JP6295118B2 - 構造材の損傷探知システム、構造材の損傷探知方法、及びプログラム - Google Patents

構造材の損傷探知システム、構造材の損傷探知方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、建造物の梁等の構造材の損傷を探知する構造材の損傷探知システム、構造材の損傷探知方法、及びプログラムに関する。
柱や梁等といった構造材が、大地震等によって損傷した場合には、損傷箇所を速やかに発見するとともに、必要であれば速やかに修復や補強等の工事を行うことが要求される。損傷箇所の発見は、目視確認によって行われることが多いが、例えば高層建物の高層部に設けられた梁等といった、アクセス困難な場所に設けられた構造材に損傷が発生した場合には、目視確認で的確に対応することが困難であった。そのため、構造材に取り付けられ、損傷が発生した場合に自動的に検知することができる損傷検出センサが用いられてきている(特許文献1)。
上記特許文献1に記載の構造物の損傷検知センサは、一端部側が第1固定片部として柱に固定されるとともに、他端部側が第2固定片部として梁に固定され、これら第1固定片部と第2固定片部とに挟まれた中間部は変位可能とされた可撓性の板状部材と、板状部材に一体に設けられ、中間部の変位を歪みとして検出する光ファイバを備える、そして、構造部材同士の相対位置がずれると、それに伴って第1の固定片部と第2の固定片部との相対位置も変化し、板状部材の中間部は変位する。損傷検知センサは、この変位を、光ファイバにより歪みとして検出する。
特許第3837665号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載された方法では、柱同士や梁同士のような、互いにほぼ直線形状となるように接合された構造部材同士の接合部分に損傷探知センサを配置する必要があり、センサの数が多くなるといった問題点があった。また、竣工後の建造物に後から損傷探知センサを取り付ける等の作業を行うには、多大なコストがかかるといった問題点もあった。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、建造物の梁等の損傷を探知する場合に、測定系を簡素化できる、構造材の損傷探知システム、構造材の損傷探知方法、及びプログラムを提供することある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の構造材の損傷探知システムは、建造物の各フロアの各床スラブ毎に設置され前記各床スラブの上下方向の振動を測定するセンサ部と、前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出部と、前記各床スラブ毎に固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定部と、を備えることを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記損傷判定部は、各床スラブ毎に、以前に算出した固有振動数と、今回算出した固有振動数とを比較し、前記今回算出した固有振動数が、前記以前に算出した固有振動数に対して、前記床スラブを囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される所定の割合以下に低下している場合に、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生していると判定することを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記損傷判定部は、各床スラブ毎に、以前に算出した第1固有振動数と、今回算出した第2固有振動数との固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出し、該固有振動数比が、前記床スラブを囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される所定の閾値以下に低下している場合に、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生していると判定することを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記閾値が略√1/5であることを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記損傷判定部により、1の床スラブ支える梁に損傷が発生したと判定された場合に、前記損傷判定部は、さらに、前記1の床スラブの固有振動数比と、前記1の床スラブと同一フロアに設備された他の床スラブの固有振動数比とを比較し、前記1の床スラブの固有振動数比のみが所定の閾値以下まで変化している場合に、前記1の床スラブ支える周囲の梁に損傷が発生していると判定することを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記損傷判定部は、地震発生の前後における前記床スラブの固有振動数の変化を比較して、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定することを特徴とする。
また、上記構造材の損傷探知システムにおいて、前記センサ部により所定の値以上の振動が検出された場合に、地震が発生したことを検出する地震発生検出部を備えることを特徴とする。
また、本発明の構造材の損傷探知方法は、建造物の各フロアの各床スラブ毎に上下方向の振動を測定するセンサ部を配置し、前記センサ部により測定された振動の測定値に基づいて、前記各床スラブ毎に、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する構造材の損傷探知システムにおける損傷探知方法であって、前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出ステップと、前記各床スラブ毎に、固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、建造物の各フロアの各床スラブ毎に上下方向の振動を測定するセンサ部を配置し、前記センサ部により測定された振動の測定値に基づいて、前記各床スラブ毎に、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する構造材の損傷探知システムのコンピュータに、前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出ステップと、前記各床スラブ毎に、固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、建造物等の梁等の構造材の損傷を探知する場合に、測定系を簡素化できる。
本発明の実施形態に係わる構造材の損傷探知システムの概要を説明する説明図である。 床スラブ10における固有振動数の測定例を示す説明図である。 地震発生前の床スラブ10の固有振動数の算出例を示す説明図である。 地震発生後の床スラブ10の固有振動数の算出例を示す説明図である。 同一フロアの複数の床スラブ11から19のそれぞれの固有振動数を算出する例を示す説明図である。 計測点S1からS9における固有振動数比を比較する例を示す説明図である。 損傷探知システム100の構成を示すブロック図である。 損傷探知システム100における処理の流れを示す第1のフローチャートである。 損傷探知システム100における処理の流れを示す第2のフローチャートである。 床スラブの損傷情報の表示例を示す説明図である。 固有振動数比のデータの表示例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1Aは、本発明の実施形態に係わる構造材の損傷探知システムの概要を説明する説明図である。この図1Aでは、建造物のフロアの柱41、42、43、44と梁(大梁)31、32、33、34とに囲まれた床スラブ10をモデル化して示している。この図では、RC(Reinforced-Concrete)構造の場合を例示する。柱41、42、43、44と梁31、32、33、34とでラーメン構造が形成されており、梁31、32、33、34で指示される床スラブ10の例が示されている。
なお、梁には、大梁と小梁とがあり、梁31、32、33、34は、床スラブ10の荷重を支える大梁である。梁31は、柱41と柱44との間に掛け渡され、梁32は、柱41と柱42との間に掛け渡され、梁33は、柱42と柱43との間に掛け渡され、梁34は、柱43と柱44との間に掛け渡される。床スラブ10の荷重は、梁31、32、33、34により支えられ、この梁31、32、33、34に加わる荷重は、柱41、42、43、44により支えられる。なお、以下の説明において、梁31、32、33、34を総称する場合は、「梁30」と呼び、柱41、42、43、44を総称する場合は、「柱40」と呼ぶ。
構造材の損傷探知システム100(以下、単に「損傷探知システム100」とも呼ぶ)は、図1Aに示すように、床スラブ10の中央部分の計測点に配置されたセンサ部20と、センサ部20により測定された上下方向の振動の測定値(例えば、加速度測定値又は速度測定値等の測定値)のデータを収集して梁30の損傷を判定する損傷判定装置101と、で構成されている。例えば、センサ部20は、振動の加速度を検出する加速度センサ、又は、速度を検出する速度センサである。以下の説明では、センサ部20に加速度センサを用いて、検出した加速度の測定値に基づいて処理する場合を例に挙げて説明する。
損傷判定装置101は、主要な処理部として、固有振動数算出部106と、損傷判定部107とを備えている。
なお、建造物の1つのフロアに複数の床スラブ10が設備される場合、センサ部20は、各床スラブ10毎に配置される。また、損傷判定装置101が各床スラブ10毎に、梁30における損傷の発生を判定する処理を「一次診断」と呼ぶことがある。
損傷探知システム100において、このセンサ部20は、床スラブ10の計測点における上下方向の振動(加速度)を常時測定し、この加速度測定値を損傷判定装置101に出力する。なお、センサ部20が測定する振動は、建造物に常時、自然に発生する微振動を対象としている。そして、震度で示されるような大きな地震が発生して加速度測定値が所定の値を上回るような場合、この地震の発生により測定された加速度測定値は、地震が発生したことを検出するために使用され、床スラブ10の固有振動数の算出には使用しないようにする。また、車の走行や、人の移動に伴う環境振動(ノイズ)の影響を避けるために、損傷探知システム100は、環境振動が小さい深夜の時間帯等に、振動の測定を行うようにしてもよい。
そして、損傷判定装置101内の固有振動数算出部106は、センサ部20が時系列に測定した加速度測定値の時刻歴データを、所定の時間範囲毎に周波数領域のデータに変換して、床スラブ10の固有振動数を算出する。そして、損傷判定部107は、例えば、地震が発生した際に、地震の発生時以前に固有振動数算出部106が算出した固有振動数(第1固有振動数)と、地震の発生後に固有振動数算出部106が算出した固有振動数(第2固有振動数)との固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出する。損傷判定部107は、この固有振動数比の値に基づいて、床スラブ10を囲む梁30の損傷を検出する。例えば、後述するように、損傷判定部107は、固有振動数比が√1/5程度(略√1/5)以下に低下した場合に、床スラブ10を支える梁30に損傷が発生したと判定する。
なお、地震の発生時以前に算出した固有振動数のデータは、地震の発生の直前に算出した固有振動数のデータであってもよく、或いは、現在から過去に向かう所定の期間の間の固有振動数の平均値のデータであってもよい。又は、地震の発生時以前に算出した固有振動数のデータは、最新のデータに近い順に重み付けを行った平均値のデータであってもよい。損傷判定装置101では、地震の発生時以前に算出した固有振動数のデータとして、床スラブ10の具体的な構造、材質などに応じて、最適なデータを選択して用いることができる。
また、図1Bは、床スラブ10における固有振動数の測定例を示す説明図である。この図1Bは、縦軸にフーリエスペクトルの振幅(フーリエ変換された各成分波の振幅)、横軸に振動数を示し、地震発生前に算出されたフーリエスペクトルA1と、地震発生後に算出されたフーリエスペクトルA2とを並べて示した図である。この図1Bにおいて、地震発生前のフーリエスペクトルA1は、床スラブ10の梁30に損傷が発生していない場合のフーリエスペクトルを示し、このフーリエスペクトルA1における最大振幅点の振動数fが床スラブ10の固有振動数になる。一方、地震発生後のフーリエスペクトルA2は、床スラブ10の梁30に損傷が発生している場合のフーリエスペクトルを示し、このフーリエスペクトルA2における最大振幅点の振動数f’が床スラブ10の固有振動数になる。
つまり、床スラブ10の梁30が損傷することにより、床スラブ10の計測点における上下方向の固有振動数は、梁30に損傷が発生していない場合の固有振動数に比較して、その振動数が低下する。
そして、損傷探知システム100の損傷判定装置101において、損傷判定部107は、地震が発生した後に、図1Bに示すように、上下方向の国有振動数f’が、地震発生前の固有振動数fと比較して、所定の割合以下に低下した床スラブ10があったことを検出した場合には、この床スラブ10を囲む梁30に損傷があると判定する。
このように、本実施形態の損傷探知システム100では、床スラブ10の中央部分にセンサ部20を配置するだけで済み、柱40と梁30との全ての接合部に損傷探知センサを配置する場合に比べて、センサ部20の数を大きく低減できる。また、竣工後の建造物に後からセンサ部20を取り付ける等の作業を、容易かつ低コストで行うことができる。
図2Aは、地震発生前の床スラブ10の固有振動数の算出例を示す説明図である。図2Bは、地震発生後の床スラブ10の固有振動数の算出例を示す説明図である。なお、図2A及び図2Bでは、床スラブ10は梁30により支えられているものとして、省略して示している。
図2Aに示す地震発生前、つまり、梁30に損傷が発生していない場合において、床スラブ10の固有振動数は、床スラブ10の質量Mとし、梁30の上下方向の剛性をKとすると、床スラブ10の上下方向の固有振動数は、
Figure 0006295118
により算出される。
一方、図2Bに示す地震発生後、つまり、床スラブ10の梁30に損傷が発生した場合、梁30の梁端部30Aが塑性化し、両端にヒンジ(hinge)30Bが形成されると、梁30の梁端部30Aは回転可能になり、その上下方向の剛性は、構造力学的に、概ね1/5程度となることが知られている。
従って、床スラブ10の梁30に損傷が発生した場合の上下方向の固有振動数は、
Figure 0006295118
により算出される。
このように、地震の発生の前後で床スラブ10の質量Mが不変であると仮定すると、固有振動数の変化の割合は、上下方向の剛性の変化の割合の平方根と一致する。従って、損傷探知システム100では、床スラブ10の上下方向の地震発生前に対する地震発生後の振動数の割合が√1/5程度となった場合、その床スラブ10の周囲の梁30に損傷が発生した可能性があると判定する。
なお、上述した判定値(√1/5程度)は、梁30と、柱40と、床スラブ10とのそれぞれの材質と、具体的な構造の態様とに応じて、予め予測して適宜に設定される値(閾値)である。例えば、判定値を、1以下の任意の数値に設定できるとともに、固有振動数比の低下の割合に応じて、損傷の程度を段階的に判定することも可能である。
例えば、損傷探知システム100では、判定値として、第1判定値と、第2判定値(1>第1判定値>第2判定値)とを設定する。そして、損傷探知システム100は、固有振動数比が、第1判定値と第2判定値との間の数値まで低下した場合に、損傷の可能性を示す注意情報を発生し、固有振動数比が、第2判定値以下に低下した場合に、損傷が発生したことを示す損傷情報を発生するようにしてもよい。
また、損傷探知システム100では、センサ部20を、床スラブ10の中央部の近辺に密接して配置し、床スラブ10を支える4本の梁30の損傷を検出することを基本にしているが、床スラブ10上のレイアウトにより設置スペースに制約がある場合は、センサ部20を床スラブ10の周辺部に配置するようにしてもよい。なお、センサ部20は床スラブ10の上面側のみならず下面側に配置するようにしてもよい。また、センサ部20を、例えば、梁31から34の何れかの梁の中間位置の直上に配置するようにしてもよく、所望の場合には、梁31から34の全ての梁上に、センサ部20を配置するようにしてもよい。
さらに、図1で説明した例では、RC構造の場合について説明したが、梁30と、柱40とが、S(Steel)造又はSRC(Steel Reinforced Concrete)造又は木造の場合においても、固有振動数の変化を検出することにより、梁30における損傷の発生を検出することも可能である。
また、図3Aは、同一フロアの複数の床スラブ11から19のそれぞれの固有振動数を算出する例を示す説明図である。
図3Aに示す構造材の損傷探知システム100おいて、損傷判定装置101は、各床スラブ10のそれぞれの計測点S1からS9に配置された各センサ部20(センサ部21から29)から上下方向の加速度測定値のデータを収集する。そして、損傷判定装置101は、センサ部20から収集した加速度測定値のデータに基づいて、例えば、それぞれの計測点S1からS9における地震発生の前後の固有振動数比を算出して固有振動数の変化を検出する。そして損傷判定装置101は、固有振動数比が所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下に低下した計測点がある場合に、当該計測点に対応する床スラブ10において、梁に損傷が発生していると判定する(一次診断)。なお、固有振動数比が所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下に低下して計測点を、「損傷計測点」と呼ぶことがある。
そして、今、一次診断の結果により、床スラブ15(計測点S5が配置される床スラブ)を囲む梁に損傷が発生していると判定された場合に、損傷判定装置101は、計測点S5において算出された固有振動数比を、同一フロアの計測点S1からS4及び計測点S6からS9において算出された固有振動数比と比較する(二次診断)。
例えば、図3Bは、計測点S1からS9における固有振動数比を比較する例を示す説明図である。この図3Bに示すように、計測点S1からS9において、計測点S5により計測された固有振動数比のみが所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下に低下している場合、二次診断においても計測点S5が損傷計測点であると判定する。そして、損傷判定装置101は、一次診断により損傷計測点と判定された計測点S5が、二次診断においても損傷計測点と判定される場合に、計測点S5が配置される床スラブ15の周囲の梁に損傷の可能性があると判定する。
このように、損傷判定装置101では、一次診断により、計測点S5が損傷計測点であると判定し、その後に、二次診断により、計測点S5が、損傷計測点であることを再度確認する。
これにより、本実施形態の損傷探知システム100では、測定系を簡素化できるとともに、損傷判定の精度を向上させることができる。
なお、図3Bに示すように、計測点S5における固有振動数比の低下の割合が最も大きく、次に、計測点S6における固有振動数比の低下の割合が大きいような場合は、例えば、床スラブ15と床スラブ16との間の梁56に損傷が発生していると推定することもできる。
次に、構造材の損傷判定装置101の構成例について説明する。
図4は、損傷探知システム100の構成を示すブロック図である。実施形態の損傷探知システム100は、各床スラブ10の計測点に配置されるセンサ部20A、20B、・・・、20Cと、損傷判定装置101とで構成される。なお、センサ部20A、20B、・・・、20Cを総称する場合は、「センサ部20」と呼ぶことがある。
この図4に示すように、損傷探知システム100内の損傷判定装置101は、制御部102と、通信制御部103と、入出力インタフェース104と、データ収集部105と、固有振動数算出部106と、損傷判定部107と、固有振動数比比較部108と、表示情報生成部109と、地震発生検出部110と、データベース111と、を備える。また、この損傷判定装置101には、表示部121と、端末装置122と、中継回線200とが接続される。
制御部102は、損傷判定装置101内の各部を制御し、損傷判定装置101の全体を統括して制御することにより、損傷判定装置101に必要とされる処理機能を実現する。
通信制御部103は、損傷判定装置101と、中継回線200を介して接続されるビル管理装置300との間の通信を制御する。入出力インタフェース104は、損傷判定装置101に接続される表示部121や、端末装置122とのインタフェースとなる処理部であり、表示部121や、端末装置122との間でデータの送受信を行う。
データ収集部105は、各床スラブ10の計測点に配置された各センサ部20から、加速度測定値のデータを定期的に受信して収集する。また、データ収集部105は、センサ部20から収集した上下方向の加速度測定値をデータベース111のデータ記憶部113に記憶する。
固有振動数算出部106は、データベース111に記憶した上下方向の加速度測定値の時系列データである時刻歴データを、所定の時間範囲毎に周波数領域のデータに変換して、床スラブ10の固有振動数を算出する。また、固有振動数算出部106は、算出した固有振動数のデータをデータベース111のデータ記憶部113に記憶する。
損傷判定部107は、固有振動数比比較部108を有している。この固有振動数比比較部108は、例えば、地震発生の前後において固有振動数算出部106により算出された固有振動数のデータに基づいて、個々の床スラブ10の計測点における固有振動数比を算出する。そして、固有振動数比比較部108は、固有振動数比が所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下になった床スラブ10が存在するか否かを判定する(一次診断)。また、固有振動数比比較部108は、固有振動数比が所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下になった床スラブが存在する場合、全ての床スラブ10についての固有振動数比を比較し、所定の閾値(例えば、√1/5程度)よりも固有振動数比が低くなっている床スラブ10があるか否かを判定する(二次診断)。
損傷判定部107は、固有振動数比比較部108における固有振動数比の比較結果に基づいて、床スラブ10の梁に損傷が発生しているか否かを判定する。損傷判定部107は、床スラブ10に損傷が発生していると判定した場合に、損傷した床スラブ10の情報と、損傷の程度(例えば、固有振動数比の低下の程度)を示す損傷情報をデータベース111のデータ記憶部113に記憶する。また、損傷判定部107は、この損傷情報を表示情報生成部109に出力する。表示情報生成部109は、損傷判定部107から受け取った損傷情報に基づいて、表示部121に床スラブ10の損傷情報を視覚的に表示させるための画像情報を生成する。
地震発生検出部110は、センサ部20により所定の値以上の加速度測定値が検出された場合に、地震が発生したことを検出する。この地震発生検出部110により地震発生が検出された際に、損傷判定装置101は、地震発生前後における固有振動数の変化を検出して、床スラブ10に損傷が発生しているか否かを判定する。なお、地震発生の検出は、損傷判定装置101で行うのではなく、上位のビル管理装置300側で行うようにしてもよく、或いは、損傷判定装置101の管理者が、端末装置122により、地震発生の情報を入力するようにしてもよい。
データベース111は、この損傷判定装置101において参照する各種データを記憶する。例えば、データベース111は、損傷探知の対象となる建造物(建築物等)に関する設計情報(例えば、建築物の構造、それぞれの部位・部材・材料等の個別仕様の情報)をCADデータ112として記憶する。また、データベース111のデータ記憶部113には、センサ部20で測定された加速度測定値のデータや、固有振動数算出部106により算出された固有振動数のデータ等が記憶される。
表示部121は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等であり、表示情報生成部109によって生成された損傷情報の画像データを表示情報生成部109から受信する。表示部121は、受信した画像データに基づいて、例えば、建造物の構造モデルに、梁が損傷した床スラブの情報を重ねて合わせて表示する。端末装置122は、ユーザによって入力された情報を検出する入力デバイスであり、例えば、キーボード、又は、マウス等である。
また、図5は、損傷探知システム100における損傷探知処理の流れを示す第1のフローチャートである。以下、この図5に示すフローチャートを参照して、その処理の流れについて説明する。
損傷探知システム100において、損傷探知処理が開始されると(ステップS100)、データ収集部105は、同一フロアの各床スラブ10の計測点に設置したセンサ部20A、20B、・・・、20Cから、それぞれの上下方向の加速度測定値のデータを定期的に収集し、この収集した時刻歴データをデータベース111のデータ記憶部113に記憶する(ステップS110)。
続いて、固有振動数算出部106は、データベース111に記憶した時刻歴データを周波数領域のデータに変換し、フーリエスペクトルから各床スラブ10における固有振動数を算出し、算出した固有振動数のデータをデータベース111のデータ記憶部113に記憶する(ステップS120)。
続いて、損傷判定部107内の固有振動数比比較部108は、床スラブ10毎に、以前に算出した固有振動数(第1固有振動数)のデータ、例えば、地震発生前の固有振動数のデータと、今回算出した固有振動数(第2固有振動数)のデータ、例えば、地震発生後の固有振動数のデータとにより、固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出する(ステップS130)。
続いて、固有振動数比比較部108は、ステップS130で算出した固有振動数比について、所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下になった床スラブ10が存在するか否かを判定する(ステップS140)。なお、ステップS140の処理は、前述の一次診断の処理に相当する。
そして、ステップS140の処理において、固有振動数比が所定の閾値以下になった床スラブ10が存在しないと判定された場合(ステップS140:NO)、損傷判定装置101は、ステップS110の処理に戻り、データ収集部105が、センサ部20A、20B、・・・、20Cからの加速度測定値のデータ収集処理を、再び開始する。
一方、ステップS140の処理において、固有振動数比が所定の閾値以下になった床スラブが存在すると判定された場合(ステップS140:YES)、損傷判定部107の固有振動数比比較部108は、該当床スラブが存在するフロアの全計測点における固有振動数比を比較する(ステップS150)。なお、ステップS150から以降の処理は、二次診断の処理に相当する。
続いて、固有振動数比比較部108は、同一フロアの全計測点における固有振動数比の比較結果に基づいて、他の計測点に比べて、固有振動数比が低くなっている計測点があるか否かを判定する。例えば、図3Bに示すように、固有振動数比比較部108は、固有振動数比が、所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下になっている計測点があるか否かを判定する(ステップS160)。
そして、ステップS160において、他の計測点に比べて固有振動数比が低くなっている計測点があると判定された場合(ステップS160:YES)、損傷判定部107は、該当する計測点を含む床スラブ10を囲む梁に損傷が発生していると判定する(ステップS170)。そして、損傷判定部107は、損傷の発生情報を、表示情報生成部109と通信制御部103とに出力する(ステップS190)。表示情報生成部109は、損傷判定部107から受け取った損傷情報に基づいて、損傷状態を視覚的に表示するための表示情報を生成して表示部121に表示する。また、通信制御部103は、損傷判定部107から受け取った損傷情報を、中継回線200を介して、外部のビル管理装置300に送信する。
そして、ステップS190の処理を実行した後に、損傷判定装置101は、この損傷探知処理を終了する(ステップS200)。
一方、ステップS160において、他の計測点について、損傷計測点に比べて固有振動数比が低くなっている計測点がないと判定された場合(ステップS160:NO)、つまり、計測点の固有振動数比が全体的に低くなっている場合、例えば、全ての床スラブ10の固有振動数比が閾値(√1/5程度)を下回っているような場合、損傷判定部107は、フロア全体、或いは、他のフロアの損傷、又は、建物全体の傾斜や損傷等、大規模な損傷が生じた可能があると判定する(ステップS180)。固有振動数比比較部108は、大規模な損傷の発生情報を、表示情報生成部109と通信制御部103とに出力する(ステップS190)。表示情報生成部109は、損傷判定部107から受け取った損傷情報に基づいて、損傷状態を視覚的に表示するための表示情報を生成して表示部121に表示する。また、通信制御部103は、損傷判定部107から受け取った損傷情報を、中継回線200を介して、外部のビル管理装置300に送信する。
そして、ステップS190の処理を実行した後に、損傷判定装置101は、この損傷探知処理を終了する(ステップS200)。
このように、損傷探知システム100では、一次診断により、梁に損傷の可能性がある床スラブを判定し、その後に、二次診断により、損傷の可能性があると判定された床スラブ10の損傷計測点について、同一フロアに設置された別の計測点との比較を行う。つまり、二次診断では、損傷計測点を含むフロアの全計測点の1次診断結果を比較し、特定の計測点のみ振動数が変化しており、その計測点が一次診断での損傷計測点と一致する場合に、損傷計測点の周囲の梁に損傷の可能性があると判定する。
これにより、本実施形態の損傷探知システム100では、測定系を簡素化できるとともに、損傷判定の精度を向上させることができる。
なお、図5のフローチャートに示す例では、ステップS140において、個々の床スラブ10の固有振動数比が所定の閾値以下になったか否かを判定して、損傷計測点の有無を検出しているが、このステップS140の処理を省略することもできる。
図6は、損傷探知システム100における損傷探知処理の流れを示す第2のフローチャートである。以下、図6を参照して、その処理の流れについて説明する。
損傷探知システム100において、損傷探知処理が開始されると(ステップS200)、データ収集部105は、同一フロアの各床スラブ10の計測点に設置したセンサ部20A、20B、・・・、20Cから、それぞれの上下方向の加速度測定値のデータを定期的に収集し、この収集した時刻歴データをデータベース111のデータ記憶部113に記憶する(ステップS210)。
続いて、固有振動数算出部106は、データベース111に記憶した時刻歴データを周波数領域のデータに変換し、フーリエスペクトルから各床スラブ10における固有振動数を算出し、算出した固有振動数のデータをデータベース111のデータ記憶部113に記憶する(ステップS220)。
続いて、損傷判定部107内の固有振動数比比較部108は、床スラブ10毎に、以前に算出した固有振動数(第1固有振動数)のデータ、例えば、地震発生前の固有振動数のデータと、今回算出した固有振動数(第2固有振動数)のデータ、例えば、地震発生後の固有振動数のデータとにより、固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出する(ステップS230)。
続いて、固有振動数比比較部108は、同一フロアの全計測点における固有振動数比を比較する(ステップS240)。続いて、固有振動数比比較部108は、フロアの全計測点における固有振動数比の比較結果に基づいて、他の計測点に比べて、固有振動数比が低くなっている計測点があるか否かを判定する。例えば、図3Bに示すように、固有振動数比比較部108は、固有振動数比が、所定の閾値(例えば、√1/5程度)以下になっている計測点があるか否かを判定する(ステップS250)。
そして、ステップS250において、他の計測点に比べて固有振動数比が低くなっている計測点があると判定された場合(ステップS250:YES)、損傷判定部107は、該当する計測点を含む床スラブ10を囲む梁に損傷が発生していると判定する(ステップS260)。そして、損傷判定部107は、損傷の発生情報を、表示情報生成部109と通信制御部103とに出力する(ステップS290)。表示情報生成部109は、損傷判定部107から受け取った損傷情報に基づいて、損傷状態を視覚的に表示するための表示情報を生成して表示部121に表示する。また、通信制御部103は、損傷判定部107から受け取った損傷情報を、中継回線200を介して、外部のビル管理装置300に送信する。
そして、ステップS290の処理を実行した後に、損傷判定装置101は、この損傷探知処理を終了する(ステップS300)。
一方、ステップS250において、他の計測点に比べて固有振動数比が低くなっている計測点がないと判定された場合(ステップS250:NO)、固有振動数比比較部108は、計測点の固有振動数比が全体的に所定の閾値(例えば、√1/5程度)よりも低くなっているか否かを判定する(ステップS270)。そして、ステップS270において、計測点の固有振動数比が全体的に低くなっていないと判定された場合(ステップS270:NO)、損傷判定装置101は、ステップS110の処理に戻り、データ収集部105が、センサ部20A、20B、・・・、20Cからの加速度測定値のデータ収集処理を、再び開始する。
一方、ステップS270の処理において、計測点の固有振動数比が全体的に低くなっていると判定された場合(ステップS270:YES)、損傷判定部107は、フロア全体、或いは、他のフロアの損傷、又は、建物全体の傾斜や損傷等、大規模な損傷が生じた可能があると判定する(ステップS280)。続いて、損傷判定部107は、大規模な損傷の発生情報を、表示情報生成部109と通信制御部103とに出力する(ステップS290)。表示情報生成部109は、損傷判定部107から受け取った損傷情報に基づいて、損傷状態を視覚的に表示するための表示情報を生成して表示部121に表示する。また、通信制御部103は、損傷判定部107から受け取った損傷情報を、中継回線200を介して、外部のビル管理装置300に送信する。
そして、ステップS290の処理を実行した後に、損傷判定装置101は、この損傷探知処理を終了する(ステップS300)。
このように、図6に示す例では、損傷判定装置101が、個々の床スラブ10毎に損傷の判定を行うことなく、全計測点における固有振動数比の変化を比較することにより、損傷が発生した床スラブ10を検出することができる。
次に、損傷判定装置101における、損傷情報の表示例について説明する。図7Aは、床スラブの損傷情報の表示例を示す説明図である。この図7Aに示す例は、立体的な構造モデルで表示された3階建てのビル50において、床スラブ11から19の中で、梁が損傷した床スラブ15の部分を、網掛けして視覚的に表示した例である。この場合に、表示部121は、ビル3Fにおいて損傷した床スラブ15の部分を、周辺の健全な床スラブと色を違えて表示することができる。また、図7Bは、固有振動数比のデータの表示例を示す説明図である。表示部121は、図7Aに示す表示を行うとともに、図7Bに示すように、3Fの各床スラブ11から19の計測点S1からS9における固有振動数比のデータをグラフにより表示することもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、図4に示す損傷探知システム100の損傷判定装置101は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS等も含むものとする。
そして、損傷判定装置101内の制御部102、通信制御部103、入出力インタフェース104、データ収集部105、固有振動数算出部106、損傷判定部107、固有振動数比比較部108、表示情報生成部109、及び地震発生検出部110における各処理の全部又は一部の処理は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。勿論、図4に示す損傷判定装置101を構成する各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
なお、ここで、本発明と上記実施形態との対応関係について補足して説明する。上記実施形態において、本発明における構造材の損傷探知システムは、損傷探知システム100が対応し、この損傷探知システム100は、センサ部20と、損傷判定装置101とで構成される。また、本発明における固有振動数算出部は、損傷判定装置101内の固有振動数算出部106が対応し、本発明における損傷判定部は、損傷判定装置101内の損傷判定部107が対応する。
(1)そして、上記実施形態において、損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)は、建造物の各床スラブ10に設置され各床スラブ10の上下方向の振動を測定するセンサ部20と、センサ部20により測定された加速度測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、各床スラブ10毎の固有振動数を算出する固有振動数算出部106と、各床スラブ10毎に、固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、各床スラブ10において、該床スラブ10を囲む梁30に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定部107と、を備える。
このような構成の損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、建造物の各フロアの梁30に囲まれた床スラブ10毎にセンサ部20を設置し、床スラブ10の上下方向の加速度測定値を収集する。そして、固有振動数算出部106は、加速度測定値の時刻歴データを周波数領域に変換し、各床スラブ10毎に固有振動数を算出する。そして、損傷判定部107は、例えば、地震発生の前後で固有振動数が変化したことを検出した場合に、この床スラブ10を囲む梁30に損傷があると判定する。
これにより、損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、建造物の梁等の損傷を探知する場合に、測定系を簡素化できる。
(2)また、上記実施形態において、損傷判定部107は、各床スラブ10毎に、以前に算出した固有振動数と、今回算出した固有振動数とを比較し、今回算出した固有振動数が、以前に算出した固有振動数に対して、床スラブ10を囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される固有振動数の低下の割合よりも低下している場合に、当該床スラブ10を囲む梁に損傷が発生していると判定する。
このような構成の損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、今回算出した床スラブ10の固有振動数が、以前に算出した固有振動数に対して、床スラブ10を囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予測される所定の割合以下(例えば、略√1/5以下)に低下している場合に、当該床スラブ10を囲む梁30に損傷が発生していると判定する。
これにより、損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、床スラブ10の固有振動数が低下したことを検出して、当該床スラブ10を囲む梁30に損傷が発生していることを検出することができる。
(3)また、上記実施形態において、損傷判定部107は、各床スラブ10毎に、以前に算出した第1固有振動数と、今回算出した第2固有振動数との固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出し、該固有振動数比が、床スラブ10を囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される所定の閾値以下に低下している場合に、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生していると判定する。
このような構成の損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、今回算出した床スラブ10の固有振動数と、以前に算出した固有振動数との固有振動数比が、床スラブ10を囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予測される所定の閾値以下(例えば、略√1/5以下)に低下している場合に、当該床スラブ10を囲む梁30に損傷が発生していると判定する。
これにより、損傷探知システム100(構造材の損傷探知システム)では、床スラブ10の固有振動数が低下したことを検出して、当該床スラブ10を囲む梁30に損傷が発生していることを検出することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、構造材の損傷探知システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。
例えば、上記実施形態では、地震発生の前後における床スラブの固有振動数の変化を検出して、床スラブを囲む梁の損傷を判定する例について説明したが、地震発生時のみならず、床スラブの梁が経年変化により劣化した場合においても、本実施形態の損傷探知システム100を好適に用いることができる。
また、例えば、本実施形態の損傷探知システム100は、建築構造物のみではなく、土木構造物(橋梁等)に適用することもできる。
また、例えば、センサ設置場所が居住空間である場合は、得られた上下方向の加速度又は速度の記録を、所定の方法で居住性能評価に用いることができる(例えば、「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説 (日本建築学会)」参照。)。
なお、上記の説明においてセンサ部20として加速度センサを用いて振動の加速度を測定するものとして説明したが、センサ部20を速度センサに代え、速度センサを用いて振動の速度を検出するようにしてもよい。加速度センサによって検出される加速度における周波数成分と、速度センサによって検出される速度における周波数成分とに含まれる振動の周波数成分は共通する周波数成分が含まる。これにより、センサ部20によって検出された振動から固有振動数を抽出することができる。
また、センサ部20は、各床スラブ10毎に配置されるものとして説明したが、各床スラブに設置することが難しい場合は、間引いて配置(例えば市松配置等)してもよい。この場合、センサ部20を配置する数を減らすことにより検出精度が低下するものの、損傷エリアを絞り込むことは可能である。
10,11〜19・・・床スラブ、
20,20A,20B,20C,21〜29・・・センサ部、
30,31,32,33,34・・・梁、
40,41,42,43,44・・・柱、
100・・・構造材の損傷探知システム、
101・・・損傷判定装置、102・・・制御部、103・・・通信制御部、
105・・・データ収集部、106・・・固有振動数算出部、
107・・・損傷判定部、108・・・固有振動数比比較部、
109・・・表示情報生成部、110・・・地震発生検出部、
111・・・データベース、121・・・表示部、122・・・端末装置、
300・・・ビル管理装置

Claims (9)

  1. 建造物の各フロアの各床スラブ毎に設置され前記各床スラブの上下方向の振動を測定するセンサ部と、
    前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出部と、
    前記各床スラブ毎に固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定部と、
    を備えることを特徴とする構造材の損傷探知システム。
  2. 前記損傷判定部は、
    各床スラブ毎に、以前に算出した固有振動数と、今回算出した固有振動数とを比較し、
    前記今回算出した固有振動数が、前記以前に算出した固有振動数に対して、前記床スラブを囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される所定の割合以下に低下している場合に、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生していると判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の構造材の損傷探知システム。
  3. 前記損傷判定部は、
    各床スラブ毎に、以前に算出した第1固有振動数と、今回算出した第2固有振動数との固有振動数比(第2固有振動数/第1固有振動数)を算出し、該固有振動数比が、前記床スラブを囲む梁に損傷が発生した場合に低下すると予め予測される所定の閾値以下に低下している場合に、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生していると判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の構造材の損傷探知システム。
  4. 前記閾値が略√1/5である
    ことを特徴とする請求項3に記載の構造材の損傷探知システム。
  5. 前記損傷判定部により、1の床スラブ支える梁に損傷が発生したと判定された場合に、
    前記損傷判定部は、
    さらに、前記1の床スラブの固有振動数比と、前記1の床スラブと同一フロアに設備された他の床スラブの固有振動数比とを比較し、
    前記1の床スラブの固有振動数比のみが所定の閾値以下まで変化している場合に、前記1の床スラブ支える周囲の梁に損傷が発生していると判定する
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の構造材の損傷探知システム。
  6. 前記損傷判定部は、
    地震発生の前後における前記床スラブの固有振動数の変化を比較して、当該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の構造材の損傷探知システム。
  7. 前記センサ部により所定の値以上の振動が検出された場合に、地震が発生したことを検出する地震発生検出部を備える
    ことを特徴とする請求項6に記載の構造材の損傷探知システム。
  8. 建造物の各フロアの各床スラブ毎に上下方向の振動を測定するセンサ部を配置し、前記センサ部により測定された振動の測定値に基づいて、前記各床スラブ毎に、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する構造材の損傷探知システムにおける損傷探知方法であって、
    前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出ステップと、
    前記各床スラブ毎に、固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定ステップと、
    を含むことを特徴とする構造材の損傷探知方法。
  9. 建造物の各フロアの各床スラブ毎に上下方向の振動を測定するセンサ部を配置し、前記センサ部により測定された振動の測定値に基づいて、前記各床スラブ毎に、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する構造材の損傷探知システムのコンピュータに、
    前記センサ部により測定された振動の測定値の時刻歴データを周波数領域のデータに変換して、前記各床スラブ毎の固有振動数を算出する固有振動数算出ステップと、
    前記各床スラブ毎に、固有振動数の変化を検出し、この検出結果に基づいて、前記各床スラブにおいて、該床スラブを囲む梁に損傷が発生しているか否かを判定する損傷判定ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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