JP6298989B2 - 含フッ素化合物、パタ−ン形成用基板、光分解性カップリング剤、パタ−ン形成方法、化合物、有機薄膜トランジスタ - Google Patents

含フッ素化合物、パタ−ン形成用基板、光分解性カップリング剤、パタ−ン形成方法、化合物、有機薄膜トランジスタ Download PDF

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本発明は、含フッ素化合物、パタ−ン形成用基板、光分解性カップリング剤、パタ−ン形成方法、化合物及び有機薄膜トランジスタに関する。
近年、半導体素子、集積回路、有機ELディスプレイ用デバイス等の微細デバイス等の製造において、基板上に、表面特性の異なるパタ−ンを形成し、その表面特性の違いを利用して微細デバイスを作成する方法が提案されている。
基板上の表面特性の違いを利用したパタ−ン形成方法としては、たとえば、基板上に親水領域と撥水領域とを形成し、機能性材料の水溶液を親水領域に塗布する方法がある。この方法は、親水領域でのみ機能性材料の水溶液が濡れ広がるため、機能性材料の薄膜パタ−ンが形成できる。
基板上に親水領域と撥水領域とを形成させることができる材料として、近年、カップリング剤が用いられている。特許文献1には、光照射の前後で接触角を大きく変化させることができる、光分解性カップリング剤が記載されている。
また、非特許文献1には、有機官能基を光分解性基で保護した感光性シランカップリング剤による自己組織化単分子膜(SAM)、及び感光性SAMを用いた有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の作製法が記載されている。感光性SAMに光を照射してぬれ性のパタ−ンを形成すると、露光されて親水性になった領域にのみ水性の導電性インクが塗布されてソ−ス・ドレイン電極が形成できる。次いで有機半導体を塗布すると、疎水性の非露光領域にのみ定着し、有機TFTが作製できる。感光性SAMを用いた有機TFTの作製法は、プラスチックなどの光を透過する基板を用い、ゲ−ト電極をフォトマスクとして露光するのでソ−ス・ドレイン電極を自己整合形成できることが大きな特徴である。
特開2008−50321号公報
Arai T. et al.Japanese Journal of Applied Physics,Vol.46,p2700−2703(2007)
特許文献1に記載されたような光分解性カップリング剤は、光照射の前後での接触角差等において、未だ改良の余地があった。また、非特許文献1に記載された感光性SAMを用いた有機TFTにおいても、有機半導体特性には改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光照射の前後で接触角差が大きく、カップリング剤として有用な含フッ素化合物、該含フッ素化合物を用いたパタ−ン形成用基板、該含フッ素化合物を用いた光分解性カップリング剤、パタ−ン形成方法、及び前記含フッ素化合物を製造する際に中間体として有用な化合物、前記含フッ素化合物を感光性SAMに用いた有機薄膜トランジスタを提供することを課題とする。
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
nは0以上の整数を表す。]
本発明において、前記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物は、下記一般式(1−1)で表される含フッ素化合物であることが好ましい。
Figure 0006298989
[一般式(1−1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
nは0以上の整数を表す。]
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパタ−ン形成用基板である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様の含フッ素化合物からなることを特徴とする光分解性カップリング剤である。
本発明の第四の態様は、対象物の被処理面にパタ−ンを形成するパタ−ン形成方法であって、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、化学修飾された前記被処理面に所定パタ−ンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、前記親水領域又は撥水領域にパタ−ン形成材料を配置させる第3の工程と、を含むパタ−ン形成方法である。
本発明の第五の態様は、可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パタ−ンを形成する方法であって、前記基板の表面の全体、または特定の領域内を、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて化学修飾する第1の工程と、前記化学修飾された前記基板の表面に、前記回路パタ−ンに対応した分布の光エネルギ−を照射することによって、前記基板の表面に、親撥水性の違いによる前記回路パタ−ンの潜像を生成させる第2の工程と、前記基板の表面の前記潜像の部分に流動性のパタ−ン形成材料を接触させ、前記親撥水性の違いによって前記パタ−ン形成材料を前記回路パタ−ンの形状で前記基板上に捕捉させる第3の工程と、を含むパタ−ン形成方法である。
本発明の第四又は第五の態様のパタ−ン形成方法において、パタ−ン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料を含むことが好ましく、光は波長が200nm〜450nmの範囲に含まれる光を含むことが好ましい。
本発明の第六の態様は、下記一般式(f)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(f)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
mは0以上の整数を表す。]
本発明の第七の態様は、下記一般式(e)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(e)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
本発明の第八の態様は、下記一般式(d)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(d)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
本発明の第九の態様は、下記一般式(c)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(c)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
本発明の第十の態様は、ゲ−ト電極、ソ−ス電極、ドレイン電極、ゲ−ト絶縁膜、有機薄膜層、及び、有機半導体層を備え、前記有機薄膜層は、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて前記ゲ−ト絶縁膜上に形成されており、前記有機半導体層は、前記有機薄膜層上に設けられたものであることを特徴とする有機薄膜トランジスタである。
本発明によれば、光照射の前後で接触角差が大きく、カップリング剤として有用な含フッ素化合物、該含フッ素化合物を用いたパタ−ン形成用基板、該含フッ素化合物を用いた光分解性カップリング剤、パタ−ン形成方法、及び前記含フッ素化合物を製造する際に中間体として有用な化合物、前記含フッ素化合物を感光性SAMに用いた有機薄膜トランジスタを提供することができる。
有機薄膜トランジスタの一例の概略構造を示す図。 本発明に係る光分解性カップリング剤を用いて表面修飾された金電極付シリコンウェハ基板の一実施例を説明する概略図。 本発明に係る有機薄膜トランジスタの一実施例を説明する概略図。 本発明のパタ−ン形成方法において好適な基板処理装置の全体構成を示す模式図。 本発明に係る実施例3及び4の修飾基板について、静的接触角の経時変化を表す図。 本発明に係る実施例3の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示す図。 本発明に係る実施例8及び9の修飾基板について、静的接触角の経時変化を表す図。 本発明に係る実施例10及び11の修飾基板について、静的接触角の経時変化を表す図。 本発明に係る実施例8の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示す図。 本発明に係る実施例10の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示す図。 本発明に係る実施例17及び18の修飾基板について、静的接触角の経時変化を表す図。 本発明に係る実施例19及び20の修飾基板について、静的接触角の経時変化を表す図。 実施例17の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示す図。 実施例19の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示す図。
≪含フッ素化合物≫
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。nは0以上の整数を表す。]
前記一般式(1)中、Xはハロゲン原子又はアルコキシ基である。Xで表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等を挙げることができるが、Xはハロゲン原子であるよりもアルコキシ基であることが好ましい。nは整数を表し、出発原料の入手の容易さの点から、1〜20の整数であることが好ましく、2〜15の整数であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。
のアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
本発明においては、Rは水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
前記一般式(1)中、Yf1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基である。Yf1、Yf2のアルキレン基としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
具体的には、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
本発明において、上記の中でも、Yf1、Yf2はそれぞれ独立に炭素数3〜5の直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
前記一般式(1)中、n1〜n2は0又は1である。
前記一般式(1)中、Rf1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
f1、Rf2におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、Rf1、Rf2の両方またはいずれか一方はパ−フルオロフェニル基であり、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。また、Rf1、Rf2は互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
本発明において、前記一般式(1)で表される含フッ素化合物は、下記一般式(1−1)で表される含フッ素化合物であることが好ましい。
Figure 0006298989
[一般式(1−1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
nは0以上の整数を表す。]
一般式(1−1)中、X、R、Rf1、Rf2、nについての説明は、前記一般式(1)におけるX、R、Rf1、Rf2、nについての説明と同様である。
以下に一般式(1)で表される含フッ素化合物として、好ましいものを以下に列挙する。
Figure 0006298989
[式中、Xはメトキシ基、Rはメチル基、nは0以上、n3及びn4は1以上の整数である。]
≪化合物≫
本発明の第六の態様は、下記一般式(f)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(f)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
mは0以上の整数を表す。]
上記一般式(f)中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
一般式(f)中、mは0以上の整数を表す。
以下に一般式(f)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 0006298989
本発明の第七の態様は、下記一般式(e)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(e)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
一般式(e)中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
以下に一般式(e)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 0006298989
本発明の第八の態様は、下記一般式(d)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(d)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
一般式(d)中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
以下に、一般式(d)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 0006298989
本発明の第九の態様は、下記一般式(c)で表される化合物である。
Figure 0006298989
[一般式(c)中、
は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
n1〜n2は0又は1であり、
f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
一般式(c)中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
以下に一般式(c)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 0006298989
本発明の第六〜九の態様の化合物は、本発明の第一の態様の含フッ素化合物の原料(中間体)として有用である。
<含フッ素化合物の製造方法>
本発明の含フッ素化合物は、本発明の第六〜九の態様の化合物を原料(中間体)として製造することが好ましい。
下記工程において、用いられる溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ−ルなどが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合してもよい。
本発明の第九の態様の化合物は、例えば、以下の工程により得ることができる。
Figure 0006298989
上記反応式中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
本発明の第八の態様の化合物は、例えば、以下の工程により得ることができる。
Figure 0006298989
上記反応式中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
本発明の第七の態様の化合物は、例えば、以下の工程により得ることができる。
Figure 0006298989
上記反応式中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
本発明の第六の態様の化合物は、例えば、以下の工程により得ることができる。
Figure 0006298989
上記反応式中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2、mについての説明は前記一般式(1)又は(f)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2、mについての説明と同様である。
本発明の含フッ素化合物は、例えば、以下の工程により得ることができる。
Figure 0006298989
上記反応式中、X,R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2、mについての説明は前記一般式(1)又は(f)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2、mについての説明と同様であり、n=m+2である。
≪パタ−ン形成用基板≫
本発明の第二の態様は、前記含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパタ−ン形成用基板である。
基材としては、特に限定されず、ガラス、石英ガラス、シリコンウェハ、プラスチック板、金属板等が好ましく挙げられる。また、これらの基板上に、金属薄膜が形成された基板を用いてもよい。
基材の形状としては、特に限定されず、平面、曲面、または部分的に曲面を有する平面が好ましく、平面がより好ましい。また基材の面積も特に限定されず、従来の塗布方法が適用できる限りの大きさの面を有する基材を採用できる。また、前記含フッ素化合物で化学修飾された表面は平面上の基材の片面に形成するのが好ましい。
基板の表面を修飾する際は、基板表面を前処理しておくことが好ましい。前処理方法としては、ピラニア溶液での前処理や、UV−オゾンクリ−ナ−による前処理が好ましい。
基板の表面を修飾する方法としては、前記一般式(1)中の、反応性のSiに結合したXが、基板と結合する方法であれば特に限定されず、浸漬法、化学処理法等の公知の方法を用いることができる。
≪光分解性カップリング剤≫
本発明の第三の態様は、前記含フッ素化合物からなる光分解性カップリング剤である。
本発明の第三の態様の光分解性カップリング剤は、撥液基を備えた光分解性基と、この光分解性基に官能基を介して連結された付着基Xとを備え、撥液基が末端にパ−フルオロフェニル基Rf1、Rf2を有するものであり、また、官能基が光分解後にカルボキシ基を残基とするものである。そのため、本発明の光分解性カップリング剤は、光照射前後での接触角の差を大きく確保することができる。
≪パタ−ン形成方法≫
本発明の第四の態様は、対象物の被処理面にパタ−ンを形成するパタ−ン形成方法であって、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、化学修飾された前記被処理面に所定パタ−ンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、前記親水領域又は撥水領域にパタ−ン形成材料を配置させる第3の工程と、を含むパタ−ン形成方法である。
[第1の工程]
第1の工程は、対象物の被処理面にパタ−ンを形成するパタ−ン形成方法において、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する工程である。
対象物としては、特に限定されない。本発明において、例えば、金属、結晶質材料(例えば単結晶質、多結晶質および部分結晶質材料)、非晶質材料、導体、半導体、絶縁体、光学素子、塗装基板、繊維、ガラス、セラミックス、ゼオライト、プラスチック、熱硬化性および熱可塑性材料(例えば、場合によってド−プされた:ポリアクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリウレタン、ポリスチレン、セルロ−スポリマ−、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンなど)、フィルム、薄膜、箔、が挙げられる。
本発明の第四の態様のパタ−ン形成方法においては、可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パタ−ンを形成することが好ましい。
本発明において、対象物となる可撓性の基板としては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板としては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
第1の工程において、対象物の被処理面の表面全体、または特定の領域内を前記含フッ素化合物を用いて化学修飾することが好ましい。
対象物の被処理面を化学修飾する方法としては、前記一般式(1)中の、反応性のSiに結合したXが、基板と結合する方法であれば特に限定されず、浸漬法、化学処理法等の公知の方法を用いることができる。
第1の工程における化学修飾の一例を下記に示す。下記式中、X,R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
Figure 0006298989
[第2の工程]
第2の工程は、化学修飾された被処理面に所定パタ−ンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる工程である。
照射する光は紫外線が好ましい。照射する光は、200〜450nmの範囲に含まれる波長を有する光を含むことが好ましく、320〜450nmの範囲に含まれる波長を有する光を含むことがより好ましい。また、波長が365nmの光を含む光を照射することも好ましい。これらの波長を有する光は、本発明の態様の光分解性基を効率よく分解することができる。光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、窒素等の気体レ−ザ−、有機色素溶液の液体レ−ザ−、無機単結晶に希土類イオンを含有させた固体レ−ザ−等が挙げられる。
また、単色光が得られるレ−ザ−以外の光源としては、広帯域の線スペクトル、連続スペクトルをバンドパスフィルタ−、カットオフフィルタ−等の光学フィルタ−を使用して取出した特定波長の光を使用してもよい。一度に大きな面積を照射することができることから、光源としては高圧水銀ランプまたは超高圧水銀ランプが好ましい。
本発明のパタ−ン形成方法においては、上記の範囲で任意に光を照射することができるが、特に回路パタ−ンに対応した分布の光エネルギ−を照射することが好ましい。
第2の工程において、化学修飾された被処理面に所定パタ−ンの光を照射することにより、撥水性能を有する基が解離し、親水性能を有する残基(カルボキシ基)が生じるため、光照射後においては、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させることができる。
第2の工程においては、可撓性基板の表面に、親撥水の違いによる回路パタ−ンの潜像を生成させることが好ましい。
下記に化学修飾された被処理面に所定パタ−ンの光を照射することにより、撥水性能を有する基が解離し、親水性能を有する残基(カルボキシ基)が生じる工程の例を示す。下記式中、R、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Yf1、Yf2、Rf1、Rf2、n1〜n2についての説明と同様である。
Figure 0006298989
[第3の工程]
第3の工程は、第2の工程で生成した親水領域又は撥水領域にパタ−ン形成材料を配置させる工程である。
パタ−ン形成材料としては、金、銀、銅やこれらの合金などの粒子を所定の溶媒に分散させた配線材料(金属溶液)、又は、上記した金属を含む前駆体溶液、絶縁体(樹脂)、半導体、有機EL発光材などを所定の溶媒に分散させた電子材料、レジスト液などが挙げられる。
本発明の態様のパタ−ン形成方法においては、パタ−ン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料であることが好ましい。
液状の導電材料としては、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液からなるパタ−ン形成材料が挙げられる。導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル及びITOのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマ−や超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコ−ティングして使うこともできる。
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルメチルエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルメチルエチルエ−テル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エ−テル、p−ジオキサンなどのエ−テル系化合物、さらにプロピレンカ−ボネ−ト、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコ−ル類、炭化水素系化合物、エ−テル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
液状の半導体材料としては、分散媒に分散又は溶解させた有機半導体材料を用いることができる。有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料が挙げられる。
液状の絶縁材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、ポリシラザン系SOGや、シリケ−ト系SOG(Spin on Glass)、アルコキシシリケ−ト系SOG、シロキサンポリマ−に代表されるSi−CH結合を有するSiO等を分散媒に分散又は溶解させた絶縁材料が挙げられる。
第3の工程において、パタ−ン形成材料を配置させる方法としては、液滴吐出法、インクジェット法、スピンコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、スロットコ−ト法等を適用することができる。
以下、図面を参照して、本発明の態様のパタ−ン形成方法を説明する。
本発明の態様のパタ−ン形成方法において、いわゆるロ−ル・ツ−・ロ−ルプロセスに対応する可撓性の基板を用いる場合には、図4に示すような、ロ−ル・ツ−・ロ−ル装置である基板処理装置100を用いてパタ−ンを形成してもよい。図4に基板処理装置100の構成を示す。
図4に示すように、基板処理装置100は、帯状の基板(例えば、帯状のフィルム部材)Sを供給する基板供給部2と、基板Sの表面(被処理面)Saに対して処理を行う基板処理部3と、基板Sを回収する基板回収部4と、含フッ素化合物の塗布部6と、露光部7と、マスク8と、パタ−ン材料塗布部9と、これらの各部を制御する制御部CONTと、を有している。基板処理部3は、基板供給部2から基板Sが送り出されてから、基板回収部4によって基板Sが回収されるまでの間に、基板Sの表面に各種処理を実行できる。
この基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に好適に用いることができる。
なお、図4は、所望のパタ−ン光を生成するためにフォトマスクを用いる方式を図示したものであるが、本発明は、フォトマスクを用いないマスクレス露光方式にも好適に適用することができる。フォトマスクを用いずにパタ−ン光を生成するマスクレス露光方式としては、DMD等の空間光変調素子を用いる方法、レ−ザ−ビ−ムプリンタ−のようにスポット光を走査する方式等が挙げられる。
本発明の態様のパタ−ン形成方法においては、図4に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置100は、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−側)からプラス側(+側)へ基板Sを搬送する。その際、帯状の基板Sの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
基板Sは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラ−を樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラ−の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。また、基板Sはフロ−ト法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単体、或いはその極薄ガラスに上記樹脂フィルムやアルミ箔を貼り合わせた積層体であっても良い。
基板Sの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板SのY方向の寸法が50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板SのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
基板Sは、可撓性を有するように形成されていることが好ましい。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
基板供給部2は、例えばロ−ル状に巻かれた基板Sを基板処理部3へ送り出して供給する。この場合、基板供給部2には、基板Sを巻きつける軸部や当該軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロ−ル状に巻かれた状態の基板Sを覆うカバ−部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部2は、ロ−ル状に巻かれた基板Sを送り出す機構に限定されず、帯状の基板Sをその長さ方向に順次送り出す機構(例えばニップ式の駆動ロ−ラ等)を含むものであればよい。
基板回収部4は、基板処理装置100を通過した基板Sを例えばロ−ル状に巻きとって回収する。基板回収部4には、基板供給部2と同様に、基板Sを巻きつけるための軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板Sを覆うカバ−部などが設けられている。なお、基板処理部3において基板Sがパネル状に切断される場合などには例えば基板Sを重ねた状態に回収するなど、ロ−ル状に巻いた状態とは異なる状態で基板Sを回収する構成であっても構わない。
基板処理部3は、基板供給部2から供給される基板Sを基板回収部4へ搬送すると共に、搬送の過程で基板Sの被処理面Saに対して含フッ素化合物を用いた化学修飾をする工程、化学修飾された被処理面に所定パタ−ンの光を照射する工程、及びパタ−ン形成材料を配置させる工程を行う。基板処理部3は、基板Sの被処理面Saに対して含フッ素化合物を塗布する含フッ素化合物塗布部6と、光を照射する露光部7と、マスク8と、パタ−ン材料塗布部9と、加工処理の形態に対応した条件で基板Sを送る駆動ロ−ラR等を含む搬送装置20とを有している。
含フッ素化合物塗布部6と、パタ−ン材料塗布部9は、液滴塗布装置(例えば、液滴吐出型塗布装置、インクジェット型塗布装置、スピンコ−ト型塗布装置、ロ−ルコ−ト型塗布装置、スロットコ−ト型塗布装置など)が挙げられる。
これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられ、フレキシブル・ディスプレイのパネル等が、所謂ロ−ル・ツ−・ロ−ル方式で生産可能となっている。本実施形態では、露光部7が設けられるものとし、その前後の工程(感光層形成工程、感光層現像工程等)を担う装置も必要に応じてインライン化して設けられる。
≪有機薄膜トランジスタ≫
本発明の第十の態様は、ゲ−ト電極、ソ−ス電極、ドレイン電極、ゲ−ト絶縁膜、有機薄膜層、及び、有機半導体層を備え、前記有機薄膜層は、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて前記ゲ−ト絶縁膜上に形成されており、前記有機半導体層は、前記有機薄膜層上に設けられたものであることを特徴とする有機薄膜トランジスタである。
本発明の有機薄膜トランジスタの構造について図を参照しつつ説明する。
図1は有機薄膜トランジスタの一例の概略構造を示す図であるが、基板16上に絶縁層12により空間的に分離された電極13、電極14及び電極15が設けられており、電極15への電圧印加により、有機半導体層11を流れる電流を制御することができる。
本発明においては、本発明の第一の態様の含フッ素化合物を用いた有機薄膜層10上に、有機半導体層11が設けられている。以下、電極13をソ−ス電極、電極14をドレイン電極、電極15をゲ−ト電極と呼ぶ。図1(A)はボトムコンタクトボトムゲ−ト型のもの、図1(B)はボトムコンタクトトップゲ−ト型のもの、図1(C)はトップコンタクトボトムゲ−ト型のもの、図1(D)はトップコンタクトトップゲ−ト型のものである。
また、本発明の有機薄膜トランジスタは、必要に応じて各電極からの引き出し電極を設けることができる。さらに、水分、大気及びガスからの保護、又はデバイスの集積の都合上の保護等のため、必要に応じて保護層を設けることもできる。
基板16としては、例えば、金属基板、ガラス基板、プラスチック基板、シリコン基板等が挙げられる。一連の製造工程において寸法変化が少ない基板は製造工程を容易にすることができる。また、導電性基板を用いることにより、ゲ−ト電極を兼ねたり、さらには、ゲ−ト電極と導電性基板とを積層した構造にすることもできる。
プラスチック基板を用いると、完成するデバイスにフレキシビリティ、軽量化、安価、耐衝撃性などの特性を与えることができる。
プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルイミド、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレ−ト、ポリイミド、ポリカ−ボネ−ト、セルロ−ストリアセテ−ト、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−ト等からなる基板が挙げられる。
絶縁層12には無機又は有機の種々の絶縁層材料を用いることができる。
無機絶縁層材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等が挙げられる。
また、有機絶縁層材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルフェノ−ル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、無置換又はハロゲン置換ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレ−ト、シルセスキオキサン、ポリビニルブチラ−ル等が挙げられる。
なお、絶縁性を向上させるために、有機材料に無機材料を添加してもよい。
絶縁層の作製方法は、その種類に応じて適宜選択できる。例えば、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法、スプレ−コ−ト法、スピンコ−ト法、ディップコ−ト法、ブレ−ドコ−ト法、バ−コ−ト法、印刷法、ディスペンサ法、インクジェット法などを用いることができる。
ソ−ス電極13、ドレイン電極14、及びゲ−ト電極15の材料は、導電性材料であれば特に限定されない。
具体例としては、金、白金、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、銀、チタン、鉄、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの合金、インジウム酸化物などの導電性金属酸化物、あるいは、ド−ピング等で導電率を向上させた無機半導体及び有機半導体、例えば、シリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などが挙げられる。
また、ソ−ス電極13とドレイン電極14は、有機半導体層11との接触面において電気抵抗の少ない材料で形成することが望ましい。
本発明において用いることができる有機半導体材料としては、塗布型低分子有機半導体材料が挙げられる。塗布型低分子有機半導体材料の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0006298989
本発明における有機薄膜層には、本発明の第一の態様の含フッ素化合物を用いた自己組織化単分子膜(SAM)が好ましく、カップリング反応により親水領域と撥水領域を形成できる自己組織化単分子膜がより好ましい。
本発明においては、絶縁層上に、本発明の第一の態様の含フッ素化合物を用いた自己組織化単分子層を形成する方法としては、前記本発明の第二の態様のパタ−ン形成用基板において説明した被処理面の化学修飾方法と同様の方法が挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機半導体特性や移動度に優れる。その理由としては、本発明の有機薄膜トランジスタが有する自己組織化単分子層が、パ−フルオロフェニル基を末端に有するためと推察される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪実施例1:含フッ素化合物(1)の合成≫
500mLのナスフラスコに、4−ヒドロキシ−3−メトキシアセトフェノンを20.8g(125mmol,1.0eq.)、アセトンを220mL、炭酸カリウムを17.4g(126mmol,1.0eq.)入れ、室温で30分撹拌した後、臭化ベンジルを18mL(151mmol,1.2eq.)加え、60℃で21時間還流した。濃縮後、精製水を200mL加え、クロロホルム(100mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル50mL,ヘキサン1mL,60℃)、吸引ろ過、真空乾燥し、第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル5mL,60℃)、吸引ろ過、真空乾燥し、第二結晶を得た。合わせて白色結晶(化合物(I1))、収量:29.2g(114mmol,91%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I1)(4−ベンジルオキシ−3−メトキシアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.55(3H,s),3.95(3H,s),5.24(2H,s),6.89(1H,d,J=8.4Hz),7.29−7.57(7H,m).
IR(KBr):1670(C=O)cm−1
Figure 0006298989
次に、500mLのナスフラスコに、化合物(I1)を29.0g(113mmol)、酢酸を210mL入れ、氷浴上で発煙硝酸を25mLゆっくり滴下し、20時間撹拌した。反応溶液を精製水300mLに注ぎ、析出した固体を吸引ろ過した。再結晶(アセトン250mL,55℃)、吸引ろ過、真空乾燥し、第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(アセトン122mL,55℃)、吸引ろ過、真空乾燥し、第二結晶を得た。合わせて黄色結晶(化合物(I2))、収量:21.0g(69.8mmol,62%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I2)(4−ベンジルオキシ−5−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.49(3H,s),3.98(3H,s),5.22(2H,s),6.77(1H,s),7.33−7.48(5H,m),7.67(1H,s).
IR(KBr):1699(C=O),1517(NO),1337(NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、500mLのナスフラスコに、化合物(I2)を34.9g(116mmol)、トリフルオロ酢酸を300mL入れ、室温で14時間撹拌した。濃縮後、5%の炭酸水素ナトリウム水溶液を200mL加え、酢酸エチル(300mL×7)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル300mL,80℃)、吸引ろ過、真空乾燥して第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル20mL,80℃)、吸引ろ過、真空乾燥して第二結晶を得た。合わせて黄色結晶(化合物(I3))、収量:20.9g(98.9mmol,86%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I3)(4−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.49(3H,s),4.02(3H,s),5.93(1H,s),6.80(1H,s),7.67(1H,s).
IR(KBr):3155(OH),1658(C=O),1530(NO),1335(NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、200mLの二口ナスフラスコに、化合物(I3)を3.02g(14.3mmol,1.0eq.)、炭酸カリウムを3.99g(28.8mmol,2.0eq.)、N,N−ジメチルホルムアミド乾燥溶媒(以下、「DMF」という。)を30mL入れ、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを26.4g(142mmol,9.9eq.)加えて100℃で14時間撹拌した。放冷後、精製水(60mL)を加えて酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機層を飽和食塩水(60mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して白色固体(化合物(I4))、収量:3.51g(9.30mmol,65%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I4)(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(ペンタフルオロフェニルオキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.53(3H,s),4.02(3H,s),6.87(1H,s),7.58(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ30.4,57.1,110.2,112.1,129.2(t,J=14Hz),136.5,137.8,138.3(dt,J=253,13Hz),139.3(2C,dt,J=255,14Hz),141.5(2C,dd,J=254,13Hz),146.0,154.5,199.3.
IR(KBr):1705(C=O),1515(NO),1346(NO)cm−1
Anal. Calcd for C15NO:C,47.76;H,2.14;N,3.71. Found: C, 47.65; H, 2.04; N, 3.67.
Figure 0006298989
次に、200mLのナスフラスコに、化合物(I4)を3.00g(7.95mmol,1.0eq.)、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)を40mL、メタノ−ルを35mL入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウムを0.650g(17.2mmol,2.2eq.)ゆっくり加え、0℃から室温で1時間撹拌した。濃縮後、精製水(100mL)と2規定の塩酸(20mL)を加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して白色固体(化合物(I5))、収量:2.73g(7.21mmol,91%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I5)(1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(ペンタフルオロフェニルオキシ)フェニル)エタノ−ル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.57(3H,d,J=6.2Hz),2.21(1H,d,J=3.7Hz),4.03(3H,s),5.63(1H,qd,J=6.2,3.7Hz),7.48(1H,s),7.54(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ24.6,56.7,65.8,110.3,113.0,129.7(t,J=12Hz),138.2(dt,J=256,14Hz),139.0(2C,dt,J=254,14Hz),139.1,140.9,141.5(2C,dd,J=253,12Hz),144.3,154.0.
IR(KBr):3420(OH),1518(NO),1336 (NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、200mLの二口ナスフラスコに、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、「EDC・HCl」という。)を1.66g(8.66mmol,1.5eq.)とドライTHFを15mL入れ、窒素雰囲気下、氷浴で20分間撹拌した後、化合物(I5)を2.16g(5.69mmol,1.0eq.)、4−ペンテン酸を1.25g(12.5mmol,2.2eq.)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(以下、「DMAP」という。)を0.862g(7.06mmol,1.2eq.)含むドライTHF 15mLの混合溶液を滴下し、窒素雰囲気下、氷浴で10分間撹拌後、室温で11時間撹拌した。濃縮後、精製水(100mL)と2規定の塩酸(15mL)を加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製して白色固体(化合物(I6))、収量:2.14g(4.64mmol,82%)を得た。
上記合成で得られた化合物(I6)(4−ペンテン酸1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(ペンタフルオロフェニルオキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。さらにUV測定の結果を示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.63(3H,d,J=6.4Hz),2.35−2.54(4H,m),4.00(3H,s),4.99−5.09(2H,m),5.76−5.86(1H,m),6.50(1H,q,J=6.4Hz),7.14(1H,s),7.52(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ22.1,28.8,33.6,56.7,68.2,109.8,112.8,115.8,129.5(t,J=15Hz),136.4,137.2,138.2(dt,J=253,13Hz),139.1(2C,dt,J=245,13Hz),139.5,141.6(2C,dd,J=251,12Hz),144.6,153.8,171.6.
IR(KBr):1728(C=O),1519(NO),1338(NO)cm−1
Anal. Calcd for C2016NO: C, 52.07; H, 3.50; N, 3.04. Found: C, 52.16; H, 3.35; N, 3.03.
UV (ethanol): ε 14500 (218 nm), 12900 (236 nm), 5730 (294 nm) M−1cm−1
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(I6)を0.504g(1.09mmol,1.0eq.)入れて1時間真空乾燥した後、ドライTHF 2mLで溶解し、トリメトキシシランを1.36g(11.1mmol,10eq.)と、カルステッド触媒をパスツ−ルピペットで6滴加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。濃縮後、中圧カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=6:1:0.07)で精製して白色固体(含フッ素化合物(1))、収量:0.469g(0.804mmol,74%)を得た。
上記合成で得られた含フッ素化合物(1)(5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(ペンタフルオロフェニルオキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.62−0.68(2H,m),1.40−1.50(2H,m),1.62(3H,d,J=6.4Hz),1.64−1.72(2H,m),2.29−2.43(2H,m),3.56(9H,s),4.01(3H,s),6.48(1H,q,J=6.4Hz),7.14(1H,s),7.51(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ9.03,22.1,22.4,28.2,34.1,50.6(3C),56.7,68.0,109.8,112.9,129.5(t,J=15Hz)137.3,138.3(dt,J=253,15Hz),139.1(2C,dt,J=251,14Hz),139.5,141.6(2C,dd,J=251,12Hz),144.5,153.9,172.3.
IR(KBr):1737(C=O),1520(NO),1343(NO)cm−1
Anal. Calcd for C2326NOSi: C, 47.34; H, 4.49; N, 2.40. Found: C, 46.97; H, 4.28; N, 2.39.
Figure 0006298989
≪実施例2:化合物(2)の合成≫
100mLの二口ナスフラスコに、4−ヒドロキシ−3−メトキシアセトフェノンを1.02g(6.16mmol,1.0eq.)、炭酸カリウムを1.65g(11.9mmol,1.9eq.)、DMF乾燥溶媒を10mL入れ、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを11.5g(62.0mmol,10eq.)加えて80℃で5時間撹拌した。放冷後、精製水(10mL)を加えて酢酸エチル(5mL×5)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=7:1)で精製して白色固体(化合物(2))、収量:1.57g(4.71mmol,76%)を得た。
上記合成で得られた化合物(2)(3−メトキシ−4−(ペンタフルオロフェニルオキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.59(3H,s),3.96(3H,s),6.82(1H,d,J=8.4Hz),7.49(1H,dd,J=8.4,2.0Hz),7.63(1H,d,J=2.0Hz).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ26.4,56.3,112.0,115.1,122.3,129.9(t,J=13Hz),134.0,138.2(dt,J=251,14Hz),138.8(2C,dt,J=251,14Hz),141.6(2C,dd,J=251,12Hz),149.5,149.8,196.5.
IR(KBr):1682(C=O)cm−1
Anal. Calcd for C15:C,54.23;H,2.73. Found: C, 54.27; H, 2.35.
Figure 0006298989
≪実施例3〜4:含フッ素化合物(1)による基板の表面修飾≫
上記の合成方法によって得られた、含フッ素化合物(1)を用いて基板の表面修飾を行った。
得られた修飾基板は、水の静的接触角を測定し、UVから表面密度を算出した。光分解については、水の静的接触角の変化により追跡し、X線光電子分光法(X−ray photoelectron spectroscopy,以下、「XPS」という。)、X線反射率法(X−ray reflectometry,以下、「XRR」という。)により光照射前後を比較した。
[前処理工程]
シリコンウェハ(3cm×1.5cm)、石英ガラス(4cm×1cm)について、UV−オゾンクリ−ナ−により前処理を行った。
シリコンウェハ、石英ガラスを純水、メタノ−ル、アセトンでそれぞれ5分間超音波洗浄した。基板を取り出し窒素気流で乾燥させ、UVオゾンクリ−ナ−で前処理した。UV−オゾンクリ−ナ−の酸素注入は流量6L/minで3分間注入し、UV照射は1.5時間とし、生じたオゾンは窒素を流量6L/minで10分間流して排出した。
シリコンウェハは鏡面にUVを1.5時間照射し、石英ガラスは1.5時間ずつ両面を前処理した。
[表面修飾工程]
続いて、50mL太口ナスフラスコに含フッ素化合物(1)の1mM ドライトルエン溶液20mL、酢酸63μL(1.10mmol,50mM)、前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下、30℃で19時間浸漬した。基板をメタノ−ルで洗浄し、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
比較例として、50mL太口ナスフラスコに化合物(11)又は(12)のいずれか1mM ドライトルエン溶液20mL、前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下、100℃で3時間浸漬した。
Figure 0006298989
得られた基板表面の水の静的接触角を基板種類等と共に表1に記載する。修飾剤に、含フッ素化合物(1)を用いた実施例3〜4は、比較例1に比べて接触角が大きく、いずれも疎水性を示したことから基板上が修飾されたと考えられる。実施例3〜4と、比較例2とを比べると、比較例2のほうが接触角は大きいものの、後述するように、比較例2は有機半導体の塗布性が劣るものであった。また、XPSより、修飾後の基板においてF(フッ素)及びニトロ基由来のピ−クの出現が見られたことからも修飾できたことを示した(図6)。また、石英ガラスにおいてUVから算出した表面密度は、3.1×1014molecules/cmであった。
Figure 0006298989
≪修飾基板への光照射≫
その後、実施例3〜4について、得られた修飾基板の光分解性を調べるために、超高圧水銀灯で、320nm以下の波長の光を遮断する硫酸銅フィルタ−を通して、照度50mW/cmで光照射した。光照射した基板をメタノ−ル、クロロホルムで洗い流し、クロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
光分解は次式のようになされ、光照射するとニトロベンジル基の光分解によりニトロソ化合物が脱離し、基板表面にカルボキシ基を導入できると思われる。
Figure 0006298989
図5に、実施例3〜4の光照射時の水の静的接触角の経時変化を示す。水の静的接触角の変化より、照射時間に伴い接触角は減少し、最終的に50〜52°になったことから、光分解が進行したことが確認できた。
図5の上段のグラフは、実施例3の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図5の下段のグラフは、実施例4の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図5に示すとおり、実施例3〜4は光照射前後で接触角差が大きかった。
また図6は、実施例3の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示すものである。図6に示すとおり、光照射後にはF(フッ素)及びニトロ基由来のピ−クが消失したことから光分解性基が光照射により脱離したことが確認できた。
実施例3について、光照射前後でXRR測定を行ったところ、光照射前は膜厚1.4nm(実測値、計算値は1.7nm)だったものが、光照射後には、膜厚0.75nm(実測値、計算値は0.8nm)に減少した。
このことからも、光照射により光分解性基が脱離したことが確認できた。
≪有機薄膜トランジスタの作製≫
[基板の前処理]
電極付シリコンウェハを純水、メタノ−ル、アセトンで各5分間超音波洗浄した後、窒素気流で乾燥した。UV−オゾンクリ−ナ−にて、酸素を流量6L/minで3分間注入し、UVを1.5時間照射し、生じたオゾンを排出するため窒素を流量6L/minで10分間流した。
[使用した基板]
Au電極付シリコンウェハ
SiO膜厚:150nm
チャネル長:5、20、50μm
チャネル幅:500μm
[実施例5:含フッ素化合物(1)による表面修飾]
1000mLのセパラブルフラスコ(口内径φ120mm筒型)に含フッ素化合物(1)の1mMドライトルエン溶液を40mL入れ、酢酸を125μL(2.20mmol、50mM)加え、修飾面を上にして前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下室温で24時間浸漬した。基板を取り出し、メタノ−ルで洗浄後、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。得られた各基板の水の接触角を測定した。各基板の水の接触角を表3に示す。なお、実施例5の水の接触角は87±1°であった。実施例5は接触角が大きく、疎水性を示したことから、図2に示すようにドレイン電極13とソ−ス電極14の間に自己組織化単分子層10aが形成されたことが確認できた。
[比較例3〜4:化合物(11)又は(12)による表面修飾]
上記化合物(11)又は(12)を用い、浸漬条件を室温で19時間としたこと以外は実施例5と同様の表面修飾を行った。化合物(11)を用いたものを比較例3、化合物(12)を用いたものを比較例4とする。
[比較例5]
上記と同様の条件で基板を前処理し、表面修飾を行わなかった。
[有機薄膜トランジスタの作製]
上記実施例5、比較例3〜4の方法により表面修飾した金電極付シリコンウェハ基板、表面修飾を行わなかった金電極付シリコンウェハ基板(比較例5)(1枚にチャネル長:5、20、50μmで各4素子)を10°傾けた台にソ−ス電極側を低い位置に置き、下記化合物(20)の2wt%トルエン溶液を300μLドロップキャストし、自然乾燥させ、ソ−ス電極及びドレイン電極をつなぐように結晶薄膜を形成し、有機薄膜トランジスタを得た。図3に本発明の有機薄膜トランジスタの一例を示す。図3に示すように、疎水性の自己組織単分子層10aの領域に有機半導体11が塗布された有機薄膜トランジスタを形成した。
次いで、得られた有機薄膜トランジスタを105℃で30分間熱処理した。
Figure 0006298989
≪有機薄膜トランジスタの特性評価≫
上記実施例により製造した有機薄膜トランジスタのI−V特性を半導体パラメ−タ−ソフトを用いて測定した。
閾値電圧とキャリア移動度は、半導体パラメ−タ−によりI−V特性を得た後、I 1/2−Vプロットに変形して算出し、キャリア移動度は当該I 1/2−Vプロットから得られた直線部分の傾きを、以下の式に当てはめて算出した。
傾き=(WμC/2L)1/2
閾値電圧は、I 1/2−Vプロットの直線におけるx切片として算出した。
:ドレイン電流
:ゲ−ト電圧
また、有機薄膜トランジスタにおける飽和電流領域は、I−V特性から求めた。
Figure 0006298989
式中、
:ドレイン電流(A)
W:チャネル幅(500μm)
L:チャネル長(5、20、50μm)
μ:キャリア移動度(cm/V・s)
:ゲ−ト絶縁層の容量(εε/d)
ε:SiOの比誘電率3.9
ε:真空の誘電率8.85×10−12F/m
:ゲ−ト電圧(V)
th:閾値電圧(V)
を意味する。
なお、ON/OFF比は、I−V特性の、(最大I値)/(最少I値)から算出した。
Figure 0006298989
Figure 0006298989
≪実施例6:含フッ素化合物(3)の合成≫
100mLの二口ナスフラスコに、化合物(I3)を1.56g(7.39mmol,1.0eq.)、60%水素化ナトリウムを0.297g(7.42mmol,1.0eq.)、ドライDMFを16mL入れ、窒素雰囲気下、室温で30分撹拌した後、3−ブロモ−1−プロパノ−ルを1.03g(7.41mmol,1.0eq.)とドライDMFを4mL加えて80℃で25時間撹拌した。3−ブロモ−1−プロパノ−ルを0.513g(3.69mmol,0.5eq.)とドライDMFを1mL追加し、80℃で5時間撹拌した。放冷後、減圧留去し、精製水(200mL)を加えて酢酸エチル(100mL×4)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:3)で精製して白色固体(化合物(III1))、収量:1.48g(5.50mmol,74%)を得た。
上記合成で得られた化合物(III1)(4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−5−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.00(1H,t,J=5.5Hz),2.14(2H,quint.,J=5.8Hz),2.50(3H,s),3.90(2H,q,J=5.6Hz),3.96(3H,s),4.29(2H,t,J=6.0Hz),6.76(1H,s),7.64(1H,s).
IR(KBr):3397(OH),3312(OH),1712(C=O),1521(NO),1340(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1215NO:C,53.53;H,5.62;N,5.20.Found:C,53.49;H,5.40;N,5.15.
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(III1)を1.60g(5.94mmol,1.0eq.)、炭酸カリウムを1.74g(12.6mmol,2.1eq.)、ドライDMFを16mL入れ、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを11.7g(63.1mmol,11eq.)とドライDMFを5mL加えて100℃で18時間撹拌した。放冷後、減圧留去し、精製水(100mL)を加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して白色固体(化合物(III2))、収量:1.86g(4.27mmol,72%)を得た。
上記合成で得られた化合物(III2)(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.34(2H,quint.,J=6.0Hz),2.51(3H,s),3.95(3H,s),4.33(2H,t,J=6.1Hz),4.39(2H,t,J=5.9Hz),6.76(1H,s),7.66(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ29.6,30.4,56.6,65.6,71.8(t,J=2.9Hz),108.3,108.9,133.1,133.5,(t,J=12Hz),137.5(dt,J=253,15Hz),138.1(2C,dm,J=248Hz),138.4,141.8,(2C,dm,J=247Hz),148.9,154.4,200.1.
IR(KBr):1704(C=O),1511(NO),1337(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1814NO:C,49.67;H,3.24;N,3.22.Found:C,49.81;H,3.10;N,3.20.
Figure 0006298989
次に、100mLのナスフラスコに、化合物(III2)を1.61g(3.69mmol,1.0eq.)、ドライTHFを16mL、メタノ−ルを16mL入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウムを0.279g(7.38mmol,2.0eq.)ゆっくり加え、0℃から室温で1時間撹拌した。濃縮後、精製水(100mL)と2規定の塩酸(20mL)を加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。クロロホルム(100mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥して黄色固体(化合物(III3))、収量:1.48g(3.38mmol,91%)を得た。
上記合成で得られた化合物(III3)(1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エタノ−ル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.56(3H,d,J=6.4Hz),2.26(1H,d,J=3.6Hz),2.32(2H,quint.,J=6.0Hz),3.97(3H,s),4.28(2H,t,J=6.0Hz),4.39(2H,t,J=6.0Hz),5.58(1H,qd,J=6.4,3.6Hz),7.31(1H,s),7.62(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ24.3,29.7,56.4,65.5,65.8,72.0(t,J=2.9Hz),108.8,109.5,133.6(t,J=12Hz),137.2,137.4(dt,J=252,16Hz),138.0(2C,dt,J=251,14Hz),139.6,141.8(2C,dm,J=246Hz),146.9,154.2.
IR(KBr):3386(OH),3321(OH),1520(NO),1340(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1816NO:C,49.44;H,3.69;N,3.20.Found:C,49.51;H,3.31;N,3.19.
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、EDC・HClを0.667g(3.48mmol,1.3eq.)、ドライTHFを10mL入れ、窒素雰囲気下、氷浴で20分間撹拌した後、化合物(III3)を1.20g(2.75mmol,1.0eq.)、4−ペンテン酸を0.462g(4.61mmol,1.7eq.)、DMAPを0.332g(2.71mmol,1.0eq.)を含むドライTHF10mLの混合溶液を滴下し、窒素雰囲気下、氷浴で10分間撹拌後、室温で5時間撹拌した。濃縮後、精製水(100mL)と1規定の塩酸(20mL)を加えてクロロホルム(100mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して白色固体(化合物(III4))、収量:1.31g(2.52mmol,92%)を得た。
上記合成で得られた化合物(III4)(4−ペンテン酸1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.62(3H,d,J=6.4Hz),2.27−2.53(6H,m),3.94(3H,s),4.28(2H,t,J=6.1Hz),4.38(2H,t,J=5.9Hz),5.00(1H,dq,J=10,1.6Hz),5.05(1H,dq,J=17,1.6Hz),5.80(1H,ddt,J=17,10,6.3Hz),6.49(1H,q,J=6.4Hz),7.01(1H,s),7.62(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ22.1,28.8,29.6,33.7,56.3,65.4,68.4,71.9(t,J=3.1Hz),108.3,109.3,115.7,133.5,133.6(t,J=12Hz),136.5,137.4(dt,J=256,16Hz),138.0(2C,dt,J=254,15,5Hz),139.9,141.8(2C,dm,J=250Hz),147.2,154.0,171.7.
IR(KBr):1730(C=O),1510(NO),1336(NO)cm−1
Anal.Calcd for C2322NO:C,53.18;H,4.27;N,2.70.Found:C,53.09;H,4.04;N,2.68.
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(III4)を0.396g(0.762mmol,1.0eq.)入れて1時間真空乾燥した後、ドライTHF2mLで溶解し、トリメトキシシランを0.938g(7.68mmol,10eq.)、カルステッド触媒をパスツ−ルピペットで6滴加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。濃縮後、中圧カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=5:1:0.06)で精製して黄色粘体(含フッ素化合物(3))、収量:0.341g(0.531mmol,70%)を得た。
上記合成で得られた含フッ素化合物(3)(5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.61−0.67(2H,m),1.39−1.49(2H,m),1.61(3H,d,J=6.4Hz),1.67(2H,quint.,J=7.8Hz),2.27−2.41(4H,m),3.55(9H,s),3.94(3H,s),4.28(2H,t,J=6.2Hz),4.38(2H,t,J=6.0Hz),6.47(1H,q,J=6.4Hz),7.01(1H,s),7.62(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ9.0,22.1,22.4,28.2,29.6,34.2,50.5(3C),56.3,65.4,68.2,71.9(t,J=2.9Hz),108.3,109.3,133.6(t,J=11Hz),133.7,137.4(dt,J=254,14Hz),138.0(2C,dt,J=250,15Hz),139.8,141.8(2C,dd,J=248,15Hz),147.1,154.1,172.3.
IR(NaCl):1739(C=O),1520(NO),1339(NO)cm−1
Figure 0006298989
≪実施例7:含フッ素化合物(4)の合成≫
200mLのナスフラスコに、3−ヒドロキシ−4メトキシアセトフェノンを4.66g(28.1mmol,1.0eq.)、炭酸カリウムを3.89g(28.1mmol,1.0eq.)、アセトンを50mL入れ、室温で30分撹拌した後、臭化ベンジルを3.5mL(29.4mmol,1.0eq.)加え、16時間還流した。放冷後、濃縮し、精製水を150mL加え、クロロホルム(100mL×4)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル3mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル0.5mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第二結晶を得た。合わせて淡黄色結晶(化合物(IV1))、収量:6.69g(26.1mmol,93%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV1)(3−ベンジルオキシ−4−メトキシアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.53(3H,s),3.95(3H,s),5.19(2H,s),6.91(1H,d,J=8.7Hz),7.28−7.49(5H,m),7.54−7.61(2H,m).
IR(KBr):1670(C=O)cm−1
Figure 0006298989
次に、200mLのナスフラスコに、化合物(IV1)を4.00g(15.6mmol,1.0eq.)、酢酸を40mL入れ、氷浴上で70%硝酸を30mLゆっくり滴下し、0℃から室温で3時間撹拌した。反応溶液を冷精製水300mLに注ぎ、酢酸エチル(100mL×6)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(60mL×6)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル7mL、ヘキサン3mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル1mL、ヘキサン1mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第二結晶を得た。合わせて黄色固体(化合物(IV2))、収量:3.06g(10.2mmol,65%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV2)(5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.45(3H,s),3.98(3H,s),5.22(2H,s),6.81(1H,s),7.33−7.44(5H,m),7.62(1H,s).
IR(KBr):1708(C=O),1521(NO),1326(NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、100mLのナスフラスコに、化合物(IV2)を3.13g(10.4mmol,1.0eq.)、トリフルオロ酢酸を30mL入れ、室温で16時間撹拌した。濃縮後、5%の炭酸水素ナトリウム水溶液を100mL加え、クロロホルム(100mL×5)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル4mL)、吸引ろ過、真空乾燥して第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル1mL)、吸引ろ過、真空乾燥して第二結晶を得た。合わせて暗黄色固体(化合物(IV3))、収量:1.78g(8.43mmol,81%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV3)(5−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.50(3H,s),4.03(3H,s),6.27(1H,s),6.86(1H,s),7.64(1H,s).
IR(KBr):3378(OH),1699(C=O),1515(NO),1345(NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(IV3)を1.01g(4.79mmol,1.0eq.)、60%水素化ナトリウム0.232g(5.79mmol,1.2eq.)、ドライDMFを10mL入れ、窒素雰囲気下、室温で30分撹拌した後、3−ブロモ−1−プロパノ−ルを0.816g(5.87mmol,1.2eq.)加えて85℃で24時間撹拌した。放冷後、減圧留去し、精製水(100mL)を加えて酢酸エチル(50mL×5)で抽出し、有機層を飽和食塩水(50mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製して白色固体(化合物(IV4))、収量:0.906g(3.36mmol,70%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV4)(5−(3−ヒドロキシプロポキシ)−4−メトキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.95(1H,t,J=5.4Hz),2.13(2H,quint.,J=5.8Hz),2.50(3H,s),3.88(2H,q,J=5.6Hz),3.96(3H,s),4.28(2H,t,J=6.1Hz),6.79(1H,s),7.61,(1H,s).
IR(KBr):3447(OH),3394(OH),1704(C=O),1523(NO),1343(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1215NO:C,53.53;H,5.62;N,5.20.Found:C,53.52;H,5.64;N,5.18.
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(IV4)を0.795g(2.95mmol,1.0eq.)、炭酸セシウムを0.972g(2.98mmol,1.0eq.)、ドライDMFを8mL入れ、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを5.52g(29.7mmol,10eq.)加えて100℃で18時間撹拌した。放冷後、減圧留去し、精製水(100mL)を加えて酢酸エチル(80mL×5)で抽出し、有機層を飽和食塩水(80mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して淡黄色固体(化合物(IV5))、収量:0.934g(2.15mmol,73%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV5)(4−メトキシ−2−ニトロ−5−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.34(2H,quint.,J=6.0Hz),2.50(3H,s),3.95(3H,s),4.33(2H,t,J=6.2Hz),4.37(2H,t,J=5.9Hz),6.81(1H,s),7.61(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ29.5,30.4,56.5,65.6,71.7(t,J=3.1Hz),107.1,109.8,132.7,133.5,(t,J=12Hz),137.5(dt,J=253,15Hz),138.0(2C,dm,J=248Hz),138.7,141.8,(2C,dm,J=251Hz),150.0,153.3,200.0.
IR(KBr):1706(C=O),1512(NO),1336(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1814NO:C,49.67;H,3.24;N,3.22.Found:C,49.69;H,3.15;N,3.19.
Figure 0006298989
次に、100mLのナスフラスコに、化合物(IV5)を0.800g(1.84mmol,1.0eq.)、ドライTHFを8mL、メタノ−ルを8mL入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウムを0.073g(1.93mmol,1.0eq.)ゆっくり加え、0℃から室温で1時間撹拌した。濃縮後、精製水(100mL)と2規定の塩酸(10mL)を加えてクロロホルム(80mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、真空乾燥して黄色粘体(化合物(IV6))、収量:0.798g(1.82mmol,99%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV6)(1−(4−メトキシ−2−ニトロ−5−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エタノ−ル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.56(3H,d,J=6.2Hz),2.24(1H,d,J=3.6Hz),2.34(2H,quint.,J=6.0Hz),3.91(3H,s),4.36(2H,t,J=6.1Hz),4.39(2H,t,J=5.8Hz),5.57(1H,qd,J=6.2,3.8Hz),7.34(1H,s),7.57(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ24.3,29.6,56.3,65.3,65.7,71.9(t,J=3.1Hz),107.9,109.8,133.6(t,J=13Hz),136.9,137.4(dt,J=253,16Hz),138.0(2C,dt,J=248,14Hz),139.7,141.8(2C,dm,J=246Hz),148.0,153.1.
IR(NaCl):3534(OH),3423(OH),1516(NO),1334(NO)cm−1
Anal.Calcd for C1816NO:C,49.44;H,3.69;N,3.20.Found:C,49.34;H,3.38;N,3.18.
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、EDC・HClを0.460g(2.40mmol,2.0eq.)、ドライTHFを10mL入れ、窒素雰囲気下、氷浴で20分間撹拌した後、化合物(IV6)を0.520g(1.19mmol,1.0eq.)、4−ペンテン酸を0.180g(1.80mmol,1.5eq.)、DMAPを0.230g(1.88mmol,1.6eq.)を含むドライTHF5mLの混合溶液を滴下し、窒素雰囲気下、氷浴で5分間撹拌後、室温で3時間撹拌した。濃縮後、精製水(50mL)と2規定の塩酸(5mL)を加えてクロロホルム(50mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して白色固体(化合物(IV7))、収量:0.539g(1.04mmol,87%)を得た。
上記合成で得られた化合物(IV7)(4−ペンテン酸1−(4−メトキシ−2−ニトロ−5−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.61(3H,d,J=6.4Hz),2.30−2.52(6H,m),3.91(3H,s),4.28−4.37(2H,m),4.39(2H,t,J=5.8Hz),4.98(1H,dq,J=10,1.4Hz),5.03(1H,dq,J=17,1.6Hz),5.79(1H,ddt,J=17,10,6.2Hz),6.48(1H,q,J=6.4Hz),7.06(1H,s),7.58(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ22.1,28.8,29.6,33.6,56.3,65.3,68.3,71.9(t,J=3.1Hz),108.0,109.5,115.6,133.1,133.5(t,J=13Hz),136.5,137.5(dt,J=253,15Hz),138.0(2C,dm,J=250Hz),140.1,141.8(2C,dm,J=244Hz),148.3,152.9,171.7.
IR(KBr):1734(C=O),1514(NO),1337(NO)cm−1
Anal.Calcd for C2322NO:C,53.18;H,4.27;N,2.70.Found:C,53.23;H,3.99;N,2.70.
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(IV7)を0.201g(0.387mmol,1.0eq.)入れて一時間真空乾燥した後、ドライTHF 2mLで溶解し、トリメトキシシランを0.476g(3.90mmol,10eq.)、カルステッド触媒をパスツ−ルピペットで3滴加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。濃縮後、中圧カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=5:1:0.06)で精製して黄緑色固体(含フッ素化合物(4))、収量:0.170g(0.265mmol,68%)を得た。
上記合成で得られた含フッ素化合物(4)(5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(4−メトキシ−2−ニトロ−5−(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.60−0.65(2H,m),1.38−1.48(2H,m),1.61(3H,d,J=6.4Hz),1.66(2H,quint.,J=7.6Hz),2.26−2.41(4H,m),3.54(9H,s),3.90(3H,s),4.27−4.37(2H,m),4.40(2H,t,J=5.8Hz),6.46(1H,q,J=6.4Hz),7.06(1H,s),7.57(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ8.9,22.0,22.3,28.2,29.6,34.1,50.5(3C),56.3,65.3,68.1,71.9(t,J=2.9Hz),108.0,109.4,133.2,133.5(t,J=13Hz),137.5(dt,J=252,15Hz),138.0(2C,dm,J=248Hz),140.1,141.8(2C,dm,J=246),148.3,152.9,172.3.
IR(KBr):1728(C=O),1515(NO),1336(NO)cm−1
Anal.Calcd forC2632NO10Si:C,48.67;H,5.03;N,2.18.Found:C,48.79;H,4.82;N,2.20.
Figure 0006298989
≪実施例8〜11:含フッ素化合物(3)〜(4)による基板の表面修飾≫
上記の合成方法によって得られた、含フッ素化合物(3)〜(4)を用いて基板の表面修飾を行った。
[前処理工程]
シリコンウェハ(3cm×1.5cm)、石英ガラス(4cm×1cm)について、UV−オゾンクリ−ナ−により前処理を行った。
シリコンウェハ、石英ガラスを純水、メタノ−ル、アセトンでそれぞれ5分間超音波洗浄した。基板を取り出し窒素気流で乾燥させ、UVオゾンクリ−ナ−で前処理した。UV−オゾンクリ−ナ−の酸素注入は流量6L/minで3分間注入し、UV照射は1.5時間とし、生じたオゾンは窒素を流量6L/minで10分間流して排出した。
シリコンウェハは鏡面にUVを1.5時間照射し、石英ガラスは1.5時間ずつ両面を前処理した。
[表面処理工程]
続いて、50mL太口ナスフラスコに含フッ素化合物(3)または(4)の1mMドライトルエン溶液20mL、酢酸57μL(0.997mmol,50mM)、前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下、室温で24時間浸漬した。基板をメタノ−ルで洗浄し、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
得られた基板表面の水の静的接触角を基板種類等と共に表4に記載する。また、表4中に、前記実施例3〜4及び比較例1〜2の静的接触角と基板種類等を併記する。修飾剤に、含フッ素化合物(3)を用いた実施例8〜9及び含フッ素化合物(4)を用いた実施例10〜11は、比較例1に比べて接触角が大きく、いずれも疎水性を示したことから基板上が修飾されたと考えられる。実施例8〜11と、比較例2とを比べると、比較例2のほうが接触角は大きいものの、後述するように、比較例2は有機半導体の塗布性が劣るものであった。また、XPSより、修飾後の基板においてF(フッ素)及びニトロ基由来のピ−クの出現が見られたことからも修飾できたことを示した(図9〜10)。また、石英ガラスにおいてUVから算出した表面密度は、実施例9については3.3×1014molecules/cmであり、実施例11については2.8×1014molecules/cmであった。
Figure 0006298989
≪修飾基板への光照射≫
その後、実施例8〜11について、得られた修飾基板の光分解性を調べるために、超高圧水銀灯で、320nm以下の波長の光を遮断する硫酸銅フィルタ−を通して、照度50mW/cmで光照射した。光照射した基板をメタノ−ル、クロロホルムで洗い流し、クロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
光分解は含フッ素化合物(3)は下記式(3)−1のように、含フッ素化合物(4)は下記式(4)−1のようになされ、光照射するとニトロベンジル基の光分解によりニトロソ化合物が脱離し、基板表面にカルボキシ基を導入できると思われる。
Figure 0006298989
Figure 0006298989
図7〜8に実施例8〜11の光照射時の水の静的接触角の経時変化を示す。水の静的接触角の変化より、照射時間に伴い接触角は減少し、最終的に50〜54°になったことから、光分解が進行したことが確認できた。
図7の上段のグラフは、実施例8の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図7の下段のグラフは、実施例9の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図8の上段のグラフは、実施例10の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図8の下段のグラフは、実施例11の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図7〜8に示すとおり、実施例8〜11は光照射前後で接触角差が大きかった。
また図9は実施例8、図10は実施例10の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示すものである。図9〜10に示すとおり、光照射後にはF(フッ素)及びニトロ基由来のピ−クが消失したことから光分解性基が光照射により脱離したことが確認できた。
実施例8について、光照射前後でXRR測定を行ったところ、光照射前は膜厚1.8nm(実測値、計算値は2.2nm)だったものが、光照射後には、膜厚0.80nm(実測値、計算値は0.8nm)に減少した。また実施例10について、光照射前後でXRR測定を行ったところ、光照射前は膜厚1.3nm(実測値、計算値は2.2nm)だったものが、光照射後には、膜厚0.85nm(実測値、計算値は0.8nm)に減少した。これらのことからも、光照射により光分解性基が脱離したことが確認できた。
≪有機薄膜トランジスタの作製≫
[基板の前処理]
電極付シリコンウェハを純水、メタノ−ル、アセトンで各5分間超音波洗浄した後、窒素気流で乾燥した。UV−オゾンクリ−ナ−にて、酸素を流量6L/minで3分間注入し、UVを1.5時間照射し、生じたオゾンを排出するため窒素を流量6L/minで10分間流した。
[使用した基板]
Au電極付シリコンウェハ
SiO膜厚:150nm
チャネル長:5、20、50μm
チャネル幅:500μm
[実施例12〜13:含フッ素化合物(3)〜(4)による表面修飾]
1000mLのセパラブルフラスコ(口内径φ120mm筒型)に含フッ素化合物(3)又は(4)のいずれかの1mMドライトルエン溶液を40mL入れ、酢酸を125μL(2.20mmol、50mM)加え、修飾面を上にして前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下室温で24時間浸漬した。基板を取り出し、メタノ−ルで洗浄後、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。得られた各基板の水の接触角を測定した。各基板の水の接触角を表5に示す。
なお、実施例12の水の接触角は82±1°であった。実施例12は接触角が大きく、疎水性を示したことから、図2に示すようにドレイン電極13とソ−ス電極14の間に自己組織化単分子層10aが形成されたことが確認できた。
なお、実施例13の水の接触角は83±1°であった。実施例13は接触角が大きく、疎水性を示したことから、図2に示すようにドレイン電極13とソ−ス電極14の間に自己組織化単分子層10aが形成されたことが確認できた。
[有機薄膜トランジスタの作製]
上記実施例12〜13の方法により表面修飾した金電極付シリコンウェハ基板、表面修飾を行わなかった金電極付シリコンウェハ基板(比較例5)(1枚にチャネル長:5、20、50μmで各4素子)を10°傾けた台にソ−ス電極側を低い位置に置き、前記化合物(20)の2wt%トルエン溶液を300μLドロップキャストし、自然乾燥させ、ソ−ス電極及びドレイン電極をつなぐように結晶薄膜を形成し、有機薄膜トランジスタを得た。図3に本発明の有機薄膜トランジスタの一例を示す。図3に示すように、疎水性の自己組織単分子層10aの領域に有機半導体11が塗布された有機薄膜トランジスタを形成した。
次いで、得られた有機薄膜トランジスタを105℃で30分間熱処理した。
その後、前記実施例5と同様の方法により、実施例12〜13の有機薄膜トランジスタについて、特性を評価した。その結果を表5に記載する。なお、表5中に前記実施例5及び比較例5の結果を併記する。
Figure 0006298989
本発明の含フッ素化合物を用いて自己組織化単分子層を形成した有機薄膜トランジスタでは、有機半導体トランジスタ特性及び、移動度の向上が確認された。
≪実施例14:含フッ素化合物(5)の合成≫
300mLのナスフラスコに、3,4−ジヒドロキシアセトフェノンを10.0g(65.7mmol,1.0eq.)、アセトンを100mL、炭酸カリウムを27.3g(197mmol,3.0eq.)入れ、室温で2時間撹拌した後、臭化ベンジルを23.4g(137mmol,2.1eq.)加え、7時間還流した。放冷後、精製水を200mL加えてクロロホルム(100mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、再結晶(酢酸エチル16mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第一結晶を得た。ろ液を濃縮、再結晶(酢酸エチル3mL)、吸引ろ過、真空乾燥し、第二結晶を得た。合わせて白色結晶(化合物(V1))、収量:18.7g(56.4mmol,86%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V1)(3,4−ビス(ベンジルオキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.51(3H,s),5.21(2H,s),5.24(2H,s),6.93(1H,d,J=8.4Hz),7.29−7.49(10H,m),7.53(1H,dd,J=8.4,2.1Hz),7.61(1H,d,J=2.1Hz).
IR(KBr):1670(C=O)cm−1
Figure 0006298989
次に、50mLのナスフラスコに、化合物(V1)を0.504g(1.52mmol,1.0eq.)、酢酸を5mL入れ、氷浴上で発煙硝酸を1mLゆっくり滴下し、0℃で3時間撹拌した。反応溶液を冷精製水50mLに注ぎ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して黄色固体(化合物(V2))、収量:0.350g(0.927mmol,61%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V2)(4,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.44(3H,s),5.24(4H,s),6.83(1H,s),7.32−7.47(10H,m),7.68(1H,s).
IR(KBr):1700(C=O),1525(NO),1328(NO)cm−1
Figure 0006298989
次に、50mLのナスフラスコに、化合物(V2)を1.05g(2.79mmol,1.0eq.)、トリフルオロ酢酸を10mL入れ、室温で44時間撹拌した。濃縮後、精製水を20mL加えて酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。粗生成物をクロロホルムで洗い、ろ過、真空乾燥して緑色固体(化合物(V3))、収量:0.332g(1.68mmol,60%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V3)(4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロアセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDOD):δ2.43(3H,s),6.77(1H,s),7.49(1H,s).
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(V3)を1.01g(5.12mmol,1.0eq.)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という。)乾燥溶媒を5mL、炭酸カリウムを0.861g(6.23mmol,1.2eq.)入れ、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを5.5mL(47.6mmol,9.3eq.)加えて100℃で30分撹拌した。放冷後、精製水を100mL加えて酢酸エチル(200mL×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して白色固体(化合物(V4))、収量:0.355g(1.03mmol,20%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V4)(1−(6,7,8,9−テトラフルオロ−3−ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−2−イル)エタノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.52(3H,s),7.01(1H,s),7.77(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ30.1,113.8,115.9,127.7(2C,dm,J=12Hz),136.0,136.9(2C,dm,J=250Hz),138.2(2C,dm,J=246Hz),140.5,142.0,144.2,197.4.
Anal. Calcd for C14NO:C,49.00;H,1.47;N,4.08. Found:C,49.23;H,1.19;N,3.98.
Figure 0006298989
次に、50mLのナスフラスコに、化合物(V4)を0.29g(0.85mmol,1.0eq.)、ドライTHFを5mL、メタノールを5mL入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウムを0.032g(0.85mmol,1.0eq.)ゆっくり加え、0℃で30分、室温で1時間撹拌した。濃縮後、精製水を40mLと1規定の塩酸を5mL加えてクロロホルム(40mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥して白色固体(化合物(V5))、収量:0.29g(0.85mmol,99%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V5)(1−(6,7,8,9−テトラフルオロ−3−ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−2−イル)エタノール)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.54(3H,d,J=6.4Hz),2.19(1H,d,J=3.8Hz),5.49(1H,qd,J=6.4,3.8Hz),7.51(1H,s),7.70(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ24.4,65.3,113.9,116.0,128.0(2C,dm,J=14Hz),136.8(2C,dm,J=253Hz),137.8(2C,dm,J=238Hz),138.7,140.7,143.1,144.0.
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(V5)を0.251g(0.73mmol,1.0eq.)、EDC・HClを0.210g(1.09mmol,1.5eq.)、DMAPを0.109g(0.89mmol,1.2eq.)、4−ペンテン酸を0.124g(1.24mmol,1.7eq.)、ドライTHFを10mL入れ、窒素雰囲気下、氷浴で30分間撹拌した後、室温で24時間撹拌した。1規定の塩酸を4mL加えてクロロホルム(30mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して黄色固体(化合物(V6))、収量:0.258g(0.60mmol,82%)を得た。
上記合成で得られた化合物(V6)(4−ペンテン酸1−(6,7,8,9−テトラフルオロ−3−ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−2−イル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.60(3H,d,J=6.5Hz),2.34−2.43(2H,m),2.44−2.50(2H,m),5.02(1H,dq,J=10,1.3Hz),5.06(1H,dq,J=17,1.6Hz),5.81(1H,ddt,J=17,10,6.3Hz),6.33(1H,q,J=6.5Hz),7.21(1H,s),7.71(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ21.8,28.7,33.5,67.7,114.1,115.4,115.9,128.0(2C,dm,J=15Hz),136.4,136.8(2C,dm,J=250Hz),137.5,137.9(2C,dm,J=247Hz),138.8,143.3,143.9,171.8.
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(V6)を0.104g(0.243mmol,1.0eq.)入れて1時間真空乾燥した後、ドライTHF1mLで溶解し、トリメトキシシランを0.300g(2.45mmol,10eq.)、カルステッド触媒をパスツールピペットで6滴加え、窒素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。濃縮後、中圧カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=5:1:0.07)で精製して白色固体(含フッ素化合物(5))、収量:0.064g(0.117mmol,48%)を得た。
上記合成で得られた含フッ素化合物(5)(5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(6,7,8,9−テトラフルオロ−3−ニトロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−2−イル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.62−0.68(2H,m),1.39−1.49(2H,m),1.60(3H,d,J=6.4Hz),1.66(2H,quint.,J=7.6Hz),2.32−2.38(2H,m),3.55(9H,s),6.32(1H,q,J=6.4Hz),7.21(1H,s),7.71(1H,s).
Figure 0006298989
≪実施例15:化合物(6)の合成≫
30mLの二口ナスフラスコに、3,4−ジヒドロキシアセトフェノンを0.50g(3.3mmol,1.0eq.)、ドライDMSOを3mL、炭酸カリウムを0.95g(6.9mmol,2.0eq.)入れ、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを3.9mL(34mmol,10eq.)加えて130℃で15時間撹拌した。放冷後、精製水を150mLと1規定の塩酸を20mL加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して白色固体(化合物(6))、収量:0.41g(1.4mmol,41%)を得た。
上記合成で得られた化合物(6)(1−(6,7,8,9−テトラフルオロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン−2−イル)エタノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.56(3H,s),7.05(1H,d,J=8.4Hz),7.59(1H,d,J=2.0Hz),7.64(1H,dd,J=8.4,2.0Hz).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ26.4,116.96,117.02,126.1,128.5(2C,dm,J=22Hz),134.7,136.8(2C,dm,J=249Hz),137.6(2C,dm,J=245Hz),140.0,143.6,195.4.
IR(KBr):1687(C=O)cm−1
Figure 0006298989
≪実施例16:含フッ素化合物(7)の合成≫
100mLの二口ナスフラスコに、3,4−ジヒドロキシアセトフェノンを2.91g(19.1mmol,1.0eq.)、炭酸カリウムを5.28g(38.2mmol,2.0eq.)、ドライアセトニトリルを30mL入れ、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した後、3−ブロモ−1−プロパノールを5.33g(38.3mmol,2.0eq.)加えて60℃で15時間撹拌した。放冷後、精製水を200mLと1規定の塩酸を35mL加えて酢酸エチル(150mL×4)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して白色固体(化合物(VII1))、収量:2.49g(9.29mmol,49%)を得た。
上記合成で得られた化合物(VII1)(3,4−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.09(2H,quint.,J=5.4Hz),2.10(2H,quint.,J=5.4Hz),2.56(3H,s),2.59(1H,t,J=5.8Hz),2.78(1H,t,J=5.8Hz),3.87(2H,q,J=5.5Hz),3.88(2H,q,J=5.5Hz),4.25(2H,t,J=5.7Hz),4.26(2H,t,J=5.7Hz),6.90(1H,d,J=8.4Hz),7.53(1H,d,J=2.0Hz),7.58(1H,dd,J=8.4,2.0Hz).
Anal. Calcd for C1420:C,62.67;H,7.51. Found:C,62.93;H,7.57.
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(VII1)を0.948g(3.53mmol,1.0eq.)、炭酸セシウムを2.32g(7.12mmol,2.0eq.)、ドライDMFを10mL入れ、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した後、ヘキサフルオロベンゼンを13.1g(70.5mmol,20eq.)加えて80−100℃で64時間撹拌した。放冷後、精製水を50mL加えて酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して白色固体(化合物(VII2))、収量:1.40g(2.33mmol,66%)を得た。
上記合成で得られた化合物(VII2)(3,4−ビス(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.27(2H,quint.,J=6.1Hz),2.30(2H,quint.,J=6.1Hz),2.56(3H,s),4.25(2H,t,J=6.1Hz),4.27(2H,t,J=6.1Hz),4.37(2H×2,t,J=6.1Hz),6.93(1H,d,J=8.4Hz),7.55(1H,d,J=2.0Hz),7.58(1H,dd,J=8.4Hz,2.0Hz).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ26.2,29.8,29.9,64.8,65.0,72.0(t,J=3.1Hz),72.2(t,J=2.9Hz),111.9,112.7,123.6,130.8,133.6(2C,m),137.4(2C,dm,J=255Hz),138.0(4C,dm,J=253Hz),141.8(4C,dm,J=249Hz),148.5,153.1,196.8.
Figure 0006298989
次に、50mLナスフラスコに、化合物(VII2)を0.515g(0.858mmol,1.0eq.)、酢酸を5mL入れて、−30℃下で発煙硝酸を5mLゆっくりと滴下した後、反応溶液を冷精製水50mLに注ぎ、酢酸エチル(10mL×4)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL×4)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、再結晶(酢酸エチル1mL,ヘキサン3mL)した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、再結晶と合わせて白色固体(化合物(VII3))、収量:0.412g(0.638mmol,75%)を得た。
上記合成で得られた化合物(VII3)(2−ニトロ−4,5−ビス(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)アセトフェノン)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ2.31(2H,quint.,J=6.0Hz),2.32(2H,quint.,J=6.0Hz),2.50(3H,s),4.31(2H×2,t,J=6.1Hz),4.35(2H,t,J=5.6Hz),4.36(2H,t,J=5.6Hz),6.80(1H,s),7.65(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):29.6,30.4(2C),65.4(2C),71.6(t,2.6Hz),71.7(t,2.6Hz),108.5,110.0,133.0,133.5(2C,t,J=13Hz),137.5(2C,dt,J=255,16Hz),138.0(4C,dt,J=255,16Hz),138.6,141.8(4C,dm,J=249Hz),149.1,153.6,200.0.
Figure 0006298989
次に、30mLのナスフラスコに、化合物(VII3)を0.250g(0.387mmol,1.0eq.)、THFを3mL、メタノールを3mL入れて、氷冷しながら水素化ホウ素ナトリウムを0.022g(0.582mmol,1.5eq.)ゆっくり加え、0℃から室温で30分撹拌した。濃縮後、精製水を10mLと2規定の塩酸を1mL加えてクロロホルム(10mL×3)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して黄色固体(化合物(VII4))、収量:0.211g(3.26mmol,84%)を得た。
上記合成で得られた化合物(VII4)(1−(2−ニトロ−4,5−ビス(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エタノール)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.56(3H,d,J=6.4Hz),2.24(1H,d,J=3.8Hz),2.29(2H,quint.,J=6.1Hz),2.31(2H,quint.,J=6.1Hz),4.26(2H,t,J=6.1 Hz),4.34(2H,t,J=6.1 Hz),4.36(2H,t,J=6.0Hz),4.37(2H,t,J=6.0Hz),5.56(1H,qd,J=6.4,3.8Hz),7.34(1H,s),7.61(1H,s).
Figure 0006298989
次に、100mLの二口ナスフラスコに、EDC・HClを0.047g(0.245mmol,1.6eq.)とドライTHFを1mL入れ、窒素雰囲気下、氷浴で20分間撹拌した後、化合物(VII4)を0.101g(0.156mmol,1.0eq.)、4−ペンテン酸を0.027g(0.270mmol,1.1eq.)、DMAPを0.021g(0.172mmol,1.1eq.)を含むドライTHF1mLの混合溶液を滴下し、窒素雰囲気下、氷浴で10分間撹拌後、室温で6時間撹拌した。濃縮後、精製水(10mL)と2規定の塩酸(1mL)を加えてクロロホルム(10mL×3)で抽出し、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL×3)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して黄色固体(化合物(VII5))、収量:0.093g(0.127mmol,81%)を得た。
上記合成で得られた化合物(VII5)(4−ペンテン酸1−(2−ニトロ−4,5−ビス(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.61(3H,d,J=6.4Hz),2.26−2.52(8H,m),4.24−4.35(4H,m),4.36(1H,t,J=6.1Hz),4.38(1H,t,J=6.1Hz),4.98(1H,dq,J=10,1.5Hz),5.03(1H,dq,J=17,1.6Hz),5.80(1H,ddq,J=17,10,6.2Hz),6.48(1H,q,J=6.4Hz),7.06(1H,s),7.61(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):22.1,28.8,29.6,29.7,33.7,65.1,65.2,68.3,71.8(t,3.1Hz),71.8(t,3.3Hz),109.5,109.7,115.6,133.5(2C,m),133.5,136.5,137.5(2C,dm,J=258Hz),138.0(4C,dm,J=252Hz),140.1,141.8(4C,dm,J=247Hz),147.4,153.2,171.7.
Figure 0006298989
次に、30mLの二口ナスフラスコに、化合物(VII5)を0.048g(0.0658mmol,1.0eq.)入れて1時間真空乾燥した後、ドライTHF0.5mLで溶解し、トリメトキシシランを0.082g(0.671mmol,10eq.)とカルステッド触媒をパスツールピペットで3滴加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。濃縮後、中圧カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=5:1:0.06)で精製して黄色粘体(含フッ素化合物(7))、収量:0.028g(0.0329mmol,50%)を得た。
上記合成で得られた含フッ素化合物(7)(5−トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロ−4,5−ビス(3−(ペンタフルオロフェニルオキシ)プロポキシ)フェニル)エチル)の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.60−0.66(2H,m),1.39−1.48(2H,m),1.61(3H,d,J=6.4Hz),1.66(2H,quint.,J=7.6Hz),2.25−2.41(6H,m),3.54(9H,s),4.23−4.33(4H,m),4.35(2H,t,J=6.0Hz),4.37(2H,t,J=6.0Hz),6.46(1H,q,J=6.4Hz),7.05(1H,s),7.61(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):8.94,22.1,22.3,28.1,29.6,29.6,34.1,50.5(3C),65.0,65.2,68.1,71.8(t,3.6Hz),71.8(t,3.3Hz),109.5,109.6,133.5(2C,m),133.6,137.4(2C,dm,J=252Hz),138.0(4C,dm,J=250Hz),140.1,141.8(4C,dm,J=248Hz),147.4,153.2,172.3.
Figure 0006298989
≪実施例17〜20:含フッ素化合物(5)及び(7)による基板の表面修飾≫
上記の合成方法によって得られた、含フッ素化合物(5)及び(7)を用いて基板の表面修飾を行った。
[前処理工程]
シリコンウェハ(3cm×1.5cm)、石英ガラス(4cm×1cm)について、UV−オゾンクリ−ナ−により前処理を行った。
シリコンウェハ、石英ガラスを純水、メタノ−ル、アセトンでそれぞれ5分間超音波洗浄した。基板を取り出し窒素気流で乾燥させ、UVオゾンクリ−ナ−で前処理した。UV−オゾンクリ−ナ−の酸素注入は流量6L/minで3分間注入し、UV照射は1.5時間とし、生じたオゾンは窒素を流量6L/minで10分間流して排出した。
シリコンウェハは鏡面にUVを1.5時間照射し、石英ガラスは1.5時間ずつ両面を前処理した。
[表面処理工程]
続いて、50mL太口ナスフラスコに含フッ素化合物(5)または(7)の1mMドライトルエン溶液20mL、酢酸57μL(0.997mmol,50mM)、前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下、室温で24時間浸漬した。基板をメタノ−ルで洗浄し、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
得られた基板表面の水の静的接触角を基板種類等と共に表6に記載する。また、表6中に、前記実施例3〜4、8〜11及び比較例1〜2の静的接触角と基板種類等を併記する。修飾剤に、含フッ素化合物(5)を用いた実施例17〜18及び含フッ素化合物(7)を用いた実施例19〜20は、比較例1に比べて接触角が大きく、いずれも疎水性を示したことから基板上が修飾されたと考えられる。実施例17〜20と、比較例2とを比べると、比較例2のほうが接触角は大きいものの、後述するように、比較例2は有機半導体の塗布性が劣るものであった。また、XPSより、修飾後の基板においてF(フッ素)及びニトロ基由来のピークの出現が見られたことからも修飾できたことを示した(図13〜14)。また、石英ガラスにおいてUVから算出した表面密度は、実施例18については4.3×1014molecules/cmであり、実施例20については2.7×1014molecules/cmであった。
Figure 0006298989
≪修飾基板への光照射≫
その後、実施例17〜20について、得られた修飾基板の光分解性を調べるために、超高圧水銀灯で、光学フィルターを通して365nmの波長の光を照度50mW/cmで光照射した。光照射した基板をメタノール、クロロホルムで洗い流し、クロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
光分解は含フッ素化合物(5)は下記式(5)−1のように、含フッ素化合物(7)は下記式(7)−1のようになされ、光照射するとニトロベンジル基の光分解によりニトロソ化合物が脱離し、基板表面にカルボキシ基を導入できると思われる。
Figure 0006298989
Figure 0006298989
図11〜12に実施例17〜20の光照射時の水の静的接触角の経時変化を示す。水の静的接触角の変化より、照射時間に伴い接触角は減少し、最終的に54〜59°になったことから、光分解が進行したことが確認できた。
図11の上段のグラフは、実施例17の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図11の下段のグラフは、実施例18の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図12の上段のグラフは、実施例19の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図12の下段のグラフは、実施例20の修飾基板について、光照射して水の静的接触角の経時変化を表すものである。
図11〜12に示すとおり、実施例17〜20は光照射前後で接触角差が大きかった。
また図13は実施例17、図14は実施例19の修飾基板について、光照射前後でのXPSスペクトル結果を示すものである。図13〜14に示すとおり、光照射後にはF(フッ素)及びニトロ基由来のピークが消失したことから光分解性基が光照射により脱離したことが確認できた。
実施例17について、光照射前後でXRR測定を行ったところ、光照射前は膜厚1.3nm(実測値、計算値は1.9nm)だったものが、光照射後には、膜厚0.76nm(実測値、計算値は0.8nm)に減少した。
このことからも、光照射により光分解性基が脱離したことが確認できた。
≪有機薄膜トランジスタの作製≫
[基板の前処理]
電極付シリコンウェハを純水、メタノ−ル、アセトンで各5分間超音波洗浄した後、窒素気流で乾燥した。UV−オゾンクリ−ナ−にて、酸素を流量6L/minで3分間注入し、UVを1.5時間照射し、生じたオゾンを排出するため窒素を流量6L/minで10分間流した。
[使用した基板]
Au電極付シリコンウェハ
SiO膜厚:150nm
チャネル長:5、20、50μm
チャネル幅:500μm
[実施例21〜22:含フッ素化合物(5)及び(7)による表面修飾]
1000mLのセパラブルフラスコ(口内径φ120mm筒型)に含フッ素化合物(5)又は(7)のいずれかの1mMドライトルエン溶液を40mL入れ、酢酸を125μL(2.20mmol、50mM)加え、修飾面を上にして前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下室温で24時間浸漬した。基板を取り出し、メタノ−ルで洗浄後、メタノ−ル、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。得られた各基板の水の接触角を測定した。各基板の水の接触角を表7に示す。
なお、実施例21の水の接触角は85±2°であり、実施例22の水の接触角は88±1°であった。実施例21〜22は接触角が大きく、疎水性を示したことから、図2に示すようにドレイン電極13とソ−ス電極14の間に自己組織化単分子層10aが形成されたことが確認できた。
[有機薄膜トランジスタの作製]
上記実施例21〜22の方法により表面修飾した金電極付シリコンウェハ基板、表面修飾を行わなかった金電極付シリコンウェハ基板(比較例5)(1枚にチャネル長:5、20、50μmで各4素子)を10°傾けた台にソ−ス電極側を低い位置に置き、前記化合物(20)の2wt%トルエン溶液を300μLドロップキャストし、自然乾燥させ、ソ−ス電極及びドレイン電極をつなぐように結晶薄膜を形成し、有機薄膜トランジスタを得た。図3に本発明の有機薄膜トランジスタの一例を示す。図3に示すように、疎水性の自己組織単分子層10aの領域に有機半導体11が塗布された有機薄膜トランジスタを形成した。
次いで、得られた有機薄膜トランジスタを105℃で30分間熱処理した。
その後、前記実施例5、12〜13と同様の方法により、実施例21〜22の有機薄膜トランジスタについて、特性を評価した。その結果を表7に記載する。なお、表7中に前記実施例5、12〜13及び比較例5の結果を併記する。
Figure 0006298989
本発明の含フッ素化合物を用いて自己組織化単分子層を形成した有機薄膜トランジスタでは、有機半導体トランジスタ特性及び、移動度の向上が確認された。
本発明の含フッ素化合物は、光分解性カップリング剤として有機薄膜トランジスタの作製に適している。
有機薄膜トランジスタまたは有機電界効果トランジスタは、有機半導体をチャネル層に用いた電子スイッチであり、実用化が期待されている。
有機薄膜トランジスタは、シリコンなどの無機半導体を用いた既存のトランジスタと比べて有機材料ならではの特徴を有する。例えば、有機材料は分子設計によって可溶化できるため、トランジスタ製造プロセスとして印刷プロセスが選択の一つとなる。印刷プロセスでは、シリコン系のような高温プロセスや大型装置を用いる真空プロセスも不要となり、低コストで大面積化が可能となる。
また、有機材料の大きな特徴であるフレキシビリティ−を生かし、軽量で耐衝撃性に優れた曲げられるトランジスタの作製としても期待されている。
以上説明した本発明の含フッ素化合物を用いれば、有機半導体トランジスタ特性及び、移動度を向上させることができると考えられる。
S…基板 CONT…制御部 Sa…被処理面 2…基板供給部 3…基板処理部 4…基板回収部 6…含フッ素化合物塗布部 7…露光部 8…マスク 9…パタ−ン材料塗布部 100…基板処理装置

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(1)中、
    Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
    n1〜n2は0又は1であり、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
    nは0以上の整数を表す。]
  2. 前記一般式(1)が下記一般式(1−1)である、請求項1に記載の含フッ素化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(1−1)中、
    Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
    nは0以上の整数を表す。]
  3. 請求項1又は2に記載の含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパタ−ン形成用基板。
  4. 請求項1又は2に記載の含フッ素化合物からなることを特徴とする光分解性カップリング剤。
  5. 対象物の被処理面にパタ−ンを形成するパタ−ン形成方法であって、
    請求項1又は2に記載の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、
    化学修飾された前記被処理面に所定パタ−ンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、
    前記親水領域又は撥水領域にパタ−ン形成材料を配置させる第3の工程と、
    を含むパタ−ン形成方法。
  6. 可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パタ−ンを形成する方法であって、
    前記基板の表面の全体、または特定の領域内を、請求項1又は2に記載の含フッ素化合物を用いて化学修飾する第1の工程と、
    前記化学修飾された前記基板の表面に、前記回路パタ−ンに対応した分布の光エネルギ−を照射することによって、前記基板の表面に、親撥水性の違いによる前記回路パタ−ンの潜像を生成させる第2の工程と、
    前記基板の表面の前記潜像の部分に流動性のパタ−ン形成材料を接触させ、前記親撥水性の違いによって前記パタ−ン形成材料を前記回路パタ−ンの形状で前記基板上に捕捉させる第3の工程と、
    を含むパタ−ン形成方法。
  7. 前記パタ−ン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料を含む請求項5〜6に記載のパタ−ン形成方法。
  8. 前記光は波長が200nm〜450nmの範囲に含まれる光を含む請求項5〜7のいずれか一項に記載のパタ−ン形成方法。
  9. 下記一般式(f)で表される化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(f)中、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
    n1〜n2は0又は1であり、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。
    mは0以上の整数を表す。]
  10. 下記一般式(e)で表される化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(e)中、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
    n1〜n2は0又は1であり、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
  11. 下記一般式(d)で表される化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(d)中、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
    n1〜n2は0又は1であり、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
  12. 下記一般式(c)で表される化合物。
    Figure 0006298989
    [一般式(c)中、
    は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
    f1、Yf2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、
    n1〜n2は0又は1であり、
    f1、Rf2はそれぞれ独立にパ−フルオロフェニル基又はアルキル基であって、互いに結合して2価のパ−フルオロフェニル基を形成していてもよい。
    但し、Rf1、Rf2が共にアルキル基である場合を除く。]
  13. ゲ−ト電極、ソ−ス電極、ドレイン電極、ゲ−ト絶縁膜、有機薄膜層、及び、有機半導体層を備え、
    前記、有機薄膜層は、請求項1又は2に記載の含フッ素化合物を用いて前記ゲ−ト絶縁膜上に形成されており、
    前記有機半導体層は、前記、有機薄膜層上に設けられたものであることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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