。
ちなみに前記出力電流ILと前記端子電圧V2との関係は、図11に示したように前記出力電流ILの増加に伴って前記端子電圧V2が高くなる。このような端子電圧V2の変化に対して、本発明に係る出力電流制御装置10においては前述したように出力電流ILを設定する前記電流値設定電圧V3に応じて前記電源電圧V1と前記電流出力端子COTの端子電圧V2との電圧差を変更している。
特に出力電流ILが小さく設定された場合には、上記電圧差が大きくなるように前記電源電圧V1を設定し、逆に出力電流ILが大きく設定された場合には、上記電圧差が小さくなるように前記電源電圧V1を設定している。この結果、後述するように前記電流出力回路13に印加する電源電圧V1に余裕を持たせながら出力電流ILを速やかに切換えることを可能としている。更には前記電流出力回路13での発熱を伴う損失を効果的に軽減するものとなっている。
具体的には図5に負荷インピーダンスの違いによる前記出力電流ILと前記電源電圧V1との関係を示すように、本発明では負荷インピーダンスが小さくなる程、前記出力電流ILの増大に伴って前記電源電圧V1が低くなるように制御している。この結果、前記出力指示値に従って前記出力電流ILを小さく設定する場合には、前記電源電圧V1と前記端子電圧V2の電圧差が大きく設定され、前記出力電流ILを大きくするに従って前記電源電圧V1と前記端子電圧V2の電圧差が小さくなるように設定される。
従って前記出力指示値を変更して前記出力電流ILを、例えば0mAから20mAに切換えたとしても0mAの出力電流ILを得るときの前記電源電圧V1と前記端子電圧V2の電圧差が大きくなるように設定されているので、図6に示すように前記電源電圧V1が不足する事態が生じることがない。しかも前記出力指示値を変更した際、図6に示すように該出力指示値の変更に伴って出力電流ILが速やかに切換えられ、その後、前記端子電圧V2の高まりに伴って前記電源電圧V1が次第に低下する。そして前記出力電流ILが変更された電流値に達した後、前記電流出力回路13の電流制限機能の範囲内で出力電流ILが増加しても、これに伴う前記端子電圧V2の高まりに追従して前記電源電圧V1が高められる。尚、仮に短絡事故に起因して前記出力電流ILが増加する事態が生じても、そのときの出力電流ILは前記電流出力回路13の電流制限機能により制限される。
従って本発明に係る出力電流制御装置10によれば前記出力指示値を変更しても、変更された出力指示値に応じて時間遅れなく出力電流ILを速やかに切換えることができる。そして前述した如く前記電流値設定電圧V3と前記端子電圧V2とに基づいて前記電源電圧V1を可変するので、負荷インピーダンスの違いに拘わりなく前記電流出力回路13における損失(消費電力)を最小限に抑えることができる。特に負荷インピータンスが低い場合における前記電流出力回路13での発熱を効果的に抑えることができる。
図7は本発明に係る出力電流制御装置10での負荷インピーダンスの違いによる前記出力電流ILと前記電流出力回路13における損失との関係を示している。この図7に示すように本発明に係る出力電流制御装置10によれば、負荷インピーダンスが0Ω〜750Ωの定格範囲内であれば出力指示値に基づいて出力電流ILを変更しても、例えば出力電流ILが略14mAのときの損失が最大で略0.17Wとなるだけである。そして前記出力電流ILが14mAよりも低いとき、および前記14mAよりも高いときの損失をより小さく抑えることができる。また仮に前記負荷インピーダンスが1000Ωであっても、その損失を十分に低く抑えることができる。
従って本発明によれば、負荷インピーダンスの変化に拘わることなく前記出力電流制御装置10での発熱を伴う損失を効果的に抑制することができる。しかも出力指示値に従って出力電流ILの大幅な変更が指示された場合であっても、追従性良く速やかに前記出力電流ILを切換えることができる。従って上述した構成の複数の出力電流制御装置10を前記プログラマブル・ロジック・コントローラPLCの前記アナログ電流出力モジュールMに組み込んで電流出力の多チャネル化を図る場合であっても、該アナログ電流出力モジュールM内での発熱が殆ど問題となることはない。従って複数のアナログ電流出力モジュールMを備えたプログラマブル・ロジック・コントローラPLCを構成する上で、前記出力電流制御装置10を採用することは非常に有利である。
ここで上記説明はプログラマブル・ロジック・コントローラPLCを例に説明したが、冗長化機能が強化されたDCS(Distributed Control System:分散型制御システム、或いは分散型制御装置)でも同様な効果を奏する。ちなみに一般的なFA(Factory Automation)システムでは機器を制御する制御装置としてPLCが用いられることが多く、高信頼性を要求されるプラント設備では制御装置としてDCSが用いられることが多い。従って本発明では、機器を制御する制御装置、換言すればプログラマブルに構成されたコントローラとしてPLCやDCSを含むこととする。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前記出力電流制御装置10の出力電流ILの設定範囲や前記電流出力回路13に印加する電源電圧V1の可変範囲は、前記電流出力端子COTに接続する外部機器RLの仕様に応じて定めれば良いものである。また前記電流出力回路13に設けられる半導体制御素子としては、前述したMOS-FETに限られるものではなく、バイポーラ・トランジスタやジャンクション型のFET、更にはIGBT等であっても良い。更に前記電流出力回路13や前記電圧制御回路15の構成についても前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形可能なことは言うまでもない。要は本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。