JP2004088978A - 配電系統電力品質判定装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】分散電源を含む設備増強時の配電系統の電力品質を予想し、事前に電力の良否を判定することで、種々の障害を未然に防止すること。
【解決手段】配電系統電力品質判定装置において、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データと分散電源の導入予定データをもとにして配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する分散電源導入模擬データファイル41を作成し、このファイルを用いて配電系統状態を模擬し、この模擬した配電系統状態の電力品質を判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】配電系統電力品質判定装置において、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データと分散電源の導入予定データをもとにして配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する分散電源導入模擬データファイル41を作成し、このファイルを用いて配電系統状態を模擬し、この模擬した配電系統状態の電力品質を判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電系統に分散電源が連係された系統において、電力品質の良否を判定する配電系統電力品質判定装置およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配電系統電力品質判定装置は、変電所から需要家への潮流を監視し、収集した電流データと電圧データから電力の品質の良否を判定するのが一般的である。
【0003】
図22は従来の配電系統電力品質監視装置の機能構成図である。ここで、配電系統電力品質判定装置20は、表示操作装置22と監視制御用計算機23から成り、監視制御用計算機23は、系統状態監視手段25、時刻同期手段31、サンプリングデータ送信手段32、サンプリングデータ受信手段33、電力品質判定手段34、警報出力手段35、および、記憶装置27で構成されている。そして、記憶装置27は、機器ステータスファイル28、電圧電流状態ファイル37、および、電力品質基準ファイル38を保存している。また、監視制御用計算機23は、遠方監視制御装置(手段)21を介して、開閉器子局30と繋がっている。
【0004】
図23は機器ステータスファイル28のデータ構造の説明図である。機器ステータスファイル28は、機器番号(記号等を含む)とその機器の入/切状態が保存されている。図24は電圧電流状態ファイル37のデータ構造の説明図である。電圧電流状態ファイル37は計測対象である機器番号とその機器の各時刻の電圧値と電流値が保存されている。図25は電力品質基準ファイル38のデータ構造の説明図である。電力品質基準ファイル38は、品質監視項目とその基準値が対応付けられて保存されている。例えば、図25の例では、品質監視項目として電圧ひずみ率は5%以内ならば電圧ひずみに関しては良、この値を逸脱すれば不良となる。
【0005】
図21は分散電源が連係された配電系統図である。図21において、配電系統は、配電用変電所1内に設置されて上位電力系統からの供給電圧を配電電圧に変換する配電用変圧器2と、配電用変圧器2に接続された遮断器3と、遮断器3に接続された三相母線4と、三相母線4に遮断器5a、5b、5cを介して接続された複数の配電線6a、6b、6cを備えて構成されている。変電所の送り出し電圧は、線路電圧降下補償装置2aにより、例えば重負荷時と軽負荷時で送り出し電圧が調整されて供給されている。
【0006】
また、配電線6a、6b、6cは配電網を構成するために樹枝状に接続されており、配電線6aには配電区間を規定する開閉手段として開閉器7a、18aが設置されており、同様に配電線6bには開閉器7b、18b、また、配電線6cには開閉器7c、18cが設置されている。更に各配電線6a、6b、6cは各配電線間を連係する開閉器8a〜8cを介して接続されている。
【0007】
通常、配電線を区分する開閉器は常時は閉状態で運用され、配電線間を連係する開閉器は常時は開状態で運用される。そして各開閉器の入り切りは、監視制御用計算機23によって遠隔制御されるようになっている。なお、変電所からの亘長が長い配電線では、途中に電圧調整器12が設置かれ、降下した線路電圧が引き上げられて送電されている。
【0008】
配電線6a、6bの開閉器には、それぞれ線路電圧を計測するセンサ9a、9bが設置されていると共に、線路電流を計測するセンサ10a、10bも設置されている。センサ9a、9bとしては、例えば計器用変圧器が用いられ、センサ10a、10bとしては、例えば計器用変流器が用いられる。センサ9a、9b、センサ10a、10bの出力は、遠方監視制御装置21から順次要求されるポーリング要求の応答データ返送時の瞬時値データとして、計測子局11a、11bを経由して、通信線13から遠方監視制御装置21を介して監視制御用計算機23に取り込まれる。遠方監視制御装置21を介して収集された系統情報データは監視制御用計算機23の系統状態監視手段25により記憶装置27の機器ステータスファイル28に格納される。
【0009】
なお、図21では、センサや計測子局を配電線6a、6bに設置したものについて図示しているが、必要により配電線6cの指定の個所にセンサや計測子局が設置される。
【0010】
また、図21の配電線6aには開閉器8fを介して分散電源15が接続され、さらに負荷16が接続されている。ここでは一例として分散電源15が配電線6aに接続されている場合について示しているが、分散電源15は複数個接続されてもよい。
【0011】
ここで、開閉器子局30として、例えば計測子局11aの有する時刻同期手段31は、計測点から電流電圧データを取り込む際に時刻情報を付加する。全系統のデータに時刻情報を付加することにより伝送遅れや取込み周期によるズレを補正して扱うことで系統状態を正確に把握することができる。
【0012】
サンプリングデータ送信手段32は、サンプリング周波数iで分解したV1〜Vi、A1〜Aiの瞬時値をデジタルデータに変換する。
【0013】
計測子局11aで入力された電流電圧データは、時刻同期手段31により時刻情報が付され、サンプリングデータ送信手段32によりデジタルデータに変換され、通信線(または通信ネットワーク)13に送り出される。このデータは、遠方監視制御装置21を介して監視制御用計算機23のサンプリングデータ受信手段33で受信され、受信データは電圧電流状態ファイル37に保存される。同様に、開閉器の入/切状態も開閉器子局から遠方監視制御装置21を介して入力され機器ステータスファイル28に保存される。そして、この受信データをもとに電力品質判定手段34により電力の品質が判定される。
【0014】
電力品質判定手段34は電力の品質として次の項目を計算する。
【0015】
(1)電圧変動
計測した瞬時電圧波形から全波整流方式等により実効値を求め、常時電圧値からの差を算出する。
【0016】
(2)周波数変動
計測した瞬時電圧波形の電圧零点から、nサイクル間の時間Tを求め、以下の式で電圧周波数を算出する。
【0017】
F(周波数) = n/T (Hz)
(3)電圧歪み率
計測した瞬時電圧波形から対象次数の各高調波成分の実効値を求め、以下の式で算出する。
【0018】
DF(歪み率) = (対象次数の全高調波成分の実効値)/(基本波実効値)
(4)電圧・電流不平衡(逆相、零相分)
瞬時電圧または電流波形から、対象座標法の原理を用いて逆送成分、零相成分を算出する。
【0019】
(5)電圧フリッカ
電圧1サイクル毎に実効値を計算し基準電圧からの変動分を、人がちらつきを感じて不快を感じる10Hzを中心に重み付けをした視感度フィルタを通して、1分間2乗積分した値を計算する。
【0020】
電力品質判定手段34は、以上の計算により得られた結果を電力品質基準ファイル38と比較して、設定範囲を逸脱していれば警報出力手段35を介して警報出力しオペレータに通知する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の配電系統電力品質判定装置は、系統に分散電源が連係されることを想定しておらず、配電系統における電力の品質管理は、変電所から需要家への一方向の潮流だけを考慮して設計されている。
【0022】
このため、分散電源が連係されて、逆潮流(分散電源の出力が同構内の電力需要よりも大きく、配電系統側へ電力が供給される状態)により電流の向きが通常考えられているものとは逆向きになると、配電線路における電圧降下の向きも逆となり、受電口における電圧が上昇し、適正値(例えば、低圧配電系統では、101±6V)を逸脱する可能性がある。
【0023】
また、太陽光発電や燃料電池のような、直流で出力する分散電源では、配電系統に連係する際に、直流から交流に変換するための装置(インバータ)を介して連係するが、インバータ装置の原理上、高調波の発生を回避することはできない。これらの高調波は、個々の影響は小さくとも連係される分散電源の数が多くなることにより、別の個所でその影響(波形の相互干渉により状況が悪化する)が発生する可能性がある。高調波成分が多くなると、モーター用のブレーカや漏電遮断器が誤動作したり、テレビの画像がちらつくなどの種々の障害を引き起こすという問題が発生する。
【0024】
このため従来技術では、分散電源による電力品質の低下を事前に予想することが困難であった。また、将来の設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統において想定される電力品質の良否も判定することができなかった。
【0025】
本発明の目的は、設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統の電力品質を予想し、事前に電力の良否を判定することで、種々の障害を未然に防止することのできる配電系統電力品質判定装置およびプログラムを提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し、入力された系統状態と電気情報から前記配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する電力品質判定手段を有する監視制御用計算機と、前記電力品質判定手段による判定結果を表示し前記監視制御用計算機へ操作指示を出力する表示操作装置とを備えた配電系統電力品質判定装置であって、前記監視制御用計算機は、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データファイルと、分散電源導入予定データを入力する導入予定データ入力手段と、当該手段により入力されたデータと前記系統構成データファイルをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データファイルを作成し、この導入模擬データファイルを用いて配電系統状態を模擬する系統構成模擬手段とを備え、前記電力品質判定手段は前記系統構成模擬手段の模擬結果をもとに分散電源の導入後の電力品質を判定することを特徴とする。
【0027】
請求項1の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、分散電源の導入予定位置をオペレータが指示することにより一時的に系統状態を変更するとともにその系統での配電系統の状態を模擬し、模擬結果から分散電源の導入後の電力品質を判断する。
【0028】
ここで、「電気情報」とは、電流や電圧データなどを意味するが、潮流から収集することのできる情報全てを意味する。従って、周波数データなども含まれる趣旨である。
【0029】
請求項2の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、配電系統の構成の変更情報を入力する系統変更入力手段と、前記系統構成データファイルと前記系統変更入力手段により入力された変更情報をもとに将来の系統を作成する将来系統作成手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
請求項2の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、電力品質判定手段は将来系統作成手段により作成された将来の系統の電力品質を判定する。
【0031】
請求項3の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに複数の変更情報のそれぞれに識別情報を付し、各変更情報に対して将来系統作成手段により将来の系統を作成すると共に前記電力品質判定手段により電力品質を判定可能とし、各変更情報に対応して作成された将来の系統の情報もしくは電力品質の判定結果は再利用あるいは再変更可能に構成されたことを特徴とする。
【0032】
請求項3の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、オペレータが指示した分散電源の導入対象である配電系統構成の変更情報から、将来の系統構成を作成し、作成した系統情報を一通り以上保存し、それらを再利用したり再変更したりして、該当の配電系統の電力品質を判断する。
【0033】
請求項4の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに電力品質の監視基準値または監視要否が設定可能な監視項目設定内容ファイルを備え、前記電力品質判定手段は、この監視項目設定内容ファイルに基づき電力品質を判定することを特徴とする。
【0034】
請求項4の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、オペレータの要求により電力品質監視項目および監視基準値を任意の値に設定する。
【0035】
請求項5の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策情報を保存した対策候補ファイルと、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合は前記対策候補ファイルから候補を選定し、当該選定結果を通知する対策候補通知手段を備えたことを特徴とする。
【0036】
請求項5の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合に、あらかじめ設定された対策候補の中から候補を選定し、通知する。
【0037】
請求項6の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに対策候補ファイルは電圧調整装置を設置する対策を含み、当該対策が選択された場合、電圧変動不良地点および電圧変動不良範囲の情報より電圧調整装置の設置位置を決定し、次に前記電圧調整装置のタップ値を演算する電圧調整装置位置算定手段を備えたことを特徴とする。
【0038】
請求項6の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、電圧調整器を設置する対策を選定した際に、電圧調整器の設置箇所およタップ値を算定するとともに、算定結果を表示・保存する。
【0039】
請求項7の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに、電源供給ルートの変更の指定に基づいて系統切替手順を切替手順ファイルとして作成する系統切替手順作成手段と、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合に前記切替手順ファイルに基づき模擬的に系統を切り替える系統切替手順実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0040】
請求項7の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策として電源供給ルートの変更が必要な際に、系統の切替手順を作成し、その手順を模擬的に実行する。
【0041】
請求項8の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに、表示操作装置を介して系統の切替手順情報を入力する系統切替手順入力手段と、この系統切替手順入力手段により入力された切替手順情報をもとに切替手順の整合性を判定する系統切替手順判定手段とを備え、前記系統切替手順作成手段は前記系統切替手順判定手段により整合性ありとなった場合に前記切替手順ファイルを作成することを特徴とする。
【0042】
請求項8の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策として電源供給ルートの変更が必要な際に、オペレータの要求により入力された系統の切替手順を表示保存するとともに、その手順の整合性を判断する。
【0043】
請求項9の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに分散電源の種類と容量を含む情報をパターンとして登録する分散電源パターン登録手段と、この分散電源パターン登録手段により登録されたパターンを選択することにより分散電源を設定する手段とを備えたことを特徴とする。
【0044】
請求項9の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、導入する分散電源に関する情報を予めパターンとして登録しておき、登録パターンの候補の中から、分散電源を設定する。
【0045】
請求項10の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、前記電気情報をもとに作成された負荷実績データファイルを備え、前記電力品質判定手段は前記負荷実績データファイルの実績値を用いて電力品質の判定をすることを特徴とする。
【0046】
請求項10の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、負荷の実績データを電力品質算定時の系統負荷に関する管理情報として使用する。
【0047】
請求項11の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、前記各手段を必要に応じて活殺する機能活殺手段を備えたことを特徴とする。
【0048】
請求項12の発明に係わるプログラムは、分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し前記配電系統の監視制御を行う監視制御用計算機のプログラムであって、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データを保存する処理と、分散電源導入予定データを入力する処理と、前記系統構成データと前記分散電源導入予定データとをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データを作成する処理と、この導入模擬データを用いて配電系統状態を模擬する処理と、前記電気情報を用いて模擬された配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。図1において、配電系統電力品質判定装置20は、機器ステータスファイル28、電圧電流状態ファイル37、電力品質基準ファイル38、系統構成データファイル39、分散電源導入予定データファイル40、分散電源導入模擬データファイル41および電圧電流予測データファイル42を有する記憶装置27と、導入予定データ入力手段51、系統構成模擬手段52、電圧電流算出手段53、電力品質判定手段34および結果出力手段54を有する監視制御用計算機23、並びに表示操作装置22から構成されている。なお、監視制御用計算機23の各手段は、図示しない中央演算処理装置の機能として実行されるものである。
【0050】
図1において、導入予定データ入力手段51は、オペレータの要求により表示操作装置22に表示した設定画面を通して設定された分散電源の導入予定データを取り込み、分散電源導入予定データファイル40に格納する。ここで表示設定画面については特に規定しない。また、分散電源導入予定データの入力方法は、図面の自動読取などの方法によってもよい。
【0051】
次に系統構成模擬手段52は、系統構成データファイル39と分散電源導入予定データファイル40に格納された情報から、分散電源導入後の模擬系統情報を作成し、分散電源導入模擬データファイル41に格納する。
【0052】
図2に系統構成データファイル39、図3に分散電源導入予定データファイル(以下、導入予定データファイル)40、図4に分散電源導入模擬データファイル(以下、導入模擬データファイル)41の構成例を示す。
【0053】
系統構成データファイル39には、例えば各配電線に分散電源が設置されているかどうかの情報や、配電系統の構成機器の接続状態を示す情報が格納されている。導入予定データファイル40は、分散電源導入予定の配電線名や設置箇所の前後に存在する既設の配電系統設備などの情報からなっている。系統構成模擬手段52は、これらの情報から、導入模擬データファイル41を作成する。導入模擬データファイル41では、配電系統構成機器の接続情報に導入予定の分散電源が反映されている。
【0054】
次に、電圧電流算出手段53は、導入模擬データファイル41に格納された系統における各計測点の電流・電圧値を計算し、電圧電流予測データファイル(以下、予測データファイル)42に格納する。予測データファイル42の構成は、電圧電流状態ファイル37と同様である。
【0055】
電力品質判定手段34は、このようにして作成した分散電源導入模擬系統の電力品質を、予測データファイル42の情報から算定し、結果を出力する。電力品質算出および基準値との整合性判定の方法については、すでに説明したものと同様なので省略する。
【0056】
本実施の形態によれば、将来導入予定の分散電源に対しても、導入後の配電系統の電力品質を算定し、良否を判断することができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態を説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機1の導入予定データ入力手段51と系統構成模擬手段52に代えて、系統変更入力手段55と将来系統作成手段56を設け、記憶装置27には、分散電源導入予定データファイル40と分散電源導入模擬データファイル41に代えて系統変更データファイル43と将来系統データファイル44を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0058】
図5において、系統変更入力手段55は、オペレータの要求により表示操作装置22にて設定された、系統構成や設備情報の変更予定データを取り込み、系統変更データファイル43に格納する。ここで変更予定データの設定方法については特に規定しない。設定画面からの入力のほか、図面の自動読取などの方法によってもよい。
【0059】
次に将来系統作成手段56は、系統構成データファイル39と系統変更データファイル43とから将来のある時点で予想される系統(将来系統)を作成する。図6に、系統変更データファイル43の構成例を示す。系統変更データファイル43には、その系統の指し示す日時を始め、その時点で追加・変更・撤去されている予定の配電系統構成設備の種類と名称、追加・変更される設備の詳細な設備情報などが含まれている。なお、日時とインデックスはデータを管理するための情報である。将来系統作成手段56は、これらの情報から将来系統データファイル44を作成する。将来系統データファイル44は、系統構成データファイル39と同様の系統構成情報を含む。次に電圧電流算出手段53は、該当の将来系統の各計測点における電圧・電流情報を計算し、予測データファイル42に格納する。図7は、その予測データファイル42の構成例である。
【0060】
次に、電力品質判定手段34は、このようにして作成された将来系統データファイル44および予測データファイル42を用いて電力品質を算定し、結果を出力する。電力品質算定と整合性判定、結果の出力については、第1の実施の形態と同様なので省略する。
【0061】
なお、上記で説明した系統変更データの入力、将来系統データファイル44の作成およびその系統での電力品質の算定と結果の出力は、複数のケースに対して行なうことも可能である。その場合は、系統変更データに日付や一意の番号などからなる管理情報を付け、そこから作成される将来系統データ、電力品質分析結果にも同様の管理情報を付けて管理すればよい。
【0062】
本実施の形態によれば、将来の系統変更時に発生しうる電力品質の変動を、事前に予測することができる。また、保存した将来の系統情報を再利用により繰返し変更・保存することにより、複数のケースについて電力品質を算出し、それらを比較検討することにより、より安定した配電系統の運用に寄与することができる。
【0063】
次に、第3の実施の形態を説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに電力品質監視項目設定手段57を設け、記憶装置27に監視項目設定内容ファイル45を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0064】
図8において、電力品質監視項目設定手段57は、オペレータからの要求により入力された電力品質監視項目の監視内容および監視基準値を取り込み、監視項目設定内容ファイル45に格納する。図9は監視項目設定内容ファイル45の構成例である。監視項目ごとに設定基準値と監視要否の情報を保存する。なお、設定内容の入力形式については特に規定しないが、表示操作装置22に表示した画面からの入力のほか、媒体に記憶されたデータの読取などの方法によってもよい。
【0065】
電力品質判定手段34は、対象となる配電系統の電力品質を算定する際に、監視項目設定内容ファイル45から各監視項目の監視要否および設定された監視基準値を取出し、電力品質の判定を行なう。
【0066】
ここで、電力品質監視項目設定手段57は、監視対象項目および監視基準値を複数の組合せについて設定し、保存することが可能である。複数の組合せで設定・保存を行う際には、監視項目設定内容ファイル45の各設定内容に、一意の番号などの管理情報を付ける。電力品質判定手段34が電力品質を算定する際には、この管理情報を指定すればよい。また、電力品質監視項目設定手段57において前記管理情報を指定して設定内容を読み出すことにより、一度設定した内容の再利用が可能となる。
【0067】
本実施の形態によれば、任意の監視項目をオペレータの要求により設定することで、状況に応じた電力品質の監視が可能となる。また、複数のケースを比較検討することにより、系統運用上、問題となりうる項目に着目して監視するなどの柔軟な運用が可能となる。
【0068】
次に、第4の実施の形態を説明する。図10は、本発明の第4の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに対策候補通知手段58を設け、記憶装置27に対策候補ファイル46を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0069】
図10において、電力品質判定手段34の判定の結果、監視基準値を逸脱すると、対策候補通知手段58が起動される。対策候補通知手段58は、逸脱している監視項目について対策候補ファイル46から対策候補を選定し、選定した候補を電力品質の判定結果とともに結果出力手段54によってオペレータに通知する。ここで通知方法については特に規定しない。表示操作装置22への画面表示のほか、音声や印字によってもよい。
【0070】
図11は対策候補ファイル46の構成例である。品質監視項目ごとに対策候補が設定されている。また、対策候補ファイル46には、同一監視項目に対して複数対策内容を格納することも可能である。この場合の対策候補の通知は格納されている複数の対策候補または最有力候補を選択して通知する。最有力候補の選定方法としては逸脱値から判断して選定するなどの方法が考えられる。
【0071】
本実施の形態によれば、対象となる配電系統の電力品質が基準値を逸脱することが予想される場合の、必要な対策の候補をオペレータに提示することができ、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0072】
次に、第5の実施の形態を説明する。図12は、本発明の第5の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第4の実施の形態との違いは、図10の監視制御用計算機23にさらに系統切替手順作成手段59と系統切替手順実行手段60を設け、記憶装置27に切替手順ファイル47を設けたことである。その他については、図10と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図12において、系統切替手順作成手段59は、オペレータからの要求により表示操作装置22に表示した切替系統手順作成画面から、選定された電源供給ルート変更の指定により実施され、系統の切替手順を作成して、切替手順ファイル47に格納する。具体的な系統切替手順の計算方法としては、融通計算、ロスミニマム計算などがある。図13は切替手順ファイル47の構成例である。供給ルートの変更候補ごとに機器の操作手順が設定されている。
【0074】
切替手順が作成されるとオペレータの指示により手順の実行が指示され、系統切替手順実行手段60が起動される。系統切替手順実行手段60は、この切替手順にもとづいて、系統切替の操作を行う。系統切替手順実行手段60は、供給ルートを変更する手順を切替手順ファイル47から取り出し、その手順の操作方向に従い、系統構成データファイル39および機器ステータスファイル28の状態を随時更新して切替手順を模擬的に実行する。これを作成手順数だけ実施し、系統の切替操作を完了させる。
【0075】
また、ここで、電圧電流算出手段53は、機器ステータスファイル28および系統構成データファイル39に格納されている切替手順模擬実行後の配電系統の各計測点での電圧・電流値を計算して予測データファイル42に格納し、電力品質判定手段34によって切替後の系統における電力品質を判定することもできる。
【0076】
本実施の形態によれば、配電系統の電力品質について、監視基準値を逸脱した場合の対策として供給ルートを変更する対策を実施する場合に、適切な切替手順を作成して切替後の電力品質を再評価することにより、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0077】
次に、第6の実施の形態を説明する。図14は、本発明の第6の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第5の実施の形態との違いは、図12の監視制御用計算機23にさらに系統切替手順入力手段61と系統切替手順判定手段62を設けたことである。その他については、図12と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0078】
図14において、系統切替手順入力手段(以下、入力手段)61は、対策候補通知手段58の結果により電源供給ルートの変更が必要な場合に、オペレータからの要求により表示装置装置22を介して系統切替手順の作成に必要な情報を入力する。切替手順の作成に必要な情報とは、切替時に操作予定の機器や、操作内容などである。オペレータは、系統切替に必要な数だけの操作機器と操作内容を、順次入力する。
【0079】
次に、系統切替手順判定手段62は、入力手段61から入力された情報から、作成しようとしている切替手順の整合性を判断し、判断結果を通知する。整合性判断の条件としては、手順実行によって停電が発生する、電力品質が改善されない、ループ系統を形成する、などがあるが、このほか系統運用上必要な任意の条件を追加してもよい。
【0080】
整合性判断の結果が良であれば、その手順を実行することが可能となり、オペレータの指示により手順を模擬的に実行する。切替手順の模擬的実行の方法については、第5の実施の形態と同様であるので説明は省略する。判断結果が不良の場合は、その旨をオペレータに通知し、入力手段61はオペレータ要求により手順情報の入力を再度実施する。
【0081】
また、入力手段61は、系統切替手順作成手段(以下、作成手段)59が作成した系統切替手順を、オペレータの要求により修正することができる。入力手段61は、作成手段59が作成し切替手順ファイル47に格納した手順情報を、オペレータの入力内容に従って修正する。手順情報入力後の整合性判断および該当手順の実行については、上記の説明と同様である。
【0082】
本実施の形態によれば、対象となる配電系統の電力品質が監視基準値を逸脱することが予想される場合の対策として供給ルートを変更する場合に、オペレータの任意に切替手順を作成することができ、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0083】
次に、第7の実施の形態を説明する。図15は、本発明の第7の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第4の実施の形態との違いは、図10の監視制御用計算機23にさらに電圧調整器位置算定手段(以下、SVR位置算定手段)63を設け、記憶装置27に電圧調整器位置ファイル(以下、SVR位置ファイル)48を設けたことである。その他については、図10と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0084】
図15において、SVR位置算定手段63は、対策候補通知手段58の結果により電圧調整器(以下SVR)の設置が必要な場合に、電力品質の分析結果にもとづいてSVRの設置位置および必要なタップ値(SVRのタップ値)を算定する。
【0085】
図16は、SVR位置算定手段の処理手順のフローチャートである。SVR位置算定手段63は、電圧変動の判定結果が不良となっている地点を検索(STEP1)し、電圧変動が不良となる系統上の範囲を特定する(STEP2)。次に、その範囲を取り囲むことができる系統上の地点をSVRの設置位置と判断する(STEP3)。設置するSVRでのタップ値は、設置位置にもっとも近い地点での逸脱幅と、その系統の負荷側での最大の逸脱幅との差をとることにより決定することができる(STEP4)。同様にして、1台のSVRで該当の逸脱幅を補償できない場合の複数のSVR設置位置を算定することもできる。
【0086】
本実施の形態によれば、配電系統の電力品質について、SVRの設置が必要な場合には、その設置位置およびタップ値を算出することができ、安定した系統運用に対する適切な支援を行うことができる。
【0087】
次に、第8の実施の形態を説明する。図17は、本発明の第8の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに分散電源パターン登録手段64を設け、記憶装置27に分散電源パターン情報ファイル49を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0088】
図17において、分散電源パターン登録手段(以下、パターン登録手段)64は、オペレータの要求により表示操作装置22にて設定された、分散電源の種類や容量についてのパターン情報を取込む。ここでパターン情報の設定方法については特に規定しないが、表示操作装置22に表示する設定画面からの入力のほか、あらかじめ作成された電子ファイルの読取などの方法によってもよい。
【0089】
次にパターン登録手段64は、入力情報から分散電源のパターンを作成して分散電源パターン情報ファイル(以下、パターン情報ファイル)49に格納する。図18は、パターン情報ファイル49の構成例である。分散電源に関する情報としては、機器の種類、発電容量、出力特性、運転時間、季節変動の有無などがあり、これらには、機器の種類によってある程度特定される情報もある。例えば、太陽光発電の場合は運転時間が日中に限られるなどである。パターン登録手段64はこのような情報を例えば機器種別ごとのパターン情報と判断し、パターンを作成する。また、運転時期など、設置箇所の諸条件によって個別に変化する情報については、パターンの構成要素からは除外するなどして、パターン情報に、より一般性をもたせることも可能である。
【0090】
なお、配電系統への分散電源導入時には、パターン情報ファイル49に登録されたパターン番号を指定した後、不足している情報があればその情報を追加するようにしてもよい。
【0091】
本実施の形態によれば、分散電源に関する情報を予めパターンとして登録しておくことにより、分散電源の情報入力時の手間が省けるとともに入力の誤りを防ぐことができ、配電系統の電力品質評価時の運用を支援することができる。
【0092】
次に、第9の実施の形態を説明する。図19は、本発明の第9の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の記憶装置27の電圧電流状態ファイル37に代えて、負荷実績データファイル50を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0093】
図19において、電圧電流算定手段53は、負荷実績データ50に保存された負荷実績と分散電源導入模擬データファイル41の系統情報から、該当の系統状態における電圧・電流を算出し、電圧電流予測データファイル42に格納する。電力品質判定手段34は、この予測データファイル42を用いて電力品質に関する計算を実施し、電力品質基準ファイル38の監視項目毎の基準値と比較して対象とする配電系統の電力品質の良否を判定する。
【0094】
ここで、負荷実績データ50は、第1の実施の形態における電圧電流状態ファイル37と同様の構成であり、両者の違いは、電圧電流状態ファイル37が、系統上の各計測機器から所定の方法で収集した最新の情報を格納しているのに対し、負荷実績データ50は、一定期間に亘って収集した各計測データを所定ルールに則って加工した情報を格納している点である。ここで、負荷実績データの収集および加工の方法としては、各季節(夏季、冬季、その他)の平日と休日でそれぞれ5日間収集した計測値の平均値または最大値をその5日間の実績データとして保存し、順次更新するなどが考えられる。この場合は、負荷実績データ50としては、合計6種類のデータが存在することになる。
【0095】
また、第2の実施の形態で説明したような、将来の設備の追加変更を反映した場合の負荷実績データは、想定される伸び率や需要家などの増加による負荷の増分を上記の実績データに加算すればよい。
【0096】
電圧電流算出手段53は、これら負荷実績データ50の中から、分析対象の配電系統において最適なものを選定して、電力品質の算定に使用する。対象系統に最適な負荷実績データの選定方法は、例えば、分散電源の導入予定時期など、季節や休平日を特定できる情報による。季節などを特定できる情報がないような場合には、電力品質判定開始時に、オペレータ要求により使用する負荷実績データを指定することでもよい。
【0097】
本実施の形態によれば、分散電源の導入予定や系統の変更予定などを反映した将来の系統に対する電力品質をより柔軟に分析することができる。
【0098】
次に、第10の実施の形態を説明する。図20は、本発明の第10の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに機能活殺手段65を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。なお、図示しないが、監視制御計算機23は、第1から第9の実施の形態で述べた全ての手段を有しているものとする。
【0099】
図20において、機能活殺手段65は、第1から9に述べた各手段を予めあるいはオペレータの指示により活殺する。
【0100】
本実施の形態によれば、配電系統電力品質監視装置の機能の中で必要なもののみを動作させることができ、状況に応じた電力品質の分析が行えるとともに、処理時間や記憶装置の容量などを節減することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の配電系統電力品質判定装置およびプログラムにおいては、分散電源を含む設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統の電力品質を予想し、事前に電力の良否を判定することで、種々の障害を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図2】図1の系統構成データファイルのデータ構造を示すもので、図2(a)は分散電源の有無情報の説明図、図2(b)は設備の接続情報の説明図。
【図3】図1の分散電源導入予定データファイルのデータ構造の説明図。
【図4】図1の分散電源導入模擬データファイルのデータ構造を示すもので、図4(a)は分散電源の有無情報の説明図、図4(b)は設備の接続情報の説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図6】図5の系統変更データファイルのデータ構造の説明図。
【図7】図5の電圧電流予測データファイルのデータ構造の説明図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図9】図8の監視項目設定内容ファイルのデータ構造の説明図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図11】図10の対策候補ファイルのデータ構造の説明図。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図13】図12の切替手順ファイルのデータ構造の説明図。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図15】本発明の第7の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図16】図15のSVR位置算定手段の処理手順のフローチャート。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図18】図17の分散電源パターン情報ファイルのデータ構造の説明図。
【図19】本発明の第9の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図20】本発明の第10の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図21】分散電源が連係された配電系統図。
【図22】従来の配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図23】図22の機器ステータスファイルのデータ構造の説明図。
【図24】図22の電圧電流状態ファイルのデータ構造の説明図。
【図25】図22の電力品質基準ファイルのデータ構造の説明図。
【符号の説明】
1…配電変電所、2…配電用変圧器、2a…線路電圧降下補償装置
3、5a、5b、5c…遮断器、4…三相母線
6a、6b、6c…配電線
7a、7b、7c、8a、8b、8c、8f、18a、18b、18c…開閉器9a、9b…電圧センサ、10a、10b…電流センサ
11a、11b…計測子局、12…電圧調整器(SVR)、13…通信線
15…分散電源、16…負荷、20…配電系統電力品質判定装置
21…遠方監視制御装置、22…表示操作装置、23…監視制御用計算機
27…記憶装置、28…機器ステータスファイル
30…開閉器子局、31…時刻同期手段、32…サンプリングデータ送信手段
33…サンプリングデータ受信手段、34…電力品質判定手段
35…警報出力手段、37…電圧電流状態ファイル
38…電力品質基準ファイル、39…系統構成データファイル
40…分散電源導入予定データファイル
41…分散電源導入模擬データファイル
42…電圧電流予測データファイル、43…系統変更データファイル
44…将来系統データファイル、45…監視項目設定内容ファイル
46…対策候補ファイル、47…切替手順ファイル
48…SVR位置ファイル、49…分散電源パターン情報ファイル
50…負荷実績データファイル、51…導入予定データ入力手段
52…系統構成模擬手段、53…電圧電流算出手段、54…結果出力手段
55…系統変更入力手段、56…将来系統作成手段
57…電力品質監視項目設定手段、58…対策候補通知手段
59…系統切替手順作成手段、60…系統切替手順実行手段
61…系統切替手順入力手段、62…系統切替手順判定手段
63…SVR位置算定手段、64…分散電源パターン登録手段
65…機能活殺手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電系統に分散電源が連係された系統において、電力品質の良否を判定する配電系統電力品質判定装置およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配電系統電力品質判定装置は、変電所から需要家への潮流を監視し、収集した電流データと電圧データから電力の品質の良否を判定するのが一般的である。
【0003】
図22は従来の配電系統電力品質監視装置の機能構成図である。ここで、配電系統電力品質判定装置20は、表示操作装置22と監視制御用計算機23から成り、監視制御用計算機23は、系統状態監視手段25、時刻同期手段31、サンプリングデータ送信手段32、サンプリングデータ受信手段33、電力品質判定手段34、警報出力手段35、および、記憶装置27で構成されている。そして、記憶装置27は、機器ステータスファイル28、電圧電流状態ファイル37、および、電力品質基準ファイル38を保存している。また、監視制御用計算機23は、遠方監視制御装置(手段)21を介して、開閉器子局30と繋がっている。
【0004】
図23は機器ステータスファイル28のデータ構造の説明図である。機器ステータスファイル28は、機器番号(記号等を含む)とその機器の入/切状態が保存されている。図24は電圧電流状態ファイル37のデータ構造の説明図である。電圧電流状態ファイル37は計測対象である機器番号とその機器の各時刻の電圧値と電流値が保存されている。図25は電力品質基準ファイル38のデータ構造の説明図である。電力品質基準ファイル38は、品質監視項目とその基準値が対応付けられて保存されている。例えば、図25の例では、品質監視項目として電圧ひずみ率は5%以内ならば電圧ひずみに関しては良、この値を逸脱すれば不良となる。
【0005】
図21は分散電源が連係された配電系統図である。図21において、配電系統は、配電用変電所1内に設置されて上位電力系統からの供給電圧を配電電圧に変換する配電用変圧器2と、配電用変圧器2に接続された遮断器3と、遮断器3に接続された三相母線4と、三相母線4に遮断器5a、5b、5cを介して接続された複数の配電線6a、6b、6cを備えて構成されている。変電所の送り出し電圧は、線路電圧降下補償装置2aにより、例えば重負荷時と軽負荷時で送り出し電圧が調整されて供給されている。
【0006】
また、配電線6a、6b、6cは配電網を構成するために樹枝状に接続されており、配電線6aには配電区間を規定する開閉手段として開閉器7a、18aが設置されており、同様に配電線6bには開閉器7b、18b、また、配電線6cには開閉器7c、18cが設置されている。更に各配電線6a、6b、6cは各配電線間を連係する開閉器8a〜8cを介して接続されている。
【0007】
通常、配電線を区分する開閉器は常時は閉状態で運用され、配電線間を連係する開閉器は常時は開状態で運用される。そして各開閉器の入り切りは、監視制御用計算機23によって遠隔制御されるようになっている。なお、変電所からの亘長が長い配電線では、途中に電圧調整器12が設置かれ、降下した線路電圧が引き上げられて送電されている。
【0008】
配電線6a、6bの開閉器には、それぞれ線路電圧を計測するセンサ9a、9bが設置されていると共に、線路電流を計測するセンサ10a、10bも設置されている。センサ9a、9bとしては、例えば計器用変圧器が用いられ、センサ10a、10bとしては、例えば計器用変流器が用いられる。センサ9a、9b、センサ10a、10bの出力は、遠方監視制御装置21から順次要求されるポーリング要求の応答データ返送時の瞬時値データとして、計測子局11a、11bを経由して、通信線13から遠方監視制御装置21を介して監視制御用計算機23に取り込まれる。遠方監視制御装置21を介して収集された系統情報データは監視制御用計算機23の系統状態監視手段25により記憶装置27の機器ステータスファイル28に格納される。
【0009】
なお、図21では、センサや計測子局を配電線6a、6bに設置したものについて図示しているが、必要により配電線6cの指定の個所にセンサや計測子局が設置される。
【0010】
また、図21の配電線6aには開閉器8fを介して分散電源15が接続され、さらに負荷16が接続されている。ここでは一例として分散電源15が配電線6aに接続されている場合について示しているが、分散電源15は複数個接続されてもよい。
【0011】
ここで、開閉器子局30として、例えば計測子局11aの有する時刻同期手段31は、計測点から電流電圧データを取り込む際に時刻情報を付加する。全系統のデータに時刻情報を付加することにより伝送遅れや取込み周期によるズレを補正して扱うことで系統状態を正確に把握することができる。
【0012】
サンプリングデータ送信手段32は、サンプリング周波数iで分解したV1〜Vi、A1〜Aiの瞬時値をデジタルデータに変換する。
【0013】
計測子局11aで入力された電流電圧データは、時刻同期手段31により時刻情報が付され、サンプリングデータ送信手段32によりデジタルデータに変換され、通信線(または通信ネットワーク)13に送り出される。このデータは、遠方監視制御装置21を介して監視制御用計算機23のサンプリングデータ受信手段33で受信され、受信データは電圧電流状態ファイル37に保存される。同様に、開閉器の入/切状態も開閉器子局から遠方監視制御装置21を介して入力され機器ステータスファイル28に保存される。そして、この受信データをもとに電力品質判定手段34により電力の品質が判定される。
【0014】
電力品質判定手段34は電力の品質として次の項目を計算する。
【0015】
(1)電圧変動
計測した瞬時電圧波形から全波整流方式等により実効値を求め、常時電圧値からの差を算出する。
【0016】
(2)周波数変動
計測した瞬時電圧波形の電圧零点から、nサイクル間の時間Tを求め、以下の式で電圧周波数を算出する。
【0017】
F(周波数) = n/T (Hz)
(3)電圧歪み率
計測した瞬時電圧波形から対象次数の各高調波成分の実効値を求め、以下の式で算出する。
【0018】
DF(歪み率) = (対象次数の全高調波成分の実効値)/(基本波実効値)
(4)電圧・電流不平衡(逆相、零相分)
瞬時電圧または電流波形から、対象座標法の原理を用いて逆送成分、零相成分を算出する。
【0019】
(5)電圧フリッカ
電圧1サイクル毎に実効値を計算し基準電圧からの変動分を、人がちらつきを感じて不快を感じる10Hzを中心に重み付けをした視感度フィルタを通して、1分間2乗積分した値を計算する。
【0020】
電力品質判定手段34は、以上の計算により得られた結果を電力品質基準ファイル38と比較して、設定範囲を逸脱していれば警報出力手段35を介して警報出力しオペレータに通知する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の配電系統電力品質判定装置は、系統に分散電源が連係されることを想定しておらず、配電系統における電力の品質管理は、変電所から需要家への一方向の潮流だけを考慮して設計されている。
【0022】
このため、分散電源が連係されて、逆潮流(分散電源の出力が同構内の電力需要よりも大きく、配電系統側へ電力が供給される状態)により電流の向きが通常考えられているものとは逆向きになると、配電線路における電圧降下の向きも逆となり、受電口における電圧が上昇し、適正値(例えば、低圧配電系統では、101±6V)を逸脱する可能性がある。
【0023】
また、太陽光発電や燃料電池のような、直流で出力する分散電源では、配電系統に連係する際に、直流から交流に変換するための装置(インバータ)を介して連係するが、インバータ装置の原理上、高調波の発生を回避することはできない。これらの高調波は、個々の影響は小さくとも連係される分散電源の数が多くなることにより、別の個所でその影響(波形の相互干渉により状況が悪化する)が発生する可能性がある。高調波成分が多くなると、モーター用のブレーカや漏電遮断器が誤動作したり、テレビの画像がちらつくなどの種々の障害を引き起こすという問題が発生する。
【0024】
このため従来技術では、分散電源による電力品質の低下を事前に予想することが困難であった。また、将来の設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統において想定される電力品質の良否も判定することができなかった。
【0025】
本発明の目的は、設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統の電力品質を予想し、事前に電力の良否を判定することで、種々の障害を未然に防止することのできる配電系統電力品質判定装置およびプログラムを提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し、入力された系統状態と電気情報から前記配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する電力品質判定手段を有する監視制御用計算機と、前記電力品質判定手段による判定結果を表示し前記監視制御用計算機へ操作指示を出力する表示操作装置とを備えた配電系統電力品質判定装置であって、前記監視制御用計算機は、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データファイルと、分散電源導入予定データを入力する導入予定データ入力手段と、当該手段により入力されたデータと前記系統構成データファイルをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データファイルを作成し、この導入模擬データファイルを用いて配電系統状態を模擬する系統構成模擬手段とを備え、前記電力品質判定手段は前記系統構成模擬手段の模擬結果をもとに分散電源の導入後の電力品質を判定することを特徴とする。
【0027】
請求項1の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、分散電源の導入予定位置をオペレータが指示することにより一時的に系統状態を変更するとともにその系統での配電系統の状態を模擬し、模擬結果から分散電源の導入後の電力品質を判断する。
【0028】
ここで、「電気情報」とは、電流や電圧データなどを意味するが、潮流から収集することのできる情報全てを意味する。従って、周波数データなども含まれる趣旨である。
【0029】
請求項2の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、配電系統の構成の変更情報を入力する系統変更入力手段と、前記系統構成データファイルと前記系統変更入力手段により入力された変更情報をもとに将来の系統を作成する将来系統作成手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
請求項2の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、電力品質判定手段は将来系統作成手段により作成された将来の系統の電力品質を判定する。
【0031】
請求項3の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに複数の変更情報のそれぞれに識別情報を付し、各変更情報に対して将来系統作成手段により将来の系統を作成すると共に前記電力品質判定手段により電力品質を判定可能とし、各変更情報に対応して作成された将来の系統の情報もしくは電力品質の判定結果は再利用あるいは再変更可能に構成されたことを特徴とする。
【0032】
請求項3の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、オペレータが指示した分散電源の導入対象である配電系統構成の変更情報から、将来の系統構成を作成し、作成した系統情報を一通り以上保存し、それらを再利用したり再変更したりして、該当の配電系統の電力品質を判断する。
【0033】
請求項4の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに電力品質の監視基準値または監視要否が設定可能な監視項目設定内容ファイルを備え、前記電力品質判定手段は、この監視項目設定内容ファイルに基づき電力品質を判定することを特徴とする。
【0034】
請求項4の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、オペレータの要求により電力品質監視項目および監視基準値を任意の値に設定する。
【0035】
請求項5の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策情報を保存した対策候補ファイルと、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合は前記対策候補ファイルから候補を選定し、当該選定結果を通知する対策候補通知手段を備えたことを特徴とする。
【0036】
請求項5の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合に、あらかじめ設定された対策候補の中から候補を選定し、通知する。
【0037】
請求項6の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに対策候補ファイルは電圧調整装置を設置する対策を含み、当該対策が選択された場合、電圧変動不良地点および電圧変動不良範囲の情報より電圧調整装置の設置位置を決定し、次に前記電圧調整装置のタップ値を演算する電圧調整装置位置算定手段を備えたことを特徴とする。
【0038】
請求項6の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、電圧調整器を設置する対策を選定した際に、電圧調整器の設置箇所およタップ値を算定するとともに、算定結果を表示・保存する。
【0039】
請求項7の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに、電源供給ルートの変更の指定に基づいて系統切替手順を切替手順ファイルとして作成する系統切替手順作成手段と、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合に前記切替手順ファイルに基づき模擬的に系統を切り替える系統切替手順実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0040】
請求項7の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策として電源供給ルートの変更が必要な際に、系統の切替手順を作成し、その手順を模擬的に実行する。
【0041】
請求項8の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに、表示操作装置を介して系統の切替手順情報を入力する系統切替手順入力手段と、この系統切替手順入力手段により入力された切替手順情報をもとに切替手順の整合性を判定する系統切替手順判定手段とを備え、前記系統切替手順作成手段は前記系統切替手順判定手段により整合性ありとなった場合に前記切替手順ファイルを作成することを特徴とする。
【0042】
請求項8の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、対象とする配電系統における電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策として電源供給ルートの変更が必要な際に、オペレータの要求により入力された系統の切替手順を表示保存するとともに、その手順の整合性を判断する。
【0043】
請求項9の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、さらに分散電源の種類と容量を含む情報をパターンとして登録する分散電源パターン登録手段と、この分散電源パターン登録手段により登録されたパターンを選択することにより分散電源を設定する手段とを備えたことを特徴とする。
【0044】
請求項9の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、導入する分散電源に関する情報を予めパターンとして登録しておき、登録パターンの候補の中から、分散電源を設定する。
【0045】
請求項10の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、前記電気情報をもとに作成された負荷実績データファイルを備え、前記電力品質判定手段は前記負荷実績データファイルの実績値を用いて電力品質の判定をすることを特徴とする。
【0046】
請求項10の発明に係わる配電系統電力品質判定装置では、負荷の実績データを電力品質算定時の系統負荷に関する管理情報として使用する。
【0047】
請求項11の発明に係わる配電系統電力品質判定装置は、前記各手段を必要に応じて活殺する機能活殺手段を備えたことを特徴とする。
【0048】
請求項12の発明に係わるプログラムは、分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し前記配電系統の監視制御を行う監視制御用計算機のプログラムであって、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データを保存する処理と、分散電源導入予定データを入力する処理と、前記系統構成データと前記分散電源導入予定データとをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データを作成する処理と、この導入模擬データを用いて配電系統状態を模擬する処理と、前記電気情報を用いて模擬された配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。図1において、配電系統電力品質判定装置20は、機器ステータスファイル28、電圧電流状態ファイル37、電力品質基準ファイル38、系統構成データファイル39、分散電源導入予定データファイル40、分散電源導入模擬データファイル41および電圧電流予測データファイル42を有する記憶装置27と、導入予定データ入力手段51、系統構成模擬手段52、電圧電流算出手段53、電力品質判定手段34および結果出力手段54を有する監視制御用計算機23、並びに表示操作装置22から構成されている。なお、監視制御用計算機23の各手段は、図示しない中央演算処理装置の機能として実行されるものである。
【0050】
図1において、導入予定データ入力手段51は、オペレータの要求により表示操作装置22に表示した設定画面を通して設定された分散電源の導入予定データを取り込み、分散電源導入予定データファイル40に格納する。ここで表示設定画面については特に規定しない。また、分散電源導入予定データの入力方法は、図面の自動読取などの方法によってもよい。
【0051】
次に系統構成模擬手段52は、系統構成データファイル39と分散電源導入予定データファイル40に格納された情報から、分散電源導入後の模擬系統情報を作成し、分散電源導入模擬データファイル41に格納する。
【0052】
図2に系統構成データファイル39、図3に分散電源導入予定データファイル(以下、導入予定データファイル)40、図4に分散電源導入模擬データファイル(以下、導入模擬データファイル)41の構成例を示す。
【0053】
系統構成データファイル39には、例えば各配電線に分散電源が設置されているかどうかの情報や、配電系統の構成機器の接続状態を示す情報が格納されている。導入予定データファイル40は、分散電源導入予定の配電線名や設置箇所の前後に存在する既設の配電系統設備などの情報からなっている。系統構成模擬手段52は、これらの情報から、導入模擬データファイル41を作成する。導入模擬データファイル41では、配電系統構成機器の接続情報に導入予定の分散電源が反映されている。
【0054】
次に、電圧電流算出手段53は、導入模擬データファイル41に格納された系統における各計測点の電流・電圧値を計算し、電圧電流予測データファイル(以下、予測データファイル)42に格納する。予測データファイル42の構成は、電圧電流状態ファイル37と同様である。
【0055】
電力品質判定手段34は、このようにして作成した分散電源導入模擬系統の電力品質を、予測データファイル42の情報から算定し、結果を出力する。電力品質算出および基準値との整合性判定の方法については、すでに説明したものと同様なので省略する。
【0056】
本実施の形態によれば、将来導入予定の分散電源に対しても、導入後の配電系統の電力品質を算定し、良否を判断することができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態を説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機1の導入予定データ入力手段51と系統構成模擬手段52に代えて、系統変更入力手段55と将来系統作成手段56を設け、記憶装置27には、分散電源導入予定データファイル40と分散電源導入模擬データファイル41に代えて系統変更データファイル43と将来系統データファイル44を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0058】
図5において、系統変更入力手段55は、オペレータの要求により表示操作装置22にて設定された、系統構成や設備情報の変更予定データを取り込み、系統変更データファイル43に格納する。ここで変更予定データの設定方法については特に規定しない。設定画面からの入力のほか、図面の自動読取などの方法によってもよい。
【0059】
次に将来系統作成手段56は、系統構成データファイル39と系統変更データファイル43とから将来のある時点で予想される系統(将来系統)を作成する。図6に、系統変更データファイル43の構成例を示す。系統変更データファイル43には、その系統の指し示す日時を始め、その時点で追加・変更・撤去されている予定の配電系統構成設備の種類と名称、追加・変更される設備の詳細な設備情報などが含まれている。なお、日時とインデックスはデータを管理するための情報である。将来系統作成手段56は、これらの情報から将来系統データファイル44を作成する。将来系統データファイル44は、系統構成データファイル39と同様の系統構成情報を含む。次に電圧電流算出手段53は、該当の将来系統の各計測点における電圧・電流情報を計算し、予測データファイル42に格納する。図7は、その予測データファイル42の構成例である。
【0060】
次に、電力品質判定手段34は、このようにして作成された将来系統データファイル44および予測データファイル42を用いて電力品質を算定し、結果を出力する。電力品質算定と整合性判定、結果の出力については、第1の実施の形態と同様なので省略する。
【0061】
なお、上記で説明した系統変更データの入力、将来系統データファイル44の作成およびその系統での電力品質の算定と結果の出力は、複数のケースに対して行なうことも可能である。その場合は、系統変更データに日付や一意の番号などからなる管理情報を付け、そこから作成される将来系統データ、電力品質分析結果にも同様の管理情報を付けて管理すればよい。
【0062】
本実施の形態によれば、将来の系統変更時に発生しうる電力品質の変動を、事前に予測することができる。また、保存した将来の系統情報を再利用により繰返し変更・保存することにより、複数のケースについて電力品質を算出し、それらを比較検討することにより、より安定した配電系統の運用に寄与することができる。
【0063】
次に、第3の実施の形態を説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに電力品質監視項目設定手段57を設け、記憶装置27に監視項目設定内容ファイル45を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0064】
図8において、電力品質監視項目設定手段57は、オペレータからの要求により入力された電力品質監視項目の監視内容および監視基準値を取り込み、監視項目設定内容ファイル45に格納する。図9は監視項目設定内容ファイル45の構成例である。監視項目ごとに設定基準値と監視要否の情報を保存する。なお、設定内容の入力形式については特に規定しないが、表示操作装置22に表示した画面からの入力のほか、媒体に記憶されたデータの読取などの方法によってもよい。
【0065】
電力品質判定手段34は、対象となる配電系統の電力品質を算定する際に、監視項目設定内容ファイル45から各監視項目の監視要否および設定された監視基準値を取出し、電力品質の判定を行なう。
【0066】
ここで、電力品質監視項目設定手段57は、監視対象項目および監視基準値を複数の組合せについて設定し、保存することが可能である。複数の組合せで設定・保存を行う際には、監視項目設定内容ファイル45の各設定内容に、一意の番号などの管理情報を付ける。電力品質判定手段34が電力品質を算定する際には、この管理情報を指定すればよい。また、電力品質監視項目設定手段57において前記管理情報を指定して設定内容を読み出すことにより、一度設定した内容の再利用が可能となる。
【0067】
本実施の形態によれば、任意の監視項目をオペレータの要求により設定することで、状況に応じた電力品質の監視が可能となる。また、複数のケースを比較検討することにより、系統運用上、問題となりうる項目に着目して監視するなどの柔軟な運用が可能となる。
【0068】
次に、第4の実施の形態を説明する。図10は、本発明の第4の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに対策候補通知手段58を設け、記憶装置27に対策候補ファイル46を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0069】
図10において、電力品質判定手段34の判定の結果、監視基準値を逸脱すると、対策候補通知手段58が起動される。対策候補通知手段58は、逸脱している監視項目について対策候補ファイル46から対策候補を選定し、選定した候補を電力品質の判定結果とともに結果出力手段54によってオペレータに通知する。ここで通知方法については特に規定しない。表示操作装置22への画面表示のほか、音声や印字によってもよい。
【0070】
図11は対策候補ファイル46の構成例である。品質監視項目ごとに対策候補が設定されている。また、対策候補ファイル46には、同一監視項目に対して複数対策内容を格納することも可能である。この場合の対策候補の通知は格納されている複数の対策候補または最有力候補を選択して通知する。最有力候補の選定方法としては逸脱値から判断して選定するなどの方法が考えられる。
【0071】
本実施の形態によれば、対象となる配電系統の電力品質が基準値を逸脱することが予想される場合の、必要な対策の候補をオペレータに提示することができ、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0072】
次に、第5の実施の形態を説明する。図12は、本発明の第5の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第4の実施の形態との違いは、図10の監視制御用計算機23にさらに系統切替手順作成手段59と系統切替手順実行手段60を設け、記憶装置27に切替手順ファイル47を設けたことである。その他については、図10と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図12において、系統切替手順作成手段59は、オペレータからの要求により表示操作装置22に表示した切替系統手順作成画面から、選定された電源供給ルート変更の指定により実施され、系統の切替手順を作成して、切替手順ファイル47に格納する。具体的な系統切替手順の計算方法としては、融通計算、ロスミニマム計算などがある。図13は切替手順ファイル47の構成例である。供給ルートの変更候補ごとに機器の操作手順が設定されている。
【0074】
切替手順が作成されるとオペレータの指示により手順の実行が指示され、系統切替手順実行手段60が起動される。系統切替手順実行手段60は、この切替手順にもとづいて、系統切替の操作を行う。系統切替手順実行手段60は、供給ルートを変更する手順を切替手順ファイル47から取り出し、その手順の操作方向に従い、系統構成データファイル39および機器ステータスファイル28の状態を随時更新して切替手順を模擬的に実行する。これを作成手順数だけ実施し、系統の切替操作を完了させる。
【0075】
また、ここで、電圧電流算出手段53は、機器ステータスファイル28および系統構成データファイル39に格納されている切替手順模擬実行後の配電系統の各計測点での電圧・電流値を計算して予測データファイル42に格納し、電力品質判定手段34によって切替後の系統における電力品質を判定することもできる。
【0076】
本実施の形態によれば、配電系統の電力品質について、監視基準値を逸脱した場合の対策として供給ルートを変更する対策を実施する場合に、適切な切替手順を作成して切替後の電力品質を再評価することにより、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0077】
次に、第6の実施の形態を説明する。図14は、本発明の第6の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第5の実施の形態との違いは、図12の監視制御用計算機23にさらに系統切替手順入力手段61と系統切替手順判定手段62を設けたことである。その他については、図12と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0078】
図14において、系統切替手順入力手段(以下、入力手段)61は、対策候補通知手段58の結果により電源供給ルートの変更が必要な場合に、オペレータからの要求により表示装置装置22を介して系統切替手順の作成に必要な情報を入力する。切替手順の作成に必要な情報とは、切替時に操作予定の機器や、操作内容などである。オペレータは、系統切替に必要な数だけの操作機器と操作内容を、順次入力する。
【0079】
次に、系統切替手順判定手段62は、入力手段61から入力された情報から、作成しようとしている切替手順の整合性を判断し、判断結果を通知する。整合性判断の条件としては、手順実行によって停電が発生する、電力品質が改善されない、ループ系統を形成する、などがあるが、このほか系統運用上必要な任意の条件を追加してもよい。
【0080】
整合性判断の結果が良であれば、その手順を実行することが可能となり、オペレータの指示により手順を模擬的に実行する。切替手順の模擬的実行の方法については、第5の実施の形態と同様であるので説明は省略する。判断結果が不良の場合は、その旨をオペレータに通知し、入力手段61はオペレータ要求により手順情報の入力を再度実施する。
【0081】
また、入力手段61は、系統切替手順作成手段(以下、作成手段)59が作成した系統切替手順を、オペレータの要求により修正することができる。入力手段61は、作成手段59が作成し切替手順ファイル47に格納した手順情報を、オペレータの入力内容に従って修正する。手順情報入力後の整合性判断および該当手順の実行については、上記の説明と同様である。
【0082】
本実施の形態によれば、対象となる配電系統の電力品質が監視基準値を逸脱することが予想される場合の対策として供給ルートを変更する場合に、オペレータの任意に切替手順を作成することができ、適切な系統運用の計画を支援することができる。
【0083】
次に、第7の実施の形態を説明する。図15は、本発明の第7の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第4の実施の形態との違いは、図10の監視制御用計算機23にさらに電圧調整器位置算定手段(以下、SVR位置算定手段)63を設け、記憶装置27に電圧調整器位置ファイル(以下、SVR位置ファイル)48を設けたことである。その他については、図10と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0084】
図15において、SVR位置算定手段63は、対策候補通知手段58の結果により電圧調整器(以下SVR)の設置が必要な場合に、電力品質の分析結果にもとづいてSVRの設置位置および必要なタップ値(SVRのタップ値)を算定する。
【0085】
図16は、SVR位置算定手段の処理手順のフローチャートである。SVR位置算定手段63は、電圧変動の判定結果が不良となっている地点を検索(STEP1)し、電圧変動が不良となる系統上の範囲を特定する(STEP2)。次に、その範囲を取り囲むことができる系統上の地点をSVRの設置位置と判断する(STEP3)。設置するSVRでのタップ値は、設置位置にもっとも近い地点での逸脱幅と、その系統の負荷側での最大の逸脱幅との差をとることにより決定することができる(STEP4)。同様にして、1台のSVRで該当の逸脱幅を補償できない場合の複数のSVR設置位置を算定することもできる。
【0086】
本実施の形態によれば、配電系統の電力品質について、SVRの設置が必要な場合には、その設置位置およびタップ値を算出することができ、安定した系統運用に対する適切な支援を行うことができる。
【0087】
次に、第8の実施の形態を説明する。図17は、本発明の第8の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに分散電源パターン登録手段64を設け、記憶装置27に分散電源パターン情報ファイル49を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0088】
図17において、分散電源パターン登録手段(以下、パターン登録手段)64は、オペレータの要求により表示操作装置22にて設定された、分散電源の種類や容量についてのパターン情報を取込む。ここでパターン情報の設定方法については特に規定しないが、表示操作装置22に表示する設定画面からの入力のほか、あらかじめ作成された電子ファイルの読取などの方法によってもよい。
【0089】
次にパターン登録手段64は、入力情報から分散電源のパターンを作成して分散電源パターン情報ファイル(以下、パターン情報ファイル)49に格納する。図18は、パターン情報ファイル49の構成例である。分散電源に関する情報としては、機器の種類、発電容量、出力特性、運転時間、季節変動の有無などがあり、これらには、機器の種類によってある程度特定される情報もある。例えば、太陽光発電の場合は運転時間が日中に限られるなどである。パターン登録手段64はこのような情報を例えば機器種別ごとのパターン情報と判断し、パターンを作成する。また、運転時期など、設置箇所の諸条件によって個別に変化する情報については、パターンの構成要素からは除外するなどして、パターン情報に、より一般性をもたせることも可能である。
【0090】
なお、配電系統への分散電源導入時には、パターン情報ファイル49に登録されたパターン番号を指定した後、不足している情報があればその情報を追加するようにしてもよい。
【0091】
本実施の形態によれば、分散電源に関する情報を予めパターンとして登録しておくことにより、分散電源の情報入力時の手間が省けるとともに入力の誤りを防ぐことができ、配電系統の電力品質評価時の運用を支援することができる。
【0092】
次に、第9の実施の形態を説明する。図19は、本発明の第9の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の記憶装置27の電圧電流状態ファイル37に代えて、負荷実績データファイル50を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。
【0093】
図19において、電圧電流算定手段53は、負荷実績データ50に保存された負荷実績と分散電源導入模擬データファイル41の系統情報から、該当の系統状態における電圧・電流を算出し、電圧電流予測データファイル42に格納する。電力品質判定手段34は、この予測データファイル42を用いて電力品質に関する計算を実施し、電力品質基準ファイル38の監視項目毎の基準値と比較して対象とする配電系統の電力品質の良否を判定する。
【0094】
ここで、負荷実績データ50は、第1の実施の形態における電圧電流状態ファイル37と同様の構成であり、両者の違いは、電圧電流状態ファイル37が、系統上の各計測機器から所定の方法で収集した最新の情報を格納しているのに対し、負荷実績データ50は、一定期間に亘って収集した各計測データを所定ルールに則って加工した情報を格納している点である。ここで、負荷実績データの収集および加工の方法としては、各季節(夏季、冬季、その他)の平日と休日でそれぞれ5日間収集した計測値の平均値または最大値をその5日間の実績データとして保存し、順次更新するなどが考えられる。この場合は、負荷実績データ50としては、合計6種類のデータが存在することになる。
【0095】
また、第2の実施の形態で説明したような、将来の設備の追加変更を反映した場合の負荷実績データは、想定される伸び率や需要家などの増加による負荷の増分を上記の実績データに加算すればよい。
【0096】
電圧電流算出手段53は、これら負荷実績データ50の中から、分析対象の配電系統において最適なものを選定して、電力品質の算定に使用する。対象系統に最適な負荷実績データの選定方法は、例えば、分散電源の導入予定時期など、季節や休平日を特定できる情報による。季節などを特定できる情報がないような場合には、電力品質判定開始時に、オペレータ要求により使用する負荷実績データを指定することでもよい。
【0097】
本実施の形態によれば、分散電源の導入予定や系統の変更予定などを反映した将来の系統に対する電力品質をより柔軟に分析することができる。
【0098】
次に、第10の実施の形態を説明する。図20は、本発明の第10の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図である。第1の実施の形態との違いは、図1の監視制御用計算機23にさらに機能活殺手段65を設けたことである。その他については、図1と同一であるので、同一要素には同一符号を付し、説明は省略する。なお、図示しないが、監視制御計算機23は、第1から第9の実施の形態で述べた全ての手段を有しているものとする。
【0099】
図20において、機能活殺手段65は、第1から9に述べた各手段を予めあるいはオペレータの指示により活殺する。
【0100】
本実施の形態によれば、配電系統電力品質監視装置の機能の中で必要なもののみを動作させることができ、状況に応じた電力品質の分析が行えるとともに、処理時間や記憶装置の容量などを節減することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の配電系統電力品質判定装置およびプログラムにおいては、分散電源を含む設備増強や負荷の伸長などを反映した配電系統の電力品質を予想し、事前に電力の良否を判定することで、種々の障害を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図2】図1の系統構成データファイルのデータ構造を示すもので、図2(a)は分散電源の有無情報の説明図、図2(b)は設備の接続情報の説明図。
【図3】図1の分散電源導入予定データファイルのデータ構造の説明図。
【図4】図1の分散電源導入模擬データファイルのデータ構造を示すもので、図4(a)は分散電源の有無情報の説明図、図4(b)は設備の接続情報の説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図6】図5の系統変更データファイルのデータ構造の説明図。
【図7】図5の電圧電流予測データファイルのデータ構造の説明図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図9】図8の監視項目設定内容ファイルのデータ構造の説明図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図11】図10の対策候補ファイルのデータ構造の説明図。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図13】図12の切替手順ファイルのデータ構造の説明図。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図15】本発明の第7の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図16】図15のSVR位置算定手段の処理手順のフローチャート。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図18】図17の分散電源パターン情報ファイルのデータ構造の説明図。
【図19】本発明の第9の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図20】本発明の第10の実施の形態に係わる配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図21】分散電源が連係された配電系統図。
【図22】従来の配電系統電力品質判定装置の機能構成図。
【図23】図22の機器ステータスファイルのデータ構造の説明図。
【図24】図22の電圧電流状態ファイルのデータ構造の説明図。
【図25】図22の電力品質基準ファイルのデータ構造の説明図。
【符号の説明】
1…配電変電所、2…配電用変圧器、2a…線路電圧降下補償装置
3、5a、5b、5c…遮断器、4…三相母線
6a、6b、6c…配電線
7a、7b、7c、8a、8b、8c、8f、18a、18b、18c…開閉器9a、9b…電圧センサ、10a、10b…電流センサ
11a、11b…計測子局、12…電圧調整器(SVR)、13…通信線
15…分散電源、16…負荷、20…配電系統電力品質判定装置
21…遠方監視制御装置、22…表示操作装置、23…監視制御用計算機
27…記憶装置、28…機器ステータスファイル
30…開閉器子局、31…時刻同期手段、32…サンプリングデータ送信手段
33…サンプリングデータ受信手段、34…電力品質判定手段
35…警報出力手段、37…電圧電流状態ファイル
38…電力品質基準ファイル、39…系統構成データファイル
40…分散電源導入予定データファイル
41…分散電源導入模擬データファイル
42…電圧電流予測データファイル、43…系統変更データファイル
44…将来系統データファイル、45…監視項目設定内容ファイル
46…対策候補ファイル、47…切替手順ファイル
48…SVR位置ファイル、49…分散電源パターン情報ファイル
50…負荷実績データファイル、51…導入予定データ入力手段
52…系統構成模擬手段、53…電圧電流算出手段、54…結果出力手段
55…系統変更入力手段、56…将来系統作成手段
57…電力品質監視項目設定手段、58…対策候補通知手段
59…系統切替手順作成手段、60…系統切替手順実行手段
61…系統切替手順入力手段、62…系統切替手順判定手段
63…SVR位置算定手段、64…分散電源パターン登録手段
65…機能活殺手段
Claims (12)
- 分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し、入力された系統状態と電気情報から前記配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する電力品質判定手段を有する監視制御用計算機と、前記電力品質判定手段による判定結果を表示し前記監視制御用計算機へ操作指示を出力する表示操作装置とを備えた配電系統電力品質判定装置であって、前記監視制御用計算機は、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データファイルと、分散電源導入予定データを入力する導入予定データ入力手段と、当該手段により入力されたデータと前記系統構成データファイルをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データファイルを作成し、この導入模擬データファイルを用いて配電系統状態を模擬する系統構成模擬手段とを備え、前記電力品質判定手段は前記系統構成模擬手段の模擬結果をもとに分散電源の導入後の電力品質を判定することを特徴とする配電系統電力品質判定装置。
- 配電系統の構成の変更情報を入力する系統変更入力手段と、前記系統構成データファイルと前記系統変更入力手段により入力された変更情報をもとに将来の系統を作成する将来系統作成手段とを備え、前記電力品質判定手段は前記将来系統作成手段により作成された将来の系統の電力品質を判定することを特徴とする請求項1記載の配電系統電力品質判定装置。
- 前記変更情報はそれぞれ識別情報を付された複数の変更情報であって、それぞれの変更情報に対して前記将来系統作成手段により将来の系統を作成すると共に前記電力品質判定手段により電力品質を判定可能とし、それぞれの変更情報に対応して作成された将来の系統の情報もしくは電力品質の判定結果は再利用あるいは再変更可能に構成されたことを特徴とする請求項2記載の配電系統電力品質判定装置。
- 電力品質の監視基準値または監視要否が設定可能な監視項目設定内容ファイルを備え、前記電力品質判定手段は、この監視項目設定内容ファイルに基づき電力品質を判定することを特徴とする請求項1記載の配電系統電力品質判定装置。
- 電力品質が監視基準値を逸脱した場合の対策情報を保存した対策候補ファイルと、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合は前記対策候補ファイルから候補を選定し、当該選定結果を通知する対策候補通知手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の配電系統電力品質判定装置。
- 前記対策候補ファイルは電圧調整装置を設置する対策を含み、当該対策が選択された場合、電圧変動不良地点および電圧変動不良範囲の情報より電圧調整装置の設置位置を決定し、次に前記電圧調整装置のタップ値を演算する電圧調整装置位置算定手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の配電系統電力品質判定装置。
- 電源供給ルートの変更の指定に基づいて系統切替手順を切替手順ファイルとして作成する系統切替手順作成手段と、前記電力品質判定手段による判定の結果、電力品質が監視基準値を逸脱した場合に前記切替手順ファイルに基づき模擬的に系統を切り替える系統切替手順実行手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の配電系統電力品質判定装置。
- 表示操作装置を介して系統の切替手順情報を入力する系統切替手順入力手段と、この系統切替手順入力手段により入力された切替手順情報をもとに切替手順の整合性を判定する系統切替手順判定手段とを備え、前記系統切替手順作成手段は前記系統切替手順判定手段により整合性ありとなった場合に前記切替手順ファイルを作成することを特徴とする請求項7記載の配電系統電力品質判定装置。
- 分散電源の種類と容量を含む情報をパターンとして登録する分散電源パターン登録手段と、この分散電源パターン登録手段により登録されたパターンを選択することにより分散電源を設定する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の配電系統電力品質判定装置。
- 前記電気情報をもとに作成された負荷実績データファイルを備え、前記電力品質判定手段は前記負荷実績データファイルの実績値を用いて電力品質の判定をすることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一に記載の配電系統電力品質判定装置。
- 前記各手段を必要に応じて活殺する機能活殺手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一に記載の配電系統電力品質判定装置。
- 分散電源を有する配電系統に適用され、この配電系統を構成する機器の入/切等の系統状態と前記配電系統の電気情報とを遠方監視制御手段を介して入力し前記配電系統の監視制御を行う監視制御用計算機のプログラムであって、配電線における分散電源の接続位置を特定する系統構成データを保存する処理と、分散電源導入予定データを入力する処理と、前記系統構成データと前記分散電源導入予定データとをもとに配電線における分散電源導入予定の接続位置を特定する導入模擬データを作成する処理と、この導入模擬データを用いて配電系統状態を模擬する処理と、前記電気情報を用いて模擬された配電系統の電力品質を演算し当該演算結果と監視基準値とをもとに電力品質を判定する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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