<第1の実施形態>
図1において、本発明の第1の実施形態に係る制御装置1を組み込んだ電動アシスト自転車は、ペダル100に作用する踏力を、クランクアーム101a(または、クランクアーム101b)→クランク軸102→駆動ユニット2→フロントスプロケット103→チェーン104→リアスプロケット105という経路を経て、後車輪の車軸106まわりに設けられる内装変速機107aに伝達する。踏力は、人力駆動力の一例である。駆動ユニット2は、補助動力装置の一例である。制御装置1は、変速制御装置の一例である。
駆動ユニット2は、ケーシング11、およびケーシング11内に配置されるモータ20(図2参照)を有する。モータ20は、踏力を補助するために設けられる。ケーシング11には、クランク軸102が回転自在に支持される。駆動ユニット2は、モータ20の駆動力をフロントスプロケット103に伝達する。電動変速ユニット107は、たとえば、変速モータ107bと、変速モータ107bによって変速動作する内装変速機107aと、を有する。電動変速ユニット107は、変速装置の一例である。また、図2に示すように、電動変速ユニット107は、内装変速機107aの変速段を検出可能な段数センサ107cを有する。内装変速機107aは、複数の変速段を有する。内装変速機107aは、本実施の形態では5つの変速段を有する。内装変速機107aの各変速段の変速比は、たとえば、第1変速段が概ね0.5、第2変速段が概ね0.8、第3変速段が概ね1.2、第4変速段が概ね1.6、第5変速段が概ね2.1である。
電動アシスト自転車は、モータ20の出力を補助力として踏力に合成し、走行をアシストする。本実施形態は、センサ50でユーザの踏力を検出し、その検出値が設定値を超えたところで、モータ20を起動して踏力に応じたトルクを補助力として発生させる。アシスト用のモータ20を含む駆動ユニット2は、一般にフレームのシートチューブの下端部とフレームのダウンチューブの後端部との連結部付近に配置され、図示しないボルトによってフレームに固定される。モータ駆動用のバッテリは、リアキャリア、ダウンチューブまたはシートチューブに沿って配置される。
<電動電気的な構成>
図2は、駆動ユニット2を含む電動補助自転車の電動電気的な構成を示すブロック図である。電動補助自転車は、制御装置1、駆動ユニット2、インバータ部6、電動変速ユニット107、および変速操作部10およびアシスト操作部12を含んで構成される。制御装置1は、変速制御装置を含む。制御装置1およびインバータ部6は、駆動ユニット2に含まれていてもよい。また制御装置1およびインバータ部6の少なくとも一方は、駆動ユニット2のケーシング11の内部または外周部に設けられてもよい。
制御装置1は、制御部4と、走行状態検出部8と、センサ50と、を含む。制御部4は、たとえば演算処理装置(CPU)と、所定のプログラムが記録されたメモリとを含んで構成される。制御部4は、モータ20を駆動するためにインバータ部6に出力する指令と、この指令に応じてモータ20が出力するトルクとの相関情報と、を有する。相関情報は、テーブルのようなもので表されてもよいし、関係式によって表されてもよい。このため制御部4は、モータ20の出力トルクを把握することができる。前述するセンサ50は、モータ20の出力およびクランク軸102の回転力を合成した回転力を検出する。したがって、制御部4は、センサ50が検出したモータ20の出力およびクランク軸102の回転力を合成した回転力と、モータ20の出力トルクとに基づいて、踏力のみを算出することができる。これにより、制御部4は、踏力に応じて、駆動ユニット2を制御することができる。制御部4は、モータ20に流れる電流を計測してモータ20の駆動力を推定してもよく、またはモータ20への指令値に基づいてモータ20の駆動力を推定してもよい。センサ50は、クランク軸102の回転力のみ、言い換えれば人力駆動力のみを検出する構成としてもよい。
制御部4は、踏力および走行状態検出部8の検出結果に応じて、インバータ部6を介してモータ20を制御する。制御部4は、第1の実施形態では、インバータ部6を介してモータ20を、複数の動作モードのいずれか一つで制御する。本実施の形態では、複数の動作モードは、第1動作モードと第2動作モードとを含む。第1動作モードは、第1補助力で駆動を補助する動作モードである。第2動作モードは第1動作モードの第1補助力よりも大きい第2補助力で駆動を補助する動作モードである。第1補助力は、たとえば最大で踏力と同じ値まで増加する。また、第2補助力は、たとえば最大で踏力の2倍まで増加する。なお、第1補助力は、0であってもよい。すなわち第1動作モードでは、モータ20による補助力を発生しなくてもよい。
また、制御部4は、駆動ユニット2の動作モード、走行状態検出部8の出力、および段数センサ107cの検出結果に応じて電動変速ユニット107を制御する。制御部4は、変速制御部の一例である。第1の実施形態では、制御部4は、第1動作モードおよび第2動作モードに応じて電動変速ユニット107の使用可能な変速範囲を選択し、選択された変速範囲で電動変速ユニット107を制御する。制御部4は、第1動作モードにおいて使用可能な変速範囲と、第2動作モードにおいて使用可能な変速範囲との少なくとも一部を異ならせる。制御部4は、第1動作モードのときに使用可能な最大変速比よりも、第2動作モードのときに使用可能な最大変速比のほうが大きくなるように電動変速ユニット107を制御する。制御部4は、第1動作モードのときに使用可能な最小変速比よりも、第2動作モードのときに使用可能な最小変速比のほうが大きくなるように電動変速ユニット107を制御する。変速範囲は、変速段または変速比によって定義される。第1の実施形態では、変速範囲は変速段によって定義される。制御部4は、変速指令によって電動変速ユニット107を制御する。変速指令は、スイッチ操作または自転車の走行状態に応じて出力される。
走行状態検出部8は、自転車の速度、クランクのケイデンス、踏力(人力駆動力)、および自転車の進行方向の傾斜からなる群から選ばれる走行状態を検出する。第1の実施形態では、走行状態検出部8は、自転車の速度を検出する。走行状態検出部8は、たとえば、前輪または後輪に設けられる磁石と、フレームに設けられて磁石を検出する磁気センサと、を有してもよい。この場合、磁気センサが磁石を検出したタイミングと車輪の周長とによって自転車の速度を検出する。なお、走行状態検出部8は、クランク軸102の回転速度を検出してもよい。たとえば、走行状態検出部8は、クランクアーム101a,101bまたはクランク軸に設けられる磁石と、クランク軸102の周囲において、駆動ユニット2に配置される磁気センサとを有してもよい。この場合、磁気センサの出力によってクランクのケイデンスを検出できる。なお、ケイデンスに変速比を乗算した値によって車輪の回転速度が求められるため、回転速度に後輪の周長を乗算して、自転車の速度を検出できる。逆に、自転車の速度を後輪の周長および変速比で除算することによって、ケイデンスを検出できる。
モータ20は、たとえば3相ブラシレスDCモータによって実現され、インバータ部6によって駆動される。インバータ部6は、制御部4の指令に基づいて、スイッチング制御によって直流を3相交流に変換する。
電動変速ユニット107は、変速機および電動アクチュエータを含んで構成される。第1の実施形態では、変速機は内装変速機107aによって構成され、電動アクチュエータはモータ107bによって構成される。変速機は、外装変速機であってもよい。電動アクチュエータは、ソレノイドであってもよい。変速モータ107bは、制御部4からの変速指令に応じて内装変速機107aを動作させる。
変速操作部10は、たとえば、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および第3スイッチSW3の3つのスイッチを含んで構成される。変速操作部10は、変速指令と、手動変速および自動変速の切り替え指令とを制御部4に与える。制御部4は、手動変速モードおよび自動変速モードの2つの変速モードによって電動変速ユニット107を制御する。第1スイッチSW1は、たとえば手動変速モード時に、変速比が大きくなるシフトアップの変速指令を出力するために用いられる。第2スイッチSW2は、たとえば手動変速モード時に、変速比が小さくなるシフトダウンの変速指令を制御部4に出力するために用いられる。第3スイッチSW3は、たとえば手動変速モードと自動変速モードとを切り替える指令を制御部4に出力するために用いられる。なお、各スイッチSW1からSW3の機能は、ソフトウェアによって任意に設定可能である。手動変速モードでは、制御部4は変速操作部10からの変速指令および駆動ユニット2の動作モードに応じて、変速モータ107bを制御する。自動変速モードでは、制御部4は、走行状態検出部8の検出結果および駆動ユニット2の動作モードに応じて、電動変速ユニット107を制御する。
自動変速モードでは、たとえば、図3に一例として示すような各変速段のシフトアップしきい値TUおよびシフトダウンしきい値TDと自転車の速度とを比較して変速指令を生成し、電動変速ユニット107に変速指令を出力する。ここで、第1変速段から第4変速段までのシフトアップしきい値TU(1)−TU(4)は、たとえば、8km/h、12.2km/h、16.4km/h、20.5km/hである。第5変速段から第2変速段までのシフトダウンしきい値TD(5)−TD(2)は、たとえば、18.5km/h、14.6km/h、10.7km/h、8.5km/hである。シフトアップしきい値およびシフトダウンしきい値は、使用者の体力、自転車の用途、および変速段の数などに応じて任意に設定可能である。本実施の形態においてシフトアップは、変速比を大きくする変速であり、シフトダウンは変速比を小さくする変速である。
第1の実施形態では、走行状態検出部8の検出値と、動作モードと、に応じて、制御部4は、電動変速ユニット107の使用可能な変速範囲を選択し、選択された変速範囲で電動変速ユニット107を制御する。制御部4は、第1動作モードにおいて使用可能な変速範囲と、第2動作モードにおいて使用可能な変速範囲と、の少なくとも一部を異ならせる。具体的には、制御部4は、第1動作モードのときに使用可能な最大変速比よりも、第2動作モードのときに使用可能な最大変速比のほうが大きくなるように電動変速ユニット107を制御する。また、制御部4は、第1動作モードのときに使用可能な最小変速比よりも、第2動作モードのときに使用可能な最小変速比のほうが小さくなるように電動変速ユニット107を制御する。
たとえば、第2動作モードのときには、制御部4は、内装変速機107aの5段の変速段のうち第2変速段から第5変速段の変速範囲で内装変速機107aを制御可能である。たとえば、第1動作モードのときには、内装変速機107aの5段の変速段のうち第1変速段から第4変速段の変速範囲で内装変速機107aを制御可能である。
また、制御部4は、自転車の速度が所定の値以下になったとき、動作モードに応じて変速状態を制御する。所定の値は、停止状態である0を含む。なお、所定の値は、0以外の値でもよく、たとえば、時速5km以下の値であってもよい。自転車の速度が所定の値以下になると、制御部4は、第1動作モードでは、第1動作モードに対応する第1変速状態となるように電動変速ユニット107を制御し、第2動作モードでは、第2動作モードに対応し、第1変速状態とは異なる第2変速状態となるように電動変速ユニット107を制御する。第1変速状態は、第2変速状態よりも変速比が小さい変速状態である。第1の実施形態では、第1変速状態は、たとえば第1変速段であり、第2変速状態は、たとえば第3変速段である。第1変速状態に対応する変速段、および第2変速状態に対応する変速段のうち少なくともいずれか一方は設定の変更が可能である。たとえば変速操作部10およびアシスト操作部12のいずれかのスイッチと制御部4とが変更部を構成し、スイッチを操作することによって、第1変速状態に対応する変速段、および第2変速状態に対応する変速段のうち少なくともいずれか一方を変更してもよい。またインタフェースを介して、変更部としての外部の設定装置を制御部4に接続して、外部の設定装置によって各変速状態に対応する変速段を任意に変更してもよい。外部の設定装置は、たとえばサイクルコンピュータであってもよく、スマートフォンなどの小型携帯電子機器であってもよく、パーソナルコンピュータであってもよい。
第1の実施形態では、変速範囲の制御は、手動変速モードおよび自動変速モードの両方の変速モードに適用される。なお、動作モードに応じた変速範囲の制御は、手動変速モードおよび自動変速モードのどちらか片方の変速モードにのみ適用されてもよい。動作モードに応じた変速状態の制御は、手動変速モードに適用される。
アシスト操作部12は、たとえば、第4スイッチSW4を含んで構成され、動作モードの切り替え指示を制御部4に与える。たとえば、第4スイッチSW4を操作する毎に第1動作モードと第2動作モードとが切り換わる。なお、第1スイッチSW1から第4スイッチSW4は、使用者が直接操作可能な、たとえば押しボタン、トグルスイッチ等のスイッチでもよいが、操作部材を介して使用者が操作可能なスイッチでもよく、タッチパネルであってもよい
動作モードおよび変速モードは、たとえば、ハンドルバーに設けられる表示装置に表示される。表示装置は、たとえばサイクルコンピュータに設けられる液晶表示装置であってもよく、発光ダイオードなどの発光装置であってもよい。発光装置の場合には、色または点滅等によって各種のモード(たとえば、動作モードおよび変速モード)を表示するようにしてもよい。
次に、第1の実施形態における制御部4の具体的な変速制御動作の一例を、図4から6ならびに図8および9に示す制御フローチャートに基づいて説明する。なお、変速制御動作は、これらの制御フローチャートで示す動作に限定されない。
図4において、制御装置1に電源が投入され、制御部4が動作可能な状態になると、ステップS1において、制御部4は、各種のフラグおよび値などをリセットする初期設定処理を行う。ここでは、フラグは、フラグAMおよびフラグSMの少なくとも二種類用意される。フラグAMは、動作モードが第1動作モードか第2動作モードかを識別するためのフラグである。第4スイッチSW4によって第2動作モードが選択されるとフラグAMがセットされ、第1動作モードが選択されると、フラグAMがリセットされる。なお、以降の説明では、フラグのセットを「1」で、フラグのリセットを「0」で示す。フラグSMは、変速モードが手動変速モードか自動変速モードかを識別するためのフラグである。第3スイッチSW3によって、自動変速モードが選択されるとフラグSMがセットされ、手動変速モードが選択されると、フラグSMはリセットされる。したがって、初期設定によって、電源投入時には、動作モードが第1動作モードになり、変速モードが手動変速モードになる。ここでは、電源投入時に動作モードが第1動作モードになり、変速モードが手動変速モードになっているが、電源を切る直前に設定されているフラグを記憶しておき、電源投入時にそのフラグをセットしてもよい。
ステップS2では、制御部4は、第4スイッチSW4が操作されたか否かを判断する。制御部4は、第4スイッチSW4が操作されていない判断するとステップS3に移る。ステップS3では、制御部4は、第3スイッチSW3が操作されたか否かを判断する。制御部4は、第3スイッチSW3が操作されていない判断するとステップS4に移る。ステップS4では、制御部4は、走行状態検出部8から速度VSを取り込む。ステップS5では、制御部4は、自動変速モードがセットされているか否かを判断する。
制御部4は、第4スイッチSW4が操作されたと判断すると、ステップS2からステップS6に移る。ステップS6では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち、現在の動作モードが第2動作モードか否かを判断する。現在の動作モードが第2動作モードではない場合には、制御部4は、ステップS6からステップS7に移り、フラグAMをセットして動作モードを第2動作モードに変更する。フラグAMがセットされている場合は、制御部4は、ステップS6からステップS8に移り、フラグAMをリセットして動作モードを第1動作モードに変更する。これらの設定が終わると、制御部4は、ステップS3に移る。
制御部4は、第3スイッチSW3が操作されたと判断すると、ステップS3からステップS9に移る。ステップS9では、制御部4は、フラグSMがセットされているか否か、すなわち現在の変速モードが自動変速モードか否かを判断する。現在の変速モードが自動変速モードではない場合には、制御部4は、ステップ9からステップS10に処理を進め、フラグSMをセットして変速モードを自動動作モードに変更する。フラグSMがセットされている場合は、制御部4は、ステップS9からステップS11に処理を進め、フラグSMをリセットして変速モードを手動変速モードに変更する。これらの設定が終わると、制御部4は、ステップS4に移る。
ステップS5において、制御部4は、自動変速モードであると判断すると、ステップS12に移る。ステップS12では、制御部4は、図5に示す自動変速処理を実行する。ステップS5において、手動変速モードであると判断すると、ステップS14に移る。ステップS12の自動変速処理が終わると、制御部4は、ステップS2に移る。
ステップS14では、制御部4は、自転車の速度VSがV1Km/h以下であるか否かを判断する。ここでは、V1は0であるとし、制御部4は自転車が停止しているか否かを判断する。ステップS14において制御部4は停止していない、すなわち自転車が走行していると判断すると、ステップS14からステップS15に移る。ステップS15では、制御部4は、図6に示す手動変速処理を実行する。ステップS13の手動変速処理が終わると、制御部4は、ステップS2に移る。
ステップS14において、自転車の速度がV1Km/h以下であると判断すると、制御部4は、ステップS14からステップS19に移る。ステップS19では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否かを判断する。フラグAMがセットされており動作モードが第2モードにセットされている場合には、制御部4は、ステップS20に処理を進める。ステップS20では、制御部4は、変速段SPを第X1変速段にする変速指令を電動変速ユニット107に出力する。これによって、補助力が大きい第2動作モードのときは、自転車が停止すると第X1変速段に変速され、停止後に走行を開始するときに第X1変速段から変速動作が開始される。ステップS19においてフラグAMがリセットされ動作モードが第1モードにセットされている場合には、制御部4は、ステップS21に移る。ステップS21では、制御部4は、変速段SPを第X2変速段にする変速指令を電動変速ユニット107に出力する。これによって、補助力が小さい、または補助力がない第1動作モードのときは、自転車が停止すると第X2変速段に変速され、停止後に走行を開始するときに第X2変速段から変速動作が開始される。第X1変速段の変速比は、第X2変速段の変速比よりも大きい。
図5の自動変速処理では、ステップS22において、制御部4は、段数センサ107cから現在の変速段SPを取り込む。ステップS23では、制御部4は、ステップS4において取り込んだ速度VSが、ステップS22において取り込んだ変速段SPのシフトアップしきい値TU(SP)を超えているか否か判断する。速度VSがシフトアップしきい値TU(SP)を超えていない場合は、制御部4は、ステップS23からステップS24に移る。ステップS24では、制御部4は、ステップS4において取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトダウンしきい値TD(SP)未満であるか否か判断する。速度VSがシフトダウンしきい値TD(SP)未満ではない場合は、変速動作を行う必要がないので、制御部4は、図4の変速制御のステップS14に移る。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトアップしきい値TU(SP)を超えている場合には、制御部4は、ステップS23からステップS25に移る。ステップS25では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS25からステップS26に移る。ステップS26では、電動変速ユニット107の現在の変速段SPが第Xa1変速段以上であるか否かを判断する。第Xa1変速段は、第2動作モードでの変速範囲のうち変速比が最も大きい変速段である。Xa1は、正の整数であり、本実施の形態では変速比が最も大きい変速段となる5である。現在の変速段SPが第Xa1変速段以上である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS26からステップS24に移る。現在の変速段SPが第Xa1変速段以上ではない場合は、制御部4は、ステップS26からステップS27に移る。ステップS27では、制御部4は、現在の変速段SPから1段シフトアップした変速段(SP+1)に変速する指令を電動変速ユニット107に出力し、ステップS24に移る。動作モードが第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS25からステップS28に移る。ステップS28では、変速段SPが第Xa2変速段以上であるか否かを判断する。第Xa2変速段は、第1動作モードでの変速範囲のうち変速比が最も大きい変速段である。Xa2は、正の整数であり、本実施の形態では、4である。第1動作モードでは、変速範囲が第1変速段から第4変速段に制限されるため、現在の変速段SPが第4変速段以上である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS28からステップS24に移る。現在の変速段SPが第4変速段以上ではない場合は、制御部4は、ステップS28からステップS27に移り、1段シフトアップする変速指令を電動変速ユニット107に出力する。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトダウンしきい値TD(SP)未満の場合には、制御部4は、ステップS24からステップS30に移る。ステップS30では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS30からステップS31に移る。ステップS31では、電動変速ユニット107の現在の変速段SPが第Xa3変速段以下であるか否かを判断する。第Xa3変速段は、第2動作モードでの変速範囲のうち変速比が最も小さい変速段である。Xa3は、正の整数であり、本実施の形態では、2である。現在の変速段SPが第Xa3変速段以下である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS31から図4のステップS2に移る。現在の変速段SPが第1変速段ではない場合は、制御部4は、ステップS31からステップS32に移る。ステップS32では、制御部4は、現在の変速段から1段シフトダウンした変速段に変速する指令を電動変速ユニット107に出力し、図14のステップS2に移る。動作モードが第2動作モードではなく第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS30からステップS33に移る。ステップS33では、変速段SPが第Xa4変速段以下であるか否かを判断する。第Xa4変速段は、第1動作モードでの変速範囲のうち変速比が最も小さい変速段である。Xa4は、正の整数であり、本実施の形態では1である。第1動作モードでは、変速範囲が第1変速段から第4変速段に制限されるため、現在の変速段SPが第Xa4変速段以下である場合は、制御部4は、何も処理せずに、ステップS33から図4のステップS2に移る。現在の変速段SPが第Xa4変速段以下ではない場合には、制御部4は、ステップS33からステップS32に移り、1段シフトダウンする変速指令を電動変速ユニット107に出力する。
このように制御部4は、自動変速のときに、補助力が大きい第2動作モードの変速範囲の最小変速比のほうが第1動作モードの変速範囲の最小変速比よりも大きくなるように変速機を制御する。また制御部4は、自動変速のときに、補助力が大きい第2動作モードの変速範囲の最大変速比のほうが第1動作モードの変速範囲の最大変速範囲よりも大きくなるように変速機を制御する。これによって、乗り心地を向上させることができる。
他の形態では、制御部4は、第2動作モードの変速範囲の最小変速比ほうが第1動作モードの変速範囲の最小変速比よりも大きくなるように変速機を制御し、第2動作モードの変速範囲の最大変速比と第1動作モードの変速範囲の最大変速比とが同じになるように変速機を制御してもよい。また制御部4は、第2動作モードの変速範囲の最小変速比と第1動作モードの変速範囲の最小変速比とが同じになるように変速機を制御し、第2動作モードの変速範囲の最大変速比のほうが第1動作モードの変速範囲の最大変速比よりも大きくなるように変速機を制御してもよい。
図6の手動変速処理では、ステップS41において、制御部4は、段数センサ107cから現在の変速段SPを取り込む。ステップS42では、制御部4は、シフトアップ操作用の第1スイッチSW1が操作されたか否か判断する。第1スイッチSW1が操作されていない場合は、制御部4は、ステップS42からステップS43に移る。ステップS43では、制御部4は、シフトダウン用の第2スイッチSW2が操作されたか否か判断する。第2スイッチSW2が操作されていない場合は、制御部4は、図4のステップS2に移る。
第1スイッチSW1が操作された場合には、制御部4は、ステップS42からステップS45に移る。ステップS45は、図5の自動変速制御におけるステップS25に対応し、ステップS46は、図5の自動変速制御におけるステップS26に対応し、ステップS47は、図5の自動変速制御におけるステップS27に対応し、ステップS48は、図5の自動変速制御におけるステップS28に対応するので、重複する説明を省略する。ステップS46において、制御部4は、現在の変速段SPが第Xa1変速段以上であると判断した場合は、何も処理せずに、ステップS43に移る。ステップS48において、制御部4は、現在の変速段SPが第Xa2変速段以上ではあると判断した場合は、ステップS43に移る。ステップS47が終了すると、制御部4は、ステップS43に移る。
第2スイッチSW2が操作された場合には、制御部4は、ステップS43からステップS50に移る。ステップS50は、図5の自動変速制御におけるステップS30に対応し、ステップS51は、図5の自動変速制御におけるステップS31に対応し、ステップS52は、図5の自動変速制御におけるステップS32に対応し、ステップS53は、図5の自動変速制御におけるステップS53に対応するので、重複する説明を省略する。ステップS51において、制御部4は、現在の変速段SPが第Xa3変速段以下であると判断した場合は、何も処理せずに、図4のステップS2に移る。ステップS53において、制御部4は、現在の変速段SPが第Xa4変速段以下であると判断した場合は、何も処理せずに、図4のステップS2に移る。ステップS52が終了すると、制御部4は、図4のステップS2に移る。
<第1の実施形態の変形例>
変形例では、変速機の構成および自動変速および手動変速の処理が第1の実施形態と異なる。変形例では、変速比によって変速範囲が定義される。フロントスプロケットFCとリアスプロケットCSと各スプロケットの歯数と、その組み合わせによって得られる変速比とを示している。変形例では、フロントスプロケットにチェーンを架け渡し可能な電動フロントディレイラ(図示なし)と、たとえば10個のリアスプロケットにチェーンの架け渡し可能な電動リアディレイラ(図示なし)と、を含む電動変速装置が使用される。電動フロントディレイラおよび電動リアディレイラは、どのスプロケットにチェーンガイドが位置しているか、すなわち変速段を検出する段数センサをそれぞれ有する。ここではフロントスプロケットは3つであり、第1フロントスプロケットLow,第2フロントスプロケットMid,第3フロントスプロケットTopギアを含む。リアスプロケットは、第1〜第10リアスプロケットRS1〜RS10を含む。
変形例では、全体として3個のフロントスプロケットと10個のリアスプロケットとの組み合わせによって、変速位置は30個存在する。しかし変速比が似通った組み合わせが多く存在するとともに、チェーンが大きく傾く組み合わせが存在するため、変速比の変化、チェーンの傾き、および使用頻度の平滑化を考慮して、所定の変速ルートが設定される。
図7に示す例では、制御部4は、たとえば、14の変速比で変速装置を手動変速および自動変速させる。たとえば、図7に示すように、最少変速比から順番にシフトアップ変速する場合、フロントスプロケットを第1フロントスプロケットLowとしたままで、リアスロケットを第1リアスプロケットRS1から第5リアスプロケットRS5に順番に変更する。さらにシフトアップ変速すると、フロントスプロケットを第2フロントスプロケットMidとして、リアスプロケットを第4リアスプロケットRS4から第7リアスプロケットRS7に順番に変更する。さらにシフトアップ変速すると、フロントスプロケットを第3フロントスプロケットTopとして、リアスプロケットを第6リアスプロケットRS6から第10リアスプロケットRS10に順番に変更する。シフトダウン変速する場合には、シフトアップ変速の順番とは反対の順番でスプロケットを変更する。
ただし、図7に示す所定の変速ルートは一例であり、所定の変速ルートは、変速位置の数、変速範囲などによって種々のルートを設定可能である。このような変形例では、変速段が14段であるので、最大変速比の変速段を除く各変速段に対応して13個のシフトアップしきい値が設定され、最小変速比の変速段を除く各変速段に対応しておよび13個のシフトダウンしきい値が設定される。第1の実施形態と同様に、ある変速比からそれよりも大きい変速比へのシフトアップしきい値は、大きい変速比からある変速比へのシフトダウンしきい値よりも大きい変速比に設定される。
また、第1動作モードは、たとえば補助力が「0」、すなわち、駆動ユニット2に補助力を発生させない動作モードであり、第2動作モードは、駆動ユニット2に補助力を発生させるモードである。この第1動作モードと第2動作モードとにおいて、変速範囲が異なる。たとえば、第1動作モードでは、たとえば変速比0.67から変速比2.47までの11段階に変速範囲が制限される。また、第2動作モードでは、たとえば変速比1.00から最大変速比3.82に制限される。なお、ディレイラを含む外装変速機では、停車中に変速装置を変速動作させることができないため、変形例では、図4におけるステップS14からS21を行わない。
変形例の自動変速制御を、図8に示す。図8において、ステップS61では、制御部4は、電動フロントディレイラおよび電動リアディレイラに設けられる段数センサによって、電動フロントディレイラの現在の変速段の情報(前変速段FSP)および電動リアディレイラの現在の変速段の情報(後変速段RSP)を取り込む。ステップS62では、制御部4は、前変速段FSPおよび後変速段RSPに基づいて、変速比GRを算出する。ステップS63では、制御部4は、ステップS4において取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速比GRのシフトアップしきい値TU(GR)を超えているか否か判断する。速度VSがシフトアップしきい値TU(GR)を超えていない場合は、制御部4は、ステップS63からステップS64に移る。ステップS64では、制御部4は、ステップS4で取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速比GRのシフトダウンしきい値TD(GR)未満であるか否か判断する。速度VSがシフトダウンしきい値TD(GR)未満ではない場合は、変速動作を行う必要がないので、制御部4は、図4の変速制御のステップS14に移る。なお、変速比GRの算出は演算によって行ってもよいが、制御部4内のメモリにフロントスプロケットとリアスプロケットの組み合わせによって得られる変速比を予め記憶し、その組み合わせによって、メモリから読み出すことによって行ってもよい。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速比GRのシフトアップしきい値TU(GR)を超えている場合には、制御部4は、ステップS63からステップS65に移る。ステップS65では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS65からステップS66に移る。ステップS66では、現在の変速比GRが第2動作モードの変速範囲の最大変速比Ya1以上であるか否かを判断する。この変形例では、Ya1は3.82であり、現在の変速比GRが「3.82」以上である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS66からステップS64に移る。現在の変速比がYa1以上ではない場合は、制御部4は、ステップS66からステップS67に移る。ステップS67では、制御部4は、所定の変速ルートにおいて、現在の変速比から1段シフトアップした変速比に変速する指令を電動変速装置に出力し、ステップS64に移る。動作モードが第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS65からステップS68に移る。ステップS68では、変速比GPが第1動作モードの変速範囲の最大変速比Ya2以上であるか否かを判断する。この変形例では、Ya2は「2.47」であり、現在の変速比GRが「2.47」以上である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS68からステップS64に移る。現在の変速比GRがYa2以上ではない場合は、制御部4は、ステップS68からステップS67に移り、1段シフトアップした変速比に変速する変速指令を電動変速装置に出力し、図4のステップS14に移る。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速比GRのシフトダウンしきい値TD(GR)未満の場合には、制御部4は、ステップS64からステップS69に移る。ステップS69では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS69からステップS70に移る。ステップS70では、現在の変速比GRが所定の変速ルートの第1動作モードの変速範囲の最小変速比であるYa3以下であるか否かを判断する。この変形例では、Ya3は「1.00」であり、現在の変速比GRが「1.00」以下である場合には、制御部4は何も処理せずにステップS70から図4のステップS14に移る。現在の変速比がYa3以下ではない場合は、制御部4は、ステップS70からステップS71に移る。ステップS71では、制御部4は、所定の変速ルートにおいて、現在の変速比から1段シフトダウンした変速比に変速する指令を電動変速装置に出力し、ステップS71から図4のステップS14に移る。動作モードが第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS69からステップS72に移る。ステップS72では、変速比GRが第1動作モードの変速範囲の最小変速比であるYa4以下であるか否かを判断する。この変形例では、Ya4は「0.67」であり、現在の変速比GRが「0.67」以下である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS72から図4のステップS14に移る。現在の変速比GRがYa4以下ではない場合は、制御部4は、ステップS72からステップS71に移、1段シフトダウンした変速比に変速する変速指令を電動変速装置に出力する。
<第2の実施形態>
第2の実施形態においては、自動変速モードにおいて、変速範囲ではなく、第1動作モードと第2動作モードとにおいて、変速頻度を異ならせる。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に変速段によって、自動変速処理を実行する。なお、具体的には、変速頻度を動作モードに応じて変化させるために、自動変速度場合、変速条件を満たしてから動作モードに関連して実際に変速動作を行うまでの第1無応答時間と第2無応答時間とを設ける。第1動作モードの第1無応答時間T1は、たとえば2秒に設定され、第2動作モードの第2無応答時間T2は、たとえば5秒に設定される。第1無応答時間T1は、第1パラメータの一例であり、第2無応答時間T2は、第2パラメータの一例である。これによって、第1動作モードの場合よりも第2動作モードの場合の方が、変速頻度が低くなる。第1無応答時間T1および第2無応答時間T2の時間(2秒又は5秒)は、一例であり、本発明は、これらの数値に限定されない。動作モードに応じた無応答時間は、自転車の変速頻度に応じて適宜に設定される。ただし、補助力が大きい第2動作モードの第2無応答時間T2が、補助力が小さい第1動作モードの第1無応答時間T1よりも長い方が好ましい。
図9において、本発明の第2の実施形態による自動変速モードでは、ステップS76において、制御部4は、段数センサ107cから現在の変速段SPを取り込む。ステップS77は、制御部4は、ステップS4で取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトアップしきい値TU(SP)を超えているか否か判断する。速度VSがシフトアップしきい値TU(SP)を超えていない場合は、制御部4は、ステップS77からステップS78に移る。ステップS78では、制御部4は、ステップS4で取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトダウンしきい値TD(SP)未満であるか否か判断する。速度VSがシフトダウンしきい値TD(SP)未満ではない場合は、変速動作を行う必要がないので、制御部4は、図4の変速制御のステップS14に移る。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトアップしきい値TU(SP)を超えている場合には、制御部4は、ステップS77からステップS79に移る。ステップS79では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS79からステップS80に移る。ステップS80では,制御部4は、第2動作モードのときのシフトアップの変速タイミングを決めるタイマUT2がすでにスタートしているか否かを判断する。制御部4は、タイマUT2を有する。タイマUT2は、第2動作モード時のシフトアップの第2無応答時間T2を計測するために設けられる。タイマUT2がまだスタートしていない場合は、制御部4は、ステップS80からステップS81に移り、タイマUT2をスタートさせてステップS82に移る。タイマUT2がすでにスタートしている場合には、制御部4は、ステップS80からステップS81をスキップしてステップS82に移る。ステップS82では、制御部4は、タイマUT2がすでにタイムアップしているか否かを判断する。タイマUT2がタイムアップしていない場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS82からステップS78に移る。タイマUT2がすでにタイムアップしている場合は、制御部4は、ステップS82からステップS83に移り、現在の変速段SPが、第Xa1変速段以上であるか否かを判断する。なお、タイマは、タイムアップするとリセットされる。変速段SPが第Xa1変速段以上である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS83からステップS78に移る。現在の変速段SPが第Xa1変速段以上ではない場合は、制御部4は、ステップS83からステップS84に移る。ステップS84では、制御部4は、現在の変速段SPから1段シフトアップした変速段(SP+1)に変速する指令を電動変速ユニット107に出力し、図4のステップS14に移る。
動作モードが第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS79からステップS85に移る。ステップS85では、制御部4は、第1動作モードのときのシフトアップの変速タイミングを決めるタイマUT1がすでにスタートしているか否かを判断する。制御部4は、タイマUT1を有する。タイマUT1は、第1動作モード時のシフトアップの第1無応答時間T1を計測するために設けられる。タイマUT1がまだスタートしていない場合は、制御部4は、ステップS85からステップS87に移、タイマUT1をスタートさせてステップS87に移る。タイマUT2がすでにスタートしている場合には、制御部4は、ステップS85からステップS86をスキップしてステップS87に移る。ステップS87では、制御部4は、タイマUT1がすでにタイムアップしているか否かを判断する。タイマUT1がタイムアップしていない場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS87からステップS78に移る。タイマUT1がすでにタイムアップしている場合は、制御部4は、ステップS87からステップS83に移、以降は第2動作モードと同様な手順を実行する。
取り込んだ速度VSが、取り込んだ変速段SPのシフトダウンしきい値TD(SP)未満の場合には、制御部4は、ステップS78からステップS89に移る。ステップS89では、制御部4は、フラグAMがセットされているか否か、すなわち動作モードが第2動作モードか否かを判断する。動作モードが第2動作モードの場合には、制御部4は、ステップS89からステップS90に移る。ステップS90では、制御部4は、第2動作モードのときのシフトダウンの変速タイミングを決めるタイマDT2がすでにスタートしているか否かを判断する。制御部4は、タイマDT2を有する。タイマDT2は、第2動作モード時のシフトダウンの第2無応答時間T2を計測するために設けられる。タイマDT2がまだスタートしていない場合は、制御部4は、ステップS90からステップS91に移り、タイマDT2をスタートさせてステップS92に移る。タイマDT2がすでにスタートしている場合には、制御部4は、ステップS90からステップS91をスキップしてステップS92に移る。ステップS92では、制御部4は、タイマDT2がすでにタイムアップしているか否かを判断する。タイマDT2がタイムアップしていない場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS92から図4のステップS14に移る。タイマDT2がすでにタイムアップしている場合は、制御部4は、ステップS92からステップS93に移り、現在の変速段SPが、第Xa3変速段以下であるか否かを判断する。変速段SPが第Xa3変速段以下である場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS93から図4のステップS14に移る。現在の変速段SPが第1変速段以下ではない場合には、制御部4は、ステップS93からステップS94に移る。ステップS94では、制御部4は、現在の変速段SPから1段シフトダウンした変速段(SP−1)に変速する指令を電動変速ユニット107に出力し、図4のステップS14に移る。
動作モードが第1動作モードの場合には、制御部4は、ステップS89からステップS95に移る。ステップS95では、制御部4は、第1動作モードのときのシフトダウンの変速タイミングを決めるタイマDT1がすでにスタートしているか否かを判断する。制御部4は、タイマDT1を有する。タイマDT1は、第1動作モードのシフトダウン時の第1無応答時間T1を計測するために設けられる。タイマDT1がまだスタートしていない場合は、制御部4は、ステップS95からステップS97に移り、タイマDT1をスタートさせてステップS97に移る。タイマDT2がすでにスタートしている場合には、制御部4は、ステップS95からステップS96をスキップしてステップS97に移る。ステップS77では、制御部4は、タイマDT1がすでにタイムアップしているか否かを判断する。タイマDT1がタイムアップしていない場合は、制御部4は、何も処理せずにステップS97から図4のステップS14に移る。タイマDT1がすでにタイムアップしている場合は、制御部4は、ステップS97からステップS93に移、以降は第2動作モードと同様な手順を実行する。
ここでは、自動変速のときに、第1動作モードと第2動作モードとにおいて、制御部4は、遅延時間(無反応時間)を補助力が大きい第2動作モードのほうが第1動作モードよりも大きくし、第2動作モードの変速頻度を低くした。これによって、アシスト自転車において、自動変速時に無駄な変速動作が生じにくくなり、乗り心地を向上させることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)第1の実施形態では、動作モードに応じた変速範囲の制限を自動変速および手動変速の両変速モードにおいて、実施しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、自動変速の場合のみ変速範囲を制限してもよい。第1動作モードと第2動作モードとで同じ段数分の変速範囲をシフトしているが、変速範囲の段数は、第1動作モードと第2動作モードとで異なっていてもよい。
(b)第1の実施形態では、第1動作モードと第2動作モードとで同じ段数分の変速範囲をシフトしているが、変速範囲の段数の数は、第1動作モードと第2動作モードとで異なっていてもよい。また、自動変速モードと手動変速モードとで変速範囲を異ならせてもよい。
(c)第1の実施形態の変形例では、自動変速モードを例に変速比によって変速範囲を第1動作モードと第2動作モードとで異ならせているが、手動変速モードにおいても、変速範囲を第1動作モードと第2動作モードとで異ならせてもよい手動変速の場合には、図8においてステップS63を図6のステップS42と同様な処理とし、図8においてステップS64を図6のステップS43と同様な処理とすればよい。
(d)第2の実施形態では、自動変速のシフトダウン変速とシフトアップ変速との両変速方向で変速条件を満たしてから実際の変速動作を遅延して行うようにして動作モードに応じて変速頻度を変更したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、自動変速の一方の変速方向(たとえば、シフトダウン変速)のみ、動作モードに応じて変速頻度を変更してもよい。
(e)上記の第1の実施形態および第2の実施形態では、動作モードが2つであったが本発明はこれに限定されない。動作モードは3以上あってもよい。動作モードは、たとえばアシストしないモード、アシスト力が弱いモード、アシスト力が強いモードなどである。この場合、全ての動作モードで変速範囲(または、変速頻度)が異なってもよいが、少なくとも一つの動作モードだけが、他の複数の動作モードと変速範囲(または、変速頻度)が異なっていてもよい。
(f)上記の第1の実施形態および第2の実施形態では、走行状態として、自転車の速度が選ばれたが、走行状態は自転車の速度に限定されない。たとえば、クランクのケイデンス(クランクの回転速度)、踏力、および自転車の進行方向の傾斜を走行状態としてよい。踏力を走行状態として選択する場合には、制御部4は、踏力が大きくなるにつれて変速比が小さくなるように変速装置を制御してもよい。また、ケイデンスを走行状態として選択する場合は、制御部4は、ケイデンスが所定範囲となるように変速装置の変速比を制御してもよい。傾斜を走行状態として選択する場合には、制御部4は、傾斜が大きくなるほど、変速比が小さくなるように変速装置を制御してもよい。
(g)第2の実施形態では、シフトアップとシフトダウンとで、第1無応答時間T1および第2無応答時間T2に時間を設定しているが、シフトダウンとシフトアップとで異なる時間設定してもよい。この場合、シフトダウン時の無応答時間をシフトアップ時の無応答時間よりも長くしてもよい。
(h)上記実施の形態では、制御部4が自動変速制御と手動変速制御とを切り替えて可能であるが、制御部4が自動変速制御のみを備える構成であってもよく、手動変速制御のみを備える構成であってもよい。