JP6298895B2 - 鉛蓄電池再生装置 - Google Patents

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Description

この発明は、鉛蓄電池再生装置に関し、詳しくは、鉛蓄電池の電極板表面に生じる結晶化硫酸鉛(以後サルフェーションという)を除去し、鉛蓄電池を充電可能な状態に再生して、充電する鉛蓄電池の鉛蓄電池再生装置に関する。
鉛蓄電池といえば、多くは自動車用であり、常時人が乗るため、使用不能状態のまま放置されることはまれであり、定期交換された鉛蓄電池は容易に再生でき、まだまだ使用可能である。しかし、最近、太陽光発電用パワーコンディショナーなどの用途に鉛蓄電池が多量に使用されるようになっている。そのような用途では、車載用と異なり、鉛蓄電池の機能低下が人身事故につながる危険が殆どないことや、電力系統の停電が少ないことなどから内蔵の鉛蓄電池が極度に劣化し使用不能の状態になっていても長期間そのまま放置された後に交換される場合が多い。
鉛蓄電池は放電したままの状態で長時間放置されると、電極板の表面に不導体の硫酸鉛が付着して結晶化する(サルフェーション現象と言われる)ことによって、充電機能を失ってゆく。サルフェーション(硫酸鉛)は、放電直後ではまだ柔らかい状態であるが、放置すると結晶化して固くなり、充電しても充電電流が流れ難くなる。そのような充電電流が流れ難くなった状態をサルフェーションにより劣化した状態という。また、鉛蓄電池は、放置される時間が長い程サルフェーションの厚さも増し、その除去には時間が掛かるようになる。
このようなサルフェーションを除去する方法として、パルス電圧を印加する方法、パルス電圧印加と充電を交互に行う方法、充電電圧にパルス電圧を重畳させる方法、電解液にカーボン系の薬剤を添加しサルフェーションの隙間にカーボンの粒子を存在させることで導電性を維持しつつ、導通不能による硫酸鉛の還元不能の状態を避ける方法などがある。
この硫酸鉛は、放電時に必ず生成されるもので、これを鉛や酸化鉛に戻すには放電電力以上の電力を必要とするので、例えば定格容量が100Ahの鉛蓄電池の場合、劣化していなくても10時間充電率の電流10Aでは充電に10時間以上掛かる。
鉛蓄電池がサルフェーションにより劣化している場合は、程度にもよるが内部抵抗が10Ω以上になると定格の倍近い20Vの電圧を掛けても1Aも流せなくなる。このような場合は、電極板の表面のほとんどがサルフェーションで覆われた状態である。こうなると、単に電流が流せないだけではなく、数Ahの充電だけで極板間電圧が鉛蓄電池の定格電圧を超えてしまい、それ以上充電できなくなる。
今後増えてくると思われる劣化した鉛蓄電池は、据え置き型の装置内に取り付けられたもので、自動車に搭載されたものより劣化度は高いと予想されるので、それに対応した再生方法が必要である。
従来の方法は、以下の特許文献1〜10に詳細に記載されている。
特許文献1(特許第3974644号)には、蓄電池充電に対してネガティブなパルス状の第一の電気エネルギー(8kHz〜16kHz)と、蓄電池充電に対して(1/4周期遅れで)ポジティブなパルス状の第二の電気エネルギーとを繰り返し与える硫酸鉛皮膜の除去方法が記載されている。
また、特許文献2(特許第3510795号)には、電流が1A〜8A、周波数が2kHz〜12kHzの電流パルスを印加してサルフェーションを除去し、同時に炭素コロイド粒子を電解液に混入させて反応を促進する方法が記載されている。
また、特許文献3(特許第4293587号)には、パルス電流と有機活性剤によるサルフェーション除去と充放電を二回繰り返して(特に充電には1回5時間以上掛ける)電極を傷めずにサルフェーションを除去する方法が記載されている。
また、特許文献4(特許第4427089号)には、蓄電池にパルス電流を通電して蓄電池を再生する蓄電池再生方法において、蓄電池の温度や電圧が一定になるようパルス数を制御しながら印加する方法が記載されている。
また、特許文献5(特許第4565362号)には、硫酸鉛絶縁体結晶皮膜の除去を硫酸鉛誘電緩和損失ピーク周波数10MHz(1MHz〜100MHz)で硫酸鉛を選択的に誘電緩和損加熱し、不良導体化した結晶を微細分解し、充電電流により正極を酸化鉛に、負極を鉛に酸化還元する装置が記載されている。
また、特許文献6(特許第4608581号)には、濃度が0.5重量%〜1.0重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む水溶液を注入し、電圧の異なるトリガ信号を組み合せた信号電圧により生成された周波数5kHz〜12kHzの再生電流を正極体から負極体に流して、電解液を50℃〜60℃の温度状態に維持するように加熱する方法が記載されている。
また、特許文献7(特許第4749095号)には、充電器にサルフェーション除去パルス発生機能を搭載し充電しつつサルフェーション除去を行うことで、バッテリーを取り外したり取り付けたりする手間を省く方法が記載されており、さらに、パルス電流は2kHz〜10kHz、定格電流の1〜2倍、パルス幅デューティ20%〜35%充電電流定格の1/4〜3/4、変動1/10〜1/8、5〜10分間毎に休止期間を設けることが記載されている。
また、特許文献8(特許第5248201号)には、鉛蓄電池にコイルとコンデンサーの直列共振回路を並列接続するだけで、自動車の発電機が出す電源ノイズを振幅増幅して鉛蓄電池にパルスとして印加してサルフェーションを除去する方法が記載されている。
特許文献9(特許第5297535号)には、サイリスタの位相制御を行って容易かつ安価に1μsec相当のパルスを得る方法とそれを用いた蓄電池再生装置が記載されている。
特許文献10(特許第5327650号)には、充電電流にサルフェーション除去電流パルスを重畳させる方式において、電極の劣化をさけるため充電が進むにつれてパルス数を低減させる方式が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1〜4は、数十Vから高々100V程度の電圧パルスを電極間に印加してサルフェーション除去を行うものであるが、比較的劣化度の高い鉛蓄電池の場合は、この程度の電圧ではサルフェーション部分が厚いためにパルス電流が十分流れず、サルフェーション除去には数週間掛かってしまう場合が有った。そのため、劣化の進んだ鉛蓄電池の再生には適切ではなく、したがって劣化の進んだ鉛蓄電池は廃棄処分となっていた。
上記特許文献5は、高周波の表皮効果でサルフェーションを表面から加熱溶解するものであが、サルフェーションの表層部の溶解ができても深層部が固く結晶化したままでは直流の充電電流が流せず、硫酸鉛から鉛や酸化鉛への還元ができないので、溶解したサルフェーションが再度硬化して結晶化する。したがって、固く硬化した深層部のサルフェーション層に充電電流を通電する工夫が必要である。
上記特許文献6は、増粘材として食品添加物にも使用されているカルボキシメチルセルロースを用いて硫酸鉛の硬化を防ぐ方法が記載されているが、これはサルフェーションが形成される前に添加しておくことが必要であり、サルフェーションが形成されてしまった劣化した鉛蓄電池には適用できない方法である。
また、上記特許文献6において、「充放電を繰り返していくと、電極体の表面に硫酸鉛が析出して蓄積されるようになり、電極体が硫酸鉛により電気的な導通が阻害されるようになる。」との表現が有るがこれは誤りである。そもそも電極体は粉末の鉛や酸化鉛を硫酸で練ったものであり、放電すればその電気量に応じて電極体が電解液中の硫酸を取り込んで、そのままの形状で硫酸鉛に変化してゆき、充電すれば硫酸を放出してそのままの形状で鉛や酸化鉛に戻る。充放電を繰り返していくことで電極体に硫酸鉛が析出するのではなく、放電すれば電極体そのものが放電した電気量に応じて硫酸鉛に変化していくのである。基本的に、硫酸鉛は電解液中には僅かしか溶けず、また、溶けた硫酸鉛は元の電極に戻ってその形を復元できるものではない。硫酸鉛そのものは不導体であるが、微粒子の形状で周囲に硫酸が存在すれば充放電の反応は可能である。経時変化によって硫酸鉛の粒子同士が硫酸イオンを排除して結合し結晶化するため、充放電の反応ができなくなるのである。
また、上記特許文献7および特許文献8は、サルフェーション除去方法を主題としたものではなく、充電器にサルフェーション除去機能を設けるといった応用形態における発明である。
また、上記特許文献9は、パルスの発生方法の発明であり、サルフェーション除去方法の補足的な発明である。
また、上記特許文献10は、サルフェーション除去パルスの印加方法における工夫を示したものである。
しかし、これらの方法は、長時間使用され劣化度のより高くなったサルフェーションの除去に数日の時間を要し、業として鉛蓄電池の再生を行うには非効率であり不適切であった。
特許第3974644号 特許第3510795号 特許第4293587号 特許第4427089号 特許第4565362号 特許第4608581号 特許第4749095号 特許第5248201号 特許第5297535号 特許第5327650号
劣化の進んだ鉛蓄電池においては、電極板が厚いサルフェーション層に覆われており、充電しようとしても充電電流が流れず、また低電圧パルスを印加しても定格の充電電流が流せるまでには何日も掛かってしまう場合がある。
このような状態になるのを避けるため、電解液にカーボン系の薬剤を添加し、サルフェーションの隙間にカーボンの粒子を存在させることで導電性を維持し、以て導通不能による硫酸鉛から鉛や酸化鉛への還元不能の状態を避ける方法があるが、これは事前に薬剤を添加しておくことが必要であり、劣化してしまった鉛蓄電池には適用できない。
そこで、本発明の課題は、サルフェーションによる劣化が進んだ鉛蓄電池でも短時間で再生が可能な鉛蓄電池再生装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の鉛蓄電池再生装置は、
劣化した鉛蓄電池の電極間に印加する充電電圧を発生する充電電圧発生部と、
上記充電電圧発生部の上記充電電圧に重畳して上記鉛蓄電池の電極間に印加する高周波電圧または低電圧パルスを発生する誘導加熱電圧発生部と、
上記鉛蓄電池の電極間に印加する高電圧インパルスを発生する高電圧インパルス発生部と、
上記充電電圧発生部と上記誘導加熱電圧発生部と上記高電圧インパルス発生部を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、
上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加することにより、上記鉛蓄電池の電極板上に生じたサルフェーションの表面を誘導加熱により溶解する第1動作モードと、上記高電圧インパルス発生部からの上記高電圧インパルスを上記鉛蓄電池の電極間に印加することにより、上記サルフェーションの深部を部分的に絶縁破壊して充電電流を導通可能にする第2動作モードとを、上記鉛蓄電池の内部抵抗に基づいて切り換える動作モード制御部を有することを特徴とする。
本発明者は、サルフェーションによって劣化した鉛蓄電池の再生には、サルフェーション層の溶解と充電による電極板の再生のプロセスが重要であるとの認識に加え、それらを同時に進行させることが必要条件であると考えた。
すなわち、高周波電圧(または低電圧パルス)の印加時のサルフェーション層の溶解は、電解液に接した表面から徐々に進んでゆくが、電極板はまだ溶解していない深部の硫酸鉛の結晶で覆われていて直流の充電電流が流せない状態である。そのため、表層のサルフェーション層の溶解が進んでも、それらは鉛や酸化鉛に還元されず、放置すれば再び硬化・結晶化して元のサルフェーション層に戻ってしまう。
そこで、本発明者は、高電圧インパルスを印加することにより、サルフェーション層を部分的に深部から絶縁破壊させて充電電流の導通路を確保した後、高周波電圧(または低電圧パルス)を印加してサルフェーション層を表層から誘導加熱により溶解し、同時に充電して硫酸鉛を鉛に還元して行く方法がより短時間で鉛蓄電池を再生させる方法であることに気付いた。
一般に高電圧インパルスを印加すると、電極板を傷めたり硫酸鉛層が剥落し、蓄電池ケースの下部に積層したりして電極板そのものの劣化が進むといわれているが、充電電流の導通を確保するための必要最低限度の高電圧インパルスは電極板ではなく非導通状態となっているサルフェーション層に印加されるので、電極板そのものの劣化を招くことは少ない。
前述の引用文献5には、「電気機械的衝撃波による硫酸鉛微結晶の破壊除去法は電極表面が硫酸鉛でまだらに絶縁されている状況下において、絶縁面である硫酸鉛結晶面に電界は集中せず、硫酸鉛絶縁体で覆われていない流れやすい伝導電極面に電流が集中するので、電気機械的衝撃波の破壊は起き難いと考えられる」と記載されている。しかしながら、電解液中で電気を運ぶのは主にイオンである。金属中の自由電子のようなものは透明な液体中には少なく、またイオン流は高周波や急激に変化するインパルス電流に追随できないので結局高電圧電界は発生したまま短時間では中和されることなく酸化物の絶縁破壊を起こし得る。これは、真空アークによる金属表面の酸化物の除去方法などのように、アーク放電が酸化物の残っている部分に集中して酸化物を除去してしまうプロセスと同じである。
この発明の主眼点は、高周波電圧(または低電圧パルス)の印加によって軟化させたサルフェーションを直流の充電電流で鉛や酸化鉛に還元する過程において、直流電流が流れる道を作るために結晶化したままの深層部のサルフェーションに対して高電圧インパルスを印加して部分的に絶縁破壊を生じさせ、サルフェーションを破砕して電解液を浸透させて、直流の電気伝導路を確保したところにある。
この高電圧インパルス印加の過程は、サルフェーション層の表面を高周波などで誘導加熱により溶解させる前に実施しても構わない。
なお、サルフェーション層の溶解そのものは、既存の方法でも十分に可能であり、高周波電圧に代えて数十V程度の低電圧パルスを印加する方法を用いても良い。
従来の方法ではサルフェーション層の深部に至るまで溶解しなければ直流の充電電流は流せず、再生に時間が掛かっていたが、この発明の鉛蓄電池再生装置によって、溶解した表層から順次鉛や酸化鉛への還元反応を起こせるので再生にかかる時間が節約できる。
これによって、従来再生を諦めていた高度に劣化した鉛蓄電池でも短時間で再生することが可能となる。
また、一実施形態の鉛蓄電池再生装置では、
上記誘導加熱電圧発生部は、ピーク瞬時電圧値が数十Vでかつ周波数が数MHzの上記高周波電圧を発生するか、または、ピーク瞬時電圧値が数十Vでかつパルス幅が数百nsec〜数百μsecであって繰り返し周波数が数kHz〜数十kHz程度である上記低電圧パルスを発生し、
上記高電圧インパルス発生部のインパルス波形は、波頭長が数μsec以下でかつ波尾長が0.1msec〜1.0msecでかつピーク瞬時電圧値が1kV以上のインパルス波形である。
上記実施形態によれば、誘導加熱電圧発生部からピーク瞬時電圧値を数十Vとしかつ周波数を数MHzの高周波電圧を発生することにより、鉛蓄電池の電極板上のサルフェーションの表層部の溶解を効率よく行うことができる。あるいは、誘導加熱電圧発生部からピーク瞬時電圧値が数十Vでかつパルス幅が数百nsec〜数百μsecであって繰り返し周波数が数kHz〜数十kHz程度の低電圧パルスを発生することにより、鉛蓄電池の電極板上のサルフェーションの表層部の溶解を効率よく行うことができる。また、高電圧インパルス発生部のインパルス波形のピーク瞬時電圧値が1kV以上としかつ波頭長を数μsec以下かつ波尾長を0.1msec〜1.0msecとすることにより、サルフェーションの深層部に対して効果的に絶縁破壊を生じさせることができる。
また、一実施形態の鉛蓄電池再生装置では、
上記蓄電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定部を備え、
上記制御装置は、
上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗が予め設定された内部抵抗良否判定閾値以上か否かを判定する内部抵抗判定部を有し、
上記内部抵抗判定部が上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗を上記内部抵抗良否判定閾値以上であると判定したとき、上記動作モード制御部により上記第2動作モードに切り換えて、上記高電圧インパルス発生部からの上記高電圧インパルスを上記鉛蓄電池の電極間に印加する一方、
上記内部抵抗判定部が上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗を上記内部抵抗良否判定閾値未満であると判定したとき、上記動作モード制御部により上記第1動作モードに切り換えて、上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加する。
上記実施形態によれば、高電圧インパルスの印加を必要最低限度にするために、鉛蓄電池の内部抵抗判定部によって鉛蓄電池の内部抵抗を測定し、内部抵抗が別途設定する内部抵抗良否判定閾値(概ね数十mΩ)未満の場合は、高電圧インパルスの印加は不要と判断し、高周波電圧(または低電圧パルス)のみによるサルフェーション除去を行っている。なお、高電圧インパルスの電圧を鉛蓄電池の内部抵抗に応じた電圧に設定してもよい。
また、一実施形態の鉛蓄電池再生装置では、
上記蓄電池の端子間電圧を測定する端子間電圧測定部と、
上記充電電圧発生部の上記充電電圧が印加された上記蓄電池の電極間に流れる充電電流を測定する充電電流測定部と
を備え、
上記制御装置は、
上記充電電流測定部により測定された上記充電電流を積算する充電電流積算部と、
上記蓄電池の電極間に上記充電電圧発生部の上記充電電圧が印加される上記第1動作モード時において、予め決められた休止期間で上記充電電圧の印加を止めて、上記蓄電池の電極間に軽負荷を接続した状態で上記端子間電圧測定部により上記端子間電圧を測定し、上記休止期間における上記端子間電圧の低下曲線に基づいて、上記蓄電池の出力安定時の直流電圧を推定する出力安定時電圧推定部と、
上記出力安定時電圧推定部により推定された上記蓄電池の出力安定時の直流電圧に基づいて、第1充電率Qaを推定する第1充電率推定部と、
上記充電電流積算部により積算された充電電流積算値に基づいて、第2充電率Qbを推定する第2充電率推定部と、
上記第1充電率推定部で推定された上記第1充電率Qaに対する上記第2充電率推定部で推定された上記第2充電率Qbの比k(=Qb/Qa)が予め設定された充電率比判定値(≦1)以下であるか否かを判定する充電率比判定部と、
上記第1動作モードにおいて、上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に一定時間印加した後、上記充電率比判定部が上記第1充電率に対する上記第2充電率の比が上記充電率比判定値以下であると判定すると、再び上記第1動作モードで上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加する。
鉛蓄電池再生装置には、再生した鉛蓄電池が十分その機能を果たし得るかチェックする機能が必要となる。
上記実施形態によれば、充電休止期間中に測定した電圧から推定した第1充電率Qaと、充電時に入力した充電電流を積算し、その充電電流積算値から推定される第2充電率Qbとを比較し、k=Qb/Qaと置いた場合に、k<充電率比判定値(例えば0.8)ならば十分充電できていない(充電率8割以下)にも拘らず端子間電圧が上がってしまっていると判断し、サルフェーション除去が不十分と判断してそのプロセスを再度繰り返すものとしている。
この発明の鉛蓄電池再生装置によれば、サルフェーションによる劣化が進みこれまでは廃棄処分となっていた鉛蓄電池でも短時間で再生することが可能になる。そのため、パワーコンディショナー等に内蔵され、劣化していてもそのまま放置される可能性の高い鉛蓄電池でも、廃棄処分せずに再生して
使用可能状態に復旧させることができる。
従来の低電圧パルス印加のみによってサルフェーションを除去する方法も全く使用不可能ではないが、高度に劣化した鉛蓄電池では低電圧パルスによってサルフェーションが溶解できても直流の充電電流が定格充電電流の1/10や1/100しか流せなくなっていると、通常の充電時間の10倍から100倍の時間経過しても硫酸鉛から鉛や酸化鉛への還元ができず充電が完了しないので、従来は再生不可能として廃棄されていた。
廃棄された鉛蓄電池は、通常捨てられずにリサイクルされる。ここでいう廃棄とは材料ベースでリサイクルされるという意味であり、鉛蓄電池を分解し材料別に仕分けて溶解し、元の材料にリサイクルするにはかなりの人件費やエネルギーを要する。この発明の鉛蓄電池再生装置では、そのような鉛蓄電池でも分解せずに再生させて再利用できるので、多大な人件費やエネルギーの節約が可能となる。
図1Aはこの発明の鉛蓄電池再生装置の構成を示すシステムブロック図である。 図1Bは上記鉛蓄電池再生装置の制御装置のブロック図である。 図2は上記鉛蓄電池再生装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図3は図2に続くフローチャートである。 図4は使用不能となった鉛蓄電池において、高電圧インパルスを印加する前後の電圧と内部抵抗の測定値を示す表である。 図5は未だ使用可能な鉛蓄電池も含めた高電圧インパルス処理前後および満充電後の電圧と内部抵抗およびCCA値の測定値を示す表である。 図6は上記鉛蓄電池再生装置で鉛蓄電池を再生している状態を示す図である。 図7は他の例の鉛蓄電池再生装置の外観図である。
以下、この発明の鉛蓄電池再生装置1を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1Aはこの発明の鉛蓄電池再生装置1の構成を示すシステムブロック図である。この鉛蓄電池再生装置1は、高電圧インパルス発生部11と、誘導加熱電圧発生部の一例としての高周波電圧発生部12と、充電電圧発生部の一例としての充電部13と、充電電流測定部14と、端子間電圧測定部の一例としての鉛蓄電池電圧測定部15と、内部抵抗測定部の一例としての内部インピーダンス測定部16と、直流成分カットフィルタ部17と、放電試験回路部18と、放電電流測定部19と、制御装置20と、インターフェース部21と、表示部22と、操作部23と、切換部24とを備えている。
上記直流成分カットフィルタ部17は、内部インピーダンス測定部16と鉛蓄電池BTとの間にあって、内部インピーダンス測定部16に入力される鉛蓄電池BTの端子間電圧である直流成分をカットする。
また、切換部24は、6つのスイッチ部SW1〜SW6(2回路2接点)を有している。スイッチ部SW1は、高電圧インパルス発生部11の出力端子と鉛蓄電池BTの端子(正極端子,負極端子)とを接続する。また、スイッチ部SW2は、高周波電圧発生部12の出力端子と鉛蓄電池BTの端子とを接続する。また、スイッチ部SW3は、充電部13の出力端子と鉛蓄電池BTの端子とを接続する。また、スイッチ部SW4は、鉛蓄電池電圧測定部15の測定端子と鉛蓄電池BTの端子とを接続する。また、スイッチ部SW5は、内部インピーダンス測定部16の測定端子と鉛蓄電池BTの端子とを直流成分カットフィルタ部17を介して接続する。さらに、スイッチ部SW6は、放電試験回路部18の端子と鉛蓄電池BTの端子とを接続する。
また、制御装置20は、マイクロコンピュータおよび入出力回路などからなり、インターフェース部21を介して、鉛蓄電池電圧測定部15と内部インピーダンス測定部16および放電電流測定部19からの各信号が入力されると共に、操作部23からの操作信号が入力される。また、制御装置20は、高電圧インパルス発生部11と高周波電圧発生部12と充電部13と表示部22および切換部24を制御する。
図1Bは上記鉛蓄電池再生装置1の制御装置20のブロック図を示しており、制御装置20は、動作モード制御部20aと、内部抵抗判定部20bと、充電電流積算部20cと、出力安定時電圧推定部20dと、第1充電率推定部20eと、第2充電率推定部20fと、充電率比判定部20gを有する。
次に、図2,図3に示すフローチャートに従って鉛蓄電池再生装置1の動作を説明する。
この鉛蓄電池再生装置1によって鉛蓄電池BTを再生する場合は、まず鉛蓄電池BTを稼働状態のシステムから取り外し、各セルのシール、もしくはキャップを外して内部のガスを排出し、また電解液の量をチェックして液面が適正範囲に入るように電解液を補充することが必要である。
次に、鉛蓄電池再生装置1の電源を投入してスタンバイさせ、切換部24のスイッチ部SW1〜SW6全てをオフ状態にしてから鉛蓄電池BTを接続する。次に、操作部23から再生開始指令を制御装置20に送り、図2,図3に示す再生プロセスを開始する。この操作部23はタッチパネル方式にして表示部22と一緒にしても良い。
まず、図2に示すステップS1で、内部インピーダンス測定部16により鉛蓄電池BTの内部抵抗Rの測定を行う。
次に、ステップS2に進み、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX1(概ね数十mΩ)以上であると判定すると、ステップS3に進む一方、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX1(概ね数十mΩ)未満であると判定すると、ステップS8に進む。
そして、ステップS3では、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX2(概ね数Ω)以上であると判定すると、ステップS4に進む一方、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX2(概ね数Ω)未満であると判定すると、図3に示すステップS11に進む。ここで、X2は、予め設定された内部抵抗良否判定閾値の一例である。
次に、ステップS4では、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX3(概ね数十Ω)以上であると判定すると、ステップS7に進む一方、内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX3(概ね数十Ω)未満であると判定すると、ステップS5に進む。
次に、ステップS5でインパルス印加回数が制限回数以上であると判定すると、ステップS7に進み、再生不能と判断して、この処理を終了する。
一方、ステップS5でインパルス印加回数が制限回数未満であると判定すると、ステップS6に進む。ここで、インパルス印加回数は、この処理のスタート時にゼロとし、ステップS6を行う毎にインクリメントされる。
そして、ステップS6では、高電圧インパルスを印加して、ステップS1に戻る。この高電圧インパルスを印加時に、制御装置20の動作モード制御部20aは、切換部24を制御して第2動作モードに切り換える。
また、図3に示すステップS11では、高周波電圧によるサルフェーション除去と通常充電を一定時間並行して行う。ここで、制御装置20の動作モード制御部20aは、切換部24を制御して第1動作モードに切り換える。
次に、ステップS12でタイムオーバーであると判定すると、ステップS15に進み、再生不能と判断して、この処理を終了する。ここで、タイムオーバーであるか否かは、ステップS1の開始から所定時間経過したか否かによって判定する。
一方、ステップS12でタイムオーバーでないと判定すると、ステップS13に進み、充電可能容量の推定を行う。
次に、ステップS14に進み、充電継続可能と判定すると、ステップS11に戻り、ステップS11〜S14を繰り返す。一方、ステップS14で充電継続可能でないと判定すると、図2に示すステップS5に戻る
また、ステップS8では、満充電であるか否かを判定し、満充電であるときはこの処理を終了する一方、満充電でないときはステップS9に進む。ここで、鉛蓄電池BTの端子間電圧が満充電に相当する電圧以上になったときに満充電であると判定する。
そして、ステップS9で、切換部24のスイッチ部SW3,SW4のみをオン状態にして、通常の充電を行って、ステップS10に進み、充電が完了したか否かを判定する。ここで、鉛蓄電池BTの端子間電圧が満充電に相当する電圧以上になったときに充電が完了したと判定する。
ステップS10で充電が完了したと判定すると、この処理を終了する一方、充電が完了していないと判定すると、ステップS9に戻り、充電が完了するまでステップS9,S10を繰り返す。
さらに、図2,図3に示すフローチャートの各ステップにおける詳細について以下に説明する。
操作部23を操作して鉛蓄電池BTの再生プロセスが開始されると、まず図2に示すステップS1において、鉛蓄電池BTの内部抵抗Rの測定を行う。詳しくは、制御装置20によって、切換部24のスイッチ部SW5をオン状態にして、内部インピーダンス測定部16の測定端子と鉛蓄電池BTの端子とを直流成分カットフィルタ部17を介して接続し、内部インピーダンス測定部16が鉛蓄電池BTの内部抵抗Rを測定する。この鉛蓄電池BTの内部抵抗Rの測定後、制御装置20は、切換部24のスイッチ部SW5をオフ状態にする。
この鉛蓄電池BTの内部抵抗Rは、次の(1)〜(3)の三段階の閾値によって判定されて、その後の処理が分けられる。
(1) ステップS2において、制御装置20の内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX1(概ね数十mΩ)未満であると判定すると、制御装置20は、鉛蓄電池BTが劣化していないものと判断し、制御装置20は、切換部24のスイッチ部SW3をオン状態にすることにより、充電部13の出力端子と鉛蓄電池BTの端子とが接続されて、通常の充電が行われる(ステップS8,S9,S10)。
(2) ステップS2,S3において、制御装置20の内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX1(概ね数十mΩ)以上でかつX2(概ね数Ω)未満であると判定すると、高周波電圧発生部12からの高周波電圧の印加のみで再生可能と判断し、制御装置20の動作モード制御部20aは、切換部24のスイッチ部SW2,SW3をオン状態にして第1動作モードに切り換え、高周波電圧発生部12,充電部13と鉛蓄電池BTの端子を接続する。そうして、高周波電圧発生部12からの高周波電圧によるサルフェーション除去(溶解)と充電部13からの充電電圧による充電が行われる(ステップS11)。
(3) ステップS3において、制御装置20の内部抵抗判定部20bにより内部抵抗RがX2(概ね数Ω)以上でかつX3(概ね数十Ω)未満であると判定すると、高電圧インパルスの印加が必要と判断され、制御装置20の動作モード制御部20aは、切換部24のスイッチ部SW1のみをオン状態にして第2動作モードに切り換え、高電圧インパルス発生部11の出力端子と鉛蓄電池BTの端子(正極端子,負極端子)を接続する。そうして、高電圧インパルス発生部11からの高電圧インパルスによる深部サルフェーションの破砕による充電経路の確保が行われる(ステップS6)。そして、再度、鉛蓄電池BTの内部抵抗Rの測定を行う(ステップS1)。
特に、上記(2)では、サルフェーションの除去がどの程度進んだかを判断するために、図3に示すステップS13で鉛蓄電池BTの充電可能容量の推定を行う。
詳しくは、充電の合間に数分間の休止期間(ステップS13)を設けて、切換部24のスイッチ部SW2,SW3をオフ状態にし、スイッチ部SW4,SW6をオン状態にすることにより放電試験回路部18の軽負荷を接続し、その休止期間において鉛蓄電池電圧測定部15により鉛蓄電池BTの端子間電圧を測定する。そして、ステップS13で、休止期間に測定された鉛蓄電池BTの端子間電圧の低下曲線から出力安定時電圧推定部20dにより出力安定時の直流電圧を推定し、その推定された出力安定時の直流電圧に基づいて、第1充電率推定部20eにより第1充電率Qaを推測する。
また、ステップS11において高周波電圧によるサルフェーション除去(溶解)と充電部13からの充電電圧による充電が同時に行われているときに、制御装置20は、充電電流測定部14により測定された充電電流を充電電流積算部20cにより積算して、充電電流積算値を算出する。この充電電流積算値に基づいて、第2充電率推定部20fにより第2充電率Qbを推定する。
また、第1充電率推定部20eにより推定された第1充電率Qaと第2充電率推定部20fにより推定された第2充電率Qbとを充電率比判定部20gにより比較する。
また、上記(2)のサルフェーション除去過程においては、高周波電圧の代わりに、ピーク瞬時電圧値が数十Vでかつパルス幅が数百nsec〜数百μsecであって繰り返し周波数が数kHz〜数十kHz程度の低電圧パルスを用いても良い。
鉛蓄電池BTが正常な場合、充電率と端子間電圧の関係式は公知の事実であって周囲温度tの関数として次の(式1)のような形で表現される。
充電率=(1セル当たりの電圧−1.94+0.0007×(t−20))×5.55×100[%] ……… (式1)
一方、鉛蓄電池BTの充電効率は約90%未満であるので、例えば容量100Ahの鉛蓄電池BTの場合110Ah程度以上充電しなければ満充電にならない。しかるに、鉛蓄電池BTがサルフェーションによって劣化している場合、電極板の有効面積が減るので充電可能容量が低下して、これよりも少ない充電量で極板間電圧が上昇して満充電状態となり、それ以上は充電できなくなる。したがって、出力安定時の直流電圧から求めた第1充電率Qaと、充電電流積算値に充電効率を掛けて得られる第2充電率Qbとを比較することによって、鉛蓄電池BTの容量が復活したか否かを知ることができるのである。
ここで、第1充電率Qaに対する第2充電率Qbの比k(=Qb/Qa)が1であるのが理想的であるが、この比k(=Qb/Qa)が1以上であるときは、相当充電しているにも関わらず端子間電圧が上がらないことを示している。
一方、第1充電率Qaに対する第2充電率Qbの比をk(=Qb/Qa)とおいて、例えばk<0.8の場合は、このまま充電を続けても定格容量の80%以下で満充電時の電圧に到達してしまい、十分充電できないものと判断できる(図3のステップS14の“NO”)。これは、例えばサルフェーションが電極の一部を覆っていて、鉛蓄電池としての機能が部分的にしか生きていないことを示している。ここで、「0.8」は、充電率比判定値(≦1)の一例である。
そのような場合は、高周波電圧の印加機能によるサルフェーション除去を再度実施する。
ところで、ここでいう「出力安定時の直流電圧」とは、鉛蓄電池BTの放電状態における電圧安定領域での電圧値のことであり、鉛蓄電池BTの充電直後の出力電圧ではない。充電時は充電電圧近くまで電圧が上昇しており、充電後一時間程度放置するかまたは軽い負荷を接続して一定時間放置した後に鉛蓄電池BTの電極間の電圧を測定する必要がある。
再生処理をより短時間で済ませるためには、電圧測定のために1時間も放置することはできない。そこで、この実施の形態では、充電の合間に数分間の休止期間を設け、軽負荷を接続してその間の電圧の低下曲線から出力安定時電圧推定部20dにより出力安定時の直流電圧を推定し、その出力安定時の直流電圧をその時点での鉛蓄電池BTの電圧として、上記(式1)から第1充電率Qaを算出し、充電電流積算値から求めた第2充電率Qbと比較することによって、鉛蓄電池BTのその時点での容量を推定する。
これらのプロセスによって充電可能容量の回復が判明し、内部抵抗RもX1(概ね数十mΩ)未満となればサルフェーション除去は完了したものと判断して、最終の充電処理を行った後、再生処理を終了する。
図4は使用不能となった鉛蓄電池の試料No.1〜No.20において、高電圧インパルスを印加する前後の電圧[V]と内部抵抗[mΩ]の測定値を記録したものである。このデータは、内部抵抗の高低に関わらず高電圧インパルスを印加して内部抵抗Rの変化を観測したものである。
図4において、試料No.1,2,9,12,13,14の鉛蓄電池は、高電圧パルス印加によって内部抵抗が低下している。一方、11.5V程度以下のものは充電率0%とみなせるものである。高電圧インパルスを印加しただけでは電圧は回復しないが内部抵抗は下がったものが多く、それらは充電可能となっており、満充電すれば半数は電圧も回復する。しかしながら、電極間に鉛の針状結晶が析出するなどして内部短絡状態になったものは、回復の見込みがなく使用不可能であることが解る。
また、図5は未だ使用可能な鉛蓄電池も含めた高電圧インパルス処理前後(図5の「事前計測」と「試験充電後の計測」)および満充電後(図5の「試験満充電後の計測」)の電圧[V]と内部抵抗[mΩ]およびCCA値の測定値である。このデータにおいても、内部抵抗の高低に関わらず高電圧インパルスを印加して内部抵抗の変化を観測しているが、高電圧インパルス印加後の内部抵抗は下がり、CCA値は上がっている。判定結果欄の右横の数値は復活した充電可能容量を示している。図5の試料No.1〜No.6のデータ中、試料No.1,4,5の3件において、充電容量が90%復活していることが解る。
ここで、CCA値とは、12V鉛蓄電池のエンジン始動性能を表す尺度で、12V鉛蓄電池を−18℃±1℃の温度において定電流放電し、30秒後の電圧が7.2V以上を保持できる最大の放電電流値である。
また、図6は鉛蓄電池再生装置1で鉛蓄電池BTを再生している状態を示す図である。この図6の鉛蓄電池再生装置1は試作段階のものであるが、同一機能のものであれば装置の外観および大きさは任意に変更しても良い。
図6において、鉛蓄電池再生装置1の上部に表示部22と操作部23を備えている。鉛蓄電池再生装置1の背面側から引き出された接続ケーブルL1,L2を鉛蓄電池BTの正極端子と負極端子に夫々接続する。なお、CR1,CR2は接続ケーブルL1,L2の先端部に設けられたクリップである。
また、図7は他の例の鉛蓄電池再生装置101の外観図を示している。
図7において、鉛蓄電池再生装置101の前面パネルの上側に表示部22と操作部23を備えている。鉛蓄電池再生装置101の前面パネルの下側に設けられた接続端子T1,T2に、接続ケーブルL1,L2の一端を夫々接続している。なお、L3は電源ケーブルである。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
1,101…鉛蓄電池再生装置
11…高電圧インパルス発生部
12…高周波電圧発生部
13…充電部
14…充電電流測定部
15…鉛蓄電池電圧測定部
16…内部インピーダンス測定部
17…直流成分カットフィルタ部
18…放電試験回路部
19…放電電流測定部
20…制御装置
20a…動作モード制御部
20b…内部抵抗判定部
20c…充電電流積算部
20d…出力安定時電圧推定部
20e…第1充電率推定部
20f…第2充電率推定部
20g…充電率比判定部
21…インターフェース部
22…表示部
23…操作部
24…切換部
BT…鉛蓄電池
L1,L2…接続ケーブル
SW1〜SW6…スイッチ部
T1,T2…接続端子

Claims (4)

  1. 劣化した鉛蓄電池の電極間に印加する充電電圧を発生する充電電圧発生部と、
    上記充電電圧発生部の上記充電電圧に重畳して上記鉛蓄電池の電極間に印加する高周波電圧または低電圧パルスを発生する誘導加熱電圧発生部と、
    上記鉛蓄電池の電極間に印加する高電圧インパルスを発生する高電圧インパルス発生部と、
    上記充電電圧発生部と上記誘導加熱電圧発生部と上記高電圧インパルス発生部を制御する制御装置と
    を備え、
    上記制御装置は、
    上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加することにより、上記鉛蓄電池の電極板上に生じたサルフェーションの表面を誘導加熱により溶解する第1動作モードと、上記高電圧インパルス発生部からの上記高電圧インパルスを上記鉛蓄電池の電極間に印加することにより、上記サルフェーションの深部を部分的に絶縁破壊して充電電流を導通可能にする第2動作モードとを、上記鉛蓄電池の内部抵抗に基づいて切り換える動作モード制御部を有することを特徴とする鉛蓄電池再生装置。
  2. 請求項1に記載の鉛蓄電池再生装置において、
    上記誘導加熱電圧発生部は、ピーク瞬時電圧値が数十Vでかつ周波数が数MHzの上記高周波電圧を発生するか、または、ピーク瞬時電圧値が数十Vでかつパルス幅が数百nsec〜数百μsecであって繰り返し周波数が数kHz〜数十kHz程度である上記低電圧パルスを発生し、
    上記高電圧インパルス発生部のインパルス波形は、波頭長が数μsec以下でかつ波尾長が0.1msec〜1.0msecでかつピーク瞬時電圧値が1kV以上のインパルス波形であることを特徴とする鉛蓄電池再生装置。
  3. 請求項1または2に記載の鉛蓄電池再生装置において、
    上記蓄電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定部を備え、
    上記制御装置は、
    上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗が予め設定された内部抵抗良否判定閾値以上か否かを判定する内部抵抗判定部を有し、
    上記内部抵抗判定部が上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗を上記内部抵抗良否判定閾値以上であると判定したとき、上記動作モード制御部により上記第2動作モードに切り換えて、上記高電圧インパルス発生部からの上記高電圧インパルスを上記鉛蓄電池の電極間に印加する一方、
    上記内部抵抗判定部が上記内部抵抗測定部により測定された上記蓄電池の内部抵抗を上記内部抵抗良否判定閾値未満であると判定したとき、上記動作モード制御部により上記第1動作モードに切り換えて、上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加することを特徴とする鉛蓄電池再生装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか1つに記載の鉛蓄電池再生装置において、
    上記蓄電池の端子間電圧を測定する端子間電圧測定部と、
    上記充電電圧発生部の上記充電電圧が印加された上記蓄電池の電極間に流れる充電電流を測定する充電電流測定部と
    を備え、
    上記制御装置は、
    上記充電電流測定部により測定された上記充電電流を積算する充電電流積算部と、
    上記蓄電池の電極間に上記充電電圧発生部の上記充電電圧が印加される上記第1動作モード時において、予め決められた休止期間で上記充電電圧の印加を止めて、上記蓄電池の電極間に軽負荷を接続した状態で上記端子間電圧測定部により上記端子間電圧を測定し、上記休止期間における上記端子間電圧の低下曲線に基づいて、上記蓄電池の出力安定時の直流電圧を推定する出力安定時電圧推定部と、
    上記出力安定時電圧推定部により推定された上記蓄電池の出力安定時の直流電圧に基づいて、第1充電率Qaを推定する第1充電率推定部と、
    上記充電電流積算部により積算された充電電流積算値に基づいて、第2充電率Qbを推定する第2充電率推定部と、
    上記第1充電率推定部で推定された上記第1充電率Qaに対する上記第2充電率推定部で推定された上記第2充電率Qbの比k(=Qb/Qa)が予め設定された充電率比判定値(≦1)以下であるか否かを判定する充電率比判定部と、
    上記第1動作モードにおいて、上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に一定時間印加した後、上記充電率比判定部が上記第1充電率に対する上記第2充電率の比が上記充電率比判定値以下であると判定すると、再び上記第1動作モードで上記誘導加熱電圧発生部からの上記高周波電圧または上記低電圧パルスが重畳された上記充電電圧発生部からの上記充電電圧を上記鉛蓄電池の電極間に印加することを特徴とする鉛蓄電池再生装置。
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