JP6299236B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ニードル弁の移動により燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた、内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
内燃機関に使用される燃料噴射弁の内部であって、特に、ニードル先端部の近傍(サック壁面、ノズルシート壁面、及びニードルシート壁面等)にはデポジットが堆積する。特許文献1に開示された燃料噴射制御装置は、このデポジットを除去するために、ニードル弁のノズルシートからのリフト量(即ち、ニードルリフト量)を最大リフト量よりも低減した状態にて燃料を噴射する。この低リフト噴射中、ニードルシートとノズルシートとの間の流路面積が噴孔の流路面積よりも小さくなる。その結果、ニードル弁先端部近傍における燃料流速が大きくなるから、前述したデポジットが効果的に除去される。
特開2013−185514号公報
ところで、低リフト噴射においてはニードルシートとノズルシートとの間の流路面積が小さくなるから、燃料噴射弁先端部の内部に付着・堆積したデポジットによる流量低下割合(従って、噴射燃料量の低下割合)が大きくなる。その結果、デポジットを除去するための低リフト噴射実行時においては、混合気の空燃比が目標空燃比(例えば、理論空燃比)に対して大きくリーン側へ乖離し、よって、トルク変動及びエミッションの悪化等を招く虞がある。
本発明の目的は、燃料噴射弁先端部の内部に付着・堆積したデポジットを除去するために低リフト噴射を実行し、且つ、その低リフト噴射時における「空燃比の目標空燃比からのリーン側への乖離の程度」を低減することができる燃料噴射制御装置を提供することにある。
本発明の燃料噴射制御装置は、燃料噴射弁と制御部とを具備する。燃料噴射弁は、ニードル弁を備える。燃料噴射弁は、ニードル弁を移動させることによって「内燃機関の燃焼室にて燃焼される混合気に含まれる燃料」を噴射する。制御部は、高リフト噴射と低リフト噴射とを選択的に実行可能である。高リフト噴射は、前記ニードル弁のリフト量を第1リフト量までの範囲で変更することによって燃料を噴射する噴射方式である。低リフト噴射は、前記ニードル弁のリフト量を「前記第1リフト量よりも小さい第2リフト量」までの範囲で変更することによって燃料を噴射する噴射方式である。
更に、前記制御部は、燃料噴射弁内に付着したデポジットを除去すべきことを示す特定条件が成立していないとき前記高リフト噴射を行う。前記制御部は、その高リフト噴射を実行する際、混合気の空燃比が機関運転状態により定まる目標空燃比となるようにニードル弁を移動させる。加えて、前記制御部は、前記特定条件が成立したとき前記低リフト噴射を連続的に複数回行う。前記制御部は、その低リフト噴射を連続的に複数回行う際、混合気の空燃比が「前記目標空燃比よりも小さい空燃比」となるようにニードル弁を移動させ、前記付着したデポジットに起因する燃料噴射量の低下量を小さくする。そのために、前記制御部は、前記特定条件が成立したとき、前記特定条件が成立していない場合に前記目標空燃比を実現するために前記低リフト噴射を第1の回数だけ行えばよい状況において、前記低リフト噴射を前記第1の回数よりも多い第2の回数だけ実行する。
本発明によれば、燃料噴射弁内に付着したデポジットを除去すべきことを示す特定条件が成立したとき(例えば、燃焼室内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための補正量が所定の閾値を超えた場合)、高リフト噴射に代えて、低リフト噴射が連続的に複数回行われる。従って、デポジットが効果的に除去される。しかも、その場合、「混合気の空燃比が目標空燃比よりも小さい空燃比(即ち、目標空燃比よりもリッチ)」となるようにニードル弁が移動させられる。換言すると、燃料噴射弁内に付着したデポジットに起因する燃料噴射量の低下量を小さくするように、ニードル弁が移動させられる。このニードル弁の移動は、低リフト噴射の実行回数を増やすことである。この結果、実際の燃料噴射量が本来噴射されるべき目標燃料噴射量(即ち、目標空燃比を実現するために必要な燃料噴射量)に対して過小とならないので、空燃比が過度にリーンとならず、よって、トルク変動量及びエミッションの悪化程度等を小さくすることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料噴射制御装置が適用される内燃機関を示した図である。 図2は、図1に示した燃料噴射弁の断面図である。 図3は、図2に示した燃料噴射弁が噴射を停止しているときの同燃料噴射弁の先端部の断面図である。 図4は、図2に示した燃料噴射弁が高リフト噴射を実行しているときの同燃料噴射弁の先端部の断面図である。 図5は、図2に示した燃料噴射弁が低リフト噴射を実行しているときの同燃料噴射弁の先端部の断面図である。 図6(A)は、最大リフト噴射におけるニードルリフト量及び噴射弁駆動信号の時間変化を示した図であり、図6(B)は、低リフト噴射におけるニードルリフト量及び噴射弁駆動信号の時間変化を示した図である。 図7は、図1に示したECUのCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示したフローチャートである。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、単に「第1装置」と称呼する。)は、図1に示した内燃機関10に適用される。機関10は、周知のガソリン燃料火花点火式直噴エンジンである。機関10は、シリンダヘッド11、シリンダブロック12、クランクケース13、点火プラグを含む点火装置14、吸気弁15、排気弁16、ピストン17、コネクティングロッド18及びクランクシャフト19等を備える。シリンダヘッド11の下方壁面と、シリンダブロック12に形成されたシリンダボアの壁面と、ピストン17の冠面と、によって燃焼室20が形成される。
点火装置14は、点火プラグの火花発生部14aが燃焼室20に露呈するようにシリンダヘッド11に配設されている。吸気弁15は、インテークカム21により駆動されることによって「燃焼室20と、シリンダヘッド11に形成された吸気ポート22と、の連通部」を開閉するようにシリンダヘッド11に配設されている。排気弁16は、エキゾーストカム23により駆動されることによって「燃焼室20と、シリンダヘッド11に形成された排気ポート24と、の連通部」を開閉するようにシリンダヘッド11に配設されている。
更に、機関10は、燃料噴射弁(筒内噴射弁、第1の燃料噴射弁)30と、高圧燃料ポンプ40と、を備えている。燃料噴射弁30は、燃料を燃焼室20内に噴射するように、シリンダヘッド11の「吸気ポート22とシリンダブロック12との間の領域」に配設されている。高圧燃料ポンプ40は、図示しない燃料タンクから供給される燃料の圧力を「駆動(指示)信号に応じて変化する所定の燃料圧力PF」にまで増大し、その加圧した燃料を燃料配管41を通して燃料噴射弁30に供給するようになっている。なお、第1装置は、燃料噴射弁(第2の燃料噴射弁)45を更に備えていてもよい。燃料噴射弁45は、燃料を吸気ポート22内に噴射するように、シリンダヘッド11に配設されるポート噴射弁である。
第1装置は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAM等を有する周知のマイクロコンピュータを含むECU(電子制御装置)50を備える。ECU50は、点火装置14、燃料噴射弁30及び高圧燃料ポンプ40等と電気的に接続され、これらに駆動信号を送出するようになっている。加えて、ECU50は、クランクポジションセンサ51、エアフローメータ52、アクセルペダル踏込量センサ53及び空燃比センサ54等と電気的に接続され、これらからの信号を受信するようになっている。
クランクポジションセンサ51は、クランクシャフト19の回転位置に応じてパルス信号を発生する。ECU50は、クランクポジションセンサ51からの信号に基づいて機関回転速度NEを算出する。エアフローメータ52は機関10の吸入空気の流量を表す信号を発生する。アクセルペダル踏込量センサ53はアクセルペダルApの踏込量を表す信号を発生する。空燃比センサ54は、排ガスの空燃比を表す信号を発生する。なお、ECU50は、クランクポジションセンサ51からの信号及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて、機関10の絶対クランク角(ある気筒の吸気上死点を基準としたクランク角度)を取得するようになっている。
(燃料噴射弁の詳細)
次に、燃料噴射弁30について詳述する。なお、燃料噴射弁45も燃料噴射弁30と実質的に同様の構造を有する。燃料噴射弁30は、いわゆる内開弁型の噴射弁である。燃料噴射弁30は、図2に示されているように、ノズル本体部31と、ニードル弁32と、スプリング33と、ソレノイド34と、を有する。
ノズル本体部31には、その先端部から基端部に向かう順に、円筒状空間A1と、円筒状空間A2と、円筒状空間A3と、が形成されている。これらの空間は、何れも同軸的に形成され、互いに連通している。ノズル本体部31の先端部には、円筒状空間A1と外部とを連通する噴孔31aが形成されている。ノズル本体部31の基端部には、円筒状空間A3と燃料配管(図示省略)とを連通する燃料取込孔31bが形成されている。
ニードル弁32は、小径の円柱形状を有する円柱部32aと、大径の円柱形状を有する鍔部32bと、を有している。円柱部32aの先端は略円錐形状を有する。円柱部32aの先端側は円筒状空間A1内に収容されている。その結果、ノズル本体部31の先端側部における内周壁面と円柱部32aの先端側部の外周壁面との間に燃料通路FPが形成されている。鍔部32bは円筒状空間A2内に収容されている。ニードル弁32は、ニードル弁軸線CLに沿って移動するようになっている。更に、ニードル弁32内部には「ニードル弁32の基端部と円柱部32aの先端側部の外周壁面とを連通する燃料通路」が形成されている。その結果、燃料取込孔31bから円筒状空間A3に流入する燃料は、このニードル弁32内の燃料通路を通過して燃料通路FPに供給される。
スプリング33は、円筒状空間A3内に配置されている。スプリング33は、ニードル弁32を噴孔31a側に付勢するようになっている。
ソレノイド34は、ノズル本体部31の基端側部であって、円筒状空間A2の周囲に配設されている。ソレノイド34は、ECU50からの駆動信号(噴射弁駆動信号)により通電状態となり、その場合、ニードル弁32をスプリング33の付勢力に抗して燃料取込孔31b側に移動させる磁力を発生するようになっている。
ソレノイド34が非通電状態であるとき、ニードル弁32の移動量(「ニードルリフト量」又は単に「リフト量」と称呼する。)は「0」であり、後に詳述するように、燃料噴射は行われない。ソレノイド34が通電状態となってニードルリフト量が「0」よりも大きくなると、燃料噴射が行われる。ニードルリフト量が所定の大きさになると、鍔部32bがノズル本体部31の円筒状空間A2を形成している壁部と当接する。その結果、ニードル弁32の動きが規制される。このときのニードルリフト量は「最大リフト量」又は「フルリフト量」と称呼される。即ち、ニードルリフト量は、「0」から「最大リフト量」までの範囲で変化し得る。
ここで、燃料噴射弁30の作動について、「燃料噴射弁30の先端部近傍の断面図である、図3乃至図5」を参照しながら詳述する。
前述したように、ソレノイド34が非通電状態にあるとき、ニードル弁32はスプリング33によって噴孔31a側に付勢される。その結果、図3に示したように、ニードル弁32のニードルシート壁面32cが、ノズル本体部31の先端部の内側壁面であるノズルシート壁面31cに当接(着座)する。これにより、噴孔31aと連通しているサックSと、前述した燃料通路FPとの流通が遮断されるので、燃料は噴孔31aから噴射されない。この状態におけるニードルリフト量は「0」である。なお、このときのニードル弁32の先端位置(ニードル弁軸線CL方向の位置)をニードル弁32先端の基準位置KJとする。
前述したように、ソレノイド34が通電状態となると、ニードル弁32は燃料取込孔31b側に移動させられる。即ち、ソレノイド34が通電状態となると、例えば、図4に示したようにニードルリフト量L(基準位置KJからの距離)が「0」よりも大きい値L1(図4に示した例においてはL1=最大リフト量Lmax)となる。或いは、ソレノイド34が通電状態となると、図5に示したようにニードルリフト量Lが「0」よりも大きい値L2(但し、値L2は値L1よりも小さい)となる。この結果、噴孔31aと連通しているサックSと、前述した燃料通路FPと、が連通するので、燃料が燃料通路FPからサックS内に流入し、次いで、噴孔31aを通して外部へと噴射される。
なお、ニードル弁32を最大リフト量までリフト(移動)させて実行する燃料噴射は「フルリフト噴射」と称呼される(図4を参照。)。図6(A)に、1回のフルリフト噴射におけるニードルリフト量の時間変化を示す。これに対し、ニードル弁32を「最大リフト量よりも小さい部分リフト量(パーシャルリフト量)」までの範囲でリフト(移動)させて実行する燃料噴射は「パーシャルリフト噴射」と称呼される(図5を参照。)。図6(B)に、連続的に3回実行されるパーシャルリフト噴射におけるニードルリフト量の時間変化を示す。
加えて、後述するように、第1装置は、高リフト噴射と低リフト噴射とを選択的に実行する。高リフト噴射は、ニードルリフト量を「第1リフト量」までの範囲で変更する燃料噴射である。本例において、第1リフト量は最大リフト量であるが、最大リフト量よりも小さいリフト量であってもよい。即ち、高リフト噴射は、フルリフト噴射又はパーシャルリフト噴射である。一方、低リフト噴射は、ニードルリフト量を「第1リフト量よりも小さい第2リフト量」までの範囲で変更するパーシャルリフト噴射である。
(第1装置の作動の概要)
図1に示したように、燃料噴射弁30の先端部は燃焼室20内に露出しているから、高温に晒される。そのため、図4及び図5に示したように、燃料噴射弁30先端部の内部(特に、ニードル弁32の先端)には、デポジットDPが生成・付着し易い。より具体的に述べると、燃料中には金属成分(亜鉛、カルシウム等)が混入している場合があり、燃料に熱が加えられることによって前記金属成分がイオン化する。このイオン化した金属成分と、燃焼ガスとが反応することによってデポジットDPが生成される。生成されたデポジットDPは、サックSの壁面、ノズルシート壁面31c及びニードルシート壁面32c(以下、「ニードル先端空間壁面」と称呼する。)に、あるいは噴孔31aの内壁、噴孔31aの流入口INの内縁部及び噴孔31aの流出口OUTの内縁部(以下、「噴孔壁面」と称呼する。)に付着し、徐々に堆積をしていく。
デポジットDPが燃料噴射弁30内の「ニードル先端空間壁面及び噴孔壁面」等に多量に堆積すると、燃料噴射弁30の噴射特性が新品の燃料噴射弁30の噴射特性から大きく乖離する。即ち、デポジットDPが堆積した燃料噴射弁30は、新品の燃料噴射弁30と同じ駆動信号を与えても(ソレノイド34に同じ電圧信号を付与しても)、新品の燃料噴射弁30よりも少ない量の燃料を噴射する。その結果、燃焼室20にて燃焼される混合気の空燃比(機関の空燃比)が目標空燃比(例えば、理論空燃比:約14.6)に対して大きくリーン側へ乖離するから、トルク変動及びエミッションの悪化等を招く虞がある。
そこで、第1装置は、以下に述べる燃料噴射制御を行う。
第1装置は、燃料噴射弁30内に付着・堆積したデポジットDPを除去すべきことを示す特定条件(燃料噴射弁30内に付着・堆積したデポジットDPの量が所定値以上である可能性が高いことを示す特定条件)が成立しているか否か監視する。
第1装置は、その特定条件が成立していないときには燃料噴射弁30を用いた高リフト噴射を実行することによって燃焼室20内に燃料を供給する。即ち、第1装置は、通常噴射制御モードにて燃料を噴射する。
第1装置は、その特定条件が成立したときには予備除去制御(第1デポジット除去制御)モードにて燃料を噴射する。即ち、第1装置は、燃料圧力PFを「通常噴射制御モードにおける燃料圧力よりも高い値(例えば、最高値)」へと高めるとともに高リフト噴射を実行することによって燃焼室20内に燃料を供給する。燃料圧力を高めることにより、噴孔31aを流れる燃料の流速が増大する。その結果、予備除去制御モードにて燃料噴射を行うと、デポジットDPが「噴孔壁面」から剥離され、噴孔31aを通して燃料噴射弁30から排出される。
更に、予備除去制御モードにて燃料噴射を行っても、前記特定条件が依然として成立する場合、第1装置はデポジット除去制御(第2デポジット除去制御)モードにて燃料を噴射する。即ち、第1装置は、燃料圧力PFを「通常噴射制御モードにおける燃料圧力よりも高い値(例えば、最高値)」へと高めるとともに低リフト噴射を複数回連続的に実行することによって燃焼室20内に燃料を供給する。これにより、デポジットDPが「ニードル先端空間壁面」から剥離され、噴孔31aを通して燃料噴射弁30から排出される。
ここで、低リフト噴射を行う場合、高リフト噴射を行う場合に比較して、ニードル先端空間壁面のデポジットDPが効果的に除去される理由について説明する。図5に示した低リフト噴射における「ニードルシート壁面32cとノズルシート壁面31cとの間に形成される流路(以下、「絞り部」と称呼する。)」の面積Sapは、図4に示した高リフト噴射における絞り部の面積Safよりも小さい。一方、噴孔31aの流路面積Sbは、面積Sapよりも大きく、面積Safよりも小さい。従って、低リフト噴射を行う場合と高リフト噴射を行う場合とにおいて、燃料通路FP内の燃料の圧力及び燃焼室20内の圧力がそれぞれ一定であれば、低リフト噴射時に絞り部を流れる燃料の流速Vapは、高リフト噴射時に絞り部を流れる燃料の流速Vafよりも大きくなる。その結果、低リフト噴射を行うと、高い流速を有する燃料(の流れ)によってデポジットDPが「ニードル先端空間壁面」から剥離され、噴孔31aを通して燃料噴射弁30から排出される。
ところで、デポジットDPがニードル先端空間壁面に堆積している状態において低リフト噴射を行うと、デポジットDPが絞り部の流路面積を小さくする割合が非常に大きくなる。その結果、デポジットDPによる噴射燃料の流量低下割合(従って、噴射燃料量の低下割合)が大きくなる。このため、デポジットDPを除去するために低リフト噴射を行うと、機関の空燃比が目標空燃比に対して大きくリーン側へ乖離し、その結果、トルク変動及びエミッションの悪化等を招く。
そこで、第1装置は、低リフト噴射を複数回連続的に行うデポジット除去制御モードにて燃料噴射を実行する場合、機関の空燃比が「機関運転状態により定まる目標空燃比よりも小さい空燃比」となるようにニードル弁32を移動させる(ソレノイド34の通電状態、即ち、噴射弁駆動信号を制御する。)。より具体的に述べると、例えば、低リフト噴射におけるリフト量の最大値を一定値Llowに維持した場合であって、デポジットDPが付着していないときに目標空燃比を実現するためには低リフト噴射を第1の回数だけ行えばよい状況において、デポジット除去制御モードにて燃料噴射を実行する場合には低リフト噴射を「第1の回数よりも多い第2の回数」だけ実行するようにニードル弁32を移動させる。これにより、第1装置は、トルク変動及びエミッションの悪化等が生じる可能性を低減させながら、燃料噴射弁30内のニードル先端空間壁面に付着したデポジットDPを効果的に除去することができる。
<第1装置の実際の作動>
次に、ECU50の実際の作動について説明する。ECU50のCPUは、所定の時間が経過する毎に図7のフローチャートにより示されたルーチンの処理をステップ700から開始しステップ705に進む。
CPUは、ステップ705にて、現時点の燃料噴射モードが通常噴射制御モードであるか否かを判定する。通常噴射制御モードとは、目標空燃比AFtgtが「第1空燃比である通常空燃比(本例においては、理論空燃比)Rst」に設定され、燃料圧力PFが通常圧力PF0に維持され、且つ、1サイクルにおいて高リフト噴射を1回だけ行う、モードのことである。なお、CPUは、機関10の運転開始時に燃料噴射モードを通常噴射制御モードに設定する。また、CPUは、機関運転状態(機関回転速度NE及び吸入空気量等)に基づいて目標空燃比AFtgt(即ち、通常空燃比Rst)を変更してもよい。
従って、機関10の運転開始後においては、燃料噴射モードは通常噴射制御モードであるから、CPUはステップ705にて「Yes」と判定してステップ710に進む。CPUはそのステップ710にて、空燃比学習値KGの初期値KG0からの偏差D(空燃比学習値偏差D=KG−KG0)が閾値Dth以上であるか否かを判定することにより、燃料噴射弁30の内部にデポジットDPが付着している可能性が高いか否かを判定する。即ち、CPUは、ステップ710において、前述した「デポジットDPを除去すべきことを示す特定条件」が成立しているか否かを判定する。
空燃比学習値KGは、「空燃比センサ54により検出される排ガスの空燃比abyfsが目標空燃比AFtgtに一致するように燃料噴射量Fiを補正する空燃比補正量Kfaf」の学習値である。より具体的に述べると、空燃比補正量Kfafは、排ガスの空燃比abyfsが目標空燃比AFtgtよりもリーンであるとき増大させられ、排ガスの空燃比abyfsが目標空燃比AFtgtよりもリッチであるとき減少させられる。空燃比学習値KGは、空燃比補正量Kfafの所定期間における平均値が第1所定値よりも大きいとき一定量増大させられ、空燃比補正量Kfafの所定期間における平均値が第2所定値よりも小さいとき一定量減少させられる。よって、空燃比学習値KGは、排ガスの空燃比abyfsが目標空燃比AFtgtよりもリーン側に定常的に偏移しているとき、その偏移量が大きいほど燃料噴射量Fiをより多くするように、大きくなる値である。従って、燃料噴射弁30の内部に付着・堆積したデポジットDPが多くなるほど空燃比学習値KGは大きくなり、その結果、偏差Dは大きくなる。
ステップ710の判定を行う時点において、偏差Dが閾値Dth未満であると、CPUはそのステップ710にて「No」と判定してステップ715に進み、燃料噴射モードを通常噴射制御モードに設定する。即ち、前述したように、CPUは、目標空燃比AFtgtを通常空燃比(本例においては、理論空燃比)Rstに設定し、燃料圧力PFを通常圧力PF0に設定し、且つ、1サイクルにおいて高リフト噴射を1回だけ行うように、燃料噴射弁30及び高圧燃料ポンプ40を制御する。なお、現時点の燃料噴射モードは通常噴射制御モードであるから、ステップ715の処理は確認のために実行される。その後、CPUはステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
次に、かかる状態において偏差Dが閾値Dth以上へと変化したと仮定する。なお、前述したように、燃料噴射弁30の内部にデポジットDPが多量に付着・堆積すると偏差Dは閾値Dth以上へと変化するが、その他の要因(即ち、機関の空燃比をリーン側に偏移させるデポジット以外の要因)によっても閾値Dth以上へと変化する場合がある。その他の要因には、例えば、エアフローメータ52の検出誤差の発生及び吸気弁15へのデポジットの付着等が含まれる。
偏差Dが閾値Dth以上となった場合、CPUはステップ705及びステップ710にて「Yes」と判定してステップ720に進み、燃料噴射モードを予備除去制御モードに設定する。予備除去制御モードは、前述したように、燃料噴射弁30の噴孔壁面に付着しているデポジットDPを除去することを狙いとした燃料噴射を行うモードである。
より具体的に述べると、CPUはステップ720において、目標空燃比AFtgtを「通常空燃比(理論空燃比)Rst」に設定し、燃料圧力PFを「通常圧力PF0よりも高い圧力PFhigh1」に設定し、且つ、1サイクルにおいて高リフト噴射を1回だけ行うように、燃料噴射弁30及び高圧燃料ポンプ40を制御する。その後、CPUはステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
この予備除去制御モードにおいては、高リフト噴射が行われるものの、燃料圧力PFが通常圧力PF0よりも高い圧力PFhigh1に設定される。そのため、噴孔31a内の燃料流速Vbが通常噴射制御モードである場合よりも増大する。従って、燃料噴射弁30の噴孔壁面にデポジットDPが付着している場合、そのデポジットDPが効果的に除去される。
その後、CPUがステップ700から処理を再開すると、CPUはステップ705にて「No」と判定してステップ725に進み、現時点の燃料噴射モードが予備除去制御モードであるかを判定する。
現時点の燃料噴射モードは予備除去制御モードであるから、CPUはステップ725にて「Yes」と判定してステップ730に進み、予備除去制御モードが開始されてからの継続時間が所定時間以上となったか否かを判定する。この時点で、予備除去制御モードが所定時間継続していなければ、CPUはステップ730にて「No」と判定し、ステップ795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、予備除去制御モードが継続される。
その後、予備除去制御モードが所定時間継続すると、CPUはステップ730の処理を行う際、そのステップ730にて「Yes」と判定してステップ735に進み、空燃比学習値偏差D(=KG−KG0)が閾値Dth以上であるか否かを判定する。
ところで、この時点までにおいて予備除去制御モードが所定時間継続されている。従って、その予備除去制御モードによって「燃料噴射弁30の内部のうちの噴孔壁面に付着していたデポジットDP」は除去されている筈である。加えて、「燃料噴射弁30の内部のうちのニードル先端空間壁面」にデポジットDPが付着しておらず、且つ、「機関の空燃比をリーン側に偏移させるデポジット以外の要因」がない場合には、偏差Dは小さくなる筈である。
従って、ステップ735は、予備除去制御モードによる燃料噴射を実行したことの効果を確認するためのステップであると言える。更に、ステップ735は、「燃料噴射弁30の内部のうちのニードル先端空間壁面」にデポジットDPが付着している可能性が高いか否かを判定するステップであると言える。即ち、「(予備除去制御モードが所定時間継続され、且つ)空燃比学習値偏差D(=KG−KG0)が閾値Dth以上であること」は、デポジットDPを除去すべきこと(デポジットDPがニードル先端空間壁面に付着している可能性が高いこと)を示す特定条件であると言える。
CPUがステップ735の処理を実行する時点において、偏差Dが閾値Dth未満となっていれば、もはや燃料噴射弁30にデポジットDPが多量に付着していないと判定できる。従って、この場合、CPUはステップ735にて「No」と判定してステップ715に進み、燃料噴射モードを通常噴射制御モードへと戻す。
これに対し、CPUがステップ735の処理を実行する時点において、偏差Dが閾値Dth以上となっていれば、燃料噴射弁30の内部のうちのニードル先端空間壁面に多量のデポジットDPが付着している可能性が高いと判定できる。従って、この場合、CPUはステップ735にて「Yes」と判定してステップ740に進み、燃料噴射モードをデポジット除去制御モード(第2デポジット除去制御モード)に設定する。前述したように、デポジット除去制御モードは、燃料噴射弁30のニードル先端空間壁面に付着しているデポジットDPを除去することを狙いとした燃料噴射制御を行うモードである。
より具体的に述べると、CPUはステップ740において、目標空燃比AFtgtを「通常空燃比Rstよりも小さい(即ち、リッチ側の)空燃比Rrich」に設定し、燃料圧力PFを「通常圧力PF0よりも高い圧力PFhigh2」に設定し、且つ、1サイクル(例えば、1回の吸気行程)において低リフト噴射を複数回連続的に行うように、燃料噴射弁30及び高圧燃料ポンプ40を制御する。その後、CPUはステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。なお、リッチ空燃比Rrichは例えば10と14.6との間の空燃比であることが好ましい。更に、圧力PFhigh2は圧力PFhigh1と同じでもよく、相違していてもよい。
このデポジット除去制御モードにおいては、低リフト噴射が複数回連続的に行われる。連続的に噴射が行われるとは、一つの気筒に対して、例えば、クランク角が180度回転する期間(例えば、1回の吸気行程)内に燃料噴射が短い所定間隔(Toff)をおいて繰り返し行われることを意味する(図6(B)を参照。)。この結果、図5を参照しながら説明したように、絞り部を流れる燃料の流速Vapが極めて大きくなる。加えて、燃料圧力PFが通常圧力PF0よりも高い圧力PFhigh2に設定されるから、絞り部を流れる燃料の流速Vapがより一層大きくなる。従って、燃料噴射弁30の内部のうちのニードル先端空間壁面にデポジットDPが付着している場合には、そのデポジットDPが効果的に除去される。なお、CPUは、デポジット除去制御モードにおける燃料圧力PFを通常圧力PF0に設定してもよい。
その後、CPUがステップ700から処理を再開すると、CPUはステップ705及びステップ725の両ステップにて「No」と判定してステップ745に進み、デポジット除去制御モードが開始されてからの継続時間が所定時間以上となったか否かを判定する。この時点で、デポジット除去制御モードが所定時間継続していなければ、CPUはステップ745にて「No」と判定し、ステップ795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、デポジット除去制御モードが継続される。
その後、デポジット除去制御モードが所定時間継続すると、CPUはステップ745の処理を行う際、そのステップ745にて「Yes」と判定してステップ750に進み、空燃比学習値偏差D(=KG−KG0)が閾値Dth以上であるか否かを判定する。即ち、CPUは、デポジット除去制御モードによる燃料噴射を実行したことの効果を確認する。
ところで、この時点までにおいて、デポジット除去制御モードが所定時間実行されている。従って、そのデポジット除去制御モードによって「燃料噴射弁30の内部のうちのニードル先端空間壁面に付着していたデポジットDP」は除去されている筈である。加えて、既に、予備除去制御モードが所定時間実行されているから、その予備除去制御モードによって「燃料噴射弁30の内部のうちの噴孔壁面に付着していたデポジットDP」は除去されている筈である。即ち、現時点までにおいて、燃料噴射弁30の内部に付着していたデポジットDPは除去されている筈である。よって、「機関の空燃比をリーン側に偏移させるデポジット以外の要因」がない場合には、偏差Dは小さくなる筈である。そのため、偏差Dが閾値Dth以上である場合、「機関の空燃比をリーン側に偏移させるデポジット以外の要因」が発生しているか、或いは、デポジット除去に失敗したと判断できる。換言すると、機関10に何らかの異常が生じていると判断することができる。
そこで、CPUは、ステップ750の処理を実行する時点において、偏差Dが閾値Dth以上となっていれば、そのステップ750にて「Yes」と判定してステップ755に進み、異常を通知するための処理(例えば、警告灯の点灯又はブザーからの警報の発生等)を行う。更に、CPUは、異常が発生した旨をバックアップRAMに記憶しておく。次いで、CPUはステップ760に進み、燃料噴射モードをフェール時制御モードに設定する。
フェール時制御モードは、機関10を修理工場などまで運行させることを確実にすることを狙いとした燃料噴射制御を行うモードである。より具体的に述べると、CPUはステップ760において、目標空燃比を通常空燃比Rstよりも小さいフェール時空燃比(第3空燃比)Rfailに設定し、燃料圧力PFを通常圧力PF0よりも高い圧力PFhigh3に設定し、且つ、1サイクルにおいて高リフト噴射を1回だけ行うように、燃料噴射弁30及び高圧燃料ポンプ40を制御する。その後、CPUはステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。なお、CPUは、フェール時制御モードが開始されると、修理工場において所定の処理が行われるまで、フェール時制御モードを維持する。
これに対し、CPUがステップ750の処理を実行する時点において、偏差Dが閾値Dth未満となっていれば、もはや燃料噴射弁30にデポジットDPが多量に付着していないと判定できる。従って、この場合、CPUはステップ750にて「No」と判定してステップ715に進み、燃料噴射モードを通常噴射制御モードへと戻す。
<燃料噴射(ニードル弁の移動量及びソレノイドの通電時間)についての補足説明>
CPUは、下記(1)式に従って「1つの気筒の1回のサイクルに対する燃料噴射量Fi」を算出する。(1)式において、Mcは「1つの気筒が1回の吸気行程にて吸入する空気量(即ち、筒内吸入空気量)」である。Mc/AFtgtは、基本燃料噴射量TPとも称呼され、機関の空燃比を目標空燃比AFtgtに一致させるためのフィードフォワード燃料噴射量である。

Fi=KG・Kfaf・(Mc/AFtgt) ・・・(1)
1.高リフト噴射
CPUは、1回の高リフト噴射により燃料噴射量Fiの燃料を噴射する場合、下記(2)式に従って燃料噴射弁30への通電時間(ソレノイド34に高電圧Hiを付与するための信号、即ち、噴射弁駆動信号、を発生している時間であり、以下、単に「噴射時間」とも称呼する。)TAUHを決定する。本例において、高リフト噴射におけるリフト量の最大値は、一定値Lhigh(即ち、Lmax)に設定されている(図6の(A)を参照。)。なお、1回の高リフト噴射により燃料噴射量Fiを噴射する場合は、上述した「通常噴射制御モード、予備除去制御モード及びフェール時制御モード」の各モードにおいて燃料噴射を行う場合である。

TAUH=KHi・KHiPF・Fi ・・・(2)
(2)式において、KHiは、高リフト噴射時において燃料噴射量を噴射時間に変換するための予め定められた係数である。KHiPFは、高リフト噴射時における燃料圧力PFと燃料噴射時における筒内圧とに応じて変化する補正係数である。補正係数KHiPFは、燃料圧力PFが高いほど小さくなり、燃料噴射時における筒内圧が高いほど大きくなる。筒内圧は、アクセルペダルAp操作量、吸入空気量及び機関回転速度等から推定されるか、又は、図示しない筒内圧センサにより取得される。なお、本明細書において、無効噴射時間は無視している。
2.低リフト噴射
CPUは、連続する複数回(n回)の低リフト噴射により燃料噴射量Fiの燃料を噴射する場合、下記(3)式に従って値n(噴射回数n)を決定する。連続する複数回(n回)の低リフト噴射により燃料噴射量Fiの燃料を噴射する場合は、上述したデポジット除去制御モードにおいて燃料噴射を行う場合である(図6の(B)を参照。)。(3)式においてFbLоは、一回の低リフト噴射に対して予め定められた燃料噴射量である。本例において、低リフト噴射におけるリフト量の最大値は一定値Llowに設定されている(図6の(B)を参照。)。なお、当然であるが、一定値Llowは最大リフト量Lmaxより小さい。

n=Fi/FbLо ・・・(3)
値nは自然数であるので、(3)式の計算の結果に余りが生じた場合、nは商の値に「1」が加えられた値となるように計算される。そして、CPUは、下記(4)式に従って燃料噴射弁30への通電時間(噴射時間)TAULを決定する。更に、デポジット除去制御モードにおいては、CPUは1回の燃料噴射についての通電終了時と次の燃料噴射についての通電開始時との間に一定の噴射間隔(非通電時間)Toffを設ける(図6の(B)を参照。)。

TAUL=KLо・KLоPF・FbLо ・・・(4)
(4)式において、KLоは、低リフト噴射時において燃料噴射量を噴射時間に変換するための予め定められた係数である。KLоPFは、低リフト噴射時における燃料圧力PFと燃料噴射時における筒内圧とに応じて変化する補正係数である。補正係数KLоPFは、燃料圧力PFが高いほど小さくなり、燃料噴射時における筒内圧が高いほど大きくなる。
以上の説明から理解されるように、デポジット除去制御モードにおいて、目標空燃比AFtgtが「通常空燃比(本例においては、理論空燃比)Rstよりも小さいリッチ空燃比Rrich」に設定されると、(1)式に従って燃料噴射量Fiが増大される。その結果、(3)式から理解されるように噴射回数nが増加する。
以上、説明したように、第1装置は、高リフト噴射と低リフト噴射とを選択的に実行可能である制御部(ECU50)を備える。
更に、その制御部は、燃料噴射弁30内に付着したデポジットDPを除去すべきことを示す特定条件が成立していないとき高リフト噴射を行う(図7のステップ710及びステップ715)とともに、その際に機関の空燃比が「機関運転状態により定まる目標空燃比AFtgt=通常空燃比Rst」となるようにニードル弁32を移動させる。
更に、その制御部50は、前記特定条件が成立したとき、前記低リフト噴射を連続的に複数回行う(図7のステップ735及びステップ740)とともに、その際に機関の空燃比が「前記目標空燃比よりも小さい空燃比(Rrich)」となるようにニードル弁32を移動させる。
この結果、第1装置は、トルク変動量及びエミッションの悪化の程度等を小さくしながら、燃料噴射弁30の内部(特に、ニードル先端空間壁面)に付着したデポジットDPを効果的に除去することができる。
なお、第1装置は、通常噴射制御モードにおいて上述の特定条件が成立した場合、予備除去制御モードを経ることなく、デポジット除去制御モードへと移行するように、構成されてもよい。更に、第1装置は、デポジット除去制御モードにおいて、低リフト噴射におけるリフト量の最大値を適宜変更してもよい。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、単に「第2装置」と称呼する。)は、デポジット除去制御モードによる燃料噴射の実行中に失火状態が検出された場合、目標空燃比AFtgtを「リッチ空燃比Rrichよりも更に小さい(リッチ側の)失火防止空燃比Rrmf」に設定する点においてのみ第1装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第2装置は、デポジット除去制御モードを開始すると、失火状態が発生したか否かを判定(監視)する。より具体的に述べると、第2装置のCPUは、各気筒が爆発行程にあるときにクランク角が180度経過する時間T180を取得し、その時間T180の全気筒の平均値に対して所定値以上長い時間T180を有する気筒が存在するか否かを判定する。そして、CPUは、そのような気筒が存在していると判定される場合、失火状態が発生していると判定する。或いは、CPUは、ある気筒の圧縮行程後期においてクランク角度が60度経過する時間T60aを取得し、その気筒の爆発行程中期においてクランク角度が60度経過する時間T60bを取得する。そして、CPUは、時間T60aに対する時間T60bの比が所定値以上であるとき失火状態が発生していると判定する。加えて、CPUは、失火状態が発生していると判定したとき、目標空燃比AFtgtを「リッチ空燃比Rrichよりも更に小さい(リッチ側の)失火防止空燃比Rrmf」に設定してデポジット除去制御を継続する。例えば、リッチ空燃比Rrichが10と14.6との間の空燃比とすれば、失火防止空燃比Rrmfは例えば9と10との間の空燃比である。なお、CPUは、上述した方法以外の周知の手法に基づいて失火状態が発生したか否かを判定するように構成されてもよい。
この第2装置によれば、デポジット除去制御モード中に失火状態が検出された場合には目標空燃比AFtgtが更に小さい値に設定されるので、デポジット除去制御において供給される燃料の量(実際には、低リフト噴射の回数)が増大させられる。その結果、デポジット除去制御モードにおける失火状態(リーン失火)の発生頻度を低減することができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、単に「第3装置」と称呼する。)は、デポジット除去制御モード中に失火状態が検出されたために目標空燃比AFtgtが失火防止空燃比Rrmfに設定された場合において、依然として失火状態が検出され続ける場合には、低リフト噴射におけるリフト量の最大値を「一定値Llowよりも大きい一定値Llow1」に設定する点のみにおいて第2装置と相違している。なお、一定値Llow1は最大リフト量Lmaxより小さい。
この第3装置によれば、デポジット除去制御モード中に目標空燃比AFtgtが失火防止空燃比Rrmfに設定された場合において、依然として失火状態が検出され続けるとき、低リフト噴射におけるリフト量の最大値が大きくなる。よって、デポジット除去制御において、デポジットDPが燃料噴射量に与える影響が軽減され、結果として、供給される燃料の量が増大させられる。その結果、デポジット除去制御モードにおける失火状態(リーン失火)の発生頻度を低減することができる。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、単に「第4装置」と称呼する。)は、図1に示した燃料噴射弁(ポート噴射弁)45を燃料噴射弁(筒内噴射弁)30とともに使用する内燃機関に適用される。
ところで、筒内噴射弁30と比較し、比較的低温の環境内に噴孔が露出するポート噴射弁45にはデポジットが堆積し難い。従って、ポート噴射弁45は筒内噴射弁30と比較して狙いに近い量の燃料を噴射することができる。
そこで、第4装置は、少なくともデポジット除去制御モードにて筒内噴射弁30から燃料を噴射する場合、目標空燃比AFtgtを実現するために必要とされる燃料噴射量Fiのうちの所定割合α分(即ち、α・Fiの燃料)をポート噴射弁45から噴射させ、残り分(即ち、(1−α)・Fi)を筒内噴射弁30から噴射させる。割合αは50から75%の間であることが望ましい。なお、CPUは、ポート噴射弁45の噴射態様を常にフルリフト噴射とする。
これによれば、α・Fiの燃料はポート噴射弁45から燃焼室20に供給される。加えて、仮に、筒内噴射弁30が低リフト噴射を行うとき「予定する量の所定割合β」しか燃料を噴射できないとしても、結果として不足する燃料量は(1−β)・(1−α)・Fiとなる。仮に、α=0、即ち、ポート噴射弁45から燃料を噴射しなければ、上記の場合に不足する燃料量は(1−β)・Fiである。よって、デポジット除去制御モードにて燃料の総てを筒内噴射弁30から噴射する場合と比較して、燃料の不足分を小さくすることができる。
その結果、第4装置は、第1装置と同様、トルク変動及びエミッションの悪化等が生じる可能性を低減させながら、燃料噴射弁30内のニードル先端空間壁面に付着したデポジットDPを効果的に除去することができる。なお、第4装置は、デポジット除去制御モードにおける目標空燃比AFtgtを、通常空燃比Rstに維持しているが、「通常空燃比Rstよりも小さいリッチ空燃比(第2空燃比)Rrich」に設定してもよい。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る燃料噴射制御装置は、トルク変動及びエミッション悪化の発生頻度を小さくしながら、燃料噴射弁30の内部に付着・堆積したデポジットDPを効果的に除去することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
20…燃焼室(筒内)、30…燃料噴射弁、31…ノズル本体部、31a…噴孔、31b…ノズルシート壁面、32…ニードル弁、32c…ニードルシート壁面、33…スプリング、34…ソレノイド、40…高圧燃料ポンプ、50…ECU(電子制御装置)、51…クランクポジションセンサ、52…エアフローメータ、53…アクセルペダル踏込量センサ、54…空燃比センサ、FP…燃料通路、S…サック。

Claims (1)

  1. ニードル弁を移動させることによって、内燃機関の燃焼室にて燃焼される混合気に含まれる燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記ニードル弁のリフト量を第1リフト量までの範囲で変更することによって燃料を噴射する高リフト噴射と、前記ニードル弁のリフト量を前記第1リフト量よりも小さい第2リフト量までの範囲で変更することによって燃料を噴射する低リフト噴射と、を選択的に実行可能である制御部と、
    を具備し、
    前記制御部は、
    前記燃料噴射弁内に付着したデポジットを除去すべきことを示す特定条件が成立していないとき、前記高リフト噴射を行うとともに、その際に前記混合気の空燃比が機関運転状態により定まる目標空燃比となるように前記ニードル弁を移動させ、
    前記特定条件が成立したとき、前記低リフト噴射を連続的に複数回行うとともに、その際に前記混合気の空燃比が前記目標空燃比よりも小さい空燃比となるように前記ニードル弁を移動させ、前記付着したデポジットに起因する燃料噴射量の低下量を小さくする、
    燃料噴射制御装置において、
    前記制御部は、前記特定条件が成立したとき、前記特定条件が成立していない場合に前記目標空燃比を実現するために前記低リフト噴射を第1の回数だけ行えばよい状況において、前記低リフト噴射を前記第1の回数よりも多い第2の回数だけ実行するように構成された、
    燃料噴射制御装置。
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