以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付与されている。また、特に断らない限り、PON区間の制御フレームの説明は、10G−EPONの規格で規定されている制御フレームに基づいて実施する。
(光アクセス網)
図1は、実施例1のWDM/TDM−PONによる光アクセス網を示すブロック図である。
実施例1の光アクセス網は、OLT10、光スプリッタ30、複数のONU20(20#1〜20#64)、及び複数の端末50(50#1〜50#64)を備える。OLT10は、光回線装置かつ局側装置であり、ONU20は、光ネットワーク装置かつ加入者装置である。
OLT10は、幹線の光ファイバ400を介して光スプリッタ30と接続される。光スプリッタ30は、支線の光ファイバ40#1〜40#64を介してONU20#1〜20#64に接続される。端末50#1〜50#64は、それぞれONU20#1〜20#64に接続される。
次に、下り通信及び上り通信の方法に関して説明する。ここで、ONU20#1〜20#16は、下り波長λD1及び上り波長λU1を用いて、OLT10と通信する。ONU20#17〜20#32は、下り波長λD2及び上り波長λU2を用いて、OLT10と通信する。
ONU20#33〜20#48は、下り波長λD3及び上り波長λU3を用いて、OLT10と通信する。ONU20#49〜20#64は、下り波長λD4及び上り波長λU4を用いて、OLT10と通信する。なお、この波長可変WDM/TDM−PONシステムでは各ONU20が上り通信及び下り通信に用いる波長は固定ではなく、動的に変更される。
WDM/TDM−PONにおけるOLT10からONU20への下り通信に関して説明する。OLT10は、ONU20#1〜20#16宛ての信号を、下り波長λD1の下り光信号によって送信する。また、OLT10は、ONU20#17〜20#32宛ての信号を、下り波長λD2の下り光信号によって送信する。
また、OLT10は、ONU20#33〜20#48宛ての信号を、下り波長λD3の下り光信号によって送信する。また、OLT10は、ONU20#49〜20#64宛ての信号を、下り波長λD4の下り光信号によって送信する。
従って、OLT10から送信される光信号は、下り波長λD1、λD2、λD3、λD4で波長多重された光信号である。波長多重された光信号は、光スプリッタ30、光ファイバ40#1〜40#64を介してONU20#1〜20#64に入力される。ONU20は、送受信する波長を変更可能な波長可変光送受信器を備えており、特定の波長のみ送受信が可能である。
ONU20は、波長多重された下り光信号を受信した場合、自らに割り当てられた特定の波長のみ受信する。例えば、ONU20#1〜20#16は、下り波長λD1のみの信号を選択し、選択された信号を受信する。また、ONU20#17〜20#32は、下り波長λD2のみの信号を選択し、選択された信号を受信する。また、ONU20#33〜20#48は、下り波長λD3のみの信号を選択し、選択された信号を受信する。また、ONU20#49〜20#64は、下り波長λD4の信号のみを選択し、選択された信号を受信する。
各波長を用いた光信号では各ONU20宛の信号が時分割で多重されている。例えば、下り波長λD1の下り光信号には、ONU20#1〜20#16宛の信号が時分割多重されているため、ONU20の各々は、OLT10から受信したフレームを解析して自宛か否かを判定し、自宛のフレームのみを選択することが可能である。
次に、WDM/TDM−PONにおけるONU20からOLT10への上り信号に関して説明する。各ONU20は、上り波長λU1〜λU4のいずれかを選択し、選択されたた波長によって、OLT10から指示された期間に上り光信号を送信する。なお、ONU20は、指示された期間のみ上り光信号を送信するため、送信される上り光信号はバースト光信号である。
例えば、ONU20#1〜20#16は、上り波長λU1の上りバースト光信号を送信し、ONU20#17〜20#32は、上り波長λU2の上りバースト光信号を送信し、ONU20#33〜20#48は、上り波長λU3の上りバースト光信号を送信し、ONU20#49〜20#64は、上り波長λU4の上りバースト光信号を送信する。
各ONU20から送信された上り光信号(上りバースト光信号)は、光スプリッタ30によって多重された後、OLT10に入力される。従って、OLT10には、時分割多重され、さらに、波長多重された上り波長λU1〜λU4の上り光信号が入力される。
このようにWDM/TDM−PONは、従来のTDM−PONを複数の波長で束ねている。このため、1台のOLT10が、より多くのONU20を収容可能であり、さらに、WDM/TDM−PONは、OLT10とONU20との間において、より大きな伝送容量を実現できる。
(OLT10)
図2は、実施例1のOLT10の構成を示すブロック図である。
OLT10は、合波分波器(WDMカプラ)100、OSU110(110#1〜110#4)、レイヤー2スイッチ(L2SW)170、ネットワークノードインタフェース(NNI)部180、及び、OLT制御部160から構成される。
OSU110は更に、光送受信器120、PHY処理部130、及び、MAC処理部140から構成される。また、PHY処理部130は、PHYフレーム生成部131、FECエンコーダ132、PHYフレーム終端部133、及び、FECデコーダ134から構成される。
OLT制御部160は、プロセッサ及びメモリを備える。OLT制御部160のプロセッサは、メモリに格納するプログラムを実行することによって、OLT制御部160の各機能部(適応FEC制御部161、DWA制御部162及びトラフィック制御部163)を実現してもよいし、物理的な集積回路を有することによって機能部を実現してもよい。また、OLT制御部160のメモリは、データとしてFEC管理テーブル165a、及び、ONU管理テーブル166aを有する。
OLT制御部160は、適応FEC制御部161、DWA制御部162、トラフィック制御部163の機能部を実現する。以下、各装置及び機能部を説明する。
合波分波器100は、波長λU1〜λU4の上り光信号と波長λD1〜λD4の下り光信号とを合波及び分波する。合波分波器100は、OSU110#1から入力された下り波長λD1の光信号、OSU110#2から入力された下り波長λD2の光信号、OSU110#3から入力された下り波長λD3の光信号、及び、OSU110#4から入力された下り波長λD4の光信号を合波した光信号を光スプリッタ30に出力する。
また、合波分波器100は、光スプリッタ30から入力された光信号(波長λU1〜λU4が合波された信号)を分波して、上り波長λU1の光信号をOSU110#1に、上り波長λU2の光信号をOSU110#2に、上り波長λU3の光信号をOSU110#3に、上り波長λU4の光信号をOSU110#4に入力する。
光送受信器120は、それぞれ合波分波器100から入力された上り波長λU1〜λU4の上り光信号を受信し、受信した上り光信号を電流信号に変換する。さらに、光送受信器120は、変換後の電流信号を電圧信号に変換及び増幅し、電気信号からクロックを抽出し、抽出されたクロックで電気信号をリタイミングし、電気信号をデジタル信号に変換して、それぞれPHY処理部130の各々に出力する。
また、光送受信器120は、PHY処理部130の各々から入力された電気信号をそれぞれ下り波長λD1〜λD4の光信号の各々に変換し、変換後の光信号を、合波分波器100に出力する。なお、実施例1においては、すべてのOSU110の光送受信器120は同一の性能である。
PHY処理部130は、光アクセスネットワーク区間の通信のPHY層の処理を行なう。PHY処理部130は、PHYフレーム生成部131、FECエンコーダ132、PHYフレーム終端部133、及び、FECデコーダ134から構成される。
まず、下り信号の処理内容を説明する。FECエンコーダ132は、MAC処理部140からMACフレームが入力された場合、そのMACフレームに、64B66B符号化処理及びFEC符号化処理を実行した後、PHYフレーム生成部131に入力する。PHYフレーム生成部131は、入力された信号に、PON区間用のPHYヘッダを付加し、PHYフレームを生成して光送受信器120に入力する。
次に、上り信号の処理内容を説明する。PHYフレーム終端部133は、光送受信器120から入力された電気信号に対して、PHYフレームのPHYヘッダを検出し、PHYヘッダの内容を解析する。ここでは、PHYフレーム終端部133は、PHYヘッダから、US−FEC ON/OFFに関する情報を取得し、取得した情報をFECデコーダ134に入力する。
FECデコーダ134は、入力された信号に対してFECのコードワード毎にFEC復号化処理を実行し、その後に64B66B復号化処理を実行した後、MAC処理部140に信号を入力する。
ここで、FECエンコーダ132は、OLT制御部160内の適応FEC制御部161からの指示に基づいて、FEC符号化処理を切替えて動作可能である。例えば、FEC ONの指示を受けた場合、FECエンコーダ132は、入力された信号に、64B66Bの符号化処理を実行し、更にFECパリティを算出し、FECパリティを付加した後、PHYフレーム生成部131に入力する。
一方、FEC OFFの指示を受けた場合、FECエンコーダ132は、入力された信号に、64B66Bの符号化処理を実行する。そして、FECエンコーダ132は、FECパリティの算出及び付加の処理を実行することなく、信号をPHYフレーム生成部131に入力する。
MAC処理部140は、光アクセスネットワーク区間の通信のMAC層の処理を行なう。具体的には、ネットワークから受信した下りユーザーデータ用のMACフレームをONUに転送する処理、ONUから受信した上りユーザーデータ用のMACフレームをネットワークに転送する処理、PON区間でやりとりする制御用MACフレームの処理をおこなう。
上りユーザーデータの処理に関し、MAC処理部140は、PHY処理部130から受信したMACフレームのヘッダ情報を解析し、ユーザーデータ用フレームであるか制御フレームであるかを識別する。そして、MAC処理部140は、ユーザーデータ用フレームをL2SW170へ振り分け、制御フレームをMAC処理部140内で処理する。
また、下りユーザーデータの処理に関し、MAC処理部140は、L2SW170から受信したユーザーデータ用フレームとMAC処理部140内で生成した制御フレームを多重してPHY処理部130に入力する。
また、PON区間でやりとりする制御フレームの処理に関し、MAC処理部140は、ONU20からPHY処理部130を介して受信した場合、制御フレーム内のヘッダを解析し、制御フレームの種別を識別し、種別毎に処理を実行する。例えば、MAC処理部140は、下り受信ビット誤り率を通知する制御フレームを受信した場合、制御フレームの内容を更に解析して、ONU−IDと下り信号のビット誤り率(下りBER値)とを取得し、OLT制御部160に通知する。
MAC処理部140は、ONU20に送信する制御フレームを生成し、L2SW170から受信したMACフレームと制御フレームとを多重して、PHY処理部130を介してONU20に送信する。例えば、MAC処理部140は、ONU20に波長切替を指示する制御フレームを生成したり、ONU20に下りBER値の通知を要求する制御フレームを生成したりする。
L2SW170は、OSU110から入力されたMACフレームを多重してNNI部180に入力する。また、L2SW170は、NNI部180から入力されたMACフレームの宛先に基づいて出力先ポートを決定し、決定した出力先ポートにMACフレームを出力する。
NNI部180は、L2SW170から受信した多重されたユーザデータフレームをNNI(Network Node Interface)に準拠した信号に変換して、変換後のユーザーデータ用フレームをネットワーク60に入力する。また、NNI部180は、ネットワーク60から入力されたユーザーデータ用フレームをL2SW170に転送する。
NNI部180は、OLT制御部160からの指示に基づいて、波長切替処理中に受信した波長切替対象の下りユーザデータフレームを蓄積し、波長切替処理終了後にL2SW170に転送する。
OLT制御部160は、OSU110#1〜OSU110#4、L2SW170、及びNNI部180に各種の指示を出したり、各機能部の状態をモニタしたりする。
適応FEC制御部161は、ONU20毎の通信品質を取得し、それらに基づいて下りFECをONにするか、及び、上りFECをONにするかを判定し、判定した結果に基づいてOSU110への下りFECの設定の変更を指示したり、ONU20への上りFEC設定の変更を指示したりする。なお、本実施例における通信品質は、ONU20とOLT10との距離に依存して変化する。
DWA制御部162は、ONU20毎のトラフィック量並びにONU20毎の通信品質及び距離に基づいて各ONU20の波長を決定し、波長の変更指示及び変更終了の確認を実行する。
トラフィック制御部163は、OSU110毎の下りFEC適用状態に基づいて、NNI部180及びL2SW170のOSU110毎の下り上限帯域を調整する。例えば、トラフィック制御部163は、OSU110#1において下りFECがONであり、OSU110#2において下りFECがOFFである場合に、それぞれPON区間の下り伝送レートに合わせた帯域を設定する。
なお、本実施例において、適応FEC制御部161、DWA制御部162、及び、トラフィック制御部163は相互に連携が可能である。例えば、適応FEC制御部161が決定した下りFECの適用状態に基づいて、DWA制御部162がONU20の波長を決定することができる。
また、適応FEC制御部161が設定した下りFECの適用状態に基づいて、トラフィック制御部163は、NNI部180の下り上限帯域を調整することも可能である。また、トラフィック制御部163は、あるONU20の波長を切り替える場合、波長切替対象のONU20宛ての下りフレームを一時的に蓄積し、波長切替終了後に蓄積を解除する指示を、NNI部180に送ってもよい。
実施例1によるOLT10の構成によれば、適応FEC制御部161とDWA制御部162とは連携して動作可能であり、OLT制御部160は、ONU20毎の通信品質に応じて、ONU20に割り当てる波長を決定し、決定した波長に切替えることが可能である。
(ONU20)
図3は、実施例1のONU20の構成を示すブロック図である。
ONU20は、波長可変光送受信器210、PHY処理部230、MAC処理部240、及び、ONU制御部250を有する。PHY処理部230は、更にPHYフレーム生成部231、FECエンコーダ232、PHYフレーム終端部233、及び、FECデコーダ234から構成される。また、ONU制御部250は、BER管理部251及び波長制御部252から構成される。
以下、各装置、及び各処理部の機能を説明する。
波長可変光送受信器210は、送信波長及び受信波長をそれぞれ個別に調整可能な光送受信器である。波長可変光送受信器210は、ONU制御部250から送信波長及び受信波長を設定する指示を受け付ける。
そして、波長可変光送受信器210は、受信した上り光信号の送信波長に上り波長λU1〜λU4のいずれかを、指示に従って設定し、上り信号をOLT10に向けて送信する。また、波長可変光送受信器210は、下り波長λD1〜λD4のいずれかが設定された下り光信号を、指示に従って受信する。
ここで、送信波長が上り波長λU1に設定され、受信波長が下り波長λD1に設定された場合の、波長可変光送受信器210の処理を説明する。OLT10から送信された下り光信号であり、かつ、下り波長λD1〜λD4が波長多重された下り光信号を受信した場合、波長可変光送受信器210は、下り波長λD1以外の波長をカットする。これによって、波長可変光送受信器210は、下り波長λD1の下り光信号のみを選択し、選択された下り光信号を受信する。波長可変光送受信器210は、このような処理を、例えば、透過波長が可変な光フィルタを備えることによって実現できる。
波長可変光送受信器210は、下り波長λD1の下り光信号を電流信号に変換し、変換後の電流信号を電圧信号に変換し、さらに電圧信号を増幅することによって、電気信号を生成する。そして、波長可変光送受信器210は、生成された電気信号を、PHY処理部230に入力する。また、波長可変光送受信器210は、PHY処理部230から入力された電気信号を、上り波長λU1の上り光信号に変換し、変換後の上り光信号をOLT10に向けて出力する。
PHY処理部230は、光アクセスネットワーク区間の通信のPHY層の処理を行なう。以下に、PHY処理部230による上り信号の処理内容を説明する。
FECエンコーダ232は、MAC処理部240からMACフレームが入力された場合、入力されたMACフレームに、64B66B符号化処理、及び、FEC符号化処理を実行し、その後、MACフレームをPHYフレーム生成部231に入力する。PHYフレーム生成部231は、入力された信号にPON区間用のPHYヘッダを付加することによってPHYフレームを生成し、生成したPHYフレームを波長可変光送受信器210に出力する。
次に、上り信号の処理内容を説明する。PHYフレーム終端部233は、波長可変光送受信器210から入力された電気信号からPHYフレームのヘッダを検出し、PHYヘッダの内容を解析する。ここでPHYフレーム終端部233は、DS−FEC ON/OFFに関する情報を取得し、その情報をFECデコーダ234に出力する。
FECデコーダ234は、入力された信号に、FECのコードワード毎にFEC復号化処理を実行し、その後に64B66B復号化処理を実行し、その後、信号をMAC処理部240に入力する。
また、FECデコーダ234は、FEC復号化処理を実行した際の誤り訂正ビット数、受信したFECコードワード数、及び、誤り訂正不可のコードワード数に関する統計情報を測定する。そして、FECデコーダ234は、BER管理部251から要求に従い、BER管理部251に統計情報を入力する。なお、PHYフレームの具体的なフォーマットについては後述する。
MAC処理部240は、光アクセスネットワーク区間の通信のMAC層の処理を行なう。具体的には、MAC処理部240は、ユーザーネットワークから受信した上りユーザーデータ用のMACフレームをOLT10に転送する処理、OLT10から受信した下りユーザーデータ用のMACフレームをユーザーネットワークに転送する処理、及び、制御用MACフレームをPON区間でやりとりする処理をおこなう。
下りユーザーデータの処理に関し、MAC処理部240は、PHY処理部230から受信したMACフレームのヘッダ情報を解析し、ユーザーデータ用フレームであるか制御フレームであるかを識別する。MAC処理部240は、ユーザーデータ用フレームを端末50に転送し、制御フレームをMAC処理部240内で処理する。
また、上りユーザーデータの処理に関し、MAC処理部240は、端末50から受信したユーザーデータ用フレームとMAC処理部240内で生成した制御用フレームとを多重し、PHY処理部230に入力する。
また、PON区間でやりとりする制御用MACフレームの処理に関し、MAC処理部240は、ONU20からPHY処理部230を介して受信した場合、制御フレーム内のヘッダを解析し、制御フレームの種別を識別し、種別毎に処理を実行する。例えば、ONU20のMAC処理部240は、下り受信ビット誤り率通知を要求する制御フレームを受信した場合、制御フレームの内容を更に解析し、ONU―IDと下りBER値とを取得し、ONU制御部250に通知する。
また、MAC処理部240は、OLT10に送信する制御フレームを生成し、端末50から受信したユーザーデータ用MACフレームと制御フレームとを多重し、PHY処理部230を介してOLT10に送信する。例えば、MAC処理部240は、波長切替終了をOLT10に通知する制御フレームを生成したり、下りBER値をOLT10に通知する制御フレームを生成したりする。
ONU制御部250は、BER通知制御及び波長制御に関するメッセージをOLT10とONU20との間で送受信するのに加え、ONU20内のMAC処理部240、PHY処理部230及び波長可変光送受信器210を制御する。
例えば、ONU制御部250内のBER管理部251は、PHY処理部230から取得した下り受信に関する統計情報を取得し、下りBER値として管理する。そして、OLT10から下りBER通知要求のメッセージを受信した場合、BER管理部251は、管理している下りBER値を格納した下りBER通知回答メッセージを発行し、MAC処理部240を介してOLT10に送信する。
なお、BER管理部251は、例えば、PHY処理部230内のFECデコーダ234において測定された誤り訂正ビット数、受信したFECコードワード数、及び、誤り訂正不可のコードワード数を用いて、下りBER値を算出する。また、FECデコーダ234は、別の方法として、PHYフレーム内にあるBIPを用いて下りBER値を測定し、BER管理部251に通知してもよい。
ここで、FECエンコーダ232は、ONU制御部250内のBER管理部251からの指示に基づいて、FEC符号化処理を切り替えることができる。FECエンコーダ232は、例えば、FEC ONを指示された場合、入力された信号に、64B66Bの符号化処理を実行し、更にFECパリティを算出して、FECパリティを付加した後、信号をPHYフレーム生成部231に入力する。
一方、FECエンコーダ232は、FEC OFFを指示された場合、入力された信号に対して、64B66Bの符号化処理を実行する。そして、FECエンコーダ232は、FECパリティの算出及び付加の処理を実行することなく、信号をPHYフレーム生成部231に入力する。
MAC処理部240は、ユーザーデータ用フレームをUNI(User Network Interface)に準拠した信号に変換し、変換後のフレームを端末50に送信する。また、MAC処理部240は、端末50から送信されたユーザーデータ用フレームを、PHY処理部230に転送する。
実施例1によるONU20の構成によれば、ONU20は波長可変光送受信器210の送信部の波長と受信部の波長とを、OLT10から受信した波長切替制御フレームに基づいて切替を実行することが可能である。また、ONU20は、下りBER値を測定し、OLT10に通知することが可能である。また、FEC ON及びFEC OFF両方による下りPHYフレームの受信が可能である。
(PHYフレームフォーマット)
図4は、実施例1のPHYフレームフォーマットの例を示す説明図である。
PHYフレームフォーマットは、バーストデリミッタ(BD)領域31、FECプロファイル領域32、ペイロード領域33、ビットインターリーブドパリティ(BIP)領域34、及び、エンドオブバースト(EOB)領域35を含む。
バーストデリミッタ(BD)領域は31、下りPHYフレームの先頭を表すための特定パターンのビット列を格納する。FECプロファイル領域32は、ペイロード領域33内のビット列がFEC処理されているFEC ONの状態であるか、FEC処理がされていないFEC OFFの状態であるかを示す。
ペイロード領域33は、FECプロファイル領域32に従ってフォーマットが異なる。FECプロファイル領域32がFEC ONの状態を示す場合、ペイロード領域33は、複数のFECコードワード(FEC CW)36から構成される。FECプロファイル領域32がFEC OFFの状態を示す場合、ペイロード領域33は、複数の66ビットブロックから構成される。
ビットインターリーブドパリティ(BIP)領域34は、ペイロード領域33内のビットパターンから算出したパリティ値を格納する。エンドオブバースト(EOB)領域35は、下りPHYフレームの終端を表す特定のパターンのビット列を格納する。
このようなPHYフレームフォーマットによれば、受信側であるONU20は、PHYフレームのヘッダを解析することにより、ペイロード領域33内がFECでエンコードされているか否かを判定でき、その判定結果に基づいてONU20のFECデコーダ234の動作を切り替えることにより、下りFEC ON/OFFの切替えを事前のシグナリングなしで実現することが可能である。
実施例1(後述の実施例2〜4を含む)において、OLT10が通信品質の悪いONU20への下り通信に下りFECを適用することによって、ONU20は、誤りの少ない情報を受信することができるが、一方で、下り伝送レートが低下する。
(FEC管理テーブル165a)
図5は、実施例1のOLT制御部160が保持するFEC管理テーブル165aを示す説明図である。
FEC管理テーブル165aは、OLT制御部160の機能部が用いる。FEC管理テーブル165aは、OSU−ID1651a及びDS−FEC1652aを含む。
OSU−ID1651aは、OSU110の識別子(又は波長の識別子)を示し、DS−FEC1652aは、OSU−ID1651aが示すOSU110が、下りFEC ONの状態であるか、下りFEC OFFの状態であるかを示す。
図5に示すFEC管理テーブル165aは、OSU110#1のみがFEC ONであり、OSU110#2〜#4が下りFEC OFFであることを示す。OLT10の管理者等がOSU110を実装するOSUカードをOLT10に挿入する際に、FEC管理テーブル165aはエントリを追加され、OSUカードを抜く際にFEC管理テーブル165aはエントリが削除される。
また、所定の周期においてONU20毎の通信品質を示す情報(下りBER値又はラウンドトリップタイム(RTT)等)が取得されたことにより、各OSU110におけるFEC適用状態が変化した場合、適応FEC制御部161は、FEC管理テーブル165aを更新する。適応FEC制御部161、DWA制御部162、及びトラフィック制御部163は、FEC管理テーブル165aを参照する。
(ONU管理テーブル166a)
図6は、実施例1のOLT制御部160が保持するONU管理テーブル166aを示す説明図である。
ONU管理テーブル166aは、OLT制御部160の機能部が用いる。ONU管理テーブル166aは、ONU−ID1661a、DS−BER1662a及び波長ID1663aを含む。
ONU−ID1661aは、ONU20の識別子を示し、DS−BER1662aは、ONU−ID1661aが示すONU20によって測定された下りBER値を示す。
波長ID1663aは、ONU−ID1661aが示すONU20に割り当てられている波長の識別子を示す。波長ID1663aが示す識別子と、FEC管理テーブル165aのOSU−ID1651aが示す識別子とは、1対1で対応する。
ONU20が新規に登録された場合、ONU管理テーブル166aのエントリが追加される。OLT制御部160の適応FEC制御部161は、ONU20によって測定された下りBER値を取得した場合、FEC管理テーブル165aのDS−BER1662aを更新する。
実施例1のDWA制御部162は、ONU管理テーブル166aのONU−ID1661aとDS−BER1662aとに基づいて、ONU20に割り当てる波長の波長ID(すなわちOSU110)を決定する。
図6に示すONU管理テーブル166aは、ONU20#1(識別子が1である)が測定した下りBER値は1×10−4であり、かつ、ONU20#1は下り波長としてλ1が現在割り当てられていることを示す。
(通信品質の測定方法)
なお、実施例1の適応FEC制御部161は、下りBER値を用いてOSU110ごとに、下りFECを適用するか否か、及び、割り当てる下り波長を決定する。しかし、適応FEC制御部161は、代わりにONU20の受光レベル、又は、受光時のアイ開口値などの受光時の信号品質を用いて、下りFECを適用するか否か等を決定してもよい。
また、適応FEC制御部161は、これらの信号品質の代わりに、OLT10とONU20との間の距離を表す指標としてRTTを取得でき、さらに、RTTを用いて下りFECを適用するか否か等を決定してもよい。なお、OLT制御部160は、ONU20の初期登録時に、RTTを測定することが可能であるため、後述するステップS101において通信品質を示す情報を取得する必要がない。
なお、下りBER値が大きいほど、本実施例の通信品質は悪い。また、距離が長いほど、本実施例の通信品質は悪い。
また、図6に示すONU管理テーブル166aは、下りBER値そのものをDS−BER1662aに格納するが、本実施例のONU管理テーブル166aは、下りFEC OFFを設定するかを判定するための閾値と下りBER値とを比較した結果(後述のステップS102の結果)の値を格納してもよい。
(OLT制御部160のフローチャート)
図7は、実施例1のOLT制御部160の処理を示すフローチャートである。
OLT制御部160の適応FEC制御部161は、このフローチャートの開始から終了までの動作を周期的に実行する。なお、図7では周期的に実行するとしたが、適応FEC制御部161は、ONU20の登録又は解除が生じた場合に図7に示す処理を随時実行してもよい。
適応FEC制御部161は、まず、すべてのONU20(ONU20#i、iは任意の正数)に通信品質を示す情報として、下りBER値(BER(i))の測定を要求し、ONU20#iからBER(i)を取得する(S101)。
なお、前述のとおり適応FEC制御部161は、ONU20の受光レベル、又は、受光時のアイ開口値などの受光時の信号品質、若しくは、RTTなどの距離を示す情報を、通信品質を示す情報として取得してもよい。下りBER値、又は、受光時の信号品質は、ONU20とOLT10との距離に依存する指標であり、適応FEC制御部161は、これらの指標に基づき、波長の割当て及びFECの設定を決定できる。
また、適応FEC制御部161は、距離に基づいても波長の割当て及びFECの設定を決定できる。なお、適応FEC制御部161は、例えば、ONU20とOLT10との間の距離があらかじめ入力される場合、ONU20との間の測定から距離を取得しなくてもよい。
次に、適応FEC制御部161は、取得したBER(i)に基づいてONU20の各々が下りFEC OFFで通信可能か否かを判定する(S102)。具体的には、適応FEC制御部161は、取得したBER(i)が予め設定した閾値よりも小さい場合、ONU20とOLT10との間の通信品質は良く、下り通信に下りFECを適用する必要はないため、下りFEC OFFで通信可能と判定する。
また、適応FEC制御部161は、取得したBER(i)が予め設定した閾値以上である場合、ONU20とOLT10との間の通信品質は悪く、下り通信に下りFECを適用する必要があるため、下りFEC OFFで通信不可能であると判定する。
次に、ステップS102において判定した結果に基づいて、適応FEC制御部161は、下りFEC OFFに設定可能なOSU110の数(すなわち、波長の数)を最大化し、かつ、下りFEC ONに設定するOSU110の数を最少化するようにONU20に割り当てる波長の組み合わせを決定し、さらに、OSU110の下りFECの設定を決定する(S103)。
ここで、適応FEC制御部161は、システム全体の下り合計レートが最大化するような波長の組み合わせ、及び、OSU110の下りFECの設定を決定できれば、いかなるアルゴリズムを用いてもよい。適応FEC制御部161が、下り伝送レートが高い下りFEC OFFのOSU110の数を増やし、かつ、下り伝送レートが低い下りFEC OFFのOSU110の数を減らせば、システム全体の下り合計レートを最大化し、システム全体の性能を向上できる。
以下にアルゴリズムの例を示す。演算時間が特に問題にならないのであれば、適応FEC制御部161は、ONU20に割り当てる波長のすべての組み合わせを生成する。なお、適応FEC制御部161は、一つのOSU110に接続するONU20の数の上限数が定められる場合、一つの波長に割り当てられたONU20の数が一つのOSU110の上限数を越えるような組み合わせを除外してもよい。
そして、適応FEC制御部161は、下りFEC ONが必要なONU20が一つでも割り当てられた波長のOSU110を、下りFEC ONのOSU110であると定め、それ以外のOSU110を、下りFEC OFFのOSU110であると定める。
そして、適応FEC制御部161は、下りFEC ONのOSU110による下り伝送レートと、下りFEC OFFのOSU110による下り伝送レートとの総和である下り合計レートを算出し、算出した下り合計レートが最大となる波長の組み合わせを、下りFEC OFFに設定可能なOSU110の数を最大化するような波長の組み合わせに決定する。
なお、適応FEC制御部161は、OSU110が下りFEC ONに設定された場合の下り伝送レートと、OSU110が下りFEC OFFに設定された場合の下り伝送レートとをあらかじめ保持する。
ステップS103の後、適応FEC制御部161は、決定した波長の組み合わせ及びOSU110の下りFECの設定状況が、現在の設定と異なるか否かを、ONU管理テーブル166及びFEC管理テーブル165を参照し判定する(S104)。適応FEC制御部161は、異なる場合、S105に移り、それ以外の場合、図7に示す処理を終了する(S109)。
次に、ステップS103で決定した波長の組み合わせ及びOSU110の設定に変更した場合、適応FEC制御部161は、下り合計レートが改善するかを判定する(S105)。具体的には、現在の設定(ONU管理テーブル166及びFEC管理テーブル165を参照)における下り合計レートよりも、ステップS103において決定した組み合わせによる下り合計レートが大きい場合、適応FEC制御部161は、ステップS106に移り、それ以外の場合、図7に示す処理を終了する(S109)。
ステップS106において、DWA制御部162は、ステップS103において決定した組み合わせに変更するために、波長が変更になるONU20を決定し、該当するONU20に対する波長切替指示を出す。その後、DWA制御部162が波長切替終了の通知を受信した場合、適応FEC制御部161は、S107に移る。
ステップS106の後、適応FEC制御部161は、ステップS103において決定したFECの設定に変更するようOSU110に指示する(S107)。具体的には、適応FEC制御部161は、OSU110のPHY処理部130に対して送信側のPHYヘッダの値とFECエンコーダ132の動作とを切替える指示を出す。ここで、トラフィック制御部163は、変更後の下りFEC適用状態にあった帯域に設定する指示を、NNI部180に出す。
ステップS107の後、適応FEC制御部161は、ONU管理テーブル166及びFEC管理テーブル165の値を、ステップS103において決定された波長の組み合わせ及びFECの設定に更新する(S108)。適応FEC制御部161は、更新処理が終わると、図7に示す処理を終了する(S109)。
図7に示す処理により、OLT制御部160は、ONU20毎の通信品質に基づいて、下り合計レートが最大になるようなONU20の波長及びOSU110の下りFECの設定を決定し、変更することが可能である。
(波長割当てアルゴリズム)
前述の例において、適応FEC制御部161が、ONU20の波長を決定する際に、ONU20の設定波長の全パターンに対して、下りFEC OFFに設定されたOSU110数、又は、下り合計レートを算出し、下り合計レートが最大となるパターンを選択するアルゴリズムを説明した。
このアルゴリズムを用いた場合、下り合計レートが最大となるパターンが複数存在する可能性がある。複数のパターンが存在する場合、適応FEC制御部161は、各波長での下り通信の実効レートをその波長に属するONU20の数で割った平均下り実効レートを算出し、算出した平均下り実行レートの波長間の差が最小になるパターンを選択してもよい。また、適応FEC制御部161は、波長を切り替える回数が最小となるパターンを選択してもよい。
また、全パターンから一つ選択するアルゴリズムを説明したが、これに限定されない。
具体的には、適応FEC制御部161は、より少ない演算量でONU20の波長を決定するアルゴリズムを用いてもよい。具体的には、適応FEC制御部161は、下りFEC OFFで通信可能なグループAと下りFEC OFFで通信不可能なグループBにONU20を分類し、グループAとグループBとが混在する波長が一つ又は0になるようにONU20の波長を割り当ててもよい。
ここで、例えば、グループAのONU20が60台、グループBのONU20が4台ある場合、適応FEC制御部161は、グループBのONU20の波長を同じ波長(例えばλ1)に設定し、各波長における平均実効レートの差が小さくなるように(所定の差の範囲に含まれるように)各波長に所属するONU20数を決定し、そのONU20数に基づいてグループBのONU20の波長を割り当ててもよい。
また、別の例として、適応FEC制御部161は、OSU110が正常に通信するONU20の上限数を用いて、グループAのONU20のみを収容する下りFEC OFFのOSU110を決定してもよい。そして、適応FEC制御部161は、同じく、グループBのONU20のみを収容する下りFEC ONのOSU110を決定してもよい。
そして、グループAのONU20及びグループBのONU20の中で、OSU110の上限数に収まらないONU20がある場合、適応FEC制御部161は、グループAのONU20とグループBのONU20とが混在して収容されるOSU110を定め、これを下りFEC ONのOSU110に決定してもよい。
(波長割当てシーケンス)
図8は、実施例1の波長の動的割当て処理を示すシーケンス図である。
なお、図8に示す処理において、OLT10には、ONU20#1〜ONU20#64の64台が接続されており、図7に示す処理の結果、ONU20#1の波長が切り替えられ、かつ、OSU110#1の下りFECの設定が変更される。また、OLT10は、周期的に下りBER値をONU20から取得し、図7に示す処理を実行する。以下では、時系列順に処理を示す。
まず、OLT制御部160が、所定の周期に達したなどのトリガーを検出した場合、適応FEC制御部161は、下りBER値の測定を要求するメッセージであるDS−BER REQUESTを、登録されている全ONU20に送信する(SIG101−1〜SIG101−64)。図8に示すSIG101−1〜SIG101−64において、ONU20#1〜ONU20#64が既に登録されているため、適応FEC制御部161は、これらのONU20にDS−BER REQUESTを送信する。
次に、ONU20#1〜ONU20#64がDS−BER REQUESTを受信した場合、BER管理部251は、下りBER値を測定し、測定した下りBER値を通知するメッセージであるDS−BER REPORTをOLT10に送信する(SIG102−1〜SIG102−64)。
次に、OLT10が全ONU20からDS−BER REPORTを受信した場合、適応FEC制御部161は、これらのメッセージから取得した各ONU20の下りBER値と、図7に示す処理とによって、各ONU20に割り当てる波長を決定し、下りFECの設定を変更するOSU110を決定する(190)。ここで、波長を切り替えるONU20は、ONU20#1である。
次に、OLT10のDWA制御部162は、波長切替対象のONU20#1に対して、波長切替指示メッセージであるλ−tuning REQUESTを送信する(SIG103)。ONU20#1の波長可変光送受信器210は、λ−tuning REQUESTを受信した場合、受信したメッセージに従い波長を調整する。波長制御部252は、波長の調整が終了した場合、波長切替終了を通知するメッセージであるλ−tuning REPORTを、OLT10に送信する(SIG104)。
次に、OLT10の適応FEC制御部161は、波長切替対象となるONU20#1の波長切替の終了を確認した場合、OLT10内のOSU110#1に指示を出し、OSU110#1の下りFECの適用の設定を変更する。
この波長切替シーケンスによれば、OLT10は、ONU20から下りBER値を取得し、取得した下りBER値に基づいてONU20波長を決定し、ONU20の波長切替及び下りFECの設定の変更を実行することができる。
(DS−BERメッセージフォーマット)
DS−BER REQUESTとDS−BER REPORTとの中に格納する情報に関して説明する。
DS−BER REQUESTは、下りBER値を要求する内容のメッセージタイプを含めばよく、他の内容を含むフィールドを含んでもよい。
DS−BER REPORTは、下りBER値を通知するメッセージタイプに加え、下りBER値又はそれに相当する値を含めばよく、他の内容を含むフィールドを含んでもよい。例えば、DS−BER REPORTは、下りBER値を格納する代わりに、ONU20が測定した受信ビット数及び誤りビット数を格納してもよい。
(波長割当て時の処理及び具体例)
実施例1の具体例について、従来例と比較して述べる。ここでは、OLT10が備えるOSU110数は4台であり、OLT10に接続されるONU20数は64台である。そして、ONU20#1〜#4の4台が、下り通信において下りFEC OFFによって通信できる限界(下りFEC OFF限界)を超えた位置に設置され、ONU20#5〜#64の60台が下りFEC OFF通信限界よりOLT10に近い位置に設置される。
また、OSU110が下りFEC ONである際の下り伝送レートは、8.7Gbpsであり、OSU110が下りFEC OFFである際の下り伝送レートは、10Gbpsである。
図22は、従来例の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
図22は、ONU20の通信品質を考慮せずに波長が割り当てられる場合の下り伝送レートを示す。例えば、図22において、ONU20#1が波長λ1に割り当てられ、ONU20#2が波長λ2に割り当てられ、ONU20#3が波長λ3に割り当てられ、ONU20#4が波長λ4に割り当てられる。
また、ONU20#5〜#19が波長λ1に割り当てられ、ONU20#20〜#34が波長λ2に割り当てられ、ONU20#35〜#49が波長λ3に割り当てられ、ONU20#50〜#64が波長λ4に割り当てられる。この場合、すべての波長(OSU110)に、下りFEC OFF限界を超えた位置に設置されるONU20が1台ずつ割り当てられる。
このため、OSU110#1〜110#4は、すべて、下りFECをONにして通信する必要が生じる。従って、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110数は0台であり、下りFEC ONを下り通信に適用するOSU110数は4台である。この結果、下り合計レートは34.8Gbps(=8.7Gbps×4台)である。
図9は、実施例1の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
図7に示す処理を実行した場合、適応FEC制御部161は、ONU20の通信品質を考慮し、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110数が最大化するように波長が割り当てられる。図7に示す処理の結果、適応FEC制御部161は、ONU20#1〜#16に波長λ1を割り当て、ONU20#17〜#32に波長λ2を割り当て、ONU20#33〜#48に波長λ3を割り当て、ONU20#49〜#64に波長λ4を割り当てる。
そして、波長λ1のOSU110#1には、下りFEC OFF限界を超えた位置に設置されるONU20が4台所属し、他のOSU110#2〜#4には、下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置されるONU20のみが所属する。このため、OSU110#1は、下りFEC ONを下り通信に適用する必要があるが、OSU110#2〜#4は、下りFEC OFFを下り通信に適用できる。
従って、下りFEC OFFに設定されるOSU110数は3台であり、下りFEC ONに設定されるOSU110数は1台である。その結果、図9における下り合計レートは、38.7Gbps(=8.7Gbps×1台+10Gbps×3台)であり、図22に示す下り合計レートよりも、下り伝送レートが11.2%向上する。
このように、実施例1によれば、下りFEC OFFで動作するOSU110数を増加させ、システム全体の下り伝送レートを向上できる。
実施例1では、すべてのOSU110の光送受信器120が同一の性能であることを想定し、ONU20毎の下り通信品質に基づいて、下りFEC ONで通信する必要があるONU20を集約するように、各ONU20の波長を割り当てた。
しかし、OSU110毎に光送受信器120の出力パワー及び消光比が異なる場合、下りFEC OFF限界がOSU110毎に異なる。実施例2では、ONU20毎の通信品質に加え、OSU110毎の光送受信器120の性能に基づいて、ONU20に割り当てる波長を決定する。以下では、実施例1との差分を中心に説明する。
(実施例2のONU管理テーブル166b)
図10は、実施例2のONU管理テーブル166bを示す説明図である。
ONU管理テーブル166bは、実施例1のONU管理テーブル166aと同じく、OLT制御部160が有する。実施例1において、OSU110毎の光送受信器120の性能差及び通信路による損失の差がなく、すべてのOSU110の下りBERは同じであった。このため、ONU管理テーブル166aは、ONU20の一つの識別子に一つの下りBER値を有する。
実施例2には、OSU110の光送受信器120の性能差及び通信路による損失等の差がある。このため、ONU管理テーブル166bは、ONU20の一つの識別子に、OSU110毎の下りBER値を含む。具体的には、ONU管理テーブル166bは、ONU管理テーブル166aと同じく、ONU−ID1661及び波長ID1663を含む。
そして、ONU管理テーブル166bは、複数の下りBER値を含むDS−BER1662bを含む。図10に示すDS−BER1662bは、OSU110#1と接続した時の下りBER値(DS−BER#1)、OSU110#2と接続した時の下りBER値(DS−BER#2)、OSU110#3と接続した時の下りBER値(DS−BER#3)、及び、OSU110#4と接続した時の下りBER値(DS−BER#4)を含む。
なお、例えば、適応FEC制御部161は、ONU20が初期登録される際、初期登録されるONU20とすべてのOSU110とを接続することによって、下りBER値を測定し、ONU管理テーブル166bのDS−BER1662bに測定値を入力してもよい。また、適応FEC制御部161は、ONU20が端末50にサービスを提供する前に、事前に取得した測定値を、DS−BER1662bに入力してもよい。
さらに、適応FEC制御部161は、ONU20と特定のOSU110のみとの接続における下りBER値を取得し、OSU110の光送受信器120の性能に基づいて、他のOSU110における下りBER値を推定し、推定した下りBER値をDS−BER1662bに入力してもよい。
例えば、DWA制御部162が、最も性能の低いOSU110(ここでは例えば、OSU110#4)のみでディスカバリを実行し、適応FEC制御部161は、新規に登録されるONU20(新ONU20)は、OSU110#4と新ONU20との間で下りBER値を測定する。ここで測定される下りBER値は、すべてのOSU110の中で最も大きい(通信品質の悪い)値である。
このため、適応FEC制御部161は、新ONU20及びOSU110#4の間の下りBER値と、光送受信器120の性能差と、ONU20の光送受信器120で想定される下りBER値と、受光パワーの対応とに基づいて、他のOSU110における下りBER値を推定してもよい。
なお、OSU110#4と新ONU20との間の下りBER値がゼロである場合、適応FEC制御部161は、他のOSU110と新ONU20との間の下りBER値もゼロであると推定する。また、適応FEC制御部161は、ONU20によって測定された受光パワーレベル、アイ開口、又は、OSNRを、下りBER値の代わりにONU管理テーブル166bに格納してもよい。
また、OLT10及びONU20間の通信路は波長によって異なるがOSU110毎の光送受信器120の性能は同一である場合、適応FEC制御部161は、通信品質の代わりに、距離を表すラウンドトリップタイムを、ONU管理テーブル166bに格納してもよい。
(実施例2のOLT制御部160のフローチャート)
実施例2のOLT制御部160による処理のフローは、実施例1の図7と同様であるが、以下に各ステップにおける処理の相違点を説明する。実施例2における適応FEC制御部161は、ステップS101において、一つのOSU110の下りBER値ではなく、すべてのOSU110とONU20とが接続した時の下りBER値を取得する。
ステップS102において、適応FEC制御部161は、ステップS101において取得したONU20毎かつOSU110毎の下りBER値に基づいて、OSU110の各々がONU20と下りFEC OFFで通信可能か否かを判定する。ここで、適応FEC制御部161は、OSU110ごとの所定の閾値と、下りBER値とを比較することにより、下りFEC OFFで通信可能か否かを判定する。
ステップS103において、適応FEC制御部161は、実施例1と同じ処理を実行するが、波長の組み合わせ及び下りFECの設定を決定する際に、図10に示すONU管理テーブル166bを用いる。ここで、適応FEC制御部161は、すべてのOSU110と下りFEC OFFでは通信できないONU20に割り当てられる波長の数を最少にし、いずれかのOSU110と下りFEC OFFで通信できるONU20に割り当てられる波長の数を最大にするように、波長の組み合わせ及び下りFECの設定を決定する。
また、適応FEC制御部161は、いずれかのOSU110と下りFEC OFFで通信できるONU20に、以下の方法で波長を割り当ててもよい。
すなわち、適応FEC制御部161は、下りFEC OFFで通信可能であると判定されたOSU110の中から、最も性能の低いOSU110の波長をOLT10に割り当てると決定してもよい。これにより、適応FEC制御部161は、下りFEC OFFを設定するOSU110間で、ONU20を分散して割り当てることができ、OSU110ごとの実効レートを向上することができる。
実施例2におけるステップS104からステップS109までの処理は図7に示す処理と同じである。
実施例2における処理によれば、同じONU20でもOSU110毎に下り通信品質が異なる場合においても、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110数を最大化するように波長を割り当て可能である。
(実施例2の波長割当てシーケンス)
実施例2の波長切替シーケンスは、図8に示すシーケンスと同様である。ただし、実施例2において、適応FEC制御部161は、OSU110とONU20とのすべての組み合わせ分の下りBER値を取得する。このため、適応FEC制御部161は、SIG101のDS−BER REQUESTを送信することにより、OSU110台数分の下りBER値を要求し、ONU20は、DS−BER REPORTによってOSU110台数分の下りBER値を通知する。
(実施例2のONU20)
実施例2のONU20のBER管理部251は、OSU110毎の下りBER値を測定し、保持する機能を有する。また、実施例2のBER管理部251は、複数のOSU110の下りBER値の要求(DS−BER REQUEST)を受信し、かつ、複数のOSU110の下りBER値を通知するメッセージ(DS−BER REPORT)を送信する。
(実施例2のOLT10)
実施例2のOLT10の適応FEC制御部161は、OSU110数毎の下りBER値をONU管理テーブル166bに格納する機能を備える。また、複数OSU110分のDS−BER REQUESTを送信し、及び複数OSU110分のDS−BER REPORTを受信する。
(実施例2の波長割当て時の処理及び具体例)
実施例2の処理の例を以下に示す。ここでは、OLT10が備えるOSU110は4台であり、OLT10に接続されるONU20は64台である。また、OSU110#1、OSU110#2、OSU110#3及びOSU110#4の順に性能は低い。
ONU20#1〜#16の16台が、OSU110#1との通信における下りFEC OFF通信限界と、OSU110#2との通信における下りFEC OFF通信限界との間に設置される。
また、ONU20#17〜#32の16台が、OSU110#2との通信における下りFEC OFF限界と、OSU110#3との通信における下りFEC OFF限界との間に設置される。また、ONU20#33〜#48の16台が、OSU110#3との通信における下りFEC OFF限界と、OSU110#4との通信における下りFEC OFF限界との間に設置される。また、ONU20#49〜#64の16台が、OSU110#4との通信における下りFEC OFF限界よりもOLT10に近い位置に設置される。
また、OSU110が下りFEC ONを下り通信に適用する場合、下り通信の伝送レートは8.7Gbpsであり、OSU110が下りFEC OFFを下り通信に適用する場合、下り通信の伝送レートは10Gbpsである。
図23は、従来例のOSU110に性能の違いがある場合の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
図23に示すONU20には、ONU20の通信品質、並びに、OSU110毎の光送受信器120の性能差が考慮されずに、波長が割り当てられる。その結果、ONU20#1〜#16が波長λ2に割り当てられ、ONU20#17〜#32が波長λ3に割り当てられ、ONU20#33〜#48が波長λ4に割り当てられ、ONU20#49〜#64が波長λ1に割り当てられる。
この場合、ONU20#1〜#16は波長λ2が割り当てられ、OSU110#2の下りFEC OFF限界よりOLT10から遠距離に設置される。このため、OSU110#2は、下りFEC ONである必要が生じる。また、ONU20#17〜#32は、波長λ3が割り当てられ、OSU110#3の下りFEC OFF限界よりOLT10から遠距離に設置される。このため、OSU110#3は、下りFEC ONである必要が生じる。
また、ONU20#33〜#48は波長λ4が割り当てられ、OSU110#4の下りFEC OFF限界より遠距離に設置されるため、OSU110#4は、下りFEC ONである必要が生じる。また、ONU20#49〜#64は波長λ1であり、OSUI110#4の下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置される。一方で、OSU110#1は、下りFEC OFFを下り通信に適用できる。
従って、下りFEC OFFであるOSU110の数は、1台であり、下りFEC ONであるOSU110の数は、3台である。その結果、下り合計レートは36.1Gbps(=8.7Gbps×3+10Gbps×1)である。
図11は、実施例2の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
実施例2の適応FEC制御部161は、ONU20の通信品質、並びに、OSU110毎の光送受信器120の性能差を考慮し、下りFEC OFFであるOSU110数を最大化するように波長を割り当てる。この結果、適応FEC制御部161は、ONU20#1〜#16に波長λ1を割り当て、ONU20#17〜#32に波長λ2を割り当て、ONU20#33〜#48に波長λ3を割り当て、ONU20#49〜#64に波長λ4を割り当てる。
この場合、ONU20#1〜#16は、波長λ1が割り当てられ、OSU110#1の下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置される。このため、OSU110#1は、下りFEC OFFを下り通信に適用できる。また、ONU20#17〜#32は、波長λ2が割り当てられ、OSU110#2の下りFEC OFF限界より近い位置に設置される。このため、OSU110#2は、下りFEC OFFを下り通信に適用できる。
また、ONU20#33〜#48は波長λ3が割り当てられ、OSU110#3の下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置される。このため、OSU110#3は、下りFEC OFFを下り通信に適用する。また、ONU20#49〜#64は、波長λ4が割り当てられ、OSU110#4の下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置される。このため、OSU110#4は、下りFEC OFFを下り通信に適用できる。
従って、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110の数は4台であり、下りFEC ONを下り通信に適用するOSU110の数は0台である。その結果、下り合計レートは40.0Gbps(=10Gbps×4)である。従って、従来例に比べ下り合計レートは、10.8%だけ向上する。
このように、実施例2によれば、一つのONU20においてもOSU110毎に下り通信品質が異なる場合においても、下りFEC OFFであるOSU110の数を最大化するように波長を割り当てでき、その結果、下りの伝送レートを向上できる。
実施例1では、ONU20の通信品質のみに基づいて各ONU20へ割り当てる波長の組み合わせ及び下りFECの設定を決定していた。特定の波長に多数のONU20が割り当てられた場合、所属する波長によって利用できる帯域に不公平が生じる。そこで、実施例3では、ONU20の通信品質に加えて、ONU20の下りトラフィック量に基づいて各ONU20への波長割り当てを決定する。
(実施例3のONU管理テーブル166c)
図12は、実施例3のONU管理テーブル166cを示す説明図である。
実施例3のONU管理テーブル166cは、ONU−ID1661c、DS−BER1662c、下りトラフィック量1664c及び波長ID1663cを含む。ONU−ID1661c、DS−BER1662c、及び、波長ID1663cは、実施例1のONU−ID1661a、DS−BER1662a、及び、波長ID1663aと同じである。
下りトラフィック量1664cは、OLT10からONU20へ送信されるトラフィックの量である。
例えば、ONU20#1から取得された下りBER値は、1×10−4であり、ONU20#1宛てのトラフィック量は1000であり、ONU20#1に割り当てられる波長はλ1である。
適応FEC制御部161は、ONU20が新規に登録された場合、ONU管理テーブル166cのエントリを追加する。適応FEC制御部161は、各ONU20から下りBER値を測定する度に本テーブルの値を更新する。実施例1では、OLT制御部160はこのテーブルのONU−ID1661cとDS−BER1662cとに基づいて、各ONU20に割り当てる波長(波長ID)を決定する。なお、下りトラフィック量1664cは、バイト単位で測定された値を格納してもよいし、フレーム数で測定された値を格納してもよい。
なお、実施例3のOLT10は、ONU20毎の下りトラフィックを測定する必要がある。実施例3のNNI部180は、下りトラフィックを測定するカウンタを有してもよいし、実施例3のOSU110のMAC処理部140がカウンタを有してもよい。OLT制御部160は、これらのカウンタ値を取得し、ONU管理テーブル166cの下りトラフィック量1664cに格納する。
(実施例3のOLT制御部160のフローチャート)
図13は、実施例3のOLT制御部160による処理を示すフローチャートである。
実施例3におけるOLT制御部160は、実施例1と同一の処理に加えて、トラフィック量に基づいた波長割当て処理を実行する。具体的には、OLT制御部160は、今回実行する処理が、下りFECの設定を決定するFEC制御フェーズであるか否かを判定する(S300)。例えば、OLT制御部160は、1000回に1回、FEC制御フェーズであると判定し、残りの999回、FEC制御フェーズでないと判定する。
OLT制御部160がFEC制御フェーズであると判定した場合、適応FEC制御部161は、実施例1の図7に示す処理(ステップS101〜ステップS108)を実行する。
そして、OLT制御部160がFEC制御フェーズでないと判定した場合、DWA制御部162は、トラフィック量に基づいた波長割当て処理を実行する。具体的には、DWA制御部162は、ONU管理テーブル166cのDS−BER1662cを参照し、下りFEC OFFの設定により下り通信が可能なONU20を特定する(S309)。
次に、DWA制御部162は、ステップS309において特定したONU20の下りトラフィック量1664cに基づいて、ONU20に割り当てる波長を決定する(S310)。ここでDWA制御部162は、波長を割り当てるためにいかなる波長割当てアルゴリズムを用いてもよい。
DWA制御部162は、例えば、ステップS310において、OSU110から出力される下りトラフィック量の合計が、OSU110間で均等に(所定の範囲内に)なるように波長を割り当てるアルゴリズムを用いてもよい。これにより、ONU20間の帯域の不公平性を低減できる。
また、DWA制御部162は、システムの管理者等の指示に従って、いずれかのOSU110に、他のOSU110よりも通信するONU20を多く割り当てるように波長を割り当ててもよい。
ステップS310の後、DWA制御部162は、決定した波長に基づいて波長の切替えを実行する(S311)。次に、DWA制御部162は、ONU管理テーブル166cの波長ID1663cを決定した波長に基づいて更新する(S312)。ステップS312の後、OLT制御部160は、ステップS300の処理に戻る。
図13の処理によって、OLT制御部160は、下りBER値が良好でないONU20を特定の波長(OSU110)に集約した状態で、波長間の帯域の不公平性の解消も同時に実現することが可能である。
実施例3によれば、下りFEC OFFであるOSU110数を増加させることによって下り合計レートを向上する一方で、さらに、ONU20間の帯域の不公平性を低減する等によって、必要に応じた波長の再割当てを実現することができる。
なお、OLT制御部160は、OLT10に複数の通信品質(同じ下りFEC限界)のOSU110が備わり、かつ、一つの通信品質のOSU110が複数備わる場合、実施例2に実施例3を適用してもよい。そして、DWA制御部310は、ステップS310において、同じ通信品質のOSU110の中でONU20に割り当てる波長を変更してもよい。
実施例1のOSU110は、下りFEC ON/OFFの2種類のみに設定を切り替えた。実施例4のOSU110は、3種類の下りFEC種別を切り替えて設定する。実施例4における下りFEC種別は、下りFEC処理の強度によって定まる種別である。
ここでは下りFEC種別として、強FEC ON(Strong FEC ON)、弱FEC ON(Weak FEC ON)、及び、下りFEC OFF(OFF)の3種類のFEC強度に切り替え可能である。なお、ここではすべてのOSU110の光送受信器120が同一の性能であることを想定する。以下では、実施例1との差分を中心に説明する。
(実施例4のFEC管理テーブル165d)
図14は、実施例4のFEC管理テーブル165dを示す説明図である。
実施例4のFEC管理テーブル165dは、OSU−ID1651d及びDS−FEC1652dを含む。OSU−ID1651dは、実施例1のOSU−ID1651aと同じである。
DS−FEC1652dは、FEC強度を示す。DS−FEC1652dは、Strong FEC ON、Weak FEC ON、及び、OFFの3種類の値を格納する。
図14に示すFEC管理テーブル165dによれば、OSU110#1の下りFEC種別は強FEC ONであり、OSU110#2の下りFEC種別は弱FEC ONであり、OSU110#3、及び、OSU110#4は、下りFEC OFFを下り信号に適用する。なお、この例では、下りFEC種別が3種類の場合を示したが、DS−FEC1652dは、N種類の下りFEC種別を示す値を格納してもよい。
(実施例4のOLT制御部160のフローチャート)
図15は、実施例4のOLT制御部160の処理を示すフローチャートである。
実施例4の適応FEC制御部161は、図15に示すとおり、実施例1の図7に示す処理と同様の処理を実行する。図15に示すステップS101、ステップS104〜ステップS109と、図7に示すステップS101、ステップS104〜ステップS109とは同じである。以下に、図15に示す処理と図7に示す処理との違いを説明する。
適応FEC制御部161は、ステップS101において取得したBER(i)に基づいて、ONU20#iが強FEC ON、弱FEC ON、又は、FEC OFFで通信可能か否かを判定する(S402)。
適応FEC制御部161は、例えば、BER(i)が所定の閾値1よりも小さい場合、当該BER(i)が取得されたONU20は、下りFEC OFFで通信可能であると判定する。また、BER(i)が所定の閾値1と所定の閾値2との間にある場合、適応FEC制御部161は、当該BER(i)が取得されたONU20は、弱FEC ONで通信可能であると判定する。また、適応FEC制御部161は、BER(i)が閾値2より大きい場合、当該BER(i)が取得されたONU20は、強FEC ONで通信可能であると判定する。
ステップS402の後、適応FEC制御部161は、各ONU20がどの下りFEC種別で通信可能かに基づいて、下り合計レートを最大化するONU20の波長の組み合わせ及びOSU110における下りFECの設定を決定する(S403)。ステップS403において決定される下りFECの設定は、下りFEC種別である。
この組み合わせを決定するアルゴリズムはどのようなものでも構わない。例えば、演算時間が特に問題にならないのであれば、各ONU20に設定する波長の全組み合わせに関して、下り通信の合計レートを算出し、下り合計レートが最大となるものを選択するアルゴリズムでも構わない。
適応FEC制御部161は、強FEC ONで通信可能なONU20に割り当てる波長を最少にし、かつ、弱FEC ONで通信可能なONU20に割り当てる波長の数を最少にし、かつ、FEC OFFで通信可能なONU20に割り当てる波長の数を最大にすることによって、下り合計レートが最大となる波長の組み合わせ及びFECの設定を決定する。
また、適応FEC制御部161は、ステップS403において、通信可能な下りFEC種別に従ってグループ分けをし、一つのOSU110が通信可能なONU20の上限数によって、各々のグループを分割することによって、ONU20に割り当てる波長を決定してもよい。ここで、適応FEC制御部161は、異なるグループのONU20が一つの波長に割り当てられるパターンを極力減らすように、波長を決定する。
なお、実施例4のステップS104において、適応FEC制御部161は、強FEC ONで通信可能であるONU20が一つでも割り当てられたOSU110を、強FEC ONに設定することを決定する。実施例4のステップS107において、適応FEC制御部161は、ステップS403において決定した下りFEC種別を、OSU110に指示する。
図15に示すフローチャートによれば、OSU110において下り誤り訂正符号が3種類切替可能な場合においても、下り通信の合計レートを最大化するように波長を割り当てることが可能である。なお、ここでは、一例として3種類の場合で説明したが、4種類以上の場合でも同様に適用が可能である。
(実施例4の波長割当てシーケンス)
実施例4の波長切替シーケンスは実施例1の図8に示すシーケンスと同じである。
(実施例4のOLT10)
実施例1におけるPHY処理部130、L2SW170及びNNI部180は、2種の下りFECに対応したが、実施例4のPHY処理部130、L2SW170及びNNI部180は、OSU110の下りFEC種別の数(N個)に従った下りFECに対応する。
実施例4のPHY処理部130のPHYフレーム生成部131は、FEC profileの値としてN種類の値を格納する。PHY処理部130のFECエンコーダ132は、下りFEC ON/OFFのみだけでなく、N種類の異なる下りFECに対応する。
このため、FECエンコーダ132は、例えば、強FEC用の符号化を処理するパス、弱FEC用の符号化処理するパス、及び、符号化をスルーするパスの3種類の処理回路を備え、そのパスを適応FEC制御部161からの指示に基づいて切り替える。
また、L2SW170及びNNI部180は、それぞれ強FEC時、及び、弱FEC時、下りFEC OFF時のレートにあったトラフィック制御機能を備える。
実施例4のFECエンコーダ132は、例えば、リードソロモン(255、223)のエンコーダとリードソロモン(255、239)のエンコーダを搭載してもよい。これ以外の方法には、FEC CW36の数の繰り返し送信数を変える、FEC CW36内のパリティ情報を間引く等によって誤り訂正能力の異なる下りFECを実現してもよい。
(実施例4のONU20)
実施例1におけるPHY処理部130においては下りFEC ONと下りFEC OFFの2種の切り替えに対応していたが、実施例4のONU20は、N種類の下りFECに対応する。
PHY処理部130のPHYフレーム終端部233は、N種類のFEC profileの値を解析可能である。また、PHY処理部130のFECデコーダ134は、下りFEC ON/OFFのみでなく、3種類の異なる下りFECに対応するため、例えば、強FEC用の復号化を処理するパス、弱FEC用の復号化を処理するパス、及び、復号化をスルーするパスの3種類の処理回路を有し、PHYフレーム終端部233で解析したFEC profileの値に基づいてそのパスを切り替える。
実施例4のFECデコーダ134は、例えば、リードソロモン(255、223)のFECデコーダ134とリードソロモン(255、239)のFECデコーダ134とを備えてもよい。また、実施例4のFECデコーダ134は、FEC CW36数の繰り返し送信数を変える、又は、FECコードワード内のパリティ情報を間引く等によって誤り訂正能力の異なる下りFECに対応してもよい。
(実施例4の波長割当て時の処理及び具体例)
実施例4の具体例について、従来例と比較して述べる。ここでは、OLT10が備えるOSU110数は4台であり、OLT10に接続されるONU20数は16台である。ONU20#1〜#4の4台が弱FEC ONによる通信の限界の位置(弱FEC通信限界)よりOLT10から遠い距離に設置され、ONU20#5〜#8の4台が弱FEC通信限界とFEC OFFによる通信の限界の位置(下りFEC OFF限界)の間に設置され、ONU20#9〜#16の4台が下りFEC OFF限界よりOLT10に近い位置に設置される。
また、OSU110が強FEC ONを下り通信に適用する際の下り伝送レートは、8.7Gbpsであり、弱FEC ONを下り通信に適用する際の下り伝送レートは9.4Gbpsであり、下りFEC OFFを下り通信に適用する際の下り伝送レートは10Gbpsである。
図24は、従来例の通信品質を考慮しない波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
図24において、ONU20#1、#5、#9、#13は波長λ1に割り当てられ、ONU20#2、#6、#10、#14は波長λ2に割り当てられ、ONU20#3、#7、#11、#15は波長λ3に割り当てられ、ONU20#4、#8、#12、#16は波長λ4に割り当てられる。
ONU20#1は、波長λ1が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、弱FEC通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#1は、強FEC ONを下り通信に適用する必要が生じる。
ONU20#2は、波長λ2が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、弱FEC通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#2は、強FEC ONを下り通信に適用する必要が生じる。
ONU20#3は、波長λ3が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、弱FEC通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#3は、強FEC ONを下り通信に適用する必要が生じる。
ONU20#4は、波長λ4が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、弱FEC通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#4は、強FEC ONを下り通信に適用する必要が生じる。
従って、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110数は0台であり、下りFEC ONを下り通信に適用するOSU110数は4台である。その結果、下り合計レートは34.8Gbps(=8.7Gbps×4)である。
図16は、実施例4の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
実施例4における適応FEC制御部161は、ONU20の通信品質を考慮し、下り合計レートを最大化するように波長を割り当てる。その結果、適応FEC制御部161は、ONU20#1〜#4に波長λ1を割り当て、ONU20#5〜#8に波長λ2を割り当て、ONU20#9〜#12に波長λ3を割り当て、ONU20#13〜#16に波長λ4を割り当てる。
この場合、ONU20#1〜#4はいずれも弱FEC通信限界よりもOLT10から遠距離にあるため、OSU110#1は強FEC ONを下り通信に適用する。また、ONU20#5〜#8は、いずれも弱FEC通信限界と下りFEC OFF限界との間にあるため、OSU110#2は弱FEC ONを下り通信に適用する。
また、ONU20#9〜#16はいずれも下りFEC OFF限界よりもOLT10に近い距離にあるため、OSU110#3及びOSU110#4は下りFEC OFFを下り通信に適用する。
従って、下りFEC OFFを下り通信に適用するOSU110数は2台であり、弱FEC ONを下り通信に適用するOSU110数は1台であり、強FEC ONを下り通信に適用するOSU110数は1台である。その結果、下り合計レートは38.1Gbps(10Gbps×2+9.4Gbps×1+8.7Gbps×1)となる。従って、従来例に比べ下りレートを10.9%だけ向上できる。
このように、実施例4によれば、より大きな下りレートで通信できるよう波長の割当が可能であり、その結果、下りの伝送レートを向上できる。
なお、OLT制御部160は、実施例4に実施例3を適用してもよい。具体的には、図13に示すステップS102及びS103を、図15に示すステップS402及びS403に置き換えることによって、実施例4に実施例3を適用してもよい。
また、OLT制御部160は、実施例4に実施例2を適用してもよい。具体的には、適応FEC制御部161は、実施例2のONU管理テーブル166bを用いて、ステップS402において強FEC ONで通信可能か、弱FEC ONで通信可能か、FEC OFFで通信可能かを判定する。
そして、適応FEC制御部161は、いずれかのOSU110においてFEC OFFで通信可能なONU20には、FEC OFFで通信可能なOSU110の波長を割当てる。また、適応FEC制御部161は、すべてのOSU110と強FEC ON又は弱FEC ONで通信可能であると判定されたONU20には、弱FEC ONで通信可能なOSU110の波長を割り当てる。また、適応FEC制御部161は、すべてのOSU110と強FEC ONで通信可能であると判定されたONU20には、弱FEC ONで通信可能なOSU110の波長を割り当てる。
以上のように割り当てたうえで、適応FEC制御部161は、ステップS403において下り合計レートが最大となる波長の組み合わせ及びFECの設定を決定する。
実施例1〜4では、下りFECの設定を動的に変更可能なシステムであった。本実施例は、下りFECの設定を動的に変更する代わりに、伝送レート自体を変更可能なシステムにも適用可能である。そこで、実施例5におけるOLT10は、2種類の下りの伝送レート(R_high、R_low)を選択可能なシステムにおいて、高い伝送レートR_highによって処理するOSU110数が多くなるように波長割当てを実行する。
(実施例5のOLT10)
図17は、実施例5のOLT10の構成を示すブロック図である。
図2に示す実施例1のOLT10と図17に示す実施例5のOLT10との差分を以下に示す。すなわち、実施例5のOLT10は、OSU110がレート可変光送受信器125を備える点と、OLT制御部160に適応レート制御部164及びレート管理テーブル167を備える点が、実施例1のOLT10と相違する。それ以外の点において、実施例1のOLT10と実施例5のOLT10とは同じである。
レート可変光送受信器125は、送信及び受信側の伝送レートを動的に変更が可能な光送受信器である。例えば、レート可変光送受信器125は10Gbpsと2.5Gbpsとの伝送レートを切り替え可能である。レート可変光送受信器125は、例えば、複数の伝送レートで動作が可能な光送受信器を備え、それらを選択して光信号を送受信することで、伝送レートを切り替え可能である。
または、レート可変光送受信器125は、光伝送に用いる変調方式、シンボルレート、及び、サブキャリア数を切り替えることで伝送レートを切り替えてもよい。なお、レート可変光送受信器125は、OFDM信号を用いている場合にサブキャリア数を切り替える。
適応レート制御部164は、ONU20毎の通信品質及び距離を取得し、それらに基づいて通信可能な下り伝送レートを判定し、判定した結果に基づいてOSU110への下り伝送レートの変更の指示を出す。なお、下り伝送レートを、変調方式、シンボルレート、及び、サブキャリア数の変更によって切り替える場合、適応レート制御部164が、それらの情報の変更指示を出してもよい。
(実施例5のONU20)
図18は、実施例5のONU20の構成を示すブロック図である。
実施例5のONU20は、実施例1のONU20と同じく、MAC処理部240、及び、ONU制御部250を有する。また、実施例5のONU20は、実施例1の波長可変光送受信器210及びPHY処理部230と異なり、波長・レート可変光送受信器215及びPHY処理部235を有する。
PHY処理部235は、PHYフレーム生成部236、FECエンコーダ237、PHYフレーム終端部238、及び、FECデコーダ239から構成される。以下、実施例5の各装置及び各処理部の機能を実施例1との差分を中心に説明する。
波長・レート可変光送受信器215は、送信波長及び受信波長をそれぞれ個別に調整可能であり、かつ、複数の伝送レートの光信号を選択して送受信可能な光送受信器である。実施例1においてレートは固定であったが、波長・レート可変光送受信器215は、実施例5において伝送レートを変えられる。
波長・レート可変光送受信器215は、例えば、2種類のレートで送受信可能な光送受信器を備えそれらを選択して利用することで伝送レートを変更できる。または、波長・レート可変光送受信器215は、光区間の送受信で利用する変調方法を変更可能な光送受信器を用いることで、伝送レートを変更してもよい。
また、波長・レート可変光送受信器215は、受信レートを検出可能な回路を備え、その検出回路に基づいて光受信器の処理を切り替えることにより、伝送レートを変更する。
なお、ここでは、波長・レート可変光送受信器215は、内部にレートを検出する回路を備え、波長・レート可変光送受信器215自ら伝送レートを切り替えるが、必ずしもこれに限定されない。例えば、ONU制御部250から伝送レートの切替指示を出してもよい。ただし、この場合、ONU制御部250は、OLT10から下り伝送レートの切替指示を事前に受信する必要がある。
実施例5のONU20の構成によれば、波長可変光送受信器210の送信部の波長と受信部の波長とを、OLT10から受信した波長切替制御フレームに基づいて切り替えることができる。また、実施例5のONU20は、下りのBERを測定し、OLT10に通知することが可能である。また、実施例5のONU20は、異なる伝送レートの下り信号を受信可能である。
(実施例5のONU管理テーブル166)
実施例5のOLT10が備えるONU管理テーブル166は、実施例1と同一である。
(レート管理テーブル167)
実施例1のOLT制御部160は、FEC管理テーブル165を有したが、実施例5のOLT制御部160は、レート管理テーブル167を有する。レート管理テーブル167は、下り信号の伝送レートである下り伝送レートを示す。
図19は、実施例5のレート管理テーブル167を示す説明図である。
レート管理テーブル167は、OSU−ID1671及びDSレート1672を含む。OSU−ID1671は、OSU110の識別子を示す。DSレート1672は、下り伝送レートを示す。
図19に示すレート管理テーブル167によれば、OSU110#1の下り伝送レートがR_lowであり、OSU110#2〜#4の下り伝送レートがR_highである。R_lowは低い下り伝送レートを示し、R_highは高い下り伝送レートを示す。
(実施例5のOLT制御部160のフローチャート)
図20は、実施例5のOLT制御部160の処理を示すフローチャートである。
図20に示す処理は、実施例1の図7に示す処理に相当する。しかし、図20に示す処理は、適応レート制御部164によって主に実行される。実施例1と実施例5との処理の差分は、実施例1の適応FEC制御部161は、下りFECの設定を決定したが、実施例5の適応レート制御部164は、下り伝送レートを決定する点である。以下、実施例5における各ステップについて説明する。
適応レート制御部164は、図7のステップS101と同じく、ONU20#iの下り計測ビット誤り率であるBER(i)を取得する(S501)。
次に、適応レート制御部164は、取得したBER(i)の値に基づいてONU20#iがR_highで通信可能かR_lowで通信可能かを判定する(S502)。ここでは、適応レート制御部164は、例えば、BER(i)が予め設定した所定の閾値よりも小さい場合にR_highで通信可能であり、大きい場合R_lowで通信可能であると判定する。
次に、適応レート制御部164は、各ONU20がR_highで通信可能であるか否かに基づいて、R_highであるOSU110数(波長数)を最大化するONU20の波長の組み合わせ及びOSU110における伝送レートの設定を決定する(S503)。この組み合わせを決定するアルゴリズムはどのようなものでも構わない。例えば、演算時間が特に問題にならないのであれば、各ONU20に設定する波長の全組み合わせについて、下り合計レートを算出し、合計レートが最大となる波長の組み合わせを選択するアルゴリズムでも構わない。
次に、適応レート制御部164は、ステップS503で決定した組み合わせが現在の設定と異なるか否かを、レート管理テーブル167及びONU管理テーブル166に基づいて判定する(S504)。適応レート制御部164は、異なる場合、ステップS505に移り、それ以外の場合、図20に示す処理を終了する。
次に、適応レート制御部164は、図7に示すステップS105と同じ処理を実行する(S505)。具体的には、現在の設定(ONU管理テーブル166及びレート管理テーブル167を参照)における下り合計レートよりも、ステップS503において決定した組み合わせによる下り合計レートが大きい場合、適応レート制御部164は、ステップS506に移り、それ以外の場合、図20に示す処理を終了する(S509)。
次に、ステップS506において、DWA制御部162は、図7に示すステップS106と同じ処理を実行することにより、ONU20に波長切替指示を出す。その後、波長切替終了を受信した場合、適応レート制御部164は、S507を実行する。
適応レート制御部164は、下り伝送レートを変更するOSU110に、設定すべき下り伝送レートを指示する(S507)。具体的には、適応レート制御部164は、OSU110のレート可変光送受信器125に対して伝送レートを切替える指示を出す。また、ここで、トラフィック制御部163は、NNI部180に、設定変更後の伝送レートにあった帯域に設定する指示を出す。
ステップS507の後、適応レート制御部164は、レート管理テーブル167とONU管理テーブル166とを、ステップS503において決定した波長の組み合わせと下り伝送レートの設定とに基づいて更新する。更新処理が終わると、フローチャートを終了する(S509)。
図20に示す処理により、ONU20毎の通信品質及び距離に基づいて、下り合計レートが最大になるようにONU20の波長の組み合わせ及びOSU110の下り伝送レートの設定を決定し、変更することが可能である。
(実施例5の波長割当てシーケンス)
実施例5のシステムにおける波長切替シーケンスは、実施例1の図8に示すシーケンスと同様である。ただし、実施例5におけるシーケンスにおいて、シーケンス190及び191における下りFECの設定の決定及び変更の処理は、下り伝送レートの設定の決定及び変更の処理に置き換えられる。
(実施例5の波長割当て時の処理及び具体例)
実施例5の具体例について、従来例と比較して述べる。ここでは、OLT10が備えるOSU110数は4台であり、OLT10に接続されるONU20数は64台である。ONU20#1〜#4の4台が10Gレートで通信できる限界の位置(10Gレート通信限界)よりOLT10から遠い距離にある。また、ONU20#5〜#19、ONU20#20〜#34、ONU20#35〜#49、及び、ONU20#50〜#64の60台が10Gレート通信限界よりOLT10に近い距離にある。また、R_lowは2.5Gbpsであり、R_highは10Gbpsである。
図25は、従来例のOSU110間の下り伝送レートが同じである時の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
図25は、ONU20の通信品質及び距離が考慮されずに、波長が割り当てられる。ここでは、ONU20#1、及び、ONU20#5〜#19が波長λ1に割り当てられ、ONU20#2、ONU20#20〜#34が波長λ2に割り当てられ、ONU20#3、ONU20#35〜#49が波長λ3に割り当てられ、ONU20#4、ONU20#50〜#64が波長λ4に割り当てられる。
この場合、ONU20#1は、波長λ1が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、10Gレート通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#1は、2.5Gbpsで通信する必要が生じる。
ONU20#2は、波長λ2が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、10Gレート通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#2は2.5Gbpsで通信する必要が生じる。
ONU20#3は、波長λ3が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、10Gレート通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#3は2.5Gbpsで通信する必要が生じる。
ONU20#4は、波長λ4が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、10Gレート通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#4は、2.5Gbpsで通信する必要が生じる。
従って、下り伝送レートを10Gレートに設定するOSU110数は0台であり、下り伝送レートを2.5Gレートに設定するOSU110数は4台である。その結果、下り合計レートは10Gbps(=2.5Gbps×4)である。
図21は、実施例5の波長割当て処理による下り伝送レートを示すブロック図である。
実施例5では、ONU20の通信品質及び距離を考慮して波長が割り当てられる。そのため、適応レート制御部164は、ONU20#1〜16に波長λ1を割り当て、ONU20#17〜32に波長λ2を割り当て、ONU20#33〜48に波長λ3を割り当て、ONU20#49〜64に波長λ1を割り当てる。
この場合、ONU20#1〜#4は、波長λ1が割り当てられたONU20の中で最も遠い距離にあり、10Gレート通信限界よりOLT10から遠距離にある。このため、OSU110#1は、2.5Gbpsで通信する必要が生じる。
ONU20#17〜#32は、波長λ2が割り当てられたすべてのONU20であり、10Gレート通信限界よりOLT10に近い距離にある。このため、OSU110#2は10Gbpsで通信できる。
ONU20#33〜#48は、波長λ3が割り当てられたすべてのONU20であり、10Gレート通信限界よりOLT10に近い距離にある。このため、OSU110#3は10Gbpsで通信できる。
ONU20#49〜#64は、波長λ4が割り当てられたすべてのONU20であり、10Gレート通信限界よりOLT10に近い距離にある。このため、OSU110#4は、10Gbpsで通信できる。
従って、下り伝送レートを10Gレートに設定するOSU110数は3台であり、下り伝送レートを2.5Gレートに設定するOSU110数は1台である。その結果、下り合計レートは32.5Gbps(=2.5Gbps×1+10Gbps×3)である。
このように、実施例5によれば、下り伝送レート可変かつ波長多重可能な光アクセスシステムにおいても、高い伝送レートで通信するOSU110数を最大化するように波長を割り当て可能であり、下りの伝送レートを向上できる。
なお、OLT制御部160は、下りFECの設定を伝送レートの設定に置き換えることにより、実施例5を、実施例2、実施例3及び実施例4に適用してもよい。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除又は置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能及び処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル又はファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、若しくはSSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、若しくはSDカード等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、上記の実施例では、収容するサービスを考慮していなかいが、収容するサービスを考慮して、波長割当を実施してもよい。例えば、フレームロスが全く許容されないサービスで利用するONU20に対しては、常時下りFEC ONにし、また波長切替を許容せず常に固定に波長を割り当てる制約条件を設けて、波長割り当てを実施してもよい。