JP3221455U - 二次電池の充電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池の再生処理又は充電処理を効率よく行うことができる二次電池の充電装置を提供する。【解決手段】本考案に係る二次電池の充電装置は、所定の充電電圧を印加するための電源部10と、周波数が1MHz〜2MHzのバウンス振動を発生させながら充電電流を印加する制御部20を備えており、制御部20は、発振回路30からの出力信号の周波数に基づいて充電電流を変化させてバウンス振動を繰り返し発生させることで処理の効率化を図ることができる。【選択図】図1

Description

本考案は、充放電を繰り返すことにより充電容量が低下する二次電池を再生又は充電するための充電装置に関する。
充電及び放電を繰り返して行うことができる二次電池が多方面で用いられているが、鉛蓄電池等の二次電池は安定した出力が得られるとともに安価に製造できることから、車両用として広く使用されている。
二次電池では、充電及び放電を繰り返して使用していると、次第に充電容量が低下するようになり、充電容量が当初の半分以下に低下すると製品寿命が到来したとして新品に交換されるようになっている。
例えば、鉛蓄電池では、製品寿命を左右するといわれているのが、鉛蓄電池の内部で進行するサルフェーションという現象である。鉛蓄電池は、二酸化鉛を担持する正極体及び鉛を担持する負極体を希硫酸を含む電解液に浸漬しているが、充放電を繰り返すうちに負極体の表面に硫酸鉛の硬い結晶が生じるようになる。こうした負極体表面への硫酸鉛の蓄積現象がサルフェーションと一般に称されている。
サルフェーションが進行していくと、負極体の表面が硫酸鉛の蓄積により覆われるようになっていく。硫酸鉛はほとんど電気的に導通せず溶解度も低いため、サルフェーションが進行して負極体が硫酸鉛で覆われた鉛蓄電池は充放電が十分行うことができず、製品寿命が尽きたものとして取り扱われる。
こうして製品寿命が尽きた鉛蓄電池を再生処理して再使用することが提案されている。例えば、特許文献1では、二酸化鉛を担持する正極体及び鉛を担持する負極体を希硫酸を含む電解液内に浸漬させた鉛蓄電池の再生処理方法であって、電解液にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む水溶液を注入し、電圧値の異なるトリガ信号を組み合せた信号電圧により生成された周波数100Hz〜20kHzの再生電流を正極体から負極体に流して電解液を50℃〜60℃の温度状態に維持するように加熱し、再生電流を印加した状態で電解液が60℃〜70℃の温度状態に上昇した場合に再生電流の供給を停止する再生処理方法が記載されている。
また、特許文献2では、鉛蓄電池を再生又は充電処理するために、電圧値の異なるトリガ信号を組み合わせた信号電圧により生成された周波数2Hz〜10KHzの充電電流を正極体から負極体に流して直流分及び周波数分の内部抵抗値が基準値以下となった場合には、再生充電が正常に完了したと判定し自動停止する再生充電装置が記載されている。
特許第4608581号公報 特開2018−38186号公報
上述した先行文献では、パルス電流を印加することで鉛蓄電池の再生処理を行う際に再生処理の進行状態を確認して正確に充電完了のタイミングを把握することができるようになっているが、再生処理を効率よく行うといった観点からは検討の余地がある。
そこで、本考案は、二次電池の再生処理又は充電処理を効率よく行うことができる二次電池の充電装置を提供することを目的とするものである。
本考案に係る二次電池の充電装置は、所定の充電電圧を印加するための電源部と、周波数が1MHz〜2MHzのバウンス振動を発生させながら充電電流を印加する制御部を備えている。さらに、前記制御部は、直流分及び所定周波数の周波数分からなる充電電流を印加するとともに当該周波数よりも大きい周波数で充電電流を変化させて前記バウンス振動を発生させる。
本考案は、上記のような構成を有することで、二次電池の再生処理又は充電処理を効率よく行うことができる。
本考案に係る実施形態に関する概略構成図である。 発生するトリガ信号の信号波形に関する模式図である。 充電電流の信号波形に関する模式図である。 バウンス振動を発生させた充電電流の信号波形に関する模式図である。
以下、本考案に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本考案を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本考案は、以下の説明において特に本考案を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本考案に係る実施形態に関する概略構成図である。充電処理を行う二次電池である鉛蓄電池1は、ケース内に複数のセルが隔壁により区画されて収容されており、公知の構成を備えている。各セルの内部には、電解液2が貯留されており、電解液2には正極体3及び負極体4が浸漬された状態で取り付けられている。
正極体3は、鉛製の板状電極体を多孔質に形成して表面積を増加させ、その表面全体に二酸化鉛の層を形成している。また、負極体4は、多孔質の鉛製板状電極体から構成される。電解液2としては、一般に希硫酸が用いられる。
鉛蓄電池1を充電する場合には、電極体が電解液中の水を取り込んで硫酸を放出するようになり、放電する場合には、電解液中の硫酸が電極体と反応して水が生成されるようになる。こうした充放電を繰り返していくと、電極体の表面に硫酸鉛が析出して蓄積されるようになり、電極体が硫酸鉛により電気的な導通が阻害されるようになる。そのため、電極体の放電面積が小さくなって放電容量が低下し、充電時には電極体の抵抗が増加して発熱するようになる。
本実施形態では、放電した鉛蓄電池1の充電処理や性能が劣化した鉛蓄電池1を再生処理するために、鉛蓄電池1の規格に対応した電圧を印加するための電源部10及び整流回路11を備えている。電源部10は、商用電源から変圧器等を用いて所定の電圧に変圧し、整流回路11により規格電圧に対応した直流電圧が出力される。
整流回路11は、パワーデバイスからなるスイッチング素子12、フィードバック抵抗器13、充電電流測定回路14を介して正極体3の端子3aに接続されている。負極体4の端子は、接地されており、正極体3の端子3aとの間に充電電圧測定回路15が接続されている。充電電流測定回路14及び充電電圧測定回路15は、再生充電処理中の電流値及び電圧値を測定し、測定結果を制御部20に送信するようになっている。
制御部20は、電圧値の異なる2つのトリガ信号を組み合わせた充電信号を発生させる。図2は、発生するトリガ信号の信号波形に関する模式図である。この例では、電圧値V1のトリガ信号を所定間隔で発生させた信号波形T1及び電圧値V2のトリガ信号を所定間隔で発生させた信号波形T2を用いて交互にトリガ信号を組み合わせ信号波形T3を合成して充電信号として出力する。V1は、V2よりも大きい値に設定されており、充電電流の実効値に合わせて設定することが好ましい。
こうした電圧値の異なるトリガ信号を組み合わせた充電信号を用いることで信号波形の周波数を簡単に変更することができるとともに高周波数に設定することも容易に行うことができる。この場合、充電信号の周波数は5Hz〜10kHzの範囲で設定することが好ましく、出力する信号波形の周波数を途中でランダムに変更することも簡単に行うことが可能で、再生充電処理する鉛蓄電池に対してテストを行う場合等に有用である。
また、トリガ信号の立ち上り及び立下りに発生するエッジ信号波形は、信号波形T1の立ち上り及び立下りがそれぞれ信号波形T2の立ち下り及び立上りに重なることで互いに相殺されるようになる。
トリガ信号を合成した充電信号はインバータ回路21を介して可変抵抗器22に入力されて電圧値が調整される。電圧値が調整された充電信号は増幅回路23の一方の入力端子に入力される。増幅回路23の他方の端子には制御回路20からオン・オフ信号が入力され、オン信号が入力されている場合に増幅回路23から充電信号が出力される。
増幅回路23から出力された充電信号は、増幅回路24に入力される。増幅回路24から出力された充電信号はスイッチング素子12に入力されて充電信号に対応した充電電流が負極体3に流れるようになる。その際にフィードバック抵抗器13に流れた充電電流を増幅回路24にフィードバックすることで充電電流を安定した状態で流すことができる。
制御部20には、充電信号よりも高い周波数を出力することができる発振回路30が接続されている。そして、制御部20は、発振回路30により設定された周波数に基づいて充電信号を変化させることで充電電流を設定された周波数で変化させるようになっている。発振回路30により設定される周波数は、4kHz〜5kHzに設定するようにすればよい。制御部20では、発振回路30で設定された周波数を分周して設定された高い周波数により必要な処理を行うようになっている。
図3は、充電電流の波形の一例を示すグラフである。図3では、直流分I1及び周波数分I2を有する波形となっている。例えば、10Aの充電電流を印加する場合には、直流分を5Aに設定し、周波数分を実効値で5Aとなるように設定すればよい。こうした設定は、トリガ信号の電圧値及び周波数の設定により簡単に行うことができる。周波数は、5kHz〜10kHzの範囲に設定することが好ましい。この例では、発振回路により設定した周波数に基づいて周波数分の充電電流に対してそれよりも高い周波数で段階的に減少するように変化させ、充電電流が不連続に変化する際に周波数が1MHz〜2MHzのバウンス振動を発生させるようにしている。
図4は、充電電流の1つの波形を拡大したグラフである。この例では、周波数分の充電電流は、5kHzの周波数で印加され、100kHzの周波数で最大値20Aから3Aずつ段階的に減少するように変化している。そして、段階的に変化するタイミングでバウンス振動が約1MHzの周波数で繰り返し発生するようになり、こうしたバウンス振動を繰り返し印加することで、印加しない場合に比べて再生処理による鉛蓄電池の内部抵抗値を効率よく低下することが可能となる。内部抵抗値の低下は、電極板に蓄積されたサルフェーションの分解が進んだことを示しており、再生処理が効率よく行われたことがわかる。
モードスイッチ25は、鉛蓄電池の規格に応じて操作することでモードが選択される。そして、再生充電処理する鉛蓄電池に対応した選択信号を制御部20に出力し、制御部20では、入力された選択信号に基づいて充電信号を発生させる。
表示部26は、制御部20からのメッセージ等の表示データを受信して表示する。制御部20は、充電電流測定回路14及び充電電圧測定回路15から送信された測定値に基づいて充電処理又は再生処理の進行状態を判定し、その判定結果に基づいて充電処理又は再生処理の完了又は停止処理を行い、それに合わせて完了メッセージ及びエラーメッセージを表示部26に表示させるように制御する。
[実施例1]
使用済の鉛蓄電池(エナーシス社製;バッテリ容量42Ah)について、上述した充電装置を用いて再生処理を行った。充電前の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値を測定したところ、12.02V及び7.26mΩであった。
充電処理では、充電電流を5A(直流分2.5A及び周波数分12.5A(4.5kHz))で約8時間連続して印加した。充電処理中には、周波数分の充電電流について100kHzで電流値を1Aずつ段階的に減少させるように変化させることで約1MHzのバウンス振動を繰り返し発生させた。
充電処理後の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値は、12.84V及び4.57mΩであった。
比較のため、使用済みの同じタイプの鉛蓄電池(バッテリ電圧12.01V、内部抵抗値7.21mΩ)を用いて充電処理を行った。充電処理では、充電電流を5A(直流分2.2A及び周波数分8.8A(2kHz))で約10時間連続して印加し、充電処理中には、バウンス振動を発生させなかった。
充電処理後の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値は、12.84V及び4.62mΩであった。
以上の結果をみると、バウンス振動を発生させながら充電電流を印加することで、内部抵抗値が同程度に低下するまでの充電時間が短縮され、充電処理について約20%の効率アップが確認された。
[実施例2]
使用済の鉛蓄電池(エナーシス社製;バッテリ容量16Ah)について、上述した充電装置を用いて再生処理を行った。充電前の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値を測定したところ、12.00V及び11.86mΩであった。
充電処理では、充電電流を1.8A(直流分0.9A及び周波数分4.5A(4.5kHz))で約8時間連続して印加した。充電処理中には、周波数分の充電電流について100kHzで電流値を0.36Aずつ段階的に減少させるように変化させることで約1MHzのバウンス振動を繰り返し発生させた。
充電処理後の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値は、12.78V及び6.74mΩであった。
比較のため、使用済みの同じタイプの鉛蓄電池(バッテリ電圧12.01V、内部抵抗値11.83mΩ)を用いて充電処理を行った。充電処理では、充電電流を1.8A(直流分0.8A及び周波数分3.2A(2kHz))で約10時間連続して印加し、充電処理中には、バウンス振動を発生させなかった。
充電処理後の鉛蓄電池のバッテリ電圧及び内部抵抗値は、12.79V及び6.73mΩであった。
以上の結果をみると、実施例1と同様に、バウンス振動を発生させながら充電電流を印加することで、充電処理について約20%の効率アップが確認された。
上述した通り、タイプの異なる鉛蓄電池でも同じように充電処理の効率性が格段に向上しており、本考案に係る充電装置を用いることで、二次電池の再生処理又は充電処理を効率よく行うことが可能となる。
1・・・鉛蓄電池、2・・・電解液、3・・・正極体、4・・・負極体、10・・・電源部、11・・・整流回路、12・・・スイッチング素子、13・・・フィードバック抵抗器、14・・・充電電流測定部、15・・・充電電圧測定部、20・・・制御回路、21・・・インバータ、22・・・可変抵抗器、23・・・増幅回路、24・・・増幅回路、25・・・モードスイッチ、26・・・表示部、30・・・発振回路

Claims (2)

  1. 所定の充電電圧を印加するための電源部と、周波数が1MHz〜2MHzのバウンス振動を発生させながら充電電流を印加する制御部を備えている二次電池の充電装置。
  2. 前記制御部は、直流分及び所定周波数の周波数分からなる充電電流を印加するとともに当該周波数よりも大きい周波数で充電電流を変化させて前記バウンス振動を発生させる請求項1に記載の二次電池の充電装置。
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