以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<電動車両の構成>
実施の形態1においては、電動車両の一例として、エンジンを搭載しない電気自動車について説明する。しかし、本発明が適用可能な電動車両は外部充電が可能に構成されていればこれに限定されるものではなく、外部充電が可能に構成されたハイブリッド車であるプラグインハイブリッド車や燃料電池車であってもよい。
図1は、実施の形態1に係る電動車両の充電システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。図1を参照して、車両1は、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10と、駆動輪30と、PCU(Power Control Unit)200と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)140と、バッテリ150と、充電リレー(CHG:Charge Relay)160と、電力変換装置170と、電圧センサ180と、インレット190と、ECU(Electronic Control Unit)300とを備える。
MG10は、たとえば永久磁石がロータに埋設された三相交流回転電機である。PCU200は、たとえば三相インバータを含んで構成される。
MG10は、PCU200と、駆動輪30とに接続される。MG10は、PCU200から供給された電力を受けて電動機として動作し、車両1を走行させるための駆動力を発生する。また、MG10は、駆動輪30からの回転力を受けて交流電力を発生するとともに、ECU300からの回生トルク指令によって回生制動力を発生する。
PCU200は、MG10と、SMR140を介してバッテリ150とに接続される。PCU200は、ECU300からの制御信号に基づいて、バッテリ150から供給される電力をMG10を駆動するための電力に変換する。
SMR140は、PCU200とバッテリ150とを結ぶ経路に電気的に接続される。SMR140は、ECU300からの制御信号に基づいて、PCU200とバッテリ150との間の電力の供給と遮断とを切り替える。
バッテリ150(蓄電装置)は、充放電が可能に構成された直流電源であり、代表的にはリチウムイオン電池もしくはニッケル水素電池などの二次電池、または電気二重層キャパシタなどのキャパシタを含んで構成される。バッテリ150は、車両1の走行時には、車両1の駆動力を発生させるための電力をPCU200に供給する一方で、車両1の回生制動時には、MG10による発電電力を蓄電する。
バッテリ150は、いずれも図示しないが、バッテリの電圧(バッテリ電圧)VBを検出する電圧センサと、バッテリ150に入出力される電流(入出力電流)IBを検出する電流センサと、バッテリ150の温度(バッテリ温度)TBを検出する温度センサとを含む。各センサは、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。ECU300は、各センサからの信号に基づいて、バッテリ150のSOC(State Of Charge)を算出するとともに、CHR160および電力変換装置170等に制御信号を出力することによってバッテリ150の充放電を制御する。また、ECU300は、各センサからの信号に基づいて、バッテリ150の内部抵抗Rを算出する。この算出手法については後述する。
CHR160は、バッテリ150と電力変換装置170とを結ぶ経路に電気的に接続される。CHR160は、ECU300からの制御信号に基づいて、バッテリ150と電力変換装置170との間の電力の供給と遮断とを切り替える。
電力変換装置170は、CHR160を介してバッテリ150に接続されるとともに、電力線ACL1,ACL2によってインレット190に接続される。電力変換装置170は、ECU300からの制御信号に基づいて、交流電力源510から供給される交流電力を、バッテリ150が充電可能な直流電力に変換する。
電圧センサ180は、電力線ACL1と電力線ACL2との間に接続される。電圧センサ180は、外部電源装置500から供給される交流電力の電圧VACを検出して、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。
ECU300(制御装置)は、いずれも図1には図示しないが、CPU(Central Processing Unit)310(図2参照)と、メモリと、入出力バッファ(たとえば図2に示す入力バッファ330,340)とを含む。ECU300は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサからの信号を用いた演算処理を実行し、演算処理結果に応じた制御信号を出力する。なお、これらの制御については、ソフトウェア処理に限られず、専用の電子回路によるハードウェア処理とすることも可能である。
充電ケーブル400は、充電プラグ410と、コネクタ420と、充電回路遮断装置(CCID:Charging Circuit Interrupt Device)430と、電線部440とを備える。CCID430は、コントロールパイロット回路431と、CCIDリレー432とを含む。外部電源装置500は、典型的には商用交流電源である交流電力源510と、コンセント520とを備える。
充電ケーブル400は、車両1と外部電源装置500とに着脱可能に構成されている。充電ケーブル400を装着する際には、車両1側の端部に設けられた充電プラグ410が車両1のインレット190に接続されるとともに、交流電力源510側の端部に設けられたコネクタ420が交流電力源510のコンセント520に接続される。電線部440は、充電ケーブル400の構成要素間を電気的に接続して、各種信号および外部電源装置500からの供給電力を伝送する。
コントロールパイロット回路431は、交流電力源510の出力電圧および充電ケーブル400の定格電流を示すパイロット信号CPLTを生成する。パイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路431から電線部440を経由してECU300へと伝送される。また、パイロット信号CPLTは、ECU300からCCIDリレー432を遠隔操作するための信号としても用いられる。コントロールパイロット回路431は、ECU300の遠隔操作によるパイロット信号CPLTの電位変化に基づいて、CCIDリレー432の開放と閉成とを切り替える。
CCIDリレー432は、充電ケーブル400内の電線部440に設けられる。CCIDリレー432が開放されているときは充電ケーブル400内の電路が遮断される一方で、CCIDリレー432が閉成されると、交流電力源510から車両1へ電力が供給される。
<パイロット信号CPLT>
図2は、図1に示す充電ケーブル400の充電制御動作に関する構成を詳細に説明するための回路ブロック図である。図2を参照して、CCID430は、コントロールパイロット回路431およびCCIDリレー432に加えて、CCID制御部433と、電磁コイル434と、電圧センサ435と、電流センサ436とをさらに含む。コントロールパイロット回路431は、発振回路437と、電圧センサ438と、抵抗R20とを有する。
電圧センサ435は、充電ケーブル400のコネクタ420がコンセント520に差し込まれると、交流電力源510から伝送される交流電圧を検出する。電流センサ436は、電線部440を伝送される充電電流を検出する。また、電圧センサ438は、コントロールパイロット線L1に設けられ、パイロット信号CPLTの電位を検出する。各センサは、その検出結果を示す信号をCCID制御部433に出力する。CCID制御部433は、各センサからの信号に基づいて、コントロールパイロット回路431を制御する。
発振回路437は、ECU300によって操作されるパイロット信号CPLTの電位が規定の電位のときは、非発振の信号を出力する一方で、パイロット信号CPLTの電位が上記規定の電位から低下したときは、規定の周波数およびデューティサイクルで発振する信号を出力する。このデューティサイクルは、交流電力源510から充電ケーブル400を介して車両1へ供給可能な定格電流に基づいて設定される。パイロット信号CPLTの電位がさらに低下すると、コントロールパイロット回路431は、電磁コイル434へ電流を供給する。電磁コイル434は、電流が供給されると電磁力を発生し、CCIDリレー432を閉成する。これにより、外部電源装置500から車両1へと電力が伝送される。
車両1において、ECU300は、CPU310と、抵抗回路320と、入力バッファ330,340と、電源ノード350と、プルアップ抵抗R10とを含む。
抵抗回路320は、車両1側からパイロット信号CPLTの電位を操作するための回路である。抵抗回路320は、プルダウン抵抗R1,R2と、スイッチSW1,SW2とを有する。プルダウン抵抗R1およびスイッチSW1は、コントロールパイロット線L1と車両アース360との間に直列に接続される。同様に、プルダウン抵抗R2およびスイッチSW2は、コントロールパイロット線L1と車両アース360との間に直列に接続される。スイッチSW1,SW2は、CPU310からの制御信号S1,S2にそれぞれ従って導通または非導通に制御される。これにより、パイロット信号CPLTの電位が変化するので、ECU300からCCIDリレー432を遠隔操作することができる。
入力バッファ330は、コントロールパイロット線L1経由で伝送されたパイロット信号CPLTを受けると、そのパイロット信号CPLTをCPU310に出力する。CPU310は、パイロット信号CPLTの電位を検出することによって交流電力源510の出力電圧を取得するとともに、パイロット信号CPLTの発振状態およびデューティサイクルを検出することによって、充電ケーブル400の定格電流を取得する。パイロット信号CPLTの制御については図3にて詳細に説明する。
<接続信号CNCT>
充電プラグ410は、接続検知回路411と、操作部412とを含む。接続検知回路411は、接続信号線L3と接地線L2との間に直列に接続された抵抗R25,R26と、抵抗R26に並列に接続されたスイッチSW20とを有する。操作部412は、充電プラグ410をインレット190から取り外す際にユーザによって操作される操作ボタンである。
充電プラグ410がインレット190に嵌合された状態の場合、スイッチSW20の接点は閉じられる。一方、充電プラグ410がインレット190から切り離された状態の場合、スイッチSW20の接点は開かれる。また、スイッチSW20の接点は、操作部412が操作されることによっても開かれる。このように、充電プラグ410とインレット190との嵌合状態および操作部412の操作状態に応じて、インレット190に設けられた抵抗R15と、抵抗R25,R26との組合せによる合成抵抗が変化する。
充電プラグ410がインレット190から切り離された状態では、接続信号線L3の電位は、ECU300に含まれる電源ノード350の電圧によって定まる。一方、充電プラグ410がインレット190に接続された状態では、接続信号線L3の電位は、電源ノード350の電圧と、抵抗R15,R25,R26の合成抵抗とに応じて定まる。
入力バッファ340は、接続信号線L3経由で伝送された接続信号CNCTを受けると、その接続信号CNCTをCPU310に出力する。CPU310は、接続信号CNCTの電位を検出することによって、充電プラグ410の接続状態および嵌合状態を判定する。
図3は、実施の形態1における充電制御動作を説明するためのタイムチャートである。図3においては横軸に時間が示される。縦軸には、上から順に、充電プラグ410の接続状態、電圧センサ180で検出された電圧VAC、パイロット信号CPLTの電位、接続信号CNCTの電位、スイッチSW1,SW2の状態、CCIDリレー432の状態、および充電処理の状態(CHR160および電力変換装置170の状態)が示される。
図1〜図3を参照して、時刻t11になるまでは、充電ケーブル400は、車両1および外部電源装置500のいずれにも接続されていない状態である。この状態においては、スイッチSW1,SW2はいずれも非導通状態であり、CCIDリレー432は開放されている。また、パイロット信号CPLTの電位は0Vであり、接続信号CNCTの電位はV11である。
時刻t11において、充電ケーブル400のコネクタ420が外部電源装置500のコンセント520に接続されると、充電システムが起動される。なお、この時点では充電ケーブル400の充電プラグ410は車両1のインレット190に接続されていない。
コントロールパイロット回路431は、交流電力源510からの電力供給を受けて、非発振状態のパイロット信号CPLTを生成する。ここで、コントロールパイロット回路431は、交流電力源510の出力電圧に応じてパイロット信号CPLTの電位を設定する。一例として、交流電力源510から単相AC200Vの電力が供給される場合、コントロールパイロット回路431は、パイロット信号CPLTを所定の期間、V0(たとえば15V)に設定し、上記期間の経過後にV1(たとえば12V)へと低下させる。一方、交流電力源510から単相AC100Vの電力が供給される場合、コントロールパイロット回路431は、パイロット信号CPLTを始めからV1に設定する。
時刻t12において、充電プラグ410がインレット190に接続されると、接続検知回路411によって接続信号CNCTの電位がV12に低下する。CPU310は、接続信号CNCTの電位低下を検出することによって、充電プラグ410とインレット190とが接続されたと判定する。また、CPU310は、パイロット信号CPLTの電位がV0に設定されたか否かに基づいて、交流電力源510の出力電圧を判定する。その後、CPU310は、制御信号S1が活性化して、スイッチSW1を導通状態に切り替える。これにより、パイロット信号CPLTの電位は、プルダウン抵抗R2によってV2(たとえば9V)に低下する。
時刻t13において、CCID制御部433は、パイロット信号CPLTの電位がV2に低下したことを検出すると、規定の周波数(たとえば1kHz)でパイロット信号CPLTを発振させる。CPU310は、パイロット信号CPLTが発振されたことを検出すると、パイロット信号CPLTのデューティに基づいて、充電ケーブル400の定格電流を検出する。定格電流は充電ケーブル毎に定められており、充電ケーブル400の種類が異なれば定格電流も異なる。したがって、充電ケーブル400毎にパイロット信号CPLTのデューティも異なることになる。そのため、ECU300は、コントロールパイロット線L1を介して受信したパイロット信号CPLTのデューティに基づいて、充電ケーブル400を介して車両1へ供給可能な定格電流を検出することができる。
時刻t14において、CPU310は、充電処理を開始するために制御信号S2を活性化して、スイッチSW2を導通状態に切り替える。これにより、パイロット信号CPLTの電位は、プルダウン抵抗R3によってV3(たとえば6V)に低下する。
時刻t15において、CCID制御部433は、パイロット信号CPLTの電位がV3に低下したことを検出すると、CCIDリレー432を閉成する。これにより、交流電力源510からの交流電力が充電ケーブル400を介して電力線ACL1,ACL2に伝達されるため、電圧センサ180によって電圧VACが検出される。
時刻t16において、CPU310は、電圧センサ180によって電圧VACが検出されると、CHR160を閉成するとともに電力変換装置170を駆動する。これにより、バッテリ150の充電処理が開始される。
バッテリ150の充電が進み、バッテリ電圧VBが満充電判定値Vfl(図4参照)に到達すると、CPU310は、バッテリ150が満充電状態に至ったと判定する。この場合、CPU310は、制御信号S2を非活性化することにより、スイッチSW2を非導通状態へと切り替える(時刻t17)。これにより、パイロット信号CPLTの電位がV2に上昇する。そうすると、CCID制御部433は、CCIDリレー432を開放して、充電処理を終了させる。その後、時刻t18において、CPU310が制御信号S1を非活性化してスイッチSW1を非導通状態とすることによって、充電システムが遮断される。
<充電処理の開始の可否判定>
一般家庭において、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの電動車両の外部充電を行なう場合、外部充電専用の電気設備を準備することが望ましい。そうすることにより、たとえば単相AC200Vでの大電力での充電(大電力充電)が可能になるため、充電時間を短縮することができるとともに充電効率を向上させることができる。一方で、既存の電気設備を用いて、たとえば単相AC100Vなどでの相対的に小電力での充電(小電力充電)が行なわれる場合もある。
ただし、「大電力充電」および「小電力充電」との用語は、充電電力の大きさが互いに異なる充電方式の任意の組合せに適用可能であり、上述の例に限定されるものではない。たとえば、三相AC200Vでの充電が可能な充電スタンドなどの専用の電気設備を用いると、一般家庭用の電気設備を用いる場合と比べて、さらに大電力かつ急速な充電が可能である。このような場合には、充電スタンドでの外部充電(三相AC200Vでの充電)を「大電力充電」と称し、一般家庭の充電設備での外部充電(単相AC200Vまたは単相AC100Vでの充電)を包括的に「小電力充電」と称してもよい。
以下においては、比較例として、大電力充電および小電力充電のいずれであっても、外部充電の開始の可否を判定するためのしきい値として共通の値が用いられる構成について説明する。なお、比較例に係る電動車両の充電システムの構成は、図1に示す車両1の充電システムの構成と同等であるため詳細な説明は繰り返さない。
図4は、比較例における外部充電の開始の可否判定について説明するための図である。図4(A)は大電力充電を表し、図4(B)は小電力充電を表す。横軸には経過時間が示され、縦軸にはバッテリ電圧VBが示される。
図4(A)を参照して、時刻t1において充電ケーブル400の充電プラグ410が車両1のインレット190に接続されるものの、時刻t2になるまではバッテリ150の充電処理は行なわれない。時刻t2において、大電力充電の開始の可否(許可または禁止)が判定される。
図4では、しきい値電圧Vthが大電力充電を想定して設定される例について説明する。しきい値電圧Vth以上かつ満充電判定値Vfl未満の電圧領域では、大電力充電を実行するとバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達し、満充電状態との誤判定が生じるおそれがあるため、外部充電の開始が禁止されている。以下、この領域を「充電禁止領域」と称する。一方、0V以上かつしきい値電圧Vth未満の電圧領域では、大電力充電を実行してもバッテリ電圧VBが満充電判定値Vfl未満に維持され、満充電状態との誤判定が生じることを防止できるため、外部充電の開始が許可されている。以下、この領域を「充電許可領域」と称する。
曲線C1では、時刻t2におけるバッテリ電圧VB=Vpが充電許可領域に含まれているため、外部充電の開始が許可される。外部充電が開始されると、バッテリ150への充電電流IBcとバッテリ150の内部抵抗Rとの積に相当する量だけバッテリ電圧VBの電圧上昇が生じる。大電力充電の場合、小電力充電の場合と比べて充電電流IBcが大きいため電圧上昇量も大きいものの、しきい値電圧Vthは、電圧上昇後においてもバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達しないように設定されている。
次に図4(B)を参照して、この比較例においては上述のように、大電力充電を想定して設定したしきい値電圧Vthが小電力充電の場合にも適用される構成について説明する。曲線C2では、時刻t2におけるバッテリ電圧VB=Vqが充電禁止領域に含まれているので、外部充電の開始が禁止される。しかしながら、小電力充電の場合、大電力充電の場合と比べて電圧上昇量が小さいので、仮にこの状態で小電力充電を実行してもバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達しない場合が生じ得る。
このように、大電力充電を想定して設定したしきい値電圧Vthを小電力充電の場合にも適用すると、小電力充電での電圧上昇量に対して充電禁止領域の広さに十分な余裕代があるため、充電開始直後の満充電状態との誤判定については確実に防止できる。しかしながら、充電禁止領域に余裕代がある分だけ充電許可領域が狭くなるため、外部充電の開始が過度に制限され、外部充電の機会が失われてしまう場合がある。逆に、小電力を想定して設定したしきい値電圧Vthを大電力充電の場合に適用すると、大電力充電では小電力充電と比べて電圧上昇量が大きいので充電開始直後にバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達し、満充電状態との誤判定が生じてしまう可能性が高い。
そこで、本実施の形態によれば、外部電源装置からの供給電力の大きさに応じて、しきい値電圧Vthを変更する構成を採用する。そして、小電力充電の場合には、大電力充電の場合に比べて、しきい値電圧Vthが高く設定される。図4(B)では、本実施の形態において小電力充電時に設定されるしきい値電圧Vthの一例を直線Lにて示す。こうすることにより、比較例と比べて、充電禁止領域が狭くなる一方で充電許可領域が広くなり、バッテリ電圧VBがVqの場合でも充電が開始される。したがって、本実施の形態によれば、外部充電の機会を確保することができる。
<しきい値電圧Vthの算出手法>
図5は、実施の形態1におけるしきい値電圧Vthの設定手法について説明するためのタイムチャートである。横軸には経過時間が示される。図5(A)の縦軸にはバッテリ150の充放電電力が示されるが、正方向は充電に対応し、負方向は放電に対応する。図5(B)の縦軸にはバッテリ電圧VBが示される。
図2および図5(A)を参照して、時刻t21にて充電プラグ410がインレット190に接続されると、時刻t22において、しきい値電圧Vthが算出される。そして、このしきい値電圧Vthに基づいて外部充電の開始の可否が判定された結果、外部充電の開始が許可された場合、時刻t23以降、バッテリ150の充電処理が実行される。
図2および図5(B)を参照して、以下、しきい値電圧Vthの算出手法について、詳細に説明する。上述のように、バッテリ150の分極による電圧上昇量は、バッテリ150への充電電流IBcと、バッテリ150の内部抵抗Rとの積に相当する。
バッテリ150への充電電流IBcは、パイロット信号CPLTに基づいて算出される。より具体的には、外部電源装置500からの出力電圧および充電ケーブル400の定格電流に関する情報がパイロット信号CPLTによって伝達される。一例として、大電力充電の場合、パイロット信号CPLTは、単相AC200Vかつ定格電流15Aでの電力供給が可能である旨の情報を含む。一方で、小電力充電の場合、パイロット信号CPLTは、単相AC100Vかつ定格電流6Aでの電力供給が可能である旨の情報を含む。このように、実施の形態1では、パイロット信号CPLTによって伝達される情報が本発明に係る「情報」に相当する。
電力変換装置170からバッテリ150へと出力する電圧は、ECU300から電力変換装置170への制御指令に応じて定まる、また、ECU300は、電力変換装置170の電力変換効率をメモリ(図示せず)内に予め保持している。したがって、ECU300は、パイロット信号CPLTによって伝送される情報と、電力変換装置170からバッテリ150への出力電圧と、電力変換装置170の変換効率とに基づいて、充電電流IBcの予測値を算出することができる。
一方、バッテリ150の内部抵抗Rは、たとえばバッテリ150のSOCと、バッテリ150の劣化状態を示す指標値と、バッテリ温度TBとに基づいて算出される。バッテリ150の劣化状態を示す指標値としては、たとえばバッテリ150の容量維持率を用いることができる。容量維持率の算出には公知の手法を採用可能であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。ECU300のメモリには、バッテリ150のSOCと、バッテリ150の容量維持率と、バッテリ温度TBとの間に成立する関係がマップとして予め格納されている。ECU300は、このマップを参照することにより内部抵抗Rを算出する。なお、バッテリ150の劣化状態の指標値は容量維持率に限られるものではなく、たとえばバッテリ150の製造時からの経過時間、または車両1の走行距離の累積値などを用いてもよい。
さらに、ECU300のメモリには、満充電判定値Vflと、バッテリ電圧TBが満充電判定値Vflを上回らないようにするためのマージンαとがさらに記憶されている。なお、マージンαは、バッテリ電圧VBのハンチングと、バッテリ150または充電ケーブル400に含まれる各種センサの検出誤差とを考慮して決定することが好ましい。
ECU300は、上述のように充電電流IBcの予測値および内部抵抗Rを算出すると、メモリから読み出された満充電判定値Vflおよびマージンαと組み合わせて、しきい値電圧Vthを算出する。すなわち、しきい値電圧Vthは、下記式(1)に示すように、しきい値電圧Vthと、充電時の分極による電圧上昇量(IBc×R)の予測値と、マージンαとの和が満充電判定値Vflに等しくなるように設定される。
Vth=Vf1−(IBc×R)−α ・・・(1)
図6は、実施の形態1における充電制御動作を説明するためのフローチャートである。図6ならびに後述する図8および図10に示すフローチャートは、たとえば所定の時間間隔毎にメインルーチンから呼び出されて実行される。なお、このフローチャートに含まれる各ステップは、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、ECU300内に作製されたハードウェアによって実現されてもよい。
図2および図6を参照して、ステップ(以下、Sと略す)10において、ECU300は、充電ケーブル400の充電プラグ410が車両1のインレット190に接続されているか否かを判定する(図5の時刻t21参照)。充電プラグ410が接続されていない場合(S10においてNO)、外部充電の準備が行なわれていないため、ECU300は、以降の処理をスキップして一連の処理を終了する。一方、充電プラグ410が接続されている場合、ECU300は、外部充電の開始の可否を判定するために、処理をS20へと進める。
S20において、ECU300は、バッテリ150への充電電流IBcおよびバッテリ150の内部抵抗Rを算出する。これらの算出方法については図5にて詳細に説明したため、ここでは説明は繰り返さない。さらに、S30において、ECU300は、S20にて算出したバッテリ150への充電電流IBcの予測値およびバッテリ150の内部抵抗Rと、メモリに記憶された満充電判定値Vflおよびマージンαとを用いて、上記式(1)からしきい値電圧Vthを算出する(図5の時刻t22参照)。
S40において、ECU300は、バッテリ電圧VBがしきい値電圧Vth未満であるか否かを判定する。バッテリ電圧VBがしきい値電圧Vth以上の場合(S40においてNO)、充電処理を実行すると充電処理の開始直後にバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達し、満充電状態との誤判定が生じるおそれがある。このため、ECU300は、充電処理の開始を制限(本実施の形態では禁止)する(S80)。その後、ECU300は一連の処理を終了する。
これに対し、バッテリ電圧VBがしきい値電圧Vth未満の場合(S40においてYES)、ECU300は、充電処理を実行しても充電処理の開始直後にバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達することはないとして、CHR160を閉成するとともに電力変換装置170を駆動して、充電処理を開始する(S50、図5の時刻t23参照)。
その後、ECU300は、バッテリ電圧VBが満充電判定値Vfl未満の間、充電処理を継続し(S60においてNO)、バッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達すると(S60においてYES)、電力変換装置170を停止するとともにCHR160を開放して、充電処理を終了する(S70)。その後、ECU300は一連の処理を終了する。
このように、実施の形態1によれば、充電プラグ410とインレット190とが接続されることによって、パイロット信号CPLTが充電ケーブル400を介して車両1側へと伝送される。パイロット信号CPLTには外部電源装置500からの供給電力(出力電圧)および充電ケーブル400の定格電流に関する情報が含まれているため、外部電源装置500からの供給電力に応じた適切なしきい値電圧Vthを設定することが可能になる。したがって、満充電状態との誤判定を防止可能であることを前提としつつも、小電力充電の場合には、大電力充電の場合と比べてしきい値電圧Vthを低く設定することにより、充電許可領域が広くなるので、外部充電の機会を確保することができる。
なお、実施の形態1では、バッテリ電圧VBがしきい値電圧Vth以上の場合、充電処理を禁止する構成について説明した(図6のS80)。充電処理の禁止は充電処理の制限の一例であるが、その制限態様はこれに限定されるものではない。たとえば、ECU300は、電力変換装置170を制御することによって、外部電源装置500から電力変換装置170に供給可能な最大電力に対して、電力変換装置170からバッテリ150への出力電力を大幅に小さくしてもよい。これにより、バッテリ150への充電電流IBcが小さくなりバッテリ電圧VBの電圧上昇量が抑制されるので、充電開始直後にバッテリ電圧VBが満充電判定値Vflに到達することを防止できる。
また、図3では、交流電力源510の出力電圧に応じてパイロット信号CPLTの電位としてV0またはV1に設定する構成について説明したが、パイロット信号CPLTを用いて充電ケーブル400から車両1へと交流電力源510の出力電圧に関する情報を伝達する手法は、これに限定されるものではない。たとえば、コントロールパイロット回路431は、交流電力源510の出力電圧に応じた特定の周波数およびデューティでパイロット信号CPLTを発振させることによって、交流電力源510の種類に関する情報を車両1のCPU310に伝達してもよい。
[変形例1]
バッテリが充電された後のバッテリ電圧VB(CCV:Closed Circuit Voltage)は、充電によるバッテリ液の分極の解消に伴って低下し、分極が解消されて平衡状態になった場合に一定の電圧(OCV:Open Circuit Voltage)に収束する。反対に、バッテリが放電された後のCCVは、放電によるバッテリ液の分極の解消に伴って上昇し、分極が解消されて平衡状態になった場合にOCVに収束する。しかし、電動車両に搭載されるバッテリでは、一般に、充放電が終了してから分極が解消されるまでにある程度の時間を要することが知られている。このため、CCVは測定できるが、OCVは直接的に測定することができない場合が多い。
実施の形態1では、バッテリの放電が行なわれていない状態において、バッテリ電圧VB(OCV)に基づいて充電処理の開始の可否を判定する構成について説明した。しかし、電動車両の使用態様によっては、放電中あるいは放電による分極が解消される前に、充電処理の開始の可否を判定する必要が生じる場合が想定される。この場合、平衡状態のOCVを直接測定することはできないが、残っている分極の影響を考慮に入れないと、充電処理を開始するか否かの判定に誤差が生じることが懸念される。そこで、実施の形態1の変形例1においては、バッテリの放電中において、CCVに基づいて充電処理の開始の可否を判定する構成について説明する。
図7は、実施の形態1の変形例1におけるしきい値電圧Vthの設定手法について説明するためのタイムチャートである。図2および図7を参照して、時刻t31において、充電ケーブル400の充電プラグ410が車両1のインレット190に接続される。その後、時刻t32において、車両1の負荷が駆動されるのに伴い、バッテリ150が放電される。
ここで、車両1の負荷として、図1に示すPCU200とSMR140との間に電気的に接続される空調装置(図示せず)を用いる例について説明する。一般に、バッテリが高温状態に放置されると、バッテリの劣化が進行することが知られている。そこで、外出先から帰宅し外部充電を実行するに際し、空調装置を用いて車両1の車室内を冷房し、冷やされた車室内の空気をバッテリ150へと送ることによって、充電処理の開始に先立ってバッテリ150を冷却することが考えられる。このようにすることにより、バッテリ150の高温による劣化の進行を抑制することができる。
このような充電前冷却制御において、空調装置の駆動によりバッテリ150のSOCが所定値を下回ると、バッテリ150が充電される。時刻t34にてバッテリ150の放電が停止されるのに先立ち、時刻t33において、しきい値電圧Vthが算出される。以下、その算出方法について詳細に説明する。
まず、バッテリ150内の電流センサ(図示せず)によって、放電停止直前(時刻t33)の放電電流IBdが測定される。一例として、電流センサによって測定された放電電流IBdの値をECU300内のメモリ(図示せず)に遂次記憶させておき、バッテリ150の放電が停止された場合には、最新の放電電流IBdの値をメモリから読み出して用いることができる。また、実施の形態1にて説明したのと同様の手法を用いて、バッテリ150の内部抵抗Rが算出される。そして、放電電流IBdと内部抵抗Rとの積により、放電による電圧降下量(IBd×R)が算出される。
また、パイロット信号CPLTに基づいて、バッテリ150の充電電流IBcが算出される。この算出手法については、実施の形態1にて説明した手法と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。そして、充電電流IBcと内部抵抗Rとの積により、充電による電圧上昇量(IBc×R)が算出される。
さらに、下記式(2)に示すように、しきい値電圧Vthと、放電による電圧降下量(|IBd|×R)と、充電による電圧上昇量(|IBd|×R)と、マージンαとの和が満充電判定値Vflに等しくなるように、しきい値電圧Vthが設定される。
Vth=Vfl−(|IBd|×R)−(|IBc|×R)−α ・・・(2)
時刻t34において、バッテリ150の放電が停止される直前(時刻t33)のバッテリ電圧VB(CCV)について、しきい値電圧Vthとの大小関係が判定される。バッテリ電圧VBがしきい値電圧Vth未満のため充電処理の開始が許可可能と判定されると、時刻t35において充電処理が開始される。
このように、充電による電圧上昇量(IBc×R)とマージンαとに加えて、放電による電圧降下量(IBd×R)を考慮に入れることで、放電中あるいは放電による分極が解消されていない場合であっても、しきい値電圧Vthを設定することができる。
図8は、実施の形態1の変形例1における充電制御動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、S12,S14の処理をさらに含む点、およびS30の処理に代えてS32の処理を含む点において、実施の形態1におけるフローチャート(図6に示すS100)と異なる。
図8を参照して、S10Aにおいて充電プラグ410がインレット190に接続されていることを検出すると(S10AにおいてYES)、ECU300は、バッテリ150内の電流センサ(図示せず)からの検出信号に基づいて、バッテリ150が放電中であるか否か、あるいは放電による分極が解消されているか否かを判定する(S12)。ECU300は、放電終了時から所定の期間(たとえば十数時間から数日)が経過している場合、放電による分極は解消されていると判定する一方で、上記期間が経過していない場合には、放電による分極は解消されていないと判定する。
バッテリ150が放電中でなく、かつ放電による分極も解消されている場合(S12においてNO)、ECU300は、図6に示すフローチャートの一連の処理(S100)を実行する。
これに対し、バッテリ150が放電中の場合、あるいは放電による分極が解消されていない場合(S12においてYES)、ECU300は、放電電流IBdを取得する(S14)。そして、ECU300は、充電電流IBcの予測値を算出するとともに、内部抵抗Rを算出する(S20A)。
S32において、ECU300は、S14にて取得した放電電流IBdと、S20Aにて算出したバッテリ150への充電電流IBcの予測値およびバッテリ150の内部抵抗Rと、メモリに記憶された満充電判定値Vflおよびマージンαとを用いて、上記式(2)からしきい値電圧Vthを算出する(図7の時刻t33参照)。なお、S40A以降の処理は、図6にて説明した対応する処理と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
以上のように、実施の形態1の変形例1によれば、バッテリ150が放電中の場合、あるいは放電による分極が解消されていない場合であっても、しきい値電圧Vthを適切に設定することができる。こうすることにより、バッテリ150が放電中であるか否かを問わず(放電による分極が解消されずに残っているか否かを問わず)、外部充電の開始の可否を適切に判定しつつ、外部充電の機会を確保することができる。
[変形例2]
実施の形態1およびその変形1では、パイロット信号CPLTに含まれる情報に基づいてしきい値電圧Vthを設定する構成について説明した。実施の変形例2においては、しきい値電圧Vthを用いずに充電処理の開始の可否を判定する構成について説明する。
図9は、実施の形態1の変形例2における満充電判定値Vflの設定手法について説明するためのタイムチャートである。図9を参照して、時刻t41において、充電プラグ410がインレット190に接続される。その後、時刻t42において、仮に充電処理を実行したならば実現されると予想されるバッテリ電圧VBの予測値Vcalがしきい値電圧Vthに代えて算出される。
より具体的には、バッテリ電圧VBの予測値Vcalは、下記式(3)に示すように、時刻t42におけるバッテリ電圧VB=Vrに、充電時の分極による電圧上昇量(IBc×R)の予測値を加えた値から算出される。
Vcal=Vr+(IBc×R) ・・・(3)
そして、バッテリ電圧VBの予測値Vcalおよびマージンαの和と、満充電判定値Vflとの大小関係が比較される。下記式(4)に示すように、バッテリ電圧VBの予測値Vcalとマージンαとの和が満充電判定値Vfl未満の場合、充電処理の開始が許可される一方で、下記式(5)に示すように、バッテリ電圧VBの予測値Vcalとマージンαとの和が満充電判定値Vfl以上の場合、充電処理の開始が禁止される。
Vcal+α<Vfl ・・・(4)
Vcal+α≧Vfl ・・・(5)
図10は、実施の形態1の変形例2における充電制御動作を説明するためのフローチャートである。図10を参照して、充電プラグ410がインレット190に接続されると(S10においてYES)、ECU300は、バッテリ150の内部抵抗Rと、バッテリ150への充電電流IBcの予測値とを算出する(S20)。そして、S34において、ECU300は、上記式(3)に従って、バッテリ電圧VBの予測値Vcalを算出する。
S42において、バッテリ電圧VBの予測値Vcalとマージンαとの和が満充電判定値Vfl以上の場合(S42においてNO)、ECU300は、充電処理の開始を禁止する(S80)。一方、バッテリ電圧VBの予測値Vcalとマージンαとの和が満充電判定値Vfl未満の場合(S42においてYES)、ECU300は、充電処理を開始する(S50)。S50またはS80以降の処理は、図6の対応する処理と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
以上、実施の形態1の変形例2にて説明したように、仮に充電処理を実行したならば実現されると予想されるバッテリ電圧VBの予測値Vcalを算出することで、充電処理の開始の可否を判断することも可能である。なお、この変形例2においては、バッテリ電圧VBの予測値Vcalが本発明に係る「蓄電装置の電圧」に相当し、満充電判定値Vflからマージンαを引いた値(Vfl−α)が本発明に係る「しきい値」に相当する。
[変形例3]
実施の形態1およびその変形例1,2では、外部電源装置からの供給電力に関する情報の伝達にパイロット信号CPLTを用いる構成について説明したが、接続信号CNCTを用いることも可能である。
図2を再び参照して、実施の形態1の変形例3では、大電力充電に対応する充電ケーブルと、小電力充電に対応する充電ケーブルとが別々に準備される。より具体的には、充電プラグ410に含まれる抵抗R25,R26について、大電力充電の場合と小電力充電の場合とで異なる抵抗が設置される。こうすることにより、インレット190に設けられた抵抗R15と、抵抗R25,R26との組合せによる合成抵抗が大電力充電の場合と小電力充電の場合とで異なることになる。したがって、ECU300は、充電プラグ410がインレット190に接続された際に、大電力充電用の充電ケーブルおよび小電力充電用の充電ケーブルのどちらが接続されているかを認識することができる。ECU300は、インレット190に接続された充電ケーブルの種類に応じて、バッテリ150の充電電流IBcを算出する。この算出手法については、実施の形態1にて説明した手法と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。あるいは、パイロット信号CPLTおよび接続信号CNCTとは別に、外部電源装置500から供給される電力に関する情報を伝達するための信号を設けてもよい。
[実施の形態2]
実施の形態1および変形例1,2にて説明したパイロット信号CPLTおよび接続信号CNCTは、いずれも充電ケーブル内で生成される信号であるが、外部電源装置からの供給電力に関する情報は、外部電源装置自身が出力してもよい。実施の形態2では、外部電源装置からの供給電力に関する情報の伝達に電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)が採用される例について説明する。なお、実施の形態2に係る電動車両の充電システムの全体構成は、図1に示す車両1の充電システムの全体構成と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
図11は、実施の形態2における充電制御動作を説明するための回路ブロック図である。図11を参照して、車両2は、PLC通信部230をさらに備える点において、図2に示す車両1と異なる。また、外部電源装置502は、PLC通信部530をさらに備える点において、図2に示す外部電源装置500と異なる。さらに、充電ケーブル402では、充電プラグ410A内の構成が図2に示す充電プラグ410内の構成と異なる。
車両2に含まれるPLC通信部230は、電力線ACL1,ACL2に接続される。外部電源装置502に含まれるPLC通信部530は、充電ケーブル402と交流電力源510とを結ぶ電力線に接続される。PLC通信部530は、PLC通信部530が接続された電力線を伝送される電力に関する情報(外部電源装置502からの供給電力に関する情報)INFOを予め有しており、情報INFOを電力線(充電ケーブル402および電力線ACL1,ACL2)を搬送させることによってPLC通信部230へと出力する。PLC通信部230は、PLC通信部530から受けた情報INFOをECU300に出力する。これにより、ECU300は、外部電源装置502からの供給電力に関する情報INFOを取得する。
このように、実施の形態2によれば、外部電源装置502からの供給電力に関する情報INFOが電力線を搬送されることによって、外部電源装置502から車両2へと伝達される。車両2は、この情報INFOに基づいてしきい値電圧Vthを設定することにより、外部充電の開始の可否を適切に判定しつつ、外部充電の機会を確保することができる。
[実施の形態3]
実施の形態1,2では、外部電源装置からの供給電力に関する情報が充電ケーブルを介して伝達される構成について説明したが、通信方式は有線通信に限定されるものではない。実施の形態3においては、非接触にて電力を伝送する非接触給電システムにおいて、供給電力に関する情報を無線通信にて伝達する構成について説明する。
図12は、実施の形態3に係る電動車両の充電システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。図12を参照して、送電装置600(外部電源)は、電源装置610と、送電部620と、通信部630とを備える。電源装置610は、送電ECU640と、電源部650とを含む。
電源装置610は、交流電力源510から供給される電力を用いて高周波の交流電力を発生させて、送電部620に供給する。電源部650は、交流電力源510から受けた交流電力を高周波の電力に変換して、送電部620に出力する。また、電源部650は、図示しない電圧センサおよび電流センサによってそれぞれ検出される送電電圧および送電電流を送電ECU640へ出力する。
送電部620は、図示しない駐車スペースの路面上に設置され、送電部620の周囲に発生する電磁界を介して、車両3の受電部110へ非接触で電力を出力する。送電部620は、LC共振回路を構成する共振コイル621とキャパシタ622とを含む。共振コイル621は、電源部650から供給された電力を、車両3の受電部110側の共振コイル111へ非接触で伝送する。送電部620と車両3の受電部110との間の電力伝送は、共振コイル111および共振コイル621が両コイル間に発生する電磁波と共振(共鳴)することによって行なわれる。
車両3は、図1に示す車両1の構成に加えて、受電部110と、電流センサ182と、通信部130とをさらに備える。受電部110は、車両3の図示しないフロアパネル付近に設置され、LC共振回路を構成する共振コイル111とキャパシタ112とを含む。共振コイル111は、送電装置600側の共振コイル621から非接触で電力を受電する。共振コイル111により受電された電力は電力変換装置170に出力される。電力変換装置170は、いずれも図示しないが、典型的には入力インピーダンスを調整する整合器と、ダイオードブリッジと、平滑用キャパシタとを含んで構成される。
通信部130および通信部630は、車両2と送電装置600との間で無線にて情報INFOの授受を行なうための通信インターフェースである。無線通信規格は通信距離等に応じて適宜定められ、たとえば無線LAN(Local Area Network)を採用することができる。通信部630は、車両3側の通信部130から送信される車両情報、ならびに、送電の開始および停止を指示する信号等を受信し、受信したこれらの情報を送電ECU640へ出力する。また、通信部630は、送電ECU640からの送電電圧および送電電流の情報を車両3へ出力する。車両3のECU300は、送電部620からの送電電圧および送電電流の情報に基づいて充電電流IBcを算出することにより、しきい値電圧Vthを設定する。車両3のそれ以外の構成は、図1に示す車両1の対応する構成と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
このように、実施の形態3によれば、非接触給電システムにおいて、供給電力に関する情報INFOが無線通信にて伝達される。車両3は、この情報を用いてしきい値電圧Vthを設定することにより、外部充電の開始の可否を適切に判定しつつ、外部充電の機会を確保することができる。
なお、実施の形態1の変形例1〜3を実施の形態2,3にて説明した通信方式と適宜組み合わせることも可能である。たとえば、バッテリの放電中あるいは放電による分極が解消されていない状態において、PLCまたは無線通信を用いて外部電源装置からの供給電力に関する情報を授受することにより、しきい値電圧Vthを設定することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。