JP6296910B2 - 電力需給システム - Google Patents
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Description
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする電力品質制御を行わせる制御装置を備え、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、前記複数の発電装置のそれぞれの発電電力は、再生可能エネルギーの増減に応じて同時期に増減し、
前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、
特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、
前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる点にある。
ところが本特徴構成によれば、自立インバータ装置は、非ループ状の交流母線上の自立インバータ接続部位に接続され、この自立インバータ接続部位は、発電装置の接続部位同士の間にある。例えば、交流母線に対して一つの発電装置と他の一つの発電装置とが接続されているとき、自立インバータ装置は、一つの発電装置の接続部位と、他の一つの発電装置の接続部位との間の自立インバータ接続部位で交流母線に接続される。その結果、一つの発電装置の接続部位の電圧、及び、他の一つの発電装置の接続部位の電圧は、共に、自立インバータ接続部位での電圧(目標電圧)を基準として変動するため、目標電圧から大幅に変動することを避けることができる。
従って、発電装置が接続されている交流母線での電力の電圧の大幅な変動を抑制可能な電力需給システムを提供できる。
また、蓄電装置の蓄電量の増加率が所定の上限増加率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第2自己接続線側から第1自己接続線側へ充電する(即ち、交流母線側から蓄電装置側へ充電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも高いため、交流母線の電圧を下げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。逆に、蓄電装置の蓄電量の減少率が所定の上限減少率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第1自己接続線側から第2自己接続線側へ放電する(即ち、蓄電装置側から交流母線側へ放電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも低いため、交流母線の電圧を上げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。特に、発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であるので、複数の発電装置の発電電力の増減は、その再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。その結果、複数の発電装置の発電電力の増減に合わせて、交流母線の電圧の大幅な増減が現れやすくなる。
そこで本特徴構成では、制御装置は、特定の自己システムの蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は特定の自己システムの自立インバータ装置が第2自己接続線側から第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、特定の自己システムの自立インバータ装置に対して、目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、特定の自己システムの蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は特定の自己システムの自立インバータ装置が第1自己接続線側から第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、特定の自己システムの自立インバータ装置に対して、目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる。その結果、交流母線での電力の電圧は、目標電圧の増減変更に合わせて全体として増減して、適切な範囲内にあることが確保される。
複数個の前記自己システムが電気的に直列接続されるように、一つの前記自己システムが有する前記蓄電装置と他の一つの前記自己システムが有する前記交流母線との間を相互接続線を用いて接続する融通インバータ装置を前記自己システム同士の間に備え、
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記相互接続線は、前記融通インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1相互接続線と、前記融通インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2相互接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して電力品質制御を行わせ、並びに、前記融通インバータ装置に対して電力融通制御を行わせる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電力品質制御として、前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする制御を行わせ、並びに、前記電力融通制御として、一つの前記自己システムと他の前記自己システムとの間で前記相互接続線を用いて電力を融通するとき、当該相互接続線を構成する前記第1相互接続線と前記第2相互接続線との間に設けられる前記融通インバータ装置に対して、当該一つの自己システム及び当該他の自己システムのそれぞれにおける前記交流母線での前記目標周波数に基づいて、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に大きい自己システムから、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に小さい自己システムへと電力を融通させる制御を行わせ、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、
一つの前記自己システムにおいて、前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、
特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、
前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる点にある。
ところが本特徴構成によれば、自立インバータ装置は、非ループ状の交流母線上の自立インバータ接続部位に接続され、この自立インバータ接続部位は、発電装置の接続部位同士の間にある。例えば、交流母線に対して一つの発電装置と他の一つの発電装置とが接続されているとき、自立インバータ装置は、一つの発電装置の接続部位と、他の一つの発電装置の接続部位との間の自立インバータ接続部位で交流母線に接続される。その結果、一つの発電装置の接続部位の電圧、及び、他の一つの発電装置の接続部位の電圧は、共に、自立インバータ接続部位での電圧(目標電圧)を基準として変動するため、目標電圧から大幅に変動することを避けることができる。
従って、発電装置が接続されている交流母線での電力の電圧の大幅な変動を抑制可能な電力需給システムを提供できる。
また、蓄電装置の蓄電量の増加率が所定の上限増加率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第2自己接続線側から第1自己接続線側へ充電する(即ち、交流母線側から蓄電装置側へ充電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも高いため、交流母線の電圧を下げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。逆に、蓄電装置の蓄電量の減少率が所定の上限減少率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第1自己接続線側から第2自己接続線側へ放電する(即ち、蓄電装置側から交流母線側へ放電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも低いため、交流母線の電圧を上げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。特に、発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であるので、複数の発電装置の発電電力の増減は、その再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。その結果、複数の発電装置の発電電力の増減に合わせて、交流母線の電圧の大幅な増減が現れやすくなる。
そこで本特徴構成では、制御装置は、特定の自己システムの蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は特定の自己システムの自立インバータ装置が第2自己接続線側から第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、特定の自己システムの自立インバータ装置に対して、目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、特定の自己システムの蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は特定の自己システムの自立インバータ装置が第1自己接続線側から第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、特定の自己システムの自立インバータ装置に対して、目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる。その結果、交流母線での電力の電圧は、目標電圧の増減変更に合わせて全体として増減して、適切な範囲内にあることが確保される。
複数個の前記自己システムが電気的に直列接続されるように、一つの前記自己システムが有する前記蓄電装置と他の一つの前記自己システムが有する前記交流母線との間を相互接続線を用いて接続する融通インバータ装置を前記自己システム同士の間に備え、
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記相互接続線は、前記融通インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1相互接続線と、前記融通インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2相互接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して電力品質制御を行わせ、並びに、前記融通インバータ装置に対して電力融通制御を行わせる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電力品質制御として、前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする制御を行わせ、並びに、前記電力融通制御として、一つの前記自己システムと他の前記自己システムとの間で前記相互接続線を用いて電力を融通するとき、当該相互接続線を構成する前記第1相互接続線と前記第2相互接続線との間に設けられる前記融通インバータ装置に対して、当該一つの自己システム及び当該他の自己システムのそれぞれにおける前記交流母線での前記目標周波数に基づいて、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に大きい自己システムから、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に小さい自己システムへと電力を融通させる制御を行わせ、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、
一つの前記自己システムにおいて、前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させると共に、前記特定の自己システムの前記交流母線に対して接続されている前記融通インバータ装置に対して、前記特定の自己システムの前記交流母線での電力の電圧が低下するように当該交流母線に供給する無効電力を変化させ、並びに、前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させると共に、前記特定の自己システムの前記交流母線に対して接続されている前記融通インバータ装置に対して、前記特定の自己システムの前記交流母線での電力の電圧が上昇するように当該交流母線に供給する無効電力を変化させる点にある。
尚、例えば、非ループ状の交流母線上で、自立インバータ装置と、一つの発電装置と、他の一つの発電装置とがその順に並んで接続されているとき、一つの発電装置の接続部位の電圧は、隣接している自立インバータ接続部位の電圧(目標電圧)を基準として変動する。また、他の一つの発電装置の接続部位の電圧は、隣接する一つの発電装置の接続部位の電圧を基準として変動する。更に、発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であるので、複数の発電装置の発電電力の増減は、その再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。その結果、他の一つの発電装置の接続部位の電圧は、自立インバータ接続部位の電圧(目標電圧)から見ると、一つの発電装置の接続部位の電圧変動分に加えて更なる変動を示すことになる。
ところが本特徴構成によれば、自立インバータ装置は、非ループ状の交流母線上の自立インバータ接続部位に接続され、この自立インバータ接続部位は、発電装置の接続部位同士の間にある。例えば、交流母線に対して一つの発電装置と他の一つの発電装置とが接続されているとき、自立インバータ装置は、一つの発電装置の接続部位と、他の一つの発電装置の接続部位との間の自立インバータ接続部位で交流母線に接続される。その結果、一つの発電装置の接続部位の電圧、及び、他の一つの発電装置の接続部位の電圧は、共に、自立インバータ接続部位での電圧(目標電圧)を基準として変動するため、目標電圧から大幅に変動することを避けることができる。
従って、発電装置が接続されている交流母線での電力の電圧の大幅な変動を抑制可能な電力需給システムを提供できる。
また、蓄電装置の蓄電量の増加率が所定の上限増加率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第2自己接続線側から第1自己接続線側へ充電する(即ち、交流母線側から蓄電装置側へ充電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも高いため、交流母線の電圧を下げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。逆に、蓄電装置の蓄電量の減少率が所定の上限減少率よりも大きいということは、自立インバータ装置が電力品質制御として行っている第1自己接続線側から第2自己接続線側へ放電する(即ち、蓄電装置側から交流母線側へ放電する)有効電力が相対的に大きいことを示している。つまり、交流母線の電圧が目標電圧よりも低いため、交流母線の電圧を上げて目標電圧に近づけようとする制御が行われていることを示している。特に、発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であるので、複数の発電装置の発電電力の増減は、その再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。その結果、複数の発電装置の発電電力の増減に合わせて、交流母線の電圧の大幅な増減が現れやすくなる。
前記交流母線上に複数設定された、前記自立インバータ接続部位の候補としての接続候補部位のうちの一つの部位であり、
前記交流母線に接続されている前記複数の発電装置の予測発電電力の時間的変化と、前記交流母線に接続されている前記複数の電力消費装置の予測消費電力の時間的変化と、前記交流母線での電圧降下特性についての情報とを参照して、複数の前記接続候補部位のそれぞれに関して、前記接続候補部位で前記自立インバータ装置を前記交流母線に接続したと仮定し且つ前記自立インバータ装置が当該接続候補部位での電力の電圧を前記目標電圧とする前記電力品質制御を行っていると仮定して導出される前記交流母線上での電力の予測電圧の分布の時間的変化が許容電圧範囲内となるような部位に位置する点にある。
以下に図面を参照して第1実施形態の電力需給システムについて説明する。
図1(a)は第1実施形態の電力需給システムの構成を示す図である。この電力需給システムは、非ループ状の交流母線1と、蓄電装置4と、蓄電装置4と交流母線1との間を自己接続線2を用いて接続する自立インバータ装置5とを有する自己システム10を備える。交流母線1には複数の発電装置7及び複数の電力消費装置6が接続されている。加えて、電力需給システムは、自立インバータ装置5に対して後述する電力品質制御を行わせる制御装置Cを備える。自己接続線2は、自立インバータ装置5と蓄電装置4とを接続するための第1自己接続線2aと、自立インバータ装置5と交流母線1とを接続するための第2自己接続線2bとで構成される。図1に示す例では、自立インバータ装置5に対して送配電線8が接続されているが、本実施形態では、自立インバータ装置5は、送配電線8の電力を交流母線1又は蓄電装置4へと供給するような動作や、交流母線1又は蓄電装置4の電力を送配電線8に供給するような動作を行うことはない。
発電装置7は、発電した電力を外部に供給する装置であり、その発電電力の供給先としては交流母線1や同じ電力需要者D内の電力消費装置6がある。発電装置7としては、太陽光や風力や地熱などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)を利用して発電する装置を利用できる。この場合、複数の発電装置7のそれぞれの発電電力の増減は、太陽光や風力や地熱などの再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。そのため、複数の発電装置7の発電電力の増減に合わせて、交流母線1の電圧の大幅な増減が現れやすくなる。
本実施形態では、自立インバータ装置5は、交流母線1での電力の周波数が蓄電装置4の蓄電量が大きくなるにつれて高くなる関係で決定される目標周波数となるように制御する。この関係式の例としては、蓄電装置4の蓄電量の関数で決定する周波数変動値(例えば蓄電量が大きいほど周波数変動値が大きくなる関係など)を交流母線1の基準周波数(例えば60Hz)に対して加算して得られる値を目標周波数とするようなものがある。この場合、目標周波数:fと、基準周波数:f0と、周波数変動値:Δfとの関係は以下の(数式1)で表すことができる。また、周波数変動分:Δfは、蓄電量(State Of Charge):〔SOC〕と定数A、Bを用いて以下の(数式2)で表すことができる。
Δf=A×〔SOC〕+B ・・・・・(数式2)
図1に示すような電力需給システムを新たに構築する場合、交流母線1上での自立インバータ接続部位Piの位置を決定する必要がある。図2は、交流母線1上での自立インバータ接続部位Piの位置を決定する手法を説明する図である。上述のように、自立インバータ接続部位Piは、交流母線1上において、発電装置7が接続されている接続部位p同士の間に位置するように設計される。従って、発電装置7が接続されている接続部位p同士の間に、自立インバータ接続部位Piの候補としての接続候補部位Pcが設定される。図2に示す例では、交流母線1上に、複数の接続候補部位Pc1,Pc2,Pc3が設定されている。そして、後述するように、接続候補部位Pc1,Pc2,Pc3のうちの一つの部位が、自立インバータ接続部位Piの位置として決定されることになる。
逆に、交流母線1の電圧が目標電圧よりも低くなると、自立インバータ装置5は、上記電力品質制御によって交流母線1の電圧を上げて目標電圧に近づけようとするために、第1自己接続線2a側から第2自己接続線2b側へ放電する(即ち、蓄電装置4側から交流母線1側へ放電する)有効電力が相対的に大きくなる。そして、蓄電装置4の蓄電量の減少率が所定の上限減少率よりも大きくなる。
特に、本実施形態の発電装置7は、太陽光や風力や地熱などの再生可能エネルギーを利用して発電する装置であるので、複数の発電装置7の発電電力の増減は、その再生可能エネルギーの増減に合わせて同時期に現れることになる。その結果、複数の発電装置7の発電電力の増減に合わせて、交流母線1の電圧の大幅な増減が現れやすくなる。
図3(a)に示した例では、細実線で示すように、接続部位p1〜p4の電圧は目標電圧Vt1よりも高くなっている。また、図示は省略するが、制御装置Cは、蓄電装置4の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きい(又は自己システム10の自立インバータ装置5が第2自己接続線2b側から第1自己接続線2a側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きい)と判定したとする。このとき、制御装置Cは、目標電圧をVt2(<Vt1)へと減少変更させる。その結果、太実線で示すように、交流母線1の電圧を全体的に低下させることができる。
これに対して、図3(b)に示した例では、細実線で示すように、接続部位p1〜p4の電圧は目標電圧Vt1よりも低くなっている。また、図示は省略するが、制御装置Cは、蓄電装置4の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きい(又は自己システム10の自立インバータ装置5が第1自己接続線2a側から第2自己接続線2b側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きい)と判定したとする。このとき、制御装置Cは、目標電圧をVt3(>Vt1)へと増加変更させる。その結果、太実線で示すように、交流母線1の電圧を全体的に上昇させることができる。
第2実施形態の電力需給システムは、複数の自己システム10が接続された状態で備える点で上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の電力需給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
<1>
上記実施形態において、一つの自己システム10の交流母線1に接続される電力需要者D及び発電装置7の数は図示した例に限定されない。また、電力需要者Dが備える電力消費装置6及び発電装置7の数や組み合わせは図示した例に限定されない。
上記第2実施形態において、電力需給システムが備える自己システムの数は適宜変更可能である。例えば、自己システムの数は、2個、数十個、数百個など、適宜設定可能である。
上記実施形態において、許容電圧範囲を95V〜107Vの範囲(101V±6Vの範囲)に設定している例を説明したが、許容電圧範囲の数値は適宜設定可能である。また、自立インバータ装置5が実行する電力品質制御での目標電圧Vtの値も、許容電圧範囲内で適宜設定可能である。
上記実施形態では、予め得られた情報などに基づいて交流母線1における自立インバータ接続部位Piの位置を固定的に決定する例を示したが、電力需給システムを運用中に自立インバータ接続部位Piの位置が変更されてもよい。
例えば、電力需給システムの運用者は、コンピュータ装置などを用いて、電力需給システムを運用中での各接続部位pの実際の電圧値を参照して交流母線1での電圧分布を決定する。次に、自立インバータ接続部位Piを複数の接続候補部位Pcのそれぞれに位置変更(即ち、交流母線1上で電圧が目標電圧Vtとなる位置を変更)した場合に想定される交流母線1での予測電圧分布を導出し、目標電圧Vtからの最大偏差が最も小さくなるような予測電圧分布が得られるときの自立インバータ接続部位Piの位置を、その時点で最も好ましい自立インバータ接続部位Piの位置として決定して、自立インバータ接続部位Piの位置変更を行ってもよい。
2 自己接続線
2a 第1自己接続線
2b 第2自己接続線
3 相互接続線
3a 第1相互接続線
3b 第2相互接続線
4 蓄電装置
5 自立インバータ装置
6 電力消費装置
7 発電装置
8 送配電線
9 融通インバータ装置
10 自己システム
C 制御装置
D 電力需要者
p(p1〜p4) 接続部位
Pc(Pc1〜Pc3) 接続候補部位
Pi 自立インバータ接続部位
Claims (4)
- 非ループ状の交流母線と、蓄電装置と、前記蓄電装置と前記交流母線との間を自己接続線を用いて接続する自立インバータ装置とを有する自己システムを備え、
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする電力品質制御を行わせる制御装置を備え、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、前記複数の発電装置のそれぞれの発電電力は、再生可能エネルギーの増減に応じて同時期に増減し、
前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、
特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、
前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる電力需給システム。 - 非ループ状の交流母線と、蓄電装置と、前記蓄電装置と前記交流母線との間を自己接続線を用いて接続する自立インバータ装置とを有する自己システムを複数個備え、
複数個の前記自己システムが電気的に直列接続されるように、一つの前記自己システムが有する前記蓄電装置と他の一つの前記自己システムが有する前記交流母線との間を相互接続線を用いて接続する融通インバータ装置を前記自己システム同士の間に備え、
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記相互接続線は、前記融通インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1相互接続線と、前記融通インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2相互接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して電力品質制御を行わせ、並びに、前記融通インバータ装置に対して電力融通制御を行わせる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電力品質制御として、前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする制御を行わせ、並びに、前記電力融通制御として、一つの前記自己システムと他の前記自己システムとの間で前記相互接続線を用いて電力を融通するとき、当該相互接続線を構成する前記第1相互接続線と前記第2相互接続線との間に設けられる前記融通インバータ装置に対して、当該一つの自己システム及び当該他の自己システムのそれぞれにおける前記交流母線での前記目標周波数に基づいて、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に大きい自己システムから、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に小さい自己システムへと電力を融通させる制御を行わせ、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、
一つの前記自己システムにおいて、前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、
特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させ、並びに、
前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させる電力需給システム。 - 非ループ状の交流母線と、蓄電装置と、前記蓄電装置と前記交流母線との間を自己接続線を用いて接続する自立インバータ装置とを有する自己システムを複数個備え、
複数個の前記自己システムが電気的に直列接続されるように、一つの前記自己システムが有する前記蓄電装置と他の一つの前記自己システムが有する前記交流母線との間を相互接続線を用いて接続する融通インバータ装置を前記自己システム同士の間に備え、
前記自己接続線は、前記自立インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1自己接続線と、前記自立インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2自己接続線とで構成され、
前記相互接続線は、前記融通インバータ装置と前記蓄電装置とを接続するための第1相互接続線と、前記融通インバータ装置と前記交流母線とを接続するための第2相互接続線とで構成され、
前記自立インバータ装置に対して電力品質制御を行わせ、並びに、前記融通インバータ装置に対して電力融通制御を行わせる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記電力品質制御として、前記自立インバータ装置に対して、前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側への充電又は前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側への放電を行いながら、当該自立インバータ装置が前記第2自己接続線を介して接続される前記交流母線の自立インバータ接続部位での電力の電圧を目標電圧とし及び周波数を前記蓄電装置の蓄電量に応じて決定される目標周波数とする制御を行わせ、並びに、前記電力融通制御として、一つの前記自己システムと他の前記自己システムとの間で前記相互接続線を用いて電力を融通するとき、当該相互接続線を構成する前記第1相互接続線と前記第2相互接続線との間に設けられる前記融通インバータ装置に対して、当該一つの自己システム及び当該他の自己システムのそれぞれにおける前記交流母線での前記目標周波数に基づいて、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に大きい自己システムから、前記蓄電装置の蓄電量が相対的に小さい自己システムへと電力を融通させる制御を行わせ、
前記交流母線には複数の発電装置及び複数の電力消費装置が接続されている電力需給システムであって、
前記発電装置は、再生可能エネルギーを利用して発電する装置であり、
一つの前記自己システムにおいて、前記複数の発電装置及び前記複数の電力消費装置は、前記交流母線上に間隔を置いて並ぶ複数の接続部位において前記交流母線に接続され、及び、前記自立インバータ接続部位は、前記交流母線上において、前記発電装置が接続されている前記接続部位同士の間にあり、
前記制御装置は、
特定の前記自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の増加率が上限増加率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第2自己接続線側から前記第1自己接続線側へ充電する有効電力測定値が所定の充電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を低下側に変更させる電圧低下処理を実行させると共に、前記特定の自己システムの前記交流母線に対して接続されている前記融通インバータ装置に対して、前記特定の自己システムの前記交流母線での電力の電圧が低下するように当該交流母線に供給する無効電力を変化させ、並びに、
前記特定の自己システムの前記蓄電装置の蓄電量の減少率が上限減少率よりも大きいとき又は前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置が前記第1自己接続線側から前記第2自己接続線側へ放電する有効電力測定値が所定の放電側閾値よりも大きいとき、前記特定の自己システムの前記自立インバータ装置に対して、前記目標電圧を増大側に変更させる電圧上昇処理を実行させると共に、前記特定の自己システムの前記交流母線に対して接続されている前記融通インバータ装置に対して、前記特定の自己システムの前記交流母線での電力の電圧が上昇するように当該交流母線に供給する無効電力を変化させる電力需給システム。 - 前記自立インバータ接続部位は、
前記交流母線上に複数設定された、前記自立インバータ接続部位の候補としての接続候補部位のうちの一つの部位であり、
前記交流母線に接続されている前記複数の発電装置の予測発電電力の時間的変化と、前記交流母線に接続されている前記複数の電力消費装置の予測消費電力の時間的変化と、前記交流母線での電圧降下特性についての情報とを参照して、複数の前記接続候補部位のそれぞれに関して、前記接続候補部位で前記自立インバータ装置を前記交流母線に接続したと仮定し且つ前記自立インバータ装置が当該接続候補部位での電力の電圧を前記目標電圧とする前記電力品質制御を行っていると仮定して導出される前記交流母線上での電力の予測電圧の分布の時間的変化が許容電圧範囲内となるような部位に位置する請求項1〜3の何れか一項に記載の電力需給システム。
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